説明

充電器、充電制御方法およびプログラム

【課題】1つの電源コンセントでも電源プラグの差替を行う手間を生ぜずに、ユーザが、簡単に行える充電と、より自由に充電対象機器を使用出来る充電とのいずれかを選択可能であり、かつ、より確実に充電を行えるようにする。
【解決手段】充電器1が、電源部11と非接触充電部12と有線充電部13とを具備し、電源部11と有線充電部13とは有線接続されている。非接触充電部12は、電源部11から供給される電力を用いて充電対象機器に非接触充電可能であり、有線充電部13は、電源部11から供給される電力を用いて充電対象機器に有線充電可能である。これにより、ユーザは、電源プラグの差替を行う手間を生ぜずに、簡単に行える非接触充電と、より自由に携帯電話機を使用出来る有線充電とのいずれかを選択出来る。また、有線充電部13は電源部11に有線接続されているので、充電器1は、より確実に携帯電話機への充電を行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電器、充電制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの充電対象機器に簡単に充電を行える方式として、非接触充電方式が知られている。この非接触充電方式では、ユーザは、例えば非接触送電を行う台の上面に所定の向きで充電対象機器を設置する(載せる)、あるいは、クレードル(Cradle)に所定の向きで充電対象機器を設置する(置く、または、差し込む)ことで充電を行わせることが出来る。すなわち、ユーザは、充電対象機器の電源差込口を探して電源コネクタを接続する(差し込む)といった手間を必要とせずに、簡単に充電を行う(行わせる)ことが出来る。
特に、携帯電話機のように毎日充電することが一般的となっている充電対象機器では、非接触充電方式で充電可能とすることで、ユーザの手間を大幅に軽減し得る。
【0003】
一方、非接触充電方式では、充電を行うために充電対象機器を充電器に近接させる必要がある。このため、充電を行っている状態での充電対象機器の使用に制約が生じ得る。
例えば、携帯電話機に非接触充電方式で充電を行っている場合、携帯電話機を充電器から離すことが出来ない。このため、ユーザは、携帯電話機を持ち上げ顔に近づけて通話を行うことが出来ない。
【0004】
これに対して、特許文献1に記載の携帯電話(携帯電話機)は、非接触充電器から供給される電力が入力される端子と、接触型充電器から供給される電力が入力される外部接続端子とを具備する。このように、非接触充電器からも接触型充電器からも受電可能な携帯電話では、ユーザは、通常時は非接触充電器を用いて簡単に充電を行い、携帯電話で通話しながら充電を行う場合は接触型充電器を用いて充電を行うといった使い分けを行うことが出来る。
【0005】
また、特許文献2に記載の接触型充電式携帯用電気機器のアダプタは、接触型充電式の携帯用電気機器に接続するコネクタと、起電力を誘導させるための二次コイルを設けると共にその起電力が整流され且つ所定電圧にするための機能を有した基盤とから少なくとも構成させたことを特徴とする。この接触型充電式携帯用電気機器のアダプタを用いれば、二次コイルにて非接触型充電パッド(非接触充電器)から電力の供給を受け、供給を受けた電力を有線にて接触型充電式携帯用電気機器に供給し得る。従って、例えば接触型充電式携帯用電気機器が携帯電話機である場合、ユーザは、携帯電話機に充電を行いつつ、当該携帯電話機を持ち上げ顔に近づけて通話を行い得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−336710号公報
【特許文献2】特開2004−350465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の携帯電話のように、非接触充電器からも接触型充電器からも受電可能な携帯電話において、非接触充電器からの受電と接触型充電器からの受電とを使い分ける場合、2つの電源コンセントが必要となる。すなわち、非接触充電器および接触型充電器のそれぞれを電源コンセントに接続して充電可能な状態にしておく必要がある。
あるいは、2つの電源コンセントを使用出来ない場合、1つの電源コンセントを用いて非接触充電器の電源プラグと接触型充電器の電源プラグとの差替を行う必要があり、ユーザの手間となってしまう。
【0008】
また、特許文献2に記載の接触型充電式携帯用電気機器のアダプタを非接触充電器に載せて充電を行う場合、接触型充電式携帯用電気機器の使用に際して当該アダプタが非接触式充電器から外れてしまい、充電が行われなくなるおそれ、さらには、充電が行われないことにユーザが気付かないおそれがある。
例えば、当該アダプタを用いて携帯電話機に充電しながら通話を行う場合、ユーザが携帯電話機を顔に近づけるために持ち上げることで、当該アダプタと非接触充電器との間に充電可能な幅以上の隙間が出来てしまい、充電が行われなくなるおそれがある。さらには、隙間が出来たことにユーザが気付かず、充電可能な状態に回復されないおそれがある。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決することのできる充電器、充電制御方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による充電器は、電力を供給する電源部と、前記電源部から供給される電力にて充電対象機器に非接触充電可能な非接触充電部と、前記電源部と有線接続され充電対象機器に有線充電可能な有線充電部と、を具備することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様による充電制御方法は、電力を供給する電源部と、前記電源部から供給される電力にて充電対象機器に非接触充電可能な非接触充電部と、前記電源部と有線接続され充電対象機器に有線充電可能な有線充電部と、を具備する充電器の充電制御方法であって、充電対象機器が前記非接触充電部から充電可能に設置され、かつ、充電対象機器が前記有線充電部から充電可能に接続されていることを検出した場合、前記非接触充電部または前記有線充電部のいずれかからの充電を抑制するよう制御する制御ステップを具備することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様によるプログラムは、電力を供給する電源部と、前記電源部から供給される電力にて充電対象機器に非接触充電可能な非接触充電部と、前記電源部と有線接続され充電対象機器に有線充電可能な有線充電部と、を具備する充電器を制御するコンピュータに、充電対象機器が前記非接触充電部から充電可能に設置され、かつ、充電対象機器が前記有線充電部から充電可能に接続されていることを検出した場合、前記非接触充電部または前記有線充電部のいずれかからの充電を抑制するよう制御する制御ステップを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1つの電源コンセントでもユーザが電源プラグの差替を行う手間を生ぜずに、ユーザが、簡単に行える充電と、より自由に充電対象機器を使用出来る充電とのいずれかを選択可能であり、かつ、より確実に充電を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態における充電器の外形の概略を示す斜視図である。
【図2】同実施形態における充電器の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】同実施形態における充電器を用いて充電を行う際の、ユーザの処理手順の例を示す説明図である。
【図4】同実施形態において、制御回路が非接触充電の制御を行う処理手順の例を示すフローチャートである。
【図5】同実施形態において、電源部と有線充電部とがコネクタを介して有線接続される場合の、充電器の外形例の概略を示す斜視図である。
【図6】同実施形態において、非接触充電部と有線充電部とを接続するケーブルが巻き取り可能である場合の、充電器の外形例の概略を示す斜視図である。
【図7】同実施形態の充電器における各部のうち、本発明の最小構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
なお、以下では、充電対象機器が携帯電話機である場合を例に説明するが、本発明における充電対象機器は携帯電話機に限らない。携帯情報端末装置(Personal Digital Assistant;PDA)や、携帯型カメラ(ビデオカメラやコンパクトカメラ等)など、充電しながらの使用が想定される様々な機器の充電に本発明を適用し得る。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態における充電器の外形の概略を示す斜視図である。同図において、電源部11の筐体に電源プラグ111が設けられ、非接触充電部12の筐体に非接触送電エリアA11が設けられ、有線充電部13の筐体に給電用コネクタ131が設けられている。また、電源部11の筐体と非接触充電部12の筐体とはケーブルW11で接続され、非接触充電部12の筐体と有線充電部13の筐体とはケーブルW12で接続されている。
【0017】
電源プラグ111が、電源コンセント(例えば、商用電源コンセント)に挿入されて交流電力の供給を受けると、電源部11が直流電力に変換し、ケーブルW11を介して非接触充電部12に出力する。
非接触充電部12は、電源部11から出力された直流電力を、ケーブルW12を介して有線充電部13に出力する。また、非接触充電部12の筐体上面に設けられた平面状の非接触送電エリアA11に携帯電話機が所定の向きで設置された(載せられた)状態において、非接触充電部12は、電源部11から出力された直流電力を用いて交流磁界(すなわち、極性が交互に入れ替わる磁界)を発生させ、電磁誘導にて携帯電話機に対する非接触充電を行う。ここでいう非接触充電とは、充電器1と携帯電話機との間に電気的接点(例えば、金属接点やコネクタ)を設けずに充電を行うことである。
【0018】
なお、非接触充電部12が非接触充電を行う形態は、上述した平面状の非接触送電エリアA11に携帯電話機を所定の向きで載せる形態に限らない。例えば、非接触充電部12がクレードル状に形成されており、当該クレードルに携帯電話機を所定の向きで挿入する形態など、様々な形態での非接触充電を用いることが出来る。
【0019】
有線充電部13は、給電用コネクタ131を携帯電話機の電源差込口に差し込まれた(挿入された)状態において、非接触充電部12を介して電源部11から出力された直流電力を携帯電話機に供給することで、携帯電話機に対する有線充電を行う。
なお、ここでいう有線充電とは、充電器1と携帯電話機との間に電気的接点を設けて充電を行うことである。本実施形態では、給電用コネクタ131が携帯電話機の電源差込口に差し込まれることで電気的接点が形成され、有線充電部13は、当該電気的接点を通じて携帯電話機に電力を供給することで充電を行う。
【0020】
図2は、充電器1の構成を示す概略ブロック図である。同図において、充電器1は、電源部11と、非接触充電部12と、有線充電部13とを具備する。電源部11は、電源プラグ111と、AC(Alternating Current)/DC(Direct Current)変換回路112とを具備する。非接触充電部12は、駆動回路121と、送電用コイル122と、アンテナ123と、制御回路(制御部)129とを具備する。有線充電部13は、給電用コネクタ131を具備する。
【0021】
充電器1は、電源コンセントから電力の供給を受けて、充電対象機器である携帯電話機を充電する装置である。
電源部11は、電源コンセントから電力の供給を受けて、非接触充電部12と有線充電部13とに電力を供給(出力)する。
電源プラグ111は、電源コンセントに挿入されて交流電力の供給を受け、供給された電力をAC/DC変換回路112に出力する。
AC/DC変換回路112は、電源プラグ111から出力された交流電力を、非接触充電部12の仕様(例えば電圧)に応じた直流電力に変換して非接触充電部12(駆動回路121)に出力する。
【0022】
非接触充電部12は、携帯電話機が非接触送電エリアA11(図1)に所定の向きで設置された状態において、電源部11(AC/DC変換回路112)から供給される電力にて、充電対象機器である携帯電話機に非接触充電可能である。
駆動回路121は、AC/DC変換回路112から供給される直流電力を、非接触充電用の交流電力に変換して送電用コイル122に出力することで、送電用コイル122を駆動する(すなわち、送電用コイル122に非接触充電を行わせる)。具体的には、駆動回路121は、非接触充電の周波数として予め設定されている周波数の交流電流を生成する発信回路を具備し、当該発信回路を用いて直流電力を交流電力に変換し、送電用コイル122に出力する。
【0023】
送電用コイル122は、駆動回路121から出力される交流電力を受けて交流磁界を発生させることで、電磁誘導にて携帯電話機に電力を供給する。携帯電話機は、当該電力を用いて携帯電話機自らを充電する(すなわち、携帯電話機自らの具備する二次電池を充電する)。
【0024】
アンテナ123は、携帯電話機との通信用のアンテナであり、携帯電話機との間で各種情報の送受信を行う。特に、アンテナ123は、携帯電話機が非接触送電エリアA11に所定の向きで(非接触充電可能に)設置されたことを示す情報を受信すると、当該情報を制御回路129に出力する。
例えば、アンテナ123は、携帯電話機との通信方式として、RFID(Radio Frequency Identification)方式など電磁誘導を用いた通信方式を採用しており、携帯電話機が非接触送電エリアA11に非接触充電可能に設置された状態でのみ携帯電話機と通信可能となる。そこで、アンテナ123は、携帯電話機と通信可能であることを示す情報として、例えば携帯電話機の識別情報(電話番号またはIMSI(International Mobile Subscriber Identity)など)を携帯電話機から受信して制御回路129に出力する。
【0025】
制御回路129は、充電対象機器である携帯電話機が非接触充電部12から充電可能に設置されていると判定し、かつ、携帯電話機が有線充電部13から充電可能に接続されていると判定した場合、非接触充電部12または有線充電部13のいずれか(本実施形態では非接触充電部12)からの充電を抑制するよう制御する。これにより、充電器1は、携帯電話機に対して有線充電と非接触充電とを同時に行うことによる過充電を防止する。制御回路129が行う処理の詳細については後述する。
【0026】
有線充電部13は、電源部11と有線接続され携帯電話機に有線充電可能である。ここでいう有線接続は、導線を用いて、筐体間を導電体で直接的に電気的に接続することである。例えば、導線を用いて固定接続(すなわち着脱不可に接続)またはコネクタ接続することが有線接続に該当する。本実施形態では、電源部11の筐体と非接触充電部12の筐体とが、ケーブルW11(図1)を用いて固定接続され、非接触充電部12の筐体と有線充電部13の筐体とが、ケーブルW12を用いて固定接続されており、従って、有線充電部13と電源部11とは有線接続されている。
給電用コネクタ131は、携帯電話機の電源差込口に差し込まれて、AC/DC変換回路112から出力される直流電力を携帯電話機に供給する。
【0027】
なお、充電器1が、携帯電話機の満充電を検出して充電を終了する回路をさらに具備するようにしてもよい。本実施形態では、満充電の検出および充電終了は携帯電話機側で行う。
【0028】
図3は、充電器1を用いて充電を行う際の、ユーザ(充電器1を用いて携帯電話機に充電を行う者)の処理手順の例を示す説明図である。ユーザは、電池残量表示を参照して携帯電話機の電池残量が少なくなったことを把握すると(ステップS101)、まず充電方法を選択する(ステップS111)。例えば、通常は、簡易に行える非接触充電を選択し、充電しながら携帯電話機を使用したい場合は、有線充電を選択する。
【0029】
非接触充電を選択した場合(ステップS111:非接触充電)、ユーザは、携帯電話機を非接触送電エリアA11に設置する(ステップS121)。これにより、充電器1は、携帯電話機への非接触充電を開始する(ステップS122)。
一方、有線充電を選択した場合(ステップS111:有線充電)、ユーザは、携帯電話機の電源差込口に給電用コネクタ131を差し込む(ステップS131)。これにより、充電器1は、携帯電話機への有線充電を開始する(ステップS132)。有線充電の場合、ユーザはケーブルW12の長さの範囲で携帯電話機を自由に動かすことが出来る。
【0030】
図4は、制御回路129が非接触充電の制御を行う処理手順の例を示すフローチャートである。制御回路129は、電源プラグ111が電源コンセントに差し込まれて充電器1が動作状態になると同図の処理を開始する。
同図の処理において、制御回路129は、携帯電話機に非接触充電可能か否かを判定する(ステップS201)。具体的には、制御回路129は、携帯電話機が非接触送電エリアA11に所定の向きで設置されたことを示す情報がアンテナ123から出力された場合、当該情報に基づいて、携帯電話機に非接触充電可能であると判定する。一方、当該情報がアンテナ123から出力されない場合、制御回路129は、携帯電話機に非接触充電不可であると判定する。
【0031】
非接触充電可能と判定した場合(ステップS201:YES)、制御回路129は、有線充電部13が携帯電話機に有線充電中か否かを判定する(ステップS211)。例えば、有線充電部13が、給電用コネクタ131から出力される電流を測定し、測定結果を制御回路129に出力する。そして、給電用コネクタ131から出力される電流が検出された場合、制御回路129は、有線充電中であると判定する。一方、当該電流が検出されなかった場合、制御回路129は、有線充電中ではないと判定する。
【0032】
有線充電中ではないと判定した場合(ステップS211:NO)、制御回路129は、駆動回路121を制御して、非接触充電用の交流電力を送電用コイル122に出力させる(すなわち、駆動回路121をして送電用コイル122を駆動させる)。これにより、送電用コイル122は非接触充電にて携帯電話機の充電を行う。
その後、ステップS201に戻る。
【0033】
一方、非接触充電不可と判定した場合(ステップS201:NO)や、有線充電中であると判定した場合(ステップS211:YES)、制御回路129は、駆動回路121から送電用コイル122への交流電力の出力を抑制する(ステップS231)。これにより、送電用コイル122から携帯電話機への非接触充電が抑制される。
その後、ステップS201に戻る。
【0034】
以上のように、充電器1は、携帯電話機に非接触充電可能な非接触充電部12と、携帯電話機に有線充電可能な有線充電部13とを具備する。これにより、ユーザは、1つの電源コンセントでも電源プラグの差替を行う手間を生ぜずに、簡単に行える非接触充電と、より自由に携帯電話機を使用出来る有線充電とのいずれかを選択することが出来る。例えばユーザは、通常は、簡易に行える非接触充電を選択し、充電しながら携帯電話機を使用したい場合は、有線充電を選択することが出来る。
【0035】
また、有線充電部13は電源部11に有線接続されているので、充電器1は、より確実に携帯電話機への充電を行うことが出来る。
ここで、例えば有線充電部13に代えて、非接触充電部12からの電磁誘導で電力を発生させるコイルを非接触送電エリアA11に載せ、当該コイルと携帯電話機とを導線で接続して、当該コイルが発生させる電力で携帯電話機を充電する方法でも、携帯電話機に充電しつつ、ユーザは導線の長さの範囲で携帯電話機を自由に動かすことが出来る。
しかしながらこの方法では、例えば、ユーザが携帯電話機を導線の長さ以上に持ち上げることで、コイルと非接触送電エリアA11との間に充電可能な幅以上の隙間が出来てしまい、充電が行われなくなるおそれがある。さらには、隙間が出来たことにユーザが気付かず、充電可能な状態に回復されないおそれがある。
これに対して、有線充電部13を用いて携帯電話機に充電する方法では、有線充電部13が電源部11に有線接続されているので、ユーザが携帯電話機を動かしても電源部11と有線充電部13との電気的接続が外れない。この点で、充電器1は、より確実に携帯電話機への充電を行うことが出来る。
【0036】
また、制御回路129は、携帯電話機が非接触充電部12から充電可能に設置されていると判定し、かつ、携帯電話機が有線充電部13から充電可能に接続されていると判定した場合、非接触充電部12からの充電を抑制するよう制御する。これにより、充電器1は、携帯電話機に対して有線充電と非接触充電とを同時に行うことによる過充電を防止することが出来る。
【0037】
なお、制御回路129が、携帯電話機が非接触充電部12から充電可能に設置されていると判定し、かつ、携帯電話機が有線充電部13から充電可能に接続されていると判定した場合に、有線充電のほうを抑制するようにしてもよい。例えば、電源部11と有線充電部13との電気的経路を開閉(切断/接続)可能なスイッチを設けておく。そして、制御回路129が、携帯電話機が非接触充電部12から充電可能に設置されていると判定し、かつ、携帯電話機が有線充電部13から充電可能に接続されていると判定した場合に、電源部11と有線充電部13との電気的経路を切断して有線充電を抑制してから、非接触充電を行わせる(駆動回路121から送電用コイル122に交流電力を出力させる)。
これにより、非接触充電を抑制する場合と同様、充電器1は、携帯電話機に対して有線充電と非接触充電とを同時に行うことによる過充電を防止することが出来る。
【0038】
なお、制御回路129が、携帯電話機が非接触充電部12から充電可能に設置されていると判定し、かつ、携帯電話機が有線充電部13から充電可能に接続されていると判定し、さらに、非接触充電部12から充電可能に設置されている携帯電話機と、有線充電部13から充電可能に接続されている携帯電話機とが同一の携帯電話機であると判定した場合に、非接触充電部12または有線充電部13のいずれかからの充電を抑制するようにしてもよい。
【0039】
例えば、アンテナ123が、非接触送電エリアA11に非接触充電可能に設置された携帯電話機から、当該携帯電話機が有線充電中か否かを示す情報を受信して制御回路129に出力する。そして、制御回路129は、当該携帯電話機が有線充電中であると判定した場合に、非接触充電を抑制する。
あるいは、上記のようにアンテナ123が、非接触充電可能に設置された携帯電話機から、当該携帯電話機の識別情報を受信して制御回路129に出力する。また、有線充電部13が、有線充電中の携帯電話機から当該携帯電話機の識別情報を取得して制御回路129に出力する。そして、制御回路129は、有線充電部13が取得した有線充電中の携帯電話機の識別情報と、アンテナ123が取得した非接触充電可能な携帯電話機の識別情報とを比較して、両者が同一であると判定した場合に、非接触充電を抑制する。
【0040】
このように、制御回路129が、非接触充電可能な携帯電話機と有線充電可能な携帯電話機とが同一の携帯電話機か否かを判定して充電の制御を行うことで、両者が同一の場合、この携帯電話機に対して有線充電と非接触充電とを同時に行うことによる過充電を防止することが出来る。一方、非接触充電可能な携帯電話機と有線充電可能な携帯電話機とが異なる場合、制御回路129が、駆動回路121を制御して送電用コイル122に交流電力を出力させる(すなわち、非接触充電を抑制しない)ことで、充電器1は、複数の携帯電話機を同時に充電することができる。
【0041】
なお、充電器1が、携帯電話機に非接触充電可能か否か(すなわち、非接触送電エリアA11に携帯電話機が所定の向きで載せられているか否か)を判定する方法は、上述した、携帯電話機が非接触送電エリアA11に所定の向きで設置されたことを示す情報を受信する方法に限らない。例えば、制御回路129が、アンテナ123のインピーダンスの変化を測定することで、アンテナ123に近接して携帯電話機のアンテナが設置されているか否かを判定するなど、様々な方法を用いることが出来る。
【0042】
なお、電源部11と有線充電部13とがコネクタを介して有線接続されていてもよい。
図5は、電源部11と有線充電部13とがコネクタを介して有線接続される場合の、充電器1の外形例の概略を示す斜視図である。同図において、図1で説明したのと同じ部分には同一の符号(11、12、13、111、131、A11、W11、W12)を付して説明を省略する。図5では、ケーブルW12にケーブル接続用コネクタC21が設けられている点、および、非接触充電部12の筐体にコネクタ挿入口A21が設けられている点で、図1の場合と異なる。
【0043】
図5に示す外形の場合、ケーブル接続用コネクタC21をコネクタ挿入口A21に差し込むことで、電源部11と有線充電部13とが有線接続される。この場合も、図1に示した外形の場合と同様、ユーザは、1つの電源コンセントでも電源プラグの差替を行う手間を生ぜずに、簡単に行える非接触充電と、より自由に携帯電話機を使用出来る有線充電とのいずれかを選択することが出来る。
【0044】
また、非接触充電部12の筐体とケーブルW12とはケーブル接続用コネクタC21を介して接続されており、ケーブルW12は非接触充電部12の筐体に着脱可能である。従って、ユーザは、有線充電を行わない場合はケーブルW12を取り外すことができ、ケーブルW12が邪魔にならない。
また、ケーブル接続用コネクタC21をコネクタ挿入口A21に差し込んだ状態では、ケーブル接続用コネクタC21とコネクタ挿入口A21との間の摩擦によって差込状態が維持されている。従って、ケーブル接続用コネクタC21がコネクタ挿入口A21から外れるにはある程度の力で引き抜くことが必要であり、ユーザの意図に反して外れることを防止し得る。この点において、充電器1は、より確実に携帯電話機への充電を行うことが出来る。
【0045】
なお、非接触充電部12と有線充電部13とを接続するケーブルが巻き取り可能であってもよい。すなわち、充電器1が、電源部11と有線充電部13とを接続する導線であるケーブルW12を巻き取る巻き取り部を具備するようにしてもよい。
図6は、非接触充電部12と有線充電部13とを接続するケーブルが巻き取り可能である場合の、充電器1の外形例の概略を示す斜視図である。同図において、図1で説明したのと同じ部分には同一の符号(11、12、13、111、131、A11、W11、W12)を付して説明を省略する。図6では、充電器1(非接触充電部12)が、巻き取り部224を具備する点で、図1の場合と異なる。
【0046】
巻き取り部224は、ユーザの回転操作に従って円筒状の巻き取り部分を回転させて、ケーブルW12を巻き取る。ケーブルW12は、巻き取り部224に巻き取られることで、非接触充電部12の筐体外の部分が短くなる。
これにより、ユーザは、有線充電を行わない場合はケーブルW12を巻き取った状態とすることができ、ケーブルW12が邪魔にならない。
【0047】
次に、図7を参照して本発明の最小構成について説明する。
図7は、充電器1における各部のうち、本発明の最小構成を示す概略ブロック図である。同図において、充電器1は、電源部11と、非接触充電部12と、有線充電部13とを具備し、電源部11と有線充電部13とは有線接続されている。
【0048】
この構成において、非接触充電部12は、携帯電話機が非接触充電可能に設置されると、電源部11から供給される電力を用いて携帯電話機に非接触充電を行う。また、有線充電部13は、携帯電話機が接続されて有線充電可能となると、電源部11から供給される電力を用いて携帯電話機に有線充電を行う。
これにより、ユーザは、1つの電源コンセントでも電源プラグの差替を行う手間を生ぜずに、簡単に行える非接触充電と、より自由に携帯電話機を使用出来る有線充電とのいずれかを選択することが出来る。また、有線充電部13は電源部11に有線接続されているので、充電器1は、より確実に携帯電話機への充電を行うことが出来る。
【0049】
なお、制御回路129の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することで各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0050】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1…充電器
11…電源部
111…電源プラグ
112…AC/DC変換回路
12…非接触充電部
121…駆動回路
122…送電用コイル
123…アンテナ
129…制御回路
13…有線充電部
131…給電用コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給する電源部と、
前記電源部から供給される電力にて充電対象機器に非接触充電可能な非接触充電部と、
前記電源部と有線接続され充電対象機器に有線充電可能な有線充電部と、
を具備することを特徴とする充電器。
【請求項2】
充電対象機器が前記非接触充電部から充電可能に設置されていると判定し、かつ、充電対象機器が前記有線充電部から充電可能に接続されていると判定した場合、前記非接触充電部または前記有線充電部のいずれかからの充電を抑制するよう制御する制御部を具備することを特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項3】
充電対象機器が前記非接触充電部から充電可能に設置されていると判定し、かつ、充電対象機器が前記有線充電部から充電可能に接続されていると判定し、さらに、前記非接触充電部から充電可能に設置されている前記充電対象機器と、前記有線充電部から充電可能に接続されている前記充電対象機器とが同一の充電対象機器であると判定した場合、前記非接触充電部または前記有線充電部のいずれかからの充電を抑制するよう制御する制御部を具備することを特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項4】
前記電源部と前記有線充電部とが、コネクタを介して有線接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の充電器。
【請求項5】
前記電源部と前記有線充電部とを接続する導線を巻き取る巻き取り部を具備することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の充電器。
【請求項6】
電力を供給する電源部と、前記電源部から供給される電力にて充電対象機器に非接触充電可能な非接触充電部と、前記電源部と有線接続され充電対象機器に有線充電可能な有線充電部と、を具備する充電器の充電制御方法であって、
充電対象機器が前記非接触充電部から充電可能に設置され、かつ、充電対象機器が前記有線充電部から充電可能に接続されていることを検出した場合、前記非接触充電部または前記有線充電部のいずれかからの充電を抑制するよう制御する制御ステップを具備することを特徴とする充電制御方法。
【請求項7】
電力を供給する電源部と、前記電源部から供給される電力にて充電対象機器に非接触充電可能な非接触充電部と、前記電源部と有線接続され充電対象機器に有線充電可能な有線充電部と、を具備する充電器を制御するコンピュータに、
充電対象機器が前記非接触充電部から充電可能に設置され、かつ、充電対象機器が前記有線充電部から充電可能に接続されていることを検出した場合、前記非接触充電部または前記有線充電部のいずれかからの充電を抑制するよう制御する制御ステップを実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−110915(P2013−110915A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255943(P2011−255943)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】