説明

光コネクタ

【課題】 フェルールを収容するプラグフレーム1と、このプラグフレーム1に後端開口部から挿入されて前記フェルールのフランジ部をスプリングを介してプラグフレーム1内の段部に押し付けるストップリング3とを備え、プラグフレーム1とストップリング3が、ストップリング3の外周面に互いに反対方向に突出するように形成された1対の鍔部29がプラグフレーム1に形成された1対のスリット31に落ち込むことで互いに結合されるようになっている光コネクタにおいて、プラグフレーム1とストップリング3を結合するときに、鍔部29が確実にスリット31に落ち込むようにして、不完全結合をなくす。
【解決手段】 プラグフレーム1の内周面に、ストップリング3の鍔部29を、後端開口部からスリット31まで案内するガイド溝37を形成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバコード等の接続に使用される光コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の光コネクタを図3に示す。図において、1は後述するフェルールを収容するプラスチック製のプラグフレーム、3は金属製のストップリング、5はスプリングである。ストップリング3はプラグフレーム1に後端開口部から挿入されてフェルールのフランジ部をスプリング5を介してプラグフレーム1内の段部7に押し付けるものである。また9はカシメリング、11は押さえリング、13はゴムフード、15はツマミである。
【0003】この光コネクタは図4のようにして光ファイバコードの端部に取り付けられる。まず(a)に示すように光ファイバコード17に、ゴムフード13、押さえリング11、カシメリング9、ストップリング3、スプリング5を、この順で挿通する。次に(b)のように光ファイバコード17の端部のシース19を剥いで、抗張力繊維21、心線23、光ファイバ25を露出させる。次に(c)のように光ファイバ25をフェルール27に挿入して心線23の端部にフェルール27を接着固定する。その後フェルール27の端面を研磨する。
【0004】次に(d)に示すようにスプリング5とストップリング3を引き戻して、ストップリング3の先端側にプラグフレーム1を結合し、フェルール27をプラグフレーム1内に収容する。その後ストップリング3の後端側外周に抗張力繊維21を配置してその上からカシメリング9を圧着する。次に(e)に示すようにカシメリング9の後端側外周にシース19の端部を配置してその上から押さえリング11を圧着し、その上にゴムフード13を被せる。最後に(f)のようにツマミ15を装着すれば、光コネクタの取付けが完了する。
【0005】このような光コネクタの場合、プラグフレーム1とストップリング3との結合構造は次のようになっている。すなわち、ストップリング3の外周面には図5R>5に示すように、互いに反対方向に突出する1対の鍔部29が形成されている。またプラグフレーム1の後端開口部側には前記鍔部29に対応する1対のスリット31が形成され、かつスリット31の中心から周方向に90°ずれた位置に一対の割り33が形成されている。
【0006】このため、プラグフレーム1に後端開口部からストップリング3を挿入していくと、プラグフレーム1は鍔部29によって割り33が開く方向にいったん押し広げられ、その後、鍔部29がスリット31に落ち込むと、弾性復元力で元の状態に戻る。これによって鍔部29とスリット31が図3(b)のように係合し、プラグフレーム1とストップリング3が結合された状態となる。そしてこの状態になると、スプリング5が圧縮されてフェルール27のフランジ部35(図4(d)参照)がプラグフレーム1内の段部7(図3(b)参照)に押し付けられ、フェルール27が定位置に保持されることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の光コネクタは、プラグフレーム1にストップリング3を挿入する際に、両者の周方向の位置関係が規制されていないため、鍔部29とスリット31が周方向にずれて、鍔部23がスリット31に落ち込まないことがある。このため正しく結合させるためには鍔部29とスリット31の周方向の位置を合わせながら挿入を行う必要があり、作業が面倒であるだけでなく、もし不完全な結合のまま製品が出荷されると、光コネクタの着脱操作によってプラグフレーム1やフェルール27が脱落してしまうという問題がある。
【0008】本発明の目的は、以上のような問題点に鑑み、プラグフレームとストップリングを確実に正常な状態で結合できる光コネクタを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため本発明は、光ファイバの端部に固定されるフェルールを収容するプラグフレームと、このプラグフレームに後端開口部から挿入されて前記フェルールのフランジ部をスプリングを介してプラグフレーム内の段部に押し付けるストップリングとを備え、前記プラグフレームとストップリングが、ストップリングの外周面に互いに反対方向に突出するように形成された1対の鍔部がプラグフレームに形成された1対のスリットに落ち込むことで互いに結合されるようになっている光コネクタにおいて、前記プラグフレームの内周面に、前記ストップリングの鍔部を、後端開口部からスリットまで案内するガイド溝を形成したことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1及び図2は本発明の一実施形態を示す。この光コネクタは従来同様、光ファイバの端部に固定されるフェルール(図示せず)を収容するプラグフレーム1と、このプラグフレーム1に後端開口部から挿入されて前記フェルールのフランジ部をスプリングを介してプラグフレーム1内の段部に押し付けるストップリング3とを備えている。プラグフレーム1とストップリング3は、ストップリング3の外周面に互いに反対方向に突出するように形成された1対の鍔部29がプラグフレーム1に形成された1対のスリット31に落ち込むことで互いに結合されるようになっている。ここではプラグフレーム1とストップリング3の構成だけを示すが、それ以外の構成は従来の光コネクタと同様である。
【0011】この光コネクタの特徴は、プラグフレーム1の内周面に、ストップリング3の鍔部29を、後端開口部からスリット31まで案内するガイド溝37を形成したことである。ガイド溝37は図2に示すように、スリット31に近づくと徐々に浅くなり、スリット31の縁で消滅するように形成されている。
【0012】このようなガイド溝37を形成しておくと、プラグフレーム1とストップリング3を結合するときには、ガイド溝37に鍔部29が入るように両者の周方向の位置を調整したのち、プラグフレーム1にストップリング3を挿入すれば、鍔部29がガイド溝37に案内されて、両者の周方向の位置関係がずれることなく、鍔部29が確実にスリット31に落ち込むようになる。したがって従来のような不完全結合が発生するのを防止できる。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、プラグフレームの内周面にストップリングの鍔部のガイド溝を設けたことにより、ストップリングの鍔部を確実にプラグフレームのスリットに落ち込ませることができる。このためプラグフレームとストップリングの結合作業が容易になると共に、プラグフレームとストップリングの不完全結合をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る光コネクタの一実施形態を示す要部の斜視図。
【図2】 図1の光コネクタの要部の断面図。
【図3】 従来の光コネクタを示す、(a)は平面図、(b)は半分切開側面図、(c)は底面図、(d)は正面図。
【図4】 (a)〜(f)は図3の光コネクタの組立工程を示す説明図。
【図5】 図3の光コネクタの要部の斜視図。
【符号の説明】
1:プラグフレーム
3:ストップリング
17:光ファイバコード
23:心線
25:光ファイバ
27:フェルール
29:鍔部
31:スリット
33:割り
37:ガイド溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】光ファイバの端部に固定されるフェルール(27)を収容するプラグフレーム(1)と、このプラグフレーム(1)に後端開口部から挿入されて前記フェルール(27)のフランジ部(35)をスプリング(5)を介してプラグフレーム(1)内の段部(7)に押し付けるストップリング(3)とを備え、前記プラグフレーム(1)とストップリング(3)が、ストップリング(3)の外周面に互いに反対方向に突出するように形成された1対の鍔部(29)がプラグフレーム(1)に形成された1対のスリット(31)に落ち込むことで互いに結合されるようになっている光コネクタにおいて、前記プラグフレーム(1)の内周面に、前記ストップリング(3)の鍔部(29)を、後端開口部からスリット(31)まで案内するガイド溝(37)を形成したことを特徴とする光コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開平11−167045
【公開日】平成11年(1999)6月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−335921
【出願日】平成9年(1997)12月5日
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)