説明

充放電制御装置、及び充放電制御方法

【課題】太陽光などで発電された余剰電力を有効に使用する充放電制御装置を提供する。
【解決手段】発電部による将来の発電量である予想発電量を所定期間毎に算出する発電量算出部と、発電部によって発電された電力を消費する電力負荷が将来消費する電力量である予想消費電力量を所定期間毎に算出する消費電力量算出部と、予想発電量が予想消費電力量より大きくなる期間である余剰電力期間を判断する余剰電力期間判断部と、余剰電力期間における予想発電量から予想消費電力量を差し引いた電力量である予想余剰電力量を算出する余剰電力量算出部と、余剰電力期間の開始時の電池の残量を、予め設定された充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池の充放電を制御する充放電制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の充放電を制御する充放電制御装置、及び充放電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、翌日の太陽電池の発電量が翌日の消費電力より小さい場合は、不足分の電力を電池に充電して、翌日の太陽電池の発電量が翌日の消費電力より大きい場合は、電池を充電しない技術が知られている。また、家庭等に太陽電池を設置させて、太陽電池で発電された電力量を家庭等に設けられた負荷に供給することで、電力を節約することが知られている。電力系統の電力は、電線を介してそれぞれの家庭に供給される。また、太陽電池が発電した電力量が、負荷が消費する消費電力より多い場合は、余った余剰電力を電力系統に出力する技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−38384号公報
【特許文献2】特開2008−43170号公報
【特許文献3】特開2003−158825号公報
【特許文献4】特開2004−291681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、電力系統の電線電圧は、一定の範囲の電圧となるように制御されているので、電線電圧が上限電圧の場合は、余った余剰電力を電力系統に出力することはできない。太陽の日射量が多い日は、各家庭で余剰電力が発生し易く、各家庭が余剰電力を電力系統の電線に出力しようとすると、膨大な電力が電線に出力されて、電線電圧が上限値に達してしまい、余剰電力を電力系統に出力できない家庭も多数発生する。このような場合は、電気自動車に搭載している電池に電力を供給することで、余剰電力を有効に使えるが、一般的に電力料金が安い夜間に電気自動車の電池をフルに充電してしまうので、電気自動車に電力を供給することができない。したがって、余剰電力が発生した場合は、該余剰電力を有効に使用することができず、余剰電力を無駄にしなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、充放電制御装置であって、発電部による将来の発電量である予想発電量を所定期間毎に算出する発電量算出部と、発電部によって発電された電力を消費する電力負荷が将来消費する電力量である予想消費電力量を所定期間毎に算出する消費電力量算出部と、予想発電量が予想消費電力量より大きくなる期間である余剰電力期間を判断する余剰電力期間判断部と、余剰電力期間における予想発電量から予想消費電力量を差し引いた電力量である予想余剰電力量を算出する余剰電力量算出部と、余剰電力期間の開始時の電池の残量を、予め設定された充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池の充放電を制御する充放電制御部とを備える。
【0006】
充放電制御部は、予め設定された充電量から現在の電池の残量を差し引いた量が予想余剰電力量より大きい場合、余剰電力期間の開始時の電池の残量を、予め設定された充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池を充電してもよい。
【0007】
充放電制御部は、予め設定された充電量から現在の電池の残量を差し引いた量が予想余剰電力量より小さい場合、余剰電力期間の開始時の電池の残量を、予め設定された充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池を放電させて電力負荷に供給してもよい。
【0008】
電池は、電池で駆動される車両に搭載されてよい。
【0009】
車両の使用スケジュールを取得する使用スケジュール取得部と、使用スケジュールから車両の不使用期間を判断する不使用期間判断部とをさらに備えてよく、充放電制御部は、不使用期間に含まれる余剰電力期間の開始時の電池の残量を、予め設定された充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池の充放電を制御してよい。
【0010】
充放電制御部は、余剰電力期間の開始時の電池の残量を、電池の満充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池の充放電を制御してよい。
【0011】
使用スケジュールに基づいて、車両の使用に必要とされる充電量である必要充電量を算出する充電量算出部をさらに備えてよく、充放電制御部は、余剰電力期間の開始時の電池の残量を、必要充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池の充放電を制御してよい。
【0012】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】電力供給システム100の一例を示す。
【図2】充放電制御装置300の一例を示す。
【図3】翌日の予想発電量、予想消費電力量、及び予想余剰電力量の様子の一例を示す。
【図4】充放電制御装置の動作のフローチャートの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
図1は、電力供給システム100の一例を示す。電力供給システム100は、車両200、充放電制御装置300、電力負荷400、及び発電部500を有する。車両200は、電池201を搭載する。電池201は、車両200を駆動させる電力を蓄電する。電池201は、車両200のモータに電力を供給することで、車両200を駆動させる。車両200は、ユーザによって入力された車両200の使用スケジュールを登録する使用スケジュール登録部を有する。使用スケジュールは、車両200の使用開始時刻、出発地、及び目的地等の情報を含んでよい。使用スケジュール登録部は、情報処理装置によって実現してよい。
【0016】
電力系統の電力は、充放電制御装置300に供給される。電力負荷400は、電力を消費する。電力負荷400は、発電部500によって発電された電力を消費する。また、電力負荷400は、電力系統からの電力、車両200の電池201の電力の少なくとも1つを消費してよい。電力負荷400は、例えば、家等の建物に設置されたエアコン、ヒータ、及び照明等の建物全体の負荷であってよい。発電部500は、電力を発電する。発電部500は、太陽光、風等の自然エネルギーを電力に変換する自然エネルギー発電機であってよい。発電部500は、太陽光発電機であってもよく、風力発電機であってもよい。
【0017】
充放電制御装置300は、電池201の充放電を制御する。充放電制御装置300は、電力系統からの電力を電池201に供給して電池201を充電する。また、充放電制御装置300は、発電部500が発電した電力を電池201に供給して電池201を充電する。また、充放電制御装置300は、電力系統からの電力を電力負荷400に供給する。また、充放電制御装置300は、発電部500が発電した電力を電力負荷400に供給する。また、充放電制御装置300は、電池201を放電させて、電池201の電力を電力負荷400に供給する。充放電制御装置300は、家等の建物に設置されてよい。
【0018】
図2は、充放電制御装置300の一例を示す。充放電制御装置300は、発電量算出部301、発電情報取得部302、消費電力量算出部303、使用情報取得部304、余剰電力期間判断部305、余剰電力量算出部306、充放電制御部307、使用スケジュール取得部308、不使用期間判断部309、及び充電量算出部310を備える。所定のプログラムを読み込んだCPU等の情報処理装置が充放電制御装置300として機能してよい。また、充放電制御装置300の各部を、情報処理装置によって実現してもよい。
【0019】
発電量算出部301は、発電部500による将来の発電量である予想発電量を所定期間毎に算出する。例えば、発電量算出部301は、翌日の7時から8時までの発電部500が発電する予想発電量、8時から9時までの予想発電量、9時から10時までの予想発電量という具合に、発電部500による翌日の予想発電量を1時間毎に算出してよい。発電量算出部301は、天気予報、過去の発電量、過去の天気毎の発電量、太陽の日射量等、天気毎の日射量の少なくとも1つを用いて将来の予想発電量を算出してよい。例えば、発電量算出部301は、将来の天気から予想発電量を算出してもよく、過去の発電量をそのまま予想発電量としてもよい。また、発電量算出部301は、過去の発電量を用いて、将来の天気から算出した予想発電量を補正してよもよい。天気は、気圧・気温・湿度・風向・風速・雲量・降水量などを総合した大気の状態を示す情報を含む。
【0020】
発電情報取得部302は、発電情報を取得する。発電情報は、発電部500の発電量を予測するための情報であってよい。発電情報取得部302は、発電情報として、過去の発電部500が発電した所定期間毎の発電量を取得してよい。発電情報取得部302は、翌日の日にち、週、月、又は季節と、同じ日にち、週、月、又は季節の過去の1日の所定期間毎の発電量を取得してよい。例えば、翌日の月が7月の場合は、過去の7月の1日の所定期間毎の発電量を取得してよい。発電情報取得部302は、翌日の天気、及び、週又は月又は季節と、同じ天気、及び、週又は月又は季節の過去の1日の所定期間毎の発電量を取得してよい。例えば、翌日の月が7月で、翌日の天気が晴れの場合は、7月で天気が晴れのときの過去の1日の所定期間毎の発電量を取得してよい。
【0021】
また、発電情報取得部302は、発電情報として、翌日の日にち、週、月、又は季節と、同じ日にち、週、月、又は季節の過去の1日の所定期間毎の日射量を取得してよい。例えば、翌日の月が7月の場合は、7月の1日の所定期間毎の日射量を取得してよい。発電情報取得部302は、翌日の天気、及び、週又は月又は季節と、同じ天気、及び、週又は月又は季節の過去の1日の所定期間毎の日射量を取得してよい。例えば、翌日の月が7月で、翌日の天気が曇りの場合は、7月で天気が曇りのときの1日の所定期間毎の日射量を取得してよい。発電情報取得部302は、インターネット等を介して、天気予報を取得することで将来の天気を取得してよい。また、発電情報取得部302は、日、週、月、又は季節毎の発電量を記録したデータベースから過去の発電量を取得してよい。また、発電情報取得部302は、週、月、又は季節毎のそれぞれの天気における発電量を記録したデータベースから過去の発電量を取得してよい。また、発電情報取得部302は、日、週、月、又は季節毎の太陽の日射量を記録したデータベースから日射量を取得してよい。また、発電情報取得部302は、週、月、又は季節毎のそれぞれの天気における太陽の日射量を記録したデータベースから日射量を取得してよい。
【0022】
発電量算出部301は、発電情報取得部302から発電情報を取得して翌日の所定期間毎の予想発電量を算出してよい。例えば、取得した翌日の天気及び月と同じ天気及び月の過去の1日の所定期間毎の発電量を予想発電量としてよい。また、取得した翌日の天気及び日射量から1日の所定期間毎の予想発電量を算出してよい。また、取得した翌日の天気及び月と同じ天気及び月の過去の発電量を用いて、翌日の天気及び日射量から算出した予想発電量を補正してよい。発電量算出部301は、所定期間毎の予想発電量を算出する。発電量算出部301は、算出した所定期間毎の予想発電量を余剰電力期間判断部305及び余剰電力量算出部306に出力する。
【0023】
消費電力量算出部303は、電力負荷400が将来消費する電力量である予想消費電力量を所定期間毎に算出する。例えば、消費電力量算出部303は、翌日の7時から8時までの電力負荷400が消費する予想消費電力量、8時から9時までの予想消費電力量、9時から10時までの予想消費電力量という具合に、電力負荷が翌日消費する消費電力量を1時間毎に算出してよい。消費電力量算出部303は、天気予報、過去の消費電力量、過去の天気毎の消費電力量の少なくとも1つを用いて将来の予想消費電力量を算出してよい。例えば、消費電力量算出部303は、将来の天気から予想消費電力量を算出してもよく、過去の消費電力量をそのまま予想消費電力量としてもよい。また、消費電力量算出部303は、過去の消費電力量を用いて、将来の天気から算出した予想消費電力量を補正してもよい。
【0024】
使用情報取得部304は、電力負荷400の使用情報を取得する。使用情報取得部304は、使用情報として、過去の電力負荷400が消費した1日の所定期間毎の消費電力量を取得してよい。使用情報取得部304は、翌日の日にち、週、月、又は季節と、同じ日にち、週、月、又は季節の過去の1日の所定期間毎の消費電力量を取得してよい。例えば、翌日の月が7月の場合は、過去の7月の1日の所定期間毎の消費電力量を取得してよい。使用情報取得部304は、翌日の天気、及び、週又は月又は季節と、同じ天気、及び、週又は月又は季節の過去の1日の所定期間毎の消費電力量を取得してよい。例えば、翌日の月が7月で、翌日の天気が晴れの場合は、7月で天気が晴れのときの過去の1日の所定期間毎の消費電力量を取得してよい。
【0025】
使用情報取得部304は、使用情報として、翌日の日にち、週、月、又は季節と、同じ日にち、週、月、又は季節の1日の所定期間毎の電力負荷使用量を取得してよい。例えば、翌日の月が7月の場合は、7月の1日の所定期間毎の電力負荷使用量を取得してよい。使用情報取得部304は、翌日の天気、及び、週又は月又は季節と、同じ天気、及び、週又は月又は季節の1日の所定期間毎の電力負荷使用量を取得してもよい。例えば、翌日の月が7月で、翌日の天気が雨の場合は、7月で天気が雨のときの1日の所定期間毎の電力負荷消費量を取得してよい。使用情報取得部304は、インターネット等を介して、天気予報を取得することで将来の天気を取得してよい。また、使用情報取得部304は、日、週、月、又は季節毎の消費電力量を記録したデータベースから過去の消費電力量を取得してよい。使用情報取得部304は、週、月、又は季節毎のそれぞれの天気における消費電力量を記録したデータベースから過去の消費電力量を取得してよい。また、使用情報取得部304は、日、週、月、又は季節毎の電力負荷使用量を記録したデータベースから過去の電力負荷使用量を取得してよい。また、使用情報取得部304は、月、週、又は季節毎のそれぞれの天気における電力負荷使用量を記録したデータベースから過去の電力負荷使用量を取得してよい。
【0026】
消費電力量算出部303は、使用情報取得部304から取得した使用情報を取得して翌日の所定期間毎の予想消費電力量を算出してよい。例えば、取得した翌日の天気及び月と同じ天気及び月の過去の1日の所定期間毎の消費電力量を予想消費電力量としてよい。また、取得した翌日の天気及び月と同じ天気及び月の過去の1日の所定期間毎の電力負荷使用量から所定期間毎の予想消費電力量を算出してよい。消費電力量算出部303は、算出した予想消費電力量を余剰電力期間判断部305及び余剰電力量算出部306に出力する。
【0027】
余剰電力期間判断部305は、送られてきた所定期間毎の予想発電量及び予想消費電力量から、予想発電量が予想消費電力量より大きくなる期間である余剰電力期間を判断する。余剰電力期間判断部305は、判断した余剰電力期間を余剰電力量算出部306及び充放電制御部307に出力する。余剰電力量算出部306は、余剰電力期間における予想発電量から予想消費電力を差し引いた予想余剰電力量を算出する。余剰電力量算出部306は、算出した予想余剰電力量を充放電制御部307に出力する。
【0028】
使用スケジュール取得部308は、車両200の使用スケジュールを取得する。使用スケジュール取得部308は、車両200の使用スケジュール登録部から使用スケジュールを取得する。使用スケジュール取得部308は、取得した使用スケジュールを不使用期間判断部309及び充電量算出部310に出力する。不使用期間判断部309は、使用スケジュールから車両200の不使用期間を判断する。車両200の不使用期間とは、車両200を使用していない期間のことをいい、たとえば、自宅に車両200がある状態のことをいう。ここで、車両200を充放電制御装置300が設置された建物以外の場所、例えば、会社、パーキング、デパート等に駐車している場合は、車両200は使用されていない状態であるが、これらの場合は不使用期間に含まれない。不使用期間とは、充放電制御装置300が車両200の電池201を充電可能な期間のことをいう。充電可能な期間とは、例えば、充放電制御装置300が車両200と充電ケーブルで接続できる場合等をいう。不使用期間判断部309は、判断した車両200の不使用期間を充放電制御部307に出力する。
【0029】
充電量算出部310は、車両200の使用スケジュールに基づいて、車両200の次回の使用に必要とされる充電量である必要充電量を算出する。使用スケジュールには、出発地及び目的地が含まれているので、出発地から目的地までの走行距離、出発地から目的地までの標高の変化、過去の消費電力データとから次回の車両200の使用に必要な必要充電量を算出してよい。充電量算出部310は、算出した必要充電量を充放電制御部307に出力する。
【0030】
充放電制御部307は、予想余剰電力期間の開始時の電池201の残量を、予め定められた充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池201の充放電を制御する。充放電制御部307は、予め設定された充電量から現在の電池201の残量を差し引いた量が予想余剰電力量より大きい場合は、余剰電力期間の開始時の電池201の残量を、予め設定された充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池201を充電する。充放電制御部307は、予め設定された充電量から現在の電池201の残量を差し引いた量が予想余剰電力量より小さい場合は、余剰電力期間の開始時の電池201の残量を、予め設定された充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池201を放電させて電力負荷400に供給する。
【0031】
また、充放電制御部307は、車両200の不使用期間に含まれる余剰電力期間の開始時の電池201の残量を、予め設定された充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池201の充放電を制御してよい。また、予め設定された充電量とは、電池201の満充電量であってよい。つまり、充放電制御部307は、余剰電力期間の開始時の電池201の残量を、電池201の満充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池201の充放電を制御してよい。また、予め設定された充電量とは、車両200の次回の使用に必要とされる充電量である必要充電量であってもよい。つまり、充放電制御部307は、余剰電力期間の開始時の電池201の残量を、必要充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池201の充放電を制御してよい。
【0032】
図3は、翌日の予想発電量、翌日の予想消費電力量、及び予想余剰電力量の様子の一例を示す。予想発電量は実線で、予想消費電力量は破線で示す。発電部500は、朝の6時前から徐々に電力を発電していき、12時に発電のピークを迎える。そして、夜の7時ぐらいに発電を終了する。図3では、太陽光発電機を用いた場合の発電量を示している。また、電力負荷400は、朝の5時ぐらいから消費する電力が増えていき、朝の8時30分当たりで消費電力の第1のピークを迎える。そして、夜の7時ぐらいに消費電力の第2のピークを迎える。その後、徐々に消費電力が少なくなる。発電量算出部301及び消費電力量算出部303は、所定期間毎に、たとえば、30分毎に、その予想発電量及び予想消費電力量を算出する。
【0033】
また、予想発電量が予想消費電力量より大きくなる期間が余剰電力期間となる。この余剰電力期間においては、電力負荷400が予想発電量を消費することができず、余剰電力になると予想される。斜線で示している領域は、予想余剰電力量を示している。つまり、斜線で示している領域は、余剰電力期間における予想発電量から予想消費電力量を差し引いた予想余剰電力量を示している。この場合、この予想余剰電力を電力系統に出力することも考えられるが、発電量が大きくなると予想される日は、発電部500を備えている家庭では電力が余ってしまうことが考えられる。
【0034】
したがって、発電部500を備えているすべての家庭が余剰電力を電力系統の電線に出力しようとすると、電線に出力される電力量が膨大になるので、電線の電圧が上限値に達してしまい電力系統に電力を出力できない家庭も多数出てくる。したがって、この予想余剰電力を車両200の電池201に充電できれば、発電した電力を無駄にすることなく、有効に使える。したがって、予想余剰電力量を電池201に充電できる容量を確保するために、電池201の充放電を制御する。
【0035】
具体的には、予め設定された充電量から現在の電池201の残量を差し引いた量が予想余剰電力量より大きい場合は、予想余剰電力期間の開始時の電池201の残量を、予め設定された充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池201を充電する。これにより、無駄に電池201を充電することがなく、予想余剰電力を電池201に充電することができる。また、予想余剰電力を電池201に充電したときに予め設定された充電量となるので、車両200の次回の使用の支障をきたさない。また、予め設定された充電量から現在の電池201の残量を差し引いた量が予想余剰電力量より小さい場合は、予想余剰電力期間の開始時の電池201の残量を、予め設定された充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池201を放電させて電力負荷400に供給する。これにより、電力会社から電力負荷400に供給させる電力を低減させることができ、予想余剰電力を電池201に充電することができる。また、予想余剰電力を電池201に充電したときに予め設定された充電量となるので、車両200の次回の使用の支障をきたさない。
【0036】
また、余剰電力期間前は、発電部500の予想発電量より、電力負荷400の予想消費電力量が大きいので、電力系統からの電力を電力負荷400に供給する必要がある。しかし、予め設定された充電量から現在の電池残量を差し引いた量が、予想余剰電力量より大きい場合は、余剰電力期間前に電池201を放電させて電力負荷400に供給することで、電力系統から電力負荷400に供給させる電力量を抑えることができる。また、予め設定され充電量から現在の電池残量を差し引いた量が、予想余剰電力量より小さい場合は、夜間に電力系統からの電力を用いて電池201を充電することで、安い電力料金で電池201を充電させることができる。
【0037】
図4は、充放電制御装置の動作のフローチャートの一例を示す。ステップS601で、発電量算出部301は、発電部500による翌日の発電量である予想発電量を所定期間毎に算出する。ステップS602で、消費電力量算出部303は、電力負荷400が翌日に消費する電力量である予想消費電力量を所定期間毎に算出する。ステップS603で、余剰電力期間判断部305は、所定期間毎に算出された予想発電量と所定期間毎に算出された予想消費電力量とから、予想発電量が予想消費電力量より大きくなる余剰電力期間を判断する。ステップS604で、余剰電力量算出部306は、所定期間毎に余剰電力期間における予想発電量から予想消費電力量を差し引いた余剰電力量を算出する。
【0038】
ステップS605で、充放電制御部307は、予め設定された充電量から現在の電池201の残量を差し引く。予め設定された充電量は、電池201の満充電量であってもよく、車両200の次の使用に必要な必要充電量であってよい。また、予め設定された充電量は、ユーザが指定した充電量であってもよい。ステップS606で、充放電制御部307は、差し引いた量が、余剰電力量より大きいか否かを判断する。なお、充放電制御部307は、余剰電力期間が不使用期間内にない場合は、余剰電力を電池201に充電することができないので、そのまま処理を終了してよい。また、充放電制御部307は、余剰電力期間が不使用期間内に完全に含まれずに、余剰電力期間と不使用期間とが一部重複する場合は、重複する余剰電力期間における余剰電力しか電池201に充電することができないので、差し引いた量が当該重複する余剰期間における予想余剰電力量より大きいか否かを判断してよい。
【0039】
ステップS606で、差し引いた量が予想余剰電力量より大きいと判断された場合は、ステップS607で、充放電制御部307は、余剰電力期間の開始時に電池201の残量を、予め設定された充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池201を充電する。これにより、余剰電力を電池201に充電することができる。また、次の車両200の使用時には、予め定められた充電量に電池201を充電することができる。一方、ステップS606で、差し引いた量が予想余剰電力量より大きくない、つまり小さいと判断された場合は、ステップS608で、充放電制御部307は、予め設定された充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、電池201を放電させて電力負荷400に電力を供給する。
【0040】
このように、余剰電力を無駄にすることがなく、余剰電力を有効に使用することができる。また、余剰電力を有効に使用するので、電力会社から供給される電力量を抑えることができ経済的になる。なお、発電量算出部301は、将来の発電量として、便宜上、翌日の予想発電量を算出したが、将来の一定の期間における予想発電量を算出すればよい。また、消費電力量算出部303は、将来の電力負荷400が消費する消費電力量として、便宜上、翌日の予想消費電力量を算出したが、将来の一定の期間における予想消費電力量を算出すればよい。また、発電量算出部301が予想発電量を算出する一定の期間と、消費電力量算出部303が予想消費電力量を算出する一定の期間は、同一の期間であってよい。
【0041】
また、予め定められた充電量から現在の電池201の残量を差し引いた量が、余剰電力量より小さいと判断して、予め設定された充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすべく電池201を余剰電力期間前に放電させても、余剰電力期間前の消費電力量が大きい場合は、電池201からの電力量では足りなくなり不足電力量が発生する。この場合は、電力系統からの電力を必要とする。したがって、余剰電力期間前に電力負荷400が使用する消費電力を電池201が供給できるように、予め夜間に当該予測される不足電力量を電池201に充電してもよい。これにより、余剰電力期間の開始時の電池201の残量を、予め設定された充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすることができるとともに、電池201の電力で余剰電力期間前の電力負荷400の消費電力を補うことができる。
【0042】
また、予め定められた充電量から現在の電池201の残量を差し引いた量が、余剰電力量より大きいと判断された場合は、予め設定された充電量から予想余剰電力量を差し引いた充電量に、余剰電力期間前に消費されると予測される消費電力量分の充電量を加えた充電量となるように予め夜間に電池201を充電してよい。これにより、余剰電力期間の開始時の電池201の残量を、予め設定された充電量から予想余剰電力量を差し引いた量にすることができるとともに、電池201の電力で余剰電力期間前の電力負荷400の消費電力を補うことができる。
【0043】
なお、予想発電量より実際に発電された発電量が少ない場合には、得られると思っていた余剰電力量が得られなくなり、電池201を満充電することができなくなる。したがって、発電量算出部301は、予想発電量の算出対象となる日、曜日等に応じて、予想発電量を補正してよい。発電量算出部301は、算出した予想発電量に補正係数をかけて補正してよい。予想発電量を補正した場合は、補正後の発電量が予想発電量となる。補正係数は、1以下の正数であることが好ましい。予想発電量を少なめにすることで、実際に発電された発電量が補正前の予想発電量より少ない場合であっても対応することができる。
【0044】
また、予想消費電力より実際に消費された消費電力量が多い場合は、得られると思っていた余剰電力量が得られなくなり、電池201を満充電することができなくなる。したがって、消費電力量算出部303は、予想消費電力量の算出対象となる日、曜日等に応じて、予想消費電力量を補正してよい。消費電力量算出部303は、算出した予想消費電力量に補正係数をかけて補正してよい。予想消費電力量を補正した場合は、補正後の電力量が予想消費電力量となる。補正係数は1以上の値であることが好ましい。予想消費電力量を多めにすることで、実際に消費された消費電力量が補正前の予想消費電力量より多い場合であっても対応することができる。消費電力量算出部303は、イベントがある日は補正係数を大きくしてよい。イベントとは、例えば、甲子園の決勝戦、オリンピック等の本来より消費する電力量が多くなると思われるものを含む。逆に、実際に消費する消費電力量が少なくなる見込みがある日は、補正係数を1以下の正数にしてもよい。これにより、電池201の電力を有効に使用することができる。
【0045】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0046】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0047】
100 電力供給システム、200 車両、201 電池、300 充放電制御装置、301 発電量算出部、302 発電情報取得部、303 消費電力量算出部、304 使用情報取得部、305 余剰電力期間判断部、306 余剰電力量算出部、307 充放電制御部、308 使用スケジュール取得部、309 不使用期間判断部、310 充電量算出部、400 電力負荷、500 発電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電部による将来の発電量である予想発電量を所定期間毎に算出する発電量算出部と、
前記発電部によって発電された電力を消費する電力負荷が将来消費する電力量である予想消費電力量を前記所定期間毎に算出する消費電力量算出部と、
前記予想発電量が前記予想消費電力量より大きくなる期間である余剰電力期間を判断する余剰電力期間判断部と、
前記余剰電力期間における前記予想発電量から前記予想消費電力量を差し引いた電力量である予想余剰電力量を算出する余剰電力量算出部と、
前記余剰電力期間の開始時の電池の残量を、予め設定された充電量から前記予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、前記電池の充放電を制御する充放電制御部と
を備える充放電制御装置。
【請求項2】
前記充放電制御部は、前記予め設定された充電量から現在の前記電池の残量を差し引いた量が前記予想余剰電力量より大きい場合、前記余剰電力期間の開始時の前記電池の残量を、前記予め設定された充電量から前記予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、前記電池を充電する
請求項1に記載の充放電制御装置。
【請求項3】
前記充放電制御部は、前記予め設定された充電量から現在の前記電池の残量を差し引いた量が前記予想余剰電力量より小さい場合、前記余剰電力期間の開始時の前記電池の残量を、前記予め設定された充電量から前記予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、前記電池を放電させて前記電力負荷に供給する
請求項1または2に記載の充放電制御装置。
【請求項4】
前記電池は、前記電池で駆動される車両に搭載されている
請求項1から3のいずれかに記載の充放電制御装置。
【請求項5】
前記車両の使用スケジュールを取得する使用スケジュール取得部と、
前記使用スケジュールから前記車両の不使用期間を判断する不使用期間判断部と
をさらに備え、
前記充放電制御部は、前記不使用期間に含まれる前記余剰電力期間の開始時の前記電池の残量を、前記予め設定された充電量から前記予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、前記電池の充放電を制御する
請求項4に記載の充放電制御装置。
【請求項6】
前記充放電制御部は、前記余剰電力期間の開始時の前記電池の残量を、前記電池の満充電量から前記予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、前記電池の充放電を制御する
請求項1から5のいずれかに記載の充放電制御装置。
【請求項7】
前記使用スケジュールに基づいて、前記車両の使用に必要とされる充電量である必要充電量を算出する充電量算出部
をさらに備え、
前記充放電制御部は、前記余剰電力期間の開始時の前記電池の残量を、前記必要充電量から前記予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、前記電池の充放電を制御する
請求項5に記載の充放電制御装置。
【請求項8】
発電部による将来の発電量である予想発電量を所定期間毎に算出する発電量算出段階と、
前記発電部によって発電された電力を消費する電力負荷が将来消費する電力量である予想消費電力量を前記所定期間毎に算出する消費電力量算出段階と、
前記予想発電量が前記予想消費電力量より大きくなる期間である余剰電力期間を判断する余剰電力期間判断段階と、
前記余剰電力期間における前記予想発電量から前記予想消費電力量を差し引いた電力量である予想余剰電力量を算出する余剰電力量算出段階と、
前記余剰電力期間の開始時の電池の残量を、予め設定された充電量から前記予想余剰電力量を差し引いた量にすべく、前記電池の充放電を制御する充放電制御段階と
を備える充放電制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−233408(P2010−233408A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80597(P2009−80597)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【出願人】(000000147)伊藤忠商事株式会社 (43)
【Fターム(参考)】