説明

充填材及び繊維製品

【課題】ヒノキやスギ等の木材チップと羽毛両者が偏りなく混合した充填材及び当該充填材を用いた布団、枕、クッション、ダウンジャケット、寝袋を提供すること。
【解決手段】ヒノキ科の植物を用いた製造した木材を50〜500マイクロメートルの厚さで切削して形成したスパイラル状のチップ1、又は/及び、スギ科の植物を用いた製造した木材を50〜500マイクロメートルの厚さで切削して形成したスパイラル状のチップ1と、羽毛とにより成る充填材。及び、前記充填材を用いてなる、布団、枕、クッション、ダウンジャケット及び寝袋からなる群より選択されるいずれかの繊維製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は布団や枕等の寝具類、クッション等のインテリア繊維製品、ダウンジャケット等の衣服、並びに当該繊維製品に封入する充填材に関する。
【背景技術】
【0002】
布団や枕等の寝具類や、クッション等の充填材として木材チップが用いられることがある。これはヒノキやヒバ等のヒノキ科の木材やスギ科の木材は芳香性、消臭性、防黴性、防虫性等を有することによる。係る木材や木材チップを充填した寝具等に関する特許文献として、特開平2−213310号公報や特開平8−242975号公報、特開2002−120206号公報などがある。ここに特開平2−213310号公報や特開2002−120206号公報記載の発明は、ヒノキ等の木材を薄片状に切削し、カール状となしたチップを枕等に充填して成るものである。又、特開平8−242975号公報記載の発明は、板状固綿の表面にヒノキ科の植物の木質小塊体を接着して寝具内に封入するものである。
【0003】
又、寝具類、クッション、ダウンジャケット等の衣服の充填材として羽毛が用いられることは一般的に行われている。羽毛は軽量であると共に保温性に優れていることを理由とする。
【0004】
更には羽毛と木材チップ両者を封入することで羽毛の臭いを防ぐ発明が、特開平9−37898号公報において提案されている。
【特許文献1】特開平2−213310号公報
【特許文献2】特開平8−242975号公報
【特許文献3】特開2002−120206号公報
【特許文献4】特開平9−37898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒノキ等の木材チップを用いた充填材には、肌触りやクッション性が必ずしも良好とはいえない難点がある。羽毛には経年劣化により臭いが発生したり、微生物の温床となったりする難点がある。そこで木材チップと羽毛を混合して充填材とすることが考えられるが、両者を単に混合しても重量の違いからうまく交わらず、下部に木材チップが上部に羽毛が集まってしまいがちである。
【0006】
そこで本発明はヒノキやスギ等の木材チップと羽毛両者が偏りなく均一に混合した充填材及び当該充填材を用いた布団、枕、クッション、ダウンジャケット、寝袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意研究した結果、木材を50〜500マイクロメートルの厚さで切削して形成したスパイラル状のチップと羽毛であれば両者が適度に絡み合うという知見を得た。この絡み合いにより、両者を偏りなく均一に混合させることが可能となるのである。そこで請求項1において、ヒノキ科の植物を用いた製造した木材を50〜500マイクロメートルの厚さで切削して形成したスパイラル状のチップ又は/及びスギ科の植物を用いた製造した木材を50〜500マイクロメートルの厚さで切削して形成したスパイラル状のチップと、羽毛とにより成る充填材を提案する。又、請求項2において、請求項1記載の充填材を用いてなる、布団、枕、クッション、ダウンジャケット及び寝袋からなる群より選択されるいずれかの繊維製品を提案する。
【発明の効果】
【0008】
本発明はヒノキ科、スギ科の植物を用いて製造した木材チップを用いていることから、これら木材の有する効能、すなわち香りの有するリラックス効果、ダニやカビ、細菌の発生を防ぐ防虫・防黴・抗菌効果を有する。又、消臭効果、ことにアミン系・アンモニア系の臭いを消臭する効果を有する。更には加齢臭の原因であるノネナールに対する消臭効果も有するものである。
【0009】
又、羽毛を用いていることから軽量であると共に保温性に優れるものである。
【0010】
更には木材チップと羽毛の両者を用いていることから、羽毛の持つ欠点、すなわち臭いが発生したり、微生物の温床となったりすることを、木材チップによる消臭抗菌効果により抑制できるものである。
【0011】
又、50〜500マイクロメートルという非常に薄い厚さで切削されたスパイラル状の木材チップを用いていることから、羽毛と木材チップが絡み合い、均一に混合し偏在することがない。それゆえ、木材チップの持つ欠点、すなわち肌触りのやクッション性の悪さという難点を解消できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい一実施形態につき図面を参照しながら概説する。
【0013】
図1は本発明に係る充填材を構成する木材チップ1の形状例を示す外観図である。この木材チップ1はヒノキやヒバ等のヒノキ科の木材やスギ科の木材を原料とするものであり、より詳しくはヒノキ科やスギ科の木材のうち、芳香性、防虫性、防黴性、抗菌効果、消臭効果等のうち、いずれか或いは全ての効能を有するものを原料とするものである。形状はスパイラル形状を呈するものであるが、これは厚みを50〜500マイクロメートル、より好ましくは50〜150マイクロメートルに切削することで、自然に係る形状を呈するものである。又、係る薄さであれば羽毛と良好に絡み合うものである。木材チップ1の長さはスパイラル形状を引き伸ばした状態で1〜5cm程度が好ましい。木材チップ1の幅は1〜10mm程度が好ましい。
【0014】
本発明に係る充填材を構成する羽毛は、寝具やダウンジャケット等に通常用いられる羽毛を利用すれば足りる。ここに本発明にいう羽毛とはダウン、フェザー両者を含む広義の概念であり、請求項2を構成する各品目ごとに、適する割合で両者を混合して用いることが好ましい。例えば布団ではダウンが85〜93%(フェザーが7〜15%)、枕ではフェザーが100%(ダウン0%)、クッションでは50%ずつといった割合である。むろんこれは例示であり、その割合は任意に変更できるものである。
【0015】
請求項2に係る布団、枕、クッション、ダウンジャケット、寝袋は、上述の木材チップ1と羽毛より成る充填材を詰め物として利用するものであり、その製法は通常の方法と同様でかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】木材チップの形状例を示す外観図。
【符号の説明】
【0017】
1・・木材チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒノキ科の植物を用いた製造した木材を50〜500マイクロメートルの厚さで切削して形成したスパイラル状の木材チップ1又は/及びスギ科の植物を用いた製造した木材を50〜500マイクロメートルの厚さで切削して形成したスパイラル状の木材チップ1と、羽毛とにより成る充填材。
【請求項2】
請求項1記載の充填材を用いてなる、布団、枕、クッション、ダウンジャケット及び寝袋からなる群より選択されるいずれかの繊維製品。

【図1】
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【公開番号】特開2009−240449(P2009−240449A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88998(P2008−88998)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(508098280)中島寝具株式会社 (1)
【出願人】(399033566)ダイワ産業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】