光コネクタレセプタクル、光接続用ユニットおよび光アウトレット
【課題】防塵性能に優れ、かつ構造が簡単である光コネクタレセプタクルの提供。
【解決手段】光コネクタ挿入穴11aを有するコネクタ嵌合ハウジング20と、内蔵フェルール57を収納して前側ハウジング30とその後側のストップリング56とを嵌合して形成される結合ユニット部50とを有する光コネクタレセプタクル10。前側ハウジング30は、位置決めスリーブ52が貫通するベース部31と、ストップリング56と嵌合するスリーブ状のプラグフレーム部35とを有する。位置決めスリーブ52は、挿入光コネクタのフェルールを位置決めして内蔵フェルール57に突き合わせ可能である。コネクタ嵌合ハウジング20は、光コネクタ挿入穴11aが開口するハウジング本体21と、ハウジング本体21に回動可能に連結され、その回動により光コネクタ挿入穴11aを閉止可能とされた蓋部を備える。
【解決手段】光コネクタ挿入穴11aを有するコネクタ嵌合ハウジング20と、内蔵フェルール57を収納して前側ハウジング30とその後側のストップリング56とを嵌合して形成される結合ユニット部50とを有する光コネクタレセプタクル10。前側ハウジング30は、位置決めスリーブ52が貫通するベース部31と、ストップリング56と嵌合するスリーブ状のプラグフレーム部35とを有する。位置決めスリーブ52は、挿入光コネクタのフェルールを位置決めして内蔵フェルール57に突き合わせ可能である。コネクタ嵌合ハウジング20は、光コネクタ挿入穴11aが開口するハウジング本体21と、ハウジング本体21に回動可能に連結され、その回動により光コネクタ挿入穴11aを閉止可能とされた蓋部を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタレセプタクル、前記光コネクタレセプタクルが用いられた光接続用ユニット、および前記光コネクタレセプタクルが用いられた光アウトレットに関する。
【背景技術】
【0002】
光コネクタとしては、プラグ−アダプタ−プラグ方式を採用して、光ファイバ同士のコネクタ接続に用いられるものが広く提供されている。この光コネクタには、例えばSC形光コネクタ(JIS C5973に制定されるF04形光コネクタ。SC:Single fiberCoupling optical fiber connector)が採用できる。
この光コネクタでは、光コネクタ(プラグ)を光コネクタ(アダプタ)にその両側からそれぞれ挿入して嵌合し、光コネクタ(アダプタ)内にて互いに突き合わせることで結合できる。また、光コネクタ(アダプタ)に嵌合状態の光コネクタ(プラグ)は、そのハウジングに対する光コネクタ(アダプタ)の係合爪の係合を解除することで、光コネクタ(アダプタ)から抜き去ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−121859号公報
【特許文献2】特開2011−150128号公報
【特許文献3】特開2008−225133号公報
【特許文献4】特開2009−14960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記光コネクタは、防塵性能の点で十分とはいえず、防塵性能に優れた光コネクタが要望されていた。また、構造が複雑であるため小型化が難しいという問題もあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、防塵性能に優れ、かつ構造が簡略である光コネクタレセプタクル、光接続用ユニットおよび光アウトレットの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、挿入光コネクタが挿入される光コネクタ挿入穴を有するコネクタ嵌合ハウジングと、前記コネクタ嵌合ハウジングの後部に取り付けられ、内部に内蔵フェルールを収納して前側ハウジングとその後側のストップリングとを嵌合して形成される結合ユニット部とを有し、前記前側ハウジングは、前記内蔵フェルールおよびそれの内挿される位置決めスリーブが貫通するベース部と、前記ストップリングと嵌合するスリーブ状のプラグフレーム部とを有し、前記位置決めスリーブは、前記光コネクタ挿入穴に挿入される挿入光コネクタのフェルールを位置決めして前記内蔵フェルールに突き合わせ可能であり、前記コネクタ嵌合ハウジングは、前記光コネクタ挿入穴が前側に開口するハウジング本体と、前記ハウジング本体に回動可能に連結され、その回動により前記光コネクタ挿入穴を閉止可能とされた蓋部とを備える光コネクタレセプタクルを提供する。
前記前側ハウジングのベース部および前記コネクタ嵌合ハウジングには、それらを互いに係合する周方向全周に亘って延在する係合構造を形成することができる。
本発明の光コネクタレセプタクルは、前記前側ハウジングのベース部および前記コネクタ嵌合ハウジングの一方には、周方向に延在する溝部を前記係合構造として形成し、前記ベース部および前記コネクタ嵌合ハウジングの他方には、周方向に延在する突条を前記係合構造として前記溝部に嵌合可能に形成することができる。
本発明の光コネクタレセプタクルは、前記嵌合ハウジング本体が、本体基板部と、前記本体基板部との間に前記前側ハウジングの少なくと一部を収容して前記本体基板部に対して組み合わせられる本体カバー部とを有し、前記本体基板部に対して前記本体カバー部を組み合わせた際に、それぞれに形成された前記係合構造が周方向に亘って延在するようになる構成とすることができる。
本発明の光コネクタレセプタクルは、前記本体基板部が、底板部を備え、前記本体カバー部が、天板部と、前記天板部からそれぞれ前記天板部に対し交差する方向に前記前側ハウジングを挟むように立設される一対の側板部とを備え、前記本体基板部には、前記底板部の内面に前記周方向に亘って形成された突条と、前記底板部からそれぞれ前記底板部に対し交差する方向に前記前側ハウジングを挟むように延出する一対の延出片とが前記係合構造として形成され、前記本体カバー部には、前記天板部のみの内面に前記周方向に亘って突条が前記係合構造として形成されている構成とすることができる。
前記コネクタ嵌合ハウジングは、前記蓋部を閉止する方向に付勢する付勢部材を備えていてよい。
光コネクタ挿入穴の軸方向に平行となるように開放した状態と閉止した状態とについての前記蓋部の回動角の差は90°未満とすることができる。
光コネクタ挿入穴の軸方向に平行となるように開放した状態と閉止した状態とについての前記蓋部の回動角の差は90°以上とすることができる。
本発明は、光伝送体の先端に組み立てられ、前記光伝送体の先端部が、前記内蔵フェルールに内挿固定されている光コネクタレセプタクルを提供する。
本発明は、光伝送体の先端に組み立てられ、前記結合ユニット部が、前記内蔵フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバの後端部と、前記後端部に突き当てた前記光伝送体の先端部とを把持して、これらの突き合わせ接続状態を維持するクランプ部を有する光コネクタレセプタクルを提供する。
【0006】
本発明は、前記光コネクタレセプタクルと、前記光コネクタレセプタクルを収容可能、かつ取付壁の取付け面に設置可能な光コネクタ収容ケースと、を備え、前記光コネクタレセプタクルが、前記取付け面より奥側から配線された光伝送体の先端に組み立てられ、前記光コネクタ収容ケースが、前記挿入光コネクタが挿入される開口部を有する光接続用ユニットを提供する。
本発明は、前記光コネクタレセプタクルと、前記光コネクタレセプタクルを収容可能、かつ取付壁の取付け面に設置可能な外装体と、を備え、前記光コネクタレセプタクルが、前記取付け面より奥側から配線された光伝送体の先端に組み立てられ、前記外装体が、前記挿入光コネクタが挿入される開口部を有する光アウトレットを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光コネクタ挿入穴を閉止可能な蓋部を備えたコネクタ嵌合ハウジングを採用したので、光コネクタ挿入穴からコネクタ嵌合ハウジング内への塵埃の侵入を防ぐことができる。
結合ユニット部は、挿入光コネクタのフェルールが突き合わせ接続されるフェルールを内蔵しているため、プラグ−アダプタ−プラグ方式の結合方式を採用した光コネクタとは異なり、挿入光コネクタと接続させる光コネクタを嵌合するための構造が必要ないことから、光コネクタレセプタクルの小型化が可能である。
また、結合ユニット部の構造が簡略であるため、部品点数が少ないことから、組み立て作業を容易にするとともに、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態の光コネクタレセプタクルの構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの蓋部を開放した状態の斜視図である。
【図3】図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの蓋部を閉止した状態の斜視図である。
【図4】(a)、(b)は、図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの本体基板部の斜視図である。
【図5】(a)〜(d)は、図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの本体基板部を説明する図である。
【図6】(a)〜(d)は、図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの本体カバー部を説明する図である。
【図7】(a)、(b)は、図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの蓋部を示す斜視図である。
【図8】(a)〜(c)は、図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの蓋部を説明する図である。
【図9】図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの蓋部の動作を示す側面図である。
【図10】(a)〜(e)は、図1の光コネクタレセプタクルの前側ハウジングを説明する図である。
【図11】図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの本体基板部と前側ハウジングとを示す斜視図である。
【図12】図1の光コネクタレセプタクルの結合ユニット部の構造を説明する分解斜視図である。
【図13】前図の結合ユニットのフェルール、スプリング、ストップリングの関係を説明する図である。
【図14】図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合部付近の構造を示す断面図(側断面図)である。
【図15】図1の光コネクタレセプタクルと、その光コネクタ挿入孔に挿入した挿入光コネクタとの嵌合状態を説明する断面図(平断面図)である。
【図16】図1の光コネクタレセプタクルと、その光コネクタ挿入孔に挿入した挿入光コネクタとを示す斜視図である。
【図17】本発明の第2実施形態の光コネクタレセプタクルの構造を示す分解斜視図である。
【図18】図17の光コネクタレセプタクルの斜視図である。
【図19】図17の光コネクタレセプタクルのクランプ部付きフェルールを示す分解斜視図であり、後側延出片の調心溝及び被覆部収納溝と2つの蓋部材との関係を説明する図である。
【図20】図17の光コネクタレセプタクルのクランプ部付きフェルールを示す分解斜視図であり、クランプ部の2つの蓋部材を説明する図である。
【図21】図17の光コネクタレセプタクルのクランプ部付きフェルールのクランプ部の半割り構造の把持用素子部と該把持用素子部に割り込ませる介挿片との関係を説明する断面図である。
【図22】図17の光コネクタレセプタクルを光ファイバケーブル端末に組み立てる組立方法を説明する斜視図である。
【図23】図17の光コネクタレセプタクルを光ファイバケーブル端末に組み立てる際に、光ファイバケーブル端末に引留用固定部材として組み付ける外被把持部材を説明する斜視図である。
【図24】図17の光コネクタレセプタクルの挿入補助スライダー及び引き留めカバーと、光ファイバケーブル端末に固定された引留用固定部材との関係を説明する図であって、(a)は側断面図、(b)は後側から見た図である。
【図25】図17の光コネクタレセプタクルの光コネクタ挿入孔に挿入して嵌合させる挿入光コネクタの一例を示す斜視図である。
【図26】図17の光コネクタレセプタクルを収容可能な光コネクタ収容ケースおよびその使用形態を示す説明図である。
【図27】図17の光コネクタレセプタクルを収容した光コネクタ収容ケースおよび前記光コネクタレセプタクルに接続された挿入光コネクタを示す斜視図である。
【図28】図17の光コネクタレセプタクルを収容した光コネクタ収容ケースの内部構造を示す斜視図である。
【図29】図27の光コネクタ収容ケースのカバー部を示す斜視図である。
【図30】図27の光コネクタ収容ケースのカバー部を示す斜視図である。
【図31】本発明の第3実施形態の光コネクタレセプタクルの構造を示す分解斜視図である。
【図32】図31の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングと前側ハウジングを示す斜視図である。
【図33】図31の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの要部を示す分解斜視図である。
【図34】図31の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの本体基板部と蓋部を示す側面図である。
【図35】図31の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの光コネクタ挿入孔に挿入光コネクタを挿入する動作を説明する図である。
【図36】図31の光コネクタレセプタクルを設けた光コネクタ用アウトレットを示す斜視図である。
【図37】前図の光コネクタ用アウトレットの内部構造を示す斜視図である。
【図38】図17の光コネクタレセプタクルを組み立てる光ファイバケーブルの構造の一例を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の光コネクタレセプタクルの第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の光コネクタレセプタクル10(以下、単に光コネクタ10という)の構造を示す分解斜視図である。図2および図3は光コネクタ10の斜視図である。
光コネクタ10は、コネクタ嵌合ハウジング20と、コネクタ嵌合ハウジング20の後部に取り付けられた結合ユニット部50とを有する。
光コネクタ10は、光ファイバ7(光伝送体)の先端に組み立てられている。光コネクタ10と光ファイバ7は、コネクタ付き光伝送体を構成する。
以下の説明において、嵌合ハウジング本体21の軸線方向(軸方向)であって光コネクタ挿入穴11aの開口方向(図5(a)の左方向)を前方といい、その反対方向を後方という。また、本体基板部23に沿う方向(詳しくは底板部25の上面25gに沿う方向)であって、前後方向に対して直交する方向(図5(a)の上下方向)を幅方向ということがある。また、前後方向および幅方向に対し直交する方向を上下方向(図5(a)の紙面に垂直な方向)ということがある。
【0010】
図1〜図9に示すように、コネクタ嵌合ハウジング20は、光コネクタ挿入穴11aが前側に開口する角筒状の嵌合ハウジング本体21と、光コネクタ挿入穴11aを開閉可能とされた蓋部22と、蓋部22を付勢するバネ38(付勢部材)と、を備えている。
【0011】
図4〜図6に示すように、嵌合ハウジング本体21は、前側ハウジング30が載置される本体基板部23と、本体基板部23に組み合わせられる本体カバー部24とを有する。嵌合ハウジング本体21は、前側ハウジング30の少なくとも一部を包囲する筒状体である。
図4および図5に示すように、本体基板部23は、概略矩形の底板部25と、その両側縁に立設された側板部26と、底板部25の両側縁に立設された挿入片27(挿入凸部)と、を備えている。
【0012】
底板部25の前縁部25aの両端部には、それぞれ軸受用凸部25bが前方に突出して形成されている。軸受用凸部25bには、蓋部22を回動自在に支持する回動軸37が挿通する軸受口25cが形成されている。
底板部25の前縁部25aには、軸受用凸部25b、25bの間に、回動軸37が嵌合する軸受凹部25dが形成された軸受用凸部25eが前方に突出して形成されている。軸受用凸部25eは、軸受用凸部25b、25bから離れて形成することができる。図示例では、前縁部25aに2つの軸受用凸部25eが幅方向に間隔をおいて形成されている。
底板部25の下面25fには、前縁部25aから後方に向かってバネ用溝部25hが形成されている。
【0013】
底板部25の上面25g(内面)後部には、断面略矩形の突条である挿入凸部25j(防塵用突部)が幅方向に沿って延在して形成されている(図4、図5、図14参照)。挿入凸部25jは、前側ハウジング30のほぼ全幅にわたる範囲に形成されていることが好ましい。挿入凸部25jの延在方向は、前側ハウジング30および嵌合ハウジング本体21の周方向となっている。なお、挿入凸部25jは、底板部25の幅方向に亘って形成されていれば、その延在方向は必ずしも幅方向に一致していなくてもよい。
挿入凸部25jは、前側ハウジング30に当接または近接して、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30との隙間を狭くできる。
挿入凸部25jは、前側ハウジング30の孔内面当接突部31a、31bの間の空間(溝部31c)に挿入されて、突部31a、31bに係合する係合構造である。図示例の挿入凸部25jは、孔内面当接突部31bの前面に当接または近接している(図14参照)。この構造によって、嵌合ハウジング本体21内の前後方向の空気の流通を起こりにくくできる。
挿入凸部25jと突部31a、31bとは、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30との隙間が完全に閉止される構造であることが好ましいが、これに限らず、前記隙間を狭くし、嵌合ハウジング本体21内の前後方向の空気の流通を起こりにくくできればよい。
底板部25の上面25gには、前側ハウジング30の少なくとも一部が載置される。
【0014】
挿入片27(防塵用突部または挿入凸部)は、断面略矩形の長板状とされ、底板部25の後部の上面25gから上方に延出する延出片である。挿入片27は、底板部25の両側縁部25i(側部)に近い位置にそれぞれ形成されている。挿入片27は、上下方向(前側ハウジング30の周方向)に延在している。
これら一対の挿入片27は、それぞれ前側ハウジング30の一方および他方の側面に対面する位置に形成される。すなわち、これら一対の挿入片27は、前側ハウジング30を挟む位置に形成される。
挿入片27は、前側ハウジング30に当接または近接して、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30との隙間を狭くできる。挿入片27は、内側面がベース部31に当接または近接することが好ましい。
挿入片27は、挿入凸部25jに当接または近接する位置に形成されることが好ましい。図示例の挿入片27は挿入凸部25jの端部に連なって形成されている。挿入片27の上端は、挿入凸部28gの下面に当接または近接する位置に達していることが好ましい(図14参照)。
挿入片27は、前側ハウジング30の孔内面当接突部31a、31bの間の空間(溝部31c)に挿入されて、突部31a、31bに係合する係合構造である。この構造によって、嵌合ハウジング本体21内の前後方向の空気の流通を起こりにくくできる。
【0015】
図示例の挿入片27は、溝部31cに嵌合する(図15参照)。挿入片27が溝部31cに嵌合することによって、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30との間の隙間を狭くできるため、嵌合ハウジング本体21内の前後方向の空気の流通を起こりにくくする効果が高められる。挿入片27は、溝部31cの全高さ範囲に形成されていることが好ましい。
挿入片27の延在方向は、前側ハウジング30および嵌合ハウジング本体21の周方向となっている。なお、挿入片27は、上下に亘って形成されていれば、その延在方向は必ずしも上下方向に正確に一致していなくてもよい。例えば、挿入片27の延在方向は、底板部25に対し0°を越え、90°未満で交差する方向であってよい。
図示例の挿入片27の前後方向の寸法は、孔内面当接突部31a、31b間の前後方向の距離にほぼ等しいか、これよりやや小さい程度であるため、挿入片27の前面は孔内面当接突部31aに当接または近接し、後面は孔内面当接突部31bに当接または近接している。
【0016】
図1および図6に示すように、本体カバー部24は、平面視略矩形の天板部28と、その両側縁に設けられた一対の側板部29、29とを有する。図示例の本体カバー部24は、天板部28とその両側縁から垂下する側板部29とからなる。
天板部28は、本体基板部23(詳しくは底板部25)と対向して形成され、前部28aと、前部28aより低く形成された上面を有する後部28bとを備えている。符号28cは、前部28aと後部28bとの境界に形成された段部である。
【0017】
天板部28の下面28f(内面)には、断面略矩形の突条である挿入凸部28g(防塵用突部)が幅方向に沿って形成されている(図6(d)、図14参照)。挿入凸部28gは、前側ハウジング30に当接または近接して、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30との隙間を狭くできる。挿入凸部28gは、下面がベース部31に当接または近接することが好ましい。挿入凸部28gは、前側ハウジング30のほぼ全幅にわたる範囲に形成されていることが好ましい。挿入凸部28gは、下面がベース部31に当接または近接することが好ましい。
挿入凸部28gの延在方向は、前側ハウジング30および嵌合ハウジング本体21の周方向となっている。なお、挿入凸部28gは、前記幅方向に亘って形成されていれば、その延在方向は必ずしも幅方向に正確に一致していなくてもよい。
挿入凸部28gは、前側ハウジング30の孔内面当接突部31a、31bの間の空間(溝部31c)に挿入されて、突部31a、31bに係合する係合構造である。この構造によって、嵌合ハウジング本体21内の前後方向の空気の流通を起こりにくくできる。
図示例の挿入凸部28gは、溝部31cに嵌合する(図14参照)。挿入凸部28gが溝部31cに嵌合することによって、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30との間の隙間を狭くできるため、嵌合ハウジング本体21内の前後方向の空気の流通を起こりにくくする効果が高められる。
図示例の挿入凸部28gの前後方向の寸法は、孔内面当接突部31a、31b間の前後方向の距離にほぼ等しいか、これよりやや小さい程度であるため、挿入凸部28gの前面は孔内面当接突部31aに当接または近接し、後面は孔内面当接突部31bに当接または近接している。
【0018】
本体基板部23の挿入凸部25jおよび挿入片27と、本体カバー部24の挿入凸部28gは、本体基板部23と本体カバー部24を組み合わせた時に、嵌合ハウジング本体21および前側ハウジング30の周方向に亘って延在する1つの略連続した係合構造(嵌合ハウジング本体21側の係合構造)を構成する。
図示例では、挿入凸部25j、挿入片27および挿入凸部28gは、嵌合ハウジング本体21および前側ハウジング30を全周にわたって延在する係合構造である。具体的には、この係合構造は、挿入凸部25j、挿入片27、27および挿入凸部28gが各辺をなす矩形枠状の構造である。
なお、嵌合ハウジング本体21側の係合構造には、挿入凸部25j、挿入片27、挿入凸部28g以外に、嵌合ハウジング本体21に形成された他の凹部(溝部)または凸部(突条)を含んでいてもよい。
【0019】
図示例では、本体基板部23に挿入凸部25jおよび挿入片27(挿入凸部)が形成され、本体カバー部24に挿入凸部28gが形成されているが、本体基板部23と本体カバー部24の一方にのみ挿入凸部が形成されていてもよい。
例えば、嵌合ハウジング本体21は、本体カバー部24に挿入凸部28gが形成され、かつ本体基板部23に挿入凸部25jと挿入片27の一方または両方が形成されていない構造としてよい。また、本体カバー部24に挿入凸部28gが形成されておらず、かつ本体基板部23に挿入凸部25jと挿入片27の一方または両方が形成されている構造も可能である。
【0020】
側板部29は、前部29aと、前部29aより内方寄りに形成された外側面を有する後部29bとを備えている。符号29cは、前部29aと後部29bとの境界に形成された段部である。
一対の側板部29、29は、前側ハウジング30の少なくとも一部(図示例ではプラグフレーム部35より前方の部分の前側ハウジング30)を挟むように設けられている。側板部29は、天板部28に対し交差する方向に形成される。図示例では側板部29に対し垂直な方向に形成されている。
図示例の前縁部29dは、下方に向かって徐々に後方寄りとなるように傾斜している。なお、前縁部29dは上下方向に沿う方向であってもよい。
【0021】
側板部29の内面29eには、前縁部29dに沿う前面29fを有する当接凸部29gが形成されている。前縁部29dは下方に向かって徐々に後方寄りとなるように傾斜しているため、当接凸部29gの前面29fも同方向に傾斜している。
このため、閉止位置の蓋部22は、下方に向かって徐々に後方寄りとなるように傾斜する。詳細には、蓋部22の内面22fは下方に向かって徐々に後方寄りとなるように傾斜する。この傾斜によって、閉止位置から開放位置までの蓋部22の回動角度は比較的小さくなるため、蓋部22を開放させる操作が容易になる。
【0022】
図示例の当接凸部29gの上端は天板部28の下面28fに達している。当接凸部29gは、側板部29の最下部近傍まで延出している。
当接凸部29gは、前面29fの上端が天板部28の前縁部28dに連なって形成されている。当接凸部29gの前面29fと前縁部28dの前面とは面一であることが好ましい。閉止位置にある蓋部22は、当接凸部29gの前面29fと前縁部28dの前面に当接する。
【0023】
本体カバー部24は、前側ハウジング30の一部または全部を収容可能に形成されている。図示例の本体カバー部24は、プラグフレーム部35より前方の部分の前側ハウジング30を収容することができる。このため、嵌合ハウジング本体21は、前側ハウジング30の前部を包囲している。なお、嵌合ハウジング本体21は前側ハウジング30の全体を包囲する構造であってもよい。
図示例の嵌合ハウジング本体21は断面矩形であるが、嵌合ハウジング本体21の断面形状はこれに限らず、五角形、六角形などの多角形や半円状などであってよい。
【0024】
図7〜図9に示すように、蓋部22は平面視概略矩形に形成され、矩形版状の蓋部本体22aの後縁部22bに、軸受用凸部22dが形成されている。軸受用凸部22dには、回動軸37が挿通する軸受口22cが形成されている。図示例では、後縁部22bに2つの軸受用凸部22dが幅方向に間隔をおいて形成されている。
蓋部本体22aの外面22eには、後縁部22bから前方に向かってバネ用溝部22gが形成されている。符号22fは蓋部本体22aの内面である。内面22fは、閉止位置(図3)では嵌合ハウジング本体21の内面側に面する。
【0025】
図2および図3に示すように、蓋部22は、回動軸37(連結位置)を中心として回動することにより、光コネクタ挿入穴11aを開閉自在に閉止可能である。すなわち、光コネクタ挿入穴11aを閉止する位置にある蓋部22は、前記回動によって光コネクタ挿入穴11aを開放することができ、光コネクタ挿入穴11aを開放する位置にある蓋部22は、前記回動によって光コネクタ挿入穴11aを閉止することができる。
図示例の蓋部22は、前記回動によって、光コネクタ挿入穴11aを閉止する閉止位置(図3参照)と、閉止位置から回動軸37を中心として外方に回動することにより光コネクタ挿入穴11aを開放した開放位置(図2参照)とを切り替え可能である。図2では、蓋部22は嵌合ハウジング本体21の軸線方向(軸方向)に平行である。図2および図3に示す例では、開放位置と閉止位置との蓋部22の回動角の差は90°未満である。
閉止位置の蓋部22は、天板部28の前縁部28dと、側板部29の当接凸部29gとに当接または近接しているため、光コネクタ挿入穴11aを通したコネクタ嵌合ハウジング20内外の空気の流通を起こりにくくすることができる。
【0026】
回動軸37の前後方向の位置は、嵌合ハウジング本体21の側板部29の前縁部29dよりも後方寄りであることが望ましい。これによって、嵌合ハウジング本体21の開口端と蓋部22との間の防塵性を高めることができる。
側板部29の前縁部29dは、回動軸37および天板部28の前縁部28dよりも前方寄りにあるため、蓋部22が閉止位置(図3)にあるときは、側板部29が蓋部22の側部を覆うことになり、蓋部22と側板部29との隙間からの外気流入を防ぎ、防塵性を高めることができる。
【0027】
図9および図11に示すように、バネ38は、回動軸37を挿通する螺旋状の基部38aと、基部38aから延出してバネ用溝部25hに挿入される本体側延出部38bと、基部38aから延出してバネ用溝部22gに挿入される蓋部側延出部38cとを備えている。
バネ38は、自らの弾性力によって、蓋部22を開放位置(図2参照)から閉止位置(図3参照)に戻す方向に付勢する。このため、光コネクタ挿入穴11aから挿入光コネクタ90を抜出する際に、ただちに光コネクタ挿入穴11aをふさぐことができ、防塵性の点で好適である。
【0028】
図2に示すように、嵌合ハウジング本体21内の貫通孔(以下、ハウジング貫通孔21A)は、その軸線に垂直の断面が概略矩形(詳しくは長方形)となっている。
【0029】
図1〜図3、図12、図13に示すように、結合ユニット部50(50C)は、ユニット部ハウジング51C内に、光ファイバ7の先端部に取り付けたフェルール57(内蔵フェルール)と、このフェルール57をコネクタ前側へ向かって弾性付勢するスプリング58(コイルスプリング)とを収納した構成になっている。
ユニット部ハウジング51Cは、前側ハウジング30と、前側ハウジング30のプラグフレーム部35に嵌合して前側ハウジング30に取り付けたスリーブ状のストップリング56とからなる。
この結合ユニット部50Cは、光ファイバ7の先端部に組み立てられている。
光ファイバ7は、例えば光ファイバ心線等の被覆付き光ファイバであり、ストップリング56後端の後端開口部56aから延出されている。
【0030】
図14、15に示すように、コネクタ嵌合ハウジング20と前側ハウジング30とは、光コネクタ90(光コネクタプラグ)を挿入、嵌合可能なコネクタ嵌合部11を構成する。以下、光コネクタ90を挿入光コネクタとも言う。
光コネクタ10は、その前端部にコネクタ嵌合部11を有し、このコネクタ嵌合部11から後側に結合ユニット部50が突出する構成となっている。換言すれば、この光コネクタ10は、結合ユニット部50の前端部に、コネクタ嵌合部11を有する構成となっている。
コネクタ嵌合部11は、挿入光コネクタ90としてSC形光コネクタを挿入、嵌合可能となっている。
この挿入光コネクタ90を図25に示す。
【0031】
コネクタ嵌合部11は、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔21Aのうち、前側ハウジング30のベース部31から前側の部分である光コネクタ挿入穴11aを有している。光コネクタ挿入穴11aは、コネクタ嵌合ハウジング20の前側に開口している。
図15に示すように、挿入光コネクタ90は、コネクタ嵌合部11前端(コネクタ嵌合ハウジング20前端)から、コネクタ嵌合ハウジング20内側の光コネクタ挿入穴11aに挿入して、コネクタ嵌合部11に嵌合される。
図示例のコネクタ嵌合部11に嵌合可能な挿入光コネクタとしては、SC形光コネクタからつまみ(カップリング)を省略した構成の、いわゆるSC2形光コネクタも採用可能である。
【0032】
図10〜図12に示すように、前側ハウジング30は、ベース部31から後側に延出するスリーブ状のプラグフレーム部35を有している。図示例の前側ハウジング30はプラスチック製の一体成形品であり、前記プラグフレーム部35は、ベース部31から後側に突出する筒状突部である。
前側ハウジング30は、前記ベース部31から前側に突出する突筒部32を有している。前側ハウジング30には、前記ベース部31を貫通して前記突筒部32前端に開口する貫通孔33(フェルール挿入孔)が形成されている。この貫通孔33は、突筒部32の内側孔と、該内側孔を後側へ延長するようにしてベース部31に貫通させた部分とからなり、前記突筒部32の内側孔を含み、前記ベース部31後端に開口している。
【0033】
貫通孔33には位置決めスリーブ52が貫通孔33の軸線方向に移動可能に収納されている。また、この位置決めスリーブ52の内側には、後述するクランプ部付きフェルール60のフェルール61(内蔵フェルール。フェルール本体)が内挿されている。
【0034】
前側ハウジング30のベース部31には、その前後方向に互いに離隔する2箇所の外周に、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔21A内面(天板部28の下面28f、側板部29の内面29e、および底板部25の上面25g)に当接する突条である孔内面当接突部31a、31b(防塵用突部、位置決め用突部)が周設されている。
前側ハウジング30は、ベース部31の外周全周にわたって延在する孔内面当接突部31a、31bが、その延在方向全長にわたってハウジング貫通孔21A内面に当接して、ハウジング貫通孔21A内に位置決めして設けられることが好ましい。
図示例の孔内面当接突部31a、31bの延在方向は、前側ハウジング30および嵌合ハウジング本体21の周方向となっている。なお、孔内面当接突部31a、31bは、前記周方向に亘って形成されていれば、その延在方向は必ずしも正確に周方向(幅方向または上下方向)に一致していなくてもよい。
【0035】
孔内面当接突部31a、31bは、その延在方向にわたってハウジング貫通孔21A内面に当接することによって、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30との隙間を狭くできる。
孔内面当接突部31a、31bは、全周にわたってハウジング貫通孔21A内面に当接することが好ましいが、一部または全部がハウジング貫通孔21A内面に当接しない場合でも、当該一部または全部がハウジング貫通孔21A内面に近接していれば、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30との間の隙間を狭くし、嵌合ハウジング本体21内の前後方向の空気の流通を起こりにくくできる。
孔内面当接突部31a、31b間の空間は、ベース部31の周方向に延在する溝部31cであり、溝部31cも係合構造として機能する。溝部31cには、嵌合ハウジング本体21の挿入凸部25j、挿入片27および挿入凸部28gが挿入される。
また、図示例の孔内面当接突部31a、31bは、ベース部31の外周全周にわたって延在するが、周方向の一部のみに形成されていても防塵効果は得られる。例えば、孔内面当接突部31a、31bがベース部31の側面と上面にのみ形成され、下面には形成されていない場合でも、ベース部31下面と本体基板部23との隙間が十分に狭くなっていれば、十分な防塵効果が得られる。
【0036】
図示例の光コネクタ10では、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30のそれぞれに、凹部(溝部)または凸部(突条)からなる係合構造を形成することによって防塵効果が得られるが、本発明はこれに限らず、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30の間に、周方向に延在する当接部材を介在させる構造によって防塵性能を高めることもできる。当接部材としては、弾性変形可能な材料からなり、圧縮変形した状態で嵌合ハウジング本体21の内面と前側ハウジング30の外面に当接する環状体を例示できる。
また、嵌合ハウジング本体21とベース部31とを周方向の一部または全周にわたって直接、接着剤等で接着する構造や、嵌合ハウジング本体21とベース部31との隙間に、周方向の一部または全周にわたって充填剤を充填した構造も可能である。
嵌合ハウジング本体21とベース部31とを周方向の一部で接着等する場合には、接着等する周方向部分には、凹部または凸部からなる係合構造を形成せず、接着していない周方向部分にのみ凹部または凸部からなる係合構造を形成することができる。
また、図示例の光コネクタ10では、嵌合ハウジング本体21に係合構造(挿入凸部25j、挿入片27および挿入凸部28g)が形成されているが、嵌合ハウジング本体21に、前側ハウジング30側の凸部(突条)(例えば孔内面当接突部31a、31b)が嵌合する凹部(溝部)を形成してもよい。
光コネクタ10では、嵌合ハウジング本体21に凸部(挿入凸部25j、挿入片27および挿入凸部28g)が形成され、かつ前側ハウジング30に孔内面当接突部31a、31bおよび溝部31cが形成されているが、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30のいずれか一方にのみ凹部(溝部)または凸部(突条)を設けてもよい。
【0037】
光コネクタ10では、前側ハウジング30の孔内面当接突部31a、31bの間に挿入片27が挿入されることにより、前側ハウジング30はコネクタ嵌合ハウジング20に対する前後方向の移動が規制される。
なお、孔内面当接突部の形成箇所の数は図示例に限らず、3以上としてもよい。
【0038】
図14、図15に示すように、前側ハウジング30の突筒部32の前端内周には、貫通孔33(フェルール孔)内に収納された位置決めスリーブ52(図示例では割スリーブ)の軸線方向片端が当接される抜け止め突起32aが突設されている。位置決めスリーブ52は、抜け止め突起32aによって、突筒部32から前側への抜け出しが規制されている。
前側ハウジング30の貫通孔33の前記抜け止め突起32aから後側の部分は、結合ユニット部50A後側に行くにしたがってその内径が次第に大きくなるテーパ状に形成されている。貫通孔33後端の内径は、貫通孔33の前記抜け止め突起32aから後側に位置する部分(主孔部)の前端の内径に比べて僅かに大きい。
なお、位置決めスリーブ52外径は、貫通孔33の前記抜け止め突起32aから後側に位置する部分である主孔部の前端の内径と同じか、該内径に比べて僅かに径小とされている。
【0039】
プラグフレーム部35の内側孔は、前側ハウジング30の貫通孔33と同軸に該貫通孔33後端に比べて径大に形成された丸孔状となっている。前側ハウジング30の貫通孔33とプラグフレーム部35の内側孔との境界には段差面36が形成されている。この段差面36は、貫通孔33後端周囲全周に形成されている。
【0040】
図25に示すように、挿入光コネクタ90は、スリーブ状のつまみ91外周に突設されているキー91dを、コネクタ嵌合ハウジング20の天板部28にその前端から後側に向かって延在形成されたキー挿入用凹部28e(図1、図6参照)に挿入することで、コネクタ嵌合部11の光コネクタ挿入穴11aに挿入できる。
【0041】
図15に示すように、挿入光コネクタ90は、コネクタ嵌合部11の光コネクタ挿入穴11aへの押し込み(挿入)によって、プラグフレーム92内側のフェルール93を前側ハウジング30の貫通孔33内の位置決めスリーブ52に挿入(圧入)できる。
また、挿入光コネクタ90は、フェルール93を結合ユニット部50の前側ハウジング30の貫通孔33内の位置決めスリーブ52に挿入することで、プラグフレーム92が前記前側ハウジング30の突筒部32に外挿され外嵌めされる。
挿入光コネクタ90は、フェルール93を前記前側ハウジング30の貫通孔33内の位置決めスリーブ52に挿入し、プラグフレーム92を前記前側ハウジング30の突筒部32に外嵌めすることで、コネクタ嵌合部11に対する挿入、嵌合を達成できる。
【0042】
挿入光コネクタ90は、光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆付き光ファイバである光ファイバ94の先端部に組み立てられている。図示例の挿入光コネクタ90のフェルール93には光ファイバ94の先端部が内挿固定されている。フェルール93先端の接合端面93aには、光ファイバ94先端に口出しされた裸光ファイバ94a(図15参照)の先端面が露出されている。裸光ファイバ94aの先端面は、フェルール93の接合端面93aと連続する面を形成するように、フェルール93の接合端面93aに対して位置合わせされている。
【0043】
位置決めスリーブ52は、挿入光コネクタ90のフェルール93と、結合ユニット部50側のフェルール61とを、互いに同軸上となるように高精度に位置決めするものである。このため、位置決めスリーブ52内にてフェルール93、61同士を互いに突き当てる(接合端面93a、61b同士を接合する)ことで、各フェルール93、61にそれぞれ内挿固定されている光ファイバ94、62同士の突き合わせ接続(光接続)を実現できる。
光ファイバ94、62同士の突き合わせ接続は、具体的には、挿入光コネクタ90が組み立てられた光ファイバ94の裸光ファイバ94aと、光コネクタ10の結合ユニット部50のフェルール61に内挿固定されている内蔵光ファイバ62との突き合わせ接続である。
【0044】
図15等に示すように、前側ハウジング30には、光コネクタ挿入穴11aに挿入、嵌合した挿入光コネクタ90のハウジング(詳細にはプラグフレーム92)に両側から係脱可能に係合する一対の爪付き係合片34が突設されている。
図10〜図12に示すように、爪付き係合片34は、前記ベース部31から前側に延出(突出)する弾性延出片34aの先端に、SC形光コネクタである挿入光コネクタ90のハウジング(具体的にはプラグフレーム92)に係合する突爪34bを突設した構成である。一対の爪付き係合片34は、前記突筒部32の両側に配置されている。
【0045】
コネクタ嵌合部11前側から光コネクタ挿入穴11aに押し込んだ挿入光コネクタ90は一対の爪付き係合片34の間に挿入される。そして、挿入光コネクタ90は、各爪付き係合片34先端の突爪34bがつまみ91の両側の窓孔91aを介してプラグフレーム92の両側の係合突部92aに係合する。挿入光コネクタ90は、爪付き係合片34の係合によってコネクタ嵌合部11からの引き抜きが規制され、コネクタ嵌合部11に対する嵌合状態が保たれる。
突爪34bは、一対の爪付き係合片34先端に、互いに対向する相手側の爪付き係合片34先端に向かって突設されている。
【0046】
なお、前側ハウジング30のベース部31から前側部分は、JIS C 5973に準拠して、挿入光コネクタ90との間にスライドロック構造を構成する。
すなわち、挿入光コネクタ90をコネクタ嵌合部11に挿入、嵌合したときに、一対の爪付き係合片34とプラグフレーム92の係合突部92aとの係合によって、挿入光コネクタ90のコネクタ嵌合部11からの抜き去りがロックされる。また、コネクタ嵌合部11に嵌合状態の挿入光コネクタ90のつまみ91をコネクタ嵌合部11から抜き去り方向に引っ張り操作すると、一対の爪付き係合片34のプラグフレーム92に対する係合を解除しながら、挿入光コネクタ90のコネクタ嵌合部11からの離脱(抜き去り)が可能である。
【0047】
図10(a)、(b)、(e)、図12に示すように、爪付き係合片34の先端(前端)には、コネクタ嵌合部11に嵌合した挿入光コネクタ90のつまみ91をコネクタ嵌合部11から抜き去り方向へ引っ張り操作したときに、プラグフレーム92の係合突部92aに対する爪付き係合片34の係合を解除するための係合解除用突部34cが突設されている。係合解除用突部34cは、各爪付き係合片34先端に、一対の爪付き係合片34の間隔方向に垂直、かつコネクタ前後方向(ここではコネクタ嵌合ハウジング20の軸線方向、及び貫通孔33の軸線方向に一致)に垂直の両側に突設されている。この係合解除用突部34cは、コネクタ嵌合部11に嵌合した挿入光コネクタ90のつまみ91をコネクタ嵌合部11から抜き去り方向へ引っ張り操作したときに、つまみ91の前記窓孔91aに臨む位置に形成された係合解除用テーパ壁部91b(図19参照)に押圧されて、プラグフレーム92の係合突部92aに係合している爪付き係合片34先端をプラグフレーム92から離隔方向に変位させ、係合突部92aに対する係合を解除する。
【0048】
図15に示すように、つまみ91の前記係合解除用テーパ壁部91bは、爪付き係合片34先端の突爪34bがプラグフレーム92の係合突部92aに係合しているとき、光コネクタ10前後方向において爪付き係合片34の係合解除用突部34cの後側に位置する。挿入光コネクタ90において、前記係合解除用テーパ壁部91bは、フェルール93先端の接合端面93a側である挿入コネクタ前側に行くにしたがって、つまみ91のプラグフレーム92に臨む内面からの突出寸法が増大するテーパ状に形成されている。このため、コネクタ嵌合部11に嵌合した挿入光コネクタ90のつまみ91を引っ張り操作によってコネクタ嵌合部11から抜き去り方向へ移動(図11において光コネクタ10前側への移動)させると、爪付き係合片34の係合解除用突部34cが前記係合解除用テーパ壁部91bに乗り上げるようにしてプラグフレーム92から離隔方向に変位し、プラグフレーム92の係合突部92aに対する爪付き係合片34の係合を解除できる。
【0049】
なお、図25に示すように、挿入光コネクタ90の係合解除用テーパ壁部91bは、爪付き係合片34先端両側の係合解除用突部34cに対応して、つまみ91の両側に2つづつ設けられている。また、プラグフレーム92の係合突部92aに係合した爪付き係合片34先端の弾性延出片34aは、つまみ91の両側にて、2つの係合解除用テーパ壁部91bの間に確保された延出片収納溝91cに収納される。
【0050】
図13に示すように、フェルール57は、単心光コネクタ用のフェルールであり、ファイバ孔57aが貫通するキャピラリ状のフェルール本体57fにフランジ部品57gを固定したものである。フランジ部品57gは、フェルール本体57f前端の突き合わせ接合用の接合端面57bとは反対の後端部に固定されたリング状のフランジ部57hに、フェルール本体57f後端から後側へ延出するスリーブ部57iが突設された構成となっている。
フェルール57のファイバ孔57aは、フェルール本体57f先端(前端)の接合端面57bからフェルール57後側に向かって延在し、フェルール後端面、すなわちフランジ部品57hのスリーブ部57iの後端面に達している。このフェルール57には、前記ファイバ孔57aに挿入された光ファイバ7の先端部が内挿固定されている。ファイバ孔57aに挿入された光ファイバ7の先端部は、例えば、ファイバ孔57aに充填された接着剤による接着固定などによってフェルール57に固定される。
【0051】
ファイバ孔57aは、フェルール本体57f先端(前端)の接合端面57bからフェルール57後側に向かって延在する微細孔である位置決め孔部57cを有する。このファイバ孔57aの位置決め孔部57c後端から後側の部分は、位置決め孔部57cに比べて径大に形成された被覆部収納孔部57dとされている。被覆部収納孔部57dは、位置決め孔部57c後端から後側へ延在しフェルール後端面に達している。
フェルール57には、ファイバ孔57aの位置決め孔部57cに、光ファイバ7の先端に口出しされた裸光ファイバ7aが内挿固定され、被覆部収納孔部57dに光ファイバ7の裸光ファイバ7aから後側の被覆7b付き部分である被覆部が内挿固定されている。
【0052】
図16は、挿入光コネクタ90を光コネクタ10のコネクタ嵌合部11に挿入、嵌合した状態を示す斜視図である。
図示例では、挿入光コネクタ90は筒状のカバー部材95内に設けられている。カバー部材95は、本体基板部23または本体カバー部24の前縁部に当接して挿入方向の移動が阻止されるため、光コネクタ挿入穴11aには挿入光コネクタ90のみが挿入される。
【0053】
光コネクタ10は、挿入光コネクタ90が挿入されるコネクタ嵌合ハウジング20と、フェルール57を有する結合ユニット部50とを有し、コネクタ嵌合ハウジング20が、光コネクタ挿入穴11aを閉止可能な蓋部22を備えているので、光コネクタ挿入穴11aからコネクタ嵌合ハウジング20内への塵埃の侵入を防ぐことができる。
結合ユニット部50は、挿入光コネクタ90のフェルール93が突き合わせ接続されるフェルール57を内蔵しているため、プラグ−アダプタ−プラグ方式の結合方式とは異なり、挿入光コネクタ90と接続させる光コネクタを嵌合するための構造が必要ないことから、光コネクタ10の小型化が可能である。
また、結合ユニット部50の構造が簡略であるため、部品点数が少ないことから、組み立て作業を容易にするとともに、低コスト化を図ることができる。
【0054】
結合ユニット部50は、フェルール57をコネクタ前側へ向かって弾性付勢するスプリング58を内蔵しているため、挿入光コネクタ90にスプリングバック機構がない場合でも、確実な突き合わせ接続が可能となる。
【0055】
図1〜図4等に示す光コネクタ10では、側板部29の当接凸部29gの前面29fが下方に向かって徐々に後方寄りとなるように傾斜しているため、閉止位置の蓋部22(詳細には内面22f)は、下方に向かって徐々に後方寄りとなるように傾斜する。このため、開放位置と閉止位置との蓋部22の回動角の差は90°未満である(図2および図3参照)。
本発明では、開放位置(図2)と閉止位置との蓋部22の回動角の差は、90°以上であってもよい。
例えば、側板部29の当接凸部29gの前面29fを、下方に向かって徐々に前方寄りとなるように傾斜させて形成すれば、閉止位置の蓋部22(詳細には内面22f)は、下方に向かって徐々に前方寄りとなるように傾斜する。この場合、開放位置と閉止位置との蓋部22の回動角の差は90°を越える。
当接凸部29gの前面29fを、上下方向に沿って形成すれば、閉止位置の蓋部22(詳細には内面22f)も、上下方向に沿う方向となり、開放位置と閉止位置との蓋部22の回動角の差は90°となる。
【0056】
次に、本発明の光コネクタレセプタクルの第2実施形態について説明する。
図17は、本発明の第2実施形態の光コネクタレセプタクル210(以下、単に光コネクタ210という)の構造を示す分解斜視図である。図18は、光コネクタ210の斜視図である。
この実施形態の光コネクタ210は、現場組立形の光コネクタであり、光ファイバケーブル1(光伝送体)の先端に組み立てられるものである。光コネクタ210と光ファイバケーブル1は、コネクタ付き光伝送体を構成する。
以下の説明において、図1等に示す光コネクタ10との共通構成については、同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0057】
光コネクタ210は、コネクタ嵌合ハウジング20と、ハウジング51にクランプ部付きフェルール60(後述)を収納した結合ユニット部50とを有する。
ハウジング51は、前側ハウジング30に後側ハウジング40を取り付けたものであり、以下、ユニット部ハウジングとも言う。
結合ユニット部50は、ユニット部ハウジング51に、クランプ部付きフェルール60と、該クランプ部付きフェルール60をコネクタ前方へ弾性付勢するスプリング53とを収納した概略構成になっている。
結合ユニット部50に図中符号50A、ユニット部ハウジング51に図中符号51Aを付記する。
【0058】
図38に示すように、光ファイバケーブル1は、光ファイバ2と、可撓性を有する線状の抗張力体4とを互いに並行になるように合成樹脂製の外被3によって一括被覆したものである。抗張力体4は、光ファイバ2の両側に互いに並行に2本設けられている。
光ファイバ2は、裸光ファイバ2aの外周面(側面)を被覆2bで覆った構成の被覆付き光ファイバであり、例えば光ファイバ心線や光ファイバ素線等が挙げられる。本実施形態において光ファイバ2は単心の被覆付き光ファイバである。裸光ファイバ2aは、例えば石英系光ファイバである。また、被覆2bは、例えば紫外線硬化性樹脂やポリアミド樹脂などを1層または複数層、ほぼ同心円状に被覆した樹脂被覆である。抗張力体4としては、例えばアラミド繊維等の抗張力繊維からなるもの、鋼線等を挙げることができる。光ファイバケーブル1としては、インドアケーブル、ドロップケーブル等が挙げられる。
【0059】
図17および図18に示すように、後側ハウジング40は、ユニット部ハウジング51内にその後側から光ファイバ2を挿入するためのファイバ導入孔42aが貫設されたブロック部42に、スリーブ状(図示例では円筒状)の胴部41eを突設したストップリング部41と、前記ブロック部42から前記胴部41eとは反対の側(後側)に延出する断面コ字形の固定部材受け部43とを有している。
結合ユニット部50のユニット部ハウジング51は、具体的には、前側ハウジング30と後側ハウジング40のストップリング部41とによって構成されている。この結合ユニット部50に図中符号50A、ユニット部ハウジング51に図中符号51Aを付記する。
【0060】
なお、本明細書においては、結合ユニット部50、ユニット部ハウジング51について、前側ハウジング30の突筒部32及び爪付き係合片34が突設されている側を前、反対側を後として扱う。結合ユニット部50A、ユニット部ハウジング51Aについては、突筒部32及び爪付き係合片34が突設されている側を前、固定部材受け部43が設けられている側を後として扱う。
【0061】
後側ハウジング40の固定部材受け部43には、その後方から、光ファイバケーブル1端末に固定した引留用固定部材120を押し込んで収納(挿入)できる。
図17および図22に示すように、光コネクタ10を光ファイバケーブル1端末に組み立てる作業では、光ファイバケーブル1端末に固定した引留用固定部材120を前記固定部材受け部43に押し込むとともに、光ファイバケーブル1端末に露出させた光ファイバ2を、ブロック部42を前後に貫通する前記ファイバ導入孔42aに押し込んでいくことで、前記光ファイバ2をユニット部ハウジング51A内に挿入できる。
【0062】
ユニット部ハウジング51Aは、前記プラグフレーム部35に、後側ハウジング40のストップリング部41の前端部(胴部41eの前端部。ブロック部42とは反対側の端部)を内嵌めして、前側ハウジング30と後側ハウジング40とを一体化したものである。
後側ハウジング40のストップリング部41は、その前側の胴部41eをプラグフレーム部35内側に後側から押し込み、胴部41e前端部外周に突設されている係合突起41aを、プラグフレーム部35の両側に形成された係止孔35aに嵌め込むことで、プラグフレーム部35に嵌合して固定される。
【0063】
図19,図20に示すように、クランプ部付きフェルール60は、光ファイバ62を内挿固定したフェルール61を有する。フェルール61に内挿固定した光ファイバ2を、以下、内蔵光ファイバ62とも言う。この内蔵光ファイバ62は、前記フェルール61から後側に突出させた部分(以下、後側突出部62aとも言う)を有する。内蔵光ファイバ62の前端の端面は、フェルール61先端(前端)の接合端面61bに揃えられている。
【0064】
クランプ部付きフェルール60は、前記フェルール61の後側に、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、ユニット部ハウジング51Aにその後側から挿入して内蔵光ファイバ62後端に突き当てた光ファイバ2先端部とを把持固定して光ファイバ62、2同士の突き合わせ接続状態を維持するクランプ部63を組み立てたものである。
クランプ部63は、フェルール61のフランジ部64から後側に延出するベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67とからなる半割り構造の把持用素子部を有する。クランプ部63は、ベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67との間に、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、内蔵光ファイバ62後端に突き当てた光ファイバ2先端部とを挟み込んで把持固定することができる。
【0065】
内蔵光ファイバ62の後側突出部62aは、把持用素子部を構成するベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67との間に配置されている。内蔵光ファイバ62後端に突き当てる光ファイバ2は、クランプ部63の後側からベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67との間に挿入される。内蔵光ファイバ62と光ファイバ2(具体的にはその先端に口出しされた裸光ファイバ2a)とは、ベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67との間にて突き合わせ接続される。
【0066】
光コネクタ10のユニット部ハウジング51Aに挿入して、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62後端に突き合わせ接続する光ファイバ2を、以下、挿入光ファイバとも言う。この実施形態において、前記挿入光ファイバ2は、光ファイバケーブル1の光ファイバ2の、光ファイバケーブル1先端の外被3を除去して光ファイバケーブル1端末から突出状態に露出させた部分を、ユニット部ハウジング51A内への挿入に用いる。
【0067】
クランプ部付きフェルール60のフェルール61は、SC形光コネクタ等にて使用されるキャピラリ状の単心用フェルールである。このフェルール61の材質としては、例えばジルコニア等のセラミック、ガラス等を挙げることができる。
内蔵光ファイバ62は、ここでは裸光ファイバであり、例えば石英系光ファイバである。この内蔵光ファイバ62は、前記フェルール61にその軸線と同軸に貫設された微細孔であるファイバ孔61aに内挿され、接着剤を用いた接着固定等によってフェルール61に固定されている。
【0068】
フェルール61の後端部には、その外周に周設(突設)されたフランジ部64が一体化されている。このフランジ部64は、例えば、金属、プラスチック等によってリング状に形成されている。
前記クランプ部63は、前記フランジ部64からフェルール61後側へ延出された後側延出片65と、蓋部材66、67とを、金属板を断面C形あるいはコ字形(図示例では断面C形)の細長形状に成形したクランプばね68の内側に一括保持した構成になっている。クランプばね68は、蓋部材66、67を後側延出片65に向かって弾性付勢する。そして、このクランプ部63は、前記後側延出片65と蓋部材66、67との間に、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと内蔵光ファイバ62に突き合わせ接続する光ファイバ2とを、クランプばね68の弾性によって挟み込んで把持固定するものである。
後側延出片65と蓋部材66、67とは、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと内蔵光ファイバ62後端に突き当てた光ファイバ2とを把持固定する半割り構造の把持用素子部を構成する。
【0069】
後側延出片65は、前記フェルール61の軸線に沿う方向を長手方向とする細長形状に形成されている。図示例の後側延出片65は、前記フランジ部64と一体に形成されており、フェルール61と一体化されている。
クランプ部63は、前記後側延出片65との間に光ファイバ62、2を把持固定する蓋部材として、前蓋部材66、及び該前蓋部材66の後側(前蓋部材66を介してフェルール61とは反対の側)の後蓋部材67の2部材を有している。これら2つの蓋部材66、67は、後側延出片65の長手方向に沿って配列設置されている。
【0070】
後側延出片65及び蓋部材66、67には互いに対向する対向面が形成されている。クランプ部63のクランプばね68は、その弾性によって、後側延出片65と蓋部材66、67とをその対向面同士が接近する方向(すなわち、互いに閉じ合わせる方向)に弾性付勢する。
【0071】
後側延出片65の蓋部材66、67に対面する対向面65aは、前記内蔵光ファイバ62の後側突出部62aを前記フェルール61のファイバ孔61aの後方延長上に位置決めする調心溝69a、及び該調心溝69aの後端から後方に延在する被覆部収納溝69bが形成された溝形成面とされている。以下、前記後側延出片65の蓋部材66、67に対面する対向面を溝形成面とも言う。
前記調心溝69aは溝形成面65aの前記前蓋部材66に対面する部分に形成され、被覆部収納溝69bは溝形成面65aの前記後蓋部材67に対面する部分に形成されている。また、後側延出片65の溝形成面65aに対面する後蓋部材67の対向面67aにも、後側延出片65の被覆部収納溝69bに対応する位置に被覆部収納溝69cが延在形成されている。
【0072】
内蔵光ファイバ62の後側突出部62aは調心溝69aに配置されている。内蔵光ファイバ62の後端(後側突出部62a後端)は、調心溝69aの長手方向中央部に配置されている。内蔵光ファイバ62は、フェルール61先端の接合端面61bに揃えられた前端と前記後端とを長手方向両端とする短尺の光ファイバである。
前記調心溝69aには、挿入光ファイバ2先端の被覆を除去して口出しした裸光ファイバ2aが、クランプ部付きフェルール60の後側から、後側延出片65及び後蓋部材67の対向面65a、67aの互いに対応する位置に形成された被覆部収納溝69b、69cを介して挿入される。
【0073】
図21に示すように、調心溝69aはV溝であり、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、挿入光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aとを、突き合わせ接続可能に高精度に位置決め、調心する機能を果たす。調心溝69aとしては、V溝以外に、例えばU溝、半円溝なども採用できる。
被覆部収納溝69b、69cは、挿入光ファイバ2の被覆付き部分(被覆部)を収納するべく、調心溝69aに比べて溝幅を若干大きく形成した溝である。被覆部収納溝69b、69cとしては、特に限定されるものではなく、例えばU溝、半円溝、V溝などを採用できる。
【0074】
後側延出片65と前蓋部材66との間には、挿入光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aの調心溝69aへの円滑な挿入を可能とする隙間を確保する介挿片81が抜き去り可能に介挿されている。また、後側延出片65と後蓋部材67との間には、挿入光ファイバ2の被覆部収納溝69b,69cへの円滑な挿入を可能とする隙間を確保する介挿片82(図18参照)が抜き去り可能に介挿されている。
【0075】
図示例の介挿片81、82は薄板状に形成されている。これら介挿片81、82は、クランプ部60のクランプばね68の弾性によって、後側延出片65と蓋部材66、67との間に挟み込まれている。
図17、図18、図22に示すように、ユニット部ハウジング51Aには、その軸線方向(コネクタ前後方向)2箇所に、その内外に介挿片81、82を通すための介挿片挿通孔41bが形成されている。図示例の光コネクタ10において、前記介挿片挿通孔41bは、具体的には、後側ハウジング40の胴部41eの軸線方向(コネクタ前後方向)2箇所に該胴部41eの肉厚を貫通して形成されている。介挿片81、82は、前記介挿片挿通孔41bに挿通され、ユニット部ハウジング51Aの外側に突出されている。
【0076】
介挿片挿通孔41bは、胴部41eのうち、プラグフレーム部35に覆われた部位を避けて形成されている。図示例の光コネクタ10において、胴部41eの軸線方向の2箇所に形成された前記介挿片挿通孔41bの一方は、プラグフレーム部35にその後端から前側へ向かって細長に延在形成された細長切り欠き部35cに連通する位置に形成されている。また、2つの介挿片挿通孔41bの他方は、胴部41eにおいてプラグフレーム部35後側に位置する部分に形成されている。
【0077】
また、図示例の介挿片81、82は、ユニット部ハウジング51A外側に突出した部分に、クランプ部63からの抜き去り作業を容易にするための抜き去り用操作部81a、82aが設けられた構成となっている。図示例の抜き去り用操作部81a、82aは、介挿片81、82に垂直の板状であり、介挿片に一体化されている。介挿片は、抜き去り用操作部81a、82aを作業者が手指で把持して引っ張り操作することで、クランプ部63からの抜き去り作業を手作業で楽に行える。抜き去り用操作部の具体的構成は、介挿片に垂直の板状に限定されず、適宜変更可能である。
【0078】
図示例の介挿片81、82は、板状の抜き去り用操作部の片面側に突設した突片である。
図22に例示した光コネクタ10は、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63の2つの蓋部材66、67に対応して、抜き去り用操作部81a、82aに介挿片81、82を突設した構造の光コネクタ組立用工具83、84をひとつづつ設けた構成(工具付き光コネクタ110)となっている。但し、抜き去り用操作部に介挿片を突設した構成の光コネクタ組立用工具としては、ひとつの抜き去り用操作部に、クランプ部63の2つの蓋部材66、67に対応して、2つの介挿片を突設した構成のものも採用可能である。
【0079】
光コネクタ10は、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63の後側延出片65と蓋部材66、67との間に、光コネクタ組立用工具の介挿片を抜き去り可能に介挿した工具付き光コネクタ110の状態で現場に供給できる。この場合、現場にて後側延出片65と蓋部材66、67との間に介挿片を介挿する作業を省略できる。
【0080】
また、介挿片としては、薄板状のものに限定されず、例えば柔軟なシート等も採用可能である。
図22に例示したように、先端が先細りのテーパ状に形成された板状(薄板状)の介挿片は、後側延出片65と蓋部材66、67との間の境界に押圧するだけで割り込ませる(介挿する)ことができる。このため、後側延出片65と蓋部材66、67との間に介挿片を割り込ませる(介挿する)作業を、例えば光コネクタ10の光ファイバへの組み立て作業を行う現場にて行うことも容易である。
【0081】
プラグフレーム部35に内嵌めして固定されている胴部41eの前端面41fは、前側ハウジング30の前記段差面36の後側に離隔した位置に配置されている。クランプ部付きフェルール60のフランジ部64は、プラグフレーム部35の内側孔内において、前側ハウジング30の前記段差面36と胴部41e前端との間に収納されている。
【0082】
図示例の結合ユニット部50Aは、クランプ部付きフェルール60のフェルール61に外挿して、前記位置決めスリーブ52と、フェルール61のフランジ部64との間に介挿したスペーサリング54を有する。このスペーサリング54の内径及び外径は、位置決めスリーブ52(フェルール61が内挿されている状態の位置決めスリーブ52)の内径及び外径と概ね同じに揃えられている。
【0083】
位置決めスリーブ52の軸線方向寸法とスペーサリング54の軸線方向寸法の合計は、貫通孔33の前記抜け止め突起32aから後側の部分の軸線方向寸法と同じに揃えてある。クランプ部付きフェルール60は、そのフランジ部64が前側ハウジング30の前記段差面36に当接する位置が前側ハウジング30に対する前側移動限界位置となっている。
また、クランプ部付きフェルール60が前側移動限界位置にあるとき、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64(具体的にはその前側面64d)にスペーサリング54の後端面が当接し、前側ハウジング30の突筒部32前端の抜け止め突起32aに位置決めスリーブ52の軸線方向片端(前端)が当接する。
【0084】
なお、位置決めスリーブ52の軸線方向寸法とスペーサリング54の軸線方向寸法の合計は、貫通孔33の主孔部の軸線方向寸法と厳密に同じに揃える必要はなく、例えば、貫通孔主孔部の軸線方向寸法に比べて僅かに短い寸法としても良い。
また、結合ユニット部50Aとしては、スペーサリング54を省略して、軸線方向寸法が貫通孔主孔部の軸線方向寸法と同じあるいは僅かに短い長さの位置決めスリーブ52を採用した構成としても良い。
【0085】
クランプ部付きフェルール60は、前記ストップリング部41の胴部41e内に収納されたクランプ部63の把持用素子部の後端部と、後側ハウジング40のブロック部42との間に介挿されたスプリング53によってコネクタ前側へ弾性付勢され、前記前側移動限界に配置されている。また、前側移動限界位置のクランプ部付きフェルール60のフランジ部64は、胴部41e前端から前側へ離隔した位置に配置される。クランプ部付きフェルール60は、前記スプリング53の弾性付勢力に抗して、スプリング53を押し縮めつつ、前記前側移動限界位置からユニット部ハウジング51Aに対して後側へ押し込み可能である。
【0086】
なお、図示例の結合ユニット部50Aは、クランプ部付きフェルール60のユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から後側への押し込みよってスプリング53が圧縮限界に達したときに、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64がストップリング部41の胴部41e前端に当接せず、フランジ部64と胴部41e前端との間にクリアランスが確保される構成となっている。つまり、クランプ部付きフェルール60は、スプリング53が圧縮限界に達したときの位置がユニット部ハウジング51Aに対する押し込み限界位置となっている。
【0087】
スプリング53は具体的にはコイルスプリングであり、その内側に、クランプ部63の把持用素子部の後側延出片65及び後蓋部材67の後端部にそれぞれ突片状に形成された後側張出部65b、67bを収納している。後側延出片65及び後蓋部材67は、それぞれ後側に張り出す前記後側張出部65b、67bを含む。
【0088】
図19,図20に示すように、後側延出片65及び後蓋部材67の互いに対面する対向面65a、67aの一部は、後側張出部65b、67bに形成されている。後側張出部65b、67bには、被覆部収納溝69b、69cの後端部をテーパ状に拡張したテーパ状開口部69bw、69cwが形成されている。被覆部収納溝69b、69cのテーパ状開口部69bw、69cwは、後側張出部65b、67bの後端面に開口している。
後側延出片65及び後蓋部材67の後側張出部65b、67bはクランプ部63のクランプばね68から後側に突出されている。
【0089】
後側張出部65b、67bは、後側延出片65、後蓋部材67における該後側張出部65b、67bから前側の部分に比べて細い突片状に形成したものである。後側延出片65及び後蓋部材67には、後側張出部65b、67bとその前側部分との境界に段差面65c、67cが形成されている。なお、後側延出片65及び後蓋部材67の段差面65c、67cは、後側延出片65、後蓋部材67の後端部に形成されている。
【0090】
スプリング53は、その中心軸線がユニット部ハウジング51Aの中心軸線(本実施形態では、前側ハウジング30の貫通孔33の中心軸線と一致)と平行の向きでストップリング部41の胴部41eの内側孔内に収納され、後側延出片65及び後蓋部材67の段差面65c、67cと、後側ハウジング40のブロック部42との間に介挿されている。
後側延出片65及び後蓋部材67の後端部の段差面65c、67cは、スプリング53の前端が当接されるスプリング受け面として機能する。
【0091】
後側ハウジング40のストップリング部41の胴部41eの内側孔は、ブロック部42のファイバ導入孔42aに比べて大きい断面積で、ファイバ導入孔42aと同軸に延在形成されている。図示例の後側ハウジング40の胴部41eの内側孔及びファイバ導入孔42aは具体的には丸孔であり、胴部41eの内側孔はファイバ導入孔42aに比べて径大に形成されている。ブロック部42は、胴部41eの内側孔に臨む部分の中央部に突設されたリング状突起42bを有している。ファイバ導入孔42aの前端は、前記リング状突起42bの突端(前端)に開口している。
【0092】
スプリング53の後端部は、ブロック部42の前記リング状突起42bに外挿され、ブロック部42前端部のうち前記リング状突起42bの周囲の胴部41eの内側孔に臨む部位によってリング状に確保されたスプリング受け面42cに当接されている。
前記スプリング53は、具体的には、クランプ部付きフェルール60の後側張出部65b、67bの段差面65c、67cとブロック部42のスプリング受け面42cとの間に介挿されている。そしてスプリング53は、前記ブロック部42に反力をとって、クランプ部付きフェルール60をユニット部ハウジング51Aに対して前方へ向かって弾性付勢している。
【0093】
クランプ部付きフェルール60が前側移動限界位置にあるとき、後側延出片65及び後蓋部材67の後側張出部65b、67b後端は、ブロック部42(詳細にはリング状突起42b)から前側へ離隔した位置に配置される。このときの後側張出部65b、67b後端とブロック部42との間の離隔距離c2は、クランプ部付きフェルール60のユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から押し込み限界位置までの移動量(移動距離)に比べて大きく(長く)設定されている。このため、クランプ部付きフェルール60は、ユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から押し込み限界位置に移動されたときに、ブロック部42から前側へ離隔した位置に配置され、ブロック部42に当接しない。
【0094】
なお、図14に示すように、前側移動限界位置にあるクランプ部付きフェルール60のフランジ部64とストップリング部41の胴部41e前端との間の離隔距離は、クランプ部付きフェルール60のユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から押し込み限界位置までの移動量(移動距離)に比べて大きく(長く)設定されている。クランプ部付きフェルール60は、ユニット部ハウジング51Aに対して前側移動限界位置と押し込み限界位置との間で前後動可能となっている。
【0095】
図19、図20に示すように、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64の外周部の複数箇所(図示例では2箇所)にはキー溝64aが形成されている。クランプ部付きフェルール60は、フランジ部64のキー溝64aに、前側ハウジング30のプラグフレーム部35の前端部内面に突設されているキー35bを収納して、ユニット部ハウジング51Aに対して回り止めして組み込まれている。
【0096】
結合ユニット部50Aは、ストップリング部41の胴部41e内にスプリング53、及びクランプ部付きフェルール60のクランプ部63を挿入した構成の後部組立ユニットを組み立て、この後部組立ユニットのストップリング部41の胴部41eをプラグフレーム部35にその後側から押し込んで嵌合する組立方法を採用できる。この組立方法は、プラグフレーム部35に挿入した胴部41eをプラグフレーム部35に嵌合させることで、ユニット部ハウジング51Aにクランプ部付きフェルール60及びスプリング53を収納した状態に結合ユニット部50Aを組み立てることができる。
【0097】
この組立方法の場合、後部組立ユニットのストップリング部41の胴部41eをプラグフレーム部35に挿入することで、クランプ部付きフェルール60のうち、ストップリング部41の胴部前端から突出した部分を前記胴部41eとともにプラグフレーム部35に挿入できる。すなわち、後部組立ユニットのストップリング部41の胴部41eをプラグフレーム部35に挿入することで、クランプ部付きフェルール60のフェルール61及びフランジ部64を前記胴部41eとともにプラグフレーム部35に挿入できる。
【0098】
なお、位置決めスリーブ52及びスペーサリング54は、例えば、クランプ部付きフェルール60のフェルール61に外挿した状態で、フェルール61とともに前側ハウジング30の貫通孔33に内挿する。但し、これに限定されず、貫通孔33に挿入しておいた位置決めスリーブ52及びスペーサリング54にクランプ部付きフェルール60のフェルール61を内挿しても良い。
【0099】
図19、図20に示すように、図示例のクランプ部付きフェルール60のフランジ部64には、その後面64bから後側に突出する突起64c(以下、フランジ後部キーとも言う)が形成されている。クランプ部63をストップリング部41の胴部41eに挿入したクランプ部付きフェルール60は、フランジ部64の前記フランジ後部キー64cを、前記胴部41eにその前端面41fから窪む切り欠き状に形成された回り止め凹部41c(図17参照)に挿入して、ストップリング部41に対する軸線回り方向の回転を規制(回り止め)する。これにより、プラグフレーム部35に胴部41eを挿入したストップリング部41のプラグフレーム部35の軸線回り方向の向き調整によって、クランプ部付きフェルール60のプラグフレーム部35の軸線回り方向の向き調整を行える。その結果、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64のキー溝64aにプラグフレーム部35前端内側のキー35bを収納する作業を楽に行える。
【0100】
ストップリング部41は、胴部41eに形成された前記介挿片挿通孔41bを目印にして、プラグフレーム部35に対するその軸線回り方向の向きの調整を行える。胴部41eにクランプ部付きフェルール60のクランプ部63が挿入されたストップリング部41は、胴部41eの軸線方向の2箇所に形成された前記介挿片挿通孔41bのうち前側のものを、プラグフレーム部35の細長切り欠き部35cに連通する位置とすることで、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64のキー溝64aにプラグフレーム部35のキー35bを収納する作業を楽に行える。
【0101】
後側ハウジング40のプラグフレーム部35に対する嵌合は、プラグフレーム部35に挿入した胴部41e前端外周の係合突起41a(図17参照)をプラグフレーム部35の係止孔35aに嵌め込むことで達成される。但し、胴部41eの係合突起41aのプラグフレーム部35の係止孔35aへの嵌め込みは、クランプ部付きフェルール60のフェルール61の前側ハウジング30の貫通孔33への挿入、及びクランプ部付きフェルール60のフランジ部64のキー溝64aにプラグフレーム部35前端内側のキー35bが挿入されないと実現できない。
【0102】
後側ハウジング40がプラグフレーム部35から離脱状態にあるとき、クランプ部63を胴部41eに挿入したクランプ部付きフェルール60のフランジ部64は、胴部前端面41fからブロック部42とは反対の前方へ離隔した位置に配置される。クランプ部付きフェルール60のストップリング部41に対する押し込み限界位置は、胴部41e内のクランプ部63と後側ハウジング40のブロック部42との間に介挿されているスプリング53が圧縮限界に達する位置である。クランプ部付きフェルール60がストップリング部41に対する押し込み限界位置にあるとき、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64の後面64bは、胴部前端面41fに当接せず、胴部前端面41fから前方に離隔した位置に配置される。また、胴部41e前端の回り止め凹部41cは、前記押し込み限界位置に配置されたクランプ部付きフェルール60のフランジ部64の前記フランジ後部キー64cが、該回り止め凹部41c奥端(後端)の内面(奥底面41d)が当接せず、該奥底面41dから前側へ離隔して配置されるように、胴部前端面41fからの形成深さを調整してある。
【0103】
また、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64の複数のフランジ後部キー64cのうち1以上は、スプリング53が圧縮変形されていない状態において、胴部41eの回り止め凹部41cに対する挿入状態を確保できるように、フランジ部64の後面64bから後側への突出寸法を設定してある。
図示例の結合ユニット部50Aにおいては、フランジ部64の周方向に互いに離隔する2箇所に突設されたフランジ後部キー64cのフランジ部後面64bからの突出寸法を互いに異ならせてある。そして、前記結合ユニット部50Aは、フランジ部後面64bからの突出寸法が大きい方のフランジ後部キー64cのみ、スプリング53が圧縮変形されていない状態において、胴部41eの回り止め凹部41cに対する挿入状態を確保できるようにしてある。
【0104】
図19、図20に示すように、フランジ後部キー64cは、フランジ部64の周方向の複数箇所(図示例では2箇所)に形成されている。図示例のクランプ部付きフェルール60のキー溝64aは、フランジ部64の前側面64dからフランジ後部キー64cにも切り込んで、フランジ部後面64bの後方にまで延在形成されている。
キー溝64aは、クランプ部付きフェルール60が前側移動限界位置にあるときに、該キー溝64aに挿入されたプラグフレーム部35のキー35bが、前記フランジ後部キー64cの前記キー溝64a後側を塞ぐ部分に当接せず、該部分から前側に離隔して配置されるように、フランジ部64の前側面64dから後側への延在長を設定してある。
【0105】
図22に示すように、光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立ては、工具付き光コネクタ110を用いる。そして、まず、既述のように、光ファイバケーブル1端末に固定した引留用固定部材120を、光コネクタ10(工具付き光コネクタ110)の結合ユニット部50Aの前記固定部材受け部43に押し込む。これにより、光ファイバケーブル1端末に露出させた光ファイバ2を、前記固定部材受け部43前側のブロック部42を前後に貫通する前記ファイバ導入孔42a(図17参照)からユニット部ハウジング51A内に送り込んでいく。
【0106】
引留用固定部材120は、光ファイバケーブル1端末の外周を取り囲むようにして設けられ、該端末に固定、一体化されている。光ファイバケーブル1端末に露出させた光ファイバ2は、光ファイバケーブル1端末と該端末に固定した引留用固定部材120とからなる固定部材付きケーブル端末1aから突出されている。固定部材付きケーブル端末1aは、引留用固定部材120からその後側へ光ファイバケーブル1が延出し、引留用固定部材120から前側へ光ファイバ2が突出する構成となっている。
ブロック部42のファイバ導入孔42a(図17参照)への光ファイバ2の送り込みは、固定部材付きケーブル端末1aを固定部材受け部43後方からブロック部42に接近させるように前進させ、固定部材受け部43に押し込んでいくことで実現される。
【0107】
図示例の後側ハウジング40のブロック部42には、その後端から前側へ向かってテーパ状に窪むテーパ状凹所42dが形成されている。ブロック部42のファイバ導入孔42aの後端は、テーパ状凹所42dの前端部(ブロック部42を後側から見たときの奥端部)に開口している。
テーパ状凹所42dは、固定部材付きケーブル端末1aから突出する光ファイバ2の先端をファイバ導入孔42aに導いてファイバ導入孔42aへの挿入を円滑にする機能を果たす。
【0108】
ここで、光ファイバ2としては、予め、先端に裸光ファイバ2aを口出ししたものを用いる。ブロック部42のファイバ導入孔42aに挿入した光ファイバ2は、コネクタ前側への送り込みによって、ファイバ導入孔42a前端からスプリング53内側を介して、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63後端に開口する被覆部収納溝69b、69cに挿入される。また、光ファイバ2は、コネクタ前側への送り込みによって、裸光ファイバ2aを被覆部収納溝69b、69cから前記クランプ部63の調心溝69aに挿入できる。この光コネクタ10は、光ファイバ2を、ブロック部42後側からファイバ導入孔42aに送り込んでいくだけで、裸光ファイバ2a先端を内蔵光ファイバ62後端に突き当てる(突き合わせ接続する)ことができる。
【0109】
図17、図22等に示すように、ブロック部42の前記固定部材受け部43は、ブロック部42から後方へ延出しコネクタ前後方向を長手方向とする細長板状の底板部43aの幅方向両側に、該底板部43aの長手方向に沿って延在する側板部43bを立設した、断面コ字形に形成されている。
ここで、光ファイバ2をブロック部42のファイバ導入孔42aに挿入する作業を、図22に示すように、光コネクタ10を、固定部材受け部43の一対の側板部43bが底板部43a上に位置する向きとして行う場合について説明する。光コネクタ10について、図22、図24(a)、(b)において上側を上、下側を下として説明する。また、光コネクタ10、結合ユニット部50Aについて、後側ハウジング40の固定部材受け部43の一対の側板部43bの間隔方向を左右方向として説明する。
【0110】
図17、図22に示すように、図示例の光コネクタ10の結合ユニット部50Aの後側ハウジング40には、固定部材付きケーブル端末1aの、固定部材受け部43後方からブロック部42に接近する前進を案内する挿入補助スライダ45が設けられている。この挿入補助スライダ45は、後側ハウジング40の固定部材受け部43の底板部43a上に前後方向に移動可能に設けられている。
【0111】
また、後側ハウジング40には、固定部材受け部43に押し込んだ固定部材付きケーブル端末1aを引き留めて、固定部材受け部43から後側への脱落を規制する引き留めカバー46が設けられている。
光コネクタ10の結合ユニット部50Aのユニット部ハウジング51Aは、後側ハウジング40に前記挿入補助スライダ45及び前記引き留めカバー46を設けてなる後部ユニット44を有している。
【0112】
図17、図22、図24(a)に示すように、挿入補助スライダ45は、固定部材受け部43の底板部43a上に前後方向に移動可能に設けられた細長形状のスライダ本体45aを有している。前記スライダ本体45aは、その長手方向を結合ユニット部50Aのユニット部ハウジング51Aにその前後方向に揃えて、固定部材受け部43の底板部43a上に重ね合わせて設けられ、底板部43a上を前後方向にスライド移動する。
【0113】
また、前記挿入補助スライダ45は、スライダ本体45aの後端部上に突設した押圧用突起45bを有している。この挿入補助スライダ45は、スライダ本体45aの前記押圧用突起45bから後側に延出する部分である載せ台部45c上に固定部材付きケーブル端末1aを載置できる。前記押圧用突起45bには、前記載せ台部45c上に載置した固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120前端(光ファイバケーブル1が延出する引留用固定部材120後端とは反対の側)を、押圧用突起45bの後側から当接できる。
【0114】
図24(a)に示すように、この挿入補助スライダ45のスライダ本体45aは、ブロック部42下部を前後に貫通するスライダ挿通孔47にその後側から挿入可能である。挿入補助スライダ45は、ブロック部42の後側に配置された前記押圧用突起45bが、ブロック部42におけるテーパ状凹所42dとスライダ挿通孔47との間の中間壁部42eの後端に当接する位置まで後側ハウジング40に対して前進可能である。挿入補助スライダ45は、前記押圧用突起45bが前記ブロック部42(具体的には中間壁部42e後端)にその後側から当接する位置が、ユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置となっている。
挿入補助スライダ45は、ユニット部ハウジング51Aに対して前記前側移動限界位置から後側へスライド移動可能であり、このスライド移動によって、前記押圧用突起45b及び載せ台部45cを前記ブロック部42から後側へ離隔した位置に配置できる。
【0115】
図示例の光コネクタ10にあっては、挿入補助スライダ45は、後側ハウジング40(ユニット部ハウジング51A)に対する前側移動限界位置に配置したとき、スライダ本体45aの後端(載せ台部45c後端)の結合ユニット部50Aにおける前後方向の位置が、固定部材受け部43の底板部43a後端と概ね揃う。
挿入補助スライダ45を利用して光ファイバ2をブロック部42のファイバ導入孔42aから結合ユニット部50A内に送り込んでいく作業は、図22、図24(a)に示すように、挿入補助スライダ45を後側ハウジング40に対して前側移動限界位置から適宜後側にずれた位置に配置し、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120をスライダ本体45aの載せ台部45c上に載置する。そして、固定部材付きケーブル端末1aをブロック部42からの距離を縮めるように前進させ、光ファイバケーブル1端末から突出させておいた光ファイバ2を、ブロック部42のファイバ導入孔42aから結合ユニット部50A内に送り込んでいく。
【0116】
固定部材付きケーブル端末1aは引留用固定部材120前端によって押圧用突起45bを押圧しながら前進する。このため、固定部材付きケーブル端末1aの前進に伴い、挿入補助スライダ45も後側ハウジング40に対して前進動する。
後述のように、固定部材付きケーブル端末1aは、挿入補助スライダ45が後側ハウジング40に対する前側移動限界位置に達する前に、後側ハウジング40に対する前進限界位置に到達する。このため、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120をスライダ本体45aの載せ台部45c上に載置する際には、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120が前記前進限界位置よりも後方から挿入補助スライダ45の押圧用突起45bを押圧しながら前進を開始するように、挿入補助スライダ45をその前側移動限界位置から後側へのずれ量を確保した位置に配置する。
【0117】
図22に示すように、引留用固定部材120の両側に突設された案内用突部128が突設されている。図17に示すように、図示例の後側ハウジング30の固定部材受け部43の、両側の側板部43bの互いに対面する内面側には、引留用固定部材120の両側の案内用突部128が挿入される突部ガイド溝43dが前後方向に延在形成されている。固定部材付きケーブル端末1aは、引留用固定部材120の案内用突部128が前記突部ガイド溝43dの前端の段差面43e(図17参照)に突き当たる位置が、後側ハウジング30に対する前進限界位置となっている。
【0118】
固定部材付きケーブル端末1aが前進限界位置に達したとき、挿入補助スライダ45は、押圧用突起45bが後側ハウジング40のブロック部42に当接する前側移動限界位置には到達しない。挿入補助スライダ45は、固定部材付きケーブル端末1aが前進限界位置に達したとき、押圧用突起45bが、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120とブロック部42との間にて後側ハウジング40に対して前後動可能に配置される。
【0119】
固定部材付きケーブル端末1aから突出する光ファイバ2は、固定部材付きケーブル端末1aが前進によって前進限界位置に到達したときに、該光ファイバ2の先端に口出ししておいた裸光ファイバ2aの内蔵光ファイバ62後端に対する突き合わせ接続状態を確保できるように、光ファイバケーブル1端末から裸光ファイバ2a先端までの突出長を調整しておく。
【0120】
固定部材付きケーブル端末1aは、挿入補助スライダ45の前記載せ台部45c上に載置したときに、光ファイバケーブル1端末から突出する光ファイバ2を、ブロック部42のファイバ導入孔42aの後方延長上に延在する状態に配置できる。
前側移動限界位置から後側にずれた位置に配置した挿入補助スライダ45の載せ台部45cに載置した固定部材付きケーブル端末1aを前進させたとき、挿入補助スライダ45は、固定部材受け部43の底板部43aとその両側の側板部43bとによって案内されながら前進する。その結果、固定部材付きケーブル端末1aは、光ファイバケーブル1端末から突出する光ファイバ2がブロック部42のファイバ導入孔42aの後方延長上に位置する状態を保ったまま前進する。このため、挿入補助スライダ45を利用して行う、光ファイバ2のファイバ導入孔42aへの送り込み作業は、例えば固定部材付きケーブル端末1aの前進中に、光ファイバ2が前記ファイバ導入孔42aの軸線に対して大きく傾動して折損するといった不都合を防止でき、光ファイバ2のファイバ導入孔42aへの送り込み作業を円滑に行える。
【0121】
図23は、引留用固定部材120の具体例を示す。
ここでは、引留用固定部材120として、光ファイバケーブル1端末をその両側から把持して光ファイバケーブル1端末に固定して取り付けられる外被把持部材を用いている。
以下、引留用固定部材120が外被把持部材を指す場合、引留用固定部材120を外被把持部材とも言う。
この外被把持部材120は、光ファイバケーブル1を嵌め込むケーブル嵌合溝122が形成された断面コ字形の把持ベース121と、前記把持ベース121のケーブル嵌合溝122の溝幅方向両側の側壁部125の一方に枢着された押さえ蓋123とを有する。
【0122】
この外被把持部材120は、把持ベース121の一対の側壁部125の互いに対向する面に複数突設した把持用突起125cを、ケーブル嵌合溝122に嵌め込まれた光ファイバケーブル1の外被3に食い込ませて、一対の側壁部125の間に光ファイバケーブル1を把持固定できる。把持ベース121は、底壁部124の片面側に突設された一対の側壁部125の間に前記ケーブル嵌合溝122が確保された断面コ字形の部材である。ケーブル嵌合溝122の溝幅方向は、該ケーブル嵌合溝122を介して両側の側壁部125の間隔方向を指す。なお、図示例の外被把持部材120の把持用突起125cは、ケーブル嵌合溝122の深さ方向に延在する断面三角形状の突条に形成されている。
【0123】
そして、この外被把持部材120は、前記押さえ蓋123が他方の側壁部125から離隔する開放状態にて把持ベース121を光ファイバケーブル1端末に外嵌めして固定した後、押さえ蓋123を把持ベース121の一対の側壁部125の底壁部124とは反対側の端部間におけるケーブル嵌合溝122の開口部を閉じる閉位置に回動し、該押さえ蓋123を他方の側壁部125に係止して、光ファイバケーブル1端末に取り付けられる。
【0124】
図示例の外被把持部材120はプラスチック製の一体成形品である。前記押さえ蓋123は、一対の側壁部125の一方(以下、第1側壁部とも言う。図中符号125aを付記する)の突端に、ヒンジ部として機能する薄肉部126を介して繋がっている。この押さえ蓋123は、前記薄肉部126によって、前記ケーブル嵌合溝122の延在方向に沿う軸線を以て、把持ベース121の第1側壁部125aに対して回転可能に枢着されている。なお、把持ベース121の一対の側壁部125の他方について、以下、第2側壁部125bとも言う。
【0125】
図示例の外被把持部材120の押さえ蓋123はL字板状に形成されている。この押さえ蓋123は、前記薄肉部126を介して把持ベース121の第1側壁部125aに枢着されている天板部123aと、この天板部123aの前記薄肉部126とは反対側の端部から該天板部123aに垂直に形成された係止板部123bとを有する。この押さえ蓋123は、前記天板部123aを把持ベース121の一対の側壁部125の突端に当接してケーブル嵌合溝122の開口部を閉じる閉じ位置に配置したときに、前記係止板部123bを把持ベース121の第2側壁部125bのケーブル嵌合溝122とは反対側の外面に重ね合わせることができる。そして、押さえ蓋123は、前記係止板部123bに形成されている係止用窓孔123cに、把持ベース121の第2側壁部125b外面に突設されている係止用爪125dを入り込ませることで把持ベース121に係止され、把持ベース121に対する閉じ状態を安定維持できる。
【0126】
図示例の外被把持部材120(引留用固定部材)は、前記把持ベース121のケーブル嵌合溝122の延在方向に沿う前後方向の片端から突出する一対の前側突壁部127を有している。一対の前側突壁部127は、把持ベース121の両側の側壁部125a、125bから、該側壁部125a、125bを把持ベース121前後方向に沿って延長するように突出する板片状に形成されている。以下、外被把持部材120について、前記前側突壁部127の側を前、反対側を後として説明する。
【0127】
図示例の外被把持部材120の一対の前側突壁部127には、後側ハウジング30の固定部材受け部43(図3参照)の両側の側板部43bに前後方向に延在形成された突部ガイド溝43dに挿入される案内用突部128が突設されている。前側突壁部127において、前記案内用突部128は、一対の前側突壁部127の互いに対面する内面側とは反対の外面側に突設されている。
【0128】
なお、外被把持部材としては、図示例の構成に限定されない。外被把持部材としては、例えば、押さえ蓋を、前記係止板部123bを省略し、前記天板部123aに、把持ベース121の第2側壁部125bの突端に係合する係合部を設けた構造の押さえ蓋に変更した構成等も採用可能である。また、外被把持部材としては、把持ベースのみからなる構成も採用可能である。また、外被把持部材としては、プラスチック製の一体成形品に限定されず、複数部材によって組み立てた構成のものも採用可能である。
引留用固定部材としては、外被把持部材に限定されず、例えば光ファイバケーブル1端末外周に接着剤による接着固定、熱溶着などによって固定する部材などであっても良い。
【0129】
図22に示すように、引留用固定部材として前記外被把持部材120を用いて構成した固定部材付きケーブル端末1aは、その光ファイバケーブル1端末から突出する挿入光ファイバ2を結合ユニット部50Aのブロック部42のファイバ導入孔42aに送り込んでいく作業において、外被把持部材120の前側突壁部127が前側(ブロック部42側)となる向きで、挿入補助スライダ45の前記載せ台部45c上に載置する。固定部材付きケーブル端末1aは、外被把持部材120の前後方向(把持ベース121前後方向)を結合ユニット部50Aの前後方向に揃えて載せ台部45c上に載置する。
【0130】
挿入補助スライダ45の押圧用突起45bは、細長板状のスライダ本体45aの幅方向(結合ユニット部50Aの左右方向と一致)両側に突設されている。スライダ本体45a上に突設された一対の押圧用突起45bは、外被把持部材120の一対の前側突壁部127の間隔に応じた間隔で、スライダ本体45aの幅方向に互いに離隔して設けられている。固定部材付きケーブル端末1aは、載せ台部45c上に載置して前進(ブロック部42からの距離を縮める)させたときに、外被把持部材120の前記前側突壁部127の前端によって、挿入補助スライダ45の一対の押圧用突起45bを押圧する。
固定部材付きケーブル端末1aが前進によって前進限界位置に到達したときには、光ファイバケーブル1端末から突出する光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aが、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62後端に突き合わせ接続された状態となる。
【0131】
光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立ては、まず、前側移動限界位置から後側にずれた位置に配置した挿入補助スライダ45の載せ台部45cに載置した固定部材付きケーブル端末1aをユニット部ハウジング51A(具体的には後側ハウジング40)に対する前進限界位置まで前進させる。これにより、光ファイバケーブル1端末から突出する光ファイバ2を、ブロック部42のファイバ導入孔42aからクランプ部付きフェルール60の被覆部収納溝69b、69cを介して調心溝69aに送り込み、光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aを内蔵光ファイバ62後端に突き合わせ接続する。
固定部材付きケーブル端末1aは、前進によって、後側ハウジング40の固定部材受け部43にその前側のブロック部42に向かって押し込まれ、前進限界位置に到達したときには固定部材受け部43内側に収納される。
【0132】
次いで、後側ハウジング40に枢着されている引き留めカバー46(後述)の後側ハウジング40に対する回動操作によって、固定部材受け部43内側の固定部材付きケーブル端末1aにその上側から引き留めカバー46を被せる。これにより、図24(a)仮想線に示すように、引き留めカバー46に設けられている後退規制片46f(後述)を、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120(図示例では外被把持部材)の後端に当接させ、固定部材付きケーブル端末1aの前進限界位置からの後退を規制する。その結果、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62に対する光ファイバ2(具体的にはその先端に口出しした裸光ファイバ2a)の突き合わせ接続状態を保つ。
【0133】
次に、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63から、該クランプ部63の半割り状の把持用素子部を構成する後側延出片65と蓋部材66、67との間に介挿されている介挿片81、82を抜き去る。
その結果、クランプ部付きフェルール60のクランプばね68の弾性によって、後側延出片65と前蓋部材66との間に光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aが把持固定され、後側延出片65と後蓋部材67との間に光ファイバ2の被覆2b付き部分(被覆部)が把持固定される。これにより、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62に対する光ファイバ2(具体的にはその先端に口出しした裸光ファイバ2a)の突き合わせ接続状態を安定に保つことができる。
【0134】
前蓋部材66には、後側延出片65の対向面65aに対面する平坦な対向面66aが形成されている。クランプ部付きフェルール60のクランプ部63の半割り状の把持用素子部を構成する後側延出片65と蓋部材66、67との間から介挿片81、82を抜き去ると、前蓋部材66は、平坦な対向面66aによって、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、該後側突出部62aの後端に突き合わせた挿入光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aとを調心溝69aに押し付けて後側延出片65との間に把持固定する。これにより、挿入光ファイバ2の裸光ファイバ2a先端を内蔵光ファイバ62後端に対して高い調心精度を以て突き合わせ接続した状態を保つことができる。
【0135】
クランプ部付きフェルール60のクランプ部63に挿入光ファイバ2を把持固定することで、光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立てが完了する。
【0136】
図17、図22に示すように、引き留めカバー46は、後側ハウジング40の固定部材受け部43に押し込まれた固定部材付きケーブル端末1a上に配置される天板部46aの両側に細長板状のカバー側板部46bを設けた構成のカバー本体46Hを有している。天板部46aの両側のカバー側板部46bは、天板部46aの片面46c側に天板部46aに対して垂直に突設され、前記片面46cに沿う方向を長手方向として互いに平行に延在している。
【0137】
また、天板部46aの両側に設けられた一対のカバー側板部46bは、その長手方向片端側が前記天板部46aから突出されている。
引き留めカバー46は、一対のカバー側板部46bの前記天板部46aから突出された先端部を、回動軸41g(図17、図18、図22参照)によって、後側ハウジング40にその左右方向(固定部材受け部43の一対の側板部43bの間隔方向)の回動軸線を以て回動可能に枢着してハウジング100Hに設けられている。
【0138】
カバー側板部46bの、回動軸41gによって後側ハウジング40に枢着された先端部を、以下、枢着端部とも言う。
図示例の結合ユニット部50Aにおいて、前記回動軸41gは、後側ハウジング40の左右方向両側、より具体的にはブロック部42の左右方向両側に突起状に突設されている。引き留めカバー46は、一対のカバー側板部46bの枢着端部をその板厚方向に貫通して形成した軸挿入孔46eに嵌め込まれた前記回動軸41gを中心に、後側ハウジング40にその左右方向の軸線(回動軸線)を以て回動可能に枢着されている。
【0139】
なお、引き留めカバー46の後側ハウジング40に対する枢着構造としては、図示例の構造に限定されない。前記枢着構造としては、例えば、一対のカバー側板部46bの枢着端部の互いに対面する側に突設した軸部を、後側ハウジング40のブロック部42の左右両側に穿設した軸挿入穴に挿入し、引き留めカバー46を、前記軸部を中心に、後側ハウジング40にその左右方向の軸線(回動軸線)を以て回動可能に枢着した構成等も採用可能である。
【0140】
図17、図18、図24(a)、(b)に示すように、引き留めカバー46は、回転軸46dから延出するカバー本体46Hの回転軸46dとは反対側(以下、延出端側とも言う)に、前記後退規制片46fを有する構成となっている。
この引き留めカバー46は、その延出端側の端部が後側ハウジング40の固定部材受け部43から離隔して配置された状態から、前記回動軸41gを中心とする回動によって、固定部材受け部43にその上側から被せることができる。このときの引き留めカバー46の固定部材受け部43に対する位置を被せ位置(図18実線、図24(a)、(b)仮想線参照)とも言う。
【0141】
後側ハウジング40の固定部材受け部43にその後側から固定部材付きケーブル端末1aを押し込む作業は、引き留めカバー46を、固定部材付きケーブル端末1aの押し込み作業の障害になることを回避するべく、延出端側の端部が後側ハウジング40の固定部材受け部43から充分に離隔させ、固定部材受け部43に対して開放した状態で行う。そして、引き留めカバー46は、固定部材受け部43に固定部材付きケーブル端末1aを押し込んだ後、前記回動軸41gを中心とする回動によって前記被せ位置に配置する。
【0142】
引き留めカバー46は、固定部材受け部43に対して被せ位置に配置したときに、天板部46aが固定部材受け部43の底板部43aに沿う向きとなる。また、被せ位置に配置した引き留めカバー46は、天板部46aの片面46c(以下、内面とも言う)側にリブ状に張り出す一対のカバー側板部46bの間に、固定部材受け部43の底板部43aから突出する一対の側板部43bを収納する。
【0143】
図24(b)仮想線に示すように、被せ位置に配置した引き留めカバー46は、その天板部46aの内面46cが固定部材受け部43の一対の側板部43bの底板部43aとは反対側の端部(上端)に当接する。また、この引き留めカバー46は、被せ位置に配置したときに、両側のカバー側板部46bに形成されている係止用窓46gに、固定部材受け部43の一対の側板部43bの外面(一対の側板部43bの互いに対面する内面とは反対の面)側に突設された係止突起43cが入り込んで固定部材受け部43に対して被せ位置に係止される。これにより、引き留めカバー46は、延出端側の端部が後側ハウジング40の固定部材受け部43から離隔する方向への回動が規制され、固定部材受け部43に対して被せ位置にある状態が安定に保たれる。
【0144】
図18実線、図24(a)、(b)仮想線に示すように、引き留めカバー46は、前記被せ位置に配置したときに、後退規制片46fを、後側ハウジング40に対する前側移動限界位置にある引留用固定部材120の後側に配置して引留用固定部材120に当接させることができる。
引き留めカバー46のカバー本体46Hは、一対のカバー側板部46bと天板部46aとによって構成されて断面コ字状で延在するコ字形カバー部46dを有する。カバー本体46Hの延出端側の端部はコ字形カバー部46dによって構成されている。
【0145】
図示例の引き留めカバー46において、後退規制片46fは、カバー本体46Hの延出端側の断面コ字形の端部の内周に沿って突設されたリブ状の突部であり、門形に形成されている。この後退規制片46fは、引き留めカバー46を被せ位置に配置したときに、引留用固定部材120から後方に延出する光ファイバケーブル1を避けて、固定部材受け部43の左右方向に一致する引留用固定部材120の左右両側の壁部の後側に配置され当接される。この結果、引き留めカバー46によって、固定部材付きケーブル端末1aを光コネクタ10に対して引き留めることができる。
なお、光ファイバケーブル1は、門形の後退規制片46fの内側のケーブル挿通凹部46kに通され、引き留めカバー46から後側に延出した状態となる。
【0146】
後退規制片46fとしては、カバー本体46Hの延出端側の断面コ字形の端部の内周に沿う門形の形状に限定されない。後退規制片としては、例えば、カバー本体46Hの一対のカバー側板部46bの延出端側の端部の互いに対面する内面側のみに突設し、天板部46aからの突設を省略した構成等も採用可能である。
【0147】
なお、引留用固定部材120を結合ユニット部50Aに引き留めて前進限界位置に保持する引き留め手段としては、上述の引き留めカバーに限定されない。前記引き留め手段としては、例えば、後側ハウジング40の固定部材受け部43にその後側から押し込まれた固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120に係合する弾性爪等も採用可能である。
【0148】
図26〜図30は、本発明の光接続用ユニットの一例を示す図であって、この光接続用ユニット130は、光コネクタ210と、光コネクタ210を収容可能、かつ取付壁140の取付け面140aに設置可能な光コネクタ収容ケース150と、を備えている。
光コネクタ210は、通過口140bを通して取付け面140より奥側から配線された光ファイバケーブル1(光伝送体)の先端に組み立てられている。
【0149】
光コネクタ収容ケース150は、光コネクタ210を収容可能なベース部151と、ベース部151を覆うカバー部152とを有する。
ベース部151は、長板状の基板部153と、その側縁に形成された側板部154とを有する光コネクタ収容部155と、光コネクタ収容部155内の光コネクタ210の光ファイバケーブル1を導く導出部156とを有する。
導出部156は、間隔をおいて対向配置された一対の位置決め板156aからなり、これら位置決め板156aの間の空間に光ファイバケーブル1を通過させることができる。
位置決め板156aの互いに対向する面には把持用突起156bが複数突設されている。把持用突起156bは、光ファイバケーブル1を挟み込んで光ファイバケーブル1を把持固定できる。
カバー部152は、長板状の天板部157と、その側縁に形成された側板部158と、これらの上端に形成された頂板部159とを有する。
光コネクタ収容ケース150の下端部には、挿入光コネクタ90が挿入される開口部160が形成されている。
【0150】
図26に示すように、光コネクタ収容ケース150は、光アウトレット170に並べて設置することができる。
【0151】
次に、本発明の光コネクタレセプタクルの第3実施形態について説明する。
図31は、本発明の第3実施形態の光コネクタレセプタクル310(以下、単に光コネクタ310という)の構造を示す分解斜視図である。図32および図33は光コネクタ310の要部の斜視図である。図34は光コネクタ310のコネクタ嵌合ハウジングの本体基板部223と蓋部222を示す側面図である。
【0152】
光コネクタ310は、角筒状のコネクタ嵌合ハウジング220と、コネクタ嵌合ハウジング220の後部に取り付けられた結合ユニット部50(50A)とを有する。
光コネクタ310は、光ファイバケーブル1(光伝送体)の先端に組み立てられるものである。光コネクタ310と光ファイバケーブル1は、コネクタ付き光伝送体を構成する。
以下の説明において、図1、図17等に示す光コネクタ10、210との共通構成については、同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0153】
図31〜図33に示すように、コネクタ嵌合ハウジング220は、光コネクタ挿入穴211aが前側に開口する角筒状の嵌合ハウジング本体221と、光コネクタ挿入穴211aを開閉可能とされた蓋部222と、蓋部222をバネ238(付勢部材)と、を備えている。
【0154】
嵌合ハウジング本体221は、本体基板部223と、本体基板部223に取り付けられる本体カバー部224とを有する。
本体基板部223は、概略矩形の底板部225と、底板部225の両側縁に立設された挿入片227(挿入凸部、延出片)と、を備えている。
底板部225の前縁部225aからやや後方寄りの位置には、蓋部222の回動軸237が配置される軸受部225bが形成されている。
【0155】
挿入片227は、長板状とされ、底板部225の後部の上面225gから上方に延出している。挿入片227は、底板部225の両側縁部225iに近い位置にそれぞれ形成されている。
挿入片227は、前側ハウジング30の孔内面当接突部31a、31bの間に挿入される。
【0156】
本体カバー部224は、概略矩形の天板部228と、その両側縁から垂下する側板部229とを有する。
側板部229の前縁部229dは、下方に向かって徐々に前方寄りとなるように傾斜している。
【0157】
蓋部222は概略矩形に形成され、前縁部22bに形成された回動軸237を中心とする回動によって、光コネクタ挿入穴211aを閉止する閉止位置(図32および図34の実線参照)と、本体カバー部224内に向けて内方に回動して光コネクタ挿入穴211aを開放した開放位置(図34の仮想線参照)とを切り替え可能である。図34に示す開放位置では、蓋部222は嵌合ハウジング本体221の軸線方向(軸方向)に平行である。図示例の開放位置と閉止位置との蓋部222の回動角の差は90°未満である。
【0158】
図34に示すように、バネ238は、基部238aと、基部238aから延出して底板部225の上面225g上に配置される本体側延出部238bと、基部238aから延出して蓋部222の裏面側(内面側)に配置される蓋部側延出部238cとを備えている。
バネ238は、自らの弾性力によって、蓋部222を開放位置(図34の仮想線)から閉止位置(図34の実線参照)に戻す方向に付勢する。
【0159】
図35に示すように、挿入光コネクタ90を光コネクタ挿入穴211aに挿入すると、挿入光コネクタ90によって蓋部222が押され、バネ238の弾性力に抗して蓋部222を内方に押し倒し、光コネクタ挿入穴211aが開放されるとともに、挿入光コネクタ90のフェルール93が光コネクタ310のフェルール61と突き合わせ接続される。
【0160】
図36は、本発明の光アウトレットの一例である光アウトレット180の斜視図であり、図37は、光アウトレット180の一部破断状態の斜視図である。
光アウトレット180は、光コネクタ310と、光コネクタ310を収容可能、かつ取付壁140の取付け面140aに設置可能な外装体190と、を備えている。
光コネクタ310は、取付け面140より奥側から配線された光ファイバケーブル1(光伝送体)の先端に組み立てられている。
【0161】
外装体190は、光コネクタ310が設置されるベース部201と、ベース部201を覆うカバー部202とを有する。カバー部202は通過口140bも覆う。カバー部202には、挿入光コネクタ90が挿入される開口部203が形成されている。
【符号の説明】
【0162】
1…光ファイバケーブル(光伝送体)、2…光ファイバ(挿入光ファイバ)(光伝送体)、7…光ファイバ(挿入光ファイバ)(光伝送体)、10、210、310…光コネクタ(光コネクタレセプタクル)、11a、211a…光コネクタ挿入穴(コネクタ穴)、20、220…コネクタ嵌合ハウジング、21,221…嵌合ハウジング本体(ハウジング本体)、22、222…蓋部、23、223…本体基板部、24、224…本体カバー部、25j…挿入凸部(係合構造)、27、227…挿入片(挿入凸部)(係合構造)、28…天板部、28g・・・挿入凸部(係合構造)、29…側板部、29d…側板部の前縁部、30…前側ハウジング、31…ベース部、31a、31b・・・孔内面当接突部(係合構造)、31c…溝部(係合構造)、35…プラグフレーム部、37…回動軸(連結位置)、38,238…バネ(付勢部材)、40…後側ハウジング、41…ストップリング(ストップリング部)、50…結合ユニット部、51…ユニット部ハウジング、52…位置決めスリーブ(割スリーブ)、55…ストップリング、56…ストップリング、57…内蔵フェルール(フェルール)、60…クランプ部付きフェルール、61…内蔵フェルール(フェルール、フェルール本体)、63…クランプ部、90…挿入光コネクタ、130…光接続用ユニット、140…取付壁、140a・・・取付け面、150…光コネクタ収容ケース、160…開口部、180…光アウトレット、190…外装体、203…開口部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタレセプタクル、前記光コネクタレセプタクルが用いられた光接続用ユニット、および前記光コネクタレセプタクルが用いられた光アウトレットに関する。
【背景技術】
【0002】
光コネクタとしては、プラグ−アダプタ−プラグ方式を採用して、光ファイバ同士のコネクタ接続に用いられるものが広く提供されている。この光コネクタには、例えばSC形光コネクタ(JIS C5973に制定されるF04形光コネクタ。SC:Single fiberCoupling optical fiber connector)が採用できる。
この光コネクタでは、光コネクタ(プラグ)を光コネクタ(アダプタ)にその両側からそれぞれ挿入して嵌合し、光コネクタ(アダプタ)内にて互いに突き合わせることで結合できる。また、光コネクタ(アダプタ)に嵌合状態の光コネクタ(プラグ)は、そのハウジングに対する光コネクタ(アダプタ)の係合爪の係合を解除することで、光コネクタ(アダプタ)から抜き去ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−121859号公報
【特許文献2】特開2011−150128号公報
【特許文献3】特開2008−225133号公報
【特許文献4】特開2009−14960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記光コネクタは、防塵性能の点で十分とはいえず、防塵性能に優れた光コネクタが要望されていた。また、構造が複雑であるため小型化が難しいという問題もあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、防塵性能に優れ、かつ構造が簡略である光コネクタレセプタクル、光接続用ユニットおよび光アウトレットの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、挿入光コネクタが挿入される光コネクタ挿入穴を有するコネクタ嵌合ハウジングと、前記コネクタ嵌合ハウジングの後部に取り付けられ、内部に内蔵フェルールを収納して前側ハウジングとその後側のストップリングとを嵌合して形成される結合ユニット部とを有し、前記前側ハウジングは、前記内蔵フェルールおよびそれの内挿される位置決めスリーブが貫通するベース部と、前記ストップリングと嵌合するスリーブ状のプラグフレーム部とを有し、前記位置決めスリーブは、前記光コネクタ挿入穴に挿入される挿入光コネクタのフェルールを位置決めして前記内蔵フェルールに突き合わせ可能であり、前記コネクタ嵌合ハウジングは、前記光コネクタ挿入穴が前側に開口するハウジング本体と、前記ハウジング本体に回動可能に連結され、その回動により前記光コネクタ挿入穴を閉止可能とされた蓋部とを備える光コネクタレセプタクルを提供する。
前記前側ハウジングのベース部および前記コネクタ嵌合ハウジングには、それらを互いに係合する周方向全周に亘って延在する係合構造を形成することができる。
本発明の光コネクタレセプタクルは、前記前側ハウジングのベース部および前記コネクタ嵌合ハウジングの一方には、周方向に延在する溝部を前記係合構造として形成し、前記ベース部および前記コネクタ嵌合ハウジングの他方には、周方向に延在する突条を前記係合構造として前記溝部に嵌合可能に形成することができる。
本発明の光コネクタレセプタクルは、前記嵌合ハウジング本体が、本体基板部と、前記本体基板部との間に前記前側ハウジングの少なくと一部を収容して前記本体基板部に対して組み合わせられる本体カバー部とを有し、前記本体基板部に対して前記本体カバー部を組み合わせた際に、それぞれに形成された前記係合構造が周方向に亘って延在するようになる構成とすることができる。
本発明の光コネクタレセプタクルは、前記本体基板部が、底板部を備え、前記本体カバー部が、天板部と、前記天板部からそれぞれ前記天板部に対し交差する方向に前記前側ハウジングを挟むように立設される一対の側板部とを備え、前記本体基板部には、前記底板部の内面に前記周方向に亘って形成された突条と、前記底板部からそれぞれ前記底板部に対し交差する方向に前記前側ハウジングを挟むように延出する一対の延出片とが前記係合構造として形成され、前記本体カバー部には、前記天板部のみの内面に前記周方向に亘って突条が前記係合構造として形成されている構成とすることができる。
前記コネクタ嵌合ハウジングは、前記蓋部を閉止する方向に付勢する付勢部材を備えていてよい。
光コネクタ挿入穴の軸方向に平行となるように開放した状態と閉止した状態とについての前記蓋部の回動角の差は90°未満とすることができる。
光コネクタ挿入穴の軸方向に平行となるように開放した状態と閉止した状態とについての前記蓋部の回動角の差は90°以上とすることができる。
本発明は、光伝送体の先端に組み立てられ、前記光伝送体の先端部が、前記内蔵フェルールに内挿固定されている光コネクタレセプタクルを提供する。
本発明は、光伝送体の先端に組み立てられ、前記結合ユニット部が、前記内蔵フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバの後端部と、前記後端部に突き当てた前記光伝送体の先端部とを把持して、これらの突き合わせ接続状態を維持するクランプ部を有する光コネクタレセプタクルを提供する。
【0006】
本発明は、前記光コネクタレセプタクルと、前記光コネクタレセプタクルを収容可能、かつ取付壁の取付け面に設置可能な光コネクタ収容ケースと、を備え、前記光コネクタレセプタクルが、前記取付け面より奥側から配線された光伝送体の先端に組み立てられ、前記光コネクタ収容ケースが、前記挿入光コネクタが挿入される開口部を有する光接続用ユニットを提供する。
本発明は、前記光コネクタレセプタクルと、前記光コネクタレセプタクルを収容可能、かつ取付壁の取付け面に設置可能な外装体と、を備え、前記光コネクタレセプタクルが、前記取付け面より奥側から配線された光伝送体の先端に組み立てられ、前記外装体が、前記挿入光コネクタが挿入される開口部を有する光アウトレットを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光コネクタ挿入穴を閉止可能な蓋部を備えたコネクタ嵌合ハウジングを採用したので、光コネクタ挿入穴からコネクタ嵌合ハウジング内への塵埃の侵入を防ぐことができる。
結合ユニット部は、挿入光コネクタのフェルールが突き合わせ接続されるフェルールを内蔵しているため、プラグ−アダプタ−プラグ方式の結合方式を採用した光コネクタとは異なり、挿入光コネクタと接続させる光コネクタを嵌合するための構造が必要ないことから、光コネクタレセプタクルの小型化が可能である。
また、結合ユニット部の構造が簡略であるため、部品点数が少ないことから、組み立て作業を容易にするとともに、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態の光コネクタレセプタクルの構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの蓋部を開放した状態の斜視図である。
【図3】図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの蓋部を閉止した状態の斜視図である。
【図4】(a)、(b)は、図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの本体基板部の斜視図である。
【図5】(a)〜(d)は、図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの本体基板部を説明する図である。
【図6】(a)〜(d)は、図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの本体カバー部を説明する図である。
【図7】(a)、(b)は、図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの蓋部を示す斜視図である。
【図8】(a)〜(c)は、図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの蓋部を説明する図である。
【図9】図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの蓋部の動作を示す側面図である。
【図10】(a)〜(e)は、図1の光コネクタレセプタクルの前側ハウジングを説明する図である。
【図11】図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの本体基板部と前側ハウジングとを示す斜視図である。
【図12】図1の光コネクタレセプタクルの結合ユニット部の構造を説明する分解斜視図である。
【図13】前図の結合ユニットのフェルール、スプリング、ストップリングの関係を説明する図である。
【図14】図1の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合部付近の構造を示す断面図(側断面図)である。
【図15】図1の光コネクタレセプタクルと、その光コネクタ挿入孔に挿入した挿入光コネクタとの嵌合状態を説明する断面図(平断面図)である。
【図16】図1の光コネクタレセプタクルと、その光コネクタ挿入孔に挿入した挿入光コネクタとを示す斜視図である。
【図17】本発明の第2実施形態の光コネクタレセプタクルの構造を示す分解斜視図である。
【図18】図17の光コネクタレセプタクルの斜視図である。
【図19】図17の光コネクタレセプタクルのクランプ部付きフェルールを示す分解斜視図であり、後側延出片の調心溝及び被覆部収納溝と2つの蓋部材との関係を説明する図である。
【図20】図17の光コネクタレセプタクルのクランプ部付きフェルールを示す分解斜視図であり、クランプ部の2つの蓋部材を説明する図である。
【図21】図17の光コネクタレセプタクルのクランプ部付きフェルールのクランプ部の半割り構造の把持用素子部と該把持用素子部に割り込ませる介挿片との関係を説明する断面図である。
【図22】図17の光コネクタレセプタクルを光ファイバケーブル端末に組み立てる組立方法を説明する斜視図である。
【図23】図17の光コネクタレセプタクルを光ファイバケーブル端末に組み立てる際に、光ファイバケーブル端末に引留用固定部材として組み付ける外被把持部材を説明する斜視図である。
【図24】図17の光コネクタレセプタクルの挿入補助スライダー及び引き留めカバーと、光ファイバケーブル端末に固定された引留用固定部材との関係を説明する図であって、(a)は側断面図、(b)は後側から見た図である。
【図25】図17の光コネクタレセプタクルの光コネクタ挿入孔に挿入して嵌合させる挿入光コネクタの一例を示す斜視図である。
【図26】図17の光コネクタレセプタクルを収容可能な光コネクタ収容ケースおよびその使用形態を示す説明図である。
【図27】図17の光コネクタレセプタクルを収容した光コネクタ収容ケースおよび前記光コネクタレセプタクルに接続された挿入光コネクタを示す斜視図である。
【図28】図17の光コネクタレセプタクルを収容した光コネクタ収容ケースの内部構造を示す斜視図である。
【図29】図27の光コネクタ収容ケースのカバー部を示す斜視図である。
【図30】図27の光コネクタ収容ケースのカバー部を示す斜視図である。
【図31】本発明の第3実施形態の光コネクタレセプタクルの構造を示す分解斜視図である。
【図32】図31の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングと前側ハウジングを示す斜視図である。
【図33】図31の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの要部を示す分解斜視図である。
【図34】図31の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの本体基板部と蓋部を示す側面図である。
【図35】図31の光コネクタレセプタクルのコネクタ嵌合ハウジングの光コネクタ挿入孔に挿入光コネクタを挿入する動作を説明する図である。
【図36】図31の光コネクタレセプタクルを設けた光コネクタ用アウトレットを示す斜視図である。
【図37】前図の光コネクタ用アウトレットの内部構造を示す斜視図である。
【図38】図17の光コネクタレセプタクルを組み立てる光ファイバケーブルの構造の一例を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の光コネクタレセプタクルの第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の光コネクタレセプタクル10(以下、単に光コネクタ10という)の構造を示す分解斜視図である。図2および図3は光コネクタ10の斜視図である。
光コネクタ10は、コネクタ嵌合ハウジング20と、コネクタ嵌合ハウジング20の後部に取り付けられた結合ユニット部50とを有する。
光コネクタ10は、光ファイバ7(光伝送体)の先端に組み立てられている。光コネクタ10と光ファイバ7は、コネクタ付き光伝送体を構成する。
以下の説明において、嵌合ハウジング本体21の軸線方向(軸方向)であって光コネクタ挿入穴11aの開口方向(図5(a)の左方向)を前方といい、その反対方向を後方という。また、本体基板部23に沿う方向(詳しくは底板部25の上面25gに沿う方向)であって、前後方向に対して直交する方向(図5(a)の上下方向)を幅方向ということがある。また、前後方向および幅方向に対し直交する方向を上下方向(図5(a)の紙面に垂直な方向)ということがある。
【0010】
図1〜図9に示すように、コネクタ嵌合ハウジング20は、光コネクタ挿入穴11aが前側に開口する角筒状の嵌合ハウジング本体21と、光コネクタ挿入穴11aを開閉可能とされた蓋部22と、蓋部22を付勢するバネ38(付勢部材)と、を備えている。
【0011】
図4〜図6に示すように、嵌合ハウジング本体21は、前側ハウジング30が載置される本体基板部23と、本体基板部23に組み合わせられる本体カバー部24とを有する。嵌合ハウジング本体21は、前側ハウジング30の少なくとも一部を包囲する筒状体である。
図4および図5に示すように、本体基板部23は、概略矩形の底板部25と、その両側縁に立設された側板部26と、底板部25の両側縁に立設された挿入片27(挿入凸部)と、を備えている。
【0012】
底板部25の前縁部25aの両端部には、それぞれ軸受用凸部25bが前方に突出して形成されている。軸受用凸部25bには、蓋部22を回動自在に支持する回動軸37が挿通する軸受口25cが形成されている。
底板部25の前縁部25aには、軸受用凸部25b、25bの間に、回動軸37が嵌合する軸受凹部25dが形成された軸受用凸部25eが前方に突出して形成されている。軸受用凸部25eは、軸受用凸部25b、25bから離れて形成することができる。図示例では、前縁部25aに2つの軸受用凸部25eが幅方向に間隔をおいて形成されている。
底板部25の下面25fには、前縁部25aから後方に向かってバネ用溝部25hが形成されている。
【0013】
底板部25の上面25g(内面)後部には、断面略矩形の突条である挿入凸部25j(防塵用突部)が幅方向に沿って延在して形成されている(図4、図5、図14参照)。挿入凸部25jは、前側ハウジング30のほぼ全幅にわたる範囲に形成されていることが好ましい。挿入凸部25jの延在方向は、前側ハウジング30および嵌合ハウジング本体21の周方向となっている。なお、挿入凸部25jは、底板部25の幅方向に亘って形成されていれば、その延在方向は必ずしも幅方向に一致していなくてもよい。
挿入凸部25jは、前側ハウジング30に当接または近接して、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30との隙間を狭くできる。
挿入凸部25jは、前側ハウジング30の孔内面当接突部31a、31bの間の空間(溝部31c)に挿入されて、突部31a、31bに係合する係合構造である。図示例の挿入凸部25jは、孔内面当接突部31bの前面に当接または近接している(図14参照)。この構造によって、嵌合ハウジング本体21内の前後方向の空気の流通を起こりにくくできる。
挿入凸部25jと突部31a、31bとは、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30との隙間が完全に閉止される構造であることが好ましいが、これに限らず、前記隙間を狭くし、嵌合ハウジング本体21内の前後方向の空気の流通を起こりにくくできればよい。
底板部25の上面25gには、前側ハウジング30の少なくとも一部が載置される。
【0014】
挿入片27(防塵用突部または挿入凸部)は、断面略矩形の長板状とされ、底板部25の後部の上面25gから上方に延出する延出片である。挿入片27は、底板部25の両側縁部25i(側部)に近い位置にそれぞれ形成されている。挿入片27は、上下方向(前側ハウジング30の周方向)に延在している。
これら一対の挿入片27は、それぞれ前側ハウジング30の一方および他方の側面に対面する位置に形成される。すなわち、これら一対の挿入片27は、前側ハウジング30を挟む位置に形成される。
挿入片27は、前側ハウジング30に当接または近接して、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30との隙間を狭くできる。挿入片27は、内側面がベース部31に当接または近接することが好ましい。
挿入片27は、挿入凸部25jに当接または近接する位置に形成されることが好ましい。図示例の挿入片27は挿入凸部25jの端部に連なって形成されている。挿入片27の上端は、挿入凸部28gの下面に当接または近接する位置に達していることが好ましい(図14参照)。
挿入片27は、前側ハウジング30の孔内面当接突部31a、31bの間の空間(溝部31c)に挿入されて、突部31a、31bに係合する係合構造である。この構造によって、嵌合ハウジング本体21内の前後方向の空気の流通を起こりにくくできる。
【0015】
図示例の挿入片27は、溝部31cに嵌合する(図15参照)。挿入片27が溝部31cに嵌合することによって、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30との間の隙間を狭くできるため、嵌合ハウジング本体21内の前後方向の空気の流通を起こりにくくする効果が高められる。挿入片27は、溝部31cの全高さ範囲に形成されていることが好ましい。
挿入片27の延在方向は、前側ハウジング30および嵌合ハウジング本体21の周方向となっている。なお、挿入片27は、上下に亘って形成されていれば、その延在方向は必ずしも上下方向に正確に一致していなくてもよい。例えば、挿入片27の延在方向は、底板部25に対し0°を越え、90°未満で交差する方向であってよい。
図示例の挿入片27の前後方向の寸法は、孔内面当接突部31a、31b間の前後方向の距離にほぼ等しいか、これよりやや小さい程度であるため、挿入片27の前面は孔内面当接突部31aに当接または近接し、後面は孔内面当接突部31bに当接または近接している。
【0016】
図1および図6に示すように、本体カバー部24は、平面視略矩形の天板部28と、その両側縁に設けられた一対の側板部29、29とを有する。図示例の本体カバー部24は、天板部28とその両側縁から垂下する側板部29とからなる。
天板部28は、本体基板部23(詳しくは底板部25)と対向して形成され、前部28aと、前部28aより低く形成された上面を有する後部28bとを備えている。符号28cは、前部28aと後部28bとの境界に形成された段部である。
【0017】
天板部28の下面28f(内面)には、断面略矩形の突条である挿入凸部28g(防塵用突部)が幅方向に沿って形成されている(図6(d)、図14参照)。挿入凸部28gは、前側ハウジング30に当接または近接して、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30との隙間を狭くできる。挿入凸部28gは、下面がベース部31に当接または近接することが好ましい。挿入凸部28gは、前側ハウジング30のほぼ全幅にわたる範囲に形成されていることが好ましい。挿入凸部28gは、下面がベース部31に当接または近接することが好ましい。
挿入凸部28gの延在方向は、前側ハウジング30および嵌合ハウジング本体21の周方向となっている。なお、挿入凸部28gは、前記幅方向に亘って形成されていれば、その延在方向は必ずしも幅方向に正確に一致していなくてもよい。
挿入凸部28gは、前側ハウジング30の孔内面当接突部31a、31bの間の空間(溝部31c)に挿入されて、突部31a、31bに係合する係合構造である。この構造によって、嵌合ハウジング本体21内の前後方向の空気の流通を起こりにくくできる。
図示例の挿入凸部28gは、溝部31cに嵌合する(図14参照)。挿入凸部28gが溝部31cに嵌合することによって、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30との間の隙間を狭くできるため、嵌合ハウジング本体21内の前後方向の空気の流通を起こりにくくする効果が高められる。
図示例の挿入凸部28gの前後方向の寸法は、孔内面当接突部31a、31b間の前後方向の距離にほぼ等しいか、これよりやや小さい程度であるため、挿入凸部28gの前面は孔内面当接突部31aに当接または近接し、後面は孔内面当接突部31bに当接または近接している。
【0018】
本体基板部23の挿入凸部25jおよび挿入片27と、本体カバー部24の挿入凸部28gは、本体基板部23と本体カバー部24を組み合わせた時に、嵌合ハウジング本体21および前側ハウジング30の周方向に亘って延在する1つの略連続した係合構造(嵌合ハウジング本体21側の係合構造)を構成する。
図示例では、挿入凸部25j、挿入片27および挿入凸部28gは、嵌合ハウジング本体21および前側ハウジング30を全周にわたって延在する係合構造である。具体的には、この係合構造は、挿入凸部25j、挿入片27、27および挿入凸部28gが各辺をなす矩形枠状の構造である。
なお、嵌合ハウジング本体21側の係合構造には、挿入凸部25j、挿入片27、挿入凸部28g以外に、嵌合ハウジング本体21に形成された他の凹部(溝部)または凸部(突条)を含んでいてもよい。
【0019】
図示例では、本体基板部23に挿入凸部25jおよび挿入片27(挿入凸部)が形成され、本体カバー部24に挿入凸部28gが形成されているが、本体基板部23と本体カバー部24の一方にのみ挿入凸部が形成されていてもよい。
例えば、嵌合ハウジング本体21は、本体カバー部24に挿入凸部28gが形成され、かつ本体基板部23に挿入凸部25jと挿入片27の一方または両方が形成されていない構造としてよい。また、本体カバー部24に挿入凸部28gが形成されておらず、かつ本体基板部23に挿入凸部25jと挿入片27の一方または両方が形成されている構造も可能である。
【0020】
側板部29は、前部29aと、前部29aより内方寄りに形成された外側面を有する後部29bとを備えている。符号29cは、前部29aと後部29bとの境界に形成された段部である。
一対の側板部29、29は、前側ハウジング30の少なくとも一部(図示例ではプラグフレーム部35より前方の部分の前側ハウジング30)を挟むように設けられている。側板部29は、天板部28に対し交差する方向に形成される。図示例では側板部29に対し垂直な方向に形成されている。
図示例の前縁部29dは、下方に向かって徐々に後方寄りとなるように傾斜している。なお、前縁部29dは上下方向に沿う方向であってもよい。
【0021】
側板部29の内面29eには、前縁部29dに沿う前面29fを有する当接凸部29gが形成されている。前縁部29dは下方に向かって徐々に後方寄りとなるように傾斜しているため、当接凸部29gの前面29fも同方向に傾斜している。
このため、閉止位置の蓋部22は、下方に向かって徐々に後方寄りとなるように傾斜する。詳細には、蓋部22の内面22fは下方に向かって徐々に後方寄りとなるように傾斜する。この傾斜によって、閉止位置から開放位置までの蓋部22の回動角度は比較的小さくなるため、蓋部22を開放させる操作が容易になる。
【0022】
図示例の当接凸部29gの上端は天板部28の下面28fに達している。当接凸部29gは、側板部29の最下部近傍まで延出している。
当接凸部29gは、前面29fの上端が天板部28の前縁部28dに連なって形成されている。当接凸部29gの前面29fと前縁部28dの前面とは面一であることが好ましい。閉止位置にある蓋部22は、当接凸部29gの前面29fと前縁部28dの前面に当接する。
【0023】
本体カバー部24は、前側ハウジング30の一部または全部を収容可能に形成されている。図示例の本体カバー部24は、プラグフレーム部35より前方の部分の前側ハウジング30を収容することができる。このため、嵌合ハウジング本体21は、前側ハウジング30の前部を包囲している。なお、嵌合ハウジング本体21は前側ハウジング30の全体を包囲する構造であってもよい。
図示例の嵌合ハウジング本体21は断面矩形であるが、嵌合ハウジング本体21の断面形状はこれに限らず、五角形、六角形などの多角形や半円状などであってよい。
【0024】
図7〜図9に示すように、蓋部22は平面視概略矩形に形成され、矩形版状の蓋部本体22aの後縁部22bに、軸受用凸部22dが形成されている。軸受用凸部22dには、回動軸37が挿通する軸受口22cが形成されている。図示例では、後縁部22bに2つの軸受用凸部22dが幅方向に間隔をおいて形成されている。
蓋部本体22aの外面22eには、後縁部22bから前方に向かってバネ用溝部22gが形成されている。符号22fは蓋部本体22aの内面である。内面22fは、閉止位置(図3)では嵌合ハウジング本体21の内面側に面する。
【0025】
図2および図3に示すように、蓋部22は、回動軸37(連結位置)を中心として回動することにより、光コネクタ挿入穴11aを開閉自在に閉止可能である。すなわち、光コネクタ挿入穴11aを閉止する位置にある蓋部22は、前記回動によって光コネクタ挿入穴11aを開放することができ、光コネクタ挿入穴11aを開放する位置にある蓋部22は、前記回動によって光コネクタ挿入穴11aを閉止することができる。
図示例の蓋部22は、前記回動によって、光コネクタ挿入穴11aを閉止する閉止位置(図3参照)と、閉止位置から回動軸37を中心として外方に回動することにより光コネクタ挿入穴11aを開放した開放位置(図2参照)とを切り替え可能である。図2では、蓋部22は嵌合ハウジング本体21の軸線方向(軸方向)に平行である。図2および図3に示す例では、開放位置と閉止位置との蓋部22の回動角の差は90°未満である。
閉止位置の蓋部22は、天板部28の前縁部28dと、側板部29の当接凸部29gとに当接または近接しているため、光コネクタ挿入穴11aを通したコネクタ嵌合ハウジング20内外の空気の流通を起こりにくくすることができる。
【0026】
回動軸37の前後方向の位置は、嵌合ハウジング本体21の側板部29の前縁部29dよりも後方寄りであることが望ましい。これによって、嵌合ハウジング本体21の開口端と蓋部22との間の防塵性を高めることができる。
側板部29の前縁部29dは、回動軸37および天板部28の前縁部28dよりも前方寄りにあるため、蓋部22が閉止位置(図3)にあるときは、側板部29が蓋部22の側部を覆うことになり、蓋部22と側板部29との隙間からの外気流入を防ぎ、防塵性を高めることができる。
【0027】
図9および図11に示すように、バネ38は、回動軸37を挿通する螺旋状の基部38aと、基部38aから延出してバネ用溝部25hに挿入される本体側延出部38bと、基部38aから延出してバネ用溝部22gに挿入される蓋部側延出部38cとを備えている。
バネ38は、自らの弾性力によって、蓋部22を開放位置(図2参照)から閉止位置(図3参照)に戻す方向に付勢する。このため、光コネクタ挿入穴11aから挿入光コネクタ90を抜出する際に、ただちに光コネクタ挿入穴11aをふさぐことができ、防塵性の点で好適である。
【0028】
図2に示すように、嵌合ハウジング本体21内の貫通孔(以下、ハウジング貫通孔21A)は、その軸線に垂直の断面が概略矩形(詳しくは長方形)となっている。
【0029】
図1〜図3、図12、図13に示すように、結合ユニット部50(50C)は、ユニット部ハウジング51C内に、光ファイバ7の先端部に取り付けたフェルール57(内蔵フェルール)と、このフェルール57をコネクタ前側へ向かって弾性付勢するスプリング58(コイルスプリング)とを収納した構成になっている。
ユニット部ハウジング51Cは、前側ハウジング30と、前側ハウジング30のプラグフレーム部35に嵌合して前側ハウジング30に取り付けたスリーブ状のストップリング56とからなる。
この結合ユニット部50Cは、光ファイバ7の先端部に組み立てられている。
光ファイバ7は、例えば光ファイバ心線等の被覆付き光ファイバであり、ストップリング56後端の後端開口部56aから延出されている。
【0030】
図14、15に示すように、コネクタ嵌合ハウジング20と前側ハウジング30とは、光コネクタ90(光コネクタプラグ)を挿入、嵌合可能なコネクタ嵌合部11を構成する。以下、光コネクタ90を挿入光コネクタとも言う。
光コネクタ10は、その前端部にコネクタ嵌合部11を有し、このコネクタ嵌合部11から後側に結合ユニット部50が突出する構成となっている。換言すれば、この光コネクタ10は、結合ユニット部50の前端部に、コネクタ嵌合部11を有する構成となっている。
コネクタ嵌合部11は、挿入光コネクタ90としてSC形光コネクタを挿入、嵌合可能となっている。
この挿入光コネクタ90を図25に示す。
【0031】
コネクタ嵌合部11は、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔21Aのうち、前側ハウジング30のベース部31から前側の部分である光コネクタ挿入穴11aを有している。光コネクタ挿入穴11aは、コネクタ嵌合ハウジング20の前側に開口している。
図15に示すように、挿入光コネクタ90は、コネクタ嵌合部11前端(コネクタ嵌合ハウジング20前端)から、コネクタ嵌合ハウジング20内側の光コネクタ挿入穴11aに挿入して、コネクタ嵌合部11に嵌合される。
図示例のコネクタ嵌合部11に嵌合可能な挿入光コネクタとしては、SC形光コネクタからつまみ(カップリング)を省略した構成の、いわゆるSC2形光コネクタも採用可能である。
【0032】
図10〜図12に示すように、前側ハウジング30は、ベース部31から後側に延出するスリーブ状のプラグフレーム部35を有している。図示例の前側ハウジング30はプラスチック製の一体成形品であり、前記プラグフレーム部35は、ベース部31から後側に突出する筒状突部である。
前側ハウジング30は、前記ベース部31から前側に突出する突筒部32を有している。前側ハウジング30には、前記ベース部31を貫通して前記突筒部32前端に開口する貫通孔33(フェルール挿入孔)が形成されている。この貫通孔33は、突筒部32の内側孔と、該内側孔を後側へ延長するようにしてベース部31に貫通させた部分とからなり、前記突筒部32の内側孔を含み、前記ベース部31後端に開口している。
【0033】
貫通孔33には位置決めスリーブ52が貫通孔33の軸線方向に移動可能に収納されている。また、この位置決めスリーブ52の内側には、後述するクランプ部付きフェルール60のフェルール61(内蔵フェルール。フェルール本体)が内挿されている。
【0034】
前側ハウジング30のベース部31には、その前後方向に互いに離隔する2箇所の外周に、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔21A内面(天板部28の下面28f、側板部29の内面29e、および底板部25の上面25g)に当接する突条である孔内面当接突部31a、31b(防塵用突部、位置決め用突部)が周設されている。
前側ハウジング30は、ベース部31の外周全周にわたって延在する孔内面当接突部31a、31bが、その延在方向全長にわたってハウジング貫通孔21A内面に当接して、ハウジング貫通孔21A内に位置決めして設けられることが好ましい。
図示例の孔内面当接突部31a、31bの延在方向は、前側ハウジング30および嵌合ハウジング本体21の周方向となっている。なお、孔内面当接突部31a、31bは、前記周方向に亘って形成されていれば、その延在方向は必ずしも正確に周方向(幅方向または上下方向)に一致していなくてもよい。
【0035】
孔内面当接突部31a、31bは、その延在方向にわたってハウジング貫通孔21A内面に当接することによって、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30との隙間を狭くできる。
孔内面当接突部31a、31bは、全周にわたってハウジング貫通孔21A内面に当接することが好ましいが、一部または全部がハウジング貫通孔21A内面に当接しない場合でも、当該一部または全部がハウジング貫通孔21A内面に近接していれば、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30との間の隙間を狭くし、嵌合ハウジング本体21内の前後方向の空気の流通を起こりにくくできる。
孔内面当接突部31a、31b間の空間は、ベース部31の周方向に延在する溝部31cであり、溝部31cも係合構造として機能する。溝部31cには、嵌合ハウジング本体21の挿入凸部25j、挿入片27および挿入凸部28gが挿入される。
また、図示例の孔内面当接突部31a、31bは、ベース部31の外周全周にわたって延在するが、周方向の一部のみに形成されていても防塵効果は得られる。例えば、孔内面当接突部31a、31bがベース部31の側面と上面にのみ形成され、下面には形成されていない場合でも、ベース部31下面と本体基板部23との隙間が十分に狭くなっていれば、十分な防塵効果が得られる。
【0036】
図示例の光コネクタ10では、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30のそれぞれに、凹部(溝部)または凸部(突条)からなる係合構造を形成することによって防塵効果が得られるが、本発明はこれに限らず、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30の間に、周方向に延在する当接部材を介在させる構造によって防塵性能を高めることもできる。当接部材としては、弾性変形可能な材料からなり、圧縮変形した状態で嵌合ハウジング本体21の内面と前側ハウジング30の外面に当接する環状体を例示できる。
また、嵌合ハウジング本体21とベース部31とを周方向の一部または全周にわたって直接、接着剤等で接着する構造や、嵌合ハウジング本体21とベース部31との隙間に、周方向の一部または全周にわたって充填剤を充填した構造も可能である。
嵌合ハウジング本体21とベース部31とを周方向の一部で接着等する場合には、接着等する周方向部分には、凹部または凸部からなる係合構造を形成せず、接着していない周方向部分にのみ凹部または凸部からなる係合構造を形成することができる。
また、図示例の光コネクタ10では、嵌合ハウジング本体21に係合構造(挿入凸部25j、挿入片27および挿入凸部28g)が形成されているが、嵌合ハウジング本体21に、前側ハウジング30側の凸部(突条)(例えば孔内面当接突部31a、31b)が嵌合する凹部(溝部)を形成してもよい。
光コネクタ10では、嵌合ハウジング本体21に凸部(挿入凸部25j、挿入片27および挿入凸部28g)が形成され、かつ前側ハウジング30に孔内面当接突部31a、31bおよび溝部31cが形成されているが、嵌合ハウジング本体21と前側ハウジング30のいずれか一方にのみ凹部(溝部)または凸部(突条)を設けてもよい。
【0037】
光コネクタ10では、前側ハウジング30の孔内面当接突部31a、31bの間に挿入片27が挿入されることにより、前側ハウジング30はコネクタ嵌合ハウジング20に対する前後方向の移動が規制される。
なお、孔内面当接突部の形成箇所の数は図示例に限らず、3以上としてもよい。
【0038】
図14、図15に示すように、前側ハウジング30の突筒部32の前端内周には、貫通孔33(フェルール孔)内に収納された位置決めスリーブ52(図示例では割スリーブ)の軸線方向片端が当接される抜け止め突起32aが突設されている。位置決めスリーブ52は、抜け止め突起32aによって、突筒部32から前側への抜け出しが規制されている。
前側ハウジング30の貫通孔33の前記抜け止め突起32aから後側の部分は、結合ユニット部50A後側に行くにしたがってその内径が次第に大きくなるテーパ状に形成されている。貫通孔33後端の内径は、貫通孔33の前記抜け止め突起32aから後側に位置する部分(主孔部)の前端の内径に比べて僅かに大きい。
なお、位置決めスリーブ52外径は、貫通孔33の前記抜け止め突起32aから後側に位置する部分である主孔部の前端の内径と同じか、該内径に比べて僅かに径小とされている。
【0039】
プラグフレーム部35の内側孔は、前側ハウジング30の貫通孔33と同軸に該貫通孔33後端に比べて径大に形成された丸孔状となっている。前側ハウジング30の貫通孔33とプラグフレーム部35の内側孔との境界には段差面36が形成されている。この段差面36は、貫通孔33後端周囲全周に形成されている。
【0040】
図25に示すように、挿入光コネクタ90は、スリーブ状のつまみ91外周に突設されているキー91dを、コネクタ嵌合ハウジング20の天板部28にその前端から後側に向かって延在形成されたキー挿入用凹部28e(図1、図6参照)に挿入することで、コネクタ嵌合部11の光コネクタ挿入穴11aに挿入できる。
【0041】
図15に示すように、挿入光コネクタ90は、コネクタ嵌合部11の光コネクタ挿入穴11aへの押し込み(挿入)によって、プラグフレーム92内側のフェルール93を前側ハウジング30の貫通孔33内の位置決めスリーブ52に挿入(圧入)できる。
また、挿入光コネクタ90は、フェルール93を結合ユニット部50の前側ハウジング30の貫通孔33内の位置決めスリーブ52に挿入することで、プラグフレーム92が前記前側ハウジング30の突筒部32に外挿され外嵌めされる。
挿入光コネクタ90は、フェルール93を前記前側ハウジング30の貫通孔33内の位置決めスリーブ52に挿入し、プラグフレーム92を前記前側ハウジング30の突筒部32に外嵌めすることで、コネクタ嵌合部11に対する挿入、嵌合を達成できる。
【0042】
挿入光コネクタ90は、光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆付き光ファイバである光ファイバ94の先端部に組み立てられている。図示例の挿入光コネクタ90のフェルール93には光ファイバ94の先端部が内挿固定されている。フェルール93先端の接合端面93aには、光ファイバ94先端に口出しされた裸光ファイバ94a(図15参照)の先端面が露出されている。裸光ファイバ94aの先端面は、フェルール93の接合端面93aと連続する面を形成するように、フェルール93の接合端面93aに対して位置合わせされている。
【0043】
位置決めスリーブ52は、挿入光コネクタ90のフェルール93と、結合ユニット部50側のフェルール61とを、互いに同軸上となるように高精度に位置決めするものである。このため、位置決めスリーブ52内にてフェルール93、61同士を互いに突き当てる(接合端面93a、61b同士を接合する)ことで、各フェルール93、61にそれぞれ内挿固定されている光ファイバ94、62同士の突き合わせ接続(光接続)を実現できる。
光ファイバ94、62同士の突き合わせ接続は、具体的には、挿入光コネクタ90が組み立てられた光ファイバ94の裸光ファイバ94aと、光コネクタ10の結合ユニット部50のフェルール61に内挿固定されている内蔵光ファイバ62との突き合わせ接続である。
【0044】
図15等に示すように、前側ハウジング30には、光コネクタ挿入穴11aに挿入、嵌合した挿入光コネクタ90のハウジング(詳細にはプラグフレーム92)に両側から係脱可能に係合する一対の爪付き係合片34が突設されている。
図10〜図12に示すように、爪付き係合片34は、前記ベース部31から前側に延出(突出)する弾性延出片34aの先端に、SC形光コネクタである挿入光コネクタ90のハウジング(具体的にはプラグフレーム92)に係合する突爪34bを突設した構成である。一対の爪付き係合片34は、前記突筒部32の両側に配置されている。
【0045】
コネクタ嵌合部11前側から光コネクタ挿入穴11aに押し込んだ挿入光コネクタ90は一対の爪付き係合片34の間に挿入される。そして、挿入光コネクタ90は、各爪付き係合片34先端の突爪34bがつまみ91の両側の窓孔91aを介してプラグフレーム92の両側の係合突部92aに係合する。挿入光コネクタ90は、爪付き係合片34の係合によってコネクタ嵌合部11からの引き抜きが規制され、コネクタ嵌合部11に対する嵌合状態が保たれる。
突爪34bは、一対の爪付き係合片34先端に、互いに対向する相手側の爪付き係合片34先端に向かって突設されている。
【0046】
なお、前側ハウジング30のベース部31から前側部分は、JIS C 5973に準拠して、挿入光コネクタ90との間にスライドロック構造を構成する。
すなわち、挿入光コネクタ90をコネクタ嵌合部11に挿入、嵌合したときに、一対の爪付き係合片34とプラグフレーム92の係合突部92aとの係合によって、挿入光コネクタ90のコネクタ嵌合部11からの抜き去りがロックされる。また、コネクタ嵌合部11に嵌合状態の挿入光コネクタ90のつまみ91をコネクタ嵌合部11から抜き去り方向に引っ張り操作すると、一対の爪付き係合片34のプラグフレーム92に対する係合を解除しながら、挿入光コネクタ90のコネクタ嵌合部11からの離脱(抜き去り)が可能である。
【0047】
図10(a)、(b)、(e)、図12に示すように、爪付き係合片34の先端(前端)には、コネクタ嵌合部11に嵌合した挿入光コネクタ90のつまみ91をコネクタ嵌合部11から抜き去り方向へ引っ張り操作したときに、プラグフレーム92の係合突部92aに対する爪付き係合片34の係合を解除するための係合解除用突部34cが突設されている。係合解除用突部34cは、各爪付き係合片34先端に、一対の爪付き係合片34の間隔方向に垂直、かつコネクタ前後方向(ここではコネクタ嵌合ハウジング20の軸線方向、及び貫通孔33の軸線方向に一致)に垂直の両側に突設されている。この係合解除用突部34cは、コネクタ嵌合部11に嵌合した挿入光コネクタ90のつまみ91をコネクタ嵌合部11から抜き去り方向へ引っ張り操作したときに、つまみ91の前記窓孔91aに臨む位置に形成された係合解除用テーパ壁部91b(図19参照)に押圧されて、プラグフレーム92の係合突部92aに係合している爪付き係合片34先端をプラグフレーム92から離隔方向に変位させ、係合突部92aに対する係合を解除する。
【0048】
図15に示すように、つまみ91の前記係合解除用テーパ壁部91bは、爪付き係合片34先端の突爪34bがプラグフレーム92の係合突部92aに係合しているとき、光コネクタ10前後方向において爪付き係合片34の係合解除用突部34cの後側に位置する。挿入光コネクタ90において、前記係合解除用テーパ壁部91bは、フェルール93先端の接合端面93a側である挿入コネクタ前側に行くにしたがって、つまみ91のプラグフレーム92に臨む内面からの突出寸法が増大するテーパ状に形成されている。このため、コネクタ嵌合部11に嵌合した挿入光コネクタ90のつまみ91を引っ張り操作によってコネクタ嵌合部11から抜き去り方向へ移動(図11において光コネクタ10前側への移動)させると、爪付き係合片34の係合解除用突部34cが前記係合解除用テーパ壁部91bに乗り上げるようにしてプラグフレーム92から離隔方向に変位し、プラグフレーム92の係合突部92aに対する爪付き係合片34の係合を解除できる。
【0049】
なお、図25に示すように、挿入光コネクタ90の係合解除用テーパ壁部91bは、爪付き係合片34先端両側の係合解除用突部34cに対応して、つまみ91の両側に2つづつ設けられている。また、プラグフレーム92の係合突部92aに係合した爪付き係合片34先端の弾性延出片34aは、つまみ91の両側にて、2つの係合解除用テーパ壁部91bの間に確保された延出片収納溝91cに収納される。
【0050】
図13に示すように、フェルール57は、単心光コネクタ用のフェルールであり、ファイバ孔57aが貫通するキャピラリ状のフェルール本体57fにフランジ部品57gを固定したものである。フランジ部品57gは、フェルール本体57f前端の突き合わせ接合用の接合端面57bとは反対の後端部に固定されたリング状のフランジ部57hに、フェルール本体57f後端から後側へ延出するスリーブ部57iが突設された構成となっている。
フェルール57のファイバ孔57aは、フェルール本体57f先端(前端)の接合端面57bからフェルール57後側に向かって延在し、フェルール後端面、すなわちフランジ部品57hのスリーブ部57iの後端面に達している。このフェルール57には、前記ファイバ孔57aに挿入された光ファイバ7の先端部が内挿固定されている。ファイバ孔57aに挿入された光ファイバ7の先端部は、例えば、ファイバ孔57aに充填された接着剤による接着固定などによってフェルール57に固定される。
【0051】
ファイバ孔57aは、フェルール本体57f先端(前端)の接合端面57bからフェルール57後側に向かって延在する微細孔である位置決め孔部57cを有する。このファイバ孔57aの位置決め孔部57c後端から後側の部分は、位置決め孔部57cに比べて径大に形成された被覆部収納孔部57dとされている。被覆部収納孔部57dは、位置決め孔部57c後端から後側へ延在しフェルール後端面に達している。
フェルール57には、ファイバ孔57aの位置決め孔部57cに、光ファイバ7の先端に口出しされた裸光ファイバ7aが内挿固定され、被覆部収納孔部57dに光ファイバ7の裸光ファイバ7aから後側の被覆7b付き部分である被覆部が内挿固定されている。
【0052】
図16は、挿入光コネクタ90を光コネクタ10のコネクタ嵌合部11に挿入、嵌合した状態を示す斜視図である。
図示例では、挿入光コネクタ90は筒状のカバー部材95内に設けられている。カバー部材95は、本体基板部23または本体カバー部24の前縁部に当接して挿入方向の移動が阻止されるため、光コネクタ挿入穴11aには挿入光コネクタ90のみが挿入される。
【0053】
光コネクタ10は、挿入光コネクタ90が挿入されるコネクタ嵌合ハウジング20と、フェルール57を有する結合ユニット部50とを有し、コネクタ嵌合ハウジング20が、光コネクタ挿入穴11aを閉止可能な蓋部22を備えているので、光コネクタ挿入穴11aからコネクタ嵌合ハウジング20内への塵埃の侵入を防ぐことができる。
結合ユニット部50は、挿入光コネクタ90のフェルール93が突き合わせ接続されるフェルール57を内蔵しているため、プラグ−アダプタ−プラグ方式の結合方式とは異なり、挿入光コネクタ90と接続させる光コネクタを嵌合するための構造が必要ないことから、光コネクタ10の小型化が可能である。
また、結合ユニット部50の構造が簡略であるため、部品点数が少ないことから、組み立て作業を容易にするとともに、低コスト化を図ることができる。
【0054】
結合ユニット部50は、フェルール57をコネクタ前側へ向かって弾性付勢するスプリング58を内蔵しているため、挿入光コネクタ90にスプリングバック機構がない場合でも、確実な突き合わせ接続が可能となる。
【0055】
図1〜図4等に示す光コネクタ10では、側板部29の当接凸部29gの前面29fが下方に向かって徐々に後方寄りとなるように傾斜しているため、閉止位置の蓋部22(詳細には内面22f)は、下方に向かって徐々に後方寄りとなるように傾斜する。このため、開放位置と閉止位置との蓋部22の回動角の差は90°未満である(図2および図3参照)。
本発明では、開放位置(図2)と閉止位置との蓋部22の回動角の差は、90°以上であってもよい。
例えば、側板部29の当接凸部29gの前面29fを、下方に向かって徐々に前方寄りとなるように傾斜させて形成すれば、閉止位置の蓋部22(詳細には内面22f)は、下方に向かって徐々に前方寄りとなるように傾斜する。この場合、開放位置と閉止位置との蓋部22の回動角の差は90°を越える。
当接凸部29gの前面29fを、上下方向に沿って形成すれば、閉止位置の蓋部22(詳細には内面22f)も、上下方向に沿う方向となり、開放位置と閉止位置との蓋部22の回動角の差は90°となる。
【0056】
次に、本発明の光コネクタレセプタクルの第2実施形態について説明する。
図17は、本発明の第2実施形態の光コネクタレセプタクル210(以下、単に光コネクタ210という)の構造を示す分解斜視図である。図18は、光コネクタ210の斜視図である。
この実施形態の光コネクタ210は、現場組立形の光コネクタであり、光ファイバケーブル1(光伝送体)の先端に組み立てられるものである。光コネクタ210と光ファイバケーブル1は、コネクタ付き光伝送体を構成する。
以下の説明において、図1等に示す光コネクタ10との共通構成については、同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0057】
光コネクタ210は、コネクタ嵌合ハウジング20と、ハウジング51にクランプ部付きフェルール60(後述)を収納した結合ユニット部50とを有する。
ハウジング51は、前側ハウジング30に後側ハウジング40を取り付けたものであり、以下、ユニット部ハウジングとも言う。
結合ユニット部50は、ユニット部ハウジング51に、クランプ部付きフェルール60と、該クランプ部付きフェルール60をコネクタ前方へ弾性付勢するスプリング53とを収納した概略構成になっている。
結合ユニット部50に図中符号50A、ユニット部ハウジング51に図中符号51Aを付記する。
【0058】
図38に示すように、光ファイバケーブル1は、光ファイバ2と、可撓性を有する線状の抗張力体4とを互いに並行になるように合成樹脂製の外被3によって一括被覆したものである。抗張力体4は、光ファイバ2の両側に互いに並行に2本設けられている。
光ファイバ2は、裸光ファイバ2aの外周面(側面)を被覆2bで覆った構成の被覆付き光ファイバであり、例えば光ファイバ心線や光ファイバ素線等が挙げられる。本実施形態において光ファイバ2は単心の被覆付き光ファイバである。裸光ファイバ2aは、例えば石英系光ファイバである。また、被覆2bは、例えば紫外線硬化性樹脂やポリアミド樹脂などを1層または複数層、ほぼ同心円状に被覆した樹脂被覆である。抗張力体4としては、例えばアラミド繊維等の抗張力繊維からなるもの、鋼線等を挙げることができる。光ファイバケーブル1としては、インドアケーブル、ドロップケーブル等が挙げられる。
【0059】
図17および図18に示すように、後側ハウジング40は、ユニット部ハウジング51内にその後側から光ファイバ2を挿入するためのファイバ導入孔42aが貫設されたブロック部42に、スリーブ状(図示例では円筒状)の胴部41eを突設したストップリング部41と、前記ブロック部42から前記胴部41eとは反対の側(後側)に延出する断面コ字形の固定部材受け部43とを有している。
結合ユニット部50のユニット部ハウジング51は、具体的には、前側ハウジング30と後側ハウジング40のストップリング部41とによって構成されている。この結合ユニット部50に図中符号50A、ユニット部ハウジング51に図中符号51Aを付記する。
【0060】
なお、本明細書においては、結合ユニット部50、ユニット部ハウジング51について、前側ハウジング30の突筒部32及び爪付き係合片34が突設されている側を前、反対側を後として扱う。結合ユニット部50A、ユニット部ハウジング51Aについては、突筒部32及び爪付き係合片34が突設されている側を前、固定部材受け部43が設けられている側を後として扱う。
【0061】
後側ハウジング40の固定部材受け部43には、その後方から、光ファイバケーブル1端末に固定した引留用固定部材120を押し込んで収納(挿入)できる。
図17および図22に示すように、光コネクタ10を光ファイバケーブル1端末に組み立てる作業では、光ファイバケーブル1端末に固定した引留用固定部材120を前記固定部材受け部43に押し込むとともに、光ファイバケーブル1端末に露出させた光ファイバ2を、ブロック部42を前後に貫通する前記ファイバ導入孔42aに押し込んでいくことで、前記光ファイバ2をユニット部ハウジング51A内に挿入できる。
【0062】
ユニット部ハウジング51Aは、前記プラグフレーム部35に、後側ハウジング40のストップリング部41の前端部(胴部41eの前端部。ブロック部42とは反対側の端部)を内嵌めして、前側ハウジング30と後側ハウジング40とを一体化したものである。
後側ハウジング40のストップリング部41は、その前側の胴部41eをプラグフレーム部35内側に後側から押し込み、胴部41e前端部外周に突設されている係合突起41aを、プラグフレーム部35の両側に形成された係止孔35aに嵌め込むことで、プラグフレーム部35に嵌合して固定される。
【0063】
図19,図20に示すように、クランプ部付きフェルール60は、光ファイバ62を内挿固定したフェルール61を有する。フェルール61に内挿固定した光ファイバ2を、以下、内蔵光ファイバ62とも言う。この内蔵光ファイバ62は、前記フェルール61から後側に突出させた部分(以下、後側突出部62aとも言う)を有する。内蔵光ファイバ62の前端の端面は、フェルール61先端(前端)の接合端面61bに揃えられている。
【0064】
クランプ部付きフェルール60は、前記フェルール61の後側に、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、ユニット部ハウジング51Aにその後側から挿入して内蔵光ファイバ62後端に突き当てた光ファイバ2先端部とを把持固定して光ファイバ62、2同士の突き合わせ接続状態を維持するクランプ部63を組み立てたものである。
クランプ部63は、フェルール61のフランジ部64から後側に延出するベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67とからなる半割り構造の把持用素子部を有する。クランプ部63は、ベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67との間に、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、内蔵光ファイバ62後端に突き当てた光ファイバ2先端部とを挟み込んで把持固定することができる。
【0065】
内蔵光ファイバ62の後側突出部62aは、把持用素子部を構成するベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67との間に配置されている。内蔵光ファイバ62後端に突き当てる光ファイバ2は、クランプ部63の後側からベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67との間に挿入される。内蔵光ファイバ62と光ファイバ2(具体的にはその先端に口出しされた裸光ファイバ2a)とは、ベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67との間にて突き合わせ接続される。
【0066】
光コネクタ10のユニット部ハウジング51Aに挿入して、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62後端に突き合わせ接続する光ファイバ2を、以下、挿入光ファイバとも言う。この実施形態において、前記挿入光ファイバ2は、光ファイバケーブル1の光ファイバ2の、光ファイバケーブル1先端の外被3を除去して光ファイバケーブル1端末から突出状態に露出させた部分を、ユニット部ハウジング51A内への挿入に用いる。
【0067】
クランプ部付きフェルール60のフェルール61は、SC形光コネクタ等にて使用されるキャピラリ状の単心用フェルールである。このフェルール61の材質としては、例えばジルコニア等のセラミック、ガラス等を挙げることができる。
内蔵光ファイバ62は、ここでは裸光ファイバであり、例えば石英系光ファイバである。この内蔵光ファイバ62は、前記フェルール61にその軸線と同軸に貫設された微細孔であるファイバ孔61aに内挿され、接着剤を用いた接着固定等によってフェルール61に固定されている。
【0068】
フェルール61の後端部には、その外周に周設(突設)されたフランジ部64が一体化されている。このフランジ部64は、例えば、金属、プラスチック等によってリング状に形成されている。
前記クランプ部63は、前記フランジ部64からフェルール61後側へ延出された後側延出片65と、蓋部材66、67とを、金属板を断面C形あるいはコ字形(図示例では断面C形)の細長形状に成形したクランプばね68の内側に一括保持した構成になっている。クランプばね68は、蓋部材66、67を後側延出片65に向かって弾性付勢する。そして、このクランプ部63は、前記後側延出片65と蓋部材66、67との間に、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと内蔵光ファイバ62に突き合わせ接続する光ファイバ2とを、クランプばね68の弾性によって挟み込んで把持固定するものである。
後側延出片65と蓋部材66、67とは、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと内蔵光ファイバ62後端に突き当てた光ファイバ2とを把持固定する半割り構造の把持用素子部を構成する。
【0069】
後側延出片65は、前記フェルール61の軸線に沿う方向を長手方向とする細長形状に形成されている。図示例の後側延出片65は、前記フランジ部64と一体に形成されており、フェルール61と一体化されている。
クランプ部63は、前記後側延出片65との間に光ファイバ62、2を把持固定する蓋部材として、前蓋部材66、及び該前蓋部材66の後側(前蓋部材66を介してフェルール61とは反対の側)の後蓋部材67の2部材を有している。これら2つの蓋部材66、67は、後側延出片65の長手方向に沿って配列設置されている。
【0070】
後側延出片65及び蓋部材66、67には互いに対向する対向面が形成されている。クランプ部63のクランプばね68は、その弾性によって、後側延出片65と蓋部材66、67とをその対向面同士が接近する方向(すなわち、互いに閉じ合わせる方向)に弾性付勢する。
【0071】
後側延出片65の蓋部材66、67に対面する対向面65aは、前記内蔵光ファイバ62の後側突出部62aを前記フェルール61のファイバ孔61aの後方延長上に位置決めする調心溝69a、及び該調心溝69aの後端から後方に延在する被覆部収納溝69bが形成された溝形成面とされている。以下、前記後側延出片65の蓋部材66、67に対面する対向面を溝形成面とも言う。
前記調心溝69aは溝形成面65aの前記前蓋部材66に対面する部分に形成され、被覆部収納溝69bは溝形成面65aの前記後蓋部材67に対面する部分に形成されている。また、後側延出片65の溝形成面65aに対面する後蓋部材67の対向面67aにも、後側延出片65の被覆部収納溝69bに対応する位置に被覆部収納溝69cが延在形成されている。
【0072】
内蔵光ファイバ62の後側突出部62aは調心溝69aに配置されている。内蔵光ファイバ62の後端(後側突出部62a後端)は、調心溝69aの長手方向中央部に配置されている。内蔵光ファイバ62は、フェルール61先端の接合端面61bに揃えられた前端と前記後端とを長手方向両端とする短尺の光ファイバである。
前記調心溝69aには、挿入光ファイバ2先端の被覆を除去して口出しした裸光ファイバ2aが、クランプ部付きフェルール60の後側から、後側延出片65及び後蓋部材67の対向面65a、67aの互いに対応する位置に形成された被覆部収納溝69b、69cを介して挿入される。
【0073】
図21に示すように、調心溝69aはV溝であり、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、挿入光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aとを、突き合わせ接続可能に高精度に位置決め、調心する機能を果たす。調心溝69aとしては、V溝以外に、例えばU溝、半円溝なども採用できる。
被覆部収納溝69b、69cは、挿入光ファイバ2の被覆付き部分(被覆部)を収納するべく、調心溝69aに比べて溝幅を若干大きく形成した溝である。被覆部収納溝69b、69cとしては、特に限定されるものではなく、例えばU溝、半円溝、V溝などを採用できる。
【0074】
後側延出片65と前蓋部材66との間には、挿入光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aの調心溝69aへの円滑な挿入を可能とする隙間を確保する介挿片81が抜き去り可能に介挿されている。また、後側延出片65と後蓋部材67との間には、挿入光ファイバ2の被覆部収納溝69b,69cへの円滑な挿入を可能とする隙間を確保する介挿片82(図18参照)が抜き去り可能に介挿されている。
【0075】
図示例の介挿片81、82は薄板状に形成されている。これら介挿片81、82は、クランプ部60のクランプばね68の弾性によって、後側延出片65と蓋部材66、67との間に挟み込まれている。
図17、図18、図22に示すように、ユニット部ハウジング51Aには、その軸線方向(コネクタ前後方向)2箇所に、その内外に介挿片81、82を通すための介挿片挿通孔41bが形成されている。図示例の光コネクタ10において、前記介挿片挿通孔41bは、具体的には、後側ハウジング40の胴部41eの軸線方向(コネクタ前後方向)2箇所に該胴部41eの肉厚を貫通して形成されている。介挿片81、82は、前記介挿片挿通孔41bに挿通され、ユニット部ハウジング51Aの外側に突出されている。
【0076】
介挿片挿通孔41bは、胴部41eのうち、プラグフレーム部35に覆われた部位を避けて形成されている。図示例の光コネクタ10において、胴部41eの軸線方向の2箇所に形成された前記介挿片挿通孔41bの一方は、プラグフレーム部35にその後端から前側へ向かって細長に延在形成された細長切り欠き部35cに連通する位置に形成されている。また、2つの介挿片挿通孔41bの他方は、胴部41eにおいてプラグフレーム部35後側に位置する部分に形成されている。
【0077】
また、図示例の介挿片81、82は、ユニット部ハウジング51A外側に突出した部分に、クランプ部63からの抜き去り作業を容易にするための抜き去り用操作部81a、82aが設けられた構成となっている。図示例の抜き去り用操作部81a、82aは、介挿片81、82に垂直の板状であり、介挿片に一体化されている。介挿片は、抜き去り用操作部81a、82aを作業者が手指で把持して引っ張り操作することで、クランプ部63からの抜き去り作業を手作業で楽に行える。抜き去り用操作部の具体的構成は、介挿片に垂直の板状に限定されず、適宜変更可能である。
【0078】
図示例の介挿片81、82は、板状の抜き去り用操作部の片面側に突設した突片である。
図22に例示した光コネクタ10は、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63の2つの蓋部材66、67に対応して、抜き去り用操作部81a、82aに介挿片81、82を突設した構造の光コネクタ組立用工具83、84をひとつづつ設けた構成(工具付き光コネクタ110)となっている。但し、抜き去り用操作部に介挿片を突設した構成の光コネクタ組立用工具としては、ひとつの抜き去り用操作部に、クランプ部63の2つの蓋部材66、67に対応して、2つの介挿片を突設した構成のものも採用可能である。
【0079】
光コネクタ10は、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63の後側延出片65と蓋部材66、67との間に、光コネクタ組立用工具の介挿片を抜き去り可能に介挿した工具付き光コネクタ110の状態で現場に供給できる。この場合、現場にて後側延出片65と蓋部材66、67との間に介挿片を介挿する作業を省略できる。
【0080】
また、介挿片としては、薄板状のものに限定されず、例えば柔軟なシート等も採用可能である。
図22に例示したように、先端が先細りのテーパ状に形成された板状(薄板状)の介挿片は、後側延出片65と蓋部材66、67との間の境界に押圧するだけで割り込ませる(介挿する)ことができる。このため、後側延出片65と蓋部材66、67との間に介挿片を割り込ませる(介挿する)作業を、例えば光コネクタ10の光ファイバへの組み立て作業を行う現場にて行うことも容易である。
【0081】
プラグフレーム部35に内嵌めして固定されている胴部41eの前端面41fは、前側ハウジング30の前記段差面36の後側に離隔した位置に配置されている。クランプ部付きフェルール60のフランジ部64は、プラグフレーム部35の内側孔内において、前側ハウジング30の前記段差面36と胴部41e前端との間に収納されている。
【0082】
図示例の結合ユニット部50Aは、クランプ部付きフェルール60のフェルール61に外挿して、前記位置決めスリーブ52と、フェルール61のフランジ部64との間に介挿したスペーサリング54を有する。このスペーサリング54の内径及び外径は、位置決めスリーブ52(フェルール61が内挿されている状態の位置決めスリーブ52)の内径及び外径と概ね同じに揃えられている。
【0083】
位置決めスリーブ52の軸線方向寸法とスペーサリング54の軸線方向寸法の合計は、貫通孔33の前記抜け止め突起32aから後側の部分の軸線方向寸法と同じに揃えてある。クランプ部付きフェルール60は、そのフランジ部64が前側ハウジング30の前記段差面36に当接する位置が前側ハウジング30に対する前側移動限界位置となっている。
また、クランプ部付きフェルール60が前側移動限界位置にあるとき、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64(具体的にはその前側面64d)にスペーサリング54の後端面が当接し、前側ハウジング30の突筒部32前端の抜け止め突起32aに位置決めスリーブ52の軸線方向片端(前端)が当接する。
【0084】
なお、位置決めスリーブ52の軸線方向寸法とスペーサリング54の軸線方向寸法の合計は、貫通孔33の主孔部の軸線方向寸法と厳密に同じに揃える必要はなく、例えば、貫通孔主孔部の軸線方向寸法に比べて僅かに短い寸法としても良い。
また、結合ユニット部50Aとしては、スペーサリング54を省略して、軸線方向寸法が貫通孔主孔部の軸線方向寸法と同じあるいは僅かに短い長さの位置決めスリーブ52を採用した構成としても良い。
【0085】
クランプ部付きフェルール60は、前記ストップリング部41の胴部41e内に収納されたクランプ部63の把持用素子部の後端部と、後側ハウジング40のブロック部42との間に介挿されたスプリング53によってコネクタ前側へ弾性付勢され、前記前側移動限界に配置されている。また、前側移動限界位置のクランプ部付きフェルール60のフランジ部64は、胴部41e前端から前側へ離隔した位置に配置される。クランプ部付きフェルール60は、前記スプリング53の弾性付勢力に抗して、スプリング53を押し縮めつつ、前記前側移動限界位置からユニット部ハウジング51Aに対して後側へ押し込み可能である。
【0086】
なお、図示例の結合ユニット部50Aは、クランプ部付きフェルール60のユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から後側への押し込みよってスプリング53が圧縮限界に達したときに、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64がストップリング部41の胴部41e前端に当接せず、フランジ部64と胴部41e前端との間にクリアランスが確保される構成となっている。つまり、クランプ部付きフェルール60は、スプリング53が圧縮限界に達したときの位置がユニット部ハウジング51Aに対する押し込み限界位置となっている。
【0087】
スプリング53は具体的にはコイルスプリングであり、その内側に、クランプ部63の把持用素子部の後側延出片65及び後蓋部材67の後端部にそれぞれ突片状に形成された後側張出部65b、67bを収納している。後側延出片65及び後蓋部材67は、それぞれ後側に張り出す前記後側張出部65b、67bを含む。
【0088】
図19,図20に示すように、後側延出片65及び後蓋部材67の互いに対面する対向面65a、67aの一部は、後側張出部65b、67bに形成されている。後側張出部65b、67bには、被覆部収納溝69b、69cの後端部をテーパ状に拡張したテーパ状開口部69bw、69cwが形成されている。被覆部収納溝69b、69cのテーパ状開口部69bw、69cwは、後側張出部65b、67bの後端面に開口している。
後側延出片65及び後蓋部材67の後側張出部65b、67bはクランプ部63のクランプばね68から後側に突出されている。
【0089】
後側張出部65b、67bは、後側延出片65、後蓋部材67における該後側張出部65b、67bから前側の部分に比べて細い突片状に形成したものである。後側延出片65及び後蓋部材67には、後側張出部65b、67bとその前側部分との境界に段差面65c、67cが形成されている。なお、後側延出片65及び後蓋部材67の段差面65c、67cは、後側延出片65、後蓋部材67の後端部に形成されている。
【0090】
スプリング53は、その中心軸線がユニット部ハウジング51Aの中心軸線(本実施形態では、前側ハウジング30の貫通孔33の中心軸線と一致)と平行の向きでストップリング部41の胴部41eの内側孔内に収納され、後側延出片65及び後蓋部材67の段差面65c、67cと、後側ハウジング40のブロック部42との間に介挿されている。
後側延出片65及び後蓋部材67の後端部の段差面65c、67cは、スプリング53の前端が当接されるスプリング受け面として機能する。
【0091】
後側ハウジング40のストップリング部41の胴部41eの内側孔は、ブロック部42のファイバ導入孔42aに比べて大きい断面積で、ファイバ導入孔42aと同軸に延在形成されている。図示例の後側ハウジング40の胴部41eの内側孔及びファイバ導入孔42aは具体的には丸孔であり、胴部41eの内側孔はファイバ導入孔42aに比べて径大に形成されている。ブロック部42は、胴部41eの内側孔に臨む部分の中央部に突設されたリング状突起42bを有している。ファイバ導入孔42aの前端は、前記リング状突起42bの突端(前端)に開口している。
【0092】
スプリング53の後端部は、ブロック部42の前記リング状突起42bに外挿され、ブロック部42前端部のうち前記リング状突起42bの周囲の胴部41eの内側孔に臨む部位によってリング状に確保されたスプリング受け面42cに当接されている。
前記スプリング53は、具体的には、クランプ部付きフェルール60の後側張出部65b、67bの段差面65c、67cとブロック部42のスプリング受け面42cとの間に介挿されている。そしてスプリング53は、前記ブロック部42に反力をとって、クランプ部付きフェルール60をユニット部ハウジング51Aに対して前方へ向かって弾性付勢している。
【0093】
クランプ部付きフェルール60が前側移動限界位置にあるとき、後側延出片65及び後蓋部材67の後側張出部65b、67b後端は、ブロック部42(詳細にはリング状突起42b)から前側へ離隔した位置に配置される。このときの後側張出部65b、67b後端とブロック部42との間の離隔距離c2は、クランプ部付きフェルール60のユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から押し込み限界位置までの移動量(移動距離)に比べて大きく(長く)設定されている。このため、クランプ部付きフェルール60は、ユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から押し込み限界位置に移動されたときに、ブロック部42から前側へ離隔した位置に配置され、ブロック部42に当接しない。
【0094】
なお、図14に示すように、前側移動限界位置にあるクランプ部付きフェルール60のフランジ部64とストップリング部41の胴部41e前端との間の離隔距離は、クランプ部付きフェルール60のユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から押し込み限界位置までの移動量(移動距離)に比べて大きく(長く)設定されている。クランプ部付きフェルール60は、ユニット部ハウジング51Aに対して前側移動限界位置と押し込み限界位置との間で前後動可能となっている。
【0095】
図19、図20に示すように、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64の外周部の複数箇所(図示例では2箇所)にはキー溝64aが形成されている。クランプ部付きフェルール60は、フランジ部64のキー溝64aに、前側ハウジング30のプラグフレーム部35の前端部内面に突設されているキー35bを収納して、ユニット部ハウジング51Aに対して回り止めして組み込まれている。
【0096】
結合ユニット部50Aは、ストップリング部41の胴部41e内にスプリング53、及びクランプ部付きフェルール60のクランプ部63を挿入した構成の後部組立ユニットを組み立て、この後部組立ユニットのストップリング部41の胴部41eをプラグフレーム部35にその後側から押し込んで嵌合する組立方法を採用できる。この組立方法は、プラグフレーム部35に挿入した胴部41eをプラグフレーム部35に嵌合させることで、ユニット部ハウジング51Aにクランプ部付きフェルール60及びスプリング53を収納した状態に結合ユニット部50Aを組み立てることができる。
【0097】
この組立方法の場合、後部組立ユニットのストップリング部41の胴部41eをプラグフレーム部35に挿入することで、クランプ部付きフェルール60のうち、ストップリング部41の胴部前端から突出した部分を前記胴部41eとともにプラグフレーム部35に挿入できる。すなわち、後部組立ユニットのストップリング部41の胴部41eをプラグフレーム部35に挿入することで、クランプ部付きフェルール60のフェルール61及びフランジ部64を前記胴部41eとともにプラグフレーム部35に挿入できる。
【0098】
なお、位置決めスリーブ52及びスペーサリング54は、例えば、クランプ部付きフェルール60のフェルール61に外挿した状態で、フェルール61とともに前側ハウジング30の貫通孔33に内挿する。但し、これに限定されず、貫通孔33に挿入しておいた位置決めスリーブ52及びスペーサリング54にクランプ部付きフェルール60のフェルール61を内挿しても良い。
【0099】
図19、図20に示すように、図示例のクランプ部付きフェルール60のフランジ部64には、その後面64bから後側に突出する突起64c(以下、フランジ後部キーとも言う)が形成されている。クランプ部63をストップリング部41の胴部41eに挿入したクランプ部付きフェルール60は、フランジ部64の前記フランジ後部キー64cを、前記胴部41eにその前端面41fから窪む切り欠き状に形成された回り止め凹部41c(図17参照)に挿入して、ストップリング部41に対する軸線回り方向の回転を規制(回り止め)する。これにより、プラグフレーム部35に胴部41eを挿入したストップリング部41のプラグフレーム部35の軸線回り方向の向き調整によって、クランプ部付きフェルール60のプラグフレーム部35の軸線回り方向の向き調整を行える。その結果、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64のキー溝64aにプラグフレーム部35前端内側のキー35bを収納する作業を楽に行える。
【0100】
ストップリング部41は、胴部41eに形成された前記介挿片挿通孔41bを目印にして、プラグフレーム部35に対するその軸線回り方向の向きの調整を行える。胴部41eにクランプ部付きフェルール60のクランプ部63が挿入されたストップリング部41は、胴部41eの軸線方向の2箇所に形成された前記介挿片挿通孔41bのうち前側のものを、プラグフレーム部35の細長切り欠き部35cに連通する位置とすることで、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64のキー溝64aにプラグフレーム部35のキー35bを収納する作業を楽に行える。
【0101】
後側ハウジング40のプラグフレーム部35に対する嵌合は、プラグフレーム部35に挿入した胴部41e前端外周の係合突起41a(図17参照)をプラグフレーム部35の係止孔35aに嵌め込むことで達成される。但し、胴部41eの係合突起41aのプラグフレーム部35の係止孔35aへの嵌め込みは、クランプ部付きフェルール60のフェルール61の前側ハウジング30の貫通孔33への挿入、及びクランプ部付きフェルール60のフランジ部64のキー溝64aにプラグフレーム部35前端内側のキー35bが挿入されないと実現できない。
【0102】
後側ハウジング40がプラグフレーム部35から離脱状態にあるとき、クランプ部63を胴部41eに挿入したクランプ部付きフェルール60のフランジ部64は、胴部前端面41fからブロック部42とは反対の前方へ離隔した位置に配置される。クランプ部付きフェルール60のストップリング部41に対する押し込み限界位置は、胴部41e内のクランプ部63と後側ハウジング40のブロック部42との間に介挿されているスプリング53が圧縮限界に達する位置である。クランプ部付きフェルール60がストップリング部41に対する押し込み限界位置にあるとき、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64の後面64bは、胴部前端面41fに当接せず、胴部前端面41fから前方に離隔した位置に配置される。また、胴部41e前端の回り止め凹部41cは、前記押し込み限界位置に配置されたクランプ部付きフェルール60のフランジ部64の前記フランジ後部キー64cが、該回り止め凹部41c奥端(後端)の内面(奥底面41d)が当接せず、該奥底面41dから前側へ離隔して配置されるように、胴部前端面41fからの形成深さを調整してある。
【0103】
また、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64の複数のフランジ後部キー64cのうち1以上は、スプリング53が圧縮変形されていない状態において、胴部41eの回り止め凹部41cに対する挿入状態を確保できるように、フランジ部64の後面64bから後側への突出寸法を設定してある。
図示例の結合ユニット部50Aにおいては、フランジ部64の周方向に互いに離隔する2箇所に突設されたフランジ後部キー64cのフランジ部後面64bからの突出寸法を互いに異ならせてある。そして、前記結合ユニット部50Aは、フランジ部後面64bからの突出寸法が大きい方のフランジ後部キー64cのみ、スプリング53が圧縮変形されていない状態において、胴部41eの回り止め凹部41cに対する挿入状態を確保できるようにしてある。
【0104】
図19、図20に示すように、フランジ後部キー64cは、フランジ部64の周方向の複数箇所(図示例では2箇所)に形成されている。図示例のクランプ部付きフェルール60のキー溝64aは、フランジ部64の前側面64dからフランジ後部キー64cにも切り込んで、フランジ部後面64bの後方にまで延在形成されている。
キー溝64aは、クランプ部付きフェルール60が前側移動限界位置にあるときに、該キー溝64aに挿入されたプラグフレーム部35のキー35bが、前記フランジ後部キー64cの前記キー溝64a後側を塞ぐ部分に当接せず、該部分から前側に離隔して配置されるように、フランジ部64の前側面64dから後側への延在長を設定してある。
【0105】
図22に示すように、光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立ては、工具付き光コネクタ110を用いる。そして、まず、既述のように、光ファイバケーブル1端末に固定した引留用固定部材120を、光コネクタ10(工具付き光コネクタ110)の結合ユニット部50Aの前記固定部材受け部43に押し込む。これにより、光ファイバケーブル1端末に露出させた光ファイバ2を、前記固定部材受け部43前側のブロック部42を前後に貫通する前記ファイバ導入孔42a(図17参照)からユニット部ハウジング51A内に送り込んでいく。
【0106】
引留用固定部材120は、光ファイバケーブル1端末の外周を取り囲むようにして設けられ、該端末に固定、一体化されている。光ファイバケーブル1端末に露出させた光ファイバ2は、光ファイバケーブル1端末と該端末に固定した引留用固定部材120とからなる固定部材付きケーブル端末1aから突出されている。固定部材付きケーブル端末1aは、引留用固定部材120からその後側へ光ファイバケーブル1が延出し、引留用固定部材120から前側へ光ファイバ2が突出する構成となっている。
ブロック部42のファイバ導入孔42a(図17参照)への光ファイバ2の送り込みは、固定部材付きケーブル端末1aを固定部材受け部43後方からブロック部42に接近させるように前進させ、固定部材受け部43に押し込んでいくことで実現される。
【0107】
図示例の後側ハウジング40のブロック部42には、その後端から前側へ向かってテーパ状に窪むテーパ状凹所42dが形成されている。ブロック部42のファイバ導入孔42aの後端は、テーパ状凹所42dの前端部(ブロック部42を後側から見たときの奥端部)に開口している。
テーパ状凹所42dは、固定部材付きケーブル端末1aから突出する光ファイバ2の先端をファイバ導入孔42aに導いてファイバ導入孔42aへの挿入を円滑にする機能を果たす。
【0108】
ここで、光ファイバ2としては、予め、先端に裸光ファイバ2aを口出ししたものを用いる。ブロック部42のファイバ導入孔42aに挿入した光ファイバ2は、コネクタ前側への送り込みによって、ファイバ導入孔42a前端からスプリング53内側を介して、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63後端に開口する被覆部収納溝69b、69cに挿入される。また、光ファイバ2は、コネクタ前側への送り込みによって、裸光ファイバ2aを被覆部収納溝69b、69cから前記クランプ部63の調心溝69aに挿入できる。この光コネクタ10は、光ファイバ2を、ブロック部42後側からファイバ導入孔42aに送り込んでいくだけで、裸光ファイバ2a先端を内蔵光ファイバ62後端に突き当てる(突き合わせ接続する)ことができる。
【0109】
図17、図22等に示すように、ブロック部42の前記固定部材受け部43は、ブロック部42から後方へ延出しコネクタ前後方向を長手方向とする細長板状の底板部43aの幅方向両側に、該底板部43aの長手方向に沿って延在する側板部43bを立設した、断面コ字形に形成されている。
ここで、光ファイバ2をブロック部42のファイバ導入孔42aに挿入する作業を、図22に示すように、光コネクタ10を、固定部材受け部43の一対の側板部43bが底板部43a上に位置する向きとして行う場合について説明する。光コネクタ10について、図22、図24(a)、(b)において上側を上、下側を下として説明する。また、光コネクタ10、結合ユニット部50Aについて、後側ハウジング40の固定部材受け部43の一対の側板部43bの間隔方向を左右方向として説明する。
【0110】
図17、図22に示すように、図示例の光コネクタ10の結合ユニット部50Aの後側ハウジング40には、固定部材付きケーブル端末1aの、固定部材受け部43後方からブロック部42に接近する前進を案内する挿入補助スライダ45が設けられている。この挿入補助スライダ45は、後側ハウジング40の固定部材受け部43の底板部43a上に前後方向に移動可能に設けられている。
【0111】
また、後側ハウジング40には、固定部材受け部43に押し込んだ固定部材付きケーブル端末1aを引き留めて、固定部材受け部43から後側への脱落を規制する引き留めカバー46が設けられている。
光コネクタ10の結合ユニット部50Aのユニット部ハウジング51Aは、後側ハウジング40に前記挿入補助スライダ45及び前記引き留めカバー46を設けてなる後部ユニット44を有している。
【0112】
図17、図22、図24(a)に示すように、挿入補助スライダ45は、固定部材受け部43の底板部43a上に前後方向に移動可能に設けられた細長形状のスライダ本体45aを有している。前記スライダ本体45aは、その長手方向を結合ユニット部50Aのユニット部ハウジング51Aにその前後方向に揃えて、固定部材受け部43の底板部43a上に重ね合わせて設けられ、底板部43a上を前後方向にスライド移動する。
【0113】
また、前記挿入補助スライダ45は、スライダ本体45aの後端部上に突設した押圧用突起45bを有している。この挿入補助スライダ45は、スライダ本体45aの前記押圧用突起45bから後側に延出する部分である載せ台部45c上に固定部材付きケーブル端末1aを載置できる。前記押圧用突起45bには、前記載せ台部45c上に載置した固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120前端(光ファイバケーブル1が延出する引留用固定部材120後端とは反対の側)を、押圧用突起45bの後側から当接できる。
【0114】
図24(a)に示すように、この挿入補助スライダ45のスライダ本体45aは、ブロック部42下部を前後に貫通するスライダ挿通孔47にその後側から挿入可能である。挿入補助スライダ45は、ブロック部42の後側に配置された前記押圧用突起45bが、ブロック部42におけるテーパ状凹所42dとスライダ挿通孔47との間の中間壁部42eの後端に当接する位置まで後側ハウジング40に対して前進可能である。挿入補助スライダ45は、前記押圧用突起45bが前記ブロック部42(具体的には中間壁部42e後端)にその後側から当接する位置が、ユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置となっている。
挿入補助スライダ45は、ユニット部ハウジング51Aに対して前記前側移動限界位置から後側へスライド移動可能であり、このスライド移動によって、前記押圧用突起45b及び載せ台部45cを前記ブロック部42から後側へ離隔した位置に配置できる。
【0115】
図示例の光コネクタ10にあっては、挿入補助スライダ45は、後側ハウジング40(ユニット部ハウジング51A)に対する前側移動限界位置に配置したとき、スライダ本体45aの後端(載せ台部45c後端)の結合ユニット部50Aにおける前後方向の位置が、固定部材受け部43の底板部43a後端と概ね揃う。
挿入補助スライダ45を利用して光ファイバ2をブロック部42のファイバ導入孔42aから結合ユニット部50A内に送り込んでいく作業は、図22、図24(a)に示すように、挿入補助スライダ45を後側ハウジング40に対して前側移動限界位置から適宜後側にずれた位置に配置し、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120をスライダ本体45aの載せ台部45c上に載置する。そして、固定部材付きケーブル端末1aをブロック部42からの距離を縮めるように前進させ、光ファイバケーブル1端末から突出させておいた光ファイバ2を、ブロック部42のファイバ導入孔42aから結合ユニット部50A内に送り込んでいく。
【0116】
固定部材付きケーブル端末1aは引留用固定部材120前端によって押圧用突起45bを押圧しながら前進する。このため、固定部材付きケーブル端末1aの前進に伴い、挿入補助スライダ45も後側ハウジング40に対して前進動する。
後述のように、固定部材付きケーブル端末1aは、挿入補助スライダ45が後側ハウジング40に対する前側移動限界位置に達する前に、後側ハウジング40に対する前進限界位置に到達する。このため、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120をスライダ本体45aの載せ台部45c上に載置する際には、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120が前記前進限界位置よりも後方から挿入補助スライダ45の押圧用突起45bを押圧しながら前進を開始するように、挿入補助スライダ45をその前側移動限界位置から後側へのずれ量を確保した位置に配置する。
【0117】
図22に示すように、引留用固定部材120の両側に突設された案内用突部128が突設されている。図17に示すように、図示例の後側ハウジング30の固定部材受け部43の、両側の側板部43bの互いに対面する内面側には、引留用固定部材120の両側の案内用突部128が挿入される突部ガイド溝43dが前後方向に延在形成されている。固定部材付きケーブル端末1aは、引留用固定部材120の案内用突部128が前記突部ガイド溝43dの前端の段差面43e(図17参照)に突き当たる位置が、後側ハウジング30に対する前進限界位置となっている。
【0118】
固定部材付きケーブル端末1aが前進限界位置に達したとき、挿入補助スライダ45は、押圧用突起45bが後側ハウジング40のブロック部42に当接する前側移動限界位置には到達しない。挿入補助スライダ45は、固定部材付きケーブル端末1aが前進限界位置に達したとき、押圧用突起45bが、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120とブロック部42との間にて後側ハウジング40に対して前後動可能に配置される。
【0119】
固定部材付きケーブル端末1aから突出する光ファイバ2は、固定部材付きケーブル端末1aが前進によって前進限界位置に到達したときに、該光ファイバ2の先端に口出ししておいた裸光ファイバ2aの内蔵光ファイバ62後端に対する突き合わせ接続状態を確保できるように、光ファイバケーブル1端末から裸光ファイバ2a先端までの突出長を調整しておく。
【0120】
固定部材付きケーブル端末1aは、挿入補助スライダ45の前記載せ台部45c上に載置したときに、光ファイバケーブル1端末から突出する光ファイバ2を、ブロック部42のファイバ導入孔42aの後方延長上に延在する状態に配置できる。
前側移動限界位置から後側にずれた位置に配置した挿入補助スライダ45の載せ台部45cに載置した固定部材付きケーブル端末1aを前進させたとき、挿入補助スライダ45は、固定部材受け部43の底板部43aとその両側の側板部43bとによって案内されながら前進する。その結果、固定部材付きケーブル端末1aは、光ファイバケーブル1端末から突出する光ファイバ2がブロック部42のファイバ導入孔42aの後方延長上に位置する状態を保ったまま前進する。このため、挿入補助スライダ45を利用して行う、光ファイバ2のファイバ導入孔42aへの送り込み作業は、例えば固定部材付きケーブル端末1aの前進中に、光ファイバ2が前記ファイバ導入孔42aの軸線に対して大きく傾動して折損するといった不都合を防止でき、光ファイバ2のファイバ導入孔42aへの送り込み作業を円滑に行える。
【0121】
図23は、引留用固定部材120の具体例を示す。
ここでは、引留用固定部材120として、光ファイバケーブル1端末をその両側から把持して光ファイバケーブル1端末に固定して取り付けられる外被把持部材を用いている。
以下、引留用固定部材120が外被把持部材を指す場合、引留用固定部材120を外被把持部材とも言う。
この外被把持部材120は、光ファイバケーブル1を嵌め込むケーブル嵌合溝122が形成された断面コ字形の把持ベース121と、前記把持ベース121のケーブル嵌合溝122の溝幅方向両側の側壁部125の一方に枢着された押さえ蓋123とを有する。
【0122】
この外被把持部材120は、把持ベース121の一対の側壁部125の互いに対向する面に複数突設した把持用突起125cを、ケーブル嵌合溝122に嵌め込まれた光ファイバケーブル1の外被3に食い込ませて、一対の側壁部125の間に光ファイバケーブル1を把持固定できる。把持ベース121は、底壁部124の片面側に突設された一対の側壁部125の間に前記ケーブル嵌合溝122が確保された断面コ字形の部材である。ケーブル嵌合溝122の溝幅方向は、該ケーブル嵌合溝122を介して両側の側壁部125の間隔方向を指す。なお、図示例の外被把持部材120の把持用突起125cは、ケーブル嵌合溝122の深さ方向に延在する断面三角形状の突条に形成されている。
【0123】
そして、この外被把持部材120は、前記押さえ蓋123が他方の側壁部125から離隔する開放状態にて把持ベース121を光ファイバケーブル1端末に外嵌めして固定した後、押さえ蓋123を把持ベース121の一対の側壁部125の底壁部124とは反対側の端部間におけるケーブル嵌合溝122の開口部を閉じる閉位置に回動し、該押さえ蓋123を他方の側壁部125に係止して、光ファイバケーブル1端末に取り付けられる。
【0124】
図示例の外被把持部材120はプラスチック製の一体成形品である。前記押さえ蓋123は、一対の側壁部125の一方(以下、第1側壁部とも言う。図中符号125aを付記する)の突端に、ヒンジ部として機能する薄肉部126を介して繋がっている。この押さえ蓋123は、前記薄肉部126によって、前記ケーブル嵌合溝122の延在方向に沿う軸線を以て、把持ベース121の第1側壁部125aに対して回転可能に枢着されている。なお、把持ベース121の一対の側壁部125の他方について、以下、第2側壁部125bとも言う。
【0125】
図示例の外被把持部材120の押さえ蓋123はL字板状に形成されている。この押さえ蓋123は、前記薄肉部126を介して把持ベース121の第1側壁部125aに枢着されている天板部123aと、この天板部123aの前記薄肉部126とは反対側の端部から該天板部123aに垂直に形成された係止板部123bとを有する。この押さえ蓋123は、前記天板部123aを把持ベース121の一対の側壁部125の突端に当接してケーブル嵌合溝122の開口部を閉じる閉じ位置に配置したときに、前記係止板部123bを把持ベース121の第2側壁部125bのケーブル嵌合溝122とは反対側の外面に重ね合わせることができる。そして、押さえ蓋123は、前記係止板部123bに形成されている係止用窓孔123cに、把持ベース121の第2側壁部125b外面に突設されている係止用爪125dを入り込ませることで把持ベース121に係止され、把持ベース121に対する閉じ状態を安定維持できる。
【0126】
図示例の外被把持部材120(引留用固定部材)は、前記把持ベース121のケーブル嵌合溝122の延在方向に沿う前後方向の片端から突出する一対の前側突壁部127を有している。一対の前側突壁部127は、把持ベース121の両側の側壁部125a、125bから、該側壁部125a、125bを把持ベース121前後方向に沿って延長するように突出する板片状に形成されている。以下、外被把持部材120について、前記前側突壁部127の側を前、反対側を後として説明する。
【0127】
図示例の外被把持部材120の一対の前側突壁部127には、後側ハウジング30の固定部材受け部43(図3参照)の両側の側板部43bに前後方向に延在形成された突部ガイド溝43dに挿入される案内用突部128が突設されている。前側突壁部127において、前記案内用突部128は、一対の前側突壁部127の互いに対面する内面側とは反対の外面側に突設されている。
【0128】
なお、外被把持部材としては、図示例の構成に限定されない。外被把持部材としては、例えば、押さえ蓋を、前記係止板部123bを省略し、前記天板部123aに、把持ベース121の第2側壁部125bの突端に係合する係合部を設けた構造の押さえ蓋に変更した構成等も採用可能である。また、外被把持部材としては、把持ベースのみからなる構成も採用可能である。また、外被把持部材としては、プラスチック製の一体成形品に限定されず、複数部材によって組み立てた構成のものも採用可能である。
引留用固定部材としては、外被把持部材に限定されず、例えば光ファイバケーブル1端末外周に接着剤による接着固定、熱溶着などによって固定する部材などであっても良い。
【0129】
図22に示すように、引留用固定部材として前記外被把持部材120を用いて構成した固定部材付きケーブル端末1aは、その光ファイバケーブル1端末から突出する挿入光ファイバ2を結合ユニット部50Aのブロック部42のファイバ導入孔42aに送り込んでいく作業において、外被把持部材120の前側突壁部127が前側(ブロック部42側)となる向きで、挿入補助スライダ45の前記載せ台部45c上に載置する。固定部材付きケーブル端末1aは、外被把持部材120の前後方向(把持ベース121前後方向)を結合ユニット部50Aの前後方向に揃えて載せ台部45c上に載置する。
【0130】
挿入補助スライダ45の押圧用突起45bは、細長板状のスライダ本体45aの幅方向(結合ユニット部50Aの左右方向と一致)両側に突設されている。スライダ本体45a上に突設された一対の押圧用突起45bは、外被把持部材120の一対の前側突壁部127の間隔に応じた間隔で、スライダ本体45aの幅方向に互いに離隔して設けられている。固定部材付きケーブル端末1aは、載せ台部45c上に載置して前進(ブロック部42からの距離を縮める)させたときに、外被把持部材120の前記前側突壁部127の前端によって、挿入補助スライダ45の一対の押圧用突起45bを押圧する。
固定部材付きケーブル端末1aが前進によって前進限界位置に到達したときには、光ファイバケーブル1端末から突出する光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aが、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62後端に突き合わせ接続された状態となる。
【0131】
光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立ては、まず、前側移動限界位置から後側にずれた位置に配置した挿入補助スライダ45の載せ台部45cに載置した固定部材付きケーブル端末1aをユニット部ハウジング51A(具体的には後側ハウジング40)に対する前進限界位置まで前進させる。これにより、光ファイバケーブル1端末から突出する光ファイバ2を、ブロック部42のファイバ導入孔42aからクランプ部付きフェルール60の被覆部収納溝69b、69cを介して調心溝69aに送り込み、光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aを内蔵光ファイバ62後端に突き合わせ接続する。
固定部材付きケーブル端末1aは、前進によって、後側ハウジング40の固定部材受け部43にその前側のブロック部42に向かって押し込まれ、前進限界位置に到達したときには固定部材受け部43内側に収納される。
【0132】
次いで、後側ハウジング40に枢着されている引き留めカバー46(後述)の後側ハウジング40に対する回動操作によって、固定部材受け部43内側の固定部材付きケーブル端末1aにその上側から引き留めカバー46を被せる。これにより、図24(a)仮想線に示すように、引き留めカバー46に設けられている後退規制片46f(後述)を、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120(図示例では外被把持部材)の後端に当接させ、固定部材付きケーブル端末1aの前進限界位置からの後退を規制する。その結果、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62に対する光ファイバ2(具体的にはその先端に口出しした裸光ファイバ2a)の突き合わせ接続状態を保つ。
【0133】
次に、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63から、該クランプ部63の半割り状の把持用素子部を構成する後側延出片65と蓋部材66、67との間に介挿されている介挿片81、82を抜き去る。
その結果、クランプ部付きフェルール60のクランプばね68の弾性によって、後側延出片65と前蓋部材66との間に光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aが把持固定され、後側延出片65と後蓋部材67との間に光ファイバ2の被覆2b付き部分(被覆部)が把持固定される。これにより、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62に対する光ファイバ2(具体的にはその先端に口出しした裸光ファイバ2a)の突き合わせ接続状態を安定に保つことができる。
【0134】
前蓋部材66には、後側延出片65の対向面65aに対面する平坦な対向面66aが形成されている。クランプ部付きフェルール60のクランプ部63の半割り状の把持用素子部を構成する後側延出片65と蓋部材66、67との間から介挿片81、82を抜き去ると、前蓋部材66は、平坦な対向面66aによって、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、該後側突出部62aの後端に突き合わせた挿入光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aとを調心溝69aに押し付けて後側延出片65との間に把持固定する。これにより、挿入光ファイバ2の裸光ファイバ2a先端を内蔵光ファイバ62後端に対して高い調心精度を以て突き合わせ接続した状態を保つことができる。
【0135】
クランプ部付きフェルール60のクランプ部63に挿入光ファイバ2を把持固定することで、光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立てが完了する。
【0136】
図17、図22に示すように、引き留めカバー46は、後側ハウジング40の固定部材受け部43に押し込まれた固定部材付きケーブル端末1a上に配置される天板部46aの両側に細長板状のカバー側板部46bを設けた構成のカバー本体46Hを有している。天板部46aの両側のカバー側板部46bは、天板部46aの片面46c側に天板部46aに対して垂直に突設され、前記片面46cに沿う方向を長手方向として互いに平行に延在している。
【0137】
また、天板部46aの両側に設けられた一対のカバー側板部46bは、その長手方向片端側が前記天板部46aから突出されている。
引き留めカバー46は、一対のカバー側板部46bの前記天板部46aから突出された先端部を、回動軸41g(図17、図18、図22参照)によって、後側ハウジング40にその左右方向(固定部材受け部43の一対の側板部43bの間隔方向)の回動軸線を以て回動可能に枢着してハウジング100Hに設けられている。
【0138】
カバー側板部46bの、回動軸41gによって後側ハウジング40に枢着された先端部を、以下、枢着端部とも言う。
図示例の結合ユニット部50Aにおいて、前記回動軸41gは、後側ハウジング40の左右方向両側、より具体的にはブロック部42の左右方向両側に突起状に突設されている。引き留めカバー46は、一対のカバー側板部46bの枢着端部をその板厚方向に貫通して形成した軸挿入孔46eに嵌め込まれた前記回動軸41gを中心に、後側ハウジング40にその左右方向の軸線(回動軸線)を以て回動可能に枢着されている。
【0139】
なお、引き留めカバー46の後側ハウジング40に対する枢着構造としては、図示例の構造に限定されない。前記枢着構造としては、例えば、一対のカバー側板部46bの枢着端部の互いに対面する側に突設した軸部を、後側ハウジング40のブロック部42の左右両側に穿設した軸挿入穴に挿入し、引き留めカバー46を、前記軸部を中心に、後側ハウジング40にその左右方向の軸線(回動軸線)を以て回動可能に枢着した構成等も採用可能である。
【0140】
図17、図18、図24(a)、(b)に示すように、引き留めカバー46は、回転軸46dから延出するカバー本体46Hの回転軸46dとは反対側(以下、延出端側とも言う)に、前記後退規制片46fを有する構成となっている。
この引き留めカバー46は、その延出端側の端部が後側ハウジング40の固定部材受け部43から離隔して配置された状態から、前記回動軸41gを中心とする回動によって、固定部材受け部43にその上側から被せることができる。このときの引き留めカバー46の固定部材受け部43に対する位置を被せ位置(図18実線、図24(a)、(b)仮想線参照)とも言う。
【0141】
後側ハウジング40の固定部材受け部43にその後側から固定部材付きケーブル端末1aを押し込む作業は、引き留めカバー46を、固定部材付きケーブル端末1aの押し込み作業の障害になることを回避するべく、延出端側の端部が後側ハウジング40の固定部材受け部43から充分に離隔させ、固定部材受け部43に対して開放した状態で行う。そして、引き留めカバー46は、固定部材受け部43に固定部材付きケーブル端末1aを押し込んだ後、前記回動軸41gを中心とする回動によって前記被せ位置に配置する。
【0142】
引き留めカバー46は、固定部材受け部43に対して被せ位置に配置したときに、天板部46aが固定部材受け部43の底板部43aに沿う向きとなる。また、被せ位置に配置した引き留めカバー46は、天板部46aの片面46c(以下、内面とも言う)側にリブ状に張り出す一対のカバー側板部46bの間に、固定部材受け部43の底板部43aから突出する一対の側板部43bを収納する。
【0143】
図24(b)仮想線に示すように、被せ位置に配置した引き留めカバー46は、その天板部46aの内面46cが固定部材受け部43の一対の側板部43bの底板部43aとは反対側の端部(上端)に当接する。また、この引き留めカバー46は、被せ位置に配置したときに、両側のカバー側板部46bに形成されている係止用窓46gに、固定部材受け部43の一対の側板部43bの外面(一対の側板部43bの互いに対面する内面とは反対の面)側に突設された係止突起43cが入り込んで固定部材受け部43に対して被せ位置に係止される。これにより、引き留めカバー46は、延出端側の端部が後側ハウジング40の固定部材受け部43から離隔する方向への回動が規制され、固定部材受け部43に対して被せ位置にある状態が安定に保たれる。
【0144】
図18実線、図24(a)、(b)仮想線に示すように、引き留めカバー46は、前記被せ位置に配置したときに、後退規制片46fを、後側ハウジング40に対する前側移動限界位置にある引留用固定部材120の後側に配置して引留用固定部材120に当接させることができる。
引き留めカバー46のカバー本体46Hは、一対のカバー側板部46bと天板部46aとによって構成されて断面コ字状で延在するコ字形カバー部46dを有する。カバー本体46Hの延出端側の端部はコ字形カバー部46dによって構成されている。
【0145】
図示例の引き留めカバー46において、後退規制片46fは、カバー本体46Hの延出端側の断面コ字形の端部の内周に沿って突設されたリブ状の突部であり、門形に形成されている。この後退規制片46fは、引き留めカバー46を被せ位置に配置したときに、引留用固定部材120から後方に延出する光ファイバケーブル1を避けて、固定部材受け部43の左右方向に一致する引留用固定部材120の左右両側の壁部の後側に配置され当接される。この結果、引き留めカバー46によって、固定部材付きケーブル端末1aを光コネクタ10に対して引き留めることができる。
なお、光ファイバケーブル1は、門形の後退規制片46fの内側のケーブル挿通凹部46kに通され、引き留めカバー46から後側に延出した状態となる。
【0146】
後退規制片46fとしては、カバー本体46Hの延出端側の断面コ字形の端部の内周に沿う門形の形状に限定されない。後退規制片としては、例えば、カバー本体46Hの一対のカバー側板部46bの延出端側の端部の互いに対面する内面側のみに突設し、天板部46aからの突設を省略した構成等も採用可能である。
【0147】
なお、引留用固定部材120を結合ユニット部50Aに引き留めて前進限界位置に保持する引き留め手段としては、上述の引き留めカバーに限定されない。前記引き留め手段としては、例えば、後側ハウジング40の固定部材受け部43にその後側から押し込まれた固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120に係合する弾性爪等も採用可能である。
【0148】
図26〜図30は、本発明の光接続用ユニットの一例を示す図であって、この光接続用ユニット130は、光コネクタ210と、光コネクタ210を収容可能、かつ取付壁140の取付け面140aに設置可能な光コネクタ収容ケース150と、を備えている。
光コネクタ210は、通過口140bを通して取付け面140より奥側から配線された光ファイバケーブル1(光伝送体)の先端に組み立てられている。
【0149】
光コネクタ収容ケース150は、光コネクタ210を収容可能なベース部151と、ベース部151を覆うカバー部152とを有する。
ベース部151は、長板状の基板部153と、その側縁に形成された側板部154とを有する光コネクタ収容部155と、光コネクタ収容部155内の光コネクタ210の光ファイバケーブル1を導く導出部156とを有する。
導出部156は、間隔をおいて対向配置された一対の位置決め板156aからなり、これら位置決め板156aの間の空間に光ファイバケーブル1を通過させることができる。
位置決め板156aの互いに対向する面には把持用突起156bが複数突設されている。把持用突起156bは、光ファイバケーブル1を挟み込んで光ファイバケーブル1を把持固定できる。
カバー部152は、長板状の天板部157と、その側縁に形成された側板部158と、これらの上端に形成された頂板部159とを有する。
光コネクタ収容ケース150の下端部には、挿入光コネクタ90が挿入される開口部160が形成されている。
【0150】
図26に示すように、光コネクタ収容ケース150は、光アウトレット170に並べて設置することができる。
【0151】
次に、本発明の光コネクタレセプタクルの第3実施形態について説明する。
図31は、本発明の第3実施形態の光コネクタレセプタクル310(以下、単に光コネクタ310という)の構造を示す分解斜視図である。図32および図33は光コネクタ310の要部の斜視図である。図34は光コネクタ310のコネクタ嵌合ハウジングの本体基板部223と蓋部222を示す側面図である。
【0152】
光コネクタ310は、角筒状のコネクタ嵌合ハウジング220と、コネクタ嵌合ハウジング220の後部に取り付けられた結合ユニット部50(50A)とを有する。
光コネクタ310は、光ファイバケーブル1(光伝送体)の先端に組み立てられるものである。光コネクタ310と光ファイバケーブル1は、コネクタ付き光伝送体を構成する。
以下の説明において、図1、図17等に示す光コネクタ10、210との共通構成については、同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0153】
図31〜図33に示すように、コネクタ嵌合ハウジング220は、光コネクタ挿入穴211aが前側に開口する角筒状の嵌合ハウジング本体221と、光コネクタ挿入穴211aを開閉可能とされた蓋部222と、蓋部222をバネ238(付勢部材)と、を備えている。
【0154】
嵌合ハウジング本体221は、本体基板部223と、本体基板部223に取り付けられる本体カバー部224とを有する。
本体基板部223は、概略矩形の底板部225と、底板部225の両側縁に立設された挿入片227(挿入凸部、延出片)と、を備えている。
底板部225の前縁部225aからやや後方寄りの位置には、蓋部222の回動軸237が配置される軸受部225bが形成されている。
【0155】
挿入片227は、長板状とされ、底板部225の後部の上面225gから上方に延出している。挿入片227は、底板部225の両側縁部225iに近い位置にそれぞれ形成されている。
挿入片227は、前側ハウジング30の孔内面当接突部31a、31bの間に挿入される。
【0156】
本体カバー部224は、概略矩形の天板部228と、その両側縁から垂下する側板部229とを有する。
側板部229の前縁部229dは、下方に向かって徐々に前方寄りとなるように傾斜している。
【0157】
蓋部222は概略矩形に形成され、前縁部22bに形成された回動軸237を中心とする回動によって、光コネクタ挿入穴211aを閉止する閉止位置(図32および図34の実線参照)と、本体カバー部224内に向けて内方に回動して光コネクタ挿入穴211aを開放した開放位置(図34の仮想線参照)とを切り替え可能である。図34に示す開放位置では、蓋部222は嵌合ハウジング本体221の軸線方向(軸方向)に平行である。図示例の開放位置と閉止位置との蓋部222の回動角の差は90°未満である。
【0158】
図34に示すように、バネ238は、基部238aと、基部238aから延出して底板部225の上面225g上に配置される本体側延出部238bと、基部238aから延出して蓋部222の裏面側(内面側)に配置される蓋部側延出部238cとを備えている。
バネ238は、自らの弾性力によって、蓋部222を開放位置(図34の仮想線)から閉止位置(図34の実線参照)に戻す方向に付勢する。
【0159】
図35に示すように、挿入光コネクタ90を光コネクタ挿入穴211aに挿入すると、挿入光コネクタ90によって蓋部222が押され、バネ238の弾性力に抗して蓋部222を内方に押し倒し、光コネクタ挿入穴211aが開放されるとともに、挿入光コネクタ90のフェルール93が光コネクタ310のフェルール61と突き合わせ接続される。
【0160】
図36は、本発明の光アウトレットの一例である光アウトレット180の斜視図であり、図37は、光アウトレット180の一部破断状態の斜視図である。
光アウトレット180は、光コネクタ310と、光コネクタ310を収容可能、かつ取付壁140の取付け面140aに設置可能な外装体190と、を備えている。
光コネクタ310は、取付け面140より奥側から配線された光ファイバケーブル1(光伝送体)の先端に組み立てられている。
【0161】
外装体190は、光コネクタ310が設置されるベース部201と、ベース部201を覆うカバー部202とを有する。カバー部202は通過口140bも覆う。カバー部202には、挿入光コネクタ90が挿入される開口部203が形成されている。
【符号の説明】
【0162】
1…光ファイバケーブル(光伝送体)、2…光ファイバ(挿入光ファイバ)(光伝送体)、7…光ファイバ(挿入光ファイバ)(光伝送体)、10、210、310…光コネクタ(光コネクタレセプタクル)、11a、211a…光コネクタ挿入穴(コネクタ穴)、20、220…コネクタ嵌合ハウジング、21,221…嵌合ハウジング本体(ハウジング本体)、22、222…蓋部、23、223…本体基板部、24、224…本体カバー部、25j…挿入凸部(係合構造)、27、227…挿入片(挿入凸部)(係合構造)、28…天板部、28g・・・挿入凸部(係合構造)、29…側板部、29d…側板部の前縁部、30…前側ハウジング、31…ベース部、31a、31b・・・孔内面当接突部(係合構造)、31c…溝部(係合構造)、35…プラグフレーム部、37…回動軸(連結位置)、38,238…バネ(付勢部材)、40…後側ハウジング、41…ストップリング(ストップリング部)、50…結合ユニット部、51…ユニット部ハウジング、52…位置決めスリーブ(割スリーブ)、55…ストップリング、56…ストップリング、57…内蔵フェルール(フェルール)、60…クランプ部付きフェルール、61…内蔵フェルール(フェルール、フェルール本体)、63…クランプ部、90…挿入光コネクタ、130…光接続用ユニット、140…取付壁、140a・・・取付け面、150…光コネクタ収容ケース、160…開口部、180…光アウトレット、190…外装体、203…開口部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入光コネクタが挿入される光コネクタ挿入穴を有するコネクタ嵌合ハウジングと、
前記コネクタ嵌合ハウジングの後部に取り付けられ、内部に内蔵フェルールを収納して前側ハウジングとその後側のストップリングとを嵌合して形成される結合ユニット部とを有し、
前記前側ハウジングは、前記内蔵フェルールおよびそれの内挿される位置決めスリーブが貫通するベース部と、前記ストップリングと嵌合するスリーブ状のプラグフレーム部とを有し、
前記位置決めスリーブは、前記光コネクタ挿入穴に挿入される挿入光コネクタのフェルールを位置決めして前記内蔵フェルールに突き合わせ可能であり、
前記コネクタ嵌合ハウジングは、前記光コネクタ挿入穴が前側に開口するハウジング本体と、前記ハウジング本体に回動可能に連結され、その回動により前記光コネクタ挿入穴を閉止可能とされた蓋部とを備える光コネクタレセプタクル。
【請求項2】
前記前側ハウジングのベース部および前記コネクタ嵌合ハウジングに、それらを互いに係合する周方向全周に亘って延在する係合構造を形成した請求項1に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項3】
前記前側ハウジングのベース部および前記コネクタ嵌合ハウジングの一方に、周方向に延在する溝部を前記係合構造として形成し、前記ベース部および前記コネクタ嵌合ハウジングの他方に、周方向に延在する突条を前記係合構造として前記溝部に嵌合可能に形成した請求項2に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項4】
前記嵌合ハウジング本体は、本体基板部と、前記本体基板部との間に前記前側ハウジングの少なくと一部を収容して前記本体基板部に対して組み合わせられる本体カバー部とを有し、
前記本体基板部に対して前記本体カバー部を組み合わせた際に、それぞれに形成された前記係合構造が周方向に亘って延在するようになる請求項2または3に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項5】
前記本体基板部は、底板部を備え、
前記本体カバー部は、天板部と、前記天板部からそれぞれ前記天板部に対し交差する方向に前記前側ハウジングを挟むように立設される一対の側板部とを備え、
前記本体基板部には、前記底板部の内面に前記周方向に亘って形成された突条と、前記底板部からそれぞれ前記底板部に対し交差する方向に前記前側ハウジングを挟むように延出する一対の延出片とが前記係合構造として形成され、
前記本体カバー部には、前記天板部のみの内面に前記周方向に亘って突条が前記係合構造として形成されている請求項4に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項6】
前記コネクタ嵌合ハウジングは、前記蓋部を閉止する方向に付勢する付勢部材を備えている請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項7】
光コネクタ挿入穴の軸方向に平行となるように開放した状態と閉止した状態とについての前記蓋部の回動角の差が90°未満である請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項8】
光コネクタ挿入穴の軸方向に平行となるように開放した状態と閉止した状態とについての前記蓋部の回動角の差が90°以上である請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項9】
光伝送体の先端に組み立てられ、
前記光伝送体の先端部が、前記内蔵フェルールに内挿固定されている請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項10】
光伝送体の先端に組み立てられ、
前記結合ユニット部は、前記内蔵フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバの後端部と、前記後端部に突き当てた前記光伝送体の先端部とを把持して、これらの突き合わせ接続状態を維持するクランプ部を有する請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の光コネクタレセプタクルと、前記光コネクタレセプタクルを収容可能、かつ取付壁の取付け面に設置可能な光コネクタ収容ケースと、を備え、
前記光コネクタレセプタクルが、前記取付け面より奥側から配線された光伝送体の先端に組み立てられ、
前記光コネクタ収容ケースは、前記挿入光コネクタが挿入される開口部を有する光接続用ユニット。
【請求項12】
請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の光コネクタレセプタクルと、前記光コネクタレセプタクルを収容可能、かつ取付壁の取付け面に設置可能な外装体と、を備え、
前記光コネクタレセプタクルが、前記取付け面より奥側から配線された光伝送体の先端に組み立てられ、
前記外装体は、前記挿入光コネクタが挿入される開口部を有する光アウトレット。
【請求項1】
挿入光コネクタが挿入される光コネクタ挿入穴を有するコネクタ嵌合ハウジングと、
前記コネクタ嵌合ハウジングの後部に取り付けられ、内部に内蔵フェルールを収納して前側ハウジングとその後側のストップリングとを嵌合して形成される結合ユニット部とを有し、
前記前側ハウジングは、前記内蔵フェルールおよびそれの内挿される位置決めスリーブが貫通するベース部と、前記ストップリングと嵌合するスリーブ状のプラグフレーム部とを有し、
前記位置決めスリーブは、前記光コネクタ挿入穴に挿入される挿入光コネクタのフェルールを位置決めして前記内蔵フェルールに突き合わせ可能であり、
前記コネクタ嵌合ハウジングは、前記光コネクタ挿入穴が前側に開口するハウジング本体と、前記ハウジング本体に回動可能に連結され、その回動により前記光コネクタ挿入穴を閉止可能とされた蓋部とを備える光コネクタレセプタクル。
【請求項2】
前記前側ハウジングのベース部および前記コネクタ嵌合ハウジングに、それらを互いに係合する周方向全周に亘って延在する係合構造を形成した請求項1に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項3】
前記前側ハウジングのベース部および前記コネクタ嵌合ハウジングの一方に、周方向に延在する溝部を前記係合構造として形成し、前記ベース部および前記コネクタ嵌合ハウジングの他方に、周方向に延在する突条を前記係合構造として前記溝部に嵌合可能に形成した請求項2に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項4】
前記嵌合ハウジング本体は、本体基板部と、前記本体基板部との間に前記前側ハウジングの少なくと一部を収容して前記本体基板部に対して組み合わせられる本体カバー部とを有し、
前記本体基板部に対して前記本体カバー部を組み合わせた際に、それぞれに形成された前記係合構造が周方向に亘って延在するようになる請求項2または3に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項5】
前記本体基板部は、底板部を備え、
前記本体カバー部は、天板部と、前記天板部からそれぞれ前記天板部に対し交差する方向に前記前側ハウジングを挟むように立設される一対の側板部とを備え、
前記本体基板部には、前記底板部の内面に前記周方向に亘って形成された突条と、前記底板部からそれぞれ前記底板部に対し交差する方向に前記前側ハウジングを挟むように延出する一対の延出片とが前記係合構造として形成され、
前記本体カバー部には、前記天板部のみの内面に前記周方向に亘って突条が前記係合構造として形成されている請求項4に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項6】
前記コネクタ嵌合ハウジングは、前記蓋部を閉止する方向に付勢する付勢部材を備えている請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項7】
光コネクタ挿入穴の軸方向に平行となるように開放した状態と閉止した状態とについての前記蓋部の回動角の差が90°未満である請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項8】
光コネクタ挿入穴の軸方向に平行となるように開放した状態と閉止した状態とについての前記蓋部の回動角の差が90°以上である請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項9】
光伝送体の先端に組み立てられ、
前記光伝送体の先端部が、前記内蔵フェルールに内挿固定されている請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項10】
光伝送体の先端に組み立てられ、
前記結合ユニット部は、前記内蔵フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバの後端部と、前記後端部に突き当てた前記光伝送体の先端部とを把持して、これらの突き合わせ接続状態を維持するクランプ部を有する請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の光コネクタレセプタクル。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の光コネクタレセプタクルと、前記光コネクタレセプタクルを収容可能、かつ取付壁の取付け面に設置可能な光コネクタ収容ケースと、を備え、
前記光コネクタレセプタクルが、前記取付け面より奥側から配線された光伝送体の先端に組み立てられ、
前記光コネクタ収容ケースは、前記挿入光コネクタが挿入される開口部を有する光接続用ユニット。
【請求項12】
請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の光コネクタレセプタクルと、前記光コネクタレセプタクルを収容可能、かつ取付壁の取付け面に設置可能な外装体と、を備え、
前記光コネクタレセプタクルが、前記取付け面より奥側から配線された光伝送体の先端に組み立てられ、
前記外装体は、前記挿入光コネクタが挿入される開口部を有する光アウトレット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
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【図19】
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【図21】
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【図23】
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【図28】
【図29】
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【図32】
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【図34】
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【図36】
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【図12】
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【図21】
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【図23】
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【図26】
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【図28】
【図29】
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【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2013−105048(P2013−105048A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249087(P2011−249087)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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