説明

充電スペース案内装置及び充電スペースの案内方法

【課題】ユーザの意思に応じた駐車方向で自車両を駐車させることができる充電スペース案内する。
【解決手段】自車両の給電口の位置を取得する給電口位置取得機能と、自車両が利用する充電施設を特定する施設特定機能と、特定された充電施設に属する各充電スペースの充電器の位置を取得する充電器位置取得機能と、ユーザの駐車方向に関する意思を取得する駐車方向意思取得機能と、自車両の給電口の位置と各充電スペースの充電器の位置とユーザの駐車方向に関する意思とに基づいて、ユーザの意思に応じた駐車方向で自車両を駐車できる充電スペースを案内する案内機能とを実行する制御装置10を備える充電スペースの案内装置100を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車を充電スペースに駐車する際に、ユーザの意思に応じた駐車方向で駐車することのできる充電スペースを案内する充電スペース案内装置及び充電スペースの案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車を利用するユーザに対して情報を提供するナビゲーション装置に関し、施設の位置及び電気自動車用のバッテリ充電設備の有無を含む施設データを用いてエネルギー供給設備を備える施設の位置をユーザに提供する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−215124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のナビゲーション装置ではバッテリ充電設備の有無をユーザに提供するだけであるので、ユーザは充電スペースにおける充電器の位置を事前に知ることができず、各充電スペースが車両を前進させて駐車できる充電スペースであるのか、車両を後退させて駐車できる充電スペースであるのかを事前に判断することができない。このため、ユーザが前進で駐車させたい又は後退で駐車させたいという意思を持っていてもどの充電スペースに駐車すればよいのかを判断できずに、充電の度に充電器の配置を一々確認しなければならず、利便性に欠けるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ユーザが車両を前進で充電スペースに駐車したい又は後退で充電スペースに駐車したいという意思を持っている場合に、ユーザの意思に応じた駐車方向で自車両を駐車できる充電スペースを案内することができる利便性の高い充電スペース案内装置及び充電スペース案内方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特定された充電施設に属する各充電スペースの充電器の位置と自車両の給電口の位置とユーザの駐車方向に関する意思とに基づいて、ユーザの意思に応じた駐車方向で自車両を駐車できる充電スペースを案内することにより上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、ユーザの意思に応じた駐車方向で自車両を駐車できる充電スペースを案内するので、ユーザは充電スペースに駐車する度に給電口の位置や充電器の配置を一々確認しなくても、ユーザ自身が希望する駐車方向で自車両を駐車すれば充電できる充電スペースを知ることができる。このため、自車両のバッテリを充電する際の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る本実施形態の案内装置100を含む車載装置1のブロック構成図である。
【図2】自車両の給電口の位置の一例を示す図である。
【図3】充電器の位置の一例を示す図である。
【図4】駐車方向情報の一例を示す図である。
【図5】充電スペースの仕様情報の一例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る案内装置100の動作手順を説明するためのフローチャート図である。
【図7】案内情報の出力時の状況を示す図である。
【図8】駐車方向に関する意思の入力画面の一例を示す図である。
【図9】駐車方向に関する意思の入力画面の他の例を示す図である。
【図10】充電スペースの選択画面の一例を示す図である。
【図11】充電スペースの案内画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、電気自動車に搭載された本実施形態に係る案内装置100について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る案内装置100を含む車載装置1のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態の車載装置1は、案内装置100の他に、ナビゲーション装置200と車両コントローラ300とを備えている。これらの各装置はCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行うことができる。また、車載装置1の案内装置100とナビゲーション装置200と車両コントローラ300は、ナビゲーション装置200の通信装置204を介して通信機能2Qを備える外部の情報提供装置2と相互に情報の授受を行うことができる。
【0011】
同図に示すように、本実施形態に係る案内装置100は、ユーザの意思に応じた充電スペースを案内する情報をディスプレイ21やスピーカ22を介して出力させる処理を実行するプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、案内装置100を機能させる動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13と、を備えている。
【0012】
本実施形態に係る案内装置100の制御装置10は、給電口位置取得機能と、施設特定機能と、充電器位置取得機能と、駐車方向意思取得機能と、充電スペース特定機能と、案内機能と、を備えている。本実施形態の制御装置10は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実行することができる。
【0013】
以下に、この制御装置10が実現する各機能についてそれぞれ説明する。
【0014】
まず、制御装置10の給電口位置取得機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、自車両の給電口の位置を取得する給電口位置取得機能を備えている。制御装置10はその内部のROM12,RAM13、車両コントローラ300の記憶装置が記憶する自車両の給電口の位置、又は情報提供装置2の記憶装置が記憶する自車両の給電口の位置を読み込んで取得することができる。また、給電口の位置は予め記憶されている情報を取得するほか、車載装置1が記憶する車種情報に基づいて、予め準備された車種情報と給油口位置との対応情報を参照して自車両の給油口の位置を取得することも可能である。例えば、案内装置100は、案内装置100又は車両コントローラ300が記憶する自車両の車種情報を外部の情報提供装置2に通信装置204を介して送出し、情報提供装置2が求めた自車両の給油口の位置を、通信装置204を介して取得することが可能である。このとき、情報提供装置2は予め準備された車種情報と給油口位置との対応情報を参照し、車載装置1から取得した車種情報に基づいて自車両の給油口の位置を求めることができる。
【0015】
図2は車両の給電口の位置の例を示す図である。給電口Kの位置(情報)は、給電口Kが車両のどの位置に設けられているかを示す情報であり、例えば、図2に示すように、前中央、後中央、前左、前右、後左、後右などの自車両の進行方向を前方とした場合の設置位置情報である。なお、図2は給電口Kを設けることができる位置の例を示すものであり、給電口Kは車両に少なくとも一つ設けられていればよい。
【0016】
続いて、制御装置10の施設特定機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、ユーザからの入力情報に基づいて又は自車両の現在位置やバッテリ残量などの車両の状況に基づいて、自車両が利用する充電施設を特定する施設特定機能を備えている。例えば、本実施形態の制御装置10は、ナビゲーション装置200の経路探索装置202により探索される経路の目的地に基づいて充電施設を特定することができる。つまり、目的地として設定された地点が充電施設であれば、その充電施設を案内の対象として特定することができる。また、制御装置10は、充電施設が目的地として設定されない場合であっても、車両コントローラ300から取得したバッテリ残量が所定値未満である場合は、ナビゲーション装置200の現在位置検出装置201により検出された現在位置から所定距離以内(近傍)の充電施設を案内対象の充電施設として特定することができる。さらに、制御装置10は、経路探索を行っていない場合であっても、車両の現在位置が充電施設内にある場合は、その充電施設を案内対象の充電施設として特定することもできる。なお、ある地点を含む施設が充電施設であるか否かの施設の属性情報は、ナビゲーション装置200の地図情報2031又は充電施設情報2032に含まれている。
【0017】
本実施形態においては、充電施設の属性を含む地図情報2031又は充電施設の位置を含む充電施設情報2032がナビゲーション装置200の記憶装置203に格納されている例を説明するが、案内装置100の制御装置10に記憶させてもよいし、外部の情報提供装置2から通信装置204を介して取得することもできる。
【0018】
次に、制御装置10の充電器位置取得機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、特定された充電施設に属する充電スペースの位置を含む充電スペース情報2023及び/又は各充電スペースの充電器の位置を含む充電器位置情報2034を取得する充電器位置取得機能を備えている。充電スペース情報2023、充電器位置情報2034は、ナビゲーション装置200の記憶装置203に充電施設情報2032と対応づけて記憶させてもよいし、外部の情報提供装置2内に充電スペース情報2b、充電器位置情報2cとして記憶させ、通信装置204を介して取得してもよい。
【0019】
図3は、充電施設情報2032,充電スペース情報2033,及び充電器位置情報2034を含む情報の一例を示している。図3に示すように、充電施設Pごとに充電施設ID(識別子)と位置情報(緯度及び経度)が付されるとともに、充電施設に属する各充電スペースSについても充電スペースID(識別子)と充電スペースIDの充電施設Pにおける配置情報(配置識別子)が付されている。また、各充電スペースにはその充電スペースにおける充電器Cの配置場所が付されている。この情報により、制御装置10は、多くの充電施設の中からある特定された充電施設Pを識別し、その充電施設Pに属する充電スペースSを識別するとともに、その充電スペースSにおける充電器Cの配置場所を特定することができる。
【0020】
ちなみに、充電施設Pに属するすべての充電スペースSにおいて充電器Cの位置が共通する場合には、充電施設PのIDと充電器Sの位置とを対応づけて記憶することが好ましい。また、充電施設Pに属する充電スペースSの充電器Cの位置がそれぞれ異なる場合は、各充電スペースSのIDと充電器Cの位置とを対応づけて記憶することが好ましい。
【0021】
次に、制御装置10の駐車方向意思取得機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、自車両を利用するユーザの駐車方向に関する意思を取得する。ユーザの駐車方向に関する意思とは、ユーザが車両を駐車する際に前進して駐車スペース(充電スペース)に駐車させたい又はユーザが車両を駐車する際に後退して駐車スペース(充電スペース)に駐車させたいといった、ユーザの駐車方向に関する希望や嗜好である。このユーザの駐車方向に関する意思には、前進でも後退でもどちらでも得意であるという希望、言い換えると、駐車方向を限定せずに駐車スペースの選択肢を広く確保するという希望も含まれる。
【0022】
ユーザの駐車方向に関する意思を取得する手法は特に限定されないが、本実施形態の制御装置10は、予めメモリに記憶されたユーザの駐車方向に関する意思を読み込んでそのユーザの駐車方向に関する意思を取得する。この場合において、ユーザの駐車方向に関する意思は、案内装置100のROM12やRAM13に記憶させてもよいし、車両コントローラ300又は外部の情報提供装置2に記憶させてもよい。
【0023】
また、本実施形態の制御装置10は、入出力装置20のタッチパネル型ディスプレイ21を介して駐車時にユーザからの入力を受け付けることによりユーザの駐車方向に関する意思を取得することができる。
【0024】
ちなみに、ユーザの駐車方向に関する意思はユーザごとに異なるので、ユーザを特定するユーザ識別子とともにユーザの駐車方向に関する意思を取得することが望ましい。ユーザを特定するためには、ユーザが使用した車両の鍵の識別子をユーザ識別子として車両コントローラ300から取得することができる。また、ユーザ識別子は、先述した入出力装置20のタッチパネル型ディスプレイ21を介してユーザからの入力により取得することもできる。
【0025】
さらに、制御装置10は、過去のユーザの駐車操作におけるユーザの駐車方向の履歴に基づいてユーザの駐車方向に関する意思を推測してそのユーザの駐車方向に関する意思を取得することができる。ユーザの意思の推測手法は特に限定されないが、例えば、各ユーザの駐車時における車両の操作履歴に基づいてユーザの意思を推測することができる。この手法において、まず制御装置10は、ユーザ識別子ごとにユーザが駐車する際の車両の操作履歴を記憶する。一般に、前進で駐車スペースに進入する場合は、「操舵、前進、停止」や「操舵、前進、停止、後退、操舵、前進、停止」などの車両の操作パターンが見られる。また、後退で駐車スペースに進入する場合は、「停止、操舵、後退、停止」や「停止、操舵、後退、停止、前進、操舵、後退、停止」などの車両の操作パターンが見られる。制御装置10は、ユーザが駐車する際の操作履歴を解析し、ユーザの操作履歴が、上述の前進で駐車するときの操作パターンであるのか又上述の後退で駐車するときの操作パターンであるのかを判断し、各駐車が前進で駐車されたか又は後退で駐車されたかを記録する。そして、制御装置10は、駐車時におけるユーザの操作履歴において、前進で自車両が駐車された回数と後退で自車両が駐車された回数や割合(総駐車回数に対する前進駐車回数又は後退駐車回数の割合)とを比較し、回数又は割合の多い方向(前進又は後退)をユーザの駐車方向に関する意思として推測する。判断の対象となる操作履歴は、最近から過去の所定期間内のものであってもよいし、車両購入時から現在までの操作履歴であってもよい。なお、操作履歴を記憶するにあたり、ユーザが駐車する際(タイミング)を判断する手法としては、先述した施設特定機能が、自車両が利用する充電施設を特定したタイミングとすることが望ましい。
【0026】
次に、制御装置10の案内機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、自車両の給電口の位置と各充電スペースの充電器の位置とユーザの駐車方向に関する意思とに基づいて、ユーザの意思に応じた駐車方向で駐車できる充電スペースを案内する案内機能を備えている。
【0027】
本実施形態の制御装置10は、特定された充電施設に属する充電スペースの充電器の位置と自車両の給電口の位置とに基づいて自車両が各充電スペースに駐車する際の駐車方向を求め、駐車方向意思取得機能により取得されたユーザの意思に係る駐車方向と共通する駐車方向の充電スペースを案内する。
【0028】
本処理において、制御装置10は、充電施設又は充電施設の充電スペースの充電器の位置ごとに、各自車両の給電口の位置に応じた駐車方向を含む駐車方向情報を予め記憶しておくことが望ましい。
【0029】
本実施形態の制御装置10は、充電施設又は充電施設の充電スペース給電口の位置ごとに、自車両の給電口の位置に応じた駐車方向情報121を予めROM12内に記憶している。図4は駐車方向情報121の一例を示す図である。図4に示すように、駐車方向情報121においては、各充電スペースにおける充電器の位置と自車両の給電口の位置との対応関係に応じて「後退」又は「前進」の駐車方向が予め求められている。制御装置10は、自車両の給電口の位置に応じて図4に示す駐車方向情報121の一部を記憶してもよい。このように、充電器の位置と給電口の位置との対応関係に応じて駐車方向を予め求めておくことにより、複雑な演算が不要となり、処理能力の低い廉価なCPUを用いて制御装置10を構成することが可能となる。これにより、案内装置100にかかるコストを低減させることができる。なお、駐車方向情報121の記憶領域は、案内装置100に限定されず、ナビゲーション装置200や外部の情報提供装置2に設けることも可能である。
【0030】
制御装置10は、充電施設に属する各充電スペースの充電器の位置が共通である場合には、充電器の位置と給電口の位置とに応じて予め求められた駐車方向情報121を参照し、充電施設のIDに対応づけられた充電器の位置と自車両の給電口の位置とに基づいて、自車両がその充電スペースに駐車する際の駐車方向を求めることができる。このように、充電施設に属する充電スペースの充電器の位置が共通である場合には、充電施設ごとに記憶された充電器の位置と自車両の給電口の位置とに基づいて自車両が特定された充電スペースに駐車する際の駐車方向を案内するので、充電スペースへの駐車方向を充電施設ごとに一律に判断することができる。この結果、案内装置100が行う演算負荷を低減させることができる。
【0031】
他方、充電施設に属する各充電スペースの充電器の位置が異なる場合において、制御装置10は、充電器の位置と給電口の位置とに応じた駐車方向が定義された駐車方向情報121を参照し、充電施設に属する各充電スペースの充電器の位置と自車両の給電口の位置とに基づいて、各充電スペースに駐車する際の駐車方向を求めることができる。このように、充電スペースごとに充電器の位置が異なる場合であっても、充電スペースごとに充電器の位置を定義しておくことにより、各充電スペースに駐車する際の駐車方向をそれぞれ求めることができる。
【0032】
以上のように、本実施形態の案内装置100は、特定された充電施設に属する各充電スペースの充電器の位置が共通する場合には充電スペースに駐車する際の駐車方向を充電施設ごとに一律に判断し、他方、特定された充電施設に属する各充電スペースの充電器の位置が異なる場合には、充電スペースへの駐車方向を充電スペースごとに判断することにより、充電施設の状況に応じて演算負荷を低減させつつ利便性の高い正確な案内情報を提供することができる。
【0033】
そして、制御装置10は、ユーザの駐車方向に関する意思に応じた駐車方向で駐車できる充電スペースを抽出する。このように同じ充電施設に属する各充電スペースの充電器の位置が異なり、前進で進入できる充電スペースと後退で進入できる充電スペースとの両方が存在する場合であっても、ユーザの意思に応じた充電スペースを選択することができる。つまり、ユーザの意思に応じた充電スペースであるとともに、駐車したときに自車両の給電口が充電スペースの充電器の位置の近くになるので、充電を容易にすることができる。
【0034】
さらに、ユーザの意思に応じた駐車方向で駐車できる充電スペースが複数存在する場合には、その中から選ばれた充電スペースについて案内することが望ましい。このため、本実施形態の制御装置10は、上述した案内機能により選択された充電スペースの中から一又は複数の充電スペースを特定する充電スペース特定機能をさらに備えている。案内機能は、充電スペース特定機能により特定された充電スペースをユーザに案内する。
【0035】
具体的に、制御装置10の充電スペース特定機能は、各充電スペースの使用状況(空き状況)に係る充電スペース利用可否情報2dを充電施設側の情報提供装置2から通信装置204を介して取得し、使用されている(空いていない)充電スペースを案内の対象から除く。これにより、設置されている充電スペースの中から使用可能な充電スペースを特定することができる。
【0036】
ユーザの意思に応じた駐車方向で駐車でき、かつ利用可能な充電スペースが複数ある場合には、さらにその中から充電スペースを特定することが望ましい。特に限定されないが、制御装置10の充電スペース特定機能は、各充電スペースの仕様情報を参照して各充電スペースを評価し、評価結果に基づいて充電施設に含まれる充電スペースの中からユーザが利用する充電スペースを特定することができる。つまり、充電スペースの仕様情報に基づいてユーザが駐車しやすい充電スペースを抽出し、その充電スペースを案内の対象として特定することができる。
【0037】
本実施形態の仕様情報は、各充電スペースの広さ又は形状、各充電スペースに隣接するスペースの空き状況、各充電スペースの屋根又は柱の有無、及び各充電スペースから充電施設の出口までの距離のうち、何れか一つ以上の情報を含む。
【0038】
特に限定されないが、仕様情報の一例を図5に示す。図5に示すように、本実施形態の仕様情報に含まれるパラメータとパラメータを求める式は以下のものを含む。
【0039】
(1)各充電スペースから充電施設の出口までの距離を評価する評価式f1
評価式f1は、「充電施設の歩行者出口までの距離=充電スペース候補の駐車枠の中心から歩行者用出入口までの直線距離(m) ÷ 10」である。
【0040】
(2)各充電スペースの広さ又は形状を評価する評価式f2〜f4
評価式f2は、「充電スペース候補の駐車枠の幅 =充電スペース候補の駐車枠の幅(m) - 2.3(m)」である。定数2.3はその充電スペースを利用する車両の車幅に応じて定義される。トラックやバス用の充電スペースでは3.0m〜4.0mの値が定義される。
【0041】
評価式f3は、「充電スペース候補の駐車枠の奥行き =充電スペース候補の駐車枠の幅(m) - 4.5(m)」である。定数4.5はその充電スペースを利用する車両の車長に応じて定義される。トラックやバス用の充電スペースでは5.0m〜10.0mの値が定義される。
【0042】
評価式f4は、「充電スペース候補の通路の幅 =充電スペース候補の駐車枠に面した通路の幅(m) - 4.5(m)」である。定数4.5はその充電スペースを利用する車両の車幅や車長に応じて定義される。トラックやバス用の充電スペースでは5.0m〜10.0mの値が定義される。
【0043】
(3)充電スペースに隣接するスペースの空き状況を評価する評価式f5,f6
評価式f5は、「充電スペース候補の助手席側(右ハンドル国では車両の左側)のスペースの空き =充電スペース候補の助手席側に存在する壁、障害物、又は隣の充電スペースまでの距離(m)」である。
【0044】
評価式f6は、「充電スペース候補の運転席側(右ハンドル国では車両の右側)のスペースの空き =充電スペース候補の助手席側に存在する壁、障害物又は隣の充電スペースまでの距離(m)」である。
【0045】
(4)各充電スペース屋根又は柱の有無を評価する評価式f7
評価式f7は、「充電スペース候補の上方に屋根が無いこと。つまり、充電スペース近傍又は内部に柱が無いこと」である。充電スペース候補の上方に屋根が無い又は有ることに対応する所定数値が与えられる。
【0046】
さらに、本実施形態では、評価式で求められた数値に重みづけをするための係数を定義している。これにより、どの仕様をどの程度重視するかを予め決定しておくことができる。
【0047】
また、図5は、ある充電施設における充電スペースA,B,Cについての評価の結果の一例を示す図でもある。
【0048】
図5には、評価式f1に係る「充電施設の歩行者出口までの距離」が充電スペースA=8[m], 同B=7[m], 同C=6[m]、評価式f2に係る「充電スペース候補の駐車枠の幅」が充電スペースA=3[m],同B=3[m],同C=3[m]、評価式f3に係る「充電スペース候補の駐車枠の奥行き」が充電スペースA=6[m],同B=6[m],同C=6[m]、評価式f4に係る「充電スペース候補の通路の幅」が充電スペースA=7[m], 同B=7[m], 同C=7[m]、評価式f5に係る「充電スペース候補の助手席側のスペースの空き」が充電スペースA=1[m], 同B=0[m], 同C=0.8[m]、評価式f6に係る「充電スペース候補の運転席側のスペースの空き」が充電スペースA=0[m], 同B=0.2[m], 同C=0[m]、評価式f7に係る「充電スペース候補の上方に屋根が無いこと」が充電スペースA=なし=1, 同B=なし=1, 同C=なし=1である場合の評価の例を示している。
【0049】
これらの仕様の評価に必要な仕様情報2eは充電施設側の情報提供装置2が記憶しており、案内装置100はナビゲーション装置204の通信装置204を介して取得することができる。また、仕様情報2eは予め車載装置1のナビゲーション装置200の記憶装置203に格納しておいてもよい。
【0050】
図5に示す「合計」は、各仕様情報と評価式から求めた評価値に重みづけ係数を乗じた値の充電スペースごとの合計である。この評価値の合計に基づいて、充電スペースが駐車しやすいか駐車しにくいか(駐車時の車両操作が簡単であるか難しいか)を評価することができる。図5に示す例では評価値の合計が最も大きい充電エリアAが最も駐車しやすい充電エリアとして特定される。
【0051】
このように、充電スペース特定機能は、ユーザの意思に応じた駐車方向で駐車できる充電スペースが複数存在する場合において、充電スペースの仕様の評価値に基づいて自動的に駐車しやすい充電スペースを特定することができる。しかも、駐車した充電スペースにおいては自車両の給電口は充電器の近くにあるので、簡単に充電をすることができる。
【0052】
また、制御装置10は、ユーザの意思に基づいて案内する充電スペースを特定することもできる、具体的に、制御装置10は、ユーザの意思に応じた充電スペースの候補をタッチパネル型のディスプレイ21により提示するとともに、ユーザに充電スペースの選択操作を要求する。そして、制御装置10は、タッチパネル型のディスプレイ21を介して入力されたユーザの選択情報に基づいて、案内の対象となる充電スペースを特定することができる。このとき、ユーザに提示される充電スペースの候補はユーザの駐車方向に関する意思に沿ったものであるから、ユーザは自身の意思に沿う駐車方向で駐車できる充電スペースを知ることができる。なお、本例におけるタッチパネル型のディスプレイ21としては、ナビゲーション装置などに用いられている一般的なものを用いることができる。
【0053】
上述した本実施形態の制御装置10の案内機能は、以上のように特定された充電スペースについて案内することもできる。本実施形態において、制御装置10は、ユーザの意思に応じた駐車方向で駐車できる充電スペースの位置、充電スペースの設備、充電スペースまでの経路その他の案内情報を、入出力装置20を介して出力する。具体的に、制御装置10は、ディスプレイ21を介して案内情報を文字や図によって表示し、この表示とともに又は別にスピーカ22を介して音声によって出力する。案内情報の態様は特に限定されないが、「左側の充電スペースQが充電しやすいです」、「左側の充電スペースAは前進で駐車できます」、又は「充電器は手前右側にあります」などといった内容の文字や音声で構成することができる。もちろん、特定された充電スペースにおける充電器の位置を図示することや、充電スペースへの駐車方向を矢印などの図形によって表示することや、充電スペースへ車両が前進又は後退で進入する様子を画像によって表示することなども可能である。表示される図形や画像は静止画であってもよいし、動画であってもよい。
【0054】
本実施形態では、車両に搭載された案内装置100を例に説明するが、車両外部の情報提供装置2に、上述の給電口位置取得機能と施設特定機能と充電器位置取得機能と駐車方向意思取得機能と充電スペース特定機能と案内機能とを実行する制御装置10´を設けることができる。情報提供装置2の給電口位置取得機能は、車載装置1から給電口位置や給電口位置を特定できる車種情報を取得することができる。また、情報提供装置2の駐車方向意思取得機能は車載装置1から記憶された、入力された又は推測された駐車方向に関する意思を取得することができる。情報提供装置2の充電スペース特定機能は車載装置1から充電スペースの特定情報を取得することができる。これにより、車載装置1と情報の授受が可能な情報提供装置2により、本発明の実施形態に係る充電スペースの案内を実行することができる。
【0055】
続いて、図6〜図11に基づいて、本実施形態の案内装置100の動作を説明する。図6は、本発明に係る本実施形態の案内装置100の動作手順を示すフローチャート図、図7は案内情報の出力時の状況を示す図、図8は駐車方向に関する意思の入力画面の一例を示す図、図9は駐車方向に関する意思の入力画面の他の例を示す図、図10は利用する充電スペースの選択画面の一例を示す図、図11は利用する充電スペースの案内画面の一例を示す図である。
【0056】
まず、ステップS101において、制御装置10は、自車両の給電口の位置を車両コントローラ300から取得する。給電口の位置が案内装置100のROM12又はRAM13に記憶されている場合は、記憶された給電口の位置を読み込んで取得する。また、自車両の車種情報を情報提供装置2へ送出し、情報提供装置2が判断する車種に応じた給電口の位置を、車載された通信装置204を介して取得することも可能である。
【0057】
次に、ステップS102において、制御装置10は、ナビゲーション装置200の経路探索装置202を用いて目的地が設定されたか否かを判断する。目的地が設定されている場合はステップS103へ進み、目的地が設定されていない場合はステップS104へ進む。
【0058】
設定された目的地が充電施設である場合はステップS105へ進み、目的地として設定された充電施設を、本処理の案内対象としての充電施設として特定する。目的地が充電施設である場合は、ユーザがその充電施設に充電をしに行くと推測することができるからである。なお、地点が充電施設である旨などの地点の属性は予め地図情報2031に記憶されている。
【0059】
他方、ステップS102及びステップS103において、目的地が設定されなかった場合や、目的地が設定されたとしても充電施設を目的地としない場合は、ステップS104へ進む。
【0060】
ステップS104において、制御装置10は、ユーザが充電施設を利用するか否か、つまりユーザが充電施設を利用する可能性を判断する。たとえば、制御装置10は、車両コントローラ300から取得したバッテリ残量が所定値未満である場合は、ユーザが充電施設を利用する可能性が高いと判断する。また、制御装置10は、ユーザが経路探索を行っていない場合であっても、車両の現在位置が充電施設内にある場合は、ユーザが充電施設を利用する可能性が高いと判断する。ユーザが充電施設を利用すると判断された場合にはステップS105へ進む。
【0061】
このように、本実施形態の案内装置100は、ユーザによる目的地設定などの操作情報や車両のバッテリ残量や車両の現在位置に基づいて、案内情報の生成及び出力のトリガを自動的に判断し、実行することができる。
【0062】
ステップS105において、制御装置10は、自車両が利用する充電施設を特定する。本実施形態の制御装置10は、ステップS102,S103で目的地として設定された充電施設を案内対象の充電施設として特定する。制御装置10は、バッテリ残量に基づいてステップS104の判断処理がされた場合には、バッテリ残量が所定値未満であると判断されたタイミングにおいて現在位置から所定距離以内(近傍)の充電施設を案内対象の充電施設として特定することができる。また、制御装置10は、自車両の現在位置と充電施設の位置情報に基づいてステップS104の判断処理がされた場合には、自車両の現在位置と所定距離X以内に存在する充電施設を案内対象の充電施設として特定することができる。
【0063】
続いて、ステップS106において、制御装置10は、自車両の現在位置と充電施設の位置とを比較して、自車両の現在位置と充電施設の位置(又は充電スペースが存在する領域の位置)との距離が所定値未満Y(Y<X)となった場合には、自車両が充電施設の充電スペースに接近乃至敷地内に進入したと判断し、ステップS107へ進む。このタイミングで案内情報の作成処理を開始することができる。
【0064】
次のステップS107において、制御装置10は、ステップS105にて特定された充電施設に属する充電スペースの充電器の位置を取得する。充電施設に属する全ての充電スペースにおいて充電器の位置が同じである場合には、充電施設ごとに特定された充電器の位置を取得する。他方、充電施設に属する各充電スペースの充電器の位置が異なる場合には、各充電スペースの充電器の位置を取得する。図7は、ステップS105で特定された充電施設に属する各充電スペースにおける充電器の配置例である。図7に示す例では、各充電スペースのIDと充電器の設置された位置(奥中央、左奥、右奥、手前左、手前右)の情報とを取得する。
【0065】
このとき、制御装置10は、特定された充電施設の充電スペース利用可否情報2dを外部の情報提供装置1からナビゲーション装置200の通信装置204を介して取得する。この充電スペース利用可否情報2dは、充電スペースのリアルタイムの駐車状況(駐車中又は空き状態の情報)を含んでいる。
【0066】
続くステップS108において、制御装置10は、特定された充電施設に属する充電スペースの中から利用可能な(空いている)充電スペースを抽出する。なお、この処理は後述するS112と相前後して実行させることが可能である。
【0067】
続くステップS109では、ステップS108において抽出された充電スペースが一つであるか又は複数であるかを判断する。利用可能な充電スペースが一つだけの場合はステップS116へ進み、その充電スペースの案内情報を出力する。
【0068】
他方、ステップS109において、利用可能な充電スペースが複数ある場合はステップS110へ進み、利用可能な充電スペースについて、図4に例示する駐車方向情報121を参照して、その充電スペースの充電器の位置と自車両の給電口の位置とに基づいて自車両が各充電スペースに駐車する際の駐車方向(前進又は後退)をそれぞれ求める。
【0069】
続くステップS111において、制御装置10は、自車両を利用するユーザの駐車方向に関する意思を取得する。本例では、まず、上述したように、予めユーザの駐車方向に関する意思が記憶されたROM12又はRAM13を読み込んでユーザの駐車方向に関する意思を取得する。駐車方向が予め記憶されていない場合には、制御装置10は、図8や図9に示すような入力受付画面を入出力装置20に表示し、ユーザの駐車方向に関する意思を問い合わせる。そして、この問い合わせに対するユーザからの入力を受け付けることにより、ユーザの駐車方向に関する意思を取得する。さらに、ユーザからの入力が得られない場合や、ユーザの駐車方向に関する意思を自動推測するモードがオンになっている場合には、前述した手法により、予め蓄積したユーザの駐車方向の履歴に基づいてユーザの駐車方向に関する意思を推測して取得する。
【0070】
ステップS112において、制御装置10は、ステップS110において求めた各充電スペースに駐車する際の駐車方向と、ステップS111において取得したユーザの駐車方向に関する意思とを比較し、ユーザの意思に係る駐車方向と共通する駐車方向の充電スペースを抽出する。この処理により、ユーザの意思に応じた駐車方向で自車両を駐車できる充電スペースを案内候補として抽出することができる。つまり、ユーザは抽出された充電スペースに自身の意思に沿った駐車方向で駐車すれば、自車両の給電口が充電器の近くに位置するので、容易に充電をすることができる。
【0071】
さらに、ステップS113において、利用が可能であって、かつユーザの意思に係る駐車方向で駐車できる充電スペースが複数存在する場合には、ステップS114へ進む。他方、利用が可能であって、ユーザの意思に係る駐車方向で駐車できる充電スペースが一つに絞られた場合にはステップS116へ進み、利用可能な充電スペースの案内情報を出力する。
【0072】
ステップS114において、制御装置10は、各充電スペースの広さ又は形状、各充電スペースに隣接するスペースの空き状況、各充電スペースの屋根又は柱の有無、及び各充電スペースから充電施設の出口までの距離などの「各充電スペースの仕様情報」を考慮して、駐車しやすい充電スペースを特定する。
【0073】
具体的に、制御装置10は、上述した評価式f1〜f7を用いて図5に示すように各充電スペースの駐車し易さを評価する。そして、評価結果に基づいてステップS112で抽出された複数の充電スペースの中からユーザに案内する充電スペースを特定する。
【0074】
また、利用する充電スペースを特定する処理はこれに限定されず、ユーザに一つの充電スペースを選択するよう要求し、この要求に対する入力をユーザから受け付けてもよい。本例では、図10に示すような入力受付画面を入出力装置20に表示し、ユーザの選択を問い合わせる。
【0075】
図10に示す例では、すでに他車両が駐車しており利用ができない充電スペースはグレーアウト表示されており、駐車されておらず利用可能な充電スペースはハイライト表示されている。また、同図に示すように、ディスプレイ21には、充電器との接続位置を示すアイコン(コンセントの図)が充電器の設けられている場所に対応づけて表示されている。
【0076】
そして、制御装置10は、ユーザが利用する充電スペースの選択情報(充電スペースID)の入力を受け付ける。ユーザは、タッチパネル型のディスプレイ21で表示された充電スペースの中から自分が利用したい充電スペースを選択し、タッチ入力する。ちなみに、タッチパネル型のディスプレイ21は、駐車されていない充電スペースの選択入力のみを受け付け、駐車されていて利用できない充電スペースの選択入力は受け付けない。
【0077】
このように、ユーザの運転嗜好である駐車方向に関する意思に応じた充電スペースの中から駐車しやすい充電スペースを選択することができるので、案内装置100の利便性を向上させることができる。
【0078】
続くステップS115において、制御装置10は、特定された充電スペースの案内情報をディスプレイ21及び/又はスピーカ22を介して出力する。出力される案内情報は特に限定されないが、図11に示すように、利用可能な充電スペースをハイライトで示し(利用不可能な充電スペースをグレーアウトで示し)つつ、その中からステップS114において仕様情報に基づいて特定された充電スペースへユーザの自車両を誘導するため「左側のA駐車スペースに駐車すると充電しやすいです」といった案内情報をディスプレイ21及び/又はスピーカ22を介して出力し、処理を終了する。
【0079】
また、図7に示すように、特定された充電スペースへ誘導する経路を破線などで示し、特定された充電スペースに自車両が駐車された状態を示す案内情報を出力することも可能である。
【0080】
本発明は以上のように構成され、以上のように作用するので、以下の効果を奏する。
【0081】
本発明に係る本実施形態の案内装置100又は案内方法では、ユーザの意思に応じた駐車方向で自車両を駐車できる充電スペースを案内するので、ユーザは充電スペースに駐車する度に給電口の位置や充電器の配置を確認しなくても、ユーザ自身が希望する駐車方向で自車両を駐車して充電することができる充電スペースを知ることができる。この結果、自車両のバッテリを充電する際の利便性を向上させることができる。
【0082】
一般に、車両の給電口の位置はメーカや車種によって異なり、また充電器の位置は充電施設や充電スペースごとに異なるため、ユーザ自身が希望する駐車方向で自車両を駐車して充電できる充電スペースを探すためには給電口の位置や充電器の配置を駐車時に確認してから、さらに充電スペースへの駐車方向を一々判断しなければならない。これに対し、本実施形態の案内装置100又は案内方法によれば、駐車時において充電器の位置を確認しなくてもユーザの意思に応じた駐車方向で駐車して充電できる充電スペースが自動的に案内されるので、ユーザの負荷を低減させることができる。
【0083】
ユーザが前方進入による駐車と後退進入による駐車において得意又は不得意といった運転操作の嗜好を持っている場合には、ユーザの嗜好を満たす充電スペースを選択することができる。
【0084】
また、本実施形態の案内装置100又は案内方法によれば、ユーザの意思に応じた駐車方向で自車両を駐車できる充電スペースが案内されるので、ユーザは駐車時において車両操作に集中することができるとともにユーザ自身が得意な方法で自車両を充電スペースに駐車することができる。
【0085】
しかも、ユーザの意思に応じた駐車方向で駐車すれば、自車両の給電口が充電スペースの充電器の近くに位置するので、駐車した後にすぐに充電を開始することができ、ユーザの充電時の利便性を向上させることができる。例えば、自車両の給電口と充電器とが離れていることに気づいて駐車をやり直すといった煩わしさをユーザに感じさせることがなく、車両を再度動かすための無駄なエネルギー消費を防止することができる。
【0086】
本実施形態の案内装置100は、各充電スペースの充電器の位置と自車両の給電口の位置とに基づいて自車両が各充電スペースに駐車する際の駐車方向を求め、ユーザの意思に係る駐車方向と共通する駐車方向の充電スペースを案内するので、ユーザの意思に応じた駐車方向で駐車でき、駐車すれば自車両の給電口が充電器の近くに位置する充電スペースを高い精度で案内することができる。
【0087】
また、本実施形態の案内装置100は、充電施設又は充電施設の充電スペースの充電器の位置ごとに、各自車両の給電口の位置に応じた駐車方向を含む駐車方向情報121を予め記憶しているので、複雑な計算が不要となり、制御装置10のCPUの処理負荷を低減することができる。このため、廉価のCPUを用いることができるので、案内装置100の製造コストを低減させることができる。
【0088】
本実施形態の案内装置100は、予め記憶されたユーザの駐車方向に関する意思を読み込んでその該ユーザの駐車方向に関する意思を取得するので、駐車の度にユーザが駐車方向を入力しなくても、ユーザの駐車方向に関する正確な意思を取得することができ、ユーザの意思に応じた駐車方向の充電スペースを案内することができる。
【0089】
本実施形態の案内装置100は、ユーザからの入力を受け付けてそのユーザの駐車方向に関する意思を取得するので、ユーザの駐車方向に関する正確な意思を取得することができ、ユーザの意思に応じた駐車方向の充電スペースを案内することができる。
【0090】
本実施形態の案内装置100は、ユーザの駐車方向の履歴に基づいてユーザの駐車方向に関する意思を推測してそのユーザの駐車方向に関する意思を取得するので、ユーザが駐車方向に関する意思をわざわざ入力しなくても、自動的にユーザの駐車方向に関する意思を取得することができ、ユーザの意思に応じた駐車方向の充電スペースを案内することができる。
【0091】
また、本実施形態の案内装置100は、特定された充電施設に含まれる充電スペースのうち、ユーザが利用する充電スペースを特定し、その特定された充電スペースを案内するので、ユーザの意思に応じた駐車方向で駐車できる充電スペースが複数ある場合であっても、一つ又は選択された幾つかの充電スペースについて案内することができる。
【0092】
この場合において、本実施形態の案内装置100は、各充電スペースの仕様情報を参照して各充電スペースを評価し、評価結果に基づいて、特定された充電施設に含まれる充電スペースの中からユーザが利用する充電スペースを特定するので、ユーザの意思に応じた駐車方向で駐車できる充電スペースが複数ある場合に、駐車しやすい仕様の充電スペースを選んで、その充電スペースを案内することができる。
【0093】
また、本実施形態における仕様情報は、各充電スペースの広さ又は形状、各充電スペースに隣接するスペースの空き状況、各充電スペースの屋根又は柱の有無、及び各充電スペースから充電施設の出口までの距離のうち、いずれか一つ以上を含むので、これらの観点から充電スペースの駐車しやすさを評価し、駐車しやすい充電スペースを特定することができる。
【0094】
他の観点において、車両と情報の授受が可能であり、車両のユーザに充電スペースの案内情報を提供することができる本発明に係る情報提供装置においては、案内装置100と同様に、車両の給電口の位置を取得する給電口位置取得機能と、車両が利用する充電施設を特定する施設特定機能と、特定された充電施設に属する各充電スペースの充電器の位置を取得する充電器位置取得機能と、車両を利用するユーザの駐車方向に関する意思を取得する駐車方向意思取得機能と、車両の給電口の位置と各充電スペースの充電器の位置と車両を利用するユーザの駐車方向に関する意思とに基づいて、ユーザの意思に応じた駐車方向で駐車できる充電スペースの情報を提供する案内機能と、を有する制御装置10´を備えているので、上述の案内装置100と同様の効果を得ることができる。本実施形態の情報提供装置2は、車両の外部で上述の処理を行うことができるので、車載装置の処理負荷を低減させることができる。
【0095】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0096】
すなわち、本明細書では、本発明に係る充電スペース案内装置の一態様として案内装置100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0097】
また、本明細書では、本発明に係る充電スペース案内装置の一態様として、CPU11、ROM12、RAM13を含む制御装置10及び入出力装置20を備える案内装置100を一例として説明するが、これに限定されるものではない。
【0098】
また、本明細書では、本願発明に係る給電位置取得手段と、施設特定手段と、充電器位置取得手段と、駐車方向意思取得手段と、案内手段と、を有する充電スペース案内装置の一態様として、給電位置取得機能と、施設特定機能と、充電器位置取得機能と、駐車方向意思取得機能と、案内機能と、表示機能と、必要に応じて充電スペース特定機能とを有する案内装置100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0099】
1…車載装置
100…案内装置
10…制御装置
11…CPU
12…ROM
13…RAM
20…入出力装置
21…タッチパネル型のディスプレイ
22…スピーカ
200…ナビゲーション装置
201…現在位置検出装置
202…経路探索装置
203…記憶装置
204…通信装置
300…車両コントローラ
2…情報提供装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の給電口の位置を取得する給電口位置取得手段と、
前記自車両が利用する充電施設を特定する施設特定手段と、
前記特定された充電施設に属する各充電スペースの充電器の位置を取得する充電器位置取得手段と、
前記自車両を利用するユーザの駐車方向に関する意思を取得する駐車方向意思取得手段と、
前記自車両の給電口の位置と前記各充電スペースの充電器の位置と前記ユーザの駐車方向に関する意思とに基づいて、前記ユーザの意思に応じた駐車方向で駐車できる充電スペースを案内する案内手段と、を有する充電スペース案内装置。
【請求項2】
前記案内手段は、前記特定された充電施設に属する充電スペースの充電器の位置と前記自車両の給電口の位置とに基づいて前記自車両が前記各充電スペースに駐車する際の駐車方向を求め、前記駐車方向意思取得手段により取得された前記ユーザの意思に係る駐車方向と共通する駐車方向の前記充電スペースを案内することを特徴とする請求項1に記載の充電スペース案内装置。
【請求項3】
前記案内手段は、前記充電施設又は前記充電施設の充電スペースの充電器の位置ごとに、前記各自車両の給電口の位置に応じた駐車方向を含む駐車方向情報を予め記憶する請求項1又は2に記載の充電スペース案内装置。
【請求項4】
前記駐車方向意思取得手段は、予め記憶された前記ユーザの駐車方向に関する意思を読み込んで当該ユーザの駐車方向に関する意思を取得することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の充電スペース案内装置。
【請求項5】
前記駐車方向意思取得手段は、前記ユーザからの入力を受け付けて当該ユーザの駐車方向に関する意思を取得することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の充電スペース案内装置。
【請求項6】
前記駐車方向意思取得手段は、前記ユーザの駐車方向の履歴に基づいて前記ユーザの駐車方向に関する意思を推測して当該ユーザの駐車方向に関する意思を取得することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の充電スペース案内装置。
【請求項7】
前記特定された充電施設に含まれる充電スペースのうち、前記ユーザが利用する充電スペースを特定する充電スペース特定手段をさらに備え、
前記案内手段は、前記特定された充電スペースを案内することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の充電スペース案内装置。
【請求項8】
前記充電スペース特定手段は、前記各充電スペースの仕様情報を参照して前記各充電スペースを評価し、前記評価結果に基づいて、前記特定された充電施設に含まれる充電スペースの中から前記ユーザが利用する充電スペースを特定することを特徴とする請求項7に記載の充電スペース案内装置。
【請求項9】
前記仕様情報は、前記各充電スペースの広さ又は形状、前記各充電スペースに隣接するスペースの空き状況、前記各充電スペースの屋根又は柱の有無、及び前記各充電スペースから前記充電施設の出口までの距離のうち、いずれか一つ以上を含むことを特徴とする請求項8に記載の充電スペース案内装置。
【請求項10】
車両と情報の授受が可能であり、前記車両のユーザに充電スペースの案内情報を提供する情報提供装置であって、
車両の給電口の位置を取得する給電口位置取得手段と、
前記車両が利用する充電施設を特定する施設特定手段と、
前記特定された充電施設に属する各充電スペースの充電器の位置を取得する充電器位置取得手段と、
前記車両を利用するユーザの駐車方向に関する意思を取得する駐車方向意思取得手段と、
前記車両の給電口の位置と前記各充電スペースの充電器の位置と前記車両を利用するユーザの駐車方向に関する意思とに基づいて、前記ユーザの意思に応じた駐車方向で駐車できる充電スペースの情報を提供する案内手段と、を有する情報提供装置。
【請求項11】
前記自車両が利用する充電施設を特定し、前記特定された充電施設に属する各充電スペースの充電器の位置を取得するステップと、
前記自車両の給電口の位置を取得するステップと、
前記自車両を利用するユーザの駐車方向に関する意思を取得するステップと、
前記自車両の給電口の位置と前記各充電スペースの充電器の位置と前記ユーザの駐車方向に関する意思とに基づいて、前記ユーザの意思に応じた駐車方向で駐車できる充電スペースを案内するステップと、を有する充電スペースの案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−242979(P2011−242979A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114175(P2010−114175)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】