充電器付の駐車システム
【課題】本駐車システムによれば、充電可能な最大台数が設定されるから、同時に動作可能な充電器が限られているので、供給可能な電力の最大値を上回ることがない。
【解決手段】複数の駐車スペースを有し、駐車スペースに駐車された車両に対して充電を行う充電器2を駐車スペースごとに備える充電器付の駐車システムであって、複数の充電器2を制御する充電器制御装置4を有し、充電器制御装置4は、複数の充電器2が同時に充電可能な最大台数を設定し、複数の充電器2のうちの充電を行う充電器2を選択する。
【解決手段】複数の駐車スペースを有し、駐車スペースに駐車された車両に対して充電を行う充電器2を駐車スペースごとに備える充電器付の駐車システムであって、複数の充電器2を制御する充電器制御装置4を有し、充電器制御装置4は、複数の充電器2が同時に充電可能な最大台数を設定し、複数の充電器2のうちの充電を行う充電器2を選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車システムにかかり、特に複数の駐車スペースを有し、それら各駐車スペースに駐車された車両に対して充電を行う充電器を備える駐車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動機(モータ)を動力源として走行する電気自動車やハイブリット自動車が普及しつつある。また、こうした電気自動車又はハイブリット自動車において、商用電力などが一般の家庭用電力を用いての車載バッテリの充電を可能とする、いわゆるプラグイン方式が実用化されつつある。
【0003】
車載バッテリの充電設備に関する技術としては、例えば下記の特許文献1〜3の充電管理システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−69678(要約)
【特許文献2】特開2010−22099(要約)
【特許文献3】特開2010−161912(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2001−69678は終業時、一斉に接続されたフォークリフトに対して、契約電力の範囲で充電器を任意に切替え、合計電力が予め設定した最大値を超えない様に監視制御するものであるが、充電器からのステータス情報なしで、充電用電源の出力元で電流値を検出して電流制限装置のスイッチによって充電器を切り替えている為、電力を供給する必要の無い(負荷が接合されていない)充電器に電力を供給する場合や、電力の供給を必要とする充電器に電力を供給できない場合が発生する。
また、余剰電力が出来た場合、次の充電器に電力供給を開始するが、充電用電源の出力元で電流値を検出し、供給可能な電流値を上回った場合に充電器を停止させる制御をしている為、充電器が必要とする電力が余剰電力を大きく上回ると、ブレーカーが落ちる危険性がある。
【0006】
特開2010−22099は、駐車システムについて開示している。
充電予約には駐車位置番号、暗証番号、充電希望日時、充電量(充電時間)などを入力する操作装置、或いは端末装置が必要で、充電は、入力された予約情報を基に時系列的にまとめられたスケジュール、電力単価の比較結果等を総合的に判断した上で実施される。つまり、充電予約の為の特別な操作装置を必要とし、充電器を制御するための複雑なスケジュール作成などを必要とする。
【0007】
本発明は以上のような種々の問題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は複数の駐車スペースを有し、該駐車スペースに駐車された車両に対して充電を行う充電器を駐車スペースごとに備える充電器付の駐車システムであって、前記複数の充電器を制御する充電器制御装置を有し、前記充電器制御装置は、前記複数の充電器が同時に充電可能な最大台数を設定する台数設定手段と、前記複数の充電器のうちの充電を行う充電器を選択する選択手段とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、予め同時に動作可能な充電器の台数を設定することで、充電システム全体が必要とする電力の最大値を決められるので、過大な受電設備が不要となる。また、充電可能な最大台数が設定されるから、同時に動作可能な充電器が限られているので、供給可能な電力の最大値を上回ることがない。
また、充電を行う充電器を選択するので、充電を必要としない充電器に電力を供給したり、あるいは、充電を必要とする充電器に電力が供給されないという事態が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の充電器付の駐車システムの一実施例を示す概略構成図である。
【図2】充電器の一例を示す概略構成図である。
【図3】充電器制御装置の一例を示す概略構成図である。
【図4】充電器制御装置の記憶内容の一部を示す図表である。
【図5】充電器制御装置の記憶内容の一部を示す図表である。
【図6】充電器制御装置の記憶内容の一部を示す図表である。
【図7】充電器の制御フローを示すフローチャートである。
【図8】充電器の制御フローを示すフローチャートである。
【図9】充電器制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】記憶内容の更新の方法を示すフローチャートである。
【図11】記憶内容の更新の方法を示すフローチャートである。
【図12】充電器制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい実施例では、1回の充電につき充電可能な最大時間を記憶する最大時間記憶部と、前記各充電器が1回の充電につき充電した時間を計測するタイマとを更に備え、前記選択手段は、前記タイマが計測した充電時間が前記最大時間に達すると、当該充電器による充電を停止し、かつ、充電のために待機していた別の充電器による充電を行わせる。
【0012】
所定時間経過すると充電を終了するので、多くの利用者が順次公平に充電できる。
【0013】
本発明の更に好ましい実施例では、前記充電器制御装置は充電中の充電器の号機ごとに1回の充電につき充電した実充電時間、あるいは、1回の充電につき前記最大時間から充電した実充電時間を減算した残り時間を記憶する充電記憶部と、充電の予約がなされ、かつ、未充電の充電待機中の充電器を充電器の号機ごとに記憶する未充電記憶部とを更に備え、前記選択手段は、前記各号機ごとの充電器について、前記充電記憶部に記憶された実充電時間が最大時間となった充電器が有る場合に、あるいは、前記充電記憶部に記憶された残り時間が0となった充電器が有る場合に、当該充電器による充電を停止させ、前記待機中の充電器のうち待機順の最も早い号機を選択して当該号機の充電器による充電を開始させることを特徴とする。
【0014】
これにより、所定の充電の最大時間が経過すると、充電済(充電終了)の充電器から未充電(充電待機)の充電器への充電の切替が容易になされる。
なお、本明細書において「充電済」とは本システムの充電器によって所定時間ないし最大時間にわたって充電がなされたことを意味し、満充電を意味するものではない。
【0015】
本発明の更に好ましい実施例では、充電の利用要求率の状況を判別する判別手段と、前記判別手段により、前記利用要求率が高いと判別された場合には、前記利用要求率が低いと判別された場合に比べ、前記最大時間を短くする時間変更手段を更に備えている。
【0016】
この場合、充電の利用要求率が高い場合には充電できる最大時間を短くすることで、多数の人に充電器の利用を可能とする。
【0017】
本発明の更に好ましい実施例では、前記判別手段は前記充電待機中の充電器の台数が所定数以上の場合に利用要求率が高いと判別し、かつ、前記充電待機中の充電器の台数が前記所定数未満の場合に利用要求率が低いと判断する。
【0018】
この場合、利用要求率の大小を駐車している車の台数ではなく、充電器が実際に利用(接続)されている台数によって判別するので、充電器の公平な利用を図り得る。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
【0020】
図1に示すように、本駐車システムは、電気自動車3を駐車するための多数の駐車スペース(エリア)を有している。各駐車スペースには駐車された電気自動車3(車両の一例)に対して充電ケーブル5を介して充電を行う充電器2が設けられている。
【0021】
前記各充電器2は変電設備1に並列に接合されている。変電設備1は電力会社から高電圧の電力を受電し、これを交流200Vに変圧して各充電器2に給電する。
各充電器2は充電器制御装置4によって制御される。
【0022】
図2の充電器2は交流200Vの電力線(電源線)においてコンセント29を介して電気自動車3に給電するか否かを制御する充電電源制御回路28を有している。この充電電源制御回路28は充電器2の制御部22および図3の充電器制御装置4の管理部42によってON・OFFが制御される。
【0023】
図2および図3に示すように、各充電器2および充電器制御装置4は、それぞれ、無線通信部21および無線通信部41を備えており、所定の通信プロトコルにより相互に送受信を行う。
【0024】
図2の充電器2の制御部22はCPU23、メモリ24およびタイマ25を備えると共に、無線通信部21、表示器26およびスイッチ27に接続されている。一方、図3の充電器制御装置4の管理部42は別のCPU43、メモリ44およびタイマ45を備えると共に、別の無線通信部41、表示器46および操作部47が接続されている。
【0025】
図2の充電器2の前記メモリ24は、1回の充電につき充電可能な最大時間Tmaxを記憶する最大時間記憶部2bを備える。前記充電器2のタイマ25は前記各充電器2が1回の充電につき充電した時間を計測する。
【0026】
図3のCPU43は台数設定手段43aおよび選択手段43bを備える。前記台数設定手段43aは前記複数の充電器が同時に充電可能な最大台数を設定する。前記選択手段43bは前記複数の充電器2のうちの充電を行う充電器2を選択する。
なお、CPU43は後述する判別手段43cおよび時間変更手段43dを備えていてもよい。
【0027】
図3の充電器制御装置4の前記メモリ44は、最大台数記憶部4a、最大時間記憶部4b、充電記憶部44aおよび未充電記憶部44bを備える。
前記最大台数記憶部4aには前記台数設定手段43aにより設定された最大台数が記憶される。
前記最大時間記憶部4bには前記操作部47により設定された最大時間Tmaxが記憶される。
前記最大時間記憶部4bに記憶された最大時間Tmaxは図2の充電器2の最大時間記憶部2bに記憶された最大時間Tmaxと同じ時間となるように通信および制御が行われる。
【0028】
なお、前記最大時間記憶部2b,4bは少なくともいずれか一方のみを設ければよい。
【0029】
図4Aおよび図4Bに示すように、前記充電記憶部44aは充電中の充電器2の号機(充電器No.)ごとに1回の充電につき充電した実充電時間、あるいは、1回の充電につき前記最大時間Tmaxから充電した実充電時間を減算した残り時間Tを記憶する。本実施例の場合、実充電時間ではなく残り時間Tが記憶される。
【0030】
一方、図6Aおよび図6Bに示すように、前記未充電記憶部44bは充電の予約がなされ、かつ、未充電の充電待機中の充電器2を充電器2の号機ごとに記憶すると共に、充電の予約がなされた後の未充電で待機する(充電開始までの)待ち時間tを記憶する。
【0031】
前記充電記憶部44aおよび未充電記憶部44bは、ともに予約番号ごとに充電器No.当該No.の充電器の状態および時間を記憶する。充電記憶部44aに記憶された時間は残り時間Tと認識され、一方、未充電記憶部44bに記憶された時間は待ち時間tと認識される。
【0032】
前記充電器の状態としては、充電記憶部44aの状態のフィールドに記憶される「充電中」および「充電許可」と未充電記憶部44bの状態のフィールドに記憶される「充電待機」とが存在する。
【0033】
図3の前記選択手段43bは、前記タイマ25が計測した実充電時間が前記最大時間に達すると、当該充電器2による充電を停止し、かつ、充電のために待機していた別の充電器2による充電を行わせる。すなわち、前記選択手段43bは、前記各号機ごとの充電器2について、前記充電記憶部44aに記憶された実充電時間が最大となった充電器2が有る場合に、あるいは、前記充電記憶部44aに記憶された残り時間Tが0となった充電器2が有る場合に、当該充電器2による充電を停止し、前記待機中の充電器2のうちの待機順の最も早くに充電予約がなされた号機を選択して当該号機の充電器2による充電を開始させる。
【0034】
本実施例の場合、実充電時間ではなく、残り時間Tによって充電器2の前記選択がなされる。たとえば、図5Bの充電器No.4(予約番号「6」)の充電器2は充電待機中であるが、充電中の充電器No.3(予約番号「1」)の残り時間Tの5分が経過すると、予約番号が1つ繰り上がり(予約番号「5」)、図6Aのように充電許可が与えられる。
【0035】
つぎに、本システムの運用を図7〜図12のフローチャートを用いて説明する。
前記充電器制御装置4には変電設備1の契約最大受電容量から割り出した同時に充電可能な充電器の最大台数n(例:n=5台)と、1回の充電につき充電可能な最大時間Tmax(たとえば30分)が図3の操作部47を操作して台数設定手段43aおよび時間変更手段43dにより設定され、最大台数記憶部4aおよび最大時間記憶部4bに記憶されている。
なお、充電器2とEV車3との情報交換については省略する。
【0036】
まず、図7および図8の充電器の制御フローについて説明する。
図7のステップS1においては、充電器制御装置4より受信した「現在の待ち時間t」を充電器2の表示器26が表示する。
利用者が現在の待ち時間を確認して充電するか否かを決めるので、充電できない、或いは、充電に時間がかかることでトラブルとなるおそれが無い。
【0037】
つづいて、ステップS2に進み、充電する場合にはステップS3に進んで充電器2の充電スイッチ27をONにする。一方、ステップS2において充電しない場合にはステップS1に戻る。
【0038】
ステップS3のつぎにステップS4に進み、充電器2は「充電許可要求」信号を充電器制御装置4へ送信する。なお、充電器制御装置4から応答が無い場合、再度「充電許可要求」信号を送信する。
【0039】
つぎのステップS5において、充電器2が充電器制御装置4からの「充電許可」信号を受信すると、ステップS6に進み、一方、同信号を受信しない場合は、図8のステップS21に進む。
【0040】
図8のステップS21において、待ち時間tを受信しない場合はステップS4に戻り、一方、ステップS21において待ち時間tを受信すると、ステップS22に進み充電器2の表示器26が待ち時間tを表示する。
【0041】
つぎのステップS23では充電器2の充電スイッチがONである場合には前記ステップS5に戻り、一方、充電スイッチがOFFの場合にはステップS24に進む。
【0042】
ステップS24においては、充電器2はコンセントへの電力供給を停止すると共に、「充電終了」を充電器制御装置4へ送信する。この後、ステップS1に戻る。
【0043】
前記ステップS5において「充電許可」を受信して図4Aの充電許可の状態になると、ステップS6に進み、充電器2は最大充電時間Tmaxを基に残り時間T(例:30分)を設定すると共に、充電電源制御回路28を制御してコンセントに電力を供給し、図4Bの充電中となる。同時に充電時間の計測を開始する。
【0044】
つぎのステップS7では、充電器2は充電器制御装置4へ「充電中」を示す残り時間T信号を送信すると同時に、残り時間Tを表示する。
【0045】
つづいてステップS8に進み、充電スイッチがOFFになっている場合は図8のステップS24に進み、一方、充電スイッチがONのままの場合は図7のステップS9に進む。
【0046】
前記ステップS9において、残り時間Tが0になっていなければステップS7に戻り、残り時間Tが0になるまでステップS7〜S9の動作が繰り返される。一方、ステップS9において残り時間Tが0になるとステップS10に進んで充電スイッチがOFFになって充電が終了し、図8の前記ステップS24に進む。
【0047】
つぎに、図9の充電器制御装置4のフローチャートについて説明する。
図9のステップS31において、充電器制御装置4が充電器2から充電許可要求の信号を受信すると、ステップS32に進み、図10の充電器情報管理テーブル(充電記憶部44a)について次に説明する更新[1]が実行される。
【0048】
すなわち、図10のステップS40に進み充電器2より「充電器No.」を取得すると共に、充電器情報管理テーブルより空きの充電予約番号を取得する。同時に、充電器情報管理テーブルの充電器No.フィールドに「充電器No.」を記憶する。
【0049】
つづいて、ステップS41に進み充電予約番号mが充電可能な最大台数n以下の場合にはステップS42に進み、図4Aおよび図5Aのように、充電器情報管理テーブルの充電記憶部44aの状態フィールドに「充電許可」を記憶する。
【0050】
一方、図10のステップS41において充電予約番号mが最大台数nよりも大きい場合にはステップS43に進む。ステップS43においては、図5Bの充電器情報管理テーブルの未充電記憶部44bの状態フィールドに「充電待機」を記憶する。同時に、充電が開始されるまでの予定の待ち時間を計算し、残り時間(待ち時間)フィールドに「待ち時間t」を記憶する。
【0051】
前記ステップS42またはS43の実行により、充電器情報管理テーブルの更新[1]が終了する。
【0052】
図9のステップS31において「充電許可要求」を受信しない場合はステップS33に進む。
図9のステップS33において、充電器制御装置4が充電器2から「充電中」,残り時間Tの信号を受信すると、ステップS34に進み、図11Aの充電器情報管理テーブルの充電記憶部44aの更新[2]が実行される。
【0053】
すなわち、図11AのステップS50に進み、充電器制御装置4が充電器2より充電器No.および残り時間Tを取得する。
つづいて、ステップS51に進み、図4Bのように該当する充電器No.の状態フィールドが「充電中」である場合はステップS52において、該当する充電器No.の残り時間(待ち時間)フィールドに残り時間Tを記憶する。
一方、ステップS51において、図4Aのように「充電中」でない場合は、ステップS53に進み、図4Bのように、該当する充電器No.の状態フィールドが「充電中」を記憶する。また、該当する充電器No.の残り時間(待ち時間)フィールドに残り時間Tを記憶する。
【0054】
前記ステップS52またはS53の実行により、充電器情報管理テーブルの更新[2]が終了する。
【0055】
図9のステップS33において「充電中」を受信しない場合はステップS35に進む。図9のステップS35において、充電器制御装置4が充電器2から「充電終了」の信号を受信した場合には、ステップS36に進み、図11Bの充電器情報管理テーブルの充電記憶部44aの更新[3]が実行される。
【0056】
すなわち、図11BのステップS60に進み、充電器より充電器No.を取得し、充電器情報管理テーブルより、該当する充電器No.を含むレコードを削除すると共に、削除したレコード以下のレコードを繰り上げる。
【0057】
前記ステップS60の実行により、充電器情報管理テーブルの更新[3]が終了する。
【0058】
図9のステップS35において充電終了を受信しない場合、図12のフローチャートにしたがって充電器制御がなされる。
充電器制御装置4はステップS70において、充電器情報管理テーブルのレコードを確認し、ステップS71に進み状態フィールドが「充電許可」になっている場合はステップS72に進み、該当充電器に「充電許可」を送信する。
【0059】
一方、ステップS71において「充電許可」となっていない場合はステップS73に進む。ステップS73において状態フィールドが「充電待機」になっている場合はステップS74に進み充電予約番号mと最大台数nを比較し、m>nの場合はステップS75に進み、充電予約番号mが最大台数n以下の場合はステップS78に進む。
【0060】
ステップS75では予定の待ち時間tを計算し、残り時間(待ち時間)フィールドに「待ち時間t」を記憶する。つぎのステップS76では該当充電器に「待ち時間t」を送信し、ステップS77に進む。
一方、前記ステップS78では充電予約番号mが最大台数n以下であるから状態フィールドに「充電許可」を記憶しステップS77に進む。
【0061】
ステップS77において、全レコードについて確認していない場合はステップS70に戻り、ステップS70〜S78の動作が繰り返され、一方、全レコードについて確認がなされた場合はステップS79に進み充電器の制御が終了する。
【0062】
つぎに図4A〜図6Bを用いて、充電記憶部44aおよび未充電記憶部44bを構成する充電器情報管理テーブルの更新の具体例について説明する。
【0063】
充電器No.3より充電要求があった場合、空きの予約番号(この場合1)を確認する。予約番号が同時に接続可能な充電器の台数以下なので、図4Aに示すように、充電器No.フィールドに「充電器No.」、状態フィールドに「充電許可」を記憶する。
【0064】
充電器制御装置4から充電器No.3に対して「充電許可」が送信されると、充電器No.3の充電器2は充電を開始し、充電器制御装置4に「充電中」と「残り時間T」を送信する。充電器制御装置4は図4Bに示すように、受信した「充電中」と「残り時間T」をそれぞれ状態フィールドと残り時間(待ち時間)フィールドに記憶する。
【0065】
つづいて、充電器No.1より充電要求があった場合、空きの予約番号(この場合2)を確認する。予約番号が同時に接続可能な充電器の台数以下なので、充電器制御装置4は、図5Aに示すように、充電器No.フィールドに「充電器No.」を記憶し状態フィールドに「充電許可」を記憶する。
【0066】
その後、5台の充電器2が充電中になっている状態で、充電器No.4より充電要求があった場合、空きの予約番号(この場合6)を確認する。予約番号が同時に接続可能な充電器の台数(この場合「5台」)を上回っているので、図5Bのように、状態フィールドには「充電待機」が記憶され、残り時間(待ち時間)フィールドには、充電中の充電器2の残り時間Tから計算された「待ち時間t」を記憶する。
【0067】
図5Bの状態から、5分が経過すると、充電器No.3の充電器2の充電が終了する。
充電を終了した充電器No.3のデータは図6Aのように削除され、テーブル全体が繰り上がる。
充電待機中の充電器No.4の予約番号が−1となり、同時に接続可能な充電器2の台数以下となったので、状態フィールドに「充電許可」が記憶される。
【0068】
充電器制御装置4から充電器No.4の充電器2に対して「充電許可」が送信されると、充電器No.4の充電器2は充電を開始し、充電器制御装置4に「充電中」と「残り時間T」を送信する。充電器制御装置4が受信した「充電中」と「残り時間T」をそれぞれ図6Bのように状態フィールドと残り時間(待ち時間)フィールドに記憶する。
引き続き、充電器より充電要求があった場合(この場合充電器No.8と9)、レコードが順次追加される。
【0069】
つぎに、図3の充電器制御装置4の判別手段43cおよび時間変更手段43dの機能および運用について説明する。
前記判別手段43cおよび時間変更手段43dは、混雑状況を予測ないし実測し、前記最大時間Tmaxを可変とするためのものである。
【0070】
判別手段43cは充電の利用要求率の状況を判別する。前記時間変更手段43dは前記判別手段43cにより、前記利用要求率が高いと判別された場合には、前記利用要求率が低いと判別された場合に比べ、前記最大時間Tmaxを短くする。
【0071】
たとえば、前記判別手段43cは図6Bの前記充電待機中の充電器2の台数が所定数(5台)以上の場合に利用要求率が高いと判別し、かつ、前記充電待機中の充電器2の台数が前記所定数(5台)未満の場合に利用要求率が低いと判断してもよい。
【0072】
また、前記判別手段43cは現在の待ち時間tに最大時間Tmaxを加算した時間が所定時間(たとえば2時間)を超える場合に利用要求率が高いと判別し、前記加算した時間が所定時間未満の場合に利用要求率が低いと判断してもよい。
【0073】
前記最大時間Tmaxを変更するには、図3の時間変更手段43dは最大時間記憶部4bの最大時間Tmaxを変更すると共に、当該変更した最大時間Tmaxを図2の充電器2に送信する。充電器2は受信した最大時間Tmaxの値を最大時間記憶部2bに更新記憶させる。
【0074】
なお、利用要求率が低くなった場合には、前記最大時間Tmaxが長くなるように最大時間記憶部2b,4bの記憶内容を変更する。
【0075】
ところで、前記実施例では、充電器と充電器制御装置は無線で通信を行っているが、有線方式で行うことも可能である。なお、充電器と充電器制御装置の通信は無線で行うので、システムを容易に構築でき、充電器の増設などにも直ぐに対応できる。
【0076】
充電器もしくは充電器制御装置に個人情報の読み取り装置(カードリーダーなど)と入力装置(充電器指定、充電時間設定、充電要求入力など)を設け充電する方法も可能である。なお、この場合、利用者の識別情報を基に充電時間を設定することが可能となる。
【0077】
また、残り時間Tに代えて、実充電時間で管理してもよい。また、残り時間Tの計算や実充電時間の計測は充電器2および/または充電器制御装置4のいずれで行ってもよい。
充電器制御装置で「最大時間」を設定して充電器へ送信する場合、一般利用者には充電器に設定されているデフォルトの最大時間で充電を行い、優良な利用者などには延長した最大時間で充電を行うといった使い方ができる。
【0078】
前記実施例では、充電器制御装置を別装置としているが、この機能を複数台の充電器の1台に内蔵する事も可能である。
実施例では充電器の表示器に当該充電器の充電待ち時間を表示しているが、充電待ち台数を表示する事も可能である。又、表示器は充電器に組み込んでも良いし、充電器とは別の表示器を用意しても良い。或いは、別途、表示装置を設けて、駐車場全体の充電器の状態(充電待ち時間、充電待ち台数など)を表示することも出来る。
なお、表示器以外に、音声メッセージで充電待ち時間を知らせることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は平面的な駐車場に限らず、立体式の駐車場や、路上の駐車場についても適用できる。
【符号の説明】
【0080】
1:変電設備(高圧受電)
2:充電器
2b:最大時間記憶部
3:電気自動車(EV車)
4:充電器制御装置
4a:最大台数記億部
4b:最大時間記憶部
41:無線通信部
42:管理部
43:CPU
43a:台数設定手段
43b:選択手段
43c:判別手段
43d:時間変更手段
44:メモリ
44a:充電記億部
44b:未充電記億部
45:タイマ
46:表示器
47:操作部
5:充電ケーブル
21:無線通信部
22:制御部
23:CPU
24:メモリ
25:タイマ
26:表示器
27:スイッチ
28:充電電源制御回路
29:コンセント
T:残り時間
t:待ち時間
Tmax:最大時間
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車システムにかかり、特に複数の駐車スペースを有し、それら各駐車スペースに駐車された車両に対して充電を行う充電器を備える駐車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動機(モータ)を動力源として走行する電気自動車やハイブリット自動車が普及しつつある。また、こうした電気自動車又はハイブリット自動車において、商用電力などが一般の家庭用電力を用いての車載バッテリの充電を可能とする、いわゆるプラグイン方式が実用化されつつある。
【0003】
車載バッテリの充電設備に関する技術としては、例えば下記の特許文献1〜3の充電管理システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−69678(要約)
【特許文献2】特開2010−22099(要約)
【特許文献3】特開2010−161912(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2001−69678は終業時、一斉に接続されたフォークリフトに対して、契約電力の範囲で充電器を任意に切替え、合計電力が予め設定した最大値を超えない様に監視制御するものであるが、充電器からのステータス情報なしで、充電用電源の出力元で電流値を検出して電流制限装置のスイッチによって充電器を切り替えている為、電力を供給する必要の無い(負荷が接合されていない)充電器に電力を供給する場合や、電力の供給を必要とする充電器に電力を供給できない場合が発生する。
また、余剰電力が出来た場合、次の充電器に電力供給を開始するが、充電用電源の出力元で電流値を検出し、供給可能な電流値を上回った場合に充電器を停止させる制御をしている為、充電器が必要とする電力が余剰電力を大きく上回ると、ブレーカーが落ちる危険性がある。
【0006】
特開2010−22099は、駐車システムについて開示している。
充電予約には駐車位置番号、暗証番号、充電希望日時、充電量(充電時間)などを入力する操作装置、或いは端末装置が必要で、充電は、入力された予約情報を基に時系列的にまとめられたスケジュール、電力単価の比較結果等を総合的に判断した上で実施される。つまり、充電予約の為の特別な操作装置を必要とし、充電器を制御するための複雑なスケジュール作成などを必要とする。
【0007】
本発明は以上のような種々の問題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は複数の駐車スペースを有し、該駐車スペースに駐車された車両に対して充電を行う充電器を駐車スペースごとに備える充電器付の駐車システムであって、前記複数の充電器を制御する充電器制御装置を有し、前記充電器制御装置は、前記複数の充電器が同時に充電可能な最大台数を設定する台数設定手段と、前記複数の充電器のうちの充電を行う充電器を選択する選択手段とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、予め同時に動作可能な充電器の台数を設定することで、充電システム全体が必要とする電力の最大値を決められるので、過大な受電設備が不要となる。また、充電可能な最大台数が設定されるから、同時に動作可能な充電器が限られているので、供給可能な電力の最大値を上回ることがない。
また、充電を行う充電器を選択するので、充電を必要としない充電器に電力を供給したり、あるいは、充電を必要とする充電器に電力が供給されないという事態が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の充電器付の駐車システムの一実施例を示す概略構成図である。
【図2】充電器の一例を示す概略構成図である。
【図3】充電器制御装置の一例を示す概略構成図である。
【図4】充電器制御装置の記憶内容の一部を示す図表である。
【図5】充電器制御装置の記憶内容の一部を示す図表である。
【図6】充電器制御装置の記憶内容の一部を示す図表である。
【図7】充電器の制御フローを示すフローチャートである。
【図8】充電器の制御フローを示すフローチャートである。
【図9】充電器制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】記憶内容の更新の方法を示すフローチャートである。
【図11】記憶内容の更新の方法を示すフローチャートである。
【図12】充電器制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい実施例では、1回の充電につき充電可能な最大時間を記憶する最大時間記憶部と、前記各充電器が1回の充電につき充電した時間を計測するタイマとを更に備え、前記選択手段は、前記タイマが計測した充電時間が前記最大時間に達すると、当該充電器による充電を停止し、かつ、充電のために待機していた別の充電器による充電を行わせる。
【0012】
所定時間経過すると充電を終了するので、多くの利用者が順次公平に充電できる。
【0013】
本発明の更に好ましい実施例では、前記充電器制御装置は充電中の充電器の号機ごとに1回の充電につき充電した実充電時間、あるいは、1回の充電につき前記最大時間から充電した実充電時間を減算した残り時間を記憶する充電記憶部と、充電の予約がなされ、かつ、未充電の充電待機中の充電器を充電器の号機ごとに記憶する未充電記憶部とを更に備え、前記選択手段は、前記各号機ごとの充電器について、前記充電記憶部に記憶された実充電時間が最大時間となった充電器が有る場合に、あるいは、前記充電記憶部に記憶された残り時間が0となった充電器が有る場合に、当該充電器による充電を停止させ、前記待機中の充電器のうち待機順の最も早い号機を選択して当該号機の充電器による充電を開始させることを特徴とする。
【0014】
これにより、所定の充電の最大時間が経過すると、充電済(充電終了)の充電器から未充電(充電待機)の充電器への充電の切替が容易になされる。
なお、本明細書において「充電済」とは本システムの充電器によって所定時間ないし最大時間にわたって充電がなされたことを意味し、満充電を意味するものではない。
【0015】
本発明の更に好ましい実施例では、充電の利用要求率の状況を判別する判別手段と、前記判別手段により、前記利用要求率が高いと判別された場合には、前記利用要求率が低いと判別された場合に比べ、前記最大時間を短くする時間変更手段を更に備えている。
【0016】
この場合、充電の利用要求率が高い場合には充電できる最大時間を短くすることで、多数の人に充電器の利用を可能とする。
【0017】
本発明の更に好ましい実施例では、前記判別手段は前記充電待機中の充電器の台数が所定数以上の場合に利用要求率が高いと判別し、かつ、前記充電待機中の充電器の台数が前記所定数未満の場合に利用要求率が低いと判断する。
【0018】
この場合、利用要求率の大小を駐車している車の台数ではなく、充電器が実際に利用(接続)されている台数によって判別するので、充電器の公平な利用を図り得る。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
【0020】
図1に示すように、本駐車システムは、電気自動車3を駐車するための多数の駐車スペース(エリア)を有している。各駐車スペースには駐車された電気自動車3(車両の一例)に対して充電ケーブル5を介して充電を行う充電器2が設けられている。
【0021】
前記各充電器2は変電設備1に並列に接合されている。変電設備1は電力会社から高電圧の電力を受電し、これを交流200Vに変圧して各充電器2に給電する。
各充電器2は充電器制御装置4によって制御される。
【0022】
図2の充電器2は交流200Vの電力線(電源線)においてコンセント29を介して電気自動車3に給電するか否かを制御する充電電源制御回路28を有している。この充電電源制御回路28は充電器2の制御部22および図3の充電器制御装置4の管理部42によってON・OFFが制御される。
【0023】
図2および図3に示すように、各充電器2および充電器制御装置4は、それぞれ、無線通信部21および無線通信部41を備えており、所定の通信プロトコルにより相互に送受信を行う。
【0024】
図2の充電器2の制御部22はCPU23、メモリ24およびタイマ25を備えると共に、無線通信部21、表示器26およびスイッチ27に接続されている。一方、図3の充電器制御装置4の管理部42は別のCPU43、メモリ44およびタイマ45を備えると共に、別の無線通信部41、表示器46および操作部47が接続されている。
【0025】
図2の充電器2の前記メモリ24は、1回の充電につき充電可能な最大時間Tmaxを記憶する最大時間記憶部2bを備える。前記充電器2のタイマ25は前記各充電器2が1回の充電につき充電した時間を計測する。
【0026】
図3のCPU43は台数設定手段43aおよび選択手段43bを備える。前記台数設定手段43aは前記複数の充電器が同時に充電可能な最大台数を設定する。前記選択手段43bは前記複数の充電器2のうちの充電を行う充電器2を選択する。
なお、CPU43は後述する判別手段43cおよび時間変更手段43dを備えていてもよい。
【0027】
図3の充電器制御装置4の前記メモリ44は、最大台数記憶部4a、最大時間記憶部4b、充電記憶部44aおよび未充電記憶部44bを備える。
前記最大台数記憶部4aには前記台数設定手段43aにより設定された最大台数が記憶される。
前記最大時間記憶部4bには前記操作部47により設定された最大時間Tmaxが記憶される。
前記最大時間記憶部4bに記憶された最大時間Tmaxは図2の充電器2の最大時間記憶部2bに記憶された最大時間Tmaxと同じ時間となるように通信および制御が行われる。
【0028】
なお、前記最大時間記憶部2b,4bは少なくともいずれか一方のみを設ければよい。
【0029】
図4Aおよび図4Bに示すように、前記充電記憶部44aは充電中の充電器2の号機(充電器No.)ごとに1回の充電につき充電した実充電時間、あるいは、1回の充電につき前記最大時間Tmaxから充電した実充電時間を減算した残り時間Tを記憶する。本実施例の場合、実充電時間ではなく残り時間Tが記憶される。
【0030】
一方、図6Aおよび図6Bに示すように、前記未充電記憶部44bは充電の予約がなされ、かつ、未充電の充電待機中の充電器2を充電器2の号機ごとに記憶すると共に、充電の予約がなされた後の未充電で待機する(充電開始までの)待ち時間tを記憶する。
【0031】
前記充電記憶部44aおよび未充電記憶部44bは、ともに予約番号ごとに充電器No.当該No.の充電器の状態および時間を記憶する。充電記憶部44aに記憶された時間は残り時間Tと認識され、一方、未充電記憶部44bに記憶された時間は待ち時間tと認識される。
【0032】
前記充電器の状態としては、充電記憶部44aの状態のフィールドに記憶される「充電中」および「充電許可」と未充電記憶部44bの状態のフィールドに記憶される「充電待機」とが存在する。
【0033】
図3の前記選択手段43bは、前記タイマ25が計測した実充電時間が前記最大時間に達すると、当該充電器2による充電を停止し、かつ、充電のために待機していた別の充電器2による充電を行わせる。すなわち、前記選択手段43bは、前記各号機ごとの充電器2について、前記充電記憶部44aに記憶された実充電時間が最大となった充電器2が有る場合に、あるいは、前記充電記憶部44aに記憶された残り時間Tが0となった充電器2が有る場合に、当該充電器2による充電を停止し、前記待機中の充電器2のうちの待機順の最も早くに充電予約がなされた号機を選択して当該号機の充電器2による充電を開始させる。
【0034】
本実施例の場合、実充電時間ではなく、残り時間Tによって充電器2の前記選択がなされる。たとえば、図5Bの充電器No.4(予約番号「6」)の充電器2は充電待機中であるが、充電中の充電器No.3(予約番号「1」)の残り時間Tの5分が経過すると、予約番号が1つ繰り上がり(予約番号「5」)、図6Aのように充電許可が与えられる。
【0035】
つぎに、本システムの運用を図7〜図12のフローチャートを用いて説明する。
前記充電器制御装置4には変電設備1の契約最大受電容量から割り出した同時に充電可能な充電器の最大台数n(例:n=5台)と、1回の充電につき充電可能な最大時間Tmax(たとえば30分)が図3の操作部47を操作して台数設定手段43aおよび時間変更手段43dにより設定され、最大台数記憶部4aおよび最大時間記憶部4bに記憶されている。
なお、充電器2とEV車3との情報交換については省略する。
【0036】
まず、図7および図8の充電器の制御フローについて説明する。
図7のステップS1においては、充電器制御装置4より受信した「現在の待ち時間t」を充電器2の表示器26が表示する。
利用者が現在の待ち時間を確認して充電するか否かを決めるので、充電できない、或いは、充電に時間がかかることでトラブルとなるおそれが無い。
【0037】
つづいて、ステップS2に進み、充電する場合にはステップS3に進んで充電器2の充電スイッチ27をONにする。一方、ステップS2において充電しない場合にはステップS1に戻る。
【0038】
ステップS3のつぎにステップS4に進み、充電器2は「充電許可要求」信号を充電器制御装置4へ送信する。なお、充電器制御装置4から応答が無い場合、再度「充電許可要求」信号を送信する。
【0039】
つぎのステップS5において、充電器2が充電器制御装置4からの「充電許可」信号を受信すると、ステップS6に進み、一方、同信号を受信しない場合は、図8のステップS21に進む。
【0040】
図8のステップS21において、待ち時間tを受信しない場合はステップS4に戻り、一方、ステップS21において待ち時間tを受信すると、ステップS22に進み充電器2の表示器26が待ち時間tを表示する。
【0041】
つぎのステップS23では充電器2の充電スイッチがONである場合には前記ステップS5に戻り、一方、充電スイッチがOFFの場合にはステップS24に進む。
【0042】
ステップS24においては、充電器2はコンセントへの電力供給を停止すると共に、「充電終了」を充電器制御装置4へ送信する。この後、ステップS1に戻る。
【0043】
前記ステップS5において「充電許可」を受信して図4Aの充電許可の状態になると、ステップS6に進み、充電器2は最大充電時間Tmaxを基に残り時間T(例:30分)を設定すると共に、充電電源制御回路28を制御してコンセントに電力を供給し、図4Bの充電中となる。同時に充電時間の計測を開始する。
【0044】
つぎのステップS7では、充電器2は充電器制御装置4へ「充電中」を示す残り時間T信号を送信すると同時に、残り時間Tを表示する。
【0045】
つづいてステップS8に進み、充電スイッチがOFFになっている場合は図8のステップS24に進み、一方、充電スイッチがONのままの場合は図7のステップS9に進む。
【0046】
前記ステップS9において、残り時間Tが0になっていなければステップS7に戻り、残り時間Tが0になるまでステップS7〜S9の動作が繰り返される。一方、ステップS9において残り時間Tが0になるとステップS10に進んで充電スイッチがOFFになって充電が終了し、図8の前記ステップS24に進む。
【0047】
つぎに、図9の充電器制御装置4のフローチャートについて説明する。
図9のステップS31において、充電器制御装置4が充電器2から充電許可要求の信号を受信すると、ステップS32に進み、図10の充電器情報管理テーブル(充電記憶部44a)について次に説明する更新[1]が実行される。
【0048】
すなわち、図10のステップS40に進み充電器2より「充電器No.」を取得すると共に、充電器情報管理テーブルより空きの充電予約番号を取得する。同時に、充電器情報管理テーブルの充電器No.フィールドに「充電器No.」を記憶する。
【0049】
つづいて、ステップS41に進み充電予約番号mが充電可能な最大台数n以下の場合にはステップS42に進み、図4Aおよび図5Aのように、充電器情報管理テーブルの充電記憶部44aの状態フィールドに「充電許可」を記憶する。
【0050】
一方、図10のステップS41において充電予約番号mが最大台数nよりも大きい場合にはステップS43に進む。ステップS43においては、図5Bの充電器情報管理テーブルの未充電記憶部44bの状態フィールドに「充電待機」を記憶する。同時に、充電が開始されるまでの予定の待ち時間を計算し、残り時間(待ち時間)フィールドに「待ち時間t」を記憶する。
【0051】
前記ステップS42またはS43の実行により、充電器情報管理テーブルの更新[1]が終了する。
【0052】
図9のステップS31において「充電許可要求」を受信しない場合はステップS33に進む。
図9のステップS33において、充電器制御装置4が充電器2から「充電中」,残り時間Tの信号を受信すると、ステップS34に進み、図11Aの充電器情報管理テーブルの充電記憶部44aの更新[2]が実行される。
【0053】
すなわち、図11AのステップS50に進み、充電器制御装置4が充電器2より充電器No.および残り時間Tを取得する。
つづいて、ステップS51に進み、図4Bのように該当する充電器No.の状態フィールドが「充電中」である場合はステップS52において、該当する充電器No.の残り時間(待ち時間)フィールドに残り時間Tを記憶する。
一方、ステップS51において、図4Aのように「充電中」でない場合は、ステップS53に進み、図4Bのように、該当する充電器No.の状態フィールドが「充電中」を記憶する。また、該当する充電器No.の残り時間(待ち時間)フィールドに残り時間Tを記憶する。
【0054】
前記ステップS52またはS53の実行により、充電器情報管理テーブルの更新[2]が終了する。
【0055】
図9のステップS33において「充電中」を受信しない場合はステップS35に進む。図9のステップS35において、充電器制御装置4が充電器2から「充電終了」の信号を受信した場合には、ステップS36に進み、図11Bの充電器情報管理テーブルの充電記憶部44aの更新[3]が実行される。
【0056】
すなわち、図11BのステップS60に進み、充電器より充電器No.を取得し、充電器情報管理テーブルより、該当する充電器No.を含むレコードを削除すると共に、削除したレコード以下のレコードを繰り上げる。
【0057】
前記ステップS60の実行により、充電器情報管理テーブルの更新[3]が終了する。
【0058】
図9のステップS35において充電終了を受信しない場合、図12のフローチャートにしたがって充電器制御がなされる。
充電器制御装置4はステップS70において、充電器情報管理テーブルのレコードを確認し、ステップS71に進み状態フィールドが「充電許可」になっている場合はステップS72に進み、該当充電器に「充電許可」を送信する。
【0059】
一方、ステップS71において「充電許可」となっていない場合はステップS73に進む。ステップS73において状態フィールドが「充電待機」になっている場合はステップS74に進み充電予約番号mと最大台数nを比較し、m>nの場合はステップS75に進み、充電予約番号mが最大台数n以下の場合はステップS78に進む。
【0060】
ステップS75では予定の待ち時間tを計算し、残り時間(待ち時間)フィールドに「待ち時間t」を記憶する。つぎのステップS76では該当充電器に「待ち時間t」を送信し、ステップS77に進む。
一方、前記ステップS78では充電予約番号mが最大台数n以下であるから状態フィールドに「充電許可」を記憶しステップS77に進む。
【0061】
ステップS77において、全レコードについて確認していない場合はステップS70に戻り、ステップS70〜S78の動作が繰り返され、一方、全レコードについて確認がなされた場合はステップS79に進み充電器の制御が終了する。
【0062】
つぎに図4A〜図6Bを用いて、充電記憶部44aおよび未充電記憶部44bを構成する充電器情報管理テーブルの更新の具体例について説明する。
【0063】
充電器No.3より充電要求があった場合、空きの予約番号(この場合1)を確認する。予約番号が同時に接続可能な充電器の台数以下なので、図4Aに示すように、充電器No.フィールドに「充電器No.」、状態フィールドに「充電許可」を記憶する。
【0064】
充電器制御装置4から充電器No.3に対して「充電許可」が送信されると、充電器No.3の充電器2は充電を開始し、充電器制御装置4に「充電中」と「残り時間T」を送信する。充電器制御装置4は図4Bに示すように、受信した「充電中」と「残り時間T」をそれぞれ状態フィールドと残り時間(待ち時間)フィールドに記憶する。
【0065】
つづいて、充電器No.1より充電要求があった場合、空きの予約番号(この場合2)を確認する。予約番号が同時に接続可能な充電器の台数以下なので、充電器制御装置4は、図5Aに示すように、充電器No.フィールドに「充電器No.」を記憶し状態フィールドに「充電許可」を記憶する。
【0066】
その後、5台の充電器2が充電中になっている状態で、充電器No.4より充電要求があった場合、空きの予約番号(この場合6)を確認する。予約番号が同時に接続可能な充電器の台数(この場合「5台」)を上回っているので、図5Bのように、状態フィールドには「充電待機」が記憶され、残り時間(待ち時間)フィールドには、充電中の充電器2の残り時間Tから計算された「待ち時間t」を記憶する。
【0067】
図5Bの状態から、5分が経過すると、充電器No.3の充電器2の充電が終了する。
充電を終了した充電器No.3のデータは図6Aのように削除され、テーブル全体が繰り上がる。
充電待機中の充電器No.4の予約番号が−1となり、同時に接続可能な充電器2の台数以下となったので、状態フィールドに「充電許可」が記憶される。
【0068】
充電器制御装置4から充電器No.4の充電器2に対して「充電許可」が送信されると、充電器No.4の充電器2は充電を開始し、充電器制御装置4に「充電中」と「残り時間T」を送信する。充電器制御装置4が受信した「充電中」と「残り時間T」をそれぞれ図6Bのように状態フィールドと残り時間(待ち時間)フィールドに記憶する。
引き続き、充電器より充電要求があった場合(この場合充電器No.8と9)、レコードが順次追加される。
【0069】
つぎに、図3の充電器制御装置4の判別手段43cおよび時間変更手段43dの機能および運用について説明する。
前記判別手段43cおよび時間変更手段43dは、混雑状況を予測ないし実測し、前記最大時間Tmaxを可変とするためのものである。
【0070】
判別手段43cは充電の利用要求率の状況を判別する。前記時間変更手段43dは前記判別手段43cにより、前記利用要求率が高いと判別された場合には、前記利用要求率が低いと判別された場合に比べ、前記最大時間Tmaxを短くする。
【0071】
たとえば、前記判別手段43cは図6Bの前記充電待機中の充電器2の台数が所定数(5台)以上の場合に利用要求率が高いと判別し、かつ、前記充電待機中の充電器2の台数が前記所定数(5台)未満の場合に利用要求率が低いと判断してもよい。
【0072】
また、前記判別手段43cは現在の待ち時間tに最大時間Tmaxを加算した時間が所定時間(たとえば2時間)を超える場合に利用要求率が高いと判別し、前記加算した時間が所定時間未満の場合に利用要求率が低いと判断してもよい。
【0073】
前記最大時間Tmaxを変更するには、図3の時間変更手段43dは最大時間記憶部4bの最大時間Tmaxを変更すると共に、当該変更した最大時間Tmaxを図2の充電器2に送信する。充電器2は受信した最大時間Tmaxの値を最大時間記憶部2bに更新記憶させる。
【0074】
なお、利用要求率が低くなった場合には、前記最大時間Tmaxが長くなるように最大時間記憶部2b,4bの記憶内容を変更する。
【0075】
ところで、前記実施例では、充電器と充電器制御装置は無線で通信を行っているが、有線方式で行うことも可能である。なお、充電器と充電器制御装置の通信は無線で行うので、システムを容易に構築でき、充電器の増設などにも直ぐに対応できる。
【0076】
充電器もしくは充電器制御装置に個人情報の読み取り装置(カードリーダーなど)と入力装置(充電器指定、充電時間設定、充電要求入力など)を設け充電する方法も可能である。なお、この場合、利用者の識別情報を基に充電時間を設定することが可能となる。
【0077】
また、残り時間Tに代えて、実充電時間で管理してもよい。また、残り時間Tの計算や実充電時間の計測は充電器2および/または充電器制御装置4のいずれで行ってもよい。
充電器制御装置で「最大時間」を設定して充電器へ送信する場合、一般利用者には充電器に設定されているデフォルトの最大時間で充電を行い、優良な利用者などには延長した最大時間で充電を行うといった使い方ができる。
【0078】
前記実施例では、充電器制御装置を別装置としているが、この機能を複数台の充電器の1台に内蔵する事も可能である。
実施例では充電器の表示器に当該充電器の充電待ち時間を表示しているが、充電待ち台数を表示する事も可能である。又、表示器は充電器に組み込んでも良いし、充電器とは別の表示器を用意しても良い。或いは、別途、表示装置を設けて、駐車場全体の充電器の状態(充電待ち時間、充電待ち台数など)を表示することも出来る。
なお、表示器以外に、音声メッセージで充電待ち時間を知らせることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は平面的な駐車場に限らず、立体式の駐車場や、路上の駐車場についても適用できる。
【符号の説明】
【0080】
1:変電設備(高圧受電)
2:充電器
2b:最大時間記憶部
3:電気自動車(EV車)
4:充電器制御装置
4a:最大台数記億部
4b:最大時間記憶部
41:無線通信部
42:管理部
43:CPU
43a:台数設定手段
43b:選択手段
43c:判別手段
43d:時間変更手段
44:メモリ
44a:充電記億部
44b:未充電記億部
45:タイマ
46:表示器
47:操作部
5:充電ケーブル
21:無線通信部
22:制御部
23:CPU
24:メモリ
25:タイマ
26:表示器
27:スイッチ
28:充電電源制御回路
29:コンセント
T:残り時間
t:待ち時間
Tmax:最大時間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駐車スペースを有し、該駐車スペースに駐車された車両に対して充電を行う充電器を駐車スペースごとに備える充電器付の駐車システムであって、
前記複数の充電器を制御する充電器制御装置を有し、前記充電器制御装置は、
前記複数の充電器が同時に充電可能な最大台数を設定する台数設定手段と、
前記複数の充電器のうちの充電を行う充電器を選択する選択手段とを備えた充電器付の駐車システム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、1回の充電につき充電可能な最大時間を記憶する最大時間記憶部と、
前記各充電器が1回の充電につき充電した時間を計測するタイマとを更に備え、
前記選択手段は、前記タイマが計測した充電時間が前記最大時間に達すると、当該充電器による充電を停止し、かつ、充電のために待機していた別の充電器による充電を行なわせるようにした充電器付の駐車システム。
【請求項3】
請求項2のシステムにおいて、前記充電器制御装置は充電中の充電器の号機ごとに1回の充電につき充電した実充電時間、あるいは、1回の充電につき前記最大時間から充電した実充電時間を減算した残り時間を記憶する充電記憶部と、
充電の予約がなされ、かつ、未充電の充電待機中の充電器を充電器の号機ごとに記憶する未充電記憶部とを更に備え、
前記選択手段は、前記各号機ごとの充電器について、前記充電記憶部に記憶された実充電時間が最大時間となった充電器が有る場合に、あるいは、前記充電記憶部に記憶された残り時間が0となった充電器が有る場合に、当該充電器による充電を停止させ、前記待機中の充電器のうち待機順の最も早い号機を選択して当該号機の充電器による充電を開始させることを特徴とする充電器付の駐車システム。
【請求項4】
請求項3のシステムにおいて、充電の利用要求率の状況を判別する判別手段と、
前記判別手段により、前記利用要求率が高いと判別された場合には、前記利用要求率が低いと判別された場合に比べ、前記最大時間を短くする時間変更手段を更に備えた充電器付の駐車システム。
【請求項5】
請求項4のシステムにおいて、前記判別手段は前記充電待機中の充電器の台数が所定数以上の場合に利用要求率が高いと判別し、かつ、前記充電待機中の充電器の台数が前記所定数未満の場合に利用要求率が低いと判断する充電器付の駐車システム。
【請求項1】
複数の駐車スペースを有し、該駐車スペースに駐車された車両に対して充電を行う充電器を駐車スペースごとに備える充電器付の駐車システムであって、
前記複数の充電器を制御する充電器制御装置を有し、前記充電器制御装置は、
前記複数の充電器が同時に充電可能な最大台数を設定する台数設定手段と、
前記複数の充電器のうちの充電を行う充電器を選択する選択手段とを備えた充電器付の駐車システム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、1回の充電につき充電可能な最大時間を記憶する最大時間記憶部と、
前記各充電器が1回の充電につき充電した時間を計測するタイマとを更に備え、
前記選択手段は、前記タイマが計測した充電時間が前記最大時間に達すると、当該充電器による充電を停止し、かつ、充電のために待機していた別の充電器による充電を行なわせるようにした充電器付の駐車システム。
【請求項3】
請求項2のシステムにおいて、前記充電器制御装置は充電中の充電器の号機ごとに1回の充電につき充電した実充電時間、あるいは、1回の充電につき前記最大時間から充電した実充電時間を減算した残り時間を記憶する充電記憶部と、
充電の予約がなされ、かつ、未充電の充電待機中の充電器を充電器の号機ごとに記憶する未充電記憶部とを更に備え、
前記選択手段は、前記各号機ごとの充電器について、前記充電記憶部に記憶された実充電時間が最大時間となった充電器が有る場合に、あるいは、前記充電記憶部に記憶された残り時間が0となった充電器が有る場合に、当該充電器による充電を停止させ、前記待機中の充電器のうち待機順の最も早い号機を選択して当該号機の充電器による充電を開始させることを特徴とする充電器付の駐車システム。
【請求項4】
請求項3のシステムにおいて、充電の利用要求率の状況を判別する判別手段と、
前記判別手段により、前記利用要求率が高いと判別された場合には、前記利用要求率が低いと判別された場合に比べ、前記最大時間を短くする時間変更手段を更に備えた充電器付の駐車システム。
【請求項5】
請求項4のシステムにおいて、前記判別手段は前記充電待機中の充電器の台数が所定数以上の場合に利用要求率が高いと判別し、かつ、前記充電待機中の充電器の台数が前記所定数未満の場合に利用要求率が低いと判断する充電器付の駐車システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−113936(P2012−113936A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261263(P2010−261263)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000154152)株式会社富永製作所 (44)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000154152)株式会社富永製作所 (44)
【Fターム(参考)】
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