説明

充電待ち時間情報提供装置およびカーナビゲーション装置

【課題】待ち行列を考慮した高精度の充電待ち時間情報を提供する。
【解決手段】充電待ち時間情報提供装置20の制御装置30は、車両検知カメラ21の撮像画像に基づき、入場車両11を検知し、その識別情報を取得する車両識別情報検知部31と、通信装置22を介して入場車両11のバッテリ容量、残量などを取得する充電要求情報取得部32と、入場車両11の必要充電時間を算出する必要充電時間算出部33と、車両監視カメラ24による各充電スタンド10の撮像画像に基づき、充電中車両12および充電待ち車両13の出入りを監視する充電待ち行列監視部36と、各充電スタンド10の充電中車両12の充電残時間に充電待ち車両13の必要充電時間の総和を加算して、合計充電待ち時間を算出する充電待ち時間算出部35と、その算出された充電スタンド10のそれぞれについての合計充電待ち時間を入口案内表示装置23に表示する表示制御部37を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車用の充電ステーションの充電待ち時間情報を表示装置に表示して利用者に提供する充電待ち時間情報提供装置およびカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車は、排出ガスを伴わないために地球環境にやさしく、その普及が期待されている。しかしながら、その動力源であるバッテリを充電する時間は、従来のガソリン燃料などを給油する時間に比べ、どうしても長くなってしまう。また、電気自動車普及の初期にあっては、充電ステーションが不足しがちになりやすい。そのような場合には、充電ステーションには、充電待ちの電気自動車の行列ができることも考えられる。
【0003】
ところで、特許文献1には、充電スタンド(本明細書でいう充電ステーション)に到着したとき、直ちに、または、所定時間内に充電開始が可能な充電器(本明細書でいう充電スタンド)がある充電スタンド情報を走行中の車両に提供する充電スタンド情報提供装置の例が開示されている。また、特許文献2には、複数の給油レーンを有する燃料供給所において、各給油レーンにおける給油状況(残給油量など)を考慮して、車両を迅速かつ適切に誘導することが可能な燃料供給システムの例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−262525号公報
【特許文献2】特開2004−338772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2では、充電中または給油中の車両の充電または給油の残量などから、充電器または給油レーンの待ち時間を算出しているが、その算出では、充電器または給油レーンに、充電待ちまたは給油待ち車両の待ち行列ができることは考慮されていない。少なくとも、特許文献1および特許文献2には、待ち行列中の車両から充電量や給油量を取得する手段についての記載はされていない。つまり、待ち行列中の車両の充電時間や給油時間を算出することはできない。従って、待ち行列ができた場合には、これらによって算出される待ち時間は、はなはだ不正確なものになってしまう。
【0006】
一方、電気自動車の場合には、充電時間が長いので、待ち行列ができ易い事情がある。従って、充電待ち時間の算出において待ち行列を考慮しない従来技術は、電気自動車にとって必ずしも適切な技術とはいえない。
【0007】
本発明は、電気自動車の充電ステーションにおける充電スタンドに形成される待ち行列を考慮して算出した高精度の充電待ち時間情報を提供することが可能な充電待ち時間情報提供装置およびカーナビゲーション装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、複数の充電スタンドを有する充電ステーションに設けられ、充電ステーションにおける充電スタンドごとの充電待ち時間の情報を利用者に提供する充電待ち時間情報提供装置であって、その充電待ち時間情報提供装置は、車両が充電ステーションに入場したことを検知するとともに、入場車両を特定する識別情報を取得する車両識別情報検知手段と、その入場車両から充電要求量を取得する充電要求情報取得手段と、入場車両の必要充電時間を算出する必要充電時間算出手段と、充電スタンドのそれぞれについて、所定の時間ごとに、充電中および充電待ち車両の出入りを監視する充電待ち行列監視手段と、充電スタンドのそれぞれについて、充電中車両の充電残時間に充電待ち車両の必要充電時間の総和を加算して、合計充電待ち時間を算出する充電待ち時間算出手段と、その充電待ち時間算出手段により算出された充電スタンドのそれぞれについての合計充電待ち時間を表示する充電待ち時間表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、充電待ち時間情報提供装置は、車両識別情報検知手段と充電要求情報取得手段とを備えているので、入場車両それぞれを識別しつつ、その入場車両の必要充電時間を算出することができる。また、充電待ち時間情報提供装置は、充電待ち行列監視手段を備えているので、各充電スタンドの待ち行列の変化の状況を把握することができ、各充電スタンドについての充電待ち車両の存在を考慮した上での充電待ち時間(合計充電待ち時間)を算出することができる。また、充電待ち時間情報提供装置は、充電スタンドごとの充電待ち時間(合計充電待ち時間)を表示する充電待ち時間表示手段を備えているので、利用者は、待ち時間が最小の充電スタンドに並ぶことができるようになる。あるいは、どの充電スタンドに並べばよいかを、自分の都合に合わせて選択することができるようになる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の充電待ち時間情報提供装置であって、その車両識別情報検知手段が、入場車両の車体に付されたナンバープレートを撮像する撮像装置(カメラ)と、撮像装置によって撮像されたナンバープレートの画像から、ナンバープレートに表示されている文字を検出する文字認識装置と、を含んで構成されることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、入場車両の公的な車両登録番号を識別することが可能になるので、充電待ち時間情報提供装置は、複数の入場車両を取り違えることなく、確実に識別することが可能になる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の充電待ち時間情報提供装置であって、その車両識別情報検知手段が、入場車両に搭載された車載装置から送信される情報を受信する受信装置を含んで構成され、その車載装置から送信される情報が、当該車両または当該車載装置を識別する情報を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、車載装置から送信される車両または車載装置を識別する情報は、所定の業界などでユニークに定められる情報であるので、充電待ち時間情報提供装置は、複数の入場車両を取り違えることなく、確実に識別することが可能になる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の充電待ち時間情報提供装置であって、その充電要求情報取得手段が、入場車両に搭載された車載装置から送信される充電要求情報を受信する受信装置を含んで構成され、その車載装置からから送信される充電要求情報は、バッテリ装置から得られるバッテリ容量およびバッテリ残量の情報に加え、フル充電、金額指定充電および距離指定充電のいずれかが指示された充電指示情報を含むこと、を特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、利用者がバッテリ充電のやり方を指示することが可能になるので、利用者にとっての利便性が大きくなる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の充電待ち時間情報提供装置であって、前記充電スタンドのそれぞれについての合計充電待ち時間のうち、最小の充電待ち時間の情報を、当該充電ステーションの充電待ち時間情報として、道路を走行中の車両に搭載された車載装置に配信する配信手段を、さらに備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、道路を走行中の車両に搭載された車載装置は、当該車両が充電ステーションに到着することなく、充電ステーションの充電待ち時間情報を取得することが可能になるので、車載装置または利用者は、充電待ち時間の短い充電ステーションを選択して、目的地までの走行経路を選択することが可能になる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の充電待ち時間情報提供装置から配信される充電ステーションの充電待ち時間情報を受信して、充電ステーションにおける充電待ち時間および充電時間を考慮した目的地までの経路情報を利用者に提供するカーナビゲーション装置であって、そのカーナビゲーション装置は、前記充電待ち時間情報提供装置から配信された充電ステーションの充電待ち時間情報を記憶した充電待ち時間情報記憶手段を有し、目的地までの経路を探索したとき、その時点での自車のバッテリ残量で、前記探索した経路に沿って目的地まで走行可能か否かを判定する処理と、途中に1つの充電ステーションを経由して目的地に到る複数の経路を探索し、その複数の経路それぞれについて、目的地までの走行所要時間と、前記充電待ち時間記憶手段に記憶されている前記経由する充電ステーションでの充電待ち時間と、自車のバッテリ充電時間と、を合計して、目的地到着までの所要時間を算出する処理と、前記複数の経路の中で、目的地到着までの所要時間が最小になる経路を選択する処理と、その選択した経路およびその経路に含まれる充電ステーションを、推奨経路および推奨充電ステーションとして表示装置に表示する処理と、を実行することを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、カーナビゲーション装置は、充電のために経由する充電ステーションでの待ち行列を考慮した充電待ち時間および充電時間を含んだ目的地までの最短経路を探索し、探索した最短経路を表示装置に表示することができるようになる。従って、利用者は、より高精度な目的地までの所要時間や推奨経路を得ることが可能になる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のカーナビゲーション装置であって、そのカーナビゲーション装置は、各充電ステーションについての充電待ち時間情報を、所定の時間帯、所定の日種、所定の天気ごとに平均処理して求めた平均充電待ち時間情報を記憶した平均充電待ち時間情報記憶手段を、さらに、有し、その合計所要時間を算出する処理では、推奨充電ステーションに自車が到着する時刻を予測し、その到着時刻におけるその推奨充電ステーションの充電待ち時間を、その日にその時刻までにその推奨充電ステーションから配信された充電待ち時間の実績情報と、その推奨充電ステーションについて前記平均充電待ち時間情報記憶手段に記憶されている平均充電待ち時間情報と、に基づいて予測することを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、カーナビゲーション装置は、充電のために経由する充電ステーションでの待ち行列を考慮した充電待ち時間を、その充電ステーションへ到着する到着時刻を予測し、かつ、その到着時刻における充電待ち時間を、過去に得られた平均充電待ち時間情報に基づいて予測する。従って、カーナビゲーション装置は、より高精度の目的地までの所要時間や推奨経路を利用者に提供できるようになる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電気自動車の充電ステーションにおける充電スタンドに形成される待ち行列を考慮して算出した高精度の充電待ち時間の情報を提供することが可能な充電待ち時間情報提供装置およびカーナビゲーション装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る充電待ち時間情報提供装置のブロック構成の例、および、その充電待ち時間情報提供装置を備えた充電ステーションの構内の様子の例を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る充電待ち時間情報提供装置20で用いられる車両個別情報およびスタンド個別情報の構成の例を示した図であり、(a)は、車両個別情報記憶部に記憶される車両個別情報のレコード構成の例、(b)スタンド個別情報記憶部に記憶されるスタンド個別情報のレコード構成の例である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る充電待ち時間情報提供装置において、充電スタンドごとの合計充電待ち時間を入口案内表示装置に表示する表示画面の例を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る充電待ち時間情報提供装置の制御装置が実行する処理フローの例を示した図で、(a)は、入場車両への応対処理の処理フローの例、(b)は、スタンド個別情報の更新処理の処理フローの例である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る充電待ち時間情報提供装置およびカーナビゲーション装置のブロック構成の例を、カーナビゲーションシステムの全体構成の例の中で示した図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るカーナビゲーション装置における経路探索・表示処理の処理フローの例を示した図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るカーナビゲーション装置における推奨経路の表示画面の例を示した図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る充電待ち時間の予測方法の原理を示した図で、(a)は、充電待ち時間の過去の平均値および当日の実績値の時間推移から充電待ち時間の予測する方法を示した図、(b)は、平均充電待ち時間情報の構成の例を示した図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るカーナビゲーション装置における充電待ち時間予測処理の処理フローの例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
【0025】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る充電待ち時間情報提供装置のブロック構成の例、および、その充電待ち時間情報提供装置を備えた充電ステーションの構内の様子の例を示した図である。
【0026】
図1に示すように、充電待ち時間情報提供装置20は、複数の充電スタンド10を有する充電ステーション100に備えられ、各充電スタンド10で充電中および充電待ちをしている車両(充電中車両12および充電待ち車両13)の待ち行列の状況を監視するとともに、各充電スタンド10に対する充電待ち時間を算出し、その算出した充電待ち時間の情報を当該充電ステーション100の利用者に提供する。
【0027】
本実施形態では、当該充電ステーション100のステーション入口101またはその前方の、入場車両11のドライバからよく見える位置に、各充電スタンド10の充電待ち時間を表示した入口案内表示装置23が設けられている。入場車両11のドライバは、その表示を見ることによって、各充電スタンド10の充電待ち時間を知ることができる。
【0028】
充電待ち時間情報提供装置20は、1つまたは複数のパーソナルコンピュータまたはマイクロプロセッサなどで構成された制御装置30と、入場車両11を検知して、その入場車両11識別情報を取得する車両検知カメラ21と、入場車両11から送信されるバッテリ容量やバッテリ残量などの情報を受信する通信装置22と、各充電スタンド10における充電中車両12および充電待ち車両13の待ち行列の状態を撮像する車両監視カメラ24と、各充電スタンド10の充電待ち時間を表示する入口案内表示装置23と、を含んで構成される。
【0029】
また、制御装置30は、車両識別情報検知部31、充電要求情報取得部32、必要充電時間算出部33、車両個別情報記憶部34、充電待ち時間算出部35、充電待ち行列監視部36、表示制御部37、スタンド個別情報記憶部38などの機能ブロックを含んで構成される。これらの機能ブロックのうち、車両個別情報記憶部34およびスタンド個別情報記憶部38以外の機能ブロックは、制御装置30を構成するパーソナルコンピュータやマイクロプロセッサのCPU(Central Processing Unit)がメモリに格納された所定のプログラムを実行することによって実現される。
【0030】
ここで、車両識別情報検知部31は、車両検知カメラ21によって撮像された撮像画像に基づき、充電ステーション100のステーション入口101に入場車両11が入場したことを検知するとともに、入場車両11の外観の特徴情報(車両外観特徴情報)を取得する。さらに、車両識別情報検知部31は、車両検知カメラ21を介して、例えば、入場車両11のナンバープレートを含んだ撮像画像を取得し、その取得したナンバープレート部分の撮像画像から当該入場車両11を特定可能な画像特徴量を抽出する。そして、その抽出した画像特徴量を、当該入場車両11の識別情報として、車両個別情報記憶部34に格納する。
【0031】
なお、車両識別情報検知部31は、ナンバープレートの撮像画像からそのナンバープレートに表示されている文字を検出する文字認識処理部(図示せず)を含んで構成されるものであってもよい。この場合、文字認識処理部は、前記のナンバープレートの撮像画像から抽出した画像特徴量などを、さらに処理して、ナンバープレートに表示されている数字などの文字を抽出する。従って、この場合には、車両識別情報検知部31は、ナンバープレートに表示されている自動車登録番号を車両識別情報として用いることができる。
【0032】
充電要求情報取得部32は、入場車両11から送信される当該入場車両11のバッテリ容量とバッテリ残量とドライバの充電指示情報とを、通信装置22を介して受信し、その受信した情報を車両個別情報記憶部34に格納する。ここで、ドライバの充電指示情報とは、(a)バッテリを満充電する、(b)金額を指定して充電する、(c)走行距離を指定して充電する、のいずれかを指示する情報である。これに対し、入場車両11の図示しない車載装置は、この充電要求情報取得部32に対応する形で、当該入場車両11の図示しないバッテリからバッテリ容量と残量とを取得する手段と、ドライバが任意に設定することが可能な充電指示情報設定手段を備えている。
【0033】
また、通信装置22は、図示しない車載装置の通信装置との間で、所定の情報の送受信を行うが、ここでは、その通信方式は、RFID(Radio Frequency-Identification)や赤外線などを用いた近接通信方式であるとする。その場合、通信装置22の通信可能エリアを、ステーション入口101近傍エリアに限定することが容易にできる。
【0034】
なお、このように、図示しない車載装置の通信装置が、その車載装置や通信装置を一意に識別する識別情報(例えば、MACアドレス、RFIDの識別番号など)を、充電待ち時間情報提供装置20の通信装置22へ送信するようにした場合には、制御装置30は、図示しない車載装置から送信された車載装置や通信装置の識別情報を受信し、その受信した識別情報を入場車両11の車両識別情報として用いてもよい。この場合には、車両識別情報検知部31は、ナンバープレート部分の撮像画像から入場車両11の車両識別情報を抽出する必要はない。
【0035】
必要充電時間算出部33は、充電要求情報取得部32によって取得された入場車両11のバッテリ容量、バッテリ残量、ドライバの充電指示情報などに加え、充電スタンド10の充電性能などに基づき、必要充電時間を算出する。算出された必要充電時間は、車両個別情報記憶部34に格納される。
【0036】
車両個別情報記憶部34は、入場車両11が当該充電ステーション100に入場したとき、車両識別情報検知部31および充電要求情報取得部32によって取得された情報、ならびに、必要充電時間算出部33によって算出された情報を、その入場車両11ごとに対応付けて記憶する。ここで、図2を参照して、充電待ち時間情報提供装置20で用いられる車両個別情報およびスタンド個別情報の構成の例について説明しておく。
【0037】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る充電待ち時間情報提供装置20で用いられる車両個別情報およびスタンド個別情報の構成の例を示した図であり、(a)は、車両個別情報記憶部34に記憶される車両個別情報のレコード構成の例、(b)スタンド個別情報記憶部38に記憶されるスタンド個別情報のレコード構成の例である。
【0038】
図2(a)に示すように、車両個別情報のレコードは、入場車両11ごとに作成され、車両番号、車両識別情報、車両外観特徴情報、バッテリ容量、バッテリ残量、充電指示情報、必要充電時間などの情報を含んで構成される。
【0039】
ここで、車両識別情報は、入場車両11を厳密に識別可能な情報であり、ナンバープレートの撮像画像から得られる画像特徴量、自動車登録番号、あるいは、車載装置の識別番号などである。また、車両外観特徴情報は、入場車両11の外観形状や車体の色などの特徴情報であり、充電待ち行列監視部36が、待ち行列車両の出入りを監視するときに用いられる。また、車両番号は、ある時点で充電ステーション100に入場し、待ち行列を形成している車両を簡易的に識別する情報である。この車両番号は、必須の情報ではないが、車両識別情報を代用する情報として用いられる。
【0040】
また、図2(b)に示すように、スタンド個別情報のレコードは、スタンド番号、合計充電待ち時間、充電対象車両数、充電中車両12の車両番号、その充電中車両12の残充電時間、充電待ち車両13の車両番号、その充電待ち車両13の必要充電時間などの情報を含んで構成される。
【0041】
ここで、スタンド番号は、当該充電ステーション100内で充電スタンド10を識別する情報であり、合計充電待ち時間は、充電中車両12の残充電時間と、充電待ち車両13の必要充電時間の総和と、を合計した時間である。また、充電対象車数は、当該充電スタンド10で充電中の充電中車両12および充電待ちをしている充電待ち車両13の数である。
【0042】
なお、充電対象車数が0の場合には、充電中車両12の車両番号以下の情報は存在しない。また、充電対象車数が1の場合には、充電待ち車両13の車両番号以下の情報は存在しない。また、充電対象車数が2以上の場合には、充電待ち車両13の車両番号およびその充電待ち車両13の必要充電時間の組の情報は、充電待ち車両数の数(充電対象車数−1)だけ存在する。
【0043】
再び、図1の説明に戻って、制御装置30の機能ブロックの説明を続ける。
充電待ち行列監視部36は、車両監視カメラ24を介して、所定の時間ごとに(例えば、1分ごとに)車両の待ち行列の撮像画像を取得し、その撮像画像を前回取得した撮像画像と比較することにより、それぞれの充電スタンド10ごとに、充電が完了して撮像画像から消滅した車両、充電待ちを途中放棄して撮像画像から消滅した車両、新たに待ち行列に加わった車両などを検知する。そして、そのとき得られた待ち行列を形成している車両の識別情報(車両番号)を、それぞれの充電スタンド10ごとに、スタンド個別情報記憶部38に格納する。なお、以上の撮像画像の比較処理では、車両に識別には、車両外観特徴情報が利用される。
【0044】
充電待ち時間算出部35は、充電待ち行列監視部36の場合と同様に、所定の時間ごとに(例えば、1分ごとに)に、スタンド個別情報記憶部38のレコードにおける合計充電待ち時間および残充電時間を更新する。従って、今回取得された撮像画像の中の充電中車両12が前回と同じ車両であった場合には、更新後の残充電時間は、更新前の残充電時間からその所定の時間(例えば、1分)を減じた時間となる。また、充電中車両12が前回と異なっていた場合には、更新後の残充電時間は、新たに充電中車両12となった車両の必要充電時間となる。
【0045】
表示制御部37は、所定の時間ごとに(例えば、1分ごとに)、スタンド個別情報記憶部38を参照して、充電スタンド10ごとの合計充電待ち時間を入口案内表示装置23に表示する。表示制御部37は、また、ステーション入口101に入場車両11が入場したときには、合計充電待ち時間が最小の充電スタンド10を推奨充電スタンドとして推奨する表示を行う。
【0046】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る充電待ち時間情報提供装置において、充電スタンド10ごとの合計充電待ち時間を入口案内表示装置23に表示する表示画面の例を示した図である。図3に示すように、入口案内表示装置23には各充電スタンド10の待ち時間(合計充電待ち時間)が表示される。また、ステーション入口101に入場車両11が入場したときには、推奨充電スタンドの表示(図3の例では「おすすめは3番スタンドです!!」の表示)が行われる。
【0047】
入場車両11のドライバは、この入口案内表示装置23の表示を見て、待ち時間が最小の充電スタンド10(#3)の待ち行列に車両を着ける。なお、当然ではあるが、入場車両11のドライバは、必ずしも待ち時間が最小の充電スタンド10(#3)の待ち行列に車両を着ける必要はない。近隣の店舗などで買い物をしたい場合には、その買い物時間に応じた待ち時間の充電スタンド10の待ち行列に並び、車両を充電ステーション100の係員に預けるようにしてもよい。
【0048】
なお、入場車両11の車載装置が表示装置を有し、かつ、入口案内表示装置23への表示情報と同様の表示情報を受信可能な通信装置を有している場合には、制御装置30は、例えば、通信装置22などを介して、その表示情報を入場車両11の車載装置へ送信し、車載装置の表示装置に、図3の表示例と同様の表示を行うようにさせてもよい。
【0049】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る充電待ち時間情報提供装置の制御装置が実行する処理フローの例を示した図で、(a)は、入場車両への応対処理の処理フローの例、(b)は、スタンド個別情報の更新処理の処理フローの例である。なお、これらの処理フローは、図1〜図3を用いて説明し明制御装置30の動作をまとめたものであるので、その説明は、一部、図1〜図3の説明と重複する。
【0050】
図4(a)に示すように、入場車両11への応対処理では、制御装置30のCPU(以下、単に、CPUという)は、車両識別情報検知部31の処理として、まず、車両検知カメラ21により得られる撮像画像に基づき、ステーション入口101への車両の入場を検知する(ステップS11)。次に、CPUは、車両検知カメラ21により得られるナンバープレートの撮像画像などに基づき、入場車両11の車両識別情報および車両外観特徴情報を取得する(ステップS12)。
【0051】
次に、CPUは、充電要求情報取得部32の処理として、通信装置22を介して、入場車両11から、バッテリ容量、バッテリ残量、充電指示情報などの情報を取得し(ステップS13)、必要充電時間算出部33の処理として、当該入場車両11の必要充電時間を算出する(ステップS14)。さらに、CPUは、ここまでの処理で取得した車両識別情報などの情報、および、ここまでの処理で算出した必要充電時間を車両個別情報記憶部34に格納する(ステップS15)。
【0052】
次に、CPUは、表示制御部37の処理として、スタンド個別情報記憶部38を参照して、合計充電待ち時間が最小の充電スタンド10のスタンド番号を取得し(ステップS16)、取得したスタンド番号を、推奨充電スタンドの情報として入口案内表示装置23に表示する(ステップS17)。
【0053】
また、図4(b)に示すスタンド個別情報の更新処理は、所定の時間ごと(例えば、1分ごと)に実行される。CPUは、まず、充電待ち行列監視部36の処理として、車両監視カメラ24を介して各充電スタンド10に形成されている車両の待ち行列の撮像画像を取得する(ステップS21)。さらに、CPUは、その取得した撮像画像を前回取得した撮像画像と比較し(ステップS22)、その比較の結果、待ち行列の状態に変化があった場合(ステップS23でYes)、つまり、それまでの充電中車両12が新たな充電中車両12に変わっていたり、充電待ち車両13が消滅していたり、新たな充電待ち車両13が追加していたりした場合には、そのそれぞれの状況に応じて、スタンド個別情報記憶部38における各充電スタンド10の充電中車両12および充電待ち車両13についての情報(車両番号、必要充電時間など)を更新する(ステップS24)。
【0054】
次に、CPUは、充電待ち時間算出部35の処理として、スタンド個別情報記憶部38における各充電スタンド10の合計充電待ち時間を更新し(ステップS25)、さらに、表示制御部37の処理として、そのときの各充電スタンド10の合計充電待ち時間を入口案内表示装置23に表示する(ステップS25)。
【0055】
また、ステップS23の判定で、待ち行列の状態に変化がなかった場合には(ステップS23でNo)、CPUは、ステップS24の実行をスキップして、ステップS25およびステップS26を実行する。
【0056】
以上、本発明の第1の実施形態に係る充電待ち時間情報提供装置20は、各充電スタンド10に形成される待ち行列中の車両(充電待ち車両13)の必要充電時間を考慮した充電待ち時間を算出することができる。従って、利用者には、より精度の高い充電待ち時間の情報が提供される。
【0057】
<第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態に係る充電待ち時間情報提供装置およびカーナビゲーション装置のブロック構成の例を、カーナビゲーションシステムの全体構成の例の中で示した図である。
【0058】
図5に示すように、カーナビゲーションシステム200は、走行車両70に搭載されたカーナビゲーション装置60、複数の充電ステーション100(図1参照)のそれぞれに設置された充電待ち時間情報提供装置20a、交通情報センタなどに設けられたセンタ装置50などが、通信ネットワーク80を介して互いに通信可能に接続されて構成される。このとき、カーナビゲーション装置60は、例えば、携帯電話の通信網の基地局81を介して、無線で通信ネットワーク80に接続される。
【0059】
充電待ち時間情報提供装置20aの制御装置30aは、第1の実施形態における充電待ち時間情報提供装置20の制御装置30の構成に、当日待ち時間情報取得部41、当日待ち時間情報記憶部42、当日待ち時間情報配信部43などが追加されて構成される。なお、図5では、第1の実施形態における充電待ち時間情報提供装置20の制御装置30(図1参照)に含まれる全機能ブロックを、ステーション内待ち時間情報管理部39として表している(すなわち、ステーション内待ち時間情報管理部39=図5の制御装置30)。また、図5では、車両検知カメラ21など、制御装置30a付属する入出力機器の記載を省略している。
【0060】
ここで、当日待ち時間情報取得部41は、当該充電ステーション100内の充電スタンド10の合計待ち時間の中で最小の合計待ち時間を、例えば、10分ごとに抽出し、その抽出した最小の合計待ち時間を当該充電ステーション100の充電待ち時間として、そのときの時刻に対応付けて、当日待ち時間情報記憶部42に格納する。
【0061】
従って、当日待ち時間情報記憶部42には、例えば、7時00分時の充電待ち時間は12分、7時10分時の充電待ち時間は15分、・・・、というような情報が、例えば、0時10分から24時00分まで、次々に蓄積されていく。なお、このようにして蓄積する充電待ち時間は、7時00分時の充電待ち時間ではなく、6時50分から7時00分までの最小の合計待ち時間の平均値であってもよい。
【0062】
当日待ち時間情報配信部43は、センタ装置50からの配信要求に応じて、適宜、当日待ち時間情報記憶部42に記憶されている、各時刻に対応付けられた充電待ち時間情報を、センタ装置50へ配信する。
【0063】
また、図5に示すように、センタ装置50は、当日待ち時間情報収集部51、充電待ち時間情報統計部52、充電待ち時間情報配信部53、当日待ち時間情報記憶部54、平均待ち時間情報記憶部55などの機能ブロックを含んで構成される。センタ装置50は、また、ハードウエア的には、図示しないCPU、メモリ、ハードディスク装置などを含んでなる一般的なコンピュータや、ワークステーションによって実現される。
【0064】
図5において、当日待ち時間情報収集部51は、所定の時間ごとに(例えば、10分ごとに)、複数の充電待ち時間情報提供装置20aから、当日待ち時間情報記憶部42に記憶されている当日待ち時間情報を収集し、収集した当日待ち時間情報をそれぞれの充電ステーション100の識別情報に対応付けて当日待ち時間情報記憶部54に格納する。また、充電待ち時間情報統計部52は、毎日収集される各充電ステーション100の各時刻における当日待ち時間の平均値を算出し、算出した平均値を平均待ち時間情報記憶部55に蓄積する。また、充電待ち時間情報配信部53は、カーナビゲーション装置60からの要求に応じて、当日待ち時間情報記憶部54に記憶されている当日待ち時間情報、または、平均待ち時間情報記憶部55に記憶されている平均待ち時間情報を、そのカーナビゲーション装置60へ配信する。
【0065】
さらに、図5に示すように、カーナビゲーション装置60は、目的地情報設定部61、経路探索部62、充電待ち考慮経路探索部63、充電待ち時間情報受信部64、充電待ち時間予測部65、推奨経路表示部66、交通情報記憶部71、地図情報記憶部72、平均待ち時間情報記憶部73、当日待ち時間情報記憶部74などの機能ブロックを含んで構成される。カーナビゲーション装置60は、また、ハードウエア的には、図示しないCPU、メモリ、ハードディスク装置などを含んでなるコンパクトなコンピュータによって実現される。
【0066】
経路探索部62は、交通情報記憶部71や地図情報記憶部72などを参照して、図示しない現在位置情報取得部により取得される現在位置から、目的地情報設定部61を介して設定される目的地までの最短経路を探索する。
【0067】
ここで、交通情報記憶部71に記憶される交通情報は、その時点で最新の道路の混雑状況などを表した情報であり、データ放送などにより配信される。カーナビゲーション装置60は、その配信される交通情報を、図示しない受信機などを介して受信し、受信した交通情報を交通情報記憶部71に格納する。また、地図情報記憶部72に記憶される地図情報は、道路区間の位置や形状の情報、その道路区間の距離や走行所要時間の情報を含み、さらに、充電ステーション100の所在位置などの情報を含んで構成される。
【0068】
充電待ち時間情報受信部64は、センタ装置50から配信される当日待ち時間情報および平均待ち時間情報を受信し、受信した当日待ち時間情報および平均待ち時間情報を、それぞれ、当日待ち時間情報記憶部74および平均待ち時間情報記憶部73に格納する。
【0069】
充電待ち考慮経路探索部63は、現在位置から目的地までの経路のうち、その途中に充電ステーション100を含む経路を、複数経路探索し、その複数経路のそれぞれに対し、走行所要時間、途中の充電ステーション100における充電待ち時間と、当該走行車両70の充電時間と、を加算した時間を、目的地に到着するまでの所要時間として算出し、その算出した所要時間が最小となる経路を、充電待ち考慮最短経路として選択する。
【0070】
この場合、充電ステーション100における充電待ち時間として、いずれの情報を利用すればよいかについては、様々なケースを想定することができる。最も簡単なケースは、経路探索をした時点での当日待ち時間情報記憶部74に格納されているこの充電ステーション100の最新の充電待ち時間を用いることである。ただし、このケースは、充電ステーション100の充電待ち時間が時々刻々変化している場合には、経路探索をしたときと、当該走行車両70がこの充電ステーション100に到着するときとでは、その充電待ち時間は異なったものとなる。
【0071】
そこで、本実施形態では、充電待ち時間予測部65を設け、走行車両70が経由する充電ステーション100に到着する時刻を予測するとともに、その到着時刻時点での経由する充電ステーション100における充電待ち時間を予測する。その予測には、当日待ち時間情報記憶部74および平均待ち時間情報記憶部73にそれぞれ格納されている当日待ち時間情報および平均待ち時間情報が用いられているが、その詳細については後記する。
【0072】
推奨経路表示部66は、充電待ち考慮経路探索部63により選択された目的地までの経路を、推奨経路として自装置(カーナビゲーション装置60)の表示装置に表示する。
【0073】
図6は、カーナビゲーション装置60における経路探索・表示処理の処理フローの例を示した図である。図6に示すように、カーナビゲーション装置60のCPU(以下、単にCPUという)は、まず、目的地情報設定部61を介してドライバによって設定される目的地情報を取得する(ステップS31)。次に、CPUは、図示しない現在位置取得部(例えば、GPS(Global Positioning System)測位装置などが含まれる)を介して、自車の現在位置情報を取得する(ステップS32)。
【0074】
次に、CPUは、経路探索部62の処理として、地図情報記憶部72や交通情報記憶部71を参照しつつ、現在位置から目的地までの最短経路を探索する(ステップS33)。続いて、CPUは、自車のバッテリのバッテリ残量を取得し(ステップS34)、前記探索した最短経路に沿って、途中充電をせずに目的地まで走行可能であるか否かを判定する(ステップS35)。その判定の結果、目的地までの走行が可能でない場合には(ステップS35でNo)、充電ステーション100を経由して目的地に到達する複数の経路を探索する(ステップS36)。
【0075】
次に、CPUは、充電待ち考慮経路探索部63の処理として、前記探索した目的地に到達する各経路に含まれる充電ステーション100における充電待ち時間および充電時間を算出し(ステップS37)、その各経路の走行所要時間に、前記算出した充電ステーション100における充電待ち時間および充電時間を加算することにより、目的地に到達するための所要時間を算出し、その所要時間が最小となる経路を、充電待ち考慮最短経路として選択する(ステップS38)。
【0076】
次に、CPUは、以上のようにして求めた充電待ち考慮最短経路を推奨経路とし、その推奨経路および目的地到着までの所要時間をカーナビゲーション装置60の表示装置に表示する(ステップS39)。
また、ステップS35の判定で、目的地まで走行可能である場合には(ステップS35でYes)、充電なしの最短経路を推奨経路として、その推奨経路および目的地到着までの所要時間を表示装置に表示する(ステップS39)。
【0077】
図7は、カーナビゲーション装置60における推奨経路の表示画面の例を示した図である。図7において、目的地(黒色の星印)までの推奨経路は、太線の経路として示されている。また、充電ステーション100は、黒色の四角印で示され、そのうち推奨充電ステーション(STA#A)は、破線で囲まれて表示されている。なお、実際のカーナビゲーション装置60の表示装置では、推奨ステーション(STA#A)は、例えば、赤色など目立つように表示される。
【0078】
また、図7の表示画面の例では、その表示画面の右下部分には、目的地到着までの所要時間、推奨充電ステーションの名称、その充電ステーションでの必要充電時間、充電待ち時間などがまとめて表示されている。
【0079】
走行車両70のドライバは、表示画面に表示された推奨経路に沿って走行し、推奨充電ステーションに立寄って充電することにより、途中で充電切れを起こすことなく、最小の時間で、スムーズに目的地に到着することが可能になる。
【0080】
続いて、図8および図9を参照して、充電待ち時間の予測方法について説明する。ここで、図8は、本発明の第2の実施形態に係る充電待ち時間の予測方法の原理を示した図で、(a)は、充電待ち時間の過去の平均値および当日の実績値の時間推移から充電待ち時間の予測する方法を示した図、(b)は、平均充電待ち時間情報の構成の例を示した図である。
【0081】
図8(a)において、太実線は、ある充電ステーション100における、ある日の現在時刻(T0)までの充電待ち時間の実績値の推移を示したものである。また、破線は、その充電ステーション100における過去の充電待ち時間の平均値の推移を示したものである。ここで、その当日の現在時刻までの充電待ち時間の実績値が、過去の充電待ち時間の平均値に似たように推移している場合には、現在時刻以降も過去の充電待ち時間の平均値に似たように推移すると仮定する。
【0082】
そこで、ここでは、現在時刻(T0)以降、到着予測時刻(T0+Ta)まで、充電待ち時間の実績値の時間変化率は、過去の充電待ち時間の平均値の時間変化率に等しいとみなす。その場合には、到着予測時刻の充電待ち時間の予測値Waは、現在時刻(T0)の充電待ち時間の実績値(W0)と、現在時刻から到着予測時刻まで(T0〜T0+Ta)の充電待ち時間の平均値(WA)の時間変化率(ΔWA0/Δt)を用いて算出することができる。すなわち、時刻Taにおける充電待ち時間の予測値(Wa)は、
Wa=W0+Σ(ΔWA0/Δt)
と表すことができる。
【0083】
ところで、本実施形態では、過去の充電待ち時間の平均値には、図8(b)に示すように、第1種平均値、第2種平均値、第3種平均値の3種があるとする。第1種平均値は、平日、休日、晴天、雨天のそれぞれごとに、1日を所定の時間帯に区分し、その時間帯ごとの充電待ち時間を平均したものである。また、第2種平均値は、平日、休日ごとに、1日を所定の時間帯に区分し、その時間帯ごとでの充電待ち時間を平均したものである。また、第3種平均値は、単に、1日を所定の時間帯に区分し、その時間帯ごとでの充電待ち時間を平均したものである。
【0084】
なお、図8(b)においては、1日24時間を10分ごとの時間帯に区分されるとしている。ただし、区分時間は10分に限定されるものではなく、また、すべて同じ長さの時間に限定されるものであってもよい。例えば、深夜、早朝は、1時間、午前は、10分ごと、午後は、5分ごとなどとしてもよい。
【0085】
また、このような第1種〜第3種平均値の過去の充電待ち時間の平均値の情報は、カーナビゲーション装置60では、平均待ち時間情報記憶部73に記憶されている。また、当日の充電待ち時間の実績値は、当日待ち時間情報記憶部74に記憶されている。
【0086】
また、図8(a)において、当日の現在時刻までの充電待ち時間の実績値が、過去の充電待ち時間の平均値に似たように推移しているか否かの判定は、現在時刻(T0)より所定時間前(T0−Tb)から現在時刻(T0)までについて、充電待ち時間の実績値と平均値との差分の総和(図8(a)では、縦縞部分の領域の面積に相当:以下、差分和という)を所定値と比較することによって行う。すなわち、差分和(SS)は、
SS=Σ│W−WA│
と表される。ただし、Wは、当日の時刻(T0−Tb〜T0)の充電待ち時間の実績値である。
【0087】
また、充電待ち時間の平均値として、第1種〜第3種平均値のいずれを使用するかについては、次に、図9を用いて説明する。
【0088】
図9に示すように、カーナビゲーション装置60のCPUは、センタ装置50を介して、充電を推奨する充電ステーション100の当日待ち時間情報記憶部42に記憶されている当日の充電待ち時間実績値を取得する(ステップS41)。次に、CPUは、当日の充電待ち時間実績値と第1種平均値との差分和(SS1)を算出する(ステップS42)。ここで、第1種平均値には、4種類の平均値があるが、そのうち、当日の日種(平日か休日か)、天候(晴天か雨天か)に応じて適合する平均値を使用する。
【0089】
次に、CPUは、その算出した差分和(SS1)が所定値より小さいか否かを判定し(ステップS43)、差分和(SS1)が所定値より小さかった場合には(ステップS43でYes)、前記の第1種平均値を基準平均値として選択する(ステップS44)。ここで、基準平均値とは、図8(a)でいう過去の充電待ち時間平均値(破線のグラフの値)に対応している。
【0090】
一方、差分和(SS1)が所定値より小さくなかった場合には(ステップS43でNo)、CPUは、当日の充電待ち時間実績値と第2種平均値との差分和(SS2)を算出する(ステップS45)。ここで、第2種平均値には、2種類の平均値があるが、そのうち、当日の日種(平日か休日か)に応じて適合する平均値を使用する。
【0091】
次に、CPUは、その算出した差分和(SS2)が所定値より小さいか否かを判定し(ステップS46)、差分和(SS2)が所定値より小さかった場合には(ステップS46でYes)、前記の第2種平均値を基準平均値として選択する(ステップS47)。
【0092】
一方、差分和(SS2)が所定値より小さくなかった場合には(ステップS46でNo)、CPUは、当日の充電待ち時間実績値と第3種平均値との差分和(SS3)を算出する(ステップS48)。
【0093】
次に、CPUは、その算出した差分和(SS3)が所定値より小さいか否かを判定し(ステップS49)、差分和(SS3)が所定値より小さかった場合には(ステップS49でYes)、前記の第3種平均値を基準平均値として選択する(ステップS50)。
【0094】
一方、差分和が所定値より小さくなかった場合には(ステップS49でNo)、CPUは、第1種〜第3種平均値のうち差分和(SS1〜SS3)が最小となるものを基準平均値として選択する(ステップS51)。
【0095】
以上、ステップS44,S47,S50,S51を実行した時点で、基準平均値、すなわち、図8(a)の破線のグラフの値が得られたことになる。そこで、CPUは、これらのステップS44,S47,S50,S51の次には、その基準平均値に基づき、現在時刻から到着予測時刻までの基準平均値の時間変化率を算出する(ステップS52)。そして、CPUは、現在時刻の充電待ち時間実績値と、到着予測時刻までの基準平均値の時間変化率と、に基づき、到着予測時刻における充電待ち時間の予測値を算出する(ステップS53)。
【0096】
以上のようにして、カーナビゲーション装置60は、経由する充電ステーション100における到着予測時刻時点での充電待ち時間の予測値を得ることができる。従って、カーナビゲーション装置60は、より精度の高い充電待ち時間および充電待ち時間を考慮した目的地到着までの所要時間を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0097】
10 充電スタンド
11 入場車両
12 充電中車両
13 充電待ち車両
20,20a 充電待ち時間情報提供装置
21 車両検知カメラ(車両識別情報検知手段)
22 通信装置(充電要求情報取得手段)
23 入口案内表示装置(充電待ち時間表示手段)
24 車両監視カメラ(充電待ち行列監視手段)
30,30a 制御装置
31 車両識別情報検知部(車両識別情報検知手段)
32 充電要求情報取得部(充電要求情報取得手段)
33 必要充電時間算出部(必要充電時間算出手段)
34 車両個別情報記憶部
35 充電待ち時間算出部(充電待ち時間算出手段)
36 充電待ち行列監視部(充電待ち行列監視手段)
37 表示制御部(充電待ち時間表示手段)
38 スタンド個別情報記憶部
39 ステーション内待ち時間情報管理部
41 当日待ち時間情報取得部
42 当日待ち時間情報記憶部
43 当日待ち時間情報取得部
50 センタ装置
51 当日待ち時間情報収集部
52 充電待ち時間情報統計部
53 充電待ち時間情報配信部
54 当日待ち時間情報記憶部
55 平均待ち時間情報記憶部
60 カーナビゲーション装置
61 目的地情報設定部
62 経路探索部
63 充電待ち考慮経路探索部
64 充電待ち時間情報受信部
65 充電待ち時間予測部65
66 推奨経路表示部
70 走行車両
71 交通情報記憶部
72 地図情報記憶部
73 平均待ち時間情報記憶部
74 当日待ち時間情報記憶部
80 通信ネットワーク
81 基地局
100 充電ステーション
101 ステーション入口
200 カーナビゲーションシステム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の充電スタンドを有する充電ステーションに設けられ、前記充電ステーションにおける充電スタンドごとの充電待ち時間の情報を利用者に提供する充電待ち時間情報提供装置であって、
車両が前記充電ステーションに入場したことを検知するとともに、前記入場車両を特定する識別情報を取得する車両識別情報検知手段と、
前記入場車両から充電要求情報を取得する充電要求情報取得手段と、
前記入場車両の必要充電時間を算出する必要充電時間算出手段と、
前記充電スタンドのそれぞれについて、所定の時間ごとに、充電中および充電待ち車両の出入りを監視する充電待ち行列監視手段と、
前記充電スタンドのそれぞれについて、充電中車両の充電残時間に充電待ち車両の必要充電時間の総和を加算して、合計充電待ち時間を算出する充電待ち時間算出手段と、
前記充電待ち時間算出手段により算出された前記充電スタンドのそれぞれについての合計充電待ち時間を表示する充電待ち時間表示手段と、
を備えたこと
を特徴とする充電待ち時間情報提供装置。
【請求項2】
前記車両識別情報検知手段は、
前記入場車両の車体に付されたナンバープレートを撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像されたナンバープレートの画像から、ナンバープレートに表示されている文字を検出する文字認識装置と、
を含んで構成されること
を特徴とする請求項1に記載の充電待ち時間情報提供装置。
【請求項3】
前記車両識別情報検知手段は、
前記入場車両に搭載された車載装置から送信される情報を受信する受信装置を含んで構成され、
前記車載装置から送信される情報は、当該車両または当該車載装置を識別する情報を含むこと
を特徴とする請求項1に記載の充電待ち時間情報提供装置。
【請求項4】
前記充電要求情報取得手段は、
前記入場車両に搭載された車載装置から送信される充電要求情報を受信する受信装置を含んで構成され、
前記車載装置から送信される充電要求情報は、バッテリ装置から得られるバッテリ容量およびバッテリ残量の情報に加え、フル充電、金額指定充電および金額指定充電のうちのいずれかが指示された充電指示情報を含むこと
を特徴とする請求項1に記載の充電待ち時間情報提供装置。
【請求項5】
前記充電スタンドのそれぞれについての合計充電待ち時間のうち、最小の充電待ち時間の情報を、当該充電ステーションの充電待ち時間情報として、道路を走行中の車両に搭載された車載装置に配信する配信手段を、さらに備えたこと
を特徴とする請求項1に記載の充電待ち時間情報提供装置。
【請求項6】
請求項5に記載の充電待ち時間情報提供装置から配信される前記充電ステーションの充電待ち時間情報を受信して、前記充電ステーションにおける充電待ち時間および充電時間を考慮した目的地までの経路情報を利用者に提供するカーナビゲーション装置であって、
前記充電待ち時間情報提供装置から配信された充電ステーションの充電待ち時間情報を記憶した充電待ち時間情報記憶手段を有し、
目的地までの経路を探索したとき、その時点での自車のバッテリ残量で、前記探索した経路に沿って目的地まで走行可能か否かを判定する処理と、
途中に1つの充電ステーションを経由して目的地に到る複数の経路を探索し、その複数の経路それぞれについて、目的地までの走行所要時間と、前記充電待ち時間記憶手段に記憶されている前記経由する充電ステーションでの充電待ち時間と、自車のバッテリ充電時間と、を合計して、目的地到着までの所要時間を算出する処理と、
前記複数の経路の中で、前記目的地到着までの所要時間が最小になる経路を選択する処理と、
前記選択した経路およびその経路に含まれる充電ステーションを、推奨経路および推奨充電ステーションとして表示装置に表示する処理と、
を実行すること
を特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項7】
各充電ステーションについての充電待ち時間情報を、所定の時間帯、所定の日種、所定の天気ごとに平均処理して求めた平均充電待ち時間情報を記憶した平均充電待ち時間情報記憶手段を、さらに、有し、
前記合計所要時間を算出する処理では、前記推奨充電ステーションに自車が到着する時刻を予測し、その到着時刻における前記推奨充電ステーションの充電待ち時間を、その日にその時刻までに前記推奨充電ステーションから配信された充電待ち時間の実績情報と、前記推奨充電ステーションについて前記平均充電待ち時間情報記憶手段に記憶されている平均充電待ち時間情報と、に基づいて予測すること
を特徴とする請求項6に記載のカーナビゲーション装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−214930(P2011−214930A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82059(P2010−82059)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】