説明

充填材

【課題】 本発明は、耐火性があり作業性に優れた高強度の充填材を提供することを目的とする。
【解決手段】 鉄筋等の固定用の充填材であり、該充填材が主剤と硬化剤とからなる組成物であって、その主剤が反応性単量体で希釈されたラジカル硬化型樹脂と無機のフィラーとの混合物であり、無機のフィラーの平均粒度が0.5〜3.0μmのものと8〜16μmのものを3:7から1:9の質量比割合で混合したもので、その無機のフィラーが吸熱分解反応するものを主剤中に65〜80wt%含有することを特徴とする充填材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は土木、建築における鉄筋とコンクリート、鉄筋と鉄筋等を固定させるための充填材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋等を固定させるための鉄筋継ぎ手のカプラー内及びコンクリートに穿孔された孔に充填材を注入し鉄筋等を挿入し固定させるために樹脂系の充填材が用いられている。充填材には現場調合式のものとカートリッジ式のものとがある。現場調合式のものは、それぞれの容器に入った主剤と硬化剤を混合し、充填容器に詰め替えて穿孔のなかに注入し、固定部材を固定する。また、カートリッジ式のものは、カートリッジ中の主剤と硬化剤を、ハンドガンや油圧等の力で適量ずつ吐出し、スタティックミキサー等の混合機により混合された固着剤を穿孔のなかに注入し、鉄筋等の固定部材を固定して用いている。
【0003】
これらの充填材に用いられる接着材は構造用として使用される場合、耐火性が要求される。一般的に樹脂系は用いられず無機系のグラウト材が用いられている。しかしながら、この無機系のグラウト材は現場調合式のもので、使用直前に水と混合して用いるため充填容器への移し変え、使用後の攪拌機及び容器等の清掃が必要となり、非常に作業性が悪く手間がかかっていた。また、高強度とするために水/グラウト剤比を小さくする必要があるが、充填性と強度及び耐火の性能が相反するため強度には限界があった。
このように耐火性が要求される部分には無機系のグラウト材が使用されている。しかしながら、作業性、取り扱い性の悪さ及び使用されている鉄筋及びコンクリート等が高層化し軽量且つ高強度化するにあたり限界が生じてきた。また、現場調合型では重量管理、計量等に注意が必要であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、耐火性があり作業性に優れた高強度の充填材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、無機系のグラウト材では耐熱性及び強度の両立は難しく鋭意検討を続けた結果、樹脂系の充填材の検討、特に樹脂及び無機のフラーの種類・配合を検討することで解決に至った。すなわち、本発明は下記の通りである。
【0006】
1.鉄筋等固定用の充填材であり、該充填材が主剤と硬化剤とからなる組成物であって、その主剤が反応性単量体で希釈されたラジカル硬化型樹脂と無機のフィラーとの混合物であり、無機のフィラーの平均粒度が0.5〜3.0μmのものと8〜16μmのものを3:7から1:9の質量比割合で混合したものであり、且つ吸熱分解反応する無機のフィラーを主剤中に65〜80質量%含有することを特徴とする充填材。
2.該吸熱分解反応が、無機のフィラーの脱水により吸熱するものであり、脱水温度が200〜350℃であることを特徴とする1.記載の充填材。
3.無機のフィラーが、水酸化アルミニウムであることを特徴とする1.または2.記載の充填材。
4.不飽和ポリカルボン酸ポリマー、ポリシロキサンコポリマー不飽和脂肪酸ポリアミンアミドの内少なくとも1種以上を、無機のフィラーの分散剤として無機のフィラーに対し0.5〜10質量%含有することを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の充填材。
5.ラジカル硬化型樹脂が、分子量400〜1500であり、芳香環又は脂環部を2個以上含み、ラジカル硬化型樹脂組成物が反応性単量体を50〜80質量%含有することを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の充填材。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、主剤と硬化剤とからなる組成物であって、その主剤が反応性単量体で希釈されたラジガル硬化型樹脂と無機のフィラーとの混合物であり、無機のフィラーの平均粒度が0.5〜3μmのものと8〜16μmのものを3:7から1:9の重量割合で混合したもので、その無機のフィラーが吸熱分解反応するものを主剤中に65〜80wt%含有することを特徴とする充填材をもちいることで、土木、建築におけるコンクリートと鉄筋、鉄筋と鉄筋等を結合させる接着剤において耐火性があり作業性に優れた高強度の接着剤の提供を可能とする。耐火性があり作業性に優れた充填材の提供を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明について、特にその好ましい形態を中心に、以下具体的に説明する。
本発明に用いることのできる、ラジカル硬化型樹脂は多価のアルコールと不飽和一塩基酸とから誘導されるビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂とメタクリル酸、アクリル酸等の不飽和一塩基酸の付加反応物であるエポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂等が挙げられる。
例えば、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート、ビスフェノールAグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、テトラキス(グリシジルフェニル)エタンメタクリル酸付加物、ナフタレン型ジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、トリグリシジルイソシアヌレートメタクリル酸付加物等がある。
【0009】
ラジカル硬化型樹脂は、好ましくは反応性単量体で希釈して用いられ、カルボン酸とアルコールのエステルであって、多官能性のエステル類のものが用いられる。本発明では、ラジカル硬化型樹脂と反応性単量体との混合物をラジカル硬化型樹脂組成物という。
例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、フタル酸ジアリル、トリメット酸トリアリル、トリアリルイソシアヌレート、フェニルマレイミド等があり耐アルカリ性に優れたメタクリル酸及びメタリルアルコールとのエステル類の方が望ましい。また、これら反応性単量体は単独で用いても良いし、混合して用いても良い。さらに、少量であれば一官能性のエステル類を混合することもできる。
【0010】
ラジカル硬化型樹脂への反応性単量体の混合比率は特に限定されないが、ラジカル硬化型樹脂組成物中60〜80質量%が好ましい。また、樹脂粘度が、0.1〜5poise(E型粘度計、25℃)となるように混合することが望ましい。
また、ラジカル硬化型樹脂は分子量が400〜1500が好ましく、芳香環又は脂環部を2個以上含むのもが好ましい。さらに、ラジカル硬化型樹脂組成物中には反応性単量体を50〜80質量%含有することが好ましい。
【0011】
本発明に用いることのできる硬化剤は、ジアシルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、ヒドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類及びパーオキシカーボネート類等の有機過酸化物であり、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等があり、最も好ましくはベンゾイルパーオキサイドが用いられる。また、この硬化剤は好ましくは希釈剤で希釈して用いられる。
本発明に用いることのできる硬化剤の希釈剤は、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム等の無機物、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、シリコーンオイル、流動パラフィン重合性モノマー、水等である。
【0012】
本発明に用いることのできる促進剤は、窒素置換基中に水酸基を有する第3級芳香族アミン類であればよく、例えばN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリールジエタノールアミン、N,N−ビスヒドロキシブチル−p−トルイジン等があり、少量で効果的なN,N−ビスヒドロキシプロピル−p−トルイジンが好ましい。また、促進剤は、硬化剤と直接接触することを避ければ主剤とは別置きにして使用時に主剤に混合しても良いし、予め樹脂中に混合させて置いても良い。その含有量は好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜1.5質量%である。
これらの促進剤は単独で用いても、また、2種以上混合してもよく、更には従来一般的に用いられていた,N,N−ジメチルアニリン、ナフテン酸コバルト等の促進剤と併用して使用してもかまわない。
【0013】
さらに、主剤成分には必要に応じ、重合禁止剤、着色剤、顔料、紫外線吸収剤、界面活性剤、骨材、充填材、チキソトロピー化剤等を添加、混合することができる。また、硬化剤成分にも必要に応じ、骨材、充填材、チキソトロピー化剤、希釈剤、可塑剤等を添加混合することができる。
本発明に用いられる重合禁止剤はキノン類、ハイドロキノン類、フェノール類等があり、例えば、ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、p−トルキノン、p−キシロキノン、ナフトキノン、2,6−ジクロロキノン、ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、モノメチルハイドロキノン、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等を必要量添加することができるが、キノン類はアミン類と反応し、着色等の変化を起こすことがあり、ハイドロキノン類、フェノール類を添加することが好ましく、最も効果的なものはクレゾール類である。
【0014】
本発明に用いることのできる着色剤、顔料として必要に応じ添加する。これらの添加剤にはレーキ顔料、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、高級有機顔料及び無機顔料、その単品あるいはそれらの混合物がある。
本発明に用いることのできる界面活性剤は、アニオン型、カチオン型、ノニオン型、両性型があるが、水中での引張強度の安定に効果のあるアニオン型のものが好ましい。アニオン型界面活性剤は、カルボン酸塩としてアルキルエーテルカルボン酸塩(例えば、三洋化成(株)製、商品名「ビューライトEAC」)等、スルホン酸塩では、ジアルキルスルホコハク酸塩(三洋化成(株)製、商品名「サンセパラ100」)、アルキルアリルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、αーオレフィンスルホン酸塩等、硫酸エステル塩では、アルキルアリル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、リン酸エステル塩ではアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
【0015】
特に好ましくは、界面活性剤を樹脂に添加した場合、樹脂のゲル化を促進しないジアルキルスルホコハク酸塩又はアルキルアリルスルホコハク酸塩を使用することが望ましい。これらアニオン型界面活性剤は、1価もしくは2価の金属塩又はアンモニウム塩が好ましく、特にナトリウム塩がより好ましい。
これらの界面活性剤は何処に配置しても良いが、樹脂中に混合しておくのが好ましい。使用量は特に限定されないが、強度の点で30質量%以下に抑えることが好ましい。また、界面活性剤は反応性単量体や溶剤に溶解して用いても良い。
本発明に用いられる分散剤は、不飽和ポリカルボン酸ポリマー、ポリシロキサンコポリマー不飽和脂肪酸ポリアミンアミド等があり、無機の充填材に対し0.5〜10質量%程度添加し使用することが望ましい。
【0016】
本発明に用いることのできる無機の充填材は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等があり脱水温度が250〜350℃である水酸化アルミニウムが最も好ましい。また、これらの充填材の粒径は8〜16μmのものと0.5〜1.5μmのものとを90:10〜70:30の質量比で混合して用いる。配合量はラジカル硬化型樹脂組成物に対して65〜80質量%配合することにより、耐火性及び強度を発現させるために重要である。主剤の樹脂には液ダレ防止としてチキソトロピー化剤を配合することが好ましい。
上記無機の充填材に加えて補強目的とし硅粉、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、アルミナ等を配合しても良い。0.5〜1.5μm粒径のものを組み合わせ配合するとより効果的である。
【0017】
本発明に用いることのできるチキソトロピー化剤は、微粉シリカ(日本エアロジル株式会社、商品名、エロジール)、無粉アルミナ、タルク、石綿及びコロイド性含水ケイ酸アルミニウム/有機複合体(白石工業株式会社、商品名、オルベン)、ベントナイト、ヒマシ油誘導体等がある。
更に、主剤樹脂組成物側に無収縮モルタル等の無機系のセメント、硬化剤に水を混合し樹脂モルタルにして使用しても良い。この場合、主剤と硬化剤の混合性が向上するように樹脂モルタルで使用されているものと同様の界面活性剤、分散剤、減水剤、流動化剤等を組み合わせて添加すると流動性のよい混合物が得られる。
主剤樹脂組成物は、これらの無機の充填材、チキソトロッピク化剤等を配合した粘度は50r.p.mのときの粘度が50〜200Pa・s(スパイラル粘度計、25℃)になるように調整することが好ましい。
【実施例】
【0018】
以下、実施例により本発明を説明する。
<無機のフィラーの平均粒度(平均粒子径)>
レーザー回折散乱法で測定された粒度分布から得られる重量50%径で、測定器は、セイシン工業、型番SKN―1000。
【0019】
〔実施例1〕
ビスフェノールAグリシジルエーテルメタクリル酸付加物(n=1.2)30質量%、反応性単量体としてジエチレングリコールジメタクリレートが70質量%の樹脂500gに、促進剤としてN,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン3g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)0.4gを混合した。この樹脂100gに対して水酸化アルミニウム(平均粒子径12μm)を200g+炭酸カルシウム(平均粒子径1μm)50g混合し主剤を調合した。硬化剤は過酸化ベンゾイルペースト(40%濃度、シリコンオイル希釈品)100gに水酸化アルミニウム(平均粒子径12μm)40g、及びアエロジル3gを混合し硬化剤を調合した。
ここで調合された主剤と硬化剤を10:1の容量比率のカートリッジにそれぞれを充填しカートリッジを試作した。排出口に混合・充填のためのミキシングノズルを装着し、適合するディスペンサーにセットし主剤と硬化剤を吐出・混合した樹脂で試験片を作成し評価した。
評価はΦ30×30mmの試験片を作成し、JISの耐火試験の加熱曲線に準じて2時間かけて350、400、450℃に加熱し試験片の分解状態を確認した。その結果を表1に示す。
【0020】
〔実施例2〕
2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン30質量%、反応性単量体としてジエチレングリコールジメタクリレートが40質量%、トリメチロールプロパントリメタクリレート30質量%の樹脂500gに、促進剤としてN,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン3g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)0.4gを混合した。この樹脂100gに対して水酸化アルミニウム(平均粒子径12μm)を250g+炭酸カルシウム(平均粒子径1μm)50g混合し主剤を調合した。硬化剤は過酸化ベンゾイルペースト(40%濃度、シリコンオイル希釈品)100gに水酸化アルミニウム(平均粒子径12μm)40g、及びアエロジル3gを混合し硬化剤を調合した。
ここで調合された主剤と硬化剤を10:1の容量比率のカートリッジにそれぞれを充填しカートリッジを試作した。排出口に混合・充填のためのミキシングノズルを装着し、適合するディスペンサーにセットし主剤と硬化剤を吐出・混合した樹脂で試験片を作成し評価した。
評価を実施例1同様に実施した。その結果を表1に示す。
【0021】
〔実施例3〕
ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート50質量%、反応性単量体としてジエチレングリコールジメタクリレートが50質量%の樹脂500gに、促進剤としてN,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン3g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)0.4gを混合した。この樹脂100gに対して水酸化アルミニウム(平均粒子径12μm)を300g+炭酸カルシウム(平均粒子径1μm)50g混合し主剤を調合した。硬化剤は過酸化ベンゾイルペースト(40質量%濃度、シリコンオイル希釈品)100gに水酸化アルミニウム(平均粒子径12μm)40g、及びアエロジル3gを混合し硬化剤を調合した。
ここで調合された主剤と硬化剤を10:1の容量比率のカートリッジにそれぞれを充填しカートリッジを試作した。排出口に混合・充填のためのミキシングノズルを装着し、適合するディスペンサーにセットし主剤と硬化剤を吐出・混合した樹脂で試験片を作成し評価した。
評価は実施例1同様に実施した。その結果を表1に示す。
【0022】
〔実施例4〕
ビスフェノールAグリシジルエーテルメタクリル酸付加物30質量%、反応性単量体としてジエチレングリコールジメタクリレートが70質量%の樹脂500gに、促進剤としてN,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン3g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)0.4gを混合した。この樹脂100gに対して水酸化マグネシウム(平均粒子径12μm)を200g+水酸化アルミニウム(平均粒子径1μm)50g混合し主剤を調合した。硬化剤は過酸化ベンゾイルペースト(40質量%濃度、シリコンオイル希釈品)100gに水酸化アルミニウム(平均粒子径12μm)40g、及びアエロジル3gを混合し硬化剤を調合した。
ここで調合された主剤と硬化剤を10:1の比率のカートリッジにそれぞれを充填しカートリッジを試作した。排出口に混合・充填のためのミキシングノズルを装着し、適合するディスペンサーにセットし主剤と硬化剤を吐出・混合した樹脂で試験片を作成し評価した。
評価はΦ30×30mmの試験片を作成し、JISの耐火試験の加熱曲線に準じて2時間かけて電気炉にて350、400、450℃に加熱し試験片の分解状態を確認した。その結果を表1に示す。
【0023】
〔比較例1〕
ビスフェノールAグリシジルエーテルメタクリル酸付加物(n=1.2)30質量%、反応性単量体としてジエチレングリコールジメタクリレートが70質量%の樹脂500gに、促進剤としてN,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン3g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)0.4gを混合した。この樹脂100gに対して炭酸カルシウム(平均粒子径15μm)を200g+炭酸カルシウム(平均粒子径1μm)50g混合し主剤を調合した。硬化剤は過酸化ベンゾイルペースト(40%濃度、シリコンオイル希釈品)100gに水酸化アルミニウム(平均粒子径12μm)40g、及びアエロジル3gを混合し硬化剤を調合した。
ここで調合された主剤と硬化剤を10:1の容量比率のカートリッジにそれぞれを充填しカートリッジを試作した。排出口に混合・充填のためのミキシングノズルを装着し、適合するディスペンサーにセットし主剤と硬化剤を吐出・混合した樹脂で試験片を作成し評価した。
評価は実施例1同様に実施した。その結果を表1に示す。
【0024】
〔比較例2〕
ビスフェノールAグリシジルエーテルメタクリル酸付加物30質量%、反応性単量体としてジエチレングリコールジメタクリレートが70質量%の樹脂500gに、促進剤としてN,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン3g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)0.4gを混合した。この樹脂100gに対して水酸化アルミニウム(平均粒子径4μm)を150g混合し主剤を調合した。硬化剤は過酸化ベンゾイルペースト(40%濃度、シリコンオイル希釈品)100gに水酸化アルミニウム(平均粒子径12μm)40g、及びアエロジル3gを混合し硬化剤を調合した。
ここで調合された主剤と硬化剤を10:1の容量比率のカートリッジにそれぞれを充填しカートリッジを試作した。排出口に混合・充填のためのミキシングノズルを装着し、適合するディスペンサーにセットし主剤と硬化剤を吐出・混合した樹脂で試験片を作成し評価した。
評価は実施例1同様に実施した。その結果を表1に示す。
【0025】
〔比較例3〕
ビスフェノールAグリシジルエーテルメタクリル酸付加物30質量%、反応性単量体としてジエチレングリコールジメタクリレートが70質量%の樹脂500gに、促進剤としてN,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン3g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)0.4gを混合した。この樹脂100gに対してタルク(平均粒子径11μm)を200gとタルク(平均粒子径1.1μm)を50g混合し主剤を調合した。硬化剤は過酸化ベンゾイルペースト(40%濃度、シリコンオイル希釈品)100gに水酸化アルミニウム(平均粒子径12μm)40g、及びアエロジル3gを混合し硬化剤を調合した。
【0026】
ここで調合された主剤と硬化剤を10:1の容量比率のカートリッジにそれぞれを充填しカートリッジを試作した。排出口に混合・充填のためのミキシングノズルを装着し、適合するディスペンサーにセットし主剤と硬化剤を吐出・混合した樹脂で試験片を作成し評価した。
評価は実施例1同様に実施した。その結果を表1に示す。
以上の結果、表1からも分かるように高温域での樹脂の炭化が格段に改良されていることが分かる。本発明を用いることで耐火性があり作業性に優れた高強度の接着剤の提供を可能とした。
【0027】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の充填材は、土木、建築におけるコンクリートと鉄筋、鉄筋と鉄筋等を結合させる接着剤の分野において好適に利用できる。耐火性があり作業性に優れた高強度の接着剤の提供を可能とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋等固定用の充填材であり、該充填材が主剤と硬化剤とからなる組成物であって、その主剤が反応性単量体で希釈されたラジカル硬化型樹脂と無機のフィラーとの混合物であり、無機のフィラーの平均粒度が0.5〜3.0μmのものと8〜16μmのものを3:7から1:9の質量比割合で混合したものであり、且つ吸熱分解反応する無機のフィラーを主剤中に65〜80質量%含有することを特徴とする充填材。
【請求項2】
該吸熱分解反応が、無機のフィラーの脱水により吸熱するものであり、脱水温度が200〜350℃であることを特徴とする請求項1記載の充填材。
【請求項3】
無機のフィラーが、水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1または2記載の充填材。
【請求項4】
不飽和ポリカルボン酸ポリマー、ポリシロキサンコポリマー不飽和脂肪酸ポリアミンアミドの内少なくとも1種以上を、無機のフィラーの分散剤として無機のフィラーに対し0.5〜10質量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の充填材。
【請求項5】
ラジカル硬化型樹脂が、分子量400〜1500であり、芳香環又は脂環部を2個以上含み、ラジカル硬化型樹脂組成物が反応性単量体を50〜80質量%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の充填材。

【公開番号】特開2006−9461(P2006−9461A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189800(P2004−189800)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】