説明

充電スペース案内装置及び充電スペースの案内方法

【課題】自車両が利用する施設のどこに充電スペースが在るかを案内する。
【解決手段】自車両が利用する充電施設を特定する充電施設特定機能と、特定された充電施設に属する電気自動車用の充電器が装備された充電スペースの位置を含む情報を取得する充電スペース情報取得機能と、特定された充電施設に属する充電スペースの位置情報を自車両のユーザに提供する案内機能とを実行する制御装置10を備える充電スペースの案内装置100を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車に充電する際に、充電器が設けられている充電スペースを案内する充電スペース案内装置及び充電スペースの案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車を利用するユーザに対して情報を提供するナビゲーション装置に関し、施設の位置及び電気自動車用のバッテリ充電設備の有無を含む施設データを用いてエネルギー供給設備を備える施設の位置をユーザに提供する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−215124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のナビゲーション装置ではバッテリ充電設備の有無をユーザに提供するだけであるので、ユーザは充電器が設けられている充電スペースが何処にあるのかを知ることができない。このため、ユーザは充電時に利用しようとするスペースに充電器が配置されているか否かを一々確認しなければならず、利便性に欠けるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、自車両が利用する充電施設内に設けられた充電器の位置をユーザに案内することができる利便性の高い充電スペース案内装置及び充電スペース案内方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自車両が利用する充電施設を特定し、その充電施設に属する電気自動車用の充電器が装備された充電スペースの位置を含む情報を提供することにより上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ユーザが利用する充電施設に属し、電気自動車用の充電器が装備された充電スペースの位置を含む情報が提供されるので、充電時においてユーザは各スペースに充電器が有るか否かを確認しなくても、充電施設内のどのスペースに充電器が装備されているのかを知ることができる。このため、自車両のバッテリを充電する際の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る本実施形態の案内装置100を含む車載装置1のブロック構成図である。
【図2】充電器の位置情報の一例を示す図である。
【図3】充電スペースの仕様情報の一例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る案内装置100の動作手順を説明するためのフローチャート図である。
【図5】充電スペースの選択画面の一例を示す図である。
【図6】充電スペースの案内情報の一例を示す図である。
【図7】充電スペースの案内情報の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、電気自動車に搭載された本実施形態に係る案内装置100について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る案内装置100を含む車載装置1のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態の車載装置1は、案内装置100の他に、ナビゲーション装置200と車両コントローラ300とを備えている。これらの各装置はCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行うことができる。また、車載装置1の案内装置100とナビゲーション装置200と車両コントローラ300は、ナビゲーション装置200の通信装置204を介して通信機能2Qを備える外部の情報提供装置2と相互に情報の授受を行うことができる。
【0011】
同図に示すように、本実施形態に係る案内装置100は、充電器を備える充電スペースの位置を含む案内情報をディスプレイ21やスピーカ22を介して出力させる処理を実行するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、案内装置100として機能させる動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13と、を備えている。
【0012】
本実施形態に係る案内装置100の制御装置10は、充電施設特定機能と、充電スペース情報取得機能と、充電スペース選択機能と、案内機能とを備えている。本実施形態の制御装置10は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実行することができる。
【0013】
以下に、この制御装置10が実現する各機能についてそれぞれ説明する。
【0014】
まず、制御装置10の充電施設特定機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、ユーザからの入力情報に基づいて又は自車両の現在位置やバッテリ残量などの車両の状況に基づいて、自車両が利用する充電施設を特定する充電施設特定機能を備えている。例えば、本実施形態の制御装置10は、ナビゲーション装置200の経路探索装置202により探索される経路の目的地に基づいて充電施設を特定することができる。つまり、目的地として設定された地点が充電施設であれば、その充電施設を案内の対象として特定することができる。また、制御装置10は、充電施設が目的地として設定されない場合であっても、車両コントローラ300から取得したバッテリ残量が所定値未満である場合は、ナビゲーション装置200の現在位置検出装置201により検出された現在位置から所定距離以内(近傍)の充電施設を案内対象の充電施設として特定することができる。さらに、制御装置10は、経路探索を行っていない場合であっても、車両の現在位置が充電施設内にある場合は、その充電施設を案内対象の充電施設として特定することもできる。なお、ある地点を含む施設が充電施設であるか否かの施設の属性情報は、ナビゲーション装置200の地図情報2031又は充電施設情報2032に含まれている。
【0015】
本実施形態においては、充電施設の属性を含む地図情報2031又は充電施設の位置を含む充電施設情報2032がナビゲーション装置200の記憶装置203に格納されている例を説明するが、案内装置100の制御装置10に記憶させてもよいし、外部の情報提供装置2から通信装置204を介して取得することもできる。
【0016】
次に、制御装置10の充電スペース情報取得機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、特定された充電施設に属する電気自動車用の充電器が装備された充電スペースの位置を含む充電スペース情報2023と各充電スペースにおける充電器の配置位置を含む充電器位置情報2034を含む情報を取得する。
【0017】
充電施設情報2032、充電スペース情報2023、充電器位置情報2034は、ナビゲーション装置200の記憶装置203において互いに対応づけて記憶させてもよいし、外部の情報提供装置2内の記憶装置において互いに対応づけて充電施設情報2a、充電スペース情報2b、充電器位置情報2cとして記憶させ、通信装置204を介して取得してもよい。
【0018】
図2は、充電施設情報2032,充電スペース情報2033,及び充電器位置情報2034を含む情報の一例を示している。図2に示すように、充電施設Pごとに充電施設ID(識別子)と位置情報(緯度及び経度)が付されるとともに、充電施設に属する各充電スペースSについても充電スペースID(識別子)と充電スペースIDの充電施設Pにおける配置情報(配置識別子)が付されている。また、各充電スペースにはその充電スペースにおける充電器Cの配置場所を付すことができる。この情報により、制御装置10は、多くの充電施設の中からある特定された充電施設Pを識別し、その充電施設Pに属する充電スペースSを識別することができるとともに、その充電スペースSにおける充電器Cの配置場所を知ることができる。
【0019】
ちなみに、充電施設Pに属するすべての充電スペースSにおいて充電器Cの位置が共通する場合には、充電施設PのIDと充電器Sの位置とを対応づけて記憶することが好ましい。また、充電施設Pに属する充電スペースSの充電器Cの位置がそれぞれ異なる場合は、各充電スペースSのIDと充電器Cの位置とを対応づけて記憶することが好ましい。
【0020】
後に詳述する本実施形態の制御装置10の案内機能は、特定された充電施設に属する充電スペースSの位置情報や各充電スペースSの充電器Cの配置場所を案内することができるが、この場合にすべての充電スペースSの位置を案内するよりも、利用可能な充電スペースSや利用しやすい充電スペースSの位置を案内する方がユーザにとって判りやすい場合がある。
【0021】
このため、本実施形態の制御装置10は、利用可能な充電スペースの中から、ユーザの選択操作に基づいて一つの充電スペースを選択する充電スペース選択機能をさらに備えている。この充電スペース選択機能が実行される場合において、後述する案内機能は、選択された充電スペースSの位置情報のみを自車両のユーザに提供する。
【0022】
本実施形態の制御装置10の充電スペース選択機能は、特定された充電施設に属する充電スペースの利用可否情報131を取得し、この利用可否情報131に基づいてユーザが利用する充電スペースを選択する。この充電スペース利用可否情報131は、特定された充電施設に属する各充電スペースのリアルタイムの利用状況(駐車中又は空き状態の情報)を含んでいる。利用可否情報131は、充電施設側から情報を取得できる情報提供装置2により管理され、通信装置204を介して取得し、案内装置100のRAM13に少なくとも一時的に記憶される。
【0023】
具体的に、制御装置10の充電スペース選択機能は、各充電スペースの使用状況(空き状況)に係る充電スペース利用可否情報2dを充電施設側の情報提供装置2から通信装置204を介して取得し、使用されている(空いていない)充電スペースを案内の対象から除く。これにより、使用可能な充電スペースの中から案内する充電スペースを選択することができる。
【0024】
充電器が装備されており、かつ利用可能な充電スペースが複数ある場合には、さらにその中から充電スペースを選択することが望ましい。特に限定されないが、制御装置10の充電スペース選択機能は、各充電スペースの仕様情報を参照して各充電スペースを評価し、評価結果に基づいて充電施設に含まれる充電スペースの中からユーザが利用しやすい充電スペースを選択することができる。つまり、充電スペースの仕様情報に基づいてユーザが駐車しやすい充電スペースを抽出し、その充電スペースを案内の対象として選択することができる。
【0025】
本実施形態の仕様情報は、各充電スペースの広さ又は形状、各充電スペースに隣接するスペースの空き状況、各充電スペースの屋根又は柱の有無、及び各充電スペースから充電施設の出口までの距離のうち、何れか一つ以上の情報を含む。
【0026】
特に限定されないが、仕様情報の一例を図3に示す。図3に示すように、本実施形態の仕様情報に含まれるパラメータとパラメータを求める式は以下のものを含む。
【0027】
(1)各充電スペースから充電施設の出口までの距離を評価する評価式f1
評価式f1は、「充電施設の歩行者出口までの距離=充電スペース候補の駐車枠の中心から歩行者用出入口までの直線距離(m) ÷ 10」である。
【0028】
(2)各充電スペースの広さ又は形状を評価する評価式f2〜f4
評価式f2は、「充電スペース候補の駐車枠の幅 =充電スペース候補の駐車枠の幅(m) - 2.3(m)」である。定数2.3はその充電スペースを利用する車両の車幅に応じて定義される。トラックやバス用の充電スペースでは3.0m〜4.0mの値が定義される。
【0029】
評価式f3は、「充電スペース候補の駐車枠の奥行き =充電スペース候補の駐車枠の幅(m) - 4.5(m)」である。定数4.5はその充電スペースを利用する車両の車長に応じて定義される。トラックやバス用の充電スペースでは5.0m〜10.0mの値が定義される。
【0030】
評価式f4は、「充電スペース候補の通路の幅 =充電スペース候補の駐車枠に面した通路の幅(m) - 4.5(m)」である。定数4.5はその充電スペースを利用する車両の車幅や車長に応じて定義される。トラックやバス用の充電スペースでは5.0m〜10.0mの値が定義される。
【0031】
(3)充電スペースに隣接するスペースの空き状況を評価する評価式f5,f6
評価式f5は、「充電スペース候補の助手席側(右ハンドル国では車両の左側)のスペースの空き =充電スペース候補の助手席側に存在する壁、障害物、又は隣の充電スペースまでの距離(m)」である。
【0032】
評価式f6は、「充電スペース候補の運転席側(右ハンドル国では車両の右側)のスペースの空き =充電スペース候補の助手席側に存在する壁、障害物又は隣の充電スペースまでの距離(m)」である。
【0033】
(4)各充電スペース屋根又は柱の有無を評価する評価式f7
評価式f7は、「充電スペース候補の上方に屋根が無いこと。つまり、充電スペース近傍又は内部に柱が無いこと」である。充電スペース候補の上方に屋根が無い又は有ることに対応する所定数値が与えられる。
【0034】
さらに、本実施形態では、評価式で求められた数値に重みづけをするための係数を定義している。これにより、どの仕様をどの程度重視するかを予め決定しておくことができる。
【0035】
図3は、ある充電施設における充電スペースA,B,Cについての評価の結果の一例を示す図である。
【0036】
図3には、評価式f1に係る「充電施設の歩行者出口までの距離」が充電スペースA=8[m], 同B=7[m], 同C=6[m]、評価式f2に係る「充電スペース候補の駐車枠の幅」が充電スペースA=3[m],同B=3[m],同C=3[m]、評価式f3に係る「充電スペース候補の駐車枠の奥行き」が充電スペースA=6[m],同B=6[m],同C=6[m]、評価式f4に係る「充電スペース候補の通路の幅」が充電スペースA=7[m], 同B=7[m], 同C=7[m]、評価式f5に係る「充電スペース候補の助手席側のスペースの空き」が充電スペースA=1[m], 同B=0[m], 同C=0.8[m]、評価式f6に係る「充電スペース候補の運転席側のスペースの空き」が充電スペースA=0[m], 同B=0.2[m], 同C=0[m]、評価式f7に係る「充電スペース候補の上方に屋根が無いこと」が充電スペースA=なし=1, 同B=なし=1, 同C=なし=1である場合の評価の例を示している。
【0037】
これらの仕様の評価に必要な仕様情報2eは充電施設側の情報提供装置2が記憶しており、案内装置100はナビゲーション装置204の通信装置204を介して取得することができる。また、仕様情報2eは予め車載装置1のナビゲーション装置200の記憶装置203に格納しておいてもよい。
【0038】
図3に示す「合計」は、各仕様情報と評価式から求めた評価値に重みづけ係数を乗じた値の充電スペースごとの合計である。この評価値の合計に基づいて、充電スペースが駐車しやすいか駐車しにくいかを判断することができる。図5に示す例では評価値の合計が最も大きい充電エリアAが最も駐車しやすい充電エリアとして選択される。
【0039】
このように、充電スペース選択機能は、ユーザの意思に応じた駐車方向で駐車できる充電スペースが複数存在する場合において、充電スペースの仕様の評価値に基づいて自動的に駐車しやすい充電スペースを選択することができる。しかも、駐車した充電スペースにおいては自車両の給電口は充電器の近くにあるので、簡単に充電をすることができる。
【0040】
また、制御装置10は、ユーザの意思に基づいて案内する充電スペースを選択することもできる、具体的に、制御装置10は、ユーザの意思に応じた充電スペースの候補をタッチパネル型のディスプレイ21により提示するとともに、ユーザに充電スペースの選択操作を要求する。そして、制御装置10は、タッチパネル型のディスプレイ21を介して入力されたユーザの選択情報に基づいて、案内の対象となる充電スペースを選択することができる。このとき、ユーザに提示される充電スペースの候補はユーザの駐車方向に関する意思に沿ったものであるから、ユーザは自身の意思に沿う駐車方向で駐車できる充電スペースを知ることができる。なお、本例におけるタッチパネル型のディスプレイ21としては、ナビゲーション装置などに用いられている一般的なものを用いることができる。
【0041】
最後に、制御装置10の案内機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、特定された充電施設に属する充電スペースの位置及び各充電スペースにおける充電器の配置位置を含む情報を自車両に搭乗するユーザに提供する案内機能を備えている。駐車場などの施設では、すべてのスペースが充電器を備える充電スペースとは限らないが、本実施形態の案内装置100は充電スペースの位置をユーザに提供するため、充電をしようとするユーザは充電器が設けられた充電スペースを事前に知ることができる。
【0042】
また、充電器が配置されていることが判っても、各充電スペースのどこに充電器が配置されているのかが判らないと、自車両を前進又は後退の何れの方向で駐車すべきかを判断できないが、本実施形態の案内装置100は充電器の配置情報をユーザに提供するため、充電をしようとするユーザは充電器の位置を知ることができるので、自車両の給電口の位置を考慮して自車両を前進又は後退の何れの方向で駐車すべきかを判断することができる。
【0043】
また、本実施形態の制御装置10は、利用可否情報131を取得した場合には、利用可否情報131に基づいて抽出された利用可能な充電スペースの位置及びその充電スペースにおける充電器の配置位置をユーザに案内することができる。つまり、制御装置10は、自車両が利用する充電施設に属し、充電器を備え、かつ利用可能な充電スペースの位置とその充電器の配置位置を含む案内情報をユーザに提供することができる。
【0044】
本実施形態において、制御装置10は、特定された充電施設に属する充電スペースの位置を少なくとも含み、必要に応じて充電スペースに装備された充電器の配置位置を含む案内情報を、ディスプレイ21を介して文字や図によって表示し、この表示とともに又は別にスピーカ22を介して音声によって出力する。案内情報の態様は特に限定されないが、「右側奥のスペースで充電できます」又は「右側奥の充電スペースには手前左に充電器が配置されています」などといった内容の文字や音声で構成することができる。もちろん、案内される充電スペースにおける充電器の位置を図示してもよい。
【0045】
本実施形態では、車両に搭載された案内装置100を例に説明するが、上述の充電施設特定機能と充電スペース情報取得機能と充電スペース選択機能と案内機能とを実行する制御装置10´を備え、車載装置1と情報の授受が可能な情報提供装置2により本発明の実施形態に係る充電スペースの案内を実行することもできる。
【0046】
続いて、図4〜図7に基づいて、本実施形態の案内装置100の動作を説明する。図4は、本発明に係る本実施形態の案内装置100の動作手順を示すフローチャート図、図5は充電スペースの選択画面の一例を示す図、図6は案内情報の一例を示す図、図7は案内情報の他の例を示す図である。
【0047】
図4に示すように、まず、ステップS101において、制御装置10は、ナビゲーション装置200の経路探索装置202を用いて目的地が設定されたか否かを判断する。目的地が設定されている場合はステップS102へ進み、目的地が設定されていない場合はステップS103へ進む。
【0048】
設定された目的地が充電施設である場合はステップS104へ進み、目的地として設定された充電施設を、本処理の案内対象としての充電施設として特定する。目的地が充電施設である場合は、ユーザがその充電施設に充電をしに行くと推測することができるからである。ちなみに、地点が充電施設である旨などの地点の属性は予め地図情報2031に記憶されている。
【0049】
他方、ステップS101及びステップS102において、目的地が設定されなかった場合や、目的地が設定されたとしても充電施設を目的地としない場合は、ステップS103へ進む。
【0050】
ステップS103において、制御装置10は、ユーザが充電施設を利用するか否か、つまりユーザが充電施設を利用する可能性を判断する。たとえば、制御装置10は、車両コントローラ300から取得したバッテリ残量が所定値未満である場合は、ユーザが充電施設を利用する可能性が高いと判断する。また、制御装置10は、ユーザが経路探索を行っていない場合であっても、車両の現在位置が充電施設内にある場合は、ユーザが充電施設を利用する可能性が高いと判断する。ユーザが充電施設を利用すると判断された場合にはステップS104へ進む。
【0051】
このように、本実施形態の案内装置100は、ユーザによる目的地設定などの操作情報や車両のバッテリ残量や車両の現在位置に基づいて、案内情報の生成及び出力のトリガを自動的に判断し、実行することができる。
【0052】
次に、ステップS104において、制御装置10は、自車両が利用する充電施設を特定する。本実施形態の制御装置10は、ステップS101,S102で目的地として設定された充電施設を案内対象の充電施設として特定する。制御装置10は、バッテリ残量に基づいてステップS103の判断処理がされた場合には、バッテリ残量が所定値未満であると判断されたタイミングにおいて現在位置から所定距離以内(近傍)の充電施設を案内対象の充電施設として特定することができる。また、制御装置10は、自車両の現在位置と充電施設の位置情報に基づいてステップS103の判断処理がされた場合には、自車両の現在位置と所定距離X以内に存在する充電施設を案内対象の充電施設として特定することができる。
【0053】
続いて、ステップS105において、制御装置10は、自車両の現在位置と充電施設の位置とを比較して、自車両の現在位置と充電施設の位置(又は充電スペースが存在する領域の位置)との距離が所定値未満Y(Y<X)となった場合には、自車両が充電施設の充電スペースに接近乃至敷地内に進入したと判断し、ステップS106へ進む。このタイミングで案内情報の作成処理を開始することができる。
【0054】
次のステップS106において、制御装置10は、ステップS104にて特定された充電施設に属する充電スペースの充電器の位置を取得する。充電施設に属する全ての充電スペースにおいて充電器の位置が同じである場合には、充電施設ごとに特定された充電器の位置を取得する。他方、充電施設に属する各充電スペースの充電器の位置が異なる場合には、各充電スペースの充電器の位置を取得する。先述した図2は、ステップS104で特定された充電施設に属する各充電スペースの配置例及び各充電スペースにおける充電器の配置例である。例えば、図2に示す例では、制御装置10が、各充電スペースのIDと充電器の設置された位置(奥中央、左奥、右奥、手前左、手前右)の情報とを取得する。
【0055】
続くステップS107において、制御装置10は、特定された充電施設の充電スペース利用可否情報2dを外部の情報提供装置1からナビゲーション装置200の通信装置204を介して取得する。そして、制御装置10は、特定された充電施設に属する充電器を備えた充電スペースの中から利用可能な充電スペースを選択する。
【0056】
続くステップS108において、充電器が装備されかつ利用が可能な充電スペースが複数存在する場合には、ステップS109へ進む。他方、充電器が装備されかつ利用が可能な充電スペースが一つに絞られた場合にはステップS111へ進み、利用可能な充電スペースの案内情報を出力する。
【0057】
ステップS109において、制御装置10は、各充電スペースの広さ又は形状、各充電スペースに隣接するスペースの空き状況、各充電スペースの屋根又は柱の有無、及び各充電スペースから充電施設の出口までの距離などの「各充電スペースの仕様情報」を考慮して、駐車しやすい充電スペースを特定する。
【0058】
具体的に、制御装置10は、上述した評価式f1〜f7を用いて図3に示すように各充電スペースの駐車し易さを評価する。そして、評価結果に基づいてステップS107で抽出された複数の充電スペースの中からユーザに案内する充電スペースを特定する。
【0059】
また、利用する充電スペースを特定する処理はこれに限定されず、ユーザに一つの充電スペースを選択するよう要求し、この要求に対する入力をユーザから受け付けてもよい。例えば、図5に示すような入力受付画面を入出力装置20に表示し、ユーザの選択を問い合わせてもよい。
【0060】
図5に示す例では、すでに他車両が駐車しており利用ができない充電スペースはグレーアウト表示されており、駐車されておらず利用可能な充電スペースはハイライト表示されている。また、同図に示すように、ディスプレイ21には、充電器との接続位置を示すアイコン(コンセントの図)が充電器の設けられている場所に対応づけて表示されている。これにより、ユーザは充電器を装備する充電スペースの位置を知ることができるとともに、充電スペースのどこに充電器が設けられているのかを知ることができる。つまり、ユーザは自車両の給電口の位置を考慮し、駐車時に充電スペースに前進又は後退のどちらで進入すれば自車両の給電口と充電器の位置が近くなるかを判断してから、自車両を駐車させることができる。
【0061】
そして、制御装置10は、ユーザが利用する充電スペースの選択情報(充電スペースID)の入力を受け付ける。ユーザは、タッチパネル型のディスプレイ21で表示された充電スペースの中から自分が利用したい充電スペースを選択し、タッチ入力する。ちなみに、タッチパネル型のディスプレイ21は、駐車されていない充電スペースの選択入力のみを受け付け、駐車されていて利用できない充電スペースの選択入力は受け付けない。
【0062】
このように、ユーザの運転嗜好である駐車方向に関する意思に応じた充電スペースの中から駐車しやすい充電スペースを選択することができるので、案内装置100の利便性を向上させることができる。
【0063】
続くステップS110において、制御装置10は、特定された充電スペースの案内情報をディスプレイ21及び/又はスピーカ22を介して出力する。出力される案内情報は特に限定されないが、図6に示すように、利用可能な充電スペースをハイライトで示し(利用不可能な充電スペースをグレーアウトで示し)つつ、その中からステップS109において仕様情報に基づいて特定された充電スペースへユーザの自車両を誘導するため「左側のA駐車スペースに駐車すると充電しやすいです」といった案内情報をディスプレイ21及び/又はスピーカ22を介して出力し、処理を終了する。
【0064】
また、図7に示すように、ステップS106にて取得された充電スペースの位置に基づいて、特定された充電施設に属し、充電器が装備されたすべての充電スペースの位置及び充電器の配置を示す案内情報を出力することも可能である。
【0065】
本発明は以上のように構成され、以上のように作用するので、以下の効果を奏する。
【0066】
本発明に係る本実施形態の案内装置100又は案内方法によれば、ユーザが利用する充電施設に属し、電気自動車用の充電器が装備された充電スペースの具体的な位置が提供されるので、ユーザは駐車しようとする度に各スペースに充電器が有るか否かを確認しなくても、充電施設内のどのスペースに充電器が装備されているのかを知ることができる。つまり、どのスペースを利用すれば充電できるかを事前に知ることができる。このため、自車両のバッテリを充電する際の利便性を向上させることができる。
【0067】
充電器を備える駐車場(充電施設)といっても、すべての駐車場に充電器が装備されているとは限らないので、ユーザは充電する度にスペースに充電器が装備されているかを一々判断しなければならない。これに対し、本実施形態の案内装置100又は案内方法によれば、駐車時において充電器が装備されているか否かを確認する手間が省けるので、ユーザの負荷を低減させることができる。
【0068】
また、本発明に係る本実施形態の案内装置100又は案内方法によれば、ユーザが利用する充電施設に属し、電気自動車用の充電器が装備された充電スペースについて、充電器の配置位置を含む案内情報が提供されるので、ユーザは駐車しようとする度に各充電スペースの充電器の配置位置を確認しなくても、充電スペースのどの位置に充電器が装備されているのかを知ることができる。このため、駐車時に充電スペースに前進で進入するか後退で進入するかを事前に判断できるので、充電する際の利便性を向上させることができる。
【0069】
一般に、車両の給電口の位置はメーカや車種によって異なり、また充電器の位置は充電施設や充電スペースごとに異なる。このため、充電器が配置されていることが判っても、各充電スペースのどこに充電器が配置されているのかが判らないと、自車両を前進又は後退の何れの方向で駐車すべきかを判断できない。つまり、ユーザは充電するために自車両の給電口の位置や駐車しようとする充電スペースの充電器の位置を確認してから充電スペースへの進入方向を一々判断しなければならない。これに対し、本実施形態の案内装置100は充電器の配置情報をユーザに提供するため、充電をしようとするユーザは自車両の給電口の位置を考慮して自車両を前進又は後退の何れの方向で駐車すべきかを事前に判断することができる。この結果、駐車時において充電器の配置位置を確認する手間が省けるので、ユーザの負荷を低減させることができ、充電する際の利便性を向上させることができる。
【0070】
このように、本実施形態の案内装置100によれば、ユーザは、充電器の配置位置と自車両の給電口の位置に基づいて自身が利用しようとする充電施設の充電スペースに駐車する際の進入方向を予め判断できるので、ユーザは駐車時において車両操作に集中することができる。さらに、駐車した後に、自車両の給電口と充電器とが離れていることに気づいて駐車をやり直すといった無駄なエネルギー消費も防止することができる。
【0071】
また、ユーザが前方進入による駐車と後退進入による駐車において得意又は不得意といった運転操作の嗜好を持っている場合には、予め充電器の配置を知っていればユーザは自身の嗜好に応じた充電スペースを選択して利用することができる。
【0072】
本実施形態の案内装置100は、充電施設に含まれる充電スペースの中からユーザが利用する充電スペースを選択して、選択された充電スペースの位置を含む情報をユーザに提供することができるので、一度に多くの充電スペースの候補を案内できることに加えて、選択された充電スペースの候補を案内することもできる。これにより、ユーザは予め絞りこまれた充電スペースの候補の中から利用する充電スペースの情報を得ることができる。
【0073】
この場合において、本実施形態の案内装置100は、特定された充電施設に属する充電スペースの利用可否情報を取得し、この利用可否情報に基づいて利用可能な充電スペースを選択するので、ユーザは現在利用できる充電スペースに関する案内情報を取得することができる。
【0074】
さらに、この場合において、本実施形態の案内装置100は、各充電スペースの仕様情報を参照して各充電スペースを評価し、評価結果に基づいて、特定された充電施設に含まれる充電スペースの中からユーザが利用する充電スペースを特定するので、ユーザの意思に応じた駐車方向で駐車できる充電スペースが複数ある場合に、駐車しやすい仕様の充電スペースを選んで、その充電スペースを案内することができる。
【0075】
また、本実施形態における仕様情報は、各充電スペースの広さ又は形状、各充電スペースに隣接するスペースの空き状況、各充電スペースの屋根又は柱の有無、及び各充電スペースから充電施設の出口までの距離のうち、いずれか一つ以上を含むので、これらの観点から充電スペースの駐車しやすさを評価し、駐車しやすい充電スペースを特定することができる。
【0076】
加えて、本実施形態の案内装置100は、特定された充電施設のうち、ユーザが利用する充電スペースを選択する情報を受け付け、ユーザから入力された情報によって選択された充電スペースの位置とその充電スペースにおける充電器の配置位置とが案内されるので、ユーザは自身が駐車しようとする充電スペースを対象とした案内情報のみを出力させることができる。つまり、ユーザの意思に応じた案内情報を提供することができる。
【0077】
他の観点において、車両と情報の授受が可能であり、車両のユーザに充電スペースの案内情報を提供することができる本発明に係る情報提供装置においては、案内装置100と同様に、自車両が利用する充電施設を特定する充電施設特定機能と、特定された充電施設に属する電気自動車用の充電器を装備する充電スペースの位置を含む情報を取得する充電スペース情報取得機能と、特定された充電施設に属する充電スペースの位置を含む情報を自車両のユーザに提供する案内機能と、必要に応じて特定された充電施設に含まれる充電スペースの中からユーザが利用する充電スペースを選択する充電スペース選択機能と、を有する制御装置10´を備えているので、上述の案内装置100と同様の効果を得ることができる。本実施形態の情報提供装置2は、車両の外部で上述の処理を行うことができるので、車載装置の処理負荷を低減させることができる。
【0078】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0079】
すなわち、本明細書では、本発明に係る充電スペース案内装置の一態様として案内装置100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0080】
また、本明細書では、本発明に係る充電スペース案内装置の一態様として、CPU11、ROM12、RAM13を含む制御装置10及び入出力装置20を備える案内装置100を一例として説明するが、これに限定されるものではない。
【0081】
また、本明細書では、本願発明に係る充電施設特定手段と、充電スペース情報取得手段と、案内手段と、充電スペース選択手段を有する充電スペース案内装置の一態様として、充電施設特定機能と、充電スペース情報取得機能と、案内機能と、表示機能と、必要に応じて充電スペース選択機能とを有する案内装置100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0082】
1…車載装置
100…案内装置
10…制御装置
11…CPU
12…ROM
13…RAM
20…入出力装置
21…タッチパネル型のディスプレイ
22…スピーカ
200…ナビゲーション装置
201…現在位置検出装置
202…経路探索装置
203…記憶装置
204…通信装置
300…車両コントローラ
2…情報提供装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が利用する充電施設を特定する充電施設特定手段と、
前記特定された充電施設に属する電気自動車用の充電器を装備する充電スペースの位置を含む情報を取得する充電スペース情報取得手段と、
前記特定された充電施設に属する充電スペースの位置を含む情報を前記自車両のユーザに提供する案内手段と、を有する充電スペース案内装置。
【請求項2】
前記充電スペース情報は、前記充電スペースにおける充電器の配置位置を含むことを特徴とする請求項1に記載の充電スペース案内装置。
【請求項3】
前記特定された充電施設に含まれる充電スペースの中から前記ユーザが利用する充電スペースを選択する充電スペース選択手段をさらに備え、
前記案内手段は、前記選択された充電スペースの位置を含む情報を前記自車両のユーザに提供する請求項1又は2に記載の充電スペース案内装置。
【請求項4】
前記充電スペース選択手段は、前記特定された充電施設に属する充電スペースの利用可否情報を取得し、前記利用可否情報に基づいて前記ユーザが利用する充電スペースを選択する請求項1〜3の何れか一項に記載の充電スペース案内装置。
【請求項5】
前記充電スペース選択手段は、前記各充電スペースの仕様情報を参照して前記各充電スペースを評価し、前記評価結果に基づいて、前記特定された充電施設に含まれる充電スペースの中から前記ユーザが利用する充電スペースを選択することを特徴とする請求項3又は4に記載の充電スペース案内装置。
【請求項6】
前記仕様情報は、前記各充電スペースの広さ又は形状、前記各充電スペースに隣接するスペースの空き状況、前記各充電スペースの屋根又は柱の有無、及び前記各充電スペースから前記充電施設の出口までの距離のうち、いずれか一つ以上を含むことを特徴とする請求項5に記載の充電スペース案内装置。
【請求項7】
車両と情報の授受が可能であり、前記車両のユーザに充電スペースの案内情報を提供する情報提供装置であって、
前記車両が利用する充電施設を特定する充電施設特定手段と、
前記特定された充電施設に属し、電気自動車用の充電器を備える充電スペースの位置含む情報を取得する充電スペース情報取得手段と、
前記車両を利用するユーザに前記特定された充電施設に属する充電スペースの位置を含む情報を案内する案内手段と、を有する情報提供装置。
【請求項8】
前記自車両が利用する充電施設を特定するステップと、
前記特定された充電施設に属する電気自動車用充電器を備える充電スペースの位置を参照するステップと、
前記電気自動車用充電器を備える充電スペースを案内するステップと、を有する充電スペースの案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−242978(P2011−242978A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114174(P2010−114174)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】