説明

充電配車計画システム

【課題】蓄電装置となる電池の劣化を抑制する充電制御を行う。
【構成】共同使用する複数の電気自動車の充電制御及び配車制御を行う充電配車計画システム1であって、各電気自動車10の電池11の電池残量を検出する電池残量検出部15bと、次回利用者の電気自動車を利用するトリップ予約の予約情報を受付け、次回トリップのトリップ出発時刻を決定する予約受付部51aと、予約情報に基づいて次回トリップで必要とする必要消費電力を見積もる消費電力算出部51cと、電池残量と必要消費電力と予約情報とに基づき、トリップ出発時刻までに必要とする必要消費電力を電池11に蓄電可能な電気自動車を選択して配車可能車とし、選択された配車可能車から電池劣化に与える影響度合いである電池劣化コストに基づいて配車を決定し、前記トリップ出発時刻までに前記必要消費電力を蓄電するように充電する充電配車計画部51dとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共同使用する複数の電気自動車に対して充電制御及び配車制御を行う充電配車計画システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の充電制御装置および充電制御方法は、蓄電装置を搭載する複数台の車両の蓄電装置の充電を制御する。この蓄電装置の充電制御は、各車両の外部電源が接合されたときの蓄電装置の蓄電状態と各車両の予想消費電力とに基づいて必要な充電電力量算出する。さらに、各車両の使用開始時刻を検出し、必要充電量と使用開始時刻から契約電力内で充電する充電スケジュールを決定し、各車両の蓄電装置を充電制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−136109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気自動車に搭載する蓄電装置は、充放電を繰り返すことにより劣化する。特に、蓄電装置を満充電の状態まで充電することを繰り返すことにより、充電装置の劣化が大きくなる。蓄電装置を契約電力量内で充電制御する場合には、充電に使用する電力量を抑制することはできるが、蓄電装置の劣化までは考慮されていない。
そこで、本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、電池の劣化を抑制する充電制御を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、共同利用する複数の電気自動車を次回トリップまでの間に充電する際に、電池劣化に与える影響度合いである電池劣化コストを加味して充電制御を行う。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電池劣化に与える影響度合いである電池劣化コストを加味して電気自動車の充電制御を行うので、共同利用する電気自動車の電池の劣化を抑制した充電制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す機能ブロック図である。
【図3】充電コスト算出マップを示す特性線図である。
【図4】第1の実施形態のデータセンターで実行する充電配車制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】図4の充電配車計画処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】配車可能な電気自動車の選出例を示す図である。
【図7】充電速度の算出例を示す図である。
【図8】第1の実施形態の充電配車制御の一例を示す図である。
【図9】第1の実施形態の充電配車制御の他の例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態を示す機能ブロック図である。
【図11】第2の実施形態の電池劣化推移を示す図である。
【図12】第2の実施形態の利用履歴記録処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】第2の実施形態の電池劣化解析処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】第2の実施形態の運転係数決定処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図15】第2の実施形態における配車充電計画処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図16】図15の充電配車処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図17】第2の実施形態の充電配車制御の一例を示す図である。
【図18】第2の実施形態の充電配車制御の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
「第1の実施形態」
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態を示す充電配車計画システムの全体構成を示すブロック図である。
(構成)
充電配車計画システム1は、共同使用する複数の電気自動車10と、各電気自動車10に搭載される電池11を充電する充電装置30とを備えている。また充電配車計画システム1は、各電気自動車10の充電及び配車を制御するデータセンター50と、データセンター50に通信回線を介して接続された利用者端末60とを備えている。
【0009】
各電気自動車10は、各種機器に電力を供給する電池11を備えている。ここでいう電気自動車とは、バッテリーで駆動する電動モーターを駆動源とする車両であればよく、例えばバッテリーで駆動する電動モーターのみを駆動源とする車両、或いは、エンジンと電動モーターとを駆動源とするハイブリッド車両、プラグインハイブリッド車両であっても適用することができる。電池11は、電気自動車で本格採用が進んでいるリチウムイオンバッテリが適用されている。しかしながら、電池11としては、一般的な鉛蓄電池、ニッケル水素電池等の他の電池を適用することができる。また、電気自動車のような大量のバッテリーを束ねた電池ユニットを搭載する装置の場合、ユニット内の電池同士のバラツキを把握・制御するため、含まれるバッテリー単体毎、もしくはバッテリーを複数束ねた電池セルといった単位毎に電流や電圧、温度などを監視するセンサが付随することがあるが、これらセンサ類も本実施形態では後述する入力装置17の一部として取り扱う。
【0010】
この電池11は、交流を直流へ変換するAC/DC変換器12を介して受電装置13に接続されている。受電装置13は、外部の充電装置30に接続可能に構成された充電コネクタ14で構成されている。
また、各電気自動車10は、各種演算処理を行う演算装置15を備えている。この演算装置15には、記憶装置16が接続されていると共に、入力装置17及び出力装置18が接続されている。さらに、演算装置15には外部機器との間で通信を行う通信装置19を備えている。
【0011】
入力装置17は、電気自動車10に搭載されたセンサやスイッチ、運転操作系統、自動車内外の状況や運転操作を検出するものである。この入力装置17は、ボタン・スイッチ17a、ステアリング装置17b、アクセル・ブレーキ装置17c、電流電圧センサ17d、位置センサ17e及び温度センサ17fを備えている。
ここで、ボタン・スイッチ17aは、ステアリング、アクセル、ブレーキ、エアコン、ワイパー、ウィンカー、シフトポジション、ライト等の各種切り替えを行うボタンやスイッチで構成されている。ステアリング装置17bは、電気自動車の進行方向を制御するもので、操舵角情報、操舵トルク情報等が出力される。
【0012】
また、アクセル・ブレーキ装置17cは、電気自動車の速度を制御するものであり、アクセルペダル開度情報やブレーキペダル踏込情報が出力される。電流電圧センサ17dは、電池11やモーターへの電流電圧の入出力を検出し、その検出信号を出力するものである。位置センサ17eは、電気自動車の走行位置を検出し、その位置情報を出力するもので、例えば全地球測位システム(GPS)等が適用される。温度センサ17fは、外気温、室内温度、電池温度等を検出し、これらの検出信号を出力するものである。
【0013】
この入力装置17から出力される各種信号がA/D変換器20でデジタル信号に変換されて演算装置15に入力される。
出力装置18は、電気自動車の動きに変化を与えたり、運転者や外界に情報を発信したりするものであり、アクチュエータ18a、モーター・インバータ18b、ディスプレイ18c及びスピーカ18dを備えている。
【0014】
ここで、アクチュエータ18aは、車輪の操舵角度やブレーキ圧力を変化させる各種操作機器である。モーター・インバータ18bは、動力源あるいは発電源である電動モーターとこれを駆動制御するインバータとで構成されている。ディスプレイ18cは、各種表示情報を表示し、スピーカ18dは、音声情報等を出力する。
そして、出力装置18には、演算処理装置からの各種信号がD/A変換器21を介して入力される。
【0015】
また、通信装置19は、充電装置30との間では例えば通信用配線による有線通信や電流用配線を利用した電力線通信を行い、データセンター50との間では例えば無線通信を行って、充電装置30及びデータセンター50との間で情報の送受信を行う。
そして、演算装置15は、機能ブロック図で表すと図2に示すように構成される。すなわち、演算装置15は、車両制御部15a、電池残量検出部15b、充放電制御部15c及び充放電回路部15dを備えている。
【0016】
車両制御部15aは、一般にECU(Electric Control Unit)と称され、電気自動車に限らず、近年の車両の多くに搭載されている。この車両制御部15aでは、入力装置17から入力されるアクセル開度、ブレーキ踏込量に基づいてモーター発電機15eを駆動制御する走行制御やステアリング装置17bの操舵状態を制御する操舵制御等を行う。
【0017】
電池残量検出部15bは、電気自動車10に搭載された電池に含まれる残電力量を検出するものである。電池残量は、充電状態(SOC:State of Charge)とも称され、一般にその電池の持つ最大容量を100%、最低容量を0%として評価する。
充放電制御部15cは、車両制御部15aあるいは充電装置30からの指令により、後述する充放電回路部15dへ電池及びモーター発電機に対して充放電の制御指令値を与える。
【0018】
充放電回路部15dは、充放電制御部15cから取得した電流電圧の指令値に基づき、実際に電池、モーター発電機に対して電流の入出力を行うものである。なお、電気自動車10においてはモーター発電機、電池以外にも、ステアリング装置、エアコンや、ブレーキ、ナビゲーション装置等のあらゆる機器も電気で駆動するため、これら補機類への電力の供給制御についても充放電制御部15c及び充放電回路部15dが担うこととなる。
【0019】
一方、充電装置30は、充電用の交流電力を出力する給電装置31と、この給電装置31の充電電流及び充電電圧を調整して充電速度を制御する演算装置32とを備えている。
演算装置32には、記憶装置33と通信装置34とが接続されている。記憶装置33は、演算装置32で実行する充電制御処理を行うプログラムを記憶していると共に、充電制御処理時の電流変化や電圧変化等の充電履歴情報を記憶する。通信装置34は、電気自動車10の通信装置19との間で、電池11の充電状態を表す情報を取得すると共に、充電電力情報を通信装置19へ送信する。
【0020】
この演算装置32を機能ブロック図で表すと、図2に示すように構成される。すなわち、演算装置32は、電力供給部32aと充電制御部32bとを備えている。電力供給部32aは、電池11の充電のための実質的な電力を電気自動車10に対して供給するものである。具体的には、一般家庭の100V電源や、200V電源、あるいは近年電気自動車用に普及の一途にある急速充電器の電力供給装置がこれに相当する。
【0021】
充電制御部32bは、電池11の充電のための供給電力を電気自動車10側の充放電制御部15cと協調して調整するものである。なお、上述した一般家庭用の100V電源や200V電源を用いる場合、これら給電側には充電制御部を備えていない場合が多く、上記構成もつのは急速充電器の場合と考えてよい。通常の100V電源や200V電源から充電を行う場合は、電気自動車側の充放電制御部15cが単独で電気自動車10内の電池状態を把握しながら給電量を調整することになる。
【0022】
さらに、データセンター50は、複数の電気自動車を共同で使用するカーシェアリングにおける配車及び充電を制御するものである。このデータセンター50は、電気自動車10から電池残量データを取得すると共に、利用者端末60から次回予約者の予約情報を取得して、配車制御と充電制御を行う。このデータセンター50は、配車充電制御処理を行う演算装置51と、配車充電制御処理に必要なプログラムを格納すると共に、各種データを記憶する記憶装置52と、演算装置51に接続された通信装置53とを備えている。
【0023】
通信装置53は、電気自動車10の通信装置19との間で通信を行って電池残量データを取得するとともに、利用者端末60と例えばインターネット等のネットワークを介して接続して予約情報を取得する。この予約情報としては、利用時間帯、利用予定距離あるいは走行予定地域、目的地等が挙げられる。
【0024】
この演算装置51は、機能ブロックで表すと、図2に示すようになる。すなわち、演算装置51は、予約受付部51a、電池残量取得部51b、消費電力算出部51c及び充電配車計画部51dを備えている。
予約受付部51aでは、利用者端末60からトリップ予約の予約情報を取得し、取得した予約情報の利用時間帯から次回トリップのトリップ出発時刻を決定する。また、予約受付部51aは、取得した予約情報を消費電力算出部51c及び充電配車計画部51dへ伝達する。
【0025】
電池残量取得部51bは、電気自動車10の電池残量検出部15aが検出した電池残量データを取得するものである。この電池残量データの取得方式としては2つのデータ取得方式がある。一方のデータ取得方式は、予約受付時すなわち予約受付部51aから予約情報が入力された時点で、電気自動車10の電池残量検出部に対して電池残量データの取得及び送信を要求する方式である。他方のデータ取得方式は、電気自動車10の電池残量検出部で所定時間(例えば1分)毎等の定期的な間隔で電池残量を検出し、その結果を随時データセンター50に送信する方式である。電池残量取得部51bでは上記2つのデータ取得方式の何れか一方を設定することにより、電池残量取得部51bで電池残量データを取得する。
【0026】
消費電力算出部51cは、予約受付部51aから予約情報が入力されると、予約情報に含まれる利用時間帯や利用予定距離といった情報に基づいて、予約した利用者が乗車したときに消費される必要消費電力を算出するものである。この消費電力算出部51cでは、予約時に予約情報に含まれる前述した利用時間帯、利用予定距離あるいは走行予定地域、目的地等に基づいて少なくとも走行距離を特定する。
【0027】
そして、特定された走行距離に電気自動車10の平均電費(電力消費率)を掛け合わせることにより、走行で消費する合計電力量でなる必要電力消費量を算出する。ここで、平均電費は予め走行試験等により算出することが可能であるし、近年の一般的なガソリン車が燃費計を装備するように、電費を逐次記録する装置を備えれば、最新の電費に基づいてより精度よく必要消費電力量を算出することができる。
【0028】
さらに、例えば目的地への走行経路の探索時に、統計交通情報等、当日の走行予定時間帯における走行経路の渋滞情報を加味することができれば、経路の各部分毎の平均走行速度を算出することができる。この平均走行速度と速度帯毎の電費を掛け合わせれば、より精度よく必要消費電力を計算することができる。この場合、速度帯域毎の電費については、上記平均電費と同様に、予め保持しておくか、走行履歴に基づく更新したデータを利用することができる。
【0029】
充電配車計画部51dは、予約受付部51aから取得する予約情報と、消費電力算出部51cから取得する必要消費電力とに基づいて利用可能な電気自動車を選定して配車を決定し、配車が決定された電気自動車10に対する充電制御を行う。また、充電配車計画部51dは、予約可否の情報を予約受付部51aから利用者端末60に回答する。
【0030】
充電配車計画部51dでは、まず、次回トリップ時に予測される必要消費電力に所定閾値を加算した値を電池の最大蓄電量で除して電池の目標充電状態(以下、ターゲットSOCと称す)[%]を算出する。ここで、所定閾値は、深放電を防止するために必要最低限の電力である。電気自動車10の電池11に使用するリチウムイオン電池は充電状態(SOC)が20%を下回るような空に近い状態が継続すると、新品当初の蓄電容量を保持できなくなる電池劣化が急激に加速することが知られている。したがって、必要な走行距離を走行した後であっても深放電状態に陥らないために所定閾値を設け、この所定閾値に必要消費電力を加算した値をターゲットSOCとして設定する。
【0031】
充電配車計画部51dでは、ターゲットSOCが設定されると、次回トリップの予約されたトリップ出発時刻と、ターゲットSOCとに基づいて物理的に利用可能な電気自動車10を選出する。選出する電気自動車10は、電気自動車10を貸し出す拠点に存在しているか又は予約時刻前に返却予定であり、且つ予約時刻までに、充電可能な最大速度の充電速度を前提とした際に、必要消費電力の充電が可能な電気自動車である。
【0032】
そして、充電配車計画部51dは、選出された電気自動車10が存在しない場合には、利用者端末60に対して予約条件の変更を提示する。また、充電配車計画部51dは、選出された電気自動車10が1台以上である場合には、選出された1台以上の電気自動車10に対してターゲットSOCと、電気自動車10の返却時刻とトリップ出発時刻から算出される「充電可能時間」から充電速度を算出する。
【0033】
さらに、充電配車計画部51dでは、選出された電気自動車10について算出された充電速度とターゲットSOCとに基づいて記憶装置52に記憶されている図5に示す充電コスト算出テーブルを参照して電池劣化に与える影響度合いである電池劣化コストを表す充電コストを算出する。
ここで、充電コスト算出テーブルは、ターゲットSOCと充電速度を様々に設定して充電した場合の実際の電池の劣化結果を予め実験等によって求めてテーブル化したものである。この充電コスト算出テーブルは、図5に示すように、横軸に単位時間当たりの充電電気量である充電速度[Ah]を取り、縦軸にターゲットSOC[%]を取った特性線L1〜L4で分割される5段階の領域CCa〜CCeが設定されている。
【0034】
すなわち、特性線L1は、充電速度が“0”の状態でターゲットSOCが所定値Ts1(例えば約80%)となり、その後充電速度の増加に伴ってターゲットSOCが徐々に低下するように設定されている。
また、特性線L2は、充電速度が“0”の状態で、所定値Ts1よりやや大きな値である所定値Ts2となり、その後充電速度が増加するにつれてターゲットSOCが特性線L1より緩やかな勾配で減少し、充電速度が10[Ah]を超えたときに、比較的急な勾配でターゲットSOCが減少し、その後、充電速度が15[Ah]より増加すると比較的緩やかにターゲットSOCが低下するS字状曲線に設定されている。
【0035】
さらに、特性線L3は、充電速度が0[Ah]から10[Ah]迄の間ターゲットSOCが所定値Ts2より僅かに高い所定値Ts3を維持し、その後充電速度の増加にしたがって緩やかにターゲットSOCが減少するように設定されている。
また、特性線L4は、充電速度が0[Ah]であるときには100%に近い所定値Ts4となり、その後充電速度が増加するにつれて緩やかにターゲットSOCが減少し、充電速度が15[Ah]を越えるとターゲットSOCが比較的急に減少するように設定されている。
【0036】
したがって、図5の充電コスト算出テーブルでは、ターゲットSOC及び充電速度で表される点が領域CCaに存在する場合には、充電コストCCが最小値“1”となり、領域CCbに存在する場合には、2番目に低い充電コスト“2”となり、領域CCcに存在する場合には3番目に低い充電コスト“3”となる。また、上記点が領域CCdに存在する場合には4番目に低い充電コスト“4”となり、領域CCeに存在する場合には一番高い充電コスト“5”となる。
【0037】
そして、充電配車計画部51dでは、各電気自動車10に対して充電コストCCが算出されると、1つのトリップ予約に対して配車可能な電気自動車10が1台であるときには、該当する電気自動車10を配車する電気自動車として決定する。
また、充電配車計画部51dでは、1つのトリップ予約に対して配車可能な電気自動車10が複数台あるときには、充電コストが最小の電気自動車を配車として決定する。この場合、算出した充電コストを加えた累積充電コストが一番低い電気自動車10を選択して配車する電気自動車を決定するようにしてもよい。このように各電気自動車の累積充電コストのうち最小の累積充電コストの電気自動車を配車することにより、累積充電コストのパラツキを抑制することができる。
【0038】
さらに、充電配車計画部51dでは、複数のトリップ予約に対してトリップ予約数以上に配車可能な電気自動車10が存在する場合には、複数の電気自動車のそれぞれについて各トリップ予約に対応する充電コストを算出し、算出した充電コストの合計値が最小となる複数のトリップ予約と複数の電気自動車との組合せを選択して各トリップ予約に対して配車する電気自動車を決定する。
【0039】
また、充電配車計画部51dは、上述したように、トリップ予約に対して配車する電気自動車が決定されると、記憶装置52の累積充電コスト格納領域に格納されている各電気自動車に対する累積充電コストから該当する電気自動車10の累積充電コストを読み出し、この累積充電コストに算出した充電コストを加えた新たな累積充電コストを累積充電コスト格納領域に更新記憶する。
【0040】
さらに、充電配車計画部51dは、配車が決定された電気自動車がトリップ中であるときに、予約時間帯内に返却されたか否かを監視する。配車決定された電気自動車が予約時間帯内に返却された場合には、該当する電気自動車10に対する充電速度を、通信装置53を介して電気自動車10の通信装置19に送信して、充電装置30による電池11の充電を開始させる。
【0041】
その後、充電配車計画部51dは、充電中の電気自動車10の充電状態を、通信装置19を介して通信装置53から取得し、ターゲットSOCに達したか否かを判定する。そして、判定結果が、充電状態がターゲットSOCに達していない場合にはターゲットSOCに達するまで待機し、ターゲットSOCに達したときには充電処理の終了を電気自動車10の演算装置15に通知してから充電配車制御処理を終了する。
【0042】
また、利用者端末60は、カーシェアリングの利用者がトリップ予約を行うための端末であり、演算装置61、キーボード、マウス等の入力装置62、表示装置63、記憶装置64及び通信装置65を備えている。ここで、記憶装置64には、演算装置61の演算処理で必要とする処理プログラムを格納しているとともに、トリップ予約が完了したときの予約情報及び配車される電気自動車の識別情報等が記憶される。
【0043】
ここで、演算装置61は、入力装置62からトリップ予約の開始を表す開始情報が入力されると、所定様式のトリップ予約シートを表示装置63に表示する。また、演算装置61は、表示されたトリップ予約シートに記載されている使用時間帯、走行経路、走行距離、目的地等の予約情報を、入力装置62を使用して入力することを促す。そして、演算装置61は、トリップ予約シートへの予約情報の入力が完了すると、入力された予約情報を、通信装置65を介してデータセンター50の通信装置53へ送信する。
【0044】
また、演算装置61は、データセンター50から送信される予約条件の変更通知を、通信装置65を介して受信したときには、この予約条件変更情報を表示装置63へ表示し、トリップ予約の再考を促す。この予約条件変更情報には、予約時間帯のトリップ開始時刻に配車可能な現在の電気自動車とそのトリップ開始時刻における充電状態とを表す一覧情報を含めることが好ましい。
【0045】
そして、前述したデータセンター50の演算装置51で、図4に示す充電配車制御処理を実行する。この充電配車制御処理は、図4に示すように、まず、ステップS1で、利用者端末60からトリップ予約情報を受信したか否かを判定し、トリップ予約情報を受信していないときには、トリップ予約がないものと判断してトリップ予約情報を受信するまで待機する。ここで、上述したように、トリップ予約情報には、利用開始時刻及び返却予定時刻を指定する利用時間帯と、利用予定距離もしくは利用予定走行地域又は目的地等とが少なくとも含まれている。
【0046】
ステップS1でトリップ予約情報を受信すると、ステップS2に移行して、トリップ予約情報に含まれる利用時間帯、利用予定距離、目的地等に基づき、必要消費電力Wncを算出してからステップS3に移行する。ここで、トリップ予約情報に含まれる情報が利用時間帯及び利用予定距離のみである場合には、電気自動車の平均電費データや、走行距離に基づく平均消費電力などの過去の履歴を用いて必要消費電力を推定する。トリップ予約情報に目的地が含まれている場合には、より精度の高い必要消費電力を算出するために経路計算を行う。このとき、渋滞情報(走行速度による電気消費の増減)、気温(エアコン利用有無により消費電力の増減)、天候(雨天字等のワイパー等の消費電力の増減)、日射(ライト利用有無による消費電力の増減)等も考慮することで、より精度良く必要消費電力を推定することができる。
【0047】
ステップS3では、ターゲットSOC[%]を算出してからステップS4に移行する。このターゲットSOCは、上記ステップS2で算出した必要消費電力Wncに深放電とならない必要最低限の蓄電量に相当する電力閾値Wbを加算した合計電力Wt(=Wnc+Wb)を最大蓄電量で除してターゲットSOC[%]を算出する。
【0048】
ステップS4では、カーシェアリングに運用中の全電気自動車から、現在の充電状態(SOC)を取得してからステップS5に移行する。ここで、全電気自動車の充電状態(SOC)の取得は、既に返却済みで充電可能な電気自動車10については記憶装置16に記憶されている充電状態(SOC)を取得すればよい。しかしながら、現在他の利用者に貸与中の電気自動車については、該当する電気自動車のトリップ予約情報から配車時の必要消費電力の算出結果を参照し、これに基づいて返却時の充電状態(SOC)として代用すればよい。これに加えて、貸与中の電気自動車の現在の充電状態(SOC)と、返却予定時刻までの残り時間とを加味し、予約時の必要消費電力からの差異が大きいようなら、この差異を補正するようにすれば更に精度が高くなる。
【0049】
ステップS5では、カーシェアリングに運用中の全電気自動車の内の1台を指定する変数Nを、最初を表す“1”に設定する。次いで、ステップS6に移行して、該当する電気自動車がトリップ開始時刻に利用可能であるか否かを判定し、トリップ開始時刻に貸与中であるときにはステップS7に移行して、変数Nを“1”だけインクリメントしてから前記ステップS6に移行する。
【0050】
また、ステップS6の判定結果が、該当する電気自動車がトリップ開始時刻に利用可能であるときにはステップS8に移行する。このステップS8では、現在の充電状態(SOC)から最大充電速度で充電を行ってトリップ開始時刻までの間にターゲットSOCに到達可能であるか否かを判定する。このステップS8の判定結果が、トリップ開始時刻までにターゲットSOCに到達不可能であるときには、前記ステップS7に移行して、変数Nを“1”だけインクリメントしてから前記ステップS6に戻る。
【0051】
また、ステップS8の判定結果が、トリップ開始時刻までにターゲットSOCに到達可能であるときに、ステップS9に移行する。このステップS9では、該当電気自動車のナンバーや1号車等の配車する電気自動車を識別可能な識別情報を記憶装置52の配車可能車登録領域に記憶してからステップS10に移行する。
このステップS10では、全ての電気自動車について利用可能判断が完了したか否かを変数Nが所定値に達したか否かで判定し、未だ利用可能判断が完了していないときには前記ステップS7に戻り、全ての電気自動車について利用可能判断が完了したときには、ステップS11に移行する。
【0052】
このステップS11では、後述するステップS26で充電対象外となった電気自動車が返却されたか否かを判定し、返却されていない時又は充電対象外となった電気自動車が存在しないときには直接ステップS13に移行する。また、ステップS11の判定結果が、予約対象外の電気自動車が返却されたときには、ステップS12に移行して、予約対象外電気自動車の指定を解除してからステップS13に移行する。
【0053】
このステップS13では、記憶装置52の配車可能車登録領域に電気自動車の識別情報が記憶されているか否かを判断して配車可能な電気自動車が存在するか否かを判定する。この判定結果が、配車可能な電気自動車が存在しない場合には、ステップS14に移行して、予約条件の変更を提示する予約条件変更情報を、通信装置53を介して利用者端末60に送信してから充電配車制御処理を終了する。この予約条件変更情報は、予約受付ができない旨の通知を含むとともに、予約時間帯のトリップ開始時刻に配車可能な現在の電気自動車とそのトリップ開始時刻における充電状態とを表す一覧情報を含めることが好ましい。
【0054】
また、前記ステップS13の判定結果が、配車可能な電気自動車が存在する場合には、ステップS15に移行する。このステップS15では、配車可能な電気自動車の全てについて、返却時刻及び充電状態(SOC)と、トリップ開始時刻及びターゲットSOCとに基づいて充電速度を算出してからステップS16に移行する。
ステップS16では、配車可能な全ての電気自動車について、充電速度とターゲットSOCとをもとに図3に示す充電コスト算出テーブルを参照して充電コストを算出してからステップS17に移行する。
【0055】
ステップS17では、配車可能な全ての電気自動車のターゲットSOCに基づいて配車する電気自動車を決定する充電配車処理を実行する。この充電配車処理は、図5に示すように、まず、ステップS17aで、同時刻帯のトリップ予約が複数あるか否かを判定する。その判定結果が、同時刻のトリップ予約が1つである場合には、ステップS17bに移行して、配車可能な電気自動車台数が1台であるか否かを判定する。この判定結果が、配車可能な電気自動車台数が1台であるときには、ステップS17cに移行して、該当電気自動車を配車として決定してからステップS17dに移行する。
【0056】
このステップS17dでは、記憶装置52に記憶されている該当電気自動車の累積充電コストを読み出し、読み出した累積充電コストに今回の充電コストを加算して新たな累積充電コストを算出し、算出した累積充電コストを累積充電コスト記憶領域に更新記憶してから充電配車処理を終了して図4のステップS18に移行する。
一方、前記ステップS17bの判定結果が、配車可能な電気自動車台数が複数台であるときには、ステップS17eに移行して、配車可能な各電気自動車のうち充電コストが最小となる電気自動車を配車として決定してから前記ステップS17dに移行する。
【0057】
さらに、前記ステップS17aの判定結果が、同時刻のトリップ予約が複数存在する場合には、ステップS17fに移行する。このステップS17fでは、複数のトリップ予約に対して配車可能な複数の電気自動車の全ての組合せを考え、全ての組合せから割り当てた電気自動車の充電コストの合計値が最小となる組合せを選択する。そして、選択した組合せに基づいて各トリップ予約に対する電気自動車の配車を決定してから前記ステップS17dに移行する。
【0058】
このように、ステップS17の充電配車処理は、1つのトリップ予約に対して複数の電気自動車が配車可能であるときに充電コストが最小の電気自動車を配車として決定したり、複数のトリップ予約に対して予約数以上の電気自動車が配車可能であるときに電気自動車とトリップ予約との全ての組合せのうち充電コストの合計値が最小となる組合せで配車を決定するので、充電コスト最適化処理を行っていることになる。
【0059】
この充電配車処理が終了すると、ステップS18に移行して、配車を決定した電気自動車の変更があるか否かを判定し、配車変更がないときにはステップS19に移行して、通信装置53から利用者予約端末60の通信装置65に予約完了通知を送信し、演算装置61で、予約完了通知を表示装置63に表示してからステップS21に移行する。
また、ステップS18の判定結果が、配車を決定した電気自動車10の変更があるときには、ステップS20に移行して、予約配車変更通知を通信装置53から利用者端末60の通信装置65へ送信して、演算装置61で、予約配車変更通知を表示装置63に表示してからステップS21に移行する。
【0060】
ステップS21では、配車対象となる電気自動車10が返却されて充電装置30に接続されたか否かを判定し、配車対象の電気自動車10が返却されて充電装置30に接続されたときには、ステップS22に移行して、配車対象の電気自動車10に対して充電装置30による設定された充電速度での電池11の充電制御を指示してからステップS23に移行する。
【0061】
このステップS23では、配車対象の電気自動車10の電池充電状態(SOC)を読込み、読込んだ電池充電状態(SOC)がターゲットSOCに達したか否かを判定する。この判定結果が、電気自動車の充電状態(SOC)がターゲットSOCに達していないときには、前記ステップS22に戻り、ターゲットSOCに達したときにはステップS24に移行する。
ステップS24では、充電装置30による充電を停止する充電停止指示を該当する電気自動車10に対して送信してから前記ステップS1に戻る。
【0062】
また、前記ステップS21の判定結果が、対象となる電気自動車10が返却されていない場合には、ステップS25に移行して、返却予定時刻が経過したか否かを判定する。この判定結果が、返却予定時刻が経過していないときには前記ステップS21に戻り、返却予定時刻が経過しているときにはステップS26に移行して、該当する電気自動車10を充電対象外の電気自動車として指定し、記憶装置52の配車可能車登録領域から該当する識別情報を削除してから前記ステップS4に戻る。
【0063】
なお、トリップ予約を行った利用者が予約したトリップ開始時刻を所定時間以上過ぎるような場合で、電池11が満充電付近に保持されているときには、該当利用者に利用遅延によるトリップ予約のキャンセルもしくは予約時間の再設定を通知するとともに、電池11を一時的に放電して満充電状態を脱する等の処理を行うことが電池劣化を抑制する意味で好ましい。
【0064】
(動作その他)
次に、上記第1の実施形態における動作を説明する。
カーシェアリングを利用する利用者がトリップ予約を行うには、利用者端末60の入力装置62を操作してトリップ予約の開始情報を入力すると、演算装置61によって所定様式のトリップ予約シートが表示装置63に表示される。このため、利用者が入力装置62を使用して、表示されたトリップ予約シートに記載されている使用時間帯、走行経路、走行距離、目的地等の予約情報を入力する。
【0065】
この予約情報の入力が完了すると、演算装置61は、予約情報を、通信装置65を介してデータセンター50の通信装置53へ送信する。
データセンター50では、その演算装置51で、図4の充電配車制御処理を実行しており、この充電配車制御処理では、予約情報を受信するまでは、予約待機状態となっている(ステップS1)。
【0066】
そして、演算装置51で予約情報を受信すると、受信した予約情報を識別可能な識別情報を付加して記憶装置52の予約情報格納領域に格納する。そして、格納した予約情報に含まれる走行距離、走行経路、目的地等に基づいてトリップ予約で必要とする必要消費電力Wncを算出する(ステップS2)。
そして、算出した必要消費電力Wncに深放電とならない必要最低限の蓄電量に相当する電力閾値Wbを加算した合計電力Wtを蓄電最大容量で除してターゲットSOC[%]を算出する(ステップS3)。そして、算出したターゲットSOC[%]を記憶装置52の該当するトリップ予約の予約情報格納領域に記憶する。
【0067】
次いで、演算装置51では、カーシェアリング可能な全ての電気自動車の到着時刻又は到着予定時刻と、到着時の充電状態(SOC)を取得する(ステップS4)。そして、取得した各電気自動車についてトリップ予約の予約情報に含まれるトリップ開始時刻に貸与中ではなく、トリップ予約の利用開始時刻迄に最大充電速度でターゲットSOCに到達する電気自動車を配車可能車として選出し、選出した電気自動車の識別情報を記憶装置52に形成した配車可能車登録領域に記憶する(ステップS5〜S10)。
【0068】
この配車可能車の選出は、図6に示すように、トリップ開始時刻がTSであり、ターゲットSOCが例えば100%に近い値であるものとする。このときに、電気自動車EV300Aが比較的早い返却時刻TAで返却予定であり、そのときの予想充電状態(SOC)が50%程度であるものとする。また、電気自動車EV300Bがトリップ開始時刻TSに近い返却時刻TBで返却予定であり、その予想充電状態(SOC)が深放電状態よりは大きいが比較的少ない充電状態(SOC)であるものとする。
【0069】
このため、電気自動車EV300Aについては、最大充電速度で充電する場合には、図6で一点鎖線図示のようにトリップ開始時刻TSより十分に早い時刻でターゲットSOCに到達することから配車可能な電気自動車とされ、この電気自動車の識別情報EV300Aが記憶装置52の配車可能車登録領域に記憶される。
しかしながら、電気自動車EV300Bについては、返却時刻TBがトリップ開始時刻TSに近く、且つ充電状態(SOC)が低い。したがって、電気自動車EV300Bを最大充電速度で充電したとしても図6で一点鎖線図示のようにトリップ開始時刻TSでターゲットSOCより遥かに下回ることになる。このため、電気自動車EV300Bについては配車不可能車として判断される。
【0070】
次いで、演算装置51では、配車可能な電気自動車が存在するか否かを判定する(ステップS13)。このとき、記憶装置52の配車可能車登録領域に識別情報が記憶されているときには、トリップ予約に対して配車可能な電気自動車が存在するものと判断する。
そして、配車可能車登録領域に記憶されている識別情報の各電気自動車について充電速度を算出する(ステップS15)。
【0071】
このとき、配車可能車登録領域に記憶されている識別情報が、前述した図6に示すように、EV300Aの1つのみである場合には、該当する電気自動車の返却時刻TAからトリップ開始時刻TSまでの充電時間と、ターゲットSOCと電気自動車EV300Aの充電状態(SOC)との差分である必要充電量Cnとに基づいて必要充電速度CVAを算出する。
【0072】
次いで、必要充電速度CVAとターゲットSOCとをもとに、図3に示す充電コスト算出マップを参照して、充電コストを算出する。このとき、図6に示すように充電速度CVAが比較的低いが、ターゲットSOCが満充電状態に近いので、充電コストとしては、中間よりやや高い“4”として算出される。
このとき、配車可能な電気自動車が1台であるので、充電配車決定処理では、該当する電気自動車を配車として決定する(ステップ17c)。そして、演算装置51は、通信装置53を介して配車する電気自動車の識別情報を含めた予約完了通知を利用者端末60に送信する。利用者端末60では、通信装置65で予約完了通知を受信すると、演算装置61によって、予約完了通知を記憶装置64の予約情報記憶領域に記憶するとともに、予約完了通知を表示装置63に表示する。これによって、トリップ予約が完了したことを利用者が確認することができる。
【0073】
その後、配車が決定された電気自動車EV300Aが返却されて、充電装置30に接続されると、電気自動車EV300Aの演算装置15から充電準備完了指令を、通信装置19を介してデータセンター50に送信する。
データセンター50の通信装置53で電気自動車EV300Aからの充電準備完了指令を受信すると、演算装置51は、配車対象となる電気自動車が返却されたものと判断して、通信装置53を介して充電速度CVAを電気自動車EV300Aへ送信する。
【0074】
電気自動車EV300Aでは、通信装置19で充電速度VCAを受信すると、この充電速度VCAを演算装置15へ送る。演算装置15では、通信装置19を介して充電速度VCAを充電装置30へ送信する。この充電装置30では、充電速度VCAを通信装置34で受信すると、この充電速度VCAを演算装置32へ送る。演算装置32では、充電速度VCAが入力されると、充電速度VCAを記憶装置33に記憶するとともに、給電装置31に対して、充電速度VCAを保って電池11を充電する交流の充電電力を出力するように制御する。これにより、給電装置31から電気自動車EV300Aの受電装置13を介してAC/DC変換器12に充電電力が送られ、このAC/DC変換器12で直流電力に変換されて電池11を急速充電する。
【0075】
そして、電池11の充電状態(SOC)が演算装置15で監視され、この充電状態(SOC)が所定時間間隔で通信装置19を介してデータセンター50に送信されるか又はデータセンター50の演算装置51で所定時間毎に充電状態(SOC)の送信を要求し、この送信要求に応答することにより、電池11の充電状態(SOC)をデータセンター50の演算装置51で監視する。
そして、電池11の充電状態(SOC)がターゲットSOCに達すると、ステップS23からステップS24に移行して、通信装置53を介して電気自動車EV300Aに充電終了指示を送信する。
【0076】
電気自動車EV300Aでは、通信装置19で充電終了指示を受信すると、演算装置15で、通信装置19を介して充電終了指示を充電装置30に送信する。充電装置30では、通信装置34で充電終了指示を受信すると、演算装置32で給電装置31からの充電電力の出力を停止させる。また、演算装置32は、通信装置34を介して、充電出力停止通知を電気自動車EV300Aに送信する。電気自動車EV300Aでは、通信装置19で充電出力停止通知を受信すると、演算装置15で、出力装置18のディスプレイ18cに充電出力停止通知を表示する。このため、カーシェアリングの担当者が配車可能な電気自動車EV300Aに対する充電が完了したことを認識することができる。
【0077】
この充電完了時点は、次の利用者のトリップ予約のトリップ開始時刻に略一致しており、トリップ予約を行った利用者の電気自動車EV300Aの使用が可能となる。このため、トリップ予約を行った利用者が電気自動車EV300Aを利用してトリップを開始することができる。
ところが、電気自動車EV300Aが使用可能状態となってから、次の利用者の到着が所定時間以上遅れた場合に、電気自動車EV300Aが満充電状態に近い状態にある場合には、利用者に利用遅延によるキャンセルもしくは予約時刻の再設定を通知する。そして、電気自動車EV300Aに対して、一時的に電池11を放電して満充電状態から離脱させる処理を行って、電池11の劣化防止を行うことが望ましい。
【0078】
また、配車可能な電気自動車を抽出したときに、配車可能車登録領域に記憶されている識別情報の電気自動車が、図7に示すように、電気自動車EV300Aの他に、2台で計3台存在する場合には以下のようにして配車を決定する。
この場合、残りの2台については、図7に示すように、返却時刻が返却時刻TAよりやや遅い返却時刻TCで充電状態(SOC)が電気自動車EV300Aの半分程度の電気自動車EV300Cと、この電気自動車EV300Cより遅い返却時間TDで充電状態(SOC)が電気自動車EV300Aより高い電気自動車EV300Dとが存在しているものとする。
【0079】
そして、これら配車可能な3台の電気自動車EV300A、EV300C及びEV300Dのそれぞれについて、図7で実線図示のように、返却時間からトリップ開始時刻TSまでの充電時間とターゲットSOCと各電気自動車の充電状態(SOC)との差分である必要充電量CnA、CnC及びCnDとから充電速度CVA、CVC及びCVDを算出する。
【0080】
次いで、充電速度CVA、CVC及びCVDと、ターゲットSOCとをもとに図3に示す充電コスト算出マップを参照して、充電コストを算出する。この場合、ターゲットSOCは変化しないので、充電速度が遅くなるにつれて充電コストが小さくなる。すなわち、図3でターゲットSOCが一点鎖線図示の直線L21で示す値であるとすると、充電速度がCVhを超えると最大の充電コストCC=“5”となる。また、充電速度がCVmを超えてCVh迄の間で2番目に大きい充電コストCC=“4”となり、充電速度がCVlを超えてCVm迄の間で中間の充電コストCC=“3”となり、充電速度がCVl以下で2番目に小さい充電コストCC=“2”となる。
【0081】
したがって、図7に示す電気自動車EV300A、EV300C及びEV300Dについては、例えば、EV300Aが上から二番目に高い充電コスト“4”となり、EV300Cが最大の充電コスト“5”となり、EV300Dが中間の充電コスト“3”となる。このため、図5の充電配車決定処理で、ステップS17aからステップS17bを経てステップS17eに移行し、充電コストが最小の電気自動車を配車として決定するので、充電コストが“3”である電気自動車EV300Dが配車として決定される。
このように電気自動車EV300Dが配車として決定されると、その後は、前述した配車可能な電気自動車が1台である場合と同様に、電気自動車EV300Dに対して充電制御処理が行われる。
【0082】
さらに、図8に示すように、所定時間内の同時刻帯に複数例えば3つのトリップ予約RT1〜RT3が入り、これら3つのトリップ予約RT1〜RT3に対して配車可能な電気自動車が前述した図7と同様にEV300A、EV300C及びEV300Dであるものとする。ここで、トリップ予約RT1はターゲットSOCが満充電状態よりは小さい値となり、トリップ予約RT2はターゲットSOCが満充電状態の半分程度となり、トリップ予約RT3はターゲットSOCが略満充電状態となるものとする。
【0083】
このように同時刻帯に複数のトリップ予約が存在し、各トリップ予約に対して配車可能な電気自動車がトリップ予約数以上の台数存在する場合には、各トリップ予約と各電気自動車との全ての組合せについて充電速度が算出される(ステップS15)。そして、算出された充電速度に基づいて充電コストが算出される(ステップS16)。
その後、ステップS17の充電配車決定処理で、図5のステップS17aからステップS17fに移行して、各トリップ予約と各電気自動車の全ての組合せについて、充電コストの合計値CCtを算出し、この合計値CCtが最小となる組合せを各トリップ予約に対する配車として決定する。
【0084】
すなわち、各組合せの1つとして、図8に示すように、電気自動車EV300Aをトリップ予約RT2に対応させ、電気自動車EV300Cをトリップ予約RT1に対応させ、電気自動車EV300Dをトリップ予約RT3に対応させる。この場合には、電気自動車EV300Aについては充電速度が極端に遅く、充電コストCCが“1”となるが、電気自動車EV300Cについては充電速度が最大充電速度に近い速さとなって、充電コストCCが“5”となる。さらに、電気自動車EV300Dについては充電速度が比較的遅く、充電コストCCが“2”となる。このため、充電コストCCの合計値CCtは“8”となる。
【0085】
これに対して、図9に示すように、電気自動車EV300Aをトリップ予約RT1に対応させ、電気自動車EV300Cをトリップ予約RT2に対応させ、電気自動車EV300Dをトリップ予約RT3に対応させる。この場合には、電気自動車EV300Aについては充電速度が図8に比較して速くなり、充電コストが“3”となる。また、電気自動車EV300Cについては充電速度が図8に比較して遅くなって、充電コストが“2”となる。さらに、電気自動車EV300Dについては充電速度が変化せず、充電コストが“2”となる。このため、充電コストの合計値CCtは“7”となる。
【0086】
したがって、充電コストの合計値CCtが最小となる組合せすなわち図9の組合せが選択される。したがって、トリップ予約RT1に対して電気自動車EV300Aが配車として決定される。トリップ予約RT2に対しては電気自動車EV300Cが配車として決定される。さらに、トリップ予約RT3に対しては電気自動車EV300Dが配車として決定される。
【0087】
このように複数のトリップ予約RT1、RT2及びRT3に対して複数の電気自動車EV300A、EV300C及びEV300Dが配車として決定されると、その後は、前述した配車可能な電気自動車が1台である場合と同様に、各電気自動車EV300A、EV300B及びEV300Dに対して充電制御処理が行われる。
【0088】
なお、データセンター50の演算装置51で、配車可能な電気自動車を選出する処理を行ったときに、記憶装置52の配車可能車登録領域に識別情報が記憶されていないときには、トリップ予約に対して配車可能な電気自動車が存在しないものと判断する。このため、演算装置51は、通信装置53を介して予約条件の変更通知を利用者端末60の通信装置65に送信する。
この予約条件の変更通知には、予約受付ができない旨の通知を含むとともに、予約時間帯のトリップ開始時刻に配車可能な現在の電気自動車とそのトリップ開始時刻における充電状態とを表す一覧情報を含めることが好ましい。
【0089】
このように、予約条件の変更通知に、予約時間帯のトリップ開始時刻に配車可能な現在の電気自動車とそのトリップ開始時刻における充電状態とを表す一覧情報を含めることにより、利用者は、予約条件を再考することが可能となる。すなわち、利用者は、予約開始時刻をそのままにして走行距離を短く設定したり、目的地を変更したり、予約開始時刻を遅らせたりすることができる。そして、利用者が再考した予約条件で、トリップ予約シートを変更して、再度トリップ予約を行うことにより、データセンター50の演算装置51で、上記と同様の充電配車制御処理が実行される。
【0090】
また、次回のトリップ予約に対して配車決定した電気自動車が返却予定時刻を経過しても返却されないときには、次回のトリップ予約の配車が不能となるので、この場合には、配車決定した電気自動車を充電対象外自動車として指定する(ステップS26)。このとき、該当する電気自動車の識別情報を記憶装置52の配車可能車登録領域から削除することにより、トリップ予約に対して再度配車可能な電気自動車の抽出処理を行うことができる。このため、配車変更が可能となり、利用者の利便性を損なうことを防止できる。
【0091】
(本実施形態の効果)
上記第1の実施形態によると、次のような効果を奏する。
(1)充電配車計画システムは、共同使用する複数の電気自動車の充電制御及び配車制御を行う。電池残量検出部15bは、前記各電気自動車の電池の電池残量を検出する。予約受付部51aは、次回利用者の電気自動車を利用するトリップ予約の予約情報を受付け、次回トリップのトリップ出発時刻を決定する。消費電力算出部51cは、前記予約情報に基づいて次回トリップで必要とする必要消費電力を見積もる。充電配車計画部51dは、前記電池残量と前記必要消費電力と前記予約情報とに基づき、前記トリップ出発時刻までに必要とする前記必要消費電力を前記電池に蓄電可能な電気自動車を選択して配車可能車とし、選択された配車可能車から電池劣化に与える影響度合いである電池劣化コストに基づいて配車を決定し、前記トリップ出発時刻までに前記必要消費電力を蓄電するように充電する。
このため、電気自動車を共同使用する場合に、利用者の利便性を損なうことなく配車できるとともに、電池の劣化を抑制できる。
【0092】
(2)上記充電配車計画部51dは、トリップ予約に基づくトリップ出発時刻までに必要消費電力が蓄電可能な電動自動車が複数選択された場合に、電池劣化コストとなる充電コストが最小となる電気自動車を選択する。
このため、電池の劣化を抑制した充電制御を行える。
(3)上記充電配車計画部51dは、複数のトリップ予約と、対応可能な複数の電気自動車とが存在する場合に、電池劣化コストとなる充電コストの合計値が最小となるようなトリップ予約と電気自動車の組合せを選定して配車を決定し、配車を決定した各電気自動車に対して充電コストが最小となるような充電速度で充電する。
このため、複数のトリップ予約がある場合に、複数の電池の劣化を抑制しつつ最良の充電制御を行なえる。
【0093】
(4)上記充電配車計画部51dは、消費電力算出部51cで算出した必要消費電力と、電気自動車利用後の電池残量が深放電領域とならない最低必要電力量との合計値をターゲットSOCとして決定する。そして、トリップ出発時刻までに目標充電状態に到達可能な電気自動車を選択して配車する。
このため、次回のトリップ時に深放電状態となる可能性を抑制することができ、利用者の利便性を損なうことなく、電池劣化を抑制することができる。
【0094】
なお、上記第1の実施形態では、図5の充電配車処理におけるステップS17で、1つのトリップ予約に対して配車可能な電気自動車が複数存在する場合に、充電コストが最小の電気自動車を配車として決定する場合について説明した。しかしながら、本実施形態では、上記に限定されるものではなく、図5の充電配車処理におけるステップS17dで、電気自動車毎に充電コストを累積した累積充電コストを算出するので、算出した累積充電コストが最小となる電気自動車を配車するようにしてもよい。
【0095】
同様に、複数のトリップ予約に対して予約数以上の電気自動車が配車可能であるときにも、累積充電コストが大きい電気自動車を充電コストの小さいトリップ予約に、累積充電コストが小さい電気自動車を充電コストの大きいトリップ予約に配車して、累積充電コストのバラツキを抑制するようにしてもよい。さらには、充電コストに基づく配車決定と、累積充電コストに基づく配車決定とを混在させて、充電コストに基づく配車決定を常時行い、所定期間毎に累積充電コストに基づく配車を割り込ませるようにしてもよい。
なお、上記図4の処理において、ステップS1の処理が予約受付部51aに対応し、ステップS2の処理が消費電力算出部51cに対応し、ステップS3〜ステップS24の処理が充電配車計画部51dに対応している。
【0096】
「第2の実施形態」
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
(構成)
この第2の実施形態では、電気自動車10の演算装置15が、図10に示すように、車両制御部15a、電池残量検出部15b、充放電制御部15c及び充放電回路部15dの他に利用履歴記録部15fを備えている。
【0097】
この利用履歴記録部15fは、電気自動車10の運転に伴う各種操作系のセンサの入出力やモーター、電池11の電流の入出力、さらには移動軌跡等の情報を蓄積するものである。この利用履歴記録部15fは、入力装置17のボタン・スイッチ17a、ステアリング装置17b、アクセル・ブレーキ装置17c、電流電圧センサ17d、位置センサ17e及び温度センサ17fの入力情報を利用履歴情報として蓄積する。また、利用履歴記録部15cは、出力装置18のアクチュエータ18a、モーター・インバータ18b、ディスプレイ18c及びスピーカ18dの出力情報を利用履歴情報として蓄積する。
【0098】
また、データセンター50の演算装置51は、予約受付部51a、電池残量取得部51b、消費電力算出部51c及び充電配車計画部51dに加えて、運転係数決定部51e及び電池劣化解析部51fを備えている。
運転係数決定部51eは、電気自動車10の利用履歴記録部15cで蓄積した運転履歴情報を取得し、取得した運転履歴情報を分析することで、利用者の次回トリップにおける消費電力を予測する。
【0099】
具体的には、利用者の乗降履歴、運転開始時刻、到着時刻と、その時の運転経路、消費電力量を集計し、利用者の電気自動車運転時における走行距離に対する消費電力の傾向を予測する。この場合、消費電力そのものを予測値としても良いが、平均的な走行距離当たりの消費電力(平均電費)からの乖離を係数化して保持するものとする。
例えば、平均値に近い利用者の場合は、運転係数を1.0に設定し、平均より消費電力が多い利用者の場合にはその乖離の程度に応じて10%電力消費が多ければ運転係数を1.1に設定し、50%電力消費が多ければ運転係数を1.5に設定する。逆に、平均より消費電力の少ない利用者の場合には、その乖離の程度に応じて同様に10%電力消費が少なければ運転係数を0.9に設定し、50%電力消費が少なければ運転係数を0.5に設定する。
【0100】
基本的には、上記運転係数を利用者単位で記録するが、さらに詳細に利用者の運転利用のパターン(出発地と到着地のパターンや平日と休日のパターン等)に細分化して運転係数を適用することで、トリップ予約入力時の予約情報から次回トリップに最も類似するパターンを決定し、運転係数を決定することができる。
【0101】
具体的には、出発時刻、目的地、走行経路、気温等の履歴の組み合わせを、トリップ単位で記録した履歴を分析することで、これら組み合わせが類似する運転パターンを複数に分類する。例えば、朝出勤で自宅から会社に向かうパターン、夕方会社から自宅へ戻るパターン、同様の状況で記憶が高いパターン、低いパターン、道路が空いているパターン(短い時間で到着したパターン)、渋滞にかかったパターン(同目的地で到着に長い時間を要したパターン)といった具合である。これにより、次回トリップ予約時の予約情報(出発時刻や目的地)によって、最も類似したパターンを抽出することができ、運転係数を正確に決定することができる。
【0102】
この運転係数決定部51eで決定した運転係数は、消費電力算出部51cに伝達される。消費電力算出部51cでは、予約受付部51aからの予約情報に基づき、一般的な電費の値で算出した消費電力に対し、運転係数を掛け合わすことで、その利用者のトリップ予約時における消費電力を正確に見積もることができる。
電池劣化解析部51fは、電池の入出力電流、電圧の履歴、充電状態(SOC)の履歴、内部抵抗値履歴等の電池内の特性値の履歴を記録、解析することにより、電池の劣化状態を把握するものである。
【0103】
電池11は通常の利用であっても充放電を繰り返すにつれて、最大蓄電量が新品状態の蓄電量から徐々に減少していく。通常電気自動車を提供するメーカーは利用者に対し、例えば5年で80%の容量維持(劣化を20%以内とする)を保証する。よって、これを超える劣化がおきるとメーカー負担による電池交換等のコストが発生する。そこで、上記電池劣化の解析を行うことで現在の電池の劣化状態を把握し、劣化が想定以上に進んでいる電池とそうでない電池とで、異なる充電制御を行うことができれば、上記電池交換闘士のコストを最小限に抑えることが可能になる。また、上記充電制御により、想定以上に電池を延命させることができれば、その分ランニングコストが低下するため、メーカー並びにカーシェアリング事業者がコストメリットを享受することができる。
【0104】
したがって、電池劣化解析部51fで行う電池劣化を加味した充電制御を以下に説明する。図11は、電池劣化推移を示している。この図11において、一点鎖線図示の特性線L31は想定される標準的な劣化ライン(ここでは5年後に80%の蓄電容量を維持する)を示し、実線図示の特性線L32は、実際の劣化ラインを示している。ある時点Txにおける実際の蓄電容量と相対される蓄電容量との差を電池劣化度合いΔdecとする。ここで、電池劣化度合いΔdecが所定の範囲内すなわち想定の劣化度合いであれば、多少電池に負担が掛かる充電制御を行っても影響が少ない。一方で、図11に示す実際の劣化ラインL32をこのままの充電制御で使い続けた場合、早期に劣化が進行して想定期間電気自動車をカーシェアリングに利用できない場合が生じる。
【0105】
以上のような状況を鑑み、電池劣化度合いΔdecが想定劣化度合いΔdecsを超えたときに、配車充電制御を変更する。具体的には、劣化の進行している電気自動車の充電を充電コストが優先的に低くなる組み合わせとなるように配車を制御し、その分の充電コストを劣化の進行していない電気自動車に補填させる。
【0106】
次に、電気自動車10の演算装置15で実行する利用履歴記録処理を図14について説明する。この利用履歴記録処理は、先ず、ステップS31で運転開始状態となったか否かを判定する。この判定は、電源スイッチがオン状態となったか、ドアの開け閉めがあったか、充電コネクタ取り外しがあったかという情報を少なくとも1つを検出したときに運転開始状態となったと判定する。このステップS31の判定結果が、運転開始状態となっていないときには運転開始状態となるまで待機する。
【0107】
また、ステップS31の判定結果が、運転開始状態となったときには、ステップS32に移行する。このステップS32では、日時、気温(室内温度、外気温度)、天候等の基本情報を記憶装置16の利用履歴記憶領域に記憶してからステップS33に移行する。
このステップS33では、例えば全地球測位システム(GPS)の信号を利用して地図上に車両位置をマッピングする機能を有するカーナビゲーション装置から緯度軽度、高度、走行経路等の走行情報を取得し、記憶装置16の利用履歴記憶領域に記憶してからステップS34に移行する。
【0108】
このステップS34では、電気自動車の走行に関する電池負荷情報を取得して記憶装置16の利用履歴記憶領域に記憶してからステップS35に移行する。この電池負荷情報としては、速度、アクセル開度、ブレーキ踏込量、エアコン使用量、電池への入出力電流、入出力電圧等である。電力に関しては走行に関する電力(モーター消費電力)と、エアコンやライトといった補機類の消費電力とを分離して記憶することが好ましい。このようにモーター消費電力と補機類消費電力とを分離することにより、気温や時刻に起因する消費電力の増減を加味することが可能になる。また、電池の劣化を示す指標とされる内部抵抗値も合わせて記憶する。
【0109】
ステップS35では、運転を終了したか否かを判定する。この判定は、ドアの開け閉め、電源スイッチのオン状態からオフ状態への切換え、充電コネクタの接続等の少なくとも1つを検出したときに、運転終了と判定する。
ステップS35の判定結果が運転を終了しておらず、運転状態を継続しているときには、前記ステップS32に戻り、運転を終了したときには、ステップS36に移行する。このステップS36では、記憶装置16の利用履歴記憶領域に記憶されている基本情報、走行情報及び電池負荷情報をデータセンター50にアップロードしてから利用履歴記録処理を終了する。
【0110】
ここで、基本情報、走行情報及び電池負荷情報でなる運転履歴情報については、運転開始から終了までのトリップ単位を一つのデータ群として、データセンター50に形成したトリップ記録データベース54へアップロードする。また、電池負荷情報中の電池入出力電流、や内部抵抗値等の電池劣化解析に必要とする電池情報については、データセンター50に形成した電池情報履歴データベース55にアップロードする。
【0111】
なお、電池情報についてはトリップ単位でもよいし、単純な時系列の履歴でもよい。また、利用履歴記憶領域に記憶されている利用履歴情報は、運転終了時にアップロードする方法の他、例えば定期的にトリップ記録データベース54へアップロードすることで、一度のアップロード量を分散させるようにしてもよい。
また、データセンター50の演算装置51では、電池劣化解析処理及び運転係数決定処理を実行する。
【0112】
電池劣化解析処理は、図13に示すように、先ず、ステップS41で、電池情報履歴データベース55に格納される電池情報を参照してからステップS42に移行する。
このステップS42では、参照した時系列の電池情報を分析して、対象とする電気自動車の電池の劣化状態を算出する。具体的には、電池の電流入出力履歴や、内部抵抗値の時系列変化といった値を分析することで、前述した電池の最大蓄電量が新品のころからどれだけ劣化しているかを表す電池劣化度合いΔdecを算出する。そして、算出した電池劣化度合いΔdecを電池劣化データベース56へ該当する電気自動車の識別情報とともに記憶する。
【0113】
運転係数決定処理は、図14に示すように、先ず、ステップS51で、トリップ記録データベース54を参照して利用者毎の運転履歴情報を取得してからステップS52に移行する。このステップS52では、取得した利用者毎の運転履歴情報を分析して、複数のグループに分類するトリップ特徴解析を行う。このトリップ特徴解析は、具体的には前述したように、出発地、目的地、走行時間帯、走行距離、走行経路、走行時気温等の運転情報を類似する過去のトリップ群と対応付けて分類する。
【0114】
次いで、ステップS53に移行して、分類されたトリップに対して、運転傾向の分析を行って運転係数DCを算出し、算出した運転係数DCを運転係数データベース57にトリップ群毎に記憶する運転係数算出処理を行ってから運転係数決定処理を終了する。
この運転係数算出処理は、具体的には、前述したように分類されたトリップ群のそれぞれに対し、平均的電費傾向からの乖離度を係数化する。すなわち、分類された各トリップ群の電費PCの平均値を標準的な標準電費PCsで除して標準電費からの乖離度を表す運転係数DC(=PC/PCs)を算出し、算出した運転係数DCを利用者に固有の識別情報とともに運転係数データベース57に記憶する。なお、運転係数データベース57には、新規利用者についての各トリップ群の運転係数DCは平均値である“1”が設定される。
【0115】
さらに、演算装置51で実行する充電配車計画処理が前述した第1の実施形態における図4の処理に対して図15に示すように変更されている。なお、図15において、図4との対応する処理については同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
すなわち、図15の充電配車計画処理では、前述したステップS1及びステップS2間に予約情報に含まれる利用者情報及び走行経路又は目的地をもとに運転係数データベース57を参照してトリップ予約に類似するトリップ群の利用者の運転係数DCを取得するステップS61が介挿されている。そして、ステップS2で予約情報に基づいて算出した必要消費電力Wncに運転係数DCを乗算して必要消費電力補正値Wncaを算出し、この必要消費電力補正値Wncaを必要消費電力として設定する。
また、ステップS16及びステップS17間に電池劣化データベース56から電池劣化度合いΔdecを取得するステップS62が介挿されている。
【0116】
さらに、ステップS17の充電配車処理が図16に示すように変更されている。すなわち、ステップS17b及びステップS17e間に配車決定された電気自動車のうち、電池劣化度合いΔdecが予め設定された想定劣化度合いΔdecsを超えている電気自動車が存在するか否かを判定するステップ17gが介挿されている。このステップS17gの判定結果が、Δdec>Δdecsの電気自動車が存在しない場合には、前記ステップS17eに移行する。一方、ステップS17gの判定結果がΔdec>Δdecsとなる電気自動車が存在する場合には、ステップS17hに移行して、Δdec>Δdecsとなる電気自動車を除いて電気自動車のうち充電コストが最小の電気自動車を配車として決定してから前記ステップS17dに移行する。
【0117】
また、ステップS17a及びステップS17f間に前記ステップS17gと同様に、配車決定された電気自動車のうち、電池劣化度合いΔdecが予め設定された想定劣化度合いΔdecsを超えている電気自動車が存在するか否かを判定するステップ17iが介挿されている。このステップS17iの判定結果が、Δdec>Δdecsの電気自動車が存在しない場合には、前記ステップS17fに移行する。一方、ステップS17iの判定結果がΔdec>Δdecsとなる電気自動車が存在する場合には、ステップS17jに移行する。このステップS17jでは、Δdec>Δdecとなる電気自動車を除いて配車可能台数がトリップ予約と同数以上であるか否かを判定する。このステップS17jの判定結果が、Δdec>Δdecとなる電気自動車を除いて配車可能台数がトリップ予約数未満であるときには、ステップS17kに移行して、Δdec>Δdecsとなる電気自動車の充電コストが最小となるトリップ予約のターゲットSOCを選択し、残りの電気自動車については充電コストの合計値が最小となるトリップ予約との組み合わせを選択してからステップS17dに移行する。
【0118】
また、ステップS17jの判定結果が、Δdec>Δdecとなる電気自動車を除いて配車可能台数がトリップ予約より多い場合には、ステップS17lに移行する。このステップS17lでは、Δdec>Δdecsとなる電気自動車を除いてトリップ予約と配車可能な電気自動車との組合せのうち充電コストの合計値か最小となる組合せの電気自動車を配車として決定してから前記ステップS17dに移行する。
【0119】
(動作その他)
次に、上記第2の実施形態の動作を説明する。
カーシェアリングの利用者は、トリップ予約を行って、トリップを開始する毎に、乗車した電気自動車10の演算装置15で実行される図12の利用履歴記録処理で、日時、気温、天候等の基本情報と、緯度経度、高度、走行経路、渋滞等の走行情報とが運転履歴情報として記憶装置16の運転履歴情報記憶領域に記憶される。また、利用履歴記録処理では、走行速度、アクセル開度、エアコン使用料、入出力電流、電圧等の電池負荷情報が電池履歴情報として記憶装置16の電池履歴情報記憶猟期に記憶される。そして、トリップ終了後に、運転履歴情報がデータセンター50のトリップ記録データベース54にアップロードされ、電池履歴情報がデータセンター50の電池情報履歴データベース55にアップロードされる。なお、電池履歴情報としては、定期的に電池情報履歴データベース55にアップロードするようにしてもよい。
【0120】
このようにして、データセンター50のトリップ記録データベース54にはカーシェアリング利用者の運転履歴情報が利用者毎に且つトリップ分類毎に格納されるとともに、電池情報履歴データベース55には電気自動車毎の電池情報が格納される。
そして、データセンター50の演算装置51では、トリップ記録データベース54に利用者毎の運転履歴情報が格納される毎に、運転履歴情報に基づいて運転係数決定処理を実行する。この運転係数決定処理では、運転履歴情報に基づいてトリップ特徴解析を行って、過去のトリップ群のうちの対応するトリップに分類し、分類されたトリップ群について、各トリップの電費(電力消費率)の平均値を予め設定された当該トリップでの標準的な標準電費DCsで除して標準電費DCsとの乖離度を表す運転係数DCを算出し、算出した運転係数DCを運転係数データベース57に格納する。
【0121】
また、演算装置51では、図14に示す電池劣化解析処理を実行する。この電池劣化解析処理では、図12について前述したように、電池に対する入出力電流値や内部抵抗値に基づいて電池劣化解析を行って、標準的な劣化状態に対する劣化度合いを表す電池劣化度合いΔdecを算出する。この電池劣化度合いΔdecが大きい場合には、電池劣化が激しく、規定年数未満で劣化基準値(例えば5年後に80%の蓄電容量を維持する)となる可能性が高く、電池交換が早期に必要となる。
【0122】
そして、演算装置51で実行する充電配車計画処理で、トリップ予約を受け付けると、予約情報に含まれる利用者情報及び走行経路又は目的地をもとに運転係数データベース57を参照して、トリップ予約に類似するトリップ群における運転係数DCを取得する(ステップS61)。
そして、予約情報に基づいて算出した必要消費電力Wncに運転係数DCを乗じて必要消費電力補正値Wncaを算出し、算出した必要消費電力補正値Wncaを必要消費電力Wncとして設定する(ステップS2)。
【0123】
このように、予約情報に基づいて算出した必要消費電力Wncに運転係数DCを乗算して補正することにより、利用者の過去の運転状況を加味した補正を行うことができ、より正確な必要消費電力を算出することができる。
そして、必要消費電力Wncに基づいてターゲットSOCを算出し(ステップS3)、このターゲットSOCに基づいて、前述した第1の実施形態と同様の配車可能車抽出処理を行って、トリップ予約の出発時刻までにターゲットSOCまで充電可能な配車可能電気自動車を抽出する。
【0124】
この配車可能車抽出処理で、配車可能電気自動車が抽出されると、抽出された電気自動車10のそれぞれについてターゲットSOC迄充電するための充電速度を算出する(ステップS15)。次いで、配車可能な電気自動車10のそれぞれについて充電速度と目標充電速度とをもとに図3に示す充電コスト算出マップを参照して充電コストCCを算出する(ステップS16)。
【0125】
そして、電池劣化データベース56から配車可能な各電気自動車10の電池劣化度合いΔdecを取得し(ステップS62)、充電配車処理を実行する。
この充電配車処理では、図16に示すように、配車可能な電気自動車10の台数が1台であるときには、利用者の利便性を優先させて電気自動車10の電池劣化度合いΔdecを考慮せずに配車を決定する。
【0126】
また、1つのトリップ予約に対して複数台の配車可能な電気自動車10が存在する場合には、複数台の配車可能な電気自動車10のうち電池劣化度合いΔdecが予め設定された想定電池劣化度合いΔdecsを超えている電気自動車が存在しない場合には、前述した第1の実施形態と同様に充電コストが最小の電気自動車を配車として決定する(ステップS17e)。
しかしながら、複数台の配車可能な電気自動車10のうち電池劣化度合いΔdecが予め設定された想定電池劣化度合いΔdecsを超えた電気自動車が存在する場合には、該当する電気自動車を除外した電気自動車のうち充電コストが最小の電気自動車を配車として決定する。
【0127】
さらに、配車可能な全ての電気自動車10の電池劣化度合いΔdecが想定電池劣化度合いΔdecsを超えている場合には、電池劣化度合いΔdecが小さい電気自動車を配車として決定するか、電池交換時期が近い電気自動車を配車として決定する。
また、同時刻帯に複数例えば3つのトリップ予約があり、これらトリップ予約に対して同数の配車可能な電気自動車が存在する場合を図17及びステップS18について説明する。
【0128】
図17は、充電劣化に差がない場合もしくは劣化の差を考慮せずに、単純に現時点での充電配車における充電コストが最小となるように決定する場合の例を示している。この図17では、3台の電気自動車1300A、1300B及び1300Cがそれぞれ返却時刻TA、TB及びTCに返却されるものとしている。そして、予約出発時刻TS1、TS2及びTS3にそれぞれトリップ予約が入った場合に、図17に示すように、消費電力予測に基づき決定されたターゲットSOCから、必要充電速度CVA、CVB及びCVCの他、他の組み合わせの必要充電速度を算出する。
【0129】
そして、第1の実施形態で前述したように、充電コストCCの合計値が最小となるトリップ予約と電気自動車との組み合わせを選択すると、図17に示すように、電気自動車EV1300Aを予約出発時刻TS1のトリップ予約に配車を決定し、電気自動車EV1300Bを予約出発時刻TS2のトリップ予約に配車を決定し、電気自動車EV1300Cを予約出発時刻TS3のトリップ予約に配車を決定する。
しかしながら、例えば電気自動車EV1300Aの電池劣化度合いΔdecが大きい場合には、上述した図17の場合には必要充電速度が比較的大きくなり、電池劣化が加速されることになる。
【0130】
このため、本実施形態では、図18に示すように、電池劣化度合いΔdecの大きい電気自動車EV1300Aを最小の充電コストとなる予約出発時刻TS2のトリップ予約に配車し、残る電気自動車EV1300B及びEV1300Cについては、残りのトリップ予約に対して必要充電速度が大きくなる電気自動車EV1300Bについて必要充電速度が小さい予約出発時刻TS3のトリップ予約に配車し、電気自動車EV1300Cについては残りの予約出発時刻TS1のトリップ予約に配車する。
【0131】
このように、電池劣化度合いΔdecの大きい電気自動車EV1300Aについて充電コストが最小となるトリップ予約に配車することにより、前述した図11に示すように、標準的劣化ラインL31に対して電池劣化度合いΔdecが大きい電気自動車に対して、充電コストが小さいトリップ予約に優先的に配車することにより、点線図示の特性線L33に示すように、電池劣化度合いΔdecを改善して規定年数(例えば5年)で最大蓄電量が規定値(例えば80%)に達するように劣化補正することができる。このため、電池交換頻度を抑制して、電池交換のために利用不可能となる電気自動車を抑制して、利用効率を向上させることができる。
【0132】
また、電池劣化度合いΔdecの大きい電気自動車を除いた配車可能台数がトリップ予約と同数以上である場合には、電池劣化度合いΔdecの大きい電気自動車を除いてトリップ予約と配車可能な電気自動車との組合せのうち充電コストの合計値が最小となる組合せの電気自動車を配車として決定する。この場合には、電池劣化度合いΔdecの大きい電気自動車への充電制御を行わないので、電池劣化を抑制することができる。
【0133】
なお、図12の利用履歴記録処理が利用履歴記録部15fに対応し、図13の電池劣化解析処理が電池劣化解析部51fに対応し、図14の運転係数決定処理が、運転係数決定部51eに対応している。また、図15の処理において、ステップS1の処理が予約受付部512aに対応し、ステップS2の処理が消費電力算出部51cに対応し、ステップS3〜S23の処理が充電配車計画部51dに対応している。
【0134】
(本実施形態の効果)
上記第2の実施形態は、前述した第1の実施形態の効果に加えて、次のような効果を奏する。
(1)トリップ予約に対して配車可能な電気自動車の電池劣化度合いを分析・取得する電池劣化解析部51fを備え、充電配車計画部51dで電池劣化度合いに基づいて電池劣化コスト(充電コスト)を算出する。このため、電池劣化度合いが異なる複数の電気自動車が存在する場合に、電池劣化度合いに応じた充電配車制御を行うことができ、配車対象となる電気自動車の電池劣化を抑制することができる。
【0135】
(2)電気自動車に利用者の運転履歴を記憶する利用履歴記録部15cと、運転履歴を分析して、走行距離、利用時間、走行経路の少なくとも1つ又は複数から算出される標準的な消費電力に対する利用者個人の消費電力の増減傾向を運転係数として算出する運転係数決定部51eとをさらに備え、充電配車計画部51dは、必要消費電力に運転係数を加味して目標充電状態を決定する。このため、利用者の運転傾向を反映した正確な必要消費電力を見積もることができる。したがって、正確な必要消費電力に基づいて配車及び充電制御を行うことができるので、利用者の利便性と電池劣化の抑制とを両立することができる。
【0136】
(変形例)
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、充電装置30として電源接続線を有する有線方式の充電装置を適用した場合について説明した。しかしながら、本発明は有線方式に限定されるものではなく、無線方式の充電装置を適用することもできる。この無線方式の充電装置としては、電磁誘導方式、電波方式、磁界共鳴方式の3方式があるが、何れの方式を採用してもよい。
【符号の説明】
【0137】
10 電気自動車
11 電池
12 AC/DC変換器
13 受電装置
14 受電コネクタ
15 演算装置
15a 車両制御部
15b 電池残量検出部
15c 充放電制御部
15d 充放電回路部
15e モータ発電機
16 記憶装置
17 入力装置
18 出力装置
19 通信装置
20 AD変換器
21 DA変換器
30 充電装置
31 給電装置
32 演算装置
32a 電力供給部
32b 充電制御部
33 記憶装置
34 通信装置
50 データセンター
51 演算装置
51a 予約受付部
51b 電池残量取得部
51c 消費電力算出部
51d 充電配車計画部
52 記憶部
53 通信装置
60 利用者端末
61 演算装置
62 入力装置
63 表示装置
64 記憶装置
65 通信装置
15f 利用者履歴記録部
51e 運転係数決定部
51f 電池劣化解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共同使用する複数の電気自動車の充電制御及び配車制御を行う充電配車計画システムであって、
前記各電気自動車の電池の電池残量を検出する電池残量検出部と、
次回利用者の電気自動車を利用するトリップ予約の予約情報を受付け、次回トリップのトリップ出発時刻を決定する予約受付部と、
前記予約情報に基づいて次回トリップで必要とする必要消費電力を見積もる消費電力算出部と、
前記電池残量と前記必要消費電力と前記予約情報とに基づき、前記トリップ出発時刻までに必要とする前記必要消費電力を前記電池に蓄電可能な電気自動車を選択して配車可能車とし、選択された配車可能車から電池劣化に与える影響度合いである電池劣化コストに基づいて配車を決定し、前記トリップ出発時刻までに前記必要消費電力を蓄電するように充電する充電配車計画部と
を備えることを特徴とする充電配車計画システム。
【請求項2】
前記充電配車計画部は、前記トリップ出発時刻までに必要消費電力が蓄電可能な電気自動車が複数選択された場合に、前記電池劣化コストが最小となる電気自動車を選択することを特徴とする請求項1に記載の充電配車計画システム。
【請求項3】
前記充電配車計画部は、複数のトリップ予約と、対応可能な複数の電気自動車とが存在する場合に、前記電池劣化コストの合計値が最小となる電気自動車と前記トリップ予約との組合せを選定して配車を決定し、配車が決定された電気自動車に対して前記電池劣化コストが最小となるような充電速度及び充電量で充電することを特徴とする請求項1に記載の充電配車計画システム。
【請求項4】
現在の配車可能な電気自動車の電池劣化度合いを分析・取得する電池劣化解析部をさらに備え、
前記充電配車計画部は、前記電池劣化度合いが大きい電気自動車に対して最小の電池劣化コストとなるように電気自動車とトリップ予約との組合せを選定して配車を決定し、配車を決定した電気自動車に対して当該電池劣化コストが最小となる充電速度及び充電量で充電することを特徴とする請求項1に記載の充電配車計画システム。
【請求項5】
前記充電配車計画部は、前記消費電力算出部で算出した必要消費電力と、電気自動車利用後の電池残量が深放電領域とならない最低必要電力量との合計値を目標充電状態として決定し、前記トリップ出発時刻までに前記目標充電状態に到達可能な電気自動車を選択して配車を決定することを特徴する請求項1乃至4の何れか1項に記載の充電配車計画システム。
【請求項6】
電気自動車利用者の過去の電気自動車利用時の消費電力量を、移動経路、移動高度、移動速度、天候情報、モーター電力使用量、補機類電力消費量の少なくとも何れか1つ又は複数と組合せて運転履歴として記憶する利用者運転履歴記録部と、
該運転履歴を分析し、走行距離、利用時間、走行経路の少なくとも1つ又は複数から算出される平均式な消費電力に対する利用者個人の消費電力増減傾向を運転係数として算出する運転係数決定部とをさらに備え、
前記充電配車計画部は、前記消費電力算出部から得られた消費電力に前記運転係数を加味して目標充電状態を決定することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の充電配車計画システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−90359(P2013−90359A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225964(P2011−225964)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】