説明

光と効果的薬剤とで皮膚を処置する方法

【課題】従来技術の持つ諸欠点の1つ以上を克服する、皮膚を処置するための方法を提供する。
【解決手段】皮膚に及ぼす老化の影響を軽減する方法は、皮膚の一面に第1の皮膚処置を行う段階と、遅れ時間の後、前記皮膚の一面と同一の皮膚の一面に第2の皮膚処置を行う段階とを有する。それらの皮膚処置を行う段階は、皮膚の一面を光に曝露することを開始する段階と、所定の時間(好ましくは、約1時間未満の時間)の後、前記皮膚を前記光に曝露することを終了する段階と、前記終了する段階の後の第1の遅れ時間の後、第1の効果的薬剤処置を前記皮膚の一面に行う段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、皮膚の処置方法に関し、さらにより詳しくは、光を皮膚に照射し、次いで、効果的薬剤をこの皮膚に局所使用することに関する。
【0002】
〔発明の背景〕
栄養の増進および医療の進歩と共に、平均的な米国市民および世界市民の平均寿命は、飛躍的に延びている。結果的に、これらの人々の大部分は、(増大している皮膚の健康問題を含む)老化に関連する影響を受けている。皮膚の健康問題は、ほとんど生命を脅かすことはないが、不快なものになる場合があり、慢性的障害を引き起こすことがある。加えて、皮膚は非常に視覚に感じられるものであるので、皮膚の健康問題と美容的な皮膚の状態とは、それらを有する患者の精神的ストレスを引き起こすことがある。高齢化する人口の多数の人々はまた、身体の健康と、容貌がより良く見え、より良く感じられる方法とに関し、知識がさらに与えられるようになっている。良好な健康状態と外見とを得ようというこの願望のために、人々は、健康管理のための処置とスキンケアとに対する改善された解決策を捜し求めている。
【0003】
美容的効果および/または老化防止効果、もしくは皮膚の若返り効果を提供するために、多くの技術が提案されてきた。例えば、皮膚を電磁放射線に曝露することが提案されてきた。電磁放射線は典型的には、皮膚中に存在する少なくとも1種類の発色団(例えば、メラニン、ヘモグロビン)によって、入射エネルギーが熱に変換されるように、吸収される波長を有している。十分なエネルギーが放出され吸収されれば、1種類以上の効果(benefits)(例えば、老化によるシミ(age spot)の軽減、斑状色素沈着過度(mottled hyperpigmentation)の軽減、しわの軽減、血管構造の軽減、肌荒れの軽減、および、たるんだ皮膚のリフティング作用(lifting))を、皮膚に与えることができる。
【0004】
専門的皮膚科医によって提案された装置の1つの例であって、電磁エネルギーを放出して、皮膚の効果(体毛の除去だけでなく、前述の老化防止効果)を達成する例は、キセノンの「フラッシュランプ(flashlamp)」である。フラッシュランプは、任意のいかなる時間でも、皮膚の大面積の全体に渡って照明(illumination)を提供することができるので、治療用光源として有用である。典型的なフラッシュランプは、可視スペクトル(だけでなく、赤外スペクトルの部分)の全体に渡って非コヒーレントの(non-coherent)電磁放射線を放出する広帯域エネルギー源である。この光源は典型的には、1ミリ秒程度の持続時間を有するパルスで放出される。
【0005】
皮膚を処置するために使用される他の電磁装置には、狭い「ビーム(beams)」(例えば、レーザーおよび発光ダイオードからのビーム)で電磁放射線を放出する装置が包含される。そのような電磁放射線は、小さいスポットサイズ(spot size)に焦点を集中し、皮膚の特定領域の処置を可能にすることができる。代替的に、皮膚の広い面積の全体に渡って、そのような装置の位置を漸次変更し(例えば、スタンプして(stamped))、幾つかの効果を提供することができる。
【0006】
局所処置はまた、皮膚老化の様々な徴候を処置するために用いられる。例えば、ビタミン(例えば、ビタミンAおよびビタミンA誘導体)の局所使用は、しわ(wrinkles)、および、皮膚の老化の他の徴候のための有効な処置法であることが知られている。さらに、皮膚を処置するために、光と共に局所的組成物を使用することが知られている。例えば、オドネル(O'Donnell)(米国特許第6,106,514号)は、パルス赤外レーザーエネルギーを放出して皮膚の色合いを高める方法を教示する。このレーザーエネルギーは、100J/cm2を超えるフルエンス(fluence)を有する。抗炎症薬、抗酸化剤およびネオコラーゲン促進物質を用いた局所的後処置(topical post-treatment)を、30〜90日間、処置された面積に適用することができる。
【0007】
例えば、マクダニエル(McDaniel)(米国特許出願第20030004499号および国際公開番号WO2003001894号)は、狭帯域のマルチクロマチック(multichromatic)電磁放射線を使用して、皮膚科的処置を行う方法を教示する。局所予備治療薬(topical pre-treatment)(例えば、外因性発色団(exogenous chromophore)または薬用化粧品(cosmaeceutical))を使用して、光の透過性を高めることができる。この処置は、1〜60日毎に繰り返してもよい。
【0008】
コーマン(Korman)(米国特許出願第20020128695A1号)は、尋常性アクネ、および脂漏症(seborrhea)の高エネルギー光線力学療法(high energy photodynamic therapy)法を教示する。その方法には、400nm〜450nm(青(blue))、520nm〜550nm(緑(green))、または630nm〜670nm(赤(red))のスペクトル範囲からなる狭スペクトル帯域の群の、少なくとも1つのスペクトル特性を有する狭帯域高強度光を、皮膚領域に照射する段階が包含される。その光源は、光力学的反応を活性化し、同時に有害な紫外線をフィルタリングして取り除くために必要な、正確な狭スペクトル帯域の高強度非コヒーレント光を発生する。酸素運搬化合物、ペルフルオロカーボン、酸化性物質(例えば、過酸化水素化合物)、角質溶解性物質、および、外用光感作物質(external photosensitizer)(例えば、メチレンブルー)を用いた前処置(pre-treatment)を行うことができる。これらの前処置の目的は、皮脂腺の中に酸素を直接放出し、かつ、P.アクネ菌を破壊する効率を高めることである。
【0009】
ペリコーン(Perricone)(米国特許出願第20030009158A1号)は、患部皮膚に青色光および/または紫色光を照射することを記述する。皮膚への光の透過度を増大させるため、光処置を行う前、α−ヒドロキシ酸を含有する化合物を使用することができる。
【0010】
アンダーソン(Anderson)(米国特許出願第20020099094号)は、5−アミノレブリン酸(ALA)による脂腺疾患の光処置法、および光線力学療法を教示する。ALAは、ポルフィリン経路(porphyrin pathway)によって代謝されるとして記述されている。代謝物(metabolite)は、処置される皮膚に浸透する。320nm〜700nmの間の波長を有する強い光が、ALAで処置された皮膚に送達されると、代謝物(光ポルフィリンIX(photoporphyrin IX))は励起されて、酸素と反応し、一重項酸素を産生する。
【0011】
タンコビッチ(Tankovitch)(米国特許第6,162,211A号)は、光エネルギーを吸収して周囲組織に作用を及ぼすために、皮膚を透過する光の少なくとも1つの周波数帯域で、または、この周波数帯の近辺で、高い光学的吸収率を有する材料(例えば、黒鉛)を皮膚の中に埋め込むことを教示する。
【0012】
前述の諸例は、電磁放射線を使用する従来の皮膚治療法が、単独療法(monotherapy)アプローチを利用することを例示する。例えば、従来の処置法において、皮膚は電磁放射線に曝露されるが、これはおそらく、発色団が皮膚に局所的に使用された後である。皮膚、および発色団は放射線を吸収し、熱は近辺の組織に放散される。それだけでは、単一の生体経路(熱的な損傷/回復)のみが利用されて、特定の効果に悪影響を及ぼす。この単独の機構は、放射のフルエンス(fluence)、頻度または時間が増大するにつれて、成果(returns)を減少させる傾向があるため、このことは適切ではない。多くの場合、処置に関する一定の頻度、フルエンス、または時間を超えたとき、効果は飽和(saturation)に達する。
【0013】
したがって、従来の実施(practices)は、幾つかの欠点を有している。まず、高いエネルギー密度(フルエンス)を有する電磁放射線がしばしば利用される。放出される高エネルギー密度は、専門家でない使用者(lay user)(例えば、消費者)が家庭における設定(home setting)での使用に際して安全でない場合がある。さらに、高フルエンスの放射線は、皮膚を不快な温度まで加熱することがあり、このため、施術の間、皮膚を冷却する必要がある。例えば、皮膚と接触する装置でこの不快な加熱が行われると、その装置自体に皮膚冷却装置を組み込む必要がある。このことによって、装置の設計は、高価なものとなるか、または、制限されることがある。
【0014】
他の従来の実施のための放射線のフルエンスは、あまりにも低度であるため、十分な効果を達成することができない。たとえ患者が、職業的スキンケア専門家の診察を頻繁に受ける不便さと費用とに耐えたとしても、その結果はしばしば、不満足なものである。さらに、将来生じるかもしれない、処置済み組織の老化に関連するさらなる悪化に対する保護は、電磁放射線単独による処置によっては提供されない。
【0015】
したがって、前述の諸欠点の1つ以上を克服する、皮膚を処置するためのシステムに対する必要性が存在する。
【0016】
〔発明の概要〕
1つの態様において、本発明の実施形態は、皮膚に及ぼす老化の影響を軽減する方法に関する。第1の実施形態において、この方法は、皮膚の一面に第1の皮膚処置を行う段階と、遅れ時間(delay)の後、皮膚の同一の一面に第2の皮膚処置を行う段階と、を含む。第1の皮膚処置を行う段階は、皮膚の一面の光に対する曝露を開始する段階と、所定の時間(好ましくは約1時間未満の時間)の後、前記皮膚の一面の前記光に対する曝露を終了する段階と、前記終了する段階の後の遅れ時間の後、第1の効果的薬剤の処置を前記皮膚の一面に行う段階とを含む。前記光は、主として約400nm〜約850nmの範囲以内であり、約5J/cm2〜約100J/cm2のフルエンスを有する。第2の皮膚処置を行う段階は、皮膚の一面の光に対する曝露を開始する段階と、所定の時間(好ましくは、約1時間未満)の後、前記皮膚の一面の前記光に対する曝露を終了する段階と、前記終了する段階の後の遅れ時間の後、第1の効果的薬剤の処置を前記皮膚の一面に行う段階とを含む。この遅れ時間は、第1の遅れ時間に類似する場合があるが、第2の遅れ時間は、第1の遅れ時間より長い時間である。少なくとも1回の追加の効果的薬剤処置を、第2の遅れ時間の間に行うこともできる。
【0017】
本発明の別の実施形態における、皮膚に及ぼす老化の影響を軽減する方法は、皮膚の一面を光に所定の時間(好ましくは、約1時間未満)の間曝露する段階と、前記皮膚の前記光に対する曝露を終了する段階と、前記終了する段階の後の約12時間未満の遅れ時間の後、効果的薬剤を前記皮膚の一面に使用する段階とを含む。前記光は、約400nm〜約850nmの範囲以内であり、約5J/cm2〜約100J/cm2のフルエンスを有する。
【0018】
本発明の別の態様における、局所組成物の普及を促進する方法は、皮膚の一面を光に曝露した後、前記皮膚の一面に前記組成物を局所的に使用することを使用者に示す段階を含む。前記光は、紫外線を実質的に含まず;主として約400nm〜約850nmの範囲以内であり;約5J/cm2〜約100J/cm2のフルエンスを提供し、主として約400nm〜約850nmのスペクトル範囲以内の、選択された波長および/または波長域(wavelengths and/or wavelength bands)を有し、前記光は、前記皮膚に約0.01W/cm2〜約100W/cm2を放出し、放出される全フルエンスが100J/cm2未満である。前記光への曝露は、前記局所的に使用する段階の前、24時間以内に完了することが好ましい。
【0019】
本発明の別の態様におけるキットは、光源、効果的薬剤、および取扱説明書(instructions)を含む。この光源は、主として約400nm〜約800nmの範囲以内の光の約5J/cm2〜約100J/cm2のフルエンスを提供する。この取扱説明書は、皮膚を前記光源からの光に曝露した直後、24時間以内に、前記効果的薬剤の少なくとも1回の処置を前記皮膚に行うことに関する。
【0020】
前記に簡単に要約された本発明は、添付の図面に例示される本発明の諸実施形態を参照することによって、より詳細に記述することができる。しかし、それらの添付の図面は、本発明の典型的な実施形態を例示するに過ぎず、したがって、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではなく、本発明のための他の同等の有効な実施形態を受け入れることができるということに留意すべきである。
【0021】
理解を容易にするために、可能であれば、同一の参照要素(reference elements)を使用し、各図面に共通する同一の要素を示した。
【0022】
〔発明の詳細な記述〕
別段の規定がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。
【0023】
光への曝露
本発明の実施形態には、皮膚に及ぼす老化の影響を軽減するための装置および方法が包含される。「皮膚に及ぼす老化の影響を軽減すること(mitigating the effects of aging on skin)」は、次の諸効果(皮膚の若返り効果(例えば、より若く、より健康的な輝きのある皮膚、滑らかなテクスチャートーン(texture tone)および/もしくはテクスチャー、または、シミのないテクスチャートーンおよび/もしくはテクスチャー);しわ、もしくは小じわ(fine lines)、表面の荒れ、(例えば、頬、顎もしくは額の組織の上の)皺襞(folds)もしくはたるみ(sagging)、表層の血管、老化によるシミ(age spots)/色素沈着、赤み(redness)、アクネもしくは他の原因からの瘢痕のような特徴(features)の除去または軽減;ならびに、孔径および外観の修正(reduction))の1つ以上が患者の皮膚に提供されることを意味する。
【0024】
光による処置
皮膚に及ぼす老化の影響を軽減するために、少なくとも1回の皮膚の処置が提供される。「皮膚の処置を提供する(providing skin treatment)」は、皮膚の一面を光に曝露することを開始し、光に曝露することを終了し、次いで、光に曝露することを終了した後の遅れ時間の後、前記皮膚の一面に効果的薬剤を使用することを意味する。このように、「皮膚の処置(skin treatment)」には、光による処置(light treatment)と、後続の少なくとも1回の局所的薬剤処置(topical treatment)とが含まれる。皮膚を光に曝露すること、および、効果的薬剤を投与することに関するさらなる詳細は、以下に規定する。
【0025】
図1に関連し、光源1は光を提供する。光源1は一般に、放射光3を放出するパルス波、または連続波の源である。放射光3は、スペクトル的に集中させるか、またはスペクトル的に散乱させることができる(すなわち、広帯域である)。続いて、放射光3は、この放射光3が向けられている皮膚11の一面にこの放射光3が到達する前に、1つ以上の光学素子5によって、フィルターにかけられるか、弱められるか、増幅されるか、偏光させられるか、または、調整されることがある。光が到達する地点で、皮膚11の一面の外面9は皮膚と相互に作用し、この光は入射光7から構成される。
【0026】
入射光7は、約400nm〜約850nmのスペクトル範囲以内である「活性部分(active portion)」を含んでいる。放射光および/または入射光は、この活性部分以外の波長を含んでもよいし、あるいは、含まなくてもよいが、活性部分以外の放射は必要でないことに留意されたい。
【0027】
本発明の1つの実施形態において、入射光は主として、約400nm〜約850nmのスペクトル範囲以内である。「主として、範囲以内(primarily within)」は、入射光の全エネルギーの80%以上が、約400nm〜約850nmの範囲以内であることを意味する。本発明の1つの実施形態において、入射光7は実質的に、約400nm〜約850nmのスペクトル範囲以内である。「実質的に、約400nm〜約850nmのスペクトル範囲以内(substantially within the spectral range of about 400nm to about 850nm)」は、全エネルギーの90%以上が、約400nm〜約850nmのスペクトル範囲以内であることを意味する。本発明の別の実施形態において、入射光7は実質的に、紫外線を含まない(すなわち、入射光7の全エネルギーの約1%未満が、約200nm〜約400nmのスペクトル範囲にある)。
【0028】
活性部分は通常、皮膚11の一面の内部に存在する1種類以上の内因性発色団13によって吸収されうる。発色団13は、次の諸化合物:メラニン、ヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、皮脂および水分の1種類以上を含有する。
【0029】
本発明の1つの実施形態において、入射光7は、主として次のスペクトル帯域:(A)約400nm〜約500nm、(B)約575nm〜約625nm、および(C)約600nm〜約850nm、の1つ以上の範囲以内である。これらのスペクトル帯域は、様々な内因性発色団の、これらのスペクトル帯域の範囲以内で光を吸収する能力に基づいて選定される。入射光7は、内因性発色団による吸収を容易にするために、主としてこれらの帯域の1つ以上の範囲以内であるか、これらの帯域のいずれか2つの範囲以内であるか、または、主としてこれらの帯域の全ての範囲以内である場合がある。
【0030】
入射光7は、特定の老化防止効果を容易にするための1つ以上のスペクトル帯域を含むことができる。例えば、入射光7は、皮膚11の一面の色素のコントラストを軽減するために、主として約400nm〜約850nmの範囲以内である場合がある。1つの特定の実施形態において、入射光は、主として(ヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、または水分とは対照的に)メラニンによる吸収を容易にするため、主として約400nm〜約800nmの範囲以内、例えば約580nm〜約850nmの範囲以内、例えば約650nm〜約850nmの範囲以内である。
【0031】
本発明の別の実施形態において、入射光7は、コラーゲン合成を促進し、皮膚11の一面におけるしわ、または小じわ(fine lines)を軽減するため、主として約575nm〜約625nmの範囲以内である場合がある。約575nm〜約625nmの範囲以内の光は、皮膚の脈管系に含まれる血液を加熱し、1つ以上の創傷治癒反応を引き起こすことによって、小じわおよびしわを軽減し、コラーゲン合成を促進する(すなわち、血液は、周囲組織に対して熱のラジエータになることができる)。
【0032】
本発明の別の実施形態において、入射光7は、皮膚11の一面における炎症または赤みを軽減するため、主として約600nm〜約750nmの範囲以内である場合がある。理論に拘束されることは望ましいことではないが、そのような入射光7は、メラニンとヘモグロビンとの両方によって吸収されることによって、炎症および赤みを軽減する。
【0033】
通常、入射光7の波長を850nm未満の波長に集中させることによって、入射光7を吸収する主要な内因性発色団は、水分ではなく、メラニン、ヘモグロビン、デオキシヘモグロビンとなる。したがって、入射光7の波長を集中させて赤外線にした場合よりも、低いエネルギー密度を有する入射光を使用することが可能になる。このことは、(皮膚の永久的な瘢痕および/または痛みの原因となることがある)表皮の切除が防止されるという点で有利である。
【0034】
さらに、入射光7は通常、表皮を切除するのに十分高いエネルギーではないが、入射光7は、(例えば、皮膚の温度を約10℃未満だけ上昇させるための)局所的な熱的加熱と、効果的な創傷治癒反応(wound-healing response)とを提供するためには概して十分であるエネルギー密度で皮膚11の一面に衝突する。
【0035】
入射光7のエネルギー密度は、約5J/cm2〜約100J/cm2の範囲内(例えば、約5J/cm2〜約50J/cm2の間)である場合がある。「入射光7のエネルギー密度(energy density of incident 7)」は、図2Aに示されるスポット210の面積であって、このエネルギーがその上に到達し、このエネルギーが皮膚11の一面の外面9に衝突するときに決定される面積で、入射光7のエネルギーを割ったものを意味する。用語「エネルギー密度(energy density)」および「フルエンス(fluence)」は、本明細書および特許請求の範囲の全体に渡り、互換できるように用いられることに留意されたい。スポット210は、約0.5cm2〜約10cm2の面積を有する。本明細書では、スポット210の面積を「スポットサイズ(spot size)」とも称する。
【0036】
入射光7のエネルギー密度は、例えば、約1ミリ秒〜約60分の範囲である場合もある、特定の時間に渡って放出されることがある。より短い時間は通常、より大きいフルエンスを得るためにより適切であり、また、より長い時間は、より低いフルエンスを得るためにより適切であることに留意されたい。
【0037】
入射光7またはそれの活性部分は通常、約1ミリワット毎平方センチメートル(mW/cm2)〜約100,000ワット毎平方センチメートル(W/cm2)の範囲の放射照度で、皮膚11の一面に衝突する。入射光の「放射照度(irradiance)」は、単位時間当りに皮膚11の一面に放出される入射光7のエネルギー密度である。
【0038】
本発明の1つの実施形態において、図2Aに示されるスポット210は、処置される皮膚11の一面を十分に取り囲んでいる。この実施形態において、皮膚11の一面全体に渡ってエネルギーを放出するために、入射光の位置を漸次変更する(例えば、皮膚11の一面全体に渡って横方向に移動する)必要はない。代替的には、図2Bに示されるように、入射光7は、面積が比較的小さい(例えば、約1cm2未満の)スポット210を有することがあり、皮膚11の一面全体を処置するために、皮膚11の一面全体に渡って、入射光7の位置を漸次変更する(例えば、スタンプする(stamped))ことができる。
【0039】
入射光7、またはこの入射光7の活性部分は、帯域幅(bandwidth)を有する。帯域幅は、極大強度である、活性部分内の波長(すなわち、極大値)を見出だし、この強度を半分(「最大半量(half max)」)に分割し、その最大半量の強度で入射する1つのスペクトル方向における直近の第1の波長(nearest first wavelength)の位置を決定することによって決定される。次いで、他のスペクトル方向における直近の第2の波長(nearest second wavelength)の位置を決定する。第1の波長と第2の波長との間の差異を帯域幅として算出する。皮膚11の一面に複数の極大値が入射する場合、最も大きい強度の最大値が、帯域幅を算出するために選択されることに留意されたい。
【0040】
図1には、光源1が皮膚11の一面から分離されているように描かれているが、分離距離が大きい必要はないことに留意されたい。本発明の1つの実施形態では、図3に示されるように、光源1は、ハウジング31の内部に光源1を含む装置37の一部である。光が、皮膚11の一面に接触する光学窓(optical window)35を通って導かれるように、ハウジング31(例えば、プラスチックのシェルまたは容器)は、少なくとも1つの外面(例えば、皮膚11の一面の外面9に押し付けられて配置することのできる皮膚接触面33)を有する。この装置は、例えば、使用者の手に保持することができ、かつ、皮膚11の一面の全てまたは一部分の全体に渡って、入射光7の位置を漸次変更することができる。本発明のこの実施形態において、光源1は、例えば、操作している間、皮膚11の一面から約0.5cm〜約50cm(例えば、約5cm〜約10cm)の距離に維持することができる。
【0041】
光源
本発明に適した光源1は、例えば、皮膚11の一面に比較的小さいスポットサイズで衝突することのできる有向ビーム(directed beam)を提供することができる。狭いスポットサイズを発生させる1つの適切な光源は、レーザー、例えば、半導体レーザー(すなわち、「レーザーダイオード(laser diode)」)、ルビーレーザー、Nd:YAGレーザー、アルゴンレーザー、KTPレーザー、色素レーザー、アレキサンドライトレーザー(alexandrite laser)、または、活性領域の波長を含む光を放出することのできる他のレーザー、である。レーザーは、連続様式またはパルス様式で光を放出することができる。さらに、適切なレーザーは典型的には、約2nm未満の帯域幅を有する放射光3を有する。本発明の実施形態にしたがって使用することのできる具体的なレーザー光源の例には、アルトシューラー(Altshuler)(米国特許第6,273,884号)およびアンダーソン(Anderson)(米国特許出願第20020099094A1号)、段落47〜49に記述されているものが包含される。これらの開示内容は、参照されることによって、本明細書に組み入れられる。
【0042】
本発明の別の実施形態において、光源1は、白熱源、蛍光源または化学発光源を包含することのできる広帯域光源(例えば、フラッシュランプ(flashlamp))である場合がある。とりわけ適切な光源の具体的な諸例は以下に解説されることに留意されたい。さらに、光源1は、フィラメント(例えば、タングステンフィラメント)を含む広帯域光源である場合があることにもまた、留意されたい。
【0043】
フラッシュランプ
本明細書に記述される本発明の実施形態を実施するために使用することのできる光源の、注目に値する1つの実施例は、パルス広帯域光源(pulsed, broadband source)であり、フラッシュランプ(例えば、キセノンフラッシュランプ)である。フラッシュランプは、入射電気エネルギーを取り出すガス入り放電装置であって、このフラッシュランプを放電させる高電圧電気パルスを発生し、これにより、あるスペクトル範囲(例えば、約200nm〜約2000nm)内にある電磁放射線のパルスを生じる、放電装置である。このスペクトル範囲は、特定の充填ガスと、特定のガス圧と、特定の電流密度とを選択することによって調整することができる。特定のガラスエンクロージャ(glass enclosure)をさらに選択するか、または、1つ以上のフィルターもしくは蛍光材料を使用することによって、放射される電磁放射線のスペクトル範囲より狭いスペクトル範囲以内の入射エネルギーを焦点に集めることができる。
【0044】
フラッシュランプが、通常、このフラッシュランプから(空間的な意味で)広範囲に広がり、したがって、広い面積を有する皮膚11の一面を同時に処置することができる放射光3を放出するという点で、このフラッシュランプは皮膚に効果(benefits)を提供することに適している。しかし、例えば、光を空間的に集中させるための反射器を使用することによって、フラッシュランプから領域の全面に光が広がるこの領域を制限することができる。活性部分は、約20nmより大きい帯域幅を有することができる。
【0045】
本発明の1つの実施形態において、活性部分は、約100nmより大きい帯域幅を有する。フラッシュランプからの入射光7は通常、非平行であり(non-collimated)(すなわち、光は、互いに概して平行である光線で放出される)、かつ、非コヒーレントである(non-coherent)(光は、互いに位相同期されていない光線で放出される)。フラッシュランプは、約1ミリ秒(msec)〜約数百ミリ秒の範囲の持続時間を有する光パルスを提供することができる。
【0046】
フラッシュランプは、光源1が、例えば、約5cm〜約10cmの間の距離で配置されている場合(例えば、外面33が皮膚11の一面の表面9と接触して配置されている場合)、前記に特定されている、活性部分の特定範囲の強度と帯域幅とを放出することができる。
【0047】
フラッシュランプの入射光7は、高強度である場合がある(すなわち、活性部分は、約10J/cm2〜約100J/cm2であるエネルギー密度を放出することができる)。高強度フラッシュランプの使用は、とりわけ、熟練した使用者(例えば、皮膚科医、医療技術者、等)が使用することに適している場合がある。代替的に、高強度フラッシュランプは、適切な安全機能(例えば、皮膚に対する過剰処置、または目に対する曝露を制限するもの)が使用されていれば、消費者製品として使用することができる。実際上、消費者は、約10J/cm2〜約100J/cm2のフルエンスを有する光源を使用し、本明細書に記述される本発明の実施形態に合致する方法を使用することによって、非常に効果的である在宅処置("at home" treatment)によって自己治療することができる。そのような装置を在宅使用すれば、各々の処置を受けるために専門家への通院予約が必要である場合に可能であるかもしれない処置に比べて、より頻繁に処置を行うことが可能となる。より低い照射レベルであっても、より頻繁な処置を行えば、より大きいコンプライアンス(compliance)と処置効果とを得る機会が提供される。適切な高強度フラッシュランプは、エクハウス(Ekhouse)(米国特許第5,405,368号)に記述されている。この米国特許明細書は、参照されることによって本明細書に組み入れられる。
【0048】
代替的に、フラッシュランプの入射光7は、低強度である場合がある(すなわち、活性部分は、約5J/cm2〜約10J/cm2の範囲のエネルギー密度を有する場合がある)。低強度放射線を使用することは、フラッシュランプを使用することに関して特別な訓練も専門的な訓練も受けていないであろう消費者が使用することに、とりわけ適切である場合がある。概して、適切な低強度フラッシュランプは、同等の高強度フラッシュランプに比べて、例えば、より小さいコンデンサ(capacitor)またはより低い電圧を有する。
【0049】
さらに、他の低強度光源(例えば、発光ダイオード、フィラメント光源、蛍光源、および、さらには化学発光源(chemiluminescent sources)も)は、典型的には専門家の設定で使用される場合に比べて、より長い曝露時間(数秒間〜数十分間)に渡って使用され、かつ、より頻繁に処置が行われたとき、皮膚に効果(benefits)を提供することができる。
【0050】
発光ダイオード
本発明の実施形態を実施するための別の注目すべき光源は、発光ダイオードである。LEDは、当技術分野において知られている材料(例えば、化合物半導体材料)で構成されている。本発明の1つの実施形態において、発光ダイオードからの放射光3は、(A)約400nm〜約500nm、(B)約580nm〜約600nm、および、(C)約600nm〜約800nmの範囲内である。狭帯域光源は、約0.1J/cm2より大きい、活性範囲内の放射エネルギー密度を有することができる。
【0051】
図2Bを再度参照すると、発光ダイオードからの放射光3が、約10cm2未満の面積を有するスポット210で皮膚11の一面に衝突するような具合に、この放射光を平行にすることができる。発光ダイオード等の光源を用いることによって、レーザー(例えば、レーザーダイオード)の入射エネルギー密度より実質的に低い入射エネルギー密度を提供することが可能である。これらの発光ダイオードの放射強度は、約1mW/cm2〜10mW/cm2の範囲である場合がある。
【0052】
図3に示されるように、発光ダイオードは、ユニット(例えば、露光窓(exposure window)が皮膚11の一面と接触することができるように、この露光窓の全体に渡って光が放出される露光窓を有する携帯可能なユニット)の一部である場合がある。ユニットおよび結果的には光は、エネルギーを皮膚11の一面に放出するために、皮膚11の一面に沿って、または、皮膚11の一面の全体に渡って移動させることができる。
【0053】
狭帯域光源からの入射光7は、アルトシューラー(Altschuler)(米国特許第6,280,473号)に記述されているような「連続波(continuous wave)」である場合がある。この米国特許明細書の開示内容は、参照されることによって本明細書に組み入れられる。「連続波」は、入射光の強度が約1秒未満の全時間に渡って比較的一定となるように、光源が、定常状態の連続した光線(beam)を提供するように構成されていることを意味する。
【0054】
光源1は、本発明のこの実施形態では、「1つの発光ダイオード(an LED)」と記述されているが、光源1が放出することができるエネルギー密度を高めるために、この光源は、実際には複数の発光ダイオードを含むことがあることに留意されたい。
【0055】
効果的な薬剤および組成物
本発明の効果的薬剤は通常、それら薬剤が活性領域内の光に対して実質的に非吸収性であるか、そうでなければ、この光と実質的に相互作用しないという点において、非活性(passive)である。換言すれば、本発明の効果的薬剤は、必ずしも光源1からの入射光を吸収するために選択されているのではなく、この入射光7を熱エネルギーに変換し、この熱エネルギーを皮膚11の一面に放散するために選択されている。
【0056】
実際上、処置が循環的である(cyclical)(すなわち、第1の皮膚処置の後、第2の皮膚処置が行われる)、本発明の実施形態にとって、効果的薬剤が入射光7を相当量で吸収しないということは、ある程度、有益である。この理由は、皮膚11の一面が光で処置されるとき、皮膚11の一面に効果的薬剤が残存していれば、この効果的薬剤による吸収に起因する損失によって、入射光7の、皮膚11の一面に熱的加熱を提供する能力が低減され、かつ/または、より大きい電力の光源が必要となる(したがって、より広い空間、より高額な費用、もしくは、光源のより大規模な冷却が必要となる)ということである。本発明の1つの実施形態において、効果的薬剤は、入射光7を含むあらゆる波長に対して、0.3吸光度単位(Absorbance Units)以下の吸光度を有する。この吸光度は、日焼け止め剤産業における標準である約2mg/cm2の、透明体に適用された薬剤の薄膜を、分光光度測定(spectrophotometric measurements)することによって決定することができる。
【0057】
効果的薬剤は、1種類以上に分類することができる。1つの実施形態において、効果的薬剤は、しわ防止処置薬(anti-wrinkle treatment)である。適切なしわ防止処置薬の例には、例えば、レチノイド(例えば、レチノール(retinol)、パルミチン酸レチニル(retinyl palmitate)、プロピオン酸レチニル(retinyl propionate)、レチンアルデヒド(retinaldahyde)、レチノイン酸、アダペレン(adapelene)、タザロテン(tazarotene)、13シス−レチノイン酸(13 cis-retinoic acid))、コラーゲン合成を促進するペプチド(例えば、銅含有ペプチド)、および、Pal−KTTP糖(例えば、メリビオース(melibiose)、ラクトース(lactose)、ガラクトース(galactose))が包含される。とりわけ注目すべきしわ防止処置薬は、レチノール(retinol)およびレチノイン酸である。
【0058】

本発明の別の実施形態において、効果的薬剤は、角質溶解剤(keratolytic agents)である。適切な角質溶解剤の例には、ヒドロキシ酸(例えば、α−ヒドロキシ酸(AHA)、β−ヒドロキシ酸BHA、およびポリヒドロキシ酸)が包含される。適切なヒドロキシ酸には、グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、アスコルビン酸、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸(alpha- hydroxyisocaproic acid)、アトロラクチン酸(atrrolactic acid)、α−ヒドロキシイソ吉草酸(alpha-hydroxyisovaleric acid)、ピルビン酸エチル(ethyl pyruvate)、ガラクツロン酸、グルコヘプトン酸(glucoheptonic acid)、グルコヘプトノ1,4−ラクトン(glucoheptono 1,4-lactone)、グルコン酸、グルコノラクトン(gluconolactone)、グルクロン酸、グルクロノラクトン(glucuronolactone)、グリコール酸、ピルビン酸イソプロピル、ピルビン酸メチル、粘液酸、ピルビン酸、サッカリン酸(saccharic acid)、サッカリン酸1,4−ラクトン(saccaric acid 1, 4-lactone)、酒石酸、およびタルトロン酸;β−ヒドロキシ酸(例えば、サリチル酸、β−ヒドロキシ酪酸、β−フェニル−乳酸(beta-phenyl-lactic acid)、β−フェニルピルビン酸(beta-phenylpyruvic acid)、アゼライン酸(azeleic acid))が包含される。別の有用な種の角質溶解剤は、角質溶解酵素パパイン(papain)、ブロマリン(bromaline)、ペプシン(pepsin)、トリプシン(trypsin)である。
【0059】
1つの実施形態において、効果的薬剤は抗炎症薬/赤み防止剤である。適切な抗炎症薬/赤み防止剤には、ナツシロギク(feverfew);アルカノールアミン[例えば、エチルアミノエタノール、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノールアミン(DMAE)、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールジメチルアミン、エチルエタノールアミン、2−ブタノールアミン、コリン(choline)およびセリン(serine)、カテコールアミン];ヒドロコルチゾン、サリチラート、β−シトステロール、アラントイン(allantoin)、オート麦エキス、デキサメタゾン、コーヒー酸、ギンコ・ビルボア(ginko bilboa)、グリチルレチン酸ステアリル(Stearyl glycyrrhetinate)、CMグルカム(Glucam)、緑茶エキス、ヒルロン酸(hyluronic acid)、ホースチェストナッツ(horsechestsnut:セイヨウトチノキ)エキス、甘草(licorice)エキス、コロイド状オートミル(colloidal oatmeal)、テトラヒドロザリン(tetrahydrozaline)およびインドメタシン(indomethacin)が包含される。アルカノールアミン(例えば、DMAE)、ナツシロギクおよびヒドロコルチゾンは、とりわけ注目すべき抗炎症薬/赤み防止薬である。
【0060】
本発明の別の実施形態において、効果的薬剤は、シミ防止剤/色素沈着防止剤(anti-spot/pigmentation agent)である。適切なシミ防止剤/色素沈着防止剤には、脱色素剤(depigmentation agents)(例えば、ヒドロキノン、カテコールおよびカテコールの誘導体、アスコルビン酸およびアスコルビン酸の誘導体、コウジ酸、甘草エキス、アゼライン酸、グリチルレチン酸ステアリル、大豆エキス、ヨヒンビン(yohimbine)、紅茶エキス、ならびに、それらの混合物)、ならびに、カイネチン(kinetin)が包含される。大豆エキスは、とりわけ注目すべきシミ防止剤/色素沈着防止剤である。
【0061】
本発明の別の実施形態において、効果的薬剤は、コラーゲン合成促進剤(collagen-stimulating agent)(例えば、Pal−KTTPを含有するペプチド、バイオペプチドEL(Biopeptide EL)(登録商標)、バイオペプチドCL(Biopeptide CL)(登録商標)、ならびに、銅含有ペプチド(例えば、銅ポリペプチド、および銅ペプチド(GHK)))である。銅含有ペプチドは、とりわけ注目すべきコラーゲン合成促進剤である。
【0062】
本発明の別の実施形態において、効果的薬剤は、予防的作用(preventive mechanism)によって機能する。予防的作用によって機能する適切な薬剤には、(酸化を予防するための)酸化防止剤の下位分類と、(光線性損傷(photodamage)を予防するための)日焼け止め剤の下位分類とが包含される。適切な酸化防止剤には、ビタミンC、ビタミンE、トコフェロール(α、β、γ)、ゲニステイン、トコトリエノール(tocotrienor)、ユビキノン、レスベラトロール(resveratrols)、CoQ−10、リポ酸、ラクトフェリン、ピクノジェノール(pycnogenol)、リコピン、リン酸アスコルビルマグネシウム(magnesium ascorbyl phosphate)、リン酸アスコルビルナトリウム、イソアスコルビン酸、パントテン酸、エリソルビン酸(erythorbic acid)、緑茶エキス、N−アセチルシステイン(N acetyl cysteine)、オリーブ葉エキス、フェルラ酸、ナツシロギク(feverfew)、ポリフェノール、リノール酸、グレープシードエキス(grape seed extract)、L−カルニチン、リポ酸、ジヒドロリポ酸、が包含される。適切な日焼け止め剤には、ベンゾフェノン、ボルネロン(bornelone)、ブチルシンナミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(butyl cinnamidopropyl trimethyl ammonium chloride)、ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウム(disodium distyrylbiphenyl disulfonate)、メトキシケイ皮酸カリウム(potassium methoxycinnamate)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(butyl methoxydibenzoylmethane)、メトキシケイ皮酸オクチル(octyl methoxycinnamate)、オキシベンゾン(oxybenzone)、オクトクリレン(octocrylene)、サリチル酸オクチル、サリチル酸ブチル、ホモサラート、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(phenylbenzimidazole sulfonic acid)、アミノ安息香酸エチルヒドロキシプロピル(ethyl hydroxypropyl aminobenzoate)、アントラニル酸メンチル(menthyl anthranilate)、アミノ安息香、シノキサート(cinoxate)、メトキシケイ皮酸ジエタノールアミン(diethanolamine methoxycinnamate)、メトキシケイ皮酸イソアミル(isoamyl methoxycinnamate)、メチルベンジリデンショウノウ(methyl benzylidene camphor)、アミノ安息香酸グリセリル(glyceryl aminobenzoate)、二酸化チタン、酸化亜鉛、オクトトリアゾール(octotriazole)、パディメートO(Padimate O)、レッドペトロラタム(red petrolatum)、アボベンゾン(avobenzone)、メキソリル(Mexoryl)(登録商標)、チノソーブS(Tinosorb S)(登録商標)およびチノソーブM(Tinosorb M)(登録商標)、ならびに、それらの混合物が包含される。とりわけ注目すべき日焼け止め剤には、ベンゾフェノン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイ皮酸オクチル、オキシベンゾン、オクトクリレン、サリチル酸オクチル、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、オクトトリアゾール、ブチルジベンゾイルメタン、ならびに、チノソーブS(Tinosorb S)(登録商標)およびチノソーブM(Tinosorb M)(登録商標)が包含される。
【0063】
効果的薬剤は、他の様々な補助成分と組み合わせるかまたは化合させて、局所的パーソナルケア(topical personal care)組成物(例えば、クリーム、エマルジョン、セラム(serum)、溶液、等)にすることができる。補助成分の選択は、例えば、効果的薬剤の、皮膚に浸透する能力、選択された特定の効果的薬剤、所望の特定の効果(benefit)、効果的薬剤に対する使用者の感受性、健康状態、年齢、および皮膚の状態、等によって変化することがある。適切な補助成分には、充填剤、皮膚軟化剤、展着剤、皮膚調整剤(skin conditioners)、乳化剤、湿潤剤、キレート化剤、芳香剤、増粘剤、染料(dyes)、感覚剤(sensates)、等が包含される。本発明の1つの実施形態において、補助成分は、入射光7に関連し、低吸光度(例えば、効果的薬剤に関し前記で解説したように、約0.3吸光度単位未満の吸光度)を有する。
【0064】
効果的薬剤は、「安全かつ有効な量」で使用される。この量は、皮膚、体毛もしくは爪のための所望の効果を達成するには十分多量であるか、または、処置されるべきある容態を調整するには十分多量であるが、適切な医学的判断の範囲内での合理的な危険率対効果比で、重大な副作用を回避するには十分少量である。本明細書において特段の記述がない限り、効果的薬剤は典型的には、この組成物/系の全重量に基づき、約0.01%〜約20%、例えば約0.01%〜約5%(例えば約0.01%〜約1%)の量で、パーソナルケア組成物(personal care composition)中に存在する。
【0065】
皮膚処置
本発明の1つの実施形態において、処置される皮膚11の一面には、第1の皮膚処置を提供する。第1の皮膚処置には、主として約400nm〜約850nmのスペクトル範囲内の光に皮膚11の一面を曝露する段階であって、当この光源が、約5J/cm2〜約100J/cm2をこの皮膚に放出する段階を含む。光源は、連続光またはパルス光の光源である場合がある。パルス光の場合、光処置は、一連のパルスを終了する段階によって終了する。約1時間未満の時間の後、光に対する曝露は終了する。光曝露は、光のフルエンスによっては、より短い時間で(例えば、数分以内で、数秒以内で、または、1秒未満以内の範囲内で)終了することができることに留意されたい。
【0066】
光への曝露が終了した後、約24時間未満の第1の遅れ時間(delay period)以内に、効果的薬剤を局所使用する。24時間未満の第1の遅れ時間以内で光処置を行った後、皮膚11の一面を効果的薬剤で後処置する段階を組み合わせることによって、より良好な効果が提供される(すなわち、従来の処置法と比べて、より大きい有効度、および/または、より短い期間での効果の発現が提供される)。理論に拘束されることは望ましいことではないが、本発明の処置療法(treatment regimen)は、複数の生体経路(例えば、コラーゲンの形成、および、赤みの軽減)によって施術されるものと思われる。したがって、効果の発現の大きさ、または速度は、単一の(すなわち、光処置のみの、または、局所的薬剤処置のみの)経路が飽和すること(saturation)によって限定される訳ではない。第1の皮膚処置の効力をさらに高めるために、第1の遅れ時間は、12時間未満、例えば、1時間未満(例えば、約1分〜約1時間)である場合がある。とりわけ、第1の遅れ時間をそのような低いレベルに短縮することによって、光処置と局所的薬剤処置との間に大きな相乗効果が得られるものと思われる。
【0067】
第2の遅れ時間の後、第2の皮膚処置を任意的に、皮膚11の一面に行う。第2の皮膚処置段階には、皮膚の一面を光に曝露する段階と、光への皮膚11の一面の曝露を終了する段階と、後続の、効果的薬剤を局所投与する段階と、が包含される。第2の皮膚処置段階は、例えば、第1の皮膚処置段階に類似するか、または、第1の皮膚処置段階と同一である場合がある。第2の遅れ時間は、第1の皮膚処置段階において効果的薬剤を使用する段階と、第2の皮膚処置段階において光への皮膚11の一面の曝露を開始する段階との間に経過した時間であることに留意されたい。第2の遅れ時間は、第1の遅れ時間より長い時間である場合がある。第2の遅れ時間は、第1の遅れ時間より長い時間を有することが好ましく、第1の遅れ時間より相当の長い時間を有することがより好ましい。このように、効果的薬剤の使用は、曝露後処置(post-exposure treatment)であって、前処置(pre-treatment)ではない。
【0068】
効果的薬剤は、第2の遅れ時間の間、皮膚11の一面に1回以上、局所使用することができることに留意されたい。第2の遅れ時間の間、局所使用される効果的薬剤は、第1の皮膚処置段階において使用される効果的薬剤と同一の効果的薬剤であるか、または、同一種類の効果的薬剤である場合がある。あるいは、第2の遅れ時間の間、局所使用される効果的薬剤は、第1の皮膚処置段階において使用される効果的薬剤と異なる効果的薬剤であるか、または、異なる種類の効果的薬剤である場合がある。効果的薬剤の局所的処置は、複数回繰り返すことができ、かつ、複数回の光処置の間、複数の日で繰り返すことができる。局所薬剤処置および光処置は、ハンドヘルド光源を使用して在宅で行うことができる。
【0069】
光処置および局所使用の効果的薬剤処置とは、類似の効果(例えば、コラーゲン合成促進/しわ軽減のための光処置、後続の、しわ防止剤処置またはコラーゲン合成促進剤処置;色素コントラスト軽減のための光処置、後続の、色素沈着防止剤処置;赤みおよび炎症を軽減するための光処置、後続の、抗炎症のための効果的薬剤処置)に向けることができる。局所薬剤処置は、化学・生体経路(chemical-biological pathway)を経て機能し(局所薬剤処置の化学反応は、直接生体反応を引き起こし)、光処置は、光学・生体経路(optical-biological pathway)を経て機能する(光のフォトンは熱反応を引き起こし、次いで、生体反応を引き起こす)ので、局所薬剤処置および光処置は、相乗作用によって作用し、より良好な効果を達成することができる。
【0070】
光処置と局所使用の効果的薬剤処置とは、類似のスキンケア効果(skin care benefits)に向けることができると考えられるが、このことは必要でない。本発明の1つの実施形態では、特定の局所的処置と光の特定のスペクトル分布とが選択されて、相互補完され、かつ/または、別個の異なる経路で作用する。
【0071】
例えば、光処置は、主として、色素コントラストを軽減するために、主として約400nm〜約850nmの範囲以内であるスペクトル分布を有することができる。この光処置に相補的である、効果的薬剤による後処置は、しわ防止処置薬(anti-wrinkle treatment)、角質溶解剤、抗炎症薬/赤み防止剤、および、コラーゲン合成促進剤、または、予防薬の1種類以上による後処置である場合がある。
【0072】
本発明の別の実施形態において、光処置は、コラーゲン合成を促進し、しわまたは小じわを軽減するため、主として約550nm〜約650nmの範囲以内であるスペクトル分布を有することができる。この光処置に相補的である、効果的薬剤による後処置は、シミ防止剤/色素沈着防止剤、抗炎症薬/赤み防止剤、角質溶解剤、または、予防薬の1種類以上による後処置である場合がある。
【0073】
本発明の別の実施形態において、光処置は、炎症または赤みを軽減するため、主として約600nm〜約750nmの範囲以内であるスペクトル分布を有することができる。この光処置に相補的である、効果的薬剤による後処置は、シミ防止剤/色素沈着防止剤、しわ防止剤、コラーゲン合成促進剤、角質溶解剤、または、予防薬の1種類以上による後処置である場合がある。
【0074】
製品およびパッケージ
最終使用者に便利なように、1種類以上の光源1と1種類以上の効果的薬剤とを、外部パッケージ内に入れて、製品として販売することができる。製品は、「使用者は、光源1で皮膚を照明し、効果的薬剤を局所使用することが望ましい」ということを使用者に示す取扱説明書をさらに含むことができる。取扱説明書は、「光源1および効果的薬剤は、本明細書に記述される本発明の諸実施形態と合致して、一緒に用いるべきである」ということ(すなわち、皮膚11の一面を光源に曝露した後、約24時間以内に、皮膚11の一面に効果的薬剤を使用すること)をさらに示すことができる。製品は、複数種の光源および/または複数種の効果的薬剤(すなわち、1種類以上の光源1および/または1種類以上の効果的薬剤)を含むことができることに留意されたい。これらの光源1および効果的薬剤は、例えば、外部パッケージ内にある一次パッケージ(例えば、チューブ、ジャー(jar)、プラスチックのラップまたは膜、等)に収容することができる。
【0075】
本発明の諸実施形態は、光に基づく処置に関連する効果(すなわち、創傷の修復)を、光処置の効力を高める局所的後処置と組み合わせることによって、従来技術の1つ以上の欠点を克服する。光治療に続くそのような治療を使用することにより、例えば、より迅速な効果の発現、および、より大きい効果を引き起こす第2の経路を促進することによって、「光処置のみによる(light only)」治療、または「局所的薬剤処置のみによる(topical only)」治療の生体反応の限界を克服することができる。主として、ある波長範囲内にある、中程度の光のフルエンスを局所的な効果的薬剤と組み合わせることによって、装置設計の自由度が改善される。なぜなら、複雑な冷却装置を必要とせず、かつ、前記処置は、専門家の診察を受けることが可能である場合より頻繁に繰り返すことが可能であり、処置は非常に効果的であるだけでなく、家庭で使用するのに安全であるからである。局所的な効果的薬剤を後処置使用すれば、光曝露段階の間、直接的なエネルギーの吸収および分解、または、曝露による熱的破壊のいずれかによって生じることのある、活性成分のあらゆる潜在的な分解が防止される。局所的薬剤は光曝露処置の前には使用されないので、効果的な放出を行うために、皮膚の中に吸収させるための時間は実質的に制限されず、かつ、他の従来技術によって教示されるような、局所的薬剤処置と光曝露との間の「待ち(wait)」時間は必要でない。
【0076】
次に述べる事項は、本明細書に記述される本発明の諸実施形態と合致して、皮膚を処置するための実施例に関する記述である。当業者は、類似の様式で本発明の他の方法を実施することができる。
【0077】
〔実施例〕
実施例1
主として400nm〜800nmの範囲以内であるスペクトル分布と、400nmの帯域幅と、20cm2〜80J/cm2のフルエンスとを提供することに必要なあらゆるフィルターを含むフラッシュランプ光源(例えば、キセノン充填の石英ガラス球(xenon-filled quartz-envelope)を有するもの)からの光であって、1秒未満のパルスで放出され、皮膚の一面に約5cm2〜10cm2のスポットサイズで衝突する光で皮膚の一面を処置する。皮膚(例えば、顔面全体)の一面の全体に渡って処置を完了するために、隣接する部位の全体に渡ってこの光源の位置を変更する(スタンプする(stamped))。前記光処置が完了した後、約1時間の第1の時間間隔以内に、レチノールおよびα−ヒドロキシ酸(例えば、グリコール酸)を含有する効果的薬剤を、前記皮膚の一面に局所使用する。約24〜48時間後、前記の諸段階(光処置段階、後続の、1時間後の局所的処置段階)を繰り返す。前述の方法は、例えば、皮膚の一面に存在するシミおよび望ましくない色素沈着コントラストを処置することに適する。
【0078】
実施例2
主として400nm〜800nmの範囲以内であるスペクトル分布と、400nmの帯域幅と、20cm2〜80J/cm2のフルエンスとを提供するのに必要なあらゆるフィルターを含むフラッシュランプ光源(例えば、キセノン充填の石英ガラス球を有するもの)からの光であって、1秒未満のパルスで放出され、皮膚の一面に約5cm2〜10cm2のスポットサイズで衝突する光で皮膚の一面を処置する。皮膚の一面の全体に渡って処置を完了するために、隣接する部位の全体に渡ってこの光源の位置を変更する(スタンプする(stamped))。前記光処置が完了した後、約1時間の第1の時間間隔以内に、天然大豆エキスを含有する効果的薬剤を、前記皮膚の一面に局所使用する。約24〜48時間後、前記の諸段階(光処置段階、後続の、1時間後の局所的処置段階)を繰り返す。前述の方法は、例えば、皮膚の一面に存在するシミおよび望ましくない色素沈着コントラストを処置することに適する。
【0079】
実施例3
575nm〜625nmのスペクトル分布と、50nm未満の帯域幅と、20J/cm2〜80J/cm2のフルエンスとを有する、フラッシュランプ光源からの光であって、1秒未満のパルスで放出され、皮膚の一面に約5cm2〜10cm2のスポットサイズで衝突する光で皮膚の一面を処置する。皮膚の一面の全体に渡って処置を完了するために、隣接する部位の全体に渡ってこの光源の位置を変更する(スタンプする(stamped))。前記光処置が完了した後、約1時間の第1の時間間隔以内に、レチノールおよび/またはα−ヒドロキシ酸(例えば、グリコール酸)を含有する効果的薬剤を、前記皮膚の一面に局所使用する。約24〜48時間後、前記の諸段階(光処置段階、後続の、1時間後の局所的処置段階)を繰り返す。前述の方法は、例えば、皮膚の一面に存在するしわの外観を軽減することに適する。
【0080】
実施例4
575nm〜625nmのスペクトル分布と、50nmの帯域幅と、20J/cm2〜80J/cm2のフルエンスとを有する、フラッシュランプ光源からの光であって、1秒未満のパルスで放出され、皮膚の一面に約5cm2〜10cm2のスポットサイズで衝突する光で皮膚の一面を処置する。皮膚の一面の全体に渡って処置を完了するために、隣接する部位の全体に渡ってこの光源の位置を変更する(スタンプする(stamped))。前記光処置が完了した後、約1時間の第1の時間間隔以内に、銅含有ペプチドを含有する効果的薬剤を、前記皮膚の一面に局所使用する。約24〜48時間後、前記の諸段階(光処置段階、後続の、1時間後の局所的処置段階)を繰り返す。前述の方法は、例えば、皮膚の一面に存在するしわの外観を軽減することに適する。
【0081】
実施例5
575nm〜625nmのスペクトル分布と、50nmの帯域幅と、20J/cm2〜80J/cm2のフルエンスとを有する、フラッシュランプ光源からの光であって、1秒未満のパルスで放出され、皮膚の一面に約5cm2〜10cm2のスポットサイズで衝突する光で皮膚の一面を処置する。皮膚の一面の全体に渡って処置を完了するために、隣接する部位の全体に渡ってこの光源の位置を変更する(スタンプする(stamped))。前記光処置が完了した後、約1時間の第1の時間間隔以内に、DMAEおよび/またはレチノール、および/またはα−ヒドロキシ酸(例えば、グリコール酸)を含有する効果的薬剤を、前記皮膚の一面に局所使用する。約24〜48時間後、前記の諸段階(光処置段階、後続の、1時間後の局所的処置段階)を繰り返す。前述の方法は、例えば、皮膚の一面に存在するしわ、およびたるみの外観を軽減することに適する。
【0082】
実施例6
625nm〜800nmのスペクトル分布と、175nmの帯域幅と、20J/cm2〜80J/cm2のフルエンスとを有する、フラッシュランプ光源からの光であって、1秒未満のパルスで放出され、皮膚の一面に約5cm2〜10cm2のスポットサイズで衝突する光で皮膚の一面を処置する。皮膚の一面の全体に渡って処置を完了するために、隣接する部位の全体に渡ってこの光源の位置を変更する(スタンプする(stamped))。前記光処置が完了した後、約1時間の第1の時間間隔以内に、天然大豆エキス、または脱色素剤(例えば、ヒドロキノン、またはレチノール)を含有する効果的薬剤を、前記皮膚の一面に局所使用する。約24〜48時間後、前記の諸段階(光処置段階、後続の、1時間後の局所的処置段階)を繰り返す。前述の方法は、例えば、皮膚の一面の全体に渡って皮膚の色調(skin tone)を均等に調整することに適する。
【0083】
実施例7
575nm〜625nmのスペクトル分布と、50nmの帯域幅と、20J/cm2〜80J/cm2のフルエンスとを有する、フラッシュランプ光源からの光であって、1秒未満のパルスで放出され、皮膚の一面に約5cm2〜10cm2のスポットサイズで衝突する光で皮膚の一面を処置する。皮膚の一面の全体に渡って処置を完了するために、隣接する部位の全体に渡ってこの光源の位置を変更する(スタンプする(stamped))。前記光処置が完了した後、約1時間の第1の時間間隔以内に、レチノールおよび/またはα−ヒドロキシ酸(例えば、グリコール酸)を含有する効果的薬剤を、前記皮膚の一面に局所使用する。約24〜48時間後、前記の諸段階(光処置段階、後続の、1時間後の局所的処置段階)を繰り返す。前述の方法は、例えば、皮膚の一面に存在する、きめの粗い皮膚のテクスチャーの外観を軽減することに適する。
【0084】
実施例8
625nm〜700nmのスペクトル分布と、75nmの帯域幅と、5J/cm2〜50J/cm2のフルエンスとを有する、フラッシュランプ光源からの光であって、1秒未満のパルスで放出され、皮膚の一面に500cm2のスポットサイズで衝突する光で皮膚の一面を処置する。前記光処置が完了した後、約1時間の第1の時間間隔以内に、DMAE、または抗炎症剤(例えば、ナツシロギク、もしくは天然大豆エキス)を含有する効果的薬剤を、前記皮膚の一面に局所使用する。約24〜48時間後、前記の諸段階(光処置段階、後続の、1時間後の局所的処置段階)を繰り返す。前述の方法は、例えば、皮膚の一面の赤みを軽減することに適する。
【0085】
実施例9
575nm〜625nmのスペクトル分布と、50nmの帯域幅と、20J/cm2〜80J/cm2のフルエンスとを有する、フラッシュランプ光源からの光であって、1秒未満のパルスで放出され、皮膚の一面に約5cm2〜10cm2のスポットサイズで衝突する光で皮膚の一面を処置する。皮膚の一面の全体に渡って処置を完了するために、隣接する部位の全体に渡ってこの光源の位置を変更する(スタンプする)。前記光処置が完了した後、約1時間の第1の時間間隔以内に、DMAE、または抗炎症剤(例えば、ナツシロギク、もしくは天然大豆エキス)を含有する効果的薬剤を、前記皮膚の一面に局所使用する。約24〜48時間後、前記の諸段階(光処置段階、後続の、1時間後の局所的処置段階)を繰り返す。前述の方法は、例えば、皮膚の一面の赤みを軽減することに適する。
【0086】
実施例10
400nm〜800nmのスペクトル分布と、400nmの帯域幅と、5J/cm2〜10J/cm2のフルエンスとを有する、フラッシュランプ光源からの光であって、30分未満の時間で放出され、皮膚の一面に400cm2〜500cm2のスポットサイズで衝突する光で皮膚の一面を処置する。前記光処置が完了した後、約1時間の第1の時間間隔以内に、レチノールおよびα−ヒドロキシ酸(例えば、グリコール酸)を含有する効果的薬剤を、前記皮膚の一面に局所使用する。約24〜48時間後、前記の諸段階(光処置段階、後続の、1時間後の局所的処置段階)を繰り返す。前述の方法は、例えば、皮膚の一面に存在するシミを軽減することに適する。
【0087】
実施例11
575nm〜625nmのスペクトル分布と、50nmの帯域幅と、5J/cm2〜10J/cm2のフルエンスとを有する、フィラメント光源からの光であって、30分未満の時間で放出され、皮膚の一面に400cm2〜500cm2のスポットサイズで衝突する光で皮膚の一面を処置する。前記光処置が完了した後、約1時間の第1の時間間隔以内に、レチノール、およびα−ヒドロキシ酸(例えば、グリコール酸)を含有する効果的薬剤を、前記皮膚の一面に局所使用する。約24〜48時間後、前記の諸段階(光処置段階、後続の、1時間後の局所的処置段階)を繰り返す。代替的に、効果的薬剤は、レチノールを共に含有するか、またはレチノールを含有せずに、天然大豆エキスを含有することができる。前述の方法は、例えば、皮膚の一面に存在するシミを軽減することに適する。
【0088】
実施例12
575nm〜625nmのスペクトル分布と、50nmの帯域幅と、5J/cm2〜10J/cm2のフルエンスとを有する、発光ダイオード光源(例えば、化合物である半導体ベースの薄膜を含む発光ダイオード光源)からの光であって、30分未満の時間で放出され、皮膚の一面に400cm2〜500cm2のスポットサイズで衝突する光で皮膚の一面を処置する。前記光処置が完了した後、約1時間の第1の時間間隔以内に、レチノール、およびα−ヒドロキシ酸(例えば、グリコール酸)を含有する効果的薬剤を、前記皮膚の一面に局所使用する。約24〜48時間後、前記の諸段階(光処置段階、後続の、1時間後の局所的処置段階)を繰り返す。前述の方法は、例えば、皮膚の一面に存在するしわの外観を軽減することに適する。
【0089】
実施例13
400nm〜800nmのスペクトル分布と、400nmの帯域幅と、5J/cm2〜10J/cm2のフルエンスとを有する、フィラメント光源からの光であって、30分未満の時間で放出され、皮膚の一面に400cm2〜500cm2のスポットサイズで衝突する光で皮膚の一面を処置する。前記光処置が完了した後、約1時間の第1の時間間隔以内に、レチノール、およびα−ヒドロキシ酸(例えば、グリコール酸)を含有する効果的薬剤を、前記皮膚の一面に局所使用する。約24〜48時間後、前記の諸段階(光処置段階、後続の、1時間後の局所的処置段階)を繰り返す。前述の方法は、例えば、皮膚の一面に存在するしわの外観を軽減することに適する。
【0090】
実施例14
(a)フィラメント光源からの光、または、(b)集合的に(collectively)広い発光スペクトルを有する複数種の発光ダイオードからの光で、皮膚の一面を処置する。この光のスペクトル分布は400nm〜800nmであり、帯域幅は400nm、フルエンスは5J/cm2〜10J/cm2であり、この光は、30分未満の時間で放出され、皮膚の一面に400cm2〜500cm2のスポットサイズで衝突する。前記光処置が完了した後、約1時間の第1の時間間隔以内に、DMAE、およびα−ヒドロキシ酸(例えば、グリコール酸)を含有する効果的薬剤を、前記皮膚の一面に局所使用する。約24〜48時間後、前記の諸段階(光処置段階、後続の、1時間後の局所的処置段階)を繰り返す。前述の方法は、例えば、皮膚の一面に存在するたるみを軽減することに適する。前記光処置は、皮膚科医の診察室のような臨床的設定で熟練した使用者によって実施することができ、または、例えば家庭において専門家でない使用者(lay user)によって実施することができる。
【0091】
実施例15
400nm〜800nmのスペクトル分布と、400nmの帯域幅と、5J/cm2〜10J/cm2のフルエンスとを有する、フィラメント光源からの光であって、30分未満の時間で放出され、皮膚の一面に400cm2〜500cm2のスポットサイズで衝突する光で皮膚の一面を処置する。前記光処置が完了した後、約1時間の第1の時間間隔以内に、日焼け止め剤(例えば、メトキシケイ皮酸オクチル、オキシベンゾン、またはブチルジベンゾイルメタン)を含有する効果的薬剤を、前記皮膚の一面に局所使用する。約24〜48時間後、前記の諸段階(光処置段階、後続の、1時間後の局所処置段階)を繰り返す。前述の方法は、例えば、皮膚の一面に存在するたるみを軽減することに適するだけでなく、処置と処置との間に、皮膚を紫外線から保護することにも適する。
【0092】
前述の事項は、本発明の様々な実施形態に向けられているが、本発明の基本的範囲から逸脱することなく、他の実施形態、およびさらなる実施形態を考案することができる。
【0093】
〔実施の態様〕
(1)皮膚に及ぼす老化の影響を軽減する方法において、
a.皮膚の一面に第1の皮膚処置を行う段階であって、
i. 約400nm〜約850nmの波長、および、約5J/cm2〜約100J/cm2のフルエンス、を有する光に、皮膚の一面を曝露する段階、
ii.前記皮膚の前記光に対する曝露を終了する段階、および、
iii. 前記終了する段階の後の遅れ時間(delay)の後、第1の効果的薬剤を前記皮膚の一面に使用する段階、
を含み、
前記光は、前記皮膚の一面と関連するポルフィリンを励起して、アクネを引き起こす微生物を破壊することに適したエネルギー状態にする機能、皮脂腺中の皮脂の流れを調整するために、前記皮膚の一面の内部の前記皮脂腺の中に存在する脂質を加熱する機能、炎症を軽減する機能、および、これらの機能の組み合わせ、からなる群から選択される機能を果たすことに適する、
第1の皮膚処置を行う段階と、
遅れ時間の後、
b.前記皮膚の一面と同一の皮膚の一面に第2の皮膚処置を行う段階であって、
i. 皮膚の一面を光に曝露することを開始する段階、
ii. 所定の時間の後、前記皮膚の一面の前記光に対する曝露を終了する段階、および、
iii. 前記終了する段階の後の遅れ時間の後、前記第1の効果的薬剤を前記皮膚の一面に使用する段階、
を含む、第2の皮膚処置を行う段階、
を含む、方法。
(2)皮膚に及ぼす老化の影響を軽減する方法において、
a.皮膚の一面を、約400nm〜約850nmの波長、および、約5J/cm2〜約100J/cm2のフルエンス、を有する光に曝露する段階と、
b.前記皮膚の前記光に対する曝露を終了する段階と、
c.前記終了する段階の後の約12時間未満の遅れ時間の後、効果的薬剤を前記皮膚の一面に使用する段階と、
を含む、方法。
(3)局所組成物の普及を促進する方法において、
アクネによって悪影響を受けている皮膚の一面を光に曝露した後、前記皮膚の一面に前記組成物を局所的に使用することを使用者に示す段階であって、
前記光は、
a.紫外線を実質的に含まず、
b.主として約400nm〜約850nmの波長を有し、
c.約5J/cm2〜約100J/cm2のフルエンスを提供し、
d.主として約400nm〜約850nmの波長範囲以内の、選択された波長および/または波長域を有し、かつ、
e.前記皮膚に約0.01W/cm2〜約100W/cm2を放出し、放出される全フルエンスが100J/cm2未満である、
段階、
を含む、方法。
(4)実施態様1〜3のいずれかに記載の方法において、
前記光に曝露する段階は、約1時間後に終了する、方法。
(5)実施態様1〜3のいずれかに記載の方法において、
前記効果的薬剤は、前記光帯域による前記皮脂の前記調整に対して相補的であるか、または、前記光による前記炎症の前記軽減に対して相補的であるか、のいずれかである抗菌作用を提供することに適する、少なくとも1種類の成分を含有する、方法。
(6)実施態様1〜3のいずれかに記載の方法において、
前記効果的薬剤は、前記アクネを引き起こす微生物の前記破壊に対して相補的であるか、または、前記光による前記炎症の前記軽減に対して相補的であるか、のいずれかである皮脂調整作用を提供することに適する、少なくとも1種類の成分を含有する、方法。
(7)実施態様1〜3のいずれかに記載の方法において、
前記効果的薬剤は、前記光帯域による前記皮脂の前記調整に対して相補的であるか、または、前記アクネを引き起こす微生物の前記破壊に対して相補的であるか、のいずれかである抗炎症作用を提供することに適する、少なくとも1種類の成分を含有する、方法。
(8)実施態様1〜3のいずれかに記載の方法において、
前記光は、約400nm〜約410nmの間の、波長または波長域を有する、方法。
(9)実施態様1〜3のいずれかに記載の方法において、
前記光は、約630nm〜約670nmの間の、波長または波長域を有する、方法。
【0094】
(10)実施態様1〜3のいずれかに記載の方法において、
前記光は、約20nm未満の帯域幅を有する、方法。
(11)実施態様1〜3のいずれかに記載の方法において、
前記効果的薬剤は、角質溶解剤、瘢痕緩和剤(scar mitigator)、色素沈着防止剤、洗浄剤、および、そのような薬剤の1種類以上の組み合わせ、からなる群から選択される、方法。
(12)実施態様11に記載の方法において、
前記瘢痕緩和剤は、少なくとも1種類のペプチドを含有する、方法。
(13)実施態様11に記載の方法において、
前記色素沈着防止剤は、少なくとも1種類のシミ防止剤を含有する、方法。
(14)実施態様1〜3のいずれかに記載の方法において、
前記効果的薬剤は、抗真菌剤をさらに含有する、方法。
(15)実施態様1に記載の方法において、
前記第2の皮膚処置を行う段階の前記光に曝露する段階は、約1時間後に終了する、方法。
(16)実施態様1に記載の方法において、
前記第1の皮膚処置を行う段階と前記第2の皮膚処置を行う段階との間の前記遅れ時間は、光処置を終了する段階と前記第1の効果的薬剤を使用する段階との間の前記遅れ時間よりも長い、方法。
(17)実施態様1に記載の方法において、
前記第1の皮膚処置を行う段階と前記第2の皮膚処置段階との間の前記遅れ時間の間、少なくとも1回の追加の効果的薬剤処置を行う段階、
をさらに含む、方法。
(18)実施態様3に記載の方法において、
前記光に曝露する段階は、前記局所的に使用する段階の前、24時間以内に完了する、方法。
【0095】
(19)キットにおいて、
a.光源であって、
i. 主として約400nm〜約800nmの波長を有し、
ii. 約5J/cm2〜約100J/cm2のフルエンスを提供し、
iii. 前記皮膚の一面と関連するポルフィリンを励起して、アクネを引き起こす微生物を破壊することに適したエネルギー状態にする機能、皮脂腺中の皮脂の流れを調整するために、前記皮膚の一面の内部の前記皮脂腺の中に存在する脂質を加熱する機能、炎症を軽減する機能、および、これらの機能の組み合わせ、からなる群から選択される機能を果たすことに適している、
光源と、
b.効果的薬剤と、
c.皮膚を前記光源からの光に曝露した直後、24時間以内に、前記効果的薬剤の少なくとも1回の処置を、前記皮膚に行うことを指示する取扱説明書と、
を含む、キット。
(20)実施態様19に記載のキットにおいて、
前記効果的薬剤が、前記光帯域による前記皮脂の前記調整に対して相補的であるか、または、前記光による前記炎症の前記軽減に対して相補的であるか、のいずれかである抗菌作用を提供することに適する少なくとも1種類の成分、を含有している、キット。
(21)実施態様19に記載のキットにおいて、
前記効果的薬剤が、前記アクネを引き起こす微生物の前記破壊に対して相補的であるか、または、前記光による前記炎症の前記軽減に対して相補的であるか、のいずれかである皮脂調整作用を提供することに適する少なくとも1種類の成分、を含有している、キット。
(22)実施態様19に記載のキットにおいて、
前記効果的薬剤が、前記光帯域による前記皮脂の前記調整に対して相補的であるか、または、前記アクネを引き起こす微生物の前記破壊に対して相補的であるか、のいずれかである抗炎症作用を提供することに適する少なくとも1種類の成分、を含有している、キット。
(23)実施態様19に記載のキットにおいて、
前記光が、約400nm〜約410nmの間、の波長または波長域を有している、キット。
(24)実施態様19に記載のキットにおいて、
前記光が、約630nm〜約670nmの間、の波長または波長域を有している、キット。
(25)実施態様19に記載のキットにおいて、
前記光が、約20nm未満の帯域幅を有している、キット。
(26)実施態様19に記載のキットにおいて、
前記効果的薬剤が、角質溶解剤、瘢痕緩和剤、色素沈着防止剤、洗浄剤、および、そのような薬剤の1種類以上の組み合わせ、からなる群から選択される、キット。
(27)実施態様26に記載のキットにおいて、
前記瘢痕緩和剤が、少なくとも1種類のペプチドを含有している、キット。
(28)実施態様26に記載のキットにおいて、
前記色素沈着防止剤が、少なくとも1種類のシミ防止剤を含有している、キット。
(29)実施態様19に記載のキットにおいて、
前記効果的薬剤が、抗真菌剤をさらに含有している、キット。
(30)実施態様19に記載のキットにおいて、
前記効果的薬剤が、抗真菌剤をさらに含有している、キット。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本明細書および特許請求の範囲に記述される発明の実施形態にしたがって、光で処置されている皮膚の一面の概略的な側面図である。
【図2a】光で処置されている皮膚の一面の概略的な平面図である。
【図2b】皮膚の一面と、および、この皮膚の一面に渡って光の位置が漸次変更されているこの光の概略的な平面図である。
【図3】本明細書および特許請求の範囲に記述される発明の実施形態に合致した方法で、皮膚の一面に渡って装置の位置を漸次変更することができる、この装置の概略的な側面図である。
【符号の説明】
【0097】
1 光源
3 放射光
5 光学素子
7 入射光
9 皮膚11の一面の外面
11 皮膚
13 内因性発色団
31 ハウジング
33 皮膚接触面
37 装置
210 スポット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚に及ぼす老化の影響を軽減する方法において、
a.皮膚の一面に第1の皮膚処置を行う段階であって、
i. 約400nm〜約850nmの波長、および、約5J/cm2〜約100J/cm2のフルエンス、を有する光に、皮膚の一面を曝露すること、
ii.前記皮膚の前記光に対する曝露を終了すること、および、
iii. 前記終了する段階の後の遅れ時間の後、第1の効果的薬剤を前記皮膚の一面に使用すること、
を含み、
前記光は、前記皮膚の一面と関連するポルフィリンを励起して、アクネを引き起こす微生物を破壊することに適したエネルギー状態にする機能、皮脂腺中の皮脂の流れを調整するために、前記皮膚の一面の内部の前記皮脂腺の中に存在する脂質を加熱する機能、炎症を軽減する機能、および、これらの機能の組み合わせ、からなる群から選択される機能を果たすことに適する、
第1の皮膚処置を行う段階と、
遅れ時間の後、
b.前記皮膚の一面と同一の皮膚の一面に第2の皮膚処置を行う段階であって、
i. 皮膚の一面を光に曝露することを開始すること、
ii. 所定の時間の後、前記皮膚の一面の前記光に対する曝露を終了すること、および、
iii. 前記終了する段階の後の遅れ時間の後、前記第1の効果的薬剤を前記皮膚の一面に使用すること、
を含む、第2の皮膚処置を行う段階、
を含む、方法。
【請求項2】
キットにおいて、
a.光源であって、
i. 主として約400nm〜約800nmの波長を有し、
ii. 約5J/cm2〜約100J/cm2のフルエンスを提供し、
iii. 前記皮膚の一面と関連するポルフィリンを励起して、アクネを引き起こす微生物を破壊することに適したエネルギー状態にする機能、皮脂腺中の皮脂の流れを調整するために、前記皮膚の一面の内部の前記皮脂腺の中に存在する脂質を加熱する機能、炎症を軽減する機能、および、これらの機能の組み合わせ、からなる群から選択される機能を果たすことに適している、
光源と、
b.効果的薬剤と、
c.皮膚を前記光源からの光に曝露した直後、24時間以内に、前記効果的薬剤の少なくとも1回の処置を、前記皮膚に行うことを指示する取扱説明書と、
を含む、キット。
【請求項3】
請求項2に記載のキットにおいて、
前記効果的薬剤が、前記光帯域による前記皮脂の前記調整に対して相補的であるか、または、前記光による前記炎症の前記軽減に対して相補的であるか、のいずれかである抗菌作用を提供することに適する少なくとも1種類の成分、を含有している、キット。
【請求項4】
請求項2に記載のキットにおいて、
前記効果的薬剤が、前記アクネを引き起こす微生物の前記破壊に対して相補的であるか、または、前記光による前記炎症の前記軽減に対して相補的であるか、のいずれかである皮脂調整作用を提供することに適する少なくとも1種類の成分、を含有している、キット。
【請求項5】
請求項2に記載のキットにおいて、
前記効果的薬剤が、前記光帯域による前記皮脂の前記調整に対して相補的であるか、または、前記アクネを引き起こす微生物の前記破壊に対して相補的であるか、のいずれかである抗炎症作用を提供することに適する少なくとも1種類の成分、を含有している、キット。
【請求項6】
請求項2に記載のキットにおいて、
前記光が、約400nm〜約410nmの間の、波長または波長域を有している、キット。
【請求項7】
請求項2に記載のキットにおいて、
前記光が、約630nm〜約670nmの間の、波長または波長域を有している、キット。
【請求項8】
請求項2に記載のキットにおいて、
前記光が、約20nm未満の帯域幅を有している、キット。
【請求項9】
請求項2に記載のキットにおいて、
前記効果的薬剤が、角質溶解剤、瘢痕緩和剤、色素沈着防止剤、洗浄剤、および、そのような薬剤の1種類以上の組み合わせ、からなる群から選択される、キット。
【請求項10】
請求項9に記載のキットにおいて、
前記瘢痕緩和剤が、少なくとも1種類のペプチドを含有している、キット。
【請求項11】
請求項9に記載のキットにおいて、
前記色素沈着防止剤が、少なくとも1種類のシミ防止剤を含有している、キット。
【請求項12】
請求項2に記載のキットにおいて、
前記効果的薬剤が、抗真菌剤をさらに含有している、キット。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−506508(P2008−506508A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523614(P2007−523614)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/025143
【国際公開番号】WO2007/001318
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(598039367)ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・カンパニーズ・インコーポレイテッド (79)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Consumer Companies,Inc.
【住所又は居所原語表記】Grandview Road,Skillman,New Jersey 08558,United States of America
【Fターム(参考)】