説明

充電スタンド案内システム

【課題】個別に充電スタンドを割り当てることができ、割り当てた充電スタンドへ車両を案内することができる充電スタンド案内システムを提供する。
【解決手段】充電スタンド案内システム10では、充電制御部45は、車両が所定範囲内にある場合には、充電スタンド20の利用状態に基づいて充電条件を満足する充電スタンド20を選択する。また車載制御部37は、充電条件を満足する充電スタンド20の位置が目的地となるように、経路探索処理を実行する。さらに充電制御部45は、選択した充電スタンド20にて駐車場所情報を送信した車両以外の他の車両への充電を禁止するように充電スタンド20を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両バッテリが搭載された車両を充電スタンドに案内する充電スタンド案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両バッテリが搭載された車両は、車両バッテリに充電する際に特定スペース内に複数の充電スタンドを設置した充電ステーションを用いることがある。このような充電ステーションを利用する場合には、充電スタンドが複数あるので、全体の利用状況が把握できないという問題がある。たとえば充電スタンドの駐車スペースに車両が駐車しているか否かで充電スタンドの空きを確認することも可能であるが、充電ステーションが広かったり、あるいは多層階にわたったりしている場合には、目視による全体の把握は困難な上、走行中の確認も困難であるという問題がある。
【0003】
このような問題を解決する技術が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の技術では、充電スタンドの空き状態、各充電スタンドの残り充電時間等の情報を表示する充電案内装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−161912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の特許文献1に記載の技術では、いわゆる電子看板のような充電案内装置を用いているので、不特定多数の車両の運転者が視認可能である。したがって同じ情報が複数の運転者に提供されることになる。これによって空き充電スタンドが複数ある場合であっても、運転者に個別に空き充電スタンドが割り当てられるわけではないので、同じ空き充電スタンドに複数の車両が殺到する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、個別に充電スタンドを割り当てることができ、割り当てた充電スタンドへ車両を案内することができる充電スタンド案内システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0008】
請求項1に記載の発明では、充電場(11)内に複数設置され、車両(30)に搭載された車両バッテリに電力を充電する充電スタンド(20)と、充電スタンドの稼働状態を制御し、車両を充電スタンドに案内する案内装置(40)と、車両に搭載され、情報出力部(35)を有する車載装置(31)と、を含む充電スタンド案内システム(10)であって、
車載装置は、
案内装置と通信する車載通信手段(36)と、
車両の現在位置を検出する位置検出手段(32)と、
現在位置から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段(37)と、
車両バッテリに充電する際に許容できる充電条件が記憶される車載記憶手段(33)と、
情報出力部から出力される情報を制御する車載制御手段(37)と、とを含み、
案内装置は、
車載装置と通信する案内通信手段(41)と、
充電スタンドの稼働状態を取得する稼働状態取得手段(43)と、
車両の位置を取得する位置取得手段(41)と、
充電条件を取得する条件取得手段(41)と、
取得した車両の位置に基づいて、車両が所定範囲内にあるか否かを判断する判断手段(41)と、
所定範囲内にある場合には、充電スタンドの稼働状態に基づいて充電条件を満足する充電スタンドを選択し、選択した充電スタンドの位置を示すスタンド案内情報を車載装置に送信するように案内通信手段を制御する案内制御手段(45)と、を含み、
案内制御手段は、スタンド案内情報を送信した車両以外の他の車両への充電を禁止するように選択した充電スタンドを制御し、
車載制御手段は、車載通信手段によって受信されたスタンド案内情報を用いて充電スタンドの位置が目的地となるように、経路探索手段を制御することを特徴とする充電スタンド案内システムである。
【0009】
請求項1に記載の発明に従えば、案内制御手段は、車両が所定範囲内にある場合には、充電スタンドの稼働状態に基づいて充電条件を満足する充電スタンドを選択する。所定範囲内は、たとえば複数の充電スタンドが設置される充電場内、およびその近傍を含む範囲である。このような所定範囲内にある場合には、車両が充電スタンドを探している可能性が高いからである。選択される充電スタンドは、充電スタンドの稼働状態に基づいて充電条件を満足する充電スタンドである。稼働状態は、たとえば現在、他の車両が充電中(使用中)である状態、充電予約されている状態、空き状態などである。また充電条件は、たとえば所定時間内に所定量まで充電するといった条件、および充電コストの条件などである。このような充電条件を満足する充電スタンドが案内制御手段によっていわば自動的に選択されるので、運転者(利用者)は、複数の充電スタンドから自分で1つの充電スタンドを選ぶ必要がない。
【0010】
また車載制御手段は、充電条件を満足する充電スタンドの位置が目的地となるように、経路探索手段を制御する。したがって運転者は、情報出力部からの情報によって、充電スタンドが複数ある充電場であっても、選択された充電スタンドまで容易に辿り着くことができる。したがって充電スタンドを探し回る必要がないので、利便性を向上することができる。
【0011】
さらに案内制御手段は、選択した充電スタンドにてスタンド案内情報を送信した車両以外の他の車両への充電を禁止するように充電スタンドを制御する。したがってスタンド案内情報を受信した車両に、充電スタンドが個別に割り当てられることになる。これによって他の車両が充電スタンドを使用することができないので、同一の充電スタンドに複数の車両が殺到することを防止することができる。これによって充電スタンドの利便性を向上することができる。このように本発明の充電スタンド案内システムでは、個別に充電スタンドを割り当てることができ、割り当てた充電スタンドへ車両を案内することができるシステムを実現することができる。
【0012】
また請求項2に記載の発明では、案内制御手段は、充電条件を満足する充電スタンドが複数ある場合には、車両の位置に最も近い1つの充電スタンドを選択することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明に従えば、充電条件を満足する充電スタンドが複数ある場合には、車両の位置に最も近い1つの充電スタンドが選択されるので、利用者は最寄りの充電スタンドを利用することができる。したがって充電スタンドまでの移動時間が短くすることができる。
【0014】
さらに請求項3に記載の発明では、複数の充電スタンドのうち少なくとも1つの充電スタンドは、他の充電スタンドと車両バッテリに充電電力を供給する充電速度が互いに異なり、
案内制御手段は、充電スタンドの稼働状態および充電速度に基づいて、充電条件を満足する充電スタンドを選択することを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明に従えば、充電スタンドの稼働状態および充電速度に基づいて、充電条件を満足する充電スタンドが選択される。これによって充電速度が互いに異なる充電スタンドがある場合であっても、短時間での充電を希望する場合には、充電速度が高速な充電スタンドが選択されることなる。したがって利用者の希望に沿った充電スタンドを案内することができる。
【0016】
さらに請求項4に記載の発明では、案内制御手段は、充電条件を満足する充電スタンドがない場合には、充電条件に近い充電スタンドを少なくとも1つ選択することを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明に従えば、充電条件を満足する充電スタンドがない場合には、充電条件に近い充電スタンドが少なくとも1つ選択される。したがって充電条件を満足しない場合であっても、充電条件に近い充電スタンドが案内される。また、これによって利用者は、充電条件を満足しない充電スタンドで充電するか否かを判断することができる。
【0018】
さらに請求項5に記載の発明では、複数の充電スタンドは、情報を外部に報知する報知手段(24)をそれぞれ含み、
案内制御手段は、選択した充電スタンドの報知手段によって、選択されたことを示す情報を報知するように制御することを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明に従えば、選択した充電スタンドの報知手段によって、選択されたことを示す情報が報知される。選択されると他の車両は充電することができないので、他の車両の運転者は報知手段によって、いわば空き充電スタンドであっても利用不可(予約済み)と認識することができる。また報知手段によって、利用者は、選択された充電スタンドに間違いないか否かを確認することができる。
【0020】
さらに請求項6に記載の発明では、案内装置は、いずれか1つの充電スタンドに搭載されていることを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明に従えば、案内装置は、いずれか1つの充電スタンドに搭載されているので、案内装置を別体で設置するスペースが必要なく、構成を簡素にすることができる。
【0022】
さらに請求項7に記載の発明では、情報出力部は、画像を表示する車載表示部(35)であり、
車載制御手段は、案内経路を地図に重ねて表示するよう車載表示部を制御し、
スタンド案内情報には、充電場の地図情報と、充電場内の充電スタンドの位置情報と、を含み、
車載制御手段は、
車載通信手段によって受信されたスタンド案内情報に地図情報が含まれるとき、地図情報を記憶するように車載記憶手段を制御し、
車両が充電場内にあるとき、車載記憶手段に充電場を示す地図情報が記憶されている場合には、地図情報の送信を拒否する送信拒否情報を案内装置に送信するように車載通信手段を制御し、
案内制御手段は、
案内通信手段によって送信拒否情報を受信した場合には、スタンド案内情報を送信するとき、地図情報を送信せずに、位置情報を車載装置に送信するように案内通信手段を制御し、
案内通信手段によって送信拒否情報を受信していない場合には、スタンド案内情報を送信するとき、地図情報と位置情報とを車載装置に送信するように案内通信手段を制御することを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の発明に従えば、車載制御手段は、車両が充電場内にあるとき、車載記憶手段に充電場を示す地図情報が記憶されている場合には、地図情報の送信を拒否する送信拒否情報を送信するように車載通信手段を制御する。これによって案内制御手段は、スタンド案内情報を送信するとき、地図情報を送信せずに、位置情報を車載装置に送信するように案内通信手段を制御する。これに対して案内制御手段は、送信拒否情報を受信していない場合には、スタンド案内情報を送信するとき、地図情報と位置情報とを車載装置に送信するように案内通信手段を制御している。そして車載制御手段は、スタンド案内情報に地図情報が含まれるとき、地図情報を記憶するように車載記憶手段を制御する。
【0024】
したがって初めて訪れた充電場では地図情報が送信されるので、その地図情報を記憶することによって、次回からは車載記憶手段に記憶される地図情報を用いることができる。充電スタンドの位置情報は毎回変更されるものであるが、地図情報は変更される可能性が低い。したがって地図情報が既に車載記憶手段に記憶されている場合には、記憶されている地図情報は用いて対応することができる。また地図情報は比較的情報量が多いので、このように情報量が多い情報の送受信を避けることができる。したがってより高速な情報の送受信が可能となる。
【0025】
さらに請求項8に記載の発明では、案内制御手段は、充電条件を満足する充電スタンドがない場合には、選択する充電スタンドがないことを示す案内不可情報を車載装置に送信するように案内通信手段を制御し、
車載制御手段は、車載通信手段によって受信された案内不可情報を表示するように車載表示部を制御することを特徴とする。
【0026】
請求項8に記載の発明に従えば、充電条件を満足する充電スタンドがない場合には、案内不可情報を表示するように車載表示部が車載制御手段によって制御される。これによって利用者は、充電条件を満足する充電スタンドがないことを素早く認識することができる。
【0027】
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】充電スタンド案内システム10の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】充電スタンド案内システム10を示す模式図である。
【図3】充電スタンド案内処理を示すフローチャートである。
【図4】車載表示部35に表示される画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に関して、図1〜図4を用いて説明する。図1は、第1実施形態の充電スタンド案内システム10の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。図2は、充電スタンド案内システム10を示す模式図である。充電スタンド案内システム10は、図2に示すように、複数の充電スタンド20が設置される充電ステーション(充電場)11にて用いられる。充電スタンド20は、たとえばプラグインハイブリッド自動車および電気自動車などの車両30に搭載される車両バッテリ(図示せず)に電力を供給して、車両バッテリを充電するための装置である。充電スタンド案内システム10は、充電ステーション11において、充電可能な充電スタンド20に車両30を案内するシステムである。充電スタンド案内システム10は、複数の充電スタンド20と、充電スタンド20の稼働状態を制御する充電スタンド誘導装置(案内装置)40と、車両30に搭載されるナビゲーション装置(車載装置)31と、を含んで構成される。
【0030】
先ず、ナビゲーション装置31に関して説明する。ナビゲーション装置31は、車両乗員(ユーザ)によって設定される目的地への経路を案内する経路案内装置である。ナビゲーション装置31は、車両乗員がナビゲーション装置31を操作することによって、たとえば目的地までの経路を探索する経路探索処理、目的地までの経路を案内する経路案内処理などを実行する。ナビゲーション装置31は、位置検出器32、地図情報記憶部33、操作スイッチ34、車載表示部35、車載通信部36、および車載制御部37を含んで構成される。
【0031】
車載制御部37は、ナビゲーション装置31の各部を制御する車載制御手段であって、図示は省略するが、中央演算処理装置(Central Processing Unit:略称CPU)、ロム(Read-Only Memory:略称ROM)、ラム(Random Access Memory:略称RAM)、および入出力(Input and Output:略称I/O)ポートを備えるマイクロコンピュータと、所定のデータを書換え可能に記憶する電気的消却プログラム可能型ロム(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory:略称EEPROM)等の不揮発性メモリとを有している。ROMには、各種処理を実行するための実行プログラムと、各実行プログラムを実行するための設定情報などが記憶されている。車載制御部37は、位置検出器32、地図情報記憶部33、操作スイッチ34、車載表示部35、および車載通信部36と電気的に接続される。車載制御部37は、ROMに書き込まれた実行プログラムをCPUが実行することによって、各種の機能が実行される。
【0032】
位置検出器32は、車両30の現在位置を検出する位置検出手段である。位置検出器32は、車両30の絶対方位を検出するための地磁気センサ(図示せず)、車両30の相対方位を検出するためのジャイロスコープ32a、車両30の走行距離を検出する距離センサ(図示せず)、および衛星からの電波に基づいて車両30の位置を測定するグローバルポジショニングシステム(Global Positioning System:略称GPS)のためのGPS受信機32bを有している。車載制御部37は、たとえば位置検出器32からの信号に基づいて車両30の現在位置を逐次決定する現在地点検出処理を実行する。
【0033】
地図情報記憶部33は、ネットワークデータとしての道路データ、背景データおよび文字データを含む地図データが記憶された記憶手段である。道路データには、たとえば道路の傾斜を示す道路傾斜情報、道路の高さを示す道路高さ情報も含まれる。地図データを記憶する記憶媒体としては、たとえば、ハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスク(DVD−ROMなど)を用いることができる。また車載制御部37は、地図データを外部のサーバから車載通信部36によって取得し、地図情報記憶部33に格納することも可能である。車載制御部37は、地図情報記憶部33に格納(記憶)された地図データを用いて、車両30周辺の地図表示、表示地図の尺度変更、経路案内等の各種のナビゲーション機能を実施することができる。
【0034】
操作スイッチ34は、たとえば車載表示部35と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等によって構成され、各種入力に使用される。操作スイッチ34によって入力された信号は、車載制御部37に与えられる。操作スイッチ34を用いて、たとえば目的地の位置を入力することが可能である。また、ユーザ(運転者を含む)は、操作スイッチ34を用いて、車載表示部35に表示されている地図の縮尺を変更する操作や、走行軌跡を表示させる操作を行うこともできる。
【0035】
車載表示部35は、情報を外部に出力する情報出力部であって、具体的には情報を視覚的にユーザに報知する表示部である。車載表示部35は、たとえば液晶ディスプレイによって構成され、各種の情報を画面に表示する。車載表示部35は、車両30の現在地点に対応しつつ、その進行方位を表示する自車両マーク、および、地図情報記憶部33から入力された地図データによって生成される車両30周辺の道路地図を表示することができる。さらに、目的地が設定された場合、この道路地図上には、現在地点から目的地までの案内経路を重ねて表示することができる。
【0036】
車載通信部36は、充電スタンド誘導装置40と通信する車載通信手段である。また車載通信部36は、充電スタンド誘導装置40が車両30から所定範囲内にある場合には、通信接続する。車載通信部36は、属している無線LAN(ローカルエリアネットワーク)などの無線ネットワークを識別するためのSSID(Service Set ID)を含む制御信号を送信し、この制御信号に応答する信号を受信できたか否かにより、車載通信部36の送信エリア内に接続対象機器である充電スタンド誘導装置40が存在するかを検知するようにしている。車載通信部36は、たとえば無線ネットワークによって充電スタンド誘導装置40と通信する。また車載通信部36は、道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介して、渋滞や交通規制などの道路交通情報をリアルタイムに送信する情報通信センタから配信される情報を受信したり、必要に応じて車両30側から外部へ情報を送信したりする装置である。受信した情報は、車載制御部37で処理され、たとえば、渋滞情報や規制情報等は車載表示部35に表示される道路地図上に重ねて表示される。
【0037】
次に、車載制御部37の処理について説明する。車載制御部37は、CPUがRAMの一時記憶機能を利用しつつ、ROMに書き込まれたプログラムを実行することで、たとえば現在地点検出処理、経路探索処理、経路案内処理および充電条件設定処理を実行する。したがって車載制御部37は、経路探索手段としての機能も有する。
【0038】
現在地点検出処理は、位置検出器32から入力される信号に基づいて、車両30の現在地点を逐次決定する処理である。なお、位置検出器32を構成する地磁気センサ、ジャイロスコープ32a、距離センサおよびGPS受信機32bは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、各々からの信号を補完しながら現在地点を逐次検出する。すなわち、GPSによる電波航法と、地磁気センサ、ジャイロスコープ32aおよび距離センサによる自立航法を組み合わせたハイブリッド航法により、車両30の現在地点(座標)を決定する。各センサの精度によっては、位置検出器32を上述した内の一部で構成してもよく、更に、図示しないステアリングの回転センサ、各転動輪の車速センサ等を用いてもよい。また、現在地点検出処理では、現在地点に加えて進行方位(進行方向)も決定する。
【0039】
経路探索処理は、ユーザが操作スイッチ34などを用いて目的地の位置を入力されると、実行される処理である。車載制御部37は、現在地点からその目的地までの最適なルートを自動的に選択して案内経路を形成し車載表示部35に表示させる。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法として、たとえばダイクストラ法等の手法が知られている。
【0040】
経路案内処理は、経路探索処理後に実施され、目的地までの経路をユーザに案内する処理である。経路案内処理では、右折または左折する交差点に近づくと、交差点を拡大表示する処理などを実行する。
【0041】
充電条件設定処理は、ユーザが操作スイッチ34などを用いて希望する充電条件が入力されると、入力された充電条件を車載記憶手段であるRAMに記憶するように制御する処理である。充電条件は、車両バッテリに充電する際に許容できる条件である。充電条件は、たとえば所定時間内に所定量まで充電するといった条件、充電コストの条件などである。このような充電条件は、ユーザが操作スイッチ34で入力されていない場合は、製品出荷時などに初期設定として、たとえば最も充電速度が速い充電スタンド20を選択するような条件がRAMに記憶されている。
【0042】
次に、充電スタンド誘導装置40に関して説明する。充電スタンド誘導装置40は、ナビゲーション装置31および充電スタンド20と通信可能である。充電スタンド誘導装置40は、車両30が所定範囲内、たとえば充電ステーション11内に進入したときに、車両30の充電条件を満足する充電スタンド20を選択し、選択した充電スタンド20に車両30を誘導(案内)するようにナビゲーション装置31にスタンド案内情報を送信する装置である。充電スタンド誘導装置40は、充電通信部41、充電表示部42、充電スタンド通信部43、充電記憶部44、および充電制御部45を含んで構成される。また充電スタンド誘導装置40は、複数の充電スタンド20のうちのいずれか1つの充電スタンド20に搭載される。換言すると、充電スタンド誘導装置40は、複数の充電スタンド20のうち、いずれか1つに組込まれている。
【0043】
充電通信部41は、ナビゲーション装置31と通信する案内通信手段である。また充電通信部41は、ナビゲーション装置31と通信して、車両30の位置を取得する位置取得手段としての機能も有する。充電通信部41は、車両30の位置を取得するため、属している無線ネットワークを識別するためのSSID(Service Set ID)を含む制御信号を送信し、この制御信号に応答する信号を受信できたか否かにより、充電通信部41の送信エリア内(図2で破線で示す領域内)に接続対象機器であるナビゲーション装置31が存在するかを検知するようにしている。したがって充電通信部41は、取得した車両30の位置に基づいて、車両30が所定範囲内にあるか否かを判断する判断手段としての機能を有する。充電通信部41は、たとえば無線ネットワークによってナビゲーション装置31と通信する。さらに充電通信部41は、ナビゲーション装置31と通信して、ナビゲーション装置31に記憶される充電条件を取得する条件取得手段としても機能する。充電通信部41は、充電制御部45と電気的に接続され、充電制御部45から与えられた情報をナビゲーション装置31に送信し、ナビゲーション装置31から送信された情報を充電制御部45に与える。
【0044】
充電スタンド通信部43は、複数の充電スタンド20と通信する充電スタンド用の通信手段である。充電スタンド通信部43は、充電制御部45と電気的に接続され、充電制御部45から与えられた情報を充電スタンド20に送信し、充電スタンド20から送信された情報を充電制御部45に与える。充電スタンド通信部43は、充電スタンド20の利用状態(稼働状態)を取得する稼働状態取得手段としての機能も有する。充電スタンド20の利用状態は、充電スタンド20の様々な情報が含まれる。利用状態には、たとえば現在、他の車両が充電中(使用中)である状態、充電予約されている状態、空き状態など情報を含む。また利用状態には、予約時の充電開始予定時間、充電中の充電終了時間などの情報も含む。また利用状態には、各充電スタンド20の充電能力、充電ステーション11内における位置などの情報も含む。
【0045】
充電表示部42は、情報を視覚的にユーザに報知する表示手段である。充電表示部42は、充電制御部45と電気的に接続され、充電制御部45から充電表示部42に出力される情報を表示する。充電表示部42は、たとえば液晶ディスプレイによって構成され、各種の情報を画面に表示する。充電表示部42は、たとえば充電スタンド20の利用状態、各種の設定情報およびナビゲーション装置31との通信状態などを表示する。
【0046】
充電記憶部44は、ネットワークデータとしての充電ステーション11内の通路データ、背景データおよび文字データを含む地図データが記憶される。地図データを記憶する記憶媒体としては、たとえば、ハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスク(DVD−ROMなど)を用いることができる。
【0047】
充電制御部45は、充電スタンド誘導装置40の各部を制御する案内制御手段であって、電気的構成は前述の車載制御部37と同様であり、図示は省略するが、CPU、ROM、RAM、およびI/Oポートを備えるマイクロコンピュータと、EEPROM等の不揮発性メモリとを有している。ROMには、各種処理を実行するための実行プログラムと、各実行プログラムを実行するための設定情報などが記憶されている。充電制御部45は、充電表示部42、充電記憶部44、充電スタンド通信部43および充電通信部41と電気的に接続される。充電制御部45は、ROMに書き込まれた実行プログラムをCPUが実行することによって、各種の機能が実行される。
【0048】
次に、充電スタンド20に関して説明する。充電スタンド20は、車両バッテリの充電を行うものであって、充電ステーション11の複数の駐車スペースにそれぞれ配置されているものである。充電ステーション11の駐車スペースには、充電スタンド20が設置される駐車スペースだけでなく、いわゆる駐車場のように充電スタンド20が設置されていない駐車スペースも有することがある。このような充電ステーション11は、たとえばショッピングセンターのように、施設に訪れるための駐車スペースと、施設中にいるときに充電スタンド20にて充電することができるように充電スタンド20を備える駐車スペースが設置されている場所である。
【0049】
図1では、充電スタンド案内システム10に充電スタンド20が2つ含まれている構成を示しているが、図2に示すように、2つに限るものではなく、2つ以外の数含まれる構成としてもよい。充電スタンド20は、スタンド通信部21、スタンド制御部22、充電部23およびスタンド表示部24を含んで構成される。各充電スタンド20は、充電部23の充電能力を除き、構成が互いに等しいので、1つの充電スタンド20に関して説明し、他の充電スタンド20には対応する構成に同一の符号を付し説明を省略する。
【0050】
スタンド通信部21は、充電スタンド誘導装置40と通信可能に構成され、充電スタンド誘導装置40との間で情報の送受信を行う。スタンド通信部21は、スタンド制御部22と電気的に接続され、スタンド制御部22から与えられた情報を充電スタンド誘導装置40に送信し、充電スタンド誘導装置40から送信された情報をスタンド制御部22に与える。
【0051】
スタンド表示部24は、情報を視覚的にユーザに報知する表示手段である。スタンド表示部24は、スタンド制御部22と電気的に接続され、スタンド制御部22からスタンド表示部24に出力される情報を表示する。スタンド表示部24は、たとえば液晶ディスプレイによって構成され、各種の情報を画面に表示する。スタンド表示部24は、充電スタンド20に利用状態として、たとえば充電時間、充電電力、充電速度、および充電料金などを表示することができる。さらに、充電スタンド20の使用予約された場合、予約されたことを示す情報を表示することができる。
【0052】
充電部23は、車両バッテリへ電力を供給するものである。充電部23は、スタンド制御部22に電気的に接続され、スタンド制御部22によって制御される。充電部23には、充電電力線(図示せず)が接続されている。充電電力線は、充電スタンド20の本体部から外部に延出する充電ケーブル(図示せず)に接続している。充電ケーブルの先端部には、充電コネクタ(図示せず)が取付けられている。充電部23は、車両30との接続時には、充電ケーブル内の電力線を介して車両30側との通信を行うことが可能である。充電部23は、車両30から受信した情報をスタンド制御部22に与える。
【0053】
車両30には、充電コネクタの差込口(図示せず)が設けられている。この差込口に充電スタンド20の充電コネクタを接続することにより、車両30に搭載される車載充電器(図示せず)を介して、車両バッテリに充電することが可能となっている。車両バッテリに充電する際には、充電電力線からコネクタに交流電力が供給され、供給された交流電力を車載充放電器が直流電力に変換して、車両バッテリに充電する。また充電部23からの車両バッテリへの電力の供給は、このような接触式によるものであってもよいし、電磁誘導を利用した非接触式によるものであってもよい。
【0054】
スタンド制御部22は、充電スタンド20の各部を制御するスタンド制御手段であって、電気的構成は前述の車載制御部37と同様であり、図示は省略するが、CPU、ROM、RAM、およびI/Oポートを備えるマイクロコンピュータと、EEPROM等の不揮発性メモリとを有している。ROMには、各種処理を実行するための実行プログラムと、各実行プログラムを実行するための設定情報などが記憶されている。スタンド制御部22は、充電部23、スタンド表示部24、およびスタンド通信部21と電気的に接続される。スタンド制御部22は、ROMに書き込まれた実行プログラムをCPUが実行することによって、各種の機能が実行される。
【0055】
充電ステーション11に設置される複数の充電スタンド20は、充電部23の充電能力が、たとえば3タイプ(急速タイプ・中速タイプ・低速タイプ)ある。したがって急速タイプの充電スタンド20を用いると、車両バッテリは短時間で所定量まで充電することができる。急速タイプの充電スタンド20は、中速タイプおよび低速タイプよりも充電料金が高いことが多い。
【0056】
次に、充電スタンド案内システム10による制御に関して説明する。図3は、スタンド制御部22、充電制御部45および車載制御部37の充電スタンド案内処理を示すフローチャートである。充電スタンド案内処理は、充電ステーション11付近にて、充電条件を満足する充電スタンド20へ車両30を案内する処理である。図3に示すフローは、各装置20,31,40が電源投入状態において実行される。
【0057】
フローが開始されると、ステップS11では、車載制御部37は、車載通信部36の送信エリア内に充電スタンド誘導装置40が存在するかを検知し、検知した場合には、ステップS12に移り、検知するまでステップS11の処理を繰返す。
【0058】
ステップS12では、車載制御部37は、充電スタンド誘導装置40を検知したので、充電スタンド誘導装置40に接続要求を出力し、充電スタンド誘導装置40からの指令が来るまで待機する。たとえば図2に示す車両30の第1位置P1の位置が、送信エリア内に入って検知される位置である。このような送信エリア(検知エリア)は、充電ステーション11の入口を覆い、かつ入口に至る道路を範囲であることが好ましい。これによって車両30が充電ステーション11に進入する前の道路にて、ナビゲーション装置31と充電スタンド誘導装置40との接続処理を実施して通信可能になるので、充電ステーション11内に進入した場合には、その後の充電スタンド案内処理を早期に進めることができる。
【0059】
ステップS21では、充電制御部45は、ナビゲーション装置31から接続要求を受信したので、接続許可できるか否かを判断し、接続許可と判断した場合には、ステップS22に移り、接続不可の場合には、本フローを終了する。接続不可の場合は、たとえばナビゲーション装置31が充電スタンド案内処理に対応していない装置である場合、通信強度が弱い場合などである。
【0060】
ステップS22では、充電制御部45は、接続許可したのでナビゲーション装置31との接続処理を実施し、ステップS23に移る。ステップS23では、充電制御部45は、ナビゲーション装置31に現在位置の位置状態と現在の進行方向(方位)情報とを送信するように要求し、ナビゲーション装置31からの指令が来るまで待機する。
【0061】
ステップS13では、車載制御部37は、充電スタンド誘導装置40から位置・方位情報の送信を要求されたので、位置検出器32から情報を取得し、位置・方位情報を充電スタンド誘導装置40に送信し、充電スタンド誘導装置40からの指令が来るまで待機する。
【0062】
ステップS24では、充電制御部45は、ナビゲーション装置31から位置・方位情報を受信すると、受信した情報に基づいて、充電ステーション11内に進入した(充電ステーション11内に位置する)か否かを判断し、進入したと判断した場合には、ステップS25に移り、進入していないと判断した場合には、ステップS23に戻り、再度、位置・方位情報をナビゲーション装置31に要求する。たとえば図2に示す車両30の第2位置P2が、充電ステーション11内に進入したとされる位置である。またステップS24では、充電ステーション11内に進入しようとしている場合も、進入したと判断してもよい。進入しようとしている場合は、たとえば充電ステーション11内に続く道が1つであり、車両30の進行方向によって、充電ステーション11外であっても充電ステーション11内に至る経路中に位置する場合である。
【0063】
ステップS25では、ナビゲーション装置31(車両30)が充電ステーション11内に位置しており充電する可能性が高いので、充電制御部45は、ナビゲーション装置31に充電条件を送信するように要求し、ナビゲーション装置31からの指令が来るまで待機する。
【0064】
ステップS14では、車載制御部37は、充電スタンド誘導装置40から充電条件の送信を要求されたので、RAMから充電条件を読み出し、充電条件を充電スタンド誘導装置40に送信し、充電スタンド誘導装置40からの指令が来るまで待機する。
【0065】
ステップS26では、充電制御部45は、ナビゲーション装置31から充電条件を受信すると、充電条件を満足する充電スタンド20を選択するため、充電スタンド20に利用状態を送信するように要求し、充電スタンド20からの指令が来るまで待機する。
【0066】
ステップS31では、各スタンド制御部22は、充電スタンド誘導装置40から利用状態の送信を要求されたので、利用状態を充電スタンド誘導装置40に送信し、充電スタンド誘導装置40からの指令が来るまで待機する。
【0067】
ステップS27では、充電制御部45は、各充電スタンド20から利用状態を受信すると、利用状態に基づいて充電条件を満足する充電スタンド20を選択し、選択した充電スタンド20に対応する駐車場に決定し、ステップS28に移る。本フローでは、充電制御部45は、図3に示す充電スタンドCを選択したものとする。
【0068】
ステップS28では、充電制御部45は、決定した駐車場の位置を示す駐車場所情報(スタンド案内情報)をナビゲーション装置31に送信し、ステップS29に移る。ここで駐車場所情報には、充電ステーション11の地図情報、駐車位置情報および充電ステーション11内での経路案内情報などが含まれる。
【0069】
ステップS29では、充電制御部45は、選択した充電スタンド20に、選択したことを示す予約情報を送信し、ステップS210に移る。ここで充電制御部45は、ステップS28にて駐車場所情報を送信した車両30以外の他の車両への充電を禁止する制御をするように充電スタンド20に予約情報を送信する。ステップS210では、充電制御部45は、ナビゲーション装置31との接続を切断し、充電制御部45のスタンド案内処理を終了する。
【0070】
ステップS15では、車載制御部37は、充電スタンド誘導装置40から駐車場所情報を受信したので、駐車場所情報を車載表示部35に表示するように制御し、ステップS16に移る。ステップS16では、車載制御部37は、駐車場所情報に基づいて、駐車位置まで経路案内処理を開始し、ステップS17に移る。経路案内処理を実行中は、充電スタンド誘導装置40と通信し、GPSの補正情報(SMES)を充電スタンド誘導装置40から受信し、経路案内を補助するようにしてもよい。ステップS17では、車載制御部37は、充電スタンド誘導装置40との接続を切断し、車載制御部37のスタンド案内処理を終了する。
【0071】
ステップS32では、スタンド制御部22は、充電スタンド誘導装置40から予約情報を受信したので、予約情報をスタンド表示部24に表示するように制御し、ステップS33に移る。スタンド表示部24には、他の車両の充電(駐車)を禁止するために、予約した車両30を特定する識別情報、たとえば予約ナンバーを表示したり、充電開始のため認証情報(たとえば暗証番号)の入力を要求する情報を表示したりする。また予約された充電スタンド20は、他のナビゲーション装置(他の車両)での充電スタンド案内処理におけるステップS31の処理のときには、他の車両が予約できないように、充電スタンドCの利用状態を使用中として充電スタンド誘導装置40には送信する。これによっていわゆる二重予約を防ぐことができる。
【0072】
ステップS33では、スタンド制御部22は、車両30が予約された駐車位置に停車し、充電コネクタが接続されたか否かを判断し、接続された場合には、ステップS34に移り、接続されるまでステップS33の処理を繰返す。ステップS33では、予約情報に従って充電部23の利用を予約した特定のユーザのみに限定する処理が行われる。ステップS33にて、たとえば特定のユーザによって充電部23が利用されるまで、ステップS32の処理を繰返す。充電部23の利用を許可された特定のユーザか否かの判別は、たとえば認証情報の入力に基づいて行ってもよく、車両IDを無線通信や電力線通信等によって車両30から取得し、車両IDが充電部23の利用を許可された特定のユーザに対応する車両IDか否かに基づいて行ってもよい。
【0073】
ステップS34では、スタンド制御部22は、充電が開始されたので、スタンド表示部24に予約情報を非表示にするように制御し、スタンド制御部22のスタンド案内処理を終了する。
【0074】
このような充電スタンド案内処理によって、ナビゲーション装置31を搭載した車両30は、充電条件を満足した充電スタンド20が個別に割り当てられ、割り当てられた充電スタンド20に対応する駐車場、すなわち充電可能な空き駐車場に案内されることになる。
【0075】
図3に示す充電スタンド案内処理は、一例であって、図3とは一部のステップの処理内容がユーザ設定などの条件によって異なる場合がある。たとえば、ステップS27における、充電制御部45が駐車場を決定する処理で、充電条件を満足する充電スタンド20がない場合には、充電条件に最も近い充電スタンド20を選択するように処理してもよい。また充電制御部45が駐車場を決定する処理で、充電条件を満足する充電スタンド20が複数ある場合には、車両30の現在位置から最も近い充電スタンド20(駐車位置)を選択するように処理してもよい。
【0076】
また充電制御部45が駐車場を決定する処理で、充電条件が「充電量が自宅に辿り着くまでに必要な充電量まで充電」という条件であり、このような充電条件を満足する充電スタンド20が複数ある場合であって、現在の充電残量が必要な充電量以上であれば、低速の充電スタンド20を選択するように処理してもよい。また充電制御部45が駐車場を決定する処理で、充電条件が「設定されている目的地に辿り着くまでに必要な充電量まで充電」という条件であり、このような充電条件を満足する充電スタンド20が複数ある場合であって、現在の不足量が多い場合には急速の充電スタンド20を選択するように処理してもよい。また充電制御部45が駐車場を決定する処理で、充電条件を満足する充電スタンド20がない場合には、充電スタンド20がないことを示す情報を、ステップS28にて駐車場情報に変えてナビゲーション装置31に送信するように制御してもよい。
【0077】
またステップS14にて、送信される充電条件は、充電スタンド誘導装置40から要求があった後、操作スイッチ34などで入力するようにしてもよい。これによってユーザは充電ステーション11内に進入したときに、急いで充電したいか、ゆっくりの充電でよいかの問い合わせで、充電スタンド20のタイプを充電条件として入力して、充電条件をその時々の状況に応じて決定することができる。また充電ステーション11進入時に、何時間駐車予定かの問い合わせで、充電時間を充電条件として入力することによって、充電条件を決定することができる。
【0078】
またステップS15にて、駐車場情報を車載表示部35に表示された場合に、表示された駐車場への案内開始の可否をユーザに確認する画面を表示するようにしてもよい。この場合、ユーザは、操作スイッチ34を操作して、案内を開始する操作をしたときに、ステップS16にて案内を開始するように制御する。また案内の開始を拒否する操作をした場合、および予め定める時間を過ぎても案内開始の操作がない場合には、充電スタンド誘導装置40を介して、ステップS34のように充電スタンド20に予約情報の非表示(予約の取消し)をするよう制御してもよい。これによってユーザは、充電する予定でない場合には、自動的に充電スタンド20に案内が開始されることを防ぐことができる。またステップS16の案内開始後であっても、ユーザが操作スイッチ34によって、予約取消操作を行ったときには、予約を取り消すように前述の同様の予約取消処理を実施するように制御してもよい。
【0079】
また車載制御部37は、1度訪れた施設の駐車場情報のうち地図情報のみを記憶し、1度訪れた施設へ再び訪れたときは、充電スタンド誘導装置40へ駐車場情報のうち駐車位置情報のみを要求するように制御してもよい。具体的には、ステップS14にて、車載制御部37は、地図情報記憶部33に充電ステーション11を示す地図情報が記憶されている場合には、地図情報の送信を拒否する送信拒否情報を、充電条件を送信する際に充電スタンド誘導装置40に送信する。この処理を受けて、ステップS28では、充電制御部45は、送信拒否情報を受信した場合には、駐車場所情報を送信するとき、地図情報を送信せずに、駐車位置情報などをナビゲーション装置31に送信し、送信拒否情報を受信していない場合には、駐車場所情報を送信するとき、地図情報と駐車位置情報とを送信するように処理する。そして、ステップS15にて、車載制御部37は、駐車場所情報に地図情報が含まれるとき、地図情報を記憶するように地図情報記憶部33を制御する。これによって初めて訪れた施設では、地図情報が地図情報記憶部33には記憶されていないので、地図情報の送信を充電スタンド誘導装置40に要求することになり、再び訪れたときには地図情報が地図情報記憶部33に記憶されているので、地図情報の送信拒否を充電スタンド誘導装置40に要求することができる。
【0080】
次に、ステップS15およびステップS16にて車載表示部35に表示される画像に関して説明する。図4は、車載表示部35に表示される画像の一例を示す図である。図4に示すように、車載表示部35には、駐車場所情報が表示されており、具体的には、充電ステーション11の地図情報、駐車位置情報(図4では「G」で表示)および充電ステーション11内での経路案内情報が表示されている。これによってユーザは、充電ステーション11が広大であっても、スムーズに予約した駐車位置に辿り着くことができる。
【0081】
以上説明したように本実施形態の充電スタンド案内システム10では、充電制御部45は、車両30が所定範囲内にある場合には、充電スタンド20の利用状態に基づいて充電条件を満足する充電スタンド20を選択する。所定範囲内は、たとえば複数の充電スタンド20が設置される充電ステーション11内、およびその近傍を含む範囲である。このような所定範囲内にある場合には、車両30が充電スタンド20を探している可能性が高いからである。選択される充電スタンド20は、充電スタンド20の利用状態に基づいて充電条件を満足する充電スタンド20である。充電条件を満足する充電スタンド20が充電制御部45によって、充電ステーション11内に進入したときに、いわば自動的に選択されるので、運転者(利用者)は、複数の充電スタンド20から自分で1つの充電スタンド20を選ぶ必要がない。
【0082】
また車載制御部37は、充電条件を満足する充電スタンド20の位置が目的地となるように、経路探索処理を実行する。したがって運転者は、車載表示部35を視認することによって、充電スタンド20が複数ある充電ステーション11であっても、選択された充電スタンド20まで容易に辿り着くことができる。したがって充電スタンド20を探し回る必要がないので、利便性を向上することができる。
【0083】
さらに充電制御部45は、選択した充電スタンド20にて駐車場所情報を送信した車両30以外の他の車両への充電を禁止するように充電スタンド20を制御する。したがって駐車場所情報を受信した車両30に、充電スタンド20が個別に割り当てられることになる。これによって他の車両が充電スタンド20を使用することができないので、同一の充電スタンド20に複数の車両が殺到することを防止することができる。これによって充電スタンド20の利便性を向上することができる。このように本実施形態の充電スタンド案内システム10では、個別に充電スタンド20を割り当てることができ、割り当てた充電スタンド20へ車両30を案内することができるシステムを実現することができる。
【0084】
また本実施形態では、いわゆる電子看板のような充電案内装置を用いない。このような充電案内装置を用いると充電ステーション11の規模によっては、充電案内装置を複数設置する必要があり、設置コスト増へとつながる。しかしながら本実施形態の充電スタンド案内システム10では、既に車両30に搭載されているナビゲーション装置31を用いることができるので、設置コストを低減することができる。
【0085】
さらに本実施形態では、充電条件を満足する充電スタンド20が複数ある場合には、車両30の位置に最も近い1つの充電スタンド20を選択するように制御しもてよい。この場合には、利用者は最寄りの充電スタンド20を利用することができる。したがって充電スタンド20までの移動時間が短くすることができる。
【0086】
また本実施形態では、充電スタンド20の利用状態および充電速度に基づいて、充電条件を満足する充電スタンド20を選択するように制御してもよい。これによって充電速度が互いに異なる充電スタンド20がある場合であっても、短時間での充電を希望する場合には、充電速度が高速な充電スタンド20が選択されることなる。したがって利用者の希望に沿った充電スタンド20を案内することができる。
【0087】
さらに本実施形態では、充電条件を満足する充電スタンド20がない場合には、充電条件に近い充電スタンド20を少なくとも1つ選択するように処理してもよい。この場合には、充電条件を満足しない場合であっても、充電条件に近い充電スタンド20が案内される。これによって利用者は、充電条件を満足しない充電スタンド20で充電するか否かを判断することができる。
【0088】
また本実施形態では、選択した充電スタンド20の報知手段であるスタンド表示部24によって、選択されたことを示す情報が外部に報知される。選択されると他の車両は充電することができないので、他の車両の運転者はスタンド表示部24によって、いわば空き充電スタンド20であっても利用不可(予約済み)と認識することができる。またスタンド表示部24によって、利用者は、選択された充電スタンド20に間違いないか否かを確認することができる。
【0089】
また本実施形態では、充電スタンド誘導装置40は、いずれか1つの充電スタンド20に搭載されているので、充電スタンド誘導装置40を別体で設置するスペースが必要なく、構成を簡素にすることができる。
【0090】
さらに本実施形態では、車載制御部37は、車両30が充電ステーション11内にあるとき、車載記憶手段である地図情報記憶部33に充電ステーション11を示す地図情報が記憶されている場合には、地図情報の送信を拒否する送信拒否情報を送信するように車載通信部36を制御する。これによって充電制御部45は、駐車場所情報を送信するとき、地図情報を送信せずに、位置情報をナビゲーション装置31に送信するように案内通信手段である充電通信部41を制御する。これに対して充電制御部45は、送信拒否情報を受信していない場合には、駐車場所情報を送信するとき、地図情報と位置情報とをナビゲーション装置31に送信するように充電通信部41を制御している。そして車載制御部37は、駐車場所情報に地図情報が含まれるとき、地図情報を記憶するように地図情報記憶部33を制御する。
【0091】
したがって初めて訪れた充電ステーション11では地図情報が送信されるので、その地図情報を記憶することによって、次回からは地図情報記憶部33に記憶される地図情報を用いることができる。充電スタンド20の位置情報は毎回変更されるものであるが、地図情報は変更される可能性が低い。したがって地図情報が既に地図情報記憶部33に記憶されている場合には、記憶されている地図情報は用いて対応することができる。また地図情報は比較的情報量が多いので、このように情報量が多い情報の送受信を避けることができる。したがってより高速な情報の送受信が可能となる。
【0092】
さらに本実施形態では、充電条件を満足する充電スタンド20がない場合には、案内する充電スタンド20がないことを示す案内不可情報を表示するように車載表示部35が車載制御部37によって制御される。これによって利用者は、充電条件を満足する充電スタンド20がないことを素早く認識することができる。
【0093】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0094】
前述の第1実施形態では、車両30が所定範囲内にあるか否かは、無線ネットワークを識別するためのSSIDを利用しているが、このような構成の判断手段に限るものではなく、たとえばBluetooth(ブルートゥース)などの他の無線通信規格を用いた無線ネットワークの場合でもSSIDを利用してもよく、充電ステーション11の入口に設置されるETC(登録商標)ゲートを通過したときに所定範囲内にあると判断してもよく、ユーザが充電ステーション11の入口にて、駐車券を取得したとき所定範囲内にあると判断してもよい。このような場合、ETCゲートが充電スタンド誘導装置40として機能し、ナビゲーション装置31にETCゲートから駐車場所情報を送信するように構成してもよい。またナビゲーション装置31への案内とは別に、補助的な情報として、駐車券に地図情報および駐車位置情報を記載(印刷)するようにしてもよく、QRコード(登録商標)のような二次元コードから地図情報および駐車位置情報を提供してもよく、携帯電話装置などの携帯型情報端末装置に地図情報および駐車位置情報を送信するようにしてもよい。携帯情報端末装置への送信は、たとえば赤外線通信、およびFeliCa(登録商標)などの非接触ICカード技術方式の無線通信など各種の通信方式を用いることができる。
【0095】
また前述の第1実施形態では、スタンド表示部24は、液晶ディスプレイによって実現されているが、このような構成に限るものではなく、回転灯(パトライト:登録商標)などの点灯手段によって実現してもよい。
【0096】
また前述の第1実施形態では、充電ステーション11内に充電スタンド誘導装置40が設置されている構成であるが、充電ステーション11内に限るものではなく、充電スタンド誘導装置40を遠隔地に設置してもよい。遠隔地にある充電スタンド誘導装置40は、充電スタンド20およびナビゲーション装置31と、たとえばインターネット網で通信するように構成する。これによって遠隔地から充電スタンド20を集中管理するように構成してもよい。
【0097】
また前述の第1実施形態では、情報出力部は、地図を表示する車載表示部35によって実現されているが、このような表示部に限るものではなく、たとえば地図を表示せずに駐車場所情報として駐車番号の情報を出力してもよいし、音声によって情報を出力する構成であってもよい。
【0098】
また前述の第1実施形態では、車載装置は、ナビゲーション装置31によって実現されているが、車両30に設置されるナビゲーション装置31に限るものではなく、携帯型の情報端末装置、たとえば携帯電話およびノートパソコンなどで実現してもよい。
【符号の説明】
【0099】
10…充電スタンド案内システム
11…充電ステーション(充電場)
20…充電スタンド
21…スタンド通信部
22…スタンド制御部
23…充電部
24…スタンド表示部(報知手段)
30…車両
31…ナビゲーション装置(車載装置)
32…位置検出器(位置検出手段)
32a…ジャイロスコープ
32b…GPS受信機
33…地図情報記憶部(車載記憶手段)
34…操作スイッチ
35…車載表示部(情報出力部)
36…車載通信部(車載通信手段)
37…車載制御部(車載制御手段、経路探索手段)
40…充電スタンド誘導装置(案内装置)
41…充電通信部(案内通信手段,位置取得手段、条件取得手段、判断手段)
42…充電表示部
43…充電スタンド通信部(稼働状態取得手段)
44…充電記憶部
45…充電制御部(案内制御手段、判断手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電場(11)内に複数設置され、車両(30)に搭載された車両バッテリに電力を充電する充電スタンド(20)と、前記充電スタンドの稼働状態を制御し、前記車両を前記充電スタンドに案内する案内装置(40)と、前記車両に搭載され、情報出力部(35)を有する車載装置(31)と、を含む充電スタンド案内システム(10)であって、
前記車載装置は、
前記案内装置と通信する車載通信手段(36)と、
前記車両の現在位置を検出する位置検出手段(32)と、
前記現在位置から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段(37)と、
前記車両バッテリに充電する際に許容できる充電条件が記憶される車載記憶手段(33)と、
前記情報出力部から出力される情報を制御する車載制御手段(37)と、とを含み、
前記案内装置は、
前記車載装置と通信する案内通信手段(41)と、
前記充電スタンドの稼働状態を取得する稼働状態取得手段(43)と、
前記車両の位置を取得する位置取得手段(41)と、
前記充電条件を取得する条件取得手段(41)と、
前記取得した前記車両の位置に基づいて、前記車両が所定範囲内にあるか否かを判断する判断手段(41)と、
前記所定範囲内にある場合には、前記充電スタンドの前記稼働状態に基づいて前記充電条件を満足する前記充電スタンドを選択し、前記選択した前記充電スタンドの位置を示すスタンド案内情報を前記車載装置に送信するように前記案内通信手段を制御する案内制御手段(45)と、を含み、
前記案内制御手段は、前記スタンド案内情報を送信した車両以外の他の車両への充電を禁止するように前記選択した前記充電スタンドを制御し、
前記車載制御手段は、前記車載通信手段によって受信された前記スタンド案内情報を用いて前記充電スタンドの位置が目的地となるように、前記経路探索手段を制御することを特徴とする充電スタンド案内システム。
【請求項2】
前記案内制御手段は、前記充電条件を満足する前記充電スタンドが複数ある場合には、前記車両の位置に最も近い1つの前記充電スタンドを選択することを特徴とする請求項1に記載の充電スタンド案内システム。
【請求項3】
複数の前記充電スタンドのうち少なくとも1つの前記充電スタンドは、他の前記充電スタンドと前記車両バッテリに充電電力を供給する充電速度が互いに異なり、
前記案内制御手段は、前記充電スタンドの前記稼働状態および前記充電速度に基づいて、前記充電条件を満足する前記充電スタンドを選択することを特徴とする請求項1または2に記載の充電スタンド案内システム。
【請求項4】
前記案内制御手段は、前記充電条件を満足する前記充電スタンドがない場合には、前記充電条件に近い前記充電スタンドを少なくとも1つ選択することを特徴とする請求項1に記載の充電スタンド案内システム。
【請求項5】
前記複数の充電スタンドは、情報を外部に報知する報知手段(24)をそれぞれ含み、
前記案内制御手段は、前記選択した前記充電スタンドの前記報知手段によって、前記選択されたことを示す情報を報知するように制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の充電スタンド案内システム。
【請求項6】
前記案内装置は、いずれか1つの前記充電スタンドに搭載されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の充電スタンド案内システム。
【請求項7】
前記情報出力部は、画像を表示する車載表示部(35)であり、
前記車載制御手段は、前記案内経路を地図に重ねて表示するよう前記車載表示部を制御し、
前記スタンド案内情報には、前記充電場の地図情報と、前記充電場内の前記充電スタンドの位置情報と、を含み、
前記車載制御手段は、
前記車載通信手段によって受信された前記スタンド案内情報に前記地図情報が含まれるとき、前記地図情報を記憶するように前記車載記憶手段を制御し、
前記車両が前記充電場内にあるとき、前記車載記憶手段に前記充電場を示す地図情報が記憶されている場合には、前記地図情報の送信を拒否する送信拒否情報を前記案内装置に送信するように前記車載通信手段を制御し、
前記案内制御手段は、
前記案内通信手段によって前記送信拒否情報を受信した場合には、前記スタンド案内情報を送信するとき、前記地図情報を送信せずに、前記位置情報を前記車載装置に送信するように前記案内通信手段を制御し、
前記案内通信手段によって前記送信拒否情報を受信していない場合には、前記スタンド案内情報を送信するとき、前記地図情報と前記位置情報とを前記車載装置に送信するように前記案内通信手段を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の充電スタンド案内システム。
【請求項8】
前記案内制御手段は、前記充電条件を満足する前記充電スタンドがない場合には、前記選択する前記充電スタンドがないことを示す案内不可情報を前記車載装置に送信するように案内通信手段を制御し、
前記車載制御手段は、前記車載通信手段によって受信された前記案内不可情報を表示するように前記車載表示部を制御することを特徴とする請求項1に記載の充電スタンド案内システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−208685(P2012−208685A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73209(P2011−73209)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】