説明

充電システム

【課題】 車室に対してそれぞれ充電スタンドが設置されていない場合でも、充電スタンドを利用して車両に適正に充電することのできる充電システムを提供する。
【解決手段】 電気車両を駐車可能とした駐車場2に設置される車室3と、少なくとも1以上設置され車室3に駐車した車両の充電を行う充電スタンド4と、車両の充電受付を行うとともにこの充電受付に基づいて充電スタンド4による充電の制御を行う充電制御装置6と、を備え、充電制御装置6により、車両が駐車した車室情報と、充電受付情報に基づく充電スタンド情報とを関連付けて登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は充電システムに係り、特に、車室に対してそれぞれ充電スタンドが設置されていない場合でも、充電スタンドを利用して車両に適正に充電することを可能とした充電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車が普及しつつあり、電気自動車に対する充電システムが開発されてきている。このような充電システムにおいては、電気自動車を駐車場に駐車させた際に、車両に対して充電することが行われている。
【0003】
このように駐車場において、車両のバッテリに対して充電を行うシステムとして、従来、例えば、駐車場の利用によって生じる駐車料金および充電設備の利用によって生じる充電料金を管理するサーバと、駐車場の車両出口に設けられる第1精算機と、駐車場の出口以外の場所に設けられる第2精算機と、を備え、充電設備を利用している者が駐車場の利用を終了する場合、第2精算機による精算時に、充電を停止するか否かの選択を受け付け、充電の停止の選択を受け付けた場合、充電料金と駐車料金との合計を第2精算機によって利用者に提示し、充電の継続の選択を受け付けた場合、当該利用者の車両への充電を継続し、充電料金と駐車料金との合計を前記第1精算機によって利用者に提示するようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、その他の技術として、従来から、駐車場の内部に電気自動車のバッテリを充電する充電装置と充電情報入出力装置とを設け、充電を行うと駐車券などに充電情報を記録し、出庫時にこの駐車券などを料金精算機に挿入すると、駐車料金と充電料金が算出され、これら各料金の精算を済ませると出口ゲートが開いて車両の出庫を可能にするようにした技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−103048公報
【特許文献2】特開2001−312772公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1および特許文献2に記載の技術においては、駐車料金と充電料金とを精算することができるものである。この場合に、駐車場の各車室に対して充電スタンドを設置している場合には、あまり問題はないが、各車室に対してそれぞれ充電スタンドを設置していない駐車場においては、充電スタンドが設置されている充電専用車室に充電が不要なガソリン車が駐車してしまうと、電気自動車が充電することができなくなってしまうという問題を有している。また、駐車場の各車室に対してそれぞれ充電スタンドが設置されている場合でも、充電スタンドが故障して充電することができない場合には、同様の問題が生じてしまう。
【0007】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、車室に対してそれぞれ充電スタンドが設置されていない場合でも、充電スタンドを利用して車両に適正に充電することのできる充電システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1の発明に係る充電システムは、電気車両を駐車可能とした駐車場に設置される車室と、
少なくとも1以上設置され、前記車室に駐車した車両の充電を行う充電スタンドと、
前記車両の充電受付を行うとともに、この充電受付に基づいて前記充電スタンドによる充電の制御を行う充電制御装置と、を備え、
前記充電制御装置は、前記車両が駐車した車室情報と、充電受付情報に基づく充電スタンド情報とを関連付けて登録することを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記充電制御装置は、前記充電受付を行うとともに、充電する前記充電スタンドを入力するための入力部をさらに備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2において、前記充電制御装置は、充電受付に基づいた前記充電スタンドの充電制御を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項において、前記充電制御装置は、前記駐車場の精算機に設置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項4において、前記充電スタンドは、前記車両の電源プラグがコンセントに差し込まれた状態でロックするためのロック機構をさらに備えており、前記充電制御装置は、前記精算機による精算処理が完了した場合にのみ前記ロック機構の解除処理を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項において、前記充電スタンドは、複数の車室に対して1つ設置されることを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項において、前記充電スタンドは、前記車室外に設置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、充電制御装置により、車両が駐車した車室情報と、充電受付情報に基づく充電スタンド情報とを関連付けて登録するようにしているので、車室ごとに設置されていない充電スタンドを利用して車両に充電した場合でも、駐車した車室と充電スタンドとを結びつけて管理することができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、充電制御装置に、充電受付を行うとともに、充電する充電スタンドを入力するための入力部を設けるようにしているので、入力部により、入力した充電スタンド情報に基づいて、車両が駐車した車室情報と、充電受付情報に基づく充電スタンド情報とを関連付けて登録することができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、充電制御装置により、充電受付に基づいた充電スタンドの充電制御を行うようにしているので、充電受付が適正になされた充電スタンドのみで充電制御を行うことができ、充電受付がなされていない充電スタンドによる充電を防止することができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、充電制御装置を駐車場の精算機に設置するようにしているので、あらかじめ関連付けられた車室情報と充電スタンド情報とに基づいて、駐車料金と充電料金とを適正に精算することができる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、充電スタンドに、車両の電源プラグがコンセントに差し込まれた状態でロックするためのロック機構を設け、充電制御装置により、精算機による精算処理が完了した場合にのみロック機構の解除処理を行うようにしているので、精算が完了する前に電源プラグを外すことができないことになり、充電スタンドの不正な利用を確実に防止することができる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、充電スタンドを、複数の車室に対して1つ設置するようにしているので、複数の車室に駐車する車両で、1つの充電スタンドを共用して充電を行うことができる。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、充電スタンドを、車室外に設置するようにしているので、車室に駐車する車両で、車室外の充電スタンドを共用して充電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る充電システムの実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る充電システムの実施形態における制御構成を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係る充電システムの実施形態における充電動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る充電システムの実施形態における充電スタンドの設置例を示す概略構成図である。
【図5】本発明に係る充電システムの実施形態における充電スタンドの他の設置例を示す概略構成図である。
【図6】本発明に係る充電システムの実施形態における充電スタンドの他の設置例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は本発明に係る充電システムの実施形態を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態の充電システムは、例えば、電気自動車などのバッテリの電力で走行する車両1を駐車させるため、駐車場2に設置されるものであり、この駐車場2は、複数の車室3を備えている。これら各車室3のうち一部の車室3には、充電スタンド4が設置されており、本実施形態においては、図1において、充電スタンド4は、左側の3つの車室3に設置され、右側の3つの車室3には設置されていない。また、駐車場2には、精算機5が設置されており、この精算機5の内部には、充電システムを構成する充電制御装置6が収容されている。さらに、車室3には、車室に駐車した車両の有無を検出するための車両検出器14が設置されている。
【0025】
また、図2に示すように、充電システムは、外部電源からの電力が供給される分電盤7を備えており、分電盤7には、漏電遮断器8が設置されている。また、充電制御装置6には、充電の各種制御を行うための充電制御部9が設けられている。また、充電制御装置6には、駐車場2の利用者が充電予約の受付などの操作を行うための入力部としてのキー入力部10が設けられており、充電制御装置6には、所定の表示を行う表示部11が設けられている。
【0026】
さらに、充電制御装置6には、キー入力部10により入力された充電受付情報を充電リストとして記憶する充電用メモリ12が設けられており、充電制御装置6には、充電時間を計測する充電用タイマ13が設けられている。
【0027】
また、本実施形態においては、充電制御装置6には、後述する車室側充電ユニット15との間で信号の送受信を行うための通信部16が設けられている。
【0028】
また、車室3に設置された充電スタンド4には、それぞれ車室側充電ユニット15が収容されており、車室側充電ユニット15には、各種制御を行う車室側制御部17が設けられている。また、車室側充電ユニット15には、充電制御装置6との通信を行うための車室側通信部18が設けられており、この車室側通信部18と充電制御装置6の通信部16とは、制御用通信線19を介して接続されている。
【0029】
また、各車室側充電ユニット15には、車室3に駐車した車両1の電源プラグ20が差し込まれるコンセント21が設けられている。本実施形態においては、コンセント21部分には、コンセント21部分を被覆するカバー部材22が設けられており、さらに、コンセント21部分には、車室側制御部17の制御信号により、カバー部材22を閉状態に保持するロック機構23が設けられている。このロック機構23は、コンセント21に電源プラグ20が差し込まれた状態で、カバー部材22を閉状態に保持するものである。なお、カバー部材22を設けない場合には、ロック機構23として、コンセント21に差し込まれた電源プラグ20が抜けないように保持する機構で構成するようにしてもよい。
【0030】
また、車室側充電ユニット15には、コンセント21に電気的に接続された電力開閉器24が設けられており、電力開閉器24は、電源幹線24との接続を開閉するスイッチであり、分電盤7からの電源幹線24が漏電遮断器25を介して接続されている。また、車室側制御部17は、充電制御部9の通信部16から車室側通信部18を介して送られる充電ON信号に基づいて、電力開閉器24をON動作させるように構成されている。そして、電力開閉器24がON動作されると、電源幹線24とコンセント21とを接続してコンセント21に電源が供給されて充電が開始されるように構成されている。そして、充電が開始されると、充電用タイマ13により充電時間の計測を開始するように構成されている。
【0031】
また、本実施形態においては、充電制御部9は、駐車場2の利用者がキー入力部10を操作して充電時間などの充電受付情報、車室番号などの車室情報および充電スタンド番号などの充電スタンド情報を入力して充電予約を行った場合に、車室情報と充電スタンド情報とを関連付けて、充電受付情報とともに、充電リストとして充電用メモリ12に記憶させるように構成されている。そして、充電制御部9は、充電用メモリ12に記憶された充電リストから充電の対象となる充電スタンド番号を読み出し、この対象となる番号の充電スタンド4における充電が可能となるように充電ON信号を車室側充電ユニット15に出力するように構成されている。
【0032】
また、精算機6は、駐車料金の精算制御などを行うための精算制御部26を備えており、精算機6は、駐車時間を計測する駐車用タイマ27を備えている。そして、本実施形態においては、精算制御部26は、車両1が車室3に駐車したことを車両検出器14により検出した場合に、駐車用タイマ27により駐車時間の計測を開始し、精算時には、駐車用タイマ27の駐車時間に基づいて駐車料金を算出するとともに、車室情報と関連付けられた充電スタンド情報に基づいて該当する充電スタンド4による充電料金を計算するように構成されている。
【0033】
次に、本実施形態の充電動作について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0034】
本実施形態においては、まず、駐車場2の利用者が車両1の充電を希望する場合は、駐車した車室3の近傍に設置された充電スタンド4における車室側充電ユニット15のカバー部材22を開いて、コンセント21に、車両1の充電プラグを差し込む(ST1)。その後、充電制御装置6において、駐車場2の利用者がキー入力部10を操作して充電時間などの充電受付情報、車室番号などの車室情報および充電スタンド番号などの充電スタンド情報を入力して充電予約の入力を行う(ST2)。そして、車室情報と充電スタンド情報とを関連付けて、充電受付情報とともに、充電リストとして駐車用メモリ12に記憶させる(ST3)。なお、車両検出器14により車室3に車両1が駐車したことを検出した場合に、駐車用タイマ27により駐車時間の計測を行う。
【0035】
そして、利用者が表示部11の案内表示にしたがって充電の確認を選択すると(ST4)、充電制御部9から車室側制御部17に信号を出力し、車室側制御部17によりロック機構23を動作させてカバー部材22をロックさせる(ST5)。そして、ロックが完了したら(ST6:YES)、電力開閉器24をONにして給電が開始される(ST7)。一方、ロックが完了しない場合は(ST6:NO)、ロックできない旨の異常を報知する(ST8)。なお、利用者が表示部11の案内表示にしたがってキャンセルを選択すると(ST14)、充電は行わない。
【0036】
そして、充電予約による充電時間が経過したら、電力開閉器24をOFFに制御して充電を終了する(ST9)。
【0037】
そして、利用者が駐車場2から出庫する際に、キー入力部10により車室番号を入力することにより、精算機5の精算制御部26により、駐車用タイマ27による駐車時間に基づいて駐車料金を計算するとともに、車室情報と関連付けられた充電スタンド情報に基づいて該当する充電スタンド4による充電料金を計算し、料金の精算を行う(ST10)。料金の精算が完了したら(ST11:YES)、カバー部材22のロック機構23を解除し(ST12)、利用者が電源プラグ20を外して、カバー部材22を閉めることにより(ST13)、充電を終了する。
【0038】
以上述べたように、本実施形態においては、車室番号などの車室情報と、充電スタンド情報とを関連付けて記憶しておくようにしているので、車室3ごとに設置されていない充電スタンド4を利用して車両に充電した場合でも、駐車した車室3と充電スタンド4とを結びつけて管理することができ、駐車料金と充電料金とを適正に精算することができる。また、本実施形態においては、カバー部材22のロック機構23により、充電中は電源プラグ20をロックするとともに、精算が完了した場合に、ロックを解除するようにしているので、精算が完了する前に電源プラグ20を外すことができないことになり、充電スタンド4の不正な利用を確実に防止することができる。
【0039】
なお、前記実施形態においては、車室3の一部に充電スタンド4を設置する場合の例として、図1において、左側の3つにのみ充電スタンド4を設置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図4に示すように、3つの車室3ごとに1つの充電スタンド4を設置するようにしてもよい。さらに、図5に示すように、車室3を互いに向かい合うように2列に配置し、互いに向かい合う車室3の間部分に1つの充電スタンド4を設置するようにしてもよいし、図6に示すように、車室3外の場所に充電スタンド4を設置するようにしてもよい。
【0040】
また、前記実施形態においては、充電制御装置を精算機5に設置した場合について説明したが、その他、入場機や事前精算機に設置するようにしてもよい。さらに、前記実施形態においては、車室情報および充電スタンド情報をキー入力部10により、入力するようにしたが、車室3に車両を検出する車両検出装置および電源プラグ20が差し込まれたことを検出する検出装置をそれぞれ設置し、駐車した車室3と利用される充電スタンド4とを自動的に認識するようにしてもよい。
【0041】
また、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 車両
2 駐車場
3 車室
4 充電スタンド
5 精算機
6 充電制御装置
7 分電盤
8 漏電遮断器
9 充電制御部
10 キー入力部
11 表示部
12 充電用メモリ
13 充電用タイマ
14 車両検出器
15 車室側充電ユニット
16 通信部
17 車室側制御部
18 車室側通信部
19 制御用通信線
20 電源プラグ
21 コンセント
22 カバー部材
23 ロック機構
24 電力開閉器
25 漏電遮断器
26 精算制御部
27 駐車用タイマ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両を駐車可能とした駐車場に設置される車室と、
少なくとも1以上設置され、前記車室に駐車した車両の充電を行う充電スタンドと、
前記車両の充電受付を行うとともに、この充電受付に基づいて前記充電スタンドによる充電の制御を行う充電制御装置と、を備え、
前記充電制御装置は、前記車両が駐車した車室情報と、充電受付情報に基づく充電スタンド情報とを関連付けて登録することを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記充電制御装置は、前記充電受付を行うとともに、充電する前記充電スタンドを入力するための入力部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記充電制御装置は、充電受付に基づいた前記充電スタンドの充電制御を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記充電制御装置は、前記駐車場の精算機に設置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項5】
前記充電スタンドは、前記車両の電源プラグがコンセントに差し込まれた状態でロックするためのロック機構をさらに備えており、前記充電制御装置は、前記精算機による精算処理が完了した場合にのみ前記ロック機構の解除処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の充電システム。
【請求項6】
前記充電スタンドは、複数の車室に対して1つ設置されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項7】
前記充電スタンドは、前記車室外に設置されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の充電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−65232(P2013−65232A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204169(P2011−204169)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】