説明

光により活性化する歯白色化装置およびそれを使用する方法

【課題】光エネルギーの使用により活性化または高速化され得る、速くそして安全な歯の白色化組成物および方法を提供する。
【解決手段】キャリア化合物である透明な第一成分、および酸化化合物である透明な第二成分を含み、この第二成分は、汚れた歯に塗布され、光に曝露されると、活性化されて歯の白色化を促進する。さらに、光活性歯白色化の方法。すなわち歯白色化組成物を1本以上の歯に塗布する工程、およびこの組成物を光線に曝露してこの酸化化合物を活性化する工程を包含する。また、歯白色化のためのデバイスは、光源、少なくとも1つの光学出力、プロジェクション手段(これは、この光学出力から患者の前歯をほぼ同時にかつ均一に照射するような様式で、この光学出力を患者の口の外側に保持し、位置決めするためにある);および接続手段(これは、この光源をこの光学出力に接続するためにある)を有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は、1998年2月13日に出願された仮出願60/074,708号、1998年2月19日に出願された同60/075,222号(これらの内容は、本開示の中で参考として援用される)からの優先権を主張する。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、歯の白色化の組成物およびこれを使用する方法の改良に関する。詳細には、本発明は、新規な歯の白色化の組成物、ならびに光エネルギーを使用してより迅速かつ改良されたレベルの歯の白色化を達成するための方法を提供する。
【0003】
白い歯は、美容として所望されると長く考えられてきた。不幸にも食物、飲料、タバコ、および唾液流体、さらに血液のような内部の原因、アマルガム修復、およびテトラサイクリンのような抗生物質の中の色素生産性(着色を起こす)の物質の存在のために、歯は、処置をしなければほぼ例外なく決まって変色する。一般に、汚れた外観を与えることの原因となる歯の構造は、エナメル質、象牙質、および後天性薄膜である。歯のエナメル質は、大部分は無機物質(主にヒドロキシアパタイト結晶の形態)から形成され、さらに、約5%の有機物質を主にコラーゲンの形態で含む。対照的に、象牙質は、コラーゲンを含む約20%のタンパク質から構成され、残りは、エナメル質に見い出されるものと同様の無機物質(主に、ヒドロキシアパタイト結晶)からなる。後天性薄膜は、歯のエナメル質の表面上のタンパク質様の層であり、集中した歯の洗浄の後に急速に除去される。
【0004】
歯の汚れの分類系は、N(Nathoo)Classification Systemと呼ばれており、これは、J.of the Amer.Dental Asso.、第128巻、特別増刊号、1997年4月に提案されている。直接的な歯の汚れの1形態は、色素物質が歯の表面に結合し、非結合性の色素体のものと類似の色に変色を起こす場合に生じるN1型汚れである。別のタイプの直接的な歯の汚れは、N2型汚れであり、ここで色素物質は、歯の表面に結合し、次に歯に結合した後、色の変化を起こす。最後にN3汚れは、間接的な歯の汚れであり、歯への無色の物質(プレ色素体)の結合によって生じ、そのプレ色素体は、化学反応を起こし、プレ色素体が歯の汚れを引き起こす色素体に変換する。歯の汚れは、外因性または内因性のどちらかであり得、これは歯の構造内の位置に依存する。例えば、後天性薄膜の外因性の汚れは、歯の表面のタンパク質様の層に捕捉されおよび強固に結合するタンニンおよび他のポリフェノール化合物のような化合物に起因して生じる。このタイプの汚れは、通常、歯の洗浄用の機械的方法によって除去され得、これにより、関連する汚れと一緒に全てのまたは一部の後天性薄膜を除去する。対照的に、内因性の汚れは、色素体またはプレ色素体がエナメル質および象牙質に浸透する場合に生じ、そして歯の構造に強固に結合する。内因性の汚れはまた、色素体またはプレ色素体の全身的な原因から生じ得、例えばエナメル質が発達する間に過剰のフッ素を摂取すると、フッ素の汚れによくある斑紋状の黄色または茶色の斑点を導く。内因性の汚れは、歯の洗浄の機械的な方法に敏感ではなく、色素体の光吸収性に変化を与えるために過酸化水素のような薬品の使用を一般的に必要とし、この薬品は歯の構造の中に浸透し得る。内因性の歯の汚れは、一般的に外因性の歯の汚れの除去よりもより扱いにくく、より困難である。
【0005】
結果として、歯の漂白組成物は、一般的に2つのカテゴリーに分類される:(1)歯磨き粉を含むゲル、ペーストまたは液体(汚れた後天性薄膜での歯磨き粉の侵食を介して歯の汚れの除去をするために、汚れた歯の表面で機械的に激しく動かす);および(2)ゲル、ペースト、または液体(特定の期間、汚れた歯の表面に接触させる間の化学プロセスに
よる歯の漂白効果を達成し、その後に、この処方物が除かれる)。いくつかの場合において、酸化的または酵素的であり得る補助の化学プロセスまたは補助剤は、機械的なプロセスを補う。
【0006】
歯の汚れを除去しまたは破壊するために利用可能な化学的戦略の中で、最も有効な組成物は、色素体分子を無色、水溶性、またはその両方にするような方法で、色素体分子を攻撃するための酸化剤(例えば、過酸化水素)を含む。患者の歯を白色化する最も一般的なアプローチの1つにおいて、歯科医師は、患者の生歯から作った印象から患者のために特注製の歯の漂白トレーを作製し、そして酸化剤ゲルの使用を処方し、歯の漂白トレーに施し、そして歯の汚れの重症度に依存して、約2週間〜約6週間の時間範囲の期間にわたって断続的に装着させる。これらの酸化組成物は、通常、小さいプラスチックのシリンジに詰められ、患者によって直接、特注製の歯の漂白トレーに施され、約60分より長い時間(時々、8〜12時間の間)接触するために口の中の場所に保持される。大部分において、漂白の速度が遅いのは、酸化組成物の安定性を保持するために開発される処方物の性質の結果である。最も一般的に使用される酸化組成物は、過酸化水素の前駆体であるカルバミド過酸化物を含み、これは、グリセリンおよび/またはプロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコールを含む無水または低含水の吸湿性の粘性キャリアを混合する。水に接触すると、カルバミド過酸化物は、尿素および過酸化水素に分解する。この吸湿性のキャリアにおいて漂白の速度が遅いことに関連して、現在利用可能な歯の漂白化組成物は、患者の50%以上において歯の感作を引き起こす。歯の感作は、象牙細管を介する液体の展開によって生じると考えられ、これは歯の中の神経末端によって感知される。カルバミド過酸化物のためのキャリアはこの展開を増大させる。実際に、グリセリン、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールのそれぞれにより、加熱、冷却、過度に甘い物、および他の原因物質への歯の曝露後に、歯の敏感度の量の変化を起こし得ると考えられ得る。
【0007】
現在、実施されるように、歯の漂白組成物へのより長い曝露により、歯の多くの敏感度に加えて、多数の有害な効果を有する。これらには、以下が挙げられる:鉱質除去に関連して、5.5より低いpHにおけるエナメル質層からのカルシウムの溶化;漂白剤による無処理のエナメル質および象牙質への浸透(これにより、生活歯の髄腔に到達し、これによって、歯髄組織に損傷を与える);および結果として象牙質トレーおよび後の摂取から浸出する唾液による漂白組成物の希釈。
【0008】
あるいは、酸化組成物(一般的に比較的濃度の高い酸化剤を有するもの)があり、これは、歯科医師または歯科衛生士の指揮のもと、歯科医院において、患者の歯の表面に直接的に塗布される。理論的に、このような歯の白色化の戦略は、速い効果およびよりよい全体的な患者の満足を得られるという利点を有する。しかし、これらの中に、いわゆる「インオフィス(in−office)」と呼ばれる組成物を含む高い濃度の酸化剤のために、これらは、注意して取り扱わないと患者および開業医師も同様に危険となり得る。患者の軟部組織(歯肉、唇、その他の粘膜表面)は、第一に、活性化酸化剤への潜在的な曝露から、穿孔処理されたラバーシート(ラバーダムとして知られている)(これを通じて歯のみが突き出る)の使用により、隔離されなければならない。あるいは、軟部組織は、白色化プロセスに使用されるように、軟部組織を歯肉の輪郭と一致する形状にされた重合可能な組成物で覆うことにより、酸化剤から隔離され得、次いで高強度の光源に曝すことで治療される。いったん、軟部組織が、隔離されそして保護されると、開業医師は、酸化剤を直接、汚れた歯の表面上に特定の期間、または十分な歯の色の変化が起こるまで塗布する。熱による活性化を用いるか、または用いないで、インオフィスの歯の白色化剤の使用を通じて得られる典型的な結果は、約2〜約3シェードに及んだ(VITA(登録商標)Shade Guide、VITA(登録商標)Zahnfarbik、Bad Sackingen、Germanyにより測定した)。
【0009】
VITA(登録商標)Shade Guideでの歯の色調の範囲は、非常に明るい(B1)〜非常に暗い(C4)に変化する。16本全ての歯の色調は、これらの2つの端点の間に、輝度の規模において全範囲の色を構成する。歯を白色化する手順での患者の満足度は、達成された歯のシェードの変化の数と共に増加する。典型的に、ほぼ受け入れられる最小の変化量は、約4〜5VITA(登録商標)シェードである。
【0010】
この試みは、歯を白色化する目的のために熱および/または光を用いて、過酸化物を活性化するために成されてきた。米国特許第4,661,070号は、汚れた歯を白色化する方法を開示し、これは、髄腔内または変色した歯の表面上に過酸化水素の濃縮液を塗布し、続いて、変色した歯を紫外線および赤外線の両方から構成される最適なエネルギーに曝すことを含む。この特許によって開示される好ましい光の波長は、320〜420nmおよび700nm〜1200nm(可視スペクトルの光(500nm〜700nmの波長)は、抑えられる)である。この開示される方法は、2種類の欠点がある:(1)紫外線は、患者および医師も同様に危険であり得、そして(2)赤外線は、注意して取り扱わないと、不可逆性の歯髄炎を引き起こし得る。
【0011】
これらの欠点は、部分的に、米国特許第4,952,143号に示されており、これは、紫外光を透過し、そして温度調節機構を有する歯の漂白化装置を開示する。この特許はまた、450nm〜500nm、および650nm〜750nmの範囲の波長を有する可視光の使用を開示し、装置の照準および焦点を合わせるのを容易にする暗赤色/紫色のビームを発する。
【0012】
米国特許第5,032,178号は、「光学的エネルギー」(好ましくは、400nm〜700nmの可視スペクトル波長)への曝露を使用する歯の白色化効果を改良するための組成物および方法を開示する。この特許に開示される組成物は、(1)不活性なシリカゲル剤、(2)触媒促進剤(硫酸マグネシウム一水和物または硫酸鉄のどちらか)、(3)組成物にチキソ塑性(thixoplasticity)および肥厚化特性を提供するための試薬(例えば、セルロースエーテルおよびメチルビニルエーテル)および(4)歯の漂白処置の完了を示すための手段(与えられた期間にわたる過酸化水素の解離に応答して、1つの色から別の色に変換する酸化還元着色指示薬を含む)の使用を必要とする。その特許の明細書中に記載される組成物は、使用する前に均一に攪拌され、そして触媒を含む、必要とされる全ての成分は、この混合物全体にわたって等しく分散される。記載される組成物は、無機性のシリカ微粒子の高いレベルの存在のために、400nm〜700nmの範囲の光エネルギーに対して、高く透過しない。この特許に基づく市販の混合物(Shofu Dental Corporation,Menlo Park,CAから商品名Shofu Hi−Lite(登録商標)で利用可能)は、これらの調製物が可視光を透過せず、むしろ非常に不透明であることを確認する。このような組成物および方法を使用して得られた典型的な結果は、歯の着色において約2〜3のVITA(登録商標)シェードの改良であり、歯を漂白するプロセスにおいて光エネルギーを利用しない組成物で達成するものに類似している。
【0013】
米国特許第5,240,415号は、多成分キットを含む歯の漂白システムを開示し、ここで、上記のキットの必要とされる成分の1つは、ヒュームドシリカ(fumed silica)である。上記のようにシリカは、可視光のエネルギーに対して比較的不透明な水性組成物を与える。この場合もやはり、約2〜3のVITA(登録商標)シェードの歯の色調改良は、このタイプの組成物の使用を介して予期され得る。
【0014】
歯科医院の管理された環境のもと、歯を漂白するために利用可能なOpalescence Xtraと呼ばれる市販品は、最近、Ultradent Products,Inc
,South Jordan,UTにより導入されている。この製品は、米国特許第5,785,527号の開示に基づいていると考えられる。この市販品は、プラスチックシリンジの中に詰められ、そして約35%の過酸化水素水を含み光で活性化された歯の白色化ゲルとして、添付の文献に記載される。pHの滴定は、この製品が25℃で約4.0付近のpHを有することを示した。この製品をポリマーを用いて、疎水性のゲル様の粘性まで濃厚にする。さらに、販売され、そして米国特許第5,785,527号に開示されるような製品は、鮮やかなオレンジ色の色素または染料(カロテン)を含み、これは、おそらく「光増感剤」として役に立つ。この製造者また、光増感剤は、光エネルギーを吸収し、そしてそれを熱エネルギーに変換することができ、これにより歯の漂白剤としての過酸化物の活性を高めるということを主張する。上述の組成物中の光吸収剤の存在により、約400nm〜約700nmでの比較的な不透明性を与える。400nmと700nmとの間の光エネルギーにこの組成物を曝露することで、おそらく過酸化水素水の存在下での光漂白化効果のために、結果として徐々に薄れるオレンジ色になる。比較臨床の結果によると、約3〜4のVITA(登録商標)シェードの歯の色の変化を示し、これは、任意の特定の光または熱活性化措置よりもむしろ歯の表面での組成物との接触時間に高く依存する。さらに、低いpHの市販品は、ヒドロキシアパタイト結晶の溶解のために、歯のエナメル質での微少硬度における還元を引き起こし得る(これは、約5.5またはそれより低いpHで起こり得る)。
【0015】
光/熱で活性化する歯の白色化手順に使用するためのデバイスは、Union Broach,a Health\Chem Company,New York,NYから市販されているUnion Broach Illuminator Systemを含む。この装置は、製造者によって記載されるように、平均的な大人の口の前方に見出される全ての歯に直接的で、十分なスペクトル照射を提供する。しかし、この装置は、生歯の湾曲のために前上方および前下方の歯列弓部において16本の全ての中心の歯に均一的に照射しない。このことにより、潜在的に、一様でない結果を生じる。さらに、Union Broach装置は、患者にとって不快で、潜在的に歯に障害となる多量の熱を発生する。
【0016】
従って、上記の先行技術の限界を克服する、歯の白色化のための改良された組成物、方法、および装置の必要性が存在する。特に、歯を迅速におよび安全に、歯のエナメル質、象牙質、または髄を傷つけることなく白色化し得る、歯を白色化する組成物および方法の必要性が存在する。本明細書中に記載される本発明の組成物および方法は、これらおよびその他の必要性を満たす。
【0017】
本発明の目的は、光エネルギーの使用により活性化または高速化され得る、速くそして安全な歯の白色化組成物および方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、患者および歯科医師の両方に満足される、歯の白色化の所定のレベルを得るために、必要とされる処置時間を短縮化する歯の白色化組成物を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、歯の色素体が吸収する波長領域における光エネルギーに対して、比較的透過性である歯の白色化組成物を提供することであり、このことによって歯の白色化組成物との接触の間、光エネルギーを歯のエナメル質の表面に曝すことが可能となる。
【0020】
本発明のさらに別の目的は、歯を白色化するための組成物および方法を提供することであり、このことによって、歯の白色化の範囲が、除去される歯の汚れのタイプに加えて、歯の表面での化学線の曝露の持続時間、強度および波長によって制御され得る。
【発明の開示】
【0021】
(発明の要旨)
本発明は、歯を白くするための方法を包含し、ここで汚れた歯の表面を(i)光活性光に対して透過性である歯の白色化組成物および(ii)白色化組成物を通じて透過される光波長に応答する光反応剤に接触させ、この組成物および試薬と接触させた後、この歯を、生物学的に安全でかつ有効なレベルの光活性化光に曝し、これによって迅速な歯の白色化を行うため白色化組成物中の酸化化合物の能力を高める。
【0022】
本発明の範囲内で開示されおよび熟考されるものはまた、歯を白くするための方法であり、ここで汚れた歯の表面を、歯の汚れの色素体によって吸収される光の波長に対して透過性である酸化化合物に接触させ、そして次いで、この処置した歯を、生物学的に安全でかつ有効なレベルのこれと同じ光の波長に曝して、迅速な歯の白色化を行った。
【0023】
本発明の範囲内で開示されおよび熟考されるものはまた、歯を白くするための上記の組成物および化合物、ならびに装置であり、ここで、成人の上および下の両方の歯列弓部内の8本の最小限の中心の歯に、生物学的に安全でかつ有効なレベルの光学活性光を、同時におよび均一に照射して、迅速な歯の白色化を行った。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明は、光活性化された歯の白色化の手順で使用するために、成人の上および下の両方の歯列弓部における8本の中心歯に照射するための装置の図である。
【図2】図2は、光活性化された歯の白色化の手順で使用するために、成人の上および下の両方の歯列弓部における8本の中心歯に照射するための2つの装置の位置を例示する図である
【図3】図3は、比較するスペクトルのグラフである。
【図4A】図4Aは、光減衰のスペクトル曲線である。
【図4B】図4Bは、光減衰のスペクトル曲線である。
【図4C】図4Cは、光減衰のスペクトル曲線である。
【図4D】図4Dは、光減衰のスペクトル曲線である。
【図4E】図4Eは、光減衰のスペクトル曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
このセクションは、主題発明の好ましい実施態様を詳述する。これらの実施態様は、本発明を例示するために記述されるが、限定するものとして構成されるべきではない。本開示は当業者に向けたものであり、歯の白色化組成物の製造またはこれらの使用、あるいはこのような組成物を使用するための装置の入門書ではないので、当業者に公知である基礎的な概念および標準的な特徴は、詳細には記載しない。適切な構成物質または構成要素を選択するような概念の詳細(操作条件または製造技術など)は、当業者に公知であり、既に確立されている。本発明の実施に必要とされ得るこれらおよび他の概念に関する詳細に対して、注目が、当業者に公知の適切な教科書および参考文献に向けられ;例えば、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,第4版、第4巻(1992)、第13巻(1995)、第18巻(1996)、John WileyおよびSons,NY;GoldsteinおよびGarber、Complete Dental Bleaching、Quintessence Publishing Co.1995;および前述したJournal of the American Dental Association、第128巻、特別増刊号、1997年4月、本明細書により本発明の実施をする目的のために、本開示の中で参考として援用される開示を参照のこと。本明細書に記載される本発明の組成物および方法の開発は、白色化するために歯の表面上に直接配置される酸化化合物を介して、化学線を侵入させること
によって、極端に早い歯の白色化が生じるという予想外の発見の結果である。本発明は、全ての先行技術の組成物と対照をなし、この組成物は、酸化化合物に直接的におよび酸化化合物の全体にわたって均一に分散された光(または熱)吸収添加剤を含む。他方で、本発明の組成物により、化学線を、光を吸収するように特別に設計された先行技術の組成物よりもより高い出力密度で、汚れた歯の表面に達させることを可能にする。従って、化学線は、先行技術の組成物および方法に比べてより効率的に利用され、ここで、この組成物は、光のほとんどの波長に対して不透明であり、かつ化学線によって直接活性化される。最大の酸化活性は、歯の表面でのエナメル質および象牙質のわずかなミリメートルしか必要としないので、本発明の組成物および方法は、低いレベルの活性酸化剤を用いる多くの場合において、歯の汚れを除去するのにより効率的であり、これにより結果的に、口腔で使用するための安全な組成物となる。
【0026】
本開示の目的のために、化学線という用語は、外因性の光感作剤または内因性の歯の色素体のどちらかにより吸収され得る光エネルギーを意味する。本開示の目的のためにまた、光感作化学線は、特定の感作剤によって吸収された光を意味し、ここで、色素感作化学線は、1以上の歯の色素体によって吸収される光を意味する。用語「化学線」および「光活性化光」は、交換可能で言及される。
【0027】
本開示の目的のためにまた、用語「透明」は、特定の波長または波長範囲内において70%より大きい光透過率を有することを意味する。さらに、全ての組成物成分の割合は、もし他に言及がなければ、重量によるものである。
【0028】
本発明である歯の漂白組成物の種々の型の適用は、効果的であるが、後天性薄膜、エナメル質および象牙質(多くの歯の汚れに主に関連する3つの歯の構造)内で、光感作剤の蓄積および濃縮を可能とする方法が、最も好ましい。このことは、汚れた歯の表面を酸化化合物と接触させる前に、同じく汚れた歯の表面を光感作剤に接触させることで最もよく達成される。このような方法で、光感作剤は、歯の構造へ浸透し得、従って、酸化組成物と接触する前におよび化学線源に曝す前に、歯の色素体(単数または複数)の部分に存在する。
【0029】
所望の歯白色化効果を達成するのに有用な光増感剤は、口腔内で使用するために安全な限度で処方される生物学的に受容可能な波長で光エネルギーを吸収し得る任意の化合物を含む。一般に、このような波長は約350ナノメートル(nm)から約700nmまでであり、UVAスペクトル(300から400nm)の一部およびほとんどの可視スペクトル(400から700nm)を包含する。光エネルギーを熱または化学エネルギーのいずれかに変換し得る化合物の例には、半導体粒子(特に、ナノメートルスケールの二酸化チタンおよび酸化亜鉛)、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ジケトン(例えばカンファーキノンおよびベンジル)、金属−配位子錯体(例えばシュウ酸カリウム鉄、グルコン酸マンガンおよび様々な金属−ビスフォスフォネート(bisphosphonate)キレート、フタロシアニン−金属錯体などが挙げられる。好適な光増感性組成物の具体的な例は、5と20ナノメートルの間の粒子サイズを有する酸化亜鉛の水性分散物である。約350nmから約700nmまでの範囲の波長の光のフォトンを吸収し得、そしてその後その光のフォトン内のエネルギーを有用な酸化のエネルギーに、単独でまたは補助酸化剤の存在下のいずれかで変換し得る任意の分子は、本発明の実施において有用性を有すると考えられる。
【0030】
本発明の増感剤がエナメル質および象牙質のより深い構造に効果的に浸透するのを可能にするための、分子のサイズ、電荷、pHおよび疎水性/親水性であることが好ましい。増感剤が容易に歯構造に浸透すればするほど、適切な波長とエネルギーの化学線にこの増感剤を曝露すると、このエネルギーは、色素体自体の部位において、または色素体自体に近
接して酸化活性に変換される。増感剤は、歯構造へのより深い浸透を防ぎまたは制限する分子のサイズ、正味電荷、pHおよび/または疎水性/親水性を有し、本発明の実施において有用であるが、外側歯表面(外因性の汚れ)に位置する色素体の除去および/または破壊に制限され得る。
【0031】
特に好ましい光増感剤は、約350nmから約700nmの範囲の光を吸収する水溶性金属−配位子錯体の一般的なクラスに属する。本開示の目的のために、用語「配位子(ligand)」は、水溶液中の金属イオンと錯体化または金属イオンと会合し得る有機分子を意味し、それによって金属イオンの反応性、溶解性、または他の物理的特性は変化する。このような金属−配位子錯体はまた金属配位錯体として公知である。好適な金属イオンとしては、鉄、マンガン、銅、および他の遷移金属イオンが挙げられる。種々の原子価状態が使用され得、または同時に存在し得る。この金属イオンは、唾液、プラークまたは歯表面上の獲得被膜の中に存在し得る。金属イオンはまた、酸化物の形成を通じて特定のタイプの歯の汚れに寄与し得る。好適な金属イオン配位子には、水溶液中の上記の金属イオンと会合し得るキレート剤を含み、約350と700nmの間の光を吸収する水溶性金属キレート錯体が得られる。例示的には、しかし決して限定することにはならないが、金属配位錯体の例は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DETPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)ならびにソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトールおよびEP第443,651号により詳細に記載される他の非カルボン酸ポリヒドロキシ化合物などのポリオールなどのキレート化剤との、鉄、マンガンおよび銅の会合によって形成される。金属イオンを有する光吸収配位錯体を形成し得る任意の有機多座配位キレート化剤は、汚れた歯を白色化させるための本発明の組成物および方法において有用性を有すると考えられ得る。
【0032】
多くの本発明の金属−配位子錯体は、pH依存である吸収スペクトルを有し、一般的には、そのような錯体は、約4.0よりも大きいpHにおいて350と700nmとの間で大きな程度の吸収を示し、この範囲における光吸収は増加するpHに伴って増加する。例えば、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸および第一鉄イオンにより形成された水性錯体は、pH3.0において可視光に対して実質的に透明であるが、しかしpHが7.0にあがるとき350と500nmとの間のスペクトル領域において強く吸収する。
【0033】
ある場合においては、光増感剤先駆体は、酸化組成物の中に直接に含まれ得、ここで400nmから700nmまでのスペクトルの可視領域において光を容易に吸収しない。しかし、歯表面に接触する際(酸化組成物とともにそこに配置されると)、光増感剤前駆体は、例えば、唾液中に存在するか、またはエナメルもしくは象牙質の間質液の中に見られる鉄などの金属イオンと組み合わさり得、インサイチュにて、化学線の照射に曝露すると酸化組成物を活性化させ得る活性光増感剤の形成という結果となる。明らかに、高度に酸化的環境において安定である化合物のみが酸化組成物において直接的に包含するのに好適である。このような化合物の一例は、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(Dequest2010という商品名で市販で入手可能であり、Monsanto Corporation,St.Louis,MOによって60%活性溶液として販売されている)である。
【0034】
ある金属キレートが光増感剤として作用する能力は、様々な研究者による文献において注目されている。例えば、Van der Zeeら(Free Radical Biology & Medicine 14巻105−113頁、1993中の”Hydroxyl Radical Generation by a Light−Dependent Fe
nton Reaction”)は、キレート化剤および過酸化水素の存在下で、Fe(III)のFe(II)への光介在転換を記載している。Fe(II)を得るための300ナノメートルでの光によるFe(III)キレートの還元が、研究される特定のキレート化化合物に依存して、約40%から約80%までの範囲にわたるFe(II)への転換で、約30分の時間以上において着実に進行することが示された。このように形成されたFe(II)が、フェントン(Fenton)型の過酸化水素の分解を開始させ、スピン−トラップされ電子スピン共鳴(ESR)により検出されるヒドロキシルラジカルを生成する。この著者らによっては、この光化学反応が、ヒトの歯に見られるような発色団の酸化における有用性を有することは教示も示唆もされていない。
【0035】
有用な酸化化合物には液体およびゲルが含まれ、好ましくは当業者に公知である過酸化物または過酸が含まれる。このような酸化化合物には、過酸化水素、カルバミド過酸化物、アルカリ金属過酸化物、アルカリ金属過炭酸塩およびアルカリ金属過ホウ酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。しばしば例えば、歯白色化組成物中に過酢酸(例えばテトラサイクリンによって引き起こされる非常に難治療性の歯の汚れを除去しようと企図するとき)などの過酸化合物を利用することが所望され得る。この過酸は(約350と700ナノメートルの間の光エネルギーへの透明性が維持されると仮定して)酸化組成物中に直接に含まれ得る。あるいは、この過酸は、歯表面に塗布する前に、2つ以上の個別のフェーズ(そのうちの1つには、グリセリルトリアセテートなどの過酸前駆体が含まれ、そして第2は、上記の酸化化合物のうちの1つを含むものである。)を組み合わせることにより形成され得る。好ましくは、この過酸は、酸化化合物の塗布の前に過酸前駆体を歯表面に接触させることにより、インサイチュにて形成されるが、この過酸前駆体は、このように最も白色化過程で有益な、汚れた歯構造の上または内部のみで形成される。好適な過酸前駆体には、限定されないが、グリセリルトリアセテート、アセチル化アミノ酸、アセチルサリチル酸およびN,N,N’,N’−テトラアセチルエチレンジアミン、ビニルアセテートポリマーおよびコポリマー、アセチルコリンおよび他の生物的受容可能アセチル化化合物が挙げられる。
【0036】
酸化化合物は歯表面において光増感剤を活性化させ得る光の波長に透明である液体、ゲルまたは固体組成物であり、光エネルギーは、そうでなければ化学線源と歯エナメル表面の光増感剤との間の酸化化合物のフィルムまたは層によって弱められる。歯エナメル表面が歯変色の場所であるので、歯白色化の最も効果的な方法は、ほとんどまたは全ての光エネルギーが歯エナメル表面の光増感剤に達するときである。380と500nmとの間の光エネルギーに透明な好適な組成物の例は、約7.0のpHであって、中和されたカルボキシポリメチレンを有して約100,000cpsまで厚みを有する、6%過酸化水素ゲルである。
【0037】
光増感化学線に透明な酸化組成物を利用する、他の予期しない恩恵は、ある一定の光の波長が、歯色素体によってその酸化を非発色状態に促進する態様で、吸収されることである。反射率の研究は、象牙質およびエナメルは緑色光を透過し、黄色/赤色光を反射しそして青色光を吸収することを示している。どのような特定の理論にも束縛されるつもりはないが、光は歯変色に寄与する分子により吸収され、それゆえ、歯色素体は、光増感剤の分子に類似した態様で作用し得る。特に、ある一定の波長への曝露は、カルボニル(C=O)、二重結合(C=C)および共役二重結合(C=C−C=C)部分のπ電子のエネルギー状態レベルを上げ得、ペルヒドロキシルアニオン(HOO−)、過酸アニオン(RCOOO−)およびヒドロキシルラジカル(HO*)およびペルヒドロキシルラジカル(HOO*)などのラジカル種などの活性酸化種による攻撃により感受的にさせる。
色素生産性物質を崩壊または可溶化させるためには、上記光吸収部分のうちの1つと活性酸化種との間の反応の活性化エネルギーが凌駕されなければならず、従って、光補助色素体攻撃は、光吸収分子の中で特定の化学結合における電子のエネルギー状態をノーマルπ
結合軌道からπ反結合軌道に上昇させることにより、歯変色の出現に寄与する分子部分をより効果的に崩壊させる。安定ではないπ反結合軌道においては、一方で光吸収二重結合は相当単結合特性を有し、過酸化物および過酸などの酸化剤により非常に容易に攻撃される。理論的には、特定エネルギーおよび波長の化学線光は、単に上記プロセスを通じ、歯色素体に接触する所定の酸化組成物の効力を向上させるために歯色素体分子を光増感剤として利用し得る。
【0038】
本発明の特定の実施形態に従った光活性歯白色化方法は、歯エナメル表面を光増感剤に接触させ、次いで光増感剤処置された歯表面を酸化化合物に接触させ、そしてその後、歯表面を光増感剤を活性化させ得る光エネルギーに曝露させ、次いでこの光増感剤が歯エナメル表面において酸化化合物を活性させる工程を含む。
【0039】
他の、光により活性化される歯白色化方法は、本発明の他の実施形態に従えば、歯エナメル表面を光増感剤前駆体を含有する酸化化合物に接触させ、それによりこの前駆体が見られて、歯表面と接触した後のみに、350から700nmの範囲の化学線を吸収する工程を含む。一旦、光増感剤前駆体が光吸収性になると、歯表面は現状吸収性の光増感剤を活性化させ得る光エネルギーに曝露される。次いでこの吸収性の光増感剤は、歯表面において歯を白色化させるため酸化化合物を活性化させる。
【0040】
本発明の別の実施形態に従った更なる光活性化歯白色化方法は、歯エナメル表面を酸化化合物に接触させそしてその後、この歯エナメル表面を歯色素体分子の吸収波長に対応する化学線に曝露させる工程を含む。この形態における光の好ましい波長は、約350と約700ナノメートルとの間の波長を含み、より好ましい実施形態は約380と約550ナノメートルとの間の波長を含み、最も好ましい波長は、約400と約505ナノメートルとの間である。上記したようにすべての方法において、酸化組成物は、波長−特定光エネルギーを歯表面およびその下にある構造に到達させるために利用される化学線に対して透明でなければならない。
【0041】
本発明の他の実施形態に従った、さらに他の光活性歯白色化方法は、歯エナメル表面を過酸前駆体に、この歯エナメル表面を酸化化合物に接触させる前に接触させ、そして次いで上記したように化学線に曝露させる工程を包含する。この過酸前駆体は、歯表面上に、光増感剤とともにまたは光増感剤とはべつに配置され得る。
【0042】
汚れた歯は、例えば、光ファイバ光ガイドの手段によって光を単一の歯表面に方向づけることにより、個別に処置され得る。この態様においては、いくつかの汚れた歯は順に光に曝露され、歯科医師または衛生士はこの光ガイドをこの手順の間歯から歯へ動かす。このプロセスは歯科医師または衛生士にとって労力集中的、時間消費的の両方であり、その上患者にとっては退屈である。あるいは、全ての汚れた歯は、ほぼ歯列弓状に形成した光源からの直接照射かまたは、前歯を同時に照射し得る光ガイドまたはデバイスからの間接照射のいずれかにより同時に光に曝露され得る。
【0043】
上部および下部歯列弓における少なくとも8つの中央の歯の同時で均一の照射のための1つのデバイスが図1に示される。この好ましい実施形態は3つのリニア光出力11、12および13を有し、これらの出力は3つの前(患者から向って)表面1、2、3上に正確に配置される。より好ましい6バー実施形態においては、図2に示すように、2つの3バーデバイスが一方の上に他方が重ねられ患者が向う前面上に6つの光出力が得られる。
【0044】
図1および2がそれぞれ、3出力および6出力を有する実施形態を例示するが、このデバイスが1つから極めて多数の出力に至るまで任意の数の出力または放射体を有し得ることが考えられる。個別のファイバまたはファイバ束からなる各出力は、最終的には光源に接
続される。このデバイスに対して3または6出力を有する実施形態が現状好まれるが、これはこれらの数の出力が、過剰の製造問題やコストなしに、8以上の中央の歯のかなり均一な照射を達成するからである。6以上の出力は当然実施可能であり、実際照射の均一性の点から有利であり得る。
【0045】
このデバイスの前面は、各光出力からの組み合わせたビームが、少なくとも上部歯列弓および下部歯列弓の両方における8つの中央歯または、各半弓における切歯から第一小臼歯までの領域、(合計面積は平均的男性で約10.4cm2である)を照射するために収束するような出力形状を与えるために配置される。図1においては形態をリニアに描写しているが、これらの出力は例えば、円形、三角形状または直線状など、どのような形状でもあり得る。リニア形状が好ましい。好ましい実施形態は6つのリニア出力を有するが、各出力は幅に対する長さの比が約16±20%−−つまり12.8から19.2の比である。最も好ましい実施形態においては、8つの上部および下部中央歯上に、出力から放射された80%の光が、頂部歯のエナメルの頂部から底部歯のエナメルの底部までのおよその距離である、約0.9と約1.5インチとの間の領域内にある。各光出力は、好ましくは、2つのグラスファイバまたはプラスチックファイバ光束により遠位光源に接続され、このファイバ束は遠位光源において始まり、デバイスにソケット20を通じて入り、そして三叉になったリニア出力ウィンドウにおいて終端する。ファイバ伝送における不均一性は、ファイバの破れが無ければ一般的には小さいことがわかる。各出力または放射体の表面における点から点への光出力の変化は±約10%以下であるべきである。
【0046】
汚れた歯の照射が個別実施されるかまたは全体として実施されるかいずれであろうと、直接または間接源から生じる光は、連続的(全手順において「on」)、断続的に連続(短い休止中断を有して主に「on」)、パルス的に(所定の時間的手順および強度において「on」および「off」)または、連続、断続的連続およびパルスの組み合わせであり得る。好ましい実施形態においては、約10から約200ミリワット/cm2の光が歯の前面に連続して約10から約90分の合計時間の間、適用される。より好ましい実施形態においては、約100から約160ミリワット/cm2の光が、連続して、または短い中断を有して連続して、歯の前面に約10分から約30分の時間の間、その後に約1から約10分の中断つまり「off」が続くこのサイクルが約40−60分の合計時間繰り返されて、適用される。本発明の1つの想定する実施形態において、反射率に基いたフィードバック機構が使用され、漂白効率をモニターし、適用される化学線の合計量を調節する。本発明の全ての実施形態において光源の位置は、距離とともに出力密度が減少するので、歯に適用されるエネルギー密度に影響する。この光源の好ましい配置は、このデバイスの正確性により変化する。上述のデバイスのためには、このデバイスの配置のための好ましい距離は、(光源の中央から中央歯まで測定したとき)歯の表面のすぐ前から歯の表面の約2.0”前までであり、約1.75”の距離が最も好ましい。
【0047】
化学線の多数の異なる光源が、本発明の実施において有用性を有することが示された。本発明の光増感剤を活性化させるかまたは、そうでなければ歯色素体のエネルギー状態を上昇させるためのいずれかに必要な範囲の波長における化学線照射の放出を可能にする任意の光源が、一般的に、本発明の実施において有用性を有すると考えられる。生物学的に安全でかつ効果的である化学線を放射し得る光源が特に好まれる。特に制限された量の赤外光(700nm以上)を放射する光源が好ましい。赤外光は、より容易に歯構造に浸透し、歯髄組織の過剰な温度上昇を発生させ得る。光源は(フィルターと組み合わせて)、本発明の光増感剤を活性化および/または歯汚れ色素体を活性化させるために必要な波長のみを放出し、本発明の組成物とともに歯を白色化するプロセスにおいて使用されることが好ましい。一般的には、相当な時間の5.5℃より大きい歯髄温度上昇は、歯構造を不可逆的に損傷し得ることが認められている。
【0048】
より特定的には、約350ナノメートルから約700ナノメートルまでの範囲の波長における化学線を放出する光源が特に好ましく、本明細書に記載した光増感剤および歯汚れに寄与する歯色素体分子の両方が、主にこの波長のスペクトル領域において吸収する、という点で好ましい。約400から約505ナノメートルまでの範囲の波長において化学線を放出する光源が最も好ましい。出力均一性は、グラスファイバまたはプラスチックファイバを通じて、患者の歯の前に配置され得る光出力まで一旦伝送されたビームの領域にわたって、約+/−10%であるべきである。このようなファイバの入力上および長さ寸法の制限はないものの、直径において約10ミリメートルおよび長さにおいて3メートルのものが好ましい。このようなエネルギーは、約+/−10%以下の変化を有した好ましい波長にフィルターされた連続的電磁スペクトルを発生する源によって、または発光線スペクトルを発生する源によってまたは、両者の組み合わせによって、供給され得る。好適な範囲の波長において化学線を発生する好適なランプには、とりわけ、リニアフラッシュランプ、タングステンハロゲン、ハロゲン化金属、キセノン短アーク、水銀短アーク、水銀キセノン短アーク、アルゴンプラズマアークおよびアルゴン短アークランプが挙げられる。約400と505ナノメートルの間までの2色性(dichroic)フィルタを通じた、2つのMejiro BMH 250ワットハロゲン化金属ランプの出力はこれらの基準を満足する。
【実施例】
【0049】
次の実施例は、本発明の好ましい実施形態を述べる。これらの実施形態は、単に例示的なものであり、クレームされた本発明をいかようにも限定するものと意図するものではなく、そのように理解されるべきではない。
【0050】
[実施例I]
本発明の組成物が歯の汚れを排除する能力を決定するために、汚れたウシのエナメル質において、予備的なインビトロ研究を実施した。歯のエナメル質の、1辺が4mmの正方形を、ダイヤモンド切断ディスクを用いて、ウシの永久切歯から切出した。型を用いて、これらのエナメル質の正方形を透明なポリエステル鋳造樹脂(NATCOL Crafts Inc.,Redlands,CA)内に埋め込み、唇面を露出させて、1.5cm四方のブロックを提供した。このポリエステルブロックの頂面を、歯科用モデルトリマーによって、エナメル質の正方形の平坦な唇面と同一平面に研削した。その表面を次いで、400グリットのエメリーペーパー上での手による紙やすり仕上(水を潤滑剤として用いる)によって、平滑化し、最終的に全ての切削傷を除去した。最後に、これらのブロックの頂面を、綿布上のGK1072か焼カオリン(中央粒子サイズ=1.2ミクロン)の水スラリーを用いて手で研磨して、鏡面仕上げした。完成した標本を、解剖顕微鏡下で試験し、それらが表面不完全性を有する場合は、処分した。
【0051】
エナメル質上への人為的に汚した薄皮の形成の調製において、これらの標本を60秒間、0.2MのHCl内でエッチングし、次いで30秒間、炭酸ナトリウム飽和溶液に浸漬した。最後のエッチングを1%フィチン酸を用いて60秒間行い、次いでそれらの標本を脱イオン水ですすぎ、そして汚し装置(staining apparatus)に取り付けた。
【0052】
薄皮汚し装置は、標本の汚し用ブロスへの浸漬、および空気乾燥を交互に行うように、構成された。この装置はアルミニウムプラットフォームベースから構成され、このベースが、電気モーターに接続されたTeflonロッド(直径3/4インチ)を支持し、このモーターが、減速ボックスによって、ロッドを1.5rmpの定速で回転させた。ネジ山のあるネジ穴が、そのロッドの長さに沿って、一定の間隔で空けられた。歯の標本をそのロッドに取り付けるには、まずプラスチックネジの頭を標本の背面に接着させた。次いで、そのネジを、そのロッドのネジ穴にしっかり締めた。そのロッドの下には、取り外し可
能な、300ml容量のトラフがあり、これが薄皮、汚し用ブロスを保持する。
【0053】
1.02gのインスタントコーヒー、1.02gのインスタント紅茶、および0.75gの胃粘素(Nutritional Biochemicals Corp.,Cleveland OH 44128)を、250mlの滅菌したトリプチケース(trypticase)大豆ブロスに添加することによって、薄皮汚し用ブロスを調製した。約50mlの24時間Micrococcus luteus培養物もまた、この汚し用ブロスに添加した。この装置(エナメル質の標本が取り付けられており、汚し用ブロスがトラフに入っている)を、次いで、370℃のインキュベーター内に配置し、その標本を、その汚し用ブロスおよび空気を連続的に通して回転させた。汚し用ブロスを、連続した10日間について、24時間ごとに1回、交換した。各ブロスの交換と共に、トラフおよび標本をすすぎ、脱イオン水でブラッシュして、あらゆる緩い堆積物を除去した。11日目に、0.03gのFeCl3・6H2Oを添加することによって汚し用ブロスを改変し、そしてこれを、毎日のブロス交換と共に続け、最終的に、標本上の汚れた薄皮フィルムが十分に色濃くなった。次いで、これらの標本を汚し用ブロスから取り除き、脱イオン水で完全にブラッシュして、使用まで加湿装置内で冷蔵した。
【0054】
全可視スペクトルにわたる吸光度の測定を、CIELABカラースケール(Commission International de L’Eclairage,Recommendations on uniform color spaces,color difference equations,and psychometric color terms,CIE publication 15(E−13.1)1971(TC−1.3)の付録2,1978,Paris:Beaurea Central de la CIE,1978)を用いて得た。CIELABカラースケールは、色球(color sphere)の3つの軸(L、a、およびbと呼ばれる)で色を数値化する。「L」値は、0(黒)〜100(白)のスケールの、明るさおよび暗さに関する、色球内の軸である。「a」値は、黄〜青のスケール上の色に関する軸であり、球の中心に0の値があり、正の値が黄に向かい、そして負の値が青に向かう。「b」値は、赤〜緑のスケール上の色に関する軸であり、球の中心に0の値があり、正の値が赤に向かい、そして負の値が緑に向かう。
【0055】
汚したエナメル質の標本を、室温で少なくとも1時間、空気乾燥して、その後、吸光度測定を行った。測定は、汚したエナメル質の4mm四方のセグメントの中心を、Minolta分光計の3mmの開口部を直接覆うように整列させることにより、行った。L***の因子を用いた3つの吸光度の読みの平均を、各標本について得た。
【0056】
処置前(ベースライン)と、各色の因子(L*、a*、およびb*)についての処置後の読み取りとの間の差は、試験溶液には汚れた歯から色素体を排除する能力があることを示した。
【0057】
汚れた薄皮の全体の色の変化は、CIELAB等式を用いて算出した ΔE=[(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2
【0058】
「補正ΔE」値を算出するには、上の式から、あらゆる正のΔaまたはΔbの値の寄与を排除した(正のΔaおよびΔbの値は、ゼロからの対向する方向への歯の色の変化であり、従って、色を除去するよりはむしろ、色を追加すると解釈される)。
【0059】
以下の酸化組成物を調製した。この組成物は、約15重量%の過酸化水素および1重量%の光増感剤前駆体1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(Dequest2010,Monsanto Corp.,St.Louis,MO)を含有した。高度
に精製した水(18.2メガオーム、0.2ミクロンフィルターを通して濾過した)を、その組成物の貯蔵中の良好な安定性を維持するために、利用した。この組成物を、カルボキシポリメチレンポリマー(Carbopol974P、B.F.Goodrich Co.,Cleveland,OH)を用いて増粘し、色の薄い、非流動性のゲルの稠度とした。グリセリンを、湿潤剤および安定化剤(フリーラジカル捕捉剤として)として少量添加し、Carbopol974Pを水酸化アンモニウムでpH5.00まで中和して、結果として透明な揺変性のゲルを形成した。
【0060】
(成分) (百分率)
蒸留水 49.400
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.000
グリセリン99.7% 5.000
過酸化水素35% 42.900
Carbopol974P 1.700
水酸化アンモニウム29% pH5.5になるまで
(合計) 100.000。
【0061】
上記組成物を、プラスチック混合チャンバ内で、透明な溶液が得られるまで、Teflon被覆した混合パドルで撹拌しながら、蒸留水、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、およびグリセリンを合わせることによって、調製した。Carbopol974Pを次いで、その混合パドルによって生じた渦にゆっくりとふるいで入れ(sift)、ポリマーの均一なスラリーが得られるまで混合した。最後に、水酸化アンモニウムを、一定の、滴下様式で、約5分間にわたって添加し、最終的に、そのスラリーの増粘および清澄が起こった。pHプローブを周期的に挿入して、水酸化アンモニウムの添加を、ちょうど5.00のpHが得られるまで続けた。得られたゲルは、15重量%の過酸化水素を含有し、そして高度に透明で揺変性(非スランプ性)の性質を有した。
【0062】
汚した牛のエナメル質の各スラブを、上記実施例Iの組成物の1〜2mmのフィルムで、特定の期間、被覆し、そしていくつかの光源のうちの1つからの化学線に曝露した。以下の表1は、ゲル処理したエナメル質スラブを、アルゴンプラズマアーク(AR)またはタングステンハロゲン(TH)光源のいずれかに曝露することによって得られた、いくつかの比較の結果を示す。この特定のプロトコルは、光ファイバーの光ガイドを、光曝露の間、エナメル質の表面から5mmの位置に置くことを必要とした。各パルスのエネルギーを、各曝露レジメンの前に出力密度メーターで調節し、そして各レジメンの後に再び測定して、試験の持続時間にわたって光源の一定出力を実証した。これらの結果を以下の表1に列挙する。
【0063】
【表1】

*算出からの、正のΔaおよびΔbの値の排除。
【0064】
表1のデータは、以下のことを示す:(1)記載のインビトロモデルにおいては、上記本発明のゲル組成物と接触したウシのエナメル質スラブの、アルゴンプラズマアーク光源からのパルス化した化学線への曝露の結果、ゲルのみ(そして光源に曝露せず)、または光源への曝露のみ(ゲルなし)のいずれかにより処置されたスラブと比較して、歯の汚れが顕著に減少した。
(2)単一の汚れたウシのエナメル質スラブ(B35)の、ゲルによる6つの連続した処置(30分間にわたって)、および同時に、このスラブの、タングステンハロゲン光源からのパルス化した化学線への曝露(5分の曝露周期)の結果、試験の周期にわたって、歯の汚れの除去のレベルが上昇した。この結果、歯番号B311(これもまた本発明のゲル組成物に接触していたが、光源に曝露しなかった)において達成されたものよりずっと色
が薄かった。
【0065】
[実施例II]
様々な光および/または熱により活性化される歯白色化ゲルの光透過の比較研究を行った。スペクトルエネルギー曲線を、発光データ収集用の50ミクロンファイバーを備えるOcean Optics分光計を用いて、作成した。ガラス製の顕微鏡用スライドを通る光透過をコントロールとして使用し、その試験は、そのスライドを、各歯白色化ゲルの1〜2mm厚の層で被覆する工程、および、8mmガラス光ファイバー光ガイドに接続された金属ハロゲン化物光源によって照射する工程を包含した。この光は、505nmのショートパスフィルタ(505nm未満の波長のみが通過する)を通してフィルター化され、その後、光ガイドに入った。この分光計の光ファイバープローブを、スライドのゲルとは反対側に配置し、これによってスライド上のゲルを通過できた光の波長を検出した。図4A〜4Eのスペクトル曲線は明らかに、市販の全ての組成物により引き起こされた光減衰の度合を実証する:図4A−コントロール;図4B−本発明の実施例I;図4C−Shofu Hi−Lite;図4D−QuasarBrite;図4E−Opalescence Xtra。
【0066】
出力密度(mW/cm2で測定した)の減衰を、同じ4つの組成物について、決定した。これを行うために、各ゲルまたはペーストの1〜2mmの層をガラス製の顕微鏡用スライド上に再び配置し、そのスライド/ゲルアセンブリを、光源と、出力密度メーターの検出ウェルとの間の光路に配置した。その検出ウェルの深さおよび形状のために、このスライドは検出表面と直接接触するよりはむしろ、実際の検出表面の7mm上にあった。出力密度を、60分間の光曝露の最初(B)および最後(E)に記録した。光路内にスライドまたはゲルがないときの出力密度を、175mW/cm2に調節した。これらの結果を以下の表2に示す。
【0067】
【表2】

[実施例3]
別の透明な過酸化水素ゲルを調製した。このゲルの酸化剤の濃度はより低かったが(3重量%のH22)、pHは7であり、そして粘度はより高かった(約1,000,000cps)。以下のゲルを本発明の実施例Iの手順に従って調製した。ただし、Kynarを被覆したRoss Double Planetary真空混合器(Charles Ross & Sons,Haupaugge,NY)を用いて、水酸化アンモニウムによる中和の間およびその後に達成される、より高い粘度を制御した。スズ酸ナトリウムを、過酸化水素に対するさらなる安定化剤として添加した。
【0068】
(成分) (百分率)
蒸留水 81.010
グリセリン99.7% 5.000
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 0.400
スズ酸ナトリウム 0.015
過酸化水素35% 8.570
Carbopol974P 5.000
水酸化アンモニウム29% pH7.0になるまで
【0069】
3%過酸化水素ゲルの、380ナノメートルと700ナノメートルとの間の波長の可視光を透過する能力を、以下の表3に示す。
【0070】
【表3】

*算出からの、正のΔaおよびΔbの値の排除。
【0071】
[実施例IV]
抜いたヒトの歯(HE)の、虫歯がなく、アマルガムまたは樹脂をベースとした修復材料のないものを利用して、本発明の組成物がヒトのエナメル質および象牙質から汚れを排除する能力を試験した。これらの歯を、酸化ゲルの1〜2mm厚のフィルムで被覆し、以下の表IVに示すレジメンに従って照射した。得られた歯の色の変化(Δ色調)を、もとのベースラインVITA(登録商標)シェード値と最終のVITA(登録商標)シェード値との間のVITA(登録商標)シェード差の数として、記録した。
【0072】
【表4】

[実施例V]
抜いたヒトの歯を以下のように、ゲルの1〜2mm厚のフィルムをエナメル質の表面に塗布して、この同じ表面を、505nmのショートパス内部フィルターを有する金属ハロゲン化物光源からの様々な出力密度に曝露することによって、白色化した。2種類のコントロール(1つは、ゲル曝露のみ(光なし)であり、他方は光曝露のみ(ゲルなし)であった)に対する比較を行った。曝露のレジメンは、ゲルの塗布(光のみ/ゲルなしの場合を除く)、次いで20分間の連続した光曝露からなり、3回繰り返した(3×20分間)。
【0073】
【表5】

[実施例VI]
協力的で、知識のある患者の、エンド歯(endo−tooth)の歯髄チャンバに、熱プローブおよび熱伝導性ペーストを用いて、ワイヤを接続した。歯髄の温度を実際の白色化手順(このとき、現在入手可能なUnion Broach Illuminator、および、本応用に記載の装置を使用して照明が供給され、最も好ましい400〜505nmの波長において使用された)の間、測定した。歯の表面におけるエネルギー密度の測定は、各装置について同等のエネルギー密度を示した(それぞれ、Union Broach Illuminatorについては230ミリワット/cm2、そして本応用に記載の装置については200ミリワット/cm2)。これらの結果を以下の表6に示す。
【0074】
約400〜505ナノメートルの好ましい波長範囲で、本願明細書に記載の装置を用いた照明は、歯髄チャンバの温度を上昇させたが、この上昇はUnion Broachデバイスによるものよりは小さかった。この実験において、温度は20分までに最大まで上昇し、その後、安定であった。Union Broachデバイスにおいて見られた温度上昇とは対照的に、本願明細書に記載の装置を用いると、いずれの時点においても、温度上昇は5.5℃より高くなかった。5.5℃より高い温度上昇が顕著な時間にわたって維持されると、結果として歯髄炎が熱により誘発され得る。見られた温度変化は、生活歯において見られるものより大きいらしい。なぜなら、エンド歯には、さらなる冷却を提供する血液の供給がないからである。
【0075】
【表6】

本願を読むと、様々な代替の構成および実施態様が当業者に明らかとなる。これらの変更は、本発明の範囲および精神の範囲内であると考慮されるべきである。本発明は、上記の特許請求の範囲およびこれらの均等物によって、限定されるのみであるべきである。
(付記1)歯白色化組成物であって: キャリア化合物である、透明な第一成分;および 酸化化合物である、透明な第二成分であって、汚れた歯に塗布されて化学線に曝露されると、活性化して歯白色化を促進する、第二成分、を含有する、歯白色化組成物。
(付記2)光活性剤である、第三成分をさらに含有し、該第三成分が、化学線に曝露されると、前記第二成分の活性化を増強して歯白色化を促進する、付記1に記載の歯白色化
組成物。
(付記3)前記第一成分がカルボキシポリメチレンのゲルである、付記1に記載の組成物。
(付記4)前記第二成分が、過酸化物または過酸のいずれかを含有する、付記1に記載の組成物。
(付記5)前記過酸化物が、過酸化水素、カルバミド過酸化物、アルカリ金属過酸化物、アルカリ金属過炭酸塩、およびアルカリ金属過ホウ酸塩からなる群から選択される、付記4に記載の組成物。
(付記6)前記過酸の前駆体が、グリセラール三酢酸、アセチル化アミノ酸、アセチルサリチル酸、およびテトラアセチルエチルジアミンからなる群から選択される、付記4に記載の組成物。
(付記7)前記第一および第二の成分が、光に曝露すると、付与されたエネルギーの約70%を透過する、付記1に記載の組成物。
(付記8)前記第一および第二の成分が、約350ナノメートル〜約700ナノメートルの波長範囲を有する光を実質的に吸収しない、付記1に記載の組成物。
(付記9)前記第一および第二の成分が、約380ナノメートル〜約500ナノメートルの波長範囲を有する光を実質的に吸収しない、付記8に記載の組成物。
(付記10)前記光活性成分が、約350ナノメートルから約700ナノメートルの波長範囲を有する光を吸収して、そのエネルギーを熱エネルギーまたは化学的エネルギーに換する、付記2に記載の組成物。
(付記11)前記光活性成分が、約380ナノメートル〜約500ナノメートルの波長範囲を有する光を吸収する、付記10に記載の組成物。
(付記12)前記光活性成分が、エナメル質および象牙質の構造体への効果的な浸透を許容する分子サイズ、pH、および表面電荷を有する、付記2に記載の組成物。
(付記13)前記光活性成分が、半導体粒子、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ジケトン、金属−配位子錯体、およびフタロシアニン−金属錯体からなる群から選択される、付記2に記載の組成物。
(付記14)前記半導体粒子が、ナノメートルサイズのチタンまたは亜鉛の酸化物である、付記13に記載の組成物。
(付記15)光により活性化される歯白色化の方法であって: 1本以上の歯に歯白色化組成物を塗布する工程であって、該組成物は、透明なキャリア化合物および透明な酸化化合物を含有し、該酸化化合物は、汚れた歯の表面に接触し、化学線に曝露されると、活性化されて歯の白色化を促進する、工程;および 該組成物を化学線に曝露する工程であって、これによって該酸化化合物を活性化する、工程、を包含する、方法。
(付記16)光により活性化される、歯白色化方法であって: 1本以上の歯に光増感剤を塗布する工程であって、該試剤は、歯の表面と接触しているときに、化学放射線を吸収する、工程;
該光増感剤の上に、歯白色化組成物を塗布する工程であって、該組成物は、透明なキャリア化合物および透明な酸化化合物を含有し、歯白色化を促進し得る、工程;および該光増感剤および該歯白色化組成物を化学線に曝露する工程であって、これによって該酸化化合物を活性化する、工程、を包含する、方法。
(付記17)前記光源が、約350ナノメートル〜約700ナノメートルの範囲を有する光を発する、付記15に記載の方法。
(付記18)前記光源が、約380ナノメートル〜約500ナノメートルの範囲を有する光を発する、付記17に記載の方法。
(付記19)前記光増感剤が、約350ナノメートル〜約700ナノメートルの波長範囲を有する光を吸収し、そしてそのエネルギーを熱エネルギーまたは化学的エネルギーに変化する、付記16に記載の方法。
(付記20)前記光増感剤が、約380ナノメートル〜約500ナノメートルの波長範囲を有する光を吸収する、付記19に記載の方法。
(付記21)前記光増感剤が、エナメル質および象牙質の構造体に効果的に浸透することを許容する分子サイズ、pH、および表面電荷を有する、付記16に記載の方法。
(付記22)前記光増感剤が、ナノメートルサイズの半導体粒子、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ジケトン、金属−配位子錯体、およびフタロシアニン(phthalocyancin)−金属錯体からなる群から選択される、付記16に記載の方法。
(付記23)前記光源が、約350ナノメートル〜約700ナノメートルの範囲を有する光を発する、付記16に記載の方法。
(付記24)前記光源が、約380ナノメートル〜約500ナノメートルの範囲を有する光を発する、付記23に記載の方法。
(付記25)歯白色化デバイスであって:光源;少なくとも1つの光学出力;プロジェクション手段であって、前記光学出力によって、患者の前歯をほぼ同時かつ均一に照射する様式で、該光学出力を患者の口の外側に保持し、位置決めするための、プロジェクション手段;および 該光源を該光学出力に接続するための、接続手段、を備える、歯白色化デバイス。
(付記26)3つの光学出力を有する、付記25に記載の歯白色化デバイス。
(付記27)6つの光学出力を有する、付記25に記載の歯白色化デバイス。
(付記28)前記プロジェクション手段が、ほぼ凸状アーチの形状を有する、付記25に記載の歯白色化デバイス。
(付記29)前記光源を前記光学出力に接続するための手段が、少なくとも1つの光ファイバー束である、付記25に記載の歯白色化デバイス。
(付記30)前記光源を前記光学出力に接続する手段が、少なくとも2つの光ファイバー束である、付記25に記載の歯白色化デバイス。
(付記31)前記光ファイバー束が、ガラスまたはプラスチックである、付記29に記載の歯白色化デバイス。
(付記32)前記光学出力が、円形、三角形、および直線状からなる群から選択される形状を有する、付記25に記載の歯白色化デバイス。
(付記33)前記光学出力が直線状の形状である、付記25に記載の歯白色化デバイス。
(付記34)歯白色化の方法であって:歯白色化組成物を患者の歯に塗布する工程;および前記組成物を、付記25に記載のデバイスから投影される光に曝露する工程、を包含する、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯白色化組成物であって:
キャリア化合物である、透明な第一成分;
酸化化合物である、透明な第二成分であって、汚れた歯に塗布されて化学線に曝露されると、活性化して歯白色化を促進する、第二成分;および
ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ジケトン、金属−配位子錯体、およびフタロシアニン−金属錯体からなる群から選択される光増感剤である、第三成分
を含有する、歯白色化組成物。
【請求項2】
歯白色化組成物であって:
キャリア化合物である、透明な第一成分;
酸化化合物である、透明な第二成分であって、汚れた歯に塗布されて化学線に曝露され
ると、活性化して歯白色化を促進する、第二成分;および
ナノメートルサイズのチタンの酸化物、もしくは、亜鉛の酸化物を含む光増感剤である、第三成分;
を含有する、歯白色化組成物。
【請求項3】
前記第三成分が、化学線に曝露されると、前記第二成分の活性化を増強して歯白色化を促進する、請求項1もしくは2に記載の歯白色化組成物。
【請求項4】
前記第一成分がカルボキシポリメチレンのゲルである、請求項1もしくは2に記載の組成物。
【請求項5】
前記第二成分が、過酸化物または過酸のいずれかを含有する、請求項1もしくは2に記載の組成物。
【請求項6】
前記過酸化物が、過酸化水素、カルバミド過酸化物、アルカリ金属過酸化物、アルカリ金属過炭酸塩、およびアルカリ金属過ホウ酸塩からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記過酸の前駆体が、グリセラール三酢酸、アセチル化アミノ酸、アセチルサリチル酸、およびテトラアセチルエチルジアミンからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記第一および第二の成分が、光に曝露すると、付与されたエネルギーの70%を透過する、請求項1もしくは2に記載の組成物。
【請求項9】
前記第一および第二の成分が、350ナノメートル〜700ナノメートルの波長範囲を有する光に対して透明な、請求項1もしくは2に記載の組成物。
【請求項10】
前記第一および第二の成分が、380ナノメートル〜500ナノメートルの波長範囲を有する光に対して透明な、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記光増感剤が、350ナノメートルから700ナノメートルの波長範囲を有する光を吸収して、そのエネルギーを熱エネルギーまたは化学的エネルギーに変換する、請求項3に記載の組成物。
【請求項12】
前記光増感剤が、380ナノメートル〜500ナノメートルの波長範囲を有する光を吸収する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記光増感剤が、エナメル質および象牙質の構造体への効果的な浸透を許容する分子サイズ、pH、および表面電荷を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項14】
光により活性化される歯の白色化のための組成物であって:
歯の表面と接触しているときに、化学線を吸収する光増感剤;ならびに
透明なキャリア化合物、および、歯の白色化を促進する透明な酸化化合物を含む歯白色化組成物
を含み、
前記光増感剤が、ナノメートルサイズの半導体粒子、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ジケトン類、金属−配位子錯体、およびフタロシアニン−金属錯体からなる群から選択される、
ことを特徴とする歯の白色化のための組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【公開番号】特開2012−121900(P2012−121900A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−21098(P2012−21098)
【出願日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【分割の表示】特願2007−335339(P2007−335339)の分割
【原出願日】平成11年2月12日(1999.2.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(508116436)ディスカス デンタル,エルエルシー (5)
【氏名又は名称原語表記】DISCUS DENTAL,LLC
【住所又は居所原語表記】8550 HIGUERA STREET,CULVER CITY,CALIFORNIA 90232,UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】