説明

充電装置

【課題】外部充電時の停電発生の頻度が多い場合に部品の寿命が改善された充電装置を提供する。
【解決手段】充電装置は、外部電源8から電力を受けてバッテリMBに充電を行なう充電器42と、外部電源8から充電器42を経由してバッテリMBに至る給電経路上に設けられ給電経路の導通と遮断とを切り替えるリレー(システムメインリレーSMRB,SMRG、リレーCHRB,CHRG)と、リレーと充電器42との制御を行なう制御装置30とを含む。制御装置30は、充電開始から給電停止までの充電継続時間を計測し、充電実行中に外部電源8からの電力が給電停止されたことを検出した場合であって、充電継続時間が所定値よりも長いときには第1の待機時間後にリレーを開き、充電継続時間が所定値よりも短いときには第1の待機時間よりも長い第2の待機時間後にリレーを開く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、充電装置に関し、特に車載の蓄電装置を充電する充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化という問題が世界中で指摘されるようになって久しい。最近この問題の対策の一つとして注目を浴びてきているのが、エンジンからの排気が生じない電気自動車である。
【0003】
特開平11−152925号公報は、電気自動車に対して電気供給を可能とする立体駐車場を開示する。この自動車駐車場は、パーキングタワーに複数設けられたパレット(架台)を含む。このパレットの各々には、充電装置、バッテリ交換装置のいずれかが設置され、これにより電気自動車に電力補給が行われる。また、制御装置は、パレット及び充電装置、バッテリ交換装置の動作を自動的に行なう。さらに制御装置は、入庫しようとする電気自動車が契約車か否かの判別および電気自動車の電気供給方式の判別も行ない、判別結果に基づき、適切なパレットを電気自動車にあてがうような制御も行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−152925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気自動車や、プラグインハイブリッド自動車の普及に対しては、集合住宅等での充電が大きな課題となっている。集合住宅は、駐車場として立体のタワー駐車場を設けているものも多数ある。したがってそのような立体のタワー駐車場での充電が可能になれば普及の後押しになる。
【0006】
タワー型の駐車場ではパレットに車両を載せた状態で、パレットに配置された電源ソケットから車両のバッテリに充電を行なう。一方、タワー型駐車場は、各々のパレットを移動させるのに大きな電力を必要とする。パレット上の車両への充電電力とパレットの移動のための電力とを合わせて供給しようとすると、大型の受電設備が必要となるとともに、大電力の電力契約も必要となる。このため、駐車場の初期コストや維持コストも高くなってしまう。したがって、駐車場のパレットを移動させるときは、車両への充電は停止することが好ましい。これにより、タワー型駐車場としてのピーク電力使用量を抑えることができる。
【0007】
しかしながら、車両の充電開始は、外部からの交流電圧の印加をトリガーとしているので、車両は以下の動作を行なう。第1のケースは、充電実行中に外部からの交流電圧が遮断された場合である。この場合、車両は停電であると判断しスリープ状態となり、外部からの交流電圧の供給が再開されれば再び充電が開始される。第2のケースは、バッテリが満充電となって充電が終了した後に外部からの交流電圧が遮断された場合である。この場合には、外部からの交流電圧の再投入が発生すると、一度充電が完了しているにもかかわらず、充電開始のシーケンスを車両が始めてしまう。上記2つのケースのいずれにおいても、車両に設けられているリレーのON/OFFが実行されるので、リレーなどの部品の作動回数が増加し部品の寿命が短縮されてしまう。
【0008】
この発明の目的は、外部充電時の停電発生の頻度が多い場合に部品の寿命が改善された充電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、要約すると、車載の蓄電装置を充電する充電装置であって、外部電源から電力を受けて蓄電装置に充電を行なう充電器と、外部電源から充電器を経由して蓄電装置に至る給電経路上に設けられ給電経路の導通と遮断とを切り替えるリレーと、リレーと充電器との制御を行なう制御装置とを含む。制御装置は、充電開始から給電停止までの充電継続時間を計測し、充電実行中に外部電源からの電力が給電停止されたことを検出した場合であって、充電継続時間が所定値よりも長いときには第1の待機時間後にリレーを開き、充電継続時間が所定値よりも短いときには第1の待機時間よりも長い第2の待機時間後にリレーを開く。
【0010】
好ましくは、充電器は、車両に設けられたインレットに接続される。インレットは、外部電源に接続された充電ケーブルの端部に設けられるコネクタと接続可能に構成される。リレーは、給電経路のうちのインレットから蓄電装置に至る経路上に設けられる。
【0011】
好ましくは、制御装置は、充電実行中に外部電源からの電力が給電停止されたことを検出し、かつ充電継続時間が所定値よりも短い場合に、第2の待機時間以内に外部電源からの電力の給電が再開されたときには、リレーを開くことなく蓄電装置への充電を再開する。
【0012】
この発明は、他の局面では、車載の蓄電装置を充電する充電装置であって、外部電源から電力を受けて蓄電装置に充電を行なう充電器と、外部電源から充電器を経由して蓄電装置に至る給電経路上に設けられ給電経路の導通と遮断とを切り替えるリレーと、リレーと充電器との制御を行なう制御装置とを含む。制御装置は、外部電源からの電圧が印加されたことに応答してリレーを閉じ充電器によって蓄電装置に充電を行ない、蓄電装置が満充電状態になった場合には満充電状態で充電を完了した旨の第1の履歴情報を記憶する。制御装置は、満充電状態で充電を完了するまでに外部電源からの電圧が所定回数遮断された場合は停電頻度が高い旨の第2の履歴情報を記憶する。制御装置は、充電完了後には、充電器を停止させかつリレーを開き、その後第1の履歴情報と第2の履歴情報とが存在することを含む充電禁止条件が成立する場合には、外部電源からの電圧が再印加された場合であってもリレーを閉じない。
【0013】
充電禁止条件は、第1の履歴情報と第2の履歴情報とが存在することに加えて、充電完了後に車両に対する所定の操作が行なわれていないことを含む。
【0014】
好ましくは、充電器は、車両に設けられたインレットに接続される。インレットは、外部電源に接続された充電ケーブルの端部に設けられるコネクタと接続可能に構成される。リレーは、給電経路のうちのインレットから蓄電装置に至る経路上に設けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、不要な状態変化の発生が抑制されるので、部品の寿命が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】充電器を含む車両の電源システムが搭載された車両の構成を示す回路図である。
【図2】タワー型駐車場の構成例を示した図である。
【図3】パレット上に車両が駐車された場合の充電について説明するための図である。
【図4】車両の制御装置が実行する停電時の待ち時間の変更処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】車両の制御装置が実行する満充電フラグの設定処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】車両の制御装置が実行する車両起動処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】充電器42の接続箇所の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
図1は、充電器を含む車両の電源システムが搭載された車両の構成を示す回路図である。
【0019】
図1を参照して、車両1は、蓄電装置であるバッテリMBと、電圧コンバータ12と、平滑用コンデンサC1,CHと、電圧センサ10,13,21と、エアコン40と、DC/DCコンバータ6と、補機7と、インバータ14と、モータジェネレータMG1と、制御装置30とを含む。
【0020】
本実施の形態に示される車両の電源システムは、モータジェネレータMG1を駆動するインバータ14に給電を行なう正極母線PL2をさらに備える。電圧コンバータ12は、バッテリMBと正極母線PL2との間に設けられ、電圧変換を行なう電圧変換器である。エアコン40とDC/DCコンバータ6は、正極母線PL1および負極母線SL2に接続される。補機7には、DC/DCコンバータ6から、たとえば14Vの直流電圧が電源電圧として供給される。
【0021】
平滑用コンデンサC1は、正極母線PL1と負極母線SL2間に接続される。電圧センサ21は、平滑用コンデンサC1の両端間の電圧VLを検出して制御装置30に対して出力する。電圧コンバータ12は、平滑用コンデンサC1の端子間電圧を昇圧する。
【0022】
平滑用コンデンサCHは、電圧コンバータ12によって昇圧された電圧を平滑化する。電圧センサ13は、平滑用コンデンサCHの端子間電圧VHを検知して制御装置30に出力する。インバータ14は、電圧コンバータ12から与えられる直流電圧を三相交流電圧に変換してモータジェネレータMG1に出力する。
【0023】
車両1は、さらに、バッテリMBの正極と正極母線PL1との間に接続されるシステムメインリレーSMRBと、バッテリMBの負極(負極母線SL1)とノードN2との間に接続されるシステムメインリレーSMRGとを含む。
【0024】
システムメインリレーSMRB,SMRGは、制御装置30から与えられる制御信号にそれぞれ応じて導通/非導通状態が制御される。
【0025】
電圧センサ10は、バッテリMBの端子間の電圧VBを測定する。電圧センサ10とともにバッテリMBの充電状態を監視するために、バッテリMBに流れる電流IBを検出する電流センサ11が設けられている。バッテリMBとしては、たとえば、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池や、電気二重層コンデンサ等の大容量キャパシタなどを用いることができる。負極母線SL2は、図示しないが、電圧コンバータ12の中を通ってインバータ14側に延びている。
【0026】
インバータ14は、正極母線PL2と負極母線SL2に接続されている。インバータ14は、車輪を駆動するモータジェネレータMG1に対して電圧コンバータ12の出力する直流電圧を三相交流電圧に変換して出力する。またインバータ14は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG1において発電された電力を電圧コンバータ12に戻す。このとき電圧コンバータ12は、降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。
【0027】
電流センサ24は、モータジェネレータMG1に流れる電流をモータ電流値MCRT1として検出し、モータ電流値MCRT1を制御装置30へ出力する。
【0028】
制御装置30は、モータジェネレータMG1のトルク指令値および回転速度と、電流IBおよび電圧VB,VL,VHの各値と、モータ電流値MCRT1と、起動信号IGONとを受ける。そして制御装置30は、電圧コンバータ12に対して昇圧指示を行なう制御信号PWU,降圧指示を行なう制御信号PWDおよび動作禁止を指示するシャットダウン信号を出力する。
【0029】
さらに、制御装置30は、インバータ14に対して電圧コンバータ12の出力である直流電圧を、モータジェネレータMG1を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示を行なう制御信号PWMI1と、モータジェネレータMG1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して電圧コンバータ12側に戻す回生指示を行なう制御信号PWMC1とを出力する。
【0030】
車両1は、さらに、充電時のリレーCHRB,CHRGと、充電器42と、電圧センサ43と、インレット45とを含む。インレットには充電ケーブルのコネクタ44が接続される。コネクタ44は、CCID(Charging Circuit Interrupt Device)リレー46を介して外部電源8に接続される。外部電源8は、たとえば交流100Vの商用電源である。
【0031】
制御装置30は、インレット45にコネクタ44が接続されたことを示す信号CNTを、インレット45から受ける。また、制御装置30は、インレット45に電圧が印加されたことを示す信号VACを電圧センサ43から受ける。
【0032】
制御装置30は、インレット45にコネクタ44が接続されており、かつ電圧センサ43に電圧が投入されたことに応答して所定の充電開始シーケンスを実行する。この充電開始シーケンスは、システムメインリレーSMRB,SMRGおよびリレーCHRB,CHRGの開閉を含む。
【0033】
制御装置30は、充電実行中は充電器42に充電電流ICおよび充電電圧VCを指示する。充電器42は、交流を直流に変換するとともに電圧を調圧してバッテリMBに与える。
【0034】
図2は、タワー型駐車場の構成例を示した図である。
図2を参照して、タワー型駐車場101は、建築物102の内部に、車両用パレット103と、駐車棚141と、入庫部105と、リフト駆動部111と、配電部114と、制御部110とを含む。
【0035】
このタワー型駐車場101は、エレベータ方式の機械式駐車場であるが、他の方式のものであっても良い。入庫部105には、旋回部151が設けられる。パレット103には、電気接点152が設けられている。矢印106に示すようにパレット103はリフトよって上下に移動される。左右方向の移動は、パレットが自走しても良いしアームなどにより引っ張られるように構成しても良い。各駐車棚141には電源装置104が設けられており、パレット103が各駐車棚に格納されると、電気接点152は電源装置104に接続される。
【0036】
配電部114は、リフト駆動部111に電力を供給するためのスイッチ115と、各駐車棚141に設けられた電源装置104に電力を供給するためのスイッチ116とを含む。
【0037】
制御部110は、リフトを駆動させる必要がない時には、スイッチ115をオフ状態に制御する一方で、スイッチ116をオン状態に制御し、各駐車棚において車両への充電を可能とする。
【0038】
また、制御部110は、車両が入庫されリフトを駆動する際には、スイッチ115をオン状態に制御してリフト駆動部111に電力を供給する一方で、スイッチ116をオフ状態に制御し、電源113から契約電力以上の電力が供給されてしまうのを防いでいる。
【0039】
このように制御部110がスイッチ115とスイッチ116の同時オンを禁止しているので、小型の受電設備が使用でき、また、電力の契約容量が小さくてすむ。
【0040】
なお、スイッチ116をさらに細分化して、各駐車棚への電力供給を別々にオンオフ可能に構成しても良い。
【0041】
図3は、パレット上に車両が駐車された場合の充電について説明するための図である。
図2、図3を参照して、パレット103には、充電ケーブル154が設けられており、充電ケーブル154の先端にはコネクタ44が設けられている。車両1に充電を行なう時には、入庫時にコネクタ44をインレット45に接続する。
【0042】
パレット103がリフトによって運搬され、所定の駐車棚141に配置されると、駐車棚141に配置された電源装置104から電気接点152を介してパレット103の充電ケーブル154に交流電圧が供給される。
【0043】
車両1は、交流電圧を検出すると、充電電力を受け入れるために、図1のシステムメインリレーSMRB,SMRGおよびリレーCHRB,CHRGを導通させるとともに、充電器42を作動させる。
【0044】
しかし、タワー型駐車場101に車両が入庫されるたびに、スイッチ116がオフとなるので、充電は一時中断されその後再開される。この中断のたびに所定のシーケンスでの充電終了処理が実行され、再開のたびに所定のシーケンスでの充電開始処理が実行されると、車両の部品の寿命面で不利である。たとえば、システムメインリレーSMRB,SMRGおよびリレーCHRB,CHRGはオンオフの回数が増えると寿命が短縮される。他の部品も充電終了および充電開始のシーケンスで作動するものがあれば、やはり寿命が短縮される。
【0045】
したがって、本実施の形態では、タワー型駐車場の入庫時のように頻繁に電力供給が中断されるような場合には、一度充電開始処理を実行した後には充電終了処理を実行せずに電力供給の再開を待つようにする。具体的には、充電開始から比較的短時間で電力供給が中断された場合には、災害や事故などによる停電ではない可能性が高いと判断し、充電処理を行なわずに待つ時間を通常時よりも長く設定する。また満充電となるまでに充電中断が所定回数あった場合には、満充電まで充電された後には、電源投入を検知しても充電開始シーケンスを実行しない。
【0046】
図4は、車両の制御装置が実行する停電時の待ち時間の変更処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートの処理は、一定時間ごとまたは所定の条件が成立するごとにメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0047】
図4を参照して、まず、ステップS1において、制御装置30は、車両が充電中であるか否かを判断する。充電中でなければ、ステップS1からステップS8に処理が進み、制御はメインルーチンに戻される。
【0048】
ステップS1において、充電中である場合にはステップS2に処理が進む。ステップS2では、停電による電源供給停止が発生したか否かが判断される。ステップS2において電源供給停止が発生していなければステップS3に処理が進み、充電継続時間を測定するカウンタがカウントアップされる。その後ステップS8に処理が進み、制御はメインルーチンに戻される。
【0049】
ステップS2において電源供給停止が発生した場合にはステップS4に処理が進み、現在の充電継続時間を測定するカウンタの値が規定値より小さいか否かが判断される。ステップS4において、カウンタ値<規定値が成立しない場合にはステップS5に処理が進み、成立した場合にはステップS6に処理が進む。
【0050】
ステップS5では、通常の停電判定処理が実行される。通常の停電判定処理では、待ち時間T(秒)以内に通電の再開があるか否かが判断される。この待ち時間Tの間は充電をいつでも再開できるように、システムメインリレーSMRB,SMRGやリレーCHRB,CHRGはオン状態のままで待機している。たとえば待ち時間Tは10秒に設定することができる。
【0051】
一方、ステップS6においては、タワー型駐車場での充電を想定して、電源供給停止から充電停止までの待ち時間がステップS5よりも延長されている。具体的には待ち時間T+α(秒)以内に通電の再開があるか否かが判断される。この待ち時間T+αの間は充電をいつでも再開できるように、システムメインリレーSMRB,SMRGやリレーCHRB,CHRGはオン状態のままで待機している。たとえば、待ち時間T+αは、タワー型駐車場の1回当たりのリフトの駆動時間より長く設定される。たとえばT+αを5分に設定することができる。
【0052】
ステップS5またはステップS6において対応する待ち時間以内に通電の再開があった場合には、ステップS7に処理が進み、充電継続時間を計測するためのカウンタの値がリセットされバッテリMBへの充電が再開される。その後ステップS8において制御はメインルーチンに戻される。
【0053】
ステップS5またはステップS6において対応する待ち時間が経過しても通電の再開が無かった場合には、ステップS9に処理がすすみ、システムメインリレーSMRB,SMRGやリレーCHRB,CHRGがオフ状態に制御され、充電が終了される。そしてその後ステップS10において制御は終了となる。
【0054】
図5は、車両の制御装置が実行する満充電フラグの設定処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートの処理は、一定時間ごとまたは所定の条件が成立するごとにメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0055】
図5を参照して、まず処理が開始されると、ステップS21において充電中であるか否かが判断される。充電中でなければ、ステップS21からステップS27に処理が進み、制御はメインルーチンに戻される。
【0056】
ステップS21において充電中である場合にはステップS22に処理が進む。ステップS22では、停電によるAC電源供給停止が発生したか否かが判断される。ステップS22において、充電実行中に停電によるAC電源供給停止が発生した場合には、ステップS23において停電回数Nがインクリメントされる。ステップS22においてAC電源供給停止が発生していない場合にはステップS23の処理は実行されず停電回数Nはそのままである。
【0057】
そして、ステップS24においてバッテリの充電状態が電圧センサや電流センサの値に基づいて算出され、バッテリが満充電であるか否かが判断される。ステップS24において、バッテリが満充電である場合には、ステップS25において満充電フラグF=ONに設定される。このとき充電を停止しても良い。一方、ステップS24においてまだ満充電ではないと判断された場合には満充電フラグF=OFFに設定される。この場合には充電は継続される。ステップS25またはステップS26の処理の後には、ステップS27に処理が進み、制御はメインルーチンに移される。
【0058】
図6は、車両の制御装置が実行する車両起動処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートの処理は、一定時間ごとまたは所定の条件が成立するごとにメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0059】
図6を参照して、まず処理が開始されると、制御装置30は、ステップS31において電圧センサ43の出力をモニタしてAC入力がオフからオンに投入されたか否かを判断する。ステップS31においてAC入力の投入が検出されない場合にはステップS36に処理が進み制御はメインルーチンに移される。一方ステップS31においてAC入力の投入が検出された場合にはステップS32に処理が進む。
【0060】
ステップS32では、満充電フラグF=ONに設定されているか否かが判断される。ステップS32において、満充電フラグFがONでなければ、また充電を継続しても良い。このためステップS35に処理が進む。
【0061】
一方ステップS32において満充電フラグFがONであれば、満充電まで充電された後にAC入力が投入された場合である。このときは、ステップS33に処理が進み、停電回数Nがしきい値より大きいか否かが判断される。
【0062】
ステップS33において停電回数Nがしきい値より大きい場合には、ステップS34に処理が進み、制御装置30は充電開始のシーケンスを実行せず、システムメインリレーSMRB,SMRGやリレーCHRB,CHRGをオン状態にしない。一方、ステップS33において停電回数Nがしきい値以下である場合には、ステップS35に処理が進む。
【0063】
ステップS35では、充電開始のシーケンスが実行され充電が開始される。すなわち、システムメインリレーSMRB,SMRGやリレーCHRB,CHRGをオン状態に設定される。
【0064】
ステップS34またはステップS35の処理の後には、ステップS36において制御はメインルーチンに戻される。
【0065】
なお、図6では、停電回数に基づいて電源投入時のリレーONを行なうか否かを決めたが、満充電まで充電され充電終了した場合には、一度インレットからコネクタが離脱され、その後再接続された履歴がなければリレーONを行なわないようにしても良い。
【0066】
以上説明したように、本実施の形態の充電装置によれば、充電中に停電が頻発するような環境で充電が行なわれる場合に、充電終了シーケンスや充電開始シーケンスを行なうことが少なくなる。この充電装置は、特に集合住宅での立体駐車場などで好適に用いられる。このため、充電に関連する部品(とくにリレーや充電器の部品)の寿命の延長が期待できる。
【0067】
最後に、本実施の形態について再度図面を参照して総括する。図1を参照して、本実施の形態の充電装置は、車載のバッテリMBを充電する充電装置である。充電装置は、外部電源8から電力を受けてバッテリMBに充電を行なう充電器42と、外部電源8から充電器42を経由してバッテリMBに至る給電経路上に設けられ給電経路の導通と遮断とを切り替えるリレー(システムメインリレーSMRB,SMRG、リレーCHRB,CHRG)と、リレーと充電器42との制御を行なう制御装置30とを含む。図4に示すように、制御装置30は、充電開始から給電停止までの充電継続時間を計測し、充電実行中に外部電源8からの電力が給電停止されたことを検出した場合(ステップS2でYES)であって、充電継続時間が所定値よりも長いとき(ステップS4でNO)には第1の待機時間後にリレーを開き(ステップS5でNO)、充電継続時間が所定値よりも短いとき(ステップS4でYES)には第1の待機時間よりも長い第2の待機時間後に(ステップS6でNO)リレーを開く。
【0068】
好ましくは、充電器42は、車両に設けられたインレット45に接続される。インレット45は、外部電源8に接続された充電ケーブルの端部に設けられるコネクタ44と接続可能に構成される。リレーは、給電経路のうちのインレット45からバッテリMBに至る経路上に設けられる。
【0069】
好ましくは、制御装置30は、充電実行中に外部電源8からの電力が給電停止されたことを検出し(ステップS2でYES)、かつ充電継続時間が所定値よりも短い場合(ステップS4でYES)に、第2の待機時間以内に外部電源8からの電力の給電が再開されたとき(ステップS6でYES)には、リレーを開くことなくバッテリMBへの充電を再開する(ステップS7)。
【0070】
他の局面では以下のように捉えることもできる。図1を参照して、本実施の形態の充電装置は、車載のバッテリMBを充電する充電装置である。充電装置は、外部電源8から電力を受けてバッテリMBに充電を行なう充電器42と、外部電源8から充電器42を経由してバッテリMBに至る給電経路上に設けられ給電経路の導通と遮断とを切り替えるリレーと、リレーと充電器42との制御を行なう制御装置30とを含む。制御装置30は、外部電源8からの電圧が印加されたことに応答してリレーを閉じ充電器42によってバッテリMBに充電を行ない、図5に示すように、バッテリMBが満充電状態になった場合には(ステップS24でYES)満充電状態で充電を完了した旨の第1の履歴情報を記憶する(ステップS25)。制御装置30は、満充電状態で充電を完了するまでに外部電源8からの電圧が所定回数遮断された場合は(ステップS22でYES)停電頻度が高い旨の第2の履歴情報を記憶する(ステップS23)。また図6に示すように、制御装置30は、充電完了後には、充電器42を停止させかつリレーを開き、その後第1の履歴情報と第2の履歴情報とが存在することを含む充電禁止条件が成立する場合(ステップS32およびS33でYES)には、外部電源8からの電圧が再印加された場合であってもリレーを閉じない(ステップS34)。
【0071】
充電禁止条件は、第1の履歴情報と第2の履歴情報とが存在することに加えて、充電完了後に車両に対する補機の起動や車両の走行など充電量が減少するような動作のための所定の操作が行なわれていないことを含む。
【0072】
好ましくは、充電器42は、車両に設けられたインレット45に接続される。インレット45は、外部電源8に接続された充電ケーブルの端部に設けられるコネクタ44と接続可能に構成される。リレーは、給電経路のうちのインレット45からバッテリMBに至る経路上に設けられる。
【0073】
なお、充電器42を車両のハイブリッドシステムに接続する位置は種々の変形が考えられる。図7は、充電器42の接続箇所の変形例を示した図である。たとえば、図7に示す車両1Aのように、バッテリMBとシステムメインリレーSMRB,SMRGとの間の電力線からリレーCHRB,CHRGに分岐するように充電器42の接続箇所を変形しても良い。
【0074】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0075】
1 車両、6 DC/DCコンバータ、7 補機、8 外部電源、10,13,21,43 電圧センサ、11 電流センサ、12 電圧コンバータ、14 インバータ、24 電流センサ、30 制御装置、40 エアコン、42 充電器、44 コネクタ、45 インレット、46,CHRB,CHRG リレー、101 タワー型駐車場、102 建築物、103 パレット、104 電源装置、105 入庫部、110 制御部、111 リフト駆動部、113 電源、114 配電部、115,116 スイッチ、141 駐車棚、151 旋回部、152 電気接点、154 充電ケーブル、C1,CH 平滑用コンデンサ、MB バッテリ、MG1 モータジェネレータ、PL1,PL2 正極母線、SL1,SL2 負極母線、SMRB,SMRG システムメインリレー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載の蓄電装置を充電する充電装置であって、
外部電源から電力を受けて前記蓄電装置に充電を行なう充電器と、
前記外部電源から前記充電器を経由して前記蓄電装置に至る給電経路上に設けられ前記給電経路の導通と遮断とを切り替えるリレーと、
前記リレーと前記充電器との制御を行なう制御装置とを備え、
前記制御装置は、充電開始から給電停止までの充電継続時間を計測し、充電実行中に前記外部電源からの電力が給電停止されたことを検出した場合であって、前記充電継続時間が所定値よりも長いときには第1の待機時間後に前記リレーを開き、前記充電継続時間が前記所定値よりも短いときには前記第1の待機時間よりも長い第2の待機時間後に前記リレーを開く、充電装置。
【請求項2】
前記充電器は、車両に設けられたインレットに接続され、
前記インレットは、前記外部電源に接続された充電ケーブルの端部に設けられるコネクタと接続可能に構成され、
前記リレーは、前記給電経路のうちの前記インレットから前記蓄電装置に至る経路上に設けられる、請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記制御装置は、充電実行中に前記外部電源からの電力が給電停止されたことを検出し、かつ前記充電継続時間が前記所定値よりも短い場合に、前記第2の待機時間以内に前記外部電源からの電力の給電が再開されたときには、前記リレーを開くことなく前記蓄電装置への充電を再開する、請求項1または2に記載の充電装置。
【請求項4】
車載の蓄電装置を充電する充電装置であって、
外部電源から電力を受けて前記蓄電装置に充電を行なう充電器と、
前記外部電源から前記充電器を経由して前記蓄電装置に至る給電経路上に設けられ前記給電経路の導通と遮断とを切り替えるリレーと、
前記リレーと前記充電器との制御を行なう制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記外部電源からの電圧が印加されたことに応答して前記リレーを閉じ前記充電器によって前記蓄電装置に充電を行ない、前記蓄電装置が満充電状態になった場合には満充電状態で充電を完了した旨の第1の履歴情報を記憶し、
前記制御装置は、満充電状態で充電を完了するまでに前記外部電源からの電圧が所定回数遮断された場合は停電頻度が高い旨の第2の履歴情報を記憶し、
前記制御装置は、充電完了後には、前記充電器を停止させかつ前記リレーを開き、その後前記第1の履歴情報と前記第2の履歴情報とが存在することを含む充電禁止条件が成立する場合には、前記外部電源からの電圧が再印加された場合であっても前記リレーを閉じない、充電装置。
【請求項5】
前記充電禁止条件は、前記第1の履歴情報と前記第2の履歴情報とが存在することに加えて、充電完了後に車両に対する所定の操作が行なわれていないことを含む、請求項4に記載の充電装置。
【請求項6】
前記充電器は、車両に設けられたインレットに接続され、
前記インレットは、前記外部電源に接続された充電ケーブルの端部に設けられるコネクタと接続可能に構成され、
前記リレーは、前記給電経路のうちの前記インレットから前記蓄電装置に至る経路上に設けられる、請求項4または5に記載の充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−231639(P2012−231639A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99531(P2011−99531)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)
【出願人】(511035498)株式会社アクシス・テクノロジー (2)
【Fターム(参考)】