説明

充電式緊急用保安灯

【課題】高速道路等において、自動車事故や車両故障が発生した際に、付近を走行する車両等に緊急事態を知らせるための緊急用保安灯を提供することであり、視認性に優れた電光式発光体を具備し、電池残量が極端に少なくなった状態においても急速な充電が可能であり、実質的に使用不能になることがなく、必要な時に瞬時に使用することができ、かつ、煩雑な電池交換が不要で、取り扱い性に優れた充電式緊急用保安灯を提供する。
【解決手段】電圧が印加されたときに発光する発光体部と、前記発光体部に前記電圧を供給する電源部とを有し、前記電源部に急速充電可能な電気二重層キャパシタが設けられたことを特徴とする充電式緊急用保安灯。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両故障や自動車事故が発生した際に、現場付近を通行する車両運転者等に、緊急事態を周知させ、二次災害を防止するための緊急用保安灯に関する。
より詳しくは、従来の燃焼発炎剤を使用せず、電光式の発光体を信号灯として使用した充電式緊急用保安灯に関する。
【背景技術】
【0002】
車両故障や自動車事故の際に、燃焼により赤色炎を発光させ、周囲を走行する車両等に非常事態を知らせるための緊急用保安炎筒が知られている。緊急用保安炎筒は、炎色反応により赤色光を発光する硝酸ストロンチウムを含有した組成物が不飽和ポリエステル樹脂等にて硬化されてなる燃焼発炎剤を具備した発炎筒が知られており、通常自動車内に常備されている。
しかし、そのような緊急用保安炎筒は、長期間に渡る保管中に、燃焼剤の化学的性質の経時変化により、燃焼性能が劣化することがあるため、ある一定期間経過毎に交換の時期が定められている。
【0003】
一方、緊急用保安灯として、従来の燃焼剤を使用せずに、LEDのような電光式の発光体を発光信号として使用するタイプの緊急用保安灯が知られている。
そのようなタイプのものには、一般に発光体の電源となる電池が搭載されている。
例えば、電池の保存耐用条件は、一般的に、アルカリ電池では常温で3年以内、充電可能な二次電池では40〜60℃程度であるため、自動車内のような過酷な条件下では、短期間で電気性能が著しく低下し緊急時に速やかに使用できないという事態が生じていた。そのようなことを未然に防止するため、定期的な電池の交換が必要になり、煩雑な維持管理を要していた。
【0004】
特許文献1には、自動車に付設されているシガーソケットの差込口周辺の相違があっても統一的に用いることができる充電式車載用ライトが開示されている。
該特許文献には、ライトユニットにおける充電機構に、電気二重層コンデンサを採用するとともに、点灯手段にはLEDを採用することが記載されている。
その作用、効果として、電気二重層コンデンサを採用したので、急速充電が可能であること、また、点灯手段にはLEDを採用したので、車両の移動に伴う振動などを原因とする電球切れが発生しないことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−070634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高速道路等において、自動車事故や車両故障が発生した際に、付近を走行する車両等に緊急事態を周知させるための緊急用保安灯を提供することであり、視認性に優れた電光式発光体を具備し、電池の残存容量が極端に少ない状態においても急速な充電が可能で、実質的に使用不可になることがなく、必要な時に瞬時に使用することができ、かつ、煩雑な電池交換の手間が不要で、取り扱い性に優れた充電式緊急用保安灯を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は発光体として、電光式の発光体を具備した緊急用保安灯であって、その電源として、電気二重層キャパシタを用いることを特徴としているものであり、以下に示すものである。
【0008】
(1)第1の発明は、電圧が印加されたときに発光する発光体部と、前記発光体部に前記電圧を供給する電源とを有し、前記電源に急速充電が可能な電気二重層キャパシタを使用したことを特徴とする充電式緊急用保安灯である。
【0009】
(2)第2の発明は、前記発光体部が、LEDからなる発光体であることを特徴とする第1の発明に記載の充電式緊急用保安灯である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の充電式緊急用保安灯に用いられる発光体の電源に、電気二重層キャパシタを採用することで、極めて短時間で急速充電でき、万が一電池残量がなくなった状態からでも瞬時に充電が完了でき、使用不能に陥ることがない。
また、電気二重層キャパシタは、耐熱温度が60℃〜85℃であり電池と比較して高く、自動車内に保存した場合でも電気性能の劣化は少ない。
また、光源としてLEDを採用することによって、低消費電力でありながら、高輝度で視認性に優れた信号を一定時間、持続的に発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の充電式緊急用保安灯を示す模式図。
【図2】本発明の充電式緊急用保安灯を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照し説明する。
図1は、本発明の充電式緊急用保安灯の模式図である。
図1に示すように、充電式緊急用保安灯は、薄型平板状をした本体部1の上部に発光ダイオードからなる発光体部2が複数個取り付けられており、透明な部材からなる発光部カバー部3が複数の発光ダイオードからなる発光面を覆っている構造を有している。スイッチ部5を有していてもよい。
充電式緊急用保安灯の本体部1の内部空間には、本発明の緊急用保安灯の電源である電気二重層キャパシタが収納されている。この電気二重層キャパシタは、前述の発光ダイオードに電圧を供給するものであり、活性炭と電解液の界面に発生するプラスとマイナスの電極を有する電気二重層を動作原理として利用するものであって、その特徴とするところは、小型で大きな静電容量を得ることができるとともに、急速充電が可能であり、急速充電を繰り返しても寿命を短くすることはないという点にある。
【0013】
本体部の下端には、充電用端子部4が設けられている。この充電用端子部は、後述する充電器の接点バネに接触された場合、通常クレードル側に付属されている充電器を介して充電電圧が印加されるものである。なお、本発明の充電式緊急用保安灯の本体内部に充電器が付設されていても良い。
充電時間は、数秒〜1分程度で終了し、そのような充電条件にて、LEDが少なくとも5分間以上継続して、所定の発光輝度にて発光させることが可能できるものが好ましい。 本発明の充電式緊急保安灯の充電用電源としては車載用バッテリーを電源とし用いることができ、例えば、車内のシガーソケット等から、専用の充電用端子を有する充電器を接続し、充電できるようにしても良い。
【0014】
充電式緊急用保安灯の制御回路は、例えば発光ダイオードを均一的に発光させる、あるいは揺らぎを付けて発光させるといったような電子回路を有している。
ここで発光ダイオードの仕様としては特に制限がないが、従来の燃焼剤を用いる信号炎筒と遜色の無い輝度を有していることが好ましく、具体的には、160カンデラ以上の輝度を有し、昼間では少なくとも600m以上、夜間では2km以上はなれた場所から視認できるものが好ましい。
また、連続発光可能時間は最低5分以上、好ましくは10分以上あるものが良い。
【0015】
図1には、薄型平板状の形状をしている充電式緊急用保安灯を図示したが、本発明の保安灯においてはこのような形状のものに限定されることなく、例えば図2に示した円筒形状のものであっても良いし、断面が楕円形状をしているものであっても良い。
例えば、薄型平板状のものは、裏面にマグネットをつけることで、自動車の車体に貼り付けて使用でき、設置の自由度が増す。
また、円筒状あるいは楕円型状のものは、手に持って使用するのに適している。
従って、本発明の充電式緊急用保安灯は、どのような形態であっても良い。
【0016】
本発明によれば、煩わしい電池交換が不要であるとともに、充電が切れている場合でも急速充電してすぐに使用することができる。
また、従来の燃焼剤タイプの緊急用保安炎筒と比較して、使用可能期間が圧倒的に長く、定期的な交換の必要がない。
【0017】
本発明の充電式緊急用保安灯によれば、電池を使用したものより耐熱性が高く、車内温度に耐えることができる。また、サイクル寿命も長く、製品寿命を著しく長くできる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明によれば、自動車内に長期間常設しておくのに好適な充電式緊急用保安灯を提供することができ、そのような緊急用保安灯は、交通事故時や車両故障時の緊急事態の周知に資する。
【符号の説明】
【0019】
1 本体部
2 発光体部
3 カバー部
4 充電用端子部
5 スイッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧が印加されたときに発光する発光体部と、前記発光体部に前記電圧を供給する電源とを有し、前記電源に急速充電が可能な電気二重層キャパシタを使用したことを特徴とする充電式緊急用保安灯。
【請求項2】
前記発光体部が、LEDからなる発光体であることを特徴とする請求項1に記載の充電式緊急用保安灯。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−114955(P2013−114955A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261358(P2011−261358)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000228349)日本カーリット株式会社 (269)
【Fターム(参考)】