説明

光コネクタ

【課題】簡単で安価な構造で光ファイバ端面を確実に保護する。
【解決手段】両ハウジング23,27同士を嵌合させる際、当接体31の先端面が端面保護カバー29の端面周縁部に当接し、これにより端面保護カバー29の弾性筒部71が弾性変形して縮むことで、閉塞面壁73に形成されたスリット28から第1の光ファイバ21の先端部を露出させて、光結合を行うことができる状態に変化する。修理時等で両ハウジング23,27を切り離す際には、当接体31の端面保護カバー29に対する当接が解除され、端面保護カバー29の弾性筒部71が弾性復帰して伸延し、閉塞面壁73が元の状態に復帰して第1の光ファイバ21の先端部を閉塞する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの先端部を保持した第1のハウジングと、当該第1のハウジングに嵌合して第1の光ファイバに対して光結合を行うための第2のハウジングとを備えた光コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、安全性装備、低燃費装備、乗員の快適装備の充実を図るため、車両の電装機器は増加の一途である。これにより車両内での通信情報量も増大しており、その対策として、車両内で用いられる情報伝達媒体を電線から高速情報伝達媒体である光ファイバに置き換える対策が採られ始めている。
【0003】
光ファイバの端面に汚れや傷が付くと、光ファイバの情報伝達能力は低下するので、光ファイバの端部に取り付けられる光コネクタには、光ファイバの端面を保護する為の端面保護構造が採用されている。
【0004】
従来の光ファイバの端面保護構造では、保護用のゴム製のキャップを光ファイバの端部に装着してその保護を行っていた。
【0005】
しかしながら、このようなキャップを使用する場合は、使用時にキャップを取り外さなければならないため、作業性が悪い。また、一端キャップを取り外してコネクタの結合を行った後に、修理時等においてコネクタを取り外したときには、光ファイバの端部が再び露出してしまい、この時点で新たにキャップを装着しない限り、光ファイバの端面を汚すおそれがあり不便であった。
【0006】
このことを考慮して、例えば特許文献1では、図9の如く、雌型コネクタのハウジング1に雄型コネクタのハウジング3を結合する際に、押圧片5の摺接により弾性体7を変形して係止体9を押し下げ、開放作動体11の当接によりガイドピン13を上方へ移動してフード本体15を露出方向へ回転する一方、両ハウジング1,3の分離時には、ガイドピン13を下方へ移動してフード本体15を被覆方向へ回転し、フード本体15の回転により光ファイバ17の端面を被覆,露出していた。これにより、光ファイバ17の端面を被覆して保護することが可能になっていた。
【0007】
【特許文献1】特開平06−011628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した特許文献1では、両コネクタのハウジング1,3の構造が複雑になってしまい、安価に光ファイバ端面を保護することが困難であった。
【0009】
そこで、この発明の課題は、安価に光ファイバ端面を確実に保護することが可能な光コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、光ファイバの先端部を保持した第1のハウジングと、当該第1のハウジングに嵌合して前記第1の光ファイバに対して光結合を行うための第2のハウジングとを備えた光コネクタであって、前記光ファイバの先端部を保持する前記第1のハウジングと、前記第1のハウジングに嵌合する前記第2のハウジングと、前記光ファイバの先端面を保護する端面保護カバーとを備え、前記端面保護カバーが、前記光ファイバの先端部の外周を覆うように配置されて軸方向に縮むことが可能な有弾性の弾性筒部と、前記弾性筒部の先端面に配置されて前記弾性筒部が自然状態で前記光ファイバの先端面を閉塞するとともに、前記弾性筒部が軸方向に縮むときに前記光ファイバの先端面が突き抜け可能なスリットが形成された閉塞面壁とを備え、前記第2のハウジングに、前記両ハウジング同士が嵌合する際に、前記端面保護カバーに当接して前記弾性筒部を軸方向に縮ませるための当接体が形成されたものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光コネクタであって、前記スリットが略十字形状に形成されて、前記閉塞面壁が4つの三角形状の壁片に4分割されたものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の光コネクタであって、前記スリットが円弧状に形成されて、前記閉塞面壁に略円形の蓋体が形成されたものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明では、両ハウジング同士を嵌合させるだけで、当接体の先端面が端面保護カバーに当接して弾性筒部を軸方向に縮ませ、これにより端面保護カバーから光ファイバの先端部を露出させる構成となっているので、従来のように保護用のキャップを取り外すなどの特別の作業を要せずに、両ハウジング内で光結合を行うことができる。また、両ハウジング同士を切り離すと、弾性筒部が有弾性であるため、この弾性筒部が元の伸延状態に戻り、閉塞面壁が光ファイバの先端面を閉塞する状態に復帰する。したがって、両ハウジング同士が嵌合された後に修理時等において両ハウジングを切り離したときにも、光ファイバの先端部が自動的に保護された状態となるので、従来のように新たにキャップを装着するなどの特別な作業が不要となる。さらに、端面保護カバーに当接体を当接させるだけの簡単な構造を採用しているので、光ファイバ端面を確実に且つ安価に保護することが可能となる。
【0014】
具体的には、請求項2に記載の発明のように、スリットが略十字形状に形成して、閉塞面壁を4つの三角形状の壁片に4分割するだけで、請求項1の効果を得ることができる。
【0015】
あるいは、請求項3に記載の発明のように、スリットを円弧状に形成することで閉塞面壁に略円形の蓋体を形成するだけもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
{第1の実施の形態}
<構成>
図1は本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタの両ハウジングを分離した状態を示す側面視断面図、図2は同じくその両ハウジングの結合状態を示す側面視断面図、図3は同じくその端面保護カバーを示す斜視図である。
【0017】
この光コネクタは、図1の如く、内部に第1の光ファイバ21の先端を導出した状態で当該第1の光ファイバ21の先端付近を保持する第1のハウジング23と、当該第1のハウジング23に着脱可能に構成されるとともに第1の光ファイバ21に結合される第2の光ファイバ25の端部付近を保持する第2のハウジング27と、第1の光ファイバ21の端面を保護するとともに端面に第1の光ファイバ21の端面露出を可能とするためのスリット28が形成された有弾性の端面保護カバー29(図3)とを備え、第2のハウジング27に、第1のハウジング23との嵌合時に端面保護カバー29に当接してそのスリット28から第1の光ファイバ21の端面を露出させる当接体31が形成されたものである。
【0018】
各光ファイバ21,25は、プラスチックまたはガラス等の透明材料が使用された一般的な光伝導線部品が適用され、保護膜層21a,25aに覆われた構造となっており、各光ファイバ21,25の端部において保護膜層21a,25aが皮剥されて露出された構成となっている。
【0019】
また、各光ファイバ21,25の端部には、当該各光ファイバ21,25の折れ曲がりや損傷等による光結合の失敗を防止するために、工業プラスチック製または金属製等の略筒状のフェルール33,35が填め込まれている。この各フェルール33,35は、光ファイバ21,25の保護膜層21a,25aの外周部を覆う基部37と、各光ファイバ21,25の皮剥された最先端部の外周部を覆う細径の先端部39と、基部37の中間部の外周に張り出し形成されたフランジ41とが一体形成された形状とされている。
【0020】
第1のハウジング23は、例えば角筒状に形成されたハウジング本体44と、このハウジング本体44の内周中間部に形成されてフェルール33の基部37を貫通させる貫通孔45が形成された中間壁47と、ハウジング本体44の一側面(上側面)に形成されて第2のハウジング27の内周との寸法差を埋めるための有弾性のスペーサ49と、一部がスペーサ49に埋め込まれるとともに当該スペーサ49の所定の外面から楔形状に突出されて第2のハウジング27に係合するための係合部材51とを備える。
【0021】
即ち、第1のハウジング23は、ハウジング本体44の内部が中間壁47で仕切られることで、第1の光ファイバ21の先端方向に開放された第1の空間部53と、第1の光ファイバ21の後方に開放された第2の空間部55とが形成されている。
【0022】
そして、中間壁47の貫通孔45の後面に、第1の光ファイバ21のフェルール33のフランジ41を当接させることで、この中間壁47及びその貫通孔45が第1の光ファイバ21の先端部を位置決めするようになっている。
【0023】
スペーサ49は、ゴム材料またはスポンジ状のウレタン材料等が使用され、係合部材51の基部57を埋込支持する。
【0024】
係合部材51は、長細状の板体である基部57と、第1の光ファイバ21の先端方向に向かってテーパ面が形成されてスペーサ49から外側方向に突出形成された楔形状の爪部59とが一体形成されたもので、基部57が有弾性のスペーサ49に埋込支持されることで、爪部59のテーパ面が第2のハウジング27の外壁の先端部内側に当接したときに、スペーサ49を内側方向に変形させて第2のハウジング27の外壁より内側に埋没するようになっている。
【0025】
第2のハウジング27は、例えば角筒状に形成されたハウジング本体61と、このハウジング本体61の内周後端部に形成されてフェルール35を嵌合する嵌合孔63が形成された後壁65と、上述の当接体31とが一体形成されてなる。
【0026】
ハウジング本体61の内寸は、第1のハウジング23のハウジング本体44とスペーサ49との結合体の先端部を収納するように設定されている。また、ハウジング本体61の一部には、係合部材51の爪部59が係合するための係合孔67が形成されている。
【0027】
後壁65の嵌合孔63は、フェルール35の基部37及び先端部39に対応する形状に形成されており、この嵌合孔63の内周形状により、フェルール35の位置決め、即ち第2の光ファイバ25の先端部の位置決めがなされるようになっている。
【0028】
当接体31は、フェルール35の先端部39の外周を覆うような筒形に形成されており、さらにその先端部39よりもその先端方向に付きだした形状とされている。そして、両ハウジング23,27が嵌合する際、当接体31の先端面が端面保護カバー29の端面周縁部に当接して当該端面保護カバー29を縮ませることで、当該端面保護カバー29のスリット28から第1の光ファイバ21の端面を露出させるようになっている。
【0029】
端面保護カバー29は、ゴム等の変形可能な弾性部材が使用されて、図3のように、自然状態で円筒形状に形成された背面開放の正円筒状の弾性筒部71と、その弾性筒部71の先端面をほぼ閉塞する閉塞面壁73とを備える。そして、閉塞面壁73に、略十字形状のスリット28が形成されることで、この閉塞面壁73が4つの三角形状の壁片73a〜73dに4分割されている。これにより、弾性筒部71が図4のように例えば蛇腹状等に撓むなどして軸方向に縮んだ状態になると、内部のフェルール33が壁片73a〜73dを外側に押しのけるようにしてスリット28から付き出し、これによりフェルール33の先端部39が端面保護カバー29から外部先端方向に露出されるようになっている。
【0030】
<動作>
上記構成の光コネクタにおいて、両光ファイバ21,25同士を結合する動作を説明する。
【0031】
まず事前に、図1の如く、第1の光ファイバ21の先端部に装着されたフェルール33を第1のハウジング23の中間壁47の貫通孔45に嵌合して装着し、さらに、そのフェルール33に、端面保護カバー29を装着する。また、第2の光ファイバ25の先端部に装着されたフェルール35を、第2のハウジング27の後壁65の嵌合孔63に嵌合して装着した状態としておく。かかる状態で、両ハウジング23,27同士の嵌合を行う。
【0032】
この場合、第2のハウジング27の角筒状のハウジング本体61の内部に、第1のハウジング23の角筒状のハウジング本体44の先端部が収納されるように、両ハウジング23,27同士を接近させる。そして、第1のハウジング23側の係合部材51の爪部59のテーパ面が、第2のハウジング27の外壁の先端部内側に当接すると、有弾性のスペーサ49が内側方向に変形し、係合部材51の爪部59が第2のハウジング27の外壁内面より内側に埋没する。この状態で第1のハウジング23を第2のハウジング27のハウジング本体61内で進行させ、係合部材51の爪部59の位置がハウジング本体61の係合孔67に到達した時点で、有弾性のスペーサ49が弾性復帰し、図2のように第1のハウジング23の係合部材51の爪部59が第2のハウジング27の係合孔67に係合する。
【0033】
このようにして第1のハウジング23を第2のハウジング27のハウジング本体61内で進行させる途中で、当接体31の先端面が端面保護カバー29の端面周縁部に当接する。そうすると、端面保護カバー29の弾性筒部71が図2及び図4のように例えば蛇腹状等に撓むなどして、その軸方向に縮んだ状態になる。このとき、端面保護カバー29の内部に収納されていた第1の光ファイバ21側のフェルール33は、壁片73a〜73dを外側に押しのけるようにしてスリット28から付き出し、これによりフェルール33の先端部39が端面保護カバー29から外部先端方向に露出される。
【0034】
そして、第1の光ファイバ21側のフェルール33は、第2のハウジング27側の当接体31の内周に挿入されて、図2の如く、第2の光ファイバ25に対して互いに突き合った状態となり、これにて両光ファイバ21,25同士の光結合がなされる。
【0035】
このように、両ハウジング23,27同士を嵌合させるだけで、当接体31の先端面が端面保護カバー29の端面周縁部に当接し、これにより端面保護カバー29から第1の光ファイバ21側のフェルール33を露出させて光結合を行うことができるので、従来のように保護用のキャップを取り外すなどの特別の作業を要せずに、光ファイバ21,25同士の光結合を行うことができる。
【0036】
また、図2のように両ハウジング23,27同士が嵌合した状態から、両者を切り離す場合には、係合孔67から外部に付きだした係合部材51の爪部59を内側に押圧する。そうすると、有弾性のスペーサ49が内側方向に変形し、係合部材51の爪部59が第2のハウジング27の外壁内面より内側に埋没する。そうすると、第1のハウジング23側の係合部材51と第2のハウジング27側の係合孔67との係合が解除される。この状態で、第1のハウジング23を第2のハウジング27のハウジング本体61から引き抜くと、両ハウジング23,27同士の嵌合が解除されて、図1に示した状態となる。
【0037】
このとき、第2のハウジング27側の当接体31と、第1のハウジング23側の端面保護カバー29の端面周縁部との当接が解除されるため、端面保護カバー29の有弾性の弾性筒部71が図3に示した自然状態に弾性復帰し、当該弾性筒部71内にフェルール33が収納されることから、閉塞面壁73の4つの壁片73a〜73dのフェルール33の外周面に対する当接も解除され、これにて各壁片73a〜73dが弾性復帰して、フェルール33の先端面が閉塞面壁73によりほぼ閉塞された状態に復帰する。
【0038】
したがって、第1のハウジング23が第2のハウジング27に嵌合していないときには、第1の光ファイバ21の先端面が閉塞面壁73により常時ほぼ閉塞された状態になるため、第1の光ファイバ21の先端面の保護を確実に行うことができる。特に、一旦両ハウジング23,27同士を嵌合した後、修理時等において両ハウジング23,27を取り外したときにも、第1の光ファイバ21の先端部が自動的に保護された状態となるので、従来のように新たにキャップを装着するなどの特別な作業が不要となる。
【0039】
また、上記構成だと、端面保護カバー29に当接体31を当接させるだけの構造を採用しているので、両ハウジング23,27の構造が極めて簡単なもので済み、よって光ファイバ端面を確実に且つ安価に保護することが可能となる。
【0040】
{第2の実施の形態}
上記の第1の実施の形態では、端面保護カバー29が、図3のように、閉塞面壁73に略十字形状のスリット28が形成されて4つの三角形状の壁片73a〜73dに4分割された形状とされていたが、本発明の端面保護カバー29の形状は、図3に示したものに限られない。
【0041】
図5は本発明の第2の実施の形態に係る光コネクタの端面保護カバー29の形状を示す斜視図である。なお、図5では第1の実施の形態と同様の機能を有する要素について同一符号を付している。
【0042】
この実施の形態の光コネクタの端面保護カバー29は、図5の如く、ゴム等の変形可能な弾性部材が使用されて、自然状態で円筒形状に形成された背面開放の弾性筒部71と、その弾性筒部71の先端面を閉塞する閉塞面壁73とを備える点で、図3に示した第1の実施の形態と同様である。ただし、閉塞面壁73に形成されたスリット81が、閉塞面壁73の外周よりも小径の円のほぼ全周に近い周域を網羅する円弧状に形成されており、これにより閉塞面壁73に略円形の蓋体83が一体形成された形状となっている。
【0043】
これにより、弾性筒部71が図6のように例えば蛇腹状等に撓むなどして軸方向に縮んだ状態になると、内部のフェルール33が蓋体83を外側に押しのけるようにしてスリット81から付き出し、これによりフェルール33の先端部39が端面保護カバー29から外部先端方向に露出されるようになっている。
【0044】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0045】
かかる構成の光コネクタにおいて、両光ファイバ21,25同士を結合する動作を説明する。
【0046】
まず第1の実施の形態と同様にして、図7の状態から、第2のハウジング27の角筒状のハウジング本体61の内部に、第1のハウジング23の角筒状のハウジング本体44の先端部を収納させる。
【0047】
この際、第1の実施の形態と同様にして、第1のハウジング23側の係合部材51の爪部59のテーパ面が、第2のハウジング27の外壁の先端部内側に当接し、係合部材51の爪部59が第2のハウジング27の外壁内面より内側に埋没するので、第1のハウジング23を第2のハウジング27のハウジング本体61内で進行させる。そして、係合部材51の爪部59の位置がハウジング本体61の係合孔67に到達した時点で、有弾性のスペーサ49が弾性復帰し、図8のように第1のハウジング23の係合部材51の爪部59が第2のハウジング27の係合孔67に係合する。
【0048】
これと併行して、当接体31の先端面が端面保護カバー29の端面周縁部に当接する。そうすると、端面保護カバー29の弾性筒部71が図6及び図8のように例えば蛇腹状等に撓むなどして、その軸方向に縮んだ状態になる。このとき、端面保護カバー29の内部に収納されていた第1の光ファイバ21側のフェルール33は、蓋体83を外側に押しのけるようにしてスリット81から付き出し、これによりフェルール33の先端部39が端面保護カバー29から外部先端方向に露出され、両光ファイバ21,25同士の光結合がなされる。
【0049】
このように、この第2の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、両ハウジング23,27同士を嵌合させるだけで、当接体31の先端面が端面保護カバー29の端面周縁部に当接し、これにより端面保護カバー29から第1の光ファイバ21側のフェルール33を露出させて光結合を行うことができるので、従来のように保護用のキャップを取り外すなどの特別の作業を要せずに、光ファイバ21,25同士の光結合を行うことができる。
【0050】
また、図8の状態から、両ハウジング23,27を切り離す場合にも、第1の実施の形態と同様に、係合孔67から外部に付きだした係合部材51の爪部59を内側に押圧してスペーサ49を内側方向に変形させ、係合部材51と係合孔67との係合を解除した後、第1のハウジング23を第2のハウジング27のハウジング本体61から引き抜けばよい。
【0051】
このとき、第2のハウジング27側の当接体31と、第1のハウジング23側の端面保護カバー29の端面周縁部との当接が解除されるため、端面保護カバー29の有弾性の弾性筒部71が図5に示した自然状態に弾性復帰し、当該弾性筒部71内にフェルール33が収納されることから、閉塞面壁73の蓋体83のフェルール33の外周面に対する当接も解除され、これにて蓋体83が弾性復帰して、フェルール33の先端面が閉塞面壁73の蓋体83により閉塞された状態に復帰する。
【0052】
したがって、第1のハウジング23が第2のハウジング27に嵌合していないときには、第1の光ファイバ21の先端面が閉塞面壁73により常時閉塞された状態になるため、第1の光ファイバ21の先端面の保護を確実に行うことができる。特に、一旦両ハウジング23,27同士を嵌合した後、修理時等において両ハウジング23,27を取り外したときにも、第1の光ファイバ21の先端部が自動的に保護された状態となるので、従来のように新たにキャップを装着するなどの特別な作業が不要となる。
【0053】
また、上記構成だと、端面保護カバー29に当接体31を当接させるだけの構造を採用しているので、両ハウジング23,27の構造が極めて簡単なもので済み、よって光ファイバ端面を確実に且つ安価に保護することが可能となる。
【0054】
尚、本発明の端面保護カバー29の形状は、図3及び図5に示したものに限られず、当接体31の当接によりフェルール33の先端面が露出する形状であれば、どのような形状を採用しても差し支えない。
【0055】
また、上記実施の形態では、第2のハウジング27が、第2の光ファイバ25の先端部のフェルール35を保持する構成となっていたが、当接体31により第1のハウジング23側の端面保護カバー29に当接して当該端面保護カバー29から第1の光ファイバ21の先端部を露出させる構成であればどのようなものであってもよく、例えば、第2の光ファイバ25ではなく光電素子を内蔵するものであっても差し支えない。
【0056】
また、端面保護カバー29の弾性筒部71は、図3及び図5に示したような正円筒状に限られず、例えば蛇腹状に形成されても差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタの切り離し状態を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタの嵌合状態を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタの端面保護カバーを示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタの端面保護カバーから光ファイバの先端部が露出した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る光コネクタの端面保護カバーを示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る光コネクタの端面保護カバーから光ファイバの先端部が露出した状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る光コネクタの切り離し状態を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る光コネクタの嵌合状態を示す断面図である。
【図9】従来の光コネクタを示す断面図である。
【符号の説明】
【0058】
21,25 光ファイバ
23,27 ハウジング
28 スリット
29 端面保護カバー
31 当接体
33,35 フェルール
44 ハウジング本体
45 貫通孔
47 中間壁
49 スペーサ
51 係合部材
57 基部
59 爪部
61 ハウジング本体
63 嵌合孔
65 後壁
67 係合孔
71 弾性筒部
73 閉塞面壁
73a〜73d 壁片
81 スリット
83 蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの先端部を保持した第1のハウジングと、当該第1のハウジングに嵌合して前記第1の光ファイバに対して光結合を行うための第2のハウジングとを備えた光コネクタであって、
前記光ファイバの先端部を保持する前記第1のハウジングと、
前記第1のハウジングに嵌合する前記第2のハウジングと、
前記光ファイバの先端面を保護する端面保護カバーと
を備え、
前記端面保護カバーが、
前記光ファイバの先端部の外周を覆うように配置されて軸方向に縮むことが可能な有弾性の弾性筒部と、
前記弾性筒部の先端面に配置されて前記弾性筒部が自然状態で前記光ファイバの先端面を閉塞するとともに、前記弾性筒部が軸方向に縮むときに前記光ファイバの先端面が突き抜け可能なスリットが形成された閉塞面壁と
を備え、
前記第2のハウジングに、前記両ハウジング同士が嵌合する際に、前記端面保護カバーに当接して前記弾性筒部を軸方向に縮ませるための当接体が形成されたことを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の光コネクタであって、
前記スリットが略十字形状に形成されて、前記閉塞面壁が4つの三角形状の壁片に4分割されたことを特徴とする光コネクタ。
【請求項3】
請求項1に記載の光コネクタであって、
前記スリットが円弧状に形成されて、前記閉塞面壁に略円形の蓋体が形成されたことを特徴とする光コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−91651(P2006−91651A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−279244(P2004−279244)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】