説明

充填装置

【課題】
応答性が良好な充填装置を提供する。
【解決手段】
充填装置Pは、充填材の入口部1a、充填材の出口部1b、充填材の出入口とに連通する充填材通路1cを有するシリンダー1と、このシリンダー内をの移動体11と、この移動体の先端側に設けられ、充填材の出口部の出口内周部に接触して充填材の出口部を塞ぐ移動体先端外周部11aと、この移動体先端外周部より移動体の後端部に向かう側であって移動体先端外周部より凹むように設けられた移動体凹部11bと、移動体をシリンダー内で進退自在の移動手段Sと、充填材の出口部に接続され、充填材を容器Bに充填する充填ノズル20と、移動手段は、充填時、移動体の先端部を充填材の出口部より突出させて移動体凹部11bを介して充填材の出口部を開けるように移動体を移動させ、充填停止時、移動体の先端部の移動体先端外周部で充填材の出口部を塞ぐように移動体を移動させて制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填装置に係り、特に、応答性が良好な充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充填装置として、充填ノズル内を昇降する弁体を設け、該弁体を上昇させて充填ノズルの開口端を開いて充填し、充填終了後、前記弁体を下降させて充填ノズルの開口端を閉じるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−86502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した充填装置にあっては、充填終了後、充填ノズル内の弁体を下降させて充填ノズルの開口端を閉じるようにしているため、充填ノズル内の内圧が上がり、次の動作の時、つまり、充填ノズル内の弁体を上昇させる際、内圧が上がった分、
応答性が悪いという問題点が生じた。
本発明は、上述した問題点を除去するようにした充填装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の充填装置は、充填材の入口部、前記充填材の出口部、前記充填材の出口部と前記充填材の入口部とに連通する充填材通路を有するシリンダーと、このシリンダー内を移動する移動体と、この移動体の先端側に設けられ、前記充填材の出口部の出口内周部に接触して前記充填材の出口部を塞ぐ移動体先端外周部と、この移動体先端外周部より前記移動体の後端部に向かう側であって前記移動体先端外周部より凹むように設けられた移動体凹部と、前記移動体を前記シリンダー内で進退自在に移動させる移動手段と、前記充填材の出口部に接続され、前記充填材を容器に充填する充填ノズルと、前記移動手段は、充填時、前記移動体の先端部を前記充填材の出口部より突出させて前記移動体凹部を介して前記充填材の出口部を開けるように前記移動体を移動させ、充填停止時、前記移動体の先端部の前記移動体先端外周部で前記充填材の出口部を塞ぐように前記移動体を移動させて制御するものである。
【0005】
また、請求項2記載の充填装置は、請求項1記載の充填装置において、移動体の移動を規制するストッパーと、このストッパーの位置を移動自在に調整する調整手段とを備えているものである。.
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の充填装置によれば、充填材の出口部より突出していた移動体の先端部を、充填停止時、移動手段により移動体の先端部の移動体先端外周部で充填材の出口部を塞ぐように移動体を移動させるため、移動体はシリンダーの充填材通路内から後退し、移動体と充填ノズルとの間には負圧が生じ、次に移動体を動作させる際、移動体を小さい力で動作させることができ、応答性が良好な充填装置を得ることができる。
【0007】
請求項2記載の充填装置によれば、前述した発明の効果に加え、充填ノズルより滴下しようとする液体を持ち上げる力を任意に調整することができる。特に、径が異なる充填ノズルを取り替えて使用する際、有用である。
【実施例】
【0008】
本発明の一実施例の充填装置を図面を参照して説明する。
図1乃至図5において、Pは充填装置で、充填装置Pは、順次搬送されてくる容器Bに一定量の充填材(例えば、液体、粘性体等)を充填する装置で、シリンダー1を有している。
シリンダー1は、充填材の入口部1a、充填材の出口部1b、充填材の出口部1bと充填材の入口部1aとに連通する充填材通路1cを有する。
【0009】
充填材の入口部1aは、充填材供給管2に接続されている。3は切り替えバルブで、図1は、充填材供給管2の側に充填材が流れるように、切り替えバルブ3が位置している。
【0010】
シリンダー1にはシリンダー1内を移動する移動体11が設けられ、移動体11が、例えば、垂直方向に移動するようになっている。この移動体11の先端側には、充填材の出口部1bの出口内周部に接触して充填材の出口部1bを塞ぐ移動体先端外周部11aが設けられ、図5は、移動体先端外周部11aが充填材の出口部1bの出口内周部に接触して充填材の出口部1bを塞いでいる状態を示している。
また、移動体先端外周部11aより移動体11の後端部に向かう側であって移動体先端外周部11aより凹むように移動体凹部11bが設けられている。この移動体凹部11bは、図3に示すように、移動体11の長手方向に沿って、4カ所設けられているが、この数は、これに限らず、例えば、2カ所でも3カ所であっても良いことは勿論のことである。また、図2は、移動体11の先端部を充填材の出口部1bより突出させて移動体凹部11bを介して充填材の出口部1bが開いている状態を示している。
【0011】
また、Sは、移動体11をシリンダー1内で進退自在に移動させる移動手段で、移動手段Sは、充填時、図1および図2に示すように、移動体11の先端部を充填材の出口部1bより突出させて移動体凹部11bを介して充填材の出口部1bを開けるように移動体11を移動させ、充填停止時、図4および図5に示すように、移動体11の先端部の移動体先端外周部11aで充填材の出口部1bを塞ぐように移動体11を移動させて制御するようになっている。
具体的には、例えば、移動体11の後端11Aと後端11Aに近い側の中途部11Bに空気圧を作用させるようにして、移動体11を、例えば、垂直方向に昇降自在に移動させることができる。11Cは、後端11Aに圧縮空気を供給し、後端11A側の空気を排出する第1の供給・排出管である。11Eは、中途部11Bに圧縮空気を供給し、中途部11B側の空気を排出する第2の供給・排出管である。即ち、図示しない切替弁により、第1の供給・排出管11Cが圧縮空気を供給し、第2の供給・排出管11Eが空気を排出する側となって、図1および図2に示すように移動体11を降下させることができ、また、逆に、図示しない切替弁により、第1の供給・排出管11Cが空気を排出する側、第2の供給・排出管11Eが圧縮空気を供給する側となって、図4および図5に示すように移動体11を上昇させることができる。
【0012】
20は、充填材の出口部1bに接続された充填材を容器Bに充填する充填ノズルである。充填ノズル20は、容器Bから遠い側に充填材の出口部1bに接続される雌ねじ20aを有している。この雌ねじ20aは、充填材の出口部1bの外側に設けられた雄ねじ11zが螺合するようになっている。
【0013】
従って、この実施例の充填装置Pによれば、充填材の出口部1bより突出していた移動体11の先端部を(図1および図2参照)、充填停止時、移動手段Sにより移動体11の先端部の移動体先端外周部11aで充填材の出口部1bを塞ぐように移動体11を移動させる(図4および図5参照)ため、移動体11はシリンダー1の充填材通路1c内から後退し、移動体11と充填ノズル20との間には負圧が生じ、次に移動体11を動作させる際、移動体11を小さい力で動作させることができ、応答性が良好な充填装置Pを得ることができる。なお、図4は、上述の負圧により充填ノズル20より滴下しようとする充填材(例えば、液体)30を持ち上げる力が作用し、充填ノズル20の中途に液体30が保持され、充填材が垂れるのを防ぐことができる状態を示している。
【0014】
また、40は、移動体11の移動を規制するストッパーで、ストッパー40は、移動体11の後端側に位置し、移動体11がストッパー40に当接することによりその移動が規制されるようになっている。ストッパー40の位置は、調整手段により移動自在に調整される。ストッパー40は、例えば、雄ねじ体であり、調整手段は、例えば、前記雄ねじ体に螺合するシリンダー1の上端部内周に設けられた雌ねじである。 この調整手段は、充填ノズル20より滴下しようとする充填材30を持ち上げる力を任意に調整することができる。特に、径が異なる充填ノズルを取り替えて使用する際、有用である。
即ち、図1の充填ノズル20に合うように、ストッパー40の位置を設定しても、図1の充填ノズル20の径より小さい径の充填ノズル20’(図6参照)では、充填ノズル20’より滴下しようとする充填材30が雌ねじ20a内まで持ち上げってしまい、雌ねじ20a内の空気と外気とが導通し、その結果、充填ノズル20’内に持ち上げられた充填材が滴下してしまうという不具合が生じてしまう。
この不具合を上述した調整手段により解消することができる。具体的には、ストッパー40の雄ねじ体を液体の出口部1bに向かうように進めれば良く、ストッパー40の雄ねじ体の先端が図6に示す位置まで降下させる。なお、図6においては、図1乃至図5記載の部分と同一符号を付してその説明を省略している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施例の充填装置の充填状態を示す概略的断面図である。
【図2】図2は、図1の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【図3】図3は、図2のX−X線による概略的断面図である。
【図4】図4は、図1の充填装置の充填終了状態(停止状態)を示す概略的断面図である。
【図5】図5は、図4の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【図6】図6は、図1の充填装置と異なる他の実施例の充填状態を示す概略的断面図である。
【符号の説明】
【0016】
P ・・・・・充填装置
1 ・・・・・シリンダー
11・・・・・移動体
20・・・・・充填ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填材の入口部、前記充填材の出口部、前記充填材の出口部と前記充填材の入口部とに連通する充填材通路を有するシリンダーと、
このシリンダー内を移動する移動体と、
この移動体の先端側に設けられ、前記充填材の出口部の出口内周部に接触して前記充填材の出口部を塞ぐ移動体先端外周部と、
この移動体先端外周部より前記移動体の後端部に向かう側であって前記移動体先端外周部より凹むように設けられた移動体凹部と、
前記移動体を前記シリンダー内で進退自在に移動させる移動手段と、
前記充填材の出口部に接続され、前記充填材を容器に充填する充填ノズルと、
前記移動手段は、充填時、前記移動体の先端部を前記充填材の出口部より突出させて前記移動体凹部を介して前記充填材の出口部を開けるように前記移動体を移動させ、充填停止時、前記移動体の先端部の前記移動体先端外周部で前記充填材の出口部を塞ぐように前記移動体を移動させて制御する
ことを特徴とする充填装置。
【請求項2】
移動体の移動を規制するストッパーと、
このストッパーの位置を移動自在に調整する調整手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載の充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−8199(P2006−8199A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189454(P2004−189454)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(399044953)
【Fターム(参考)】