説明

光コネクタ

【課題】高密度に配された場合でも、光アダプタから簡単に取り外すことができる光アダプタを低コストに提供する。
【解決手段】本発明の光コネクタ20は、第1操作レバー24から後方に延びた第2操作レバー25を備える。第2操作レバー25の後方端部を押し上げることで、あるいは、第2操作レバー25を前方に押し込むことにより、第1操作レバー24を前方に傾倒させることができる。これにより、第1操作レバー24の前方端部24aで係止レバー23の後方端部23bを押下げ、係止レバー23と光アダプタとの係合を解除し、光コネクタ20を光アダプタから取り外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
光コネクタは、光ファイバを、他の光ファイバや光通信モジュールと光通信可能に接続するためのものである。例えば、光ファイバケーブルの先端に設けられた光コネクタを、光アダプタ(あるいは光レセプタクル、以下同様)に装着することにより、当該光ファイバケーブルと、他の光ファイバケーブルや光通信モジュールとが光通信可能に接続される。
【0003】
光コネクタの一種として、光アダプタからの抜け止めを行う係止レバーを有するものがある(例えば、特許文献1)。この種の光コネクタ1は、例えば図14に示すように、フェルール11と、フェルール11を内部に保持するハウジング12と、ハウジング12の上面から後方に向けて斜め上方に延びた係止レバー13とを有する。光コネクタ1を光アダプタ2(図2に鎖線で示す)に装着すると、係止レバー13の係止部13aと光アダプタ2とが係合することで、光コネクタ1の光アダプタ2からの抜けが規制される。この状態で、係止レバー13を上方から押さえると、係止レバー13の係止部13aと光アダプタ2との係合が解除され、光コネクタ1を光アダプタ2から取り外すことができる。
【0004】
しかし、光コネクタ1を光アダプタ2に装着した状態では、係止レバー13の大部分が光アダプタ2の内部に収容されるため、光コネクタ1を取り外す際に係止レバー13を上方から押さえにくい。このため、図14に示すように、係止レバー13の後方に、前方へ向けて斜め上方に延びた操作レバー14が設けることがある。この操作レバー14を上方から押さえることにより、操作レバー14の前方端部で係止レバー13の後方端部が押し下げられ、係止レバー13の係止部13aと光アダプタ2との係合を解除することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−109978号公報
【特許文献2】特開2009−229545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような光コネクタ1は、光アダプタから取り外すときに操作レバー14を上方から押さえる必要があるため(図14の矢印E参照)、光コネクタ1の上方にスペースが必要となる。また、操作レバー14を押さえたときに光コネクタ1を下方から支持する必要があるため(図14の矢印F参照)、光コネクタ1の下方にもスペースが必要となる。すなわち、光コネクタ1を光アダプタ2から取り外すためには、光コネクタ1の上下に十分なスペースが必要となる。
【0007】
例えば大型の光サーバ機器100の背面には、図15に示すように多数の光アダプタ2(光接続端子)が高密度に設けられる。これらの光アダプタ2に光コネクタ1を装着した状態では、光コネクタ1の上下のスペースSが非常に小さくなる。このような極小のスペースSに指(あるいは治具等)を入れて、操作レバー14を上方から押さえると共にハウジング12を下方から支持することは非常に困難であるため、光コネクタ1の取り外し作業に手間がかかる。
【0008】
例えば特許文献2には、操作レバー(解除レバー)の後方にスライダを備えた光コネクタが示されている。この光コネクタによれば、スライダを後方にスライドさせることにより、スライダに設けたテーパ面と操作レバーとを係合させ、操作レバーを押下げることができる。しかし、このようなスライダは、ハウジングに対してスライド可能で、且つ、操作レバーを押し下げるテーパ面を有する複雑な構成であるため、製造コスト高を招くことになる。
【0009】
本発明の解決すべき課題は、高密度に配された場合でも光アダプタから簡単に取り外すことができる光アダプタを、低コストに提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は、光ファイバの先端に取り付けられるフェルールと、フェルール及び光ファイバを内周に保持する保持部材と、光アダプタと係合する係止部を有し、前方端部が保持部材の一側面に接続され、後方端部が前記一側面から離反された係止レバーと、係止レバーの後方に設けられ、後方端部が前記一側面に接続され、前方端部が前記一側面から離反され、該前方端部と前記一側面との間に係止レバーの後方端部が配された第1操作レバーと、第1操作レバーから後方に延びた第2操作レバーとを備え、第2操作レバーの後方端部を押し上げることにより、あるいは、第2操作レバーの後方端部を前方に押し込むことにより、第1操作レバーを前方に傾倒させ、これにより第1操作レバーの前方端部で係止レバーの後方端部を押し下げて前記係止部と光アダプタとの係合を解除可能とし、第2操作レバーの後方端部が、常に第1操作レバーの後方端部より後方に配された光コネクタを提供する。
【0011】
このように、本発明の光コネクタは、第1操作レバーから後方に延びた第2操作レバーを有しているため、第2操作レバーの後方端部を押し上げる(すなわち保持部材の一側面から離反させる)ことにより、あるいは、第2操作レバーを前方に押し込むことにより、第1操作レバーを前方に傾倒させることができる。これにより、第1操作レバーの前方端部で係止レバーの後方端部を押し下げ(すなわち保持部材の一側面に接近させ)、係止レバーと光アダプタとの係合を解除し、光コネクタを光アダプタから取り外すことができる。この場合、第1操作レバーを上方から押さえる必要がないため、第1操作レバーを押さえるための上方のスペースや、第1操作レバーを押さえたときに光コネクタを下方から支持するための下方のスペースが必要ない。従って、光コネクタの上下にスペースがほとんど無い場合でも、光コネクタを光アダプタから簡単に取り外すことができる。また、第1操作レバーから後方に延びた第2操作レバーを設けるだけで済むため、上記特許文献2のスライダのように別個の部材を設ける必要がなく、製造コストを抑えることができる。尚、光ファイバの延在方向で、光ファイバの先端側を「前方」、その反対側を「後方」と言う(図1参照、以下同様)。
【0012】
第2操作レバーを押し上げ、あるいは、前方に押し込んだとき、第2操作レバーが大きく弾性変形してしまうと、第1操作レバーの変形量が小さくなり、係止レバーを十分に押下げることができない恐れがある。このため、第1操作レバーは第2操作レバーよりも変形しやすくすることが好ましい。例えば、第1操作レバーの根元部(第1操作レバーのうち、第2操作レバーとの接続部と後方端部との間の領域)の厚さを、第2操作レバーの厚さよりも薄くすれば、第1操作レバーの剛性が第2操作レバーよりも小さくなり、第1操作レバーを第2操作レバーより変形させやすくすることができる。尚、ここで言う厚さとは、第1操作レバーあるいは第2操作レバーの延在方向と直交する方向の厚さである。
【0013】
あるいは、第1操作レバーのできるだけ前方部分に第2操作レバーを接続すれば、第1操作レバーの支点(後方端部)から力点(第2操作レバーとの接続部)までの距離が長くなり、第1操作レバーを変形させやすくすることができる。例えば、第1操作レバーの延在方向の中央部よりも先端側に第2操作レバーを接続することが可能である。
【0014】
また、第2操作レバーの延在方向長さを長くすれば、第2操作レバーの支点(前方端部)から力点(後方端部)までの距離が長くなり、第2操作レバーの操作に要する力を低減することができる。例えば、第2操作レバーの後方端部を、第1操作レバーの後方端部より後方まで延ばすことが可能である。
【0015】
光コネクタを取り外す際、第2操作レバーを押し上げ、あるいは、前方に押し込むと、第1操作レバーと第2操作レバーとの接続部にモーメント荷重が加わるため、両者の接続部の強度を高める必要がある。例えば、第1操作レバーと第2操作レバーとを一体成形することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、高密度に配された場合でも光アダプタから簡単に取り外すことができる光コネクタを、低コストに得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る光コネクタの側面図である。
【図2】上記光コネクタの操作レバーユニットの斜視図である。
【図3】上記光コネクタを光アダプタから取り外すときの変形の様子を示す側面図である。
【図4】光サーバ機器に取り付けられた光コネクタを示す側面図である。
【図5】他の実施形態に係る光コネクタの側面図である。
【図6】図5の光コネクタの操作レバーユニットの斜視図である。
【図7】他の実施形態に係る光コネクタの側面図である。
【図8】図7の光コネクタの操作レバーユニットの斜視図である。
【図9】他の実施形態に係る光コネクタの側面図である。
【図10】図9の光コネクタの操作レバーユニットの斜視図である。
【図11】他の実施形態に係る光コネクタの側面図である。
【図12】図11の光コネクタの操作レバーユニットの斜視図である。
【図13】他の実施形態に係る光コネクタの側面図である。
【図14】従来の光コネクタの側面図である。
【図15】光サーバ機器に取り付けられた従来の光コネクタを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1に、本発明の一実施形態に係る光コネクタ20を示す。この光コネクタ20は、LC型光コネクタであり、光ファイバを内部に有する光ファイバケーブル3の先端に取り付けられる。光コネクタ20は、光ファイバ(図示省略)の先端に取り付けられたフェルール21と、フェルール21を内部に保持する保持部材としてのハウジング22と、ハウジング22の上面に設けられた係止レバー23と、係止レバー23の後方に設けられた第1操作レバー24と、第1操作レバー24から後方に延びた第2操作レバー25と、ハウジング22の後方に設けられたブーツ27とを主に備える。尚、以下の説明では、光ファイバの延在方向(図1の左右方向)を「光軸方向」と言い、光軸方向で光ファイバの先端側(図1の左側)を「前方」、その反対側(図1の右側)を「後方」と言う。また、光軸方向と直交する方向のうち、図1の上下方向を「上下方向」と言い、光軸方向及び上下方向の双方と直交する方向、すなわち図1の紙面と直交する方向を「幅方向」と言う。
【0020】
フェルール21は、光軸方向に貫通する挿通孔を有し(図示省略)、この挿通孔に、光ファイバケーブル3の内部に設けられた光ファイバが挿通される。光コネクタ20を光アダプタに装着し、フェルール21の先端部を相手方の光コネクタのフェルールの先端部と当接させることにより、光ファイバが相手方の光ファイバと光通信可能に接続される。
【0021】
ハウジング22は、例えば樹脂で略直方体に形成され、光アダプタの装着穴に適合した形状を成している。ハウジング22の内部には、フェルール21が保持される。フェルール21の先端部は、ハウジング22から前方に突出している。ハウジング22の内部にはスプリング(図示省略)が設けられ、このスプリングでフェルール21が前方に付勢された状態で保持されている。
【0022】
係止レバー23は、前方端部がハウジング22の上面に接続されると共に、後方端部がハウジング22の上面から離反している。これにより、係止レバー23の後方端部23bを弾性的に上下動させることができる。本実施形態では、係止レバー23がハウジング22の上面から後方に向けて斜め上方に延びている。また、本実施形態では、係止レバー23とハウジング22とが樹脂で一体成形される。係止レバー23の中間部には係止部23aが設けられる。この係止部23aと、光アダプタに設けられた係止部(図示省略)とが光軸方向で係合することにより、光コネクタ20の光アダプタからの抜け止めが行なわれる。係止レバー23の後方端部23bを弾性的に押し下げると、係止部23aと光アダプタとの係合を解除することができる。
【0023】
第1操作レバー24は、後方端部24bがハウジング22の上面に接続されると共に、前方端部24aがハウジング22の上面から離反している。これにより、第1操作レバーの前方端部24aを弾性的に上下動させることができる。本実施形態では、第1操作レバー24は、後方端部24bが取付部26を介してハウジング22に接続され、取付部26の上面から前方へ向けて斜め上方に延びている。取付部26は筒状に形成され、ハウジング22の外周面に嵌合している。第1操作レバー24の前方端部24aとハウジング22の上面との間には係止レバー23の後方端部23bが配される。すなわち、係止レバー23の後方端部23bの上方に第1操作レバー24の前方端部24aが配される。
【0024】
第2操作レバー25は、第1操作レバー24から後方に延びる。第2操作レバー25の後方端部25aは、第1操作レバー24に対して弾性的に上下動させることができる。第2操作レバー25の後方端部25aは、第1操作レバー24の後方端部24bよりも後方に配されている。本実施形態では、第2操作レバー25が平板状を成し、後方に向けて斜め上方に若干傾斜している。第2操作レバー25は、第1操作レバー24の上端部を越えないように設けることが好ましい。光コネクタ20を高密度に配設した場合でも、光コネクタ20の周囲のスペースをできるだけ確保するためである。また、本実施形態では、図2に示すように、第1操作レバー24、第2操作レバー25、及び取付部26が操作レバーユニットとして一体成形されている。
【0025】
図3に示すように、第2操作レバー25の後方端部25aを上方に押し上げると(矢印A参照)、第2操作レバー25と第1操作レバー24との接続部24cにモーメント荷重が加わり、第1操作レバー24が後方端部24bを支点として前方に傾倒する(図2に点線で示す)。詳しくは、第1操作レバー24の接続部24cと後方端部24bとの間の根元部24dが弾性変形し、第1操作レバー24が前方に傾倒する。これにより、第1操作レバー24の前方端部24aが係止レバー23の後方端部23bを押下げ(矢印B参照)、係止レバー23の係止部23aと光アダプタとの係合が解除される。
【0026】
第1操作レバー24及び第2操作レバー25の形状は、第2操作レバー25を押し上げたときに、第1操作レバー24の根元部24dが最も大きく変形するように設計され、すなわち、第1操作レバー24の根元部24dに加わる応力が最も大きくなるように設計される。例えば、第1操作レバー24の根元部24dの剛性よりも第2操作レバー25の剛性が高くなるように設計される。図示例では、第1操作レバー24の根元部24dの厚さD1が第2操作レバー25の厚さD2よりも薄くなっている(D1<D2)。
【0027】
また、第1操作レバー24の根元部24dの延在方向長さが長いと、力点(接続部24c)から支点(後方端部24b)までの距離が長くなるため、根元部24dを変形させるために要する力が低減される。本実施形態では、第1操作レバー24の延在方向中央部よりも先端側に接続部24cが設けられている。
【0028】
また、第2操作レバー25の延在方向長さが長いと、力点(後方端部25a)から支点(接続部24c)までの距離が長くなるため、第1操作レバー24を傾倒させるために要する力が低減される。本実施形態では、第2操作レバー25の後方端部25aが第1操作レバー24の後方端部24bよりも後方まで延びている。
【0029】
ところで、第1操作レバー24の根元部24dの延在方向長さを短くしたり、第2操作レバー25の延在方向長さを短くしたりすると、操作に要する力が大きくなる反面、少しの操作量で第1操作レバー24の前方端部24aを大きく押下げることができる。従って、第1操作レバー24の根元部24dや第2操作レバー25の延在方向長さは、係止レバー23の押下げに要する力の大きさと第2操作レバー25の操作量とのバランスを鑑みて設計すればよい。
【0030】
上述のように、光コネクタ20の第2操作レバー25を押し上げることにより、第1操作レバー24で係止レバー23を押下げ、係止レバー23の係止部23aと光アダプタとの係合を解除することができる。従って、例えば図4に示すように、光サーバ機器100の背面に高密度に配された光アダプタ2に装着され、光コネクタ20の上下のスペースSが非常に小さい場合であっても、光コネクタ20を光アダプタ2から簡単に取り外すことができる。具体的には、図示のように、第2操作レバー25とブーツ27との間に指(あるいは治具等)を挿入し、第2操作レバー25を押し上げることにより、光コネクタ20が光アダプタ2から取り外される。
【0031】
このとき、光サーバ機器100の内部には他の光コネクタ(図示省略)が設けられ、この光コネクタのフェルールと上記の光コネクタ20のフェルール21とが付き合わされて、光通信可能に接続されている。このとき、フェルール21同士が、スプリングの弾性力により先端側に付勢された状態で付き合わされている。この状態で、第2操作レバー25を押し上げて、係止レバー23の係止部23aと光アダプタ2との係合を解除すると、スプリングの反力により光コネクタ20が後方に付勢されるため、より一層簡単に光コネクタ20を取り外すことができる。
【0032】
本発明は、上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記の実施形態と同様の機能を有する箇所には同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0033】
上記の実施形態では、第2操作レバー25が平板状を成しているが、これに限られない。例えば、図5及び図6に示す光コネクタ30の第2操作レバー35は、延在方向中間部が下方に若干膨らむように湾曲している。具体的に、第2操作レバー35の前方端部35aは、前方へ向けて僅かに斜め上方を向いている。これにより、図1に示す実施形態と比べて、第1操作レバー24と第2操作レバー35との接続領域が広がるため、モーメント荷重に対する強度を高めることができる。また、第2操作レバー35の後方端部35bは、後方へ向けて僅かに斜め上方を向いている。これにより、第2操作レバー35とブーツ27との間に指や治具等を挿入しやすくなり、光コネクタの取り外し作業がさらに容易化となる。
【0034】
図7及び図8に示す光コネクタ40の第2操作レバー45は、延在方向中間部で折れ曲げられた略V字形状を成す。第2操作レバー45の前方部分45aの光軸方向に対する傾斜角度は、図5及び図6に示す実施形態と比べて大きく、より第1操作レバー24の角度に近づいている。これにより、第1操作レバー24と第2操作レバー45との接続領域がさらに広がり、強度がさらに高められる。また、第2操作レバー45の折れ曲がり部45cとブーツ27との間の隙間δが小さく、且つ、第2操作レバー45の後方部分45bが後方へ向けて斜め上方に傾斜しているため、指や治具等を第2操作レバー45の折れ曲がり部45cとブーツ27との間に滑り込ませるだけで第2操作レバー45を簡単に押し上げることができる。
【0035】
以上の実施形態では、第2操作レバー25,35,45を押し上げることで第1操作レバー24を前方に傾倒させ、係止レバー23を押下げる場合を示しているが、これに限らず、例えば、第2操作レバーを前方に押し込んで第1操作レバー24を前方に傾倒させてもよい。図9及び図10に示す光コネクタ50は、第2操作レバー55を前方に押し込みやすくしたものである。具体的に、第2操作レバー55は、第1操作レバー24から後方に延びた平板状の水平部55aと、水平部55aの後方端部から下方に延びた垂直部55bとからなる。第2操作レバー55の垂直部55bを前方に押し込むことにより(図9の矢印C参照)、第1操作レバー24が前方に傾倒し、これにより係止レバー23が押下げられる(図9の矢印D参照)。このように、第2操作レバー55の後方端部に、光軸方向と垂直な平板状の垂直部55bを設けることで、第2操作レバー55に指や治具等を当接させる面積が確保され、第2操作レバー55を前方に押し込みやすくなる。
【0036】
例えば図1に示す実施形態の光コネクタ20において、第2操作レバー25の下方に光ファイバケーブルが潜り込み、この光ファイバケーブルが上下方向に動くと、第2操作レバー25が誤って押し上げられ、光コネクタ20が光アダプタから外れる恐れがある。かかる事態を防止するために、第2操作レバー25の後方端部25aとブーツ27との間の隙間はなるべく小さい方が好ましい。一方、第2操作レバー25を押し上げる際の操作性を考慮すると、第2操作レバー25の後方端部25aとブーツ27との間に所定の隙間を確保する必要がある。そこで、図11及び図12に示す光コネクタ60の第2操作レバー65は、後方端部を下方に屈曲させて折り返し部65aを形成している。これにより、第2操作レバー65の後方端部(折り返し部65a)とブーツ27との間の隙間εを小さくすることができるため、第2操作レバー65の下方に光ファイバケーブルが潜り込む事態を防止することができる。また、折り返し部65aが前方に向けて斜め下方に延びているため、折り返し部65aとブーツ27との間に指や治具等を滑り込ませることにより、第2操作レバー65を簡単に押し上げることができる。
【0037】
また、本発明は、図13に示すような、一対のフェルール21及びハウジング22を一体に有する2芯型の光コネクタ70に適用することもできる。この光コネクタ70は、一対のフェルール21及びハウジング22を一体化する取付部76と、取付部76から延びた第1操作レバー74と、第1操作レバー74から後方に延びた第2操作レバー75とを有する。第1操作レバー74は、一対のハウジング22にそれぞれ設けられた一対の係止レバー23に跨って設けられる。第2操作レバー75を押し上げて第1操作レバー74を前方に傾倒させると、一対の係止レバー23が同時に押下げられる。
【0038】
また、以上の実施形態では、図3に示すように、第1操作レバー24の根元部24dが略均一な厚さD1で形成され、第2操作レバー25が略均一な厚さD2で形成されているが、これに限らず、これらの何れかあるいは双方の厚さを場所によって異ならせてもよい。例えば、第2操作レバー25のうち、最も大きな応力(モーメント荷重)が加わる前方端部のみを他の領域よりも厚く形成することができる。この場合、第2操作レバー25の少なくとも前方端部の厚さを、第1操作レバー24の根元部24dよりも厚くすることが好ましい。
【0039】
また、上記の実施形態では、例えば図2に示すように、第1操作レバー24の根元部24dの幅方向寸法と第2操作レバー25の幅方向寸法とがおおよそ同じであるが、これらの幅方向寸法を異ならせることにより、それぞれの剛性を調整しても良い。
【0040】
また、以上の実施形態では、第1操作レバーと第2操作レバーとが一体に設けられているが、第2操作レバーは第1操作レバーと別体に設けても良い。ただし、上述のように、これらを一体成形した方が、モーメント荷重が加わる接続部の強度を高めることができるため好ましい。
【0041】
また、以上の実施形態では、保持部材がハウジング22であり、第1操作レバー24の後方端部24bがハウジング22の上面に取付部26を介して接続される場合を示し1ているが、これに限られない。例えば、保持部材を、ハウジングと、ハウジングの後方開口部に設けられたキャップ(図示省略)とで構成し、このキャップに第1操作レバー24を接続してもよい。あるいは、保持部材を、ハウジング及びブーツで構成し、ブーツに第1操作レバー24を接続してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 光コネクタ
11 フェルール
12 ハウジング
13 係止レバー
13a 係止部
14 操作レバー
2 光アダプタ
3 光ファイバケーブル
20,30,40,50,60 ,70光コネクタ
21 フェルール
22 ハウジング
23 係止レバー
23a 係止部
24b 後方端部
24,64 第1操作レバー
24a 前方端部
24b 後方端部
24c 接続部
24d 根元部
25,35,45,55,65 ,75第2操作レバー
26,66 取付部
27 ブーツ
100 光サーバ機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの先端に取り付けられるフェルールと、フェルール及び光ファイバを内周に保持する保持部材と、光アダプタと係合する係止部を有し、前方端部が保持部材の一側面に接続され、後方端部が前記一側面から離反された係止レバーと、係止レバーの後方に設けられ、後方端部が前記一側面に接続され、前方端部が前記一側面から離反され、該前方端部と前記一側面との間に係止レバーの後方端部が配された第1操作レバーと、第1操作レバーから後方に延びた第2操作レバーとを備え、
第2操作レバーの後方端部を押し上げることにより、あるいは、第2操作レバーの後方端部を前方に押し込むことにより、第1操作レバーを前方に傾倒させ、これにより第1操作レバーの前方端部で係止レバーの後方端部を押し下げて前記係止部と光アダプタとの係合を解除可能とし、
第2操作レバーの後方端部が、常に第1操作レバーの後方端部より後方に配された光コネクタ。
【請求項2】
第1操作レバーの根元部の厚さが、第2操作レバーの厚さよりも薄い請求項1記載の光コネクタ。
【請求項3】
第1操作レバーと第2操作レバーとが一体成形された請求項1記載の光コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−168569(P2012−168569A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134823(P2012−134823)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【分割の表示】特願2010−149777(P2010−149777)の分割
【原出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000175722)サンコール株式会社 (96)
【Fターム(参考)】