説明

充電システム及び通信装置

【課題】給電装置と、蓄電装置、充電制御を行う充電制御装置、並びに充電制御装置及び給電装置と通信可能な通信装置を備える車両とを給電線にて接続し、給電装置から蓄電装置へ充電を行う際に、消費電力を低減することが可能な充電システム及び通信装置を提供する。
【解決手段】通信装置は、車外通信部を起動し、通信機能をオン状態とする(ステップS2)。そして、充電制御の状況を監視し、充電が終了していると判定した場合(ステップS10:YES)、車外通信部が給電装置と通信することなく、充電を開始していると判定した場合(ステップS15:YES)、充電制御装置の制御によらずに充電を開始していると判定した場合(ステップS16:YES)、異常が発生している可能性があると判定した場合(ステップS19:YES)、車外通信部を停止し、通信機能をオフ状態とする(ステップS11)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、給電装置と、該給電装置からの給電により充電される蓄電装置、該蓄電装置に対する充電制御を行う充電制御装置、並びに該充電制御装置及び前記給電装置と通信可能な通信装置を備える車両とを給電線にて接続する充電システム、及び該充電システムにて用いられる通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モータ及びバッテリ等の装置を搭載し、バッテリに蓄積した電力にてモータを駆動することで走行する電気自動車及びハイブリッド自動車が普及し始めている。電気自動車は外部の給電装置からバッテリへの給電を行う必要があり、またハイブリッド自動車であっても外部の給電装置からバッテリへの給電を可能としたプラグインハイブリッド自動車がある。
給電に用いる外部の給電装置は、例えば、一般家屋、商用の給電ステーション等の施設に設置されている。給電装置には給電線を内包する充電ケーブルの一端が接続されており、充電ケーブルの他端には充電プラグが取着されている。そして、充電プラグを車両に設けられた給電口のコネクタ装置に接続することにより、充電が可能な状態となる。そして、給電装置から車両のバッテリへ充電ケーブルを介した電力供給が行われる。
【0003】
また、充電ケーブルには、充電制御に要するコントロールパイロット信号等の制御信号を送受信する制御用線が内包されており、給電装置から車両のバッテリへの給電に際し、制御用線を介してコントロールパイロット信号等の制御信号に基づく充電制御が行われる。
【0004】
更に、充電に際して、車両認証、課金管理、充電管理等の管理に要する通信信号を充電ケーブル内の給電線に重畳するPLC(Power Line Communication)通信等の通信を行うシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
このように、車両外部の装置との通信に基づいて充電に関する各種制御を行う場合には、車外の通信網又は通信線と、CAN等の車内通信網とを接続するゲートウェイとして機能するECU(Electronic Control Unit )等の装置が必要となる(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2008/046869号
【特許文献2】特開2009−171733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に開示されているようなシステムにおいて、ゲートウェイとして機能するECUは、充電開始に際して起動した後、通信状況に関わらず、充電中、場合によっては充電完了後も装置内の全機能が起動状態となる。このため、消費電力が増大するという問題がある。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、充電状況に応じて不要な機能を停止させることにより、消費電力を低減することが可能な充電システム及び通信装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る充電システムは、通信機能を有する給電装置と、該給電装置からの給電により充電される蓄電装置、該蓄電装置に対する充電制御を行う充電制御装置、並びに該充電制御装置及び前記給電装置と通信可能な通信装置を備える車両とを給電線にて接続する充電システムにおいて、前記充電制御装置は、給電の開始に際して、前記通信装置を起動させる手段を備え、該通信装置は、前記車両内に配設された車内通信網を介して前記充電制御装置と通信する車内通信部と、前記給電装置と通信可能な車外通信部と、前記充電制御装置による充電制御の状況を取得する取得手段と、取得した状況に応じて前記車外通信部による通信を停止する停止手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る充電システムは、前記停止手段は、取得した状況に基づいて、前記充電制御装置の制御により、充電が終了していると判定した場合に停止することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る充電システムは、前記停止手段は、前記車外通信部が前記給電装置と通信することなく、充電が開始されていると判定した場合に停止することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る充電システムは、前記停止手段は、前記充電制御装置の制御によらずに、充電が開始されていると判定した場合に停止することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る充電システムは、前記給電装置及び車両を、充電制御に用いる制御信号を伝送する制御用線にて接続するようにしてあり、前記充電制御装置は、前記制御用線を介して受信する制御信号に基づいて充電制御を行い、前記車外通信部は、前記給電線に通信信号を重畳分離することにより通信するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る通信装置は、蓄電装置を備える車両に搭載され、通信機能を備える車外の給電装置、及び該給電装置からの給電により充電される蓄電装置に対する充電制御を行う充電制御装置と通信可能な通信装置において、車両内に配設された車内通信網を介して前記充電制御装置と通信する車内通信部と、前記給電装置と通信可能な車外通信部と、前記充電制御装置による充電制御の状況を前記車内通信部から取得する手段と、取得した状況に応じて前記車外通信部による通信を停止する手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明では、車両内外の装置と通信する通信装置が、充電制御装置による充電制御の状況を取得し、取得した状況に応じて、不要となる車外の装置との通信機能を停止する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る給電システム及び通信装置は、充電制御の状況に応じて車外の装置との通信機能を停止することにより、無駄な電力消費を抑制し、消費電力を低減することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0017】
例えば、取得した状況に基づいて、充電が終了していると判定した場合、車外の装置との通信は不要であると判断する。そして、通信装置が、車外の装置との通信を停止することにより、無駄な電力消費を抑制することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0018】
また、例えば、車外の装置との通信を行うことなく充電が開始されている場合、車外の装置は、充電開始に際し通信を行っていないことから、通信機能を有していないと判断する。そして、通信装置が、車外の装置との通信を停止することにより、無駄な電力消費を抑制することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0019】
また、例えば、充電制御装置の制御によらずに充電が開始されている場合、車外の装置は、充電制御装置の制御によらずに充電を行うモードが設定された装置であり、充電に関する通信機能を有していないと判断する。そして、通信装置が、車外の装置との通信を停止することにより、無駄な電力消費を抑制することが可能である等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の充電システムの構成例を示す説明図である。
【図2】本発明の充電システムにて充電を行う際の制御信号等の状態を示すタイムチャートである。
【図3】本発明の通信装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0022】
図1は、本発明の充電システムの構成例を示す説明図である。図1は、本発明の充電システムを、電気自動車、プラグインハイブリッド車等の車両1が備えるバッテリ10に対し、充電スタンド等の給電装置2からの給電により充電する際の充電制御に適用する例を示している。
【0023】
車両1及び給電装置2の間は、充電ケーブル3により接続することが可能である。充電ケーブル3は、電力供給線として用いられる2本の給電線30、31、接地用の導線である接地線32、及び充電制御に用いるコントロールパイロット信号(CPLT)等の制御信号を伝送する制御用線33を内包している。充電ケーブル3の一端は、給電装置2側に接続されており、他端側に設けられたプラグを車両1側に接続部として配設されている接続コネクタ11に接続することができる。充電ケーブル3の他端を接続コネクタ11に接続することにより、充電ケーブル3内の給電線30、31、接地線32及び制御用線33が、接続コネクタ11内に設けられた接続端子30a、31a、32a、33aと結合し、図1に例示する回路構成となる。
【0024】
給電線30、31は、交流電圧が印加されるAC線である。制御用線33は、コントロールパイロット信号等の制御信号を送受信する信号線であり、送受信されるコントロールパイロット信号に基づいて充電制御が行われる。さらに、本発明に係る充電システムでは、車両認証、充電管理、課金管理等の管理を行うための情報、その他各種情報を給電線30、31を用いて伝送する。即ち、本発明の充電システムは、2本の給電線30、31に通信信号を重畳及び分離することにより通信を行うものである。
【0025】
給電装置2は、交流電力を供給する電力供給部20と、充電制御に係る通信を行う充電制御部21と、通信信号の送受信を行う通信部22と、給電線30、31に対して通信信号の重畳及び分離を行う重畳分離部23とを備えている。
【0026】
電力供給部20には、給電線30、31の一端及び接地線32が接続されている。充電制御部21には、制御用線33の一端が接続されている。給電装置2内の配線は、給電装置2外部の充電ケーブル3に内包された給電線30、31、接地線32及び制御用線33と接続端子30b、31b、32b及び33bを介して接続された延長線として機能する内部導線ということになるが、以降の説明では、便宜上、内部導線として配設された延長線部分も含めて、給電線30、31、接地線32及び制御用線33として説明する。
【0027】
充電制御部21は、例えば、充電制御に関する国際規格に準拠した回路であり、コントロールパイロット信号等の制御信号を送受信することにより、接続確認、通電開始等の様々な状態における充電制御を行う。充電制御部21内には、制御信号を発振する発振回路等の各種回路、その他、電力供給部20及びバッテリ10の状態の検出及び発信すべき制御信号の決定に用いるマイコン及びバッファ等の図示しない様々な回路が配設されている。
【0028】
重畳分離部23は、給電線30、31の一方又は両方と、一端が通信部22に接続された2本の通信線の他端とを接続する機構であり、カップリングトランス(電磁誘導式の信号変換器)等の回路を用いて構成される。
【0029】
重畳分離部23は、給電線30、31に対して各種通信信号を重畳し、また、重畳された各種通信信号を分離する。重畳分離部23が、通信部22から出力される各種通信信号を重畳し、また、分離した各種通信信号を通信部22に入力することで、通信部22の通信が行われる。
【0030】
車両1は、バッテリ10及び接続コネクタ11の他、バッテリ10に対する充電を行う充電装置12と、充電制御に係る通信を行う充電制御装置13と、通信信号の送受信を行う通信装置14と、給電線30、31に対して通信信号の重畳及び分離を行う重畳分離部15とを備えている。また、車両1内には、CAN等の通信規格に基づく車内通信網が配設されており、充電装置12、充電制御装置13及び通信装置14等の装置は、車内通信網に接続するECU(Electronic Control Unit )として機能する。
【0031】
車両1には、充電ケーブル3の他端が接続されており、従って、充電ケーブル3に内包された給電線30、31の他端、接地線32の他端及び制御用線33の他端が車両1の内部配線に接続されている。給電線30、31の他端は、車両1内の内部に配設されたAC線を介して充電装置12に接続されており、充電装置12によりバッテリ10に対する充電が行われる。接地線32の他端は、車両1内の内部配線として配設された延長線を介して充電装置12及びバッテリ10に接続されている。また、制御用線33の他端は、車両1内の内部配線として配設された延長線を介して充電制御装置13に接続されている。なお、給電線30、31に接続されるAC線、接地線32に接続される延長線及び制御用線33に接続される延長線の先端は、接続コネクタ11内に設けられた挿通孔内に挿通されている。そして、接続コネクタ11に充電ケーブル3を接続することにより、充電ケーブル3内の給電線30、31、接地線32及び制御用線33が接続コネクタ11内部の配線と接続される。なお、以降では、便宜上、AC線、内部配線をも含めて、給電線30、31、接地線32及び制御用線33として説明する。
【0032】
充電制御装置13は、例えば、充電制御に関する国際規格に準拠した回路であり、装置全体を制御するCPU等の制御部130と、車内通信網に接続するCANトランシーバ等の通信部131とを備えている。そして、充電制御装置13は、制御部130の制御により、コントロールパイロット信号等の制御信号を送受信することで、接続確認、通電開始等の様々な状態における充電制御を行う。また、充電制御装置13は、接続コネクタ11に充電ケーブル3が接続された場合に、接続コネクタ11から出力されるProximity Detection 信号(PRDT)等の接続信号の入力を受け、接続コネクタ11に充電ケーブル3が接続されたことを検出する。さらに、充電制御装置13は、充電に際して充電装置12及び通信装置14を起動させるための起動信号を、充電装置12及び通信装置14へ出力する。
【0033】
通信装置14は、装置全体を制御するCPU等の制御部140と、車内通信網に接続するCANトランシーバ等の車内通信部141と、PLCモデム等の車外通信部142とを備えている。車外通信部142は、車両1外の給電装置2と各種通信信号を送受信するための回路であり、2本の通信線により、重畳分離部15と接続されている。
【0034】
重畳分離部15は、給電線30、31の一方又は両方と、一端が通信装置14に接続された2本の通信線の他端とを接続する機構であり、カップリングトランス(電磁誘導式の信号変換器)等の回路を用いて構成される。
【0035】
重畳分離部15は、給電線30、31に対して各種通信信号を重畳し、また、重畳された各種通信信号を分離する。重畳分離部15が、通信装置14から出力される各種通信信号を重畳し、また、分離した各種通信信号を通信装置14に入力することで、通信部22の通信が行われる。
【0036】
次に制御信号として、国際規格:IEC61851−1のモード3充電に準拠したコントロールパイロット信号(CPLT)を用いて充電制御を行う場合の形態について説明する。図2は、本発明の充電システムにて充電を行う際の制御信号等の状態を示すタイムチャートである。図2は、制御信号としてコントロールパイロット信号を用いた場合の給電装置2側の制御信号の出力電圧、電力供給の状況及び充電電流の経時変化を示したものである。
【0037】
時刻T0 〜T1 は、「STATE_A」と呼ばれる充電ケーブル3の接続待ちの状態であり、給電装置2はアイドリング状態にある。STATE_Aでは、制御信号の出力電圧は、12Vで一定であり、電力供給及び充電電流についてもオフ状態となっている。
【0038】
時刻T1 にて充電ケーブル3が接続コネクタ11に接続され、その後の時刻T1 〜T2 は、「STATE_B」と呼ばれる充電準備中の状態を示している。STATE_Bでは、充電ケーブル3が接続コネクタ11に接続されたことにより、車両1の充電制御装置13内に設けられている抵抗と電気的に接続されて回路を構成するため、制御信号の出力電圧が9Vに降下する。
【0039】
時刻T2 〜T3 の期間においても、STATE_Bの状態が継続しているが、出力電圧が9Vに降下したことを検知した給電装置2が、時刻T2 から+9〜−12Vの交番電圧による矩形波の発振を開始する。車両1側は、発振が開始されたことを検知し、充電体制を整える。
【0040】
車両1で充電体制が整うことにより、時刻T3 にて、充電制御装置13内に設けられている抵抗の切り換えが行われ、発信時の出力電圧が、+6〜−12Vとなり、その後の時刻T3 〜T4 の状態は「STATE_C」と呼ばれる充電中の状態を示すことになる。STATE_Cに遷移後、電力供給がオン状態となり、その後、充電電流もオン状態となる。
【0041】
さらに、車両1側で満充電に到達したことを検出し、充電電流をオフとして元の抵抗に切り換えることにより、時刻T4 で出力電圧が+9〜−12Vとなり、「STATE_B」に遷移し、この状態を継続する。その後、時刻T4 〜T5 の期間に電源供給がオフ状態に遷移する。
【0042】
そして、時刻T5 で充電ケーブル3が接続コネクタ11から分離された後は、STATE_Aに戻り、出力電圧も12Vで一定となる。
【0043】
このようにして、制御信号により、充電の制御が行われる。なお、充電制御装置13は、充電ケーブル3の接続を検出し、給電の開始に際して、STATE_Bへの移行時に充電装置12及び通信装置14を起動させる。また、充電ケーブル3が分離された後、充電装置12及び通信装置14を停止させる。
【0044】
なお、図2では、モード3充電に準拠した給電装置2及び車両1間の通信における制御信号等の経時変化を示しているが、車両1がモード3充電に対応していても、給電装置2の方がモード3に対応していない場合も考えられる。そのような場合、モード1充電、モード2充電等の他のモードによる充電が行われることになる。例えば、モード2充電では、充電に際して、車外の電源と車両1との間を接続する充電ケーブル3内にICCB(In-Cable Control Box)等の制御装置を設けてコントロールパイロット信号等の制御信号の出力を行うことで、モード3充電と同様、充電制御装置13による制御を行う。また、モード1充電では、充電制御装置13による制御は行わず、制御信号の出力電圧が0VのSTATE_Eの状態で充電を行う。
【0045】
次に、本発明の通信装置14の処理について説明する。図3は、本発明の通信装置14の処理の一例を示すフローチャートである。通信装置14は、充電制御装置13から出力される起動信号に基づいて起動した後、車外通信部142の処理により、給電装置2と、PLC通信等の通信方法により、車両認証、課金管理、充電管理等の管理に要する通信信号の送受信を開始する。以下では、通信装置14の制御部140の制御に基づく充電に際しての処理について説明する。
【0046】
接続コネクタ11に充電ケーブル3が接続されると、接続コネクタ11から充電制御装置13へPRDT等の接続信号が出力され、充電制御装置13は、充電ケーブル3が接続されたことを認識する。そして、充電制御装置13は、制御部130の制御により、充電の開始に際して、充電装置12及び通信装置14へ起動信号を出力する。
【0047】
通信装置14は、制御部140の制御により、待機状態において、充電制御装置13からの起動信号の入力を受け付けたか否かの監視を行っている(ステップS1)。
【0048】
そして、ステップS1において、起動信号の入力を受け付けたと判定した場合(ステップS1:YES)、制御部140は、PLCモデム等の車外通信部142を起動し、PLC通信等の通信方法により通信する通信機能をオン状態にする(ステップS2)。
【0049】
なお、ステップS1において、起動信号の入力を受け付けていないと判定した場合(ステップS1:NO)、起動信号の入力を受け付けるまで、ステップS1の処理を繰り返す。
【0050】
ステップS2の後、制御部140は、車内通信部141により車内通信網を介して充電制御装置13にアクセスし、充電制御の状況を取得する(ステップS3)。
【0051】
制御部140は、取得した充電制御の状況から、「STATE_B」の状態にあるか否かを判定する(ステップS4)。モード3で充電を行う場合、通常、この段階では、STATE_Bとなっている。
【0052】
ステップS4において、「STATE_B」の状態にあると判定した場合(ステップS4:YES)、制御部140は、車外通信部142により、PLC通信等の通信方法により、車両認証等の通信処理を行うべく車外通信を開始する(ステップS5)。
【0053】
制御部140は、車外通信に対する応答が有るか否かを判定する(ステップS6)。
【0054】
ステップS6において、応答が有ると判定した場合(ステップS6:YES)、制御部140は、車内通信部141により充電制御装置13から充電制御の状況を取得する(ステップS7)。
【0055】
制御部140は、取得した充電制御の状況から、「STATE_C」又は「STATE_D」に遷移したか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8は、充電が開始されているか否かを充電制御装置13の状態に基づいて判定する処理である。「STATE_C」とは、前述のように、充電を行っている状態であり、制御信号の出力電圧が+6〜−12Vの範囲で発振している。「STATE_D」も充電を行っている状態を示し、制御信号の出力電圧が+3〜−12Vの範囲で発振していることにより状態を検知することができる。
【0056】
ステップS8において、「STATE_C」又は「STATE_D」に遷移したと判定した場合(ステップS8:YES)、制御部140は、充電が開始されていると判定し、車内通信部141により充電制御装置13から充電制御の状況を取得する(ステップS9)。なお、ステップS8において、「STATE_C」及び「STATE_D」いずれの状態でもないと判定した場合(ステップS8:NO)、制御部140は、ステップS7に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0057】
制御部140は、取得した充電制御の状況から、「STATE_B」に遷移したか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10は、充電制御装置13の制御による充電が終了しているか否かを判定する処理である。
【0058】
ステップ10において、「STATE_B」に遷移したと判定した場合(ステップS10:YES)、制御部140は、充電が終了していると判定し、車外通信部142を停止し、PLC通信等の通信方法による通信機能をオフ状態とする(ステップS11)。なお、ステップS10において、「STATE_B」に遷移していないと判定した場合(ステップS10:NO)、制御部140は、ステップS9に戻り、以降の処理を繰り返す。ステップS11では、車外通信部142による通信が不要であると判定し、通信機能をオフとすることにより、不要な通信を停止して、消費電力を抑制することが可能となる。
【0059】
そして、制御部140は、車外通信部142を停止したまま充電制御装置13から起動信号の入力が停止したか否かの監視を行う(ステップS12)。充電制御装置13は、制御部130の制御により、充電を終了後、充電装置12及び通信装置14への起動信号の出力を停止する。
【0060】
ステップS12において、起動信号の入力が停止したと判定した場合(ステップS12:YES)、制御部140は、通信装置14の機能を停止し、待機状態に遷移して(ステップS13)、ステップS1に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0061】
なお、ステップS12において、起動信号の入力が停止していないと判定した場合、(ステップS12)、起動信号の入力が停止するまで、ステップS12の処理を繰り返す。
【0062】
ステップS4において、「STATE_B」の状態にないと判定した場合(ステップS4:NO)、又はステップS6において、応答が無いと判定した場合(ステップS6:NO)、制御部140は、車内通信部141により充電制御装置13から充電制御の状況を取得する(ステップS14)。ステップS4において、STATE_Bの状態ではないと判定した場合、モード3ではない可能性があると判定し、更に充電制御装置13の状況を取得する。また、ステップS6において、応答が無いと判定した場合も同様である。
【0063】
制御部140は、取得した充電制御の状況から、「STATE_C」又は「STATE_D」の状態にあるか否かを判定する(ステップS15)。
【0064】
ステップS15において、「STATE_C」又は「STATE_D」の状態にあると判定した場合(ステップS15:YES)、制御部140は、ステップS11へ進み、車外通信部142を停止し、PLC通信等の通信方法による通信機能をオフ状態とする(ステップS11)。ステップS15において、STATE_C又はSTATE_Dの状態に遷移していることから、制御部140は、車外通信部142が給電装置2と通信することなく、充電が開始されていると判定し、車外通信部142による通信を停止する。即ち、制御部140は、車両認証等の通信処理を行わずに充電を行うモード2等のモードによる充電が行われているとして、PLC通信等の車外通信部142による通信が不要であると判断する。そして、車外通信部142の通信機能をオフとすることにより、消費電力を抑制することが可能となる。
【0065】
ステップS15において、「STATE_C」及び「STATE_D」のいずれの状態でもないと判定した場合(ステップS15:NO)、制御部140は、車内通信部141により充電制御装置13から充電制御の状況を取得する(ステップS16)。更に、制御部140は、車内通信部141により充電装置12からバッテリ10の充電量を示す充電状態を取得する(ステップS17)。
【0066】
制御部140は、取得した充電制御の状況が「STATE_E」であり、かつ、充電量が変化しているか否かを判定する(ステップS18)。STATE_Eとは、制御信号の出力電圧が0Vの状態であり、制御用信号が0Vでありながらも、充電量が変化している場合、充電制御装置13の制御によらずに充電を開始するモード1等のモードによる充電が行われていると判断する。
【0067】
ステップS18において、「STATE_E」であり、かつ、充電量が変化していると判定した場合(ステップS18:YES)、制御部140は、ステップS11へ進み、車外通信部142を停止し、PLC通信等の通信方法による通信機能をオフ状態とする(ステップS11)。ステップS18の条件を満たす場合、モード1等のモードによる充電が行われていることから、PLC通信等の車外通信部142による通信が不要であると判断する。そして、車外通信部142の通信機能をオフとすることにより、消費電力を抑制することが可能となる。
【0068】
ステップS18において、「STATE_E」ではないか、又は充電量が変化していないと判定した場合(ステップS18:NO)、制御部140は、起動後、予め設定されている所定時間が経過しているか否かを判定する(ステップS19)。
【0069】
ステップS19において、起動してから所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS19:NO)、制御部140は、ステップS3へ戻り、以降の処理を繰り返す。即ち、充電制御装置13及び通信装置14間の処理速度の差異に起因する齟齬が生じている可能性があると判定して処理を繰り返す。
【0070】
ステップS19において、起動してから所定時間が経過していると判定した場合(ステップS19:YES)、制御部140は、ステップS11へ進み、車外通信部142を停止し、PLC通信等の通信方法による通信機能をオフ状態とする(ステップS11)。即ち、何らかの異常が発生している可能性があるとして、実質的なリセット処理を行うのである。
【0071】
前記実施の形態は、本発明の無数に存在する実施例の一部を開示したに過ぎず、目的、用途、仕様等の様々な要因を加味して適宜設計することが可能である。例えば、前記実施の形態では、給電線に通信信号を重畳するPLC通信を行う形態について説明したが、本発明はこれに限らず、コントロールパイロット信号や他の制御用線に通信信号を重畳する形態に展開する等、様々な形態に展開することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 車両
10 バッテリ(蓄電装置)
11 接続コネクタ
12 充電装置
13 充電制御装置
130 制御部
131 通信部
14 通信装置
140 制御部
141 車内通信部
142 車外通信部
15 重畳分離部
2 給電装置
20 電力供給部
21 充電制御部
22 通信部
23 重畳分離部
3 充電ケーブル
30、31 給電線
32 接地線
33 制御用線
30a、31a、32a、33a 接続端子
30b、31b、32b、33b 接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機能を有する給電装置と、該給電装置からの給電により充電される蓄電装置、該蓄電装置に対する充電制御を行う充電制御装置、並びに該充電制御装置及び前記給電装置と通信可能な通信装置を備える車両とを給電線にて接続する充電システムにおいて、
前記充電制御装置は、
給電の開始に際して、前記通信装置を起動させる手段を備え、
該通信装置は、
前記車両内に配設された車内通信網を介して前記充電制御装置と通信する車内通信部と、
前記給電装置と通信可能な車外通信部と、
前記充電制御装置による充電制御の状況を取得する取得手段と、
取得した状況に応じて前記車外通信部による通信を停止する停止手段と
を備えることを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記停止手段は、取得した状況に基づいて、前記充電制御装置の制御により、充電が終了していると判定した場合に停止することを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記停止手段は、前記車外通信部が前記給電装置と通信することなく、充電が開始されていると判定した場合に停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記停止手段は、前記充電制御装置の制御によらずに、充電が開始されていると判定した場合に停止することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の充電システム。
【請求項5】
前記給電装置及び車両を、充電制御に用いる制御信号を伝送する制御用線にて接続するようにしてあり、
前記充電制御装置は、前記制御用線を介して受信する制御信号に基づいて充電制御を行い、
前記車外通信部は、前記給電線に通信信号を重畳分離することにより通信するようにしてある
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の充電システム。
【請求項6】
蓄電装置を備える車両に搭載され、通信機能を備える車外の給電装置、及び該給電装置からの給電により充電される蓄電装置に対する充電制御を行う充電制御装置と通信可能な通信装置において、
車両内に配設された車内通信網を介して前記充電制御装置と通信する車内通信部と、
前記給電装置と通信可能な車外通信部と、
前記充電制御装置による充電制御の状況を前記車内通信部から取得する手段と、
取得した状況に応じて前記車外通信部による通信を停止する手段と
を備えることを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−90421(P2013−90421A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228296(P2011−228296)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【Fターム(参考)】