説明

充電中断監視及び通知システム

【課題】電気自動車への充電が予期せず中断された時に、指定された関係者に通知するシステム及び方法の提供。
【解決手段】システム100は、電気自動車と外部のバッテリパック充電源との間の連結を監視し、中断が検出された際には指定関係者に通知メッセージを送信させる命令を通知システム121に発し、更に一連の通知指示に従って通知メッセージを発する。通知指示は、その中断が是認されたものか否かを決定し、それによっては通知メッセージの伝送を求めないような1つ又はそれ以上の基準を有するかもしれない。バッテリパック充電状態における変化を是認されたものとして受け入れるための基準は、電気自動車に対するユーザー/装置の近接性、バッテリパック目標SOCの達成、及び安全域内の電気自動車の存在、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、電気自動車充電システムに関し、より詳しくは、電気自動車充電中に起こり得る中断を監視・報告するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
世界中の車両の内、かなり大きな割合が内燃エンジンを使用し、ガソリンで走るものである。そのような車両の使用、詳しくは、ガソリンなどの化石燃料に依存した車両の使用には2つの問題が発生する。第1に、そのような燃料は規模としては有限であり、かつ限られた地域供給性故に、ガソリン価格には大きな価格変動と一般的な上昇価格傾向が日常的であり、その双方は消費者レベルにおいて劇的な衝撃を与える可能性がある。第2には、このような化石燃料の燃焼は二酸化炭素、温室ガスの主要源の1つであり、地球温暖化の主要原因の1つになっている。このため、これまでには個人車両と商用車両の双方のために別の駆動システムを見つけようとする努力がかなり費やされてきた。
【0003】
電気自動車は、その清浄かつ一層効率的な駆動システム故に、内燃駆動系を使用する車両にとって代わる前途有望な選択肢の1つを提供する。しかしながら、その功を奏するためには、電気自動車は、性能、走行距離、信頼性、寿命及び価格に対し消費者の期待に沿うものでなければならない。言い換えれば、これらの期待は、電気自動車の再充電可能バッテリの設計、形態、実装化にかなり重点を置くことにもなる。特に消費者の観点から見て、再充電可能バッテリの重大な側面は、明らかに、バッテリが家庭や職場、或いは公共の充電ステーションで再充電できることの容易さかつ信頼性にある。
【0004】
燃焼系車両に依存する社会と電気自動車に依存するところが大きい社会との間の移り変わりをしばしば議論するに、その議論は、電気自動車が主要な充電ステーション(例えば、家庭用充電ステーション)から離れた時でも電気自動車オーナーによる車両充電を容易にする充電インフラの必要性に行きつく。電気自動車が広く一般に受け入れられるためには、充電ステーションのインフラ整備は明らかに絶対不可欠ではあるが、そのような充電ステーションの信頼性に関して第2の問題点がある。
【0005】
燃焼エンジンを使用する従来型車両のオーナーにとっては、数分もあれば自身の車両のガソリンタンクを満タンにすることができる。車両のドライバーは通常は自分で自車のガソリンタンクに給油し、或いは少なくとも給油中はその場に立ち会うため、自動車に給油されるガソリンの量に関する問題は少ない。これに対し、電気自動車はバッテリ、充電減損深度、充電システム等によってはフル充電までに多くの時間を費やすことにもなるため、電気自動車のオーナー/ドライバーが全充電期間中ずっと立ち合うことは稀である。そのような状況下にあって、仮に充電処理に中断が生じたならば、ドライバーは自動車をいざ使用するまではその問題に気付かないだろうし、気付いた時点でもあまりに遅すぎて問題を解消できないというように、オーナーの運転要求を満たすほど充分な充電量を確保できない恐れがある。
【0006】
このため、車両のバッテリパック充電を監視し、充電処理中に中断が生じたときユーザーに通知する手段が求められる。本発明はこのような手段を提供するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電気自動車の充電処理に予期しない中断が生じた際に関係者に通知するためのシステム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の一側面において、本発明による方法は、電気自動車とバッテリパック充電源との間の接続の開始を検出する工程;バッテリパック充電システムの作動を監視する工程;バッテリパック充電システムの作動の中断が検出された際に、通知システムに、関係者に対して通知メッセージを送るように命令を発する工程;前記通知メッセージを送る前記命令を受けた上で、メモリに格納された一連の通知指示を評価する工程;及び一連の通知指示に従って通知メッセージを発信する工程、を有する。少なくとも1つの形態において、バッテリパック充電システムの監視工程は、電気自動車とバッテリパック充電源との間の接続の連続性を監視する工程を有する。方法は更に、その中断が是認された充電中断であるか否かを決定し、そうであれば通知メッセージを発信しない工程を有しても良い。中断が是認されるか否かを決定する工程は、(i)例えば、仮に予め特定された高周波識別(RFID)信号を含む装置(例えば、キーフォブ)が電気自動車に最も近いか否か決定すること等の、電気自動車に対するユーザー接近度合を決定する工程;(ii)電気自動車が所定の安全域に位置するか否かを決定する工程;(iii)現在の電気自動車バッテリパックのSOCが予め設定された目標SOCを超えているか否かを決定する工程であって、予め設定された目標SOCレベルは、予め設定された走行距離に基づいて予め設定され又は計算されるか、運転パターン履歴に基づく走行距離の達成に基づいて算出されるか、或いは現在位置からユーザーから提供された目的地への移動距離に基づいて算出されるような、前記工程;及び(iv)現在のバッテリパック作動状態(例えば、バッテリパック温度)が、そのバッテリパック作動状態のために予め設定された目標範囲内または目標範囲外にあるかを決定する工程、の各工程の内の1つ又はそれ以上を含んでも良い。通知指示は、通知メッセージのための好ましい形式を含み、システムコントローラと通信状態にあるユーザーインターフェースを介して入力されても良い。通知メッセージを発する工程は、無線RF通信システム(例えば、携帯電話無線システム又は衛星ベースの無線システム)を介して通知メッセージを発信する工程;テキストメッセージを使用する工程;音声キューを使用する工程;グラフィックキューを使用する工程;eメールメッセージを使用する工程;予め記録された口頭メッセージを使用する工程;ウエブページに通知メッセージをポスティングする工程;第三者のアプリケーションを介して定期的に通知メッセージを打ち出す工程;及び/又は初期の通知メッセージを取得し、その後は予め設定された通知規則に応じてメッセージを送る第三者の通知システムを使用する工程;を含んでも良い。
【0009】
発明の他の側面では、電気自動車と共に使用する通知システムが開示され、そのシステムは(i)外部電源に接続され車両のバッテリパックを充電する電気自動車充電システム;(ii)バッテリパックの充電状態を監視するよう構成された電源モニタ;(iii)その電源モニタから状態信号を受信し、バッテリパック充電の中断による一連の通知指示に従って通知命令を発するように構成されたシステムコントローラ;及び(iv)その通知命令を受信することで通知メッセージを発信するように構成された通知システムを有する。システムは更に、システムコントローラに接続されて、前記一連の通知指示を格納するメモリを有する。その一連の通知指示は、好ましくはバッテリパック充電状態の変化であって是認されたものとしての中断を意味するような変化に対応する、少なくとも1つの基準を備える。バッテリパック充電状態の変化を是認されたものとして受け入れるための基準は、車両に対するユーザー/装置の近さ、目標バッテリパックSOCの達成、安全域内にある車両の位置を含んでいる。
【0010】
本発明の本質と利点の更なる理解は、明細書の残りの部分と図面を参照することで実現されるかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】電気自動車のバッテリパック充電を監視し、充電サイクル中に予期しない中断が発生した際にはユーザー又はその他の指定関係者に通知することを目的とするシステムの基本要素を示す図である。
【0012】
【図2】本発明の基本的な方法を示す図である。
【0013】
【図3】車両充電の中断に対応して通知メッセージを送るか否かを決定する他の手順を示す図である。
【0014】
【図4】図3に示した手順の特定の実施形態を示す図である。
【0015】
【図5】図1に示したシステムの他の実施形態であって、ユーザーRFIDリーダを備えるように変更された実施形態を示す図である。
【0016】
【図6】図3に示す手順の他の特定の実施形態を示す図である。
【0017】
【図7】図1に示すシステムの他の実施形態であって、図6に示した手順に従って変更された実施形態を示す図である。
【0018】
【図8】図3に示す手順の他の特定の実施形態を示す図である。
【0019】
【図9】図1に示したシステムの他の実施形態であって、図8に示す手順に従って変更された実施形態を示す図である。
【0020】
【図10】図3に示す手順の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の記載において、“バッテリ”、“セル”及び“バッテリセル”の各用語は、夫々互換性をもって使用でき、以下に限定されるものではないが、リチウムイオン(例:リチウムイオン・リン酸塩、リチウムコバルト酸化物、その他リチウム金属酸化物など)、リチウムイオンポリマー、ニッケル金属水素化物、ニッケルカドミウム、ニッケル水素、ニッケル亜鉛、銀亜鉛、その他のバッテリ形式/形態を含む、種々の異なるセルタイプ、化学的物質、形態のいずれも引用できるものである。又、ここで使用される“バッテリパック”という用語は、一体成形ハウジング又は複数ピースからなるハウジングに収容される複数の個々のバッテリを指しており、個々のバッテリは電気的に相互接続されて、特定用途のための所望の電圧と容量を達成する。“バッテリ”と“バッテリシステム”の各用語は互換性をもって使用でき、ここでは、例えばバッテリ、バッテリパック、コンデンサ、超コンデンサ等のように、充・放電能力を有する電気エネルギ貯蔵システムを指すものとする。ここで使われる“電気自動車”という用語は、“EV”と呼ばれることもある全電気式自動車、“PHEV”又はハイブリッド車両(HEV)と呼ばれるプラグイン式のハイブリッド車両、そのうちの1つが電気駆動システムである複数の推進源を使用するハイブリッド車両のいずれかを指すものとする。複数の図面上で使用される同一の要素符号は、同じ構成部品、又は等しい機能を持つ構成部品を指していると認識されるべきである。加えて、添付した図面は単に、「発明の範囲」を明らかにする意図をもつものであり、図面自体も縮尺通りに考慮されるべきものではない。
【0022】
電気自動車の充電時、充電は種々の理由のいずれかによって中断されるかもしれない。例えば、充電は、外部電源の障害、充電システムの故障、外部電源と充電システムとの間又は充電システムとバッテリとの間の接続問題、或いは第三者による無意識又は故意による充電ケーブルの取り外しによって中断される可能性がある。充電サイクルにおける中断の理由如何にかかわらず、本発明による充電サイクルの監視をすることにより、ユーザーは予期しない中断が通知され、これによりユーザーは直ちにその問題に対処でき、少なくとも中断による運転スケジュールへの影響を制限するための予防措置をとることができる。更に本発明は、例えば充電サイクルの完了に先立って充電が偶然か故意に中断される際の有害な中断と、例えば車両が充電サイクルを終え、ユーザーが充電電源に対する接続を解除する際の計画的な中断との間を区別するように構成され、その中断が望まれないものであり、また、計画化されたものでない時にユーザーに警告するだけのものかもしれない。
【0023】
図1は、電気自動車のバッテリパック充電を監視し、充電サイクル中、予期しない中断が起きた際にはユーザー又は第三者に通知することを目的とされたシステム100の基本的構成要素を示している。図示するように、バッテリパック101は充電システム103に接続される。バッテリパック101は少なくとも1個、通常は何百個、又は何千個もの再充電可能電池を備えている。当然のことながら、本発明は特殊なバッテリやバッテリパック形態に限定されず、代わりに、これらにとどまるものではないが例として金属空気電池、リチウムイオン電池(例えば、リチウムイオン・リン酸塩、リチウムコバルト酸化物、その他リチウム金属酸化物など)、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル金属水素化物電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛電池等を含む、如何なるタイプの再充電可能電池にも有用である。
【0024】
充電システム103は電気自動車と一体化したり、充電ステーションと一体化したり、或いは外部電源105(例えば、配電網)と車両のバッテリパックとの間に結合される独立型の充電器として構成しても良い。尚、その名が示すように、外部電源105は車両の外側にある。従って、本発明は、少なくとも部分的に車両のバッテリを再充電するために使用可能な、回生ブレーキシステムのような内部発電機には適用できない。先に述べたように、本システムは、バッテリ充電中に車両のオペレータ(例えば、ドライバーやオーナー)が不在の際の使用を意図している。明白に、このシナリオは、自動車がドライバー/オーナーの直接的なコントロール下にある間の使用を対象とした再生、又は同様の充電システムに適用するものではない。
【0025】
バッテリパック充電の間、コントローラ107は充電器103に接続されて充電器の作動を制御し、好ましくはその状態(オン/オフ)だけでなくその充電率をも制御する。コントローラ107はこの充電システム103内に一体化されても、或いはシステムから分離されても良い。コントローラ107は適当な充電率を決定するために、充電状態(SOC)、温度、バッテリ寿命、バッテリの全容量等、種々のバッテリパラメータを勘案するため、コントローラ107は往々にして車両及び/又は車両の制御システム内に一体化される。或いは、例えばコントローラと車両との間に通信リンクを使用して、バッテリパックパラメータがコントローラ107に伝えられても良い。車両にコントローラ107を一体化させることの利点は、車両のシステムに最適な充電率を決定させる等しつつ、種々の充電器を伴う様々な状況下にあっても車両の充電をより簡単にするという点である。
【0026】
当然のことながら、ここでは本発明に不可欠な種々の電気自動車のシステムと構成部品が詳細に論じられるが、不可欠でない車両システム/構成部品は必ずしも記述されない。例えば、明らかにバッテリパック101は図1の仮想線に示すように駆動系109に接続される。駆動系109は1車軸又は両車軸に結合された単一電気モータ又は複数の電気モータを使用しても良い。同様に本発明は特定のタイプ/構造の変速装置(例えば、単一速度、複数速度)や特定のタイプ/構造のディファレンシャル(例えば、開放、ロック又は差動)に限定されるものではない。典型的にバッテリパック101は、電力制御システムを介して駆動モータに接続され、モータに分配される電力が確実に所望の電圧、電流、波形等になるように使用される。電力制御システムは、パッシブ・パワーデバイス(例えば、トランジェント・フィルタリングキャパシタ及び/又はインダクタ)、アクティブ・パワーデバイス(例えば、半導体及び/又は電気・機械的スイッチングデバイス、回路保護デバイスなど)、検出デバイス(例えば、電圧、電流及び/又は電力フローセンサなど)、論理制御デバイス、通信デバイスなどから構成されるかもしれない。
【0027】
駆動モータに電力供給することに加え、バッテリパック101は、電力を必要とする如何なる数の付属部品に対し電力を供給することが期待され、これら付属の車両サブシステムと構成部品は、図1において車両サブシステム111として示される。車両サブシステム111には、以下に限定されるものではないが、車両のライト(例えば、運転ライト、室内灯など)、娯楽システム(例えば、従来型ラジオ及び/又は衛星ラジオ、CDプレーヤ、DVDプレーヤ、MP3プレーヤなど)、ナビゲーションシステム、種々の車両コントロールシステム、ユーザーインターフェースなどが含まれるかもしれない。バッテリパック101は又、1つ又はそれ以上の熱制御システム113に接続されるかもしれず、同システムは、バッテリや他の構成部品が所望の温度域に維持されるのを確実にするために使用される。
【0028】
本発明によれば、モニタ115は外部の電源105及び充電システム103からバッテリパック101への電力の流れを検出するために使用される。モニタ115は、外部電源と車両の間の接続の監視、及び/又は充電システム103の作動の監視、及び/又は充電システム103への入力の監視、及び/又は充電システム103の出力の監視のために構成されても良い。好ましくは、モータ115は電力中断を検出するだけでなく、電力特性(例えば、16Aで120VAC又は30Aで208/240V)をも検出するために使用され、充電システムの性能に関して更なる詳細事項がユーザーに伝達されることを可能にする。
【0029】
モニタ115はシステムコントローラ117に接続され、停電が検出されたとき、モニタ115によって提供された情報を用いて、コントローラ117は適切な一連の動作を決定する。コントロールプロセッサに加え、コントローラ117も又、事前に設定された一連の制御指示を格納するメモリ119を備えていても良い。メモリ119はフラッシュメモリ、半導体ディスクドライブ、ハードディスクドライブ、その他どんなメモリのタイプでも、或いはメモリタイプ同士の組合せでも良い。或いは、事前に設定された一連の制御指示を、例えば第三者サイト(例えば、車両の製造者)に位置する、システムコントローラ117と電気自動車からずっと遠いメモリに格納しても良い。当然ながら、コントローラ117は、独立型のコントローラでも良く、或いは、例えば充電システムコントローラや車両管理システムなどの他の車両制御システムに一体化されても良い。
【0030】
コントローラ117は、車両のバッテリパック充電が中断したことを、ユーザーに対して連絡するように使用される、少なくとも1つのタイプの通知システム121に接続される。通知システムは無線の通信システムであることが好ましく、これによりユーザーやその他の指定された関係者に対し、関係者の所在地にかかわらず充電の中断を知らせることが可能となる。当然ながら、本発明は特別なタイプの通知システム/通信リンクに限定されるものではなく、それ自体は種々の無線RF通信システムの如何なるものをも使用して通知メッセージ(例えば、テキスト、音声、音声キュー、グラフィックキュー、その他の形式)を送るようにしても良い。典型的なシステムは、数多くある異なる規格(例えば、GSM EDGE、UMTS、CDMA2000、DECT、WiMAX等)のいずれかを使用したセル方式又は衛星通信ベースの無線システムを使用する。音声メッセージが使用される場合、予め録音されたメッセージを使うことが好ましく、この場合、オペレータ等は必要ない。通知メッセージは、eメールを使うことでユーザーや他の指定された受取人に送るようにしても良い。通知メッセージは、例えばユーザーが望むときにアクセス可能なウエブページ上にポスティングするようにしても良い。通知メッセージはまた、第三者の通知システムに送られた後、例えばプッシュ技術や通知メッセージを転送する他の方法を使って事前に設定されたルールに従い、転送されても良い。通知メッセージはまた、データの更新を定期的に確認することができる電話やコンピュータやその他の独立した装置上で、バックグランドで実行されるか明確に実行されるような、第三者のアプリケーションによって得られるようにしても良い。なお、その通知にあたっては、例えば携帯電話などのオープンな通信システムが使用されることが好ましいが、それ専用の通信システムが使用されても良い。
【0031】
発明者らが想定する少なくとも1つの実施形態では、通知システム121によって発せられる通知は、例えばクラクションを鳴らしたり、ライトを点滅したりするような、単なるその場での警告である。この種の通知スキームは、車両が家に駐車され、バッテリパックが目的とするSOCに到達する前に家族が車両からプラグを抜くかもしれないとユーザーが憂慮しているような状況下で使用する可能性が高い。或いは、ユーザーが公衆の充電ステーションに駐車し、例えば、他人が自身の車両のために充電ステーションを利用するために、故意に自動車との接続を断つかもしれないとユーザーが憂慮しているとき、アラームによる通知は、アラーム通知単独で使用され、或いは、標準的な通知メッセージと併せて使用されても良い。ユーザーは充電中断時、使用される通知形式を予め設定でき、選択肢の1つがアラームであることが好ましい。また、より好ましくは、ユーザーが車両の位置に基づき使用される通知フォーマットを予め設定できる(例えば、車両が、ガレージ内にある時はその場で警告し、ガレージ内にないときは無線で伝送する)。
【0032】
通常は図2に示すように、最初、電気自動車はスタンバイモード(ステップ201)にある。ひとたび、この電気自動車が外部電源105に接続されると(ステップ203)、モニタ115はその接続を検知し(ステップ205)、これにより、充電システムの作動を点検するために(ステップ207)、システムコントローラ117は接続の監視を開始する。充電が継続状態にある限りは(ステップ209)、システムコントローラ117はモニタ115からの入力を用いて監視機能を実行するのみである。仮に充電源への接続が中断されると(ステップ211)、1以上の指定の関係者に通知メッセージを送信するために、コントローラ117は通知システム121へ命令を発する(ステップ213)。通知メッセージが送信された後、システムは先のスタンバイモード(ステップ215)へと戻ることが好ましい。
【0033】
通知メッセージを受けるように指定される可能性のある通常の関係者は、以下に限ったものではないが、車両のオーナー、車両のドライバー、自動車を運転した最後の関係者、第三者通知サービス(例えば、車両製造者、カーディーラ、独立した通知サービス等)、その他の関係者が含まれる。好ましくは、コントローラ117は、通知指示を、車両と一体のユーザーインターフェースを通して受けるか、或いは、車両と遠隔の入力装置(例えば、遠隔設置されたコンピュータ、スマートフォン、他の入力装置など)との間の通信リンクを用いて遠隔で受けとるように構成される。通知指示は、充電中断の際に通知される関係者を含む。通知指示は又、好適な通知フォーマット(例えば、テキスト、ボイスメール、メール)を、通知連絡先(例えば、電話番号やeメールアドレス等)と同様に入力されることが好ましい。通知指示には又、単一の通知メッセージ又は複数の通知メッセージのいずれかが送信されるかを含んでも良い(例えば、1時間ごとに1回というように予め設定された頻度で)。そのシステムは又、通知メッセージを複数の関係者に、好ましくは複数回にわたって、そして車両が充電源に再接続されるかユーザーが通知システムを解除するまでは継続して送るように構成されても良い。
【0034】
図3に示す別の方法において、充電源への接続が中断されたとき(ステップ211)、システムコントローラ117はその充電中断は是認されたものであるか否かを判定する(ステップ301)。その中断が是認されたものであるとき(ステップ303)、システムはスタンバイモード(ステップ303)に戻る。コントローラ117が、その中断は是認されたものではないと判定すると(ステップ305)、通知システム121へ命令が発せられ、通知システムに、現在の通知指示を見守る、予め定められた関係者に対して通知メッセージを送信させる(ステップ213)。
【0035】
ステップ301の際、システムコントローラ117は、車両充電中に検出された中断が是認されたものか否かを判断するために、種々の基準のうちのいずれかを使用することができる。例えば、図4に示すように、コントローラ117は、車両に対するユーザーの接近度合、すなわち、充電システムや充電ケーブル/連結器に対するユーザーの接近度合を利用して、その中断が是認されたものか否かを判定するかもしれない(ステップ401)。本実施形態における仮定は、ユーザー又は他の是認された関係者が車両の近くにいるならば、充電中に発生した中断は是認されたものに違いないということである。システムコントローラ117が、ユーザーが近くにいるか否かを決定するにあたっては種々の手段を用いることができ、例えばユーザー識別などが埋め込まれたキーフォブ等(是認装置)を使用することを含む。図5に示される、例となるシステム500において、RFID(無線自動識別)リーダのような検知器501が車両内部に搭載され、コントローラ117に連結される。コントローラ117がモニタ115を介して充電が中断されたことを検知したとき、コントローラ117はRFID検知器501に、例えば予め識別されたRFIDタグを含んだキーフォブのような装置がすぐ近くにあるか否か問い合わせる(ステップ401)。なお、この判定は、ユーザーや他の是認された関係者のみが予め識別されたRFIDタグを含んだ装置を持っていることを前提としている。ユーザーが近くにいるとき、システムはスタンバイに戻る(ステップ303)。ユーザーが近くにいないとき、システムはメモリ119に格納された通知指示に従って通知メッセージを送信する。なお、自動車に対するユーザーの接近度合を監視するため、システムによって他の手段が使用されても良いことは明らかである。例えば、自動車が施錠されていないとき、システムコントローラによって状態が検知・取得されると、コントローラは、予め設定された通知指示を介してユーザーが近くにいることを前提としてセットアップされ得ることで、ステップ401の要求を満たす。
【0036】
図6及び図7は、図3に示した実施形態とは別の特定の構成を示す。本構成において、システムコントローラ117は車両が“安全”域内にあるか否かを決定するものであるが、安全域は、ユーザーが充電中断について懸念の無い場所又は地域として定義される。典型的な安全域には、ユーザーのガレージ、作業ガレージ等が含まれても良い。或いは、安全域は、例えば車両のGPSシステムに入力された目的地のような場所に対応しても良い。好ましくは、ユーザーが、システムコントローラに、通知指示の中に1以上の“安全”域を入力できる。車両位置を監視し、その位置を指定された安全域とで比較することにより(ステップ601)、システムコントローラ117は、バッテリパック充電の中断が検知された時点で通知メッセージを発する否かを決定することができる(ステップ211)。代表的かつ好ましいとされる構成では、車両が予め指定された安全域に位置するとき、通知メッセージは送信されないが、車両がそのような安全域に位置しないときには、コントローラが予め定められた通知指示に従う。予め指定された安全域に対する車両位置の決定にあたっては、車両に使用されるナビゲーションシステムのような、GPSサブシステム(例えば、GPSサブシステム701)を利用することが好ましい。或いは、システムコントローラ117は、特定のローカルエリアネットワークに連携するサービスセットIDの近接性、1つ以上の移動通信用タワー位置に対する車両位置、或いはその他の手段により安全域を識別しても良い。
【0037】
図8及び図9は図3に示した実施形態の、更に別の特定の構造を示す。この構成ではシステムコントローラ117は1以上のバッテリパックモニタ901に接続される。好ましくは、バッテリパックモニタ901は、バッテリの調子や作動特性を監視するために車両管理システムによって使用されるセンサと同一である。例えば、バッテリパックSOCを監視し、そのSOCと目標SOCとを比較することにより、システムコントローラ117は、充電システムの中断が、ユーザーや他の指定された関係者に対して通知メッセージを送信することを正当化するのに十分な関係があるか否かを決定することができる。なお、このステップ中に使用される目標SOCは、バッテリパック充電のための最大又は最適SOCを決定するために車両管理システム(例えば、バッテリパック監視・管理サブシステム)によって使用される目標SOCと同一である必要はない。むしろ、このステップ中にコントローラ117によって使用される目標SOCは、ユーザーが決めた最小SOCであっても良く、例えば、100マイルの走行距離を可能にするのに充分な充電量のように、期待される運転要求を満たすのに十分な程度の充電量である。目標SOCは又、好ましくは通知指示の1つとして、ユーザー(又は、別の関係者)によって入力される、最小走行距離の達成に基づいて、コントローラ117によって算出されても良い。目標SOCはまた、ユーザーの運転パターンを基礎として使用するコントローラ117によって決定されても良い。例えば、車両が通常1日につき30マイル以下で通常運転されるとすると、コントローラは、車両が典型的な走行距離に(例えば、30マイル)、安全のためのマージン(例えば、20マイル)を加えた走行距離を達成できる程の充分な目標SOCをセットするかもしれない。また、目標SOCは現在位置から目的地まで、例えば、ユーザーによって入力された予め設定された特定の目的地まで、プリセットの走行距離に基づき、コントローラ117によって決定されるかもしれない。これらの構成において、バッテリパックが目標SOCを満たすように充分に充電されている限りは、ユーザーに対して通知メッセージが発信されない。通知メッセージは、仮に車両充電が目標SOCに到達する前に中断されるような場合にのみ発信されるであろう。
【0038】
ステップ801で使用されるべきバッテリパックパラメータとして、バッテリパックSOCが好ましいが、他のバッテリパックパラメータでも使用可能なことは明らかである。例えば、バッテリパック温度が予め定められた温度範囲外にあるとき、充電を終えるように充電システムは設計されても良い。この構成では、仮にシステムコントローラ117が、監視されたバッテリパック状態(例えば、温度)が充電の中断を正当化していると決定したとき、コントローラはユーザーに対しいつ充電中断が検出されたのかを通知しないだろう(ステップ211)。尚、本発明の他の側面として、ユーザーは通知メッセージに関連する状態を予め設定された通知指示と共に予め設定できるため、ユーザーは、システムに対し、例えば、バッテリパック温度が許容範囲外に至るというようなバッテリパック状態によって充電が中断されたとき、通知メッセージを送るようにセットアップすることも可能であるし、或いはそのようにセットアップしなくとも良い。
【0039】
以上、本発明の好適な実施形態を記述したが、発明者らは明確にこの工程の小さな変化をも想定している。例えば、図3とこれに従う詳細な構成では、充電中断の正当性の是認(例えば、ステップ301)が充電サイクルでの中断の検出ステップの後にきている。図10に示されるように、ステップ207と301を反転することによって、同じ結果が達成され得る。この手順では、システムは、例えばユーザー近接性、車両位置又は目標SOCを達成することなど、充電サイクル中断の発生(ステップ301)をもたらし得る何らかの検出状態があるか否かを決定するために、常に状態を監視している。そのような状態が検出されたとき(ステップ303)、システムはスタンバイモードに戻る。そのような状態が検知されないとき(ステップ305)、システムは充電システムが作動しているか否かを判定する(ステップ207)。
【0040】
同業者には理解されるように、本発明は、その精神や本質的な特徴から逸脱することなく他の様々な形態で具体化され得る。従って、ここでの開示や記述は、以下の請求項で説明する発明の範囲を非限定的に例証する意図をもつものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車のバッテリパック充電システムの作動が中断された時、関係者に通知する方法であって、
前記電気自動車と、該電気自動車の外部にあるバッテリパック充電源との間の接続の開始を検出する工程と、
前記バッテリパック充電システムの作動を監視することであって、前記バッテリパック充電システムの作動を監視する工程は、前記電気自動車と前記バッテリパック充電源との前記接続が検出された後に実行されるような、前記監視工程と、
前記関係者に通知メッセージを送るために通知システムに命令を発する工程であって、前記命令を発する工程はシステムコントローラによって実行され、前記命令を発する工程は、前記バッテリパック充電システムの前記作動の中断が検出されたとき、実行される前記工程と、
前記通知メッセージを送る前記命令を受けた上で、前記通知システムに連結されたメモリに格納された一連の通知指示を評価する工程と、
前記通知メッセージを送る前記命令を受けた上で、前記一連の通知指示に従って前記通知メッセージを発信する工程とを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記バッテリパック充電システムの前記監視工程は、前記電気自動車と前記バッテリパック充電源との間の接続の連続性を監視する工程をさらに備え、前記通知システムに前記命令を発する前記工程は、前記電気自動車と前記バッテリパック充電源との間の前記接続の中断が検出されたとき、前記システムコントローラによって実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中断が是認されたものであるか否かを決定する工程さらに備え、前記中断が是認されたものであるか否かを決定する前記工程は、前記通知メッセージを発信する前記工程に先立って実行され、前記通知メッセージを発信する前記工程は前記中断が是認されたものであるとき実行されないことを特徴とする請求項1乃至2に記載の方法。
【請求項4】
前記中断が是認されたものであるか否かを決定する前記工程は、是認装置が前記電気自動車の近傍にあるか否かを検出する工程をさらに有し、前記是認装置が前記電気自動車の近傍にあるとき、前記中断が是認されたものであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記中断が是認されたものであるか否かを決定する前記工程は、前記電気自動車に対応した現在位置を決定し、前記現在位置と、前記一連の通知指示内に含まれる少なくとも1つの所定の安全域とを比較し、前記現在位置が前記所定の安全域に対応するとき前記中断を是認する工程をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記中断が是認されたものであるか否かを決定する前記工程は、更に、電気自動車バッテリパックに対応する現在の充電状態(SOC)レベルを監視し、前記現在のSOCレベルと予め設定された目標SOCレベルとを比較し、前記現在のSOCレベルが前記予め設定された目標SOCレベルを超えているとき前記中断を是認する工程をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記予め設定された目標SOCレベルは、予め設定された走行距離を達成するために充分なSOCを有する前記電気自動車バッテリパックに基づいて計算されることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記中断が是認されたものであるか否かを決定する前記工程は、更に、電気自動車バッテリパックに対応する現在のバッテリパック温度を監視し、前記現在のバッテリパック温度と予め設定された温度範囲を比較し、前記現在のバッテリパック温度が前記予め設定された温度範囲外のとき前記中断を是認する工程をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記一連の通知指示を受け取って前記一連の通知指示を前記メモリに格納する工程をさらに備え、ユーザーは前記システムコントローラと通信するユーザーインターフェースを介して前記一連の通知指示を入力することを特徴とする請求項1乃至8に記載の方法。
【請求項10】
前記通知メッセージを送信する前記工程は更に、無線RF通信システムを介して前記通知メッセージを送信する工程をさらに備え、前記無線RF通信システムはセル方式の無線システムと衛星を利用した無線システムとからなるグループから選択され、前記通知メッセージを送信する前記工程は、テキストメッセージ又はeメールメッセージ又は予め録音されている口頭メッセージを送信する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9に記載の方法。
【請求項11】
前記通知メッセージを送信する前記工程は、ウエブページ上に前記通知メッセージをポスティングする工程をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9に記載の方法。
【請求項12】
前記通知メッセージを送信する前記工程は、第三者の通知システムに前記通知メッセージを送信する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9に記載の方法。
【請求項13】
前記通知メッセージを送信する前記工程は、前記電気自動車に搭載された警報システムを作動させる工程をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9に記載の方法。
【請求項14】
電気自動車と共に使用するための通知システムであって、
電源に連結可能な電気自動車充電システムであって、前記電源は前記電気自動車の外側に位置して前記電気自動車内に搭載されたバッテリパックに充電電力を供給し、前記バッテリパックは少なくとも1つの駆動系モータに電力を供給する、前記電気自動車充電システムと、
前記電気自動車内に搭載されかつバッテリパック充電状態を監視するために構成された電源モニタであって、前記電源が前記電気自動車充電システムに連結された時を検出する前記モニタと、
前記電源モニタに接続され、前記電源が前記電気自動車充電システムに連結された際に、前記電源モニタから第1状態信号を受け、前記電気自動車充電システム電源の作動において中断が検出された際に、前記電源モニタから第2状態信号を受けるように構成されたシステムコントローラであって、前記システムコントローラは、前記第1状態信号を受信した後に前記第2状態信号を受信することにより明らかとなる前記バッテリパック充電状態の変化を検出することで通知命令を発し、また、一連の通知指示に従って前記通知命令を発するように構成される前記システムコントローラと、
前記システムコントローラに接続され、前記一連の通知指示を格納するメモリと、
前記システムコントローラに接続され、前記システムコントローラによって発せられた前記通知命令を受けることで前記電気自動車の外部に位置する関係者に対し通知メッセージを送信するように構成された通知システムとを備えることを特徴とする通知システム。
【請求項15】
前記一連の通知指示は、前記バッテリパックの充電状態の変化を、是認されたものとして受け取るため、少なくとも1つの基準を備え、前記システムコントローラは、前記バッテリパック充電状態の変化が是認されるとき、通知命令を発しないよう構成されることを特徴とする請求項14に記載の通知システム。
【請求項16】
前記バッテリパックの充電状態の変化を、是認されたものとして受けとるための前記基準は、前記電気自動車に対するユーザーの近接性、バッテリパック目標充電状態の達成、及び予め定義された安全域内の前記電気自動車の存在、の内の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項15に記載の通知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−21914(P2013−21914A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−156461(P2012−156461)
【出願日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(509316442)テスラ・モーターズ・インコーポレーテッド (23)
【Fターム(参考)】