説明

充填された吸入器用キャニスターを提供する方法

吸入器(1)用の充填されたキャニスター(138)を提供する方法、具体的には、キャニスター(138)を提供し、キャニスター(138)を薬剤の構成要素で充填する方法を開示しており、本キャニスター(138)は、加圧式の定量吸入器、好ましくは呼吸駆動式吸入器(1)での使用に適している。本方法は、周囲条件で空気によって実質的に充填されているキャニスター(138)を提供する工程、および、キャニスター(138)の開口部を例えば定量バルブ(134)で密封する工程を含む。密封された空気が充填されたキャニスター(138)に充填装置によって定量バルブ(134)を介して加圧された液体および/またはガスが分配される。加圧された液体および/またはガスは少なくとも噴射剤を含む。密封された空気が充填されたキャニスター(138)は、加圧された液体および/またはガスを分配する工程の前では実質的に噴射剤を含まない。その後、密封されたキャニスター(138)は、少なくとも多少の噴射剤と多少の空気とで実質的に充填される。好ましくは、密封されたキャニスター(138)は薬剤も含む。当業界において、圧力が充填されたキャニスターは、密封する直前に噴射剤でパージして空気を追い出す。本発明の方法はパージ工程を省略するものであり、密封されたキャニスター(138)は空気を含み、密封される前は噴射剤を含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填された吸入器用キャニスターを提供する方法に関し、具体的には、キャニスターを提供し、キャニスターを薬剤成分で充填する方法に関し、本キャニスターは、加圧式の定量吸入器での使用に適している。
【背景技術】
【0002】
ドライパウダー吸入器(DPI)や加圧式の定量吸入器(pMDI)のような吸入器は、一般的に様々な薬剤の送達のために使用される。pMDIは、薬剤のキャニスターを少なくとも1つ含んでおり、このようなキャニスターは、例えば定量バルブを開けることによって駆動し、所定用量の薬剤をマウスピースを介して使用者に送達することができる。このような吸入器は手動で駆動させることもでき、および/または、キャニスターを自動的に駆動させる駆動メカニズムを備えていてもよく、このようなメカニズムとしては、例えば、使用者の息を吸い込みに応答して稼働する呼吸駆動式メカニズムが挙げられる。呼吸駆動式吸入器(BAI)によって、キャニスターの駆動時に分配された所定用量の薬剤が使用者の吸入と同時に供給されるようにすることができることから、このようなBAIは、所定用量を確実に吸入しながらその用量の薬剤を分配することが難しいと感じる可能性がある人にとって特に有用である。
【0003】
pMDIに一般的に用いられる薬剤は、少なくとも1種の医薬品有効成分(API)、および、好ましくは、1種またはそれより多くの噴射剤(好ましくは、吸入法で使用することが承認されている比較的オゾン層に優しい噴射剤のいずれか、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)、または、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227))、ならびにその他のあらゆる適切な成分、例えば界面活性剤、共溶媒、潤滑剤などを含む。このような薬剤は、懸濁液であってもよいし、または、溶液であってもよいし、または、それらの混合物であってもよい。
【0004】
pMDIでの使用に適した薬剤を含むキャニスターは、様々な従来の方法のいずれかによって提供することができる。通常キャニスターは充填ラインまたはステージに提供され、そこで適切な薬剤で充填される。従来のシステムにおいて、キャニスターは、充填段階の前に、例えば圧縮空気の吹き込みおよび/または真空での吸引によるクリーニングや噴射剤等でのパージなどの1回またはそれより多くの適切な準備工程を経る可能性がある。続いて、一般的に質量または体積に基づき計量してキャニスターに供給された正確な量の適切な薬剤が、キャニスターに充填される。その代わりに、または、それに加えて、正確な量の薬剤がキャニスター中に存在することを確認するために、充填後にキャニスターの重さを量ってもよい。
【0005】
pMDI用キャニスターを薬剤の溶液または懸濁液で充填する方法がいくつか知られており、このような方法としては、例えば冷却充填(cold filling)、および、加圧充填(pressure filling)(典型的には一工程または二工程)が挙げられる。冷却充填法において、揮発性の噴射剤は、その沸点より低い温度に冷却されることにより液化される。典型的には、必要なAPIをその他すべての薬剤成分と一緒に液化した噴射剤と混合して、充填ノズルに薬剤を提供し、そのノズルから充填ライン中のキャニスターに薬剤が分配される。続いて、一般的には適切な定量バルブでキャニスターは密封される。このような方法の不利な点は、システムの全段階(具体的には混合用ベッセル、およびそれからノズルへのパイプなど)において低温を正確にコントロールして維持する必要があることである。このような低温のシステムはコストがかかり操作が難しく、さらに薬剤中の水分が蒸気して凝縮する問題を引き起こす。さらに、いかなる温度の変動も、使用中にキャニスターによって提供される用量の濃度に影響を与える可能性があり、これは、薬剤に深刻なダメージを与える。
【0006】
加圧充填は、キャニスターに薬剤を供給する代替法である。この方法は、噴射剤が液化する程度に温度を十分低く冷却するためのシステム要素を必要としないことから、冷却充填と比べて有利である。
【0007】
長い間、加圧充填および冷却充填方法のどちらにおいても、パージ工程において、上記で考察したように、まず第一に充填されたキャニスター中の圧力が高くなりすぎないようにすること(これは、圧力が高くなると、充填中または充填後にキャニスターの破裂を引き起こす可能性があるため)、さらに酸化による生成物のあらゆる化学分解を防ぐために、酸素がキャニスターから実質的に除去されるようにすること、さらに加えて、キャニスターから水分が実質的に除去されるようにすることが必要であると考えられてきた。
【0008】
キャニスターの冷却充填は、揮発性の液体によってキャニスター中の空気が自動的にパージされるという利点(これは、ある種の噴射剤は、バルブを締める前に、必然的に空気を蒸発させてキャニスターから空気を追い出すと予想されるためである)が認められているが、それに対して、一般的に加圧充填式の方法は、(二工程法で、濃縮物が空気成分よりも重い揮発物質を含むような場合でない限り)自動的にパージされない。
【0009】
従って、標準圧力で充填する方法(一工程または二工程かどうかにかかわらず)は、キャニスターを充填する直前に、第一の処理工程としてパージを含む。このようなパージ工程は、空のキャニスターに通常数滴の液化した噴射剤を添加することを含み、このようにすることで、噴射剤が(温かいキャニスターと接触したときに)急速に沸騰し、空気がキャニスターから押し出され、その後すぐに上記で開示されたようにして圧力を充填できるようになる。これは、何らかの追加の工程を導入するのに多大な時間がかかること、より多くのコストがかかること、さらに過量の噴射剤を周囲環境に放出する必要があることから不利である。
【0010】
加圧充填法において、噴射剤は加圧下で液化される。一般的な二工程の加圧充填法において、APIと一般的にはその他のあらゆる薬剤成分(例えば共溶媒、界面活性剤、不揮発性の液体など)とを予備混合して、空のキャニスターに充填される濃縮物を作製する。必要があれば、この濃縮物を冷却する。続いてキャニスターを定量バルブで密封し、液化した噴射剤をバルブを介して密封されたキャニスターに注入し、濃縮物と混合することによって望ましい薬剤を生産する。一般的な一工程の加圧充填法も二工程法と同様であるが、一工程の加圧充填法は、濃縮物も加圧下で噴射剤と予備混合し、この混合物が定量バルブを介して密封されたキャニスターに注入される点で異なる。
【0011】
当業界において、既知のキャニスター充填処理のさらなる詳細が開示されており、例えばMetered Dose Inhaler Technology pp79-107(Tol S. Purewal & David J. W. Grant, eds., 1998)で開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Metered Dose Inhaler Technology(Tol S. Purewal & David J. W. Grant, eds., 1998)、79〜107頁
【発明の概要】
【0013】
本発明によれば、従来技術の欠点を克服した吸入器用の薬剤を含む、充填されたキャニスターを提供する方法が提供される。これは、独立した請求項で定義された方法によって達成される。
【0014】
第一の広義の態様によれば、充填された吸入器用キャニスターを提供する方法が提供され、ここで本方法は、以下の工程:
薬剤を収納するための開口部を有する容器を含むキャニスターであって、周囲条件で空気によって実質的に充填されている、薬剤を収容するのに適したキャニスターを提供する工程;
空気が充填されたキャニスターの開口部に定量バルブまたはその他の密封手段を固定して密封する工程;
密封された空気が充填されたキャニスターを、充填装置に提供する工程;および、
密封された空気が充填されたキャニスターに、少なくとも噴射剤を含む加圧された液体および/またはガスを充填装置から定量バルブまたはその他の密封手段を介して分配する工程;
を含み、密封されたキャニスターは、加圧された液体および/またはガスを分配する工程の前においては実質的に噴射剤を含まず、加圧された液体および/またはガスを分配する工程の後に、実質的に少なくとも第一の比率の噴射剤と第二の比率の空気とで、密封されたキャニスターが充填される。
【0015】
本発明はさらに、本発明の方法に係る少なくともいくつかの薬剤成分で充填されたキャニスターも含み、さらに、本発明の方法に係る薬剤成分で充填されたキャニスターを含む吸入器も含む。
【0016】
本発明の実施態様は、従属項で定義される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施態様に従って使用することができる、加圧下で噴射剤中の医薬物質の懸濁液または溶液をベッセルに導入するための充填システムの概略図を示す。
【図2】図2は、本発明の好ましい実施態様に従って処理されたキャニスターを収容する手動操作式pMDIを模式的に説明する。
【図3】図3は、本発明の好ましい実施態様に従って処理されたキャニスターを収容する、呼吸駆動式メカニズムによって駆動する自動操作式pMDIを模式的に説明する。
【図4】図4は、様々な期間にわたり定量バルブを開けたままにした後にパージ済みキャニスターから分配されたエアロゾルについて得られた駆動時の質量のデータを説明する。
【図5】図5は、様々な期間にわたり定量バルブを開けたままにした後に未パージキャニスターから分配されたエアロゾルについて得られた駆動時の質量のデータを説明する。
【図6】図6は、図4および5のデータを比較するために同じ軸で説明する。
【図7】図7は、様々な期間にわたり定量バルブを開けたままにした後にパージ済みキャニスターおよび未パージキャニスターのそれぞれから分配された薬剤について得られた用量の質量のデータ(その薬剤についてのラベルで推奨されている用量に対するパーセンテージとして示される)を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、冷却充填法において重要な冷却条件を必要としないだけでなく、加圧充填法のパージ工程とそれに伴う不利益も回避されることから有利である。さらに、従来のpMDl装置に関連する問題は、装置の定量バルブが駆動したままの状態であったり、または、前回の駆動のあと長期間にわたり開いた状態であったりする場合、次回に分配されるエアロゾルの駆動時の質量が少なくなる可能性があることである。驚くべきことに、キャニスターを薬剤で充填する前にキャニスターのパージを行わないことによって、この作用が有意に少なくなることが見出された。従って、本発明の実施態様によれば、キャニスターは、通常行われているようにしてパージされない。パージしない代わりに、キャニスターを周囲環境のガス、すなわち空気が充填されたままの状態で、空気を充填しながら定量バルブで(バルブが閉じられたら空気が漏れないように)密封する。すなわち、キャニスターを密封する前に、どの段階においても計画的な量または有意な量の噴射剤もしくはその他のパージ用流体またはガスが(空気を除去するために)意図的にキャニスターに導入されることはなく、キャニスターに空気が含まれたままでキャニスターを噴射剤(または薬剤成分と混合された噴射剤)で充填する。このような密封され充填される前に(空気を除去するため、または、空気を追い出すための)計画的なパージ処理を受けていないキャニスターを、未パージキャニスターと称する。いくつかの実施態様において、キャニスターを定量バルブで密封する前に、医薬品有効成分(API)および/またはその他の薬剤成分が添加されてもよいが、誤解を避けるために言えば、このような成分としては、キャニスターが未パージである場合にパージするための噴射剤は含まれない。
【0019】
本出願人は、驚くべきことに、未パージキャニスター(すなわち、従来の加圧充填法で行われているように、薬剤で充填する前に揮発性の噴射剤でパージされていないキャニスター)中の圧力が、従来技術の教示に反して、安全な限界を超えないことを確認した。さらに驚くべきことに、酸素の存在は、多くの製品にとって有害ではないことも確認した。さらにその上、本出願人は、充填装置周辺の局所的な環境を制御することによって、通常キャニスター中に閉じ込められる水の量を減少させることができることも確認した。従って、本出願人は、多くの製品にとって、パージは意外なことに不必要な工程であることを確認した。パージ処理工程を省略することによって、充填処理の結果として大気に放出される例えばHFAのような噴射剤(完全にパージするためには、キャニスターに少し多めの噴射剤を添加することが標準的な技法であり、キャニスター毎に少量の噴射剤が大気に放出される可能性がある)の量を有利に減少させる。さらに、パージ工程を省略することは、充填処理の工程のうち1つを省略するために充填処理の効率と信頼度が向上する。
【0020】
上記で考察したように、本出願人は、有利に、未パージキャニスターは、pMDI、具体的には呼吸駆動式吸入器における使用に適しており、さらに、それによって缶の供給および充填処理中の望ましくない噴射剤の放出が最小化されることが確認された。さらに長期間にわたり定量バルブが開いたままの場合、次回の駆動時に駆動時の質量が不本意に減少する可能性があるが、これも最小化される。これは、これは、定量バルブを開けたままにすることができる装置、例えば、患者によって駆動時または開いた位置のまま保持される可能性がある手動操作式装置、または、例えば発射後にキャッチ・アンド・リリースメカニズムを有する装置、または、発射後に場合によっては患者が手動で駆動の際の力をリセットする呼吸駆動式吸入器などの自動操作式の装置にとって特に有利である。特定の理論にこだわる意図はないが、この利点は、従来のパージ済みキャニスターと比べて未パージキャニスター中にはより高い圧力がかけられることにより、バルブが長期間にわたり駆動した位置のままであった後でさえも、定量バルブチャンバーにおいてより優れた充填がなされることによって達成されると考えられる。
【0021】
本出願人はさらに、吸入器用の薬剤を含むキャニスターを提供する代替法を特定し、具体的には、キャニスターを提供し、キャニスターを加圧式の定量吸入器に適した薬剤(またはそれらの成分)で充填する方法を特定した。またこのような代替法は、実質的に噴射剤を含まない密封されたキャニスター(すなわち未パージキャニスター)を提供することによってではなく、缶の提供および充填処理中の望ましくない噴射剤の放出を最小化する。より正確に言えば、本発明のさらなる広義の形態に従って、キャニスターをパージし充填する新規の方法が提供され、ここでキャニスターは吸入器で使用するためのものであり、本方法は、以下の工程:
薬剤を収納するための開口部を有する容器を含むキャニスターであって、空気によって実質的に充填されている、薬剤を収容するのに適したキャニスターを提供する工程;
キャニスターに所定量の物質(ここで該物質は、噴射剤を追い出すあらゆる物質であり、好ましくは不活性物質である)を分配する工程(このようにすることで、相当な比率の空気が置き換えられ、実質的に上記物質で充填されたキャニスターが提供される);
キャニスターに定量バルブまたはその他の密封手段を固定して、キャニスターの開口部を密封して、その中に物質を封じ込める工程;
密封されたキャニスターを充填装置に提供する工程;および、
密封されたキャニスターに、充填装置から定量バルブまたはその他の密封手段を介して加圧された液体および/またはガスを分配する工程、
を含み、ここで:
上記加圧された液体および/またはガスは少なくとも噴射剤を含んでおり、そうすることによって、少なくとも第一の比率の噴射剤と第二の比率の上記物質とを含む密封されたキャニスターが提供される。
【0022】
上記物質は、噴射剤以外の、適切なあらゆる物質である。上記物質は、好ましくは、HFA噴射剤またはCFC噴射剤を追い出すあらゆる物質であり、より好ましくはHFA227またはHFA134aを追い出すあらゆる物質である。上記物質は、好ましくは、例えば窒素またはアルゴンなどの不活性物質を含むか、または、二酸化炭素を含んでもよい。上記物質は、好ましくはガス状および/または液状である。上記物質は、大気圧で存在していてもよいし、または、上記物質は、加圧されていてもよい。上記物質は、周囲温度で存在していてもよいし、または、冷却されていてもよい。
【0023】
上記の形態のいずれかのキャニスターは、薬剤の貯蔵に適していればどのようなキャニスターでもよい。好ましくは、キャニスターは、例えばアルミニウム、ガラスなどの材料を含む。好ましくは、キャニスターはコーティングされており、好ましくは、キャニスターの内部表面の少なくとも一部、より好ましくはキャニスターの内部表面の実質的に全部がコーティングされる。コーティングは、薬剤が接触した状態で使用するのに適していればどのような材料または組成物を含んでもよい。好ましい実施態様において、コーティングは、ポリマーまたはポリマーブレンドを含む。好ましくは、コーティングは、フルオロポリマーを含む。コーティングは、好ましくは、ペルフルオロアルコキシエチレン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、PETまたは同種のものを含む。コーティングは、適切であればどのような技術で適用してもよい。缶のコーティングは、好ましくは、例えば浸漬、ドライパウダーコーティング、スプレーコーティング、または、好ましくはプラズマコーティングなどの適切な方法のいずれかで適用される。キャニスターは、コーティングを適用する前に予備加熱してもよいし、および/または、コーティングを適用した後に加熱してコーティングを焼結または焼なまししてもよい。
【0024】
薬剤は、様々な活性成分を含んでいてもよい。活性成分は、あらゆる治療薬または診断薬から選択することができる。例えば活性成分は、抗アレルギー剤、気管支拡張剤(例えばベータ2−アドレナリン受容体アゴニスト、または、ムスカリン様アンタゴニスト、または、これらの特性の両方を有する単一の化合物)、気管支収縮剤、肺表面活性物質、鎮痛薬、抗生物質、肥満細胞阻害剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症薬、抗腫瘍薬、麻酔剤、抗結核薬、造影剤、心血管作動薬、酵素、ステロイド、遺伝物質、非ウイルスベクター、アンチセンス剤、タンパク質(例えばインスリン)、ペプチド、非ステロイド系糖質コルチコイド受容体(GR受容体)アゴニスト、抗酸化剤、ケモカインアンタゴニスト(例えばCCR1アンタゴニスト)、コルチコステロイド、CRTh2アンタゴニスト、DP1アンタゴニスト、ヒストンデアセチラーゼ誘導物質、IKK2阻害剤、COX阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、MPO阻害剤、p38阻害剤、PDE阻害剤、PPARγアゴニスト、プロテアーゼ阻害剤、スタチン、トロンボキサンアンタゴニスト、血管拡張剤、ENACブロッカー(上皮のナトリウム−チャンネル遮断薬)、および、それらの組み合わせであり得る。
【0025】
上記薬剤中に包含させることができる具体的な活性成分の例としては、以下が挙げられる;
(i)抗酸化剤;−アロプリノール、エルドステイン、マンニトール、N−アセチルシステインコリンエステル、N−アセチルシステインエチルエステル、N−アセチルシステイン、N−アセチルシステインアミド、および、ナイアシン;
(ii)ケモカインアンタゴニスト:−BX471((2R)−1−[[2−[(アミノカルボニル)アミノ]−4−クロロフェノキシ]アセチル]−4−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−メチルピペラジン一塩酸塩)、CCX634、N−{2−[((2S)−3−{[1−(4−クロロベンジル)ピペリジン−4−イル]アミノ}−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)オキシ]−4−ヒドロキシフェニル}アセトアミド(WO2003/051839を参照)、および、2−{2−クロロ−5−{[(2S)−3−(5−クロロ−1’H,3H−スピロ[1−ベンゾフラン−2,4’−ピペリジン]−1’−イル)−2−ヒドロキシプロピル]オキシ}−4−[(メチルアミノ)カルボニル]フェノキシ}−2−メチルプロパン酸(WO2008/010765を参照)、656933(N−(2−ブロモフェニル)−N’−(4−シアノ−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−7−イル)尿素)、766994(4−({[({[(2R)−4−(3,4−ジクロロベンジル)モルホリン−2−イル]メチル}アミノ)カルボニル]−アミノ}メチル)ベンズアミド)、CCX−282、CCX−915、シアノビリンN、E−921、INCB−003284、INCB−9471、マラビロク、MLN−3701、MLN−3897、T−487(N−{1−[3−(4−エトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イル]エチル}−N−(ピリジン−3−イルメチル)−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アセトアミド)、および、ビクリビロク;
(iii)コルチコステロイド:−アルクロメタゾンジプロピオネート、アメロメタソン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸ブチキソコルト、シクレソニド、プロピオン酸クロベタゾール、デスイソブチリルシクレソニド、ジクロロ酢酸エチプレドノール、フルオシノロンアセトニド、フロン酸フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、エタボン酸ロテプレドノール(外用)、および、フランカルボン酸モメタゾン;
(iv)DP1アンタゴニスト:−L888839、および、MK0525;
(v)ヒストンデアセチラーゼ誘導物質:−ADC4022、アミノフィリン、メチルキサンチン、または、テオフィリン;
(vi)IKK2阻害剤:−2−{[2−(2−メチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−1H−インドール−5−カルボニル]−アミノ}−3−(フェニル−ピリジン−2−イル−アミノ)−プロピオン酸;
(vii)COX阻害剤:−セレコキシブ、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、イブプロフェン、インドメタシン、メロキシカム、ニメスリド、OC1768、OC2125、OC2184、OC499、OCD9101、パレコキシブナトリウム、ピセタノール(Piceatannol)、ピロキシカム、ロフェコキシブ、および、バルデコキシブ;
(viii)リポキシゲナーゼ阻害剤:−アジュレミン酸、ダルブフェロン、メシル酸ダルブフェロン、デクスイブプロフェンリシン(一水和物)、エタロシブナトリウム(Etalocib sodium)、リコフェロン、リナゾラスト(Linazolast)、ロナパレン、マソプロコール、MN−001、テポキサリン、UCB−35440、ベリフラポン(Veliflapon)、ZD−2138、ZD−4007、および、ジロートン((±)−1−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−1−ヒドロキシ尿素);
(ix)ロイコトリエン受容体アンタゴニスト:−アブルカスト、イラルカスト(CGP45715A)、モンテルカスト、モンテルカストナトリウム、オンタゾラスト、プランルカスト、プランルカスト水和物(モノナトリウム塩)、ベルルカスト(MK−679)、および、ザフィルルカスト;
(x)MPO阻害剤:−ヒドロキサム酸誘導体(N−(4−クロロ−2−メチル−フェニル)−4−フェニル−4−[[(4−プロパン−2−イルフェニル)スルホニルアミノ]メチル]ピペリジン−1−カルボキサミド)、ピセアタンノール、および、レスベラトロール;
(xi)ベータ2−アドレナリン受容体アゴニスト:−メタプロテレノール、イソプロテレノール、イソプレナリン、アルブテロール、サルブタモール(例えばその硫酸塩)、ホルモテロール(例えばそのフマル酸塩)、サルメテロール(例えばそのキシナホ酸塩)、テルブタリン、オルシプレナリン、ビトルテロール(例えばそのメシル酸塩)、ピルブテロール、インダカテロール、サルメテロール(例えばそのキシナホ酸塩)、バンブテロール(例えばその塩酸塩)、カルモテロール、インダカテロール(CAS番号312753−06−3;QAB−149)、ホルムアニリド誘導体、例えば3−(4−{[6−({(2R)−2−[3−(ホルミルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}−ブチル)−ベンゼンスルホンアミド;3−(4−{[6−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシ−メチル)フェニル]エチル}アミノ)−ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド;GSK159797、GSK159802、GSK597901、GSK642444、GSK678007;および、N−[2−(ジエチルアミノエチル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド、N−[2−(ジエチルアミノエチル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(3−クロロフェニル)エトキシ]プロパンアミド、7−[(1R)−2−({2−[(3−{[2−(2−クロロフェニル)エチル]アミノ}プロピル)チオ]エチル}アミノ)−1−ヒドロキシエチル]−4−ヒドロキシ−1,3−ベンゾチアゾール−2(3H)−オン、および、N−シクロヘキシル−N−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミド、または、それらの医薬的に許容される塩(例えば、対イオンが、塩酸塩(例えば一塩酸塩または二塩化水素化物)、臭化水素酸塩(例えば、一臭化水素酸塩または二臭化水素酸塩)、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ナパジシル酸塩(ナフタレン−1,5−ジスルフォナート、または、ナフタレン−1−(スルホン酸)−5−スルホン酸塩)、エジシル酸塩(エタン−1,2−ジスルフォナート、または、エタン−1−(スルホン酸)−2−スルホン酸塩)、D−マンデル酸塩、L−マンデル酸塩、ケイ皮酸塩、または、安息香酸塩である場合)から選択される化合物;
(xii)ムスカリン様アンタゴニスト:−アクリジニウム臭化物、グリコピロレート(例えばR,R−、R,S−、S,R−またはS,S−グリコピロニウム臭化物)、オキシトロピウム臭化物、ピレンゼピン、テレンゼピン、チオトロピウム臭化物、3(R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物、(3R)−3−[(2S)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−チエン−2−イルアセトキシ]−1−(2−フェノキシエチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物、第4級塩(例えば[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−(3−フェノキシ−プロピル)−アンモニウム塩、[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩、および、(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((5)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(ここで対イオンは、例えば塩化物、臭化物、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、トルエンスルホン酸塩(トシラート)、ナフタレンジスルホン酸塩(ナパジシル酸塩、または、ヘミナパジシル酸塩)、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、または、コハク酸塩である)。
(xiii)p38阻害剤:−681323、856553、AMG548(2−[[(2S)−2−アミノ−3−フェニルプロピル]アミノ]−3−メチル−5−(2−ナフタレニル)−6−(4−ピリジニル)−4(3H)−ピリミジノン)、アレイ−797、AZD6703、ドラマピモド(Dramapimod)、KC−706、PH797804、R1503、SC−80036、SCIO469、6−クロロ−5−[[(2S,5R)−4−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2,5−ジメチル−1−ピペラジニル]カルボニル]−N,N,1−トリメチル−α−オキソ−1H−インドール−3−アセトアミド、VX702、および、VX745(5−(2,6−ジクロロフェニル)−2−(フェニルチオ)−6H−ピリミド[1,6−b]ピリダジン−6−オン);
(xiv)PDE阻害剤:−256066、アロフィリン(3−(4−クロロフェニル)−3,7−ジヒドロ−1−プロピル−1H−プリン−2,6−ジオン)、AWD12−281(N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−ヒドロキシ−α−オキソ−1H−インドール−3−アセトアミド)、BAY19−8004(バイエル(Bayer))、CDC−801(カルジーン(Calgene))、セルジーン(Celgene)化合物((βR)−β−(3,4−ジメトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−イソインドール−2−プロパンアミド)、シロミラスト(シス−4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]−シクロヘキサンカルボン酸)、2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−1−(7−メトキシスピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,1’−シクロペンタン]−4−イル)エタノン(CAS番号185406−34−2))、(2−(3,4−ジフルオロフェノキシ)−5−フルオロ−N−[シス−4−[(2−ヒドロキシ−5−メチルベンゾイル)アミノ]シクロヘキシル]−)−3−ピリジンカルボキサミド)、(2−(3,4−ジフルオロフェノキシ)−5−フルオロ−N−[シス−4−[[2−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)ベンゾイル]アミノ]シクロヘキシル]−3−ピリジンカルボキサミド)、CT2820、GPD−1116、イブジラスト、IC485、KF31334、KW−4490、リリミラスト(Lirimilast)([2−(2,4−ジクロロベンゾイル)−6−[(メチルスルホニル)オキシ]−3−ベンゾフラニル])−尿素)、(N−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−1−[3−(3−ピリジニルエチニル)フェニル]−)−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド)、(N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−4−(ジフルオロメトキシ)−8−[(メチルスルホニル)アミノ])−1−ジベンゾフランカルボキサミド)、ONO6126、ORG20241(4−(3,4−ジメトキシフェニル)−N−ヒドロキシ−)−2−チアゾールカルボキシミドアミド)、PD189659/PD168787(パーク・デービス(Parke-Davis))、ペントキシフィリン(3,7−ジヒドロ−3,7−ジメチル−1−(5−オキソヘキシル)−)−1H−プリン−2,6−ジオン)、化合物(5−フルオロ−N−[4−[(2−ヒドロキシ−4−メチル−ベンゾイル)アミノ]シクロヘキシル]−2−(チアン−4−イルオキシ)ピリジン−3−カルボキサミド)、ピクラミラスト(3−(シクロペンチルオキシ)−N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−4−メトキシ−ベンズアミド)、PLX−369(WO2006026754)、ロフルミラスト(3−(シクロプロピルメトキシ)−N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−4−(ジフルオロメトキシ)ベンズアミド)、SCH351591(N−(3,5−ジクロロ−1−オキシド−4−ピリジニル)−8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリンカルボキサミド)、SelCID(TM)CC−10004(カルジーン)、T−440(田辺(Tanabe))、テトミラスト(6−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−チアゾリル]−2−ピリジンカルボン酸)、トフィミラスト(9−シクロペンチル−7−エチル−6,9−ジヒドロ−3−(2−チエニル)−5H−ピラゾロ[3,4−c]−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン)、TPI1100、UCB101333−3(N,2−ジシクロプロピル−6−(ヘキサヒドロ−−1H−アゼピン−1−イル)−5−メチル−4−ピリミジンアミン)、V−11294A(Napp)、VM554/VM565(ベルナリス(Vernalis))、および、ザルダベリン(6−[4−(ジフルオロメトキシ)−3−メトキシフェニル]−3(2H)−ピリダジノン)。
(xv)PDE5阻害剤:−ガンマ−グルタミル[s−(2−ヨードベンジル)システイニル]グリシン、タダラフィル、バルデナフィル、シルデナフィル、4−フェニル−メチルアミノ−6−クロロ−2−(1−イミダゾリル)−キナゾリン、4−フェニル−メチルアミノ−6−クロロ−2−(3−ピリジル)−キナゾリン、1,3−ジメチル−6−(2−プロポキシ−5−メタンスルホニルアミドフェニル)−1,5−ジヒドロピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン、および、1−シクロペンチル−3−エチル−6−(3−エトキシ−4−ピリジル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
(xvi)PPARγアゴニスト:−ピオグリタゾン、塩酸ピオグリタゾン、マレイン酸ロシグリタゾン、マレイン酸ロシグリタゾン((−)−エナンチオマー、遊離塩基)、マレイン酸ロシグリタゾン/塩酸メトホルミン、および、テサグリタザル(Tesaglitizar);
(xvii)プロテアーゼ阻害剤:−アルファ1−アンチトリプシンプロテイナーゼ阻害剤、EPI−HNE4、UT−77、ZD−0892、DPC−333、Sch−709156、および、ドキシサイクリン;
(xviii)スタチン:−アトルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、および、シンバスタチン;
(xix)トロンボキサンアンタゴニスト:ラマトロバン、および、セラトロダスト;
(xx)血管拡張剤:−A−306552、アンブリセンタン、アボセンタン、BMS−248360、BMS−346567、BMS−465149、BMS−509701、ボセンタン、BSF−302146(アンブリセンタン)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、ダグルトリル(Daglutril)、ダルセンタン、ファンドセンタンカリウム(Fandosentan potassium)、ファスジル、イロプロスト、KC−12615(ダグルトリル)、KC−127922AB(ダグルトリル)、リポソーム性トレプロスチニル、PS−433540、シタクスセンタンナトリウム、フェルラ酸ナトリウム、TBC−11241(シタクスセンタン)、TBC−3214(N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−[[(4−クロロ−3−メチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル]−2−チオフェンカルボキサミド)、TBC−3711、トラピジル、トレプロスチニルジエタノールアミン、および、トレプロスチニルナトリウム;
(xxi)ENAC:−アミロリド、ベンザミル、トリアムテレン、552−02、PSA14984、PSA25569、PSA23682、および、AER002。
【0026】
薬剤は、2種またはそれより多くの活性成分の組み合わせを含んでいてもよく、例えば上記の(i)〜(xxi)で列挙した特定の活性成分の2種またはそれより多くの組み合わせを含んでいてもよい。好ましい実施態様において、薬剤は、モメタゾン、臭化イプラトロピウム、チオトロピウムおよびそれらの塩、サルメテロール(salemeterol)、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、レプロテロール、クレンブテロール、ロフレポニドおよび塩、ネドクロミル、カロモグリク酸ナトリウム、フルニソリド、ブデソニド、フマル酸ホルモテロール二水和物、テルブタリン、硫酸テルブタリン、サルブタモール塩基および硫酸塩、フェノテロール、3−[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−3H−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチルアミノ]−N−[2−[2−(4−メチルフェニル)エトキシ]エチル]プロパン−スルホンアミド、塩酸塩、インダカテロール、アクリジニウム臭化物、N−[2−(ジエチルアミノエチル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド、または、それらの医薬的に許容される塩(例えば、二臭化水素酸塩);N−シクロヘキシル−N−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミド、または、それらの医薬的に許容される塩(例えば、ジ−D−マンデル酸塩);[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩(例えばヘミ−ナフタレン−1,5−ジスルフォナート);(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(例えば、臭化物またはトルエンスルホン酸塩);または、これらのうちどれかの2種またはそれより多くの組み合わせから選択される活性成分を含む。
【0027】
薬剤に包含されていてもよい活性成分の具体的な組み合わせとしては、以下が挙げられる:
(a)ホルモテロール(例えば、フマル酸塩二水和物として)、および、ブデソニド;
(b)ホルモテロール(例えばフマル酸塩二水和物として)、および、フルチカゾン;
(c)N−[2−(ジエチルアミノエチル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド、または、それらの医薬的に許容される塩(例えば、二臭化水素酸塩)、および、[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩(例えば、ヘミ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩);
(d)N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド、または、それらの医薬的に許容される塩(例えば、二臭化水素酸塩)、および、(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(例えば、臭化物またはトルエンスルホン酸塩);
(e)N−シクロヘキシル−N−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミド、または、それらの医薬的に許容される塩(例えば、ジ−D−マンデル酸塩)、および、[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩(例えば、ヘミ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩);
N−シクロヘキシル−N−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミド、または、それらの医薬的に許容される塩(例えば、ジ−D−マンデル酸塩)、および、(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(例えば、臭化物またはトルエンスルホン酸塩)。
【0028】
本明細書で用いられる薬剤という用語は、一般的に、吸入器においてキャニスターが駆動した際にエアロゾルとして分配される、キャニスター中の1種またはそれより多くの成分を意味する。薬剤は、一般的に、少なくとも活性成分と噴射剤とを含む。本発明の実施態様において、結果的に薬剤成分と薬剤用の噴射剤とからなる薬剤がキャニスターに提供されるように、薬剤は、薬剤用の噴射剤がキャニスターに導入される前および/またはその後にキャニスターに導入される薬剤成分を含んでもよい。
【0029】
ここで本発明の好ましい実施態様を添付の図面を参照しながら単なる例として説明する。
図1は、本発明の好ましい実施態様に従って使用することができる、加圧下で噴射剤中の医薬物質の懸濁液または溶液をベッセルに導入するための充填システムの概略図を示す。
【0030】
図2は、本発明の好ましい実施態様に従って処理されたキャニスターを収容する手動操作式pMDIを模式的に説明する。
図3は、本発明の好ましい実施態様に従って処理されたキャニスターを収容する、呼吸駆動式メカニズムによって駆動する自動操作式pMDIを模式的に説明する。
【0031】
図4は、様々な期間にわたり定量バルブを開けたままにした後にパージ済みキャニスターから分配されたエアロゾルについて得られた駆動時の質量のデータを説明する;
図5は、様々な期間にわたり定量バルブを開けたままにした後に未パージキャニスターから分配されたエアロゾルについて得られた駆動時の質量のデータを説明する。
【0032】
図6は、図4および5のデータを比較するために同じ軸で説明する。
図7は、様々な期間にわたり定量バルブを開けたままにした後にパージ済みキャニスターおよび未パージキャニスターのそれぞれから分配された薬剤について得られた用量の質量のデータ(その薬剤についてのラベルで推奨されている用量に対するパーセンテージとして示される)を説明する。
【0033】
以下、必要に応じて図面を参照しながら様々な本発明の好ましい実施態様を説明する。好ましい実施態様の類似の構成要素を示すために、類似の参照番号が用いられる。
図1は、加圧下でキャニスター138を計量された体積の噴射剤中の医薬物質の懸濁液または溶液で充填するための充填ヘッド2を有する既知の充填システムを説明する。
【0034】
充填ヘッド2は、概して参照符号170で示される循環ラインに含まれ、ここで加圧下で医薬物質を含む噴射剤の懸濁液または溶液が循環する。循環ライン170は、懸濁液または溶液中に医薬物質を含む噴射剤を保持する混合用ベッセル172を含む。
【0035】
噴射剤の沸点が周囲温度よりも低い場合、噴射剤が加圧下以外でも液体として維持されるように、混合用ベッセル172は循環ライン170の残り部分と同様に加圧される。ライン176は、混合用ベッセル172の流出口174をポンプ178に連結し、ここでポンプ178は、循環ライン170の周囲に噴射剤を押し出すために提供される。その他のライン180は、ポンプ178を注入口バルブ182の注入口側に連結する。さらなるライン183は、注入口バルブ182の流出口側を計量チャンバー184に連結する。計量チャンバー184は、注入口バルブ182が開いているときに計量された体積の懸濁液または溶液中に医薬物質を含む噴射剤を受け取るように設計される。計量された体積は、充填ヘッド2によってキャニスター138に導入する必要がある体積に相当する。さらにその他のライン186は、計量チャンバー184を充填ヘッド2に連結する。
【0036】
図1に示される実施態様は一工程の加圧充填処理を説明しているが、例えば加圧下で噴射剤のみを提供してライン中を循環させること、および、キャニスター138をバルブで密封する前かつ充填ヘッド2で充填する前に、残りの薬剤成分をキャニスター138中に予め充填することで二工程法にすることができる。二工程法では、混合用ベッセル172は省略することができる。
【0037】
従って、図1は、従来の加圧充填法を説明する。しかしながら、本発明によれば、キャニスター138は、充填ヘッド2が到達する前のどのステージでも空気がパージされることはない。従って、キャニスター138が定量バルブ134で密封される場合、キャニスター138は空気によって実質的に充填されており(なお、充填処理が二工程法である場合、キャニスターはさらに、例えば医薬品有効成分(API)、共溶媒、界面活性剤などの1種またはそれより多くの薬剤成分を含んでいてもよい)、実際には、キャニスター138が充填ヘッド2に到達したとき、かつ充填の直前には実質的に、キャニスター138は空気で充填されている。充填ヘッド2によって定量の噴射剤(一工程法においては、医薬品有効成分も含む)がキャニスター138に分配されると、充填されたキャニスターは、適切な投与製剤の形態の薬剤を含むようになり、加えて空気も含むようになる。それゆえに、典型的には、本発明に係るキャニスターの中身は、キャニスターを定量バルブで密封する前に従来のパージ工程が行われたキャニスターの中身と比較して高い圧力であると予想される、さらに、それらよりも有意に多い空気を含むと予想される。特定の理論にこだわるつもりはないが、このようなより高い圧力によって定量バルブでの充填がより良好になるために、バルブが長期間にわたり駆動した位置のまま保持された後でさえも、改善されたより安定した分配されたエアロゾルの駆動時の質量が提供されると予想される。
【0038】
このようなキャニスターは、例えば図1に記載の方法に従って製造されるが、様々な適切な加圧式の定量吸入器(pMDI)で用いることができる。図2は、手動で操作される吸入器1を模式的に説明しており、この吸入器1は、駆動時に投与するための薬剤を収容するキャニスター138を含む。この吸入器は、作動装置本体3と、使用者が分配された薬剤を吸入するマウスピース13とを含む。このバルブは、作動装置本体3のベースでノズルブロック中に置かれている。
【0039】
使用者は、図2に記載のpMDI1を作動させて吸入用マウスピース13に用量を分配させるが、このような分配は、指または親指で作動装置15を下方に押すことにより、バルブ134を開いたキャニスター138が下方に押し下げ、キャニスター中の薬剤が高圧であるために、計量された用量がノズルブロックからマウスピース13に入ることによってなされる。
【0040】
また図1に記載の方法に従って製造されたキャニスターは、自動操作される加圧式の定量吸入器(pMDI)でも使用することができる。図3は、呼吸駆動式吸入器1を模式的に説明しており、この吸入器1は、装置が呼吸に応答して駆動する際に自動的に投与される薬剤を収容するキャニスター138を含む。
【0041】
簡単に言えば、吸入器1は、ハウジング10を含み、ここでハウジング10は、呼吸駆動式メカニズム4、6、50〜53、55、57、58、130、150、160、200、210、250を含む。このメカニズムは、特に、呼吸駆動式フラップ57を含み、このフラップ57は、使用者がマウスピースを介して吸入する際にピボット点58を中心として回転する。それにより、所定のジョイント53、55、150、200、250が解放され、さらに連結部50がピボット51を中心として回転できるようになる。それにより、スプリング6中に保存されたエネルギー(このエネルギーは、放出されるまで押さえつけられた位置で保持されていた)が放出される。続いてスプリング6によって、かみ合い部分4を下に向かってキャニスター138に押し付ける。それにより、定量バルブ134がノズルブロック62を圧迫し、説明したように所定用量の薬剤60が分配される。
【0042】
図示されたBAIメカニズムの機構と構成要素のより詳細な説明は、WO2008/082359を参照することができる。
【実施例】
【0043】
本発明の様々な形態の利点を説明するために、パージ済みキャニスターと未パージキャニスターの両方を試験し、結果を比較した。用いられた手法を理解するために確認すべきこととして言えば、実験される現象は、バルブ計量チャンバーの部分的な再充填であって、部分的な排出ではない。従って、これは、吸入器が、作用を受けた期間(この期間が測定される)にわたり駆動時の位置で維持された状態での駆動の後の駆動である。
【0044】
実施例1
3つの吸入器のための3つのキャニスターを構築し、従来の方式で、すなわち、キャニスターを定量バルブで密封する前にキャニスターを噴射剤でパージし、続いて薬剤を充填することによるパージ工程で薬剤で充填した。各吸入器を以下の方式で試験した:
1.一般的な方法で駆動させ、エアロゾルを分配した。
2.再度駆動させ、駆動した位置で第一の既定期間にわたり保持した(すなわち定量バルブを開けたままにした)(表1の第1列に記録した)。
3.質量を量った。
4.再度駆動させ、駆動した位置で第一の既定期間にわたり保持した(すなわち定量バルブを開けたままにした)(表1の第1列に記録した)。
5.質量を量った。
6.一般的な方法で駆動させた。
7.質量を量った。
【0045】
保持時間の後の駆動時の質量を、工程5における吸入器の質量から工程3における吸入器の質量をマイナスすること、および、工程7における吸入器の質量から工程5における吸入器の質量をマイナスすることによって計算した。各保持時間の後における2回の作動からの結果の平均を計算した。最後に、3種の吸入器の全体の平均を計算し、記録した(表1の第2列)。この工程を各吸入器ごとに次の既定期間にわたり繰り返し、結果を表1にまとめた。
【0046】
【表1】

【0047】
表1の結果のグラフ表示(図4)から明らかなように、バルブを所定期間にわたり駆動時の状態に保持した後に分配されたエアロゾルの駆動時の質量は、期間が長くなるほど有意に減少した。これは、エアロゾルの駆動時の質量は、送達された薬剤中の医薬品有効成分の用量に直接的な作用を有するために、吸入器の定量バルブがあまりにも長期間開けたままになっている場合、場合によっては患者はより少ない用量の薬物しか摂取できない可能性があるため望ましくない。
【0048】
実施例2
実施例1と比較するために、吸入器用のキャニスターを組み立て、本発明の形態に従って噴射剤で充填した。キャニスターを作製し、パージ工程を行わなかったこと以外は実施例1とまったく同じ方法で充填した(すなわち実施例2における吸入器中のキャニスターは未パージである)。実施例1のときと同様に、実施例2においても以下の方式で吸入器を試験した:
1.一般的な方法で駆動させ、エアロゾルを分配した。
2.再度駆動させ、駆動した位置で第一の既定期間にわたり保持した(すなわち定量バルブを開けたままにした)(表2の第1列に記録した)。
3.質量を量った。
4.再度駆動させ、駆動した位置で第一の既定期間にわたり保持した(すなわち定量バルブを開けたままにした)(表2の第1列に記録した)。
5.質量を量った。
6.一般的な方法で駆動させた。
7.質量を量った。
【0049】
保持時間の後の駆動時の質量を、工程5における吸入器の質量から工程3における吸入器の質量をマイナスすること、および、工程7における吸入器の質量から工程5における吸入器の質量をマイナスすることによって計算した。各保持時間の後における2回の作動からの結果の平均を計算し、記録した(表1の第2列)。この工程を各吸入器ごとに次の既定期間にわたり繰り返し、結果を表2にまとめた。実施例2の場合の期間は、実施例1の場合よりも長い期間を含むが、結果は直接的に比較できるものである。
【0050】
【表2】

【0051】
表2の結果のグラフ表示(図5)から明らかなように、実施例2の吸入器において、バルブを所定期間にわたり駆動時の状態に保持した後に分配されたエアロゾルの駆動時の質量は、期間が長くなっても、実施例1の吸入器と比べてそのような有意な減少は示さなかった。従って、分配されたエアロゾルのより安定した駆動時の質量に関して言えば、実施例2の吸入器は実施例1の吸入器よりも顕著に優れた性能を示す。これは、未パージの缶からのデータ(表2)とパージした缶からのデータ(表1)との比較を示す図6からも明らかである。
【0052】
実施例3
上記で考察したように、エアロゾルの駆動時の質量は、送達された薬剤中の医薬品有効成分の用量に直接影響するため、患者は駆動ごとに有効量の薬物用量を摂取することができる。これを検証するために、90個のパージ済みキャニスター(比較用)および30個の未パージキャニスターを上記した方式と同じ方式で作製した。各キャニスターはいずれも、選択された薬剤の予め決められた既知の量と同じ用量を保持しているため、キャニスターの寿命の初期、中期および最後について測定することが可能である。
【0053】
60個のパージ済みキャニスターを試験用に選択した。各キャニスターを吸入器に設置し、通常通りに駆動させて定量バルブを待機させた(これを寿命の初期とした)。第二および第三の駆動の際に、定量バルブを、15、30または45秒のいずれか(各期間ごとに20個のキャニスターを使用)の所定期間にわたり開いたままにし、続いて第四の時間にわたり吸入器を通常通りに駆動した。標準的な吸入器中の用量を回収する装置を80リットル/分の流速で用いて、第三および第四の動作を合わせて送達された用量を測定した。データを記録し、続いて各キャニスターを、各キャニスターそれぞれが寿命の中期(すなわち用量の約半分が分配された状態)になるまで十分な回数駆動させた。続いて測定工程を繰り返した(すなわち各キャニスターを、通常通りに一回駆動させ、さらに定量バルブを15、30または45秒のいずれかの所定期間にわたり開いたままにして2回駆動させた)。その後、吸入器中のキャニスターを再度駆動させ、第三および第四の動作を合わせて送達された用量を測定した。データを記録し、続いて各キャニスターを、各キャニスターそれぞれが寿命の最後(すなわち残りの用量ほぼ全てが分配された状態)になるまで十分な回数駆動させた。続いて測定工程を繰り返した(すなわち各キャニスターを、通常通りに一回駆動させ、定量バルブを15、30または45秒のいずれかの所定期間にわたり開いたままにして2回駆動させた)。その後、吸入器中のキャニスターを再度駆動させ、第三および第四の動作を合わせて送達された用量を測定した。続いて、寿命の最後、寿命の中期および寿命の初期から得られたデータを合わせて、これらの60の測定結果の平均を、その薬物療法についてラベルで推奨されている用量に対するパーセンテージとして計算し、表3の第2列に記録した。定量バルブを予め駆動の位置に10秒維持した場合の次の用量に関するデータについて、20個ではなく30個の未パージキャニスターを試験した(寿命の初期、中期および最後それぞれにおいても繰り返し、従って合計で90の測定を行った)。このデータの平均も表3の第2列に示す。
【0054】
比較のために、同じ薬剤を同じ量で含む30個のパージ済みキャニスターで同様の試験を行った。パージ済みキャニスターについての試験も未パージキャニスターと同じ方式で行った(具体的には、キャニスターのライフサイクルにおいて同じ寿命の初期、中期および最後の段階で行った)。表3の第3列に示したデータは、各保持時間における30個のデータポイント(10個のキャニスターそれぞれから3つのデータポイント)の平均である。パージ済みキャニスターについて、次回の駆動からの用量の質量を測定する前に、10、30または50秒のいずれかの期間バルブを開いたままにした。しかしながらこれらのデータは、完全に比較に値するものである。
【0055】
【表3】

【0056】
表3のデータをグラフで示した図7からわかるように、前回の駆動でバルブを開けたままにした後に吸入器から分配された用量の質量の減少は、薬剤で充填する前にキャニスターがパージされない場合、ほとんど有意ではない。これは、患者が図らずも吸入器のキャニスターを駆動した状態で、すなわち定量バルブが開いた状態で保持したような場合であっても、患者が、未パージキャニスターを含む吸入器から、パージ済みキャニスターを含む吸入器と比較して少ない用量の薬剤しか摂取できない可能性は低いために有利である。
【符号の説明】
【0057】
1 吸入器
2 充填ヘッド
3 作動装置本体
4 かみ合い部分
6 スプリング
10 ハウジング
13 マウスピース
15 作動装置
50 連結部
51 ピボット
53、55、150、200、250 ジョイント
57 呼吸駆動式フラップ
58 ピボット点
60 薬剤
62 ノズルブロック
134 定量バルブ
138 キャニスター
170 循環ライン
172 混合用ベッセル
174 流出口
176 ライン
178 ポンプ
180 ライン
182 注入口バルブ
183、186 ライン
184 計量チャンバー
4、6、50〜53、55、57、58、130、150、160、200、210、250 呼吸駆動式メカニズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填された吸入器用キャニスターを提供する方法であって、
薬剤を収納するための開口部を有する容器を含むキャニスターであって、周囲条件で空気によって実質的に充填されている、薬剤を収容するのに適したキャニスターを提供する工程;
空気が充填されたキャニスターの開口部に定量バルブまたはその他の密封手段を固定して密封する工程;
密封された空気が充填されたキャニスターを、充填装置に提供する工程;および、
密封された空気が充填されたキャニスターに、少なくとも噴射剤を含む加圧された液体および/またはガスを、充填装置から定量バルブまたはその他の密封手段を介して分配する工程;
を含み、密封されたキャニスターは、加圧された液体および/またはガスを分配する工程の前においては実質的に噴射剤を含まず、加圧された液体および/またはガスを分配する工程の後に、実質的に少なくとも第一の比率の噴射剤と第二の比率の空気とで密封されたキャニスターが充填される、上記方法。
【請求項2】
空気が充填されたキャニスターの開口部を密封する工程の前に、空気が充填されたキャニスターを薬剤ディスペンサーに提供する工程;および、
薬剤ディスペンサーから定量の薬剤を空気が充填されたキャニスターに分配する工程、
をさらに含み、ここで空気が充填されたキャニスターの開口部を密封する工程は、薬剤と空気とを含むキャニスターの開口部を密封する工程を含む、請求項1に記載の充填されたキャニスターを提供する方法。
【請求項3】
前記充填装置から密封された空気が充填されたキャニスターに分配された加圧された液体および/またはガスは、薬剤をさらに含む、請求項1に記載の充填されたキャニスターを提供する方法。
【請求項4】
前記薬剤は、モメタゾン、臭化イプラトロピウム、チオトロピウムおよびそれらの塩、サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、レプロテロール、クレンブテロール、ロフレポニドおよび塩、ネドクロミル、カロモグリク酸ナトリウム、フルニソリド、ブデソニド、フマル酸ホルモテロール二水和物、テルブタリン、硫酸テルブタリン、サルブタモールベースおよび硫酸塩、フェノテロール、3−[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−3H−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチルアミノ]−N−[2−[2−(4−メチルフェニル)エトキシ]エチル]プロパン−スルホンアミド、塩酸塩、インダカテロール、アクリジニウム臭化物、N−[2−(ジエチルアミノエチル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミド、または、それらの医薬的に許容される塩(例えば二臭化水素酸塩);N−シクロヘキシル−N−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミド、または、それらの医薬的に許容される塩(例えばジ−D−マンデル酸塩);[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩(例えばヘミ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩);(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((5)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(例えば、臭化物またはトルエンスルホン酸塩);または、それらのいずれか2種またはそれより多くの組み合わせから選択される活性成分を含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記薬剤は、少なくとも1種の賦形剤を含む、請求項2、3および4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記賦形剤は、界面活性剤、共溶媒、および、潤滑剤のうちいずれか1種またはそれより多くを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記噴射剤は、HFA227、または、HFA134aを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
キャニスターが請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法によって提供されたものである、充填された吸入器用キャニスター。
【請求項9】
前記キャニスターは、実質的に、少なくとも第一の比率の噴射剤、第二の比率の空気、および、第三の比率の薬剤、で充填されており、ここで該薬剤は、好ましくは少なくとも1種の賦形剤を含む、請求項8に記載の充填されたキャニスター。
【請求項10】
前記賦形剤は、界面活性剤、共溶媒および潤滑剤のうちいずれか1種またはそれより多くを含む、請求項9に記載の充填されたキャニスター。
【請求項11】
加圧式の定量吸入器であって、該吸入器は、好ましくは呼吸駆動式吸入器であり、請求項8、9、および、10のいずれか一項に記載の充填されたキャニスターを含む、上記定量吸入器。
【請求項12】
前記キャニスターはコーティングされており、好ましくは、少なくともキャニスターの内部表面がコーティングされている、請求項8〜11のいずれか一項に記載の充填されたキャニスター。
【請求項13】
前記キャニスターは、フルオロポリマー、好ましくはペルフルオロアルコキシエチレン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、PETまたは同種のものでコーティングされている、請求項12に記載の充填されたキャニスター。
【請求項14】
前記キャニスターは、スプレーコーティングまたはプラズマコーティングによってコーティングされる、請求項12または13に記載の充填されたキャニスター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−519413(P2013−519413A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552468(P2012−552468)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050222
【国際公開番号】WO2011/098798
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(300022113)アストラゼネカ・ユーケイ・リミテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】AstraZeneca UK Limited
【Fターム(参考)】