説明

充電式電池および電池収容ケース

【課題】充電式電池が外部機器に装着されていない場合でも、自己の電池残量を消費することなく、充電式電池の充電が必要であるか否かについて表示することが可能な充電式電池および電池収容ケースを提供する。
【解決手段】電源供給が断たれても表示を維持する不揮発性表示部340と、外部機器(充電器120、医療機器160)から電源の供給を受け、その電源を不揮発性表示部340に供給するとともに、自身の充電要否を示す充電要否情報を表示するように不揮発性表示部340を制御する表示制御部360とを備える。これにより、外部機器から供給を受けた電源のみで充電式電池140の充電要否を示す充電要否情報が不揮発性表示部340に表示され、その後の電源供給がなくても不揮発性表示部340の表示状態は維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電式電池および電池収容ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療機器の電源として、充電を行うことにより繰り返し再利用できる充電式電池が広く使われている。医療機器の中には、充電式電池が装着されている場合、当該充電式電池の残容量を表示するものがある。さらに、医療機器の中には、充電式電池の充電が必要である場合、警告を報知するものもある。
【0003】
しかし、充電式電池が医療機器に装着されていない場合には、充電されている充電式電池と充電されていない充電式電池とを区別する情報が得られないため、充電式電池が充電されたものであるか否かについて判断できないという問題があった。あくまで、医療機器に装着してみないと充電式電池が充電されたものであるかを判断できず、非常に不便であった。
【0004】
一方、このような不便さを解消しうるものとして、例えば、特許文献1に記載された技術が公知である。特許文献1に記載の技術では、電池の外部から視認可能な箇所にマイクロカプセル型電気泳動式の表示部を備え、電池本体から電圧を表示部に印加することで、電池残存容量を表示部に表示させるようにしている。これにより、電源として使用される機器に電池を装着しなくても、充電の要否を表示することができる。従って、表示部を見るだけで、電池が充電されたものであるか否かについて判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−216932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記技術は、表示部の動作に際して電池本体の電源を消費するものである。そのため、特許文献1に記載の電池では、当該電池が外部電源からの充電電力の供給がない環境におかれた場合、例えば、当該電池が使用待ち状態で電子機器に装着されずに保管されるような場合には、自己の電池残量の表示のために自己の電池電力を消費していることになる。従って、上記特許文献1に記載の技術では、機器への未装着時に満充電状態を保持することができない。保管時に満充電を維持できない電池は、特に医療用電子機器のように、救急救命時、患者搬送時等の緊急時における動作の確実性、病院内に限らず、病院外で所定時間稼働し続ける信頼性等が求められる電子機器に適用することができない。
【0007】
本発明は、充電式電池が外部機器に装着されていない場合でも、自己の電池残量を消費することなく、充電式電池の充電が必要であるか否かについて表示することが可能な充電式電池および電池収容ケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る充電式電池は、
電源供給が断たれても表示を維持する不揮発性表示部と、
外部機器から電源の供給を受ける電源受給部と、
前記電源受給部において供給を受けた前記電源に基づいて、自身の充電要否を示す充電要否情報を表示するように前記不揮発性表示部を制御する表示制御部と、
を備える。
【0009】
また、本発明に係る電池収容ケースは、
充電式電池を収容可能な電池収容ケースであって、
外部機器から電源の供給を受ける電源受給部と、
前記電源受給部において供給を受けた前記電源に基づいて、前記充電式電池の充電要否を示す充電要否情報を表示するように不揮発性表示部を制御する表示制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る充電式電池または電池収容ケースによれば、充電式電池が外部機器に装着されていない場合でも、自己の電池残量を消費することなく、充電式電池の充電が必要であるか否かについて表示することが可能な充電式電池および電池収容ケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施の形態における充電式電池を備えた充放電システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態における不揮発性表示部の表示例を示す図である。
【図3】本実施の形態における電池収容ケースの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すように、充放電システム100は、充電器120、充電式電池140および医療機器160を備える。
【0013】
まず、充電器120の構成について説明する。図1に示すように、充電器120は、外部電源入力部200、充電制御部220および第1給電部240を備える。
【0014】
外部電源入力部200は、充電器120の一部に露出するように設けられた電源端子であり、家庭用の交流電源(図示せず、以下同じ)に接続することが可能である。外部電源入力部200は、家庭用の交流電源に接続された場合、交流100Vなどの電源を入力する。
【0015】
充電制御部220は、充電器120に充電式電池140が装着されている場合、外部電源入力部200により入力された交流電源を、充電式電池140を充電するための直流電源に変換する。そして、充電制御部220は、変換した直流電源を充電式電池140に供給することによって充電式電池140を充電する。なお、充電制御部220から充電式電池140への電源供給は、充電器120および充電式電池140のそれぞれに設けられた専用の端子を介して行われる。
【0016】
また、充電制御部220は、充電式電池140が満充電であるか否かについて判定する。例えば、充電式電池140は、充電式電池140の電圧を計測する電池電圧計測部(図示せず)によって計測された電圧に基づいて、充電式電池140が満充電であるか否かについて判定する。また、充電制御部220は、充電式電池140に流れる充放電の電流値を積算することで充電式電池140の蓄電電荷量を計算し、当該蓄電電荷量に基づいて、充電式電池140が満充電であるか否かについて判定する。なお、充電式電池140の満充電を判定する方法としては、充電式電池140の特性に応じて、各種の満充電判定方法を用いることが可能である。この方法によれば、例えば、満充電付近になると温度上昇率が増加する特性を有しているニッケル水素電池の場合、ニッケル水素電池の温度上昇率を検知し、この温度上昇率が所定の閾値を超えたときに満充電であると判定することができる。
【0017】
充電制御部220は、充電式電池140が満充電であると判定した場合、その旨を第1給電部240に通知する。一方、充電制御部220は、充電式電池140が満充電でないと判定した場合、第1給電部240に何も通知しない。
【0018】
第1給電部240は、充電式電池140が満充電である旨の通知を充電制御部220から受けた場合、外部電源入力部200により入力された交流電源を、充電式電池140に供給するための直流電源に変換する。そして、第1給電部240は、変換した直流電源を充電式電池140に供給する。なお、第1給電部240から充電式電池140への電源供給は、充電式電池140を充電するために使用される専用端子とは異なる、充電器120および充電式電池140のそれぞれに設けられた専用の端子を介して行われる。
【0019】
次に、充電式電池140の構成について説明する。図1に示すように、充電式電池140は、蓄電部300、第2給電部320、不揮発性表示部340および表示制御部360を備える。なお、以下の説明では、充電式電池140が医療機器160に使用されるものとして説明する。
【0020】
蓄電部300は、充電器120の充電制御部220から供給された電源を蓄電し、蓄電した電源を第2給電部320に供給する機能を有している。
【0021】
第2給電部320は、充電式電池140が医療機器160に装着されている場合、蓄電部300に蓄えられている電源を、医療機器160の動作電源として医療機器160に供給する。なお、第2給電部320から医療機器160への電源供給は、充電式電池140および医療機器160のそれぞれに設けられた専用の端子を介して行われる。
【0022】
不揮発性表示部340は、マイクロカプセル型電気泳動式の複数の表示素子を有し、電源供給が断たれても表示が維持される電子ペーパー等の表示装置である。つまり、不揮発性表示部340は、表示内容の更新の際は電源の供給を必要とするが、表示内容を維持するために電源の供給を必要としない。なお、マイクロカプセル型電気泳動式とは、複数の透明なマイクロカプセル内に黒色等の着色液体と白色微粒子とを封入し、電圧を印加することにより白色微粒子を電気泳動させて、色をスイッチング表示する方式である。
【0023】
表示制御部360は、充電器120の第1給電部240から電源の供給を受け、その供給を受けた電源に基づいて不揮発性表示部340を制御する。具体的には、表示制御部360は、第1給電部240から供給を受けた電源を不揮発性表示部340に供給するとともに、充電式電池140の充電が不要であることを示す充電要否情報を表示するように不揮発性表示部340を制御する。表示制御部360は、本発明の電源受給部および表示制御部として機能する。
【0024】
図2(a)は、充電式電池140の充電が不要であることを示す表示の例を示す図である。図2(a)に示すように、不揮発性表示部340は、充電式電池140の外部から視認可能な位置に設けられている。そして、不揮発性表示部340は、表示制御部360からの制御を受けて、充電式電池140の充電が不要であることを示す表示として、文字列「充電済」の表示を行う。この表示は、充電式電池140が充電器120から外されて医療機器160に装着されるまで維持される。
【0025】
また、表示制御部360は、医療機器160から電源の供給を受ける。そして、表示制御部360は、医療機器160から供給を受けた電源を不揮発性表示部340に供給するとともに、充電式電池140の充電が必要であることを示す充電要否情報を表示するように不揮発性表示部340を制御する。
【0026】
図2(b)は、充電式電池140の充電が必要であることを示す表示の例を示す図である。図2(b)に示すように、不揮発性表示部340は、表示制御部360からの制御を受けて、充電式電池140の充電が必要であることを示す表示として、文字列「要充電」の表示を行う。この表示は、充電式電池140が医療機器160から外された後も、充電器120に装着されて充電が完了するまでは維持される。
【0027】
最後に、医療機器160の構成について説明する。図1に示すように、医療機器160は、動作電源供給部400および第3給電部420を備える。
【0028】
動作電源供給部400は、充電式電池140から、医療機器160の動作電源の供給を受ける。医療機器160は、動作電源供給部400に供給された電源を利用することで、医療機器160の各種処理を実行する。動作電源供給部400は、充電式電池140から電源の供給を受け始めた場合、つまり充電式電池140が医療機器160に装着された直後であり充電式電池140の放電が始まった場合、その旨を第3給電部420に通知する。
【0029】
第3給電部420は、充電式電池140からの電源供給を受けた旨の通知を動作電源供給部400から受けた場合、充電式電池140の表示制御部360に電源を供給する。なお、第3給電部420は、動作電源供給部400に供給された動作電源の一部を、充電式電池140の表示制御部360に供給する電源として利用する。また、第3給電部420から充電式電池140への電源供給は、医療機器160の動作電源の供給に使用される専用端子とは異なる、充電式電池140および医療機器160のそれぞれに設けられた専用の端子を介して行われる。
【0030】
以上詳しく説明したように、本実施の形態の充電式電池140は、電源供給が断たれても表示を維持する不揮発性表示部340と、外部機器(充電器120、医療機器160)から電源の供給を受け、供給を受けた電源を不揮発性表示部340に供給するとともに、自身の充電要否を示す充電要否情報を表示するように不揮発性表示部340を制御する表示制御部360とを備える。
【0031】
具体的には、表示制御部360は、充電器120により充電式電池140が充電された場合、充電式電池140の充電が不要であることを示す充電要否情報を表示するように制御する。また、表示制御部360は、医療機器160により充電式電池140が装着された場合、充電式電池140の充電が必要であることを示す充電要否情報を表示するように制御する。
【0032】
このように構成した本実施の形態によれば、外部機器(充電器120、医療機器160)から供給を受けた電源のみで充電式電池140の充電要否を示す充電要否情報が不揮発性表示部340に表示され、その後の電源供給がなくても不揮発性表示部340の表示状態は維持される。よって、充電式電池が外部機器に装着されていない場合でも、自己の電池残量を消費することなく、充電式電池の充電が必要であるか否かについて表示することができる。
【0033】
以上に説明した実施の形態による充電式電池140の表示制御部360は、CPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えたマイクロプロセッサとして構成され、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。
【0034】
なお、上記実施の形態では、充電式電池140の充電が不要であることを示す表示として、文字列「充電済」の表示を行う例について説明したが、本発明はこれに限らない。要は、充電式電池140の充電が不要であることを示す表示であれば何でも良い。例えば、「○」、「OK」または「電池残量(充電率)=100%」などである。
【0035】
また、上記実施の形態では、充電式電池140の充電が必要であることを示す表示として、文字列「要充電」の表示を行う例について説明したが、本発明はこれに限らない。要は、充電式電池140の充電が必要であることを示す表示であれば何でも良い。例えば、「×」、「NG」または「電池残量(充電率)<100%」などである。
【0036】
また、上記実施の形態では、表示制御部360は、充電式電池140が医療機器160に装着された直後に、医療機器160から電源供給を受ける例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、充電式電池140が医療機器160に装着されてから所定時間が経過した後に、医療機器160から電源供給を受けるようにしても良い。要は、充電式電池140が医療機器160に装着された後(つまり、充電式電池140の放電が始まった後)であればいつでも良い。
【0037】
また、上記実施の形態では、充電式電池140が不揮発性表示部340および表示制御部360を備える例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図3に示すように、複数の充電式電池140を収容可能な電池収容ケース500が不揮発性表示部340および表示制御部360(図示せず)を備えるようにしても良い。複数の充電式電池140は、電池収容ケース500を介して、外部機器(充電器120、医療機器160)に接続される。
【0038】
この場合、表示制御部360は、充電器120により充電式電池140が充電された場合、充電器120から電源の供給を受ける。また、表示制御部360は、医療機器160により充電式電池140が装着された場合、医療機器160から電源の供給を受ける。そして、表示制御部360は、充電器120または医療機器160から供給を受けた電源を不揮発性表示部340に供給するとともに、充電式電池140の充電要否を示す充電要否情報を表示するように不揮発性表示部340を制御する。
【0039】
また、上記実施の形態では、充電器120と医療機器160とが別体である例について説明したが、医療機器160の内部に充電回路を搭載することにより、充電器120と医療機器160とを一体化しても良い。
【0040】
また、上記実施の形態では、充電式電池140が医療機器160に使用される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、充電式電池140は、医療機器160以外の電子機器に使用されても良い。
【0041】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
100 充放電システム
120 充電器
140 充電式電池
160 医療機器
200 外部電源入力部
220 充電制御部
240 第1給電部
300 蓄電部
320 第2給電部
340 不揮発性表示部
360 表示制御部
400 動作電源供給部
420 第3給電部
500 電池収容ケース



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源供給が断たれても表示を維持する不揮発性表示部と、
外部機器から電源の供給を受ける電源受給部と、
前記電源受給部において供給を受けた前記電源に基づいて、自身の充電要否を示す充電要否情報を表示するように前記不揮発性表示部を制御する表示制御部と、
を備える充電式電池。
【請求項2】
前記外部機器は、前記充電式電池を充電する充電器であり、
前記表示制御部は、前記充電器により前記充電式電池が充電された場合、前記充電式電池の充電が不要であることを示す充電要否情報を表示するように制御する請求項1に記載の充電式電池。
【請求項3】
前記外部機器は、医療機器であり、
前記表示制御部は、前記充電式電池が前記医療機器に装着された場合、前記充電式電池の充電が必要であることを示す充電要否情報を表示するように制御する請求項1に記載の充電式電池。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記充電式電池が前記医療機器に装着された直後に、前記充電式電池の充電が必要であることを示す充電要否情報を表示するように制御する請求項3に記載の充電式電池。
【請求項5】
充電式電池を収容可能な電池収容ケースであって、
外部機器から電源の供給を受ける電源受給部と、
前記電源受給部において供給を受けた前記電源に基づいて、前記充電式電池の充電要否を示す充電要否情報を表示するように不揮発性表示部を制御する表示制御部と、
を備える電池収容ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−115971(P2013−115971A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261423(P2011−261423)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000112602)フクダ電子株式会社 (196)
【Fターム(参考)】