光ケーブル
【課題】解体作業時に粗巻き紐を容易に見分けて切断することが可能な光ケーブルを提供する。
【解決手段】本発明の光ケーブル1は、光ファイバを複数本収容したユニットを1又は複数備え、この1又は複数のユニットの周囲にヤーン12等の繊維状の介在が配され、その介在の周囲に粗巻き紐16a,16b,16cが巻かれた状態で、シース15が被覆されたケーブルである。そして、粗巻き紐16a,16b,16cの色がヤーン12等の介在の色と異なることを特徴とする。
【解決手段】本発明の光ケーブル1は、光ファイバを複数本収容したユニットを1又は複数備え、この1又は複数のユニットの周囲にヤーン12等の繊維状の介在が配され、その介在の周囲に粗巻き紐16a,16b,16cが巻かれた状態で、シース15が被覆されたケーブルである。そして、粗巻き紐16a,16b,16cの色がヤーン12等の介在の色と異なることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを複数本収容したユニットを、1又は複数備える光ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から通信用の光ファイバケーブル(光ケーブル)として、光ファイバを複数本収容したユニットを複数集合したケーブル、又は1つのみ収容したケーブルが用いられることがある。このユニットは、光ファイバテープ心線や光ファイバユニットなどと呼ばれる。
【0003】
このような光ケーブルを製造する際、ユニットをヤーンやテープ状部材などの繊維状の介在で覆った後にシースを施すため、シースを施す際に介在がばらけないように粗巻き紐が巻かれる。
【0004】
例えば、特許文献1には、単数又は複数の素線又はテープ心線からなる光ファイバ心線と、この光ファイバ心線を取り巻くべく縦添えされた耐熱性のプラスチックヤーン又は有機系繊維もしくは無機系繊維からなる介在体と、光ファイバ心線の全てと介在体とを一括して粗巻きした紐と、この近傍に平行で両脇に配置された光エレメント用抗張力体と、それらを被覆したケーブルシースとを備えた光ケーブルが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、2本以上の光ファイバ心線を、その周囲に配置した緩衝材と共に撚り合わせ、緩衝材の外側に押さえ巻き糸又はテープを巻回し、押さえ巻き糸又はテープを巻回した光ファイバ心線及び緩衝剤の外側に、抗張力体を配置してさらに外皮(シース)を形成してなる光ケーブルが開示されている。
ところで、光ケーブルを解体して心線を取り出す作業においては、シース除去後に粗巻き紐をニッパ等の切裂き工具で切断する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−61964号公報
【特許文献2】特開2005−70127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1,2に記載の光ケーブルをはじめとする従来の光ケーブルでは、粗巻き紐を切断する際、粗巻き紐と介在の色が同系色で見分け難く、作業者にとって本当に粗巻き紐が切断されたか分からない。
また、作業者にとっては、粗巻き紐の本数が解体作業時には分からないことがあり、その場合には粗巻き紐を何本切断すれば良いのかが分からない。特に、暗い場所で粗巻き紐の除去を行う際は、極めて粗巻き紐と介在との区別がつき難い。
【0008】
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、解体作業時に粗巻き紐を容易に見分けて切断することが可能な光ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光ケーブルは、光ファイバを複数本収容したユニットを1又は複数備え、この1又は複数のユニットの周囲に繊維状の介在が配され、介在の周囲に粗巻き紐が巻かれた状態で、シースが被覆されたケーブルであり、粗巻き紐の色が介在の色と異なることを特徴とする。
【0010】
ここで、粗巻き紐は2本以上巻かれており、それぞれの粗巻き紐の色が異なることが好ましい。また、粗巻き紐の色は蛍光色であることが好ましい。
また、上記介在として、ヤーンが一方向撚りで配されているか、若しくは、テープ状部材が縦添えで配されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光ケーブルによれば、粗巻き紐の色が介在の色と異なるように構成しているため、解体作業時に粗巻き紐を容易に見分けて切断することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る光ケーブルの一構成例を示す断面図である。
【図2】図1の光ケーブルのシースを剥いだ状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る光ケーブルの他の構成例を示す断面図である。
【図4】本発明の光ケーブルを解体するのに要する時間を従来の光ケーブルと比較した試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明に係る光ケーブルの一構成例を示す断面図で、図2は、図1の光ケーブルのシースを剥いだ状態を示す斜視図である。
図1で例示する光ケーブル1は、6枚の光ファイバテープ心線11を備え、この6枚の光ファイバテープ心線11の周囲にヤーン12が配されている。光ファイバテープ心線11は、光ファイバを複数本収容したユニットの一例である。また、光ファイバテープ心線11の数は6枚で例示しているが、1又は複数枚設けられていればよい。
【0014】
また、光ファイバテープ心線11とヤーン12とが同一方向に撚られていることを前提に説明するが、光ファイバテープ心線11はヤーン12と反対方向に撚られていてもよいし、捻回させずにストレート状に設けてもよい。また、ヤーン12は一方向撚りとするが、光ファイバテープ心線11はSZ方向に撚られていてもよい。ヤーン12としては、例えばポリプロピレン(PP)ヤーンやポリエチレンテレフタレート(PET)ヤーンなどのプラスチック製を用いることができるが、プラスチック製でなくてもよい。
【0015】
そして、本発明における光ケーブル1では、ヤーン12の上から、図2で図示するように粗巻き紐16a,16b,16cが一定のピッチで一方向に巻かれ、その周囲に2本の引き裂き紐13が縦添えされた状態でシース15が被覆されている。このように、光ケーブル1は、ヤーン12の周囲に粗巻き紐16a,16b,16cが巻かれた状態でシース15が被覆されている。
【0016】
また、シース15の内部には鋼線である2本のテンションメンバ14も縦添えされており、シース15の一部には2本の引き裂き紐13の位置を示す突起部15aが設けられている。
なお、引き裂き紐13や突起部15aは設けなくてもよいが、解体作業時に便利なため設けることが好ましい。テンションメンバ14は、光ケーブル1の強度を保ち、光ファイバテープ心線11が折れるのを防止するために設けられている。
【0017】
以上のようにして構成される光ケーブル1の例としては、4心程度の光ファイバテープ心線11を5〜6枚程度、捻回又はストレート状で積層してなる光ファイバテープ心線集合体の周囲に、これを中心として介在として機能するヤーン12が集合して(後述のようにその周囲に粗巻き紐が巻かれ)、断面形状が直径12mm程度の円形である光ケーブルコアを有する。そして、光ケーブル1は、このような光ケーブルコアに引き裂き紐13、テンションメンバ14、シース15が配されてなる。
【0018】
そして、本発明の主たる特徴として、ヤーン12とシース15との間に巻かれた粗巻き紐16a,16b,16cの色が、ヤーン12の色と異なるようにしておく。粗巻き紐16a,16b,16cの素材としては、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、アラミド繊維などが挙げられる。例えば、ヤーン12はこのような素材の場合には白色である場合が多いので、粗巻き紐16a,16b,16cは白以外の色とすればよい。なお、ヤーン12としては、多くの場合、白色のものが用いられるが何色でもよい。
【0019】
このようにヤーン12と色が異なる粗巻き紐16a,16b,16cを使用することで、両者の識別性を良くすることができ、解体作業時に粗巻き紐16a,16b,16cを容易に見分けてヤーン12を残して切断することが可能になる。
【0020】
また、図2では、光ケーブル1に3本の粗巻き紐16a,16b,16cを巻いた例を挙げているが、本数はこれに限ったものではない。但し、粗巻き紐は2本以上巻かれており、それぞれの粗巻き紐の色が異なることが好ましい。図2の例で説明すると、粗巻き紐16a,16b,16cの色をそれぞれ替える。例えば、ヤーン12が白色、粗巻き紐16aが黒色、粗巻き紐16bが赤色、粗巻き紐16cが黄色、といった配色を採用すればよい。このように各粗巻き紐の色を異ならせることで、何本粗巻き紐を切断すれば良いかが分かるため好適である。
【0021】
また、光ケーブル1は地下管路に布設されることも想定される。そのような場合、光ケーブル1の解体作業もマンホール内等の暗い場所で行う場合が多い。従って、粗巻き紐16a,16b,16cをヤーン12と異なる色の蛍光色とすることで、さらに粗巻き除去性を改善することができる。
【0022】
以上、光ケーブル1にヤーン12が配されていることを前提に説明したが、ヤーン12の代わりに他の繊維状の介在が配されていても、その色が粗巻き紐16a,16b,16cの色と異なればよい。例えば、繊維状の介在としてテープ状部材が縦添えで配されていてもよい。テープ状部材としては、不織布や吸水テープなど、繊維状のものが挙げられる。
【0023】
吸水テープとしては、吸水機能を有するテープ状の部材であればよく、少なくとも一方の面に接着層を設けておき、光ファイバテープ心線11側に接着させて縦添えできるような構造をもたせておくことが好ましい。また、吸水テープとしては、例えば両面に接着剤を塗布してその表面に膨潤パウダをまぶした繊維状テープなども使用することができる。この膨潤パウダは、水分を吸収して短時間で膨潤する性質(膨潤性)を有し、膨潤した結果、非浸水性ゲル状物質に変質する。そのため、水が吸水テープに到達すると、膨潤パウダはテープから脱落し、光ファイバテープ心線11とシース15との隙間を非浸水性物質で埋め尽くすことができる。
【0024】
図3は、本発明に係る光ケーブルの他の構成例を示す断面図である。
図3で例示する光ケーブル3は、光ファイバを複数本収容したユニットの他の例として、6本の4心の光ファイバユニット31を備える。光ケーブル3は、6本の光ファイバユニット31の周囲にヤーン32が配されている。
【0025】
光ケーブル3は、光ファイバユニット31以外の構成については図1の光ケーブル1と同様の構成をもつ。すなわち、光ケーブル3は、ヤーン32の上から、図2で説明したのと同様に粗巻き紐(図示せず)が巻かれ、その周囲に2本の引き裂き紐33が縦添えされた状態で、突起部35aをもつシース35が被覆され、シース35の内部には2本のテンションメンバ34も縦添えされている。
【0026】
このようにして構成される光ケーブル3の例としては、図3で図示したように4心の光ファイバユニット31を6本(或いは、単心の光ファイバユニットを8〜40本、4心の光ファイバユニット×10本、8心の光ファイバユニット×5本、8心の光ファイバユニット×3本など)、捻回又はストレート状で積層してなる光ファイバユニット集合体の周囲に、これを中心として介在として機能するヤーン32が集合してその周囲に粗巻き紐が巻かれ、断面形状が直径3〜12mm程度の円形である光ケーブルコアを有する。そして、光ケーブル3は、このような光ケーブルコアに引き裂き紐33、テンションメンバ34、シース35が配されてなる。
【0027】
そして、光ケーブル3も、光ケーブル1と同様に粗巻き紐の色がヤーン32の色と異なる。その他の応用例については光ケーブル1について説明した通りである。
また、本発明に係る光ケーブルとしては、図1や図3で説明したような構成に限らず、光ファイバを複数本収容したユニットの周囲に繊維状の介在、粗巻き紐が配されてシースが被覆された構成であれば適用できる。
【0028】
図4は、本発明の光ケーブルを解体するのに要する時間を従来の光ケーブルと比較した試験結果を示す図である。図4で示す試験結果では、本発明に係る光ケーブルを用いた試験例1、試験例2の他に、比較例として従来の光ケーブルを用いた比較例を示している。いずれの例においても、3本の粗巻き紐を有し、その粗巻き紐の切断にはニッパを使用し、心線取り出し作業時間を3名の平均値として調べた。
【0029】
比較例では、ヤーンの色、3本の粗巻き紐の色、いずれも白色として作業時間を調べた結果、62秒かかった。これに対し、本発明を適用した試験例1では、ヤーンの色を白、3本の粗巻き紐の色を全て黒として作業時間を調べた結果、47秒かかり、比較例より作業時間が短縮された。さらに、本発明を適用した他の試験例2では、ヤーンの色を白、3本の粗巻き紐の色をそれぞれ異ならせ、黒、赤、黄として作業時間を調べた結果、39秒かかり、試験例1よりさらに作業時間が短縮された。
【符号の説明】
【0030】
1,3…光ケーブル、11…光ファイバテープ心線、12,32…ヤーン、13,33…引き裂き紐、14,34…テンションメンバ、15,35…シース、15a,35a…突起部、16a,16b,16c…粗巻き紐、31…光ファイバユニット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを複数本収容したユニットを、1又は複数備える光ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から通信用の光ファイバケーブル(光ケーブル)として、光ファイバを複数本収容したユニットを複数集合したケーブル、又は1つのみ収容したケーブルが用いられることがある。このユニットは、光ファイバテープ心線や光ファイバユニットなどと呼ばれる。
【0003】
このような光ケーブルを製造する際、ユニットをヤーンやテープ状部材などの繊維状の介在で覆った後にシースを施すため、シースを施す際に介在がばらけないように粗巻き紐が巻かれる。
【0004】
例えば、特許文献1には、単数又は複数の素線又はテープ心線からなる光ファイバ心線と、この光ファイバ心線を取り巻くべく縦添えされた耐熱性のプラスチックヤーン又は有機系繊維もしくは無機系繊維からなる介在体と、光ファイバ心線の全てと介在体とを一括して粗巻きした紐と、この近傍に平行で両脇に配置された光エレメント用抗張力体と、それらを被覆したケーブルシースとを備えた光ケーブルが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、2本以上の光ファイバ心線を、その周囲に配置した緩衝材と共に撚り合わせ、緩衝材の外側に押さえ巻き糸又はテープを巻回し、押さえ巻き糸又はテープを巻回した光ファイバ心線及び緩衝剤の外側に、抗張力体を配置してさらに外皮(シース)を形成してなる光ケーブルが開示されている。
ところで、光ケーブルを解体して心線を取り出す作業においては、シース除去後に粗巻き紐をニッパ等の切裂き工具で切断する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−61964号公報
【特許文献2】特開2005−70127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1,2に記載の光ケーブルをはじめとする従来の光ケーブルでは、粗巻き紐を切断する際、粗巻き紐と介在の色が同系色で見分け難く、作業者にとって本当に粗巻き紐が切断されたか分からない。
また、作業者にとっては、粗巻き紐の本数が解体作業時には分からないことがあり、その場合には粗巻き紐を何本切断すれば良いのかが分からない。特に、暗い場所で粗巻き紐の除去を行う際は、極めて粗巻き紐と介在との区別がつき難い。
【0008】
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、解体作業時に粗巻き紐を容易に見分けて切断することが可能な光ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光ケーブルは、光ファイバを複数本収容したユニットを1又は複数備え、この1又は複数のユニットの周囲に繊維状の介在が配され、介在の周囲に粗巻き紐が巻かれた状態で、シースが被覆されたケーブルであり、粗巻き紐の色が介在の色と異なることを特徴とする。
【0010】
ここで、粗巻き紐は2本以上巻かれており、それぞれの粗巻き紐の色が異なることが好ましい。また、粗巻き紐の色は蛍光色であることが好ましい。
また、上記介在として、ヤーンが一方向撚りで配されているか、若しくは、テープ状部材が縦添えで配されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光ケーブルによれば、粗巻き紐の色が介在の色と異なるように構成しているため、解体作業時に粗巻き紐を容易に見分けて切断することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る光ケーブルの一構成例を示す断面図である。
【図2】図1の光ケーブルのシースを剥いだ状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る光ケーブルの他の構成例を示す断面図である。
【図4】本発明の光ケーブルを解体するのに要する時間を従来の光ケーブルと比較した試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明に係る光ケーブルの一構成例を示す断面図で、図2は、図1の光ケーブルのシースを剥いだ状態を示す斜視図である。
図1で例示する光ケーブル1は、6枚の光ファイバテープ心線11を備え、この6枚の光ファイバテープ心線11の周囲にヤーン12が配されている。光ファイバテープ心線11は、光ファイバを複数本収容したユニットの一例である。また、光ファイバテープ心線11の数は6枚で例示しているが、1又は複数枚設けられていればよい。
【0014】
また、光ファイバテープ心線11とヤーン12とが同一方向に撚られていることを前提に説明するが、光ファイバテープ心線11はヤーン12と反対方向に撚られていてもよいし、捻回させずにストレート状に設けてもよい。また、ヤーン12は一方向撚りとするが、光ファイバテープ心線11はSZ方向に撚られていてもよい。ヤーン12としては、例えばポリプロピレン(PP)ヤーンやポリエチレンテレフタレート(PET)ヤーンなどのプラスチック製を用いることができるが、プラスチック製でなくてもよい。
【0015】
そして、本発明における光ケーブル1では、ヤーン12の上から、図2で図示するように粗巻き紐16a,16b,16cが一定のピッチで一方向に巻かれ、その周囲に2本の引き裂き紐13が縦添えされた状態でシース15が被覆されている。このように、光ケーブル1は、ヤーン12の周囲に粗巻き紐16a,16b,16cが巻かれた状態でシース15が被覆されている。
【0016】
また、シース15の内部には鋼線である2本のテンションメンバ14も縦添えされており、シース15の一部には2本の引き裂き紐13の位置を示す突起部15aが設けられている。
なお、引き裂き紐13や突起部15aは設けなくてもよいが、解体作業時に便利なため設けることが好ましい。テンションメンバ14は、光ケーブル1の強度を保ち、光ファイバテープ心線11が折れるのを防止するために設けられている。
【0017】
以上のようにして構成される光ケーブル1の例としては、4心程度の光ファイバテープ心線11を5〜6枚程度、捻回又はストレート状で積層してなる光ファイバテープ心線集合体の周囲に、これを中心として介在として機能するヤーン12が集合して(後述のようにその周囲に粗巻き紐が巻かれ)、断面形状が直径12mm程度の円形である光ケーブルコアを有する。そして、光ケーブル1は、このような光ケーブルコアに引き裂き紐13、テンションメンバ14、シース15が配されてなる。
【0018】
そして、本発明の主たる特徴として、ヤーン12とシース15との間に巻かれた粗巻き紐16a,16b,16cの色が、ヤーン12の色と異なるようにしておく。粗巻き紐16a,16b,16cの素材としては、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、アラミド繊維などが挙げられる。例えば、ヤーン12はこのような素材の場合には白色である場合が多いので、粗巻き紐16a,16b,16cは白以外の色とすればよい。なお、ヤーン12としては、多くの場合、白色のものが用いられるが何色でもよい。
【0019】
このようにヤーン12と色が異なる粗巻き紐16a,16b,16cを使用することで、両者の識別性を良くすることができ、解体作業時に粗巻き紐16a,16b,16cを容易に見分けてヤーン12を残して切断することが可能になる。
【0020】
また、図2では、光ケーブル1に3本の粗巻き紐16a,16b,16cを巻いた例を挙げているが、本数はこれに限ったものではない。但し、粗巻き紐は2本以上巻かれており、それぞれの粗巻き紐の色が異なることが好ましい。図2の例で説明すると、粗巻き紐16a,16b,16cの色をそれぞれ替える。例えば、ヤーン12が白色、粗巻き紐16aが黒色、粗巻き紐16bが赤色、粗巻き紐16cが黄色、といった配色を採用すればよい。このように各粗巻き紐の色を異ならせることで、何本粗巻き紐を切断すれば良いかが分かるため好適である。
【0021】
また、光ケーブル1は地下管路に布設されることも想定される。そのような場合、光ケーブル1の解体作業もマンホール内等の暗い場所で行う場合が多い。従って、粗巻き紐16a,16b,16cをヤーン12と異なる色の蛍光色とすることで、さらに粗巻き除去性を改善することができる。
【0022】
以上、光ケーブル1にヤーン12が配されていることを前提に説明したが、ヤーン12の代わりに他の繊維状の介在が配されていても、その色が粗巻き紐16a,16b,16cの色と異なればよい。例えば、繊維状の介在としてテープ状部材が縦添えで配されていてもよい。テープ状部材としては、不織布や吸水テープなど、繊維状のものが挙げられる。
【0023】
吸水テープとしては、吸水機能を有するテープ状の部材であればよく、少なくとも一方の面に接着層を設けておき、光ファイバテープ心線11側に接着させて縦添えできるような構造をもたせておくことが好ましい。また、吸水テープとしては、例えば両面に接着剤を塗布してその表面に膨潤パウダをまぶした繊維状テープなども使用することができる。この膨潤パウダは、水分を吸収して短時間で膨潤する性質(膨潤性)を有し、膨潤した結果、非浸水性ゲル状物質に変質する。そのため、水が吸水テープに到達すると、膨潤パウダはテープから脱落し、光ファイバテープ心線11とシース15との隙間を非浸水性物質で埋め尽くすことができる。
【0024】
図3は、本発明に係る光ケーブルの他の構成例を示す断面図である。
図3で例示する光ケーブル3は、光ファイバを複数本収容したユニットの他の例として、6本の4心の光ファイバユニット31を備える。光ケーブル3は、6本の光ファイバユニット31の周囲にヤーン32が配されている。
【0025】
光ケーブル3は、光ファイバユニット31以外の構成については図1の光ケーブル1と同様の構成をもつ。すなわち、光ケーブル3は、ヤーン32の上から、図2で説明したのと同様に粗巻き紐(図示せず)が巻かれ、その周囲に2本の引き裂き紐33が縦添えされた状態で、突起部35aをもつシース35が被覆され、シース35の内部には2本のテンションメンバ34も縦添えされている。
【0026】
このようにして構成される光ケーブル3の例としては、図3で図示したように4心の光ファイバユニット31を6本(或いは、単心の光ファイバユニットを8〜40本、4心の光ファイバユニット×10本、8心の光ファイバユニット×5本、8心の光ファイバユニット×3本など)、捻回又はストレート状で積層してなる光ファイバユニット集合体の周囲に、これを中心として介在として機能するヤーン32が集合してその周囲に粗巻き紐が巻かれ、断面形状が直径3〜12mm程度の円形である光ケーブルコアを有する。そして、光ケーブル3は、このような光ケーブルコアに引き裂き紐33、テンションメンバ34、シース35が配されてなる。
【0027】
そして、光ケーブル3も、光ケーブル1と同様に粗巻き紐の色がヤーン32の色と異なる。その他の応用例については光ケーブル1について説明した通りである。
また、本発明に係る光ケーブルとしては、図1や図3で説明したような構成に限らず、光ファイバを複数本収容したユニットの周囲に繊維状の介在、粗巻き紐が配されてシースが被覆された構成であれば適用できる。
【0028】
図4は、本発明の光ケーブルを解体するのに要する時間を従来の光ケーブルと比較した試験結果を示す図である。図4で示す試験結果では、本発明に係る光ケーブルを用いた試験例1、試験例2の他に、比較例として従来の光ケーブルを用いた比較例を示している。いずれの例においても、3本の粗巻き紐を有し、その粗巻き紐の切断にはニッパを使用し、心線取り出し作業時間を3名の平均値として調べた。
【0029】
比較例では、ヤーンの色、3本の粗巻き紐の色、いずれも白色として作業時間を調べた結果、62秒かかった。これに対し、本発明を適用した試験例1では、ヤーンの色を白、3本の粗巻き紐の色を全て黒として作業時間を調べた結果、47秒かかり、比較例より作業時間が短縮された。さらに、本発明を適用した他の試験例2では、ヤーンの色を白、3本の粗巻き紐の色をそれぞれ異ならせ、黒、赤、黄として作業時間を調べた結果、39秒かかり、試験例1よりさらに作業時間が短縮された。
【符号の説明】
【0030】
1,3…光ケーブル、11…光ファイバテープ心線、12,32…ヤーン、13,33…引き裂き紐、14,34…テンションメンバ、15,35…シース、15a,35a…突起部、16a,16b,16c…粗巻き紐、31…光ファイバユニット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを複数本収容したユニットを1又は複数備え、前記1又は複数のユニットの周囲に繊維状の介在が配され、前記介在の周囲に粗巻き紐が巻かれた状態で、シースが被覆された光ケーブルであって、前記粗巻き紐の色が前記介在の色と異なることを特徴とする光ケーブル。
【請求項2】
前記粗巻き紐は2本以上巻かれており、それぞれの粗巻き紐の色が異なることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル。
【請求項3】
前記粗巻き紐の色は蛍光色であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ケーブル。
【請求項4】
前記介在として、ヤーンが一方向撚りで配されているか、若しくは、テープ状部材が縦添えで配されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ケーブル。
【請求項1】
光ファイバを複数本収容したユニットを1又は複数備え、前記1又は複数のユニットの周囲に繊維状の介在が配され、前記介在の周囲に粗巻き紐が巻かれた状態で、シースが被覆された光ケーブルであって、前記粗巻き紐の色が前記介在の色と異なることを特徴とする光ケーブル。
【請求項2】
前記粗巻き紐は2本以上巻かれており、それぞれの粗巻き紐の色が異なることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル。
【請求項3】
前記粗巻き紐の色は蛍光色であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ケーブル。
【請求項4】
前記介在として、ヤーンが一方向撚りで配されているか、若しくは、テープ状部材が縦添えで配されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ケーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2013−109171(P2013−109171A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254483(P2011−254483)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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