説明

充電システム及び駐車場システム

【課題】設置が容易で拡張性が高く、かつ駐車車両ごとの管理が容易な充電システム及び駐車場システムを提供することを目的とする。
【解決手段】充電システム101は、車両を積載して移動可能な車両駐車台110と、車両駐車台110に設置された第1高周波無線電力伝送装置120と、駐車場建造物に設置された第2高周波無線電力伝送装置150と、第1高周波無線電力伝送装置120と第2高周波無線電力伝送装置150とが所定の位置関係にあるか否かを判定する相対位置判定部160と、を備えている。相対位置判定部160で所定の位置関係にあると判定されると、第2高周波無線電力伝送装置150から第1高周波無線電力伝送装置120に無線電力伝送が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載された2次電池を駐車中に充電することが可能な充電システム及び駐車場システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
駐車場の設置スペースを有効利用して複数台の自動車を収容できるようにした駐車場として、車両をパレットに積載して移動させる循環式駐車場等が従来より知られている(特許文献1、2)。車両を積載したパレットは、水平方向や垂直方向に移動可能に構成されており、所定の格納場所に移動させて車両を駐車させておく。
【0003】
近年、電気自動車やプラグインハイブリッド車等(以下では、単に電気自動車等という)が普及しつつあるが、このような車両では2次電池の充電が課題となっている。すなわち、電気自動車等では大容量の2次電池を搭載しているが、その充電に長時間を要するのが負担となっている。また、電気自動車等の充電設備の普及が進んでいないため、外出の途中で充電するのが困難といった問題もあった。
【0004】
そこで、車両を駐車させている時間を利用して、駐車中に電気自動車等の充電が可能な駐車設備の開発が進められている。特許文献1、2には、電気自動車を充電パレットに積載し、これを所定の格納場所に移動させて駐車させる循環式駐車装置が開示されている。特許文献1、2に記載の充電パレットはトロリー方式で受電するように構成されており、受電した電力で電気自動車を充電する。トロリー方式では、駐車場建造物に敷設されたトロリー線に充電パレットに設けられた集電子が接触することで、トロリー線から受電できる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−070985号公報
【特許文献2】特開2011−111795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載の循環式駐車装置で用いられているトロリー方式では、トロリー線の設置が可能な駐車場にしか適用できず、またトロリー線をあらかじめ駐車場建造物の内部に張り巡らせておく必要があり、設備が大規模となって設備の拡張も難しいといった問題がある。また、設備の維持・管理も高コストになる。さらに、トロリー線を共有して各充電パレットに充電用の電力を供給しているため、充電パレットごとに充電量を計量して課金するのが難しいといった問題もある。
【0007】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、設置が容易で拡張性が高く、かつ駐車車両ごとの管理が容易な充電システム及び駐車場システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の充電システムの第1の態様は、車両を積載して移動可能な車両駐車台と、前記車両駐車台に設置された第1高周波無線電力伝送装置と、駐車場建造物に設置された第2高周波無線電力伝送装置と、前記車両駐車台に設置されて前記車両に搭載された2次電池を充電する車両充電部と、を備え、前記第1高周波無線電力伝送装置が前記第2高周波無線電力伝送装置に対し所定の位置関係となるように前記車両駐車台が移動されたとき、前記第2高周波無線電力伝送装置から前記第1高周波無線電力伝送装置に無線電力伝送が行われることを特徴とする。
【0009】
本発明の充電システムの他の態様は、前記所定の位置関係は、前記第1高周波無線電力伝送装置と前記第2高周波無線電力伝送装置とが少なくとも相互に略対向する位置関係であることを特徴とする。
【0010】
本発明の充電システムの他の態様は、前記第1高周波無線電力伝送装置が前記第2高周波無線電力伝送装置に対し所定の位置関係にあるか否かを判定する相対位置判定部を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の充電システムの他の態様は、前記第2高周波無線電力伝送装置は、前記第1高周波無線電力伝送装置への前記無線電力伝送をオン/オフする切替部を備え、前記相対位置判定部は、前記車両駐車台が停止または停止直前のときに前記第1高周波無線電力伝送装置が前記所定の位置関係にあると判定し、前記相対位置判定部で前記所定の位置関係にあると判定されたときに前記切替部により前記無線電力伝送がオンにされる一方、前記所定の位置関係にないと判定されたときは前記切替部により前記無線電力伝送がオフにされることを特徴とする。
【0012】
本発明の充電システムの他の態様は、前記車両駐車台にそれぞれ付与されたID(識別符号)に基づいて前記無線電力伝送を行う対象の車両駐車台であるか否かを判定するID判定手段を備え、前記ID判定手段で前記対象の車両駐車台であると判定され、かつ前記相対位置判定部で前記所定の相対位置にあると判定されたときに前記無線電力伝送が行われることを特徴とする。
【0013】
本発明の充電システムの他の態様は、前記第1高周波無線電力伝送装置は、前記車両駐車台に積載された車両への充電量を計量する充電量計量手段を有し、前記充電量計量手段は、前記無線電力伝送が行われている期間の前記車両への充電量を積算することを特徴とする。
【0014】
本発明の充電システムの他の態様は、前記第2高周波無線電力伝送装置は、前記車両駐車台に積載された車両への充電量を計量する充電量計量手段を有し、前記充電量計量手段は、前記車両駐車台にそれぞれ付与されたID(識別符号)ごとに前記無線電力伝送が行われている期間の前記車両への充電量を積算することを特徴とする。
【0015】
本発明の充電システムの他の態様は、前記第1高周波無線電力伝送装置及び前記第2高周波無線電力伝送装置は、前記車両駐車台に積載された車両への充電量を計量する充電量計量手段をそれぞれ有し、すべての前記第1高周波無線電力伝送装置の前記充電量計量手段で積算された充電量の合計がすべての前記第2高周波無線電力伝送装置の前記充電量計量手段で積算された充電量の合計と一致しないときは、エラー情報を出力することを特徴とする。
【0016】
本発明の充電システムの他の態様は、前記充電量計量手段で計量された充電量を中央制御装置に伝送する情報伝送手段をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の充電システムの他の態様は、前記車両充電部は、急速充電手段または普通充電手段を有していることを特徴とする。
【0018】
本発明の駐車場システムの第1の態様は、第1の態様から第10の態様のいずれか1つに記載の充電システムを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の駐車場システムの他の態様は、前記第1高周波無線電力伝送装置及び前記第2高周波無線電力伝送装置のそれぞれの設置数が前記車両駐車台の台数より少なく、かつ前記第2高周波無線電力伝送装置の設置数が前記第1高周波無線電力伝送装置の設置数より少ないとき、前記第2高周波無線電力伝送装置には、前記第1高周波無線電力伝送装置が設置された前記車両駐車台が前記所定の位置関係となるように優先的に移動して停止することを特徴とする。
【0020】
本発明の駐車場システムの他の態様は、前記第1高周波無線電力伝送装置及び前記第2高周波無線電力伝送装置のそれぞれの設置数が前記車両駐車台の台数より少なく、かつ前記第1高周波無線電力伝送装置の設置数が前記第2高周波無線電力伝送装置の設置数より少ないとき、前記第1高周波無線電力伝送装置が設置された前記車両駐車台が、前記第2高周波無線電力伝送装置に対し前記所定の位置関係となるように優先的に移動して停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、設置が容易で拡張性が高く、かつ駐車車両ごとの管理が容易な充電システム及び駐車場システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る充電システムの全体構成及び駐車場システムの部分構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る充電システムの全体構成及び駐車場システムの部分構成を示す断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る充電システムの全体構成及び駐車場システムの部分構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る充電システムの全体構成及び駐車場システムの部分構成を示す断面図である。
【図5】本発明の第5実施形態に係る駐車場システムの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好ましい実施の形態における充電システム及び駐車場システムについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。
【0024】
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る充電システム及び駐車場システムを、図1を用いて説明する。図1は、第1実施形態の充電システムの全体構成及び駐車場システムの部分構成を示す断面図である。本実施形態の駐車場システム100は、駐車中の車両10の2次電池を充電するための充電システム101を備えており、駐車中に2次電池を充電することが可能となっている。図1では、駐車場建造物50が立体駐車場の構造を有しているとし、本実施形態の駐車場システム100及び充電システム101が立体駐車場に適用されたときの構成の一例を示している。
【0025】
立体駐車場では、駐車車両を格納するための空間として車両格納部51が駐車場建造物50の内部に複数設けられている。充電システム101は、所定の車両格納部51まで車両を積載して移動させる車両駐車台(パレット)110を複数備えている。また、車両駐車台110が駐車場建造物50の内部を移動可能なように、駐車場建造物50の内部にはレール52等が敷設されている。なお、本実施形態の駐車場システム100及び充電システム101は、立体駐車場に限定されず、駐車車両を車両駐車台110に積載して移動可能に構成された駐車場であれば適用可能である。
【0026】
車両駐車台110に積載された駐車車両10の2次電池を充電するには、車両駐車台110に充電手段を設けておき、車両駐車台110が所定の車両格納部51に到着すると、車両駐車台110の充電手段が駐車場建造物50に配索された配線系統等から受電できるようにしておく必要がある。本実施形態の充電システム101では、車両駐車台110の充電手段が駐車場建造物50の配線系統等から受電する方式として、従来のトロリー方式に代えて、非接触で電力伝送が可能な無線電力伝送方式を用いる。なお、駐車車両10は、車両駐車台110に積載されたときに充電手段に接続されて充電可能な状態にされているものとする。
【0027】
本実施形態の充電システム101では、上記の充電手段として車両駐車台110に車両充電部130が設置されている。車両充電部130は、車両10に電気的に接続するためのケーブルや回路(ともに図示せず)等を有している。また、車両充電部130が駐車場建造物の配線系統等から非接触で充電用の電力を受電できるようにするために、車両駐車台110に第1高周波無線電力伝送装置120が設けられている。車両充電部130は、第1高周波無線電力伝送装置120にケーブル等で電気的に接続されている。また、車両充電部130は、急速充電手段または普通充電手段、あるいはその両方を備えるように構成することができる。
【0028】
一方、駐車場建造物50の内部に設けられた各車両格納部51には、配線系統等から受電した電力を非接触で車両駐車台110側に伝送するために第2高周波無線電力伝送装置150が設置されている。第2高周波無線電力伝送装置150は、駐車場建造物50の配線系統等に接続されて受電し、受電した電力を車両格納部51に設置されている第1高周波無線電力伝送装置120に無線で伝送することができる。なお、第2高周波無線電力伝送装置150は、駐車場建造物50に設けられたすべての車両格納部51に設置する必要はなく、一部の車両格納部51のみに設置してもよく、あるいは適宜増設していくことも容易に行える。
【0029】
第2高周波無線電力伝送装置150は、その設置位置に対し所定の位置関係にある第1高周波無線電力伝送装置120に対して電力を無線伝送することが可能となっている。本実施形態の充電システム101は、第1高周波無線電力伝送装置120と第2高周波無線電力伝送装置150とが所定の位置関係にあるか否かを判定するために、相対位置判定部160を備えている。相対位置判定部160は、第1高周波無線電力伝送装置120とともに車両駐車台110ごとに設けることができ、あるいは第2高周波無線電力伝送装置150とともに駐車場建造物50内の車両格納部51ごとに設けてもよい。図1では、一例として相対位置判定部160を駐車場建造物50側に設けている。
【0030】
相対位置判定部160は、第1高周波無線電力伝送装置120と第2高周波無線電力伝送装置150とが所定の位置関係にあるか否かを、以下のようにして判定することができる。すなわち、相対位置判定部160は、車両駐車台110が車両格納部51内で停止または停止直前にある(移動速度が所定の速度以下に低下している)とき、当該の車両駐車台110に設置された第1高周波無線電力伝送装置120と第2高周波無線電力伝送装置150とが所定の位置関係にあると判定し、車両駐車台110が所定の速度より高い速度で移動しているときは所定の位置関係にないと判定する。
【0031】
相対位置判定部160によって第1高周波無線電力伝送装置120と第2高周波無線電力伝送装置150とが所定の位置関係にあると判定されたとき、第1高周波無線電力伝送装置120と第2高周波無線電力伝送装置150とは相互に略対向する状態にあり、かつ両者の距離が所定範囲内にある。このように、第1高周波無線電力伝送装置120と第2高周波無線電力伝送装置150とが所定の距離範囲内で相互に略対向する状態にあるときは、第2高周波無線電力伝送装置150から第1高周波無線電力伝送装置120に電力を無線伝送することが可能となる。
【0032】
本実施形態では、第2高周波無線電力伝送装置150から第1高周波無線電力伝送装置120への無線電力伝送をオン/オフする切替部151が第2高周波無線電力伝送装置150に設けられている。切替部151は、相対位置判定部160による第1高周波無線電力伝送装置120と第2高周波無線電力伝送装置150との位置関係の判定結果に従って無線電力伝送を切り替える。すなわち、両者が所定の位置関係にあると判定されたときは無線電力伝送をオンにし、両者が所定の位置関係にないと判定されたときは無線電力伝送をオフにする。
【0033】
上記説明のように、本実施形態の充電システム101及び駐車場システム100は、第1高周波無線電力伝送装置120と第2高周波無線電力伝送装置150とが所定の位置関係にあるときに、無線電力伝送をオンにして駐車車両10への充電を可能にしている。これにより、車両格納部51ごとに無線電力伝送をオン/オフすることができ、駐車車両ごとに充電を管理することができる。
【0034】
また、本実施形態の充電システム101及び駐車場システム100は、駐車場建造物50内の車両格納部51のすべてに第2高周波無線電力伝送装置150を設置しておく必要はなく、一部の車両格納部51だけに設置されている場合でも適用可能である。さらに、必要に応じて第2高周波無線電力伝送装置を未設置の車両格納部51に追加して設置することも容易である。
【0035】
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る充電システム及び駐車場システムを、図2を用いて説明する。図2は、第2実施形態の充電システムの全体構成及び駐車場システムの部分構成を示す断面図である。本実施形態の充電システム201では、車両駐車台210のそれぞれに固有のID(識別符号)が付与されており、IDによって個々の車両駐車台210を識別できるように構成されている。また、駐車場建造物50内の各車両格納部51には、車両駐車台210のIDを判定するID判定手段252がそれぞれ備えられている。
【0036】
ID判定手段252は、当該の第2高周波無線電力伝送装置150が設置されている車両格納部51に移動してきた車両駐車台210に対して、それに付与されたIDを読み取り、該車両駐車台210が無線電力伝送を行う対象の車両駐車台であるか否かを判定する。本実施形態では、駐車する車両10が充電対象の車両のときは、該車両10を積載する車両駐車台210のIDをあらかじめ登録しておく。この登録は、例えば車両10が車両駐車台210に積載されたときに行うことができる。
【0037】
車両10を積載した車両駐車台210が所定の車両格納部51まで移動して停止すると、まず相対位置判定部160により車両駐車台210の第1高周波無線電力伝送装置120と第2高周波無線電力伝送装置150とが所定の位置関係にあることが判定される。そして、各車両格納部51に設けられているID判定手段252が、移動してきた車両駐車台210のIDを読み込み、このIDが充電対象として事前に登録されているかを判定する。その結果、該車両駐車台210のIDが事前に登録されていると判定されると、切替部151により無線電力伝送がオンにされる。一方、ID判定手段252で読み込まれたIDが事前に登録されていないと判定されると、切替部151により無線電力伝送がオフにされる。なお、本説明では、各車両格納部51に設けられているID判定手段252で車両駐車台210のIDを直接読み込む方式を説明したが、これに限らず、たとえば、車両駐車台210の位置とIDを管理するシステムがあれば、これを利用することも可能である。
【0038】
本実施形態の充電システム201及び駐車場システム200によれば、駐車車両10を積載する車両駐車台210のそれぞれに固有のIDを付与しておき、これを用いて駐車車両10への充電を管理することができる。これにより、充電を行う車両10を確実に管理することが可能となり、また不要な無線電力伝送を行わないようにすることができる。
【0039】
(第3実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る充電システム及び駐車場システムを、図3を用いて説明する。図3は、第3実施形態の充電システムの全体構成及び駐車場システムの部分構成を示す断面図である。本実施形態の充電システム301では、車両駐車台310に設置された第1高周波無線電力伝送装置320に充電量計量手段321が設けられている。
【0040】
充電量計量手段321は、車両駐車台310に積載されている車両10に充電が行われるとき、その充電量を積算する。車両10への充電は、第1高周波無線電力伝送装置320が第2高周波無線電力伝送装置150から無線伝送された電力を供給して行われることから、充電量計量手段321は無線電力伝送が開始されると電力量の積算を開始し、無線電力伝送が停止されると電力量の積算を終了する。これにより、充電量計量手段321を直接操作することなく、車両駐車台310に積載されている車両10への充電量を積算することが可能となる。
【0041】
本実施形態の充電システム301では、さらに車両駐車台310に情報伝送手段322を設けている。あるいは、情報伝送手段322を第1高周波無線電力伝送装置320に設けてもよい。情報伝送手段322は、充電量計量手段321で計量した電力量を中央制御装置(図示せず)に伝送する。中央制御装置では、情報伝送手段322で伝送されてきた電力量をもとに、車両10への充電に対する課金を行うことができる。
【0042】
(第4実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る充電システム及び駐車場システムを、図4を用いて説明する。図4は、第4実施形態の充電システムの全体構成及び駐車場システムの部分構成を示す断面図である。本実施形態の充電システム401では、第2高周波無線電力伝送装置450に充電量計量手段453が設けられている。また、駐車場建造物50内の各車両格納部51には、第2実施形態と同様に、車両駐車台210のIDを判定するID判定手段452が備えられている。
【0043】
充電量計量手段453は、第2高周波無線電力伝送装置450から第1高周波無線電力伝送装置120に無線伝送された電力量を積算する。この電力量は、第1高周波無線電力伝送装置120から車両駐車台210に積載されている車両10に充電された充電量に相当する。よって、充電量計量手段453は、第2高周波無線電力伝送装置450から第1高周波無線電力伝送装置120に無線伝送が開始されると電力量の積算を開始し、無線電力伝送が停止されると電力量の積算を終了することにより、車両駐車台210に積載されている車両10への充電量を積算することが可能となる。
【0044】
また、充電量計量手段453は、ID判定手段452から車両駐車台210のIDを取得する。そして、車両駐車台210に積載されている車両10への充電量を車両駐車台210のIDとともに記録して管理する。
【0045】
本実施形態の充電システム401においても、さらに駐車場建造物50に情報伝送手段454を設けている。あるいは、情報伝送手段454を第2高周波無線電力伝送装置450に設けてもよい。情報伝送手段454は、充電量計量手段453で計量した電力量を車両駐車台210のIDとともに中央制御装置(図示せず)に伝送する。中央制御装置では、情報伝送手段454で伝送されてきた車両駐車台210のIDごとの電力量をもとに、車両10への充電に対する課金を行うことができる。
【0046】
上記の第3実施形態では充電量計量手段321が第1高周波無線電力伝送装置320に設けられ、本実施形態では充電量計量手段453が第2高周波無線電力伝送装置450に設けられていた。本発明の充電システムの別の実施形態として、第1高周波無線電力伝送装置120にかえて充電量計量手段321を設けた第1高周波無線電力伝送装置320を用い、これと本実施形態の第2高周波無線電力伝送装置450とを組み合わせて用いてもよい。
【0047】
充電量計量手段321、453をそれぞれ設けた第1高周波無線電力伝送装置320及び第2高周波無線電力伝送装置450を用いるようにしたときは、充電システムの誤動作、特に充電量計量手段321、453の誤動作をチェックすることができる。すなわち、すべての第1高周波無線電力伝送装置320の充電量計量手段321で積算された充電量の合計と、すべての第2高周波無線電力伝送装置450の充電量計量手段453で積算された充電量の合計とを比較し、両者が所定の誤差範囲内で一致しないときは、充電量計量手段321、453のいずれかが誤動作している可能性が高い。そこで、充電量の合計が一致しないことが検知されると、中央制御装置等にエラー情報を表示させる。これにより、充電システムの誤動作を早期に検知することができる。
【0048】
(第5実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る駐車場システムを、図5を用いて説明する。図5は、第5実施形態の駐車場システムの構成を示す断面図である。本実施形態の駐車場システム500(500a、500b)は、車両10を積載する車両駐車台のすべてに第1高周波無線電力伝送装置が設置されているとは限らず、一部の車両駐車台には第1高周波無線電力伝送装置が設置されていない場合に適用されるものである。
【0049】
以下では、本実施形態の駐車場システム500が、第1実施形態と同様に第1高周波無線電力伝送装置120を設置した車両駐車台110と、第1高周波無線電力伝送装置を設置しない車両駐車台510と、の両方を備えているものとして説明する。また、第2高周波無線電力伝送装置150についても、車両駐車台の全台数(車両駐車台110と車両駐車台510との合計)よりも少ない設置数であるとする。
【0050】
このような駐車場システム500では、充電が必要な車両10を優先的に車両駐車台110に積載し、これを第2高周波無線電力伝送装置150が設置されている車両格納部51に優先的に移動させるのがよい。しかしながら、第1高周波無線電力伝送装置120の設置数と第2高周波無線電力伝送装置150の設置数とが一致しないときは、どちらの設置数が多いかによって好適な運用方法が異なってくる。
【0051】
まず、第2高周波無線電力伝送装置150の設置数が第1高周波無線電力伝送装置120の設置数より少ないときは(図5(a)に示す駐車場システム500a)、第2高周波無線電力伝送装置150を設置した車両格納部51に第1高周波無線電力伝送装置120を設置した車両駐車台110を移動させるのを優先的に行う。すなわち、第2高周波無線電力伝送装置150を設置した車両格納部51には車両駐車台510をできるだけ移動させず、また第2高周波無線電力伝送装置150を設置した車両格納部51に空きができると車両駐車台110を優先的に移動させる。これにより、少ない第2高周波無線電力伝送装置150を最大限利用して車両10への充電を行わせることができる。
【0052】
一方、第1高周波無線電力伝送装置120の設置数が第2高周波無線電力伝送装置150の設置数より少ないときは(図5(b)に示す駐車場システム500b)、第1高周波無線電力伝送装置120が設置された車両駐車台110を、第2高周波無線電力伝送装置150が設置された車両格納部51に優先的に移動させる。すなわち、車両駐車台110が、第2高周波無線電力伝送装置150が設置された車両格納部51にできるだけ移動できるように車両格納部51を運用する。これにより、少ない車両駐車台110を最大限利用して車両10への充電を行わせることができる。
【0053】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る充電システム及び駐車場システムの一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における充電システム及び駐車場システムの細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、図1から図4において、例えば充電量計量手段321は第1高周波無線電力伝送装置320と一体に図示され、充電量計量手段453は第2高周波無線電力伝送装置450と一体に図示されているのに対し、相対位置判定部160やID判定手段452は第1高周波無線電力伝送装置320及び第2高周波無線電力伝送装置450とは別体のものとして図示されているが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0054】
10 車両
50 駐車場建造物
51 車両格納部
52 レール
100、200,300、400、500 駐車場システム
101、201、301、401 充電システム
110、210、310、510 車両駐車台
120、320 第1高周波無線電力伝送装置
130 車両充電部
150、450 第2高周波無線電力伝送装置
151 切替部
160 相対位置判定部
252、452 ID判定手段
321、453 充電量計量手段
322、454 情報伝送手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を積載して移動可能な車両駐車台と、
前記車両駐車台に設置された第1高周波無線電力伝送装置と、
駐車場建造物に設置された第2高周波無線電力伝送装置と、
前記車両駐車台に設置されて前記車両に搭載された2次電池を充電する車両充電部と、を備え、
前記第1高周波無線電力伝送装置が前記第2高周波無線電力伝送装置に対し所定の位置関係となるように前記車両駐車台が移動されたとき、前記第2高周波無線電力伝送装置から前記第1高周波無線電力伝送装置に無線電力伝送が行われる
ことを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記所定の位置関係は、前記第1高周波無線電力伝送装置と前記第2高周波無線電力伝送装置とが少なくとも相互に略対向する位置関係である
ことを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記第1高周波無線電力伝送装置が前記第2高周波無線電力伝送装置に対し所定の位置関係にあるか否かを判定する相対位置判定部を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記第2高周波無線電力伝送装置は、前記第1高周波無線電力伝送装置への前記無線電力伝送をオン/オフする切替部を備え、
前記相対位置判定部は、前記車両駐車台が停止または停止直前のときに前記第1高周波無線電力伝送装置が前記所定の位置関係にあると判定し、
前記相対位置判定部で前記所定の位置関係にあると判定されたときに前記切替部により前記無線電力伝送がオンにされる一方、前記所定の位置関係にないと判定されたときは前記切替部により前記無線電力伝送がオフにされる
ことを特徴とする請求項3に記載の充電システム。
【請求項5】
前記車両駐車台にそれぞれ付与されたID(識別符号)に基づいて前記無線電力伝送を行う対象の車両駐車台であるか否かを判定するID判定手段を備え、
前記ID判定手段で前記対象の車両駐車台であると判定され、かつ前記相対位置判定部で前記所定の相対位置にあると判定されたときに前記無線電力伝送が行われる
ことを特徴とする請求項3または4に記載の充電システム。
【請求項6】
前記第1高周波無線電力伝送装置は、前記車両駐車台に積載された車両への充電量を計量する充電量計量手段を有し、
前記充電量計量手段は、前記無線電力伝送が行われている期間の前記車両への充電量を積算する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項7】
前記第2高周波無線電力伝送装置は、前記車両駐車台に積載された車両への充電量を計量する充電量計量手段を有し、
前記充電量計量手段は、前記車両駐車台にそれぞれ付与されたID(識別符号)ごとに前記無線電力伝送が行われている期間の前記車両への充電量を積算する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項8】
前記第1高周波無線電力伝送装置及び前記第2高周波無線電力伝送装置は、前記車両駐車台に積載された車両への充電量を計量する充電量計量手段をそれぞれ有し、
すべての前記第1高周波無線電力伝送装置の前記充電量計量手段で積算された充電量の合計がすべての前記第2高周波無線電力伝送装置の前記充電量計量手段で積算された充電量の合計と一致しないときは、エラー情報を出力する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項9】
前記充電量計量手段で計量された充電量を中央制御装置に伝送する情報伝送手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項10】
前記車両充電部は、急速充電手段または普通充電手段を有している
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の充電システムを備える
ことを特徴とする駐車場システム。
【請求項12】
前記第1高周波無線電力伝送装置及び前記第2高周波無線電力伝送装置のそれぞれの設置数が前記車両駐車台の台数より少なく、かつ前記第2高周波無線電力伝送装置の設置数が前記第1高周波無線電力伝送装置の設置数より少ないとき、
前記第2高周波無線電力伝送装置には、前記第1高周波無線電力伝送装置が設置された前記車両駐車台が前記所定の位置関係となるように優先的に移動して停止する
ことを特徴とする請求項11に記載の駐車場システム。
【請求項13】
前記第1高周波無線電力伝送装置及び前記第2高周波無線電力伝送装置のそれぞれの設置数が前記車両駐車台の台数より少なく、かつ前記第1高周波無線電力伝送装置の設置数が前記第2高周波無線電力伝送装置の設置数より少ないとき、
前記第1高周波無線電力伝送装置が設置された前記車両駐車台が、前記第2高周波無線電力伝送装置に対し前記所定の位置関係となるように優先的に移動して停止する
ことを特徴とする請求項11に記載の駐車場システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−110877(P2013−110877A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254608(P2011−254608)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】