説明

光コネクタプラグ

【課題】光コネクタプラグから一度引き抜いた光ファイバを、再度、前記光コネクタプラグに不正に挿着できてしまうことを防止する。
【解決手段】光コネクタプラグの挿抜方向に沿って筒状プラグ本体の中心部に光ファイバ用の接続用貫通孔が設けられてなる光コネクタプラグにおいて、前記貫通孔に貫通するように前記挿抜方向に直交する半径方向へ前記プラグ本体3に設けられた収納孔3aと、前記収納孔に装着具を介して装着されるものであって、前記貫通孔に挿入された光ファイバ4によって前記貫通孔3bへの阻止部材(板バネ2a、屈曲部2e)の拡開が阻まれるとともに、前記貫通孔に光ファイバ4が挿入されていない時には前記貫通孔3bへ阻止部材(板バネ2a、屈曲部2e)が拡開して閉塞し光ファイバ4の挿着を阻止する遮蔽部材2とを有してなる光コネクタプラグ1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信におけるハーネスの光コネクタプラグに係り、詳しくは、光コネクタの嵌合後に、プラスチック光ファイバ(Plastic Optical Fiber : 以下、POFコードという)が光コネクタプラグから一度引き抜かれた場合には、再度の嵌合・接続を防止するようにした光コネクタプラグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、医療機器などにおいては衛生上の理由として嵌合・抜去が可能なコネクタプラグと相手方コネクタとにおいて、前記コネクタプラグが嵌合後に前記相手方コネクタから引き抜かれた後は、再度、このコネクタプラグが相手方コネクタに嵌合させることができないようにするとともに、相手方コネクタに不要な部材を残さないようにするコネクタプラグが知られている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−99459号公報
【特許文献2】特開2009−187846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来のコネクタプラグの例では、相手方コネクタに対して前記コネクタプラグ自身が嵌合できないように工夫したものである。しかしながら、例えば、遊戯具においては光コネクタプラグのPOFコードを強制的に前記光コネクタプラグから引き抜いて、替わりに予め用意した不正用のPOFコードを前記光コネクタプラグに再度挿着して、不正行為を働くことがある。このような場合には、相手方コネクタに対する前記コネクタプラグ自体の再利用防止対策では対応できないものである。本発明に係る光コネクタプラグは、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る光コネクタプラグの上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、光コネクタプラグの挿抜方向に沿って筒状プラグ本体の中心部に光ファイバ用の接続用貫通孔が設けられてなる光コネクタプラグにおいて、前記貫通孔に貫通するように前記挿抜方向に直交する半径方向へ前記プラグ本体に設けられた収納孔と、前記収納孔に装着具を介して装着されるものであって、前記貫通孔に挿入された光ファイバによって前記貫通孔への阻止部材の拡開が阻まれるとともに、前記貫通孔に光ファイバが挿入されていない時には前記貫通孔へ阻止部材が拡開して閉塞し光ファイバの挿着を阻止する遮蔽部材とを有してなることである。
【0006】
前記遮蔽部材は、阻止部材と装着具とが弾性部材で一体に形成されていることを含むものである。
前記阻止部材は、バネ部材をくの字に屈曲させた屈曲部材であること、若しくは、バネ部材の板材であること、;
更に、前記装着具は、挿抜方向の前後に脚部があり、該脚部は収納孔に装着されると前記脚部が貫通孔に挿着された光ファイバの外皮の一部に食い込んで抜去防止作用をするものであること、;
を含むものである。
【0007】
本発明に係る光コネクタプラグの上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、光コネクタプラグの挿抜方向に沿って筒状プラグ本体の中心部に光ファイバ用の接続用貫通孔が設けられてなる光コネクタプラグにおいて、前記貫通孔に貫通するように前記挿抜方向に直交する半径方向へ前記プラグ本体に設けられた収納孔と、前記収納孔に装着されるものであって、前記貫通孔に挿入された光ファイバによって前記貫通孔への阻止部材の拡開が阻まれるとともに、前記貫通孔に光ファイバが挿入されていない時には前記貫通孔へ阻止部材が拡開して閉塞し光ファイバの挿着を阻止する遮蔽部材とを有してなることである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の光コネクタプラグによれば、前記遮蔽部材によって、相手モジュール、光リンク、光コネクタ用アダプタ等に嵌合させた後に、前記光コネクタプラグからPOFコードを無理に引き抜いた後は、再びPOFコードを前記光コネクタプラグに挿着することが不可能になり、不正な操作を防止できる。
【0009】
また、前記遮蔽部材における阻止部材と装着具とは弾性部材で一体に形成されていることで、部品点数が減り在庫管理も容易になる。更に、前記阻止部材は、バネ部材をくの字に屈曲させた屈曲部材であること、若しくは、バネ部材の板材であるので、確実にPOFコードの挿入・装着を阻止することができる。
【0010】
前記装着具は、挿抜方向の前後に脚部があり、該脚部は収納孔に装着されると貫通孔に挿着された光ファイバの外皮の一部に食い込んで抜去防止作用をするので、プラグ本体からのPOFコードの抜けを防止することができる、と言う数々の優れた効果を奏するものである。
また、遮蔽部材を圧接部材と別個に独立して形成し、光コネクタ用プラグに取り付けることが出来るようにすれば、既存の光コネクタプラグに追加することが可能となるとともに、2度差しによる不正行為を低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1−A】本発明に係る光コネクタプラグ1における遮蔽部材2の正面図(A)、側面図(B)、平面図(C)、底面図(D)である。
【図1−B】同本発明に係る光コネクタプラグ1における遮蔽部材2で、図1−Aの(B)におけるA−A線に沿った断面図である。
【図2】同本発明の光コネクタプラグ1のプラグ本体3における遮蔽部材2の使用方法と遮蔽作用を説明する説明図(A)〜(D)である。
【図3】同本発明の光コネクタプラグ1のプラグ本体5における他の実施例に係る遮蔽部材2eとバネ部材6,シャッター7の使用方法を説明する説明図(A)〜(C)である。
【図4】同本発明の光コネクタプラグ1のプラグ本体5における他の実施例に係る遮蔽部材2jとトーションバネ6,シャッター部材7の遮蔽作用を説明する説明図(A)〜(C)である。
【図5】同本発明の第3実施例に係る遮蔽部材9の平面図(A)と、側面図(B)とである。
【図6】同遮蔽部材9の使用状態を示す平面図(A)と、使用状態の説明用断面図(B)とである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る光コネクタプラグ1は、図1−A、図1−Bに示すように、POFコード4の再度の挿入・挿着作用を阻止する遮蔽部材2を有するものである。
【実施例1】
【0013】
前記光コネクタプラグ1は、図2(A)に示すように、光コネクタプラグ1の挿抜方向aに沿って筒状のプラグ本体3の中心部に光ファイバ用の接続用貫通孔3bが設けられてなる光コネクタプラグにおいて、前記貫通孔3bに貫通するように前記挿抜方向aに直交する半径方向へ収納孔3aが設けられている。
【0014】
前記収納孔3aに装着具(天板2b、脚部2c,2d、補強板2f)を介して装着されるものであって、前記貫通孔3bに挿入されたPOFコード4によって前記貫通孔3bへの阻止部材(板バネ2a、屈曲部2e)の拡開が阻まれるとともに、前記貫通孔3bにPOFコード4が挿入されていない時には前記貫通孔3bへ前記阻止部材(板バネ2a、屈曲部2e)が拡開して、前記貫通孔3bを閉塞しPOFコード4の挿着を阻止する遮蔽部材2が設けられる。
【0015】
前記遮蔽部材2は、図1−Aに示すように、板バネ部材によって形成するものであり、平板状の天板2bと、該天板2bの両端縁部から垂設される脚部2c,2d、同じく補強板2fとで装着具として形成され、そしてこれらの装着具と一体にして、阻止部材である板バネ2a、屈曲部2eが形成されている。前記装着具と阻止部材とは別部材で形成しても良いが、一体に形成することで部品点数が減り、コスト低減となるものである。
【0016】
前記阻止部材としての板バネ2aには、屈曲部2eが形成されており、この屈曲部2eの部分に、POFコード4の心線4a先端部が衝突して、それ以上の進入を阻止するものである。図1−Bに示すように、補強板2fは、天板2bの補強部材である。また、挿抜方向の前後にある脚部2c,2dにおいては、プラグ本体3の収納孔3aに装着した場合に、POFコード4のプラグ本体3からの抜けを防止するために、当該光ファイバの外皮の一部に食い込んで抜去防止作用をする圧接ガイド部2gが、二股状にして形成されている。
【0017】
この様にして、前記遮蔽部材2が形成され、それをプラグ本体3に適用するには、図2(A)に示すように、POFコード4が貫通孔3bに正規の位置に装着された状態において、前記遮蔽部材2を収納孔3aに差し込んで挿着する。
【0018】
すると、図2(B)に示すように、屈曲部2eを有する板バネ2aが、閉じられた状態で収まる。貫通孔3bにPOFコード4が存在するので、前記板バネ2aの下部が拡開することが出来ないのである。
【0019】
次に、図2(C)に示すように、前記プラグ本体3から前記POFコード4を無理やり引き抜いた状態となった後は、前記遮蔽部材2の板バネ2aが収納孔3bから貫通孔3b内へと拡開する。よって、貫通孔3bの挿抜方向aにおいて、板バネ2aの屈曲部2eが展開されて存在し、POFコード4の心線4aがフェルール3cに挿入されるのを阻止する。
【0020】
よって、図4(D)に示すように、POFコード4がプラグ本体3の貫通孔3bに挿入されても、その心線4a先端部が屈曲部2eに衝突して、それ以上挿入することができない。前記プラグ本体3にPOFコード4が装着され、遮蔽部材2が取り付けられた後は、前記POFコード4を前記プラグ本体3から引き抜いて再びPOFコード4を挿入して光接続しようとしても不可能となり、遊戯具などの不正な使用が防止されるものである。このようにして、POFコード4の引抜による不正操作を防止できるものである。
【実施例2】
【0021】
本発明の第2実施例に係る光コネクタプラグ1aは、図3(A)〜(C)に示すように、遮蔽部材2の変形例であって、この実施例の遮蔽部材8は、装着具2jと、阻止部材であるトーションバネ6および該トーションバネ6とは別部材でそのバネの付勢力で回動され、貫通孔5cに展開されるシャッター部材7とでなる。前記装着具2jは、前記装着具(天板2b、脚部2c,2d、補強板2f)とほぼ同様の構成である。
【0022】
前記シャッター部材7は、全体が平板状の板体であって、回動自在に軸支する回転軸が前記トーションバネ6の回転軸と共用されている。その回転軸は、図3(A)に示すプラグ本体5の収納孔5aに形成された軸受け部5bに軸支される。
【0023】
図3(B)に示すように、阻止部材としての前記トーションバネ6とシャッター7とが収納孔5aに収められる。トーションバネ6の片側バネ片が外に飛び出ている。そして、図3(C)に示すように、前記装着具2jを収納孔5aに取り付ける。貫通孔5cにはPOFコード4が装着されているので、トーションバネ6の前記片側バネ片が強く押さえ込まれて、付勢力が増大する。
【0024】
図4(A)に示す状態になって、プラグ本体5にPOFコード4が装着された状態となる。この状態から、不正手段により、図4(B)に示すように、POFコード4がプラグ本体5から引き抜かれると、収納孔5aに納められた前記トーションバネ6の他側バネ片6aの付勢力で、シャッター部材7が反時計方向に回転して、貫通孔5cを閉塞する。これにより、図4(C)に示すように、この後、再びPOFコード4を貫通孔5cに挿入しようとしても、前記シャッター部材7に心線4aが衝突することになって、挿入が阻止されるものである。
【0025】
なお、前記トーションバネ6とシャッター部材7とを別部材にしたが、バネ板の板材により、これらを一体に形成してもよい。
【実施例3】
【0026】
光コネクタプラグ1bは、図5(A),(B)に示すように、プラグ本体3の収納孔3aに装着されるものであって、貫通孔3bに挿入されたPOFコード4によって前記貫通孔3bへの阻止部材である阻止片9bの拡開が阻まれるとともに、前記貫通孔3bにPOFコード4が挿入されていない時には前記貫通孔3bへ前記阻止片9bが拡開して閉塞し光ファイバの挿着を阻止する遮蔽部材9がある。
【0027】
前記遮蔽部材9は、全体が弾性部材で形成されており、平板状の天板9aと、該天板9aの中央部から長く屈曲して下方に延設された阻止部材としての阻止片9bと、前記天板9aの両端部から下方に垂設された固定用側壁9cとからなる。
【0028】
また、一例として、前記収納孔3aから前記貫通孔3bに脚部が挿着され該貫通孔3bに挿着された光ファイバの外皮の一部に食い込んで抜去防止作用をする圧接部材10を有している。この圧接部材10は、前記実施例の装着具(2d〜2j)に対応するもので、既存の光コネクタ用プラグにおいて使用されているものである。なお、POFコード4を貫通孔3bに接着剤などで固定する場合には、前記圧接部材10を用いない場合もある。
【0029】
図6(A)に示すように、POFコード4が貫通孔3bに挿着された既存の光コネクタプラグ1bにおける収納孔3aに、前記遮蔽部材9を取り付ける。阻止片9bは、POFコード4によって上方向に持ち上げられた状態になる。そして、図6(B)にて手順に示すように、前記遮蔽部材9に被せるようにして圧接部材10を収納孔3aに押圧して差込み、この圧接部材10の脚部が前記POFコード4の外皮に食い込む。POFコード4が前記貫通孔3bから抜けなくなる。
【0030】
前記プラグ本体3に挿着したPOFコード4を強制的に引き抜くと、貫通孔3bに前記阻止片9bが拡開される。よって、図6(B)の最下段の図に示すように、再度、POFコード4を前記プラグ本体3の貫通孔3bに挿入しようとしても、前記阻止片9bに衝突することになって、POFコード4を不正に挿着することができなくなる。このように、既存の光コネクタ用プラグに本発明を直ちに適用することができる。部品点数も少ないので、低コストで実現可能である。なお、前記遮蔽部材9の実施形状は、一例であり、同作用し同効果を奏するものであれば、他の形状であってもよく、特に限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る光コネクタプラグ1は、遊戯具における不正防止対策のほか、衛生上で使い回しを禁止する医療機器などの光コネクタプラグにおいても適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 光コネクタプラグ、
1a 第2実施例に係る光コネクタプラグ、
1b 第3実施例に係る光コネクタプラグ、
2 遮蔽部材、 2a 板バネ、
2b 天板、 2c 脚部、
2d 脚部、 2e 屈曲部、
2f 補強板、 2g 圧接ガイド部、
2h 係合突起、 2j 装着具、
3 プラグ本体、 3a 収納孔、
3b 貫通孔、 3c フェルール、
4 POFコード、 4a 心線、
5 プラグ本体、 5a 収納孔、
5b 軸受け部、 5c 貫通孔、
6 トーションバネ、 6a 他側バネ片、
7 シャッター部材、
8 遮蔽部材、
9 遮蔽部材、 9a 天板、
9b 阻止片、 9c 固定用側壁、
10 圧接部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタプラグの挿抜方向に沿って筒状プラグ本体の中心部に光ファイバ用の接続用貫通孔が設けられてなる光コネクタプラグにおいて、
前記貫通孔に貫通するように前記挿抜方向に直交する半径方向へ前記プラグ本体に設けられた収納孔と、
前記収納孔に装着具を介して装着されるものであって、
前記貫通孔に挿入された光ファイバによって前記貫通孔への阻止部材の拡開が阻まれるとともに、前記貫通孔に光ファイバが挿入されていない時には前記貫通孔へ阻止部材が拡開して閉塞し光ファイバの挿着を阻止する遮蔽部材とを有してなること、
を特徴とする光コネクタプラグ。
【請求項2】
遮蔽部材は、阻止部材と装着具とが弾性部材で一体に形成されていること、
を特徴とする請求項1に記載の光コネクタプラグ。
【請求項3】
阻止部材は、バネ部材をくの字に屈曲させた屈曲部材であること、若しくは、バネ部材の板材であること、
を特徴とする請求項1または2に記載の光コネクタプラグ。
【請求項4】
装着具は、挿抜方向の前後に脚部があり、該脚部は収納孔に装着されると前記脚部が貫通孔に挿着された光ファイバの外皮の一部に食い込んで抜去防止作用をするものであること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光コネクタプラグ。
【請求項5】
光コネクタプラグの挿抜方向に沿って筒状プラグ本体の中心部に光ファイバ用の接続用貫通孔が設けられてなる光コネクタプラグにおいて、
前記貫通孔に貫通するように前記挿抜方向に直交する半径方向へ前記プラグ本体に設けられた収納孔と、
前記収納孔に装着されるものであって、前記貫通孔に挿入された光ファイバによって前記貫通孔への阻止部材の拡開が阻まれるとともに、前記貫通孔に光ファイバが挿入されていない時には前記貫通孔へ阻止部材が拡開して閉塞し光ファイバの挿着を阻止する遮蔽部材とを有してなること、
を特徴とする光コネクタプラグ。

【図1−A】
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【図1−B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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