光クロージャ用浸水検知器、光クロージャの浸水検知方法、光クロージャ
【課題】クロージャスリーブを開放することなく、クロージャスリーブの外側から、クロージャスリーブ内の浸水、浸水の水量を把握できる技術の開発。
【解決手段】検知器本体2から延出された検出用線体3を、クロージャ4の加圧試験用の加圧バルブ43のバルブ孔からクロージャスリーブ41内に挿入し、検出用線体3内の一対の絶縁電線の検出用線体3先端に露出された導体間が、クロージャ内の浸水を介して通電したことを検知器本体2にて検知する構成の光クロージャ用浸水検知器1、浸水検知方法、この浸水検知器、浸水検知方法の適用に好適な光クロージャを提供する。
【解決手段】検知器本体2から延出された検出用線体3を、クロージャ4の加圧試験用の加圧バルブ43のバルブ孔からクロージャスリーブ41内に挿入し、検出用線体3内の一対の絶縁電線の検出用線体3先端に露出された導体間が、クロージャ内の浸水を介して通電したことを検知器本体2にて検知する構成の光クロージャ用浸水検知器1、浸水検知方法、この浸水検知器、浸水検知方法の適用に好適な光クロージャを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール内等に設けられる地下設置用の光クロージャ内の浸水検知に好適な光クロージャ用浸水検知器であり、特に、光クロージャ内の浸水の水位を確認できる光クロージャ用浸水検知器、光クロージャの浸水検知方法、前記光クロージャ用浸水検知器、前記光クロージャの浸水検知方法の適用に好適な光クロージャに関する。
【背景技術】
【0002】
マンホール内等に設けられる地下設置用の光クロージャ内の浸水検知技術としては、クロージャ内に設置した浸水検知センサによって浸水を検知するものが多く採用されている(例えば、特許文献1、2)。
前記浸水検知センサとしては、光クロージャに引き込まれた光ファイバケーブル内の光ファイバの中から浸水検知用に割り当てたもの(浸水検知用光ファイバ)を利用した構成が多く採用されている。例えば、吸水膨潤材がクロージャ内の浸水発生時に膨らむことによって浸水検知用光ファイバに曲げを与える構成のものや、クロージャ内の浸水で浮上する浮きの浮力によって浸水検知用光ファイバに曲げを与える構成のもの(特許文献2)等が提案されている。そして、前記浸水検知センサは、例えば、局舎等から浸水検知用光ファイバに入射した入射光の戻り光を観測する浸水検知システムや、浸水検知用光ファイバに別の光ファイバを接続してループ状に構成した検出用光線路の一端から入射した入射光の光パワーを前記検出用光線路の他端にて観測する浸水検知システムに適用されて、クロージャ内の浸水発生時に、浸水検知用光ファイバに曲げ損失を与える。このような浸水検知システムにおいては、クロージャ内の浸水発生時に、前記浸水検知センサが浸水検知用光ファイバに曲げ損失を与えることによって、上述の戻り光や光パワーの観測値が変化するため、浸水発生を検知できる。
【特許文献1】特開2006−139195号公報
【特許文献2】特開2000−258225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、回線増設、切り替え、光クロージャのメンテナンス等のために、光クロージャ内の作業を行う際に、クロージャ内に溜まっている水の量が多いと、クロージャを開放したときに、クロージャから一挙に流出する水流によってクロージャ内の光ファイバ心線が押し動かされ、折損するケースがある、といった問題が判明してきた。
しかしながら、これまで、クロージャ内の水量を簡便に知ることができる、適切な技術は存在せず、上述の折損の問題の解消が容易でないことが実情であった。
【0004】
上述した浸水検知センサは、浸水発生を出来るだけ迅速に把握するために、クロージャの底部に設置されることが普通である。このため、浸水発生を迅速に検知できるものの、クロージャ内の水量の把握は出来ない。
また、上述の浸水検知センサを、クロージャ内にて上下方向の位置を互いに異ならせて複数設置する等の対策も考えられるが、このようなセンサ配置を適用していない既設のクロージャについてクロージャ内の水量を把握できる訳ではないため、別途、対策を要する。また、クロージャ内の限られたスペースに浸水検知センサを複数設置することは作業に手間が掛かる上、設置したセンサが回線増設、切り替え等の作業の邪魔になる、コストが掛かるといった問題もある。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みて、クロージャの外側からクロージャ内に溜まっている水量を簡単に知ることができる、光クロージャ用浸水検知器、光クロージャの浸水検知方法、前記光クロージャ用浸水検知器、前記光クロージャの浸水検知方法の適用に好適な光クロージャの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、光クロージャ用浸水検知器であって、検知器本体と、この検知器本体から延び、光クロージャのクロージャスリーブの上部に形成された貫通孔に通すことで前記クロージャスリーブ内に挿入される検出用線体とを具備し、前記検出用線体は、前記検知器本体から延出する可撓性の線条体である線体本体の先端部に該先端部の重量増加用の錘部を設けた構成とされ、前記線体本体はその長手方向全長にわたって延在する複数本の通電検出用導体部が外装被覆に収納され、その先端に前記通電検出用導体部の露出部分である通電端子部を互いに離隔させて配置してなる検出部を具備し、前記検知器本体は、前記検出用線体の前記線体本体の前記通電検出用導体部間に電圧を印加する前記電圧印加部と、この電圧印加部によって電圧を印加した前記通電検出用導体部間の通電を検知する通電検知部と、この通電検知部が前記通電検出用導体部間の通電を検知したときに出力する検知信号に基づいて報知情報を出力する報知情報出力部とを具備することを特徴とする光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第2の発明は、前記検出用線体の前記線体本体は、その先端側に、帯状に形成されたフレキシブル配線基板にそのベースフィルムの片面に前記通電検出用導体部の一部又は全部として形成された配線を覆うオーバーレイ層が設けられてなる可撓性の挿入線部を有し、前記挿入線部は前記フレキシブル配線基板の前記ベースフィルムと前記オーバーレイ層とが前記フレキシブル配線基板の長手方向全長にわたって延在形成された複数本の前記配線を収納する電気絶縁性の外装被覆である挿入線部外装被覆を構成しており、前記配線の前記挿入線部先端に露出された部分が前記検出部の前記通電端子部とされていることを特徴とする第1の発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第3の発明は、前記検出用線体の前記線体本体は、前記挿入線部と、この挿入線部の前記フレキシブル配線基板の前記配線を前記検知器本体の前記電圧印加部に電気導通可能に接続する接続用導体を有する接続線部とを具備し、前記フレキシブル配線基板の前記配線と前記接続線部の前記接続用導体とが前記通電検出用導体部を構成することを特徴とする第2の発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第4の発明は、前記接続線部の前記接続用導体は前記接続線部の長手方向全長にわたって延在する線状に形成され、前記接続線部は、前記接続用導体を、前記挿入線部の前記基端部に露出させた前記配線に半田付けして前記挿入線部に接続されていることを特徴とする第3の発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第5の発明は、前記オーバーレイ層は、前記フレキシブル配線基板の長手方向両端部を除く部分に積層して設けられ、前記フレキシブル配線基板の前記ベースフィルムの前記配線が形成されている面である配線形成面を前記挿入線部の前記先端部に露出させた部分である先端側配線露出面に前記通電端子部が設けられ、前記配線の内、前記配線形成面を前記挿入線部の前記基端部に露出させた部分である基端側配線露出面に位置する部分である接続端子部に前記接続線部の前記接続用導体が半田付けされていることを特徴とする第3又は4の発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第6の発明は、前記配線は、前記通電端子部の表層として、金めっきあるいは白金めっきである端子用表層めっきを有することを特徴とする第2〜5のいずれかの発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第7の発明は、前記検出用線体の前記線体本体が、絶縁電線を前記外装被覆である樹脂チューブ内に複数本収納してなり、前記検出部が、前記絶縁電線の前記樹脂チューブの先端から延出させた部分の絶縁被覆をそれぞれ除去して該絶縁電線の芯線を露出させた部分である前記通電端子部を互いに離隔して配置した構成であり、前記絶縁電線は前記線体本体の長手方向全長にわたって設けられ、前記絶縁電線の前記芯線が前記検出用線体の長手方向全長にわたって延在する前記通電検出用導体部の一部又は全部を構成していることを特徴とする第1の発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第8の発明は、前記線体本体の先端部に、前記絶縁電線を固定して前記通電端子部が互いに離隔した状態を維持するための電線固定部材が設けられていることを特徴とする第7の発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第9の発明は、前記絶縁電線が、単線のエナメル線であることを特徴とする第7又は8の発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第10の発明は、前記樹脂チューブはその長手方向の一部又は全体がポリ4フッ化エチレン重合体製チューブによって形成され、前記線体本体はその先端部を含む長手方向の一部又は全部が前記ポリ4フッ化エチレン重合体製チューブ内に前記絶縁電線を収納した構成の挿入部とされていることを特徴とする第7〜9の発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第11の発明は、前記錘部が、前記線体本体に外挿された金属スリーブによって構成されていることを特徴とする第1〜10のいずれかの発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第12の発明は、前記検知器本体は携帯可能であることを特徴とする第1〜11のいずれかの発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第13の発明は、前記光クロージャのクロージャスリーブの前記貫通孔の一部又は全部が、光クロージャのクロージャスリーブに設けられている加圧気体封入用の加圧バルブに貫設されたバルブ孔によって構成され、前記加圧バルブの前記バルブ孔から該バルブ孔内に組み込まれているバルブ体を抜き出して前記バルブ孔を開放することで前記貫通孔が開放されるようになっていることを特徴とする第1〜12のいずれかの発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第14の発明は、クロージャスリーブに加圧気体封入用の加圧バルブが設けられている光クロージャ内の浸水を検知する光クロージャの浸水検知方法であって、前記加圧バルブから該加圧バルブ内に組み込まれているバルブ体を抜き出して、前記加圧バルブを貫通して前記クロージャスリーブの内外に連通する貫通孔を開放した後、請求項1〜13のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体を、その先端部から前記貫通孔に送り込んで前記クロージャスリーブ内に挿入し、前記光クロージャ用浸水検知器の検知器本体の電圧印加部によって、前記検出用線体の前記通電検出用導体部間に電圧を印加することを特徴とする光クロージャの浸水検知方法を提供する。
第15の発明は、クロージャスリーブの上部に、第1〜13のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体を挿通できる、開閉可能な貫通孔を有する光クロージャであって、前記クロージャスリーブ内に、前記貫通孔からクロージャスリーブ内に挿入された前記検出用線体を前記貫通孔から下方へ誘導するための検出用線体誘導部材が設けられていることを特徴とする光クロージャを提供する。
第16の発明は、前記貫通孔が、光クロージャのクロージャスリーブの上部に設けられている加圧バルブから該加圧バルブ内に組み込まれているバルブ体を抜き出して開放したバルブ孔であることを特徴とする第16の発明の光クロージャを提供する。
【0007】
本発明によれば、クロージャスリーブ内の浸水の有無を調べるには、光クロージャのクロージャスリーブの上部に形成された貫通孔を利用して、検出用線体をクロージャスリーブ内に挿入する。
前記貫通孔としては、例えば、地下設置用の光クロージャに一般的に備えられている加圧試験用のバルブ(加圧バルブ)のバルブ孔を挙げることができる。このバルブ孔は、加圧バルブ内に組み込まれているバルブ体を加圧バルブから抜き出すことで、開放することができる。本発明が対象とする加圧バルブ付きの光クロージャとしては、前記バルブ孔がクロージャスリーブの上部の貫通孔、つまりクロージャスリーブの内外に連通する貫通孔が開放され、検出用線体を、クロージャスリーブの外側からバルブ孔を介してクロージャスリーブ内に挿入できるようになっているものである。
【0008】
検出用線体は、検出部が設けられている先端部側から貫通孔に通してクロージャスリーブ内に挿入していく。検出用線体の先端部(検出器本体が設けられている基端部とは反対側の端部)は、前記線体本体の先端部に該先端部の重量増加用の前記錘部が設けられた構成(以下、検出ヘッド部とも言う)であり、検出ヘッド部はクロージャスリーブ内にて錘部の重量によって円滑に下降させることができる。
【0009】
検出用線体の複数本の通電検出用導体部間には検知器本体の電圧印加部によって電圧(電位差)を印加することができる。
検出ヘッド部の検出部が、クロージャスリーブ内に溜まっていた水に接触し、検出部の通電端子部間(通電検出用導体部間)がクロージャスリーブ内の水を介して通電したことを検知器本体(詳細には検知器本体の通電検知部)にて検知すると、報知情報出力部が報知情報(通電を検知したことを報知するための情報)を出力する。これにより、光クロージャ用浸水検知器を使用する作業者が、クロージャスリーブ内に溜まっている水の有無、水の水位を知ることができる。
クロージャスリーブ内に溜まっている水の水位は、クロージャスリーブ内に挿入した検出用線体の長さ(挿入長)によって把握できる。したがって、クロージャスリーブを解体しなくても、光クロージャの外側から光クロージャ内に溜まっている水量を簡単に知ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、既設の光クロージャのクロージャスリーブの上部に形成された貫通孔を利用して、検出用線体をクロージャスリーブ内に挿入することで、クロージャスリーブを解体しなくても、クロージャスリーブ内の浸水の有無、水量を調べることができる。
また、本発明に係る光クロージャにあっては、クロージャスリーブ内に挿入した検出用線体を、検出用線体誘導部材によって、クロージャスリーブの上部の貫通孔から下方へ誘導することができ、検出用線体先端部の検出ヘッド部を貫通孔から下方へ下降させていく作業を円滑に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施した光クロージャ用浸水検知器、光クロージャの浸水検知方法、光クロージャについて、図面を参照して説明する。
【0012】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は光クロージャ用浸水検知器1の使用状態を示す図、図2は光クロージャ用浸水検知器1の構成を示す全体斜視図、図3は光クロージャ用浸水検知器1の検出用線体3の構成を模式的に示す図、図4は検出用線体3の検出ヘッド部35の構造の一例を示す断面図、図5は検出ヘッド部35の検出部351の構造の一例を示す断面図、図6は検出ヘッド部35の構造を示す分解斜視図、図7は検出用線体3を光クロージャ4内に挿入した状態を示す図、図8は光クロージャ4のクロージャスリーブ41の端面板42における加圧バルブ43とクロージャスリーブ41内のケーブル把持部品44との相対的な位置関係を示す図である。
【0013】
図1、図2に示すように、光クロージャ用浸水検知器1(以下、単に、検知器、とも言う)は、作業者が携帯可能な検出器本体2と、この検出器本体2から延出する検出用線体3とを具備する。
この検知器1は、マンホール内等に設けられる地下設置用の光クロージャ4内の浸水検知に用いることができるものである。特に、光クロージャ4内に溜まった水の水位(水量)の確認が可能である(後述)点で好適である。以下、地下設置用の光クロージャ4、特に、加圧試験用のバルブ43(以下、加圧バルブとも言う)を具備する光クロージャ4内の浸水検知に適用する場合について説明する。
【0014】
図7に示すように、検出用線体3は、光クロージャ4のクロージャスリーブ41の端面板42の上部に設けられている加圧バルブ43のバルブ孔432に通すことで、光クロージャ4(詳細にはクロージャスリーブ41)の外側からクロージャスリーブ41内に挿入できる。
【0015】
図7、図8等に示すように、図示例の光クロージャ4のクロージャスリーブ41は、半割り円筒状のスリーブ本体411と、このスリーブ本体411の軸心方向両端を塞ぐための端面板42とで構成されている。
図7、図8において、符号411a、411bは、半割り円筒状のスリーブ本体411を構成する一対のスリーブ分割体である。符号412は、一対のスリーブ分割体411a、411bに締結力を作用させてスリーブ本体411及びクロージャスリーブ41全体の一体化状態を維持するロック片である。ロック片412による締結力を解除すると、一対のスリーブ分割体411a、411bの間を開放できる。
端面板42は、半円状の一対の端面板分割体42a、42bを一体化してなる半割り円板状の部材である。この端面板42は、ロック片412の締結力によって、スリーブ本体411の一対のスリーブ分割体411a、411bの間に挟み込まれることで、一対の端面板分割体42a、42bが一体化された状態が維持される。
なお、本発明を適用可能なクロージャスリーブ41としては、スリーブ本体411とは別体の端面板42を具備する構成に限定されず、例えば、スリーブ本体411の一対のスリーブ分割体411a、411bに、それぞれ、端面板42の一対の端面板分割体42a、42bの片方が一体化された構成のものも採用可能である。
【0016】
加圧バルブ43は、端面板42(詳細には、一対の端面板分割体42a、42bの片方。符号42aの端面板分割体)に組み込まれた本体スリーブ431の内側を貫通する貫通孔であるバルブ孔432内に、バルブ体433(いわゆる虫ゴム)を組み込んだ構造になっている。加圧バルブ43の本体スリーブ431は、端面板42をその厚み方向に貫通するバルブ組み込み孔421内に組み込んで端面板42に固定されている。
【0017】
図示例の光クロージャ4にあっては、クロージャスリーブ41のバルブ組み込み孔421において加圧バルブ43の本体スリーブ431が収納されている範囲は、バルブ組み込み孔421の全体ではなく、バルブ組み込み孔421の中心軸線方向の一部である。また、加圧バルブ43の本体スリーブ431は、クロージャスリーブ41の端面板42からクロージャスリーブ41の外側に突出する部分を有している。加圧バルブ43のバルブ孔432は、加圧バルブ43の本体スリーブ431の前記バルブ組み込み孔421内に収納された部分のクロージャスリーブ41の内部空間S側の端部と、加圧バルブ43の本体スリーブ431のクロージャスリーブ41から突出した部分の先端とに開口する開口部を両端とする貫通孔となっている。加圧バルブ43の本体スリーブ431のバルブ孔432とクロージャスリーブ41のバルブ組み込み孔421とは互いに連通しており、互いに連通する前記バルブ孔432と前記バルブ組み込み孔421とがクロージャスリーブ41を内外に貫通する貫通孔422を構成している。
本体スリーブ431からバルブ体433を抜き出してバルブ孔432を開放すると、貫通孔42を開放できる。
検出用線体3は、バルブ体433を抜き出して開放した貫通孔422にクロージャスリーブ41の外側から送り込んでいくことで、クロージャスリーブ41内に挿入できる。
【0018】
なお、加圧バルブ43の本体スリーブ431がバルブ組み込み孔421の中心軸線方向の全体にわたって収納されている場合は、加圧バルブ43のバルブ孔432自体を、クロージャスリーブ41を内外に貫通する貫通孔と見なすことができる。
【0019】
加圧バルブ43は、ここでは、いわゆる5号バルブであるが、これに限定されるものではない。
バルブ体433は、一方弁を構成するものであり、加圧試験の際に、加圧バルブ43からクロージャスリーブ41内への加圧用気体の送入を許可し、逆方向、つまり、クロージャスリーブ41内に封入した気体が加圧バルブ43を介してクロージャスリーブ41の外へ流出することを規制する。図示例のバルブ体433は、加圧バルブ43の本体スリーブ431に螺着されるねじ434の本体スリーブ431に対する締め付けによって本体スリーブ431内に組み込まれた状態が維持され、本体スリーブ431に螺着した状態にあるねじ434を回転操作して本体スリーブ431から離脱させることにより、本体スリーブ431から抜き出すことができる。
なお、加圧試験は、クロージャスリーブ41内への加圧用気体の送入(圧入)によって、クロージャスリーブ41の気密性を調べる試験を指す。
【0020】
図3、図4、図9に示すように、検出用線体3は、樹脂チューブ31(外装被覆)内に複数本(ここでは2本)の絶縁電線32を収納した可撓性の線体本体33と、この線体本体33の長手方向一端部(基端部)に設けられた接続コネクタ34と、線体本体33の長手方向他端部(先端部)に設けられた錘部362(後述)とを具備して構成されている。
そして、この検出用線体3は、前記接続コネクタ34を、検知器本体2のコネクタ部21に接続することで、絶縁電線32が検知器本体2内の電気回路を介して検知器本体2の電圧印加部22(後述)及び通電検知部23(後述)に電気的に接続される。接続コネクタ34は、検知器本体2のコネクタ部21に対して脱着可能であり、検出用線体3は、検知器本体2のコネクタ部21に対する接続コネクタ34の脱着によって、検知器本体2に対して脱着できる。
【0021】
なお、検出用線体3について、以下、検知器本体2に接続されている側の端部を基端部、基端部とは反対側の端部を先端部とも言う。
検出用線体3は、検知器本体2に対して脱着可能な構成に限定されず、基端部が、検知器本体2に固定され、検知器本体2から延出されている構成も採用可能である。
【0022】
図4、図5に示すように、線体本体3は、その先端に、2本の絶縁電線32の樹脂チューブ31先端から延出させた部分(延出部32a)の絶縁被覆32bをそれぞれ除去して芯線32c(導電性の金属細線。通電検出用導体部)を露出させた部位である通電端子部32dを互いに離隔させて配置してなる、検出部351を具備する。
検出用線体3の先端部は、前記線体本体3の先端部に該先端部の重量増加用の前記錘部362が設けられた構成となっており、以下、当該先端部を検出ヘッド部35とも言う。検出用線体3は、前記線体本体3の先端部(検出部351を含む)に該先端部の重量増加用の前記錘部362が設けられた構成の検出ヘッド部35を有する。
【0023】
一方、図2に示すように、検知器1の検知器本体2は、前記検出用線体3の絶縁電線32間に電圧を印加する電圧印加部22と、この電圧印加部22によって電圧を印加した絶縁電線32間の通電を検知する通電検知部23と、この通電検知部23が絶縁電線32間の通電を検知したときに出力する検知信号に基づいて報知情報を出力する報知情報出力部24(例えば、図2に示すディスプレイ241、ブザー242)とを具備している。
電圧印加部22は、電圧印加用の電源と、この電源に接続された電圧印加用の電気回路とを具備する。
【0024】
この検知器1を用いてクロージャ4内の浸水を検知するには(クロージャの浸水検知方法)、検出用線体3を光クロージャ4のクロージャスリーブ41内に挿入する。また、検知器本体2の電圧印加部22によって、2本の絶縁電線32の間に電圧を印加する。そして、図7に示すように、光クロージャ4のクロージャスリーブ41内に挿入した検出用線体3の検出部351が、クロージャスリーブ41内に溜まっている水Wに到達し、検出部351の通電端子部32d(芯線32c)間が水Wを介して通電したことを、検知器本体2の通電検知部23が検知したときに、この通電検知部23が検知信号を出力し、この検知信号を受信した報知情報出力部24が報知情報を出力する。図2に示すように、報知情報出力部24による報知情報の出力は、例えば、ディスプレイ241による表示、ブザー242からの音の出力であるが、この他、ランプ(報知情報出力部)の点灯、振動発生器(報知情報出力部)による振動発生等であっても良い。ディスプレイ241としては、マンホール内等の暗所での作業に鑑みて、浸水検知を示す報知情報としての文字情報や画像情報等をLEDの点灯等によって電光表示できるもの、あるいはバックライト付きのものを採用することが好ましい。
報知情報出力部24が報知情報を出力することで、作業者が、クロージャスリーブ41内の浸水の存在を知ることができる。
【0025】
なお、図2に例示した検知器本体2は、箱形の筐体25に、電圧印加部22、通電検知部23、報知情報出力部24を組み込んだ構造であり、しかも、作業者が片手の手指で把持できるサイズに形成された可搬性のものであり、作業者が携帯してマンホール内等での作業を行える。図示例の前記検知器本体2は、コネクタ部21も筐体25内に組み込んでいるが、検出用線体3の基端部が検知器本体2に固定されており、検出用線体3が検知器本体2から延出されている構造の場合は、コネクタ部21の組み込みを省略できることは言うまでも無い。
また、報知情報出力部24は、必ずしも、筐体25に組み込む必要は無く、筐体25の外側に組み付けて設けても良い。
また、検知器本体2の筐体25は箱形に限定されず、その外形は適宜変更可能である。
【0026】
光クロージャ4内の浸水の検知を的確に行うには、図7に示すように、検知器1の検出用線体3は、端面板42の上部に設けられている加圧バルブ43のバルブ孔432からクロージャスリーブ41内に挿入したときに、クロージャスリーブ41内に挿入された部分が加圧バルブ43のバルブ孔432から下方に垂れ下がり、その先端部の検出ヘッド部35を、検出部351が下端となる向きを出来るだけ維持して下降させていくことが好ましい。また、これにより、検知器1によって光クロージャ4内の浸水を検知したときに、検出用線体3の、クロージャスリーブ41に挿入した長さから、クロージャスリーブ41内に溜まっている水の概ねの水位(水量)を把握できる。
【0027】
検出用線体3は、その先 端部の検出ヘッド部35に、該検出ヘッド部35の重量増加用の錘部352(図3、図4等参照)を具備している。検出ヘッド部35は、線体本体先端部(検出部を含む)に錘部352を設けてなるものである。
図4に示す図示例の検出ヘッド部35において、前記錘部352は具体的には、線体本体33の先端部に外挿した金属スリーブである。以下、錘部352が金属スリーブを指す場合、符号352を付して金属スリーブとも言う。金属スリーブ352としては、検出ヘッド部35の小型化に鑑みて、比重が大きい金属材料を採用することが好ましい。金属スリーブ352の形成材料としては、例えば、銅、鉛等を採用できる。
【0028】
金属スリーブ352は、線体本体33の先端部において、線体本体33に外挿して線体本体33の長手方向に互いに離隔した2箇所に接着固定されたリング353の間に配置されており、両側のリング353によって、検出用線体3(詳細には線体本体33)の長手方向における位置ずれが規制されている。
なお、リング353も検出ヘッド部35の構成部材として機能する。
また、検出用線体3(詳細には線体本体33)の長手方向における金属スリーブ352の位置ずれを防止する手法としては、例えば、接着剤を用いて金属スリーブ352を線体本体33に接着固定したり、金属スリーブ352を線体本体33にカシメ固定するといった手法も採用可能である。
また、リング353として、ゴム等の伸縮性材料からなる収縮チューブ、あるいは、熱収縮チューブを採用することも可能である。収縮チューブ、熱収縮チューブは、収縮チューブ自体あるいは熱収縮チューブ自体の締め付け力によって、接着剤を用いることなく線体本体33に取り付けることができ、取り付け作業の簡略化、取り付け状態の長期安定維持の点で好ましい。
【0029】
図7、図8に示すように、錘部352は、端面板42の上部に設けられている加圧バルブ43のバルブ孔432からクロージャスリーブ41内に挿入した検出用線体3のクロージャスリーブ41内に挿入された部分が、加圧バルブ43から下方に垂れ下がった状態を確実に得る機能、検出用線体3の先端部の検出ヘッド部35を検出部351が下端となる向きにする機能を果たす。これにより、加圧バルブ43のバルブ孔432を介して検出用線体3をクロージャスリーブ41内に送り込んでいくことによって、クロージャスリーブ41内に挿入された検出用線体3の先端(下端)の検出ヘッド部35を下降させていく際に、検出ヘッド部35が、クロージャスリーブ41内にて、例えば、光ファイバケーブル5や光ファイバ心線51、この光ファイバケーブル5を固定するためのケーブル固定具44等といった、クロージャスリーブ41内に存在する障害物と接触したとしても、検出ヘッド部35を、検出部351を下端とする向きを保ったまま下降させていくことができる。
【0030】
錘部352として金属スリーブを採用することは、検出ヘッド部35を細く形成できるため、検出ヘッド部35を、細い孔である加圧バルブ43のバルブ孔432を通過可能なサイズに形成することに有利である。また、検出ヘッド部35を細くできることは、検出用線体3のクロージャスリーブ41内に挿入された部分の先端(下端)の検出ヘッド部35を下降させていく際に、例えば、検出ヘッド部35がクロージャスリーブ41内に存在する障害物同士の間の狭い隙間を通過しやすくなる等の利点があり、クロージャスリーブ41内における検出ヘッド部35の下降を円滑にする点で有利である。
【0031】
検出用線体3の線体本体33も、加圧バルブ43のバルブ孔432に対する挿通作業性の確保、クロージャスリーブ41内における検出ヘッド部35の下降の作業性の確保に鑑みて、細く形成することが好ましい。また、可撓性(柔軟性)に優れることも、これら作業性の確保に有利である。
線体本体33の可撓性(柔軟性)に優れる検出用線体3であれば、例えば、クロージャスリーブ41内において検出ヘッド部35を下降させていく作業において、検出ヘッド部35下端がクロージャスリーブ41内の障害物に接触したときに、線体本体33の変形(湾曲等)によって、検出ヘッド部35の向きの変更が簡単かつ円滑になされるため、検出ヘッド部35下端が障害物に突き当たったまま下降が停止してしまうといった不都合を回避しやすく、検出ヘッド部35の下降継続の点で有利である。
【0032】
本実施形態では、線体本体33の絶縁電線32として、単線のエナメル線を採用している。単線のエナメル線であれば、撚り線等に比べて細く形成できるので、線体本体33を細くすることや、線体本体33の可撓性(柔軟性)の確保に有効に寄与する。
なお、本発明において、絶縁電線32としては、細く、しかも、線体本体33の可撓性(柔軟性)の確保も容易なものであれば良く、エナメル線に限定されず、他のものであっても良い。
【0033】
図2、図3に示すように、図示例の検知器1の検出用線体3の線体本体33の樹脂チューブ31は、具体的には、ポリ4フッ化エチレン重合体製の第1チューブ311と、例えば、PVC(polyvinyl chloride)、ポリエチレン等によって形成された可撓性の第2チューブ312とを縦続に接続した構成になっている。第2チューブ312は第1チューブ311よりも外径が若干大きく形成されており、第1チューブ311と第2チューブ312とは、線体本体33の長手方向中央部のチューブ接続部313にて、第2チューブ312の端部に第1チューブ311を内挿して、接着剤による接着、融着等によって一体化して接続されている。
この樹脂チューブ31は、チューブ接続部313から基端部側が第2チューブ312、チューブ接続部313から先端部側が第1チューブ311となっている。
なお、樹脂チューブ31としては、その全長が、第1チューブ311、つまり、ポリ4フッ化エチレン重合体製のチューブである構成も採用可能である。
【0034】
ポリ4フッ化エチレン重合体製の樹脂チューブ(図示例では第1チューブ311)は、可撓性(柔軟性)に優れるとともに、表面(外周面)の摩擦抵抗を小さく抑えることができるため、加圧バルブ43のバルブ孔432に対する検出用線体3の挿通作業性の確保、クロージャスリーブ41内における検出ヘッド部35の下降の作業性の確保に有利である。また、内周面の摩擦抵抗も小さくできることから、第1チューブ311に内挿されている絶縁電線32の樹脂チューブ31内での変形や遊動が拘束されにくく、線体本体33の可撓性(柔軟性)の確保に寄与する。
【0035】
線体本体33の内、ポリ4フッ化エチレン重合体製チューブ(図示例では第1チューブ311)に絶縁電線32を収納した部分(以下、挿入部とも言う)は、可撓性の確保、加圧バルブ43のバルブ孔432に対する挿通作業の円滑化(挿入抵抗の低減)に有利である。図示例のように、この挿入部の先端部に検出ヘッド部35が設けられた構成であれば、挿入部を光クロージャ4の外側から加圧バルブ43のバルブ孔432を介してクロージャスリーブ41内に送り込む場合に、検出ヘッド部35が前記バルブ孔432を通過すると、挿入部が速やかに湾曲変形を開始し、検出ヘッド部35が向きを変更しながら下方に変位する。また、挿入部の可撓性によって湾曲半径を小さくできるため、バルブ孔432からクロージャスリーブ41内に送り込んだ挿入部先端の検出ヘッド部35の向き変更用のスペースが小さくて済む。このため、クロージャースリーブ41内に確保する、検出ヘッド部35の向き変更用のスペースが小さくて済み、この向き変更用のスペースの確保が、クロージャスリーブ41の内部空間Sにおける光ファイバ配線用スペース等、光クロージャ4の内部レイアウトに影響を与えることを抑制あるいは防止することができる。
【0036】
なお、樹脂チューブ31、第1チューブ311としては、ポリ4フッ化エチレン重合体に限定されず、例えば、シリコーン樹脂製チューブ等も採用可能である。
【0037】
図9に示すように、線体本体33の樹脂チューブ31(詳細には第1チューブ311)は、断面円形であり、曲げ方向性が無いため、このことも、検出ヘッド部35下端がクロージャスリーブ41内の障害物に接触したときに、検出ヘッド部35の向きが変更されることで、検出ヘッド部35下端が障害物に突き当たったまま下降が停止してしまうといった不都合を回避して、検出ヘッド部35の下降を継続する点で有利である。
但し、本発明に係る検知器の線体本体33としては、断面円形の樹脂チューブを採用したものに限定されず、例えば、断面扁平の樹脂チューブを採用したもの等を排除するものではない。
【0038】
検出ヘッド部35としては、加圧バルブ43のバルブ孔432(例えば、内径2.5〜8.5mm)を通過させることができるサイズであることが好ましく、例えば、最大外径を2.2〜8.0mmとすることが好ましい。
また、線体本体33の第1チューブ311としては、外径が0.8〜2.2mm、内外径差(肉厚)が0.15〜0.3mmであるものを採用することが好ましい。
絶縁電線32としては、外径が0.15〜0.25mmのものを採用することが好ましい。
【0039】
この検知器1は、クロージャスリーブ41の上部に加圧バルブ43が設けられている既設の光クロージャ4(加圧バルブ付きクロージャ)について回線増設、回線の切り替え、メンテナンス等を行う場合に、光クロージャ4のクロージャスリーブ41を開放する前に、加圧バルブ43(詳細には、加圧バルブ43からバルブ体433を抜き出して開放したバルブ孔432)を介してクロージャスリーブ41内に検出用線体3を挿入することで、クロージャスリーブ41内の浸水の有無、浸水の概略の水量(水位)を把握できる。
【0040】
クロージャスリーブ41内に送り込まれた検出用線体3は、クロージャスリーブ41の上部の加圧バルブ43及びクロージャスリーブ41の貫通孔421から、クロージャスリーブ41の内部空間Sに突出された部分が、検出ヘッド部35の自重により下方へ垂れ下がる。そして、クロージャスリーブ41への検出用線体3の送り込みを継続することで、検出ヘッド部35の自重により、検出ヘッド部35を、検出部351を下端とする向きを保ったまま下降させていくことができる。
【0041】
検出用線体3を、クロージャスリーブ41の外側からバルブ孔432に送り込んで、クロージャスリーブ41内に挿入していく際には、検知器1の検知器本体2の電源スイッチ(図示略)をONにして、電圧印加部22によって、検出用線体3の一対の絶縁電線32間に電圧(電位差)を印加しておく。これにより、検出ヘッド部35下端の検出部351に露出されている複数本(ここでは2本)の絶縁電線32の通電端子部32d(芯線32c)がクロージャスリーブ41内の浸水に接触して芯線32c間が通電したことを、検知器本体2の通電検知部23が検知し、報知情報出力部24が報知情報を出力することで、作業者が、クロージャスリーブ41内の浸水の存在を把握できる。
また、クロージャスリーブ41に送り込んだ検出用線体3の長さから、クロージャスリーブ41内の浸水の概略の水量(水位)を把握できる。
【0042】
クロージャスリーブ41内の浸水の水量が多い場合は、例えば、クロージャスリーブ41を傾けつつ、ロック片412による締結力を緩めて、スリーブ本体411を構成する一対のスリーブ分割体411a、411bの間に確保した隙間から、クロージャスリーブ41内の浸水をゆっくりと排水してから、クロージャスリーブ41を解体する、といった対策を採ることにより、クロージャスリーブ41から一挙に流出する大量の水によってクロージャスリーブ41内の光ファイバを傷めてしまうといった不都合を回避することができる。
【0043】
図4、図5に例示した検出ヘッド部35は、具体的には、絶縁電線32の、樹脂チューブ31先端から延出させた部分を、線体本体33の基端部側に折り返し、樹脂チューブ31先端の外周面に沿わせて配置した各絶縁電線32の先端部を、樹脂チューブ31に外挿した収縮チューブ354(例えばゴムチューブ)によって、樹脂チューブ31の外周面に押さえ込んでいる。収縮チューブ354は、前記絶縁電線32を固定して、各絶縁電線32の通電端子部32d(芯線32c)が互いに離隔した状態を維持するための電線固定部材として機能する。
絶縁電線32の樹脂チューブ31先端から延出させた部分(延出部32a)の内、樹脂チューブ31先端と収縮チューブ354との間に位置する部分には、絶縁電線32の芯線32cが露出された通電端子部32dが設けられており、絶縁電線32間の通電による浸水検知は、樹脂チューブ31先端と収縮チューブ354との間に露出する通電端子部32d(芯線32c)間が、クロージャスリーブ41内に溜まった水を介して通電することによりなされる。
【0044】
クロージャスリーブ41内に送り込んだ検出用線体3の下端となる、検出ヘッド部35の先端に、検出部351を具備する構成であれば、クロージャスリーブ41に送り込んだ検出用線体3の長さから、クロージャスリーブ41内の浸水の概略の水量(水位)を把握することを容易に実現できる。
また、この構成であれば、クロージャスリーブ41内の浸水量が少ない場合に、クロージャスリーブ41内の浸水の存在を把握することに有利であることも言うまでも無い。
【0045】
(検出ヘッド部の別態様1)
図10は、検出ヘッド部の別態様を示す。
図10に例示した検出ヘッド部36は、樹脂チューブ31の先端に、絶縁電線32の樹脂チューブ31先端から延出させた部分(延出部32a)を埋め込むようにして、鉄、銅、鉛等の金属粉を混入した合成樹脂部材である錘部362をインサートモールド成形によって形成したものである。錘部362は、該錘部362を構成する合成樹脂(例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂)自体の接着力によって絶縁電線32に接着固定されている。図示例の錘部362は、樹脂チューブ31外径と同じ外径の外観円柱状に形成されているが、錘部362は、その断面輪郭形状、寸法が、必ずしも樹脂チューブ31と同じである必要は無く、例えば、樹脂チューブ31外径よりも細い円柱状、角柱状等であっても良い。
【0046】
この検出ヘッド部36では、絶縁電線32の延出部32a先端の絶縁被覆32bを除去して露出させた芯線32cが、錘部362の、樹脂チューブ31とは反対の側の端部(先端部)から2本突出されており、通電端子部32eとされている。この錘部362から突出されている2つの通電端子部32eが、検出部361を構成している。絶縁電線32の錘部362先端部からの突出寸法は数mm程度であり、しかも、通電端子部32e同士が接触しないように、互いに離隔させて配置されている。絶縁電線32の錘部362先端部からの突出寸法は、錘部362先端部から突出する絶縁電線32同士の間の離隔距離よりも小さくすることが好ましい。これにより、錘部362先端部から突出する絶縁電線32がクロージャスリーブ41内の障害物との接触等によって若干傾いたとしても、錘部362先端部から突出する通電端子部32e同士の接触を確実に防止できる。
この検出ヘッド部36の場合は、図5等に例示した検出ヘッド部35に比べて、細く形成することが容易である。また、部品点数が少なくて済むといった利点がある。
【0047】
(検出ヘッド部の別態様2)
図11は、図4に例示した検出ヘッド部35において、金属スリーブ352にかえて、前記金属スリーブ352をその長手方向の複数箇所で分割した形状の、複数の金属リング355を錘部として採用した構成(この検出ヘッド部に、図中、符号35Aを付して説明する)になっている。複数の金属リング355は、樹脂チューブ31に対してその長手方向に互いに離隔した2箇所に固定された一対のリング353の間にて、線体本体33に外挿して設けられている。
この検出ヘッド部35Aは、線体本体33の一対のリング353の間に位置する部分も湾曲変形可能になっている。このため、クロージャスリーブ41内にて検出ヘッド部を下降させていく作業において、検出ヘッド部を、クロージャスリーブ41内の障害物同士間の隙間に通すことと等を円滑に行えるようになり、クロージャスリーブ41内にて検出ヘッド部を下降させていく作業の円滑化に寄与する。
【0048】
(光クロージャ)
図12(a)、(b)は、この検知器1の使用に好適な光クロージャの一例であり、クロージャスリーブ41内に、バルブ孔432からクロージャスリーブ41の内部空間Sに導入した検出用線体3を下方に導くための検出用線体誘導部材45を設けた構成になっている。
図12(a)、(b)に例示した光クロージャ4Aにあっては、検出用線体誘導部材45として、符号45a,45bの、円弧板状の一対の検出用線体誘導部材を採用している。
【0049】
検出用線体誘導部材45a、45bは、端面板42に固定して、バルブ孔(貫通孔421)のクロージャスリーブ41内側における開口部付近から下方へ垂下するように設けられている。そして、一対の検出用線体誘導部材45a、45bは、互いに離隔させ互いに並行させて設けられ、一対の検出用線体誘導部材45a、45bの間に、検出用線体3を通すための線体誘導路46を確保している。検出用線体誘導部材45は、線体誘導路46に、クロージャスリーブ41内の光ファイバ心線等が入り込むことを防ぐ機能も果たす。
このように、検出用線体誘導部材45が設けられた光クロージャ4Aにあっては、バルブ孔432、貫通孔421からクロージャスリーブ41の内部空間Sに導入した検出用線体3を下降させていく作業を非常に円滑に行うことができる。
【0050】
図13(a)、(b)は、検出用線体誘導部材45として、透水性のチューブ45cを採用した構成を示す。図13に例示した透水性チューブ45cは、可撓性のプラスチック製チューブであり、長手方向全長にわたって多数形成された小孔451を介して、チューブ内側の線体誘導路内に、クロージャスリーブ41内の浸水が流入できるようになっている。
また、透水性チューブとしては、例えば、プラスチック製の可撓性のメッシュチューブ等であっても良い。
【0051】
符号47は、透水性チューブ45cの長手方向の片端を端面板42に固定するためのリング状の固定部材である。透水性チューブ45cは、固定部材47によって、その内側の空間である線体誘導路が、バルブ孔(貫通孔421)のクロージャスリーブ41内側における開口部と連通するようにして端面板42に取り付けられる。透水性チューブ45cは、バルブ孔(貫通孔421)のクロージャスリーブ41内側における開口部付近から下方へ垂下するように設けられる。
【0052】
検出用線体誘導部材45としては、プラスチック等の、電気絶縁性の材料で形成されたものを採用する。
【0053】
なお、図12(a)、(b)、図13(a)、(b)では、図5、図6を参照して説明した検出ヘッド部35を具備する検出用線体3を光クロージャのバルブ孔からクロージャスリーブ41内に挿入した構成を例示したが、図10に例示した検出ヘッド部36を具備する検出用線体、図11に例示した検出ヘッド部35Aを具備する検出用線体についても、同様にバルブ孔からクロージャスリーブに挿入することができる。
また、この光クロージャの適用対象の光クロージャ用浸水検知器は、本発明に係る光クロージャ用浸水検知器であり、上述した構成のものに限定されない。
【0054】
第1実施形態の光クロージャ用浸水検知器において、検出用線体の樹脂チューブ内に収納する絶縁電線の本数は、2本に限定されず、3本以上であっても良い。3本以上の場合も、検出ヘッド部にて、電線固定部材によって、各絶縁電線に形成した通電端子部同士が接触しないように、絶縁電線を固定することは言うまでも無い。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図14、図15等に示すように、ここで説明する光クロージャ用浸水検知器1Aは、第1実施形態にて例示した検出用線体にかえて、図中符号6の検出用線体6を採用したものである。
【0056】
図14は前記光クロージャ用浸水検知器1Aを示す全体斜視図、図15は検出用線体6の構造を示す図、図16は図15は検出用線体6の線体本体61の挿入線部62の構造を説明する図であって(a)は前記挿入線部62をオーバーレイ層622を透視して示した平面図、(b)は前記挿入線部62を示す正面図、図17は前記検出用線体6の挿入線部62と接続線部63との接続部の構造を示す拡大斜視図、図18は検出用線体6の検出ヘッド部64の構造の一例を示す図であって(a)は分解斜視図、(b)は断面図である。
なお、図中、図1〜図13と共通の構成部分には共通の符号を付している。
【0057】
図14、図15に示すように、光クロージャ用浸水検知器1Aは、検知器本体2と、この検知器本体2から延出されその先端に検出ヘッド部64を有する検出用線体6とを具備する概略構成となっている。
前記検出用線体6は、検知器本体2に接続された接続線部63の先端部(検知器本体2に接続されている基端部とは反対の端部)に、図中符号62の挿入線部を接続した構成の可撓性の線体本体61を具備している。また、この検出用線体6は、線体本体61の先端部(接続線部63と接続した基端部とは反対側の端部)に前記検出ヘッド部64を有している。
【0058】
また、この検出用線体6は、接続線部63の基端部に、検知器本体2のコネクタ部21に対して脱着可能な接続コネクタ633を具備しており、この接続コネクタ633の検知器本体2のコネクタ部21に対する脱着によって、検知器本体2に対して脱着できる。なお、検出用線体6は、検知器本体2に対して脱着可能な構成に限定されず、その基端部が検知器本体2に固定され、検知器本体2から延出されている構成も採用可能である。
【0059】
図16(a)、(b)、図17に示すように、挿入線部62は、帯状に形成されたフレキシブル配線基板621の片面(配線624が形成されている面)にオーバーレイ層622を形成してなる、全体として可撓性の線体(線条体)に構成されている。
前記挿入線部62のフレキシブル配線基板621は、帯状のベースフィルム623(例えばポリイミドフィルム)の片面(配線形成面625)に、2本の配線624を該ベースフィルム623の長手方向全長にわたって互いに並行に形成したものである。2本の配線624は互いに離隔させて設けられている。
【0060】
挿入線部62のオーバーレイ層622は、ここでは、樹脂フィルム(オーバーレイフィルム。例えばポリイミドフィルム等)をフレキシブル配線基板621の前記配線624が形成されている面に被着して構成したものである。
但し、オーバーレイ層622としては、フレキシブル配線基板621に被着したオーバーレイフィルムに限定されず、例えば、液状樹脂材料の塗布及び硬化によって形成した塗膜であっても良い。
【0061】
前記オーバーレイ層622は、フレキシブル配線基板621に対してそのほぼ全長にわたって積層するようにして形成されている。
この挿入線部62にあっては、前記フレキシブル配線基板621のベースフィルム623と前記オーバーレイ層622とが、前記配線624を覆う電気絶縁性の外装被覆(挿入線部外装被覆)を構成している。
【0062】
但し、図16(a)、(b)に示すように、ここで説明する前記挿入線部62のオーバーレイ層622(ここではオーバーレイフィルム)は、フレキシブル配線基板621の長手方向両端を除く部分に設けられており、フレキシブル配線基板621の長手方向両端には設けられていない。
挿入線部62は、その長手方向両端に、フレキシブル配線基板621のベースフィルム623の配線形成面625のオーバーレイ層622によって覆われていない露出部分である配線露出面626、627を有する。
なお、2つの配線露出面626、627について、以下、挿入線部62の基端部側の配線露出面626を基端側配線露出面、先端部側の配線露出面627を先端側配線露出面とも言う。
【0063】
図16(a)、(b)に示すように、フレキシブル配線基板621の2本の配線624は、挿入線部62の長手方向両端の配線露出面626、627にも形成されている。
この挿入線部62は、その長手方向両端部に配線624(詳しくは、配線624の配線露出面626、627に形成された部分)の露出部分を有する構成になっている。
前記配線624の基端側配線露出面626に形成されている部分は、配線624を、接続線体63に設けられている接続用導体(具体的には芯線631。図17参照)と電気導通可能に接続するための接続端子部624aを構成している。
また、図16(a)、(b)、図18(a)に示すように、挿入線部62は、その先端部に、前記2本の配線624の先端側配線露出面627に形成された部分である通電端子部626が互いに離隔させて配置されてなる検出部641を有している。
【0064】
図17に示すように、接続線部63は、2本の芯線631を電気絶縁性の合成樹脂製被覆である外装被覆632内に互いに並行に埋め込んで一括被覆した構成の可撓性の線体(線条体)である。また、図15に示すように、検出用線体6の前記接続コネクタ633は、この接続線部63の基端部に取り付けられている。前記芯線631は、導電性の金属線(単線あるいは撚り線)であり、前記接続コネクタ633に電気的に接続されている。そして、前記芯線631は、検出器本体2のコネクタ部21に接続された前記接続コネクタ633を介して、検出器本体2の電圧印加部22(図14参照)及び通電検知部23と電気的に接続されている。検出用線体6、線体本体61において、接続線体63の2本の前記芯線631は、前記挿入線部62の2本の配線624を検知器本体2の電圧印加部22、通電検知部23に電気導通可能に接続するための接続用導体として機能する。
【0065】
図17に示すように、検出用線体6の線体本体61は、接続線部63の先端部に口出しした前記芯線631の先端部を挿入線部62の前記接続端子部624aに半田付けして、接続線部63の芯線631(接続用導体)と挿入線部62の配線624とを電気導通可能に接続した構成になっている。接続線部63の芯線631は、挿入線部62の2本の配線624に対して1本ずつ接続される。互いに接続された接続線部63の芯線631(接続用導体)と挿入線部62の配線624とは、検出用線体6、線体本体61の長手方向全長にわたって延在する通電検出用導体部を構成する。検出用線体6、線体本体61は、2本の通電検出用導体部が、その長手方向全長にわたって設けられた構成となっている。
【0066】
図14、図15、図17に示すように、図示例の線体本体61では、ゴム等の伸縮性材料からなる収縮チューブ628を用いて接続線部63と挿入線部62との接続部を覆って保護している。収縮チューブ628は、その内側に収納した接続線部63の先端部と挿入線部62の基端部とを該収縮チューブ628自体の収縮力によって締め付けるようにして保持しており、接続線部63と挿入線部62とを連結する連結部材としての機能も果たす。また、収縮チューブ628は、接続線部63と挿入線部62との接続部の防水性を確保する機能も果たす。
【0067】
図17に示すように、図示例の挿入線部62のフレキシブル配線基板621(具体的にはベースフィルム623)は、具体的には、その長手方向の片端(基端部)が他の部分(帯状部)に比べて幅広に形成された幅広部623aとされている。挿入線部62の基端側配線露出面626は前記幅広部623aに設けられている。
また、基端側配線露出面626には、挿入線部62の他の部分に比べて配線624を幅広に形成したランド部が形成されており、このランド部が配線624の接続端子部624aとされている。しかも、基端側配線露出面626では、挿入線部62の他の部分に比べて2本の配線624(接続端子部624a)間の離隔距離を大きくしてある。
このような挿入線部62の構成は、接続線体63の芯線631の配線624に対する半田付けの作業性を良好にすることに寄与するものである。
【0068】
前記検出用線体6は、検知器本体2のコネクタ部21に対する前記接続コネクタ633の接続によって、2本の通電検出用導体部が、検知器本体2内の電気回路を介して検知器本体2の電圧印加部22及び通電検知部23に電気的に接続されている。
この実施形態の光クロージャ用浸水検知器1Aでは、接続線体63の長手方向全長にわたって設けられている線状の接続用導体631(導電性の金属線。後述)を介して、検知器本体2の電圧印加部22(図14参照)によって、前記検出部641の一対の通電端子部626間に電圧を印加することができる。この光クロージャ用浸水検知器1Aは、電圧印加部22によって検出用線体6の一対の通電端子部626間(通電検出用導体部間)に電圧(電位差)を印加した状態において一対の通電端子部626が水に接触し、通電端子部626間(通電検出用導体部間)が前記水を介して通電したことを検知器本体2の通電検知部23(図14参照)にて検知したときに、報知情報出力部24が報知情報(通電を検知したことを報知するための情報)を出力する構成となっている。
【0069】
図16(a)、(b)において、符号624c、624dは、配線624の長手方向両端部に設けられた金めっきである。配線624は金めっき624c、624dを含む。
挿入線部62のフレキシブル配線基板621の配線624は、詳細には、フレキシブル配線基板621のパターニングされた銅層である銅配線624e(配線本体)と、この銅配線624eの長手方向両端部に形成された前記金めっき624c、624dとを有する構成になっている。
金めっき624c、624dは、配線624の前記基端側配線露出面626、先端側配線露出面627に位置する部分(露出部分)の全長に設けられている。接続端子部624a及び通電端子部624bは前記金めっきを表層とするものであり、その表面全体がこの表層の金めっきによって形成されている。通電端子部624bの金めっき624dは、通電端子部624bの表層を形成する端子用表層めっきとして機能する。
【0070】
接続端子部624a及び通電端子部624bは耐食性に優れる導電性の金属めっきである金めっきを表層とする構成であり、優れた耐食性を確保できる。接続端子部624a及び通電端子部624bの腐食防止により、腐食に起因する電気抵抗の増大が光クロージャ用浸水検知器1Aの浸水検知精度に影響を与えることを防止できる。これにより、浸水検知精度の長期安定化の実現に有効に寄与する。
【0071】
配線624に設けられる耐食性に優れる導電性の金属めっきとしては、前記金めっきにかえて、例えば白金めっきを採用することも可能である。
また、本発明は、接続端子部624a及び通電端子部624bの一方又は両方を、金めっきあるいは白金めっきを具備せず、前記銅配線624eのみによって形成した構成を排除するものではなく、接続端子部624a及び通電端子部624bの一方又は両方が銅配線624eのみで形成されたものとした構成も含む。
【0072】
また、挿入線部62において、前記配線624のオーバーレイ層622によって覆われた部分は、フレキシブル配線基板621のベースフィルム623と前記オーバーレイ層622とが防水被覆として機能することにより、水の接触が防止されている。このため、挿入線部62を水中に挿入しても、前記配線624のオーバーレイ層622によって覆われた部分に水が接触することは無い。
【0073】
なお、本発明に係る挿入線部62としては、図17に例示したような幅広部623aを有するフレキシブル配線基板621(具体的にはベースフィルム623)を採用した構成に限定されず、幅広部623aを有していないフレキシブル配線基板を採用することも可能である。
また、挿入線部62の配線624と接続線部63の芯線631とを電気的に接続するための構成としては特に限定は無く、上述の半田付けに限定されない。例えばコネクタ接続によって行うことも可能である。コネクタ接続の場合、挿入線部62の基端部に取り付けたコネクタ(挿入線部側コネクタ)と、接続線部63の先端部に取り付けたコネクタ(接続線部側コネクタ)との嵌合によって、挿入線部62の配線624と接続線部63の芯線631とが電気的に接続されるようにする。また、挿入線部側コネクタの接続線部側コネクタに対する脱着によって、挿入線部を接続線部に対して着脱可能とすることが好ましい。
【0074】
接続線部63としては、2本の芯線631を電気絶縁性の合成樹脂製被覆である外装被覆632内に互いに並行に埋め込んで一括被覆した構成に限定されず、例えば、一対の絶縁電線を樹脂チューブ内に収納した構成などであっても良い。
この場合、絶縁電線の絶縁被覆内の導体(芯線)を接続線部の芯線、通電検出用導体部の一部として機能させることができる。
【0075】
また、検出用線体の検出部としては、フレキシブル配線基板621の2本の配線624の先端を挿入線部62の先端部の互いに離隔する位置に露出させた構成であれば良く、この点、フレキシブル配線基板621の先端部に先端側配線露出面627を形成し、フレキシブル配線基板621の2本の配線624の先端側配線露出面627に形成された部分を通電端子部626として機能させる構成に限定されない。例えば、フレキシブル配線基板621の2本の配線624の先端面のみを挿入線部62の先端部に露出させた構成としても良い。
【0076】
次に、検出ヘッド部64について説明する。
図18(a)、(b)に示すように、線体本体61は、その先端部(挿入線部62の先端部)に、該先端部の重量増加用の錘部642と前記検出部641とを具備してなる検出ヘッド部64を有している。検出ヘッド部64は、線体本体61先端部(検出部641を含む)に錘部642を設けてなるものである。
図18(a)、(b)に示す検出ヘッド部64において、前記錘部642は具体的には、線体本体61の先端部(具体的には挿入線部62の先端部)に外挿した金属スリーブである。以下、錘部642が金属スリーブを指す場合、金属スリーブとも言う。金属スリーブ642の形成材料は第1実施形態にて説明した金属スリーブ352と同じものを採用できる。
【0077】
図18(a)、(b)に示すように、金属スリーブ642は、挿入線部62の先端部に外挿された2つのリング643の間に配置されている。金属スリーブ642の両側の前記リング643は、それぞれ挿入線部62に該挿入線部62の長手方向への位置ずれを生じないように取り付けられている。金属スリーブ642は、その両側のリング643によって、挿入線部62の長手方向(換言すれば、検出用線体6の長手方向、線体本体61の長手方向)における位置ずれが規制されている。
なお、リング643も検出ヘッド部64の構成部材として機能する。
また、金属スリーブ642及び2つのリング643の挿入線部62に対する取り付け位置は、挿入線部62先端の配線露出面627が形成されている部分よりも基端部側(検知器本体2側)とする。
【0078】
ここでは、前記リング643として、ゴム等の伸縮性材料からなる収縮チューブを採用している。この収縮チューブは、該収縮チューブ自体の締め付け力によって挿入線部62の先端部に、挿入線部62の長手方向における位置ずれを規制して取り付けられる。また、接着剤を用いて挿入線部62に接着固定しても良い。
また、前記リング643としては、上述の収縮チューブにかえて熱収縮チューブを用いても良い。
なお、リング643としては、挿入線部62の長手方向への金属スリーブ642の位置ずれを防止する点で、金属スリーブ642の内径よりも大きい外径を確保できるものを採用することは言うまでも無い。
【0079】
また、挿入線部62の長手方向における金属スリーブ642の位置ずれを防止する手法としては、例えば、接着剤を用いて金属スリーブ642を挿入線部62に接着固定したり、金属スリーブ642を挿入線部62にカシメ固定するといった手法も採用可能である。
また、検出ヘッド部としては、第1実施形態にて図11を参照して説明した検出ヘッド部の別態様と同様に、金属スリーブにかえて、該金属スリーブをその長手方向の複数箇所で分割した形状の複数の金属リングを挿入線部62に外挿して錘部として用いる構成も採用可能である。
【0080】
この光クロージャ用浸水検知器1Aを用いて、光クロージャ4のクロージャスリーブ41内の浸水を検知するには(光クロージャの浸水検知方法)、検出用線体6を、光クロージャ4の外側から、光クロージャ4のクロージャスリーブ41の加圧バルブ43のバルブ孔432に送り込んでクロージャスリーブ41内に挿入する。検出用線体6は、その先端側(検出ヘッド部64、検出部641の側)から光クロージャ4のクロージャスリーブ41の加圧バルブ43のバルブ孔432に送り込んでいく。
【0081】
この際、電圧印加部22によって、検出用線体6の一対の通電端子部626間(通電検出用導体部間)に電圧(電位差)を印加しておく。これにより、クロージャスリーブ41内に挿入した検出用線体6の先端部の検出部641の一対の通電端子部626がクロージャスリーブ41内に溜まっていた水に接触して、検出部641の通電端子部626間(通電検出用導体部間)がクロージャスリーブ41内の水を介して通電したことを検知器本体2(詳細には検知器本体の通電検知部23。図14参照)にて検知すると、報知情報出力部24が報知情報(通電を検知したことを報知するための情報)を出力する。
【0082】
検出ヘッド部64の錘部642は、加圧バルブ43のバルブ孔432からクロージャスリーブ41内に挿入した検出用線体6のクロージャスリーブ41内に挿入された部分が、クロージャスリーブ41の貫通孔421から下方に垂れ下がった状態を確実に得る機能、検出用線体6の先端部の検出ヘッド部64を検出部641が下端となる向きにする機能を果たす。
【0083】
この光クロージャ用浸水検知器1Aの検出用線体6の挿入線部62は、フレキシブル配線基板621の片面にオーバーレイ層622を形成した構成であり、配線624を覆うために、フレキシブル配線基板621のベースフィルム623及びオーバーレイ層622として厚さが100μm以下のものを使用して製造することが可能であり、細く形成することが容易である。また、可撓性の確保も容易であり、優れた可撓性を有する挿入線部62を容易に得ることができる。
【0084】
フレキシブル配線基板621のベースフィルム623及びオーバーレイ層622(ここではオーバーレイフィルム)の厚さは20〜80μmであることが好適であり、より好ましくは40〜60μmである。ベースフィルム623の幅広部623a以外の部分(帯状部)及びオーバーレイ層622の幅(幅寸法)は、 〜 μmであることが好適である。
配線624の銅配線624e部分の厚さは40〜60μmであることが好適である。
また、挿入線部62は、フレキシブル配線基板621の片面にオーバーレイ層622を形成した部分が、長さ 〜 mm程度の線条体を構成することが好ましい。
【0085】
また、ここで例示する挿入線部64は、図17に例示したように、オーバーレイ層622の幅寸法を、フレキシブル配線基板621のベースフィルム623の幅寸法と同じに揃えて、フレキシブル配線基板621の片面にオーバーレイ層622を形成した部分が配線624を内蔵する線条体を構成しているものであるが、本発明に係る挿入線部としてはこれに限定されない。オーバーレイ層622は、配線624を覆うように形成されていれば良いので、例えば、オーバーレイ層の幅寸法がフレキシブル配線基板621のベースフィルム623の幅寸法よりも若干小さい、あるいは、若干大きい構成も採用可能である。
【0086】
上述の寸法範囲のベースフィルム623及びオーバーレイ層622を用いて構成した挿入線部62の先端部に、リング643を用いて金属スリーブ642を取り付けて検出ヘッド部64を組み立てた試験片を作成し、挿入線部64の前記検出ヘッド部64よりも基端側の部分を水平に支持しこの水平支持した部分から前記検出ヘッド部64を含む先端側(挿入線部64の先端側)を垂れ下げ、錘部の重量による曲げ状態を確認した所、検出ヘッド部64に錘部として重さ1gの金属スリーブ642を設ければ、挿入線部64を10mm以下の曲げ半径で湾曲させることができることを確認できた。
【0087】
この光クロージャ用浸水検知器1Aによれば、検出用線体6の内、挿入線部64及びその先端の検出ヘッド部64の部分を、光クロージャ4のバルブ孔432からクロージャスリーブ41に挿入する検出用挿入部として好適に用いることができる。
挿入線部62は細く形成することが容易であるため、その結果、検出ヘッド部の構成部材のサイズの小型化、検出ヘッド部全体の小型化も容易に実現できる。
また、挿入線部62は製造が容易であり、例えば50cm以上の長さのものも簡単に得ることができる。第1実施形態に例示した光クロージャ用浸水検知器1の検出用線体3の場合は、挿入部の長さが長いほど、第1チューブ311内に絶縁電線32を挿通する作業が難しくなってくるが、本実施形態のように、フレキシブル配線基板621の片面にオーバーレイ層622を形成した構成の挿入線部62であれば、長さが長いものでも容易に製造できる。この点、この光クロージャ用浸水検知器1Aの検出用線体6については、その長手方向全長を挿入線部とすることも容易である。
【0088】
第2実施形態の光クロージャ用浸水検知器において、検出用線体の挿入線部の配線624の本数、通電検出用導体部の本数は、2本に限定されず、3本以上であっても良い。
【0089】
なお、本発明は、上述の実施形態に例示した構成に限定されず、適宜、変更が可能であることは言うまでもない。
(a)上述の実施形態では、端面板の上部に加圧バルブが設けられた構成のクロージャスリーブを具備する光クロージャを例示したが、本発明の適用対象の光クロージャはこれに限定されず、例えば、クロージャスリーブのスリーブ本体の上部に加圧バルブを備えた構成のものであっても良い。この場合、クロージャスリーブ内に設置する検出用線体誘導部材は、バルブ孔432、貫通孔421からクロージャスリーブ41の内部空間Sに導入した検出用線体3を下方へ誘導していくために、バルブ孔(貫通孔421)のクロージャスリーブ41内側における開口部付近から下方へ垂下するように設置する。
(b)検知器の検出用線体を、クロージャスリーブの外側からクロージャスリーブの内部空間へ導入するための貫通孔としては、上述のバルブ孔に限定されない。
例えば、ドロップケーブルの導入用の貫通孔や、検出用線体の挿入用にクロージャスリーブに設けた専用の貫通孔等であっても良い。但し、いずれの貫通孔も、光クロージャの水密性の確保の点で、例えば、抜き出し可能な接栓等によって、開閉できる構成のものを採用することが好ましい。また、加圧バルブについては、バルブ体が、バルブ孔を開閉するための接栓として機能するものと言える。
(c)検出ヘッド部の構造は、上述した実施形態の構成に限定されない。
錘部、検出部の具体的構成も、上述した実施形態に限定されない。
本発明において、検出ヘッド部は、線体本体先端部(検出部を含む)に錘部を設けた構造とした部分を指す語である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係る第1実施形態の光クロージャ用浸水検知器の使用状態を示す図である。
【図2】図1の光クロージャ用浸水検知器の構成を示す全体斜視図である。
【図3】図1の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体の構成を模式的に示す図である。
【図4】図1の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体先端部の検出ヘッド部の構造の一例を示す断面図である。
【図5】図1の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体先端部の検出ヘッド部の検出部の構造の一例を示す断面図である。
【図6】図6の検出ヘッド部の構造を示す分解斜視図である。
【図7】図1の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体を光クロージャ内に挿入した状態を示す図である。
【図8】光クロージャのクロージャスリーブの端面板における加圧バルブとクロージャスリーブ内のケーブル把持部品との相対的な位置関係を示す図である。
【図9】図1の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体の検出用コードの断面構造の一例を示す図である。
【図10】別態様の検出ヘッド部を示す斜視図である。
【図11】別態様の検出ヘッド部を示す斜視図である。
【図12】(a)、(b)は、クロージャスリーブ内に検出用線体誘導部材を設置した構成の光クロージャの一例を示す図である。
【図13】(a)、(b)は、クロージャスリーブ内にチューブ状の検出用線体誘導部材を設置した構成の光クロージャの一例を示す図である。
【図14】本発明に係る第2実施形態の光クロージャ用浸水検知器の構成を示す全体斜視図である。
【図15】図14の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体の挿入線部の構造を示す図である。
【図16】図15の検出用線体の線体本体の挿入線部の構造を説明する図であって(a)は前記挿入線部をオーバーレイ層を透視して示した平面図、(b)は前記挿入線部を示す正面図である。
【図17】図15の検出用線体の線体本体の挿入線部と接続線部との接続部の構造を示す拡大斜視図である。
【図18】図15の検出用線体の検出ヘッド部の構造の一例を示す図であって、(a)は分解斜視図、(b)は断面図である。
【符号の説明】
【0091】
1、1A…光クロージャ用浸水検知器、2…検知器本体、21…コネクタ部、22…電圧印加部、23…通電検知部、24…報知情報出力部、241…報知情報出力部(ディスプレイ)、242…報知情報出力部(ブザー)、25…筐体、25a…窓部、3…検出用線体、31…樹脂チューブ(外装被覆)、311…第1チューブ、312…第2チューブ、313…チューブ接続部、32…絶縁電線、32a…延出部、32b…絶縁被覆、32c…線状導体(導体)、33…線体本体、検出用コード、34…接続コネクタ、35、35A、36…検出ヘッド部、351…検出部、352…錘部(金属スリーブ)、353…リング、354…電線固定部材(収縮チューブ)、355…錘部(金属リング)、361…検出部、362…錘部、4、4A…光クロージャ、41…クロージャスリーブ、411…スリーブ本体、411a、411b…スリーブ分割体、412…ロック片、42…端面板、421…バルブ組み込み孔、422…貫通孔、42a、42b…端面板分割体、43…加圧バルブ、431…本体スリーブ、432…バルブ孔、433…バルブ体、434…ねじ、44…ケーブル固定具、45、45a、45b…検出用線体誘導部材、45c…検出用線体誘導部材(透水性チューブ)、46…線体誘導路、5…光ファイバケーブル、51…光ファイバ心線、6…検出用線体、61…線体本体、62…挿入線部、621…フレキシブル配線基板、622…オーバーレイ層(オーバーレイフィルム)、623…ベースフィルム、624…配線、624a…接続端子部、624b…通電端子部、624c、624d…金めっき、624e…銅配線(配線本体)、625…配線形成面、626、627…配線露出面、628…収縮チューブ、63…接続線部、631…芯線、632…絶縁被覆、633…接続コネクタ、64…検出ヘッド部、641…検出部、642…錘部(金属スリーブ)、643…リング、S…クロージャスリーブの内部空間。
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール内等に設けられる地下設置用の光クロージャ内の浸水検知に好適な光クロージャ用浸水検知器であり、特に、光クロージャ内の浸水の水位を確認できる光クロージャ用浸水検知器、光クロージャの浸水検知方法、前記光クロージャ用浸水検知器、前記光クロージャの浸水検知方法の適用に好適な光クロージャに関する。
【背景技術】
【0002】
マンホール内等に設けられる地下設置用の光クロージャ内の浸水検知技術としては、クロージャ内に設置した浸水検知センサによって浸水を検知するものが多く採用されている(例えば、特許文献1、2)。
前記浸水検知センサとしては、光クロージャに引き込まれた光ファイバケーブル内の光ファイバの中から浸水検知用に割り当てたもの(浸水検知用光ファイバ)を利用した構成が多く採用されている。例えば、吸水膨潤材がクロージャ内の浸水発生時に膨らむことによって浸水検知用光ファイバに曲げを与える構成のものや、クロージャ内の浸水で浮上する浮きの浮力によって浸水検知用光ファイバに曲げを与える構成のもの(特許文献2)等が提案されている。そして、前記浸水検知センサは、例えば、局舎等から浸水検知用光ファイバに入射した入射光の戻り光を観測する浸水検知システムや、浸水検知用光ファイバに別の光ファイバを接続してループ状に構成した検出用光線路の一端から入射した入射光の光パワーを前記検出用光線路の他端にて観測する浸水検知システムに適用されて、クロージャ内の浸水発生時に、浸水検知用光ファイバに曲げ損失を与える。このような浸水検知システムにおいては、クロージャ内の浸水発生時に、前記浸水検知センサが浸水検知用光ファイバに曲げ損失を与えることによって、上述の戻り光や光パワーの観測値が変化するため、浸水発生を検知できる。
【特許文献1】特開2006−139195号公報
【特許文献2】特開2000−258225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、回線増設、切り替え、光クロージャのメンテナンス等のために、光クロージャ内の作業を行う際に、クロージャ内に溜まっている水の量が多いと、クロージャを開放したときに、クロージャから一挙に流出する水流によってクロージャ内の光ファイバ心線が押し動かされ、折損するケースがある、といった問題が判明してきた。
しかしながら、これまで、クロージャ内の水量を簡便に知ることができる、適切な技術は存在せず、上述の折損の問題の解消が容易でないことが実情であった。
【0004】
上述した浸水検知センサは、浸水発生を出来るだけ迅速に把握するために、クロージャの底部に設置されることが普通である。このため、浸水発生を迅速に検知できるものの、クロージャ内の水量の把握は出来ない。
また、上述の浸水検知センサを、クロージャ内にて上下方向の位置を互いに異ならせて複数設置する等の対策も考えられるが、このようなセンサ配置を適用していない既設のクロージャについてクロージャ内の水量を把握できる訳ではないため、別途、対策を要する。また、クロージャ内の限られたスペースに浸水検知センサを複数設置することは作業に手間が掛かる上、設置したセンサが回線増設、切り替え等の作業の邪魔になる、コストが掛かるといった問題もある。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みて、クロージャの外側からクロージャ内に溜まっている水量を簡単に知ることができる、光クロージャ用浸水検知器、光クロージャの浸水検知方法、前記光クロージャ用浸水検知器、前記光クロージャの浸水検知方法の適用に好適な光クロージャの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、光クロージャ用浸水検知器であって、検知器本体と、この検知器本体から延び、光クロージャのクロージャスリーブの上部に形成された貫通孔に通すことで前記クロージャスリーブ内に挿入される検出用線体とを具備し、前記検出用線体は、前記検知器本体から延出する可撓性の線条体である線体本体の先端部に該先端部の重量増加用の錘部を設けた構成とされ、前記線体本体はその長手方向全長にわたって延在する複数本の通電検出用導体部が外装被覆に収納され、その先端に前記通電検出用導体部の露出部分である通電端子部を互いに離隔させて配置してなる検出部を具備し、前記検知器本体は、前記検出用線体の前記線体本体の前記通電検出用導体部間に電圧を印加する前記電圧印加部と、この電圧印加部によって電圧を印加した前記通電検出用導体部間の通電を検知する通電検知部と、この通電検知部が前記通電検出用導体部間の通電を検知したときに出力する検知信号に基づいて報知情報を出力する報知情報出力部とを具備することを特徴とする光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第2の発明は、前記検出用線体の前記線体本体は、その先端側に、帯状に形成されたフレキシブル配線基板にそのベースフィルムの片面に前記通電検出用導体部の一部又は全部として形成された配線を覆うオーバーレイ層が設けられてなる可撓性の挿入線部を有し、前記挿入線部は前記フレキシブル配線基板の前記ベースフィルムと前記オーバーレイ層とが前記フレキシブル配線基板の長手方向全長にわたって延在形成された複数本の前記配線を収納する電気絶縁性の外装被覆である挿入線部外装被覆を構成しており、前記配線の前記挿入線部先端に露出された部分が前記検出部の前記通電端子部とされていることを特徴とする第1の発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第3の発明は、前記検出用線体の前記線体本体は、前記挿入線部と、この挿入線部の前記フレキシブル配線基板の前記配線を前記検知器本体の前記電圧印加部に電気導通可能に接続する接続用導体を有する接続線部とを具備し、前記フレキシブル配線基板の前記配線と前記接続線部の前記接続用導体とが前記通電検出用導体部を構成することを特徴とする第2の発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第4の発明は、前記接続線部の前記接続用導体は前記接続線部の長手方向全長にわたって延在する線状に形成され、前記接続線部は、前記接続用導体を、前記挿入線部の前記基端部に露出させた前記配線に半田付けして前記挿入線部に接続されていることを特徴とする第3の発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第5の発明は、前記オーバーレイ層は、前記フレキシブル配線基板の長手方向両端部を除く部分に積層して設けられ、前記フレキシブル配線基板の前記ベースフィルムの前記配線が形成されている面である配線形成面を前記挿入線部の前記先端部に露出させた部分である先端側配線露出面に前記通電端子部が設けられ、前記配線の内、前記配線形成面を前記挿入線部の前記基端部に露出させた部分である基端側配線露出面に位置する部分である接続端子部に前記接続線部の前記接続用導体が半田付けされていることを特徴とする第3又は4の発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第6の発明は、前記配線は、前記通電端子部の表層として、金めっきあるいは白金めっきである端子用表層めっきを有することを特徴とする第2〜5のいずれかの発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第7の発明は、前記検出用線体の前記線体本体が、絶縁電線を前記外装被覆である樹脂チューブ内に複数本収納してなり、前記検出部が、前記絶縁電線の前記樹脂チューブの先端から延出させた部分の絶縁被覆をそれぞれ除去して該絶縁電線の芯線を露出させた部分である前記通電端子部を互いに離隔して配置した構成であり、前記絶縁電線は前記線体本体の長手方向全長にわたって設けられ、前記絶縁電線の前記芯線が前記検出用線体の長手方向全長にわたって延在する前記通電検出用導体部の一部又は全部を構成していることを特徴とする第1の発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第8の発明は、前記線体本体の先端部に、前記絶縁電線を固定して前記通電端子部が互いに離隔した状態を維持するための電線固定部材が設けられていることを特徴とする第7の発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第9の発明は、前記絶縁電線が、単線のエナメル線であることを特徴とする第7又は8の発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第10の発明は、前記樹脂チューブはその長手方向の一部又は全体がポリ4フッ化エチレン重合体製チューブによって形成され、前記線体本体はその先端部を含む長手方向の一部又は全部が前記ポリ4フッ化エチレン重合体製チューブ内に前記絶縁電線を収納した構成の挿入部とされていることを特徴とする第7〜9の発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第11の発明は、前記錘部が、前記線体本体に外挿された金属スリーブによって構成されていることを特徴とする第1〜10のいずれかの発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第12の発明は、前記検知器本体は携帯可能であることを特徴とする第1〜11のいずれかの発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第13の発明は、前記光クロージャのクロージャスリーブの前記貫通孔の一部又は全部が、光クロージャのクロージャスリーブに設けられている加圧気体封入用の加圧バルブに貫設されたバルブ孔によって構成され、前記加圧バルブの前記バルブ孔から該バルブ孔内に組み込まれているバルブ体を抜き出して前記バルブ孔を開放することで前記貫通孔が開放されるようになっていることを特徴とする第1〜12のいずれかの発明の光クロージャ用浸水検知器を提供する。
第14の発明は、クロージャスリーブに加圧気体封入用の加圧バルブが設けられている光クロージャ内の浸水を検知する光クロージャの浸水検知方法であって、前記加圧バルブから該加圧バルブ内に組み込まれているバルブ体を抜き出して、前記加圧バルブを貫通して前記クロージャスリーブの内外に連通する貫通孔を開放した後、請求項1〜13のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体を、その先端部から前記貫通孔に送り込んで前記クロージャスリーブ内に挿入し、前記光クロージャ用浸水検知器の検知器本体の電圧印加部によって、前記検出用線体の前記通電検出用導体部間に電圧を印加することを特徴とする光クロージャの浸水検知方法を提供する。
第15の発明は、クロージャスリーブの上部に、第1〜13のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体を挿通できる、開閉可能な貫通孔を有する光クロージャであって、前記クロージャスリーブ内に、前記貫通孔からクロージャスリーブ内に挿入された前記検出用線体を前記貫通孔から下方へ誘導するための検出用線体誘導部材が設けられていることを特徴とする光クロージャを提供する。
第16の発明は、前記貫通孔が、光クロージャのクロージャスリーブの上部に設けられている加圧バルブから該加圧バルブ内に組み込まれているバルブ体を抜き出して開放したバルブ孔であることを特徴とする第16の発明の光クロージャを提供する。
【0007】
本発明によれば、クロージャスリーブ内の浸水の有無を調べるには、光クロージャのクロージャスリーブの上部に形成された貫通孔を利用して、検出用線体をクロージャスリーブ内に挿入する。
前記貫通孔としては、例えば、地下設置用の光クロージャに一般的に備えられている加圧試験用のバルブ(加圧バルブ)のバルブ孔を挙げることができる。このバルブ孔は、加圧バルブ内に組み込まれているバルブ体を加圧バルブから抜き出すことで、開放することができる。本発明が対象とする加圧バルブ付きの光クロージャとしては、前記バルブ孔がクロージャスリーブの上部の貫通孔、つまりクロージャスリーブの内外に連通する貫通孔が開放され、検出用線体を、クロージャスリーブの外側からバルブ孔を介してクロージャスリーブ内に挿入できるようになっているものである。
【0008】
検出用線体は、検出部が設けられている先端部側から貫通孔に通してクロージャスリーブ内に挿入していく。検出用線体の先端部(検出器本体が設けられている基端部とは反対側の端部)は、前記線体本体の先端部に該先端部の重量増加用の前記錘部が設けられた構成(以下、検出ヘッド部とも言う)であり、検出ヘッド部はクロージャスリーブ内にて錘部の重量によって円滑に下降させることができる。
【0009】
検出用線体の複数本の通電検出用導体部間には検知器本体の電圧印加部によって電圧(電位差)を印加することができる。
検出ヘッド部の検出部が、クロージャスリーブ内に溜まっていた水に接触し、検出部の通電端子部間(通電検出用導体部間)がクロージャスリーブ内の水を介して通電したことを検知器本体(詳細には検知器本体の通電検知部)にて検知すると、報知情報出力部が報知情報(通電を検知したことを報知するための情報)を出力する。これにより、光クロージャ用浸水検知器を使用する作業者が、クロージャスリーブ内に溜まっている水の有無、水の水位を知ることができる。
クロージャスリーブ内に溜まっている水の水位は、クロージャスリーブ内に挿入した検出用線体の長さ(挿入長)によって把握できる。したがって、クロージャスリーブを解体しなくても、光クロージャの外側から光クロージャ内に溜まっている水量を簡単に知ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、既設の光クロージャのクロージャスリーブの上部に形成された貫通孔を利用して、検出用線体をクロージャスリーブ内に挿入することで、クロージャスリーブを解体しなくても、クロージャスリーブ内の浸水の有無、水量を調べることができる。
また、本発明に係る光クロージャにあっては、クロージャスリーブ内に挿入した検出用線体を、検出用線体誘導部材によって、クロージャスリーブの上部の貫通孔から下方へ誘導することができ、検出用線体先端部の検出ヘッド部を貫通孔から下方へ下降させていく作業を円滑に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施した光クロージャ用浸水検知器、光クロージャの浸水検知方法、光クロージャについて、図面を参照して説明する。
【0012】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は光クロージャ用浸水検知器1の使用状態を示す図、図2は光クロージャ用浸水検知器1の構成を示す全体斜視図、図3は光クロージャ用浸水検知器1の検出用線体3の構成を模式的に示す図、図4は検出用線体3の検出ヘッド部35の構造の一例を示す断面図、図5は検出ヘッド部35の検出部351の構造の一例を示す断面図、図6は検出ヘッド部35の構造を示す分解斜視図、図7は検出用線体3を光クロージャ4内に挿入した状態を示す図、図8は光クロージャ4のクロージャスリーブ41の端面板42における加圧バルブ43とクロージャスリーブ41内のケーブル把持部品44との相対的な位置関係を示す図である。
【0013】
図1、図2に示すように、光クロージャ用浸水検知器1(以下、単に、検知器、とも言う)は、作業者が携帯可能な検出器本体2と、この検出器本体2から延出する検出用線体3とを具備する。
この検知器1は、マンホール内等に設けられる地下設置用の光クロージャ4内の浸水検知に用いることができるものである。特に、光クロージャ4内に溜まった水の水位(水量)の確認が可能である(後述)点で好適である。以下、地下設置用の光クロージャ4、特に、加圧試験用のバルブ43(以下、加圧バルブとも言う)を具備する光クロージャ4内の浸水検知に適用する場合について説明する。
【0014】
図7に示すように、検出用線体3は、光クロージャ4のクロージャスリーブ41の端面板42の上部に設けられている加圧バルブ43のバルブ孔432に通すことで、光クロージャ4(詳細にはクロージャスリーブ41)の外側からクロージャスリーブ41内に挿入できる。
【0015】
図7、図8等に示すように、図示例の光クロージャ4のクロージャスリーブ41は、半割り円筒状のスリーブ本体411と、このスリーブ本体411の軸心方向両端を塞ぐための端面板42とで構成されている。
図7、図8において、符号411a、411bは、半割り円筒状のスリーブ本体411を構成する一対のスリーブ分割体である。符号412は、一対のスリーブ分割体411a、411bに締結力を作用させてスリーブ本体411及びクロージャスリーブ41全体の一体化状態を維持するロック片である。ロック片412による締結力を解除すると、一対のスリーブ分割体411a、411bの間を開放できる。
端面板42は、半円状の一対の端面板分割体42a、42bを一体化してなる半割り円板状の部材である。この端面板42は、ロック片412の締結力によって、スリーブ本体411の一対のスリーブ分割体411a、411bの間に挟み込まれることで、一対の端面板分割体42a、42bが一体化された状態が維持される。
なお、本発明を適用可能なクロージャスリーブ41としては、スリーブ本体411とは別体の端面板42を具備する構成に限定されず、例えば、スリーブ本体411の一対のスリーブ分割体411a、411bに、それぞれ、端面板42の一対の端面板分割体42a、42bの片方が一体化された構成のものも採用可能である。
【0016】
加圧バルブ43は、端面板42(詳細には、一対の端面板分割体42a、42bの片方。符号42aの端面板分割体)に組み込まれた本体スリーブ431の内側を貫通する貫通孔であるバルブ孔432内に、バルブ体433(いわゆる虫ゴム)を組み込んだ構造になっている。加圧バルブ43の本体スリーブ431は、端面板42をその厚み方向に貫通するバルブ組み込み孔421内に組み込んで端面板42に固定されている。
【0017】
図示例の光クロージャ4にあっては、クロージャスリーブ41のバルブ組み込み孔421において加圧バルブ43の本体スリーブ431が収納されている範囲は、バルブ組み込み孔421の全体ではなく、バルブ組み込み孔421の中心軸線方向の一部である。また、加圧バルブ43の本体スリーブ431は、クロージャスリーブ41の端面板42からクロージャスリーブ41の外側に突出する部分を有している。加圧バルブ43のバルブ孔432は、加圧バルブ43の本体スリーブ431の前記バルブ組み込み孔421内に収納された部分のクロージャスリーブ41の内部空間S側の端部と、加圧バルブ43の本体スリーブ431のクロージャスリーブ41から突出した部分の先端とに開口する開口部を両端とする貫通孔となっている。加圧バルブ43の本体スリーブ431のバルブ孔432とクロージャスリーブ41のバルブ組み込み孔421とは互いに連通しており、互いに連通する前記バルブ孔432と前記バルブ組み込み孔421とがクロージャスリーブ41を内外に貫通する貫通孔422を構成している。
本体スリーブ431からバルブ体433を抜き出してバルブ孔432を開放すると、貫通孔42を開放できる。
検出用線体3は、バルブ体433を抜き出して開放した貫通孔422にクロージャスリーブ41の外側から送り込んでいくことで、クロージャスリーブ41内に挿入できる。
【0018】
なお、加圧バルブ43の本体スリーブ431がバルブ組み込み孔421の中心軸線方向の全体にわたって収納されている場合は、加圧バルブ43のバルブ孔432自体を、クロージャスリーブ41を内外に貫通する貫通孔と見なすことができる。
【0019】
加圧バルブ43は、ここでは、いわゆる5号バルブであるが、これに限定されるものではない。
バルブ体433は、一方弁を構成するものであり、加圧試験の際に、加圧バルブ43からクロージャスリーブ41内への加圧用気体の送入を許可し、逆方向、つまり、クロージャスリーブ41内に封入した気体が加圧バルブ43を介してクロージャスリーブ41の外へ流出することを規制する。図示例のバルブ体433は、加圧バルブ43の本体スリーブ431に螺着されるねじ434の本体スリーブ431に対する締め付けによって本体スリーブ431内に組み込まれた状態が維持され、本体スリーブ431に螺着した状態にあるねじ434を回転操作して本体スリーブ431から離脱させることにより、本体スリーブ431から抜き出すことができる。
なお、加圧試験は、クロージャスリーブ41内への加圧用気体の送入(圧入)によって、クロージャスリーブ41の気密性を調べる試験を指す。
【0020】
図3、図4、図9に示すように、検出用線体3は、樹脂チューブ31(外装被覆)内に複数本(ここでは2本)の絶縁電線32を収納した可撓性の線体本体33と、この線体本体33の長手方向一端部(基端部)に設けられた接続コネクタ34と、線体本体33の長手方向他端部(先端部)に設けられた錘部362(後述)とを具備して構成されている。
そして、この検出用線体3は、前記接続コネクタ34を、検知器本体2のコネクタ部21に接続することで、絶縁電線32が検知器本体2内の電気回路を介して検知器本体2の電圧印加部22(後述)及び通電検知部23(後述)に電気的に接続される。接続コネクタ34は、検知器本体2のコネクタ部21に対して脱着可能であり、検出用線体3は、検知器本体2のコネクタ部21に対する接続コネクタ34の脱着によって、検知器本体2に対して脱着できる。
【0021】
なお、検出用線体3について、以下、検知器本体2に接続されている側の端部を基端部、基端部とは反対側の端部を先端部とも言う。
検出用線体3は、検知器本体2に対して脱着可能な構成に限定されず、基端部が、検知器本体2に固定され、検知器本体2から延出されている構成も採用可能である。
【0022】
図4、図5に示すように、線体本体3は、その先端に、2本の絶縁電線32の樹脂チューブ31先端から延出させた部分(延出部32a)の絶縁被覆32bをそれぞれ除去して芯線32c(導電性の金属細線。通電検出用導体部)を露出させた部位である通電端子部32dを互いに離隔させて配置してなる、検出部351を具備する。
検出用線体3の先端部は、前記線体本体3の先端部に該先端部の重量増加用の前記錘部362が設けられた構成となっており、以下、当該先端部を検出ヘッド部35とも言う。検出用線体3は、前記線体本体3の先端部(検出部351を含む)に該先端部の重量増加用の前記錘部362が設けられた構成の検出ヘッド部35を有する。
【0023】
一方、図2に示すように、検知器1の検知器本体2は、前記検出用線体3の絶縁電線32間に電圧を印加する電圧印加部22と、この電圧印加部22によって電圧を印加した絶縁電線32間の通電を検知する通電検知部23と、この通電検知部23が絶縁電線32間の通電を検知したときに出力する検知信号に基づいて報知情報を出力する報知情報出力部24(例えば、図2に示すディスプレイ241、ブザー242)とを具備している。
電圧印加部22は、電圧印加用の電源と、この電源に接続された電圧印加用の電気回路とを具備する。
【0024】
この検知器1を用いてクロージャ4内の浸水を検知するには(クロージャの浸水検知方法)、検出用線体3を光クロージャ4のクロージャスリーブ41内に挿入する。また、検知器本体2の電圧印加部22によって、2本の絶縁電線32の間に電圧を印加する。そして、図7に示すように、光クロージャ4のクロージャスリーブ41内に挿入した検出用線体3の検出部351が、クロージャスリーブ41内に溜まっている水Wに到達し、検出部351の通電端子部32d(芯線32c)間が水Wを介して通電したことを、検知器本体2の通電検知部23が検知したときに、この通電検知部23が検知信号を出力し、この検知信号を受信した報知情報出力部24が報知情報を出力する。図2に示すように、報知情報出力部24による報知情報の出力は、例えば、ディスプレイ241による表示、ブザー242からの音の出力であるが、この他、ランプ(報知情報出力部)の点灯、振動発生器(報知情報出力部)による振動発生等であっても良い。ディスプレイ241としては、マンホール内等の暗所での作業に鑑みて、浸水検知を示す報知情報としての文字情報や画像情報等をLEDの点灯等によって電光表示できるもの、あるいはバックライト付きのものを採用することが好ましい。
報知情報出力部24が報知情報を出力することで、作業者が、クロージャスリーブ41内の浸水の存在を知ることができる。
【0025】
なお、図2に例示した検知器本体2は、箱形の筐体25に、電圧印加部22、通電検知部23、報知情報出力部24を組み込んだ構造であり、しかも、作業者が片手の手指で把持できるサイズに形成された可搬性のものであり、作業者が携帯してマンホール内等での作業を行える。図示例の前記検知器本体2は、コネクタ部21も筐体25内に組み込んでいるが、検出用線体3の基端部が検知器本体2に固定されており、検出用線体3が検知器本体2から延出されている構造の場合は、コネクタ部21の組み込みを省略できることは言うまでも無い。
また、報知情報出力部24は、必ずしも、筐体25に組み込む必要は無く、筐体25の外側に組み付けて設けても良い。
また、検知器本体2の筐体25は箱形に限定されず、その外形は適宜変更可能である。
【0026】
光クロージャ4内の浸水の検知を的確に行うには、図7に示すように、検知器1の検出用線体3は、端面板42の上部に設けられている加圧バルブ43のバルブ孔432からクロージャスリーブ41内に挿入したときに、クロージャスリーブ41内に挿入された部分が加圧バルブ43のバルブ孔432から下方に垂れ下がり、その先端部の検出ヘッド部35を、検出部351が下端となる向きを出来るだけ維持して下降させていくことが好ましい。また、これにより、検知器1によって光クロージャ4内の浸水を検知したときに、検出用線体3の、クロージャスリーブ41に挿入した長さから、クロージャスリーブ41内に溜まっている水の概ねの水位(水量)を把握できる。
【0027】
検出用線体3は、その先 端部の検出ヘッド部35に、該検出ヘッド部35の重量増加用の錘部352(図3、図4等参照)を具備している。検出ヘッド部35は、線体本体先端部(検出部を含む)に錘部352を設けてなるものである。
図4に示す図示例の検出ヘッド部35において、前記錘部352は具体的には、線体本体33の先端部に外挿した金属スリーブである。以下、錘部352が金属スリーブを指す場合、符号352を付して金属スリーブとも言う。金属スリーブ352としては、検出ヘッド部35の小型化に鑑みて、比重が大きい金属材料を採用することが好ましい。金属スリーブ352の形成材料としては、例えば、銅、鉛等を採用できる。
【0028】
金属スリーブ352は、線体本体33の先端部において、線体本体33に外挿して線体本体33の長手方向に互いに離隔した2箇所に接着固定されたリング353の間に配置されており、両側のリング353によって、検出用線体3(詳細には線体本体33)の長手方向における位置ずれが規制されている。
なお、リング353も検出ヘッド部35の構成部材として機能する。
また、検出用線体3(詳細には線体本体33)の長手方向における金属スリーブ352の位置ずれを防止する手法としては、例えば、接着剤を用いて金属スリーブ352を線体本体33に接着固定したり、金属スリーブ352を線体本体33にカシメ固定するといった手法も採用可能である。
また、リング353として、ゴム等の伸縮性材料からなる収縮チューブ、あるいは、熱収縮チューブを採用することも可能である。収縮チューブ、熱収縮チューブは、収縮チューブ自体あるいは熱収縮チューブ自体の締め付け力によって、接着剤を用いることなく線体本体33に取り付けることができ、取り付け作業の簡略化、取り付け状態の長期安定維持の点で好ましい。
【0029】
図7、図8に示すように、錘部352は、端面板42の上部に設けられている加圧バルブ43のバルブ孔432からクロージャスリーブ41内に挿入した検出用線体3のクロージャスリーブ41内に挿入された部分が、加圧バルブ43から下方に垂れ下がった状態を確実に得る機能、検出用線体3の先端部の検出ヘッド部35を検出部351が下端となる向きにする機能を果たす。これにより、加圧バルブ43のバルブ孔432を介して検出用線体3をクロージャスリーブ41内に送り込んでいくことによって、クロージャスリーブ41内に挿入された検出用線体3の先端(下端)の検出ヘッド部35を下降させていく際に、検出ヘッド部35が、クロージャスリーブ41内にて、例えば、光ファイバケーブル5や光ファイバ心線51、この光ファイバケーブル5を固定するためのケーブル固定具44等といった、クロージャスリーブ41内に存在する障害物と接触したとしても、検出ヘッド部35を、検出部351を下端とする向きを保ったまま下降させていくことができる。
【0030】
錘部352として金属スリーブを採用することは、検出ヘッド部35を細く形成できるため、検出ヘッド部35を、細い孔である加圧バルブ43のバルブ孔432を通過可能なサイズに形成することに有利である。また、検出ヘッド部35を細くできることは、検出用線体3のクロージャスリーブ41内に挿入された部分の先端(下端)の検出ヘッド部35を下降させていく際に、例えば、検出ヘッド部35がクロージャスリーブ41内に存在する障害物同士の間の狭い隙間を通過しやすくなる等の利点があり、クロージャスリーブ41内における検出ヘッド部35の下降を円滑にする点で有利である。
【0031】
検出用線体3の線体本体33も、加圧バルブ43のバルブ孔432に対する挿通作業性の確保、クロージャスリーブ41内における検出ヘッド部35の下降の作業性の確保に鑑みて、細く形成することが好ましい。また、可撓性(柔軟性)に優れることも、これら作業性の確保に有利である。
線体本体33の可撓性(柔軟性)に優れる検出用線体3であれば、例えば、クロージャスリーブ41内において検出ヘッド部35を下降させていく作業において、検出ヘッド部35下端がクロージャスリーブ41内の障害物に接触したときに、線体本体33の変形(湾曲等)によって、検出ヘッド部35の向きの変更が簡単かつ円滑になされるため、検出ヘッド部35下端が障害物に突き当たったまま下降が停止してしまうといった不都合を回避しやすく、検出ヘッド部35の下降継続の点で有利である。
【0032】
本実施形態では、線体本体33の絶縁電線32として、単線のエナメル線を採用している。単線のエナメル線であれば、撚り線等に比べて細く形成できるので、線体本体33を細くすることや、線体本体33の可撓性(柔軟性)の確保に有効に寄与する。
なお、本発明において、絶縁電線32としては、細く、しかも、線体本体33の可撓性(柔軟性)の確保も容易なものであれば良く、エナメル線に限定されず、他のものであっても良い。
【0033】
図2、図3に示すように、図示例の検知器1の検出用線体3の線体本体33の樹脂チューブ31は、具体的には、ポリ4フッ化エチレン重合体製の第1チューブ311と、例えば、PVC(polyvinyl chloride)、ポリエチレン等によって形成された可撓性の第2チューブ312とを縦続に接続した構成になっている。第2チューブ312は第1チューブ311よりも外径が若干大きく形成されており、第1チューブ311と第2チューブ312とは、線体本体33の長手方向中央部のチューブ接続部313にて、第2チューブ312の端部に第1チューブ311を内挿して、接着剤による接着、融着等によって一体化して接続されている。
この樹脂チューブ31は、チューブ接続部313から基端部側が第2チューブ312、チューブ接続部313から先端部側が第1チューブ311となっている。
なお、樹脂チューブ31としては、その全長が、第1チューブ311、つまり、ポリ4フッ化エチレン重合体製のチューブである構成も採用可能である。
【0034】
ポリ4フッ化エチレン重合体製の樹脂チューブ(図示例では第1チューブ311)は、可撓性(柔軟性)に優れるとともに、表面(外周面)の摩擦抵抗を小さく抑えることができるため、加圧バルブ43のバルブ孔432に対する検出用線体3の挿通作業性の確保、クロージャスリーブ41内における検出ヘッド部35の下降の作業性の確保に有利である。また、内周面の摩擦抵抗も小さくできることから、第1チューブ311に内挿されている絶縁電線32の樹脂チューブ31内での変形や遊動が拘束されにくく、線体本体33の可撓性(柔軟性)の確保に寄与する。
【0035】
線体本体33の内、ポリ4フッ化エチレン重合体製チューブ(図示例では第1チューブ311)に絶縁電線32を収納した部分(以下、挿入部とも言う)は、可撓性の確保、加圧バルブ43のバルブ孔432に対する挿通作業の円滑化(挿入抵抗の低減)に有利である。図示例のように、この挿入部の先端部に検出ヘッド部35が設けられた構成であれば、挿入部を光クロージャ4の外側から加圧バルブ43のバルブ孔432を介してクロージャスリーブ41内に送り込む場合に、検出ヘッド部35が前記バルブ孔432を通過すると、挿入部が速やかに湾曲変形を開始し、検出ヘッド部35が向きを変更しながら下方に変位する。また、挿入部の可撓性によって湾曲半径を小さくできるため、バルブ孔432からクロージャスリーブ41内に送り込んだ挿入部先端の検出ヘッド部35の向き変更用のスペースが小さくて済む。このため、クロージャースリーブ41内に確保する、検出ヘッド部35の向き変更用のスペースが小さくて済み、この向き変更用のスペースの確保が、クロージャスリーブ41の内部空間Sにおける光ファイバ配線用スペース等、光クロージャ4の内部レイアウトに影響を与えることを抑制あるいは防止することができる。
【0036】
なお、樹脂チューブ31、第1チューブ311としては、ポリ4フッ化エチレン重合体に限定されず、例えば、シリコーン樹脂製チューブ等も採用可能である。
【0037】
図9に示すように、線体本体33の樹脂チューブ31(詳細には第1チューブ311)は、断面円形であり、曲げ方向性が無いため、このことも、検出ヘッド部35下端がクロージャスリーブ41内の障害物に接触したときに、検出ヘッド部35の向きが変更されることで、検出ヘッド部35下端が障害物に突き当たったまま下降が停止してしまうといった不都合を回避して、検出ヘッド部35の下降を継続する点で有利である。
但し、本発明に係る検知器の線体本体33としては、断面円形の樹脂チューブを採用したものに限定されず、例えば、断面扁平の樹脂チューブを採用したもの等を排除するものではない。
【0038】
検出ヘッド部35としては、加圧バルブ43のバルブ孔432(例えば、内径2.5〜8.5mm)を通過させることができるサイズであることが好ましく、例えば、最大外径を2.2〜8.0mmとすることが好ましい。
また、線体本体33の第1チューブ311としては、外径が0.8〜2.2mm、内外径差(肉厚)が0.15〜0.3mmであるものを採用することが好ましい。
絶縁電線32としては、外径が0.15〜0.25mmのものを採用することが好ましい。
【0039】
この検知器1は、クロージャスリーブ41の上部に加圧バルブ43が設けられている既設の光クロージャ4(加圧バルブ付きクロージャ)について回線増設、回線の切り替え、メンテナンス等を行う場合に、光クロージャ4のクロージャスリーブ41を開放する前に、加圧バルブ43(詳細には、加圧バルブ43からバルブ体433を抜き出して開放したバルブ孔432)を介してクロージャスリーブ41内に検出用線体3を挿入することで、クロージャスリーブ41内の浸水の有無、浸水の概略の水量(水位)を把握できる。
【0040】
クロージャスリーブ41内に送り込まれた検出用線体3は、クロージャスリーブ41の上部の加圧バルブ43及びクロージャスリーブ41の貫通孔421から、クロージャスリーブ41の内部空間Sに突出された部分が、検出ヘッド部35の自重により下方へ垂れ下がる。そして、クロージャスリーブ41への検出用線体3の送り込みを継続することで、検出ヘッド部35の自重により、検出ヘッド部35を、検出部351を下端とする向きを保ったまま下降させていくことができる。
【0041】
検出用線体3を、クロージャスリーブ41の外側からバルブ孔432に送り込んで、クロージャスリーブ41内に挿入していく際には、検知器1の検知器本体2の電源スイッチ(図示略)をONにして、電圧印加部22によって、検出用線体3の一対の絶縁電線32間に電圧(電位差)を印加しておく。これにより、検出ヘッド部35下端の検出部351に露出されている複数本(ここでは2本)の絶縁電線32の通電端子部32d(芯線32c)がクロージャスリーブ41内の浸水に接触して芯線32c間が通電したことを、検知器本体2の通電検知部23が検知し、報知情報出力部24が報知情報を出力することで、作業者が、クロージャスリーブ41内の浸水の存在を把握できる。
また、クロージャスリーブ41に送り込んだ検出用線体3の長さから、クロージャスリーブ41内の浸水の概略の水量(水位)を把握できる。
【0042】
クロージャスリーブ41内の浸水の水量が多い場合は、例えば、クロージャスリーブ41を傾けつつ、ロック片412による締結力を緩めて、スリーブ本体411を構成する一対のスリーブ分割体411a、411bの間に確保した隙間から、クロージャスリーブ41内の浸水をゆっくりと排水してから、クロージャスリーブ41を解体する、といった対策を採ることにより、クロージャスリーブ41から一挙に流出する大量の水によってクロージャスリーブ41内の光ファイバを傷めてしまうといった不都合を回避することができる。
【0043】
図4、図5に例示した検出ヘッド部35は、具体的には、絶縁電線32の、樹脂チューブ31先端から延出させた部分を、線体本体33の基端部側に折り返し、樹脂チューブ31先端の外周面に沿わせて配置した各絶縁電線32の先端部を、樹脂チューブ31に外挿した収縮チューブ354(例えばゴムチューブ)によって、樹脂チューブ31の外周面に押さえ込んでいる。収縮チューブ354は、前記絶縁電線32を固定して、各絶縁電線32の通電端子部32d(芯線32c)が互いに離隔した状態を維持するための電線固定部材として機能する。
絶縁電線32の樹脂チューブ31先端から延出させた部分(延出部32a)の内、樹脂チューブ31先端と収縮チューブ354との間に位置する部分には、絶縁電線32の芯線32cが露出された通電端子部32dが設けられており、絶縁電線32間の通電による浸水検知は、樹脂チューブ31先端と収縮チューブ354との間に露出する通電端子部32d(芯線32c)間が、クロージャスリーブ41内に溜まった水を介して通電することによりなされる。
【0044】
クロージャスリーブ41内に送り込んだ検出用線体3の下端となる、検出ヘッド部35の先端に、検出部351を具備する構成であれば、クロージャスリーブ41に送り込んだ検出用線体3の長さから、クロージャスリーブ41内の浸水の概略の水量(水位)を把握することを容易に実現できる。
また、この構成であれば、クロージャスリーブ41内の浸水量が少ない場合に、クロージャスリーブ41内の浸水の存在を把握することに有利であることも言うまでも無い。
【0045】
(検出ヘッド部の別態様1)
図10は、検出ヘッド部の別態様を示す。
図10に例示した検出ヘッド部36は、樹脂チューブ31の先端に、絶縁電線32の樹脂チューブ31先端から延出させた部分(延出部32a)を埋め込むようにして、鉄、銅、鉛等の金属粉を混入した合成樹脂部材である錘部362をインサートモールド成形によって形成したものである。錘部362は、該錘部362を構成する合成樹脂(例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂)自体の接着力によって絶縁電線32に接着固定されている。図示例の錘部362は、樹脂チューブ31外径と同じ外径の外観円柱状に形成されているが、錘部362は、その断面輪郭形状、寸法が、必ずしも樹脂チューブ31と同じである必要は無く、例えば、樹脂チューブ31外径よりも細い円柱状、角柱状等であっても良い。
【0046】
この検出ヘッド部36では、絶縁電線32の延出部32a先端の絶縁被覆32bを除去して露出させた芯線32cが、錘部362の、樹脂チューブ31とは反対の側の端部(先端部)から2本突出されており、通電端子部32eとされている。この錘部362から突出されている2つの通電端子部32eが、検出部361を構成している。絶縁電線32の錘部362先端部からの突出寸法は数mm程度であり、しかも、通電端子部32e同士が接触しないように、互いに離隔させて配置されている。絶縁電線32の錘部362先端部からの突出寸法は、錘部362先端部から突出する絶縁電線32同士の間の離隔距離よりも小さくすることが好ましい。これにより、錘部362先端部から突出する絶縁電線32がクロージャスリーブ41内の障害物との接触等によって若干傾いたとしても、錘部362先端部から突出する通電端子部32e同士の接触を確実に防止できる。
この検出ヘッド部36の場合は、図5等に例示した検出ヘッド部35に比べて、細く形成することが容易である。また、部品点数が少なくて済むといった利点がある。
【0047】
(検出ヘッド部の別態様2)
図11は、図4に例示した検出ヘッド部35において、金属スリーブ352にかえて、前記金属スリーブ352をその長手方向の複数箇所で分割した形状の、複数の金属リング355を錘部として採用した構成(この検出ヘッド部に、図中、符号35Aを付して説明する)になっている。複数の金属リング355は、樹脂チューブ31に対してその長手方向に互いに離隔した2箇所に固定された一対のリング353の間にて、線体本体33に外挿して設けられている。
この検出ヘッド部35Aは、線体本体33の一対のリング353の間に位置する部分も湾曲変形可能になっている。このため、クロージャスリーブ41内にて検出ヘッド部を下降させていく作業において、検出ヘッド部を、クロージャスリーブ41内の障害物同士間の隙間に通すことと等を円滑に行えるようになり、クロージャスリーブ41内にて検出ヘッド部を下降させていく作業の円滑化に寄与する。
【0048】
(光クロージャ)
図12(a)、(b)は、この検知器1の使用に好適な光クロージャの一例であり、クロージャスリーブ41内に、バルブ孔432からクロージャスリーブ41の内部空間Sに導入した検出用線体3を下方に導くための検出用線体誘導部材45を設けた構成になっている。
図12(a)、(b)に例示した光クロージャ4Aにあっては、検出用線体誘導部材45として、符号45a,45bの、円弧板状の一対の検出用線体誘導部材を採用している。
【0049】
検出用線体誘導部材45a、45bは、端面板42に固定して、バルブ孔(貫通孔421)のクロージャスリーブ41内側における開口部付近から下方へ垂下するように設けられている。そして、一対の検出用線体誘導部材45a、45bは、互いに離隔させ互いに並行させて設けられ、一対の検出用線体誘導部材45a、45bの間に、検出用線体3を通すための線体誘導路46を確保している。検出用線体誘導部材45は、線体誘導路46に、クロージャスリーブ41内の光ファイバ心線等が入り込むことを防ぐ機能も果たす。
このように、検出用線体誘導部材45が設けられた光クロージャ4Aにあっては、バルブ孔432、貫通孔421からクロージャスリーブ41の内部空間Sに導入した検出用線体3を下降させていく作業を非常に円滑に行うことができる。
【0050】
図13(a)、(b)は、検出用線体誘導部材45として、透水性のチューブ45cを採用した構成を示す。図13に例示した透水性チューブ45cは、可撓性のプラスチック製チューブであり、長手方向全長にわたって多数形成された小孔451を介して、チューブ内側の線体誘導路内に、クロージャスリーブ41内の浸水が流入できるようになっている。
また、透水性チューブとしては、例えば、プラスチック製の可撓性のメッシュチューブ等であっても良い。
【0051】
符号47は、透水性チューブ45cの長手方向の片端を端面板42に固定するためのリング状の固定部材である。透水性チューブ45cは、固定部材47によって、その内側の空間である線体誘導路が、バルブ孔(貫通孔421)のクロージャスリーブ41内側における開口部と連通するようにして端面板42に取り付けられる。透水性チューブ45cは、バルブ孔(貫通孔421)のクロージャスリーブ41内側における開口部付近から下方へ垂下するように設けられる。
【0052】
検出用線体誘導部材45としては、プラスチック等の、電気絶縁性の材料で形成されたものを採用する。
【0053】
なお、図12(a)、(b)、図13(a)、(b)では、図5、図6を参照して説明した検出ヘッド部35を具備する検出用線体3を光クロージャのバルブ孔からクロージャスリーブ41内に挿入した構成を例示したが、図10に例示した検出ヘッド部36を具備する検出用線体、図11に例示した検出ヘッド部35Aを具備する検出用線体についても、同様にバルブ孔からクロージャスリーブに挿入することができる。
また、この光クロージャの適用対象の光クロージャ用浸水検知器は、本発明に係る光クロージャ用浸水検知器であり、上述した構成のものに限定されない。
【0054】
第1実施形態の光クロージャ用浸水検知器において、検出用線体の樹脂チューブ内に収納する絶縁電線の本数は、2本に限定されず、3本以上であっても良い。3本以上の場合も、検出ヘッド部にて、電線固定部材によって、各絶縁電線に形成した通電端子部同士が接触しないように、絶縁電線を固定することは言うまでも無い。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図14、図15等に示すように、ここで説明する光クロージャ用浸水検知器1Aは、第1実施形態にて例示した検出用線体にかえて、図中符号6の検出用線体6を採用したものである。
【0056】
図14は前記光クロージャ用浸水検知器1Aを示す全体斜視図、図15は検出用線体6の構造を示す図、図16は図15は検出用線体6の線体本体61の挿入線部62の構造を説明する図であって(a)は前記挿入線部62をオーバーレイ層622を透視して示した平面図、(b)は前記挿入線部62を示す正面図、図17は前記検出用線体6の挿入線部62と接続線部63との接続部の構造を示す拡大斜視図、図18は検出用線体6の検出ヘッド部64の構造の一例を示す図であって(a)は分解斜視図、(b)は断面図である。
なお、図中、図1〜図13と共通の構成部分には共通の符号を付している。
【0057】
図14、図15に示すように、光クロージャ用浸水検知器1Aは、検知器本体2と、この検知器本体2から延出されその先端に検出ヘッド部64を有する検出用線体6とを具備する概略構成となっている。
前記検出用線体6は、検知器本体2に接続された接続線部63の先端部(検知器本体2に接続されている基端部とは反対の端部)に、図中符号62の挿入線部を接続した構成の可撓性の線体本体61を具備している。また、この検出用線体6は、線体本体61の先端部(接続線部63と接続した基端部とは反対側の端部)に前記検出ヘッド部64を有している。
【0058】
また、この検出用線体6は、接続線部63の基端部に、検知器本体2のコネクタ部21に対して脱着可能な接続コネクタ633を具備しており、この接続コネクタ633の検知器本体2のコネクタ部21に対する脱着によって、検知器本体2に対して脱着できる。なお、検出用線体6は、検知器本体2に対して脱着可能な構成に限定されず、その基端部が検知器本体2に固定され、検知器本体2から延出されている構成も採用可能である。
【0059】
図16(a)、(b)、図17に示すように、挿入線部62は、帯状に形成されたフレキシブル配線基板621の片面(配線624が形成されている面)にオーバーレイ層622を形成してなる、全体として可撓性の線体(線条体)に構成されている。
前記挿入線部62のフレキシブル配線基板621は、帯状のベースフィルム623(例えばポリイミドフィルム)の片面(配線形成面625)に、2本の配線624を該ベースフィルム623の長手方向全長にわたって互いに並行に形成したものである。2本の配線624は互いに離隔させて設けられている。
【0060】
挿入線部62のオーバーレイ層622は、ここでは、樹脂フィルム(オーバーレイフィルム。例えばポリイミドフィルム等)をフレキシブル配線基板621の前記配線624が形成されている面に被着して構成したものである。
但し、オーバーレイ層622としては、フレキシブル配線基板621に被着したオーバーレイフィルムに限定されず、例えば、液状樹脂材料の塗布及び硬化によって形成した塗膜であっても良い。
【0061】
前記オーバーレイ層622は、フレキシブル配線基板621に対してそのほぼ全長にわたって積層するようにして形成されている。
この挿入線部62にあっては、前記フレキシブル配線基板621のベースフィルム623と前記オーバーレイ層622とが、前記配線624を覆う電気絶縁性の外装被覆(挿入線部外装被覆)を構成している。
【0062】
但し、図16(a)、(b)に示すように、ここで説明する前記挿入線部62のオーバーレイ層622(ここではオーバーレイフィルム)は、フレキシブル配線基板621の長手方向両端を除く部分に設けられており、フレキシブル配線基板621の長手方向両端には設けられていない。
挿入線部62は、その長手方向両端に、フレキシブル配線基板621のベースフィルム623の配線形成面625のオーバーレイ層622によって覆われていない露出部分である配線露出面626、627を有する。
なお、2つの配線露出面626、627について、以下、挿入線部62の基端部側の配線露出面626を基端側配線露出面、先端部側の配線露出面627を先端側配線露出面とも言う。
【0063】
図16(a)、(b)に示すように、フレキシブル配線基板621の2本の配線624は、挿入線部62の長手方向両端の配線露出面626、627にも形成されている。
この挿入線部62は、その長手方向両端部に配線624(詳しくは、配線624の配線露出面626、627に形成された部分)の露出部分を有する構成になっている。
前記配線624の基端側配線露出面626に形成されている部分は、配線624を、接続線体63に設けられている接続用導体(具体的には芯線631。図17参照)と電気導通可能に接続するための接続端子部624aを構成している。
また、図16(a)、(b)、図18(a)に示すように、挿入線部62は、その先端部に、前記2本の配線624の先端側配線露出面627に形成された部分である通電端子部626が互いに離隔させて配置されてなる検出部641を有している。
【0064】
図17に示すように、接続線部63は、2本の芯線631を電気絶縁性の合成樹脂製被覆である外装被覆632内に互いに並行に埋め込んで一括被覆した構成の可撓性の線体(線条体)である。また、図15に示すように、検出用線体6の前記接続コネクタ633は、この接続線部63の基端部に取り付けられている。前記芯線631は、導電性の金属線(単線あるいは撚り線)であり、前記接続コネクタ633に電気的に接続されている。そして、前記芯線631は、検出器本体2のコネクタ部21に接続された前記接続コネクタ633を介して、検出器本体2の電圧印加部22(図14参照)及び通電検知部23と電気的に接続されている。検出用線体6、線体本体61において、接続線体63の2本の前記芯線631は、前記挿入線部62の2本の配線624を検知器本体2の電圧印加部22、通電検知部23に電気導通可能に接続するための接続用導体として機能する。
【0065】
図17に示すように、検出用線体6の線体本体61は、接続線部63の先端部に口出しした前記芯線631の先端部を挿入線部62の前記接続端子部624aに半田付けして、接続線部63の芯線631(接続用導体)と挿入線部62の配線624とを電気導通可能に接続した構成になっている。接続線部63の芯線631は、挿入線部62の2本の配線624に対して1本ずつ接続される。互いに接続された接続線部63の芯線631(接続用導体)と挿入線部62の配線624とは、検出用線体6、線体本体61の長手方向全長にわたって延在する通電検出用導体部を構成する。検出用線体6、線体本体61は、2本の通電検出用導体部が、その長手方向全長にわたって設けられた構成となっている。
【0066】
図14、図15、図17に示すように、図示例の線体本体61では、ゴム等の伸縮性材料からなる収縮チューブ628を用いて接続線部63と挿入線部62との接続部を覆って保護している。収縮チューブ628は、その内側に収納した接続線部63の先端部と挿入線部62の基端部とを該収縮チューブ628自体の収縮力によって締め付けるようにして保持しており、接続線部63と挿入線部62とを連結する連結部材としての機能も果たす。また、収縮チューブ628は、接続線部63と挿入線部62との接続部の防水性を確保する機能も果たす。
【0067】
図17に示すように、図示例の挿入線部62のフレキシブル配線基板621(具体的にはベースフィルム623)は、具体的には、その長手方向の片端(基端部)が他の部分(帯状部)に比べて幅広に形成された幅広部623aとされている。挿入線部62の基端側配線露出面626は前記幅広部623aに設けられている。
また、基端側配線露出面626には、挿入線部62の他の部分に比べて配線624を幅広に形成したランド部が形成されており、このランド部が配線624の接続端子部624aとされている。しかも、基端側配線露出面626では、挿入線部62の他の部分に比べて2本の配線624(接続端子部624a)間の離隔距離を大きくしてある。
このような挿入線部62の構成は、接続線体63の芯線631の配線624に対する半田付けの作業性を良好にすることに寄与するものである。
【0068】
前記検出用線体6は、検知器本体2のコネクタ部21に対する前記接続コネクタ633の接続によって、2本の通電検出用導体部が、検知器本体2内の電気回路を介して検知器本体2の電圧印加部22及び通電検知部23に電気的に接続されている。
この実施形態の光クロージャ用浸水検知器1Aでは、接続線体63の長手方向全長にわたって設けられている線状の接続用導体631(導電性の金属線。後述)を介して、検知器本体2の電圧印加部22(図14参照)によって、前記検出部641の一対の通電端子部626間に電圧を印加することができる。この光クロージャ用浸水検知器1Aは、電圧印加部22によって検出用線体6の一対の通電端子部626間(通電検出用導体部間)に電圧(電位差)を印加した状態において一対の通電端子部626が水に接触し、通電端子部626間(通電検出用導体部間)が前記水を介して通電したことを検知器本体2の通電検知部23(図14参照)にて検知したときに、報知情報出力部24が報知情報(通電を検知したことを報知するための情報)を出力する構成となっている。
【0069】
図16(a)、(b)において、符号624c、624dは、配線624の長手方向両端部に設けられた金めっきである。配線624は金めっき624c、624dを含む。
挿入線部62のフレキシブル配線基板621の配線624は、詳細には、フレキシブル配線基板621のパターニングされた銅層である銅配線624e(配線本体)と、この銅配線624eの長手方向両端部に形成された前記金めっき624c、624dとを有する構成になっている。
金めっき624c、624dは、配線624の前記基端側配線露出面626、先端側配線露出面627に位置する部分(露出部分)の全長に設けられている。接続端子部624a及び通電端子部624bは前記金めっきを表層とするものであり、その表面全体がこの表層の金めっきによって形成されている。通電端子部624bの金めっき624dは、通電端子部624bの表層を形成する端子用表層めっきとして機能する。
【0070】
接続端子部624a及び通電端子部624bは耐食性に優れる導電性の金属めっきである金めっきを表層とする構成であり、優れた耐食性を確保できる。接続端子部624a及び通電端子部624bの腐食防止により、腐食に起因する電気抵抗の増大が光クロージャ用浸水検知器1Aの浸水検知精度に影響を与えることを防止できる。これにより、浸水検知精度の長期安定化の実現に有効に寄与する。
【0071】
配線624に設けられる耐食性に優れる導電性の金属めっきとしては、前記金めっきにかえて、例えば白金めっきを採用することも可能である。
また、本発明は、接続端子部624a及び通電端子部624bの一方又は両方を、金めっきあるいは白金めっきを具備せず、前記銅配線624eのみによって形成した構成を排除するものではなく、接続端子部624a及び通電端子部624bの一方又は両方が銅配線624eのみで形成されたものとした構成も含む。
【0072】
また、挿入線部62において、前記配線624のオーバーレイ層622によって覆われた部分は、フレキシブル配線基板621のベースフィルム623と前記オーバーレイ層622とが防水被覆として機能することにより、水の接触が防止されている。このため、挿入線部62を水中に挿入しても、前記配線624のオーバーレイ層622によって覆われた部分に水が接触することは無い。
【0073】
なお、本発明に係る挿入線部62としては、図17に例示したような幅広部623aを有するフレキシブル配線基板621(具体的にはベースフィルム623)を採用した構成に限定されず、幅広部623aを有していないフレキシブル配線基板を採用することも可能である。
また、挿入線部62の配線624と接続線部63の芯線631とを電気的に接続するための構成としては特に限定は無く、上述の半田付けに限定されない。例えばコネクタ接続によって行うことも可能である。コネクタ接続の場合、挿入線部62の基端部に取り付けたコネクタ(挿入線部側コネクタ)と、接続線部63の先端部に取り付けたコネクタ(接続線部側コネクタ)との嵌合によって、挿入線部62の配線624と接続線部63の芯線631とが電気的に接続されるようにする。また、挿入線部側コネクタの接続線部側コネクタに対する脱着によって、挿入線部を接続線部に対して着脱可能とすることが好ましい。
【0074】
接続線部63としては、2本の芯線631を電気絶縁性の合成樹脂製被覆である外装被覆632内に互いに並行に埋め込んで一括被覆した構成に限定されず、例えば、一対の絶縁電線を樹脂チューブ内に収納した構成などであっても良い。
この場合、絶縁電線の絶縁被覆内の導体(芯線)を接続線部の芯線、通電検出用導体部の一部として機能させることができる。
【0075】
また、検出用線体の検出部としては、フレキシブル配線基板621の2本の配線624の先端を挿入線部62の先端部の互いに離隔する位置に露出させた構成であれば良く、この点、フレキシブル配線基板621の先端部に先端側配線露出面627を形成し、フレキシブル配線基板621の2本の配線624の先端側配線露出面627に形成された部分を通電端子部626として機能させる構成に限定されない。例えば、フレキシブル配線基板621の2本の配線624の先端面のみを挿入線部62の先端部に露出させた構成としても良い。
【0076】
次に、検出ヘッド部64について説明する。
図18(a)、(b)に示すように、線体本体61は、その先端部(挿入線部62の先端部)に、該先端部の重量増加用の錘部642と前記検出部641とを具備してなる検出ヘッド部64を有している。検出ヘッド部64は、線体本体61先端部(検出部641を含む)に錘部642を設けてなるものである。
図18(a)、(b)に示す検出ヘッド部64において、前記錘部642は具体的には、線体本体61の先端部(具体的には挿入線部62の先端部)に外挿した金属スリーブである。以下、錘部642が金属スリーブを指す場合、金属スリーブとも言う。金属スリーブ642の形成材料は第1実施形態にて説明した金属スリーブ352と同じものを採用できる。
【0077】
図18(a)、(b)に示すように、金属スリーブ642は、挿入線部62の先端部に外挿された2つのリング643の間に配置されている。金属スリーブ642の両側の前記リング643は、それぞれ挿入線部62に該挿入線部62の長手方向への位置ずれを生じないように取り付けられている。金属スリーブ642は、その両側のリング643によって、挿入線部62の長手方向(換言すれば、検出用線体6の長手方向、線体本体61の長手方向)における位置ずれが規制されている。
なお、リング643も検出ヘッド部64の構成部材として機能する。
また、金属スリーブ642及び2つのリング643の挿入線部62に対する取り付け位置は、挿入線部62先端の配線露出面627が形成されている部分よりも基端部側(検知器本体2側)とする。
【0078】
ここでは、前記リング643として、ゴム等の伸縮性材料からなる収縮チューブを採用している。この収縮チューブは、該収縮チューブ自体の締め付け力によって挿入線部62の先端部に、挿入線部62の長手方向における位置ずれを規制して取り付けられる。また、接着剤を用いて挿入線部62に接着固定しても良い。
また、前記リング643としては、上述の収縮チューブにかえて熱収縮チューブを用いても良い。
なお、リング643としては、挿入線部62の長手方向への金属スリーブ642の位置ずれを防止する点で、金属スリーブ642の内径よりも大きい外径を確保できるものを採用することは言うまでも無い。
【0079】
また、挿入線部62の長手方向における金属スリーブ642の位置ずれを防止する手法としては、例えば、接着剤を用いて金属スリーブ642を挿入線部62に接着固定したり、金属スリーブ642を挿入線部62にカシメ固定するといった手法も採用可能である。
また、検出ヘッド部としては、第1実施形態にて図11を参照して説明した検出ヘッド部の別態様と同様に、金属スリーブにかえて、該金属スリーブをその長手方向の複数箇所で分割した形状の複数の金属リングを挿入線部62に外挿して錘部として用いる構成も採用可能である。
【0080】
この光クロージャ用浸水検知器1Aを用いて、光クロージャ4のクロージャスリーブ41内の浸水を検知するには(光クロージャの浸水検知方法)、検出用線体6を、光クロージャ4の外側から、光クロージャ4のクロージャスリーブ41の加圧バルブ43のバルブ孔432に送り込んでクロージャスリーブ41内に挿入する。検出用線体6は、その先端側(検出ヘッド部64、検出部641の側)から光クロージャ4のクロージャスリーブ41の加圧バルブ43のバルブ孔432に送り込んでいく。
【0081】
この際、電圧印加部22によって、検出用線体6の一対の通電端子部626間(通電検出用導体部間)に電圧(電位差)を印加しておく。これにより、クロージャスリーブ41内に挿入した検出用線体6の先端部の検出部641の一対の通電端子部626がクロージャスリーブ41内に溜まっていた水に接触して、検出部641の通電端子部626間(通電検出用導体部間)がクロージャスリーブ41内の水を介して通電したことを検知器本体2(詳細には検知器本体の通電検知部23。図14参照)にて検知すると、報知情報出力部24が報知情報(通電を検知したことを報知するための情報)を出力する。
【0082】
検出ヘッド部64の錘部642は、加圧バルブ43のバルブ孔432からクロージャスリーブ41内に挿入した検出用線体6のクロージャスリーブ41内に挿入された部分が、クロージャスリーブ41の貫通孔421から下方に垂れ下がった状態を確実に得る機能、検出用線体6の先端部の検出ヘッド部64を検出部641が下端となる向きにする機能を果たす。
【0083】
この光クロージャ用浸水検知器1Aの検出用線体6の挿入線部62は、フレキシブル配線基板621の片面にオーバーレイ層622を形成した構成であり、配線624を覆うために、フレキシブル配線基板621のベースフィルム623及びオーバーレイ層622として厚さが100μm以下のものを使用して製造することが可能であり、細く形成することが容易である。また、可撓性の確保も容易であり、優れた可撓性を有する挿入線部62を容易に得ることができる。
【0084】
フレキシブル配線基板621のベースフィルム623及びオーバーレイ層622(ここではオーバーレイフィルム)の厚さは20〜80μmであることが好適であり、より好ましくは40〜60μmである。ベースフィルム623の幅広部623a以外の部分(帯状部)及びオーバーレイ層622の幅(幅寸法)は、 〜 μmであることが好適である。
配線624の銅配線624e部分の厚さは40〜60μmであることが好適である。
また、挿入線部62は、フレキシブル配線基板621の片面にオーバーレイ層622を形成した部分が、長さ 〜 mm程度の線条体を構成することが好ましい。
【0085】
また、ここで例示する挿入線部64は、図17に例示したように、オーバーレイ層622の幅寸法を、フレキシブル配線基板621のベースフィルム623の幅寸法と同じに揃えて、フレキシブル配線基板621の片面にオーバーレイ層622を形成した部分が配線624を内蔵する線条体を構成しているものであるが、本発明に係る挿入線部としてはこれに限定されない。オーバーレイ層622は、配線624を覆うように形成されていれば良いので、例えば、オーバーレイ層の幅寸法がフレキシブル配線基板621のベースフィルム623の幅寸法よりも若干小さい、あるいは、若干大きい構成も採用可能である。
【0086】
上述の寸法範囲のベースフィルム623及びオーバーレイ層622を用いて構成した挿入線部62の先端部に、リング643を用いて金属スリーブ642を取り付けて検出ヘッド部64を組み立てた試験片を作成し、挿入線部64の前記検出ヘッド部64よりも基端側の部分を水平に支持しこの水平支持した部分から前記検出ヘッド部64を含む先端側(挿入線部64の先端側)を垂れ下げ、錘部の重量による曲げ状態を確認した所、検出ヘッド部64に錘部として重さ1gの金属スリーブ642を設ければ、挿入線部64を10mm以下の曲げ半径で湾曲させることができることを確認できた。
【0087】
この光クロージャ用浸水検知器1Aによれば、検出用線体6の内、挿入線部64及びその先端の検出ヘッド部64の部分を、光クロージャ4のバルブ孔432からクロージャスリーブ41に挿入する検出用挿入部として好適に用いることができる。
挿入線部62は細く形成することが容易であるため、その結果、検出ヘッド部の構成部材のサイズの小型化、検出ヘッド部全体の小型化も容易に実現できる。
また、挿入線部62は製造が容易であり、例えば50cm以上の長さのものも簡単に得ることができる。第1実施形態に例示した光クロージャ用浸水検知器1の検出用線体3の場合は、挿入部の長さが長いほど、第1チューブ311内に絶縁電線32を挿通する作業が難しくなってくるが、本実施形態のように、フレキシブル配線基板621の片面にオーバーレイ層622を形成した構成の挿入線部62であれば、長さが長いものでも容易に製造できる。この点、この光クロージャ用浸水検知器1Aの検出用線体6については、その長手方向全長を挿入線部とすることも容易である。
【0088】
第2実施形態の光クロージャ用浸水検知器において、検出用線体の挿入線部の配線624の本数、通電検出用導体部の本数は、2本に限定されず、3本以上であっても良い。
【0089】
なお、本発明は、上述の実施形態に例示した構成に限定されず、適宜、変更が可能であることは言うまでもない。
(a)上述の実施形態では、端面板の上部に加圧バルブが設けられた構成のクロージャスリーブを具備する光クロージャを例示したが、本発明の適用対象の光クロージャはこれに限定されず、例えば、クロージャスリーブのスリーブ本体の上部に加圧バルブを備えた構成のものであっても良い。この場合、クロージャスリーブ内に設置する検出用線体誘導部材は、バルブ孔432、貫通孔421からクロージャスリーブ41の内部空間Sに導入した検出用線体3を下方へ誘導していくために、バルブ孔(貫通孔421)のクロージャスリーブ41内側における開口部付近から下方へ垂下するように設置する。
(b)検知器の検出用線体を、クロージャスリーブの外側からクロージャスリーブの内部空間へ導入するための貫通孔としては、上述のバルブ孔に限定されない。
例えば、ドロップケーブルの導入用の貫通孔や、検出用線体の挿入用にクロージャスリーブに設けた専用の貫通孔等であっても良い。但し、いずれの貫通孔も、光クロージャの水密性の確保の点で、例えば、抜き出し可能な接栓等によって、開閉できる構成のものを採用することが好ましい。また、加圧バルブについては、バルブ体が、バルブ孔を開閉するための接栓として機能するものと言える。
(c)検出ヘッド部の構造は、上述した実施形態の構成に限定されない。
錘部、検出部の具体的構成も、上述した実施形態に限定されない。
本発明において、検出ヘッド部は、線体本体先端部(検出部を含む)に錘部を設けた構造とした部分を指す語である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係る第1実施形態の光クロージャ用浸水検知器の使用状態を示す図である。
【図2】図1の光クロージャ用浸水検知器の構成を示す全体斜視図である。
【図3】図1の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体の構成を模式的に示す図である。
【図4】図1の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体先端部の検出ヘッド部の構造の一例を示す断面図である。
【図5】図1の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体先端部の検出ヘッド部の検出部の構造の一例を示す断面図である。
【図6】図6の検出ヘッド部の構造を示す分解斜視図である。
【図7】図1の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体を光クロージャ内に挿入した状態を示す図である。
【図8】光クロージャのクロージャスリーブの端面板における加圧バルブとクロージャスリーブ内のケーブル把持部品との相対的な位置関係を示す図である。
【図9】図1の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体の検出用コードの断面構造の一例を示す図である。
【図10】別態様の検出ヘッド部を示す斜視図である。
【図11】別態様の検出ヘッド部を示す斜視図である。
【図12】(a)、(b)は、クロージャスリーブ内に検出用線体誘導部材を設置した構成の光クロージャの一例を示す図である。
【図13】(a)、(b)は、クロージャスリーブ内にチューブ状の検出用線体誘導部材を設置した構成の光クロージャの一例を示す図である。
【図14】本発明に係る第2実施形態の光クロージャ用浸水検知器の構成を示す全体斜視図である。
【図15】図14の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体の挿入線部の構造を示す図である。
【図16】図15の検出用線体の線体本体の挿入線部の構造を説明する図であって(a)は前記挿入線部をオーバーレイ層を透視して示した平面図、(b)は前記挿入線部を示す正面図である。
【図17】図15の検出用線体の線体本体の挿入線部と接続線部との接続部の構造を示す拡大斜視図である。
【図18】図15の検出用線体の検出ヘッド部の構造の一例を示す図であって、(a)は分解斜視図、(b)は断面図である。
【符号の説明】
【0091】
1、1A…光クロージャ用浸水検知器、2…検知器本体、21…コネクタ部、22…電圧印加部、23…通電検知部、24…報知情報出力部、241…報知情報出力部(ディスプレイ)、242…報知情報出力部(ブザー)、25…筐体、25a…窓部、3…検出用線体、31…樹脂チューブ(外装被覆)、311…第1チューブ、312…第2チューブ、313…チューブ接続部、32…絶縁電線、32a…延出部、32b…絶縁被覆、32c…線状導体(導体)、33…線体本体、検出用コード、34…接続コネクタ、35、35A、36…検出ヘッド部、351…検出部、352…錘部(金属スリーブ)、353…リング、354…電線固定部材(収縮チューブ)、355…錘部(金属リング)、361…検出部、362…錘部、4、4A…光クロージャ、41…クロージャスリーブ、411…スリーブ本体、411a、411b…スリーブ分割体、412…ロック片、42…端面板、421…バルブ組み込み孔、422…貫通孔、42a、42b…端面板分割体、43…加圧バルブ、431…本体スリーブ、432…バルブ孔、433…バルブ体、434…ねじ、44…ケーブル固定具、45、45a、45b…検出用線体誘導部材、45c…検出用線体誘導部材(透水性チューブ)、46…線体誘導路、5…光ファイバケーブル、51…光ファイバ心線、6…検出用線体、61…線体本体、62…挿入線部、621…フレキシブル配線基板、622…オーバーレイ層(オーバーレイフィルム)、623…ベースフィルム、624…配線、624a…接続端子部、624b…通電端子部、624c、624d…金めっき、624e…銅配線(配線本体)、625…配線形成面、626、627…配線露出面、628…収縮チューブ、63…接続線部、631…芯線、632…絶縁被覆、633…接続コネクタ、64…検出ヘッド部、641…検出部、642…錘部(金属スリーブ)、643…リング、S…クロージャスリーブの内部空間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光クロージャ用浸水検知器であって、
検知器本体(2)と、この検知器本体から延び、光クロージャ(4、4A)のクロージャスリーブ(41)の上部に形成された貫通孔(422)に通すことで前記クロージャスリーブ内に挿入される検出用線体(3、6)とを具備し、
前記検出用線体は、前記検知器本体から延出する可撓性の線条体である線体本体(33、61)の先端部に該先端部の重量増加用の錘部(352、355、362、642)を設けた構成とされ、前記線体本体はその長手方向全長にわたって延在する複数本の通電検出用導体部(32c、624、631)が外装被覆(31、622、623、632)に収納され、その先端に前記通電検出用導体部の露出部分である通電端子部(32d、624b)を互いに離隔させて配置してなる検出部(351、361、641)を具備し、
前記検知器本体は、前記検出用線体の前記線体本体の前記通電検出用導体部間に電圧を印加する前記電圧印加部(22)と、この電圧印加部によって電圧を印加した前記通電検出用導体部間の通電を検知する通電検知部(23)と、この通電検知部が前記通電検出用導体部間の通電を検知したときに出力する検知信号に基づいて報知情報を出力する報知情報出力部(24、241、242)とを具備することを特徴とする光クロージャ用浸水検知器(1、1A)。
【請求項2】
前記検出用線体(6)の前記線体本体(61)は、その先端側に、帯状に形成されたフレキシブル配線基板(621)にそのベースフィルム(623)の片面(625)に前記通電検出用導体部の一部又は全部として形成された配線(624)を覆うオーバーレイ層(622)が設けられてなる可撓性の挿入線部(62)を有し、
前記挿入線部は前記フレキシブル配線基板の前記ベースフィルムと前記オーバーレイ層とが前記フレキシブル配線基板の長手方向全長にわたって延在形成された複数本の前記配線を収納する電気絶縁性の外装被覆である挿入線部外装被覆を構成しており、前記配線の前記挿入線部先端に露出された部分が前記検出部の前記通電端子部とされていることを特徴とする請求項1記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項3】
前記検出用線体の前記線体本体は、前記挿入線部と、この挿入線部の前記フレキシブル配線基板の前記配線を前記検知器本体の前記電圧印加部に電気導通可能に接続する接続用導体(631)を有する接続線部(63)とを具備し、前記フレキシブル配線基板の前記配線と前記接続線部の前記接続用導体とが前記通電検出用導体部を構成することを特徴とする請求項2記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項4】
前記接続線部の前記接続用導体は前記接続線部の長手方向全長にわたって延在する線状に形成され、前記接続線部は、前記接続用導体を、前記挿入線部の前記基端部に露出させた前記配線に半田付けして前記挿入線部に接続されていることを特徴とする請求項3記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項5】
前記オーバーレイ層は、前記フレキシブル配線基板の長手方向両端部を除く部分に積層して設けられ、
前記フレキシブル配線基板の前記ベースフィルムの前記配線が形成されている面である配線形成面(625)を前記挿入線部の前記先端部に露出させた部分である先端側配線露出面(627)に前記通電端子部が設けられ、
前記配線の内、前記配線形成面を前記挿入線部の前記基端部に露出させた部分である基端側配線露出面(626)に位置する部分である接続端子部(624a)に前記接続線部の前記接続用導体が半田付けされていることを特徴とする請求項3又は4記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項6】
前記配線は、前記通電端子部の表層として、金めっき(624d)あるいは白金めっきである端子用表層めっきを有することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項7】
前記検出用線体の前記線体本体(33)が、絶縁電線(32)を前記外装被覆である樹脂チューブ(31)内に複数本収納してなり、
前記検出部(351、361)が、前記絶縁電線の前記樹脂チューブの先端から延出させた部分の絶縁被覆(32b)をそれぞれ除去して該絶縁電線の芯線(32c)を露出させた部分である前記通電端子部を互いに離隔して配置した構成であり、
前記絶縁電線は前記線体本体の長手方向全長にわたって設けられ、前記絶縁電線の前記芯線(32c)が前記検出用線体の長手方向全長にわたって延在する前記通電検出用導体部の一部又は全部を構成していることを特徴とする請求項1記載の光クロージャ用浸水検知器(1)。
【請求項8】
前記線体本体の先端部に、前記絶縁電線を固定して前記通電端子部が互いに離隔した状態を維持するための電線固定部材(354)が設けられていることを特徴とする請求項7記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項9】
前記絶縁電線が、単線のエナメル線であることを特徴とする請求項7又は8記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項10】
前記樹脂チューブはその長手方向の一部又は全体がポリ4フッ化エチレン重合体製チューブ(311)によって形成され、前記線体本体はその先端部を含む長手方向の一部又は全部が前記ポリ4フッ化エチレン重合体製チューブ(311)内に前記絶縁電線を収納した構成の挿入部とされていることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項11】
前記錘部が、前記線体本体に外挿された金属スリーブによって構成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項12】
前記検知器本体は携帯可能であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項13】
前記光クロージャのクロージャスリーブの前記貫通孔の一部又は全部が、光クロージャのクロージャスリーブに設けられている加圧気体封入用の加圧バルブ(43)に貫設されたバルブ孔(432)によって構成され、前記加圧バルブの前記バルブ孔から該バルブ孔内に組み込まれているバルブ体(433)を抜き出して前記バルブ孔を開放することで前記貫通孔が開放されるようになっていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項14】
クロージャスリーブに加圧気体封入用の加圧バルブが設けられている光クロージャ内の浸水を検知する光クロージャの浸水検知方法であって、
前記加圧バルブから該加圧バルブ内に組み込まれているバルブ体を抜き出して、前記加圧バルブを貫通して前記クロージャスリーブの内外に連通する貫通孔を開放した後、請求項1〜13のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体を、その先端部から前記貫通孔に送り込んで前記クロージャスリーブ内に挿入し、前記光クロージャ用浸水検知器の検知器本体の電圧印加部によって、前記検出用線体の前記通電検出用導体部間に電圧を印加することを特徴とする光クロージャの浸水検知方法。
【請求項15】
クロージャスリーブの上部に、請求項1〜13のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体を挿通できる、開閉可能な貫通孔を有する光クロージャであって、
前記クロージャスリーブ内に、前記貫通孔からクロージャスリーブ内に挿入された前記検出用線体を前記貫通孔から下方へ誘導するための検出用線体誘導部材(45、45a、45b、45c)が設けられていることを特徴とする光クロージャ。
【請求項16】
前記貫通孔が、光クロージャのクロージャスリーブの上部に設けられている加圧バルブから該加圧バルブ内に組み込まれているバルブ体を抜き出して開放したバルブ孔であることを特徴とする請求項15記載の光クロージャ。
【請求項1】
光クロージャ用浸水検知器であって、
検知器本体(2)と、この検知器本体から延び、光クロージャ(4、4A)のクロージャスリーブ(41)の上部に形成された貫通孔(422)に通すことで前記クロージャスリーブ内に挿入される検出用線体(3、6)とを具備し、
前記検出用線体は、前記検知器本体から延出する可撓性の線条体である線体本体(33、61)の先端部に該先端部の重量増加用の錘部(352、355、362、642)を設けた構成とされ、前記線体本体はその長手方向全長にわたって延在する複数本の通電検出用導体部(32c、624、631)が外装被覆(31、622、623、632)に収納され、その先端に前記通電検出用導体部の露出部分である通電端子部(32d、624b)を互いに離隔させて配置してなる検出部(351、361、641)を具備し、
前記検知器本体は、前記検出用線体の前記線体本体の前記通電検出用導体部間に電圧を印加する前記電圧印加部(22)と、この電圧印加部によって電圧を印加した前記通電検出用導体部間の通電を検知する通電検知部(23)と、この通電検知部が前記通電検出用導体部間の通電を検知したときに出力する検知信号に基づいて報知情報を出力する報知情報出力部(24、241、242)とを具備することを特徴とする光クロージャ用浸水検知器(1、1A)。
【請求項2】
前記検出用線体(6)の前記線体本体(61)は、その先端側に、帯状に形成されたフレキシブル配線基板(621)にそのベースフィルム(623)の片面(625)に前記通電検出用導体部の一部又は全部として形成された配線(624)を覆うオーバーレイ層(622)が設けられてなる可撓性の挿入線部(62)を有し、
前記挿入線部は前記フレキシブル配線基板の前記ベースフィルムと前記オーバーレイ層とが前記フレキシブル配線基板の長手方向全長にわたって延在形成された複数本の前記配線を収納する電気絶縁性の外装被覆である挿入線部外装被覆を構成しており、前記配線の前記挿入線部先端に露出された部分が前記検出部の前記通電端子部とされていることを特徴とする請求項1記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項3】
前記検出用線体の前記線体本体は、前記挿入線部と、この挿入線部の前記フレキシブル配線基板の前記配線を前記検知器本体の前記電圧印加部に電気導通可能に接続する接続用導体(631)を有する接続線部(63)とを具備し、前記フレキシブル配線基板の前記配線と前記接続線部の前記接続用導体とが前記通電検出用導体部を構成することを特徴とする請求項2記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項4】
前記接続線部の前記接続用導体は前記接続線部の長手方向全長にわたって延在する線状に形成され、前記接続線部は、前記接続用導体を、前記挿入線部の前記基端部に露出させた前記配線に半田付けして前記挿入線部に接続されていることを特徴とする請求項3記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項5】
前記オーバーレイ層は、前記フレキシブル配線基板の長手方向両端部を除く部分に積層して設けられ、
前記フレキシブル配線基板の前記ベースフィルムの前記配線が形成されている面である配線形成面(625)を前記挿入線部の前記先端部に露出させた部分である先端側配線露出面(627)に前記通電端子部が設けられ、
前記配線の内、前記配線形成面を前記挿入線部の前記基端部に露出させた部分である基端側配線露出面(626)に位置する部分である接続端子部(624a)に前記接続線部の前記接続用導体が半田付けされていることを特徴とする請求項3又は4記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項6】
前記配線は、前記通電端子部の表層として、金めっき(624d)あるいは白金めっきである端子用表層めっきを有することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項7】
前記検出用線体の前記線体本体(33)が、絶縁電線(32)を前記外装被覆である樹脂チューブ(31)内に複数本収納してなり、
前記検出部(351、361)が、前記絶縁電線の前記樹脂チューブの先端から延出させた部分の絶縁被覆(32b)をそれぞれ除去して該絶縁電線の芯線(32c)を露出させた部分である前記通電端子部を互いに離隔して配置した構成であり、
前記絶縁電線は前記線体本体の長手方向全長にわたって設けられ、前記絶縁電線の前記芯線(32c)が前記検出用線体の長手方向全長にわたって延在する前記通電検出用導体部の一部又は全部を構成していることを特徴とする請求項1記載の光クロージャ用浸水検知器(1)。
【請求項8】
前記線体本体の先端部に、前記絶縁電線を固定して前記通電端子部が互いに離隔した状態を維持するための電線固定部材(354)が設けられていることを特徴とする請求項7記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項9】
前記絶縁電線が、単線のエナメル線であることを特徴とする請求項7又は8記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項10】
前記樹脂チューブはその長手方向の一部又は全体がポリ4フッ化エチレン重合体製チューブ(311)によって形成され、前記線体本体はその先端部を含む長手方向の一部又は全部が前記ポリ4フッ化エチレン重合体製チューブ(311)内に前記絶縁電線を収納した構成の挿入部とされていることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項11】
前記錘部が、前記線体本体に外挿された金属スリーブによって構成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項12】
前記検知器本体は携帯可能であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項13】
前記光クロージャのクロージャスリーブの前記貫通孔の一部又は全部が、光クロージャのクロージャスリーブに設けられている加圧気体封入用の加圧バルブ(43)に貫設されたバルブ孔(432)によって構成され、前記加圧バルブの前記バルブ孔から該バルブ孔内に組み込まれているバルブ体(433)を抜き出して前記バルブ孔を開放することで前記貫通孔が開放されるようになっていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器。
【請求項14】
クロージャスリーブに加圧気体封入用の加圧バルブが設けられている光クロージャ内の浸水を検知する光クロージャの浸水検知方法であって、
前記加圧バルブから該加圧バルブ内に組み込まれているバルブ体を抜き出して、前記加圧バルブを貫通して前記クロージャスリーブの内外に連通する貫通孔を開放した後、請求項1〜13のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体を、その先端部から前記貫通孔に送り込んで前記クロージャスリーブ内に挿入し、前記光クロージャ用浸水検知器の検知器本体の電圧印加部によって、前記検出用線体の前記通電検出用導体部間に電圧を印加することを特徴とする光クロージャの浸水検知方法。
【請求項15】
クロージャスリーブの上部に、請求項1〜13のいずれかに記載の光クロージャ用浸水検知器の検出用線体を挿通できる、開閉可能な貫通孔を有する光クロージャであって、
前記クロージャスリーブ内に、前記貫通孔からクロージャスリーブ内に挿入された前記検出用線体を前記貫通孔から下方へ誘導するための検出用線体誘導部材(45、45a、45b、45c)が設けられていることを特徴とする光クロージャ。
【請求項16】
前記貫通孔が、光クロージャのクロージャスリーブの上部に設けられている加圧バルブから該加圧バルブ内に組み込まれているバルブ体を抜き出して開放したバルブ孔であることを特徴とする請求項15記載の光クロージャ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図18】
【公開番号】特開2010−133862(P2010−133862A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311297(P2008−311297)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(591044647)株式会社 スズキ技研 (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(591044647)株式会社 スズキ技研 (36)
【Fターム(参考)】
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