説明

充電制御装置、充電制御装置の制御方法、充放電制御装置、充放電制御装置の制御方法、制御プログラム、および、記録媒体

【課題】系統電源以外の電力供給源から供給される電力を考慮して、家庭における電気料金をできるだけ抑えるように、電気自動車の充放電を制御する。
【解決手段】電気自動車3のバッテリ34の蓄電量、目的地に関する目的地関連情報および出発日時を取得するデータ取得部21と、目的地関連情報および出発日時に基づいて、次回の電気自動車3の予想消費電力量を決定し、バッテリ34の蓄電量と、予想消費電力量とに基づいて目標充電量を決定する充放電量算出部22と、目標充電量を次回の電気自動車3の出発日時までに充電するように、かつ、電力供給源のうち、電力単価の安い電力を供給する電力供給源から優先して充電するように、各電力供給源の充電期間を決定する充放電計画作成部23と、各電力供給源の充電期間に従って、各電力供給源からバッテリ34に目標充電量を充電するように制御する充放電制御部25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置を搭載する車両に対する充放電を制御する充電制御装置、充電制御装置の制御方法、充放電制御装置、充放電制御装置の制御方法、制御プログラム、および、記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する意識の高まりを受けて、バッテリ(蓄電装置)を搭載し、駆動装置としてモータを搭載する電気自動車、プラグインハイブリッド自動車(PHV)などの二酸化炭素の排出量が少ない自動車が普及し始めている。
【0003】
電気自動車およびPHVは、家庭用電源を用いてバッテリの充電を行うことが可能となっている。電気自動車の充電に必要な電力量は、家庭内にあるエアコンや冷蔵庫、テレビ等の他の機器と比べて非常に大きい。そのため、電気自動車を所有する家庭では、電気自動車に掛かる電気料金を抑えることが重要である。
【0004】
そこで、電力会社が設定する電気料金の安い時間帯に電気自動車の充電を行うことが望ましい。例えば、特許文献1には、できるだけ安価な電力を利用して電気自動車の充電を行う充電装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−142025号公報(2010年6月24日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、電気料金を抑え、かつ、環境負荷を低減できることから、家庭内に電気を発電する発電装置や電力を蓄電する蓄電池を設置する家庭が増え始めている。このような家庭では、電気料金の安い時間帯に電力会社から購入する電力と同等かそれ以下の電気料金の電力を発電または蓄電している。
【0007】
上記の特許文献1では、家庭で発電する電力や蓄電する電力が考慮されていないため、上記の環境を配慮した家庭においては、電気料金を効果的に抑えることができない場合がある。
【0008】
また、特許文献1の技術は、電気自動車にできるだけ安価な電力で充電するという観点に基づくものであり、電気自動車が保持する余分な電力を有効に活用するということは考えられていない。つまり、電気自動車が備えるバッテリを、家庭内にある他の機器に電力を供給する蓄電装置として考えていない。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、系統電源以外の電力供給源から供給される電力を考慮して、家庭における電気料金をできるだけ抑えるように、電気自動車の充放電を制御する充電制御装置、充電制御装置の制御方法、充放電制御装置、充放電制御装置の制御方法、制御プログラム、および、記録媒体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る充電制御装置は、上記課題を解決するために、車両が備える蓄電装置の充電を制御する充電制御装置であって、ユーザが目的地に向かって出発する日時および当該目的地に関する目的地関連情報を入力する入力手段と、上記車両から上記蓄電装置の蓄電量、並びに、上記入力手段に入力された出発日時および上記目的地関連情報を取得するデータ取得手段と、上記データ取得手段が取得した出発日時および目的地関連情報に基づいて、次回の車両の予想消費電力量を決定する予想消費電力決定手段と、上記データ取得手段が取得した上記蓄電装置の蓄電量と、上記予想消費電力決定手段が決定した予想消費電力量とに基づいて目標充電量を決定する充電量決定手段と、上記充電量決定手段が決定した目標充電量を次回の車両の出発日時までに充電するように、かつ、上記蓄電装置に電力を供給する電力供給源のうち、電力単価の安い電力を供給する電力供給源から優先して充電するように、各電力供給源の充電期間を決定する充電計画作成手段と、上記充電計画作成手段が決定した各電力供給源の充電期間に従って、各電力供給源から上記蓄電装置に上記目標充電量を充電するように制御する充電制御手段とを備えることを特徴としている。
【0011】
本発明に係る充電制御装置の制御方法は、上記課題を解決するために、車両が備える蓄電装置の充電を制御する充電制御装置の制御方法であって、ユーザが目的地に向かって出発する日時および当該目的地に関する目的地関連情報を入力する入力ステップと、上記車両から上記蓄電装置の蓄電量、並びに、上記入力ステップにおいて入力された出発日時および上記目的地関連情報を取得するデータ取得ステップと、上記データ取得ステップにおいて取得された出発日時および目的地関連情報に基づいて、次回の車両の予想消費電力量を決定する予想消費電力決定ステップと、上記データ取得ステップにおいて取得された上記蓄電装置の蓄電量と、上記予想消費電力決定ステップにおいて決定された予想消費電力量とに基づいて目標充電量を決定する充電量決定ステップと、上記充電量決定ステップにおいて決定された目標充電量を次回の車両の出発日時までに充電するように、かつ、上記蓄電装置に電力を供給する電力供給源のうち、電力単価の安い電力を供給する電力供給源から優先して充電するように、各電力供給源の充電期間を決定する充電計画作成ステップと、上記充電計画作成ステップにおいて決定された各電力供給源の充電期間に従って、各電力供給源から上記蓄電装置に上記目標充電量を充電するように制御する充電制御ステップとを含むことを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、上記予想消費電力決定手段は、上記データ取得手段が取得した目的地に関する目的地関連情報および当該目的に向かって出発する日時に基づいて、次回の車両の予想消費電力量を決定する。上記充電量決定手段は、上記データ取得手段が取得した上記蓄電装置の蓄電量と、上記予想消費電力決定手段が決定した予想消費電力量とに基づいて目標充電量を決定する。上記充電計画作成手段は、上記充電量決定手段が決定した目標充電量を次回の車両の出発日時までに充電するように、かつ、上記蓄電装置に電力を供給する電力供給源のうち、電力単価の安い電力を供給する電力供給源から優先して充電するように、各電力供給源の充電期間を決定する。そして、上記充電制御手段は、上記充電計画作成手段が決定した各電力供給源の充電期間に従って、各電力供給源から上記蓄電装置に上記目標充電量を充電するように制御する。
【0013】
そのため、次回の車両の出発日時までに、次回の予定において車両にとって必要な充電量(目標充電量)を、できるだけ安い電気料金で充電することができる。したがって、車両を使用するために必要な費用を抑えることができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る充放電制御装置は、上記充電計画作成手段は、上記電力供給源に、系統電源および充電を行う対象の車両が備える蓄電装置以外の蓄電装置が含まれる場合、上記系統電源より、充電を行う対象の車両が備える蓄電装置以外の蓄電装置を優先することが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、上記充電計画作成手段は、上記電力供給源に、系統電源および充電を行う対象の車両が備える蓄電装置以外の蓄電装置が含まれる場合、上記系統電源より、充電を行う対象の車両が備える蓄電装置以外の蓄電装置を優先する。ここで、充電を行う対象の車両が備える蓄電装置以外の蓄電装置に蓄電される電力は、一般的に、系統電源が電気料金の安い電力安価期間に供給する電力、および、家庭に設置される発電装置が発電する電力を利用して充電される。また、一般的に、発電装置が発電する電力は、系統電源が電気料金の安い電力安価期間に供給する電力より安価な電力である。そのため、充電を行う対象の車両が備える蓄電装置以外の蓄電装置に蓄電される電力は、系統電源が電気料金の安い電力安価期間に供給する電力と同等もしくはそれより安価な電力である。
【0016】
家庭においては、充電を行う対象の車両が備える蓄電装置以外の蓄電装置に蓄電されている電力は、基本的には、電力使用時に費用を要するものではなく、系統電源に売電しない場合、家電機器等で消費する以外に用途がない電力である。したがって、上記系統電源より、充電を行う対象の車両が備える蓄電装置以外の蓄電装置を優先することにより、家庭における電力を無駄なく使用することができると共に、車両にとって必要な充電量(目標充電量)を、できるだけ安い電気料金で充電することができる。
【0017】
また、本発明に係る充放電制御装置は、上記充電計画作成手段は、上記電力供給源に系統電源が含まれており、当該系統電源が供給する電力に対して時間帯ごとに異なる電力単価が設定されている場合、電力単価の安い時間帯を優先して系統電源の充電期間を決定することが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、上記充電計画作成手段は、上記電力供給源に系統電源が含まれており、当該系統電源が供給する電力に対して時間帯ごとに異なる電力単価が設定されている場合、電力単価の安い時間帯を優先して系統電源の充電期間を決定する。そのため、次回の車両の出発日時までに、次回の予定において車両にとって必要な充電量(目標充電量)を、より安い電気料金で充電することができる。
【0019】
また、本発明に係る充放電制御装置は、上記予想消費電力決定手段は、上記データ取得手段が出発日時に対応付けられた複数の上記目的地関連情報を取得した場合、各目的地関連情報に基づいてそれぞれ電力量を算出し、算出した電力量のうち最大の電力量を予想消費電力量として決定することが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、上記予想消費電力決定手段は、上記データ取得手段が出発日時に対応付けられた複数の上記目的地関連情報を取得した場合、各目的地関連情報に基づいてそれぞれ電力量を算出し、算出した電力量のうち最大の電力量を予想消費電力量として決定する。すなわち、上記予想消費電力決定手段は、各目的地関連情報に基づいてそれぞれ算出される電力量のうち、最大の電力量を次回の車両の予想消費電力量とする。そして、上記充電量決定手段が当該予想消費電力量に基づいて目標充電量を決定し、上記充電制御手段が上記蓄電装置に上記目標充電量を充電するように制御することにより、次回の車両の使用時に、電力が不足する可能性を低減することができる。
【0021】
また、本発明に係る充放電制御装置は、上記課題を解決するために、車両が備える蓄電装置の充放電を制御する充放電制御装置であって、ユーザが目的地に関する目的地関連情報および当該目的地に向かって出発する日時を入力する入力手段と、上記車両から上記蓄電装置の蓄電量、並びに、上記入力手段に入力された上記目的地関連情報および出発日時を取得するデータ取得手段と、上記データ取得手段が取得した目的地関連情報および出発日時に基づいて、次回の車両の予想消費電力量を決定する予想消費電力決定手段と、上記予想消費電力決定手段が決定した予想消費電力量より、上記データ取得手段が取得した上記蓄電装置の蓄電量の方が大きい場合、当該予想消費電力量と当該蓄電量との差分の電力量を次回の車両の出発日時までに放電するように制御し、一方、上記予想消費電力決定手段が決定した予想消費電力量より、上記データ取得手段が取得した上記蓄電装置の蓄電量の方が小さい場合、当該予想消費電力量と当該蓄電量との差分の電力量を次回の車両の出発日時までに充電するように制御する充放電制御手段とを備えることを特徴としている。
【0022】
また、本発明に係る充放電制御装置の制御方法は、上記課題を解決するために、車両が備える蓄電装置の充放電を制御する充放電制御装置の制御方法であって、ユーザが目的地に関する目的地関連情報および当該目的地に向かって出発する日時を入力する入力ステップと、上記車両から上記蓄電装置の蓄電量、並びに、上記入力ステップにおいて入力された上記目的地関連情報および出発日時を取得するデータ取得ステップと、上記データ取得ステップにおいて取得された目的地関連情報および出発日時に基づいて、次回の車両の予想消費電力量を決定する予想消費電力決定ステップと、上記予想消費電力決定ステップにおいて決定された予想消費電力量より、上記データ取得ステップにおいて取得された上記蓄電装置の蓄電量の方が大きい場合、当該予想消費電力量と当該蓄電量との差分の電力量を次回の車両の出発日時までに放電するように制御し、一方、上記予想消費電力決定ステップにおいて決定された予想消費電力量より、上記データ取得ステップにおいて取得された上記蓄電装置の蓄電量の方が小さい場合、当該予想消費電力量と当該蓄電量との差分の電力量を次回の車両の出発日時までに充電するように制御する充放電制御ステップとを含むことを特徴としている。
【0023】
上記の構成によれば、上記予想消費電力決定手段は、上記データ取得手段が取得した目的地に関する目的地関連情報および当該目的に向かって出発する日時に基づいて、次回の車両の予想消費電力量を決定する。上記充電制御手段は、上記予想消費電力決定手段が決定した予想消費電力量より、上記データ取得手段が取得した上記蓄電装置の蓄電量の方が大きい場合、当該予想消費電力量と当該蓄電量との差分の電力量を次回の車両の出発日時までに放電するように制御し、一方、上記予想消費電力決定手段が決定した予想消費電力量より、上記データ取得手段が取得した上記蓄電装置の蓄電量の方が小さい場合、当該予想消費電力量と当該蓄電量との差分の電力量を次回の車両の出発日時までに充電するように制御する。
【0024】
ここで、予想消費電力量より、上記蓄電装置の蓄電量の方が大きい場合、上記蓄電装置の蓄電量のうち、当該予想消費電力量と当該蓄電量との差分の電力量は、次回の車両の使用時において、余分な電力である。よって、この余分な電力を出発日時までに放電することにより、系統電源などの他の電力供給源からの電力使用量を低減し、上記蓄電装置に蓄電されている電力を無駄なく有効に使用することができる。したがって、家庭における電気料金をできるだけ抑えることができる。
【0025】
また、予想消費電力量より、上記蓄電装置の蓄電量の方が小さい場合、当該予想消費電力量と当該蓄電量との差分の電力量だけを充電すれば、次回の車両の使用時において、必要な電力を賄うことができる。よって、この不足分の電力を出発日時までに充電することにより、次回の予定において車両にとって必要な充電量(目標充電量)だけを充電することができる。したがって、車両を使用するために必要な費用を抑えることができるという効果を奏する。
【0026】
なお、上記充電制御装置または上記充放電制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記充電制御装置または上記充放電制御装置の各手段として動作させることにより、上記充電制御装置または上記充放電制御装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明に係る充放電制御装置は、ユーザが目的地に向かって出発する日時および当該目的地に関する目的地関連情報を入力する入力手段と、車両から蓄電装置の蓄電量、並びに、上記入力手段に入力された出発日時および上記目的地関連情報を取得するデータ取得手段と、上記データ取得手段が取得した出発日時および目的地関連情報に基づいて、次回の車両の予想消費電力量を決定する予想消費電力決定手段と、上記データ取得手段が取得した上記蓄電装置の蓄電量と、上記予想消費電力決定手段が決定した予想消費電力量とに基づいて目標充電量を決定する充電量決定手段と、上記充電量決定手段が決定した目標充電量を次回の車両の出発日時までに充電するように、かつ、上記蓄電装置に電力を供給する電力供給源のうち、電力単価の安い電力を供給する電力供給源から優先して充電するように、各電力供給源の充電期間を決定する充電計画作成手段と、上記充電計画作成手段が決定した各電力供給源の充電期間に従って、各電力供給源から上記蓄電装置に上記目標充電量を充電するように制御する充電制御手段とを備えている構成である。
【0028】
また、本発明に係る充放電制御装置の制御方法は、ユーザが目的地に向かって出発する日時および当該目的地に関する目的地関連情報を入力する入力ステップと、車両から蓄電装置の蓄電量、並びに、上記入力ステップにおいて入力された出発日時および上記目的地関連情報を取得するデータ取得ステップと、上記データ取得ステップにおいて取得された出発日時および目的地関連情報に基づいて、次回の車両の予想消費電力量を決定する予想消費電力決定ステップと、上記データ取得ステップにおいて取得された上記蓄電装置の蓄電量と、上記予想消費電力決定ステップにおいて決定された予想消費電力量とに基づいて目標充電量を決定する充電量決定ステップと、上記充電量決定ステップにおいて決定された目標充電量を次回の車両の出発日時までに充電するように、かつ、上記蓄電装置に電力を供給する電力供給源のうち、電力単価の安い電力を供給する電力供給源から優先して充電するように、各電力供給源の充電期間を決定する充電計画作成ステップと、上記充電計画作成ステップにおいて決定された各電力供給源の充電期間に従って、各電力供給源から上記蓄電装置に上記目標充電量を充電するように制御する充電制御ステップとを含む。
【0029】
よって、次回の車両の出発日時までに、次回の予定において車両にとって必要な充電量(目標充電量)を、できるだけ安い電気料金で充電することができる。したがって、車両を使用するために必要な費用を抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る実施形態におけるHEMSおよび電気自動車の要部構成を示すブロック図である。
【図2】上記HEMSおよび電気自動車を含む充放電制御システムの概要を示す図である。
【図3】ユーザが上記HEMSに入力するスケジュール情報の一例を示す図である。
【図4】上記HEMSの充放電計画作成部が決定する充電期間の一例を示す図であり、(a)および(b)は、充電期間が蓄電池給電期間および安価電力給電期間を含む場合を示し、(c)は、充電期間が安価電力給電期間および通常電力給電期間を含む場合を示す。
【図5】上記HEMSが保持する情報の一例を示す図であり、(a)は契約電力情報の一例を示し、(b)は充放電能力情報の一例を示す。
【図6】上記電気自動車が保持する情報の一例を示す図であり、(a)は燃費情報の一例を示し、(b)は蓄電量情報の一例を示す。
【図7】上記HEMSが実行する充放電制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】上記HEMSの充放電計画作成部が実行する充放電計画作成処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の一実施形態について図1から図8に基づいて説明すると以下の通りである。まず、本実施形態の充放電制御システム1の概要について、図2に基づいて説明する。
【0032】
〔充放電制御システム1の概要〕
図2は、本実施形態に係る充放電制御システム1の概要を示す図である。図2に示すように、充放電制御システム1は、HEMS(Home Energy Management System:充放電制御装置、充電制御装置)2および電気自動車(車両)3を含む。充放電制御システムは、HEMS2および電気自動車3に加えて、さらに、蓄電池(蓄電装置、電力供給源)4、家電機器5、発電所(系統電源、電力供給源)6、発電装置(電力供給源)8を含んでいてよい。電気自動車3は、内部にバッテリ(蓄電装置)34を含む。
【0033】
HEMS2と、電気自動車3とは、充放電ポート7を介して接続可能となっている。充放電ポート7は、充放電ケーブルおよびプラグから成り、プラグを電気自動車3に挿入することにより、HEMS2と電気自動車3とが接続される。図示のように、充放電ポート7を介して、HEMS2から電気自動車3のバッテリ34へ充電、または、バッテリ34からHEMS2へ放電を行う。また、HEMS2は、蓄電池4、家電機器5、発電装置8および発電所6とそれぞれ接続している。なお、図2に示す実線の矢印は、各機器間の電気の流れを示すものである。
【0034】
HEMS2は、家庭内に設置されている電力を消費する家電機器5の消費電力、電力を蓄電する蓄電池4および電気自動車3がそれぞれ蓄電した電力、並びに、発電する発電装置8の発電した電力、発電所6から給電される電力を管理するものである。具体的には、HEMS2は、発電所6からの系統電力および発電装置8が発電した電力を、電気自動車3、蓄電池4および家電機器5に分配する。また、電気自動車3のバッテリ34に蓄電されている電力を、蓄電池4および家電機器5に分配する。
【0035】
さらに、HEMS2は、発電装置8の発電量や、電力会社(発電所6)から購入する電気料金を考慮して、蓄電池4の充放電を制御する。また、HEMS2は、家電機器5の消費電力を監視して、家電機器5の運転/停止等を制御して消費電力を最適化する。また、HEMS2は、電気自動車3の充放電を制御する。本発明の特徴である、HEMS2による電気自動車の充放電の制御について、詳細は後述する。
【0036】
すなわち、HEMS2は、接続する機器に対して、電力を収集・分配すると共に、接続する機器からデータを取得し、当該機器の動作を制御するものである。
【0037】
HEMS2は、充放電ポート7を介して、電気自動車3のバッテリを充電するが、本実施形態では、さらに、充放電ポート7を介して、電気自動車3とデータのやり取りが可能となっている。ただし、HEMS2と電気自動車3とのデータのやり取りはこの方法に限るものではない。例えば、HEMS2と電気自動車3とが充放電ポート7とは異なる他のケーブルで接続されていてもよいし、HEMS2と電気自動車3とが無線で接続されていてもよいし、メモリーカード等の記録媒体を用いて、データを移動させてもよい。
【0038】
電気自動車3は、蓄電装置を搭載し、当該蓄電装置に蓄電された電気で電動機を回して走る自動車である。ただし、これに限るものではなく、電気自動車3は、プラグインハイブリッド自動車のように、家庭用電源で充電可能な蓄電装置を搭載している自動車(車両)であればよい。また、図2に示す例では、充放電制御システム1が1台の電気自動車3を含んでいるが、充放電制御システム1が複数の電気自動車3を含んでいてもよい。すなわち、HEMS2が複数の電気自動車3と接続されており、複数の電気自動車3のバッテリ34の充放電を制御してもよい。
【0039】
発電所6は、電力会社に管理され、系統電力を家庭や事業所等の需要家に供給するものである。需要家は、電力会社と電力の料金や供給される電力量を契約している。電力会社は、一般的に、深夜の時間帯に供給する系統電力に対して、日中より単位電力量当たりの電気料金が安い電気料金を設定している。本発明では、この他の時間帯より電気料金が安価な時間帯を電力安価期間と称する。また、本実施形態では、電力安価期間を23時〜翌日の7時までとする。また、本実施形態では、需要家は電力会社と契約電力量を5kW(50A)で契約しているものとする。ただし、上記の電力安価期間および契約電力量は一例であり、これに限るものではない。
【0040】
蓄電池4は、発電所6からの系統電力および発電装置8が発電した電力を蓄電するものである。蓄電池4は、系統電力を利用する場合、基本的に、電力安価期間に供給される系統電力を利用して、蓄電を実行するようにHEMS2に制御される。また、発電装置8が発電する電力は、基本的に、発電所6から電力安価期間に供給される系統電力と同等、もしくは、それより安価な電力である。すなわち、蓄電池4に蓄電されている電力は、発電所6から電力安価期間に供給される系統電力同等、もしくは、それより安価な電力である。
【0041】
本実施形態では、蓄電池4に蓄電されている電力は、発電所6から電力安価期間に供給される系統電力より、電力単価の安い電力とする。家庭においては、蓄電池4に蓄電されている電力は、基本的には、電力使用時に費用を要するものではなく、電力会社に売電しない場合、家電機器5等で消費する以外に用途がない電力である。よって、仮に、蓄電池4に蓄電されている電力と、電力安価期間に供給される系統電力とが同程度の電力単価であっても、家庭では、蓄電池4に蓄電されている電力を消費する方が電気料金を抑えることができる。したがって、本実施形態では、蓄電池4に蓄電されている電力を、発電所6から電力安価期間に供給される系統電力より、電力単価の安い電力とする。
【0042】
なお、蓄電池4は、換言すると、電気自動車3の備える蓄電装置以外の蓄電装置であるとも言える。
【0043】
家電機器5は、家庭内にある、冷蔵庫、エアコン、テレビ、PC等の電力を消費する機器である。家電機器5は、HEMS2を介して電力が供給されている。HEMS2は、家電機器5の消費電力(家電機器5へ供給する電力)を検出する機能を備えており、HEMS2は、家電機器5の消費電力を把握することができる。なお、家電機器5は、HEMS2を介して電力を受け取らなくてもよい。この場合、家電機器5は、発電所6、発電装置8、蓄電池4等から直接電力が供給され、HEMS2は、この家電機器5に直接供給される電力を検出する機能を備えていればよい。
【0044】
発電装置8は、家庭内に設置されており、何らかのエネルギーを利用して発電し、他の機器に電力を供給するものである。発電装置8は、例えば、太陽電池パネル、家庭用燃料電池、マイクロガスエンジン、小型風力発電機などである。発電装置8が蓄電池4を備えていてもよい。本実施形態では、発電装置8が発電した電力は、基本的には、家電機器5に供給され、発電装置8が家電機器5が消費する電力より大きな電力を発電した場合、余った電力が蓄電池4に蓄えられる。つまり、本実施形態では、発電装置8が発電した電力は、直接バッテリ34に供給されず、蓄電池4を介して供給される。ただし、これに限らず、発電装置8が発電した電力を、蓄電池4を介さず、直接バッテリ34に供給してもよい。
【0045】
〔HEMS2および電気自動車3の構成〕
次に、HEMS2および電気自動車3の構成について、図1に基づいて説明する。図1は、本実施形態におけるHEMS2および電気自動車3の要部構成を示すブロック図である。
【0046】
図2に示すとおり、本実施形態のHEMS2は、HEMS制御部11、HEMS記憶部12、HEMS通信部13、表示部14、入力部(入力手段)15、タイマー16、電流制御部17、AC/DC変換部18およびDC/DC変換部19を備える構成となっている。また、電気自動車3は、電気自動車制御部31、電気自動車記憶部32、電気自動車通信部33、バッテリ(蓄電装置)34およびAC/DC変換部35を備える構成となっている。なお、図1に示す実線の矢印は、各部材間の電気の流れを示すものであり、破線の矢印は、各部材間のデータの流れを示すものである。
【0047】
(1.HEMS2の構成)
まず、HEMS2の構成について説明する。
【0048】
HEMS通信部13は、HEMS2が他の装置と通信するためのものである。ここでは、HEMS2は、HEMS通信部13から充放電ポート7を介して電気自動車3と通信することを想定している。
【0049】
表示部14は、HEMS制御部11の制御に従って画像を表示するものであり、例えば液晶表示装置やEL表示装置等を表示部14として適用することもできる。
【0050】
入力部15は、ユーザの入力操作を受け付けるものであり、ユーザは入力部15を介してHEMS2の動作を制御する。入力部15は、例えば、入力キーやキーボード等で構成される。入力部15と表示部14とが一体で構成されていてもよい。この場合、入力部15は、表示部14の表示面に対する入力操作を検出し、検出した入力操作を受け付ける、いわゆるタッチパネルである。
【0051】
なお、本実施形態では、ユーザは入力部15を操作してHEMS2にデータを入力することとしているが、これに限るものではない。例えば、ユーザは、リモコンやモバイル機器を操作して、HEMS2にデータを送信してもよい。
【0052】
タイマー16は、時刻を計時するものである。HEMS制御部11(後述のデータ取得部21、充放電計画作成部23および充放電制御部25)は、タイマー16が計時する時刻を検出して、現在の時刻を把握する。
【0053】
電流制御部17は、HEMS制御部11の指示に従って、発電所6、発電装置8、蓄電池4および電気自動車のバッテリ34から供給される電力を、家電機器5、電気自動車3のバッテリ34および蓄電池4に供給するものである。電流制御部17は、電力(電流)を測定する電力計(電流計)を備えており、発電所6、発電装置8、蓄電池4および電気自動車のバッテリ34から入力される電力(電流)と、家電機器5、電気自動車3のバッテリ34および蓄電池4に出力する電力(電流)とをそれぞれ測定する。
【0054】
AC/DC変換部18は、電流制御部17から蓄電池4へ供給される交流電流を直流電流に変換し、蓄電池4から電流制御部17へ供給される直流電流を交流電流に変換するものである。なお、本実施形態では、蓄電池4が直流電流を入出力するため、AC/DC変換部18が必要となるが、蓄電池4が交流電流を入出力する場合、AC/DC変換部18はなくてよい。また、AC/DC変換部18は、電流制御部17に組み込まれていてもよい。
【0055】
DC/DC変換部19は、発電装置8が発電する高電圧直流電流を低電圧直流電流に変換するものである。DC/DC変換部19は、電流制御部17に組み込まれていてもよい。
【0056】
本実施形態では、発電装置8が発電した電流は、DC/DC変換部19を介して電流制御部17へ供給され、電流制御部17から不図示のDC/AC変換部を介して家電機器5へ供給される。また、発電装置8が発電した電流は、DC/DC変換部19を介して電流制御部17へ供給され、電流制御部17からAC/DC変換部18を介さずに、蓄電池4へ供給される。
【0057】
HEMS制御部11は、HEMS記憶部12から一時記憶部(不図示)に読み出されたプログラムを実行することにより、各種の演算を行うと共に、HEMS2が備える各部を統括的に制御するものである。
【0058】
本実施形態では、HEMS制御部11は、機能ブロックとして、データ取得部(データ取得手段)21、充放電量算出部(予想消費電力決定手段、充電量決定手段)22、充放電計画作成部(充電計画作成手段)23、電流検出部24および充放電制御部(充放電制御手段、充電制御手段)25を備える構成である。これらのHEMS制御部11の各機能ブロック(21〜25)は、CPU(central processing unit)が、ROM(read only memory)等で実現された記憶装置に記憶されているプログラムをRAM(random access memory)等で実現された一時記憶部に読み出して実行することで実現できる。
【0059】
データ取得部21は、入力部15を介して、HEMS2に入力された情報を取得したり、HEMS通信部13を介して、他の装置から情報を取得したりするものである。具体的には、データ取得部21は、ユーザの予定を示すスケジュール情報であって、ユーザの目的地に関する目的地関連情報と、当該目的地に向かって自宅を出発する出発日時と、当該目的に向かう際に電気自動車3を使用するか否かを示す電気自動車使用有無情報とを含むスケジュール情報を、入力部15を介して取得する。また、データ取得部21は、電気自動車3から、電気自動車3の燃費を示す燃費情報と、電気自動車3のバッテリ34の現在の蓄電量を示す蓄電量情報とを、HEMS通信部13を介して取得する。
【0060】
より詳細には、データ取得部21は、充放電ポート7が電気自動車3に接続されると、ユーザが入力部15を操作して新たにスケジュール情報が入力されるのを所定時間待つと共に、HEMS記憶部12からスケジュール情報を読み出す。スケジュール情報が入力部15を介して新たに入力された場合、データ取得部21は、入力部15からスケジュール情報を取得すると共に、HEMS記憶部12から読み出したスケジュール情報を取得する。一方、所定時間内に入力部15にスケジュール情報が入力されなかった場合、データ取得部21は、HEMS記憶部12から読み出したスケジュール情報を取得する。次に、データ取得部21は、タイマー16が計時する時刻、および、取得したスケジュール情報を参照して、スケジュール情報の示す次の予定において、電気自動車を使用するか否かを確認する。
【0061】
データ取得部21は、ユーザが次の予定において電気自動車を使用する場合、接続している電気自動車3から燃費情報および蓄電量情報を取得する。データ取得部21は、取得したスケジュール情報、燃費情報および蓄電量情報を充放電量算出部22に出力する。
【0062】
なお、ユーザがスケジュール情報をいつでもHEMS2に入力可能な状態であってもよい。この場合、データ取得部21は、電気自動車3が接続したかどうかに関わらず、スケジュール情報が入力部15を介して入力された場合に、入力部15からスケジュール情報を取得する。そして、データ取得部21は、取得したスケジュール情報をHEMS記憶部12に格納する。
【0063】
また、本実施形態では、充放電ポート7が電気自動車3に接続されると、データ取得部21が、HEMS記憶部12からスケジュール情報を読み出しているが、これに限るものではない。例えば、データ取得部21がHEMS記憶部12からスケジュール情報を読み出さず、入力部15からスケジュール情報だけを取得してもよい。また、データ取得部21は、充放電ポート7が電気自動車3に接続された時点では、入力部15から新たにスケジュール情報が入力されるのを所定時間待ち、入力部15から新たなスケジュール情報が入力されない場合に、HEMS記憶部12からスケジュール情報を読み出してもよい。すなわち、データ取得部21は、入力部15およびHEMS記憶部12の少なくともどちらか一方からスケジュール情報を取得すればよい。
【0064】
ここで、ユーザが入力部15を介してHEMS2に入力するスケジュール情報について、図3に基づいて説明する。図3は、ユーザが入力部15を介してHEMS2に入力するスケジュール情報の一例を示す図である。
【0065】
図3に示すように、スケジュール情報は、目的地関連情報と、出発日時と、電気自動車使用有無情報とが対応付けられたものである。1組のスケジュール情報には、スケジュール情報を識別するスケジュールIDが付与されている。目的地関連情報は、目的地の名称を示す目的地名情報、目的地の住所を示す住所情報、目的地の電話番号を示す電話番号情報、目的地までの距離を示す目的地距離情報、ユーザの希望する充電量(希望電力量)を示す希望充電量情報の何れか1つを少なくとも含む情報である。また、電気自動車使用有無情報は、図示の例では、「○」が電気自動車を使用することを示し、「×」が電気自動車を使用しないことを示す。
【0066】
充放電量算出部22は、データ取得部21から出力されたスケジュール情報および燃費情報に基づいて、次回の予定における電気自動車3の予想消費電力量を算出または決定する。そして、充放電量算出部22は、算出した予想消費電力量と、データ取得部21から出力された蓄電量情報の示す電気自動車3のバッテリ34の蓄電量とを比較して、次回の予定における電気自動車3の目標充放電量を算出する。そして、充放電量算出部22は、算出した目標充放電量を示す充放電量情報を充放電計画作成部23に送信する。
【0067】
具体的には、充放電量算出部22は、スケジュール情報に含まれる目的地関連情報に基づいて、次回の予定における電気自動車3の予想走行距離または予想消費電力を決定する。より詳細には、目的地関連情報が目的地の名称、目的地の住所または目的地の電話番号を示す場合、充放電量算出部22は、HEMS記憶部12から地図情報を参照して、目的地の名称、目的地の住所または目的地の電話番号が示す地点までの往復距離を特定し、特定した距離を予想走行距離とする。また、目的地関連情報が目的地までの距離を示す場合、充放電量算出部22は、目的地までの距離を2倍して予想走行距離を算出する。ここで、充放電量算出部22は、算出した予想走行距離に燃費情報の示す燃費の値を乗算して、予想消費電力量を算出する。また、目的地関連情報がユーザの希望する充電量(希望電力量)を示す場合、充放電量算出部22は、希望電力量を予想消費電力量として決定する。
【0068】
また、充放電量算出部22は、電気自動車3の蓄電量から、算出した予想消費電力量を減算した値を、目標充放電量とする。算出した予想消費電力量より、電気自動車3の蓄電量の方が大きい場合、目標充放電量は正の値であり、算出した予想消費電力量より、電気自動車3の蓄電量の方が小さい場合、目標充放電量は負の値となる。ここで、目標充放電量が正の値の場合の絶対値を目標放電量と称し、目標充放電量が負の値の場合の絶対値を目標充電量と称する。
【0069】
すなわち、目標放電量とは、次回の予定における電気自動車3の余分な蓄電量である。次回の予定までの電気自動車3の余分な蓄電量は、家電機器5で消費したり、蓄電池4に蓄電されていたりする方が電気料金を抑えることができる。また、目標充電量とは、次回の予定における電気自動車3に必要な充電量である。つまり、目標充電量とは、次回の予定における電気自動車3に必要な蓄電量と、現在の蓄電量との差分である。
【0070】
なお、予想消費電力量と蓄電量とが一致する場合、目標充放電量を「0」とする、すなわち、目標放電量も目標充電量も無しとする。このとき、充放電量算出部22は、予想消費電力量と蓄電量とが正確に一致する場合だけではなく、両者の差分が所定の範囲内にあるとき、目標充放電量を「0」としてもよい。
【0071】
また、予想消費電力量は、電気自動車3の使用時に燃料切れが発生するのを防ぐために、その値を多めに見積もることが望ましい。そのため、充放電量算出部22は、目的地関連情報が2つ以上の情報を含む場合、各情報に基づいて、予想消費電力量を算出し、算出した予想消費電力量のうち、最も大きい値の予想消費電力量を充放電計画作成部23に送信する。
【0072】
ここで、図3に示すスケジュール情報がHEMS記憶部12に格納されている場合、ユーザは、目的地関連情報として、目的地名「実家」または「友人宅」を入力するだけで、充放電量算出部22は、HEMS記憶部12に格納されている「実家」の住所または「友人宅」の電話番号に基づいて、「実家」または「友人宅」までの往復距離を算出することができる。すなわち、スケジュール情報をHEMS記憶部12が保持することにより、スケジュール情報の入力を簡易にしたり、目的地関連情報が一致する場合、充放電量算出部22が過去の算出した予想消費電力量をそのまま適用したりすることができる。
【0073】
充放電計画作成部23は、充放電量算出部22から充放電量情報を取得し、充放電量情報の示す目標充放電量を参照して、電気自動車3のバッテリ34に対する充放電を実行する充放電期間を決定し、充放電量情報および充放電期間を含む充放電計画を作成する。そして、充放電計画作成部23は、作成した充放電計画を充放電制御部25に出力する。
【0074】
具体的には、充放電計画作成部23は、充放電量算出部22から充放電量情報を取得し、目標充放電量の値が正の場合、つまり、予想消費電力量より、電気自動車3の蓄電量の方が大きい場合、バッテリ34から目標放電量を放電する期間(時間帯)である放電期間を決定する。そして、充放電計画作成部23は、目標放電量と決定した放電期間を充放電制御部25に送信する。
【0075】
より詳細には、充放電計画作成部23は、次回の予定の出発日時までの期間であって、家庭内において電力を必要とする、もしくは、電力が不足している期間を放電期間とする。より詳細には、充放電計画作成部23は、HEMS記憶部12から、過去の時間帯ごとの蓄電池4の蓄電量、家電機器5の消費電力量、発電装置8の発電量、発電所6(系統電源)からの購入電力量を読み出して、家庭内において電力を必要とする、もしくは、電力が不足している期間を特定する。
【0076】
なお、充放電計画作成部23は、次回の予定の出発日時までに家庭内において電力を必要とする、もしくは、電力が不足している期間がない場合、次回の予定の終了以降に放電期間を設定してもよい。
【0077】
また、充放電計画作成部23は、放電期間を1つの連続した期間として決定してもよいし、複数の期間を放電期間としてもよい。
【0078】
また、本実施形態においては、充放電計画作成部23は、バッテリ34からの放電速度(単位時間当たりの放電量)を所定の値(例えば、充放電ポート7の最大出力電力量:3kW)として、放電期間を決定する。しかしながら、これに限るものではなく、HEMS記憶部12から過去の時間帯ごとの蓄電池4の蓄電量、家電機器5の消費電力量、発電装置8の発電量、発電所6(系統電源)からの購入電力量を読み出して、時間帯ごとに放電速度を変えるものとして、放電期間を決定してもよい。
【0079】
一方、充放電計画作成部23は、充放電量算出部22から充放電量情報を取得し、目標充放電量の値が負の場合、つまり、予想消費電力量より、電気自動車3の蓄電量の方が小さい場合、バッテリ34に目標充電量を充電する期間である充電期間を決定する。そして、充放電計画作成部23は、目標充電量と決定した充電期間を充放電制御部25に送信する。
【0080】
具体的には、充放電計画作成部23は、次回の予定の出発日時までに目標充電量の充電が終了するように、かつ、バッテリ34に電力を供給する電力供給源のうち、電力単価の安い電力を供給する電力供給源から優先して充電するように、各電力供給源の充電期間を決定する。
【0081】
本実施形態では、電力供給源として、蓄電池4と発電所6とがあり、充放電計画作成部23は、バッテリ34に目標充電量を充電する際に、発電所6から供給される電力より蓄電池4から供給される電力が優先されるように、蓄電池4からバッテリ34に充電する蓄電池給電期間および発電所6からバッテリ34に充電する発電所給電期間をそれぞれ決定する。すなわち、本実施形態では、充電期間は、蓄電池給電期間および発電所給電期間からなる。
【0082】
さらに、本実施形態では、発電所6が供給する電力に対して、23時から翌日7時までの時間帯は、電力単価の安い電力安価期間が設定されている。そのため、充放電計画作成部23は、発電所6からバッテリ34に充電する発電所給電期間を決定する際に、発電所給電期間に電力安価期間ができるだけ長く含まれるように発電所給電期間を決定する。ここで、発電所給電期間のうち、電力安価期間である期間(23時から翌日7時)を安価電力給電期間と称し、発電所給電期間のうち、電力安価期間ではない期間(7時から23時)を通常電力給電期間と称する。すなわち、発電所給電期間は、安価電力給電期間および通常電力給電期間からなる。
【0083】
なお、充放電計画作成部23は、蓄電池給電期間、安価電力給電期間および通常電力給電期間をそれぞれ1つの連続した期間として決定してもよいし、蓄電池給電期間、安価電力給電期間および通常電力給電期間をそれぞれ複数の期間からなる期間としてもよい。
【0084】
また、本実施形態においては、充放電計画作成部23は、蓄電池4および発電所6からバッテリ34への充電速度(単位時間当たりの充電量)を所定の値(例えば、充放電ポート7の最大出力電力量:3kW)として、充電期間を決定する。しかしながら、これに限るものではなく、HEMS記憶部12から過去の時間帯ごとの蓄電池4の蓄電量、家電機器5の消費電力量、発電装置8の発電量、発電所6(系統電源)からの購入電力量を読み出して、時間帯ごとに充電速度を変えるものとして、充電期間を決定してもよい。
【0085】
特に、発電所6からバッテリ34への充電速度は、発電所6からの購入電力量が契約電力量を超えないように設定することが望ましい。また、基本的に、充電速度は、実際に充電可能な充電速度より低めに見積もっておくことが望ましい。充電速度を低めに設定することにより、何らかの影響によって実際の充電速度が遅くなった場合であっても、充放電計画作成部23が決定した充電期間内に目標充電量を充電できる可能性が高くなる。
【0086】
さらに、充放電計画作成部23は、充放電量算出部22から充放電量情報を取得し、目標充放電量の値が0の場合、つまり、予想消費電力量と、電気自動車3の蓄電量とが一致する場合、特に処理を行わず、充放電制御部25に充放電計画が無い旨を通知する。
【0087】
ここで、充放電計画作成部23が決定する充電期間の具体例について、図4に基づいて説明する。図4は、充放電計画作成部23が決定する充電期間の一例を示す図である。前提として、バッテリ34の蓄電量が2kWhであり、目標充電量が8kWhであるとする。そして、図4(a)および(b)では、蓄電池4が供給可能な電力を3kWh蓄電しているものとし、図4(c)では、蓄電池4が供給可能な電力を蓄電していないものとする。
【0088】
図4(a)に示す例において、充放電計画作成部23は、出発時刻までの期間であって、目標充電量8kWhのうち、蓄電池4が蓄電している3kWhを供給する期間を決定する。図4(a)に示すように、充放電計画作成部23は、時刻t1からt2の期間を蓄電池4からバッテリ34へ給電する蓄電池給電期間とする。そして、目標充電量の残りの5kWh分を、発電所6から給電する期間を決定する。ここで、出発時刻までに電力安価期間があり、電力安価期間内で残りの5kWhを充電可能であるため、充放電計画作成部23は、出発時刻までの期間であって、電力安価期間内の時刻t3からt4の期間を安価電力給電期間として決定する。
【0089】
図4(a)に示す例では、蓄電池給電期間(時刻t1からt2)と、安価電力給電期間(時刻t3からt4)とが連続していないが、図4(b)に示すように、充放電計画作成部23は、蓄電池給電期間(時刻t11からt12)と、安価電力給電期間(時刻t12からt13)とを連続させて充電期間を決定してもよい。また、出発時刻までの電力安価期間内に残りの5kWhを充電可能であれば、充放電計画作成部23は、図4(b)に示すように、電力安価期間に蓄電池給電期間を設定してもよい。
【0090】
図4(c)に示す例において、充放電計画作成部23は、出発時刻までの期間であって、目標充電量8kWhを、発電所6から供給する発電所給電期間を決定する。ここで、出発時刻までに、電力安価期間があるが、出発時刻までの電力安価期間内に目標充電量全てを充電できないため、発電所給電期間のうち、電力安価期間が最も多く含まれるように、安価電力給電期間を時刻t22からt23に決定する。図4(c)に示すように、安価電力給電期間に充電する充電量が5kWhであるため、残りの3kWhを充電するための期間であって、出発時刻までの電力安価期間ではない期間(時刻t21からt22)を通常電力給電期間として決定する。
【0091】
電流検出部24は、電流制御部17が測定する電力を検出するものである。具体的には、電流検出部24は、電流制御部17が発電所6から供給される単位時間当たりの電力量、つまり、単位時間当たりの購入した系統電力量(購入電力量)を検出するものである。また、電流検出部24は、電流制御部17が発電装置8から供給される単位時間当たりの電力量、つまり、発電装置8が発電した単位時間当たりの発電量を検出するものである。また、電流検出部24は、電流制御部17が蓄電池4から供給される単位時間当たりの電力量を検出するものである。また、電流検出部24は、電流制御部17がバッテリ34から供給される単位時間当たりの電力量、つまり、バッテリ34が放電した単位時間当たりの放電量を検出するものである。
【0092】
また、電流制御部17から家電機器5に供給される単位時間当たりの電力量、つまり、家電機器5の単位時間当たりの消費電力量を検出するものである。また、電流制御部17からバッテリ34に供給される単位時間当たりの電力量、つまり、バッテリ34に充電される単位時間当たりの充電量を検出するものである。また、電流制御部17から蓄電池4に供給される単位時間当たりの電力量を検出するものである。
【0093】
電流検出部24は、電流制御部17が蓄電池4から供給される単位時間当たりの電力量、および、電流制御部17から蓄電池4に供給される単位時間当たりの電力量に基づいて、現在の蓄電池4の蓄電量を算出し、算出した蓄電池4の蓄電量を充放電計画作成部23に通知する。また、電流検出部24は、検出した購入電力量の値を示す購入電力量情報を充放電制御部25に送信する。
【0094】
電流検出部24は、検出した電力量および算出した蓄電池4の蓄電量から電力量履歴情報を作成し、過去の時間帯ごとの蓄電池4の蓄電量、家電機器5の消費電力量、発電装置8の発電量、発電所6(系統電源)からの購入電力量、並びに、バッテリ34の充電量および放電量を示す電力量履歴情報をHEMS記憶部12に格納してもよい。
【0095】
充放電制御部25は、充放電計画作成部23から充放電計画を取得し、取得した充放電計画に従って、電気自動車3のバッテリ34の充放電を実行するように電流制御部17を制御するものである。
【0096】
具体的には、充放電制御部25は、充放電計画作成部23から目標放電量および放電期間を受信して、バッテリ34に蓄電されている電力を放電期間中放電して、バッテリ34から目標放電量を放電するように電流制御部17を制御するものである。また、充放電制御部25は、充放電計画作成部23から目標充電量および充電期間を受信して、バッテリ34に対して充電期間中充電して、バッテリ34に目標充電量を充電するように電流制御部17を制御するものである。
【0097】
また、充放電制御部25は、充放電計画作成部23が設定した放電速度または充電速度でバッテリ34に充放電するように電流制御部17に指示する。ただし、バッテリ34の充電時には、出発日時までに目標充電量の充電が完了する可能性を高めるために、電流検出部24から購入電力量情報を取得すると共に、HEMS記憶部12から後述の契約電力情報および充放電能力情報を読み出し、電流制御部17に対して、購入電力量情報の示す値が所定の閾値を越えない範囲で充放電ポート7の出力電力が最大になるように指示してもよい。
【0098】
また、充放電制御部25は、電流制御部17に対して指示した制御状況や、電流制御部17が指示した充放電計画通りに充放電を行ったか否かを示す制御結果をHEMS記憶部12に格納してもよい。
【0099】
HEMS記憶部12は、HEMS制御部11、特に、データ取得部21、充放電計画作成部23および充放電制御部25が処理を実行する際に参照するデータを保持するものである。具体的には、HEMS記憶部12は、電力安価期間の時間帯および電力会社との契約電力量を示す契約電力情報、充放電ポート7の出力電力の最大値を示す充放電能力情報、ユーザの予定を示すスケジュール情報、或る地点の位置や2地点間の距離を示す地図情報および電力量履歴情報などを保持している。
【0100】
図5にHEMS記憶部12が保持する契約電力情報および充放電能力情報の一例を示す。図5(a)は契約電力情報の一例を示す図であり、図5(b)は充電能力情報の一例を示す図である。図5(a)に示すように、契約電力情報は、電力安価期間の時間帯(23時〜翌日7時)と、契約電力量の値(5kW(50A))を示すものである。また、図5(b)に示すように、充電能力情報は、充放電ポート7の出力電力の最大値(3kW)を示すものである。
【0101】
(2.電気自動車3の構成)
次に、電気自動車3の構成について説明する。なお、電気自動車3は、電動機等の自動車として機能するための構成を備えているが、便宜上ここでは図示および説明を省略する。
【0102】
電気自動車通信部33は、電気自動車3が他の装置と通信するためのものである。ここでは、電気自動車3は、電気自動車通信部33から充放電ポート7を介してHEMS2と通信することを想定している。
【0103】
バッテリ34は、電気自動車3の電動機の動力となる電気エネルギー(電力)を蓄積する二次電池である。本実施形態では、バッテリ34の満充電時の電力容量(最大蓄電量)は、16kWhであるとする。
【0104】
AC/DC変換部35は、電流制御部17からバッテリ34へ供給される交流電流を直流電流に変換し、バッテリ34から電流制御部17へ供給される直流電流を交流電流に変換するものである。なお、本実施形態では、バッテリ34が直流電流を入出力するため、AC/DC変換部35が必要となるが、バッテリ34が交流電流を入出力する場合、AC/DC変換部35はなくてよい。
【0105】
電気自動車制御部31は、電気自動車記憶部32から一時記憶部(不図示)に読み出されたプログラムを実行することにより、各種の演算を行うと共に、電気自動車3が備える機能を統括的に制御するものである。電気自動車制御部31は、CPUが、ROM等で実現された記憶装置に記憶されているプログラムをRAM等で実現された一時記憶部に読み出して実行することで実現できる。
【0106】
具体的に、電気自動車制御部31は、バッテリ34の現在の蓄電量を検出し、現在のバッテリ34の蓄電量の値を示す蓄電量情報を作成するものである。また、電気自動車制御部31は、HEMS2のデータ取得部21からデータの送信指示を受信すると、電気自動車記憶部32から燃費情報を読み出し、バッテリ34の蓄電量情報を作成し、燃費情報および蓄電量情報を、電気自動車通信部33を介して、データ取得部21に送信する。
【0107】
電気自動車記憶部32は、燃費情報等を保持するものである。電気自動車記憶部32が保持するデータの一例を図6に示す。図6は、電気自動車3の電気自動車記憶部32が保持する燃費情報の一例を示す図である。
【0108】
図6(a)に示すように、燃費情報は、電気自動車3の燃費の値(125Wh/km)を示すものである。また、図6(b)に示すように、蓄電量情報は、電気自動車3が搭載するバッテリ34の残りの蓄電量(2kWh)を示すものである。
【0109】
なお、本実施形態では、燃費情報は、予め電気自動車記憶部32に格納されており、燃費情報の示す燃費の値は、製造会社が公表している値を想定しているが、これに限るものではない。例えば、電気自動車制御部31が、燃費の値を算出してもよい。この場合、例えば、電気自動車制御部31は、走行距離に対応付けてバッテリ34の蓄電量(の減少量)を記憶しておき、当該走行距離および蓄電量に基づいて、燃費を算出してもよい。また、燃費の値として、製造会社が公表している値を使用する場合、HEMS2は、電気自動車3から取得するのではなく、製造会社のサーバから取得したり、入力部15を介してユーザから取得したりしてもよい。
【0110】
〔HEMS2の動作〕
次にHEMS2が実行する充放電制御処理について図7に基づいて説明する。図7は、HEMS2が実行する充放電制御処理の一例を示すフローチャートである。また、図8は、HEMS2の充放電計画作成部23が実行する充放電計画作成処理の一例を示すフローチャートである。
【0111】
まず、ユーザは、電気自動車3に充放電ポート7を挿入し、電気自動車3のバッテリ34を充放電可能な状態にする。そして、ユーザは、入力部15を操作して、HEMS2に予定を入力する。
【0112】
このとき、図7に示すように、HEMS2のデータ取得部21は、入力部15およびHEMS記憶部12からスケジュール情報を取得する(S1)。データ取得部21は、取得したスケジュール情報を参照して、次回の予定においてユーザが電気自動車3を使用するか否かを確認する(S2)。次回の予定においてユーザが電気自動者を使用しない場合(S2でNO)、HEMS2は充放電制御処理を終了する。
【0113】
一方、次回の予定においてユーザが電気自動者を使用する場合(S2でYES)、データ取得部21は、電気自動車3からHEMS通信部13を介して、燃費情報および蓄電量情報を取得する(S3)。データ取得部21は、取得したスケジュール情報、燃費情報および蓄電量情報を充放電量算出部22に出力する。
【0114】
充放電量算出部22は、データ取得部21から出力されたスケジュール情報および燃費情報に基づいて、次回の予定における電気自動車3の予想消費電力量を算出または決定する(S4)。そして、充放電量算出部22は、算出した予想消費電力量と、データ取得部21から出力された蓄電量情報の示す電気自動車3のバッテリ34の蓄電量とを比較して、次回の予定における電気自動車3の目標充放電量を算出する(S5)。そして、充放電量算出部22は、算出した目標充放電量を示す充放電量情報を充放電計画作成部23に送信する。
【0115】
充放電計画作成部23は、充放電量算出部22から充放電量情報を取得し、充放電量情報の示す目標充放電量を参照して、電気自動車3のバッテリ34に対する充放電を実行する充放電期間を決定し、充放電量情報および充放電期間を含む充放電計画を作成する(S6)。そして、充放電計画作成部23は、作成した充放電計画を充放電制御部25に出力する。このS6における充放電計画作成部23が実行する充放電計画作成処理については、詳細を後述する。
【0116】
充放電制御部25は、充放電計画作成部23から充放電計画を取得し、取得した充放電計画に従って、電気自動車3のバッテリ34の充放電を実行するように電流制御部17を制御する(S7)。そして、充放電制御部25は、充放電計画に従って、次回の予定の出発日時までに、電気自動車3のバッテリ34の目標充放電量の充放電の実施が完了したか否かを判定する(S8)。出発日時までに目標充放電量の充放電が完了していた場合(S8でYES)、HEMS制御部11は表示部14に、充放電計画通りに充放電が完了した旨を表示させる(S9)。一方、出発日時までに目標充放電量の充放電が完了しなかった場合(S8でNO)、HEMS制御部11は表示部14に、充放電計画通りに充放電が完了しなかったことを示すエラーを表示させる(S10)。
【0117】
なお、S4またはS5において、必要な情報が不足していることにより充放電量算出部22が予想消費電力量または目標充放電量を算出できない場合、HEMS制御部11は、必要な情報が不足していることを表示部14に表示させてもよい。
【0118】
また、S6において、目標充放電量を出発日時までに完了できない場合、HEMS制御部11は、その旨を表示部14に表示させてもよい。このとき、HEMS制御部11は、直ぐにバッテリ34の充放電を行い、可能な限りの電力量を充放電するか、もしくは、バッテリ34の充放電を中止するかをユーザに選択させてもよい。
【0119】
(充放電計画作成処理)
次にHEMS2の充放電計画作成部23が実行する充放電計画作成処理について図8に基づいて説明する。図8は、HEMS2の充放電計画作成部23が実行する充放電計画作成処理の一例を示すフローチャートである。
【0120】
図8に示すように、充放電計画作成部23は、充放電量算出部22から充放電量情報を取得し、目標充放電量の値が正であるか否か、つまり、予想消費電力量より、電気自動車3の蓄電量の方が大きいか否かを判定する(S21)。
【0121】
充放電計画作成部23は、予想消費電力量より、電気自動車3の蓄電量の方が大きい場合(S21でYES)、バッテリ34から目標放電量を放電する期間(時間帯)である放電期間を決定する(S22)。そして、充放電計画作成部23は、目標放電量と、決定した放電期間とを含む充放電計画とを充放電制御部25に送信する。
【0122】
充放電計画作成部23は、予想消費電力量より、電気自動車3の蓄電量の方が大きくない場合(S21でNO)、続いて、目標充放電量の値が負であるか否か、つまり、予想消費電力量より、電気自動車3の蓄電量の方が小さいか否かを判定する(S23)。
【0123】
ここで、目標充放電量が「0」、つまり、予想消費電力量と電気自動車3の蓄電量とが一致する場合(S23でNO)、充放電計画作成部23は、充放電計画を作成せず、充放電計画作成処理を終了する。
【0124】
一方、予想消費電力量より、電気自動車3の蓄電量の方が小さい場合(S23でYES)、充放電計画作成部23は、蓄電池4が蓄電している電力が所定の閾値以上あるか否かを確認する(S24)。蓄電池4が所定の閾値以上の電力を蓄電している場合(S24でYES)、充放電計画作成部23は、さらに、蓄電池4が蓄電している使用可能な電力で目標充電量を賄えるかどうかを確認する(S25)。蓄電池4が蓄電している使用可能な電力で目標充電量を充電可能な場合(S25でYES)、充放電計画作成部23は、蓄電池4から目標充電量を充電する蓄電池給電期間を決定する(S26)。そして、充放電計画作成部23は、目標充電量と、決定した蓄電池給電期間とを含む充放電計画を充放電制御部25に送信する。
【0125】
蓄電池4が蓄電している使用可能な電力で目標充電量全てを賄えない場合(S25でNO)、充放電計画作成部23は、出発日時までに電力安価期間があるか否かを確認する(S27)。出発日時までに電力安価期間がある場合(S27でYES)、続けて、充放電計画作成部23は、出発日時までの電力安価期間で目標充電量の残り(目標充電量から蓄電池4が蓄電している使用可能な電力量を減算した電力量)を充電できるかどうかを確認する(S28)。出発日時までの電力安価期間で目標充電量の残りを充電可能な場合(S28でYES)、充放電計画作成部23は、蓄電池4から充電する蓄電池給電期間と、発電所6から電力安価期間内に充電する期間である安価電力給電期間とを決定する(S29)。そして、充放電計画作成部23は、目標充電量と、決定した蓄電池給電期間および安価電力給電期間とを含む充放電計画を充放電制御部25に送信する。
【0126】
一方、出発日時までの電力安価期間で目標充電量の残りを充電不可能な場合(S28でNO)、充放電計画作成部23は、蓄電池4から充電する蓄電池給電期間と、発電所6から電力安価期間内に充電する期間である安価電力給電期間と、発電所6から電力安価期間以外に充電する期間である通常電力給電期間とを決定する(S30)。そして、充放電計画作成部23は、目標充電量と、決定した蓄電池給電期間、安価電力給電期間および通常電力給電期間とを含む充放電計画を充放電制御部25に送信する。
【0127】
また、S27において、出発日時までに電力安価期間がない場合(S27でNO)、充放電計画作成部23は、蓄電池4から充電する蓄電池給電期間と、発電所6から電力安価期間以外に充電する期間である通常電力給電期間とを決定する(S31)。そして、充放電計画作成部23は、目標充電量と、決定した蓄電池給電期間および通常電力給電期間とを含む充放電計画を充放電制御部25に送信する。
【0128】
また、S24において、蓄電池4が所定の閾値以上の電力を蓄電していない場合(S24でNO)、充放電計画作成部23は、出発日時までに電力安価期間があるか否かを確認する(S32)。出発日時までに電力安価期間がある場合(S32でYES)、続けて、充放電計画作成部23は、出発日時までの電力安価期間で目標充電量全てを充電できるかどうかを確認する(S33)。出発日時までの電力安価期間で目標充電量全てを充電可能な場合(S33でYES)、充放電計画作成部23は、発電所6から電力安価期間内に充電する期間である安価電力給電期間を決定する(S34)。そして、充放電計画作成部23は、目標充電量と、決定した安価電力給電期間とを含む充放電計画を充放電制御部25に送信する。
【0129】
一方、出発日時までの電力安価期間で目標充電量全てを充電できない場合(S33でNO)、充放電計画作成部23は、発電所6から電力安価期間内に充電する期間である安価電力給電期間と、発電所6から電力安価期間以外に充電する期間である通常電力給電期間とを決定する(S35)。そして、充放電計画作成部23は、目標充電量と、決定した安価電力給電期間および通常電力給電期間とを含む充放電計画を充放電制御部25に送信する。
【0130】
また、S32において、出発日時までに電力安価期間がない場合(S32でNO)、充放電計画作成部23は発電所6から電力安価期間以外に充電する期間である通常電力給電期間を決定する(S36)。そして、充放電計画作成部23は、目標充電量と、決定した通常電力給電期間とを含む充放電計画を充放電制御部25に送信する。
【0131】
S22において、充放電計画作成部23は、目標放電量をバッテリ34から放電する放電期間を決定することにより、充放電制御部25は、充放電計画に従って、放電期間に目標放電量をバッテリ34から放電する。
【0132】
バッテリ34に蓄電されている電力のうち、予想消費電力以上の余分な電力は、次回の予定において電気自動車3で使用されないため、次回の予定が終了するまで用途がない電力である。バッテリ34に蓄電されている電力は、発電所6から供給される系統電力同等、もしくは、それより安価な電力である。よって、仮に、バッテリ34に蓄電されている余分な電力と、系統電力とが同程度の電力単価であっても、家庭では、系統電力を消費するより、バッテリ34に蓄電されている余分な電力を消費する方が電気料金を抑えることができる。したがって、本実施形態では、バッテリ34に蓄電されている余分な電力を、家庭において使用できるように、バッテリ34から放電する。
【0133】
〔変形例〕
本実施形態では、発電装置8で発電された電力は、直接バッテリ34に供給されず、蓄電池4に一旦蓄電された後に、バッテリ34に供給されることとなっているが、これに限るものではない。発電装置8で発電した電力が直接バッテリ34に供給されてもよい。この場合、充放電計画作成部23は、発電装置8で発電された電力、蓄電池4に蓄電している電力、発電所から電力安価期間内に供給される電力、発電所から電力安価期間以外に供給される電力の順番で優先してバッテリ34に出発日時までに目標充電量を充電するように充放電計画を作成する。
【0134】
この場合、発電装置8が発電した電流は、DC/DC変換部19を介して電流制御部17へ供給され、電流制御部17からAC/DC変換部35を介さずに、バッテリ34へ供給される。
【0135】
また、本実施形態では、電力会社が電力安価期間とそれ以外の期間に分類し、電気料金を2段階に設定しているがこれに限るものではない。例えば、24時間の間で電気料金を3段階以上で設定してもよい。このとき、充放電計画作成部23は、発電所6からバッテリ34に電力を供給する場合、最も電気料金が安い期間を優先して、発電所6からバッテリ34に電力を供給する期間を決定する。
【0136】
また、AC/DC変換部18、DC/DC変換部19およびAC/DC変換部35に代えて、充放電制御システム1がパワーコンディショナーを備えていてもよい。パワーコンディショナーは、HEMS2および電気自動車3とは独立した装置であり、AC/DC変換部18、DC/DC変換部19およびAC/DC変換部35等の機能を統合して備える電流交換機である。また、パワーコンディショナーは、HEMS2の電流制御部17と、発電所6、蓄電池4、家電機器5およびバッテリ34(充放電ポート7)との間に配置され、電流制御部17に入出力される電流の変換関係(高電圧−低電圧、直流−交流等)を一括して行うものである。なお、電流制御部17がパワーコンディショナーの機能を備えていてもよい。
【0137】
〔補足〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0138】
最後に、HEMS2の各ブロック、特にHEMS制御部11は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0139】
すなわち、HEMS2は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM、上記プログラムを展開するRAM、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるHEMS2の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記HEMS2に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0140】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0141】
また、HEMS2を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、家庭や事業所において、蓄電装置を搭載する車両に対する充放電を制御する充放電制御装置または充電制御装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0143】
1 充放電制御システム
2 HEMS(充放電制御装置、充電制御装置)
3 電気自動車(車両)
4 蓄電池(蓄電装置、電力供給源)
6 発電所(系統電源、電力供給源)
8 発電装置(電力供給源)
11 HEMS制御部
15 入力部(入力手段)
21 データ取得部(データ取得手段)
22 充放電量算出部(予想消費電力決定手段、充電量決定手段)
23 充放電計画作成部(充電計画作成手段)
25 充放電制御部(充放電制御手段、充電制御手段)
34 バッテリ(蓄電装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が備える蓄電装置の充電を制御する充電制御装置であって、
ユーザが目的地に向かって出発する日時および当該目的地に関する目的地関連情報を入力する入力手段と、
上記車両から上記蓄電装置の蓄電量、並びに、上記入力手段に入力された出発日時および上記目的地関連情報を取得するデータ取得手段と、
上記データ取得手段が取得した出発日時および目的地関連情報に基づいて、次回の車両の予想消費電力量を決定する予想消費電力決定手段と、
上記データ取得手段が取得した上記蓄電装置の蓄電量と、上記予想消費電力決定手段が決定した予想消費電力量とに基づいて目標充電量を決定する充電量決定手段と、
上記充電量決定手段が決定した目標充電量を次回の車両の出発日時までに充電するように、かつ、上記蓄電装置に電力を供給する電力供給源のうち、電力単価の安い電力を供給する電力供給源から優先して充電するように、各電力供給源の充電期間を決定する充電計画作成手段と、
上記充電計画作成手段が決定した各電力供給源の充電期間に従って、各電力供給源から上記蓄電装置に上記目標充電量を充電するように制御する充電制御手段とを備えることを特徴とする充電制御装置。
【請求項2】
上記充電計画作成手段は、上記電力供給源に、系統電源および充電を行う対象の車両が備える蓄電装置以外の蓄電装置が含まれる場合、上記系統電源より、充電を行う対象の車両が備える蓄電装置以外の蓄電装置を優先することを特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
上記充電計画作成手段は、上記電力供給源に系統電源が含まれており、当該系統電源が供給する電力に対して時間帯ごとに異なる電力単価が設定されている場合、電力単価の安い時間帯を優先して系統電源の充電期間を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の充電制御装置。
【請求項4】
上記予想消費電力決定手段は、上記データ取得手段が出発日時に対応付けられた複数の上記目的地関連情報を取得した場合、各目的地関連情報に基づいてそれぞれ電力量を算出し、算出した電力量のうち最大の電力量を予想消費電力量として決定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の充電制御装置。
【請求項5】
車両が備える蓄電装置の充放電を制御する充放電制御装置であって、
ユーザが目的地に関する目的地関連情報および当該目的地に向かって出発する日時を入力する入力手段と、
上記車両から上記蓄電装置の蓄電量、並びに、上記入力手段に入力された上記目的地関連情報および出発日時を取得するデータ取得手段と、
上記データ取得手段が取得した目的地関連情報および出発日時に基づいて、次回の車両の予想消費電力量を決定する予想消費電力決定手段と、
上記予想消費電力決定手段が決定した予想消費電力量より、上記データ取得手段が取得した上記蓄電装置の蓄電量の方が大きい場合、当該予想消費電力量と当該蓄電量との差分の電力量を次回の車両の出発日時までに放電するように制御し、
一方、上記予想消費電力決定手段が決定した予想消費電力量より、上記データ取得手段が取得した上記蓄電装置の蓄電量の方が小さい場合、当該予想消費電力量と当該蓄電量との差分の電力量を次回の車両の出発日時までに充電するように制御する充放電制御手段とを備えることを特徴とする充放電制御装置。
【請求項6】
車両が備える蓄電装置の充電を制御する充電制御装置の制御方法であって、
ユーザが目的地に向かって出発する日時および当該目的地に関する目的地関連情報を入力する入力ステップと、
上記車両から上記蓄電装置の蓄電量、並びに、上記入力ステップにおいて入力された出発日時および上記目的地関連情報を取得するデータ取得ステップと、
上記データ取得ステップにおいて取得された出発日時および目的地関連情報に基づいて、次回の車両の予想消費電力量を決定する予想消費電力決定ステップと、
上記データ取得ステップにおいて取得された上記蓄電装置の蓄電量と、上記予想消費電力決定ステップにおいて決定された予想消費電力量とに基づいて目標充電量を決定する充電量決定ステップと、
上記充電量決定ステップにおいて決定された目標充電量を次回の車両の出発日時までに充電するように、かつ、上記蓄電装置に電力を供給する電力供給源のうち、電力単価の安い電力を供給する電力供給源から優先して充電するように、各電力供給源の充電期間を決定する充電計画作成ステップと、
上記充電計画作成ステップにおいて決定された各電力供給源の充電期間に従って、各電力供給源から上記蓄電装置に上記目標充電量を充電するように制御する充電制御ステップとを含むことを特徴とする充電制御装置の制御方法。
【請求項7】
車両が備える蓄電装置の充放電を制御する充放電制御装置の制御方法であって、
ユーザが目的地に関する目的地関連情報および当該目的地に向かって出発する日時を入力する入力ステップと、
上記車両から上記蓄電装置の蓄電量、並びに、上記入力ステップにおいて入力された上記目的地関連情報および出発日時を取得するデータ取得ステップと、
上記データ取得ステップにおいて取得された目的地関連情報および出発日時に基づいて、次回の車両の予想消費電力量を決定する予想消費電力決定ステップと、
上記予想消費電力決定ステップにおいて決定された予想消費電力量より、上記データ取得ステップにおいて取得された上記蓄電装置の蓄電量の方が大きい場合、当該予想消費電力量と当該蓄電量との差分の電力量を次回の車両の出発日時までに放電するように制御し、
一方、上記予想消費電力決定ステップにおいて決定された予想消費電力量より、上記データ取得ステップにおいて取得された上記蓄電装置の蓄電量の方が小さい場合、当該予想消費電力量と当該蓄電量との差分の電力量を次回の車両の出発日時までに充電するように制御する充放電制御ステップとを含むことを特徴とする充放電制御装置の制御方法。
【請求項8】
請求項1〜4の何れか1項に記載の充電制御装置を動作させるための制御プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項9】
請求項5に記載の充放電制御装置を動作させるための制御プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項10】
請求項8または9に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−123637(P2012−123637A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273973(P2010−273973)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】