説明

充放電制御機能を備えた携帯端末充電装置

【課題】急速充電が図れ、かつ充電効率化が図れる充放電制御機能を備えた携帯端末充電装置を提供すること。
【解決手段】急速充電が可能な電池(セル)に対して、CCCWCV方式により急速充電するとき、定電流充電領域(以下、定電力充電領域CWと称する)を多段階に分けて制御可能とする手段を設けた携帯端末充電装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は充放電制御機能を備えた携帯端末充電装置に関し、特にリチウムイオン電池に対して充電し、該電池をモバイル端末のように携帯して使用する携帯端末の電源として利用する場合に好適な携帯端末用充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、例えば酸化コバルトの化合物であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)を正極材としたものが提案されている。
【0003】
また、リチウムイオン電池は、幅広い製品に搭載され、実用化されている。例えばモバイル端末などの携帯端末にも適用され、普及しつつある。
【0004】
係るリチウムイオン電池は、安全性および高容量が得られるなどの特長があること、およびその反面、充電時に体積変化を起こし、電極の破壊を招き安いことも知られている。
【0005】
そのため、一般的には、充電方式(プロトコール)や充電電流、充電開始電圧、充電停止電圧などが厳密に定められている。特に、充電電流量(印加電圧の大きさ)は、電池容量に比べ、低く抑えられるのが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−143382号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】リンデンズ・ハンドブック・バッテリィーズ“Linden’s Handbook of Batteries”(4thEdition) Chapter5 “Battery Design” D.D.Friel P5.15-5.22 Chapter7 “Battery Electrolytes” G.E.Blomgren P7.6-7.11 Chapter15“An Introduction to Secondary Batteries” T.B.Reddy P15.3-15.19 Chapter26 “Lithium-Ion Batteries” J.Dahn and G.M.Ehrlich P26.1-26.7 Chapter29“Batteries for Electric andHybrid Vehicles” D.Corrigan and A.Masias P29.3-29.46”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
最近、携帯端末の普及に伴って、データ通信量も増えてきている。このような携帯端末において、データ通信を常時行うようなユーザにとっては、携帯端末の電池への充電を頻繁に行う必要が生じ、またこの充電時間に時間を要する問題があった。
【0009】
例えば、携帯端末への充電は、電池が格納された携帯型充電器を持ち運び、必要に応じて携帯端末へ充電を行うものであるが、該携帯型充電器に搭載される電地も充電の対象となり、フル充電までには、通常数時間かかっているのが現状であった。
【0010】
従って、ユーザから、この充電時間の短縮化が望まれている。
最近、この充電時間の短縮化要望に鑑み、急速充電、例えば2C(容量:Capacity)以上の急速充電が可能なリチウムイオン電池が開発され、該電池が携帯端末の充電用として市場に登場しつつある。
【0011】
また、電池メーカでは、例えば電池の電極材や電解液等を考慮し、2C以上の急速充電が可能なリチウム電池の開発が進められている。
【0012】
また、これと平行して充電器の改良も盛んに行われている。その充電器の一例として、例えば商用電源から3.7Vの低い電圧を生成し、該低電圧をもって電池への急速充電を可能とするものが提案されている。
【0013】
このときのリチウムイオン電池の充電は、定電流/定電圧CCCV(Constant Current Constant Voltage)充電方式による充電制御が一般的である。
【0014】
しかし、この充電の場合、その充電速度の面で満足できず、更に改善する必要がある新たな課題があることが判った。換言すれば、本出願人が知る限り、従来のCCCWCV方式による充電制御において、急速充電および電池寿命を決定する充電安全性の両立化を追求した携帯端末充電装置はなかった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は係る課題に鑑みてなされ、その目的は急速充電および充電効率化の両立化が図れる充放電制御機能を備えた携帯端末受電装置を提供することにある。
【0016】
本発明は、前記目的を達成するため、充放電制御機能を備えた携帯端末充電装置において、電池の充電に際して、電池電圧の状態に応じて、定電流充電による定電流充電領域を設ける。
【0017】
更に充電電流値と電圧値を測定する回路を導入し、定電力充電領域(Constant Watt以下CWと称する)を設け、CW領域を多段階、例えば2〜3段階とし、そのCW領域を長くすることで結果的にCV領域を極少にして充電時間の短縮を図ると共に、充電効率を(例えば、充電時間短縮のためにCV過程を省いたCCのみの充電と比較して)向上させることができる。
【0018】
更に詳述すれば、本発明は、例えば、以下のとおりである。
【0019】
急速充電対応電池に対して定電流/定電力/定電圧CCCWCV(Constant Current Constant Watt Constant Voltage)方式により急速充電を可能とした充放電機能を有した携帯端末充電装置において、 前記電池の電圧を検出する検出部と、該検出部が、前記CCCWCV方式における定電力充電領域において第1の電圧を検出したとき、第1の定電力充電制御とし、該第1の電圧より高い第2の電圧を検出したとき、第2の定電力充電制御とし、該第2の電圧より高い上限電圧を検出したとき、定電圧充電制御とする制御部を設けた充放電機能を有した携帯端末充電装置である。
【0020】
前記電池がリチウムイオン電池であり、前記制御部が電圧センサ、電流センサ、メモリを含むMCUからなる充放電機能を有した携帯端末充電装置である。
【0021】
急速充電対応電池に対してCCCWCV方式により急速充電を可能とした充放電機能を有した携帯端末充電装置において、前記電池の充電開始時点から際上限電圧までの間における定電力充電領域において、前記電池の電圧を検出し、該電圧に応じて、前記定電力充電制御を、2以上の多段階に制御する制御手段を設けた充放電機能を有した携帯端末充電装置である。
【0022】
前記電池がリチウムイオン電池であり、前記制御手段が、前記電池の電圧を検出する電圧検知部と、前記CCCWCV制御を定電力充電と定電圧充電を切り替え制御する制御部からなる充放電機能を有した携帯端末充電装置である。
【0023】
急速充電対応電池に対してCCCWCV方式により急速充電を可能とした充放電機能を有した携帯端末充電装置において、充電アダプタおよび携帯端末に着脱可能に接続され、該充電アダプタからの低電圧を受け、該電圧により充電される前記電池と、該低電圧を前記携帯端末が使用可能な電圧まで昇圧し、該昇圧した電圧を該携帯端末側へ出力する電池回路部を備え、前記電池回路部は、前記電池の電圧を検出する検出部と、該検出部が、前記CCCWCV方式における定電力充電領域において第1の電圧を検出したとき、第1の定電力充電制御とし、該第1の電圧より高い第2の電圧を検出したとき、第2の定電力充電制御とし、該第2の電圧より高い上限電圧を検出したとき、定電圧充電制御とする制御部を設けた充放電機能を有した携帯端末充電装置である。
【0024】
前記電池回路部は、携帯可能に構成された電池ボックスに収容され、該電池ボックスは前記携帯端末と一体化して使用可能な充放電機能を有した携帯端末充電装置である。
【0025】
本出願人による実験検証によれば、例えば、携帯端末充電装置への充電を、数分〜10分程度で行うことができることを確認できた。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、従来の課題を是正することができ、急速充電が図れ、かつ充電効率化が図れる充放電制御機能を備えた携帯端末充電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は本発明の全体概要を示す機能ブロック図である。
【図2】図2は発明の一実施例を示す機能図である。
【図3】図3は本発明の充電アダプタおよび充放電機能を有する受電装置の一例を示す回路図である。
【図4】図4は本発明の携帯端末充電装置の電源回路部と電池回路部間のシーケンスおよび両部の充電処理フローを示す図である。
【図5】図5は本発明の携帯端末充電装置のCCCWCV充電制御の一例を説明する特性図である。
【図6】図6は従来のCCCWCV方式による充電制御の例を説明する特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例】
【0029】
図1は本発明の概念を示すブロック図である。同図において、1は商用電源を受け、定電流電圧を発生する定電流電圧発生電源回路を含む電源回路部である。
2は電源回路部1に着脱接続可能に構成され、電源回路部1からの電圧を受けて急速充電が可能な急速充電対応電池、例えばリチウムイオン電池、該電池を管理する電池管理回路、該電池電圧を昇圧する昇圧回路を含む電池回路部である。
電源回路部1は充電アダプタ内に収容され、電池回路部2は電池ボックスに収容され、充放電機能を有する携帯端末充電装置を構成している。
3は電池回路部2に着脱可能に接続され、該電池回路部から充電を受ける携帯電話などの携帯端末である。
【0030】
一般的に、電源回路部1は扱う電流量により、サイズおよび重量が増大し、ポータブル性にかけているため、電源回路部1は、電池回路部2から分離し、比較的軽量な電池回路部2だけを独立させて構成すると良い。例えば、電源回路部1と電池回路部2は、別モジュール構成とする。これにより、電池回路部2を収容する携帯端末充電装置の持ち運びが容易に行える。
【0031】
電池回路部2を収容する電池ボックスは、携帯端末3より一回り大きなサイズとし、また、携帯端末3のフル充電が一回分可能な充電筐体とすると良いが、これに限定する必要はない。
【0032】
図2は本発明の電源回路部1と電池回路部2の一形態を示すブロック図である。同図において、電源回路部1を搭載した充電アダプタは、商用電源コンセント11、該コンセントからの交流電圧を直流電圧に変換するAC−DCコンバータ12、該コンバータからの直流電圧を受け、所望の低電圧にして出力する、例えばPWM(パルス幅変調器)、スイッチを含む低電圧出力回路13、該回路を制御するマイクロコントロールユニット(MCU)を含む制御回路14、低電圧出力回路13の出力側に流れる電流IVCを計測する低インピーダンスの電流検出抵抗15、該抵抗に流れる電流を検知するセンサ16、充電アダプタの過電圧保護用電圧センサ17、電池回路部2を収容した電池ボックス側の入力端子と接続される例えば出力ジャック(又は出力プラグ)18からなる出力端子から構成されている。
【0033】
ここで、低電圧出力回路13の低電圧としては、充電時間を考慮して、本発明では、通常の低電圧より低い例えば2.3Vとしている。このように電圧を2.3Vに低く抑える代わりに、10C程度の充電が可能なリチウムイオン電池を使用する。係る電池によれば、急速充電が可能であり、その充電時間をより短縮することが期待できる。
【0034】
電池回路部2が収容される電池ボックスは、充電アダプタの出力ジャック18が装着され、電気的に接続される入力プラグ21、該プラグを介して充電アダプタから供給される低電圧を受け、低入力・逆電圧・過電圧保護機能を有する回路22、該回路からの低電圧(2.3V)を携帯端末3で所要可能な電圧(例えば5.0V)まで昇圧する昇圧回路23、電池(セル)24、例えばリチウムイオン電池、前記昇圧回路の前段と接地間に、該電池24と直列接続され、該電池の電流IBを計測する低インピーダンスの電流検出抵抗(又は温度検出抵抗)25、および電流センサ(又は温度センサ)、電圧センサ、メモリ(EEPROM)、MCUなどを含む制御回路26から構成されている。
【0035】
回路22は、電源入力電圧が高すぎたり、低すぎたり、場合によっては負電圧になる恐れのあるアプリケーションを保護するものである。これは、例えば2つのコンパレータ入力により、抵抗分割器を使用して、過電圧(0V)と低電圧(UV)の設定を行うことができる。また、シャットダウンピンにより、例えばスイッチ素子のMOSFETのイネーブル/ディスエーブルを外部制御用として利用できる他、デバイスを低電流のシャットダウン状態にすることができる機能を有するものである。
制御回路26は、電流検出抵抗25の電流や電圧を受け、低入力・逆電圧・過電圧保護機能を有する回路22および昇圧回路23を制御する。
リチウムイオン電池24は公知のものが使用される。
【0036】
図3は、本発明の電源回路部1(充電アダプタ)および電池回路部2(電池ボックスの充放電機能を有する充電装置)の更に詳細な実施形態を示す回路図である。
【0037】
同図において、221、222は、複数のMOSFET(電界効果型トランジスタ)からなるスイッチ素子、223は該スイッチ素子をオンオフするコンパレータ、224〜226は抵抗からなる抵抗分割器を示し、これらは図2の回路22を構成している。なお、27は差動増幅器である。コンパレータ223は、電池ボックスに供給された電圧が供給される入力ビン1、低電圧ピン2(UV)、過電圧ピン3(0V)、グランドピン4(GND)、FET221、222をオンオフ制御するピン8(GATE)、電圧出力ピン7(VOUT)、GATEピン8が“L”であることを知らすためのピン6(/FALT)、制御回路26のMCUに接続されるピン(/STDN)を有している。
【0038】
ここで、制御回路25およびコンパレータ223は、昇圧回路23に接続された電圧入力ピン1(VIN)が1V〜4.5V(例えば、電池24の電圧VB>1.0V)のとき、GATEピン6を通してスイッチ素子のFET221、222がオンするように制御するように動作する。
【0039】
この制御により、従前と同様に定電力充電領域CWから定電圧充電領域CVへの領域切り替えが行える。
【0040】
また、電池24の電圧VBが、例えば最上限の2.7Vまで上昇したとき、この電圧の上昇を、MCUを含む制御回路26で検知し、該制御回路26によりコンパレータ223のピン5(/STDN)をロー(L)とし、FET221、222をオフするように制御動作する。この制御によって、電池回路2の低入力・逆電圧・過電圧保護が行える。
【0041】
すなわち、充電アダプタから供給される低電圧を受け、コンパレータ223の電圧出力ピン7(VOUT)に出力される電圧をもってセルへの定電流充電と定電圧充電の制御を行う。
【0042】
次に、本発明の電池回路部2における電池への充電について、一般的に知られているCCCWCV方式による充電について説明する。
【0043】
まず、充電器のCCCWCV方式によるリニア充電について図6を参照して説明する。図6は標準リチウムイオン電池のCCCWCV充電特性を示す図であって、縦軸に電池の端子電圧VBおよび電流IBを示し、横軸に充電時間Tを示している。
【0044】
同図において、充電器としては、まず電池(以下セルと称する)の充電前チェックを行い、充電が可能な状態であること、また当該セルに対して急速充電を安全に行えることを確認し、セル電圧が所定の電圧(例えば、2.5V以下)以下の場合、1C充電によってセルに不可逆的なダメージが発生する。
【0045】
従って、CCCWCV制御に際しては、1C以下でゆっくりとトルク充電を行い、セル電圧を充電開始可能電圧(VB1)まで上昇させるような制御を行う必要がある。
【0046】
セルが充電可能になるまでの領域は、充電制限領域(PREQUALIFICATION)CCと称されている。
【0047】
次に、セルが充電可能な充電開始時点S1になると、リニア充電回路は、スイッチ素子のFETをオンに制御し、セルへの定電流充電を可能とする。
【0048】
このとき、電流VIおよび電圧VBは図示のように変化し、このセル電圧が、定電圧充電開始電圧(VB2)になるまで続く。この間S1−S2の領域CWでは、定電流充電を行う。この領域は、一般的に、定電流(CONSTANT CURRENT)充電領域と称されている。
【0049】
更にセル電圧が上昇し、最上限電圧(VB2)、つまり定電圧充電開始時点S2の電圧に達すると、この後は、トップオフ充電となる。
【0050】
電流IBは時間とともに減少し、充電電流の計測値がトルク充電時の値に低下するまで続き、充電停止時点Eで充電を停止する。この時点S2−充電終了時点E間S2−Eの領域では、定電圧充電を行う。このときの領域は、定電圧充電領域(CONSTANT VOLTAGE)CVと称されている。
【0051】
このような充電サイクルを持つ充電制御方法は、一般的に知られている。しかし、このように定電流充電を定電圧充電に切り替えて、定電流領域CWと定充電領域CVを有するように制御するものにあっては、図7に示す如く、定電圧充電領域CVにおける電流IBが、充電終了時点Eまでゆっくりとなだらかに減少し、この定電圧充電領域CVの時間が定電流充電領域CWより長いか、同じ程度となり、結果として充電終了時点Eまでの時間が長くなってしまう。これは、充電効率から見ると、課題があることを意味する。
【0052】
本発明は、係る点を是正するために、その充電制御を以下のとおり、行うようにしたものである。
【0053】
すなわち、定電流充電領域(本発明では、定電力充電領域CWと称する)が多段階、例えば2乃至3段階となるように定電流による定電力充電制御し、該制御による定電力充電領域CW(充電時間)を長くし、その分だけ定電圧充電による定電圧充電領域CVを短くし、セルの急速充電を満たすとともに充電効率を向上したものである。つまり、充電開始時点Sから充電停止時間Eまでのトータル時間を変えずに充電効率を向上することができる。
【0054】
本発明では、セル24の経年変化等、使用履歴から生じる性能変化に対応するため、充電性能を判定するように基準電流による充電フェーズを設ける。判定フェーズの初期電圧から、予め定められたそのスロットの最終電圧への到達時間により、電池性能の変化を予測し、電流値や充電時間を算出する。
【0055】
リチウムイオン電池充電に際しては、安全性上から、定電力充電領域CWから定電圧充電領域CVへの転換や充電終止電圧の判定は正確に行う必要がある。
【0056】
後述するE−MAX社製M2電池においては、充電終了の近くになると、セル電圧が上昇する傾向が、他のリチウムイオン電池と比べて強いことが判ったため、電圧の上昇分ΔVを検出し、定電力充電領域CWから定電圧充電領域CVへの転換点とする。
【0057】
但し、何らかの理由でΔVが高くなることもあり得ることから、充電電圧を測定し、一定の範囲内にあるときのみ、ΔV検出を有効トリガーとして定電圧充電(定電圧充電領域CV)に移行する。また、領域CVにおける充電時間には制限を設ける。本発明では、E−MAX社製M2電池を用いて、定電力充電領域CWの時間を、例えば約3.5分と5+α分の2段階(2つの制御パターンによる制御)とし、定電圧充電領域CVの時間を約1分間とし、トータル時間を約10分とした。
【0058】
また、本発明では、電池回路部2のモジュールを収容する電池収容ケース内に、EEPROMなどのメモリチップを設け、セルの充電履歴を記憶し、そのデータに基づき充電仕様を決めても良い。
【0059】
以下、その充電サイクルの制御について説明する。
図4は、本発明の電源回路部1と電池回路部2間のシーケンスおよび各部の制御処理を示す図である。
【0060】
同図において、充電アダプタ側の電源回路部1は、ステップS411にてAC−DC変換し、ステップS412にて定電流電圧を生成し、電池バッテリ側の電池電圧部2に出力する。
【0061】
電池回路部2は、この定電流電圧を受け、ステップ421にて該電圧が過電圧などであるか否かを判断する。判断の結果、問題なければ、セル24への充電を可能状態とする。
【0062】
次に、ステップS422にて、セル24の電圧VBが2.0Vに達したか否(電圧VB)かを検知し、該電圧VBが2.0Vに達すると、ステップS425にて、セルの充電を開始し、電圧VBが2.3Vに達するまで第1の定電力充電制御CW1状態となるように制御する。
【0063】
更に、ステップS423にて、電圧VBが2.3Vに達すると、ステップS426にて、電流IBが減少するように、かつ定電流電圧を制御し、第2の定電力充電制御状態CW2となるように制御し、最上限電圧2.7Vまでこの状態を継続する。
【0064】
次に、ステップS424にて、電圧VBが最上限電圧2.7Vに達すると、ステップS427にて、電流IBが更に減少するように、かつ定電流電圧を制御し、定電圧充電制御状態CVとなるように制御する。
【0065】
なお、ステップ428では、低電圧を所望の電圧(5.0V)まで昇圧し、携帯端末3側に出力する。
【0066】
図5は、そのときの本発明の充電サイクルの一例を示す特性図であって、図7と同様に縦軸にセル24の電圧VBおよび電流IBを示し、横軸に充電時間Tを示している。
【0067】
ここで、重要な点は、定電力充電領域CWにおいて、電圧VBの変化を検知し、該電圧に対応して、定電力充電を多段階に切り替えることである。
【0068】
同図において、充電開始時点Sの2.0V(A点)から最上限電圧2.7V(C点)に達する前においては、まず、電圧2.0V(A点)から電圧2.3V(B点)までは定電力充電(定電力充電領域CW1)とし、電圧2.3V(B点)から最上限の電圧2.7V(C点)になったとき、定電力充電から定電圧充電に切り替わるに制御し、図示の如く、充電サイクルの領域がCW1→CW2→CVとなるように制御することである。
【0069】
このような制御は電池回路部2のMCUを含む制御回路26をもって行うことができる。例えばセル24の電圧VBを監視し、その電圧が所定の値、つまり2.0V、2.3Vおよび2.7Vになったことを検知する。電圧VBが2.0Vになったとき、コンパレータ223を含む回路22をもって、従来と同様に定電力充電(領域CW1)となるように制御し、次に2.3Vになったとき、定電力充電(領域CW2)となるように制御し、2.7Vになったとき、従来と同様に定電力充電(領域CW2)から定電圧充電(領域CV)となるように制御し、充電制御が複数の制御パターンをもって制御されるように構成すれば良い。本例では、この定電力充電の多段化(制御パターン)は、3段階であるが、それ以上であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
上記実施例では、リチウムイオン電池への充電を前提に説明したものであるが、急速充電が可能な電池であれば、適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 電源回路部
12 AC−DCコンバータ
13 PWM
14 MCUを含む制御回路
15 抵抗
16 電流センサ
17 電圧センサ
2 電池回路部
22 低入力・逆電圧・過電圧保護機能を有する回路
23 昇圧回路
24 電池(セル)
25 抵抗
26 制御回路
3 携帯端末(携帯機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
急速充電対応電池に対してCCCWCV方式により急速充電を可能とした充放電機能を有した携帯端末充電装置において、
前記電池の電圧を検出する検出部と、該検出部が、前記CCCWCV方式における定電力充電領域において第1の電圧を検出したとき、第1の定電力充電制御とし、該第1の電圧より高い第2の電圧を検出したとき、第2の定電力充電制御とし、該第2の電圧より高い上限電圧を検出したとき、定電圧充電制御とする制御部を設けた
ことを特徴とする充放電機能を有した携帯端末充電装置。
【請求項2】
請求項1記載の充放電機能を有した携帯端末充電装置において、前記電池がリチウムイオン電池であり、前記制御部が電圧センサ、電流センサ、メモリを含むMCUからなることを特徴とする充放電機能を有した携帯端末充電装置。
【請求項3】
急速充電対応電池に対してCCCWCV方式により急速充電を可能とした充放電機能を有した携帯端末充電装置において、
前記電池の充電開始時点から際上限電圧までの間における定電力充電領域において、前記電池の電圧を検出し、該電圧に応じて、前記定電力充電制御を、2以上の多段階に制御する制御手段を設けた
ことを特徴とする充放電機能を有した携帯端末充電装置。
【請求項4】
請求項2記載の充放電機能を有した携帯端末充電装置において、前記電池がリチウムイオン電池であり、前記制御手段が、前記電池の電圧を検出する電圧検知部と、前記CCCWCV制御を定電力充電と定電圧充電を切り替え制御する制御部からなることを特徴とする充放電機能を有した携帯端末充電装置。
【請求項5】
急速充電対応電池に対してCCCWCV方式により急速充電を可能とした充放電機能を有した携帯端末充電装置において、
充電アダプタおよび携帯端末に着脱可能に接続され、該充電アダプタからの低電圧を受け、該電圧により充電される前記電池と、該低電圧を前記携帯端末が使用可能な電圧まで昇圧し、該昇圧した電圧を該携帯端末側へ出力する電池回路部を備え、
前記電池回路部は、
前記電池の電圧を検出する検出部と、該検出部が、前記CCCWCV方式における定電力充電領域において第1の電圧を検出したとき、第1の定電力充電制御とし、該第1の電圧より高い第2の電圧を検出したとき、第2の定電力充電制御とし、該第2の電圧より高い上限電圧を検出したとき、定電圧充電制御とする制御部を設けた
ことを特徴とする充放電機能を有した携帯端末充電装置。
【請求項6】
請求項5に記載された充放電機能を有した携帯端末充電装置において、
前記電池回路部は、携帯可能に構成された電池ボックスに収容され、該電池ボックスは前記携帯端末と一体化して使用可能な充放電機能を有した携帯端末充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−99060(P2013−99060A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238264(P2011−238264)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(512034759)株式会社DMKバッテリー (1)
【Fターム(参考)】