光コヒーレンストモグラフィ(OCT)イメージングにおける屈折層を用いた色分散補償プロセス、システム及びソフトウェア構成
イメージの少なくとも一部における分散を補償するシステム、プロセス及びソフトウェア構成が提供される。特に、イメージの一部と関連する情報が取得される。そのイメージの一部は、サンプルから受光した第1の電磁放射と参照物から受光した第2の電磁放射を含む干渉信号と関連することができる。干渉信号の少なくとも一つのスペクトル成分の位相を制御することにより、イメージの少なくとも一部における分散を補償することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に光コヒーレンストモグラフィ(OCT)イメージングにおける色分散補償に関し、特に、OCTイメージにおける分散について補償することが可能なプロセス、システム及びソフトウェア構成に関する。
【背景技術】
【0002】
光コヒーレンストモグラフィ(OCT)のスペクトル領域の改良型、スペクトル領域光コヒーレンストモグラフィ(SD−OCT)と呼ばれる技術は、眼の超高解像度イメージングに適したテクノロジーである。この技術は、センス B他、「スペクトル領域光コヒーレンストモグラフィを用いた超高解像度高速網膜イメージング」、オプティクスエクスプレス、2004年、及び、国際公開第03/062802号パンフレットにおいて説明されている。さらに、2002年10月16日に出願された米国特許出願第10/272171号も同じ主題に関するものである。OCTシステムの軸方向解像度は、コヒーレンス長(Lcoh)について定義される。コヒーレンス長は、光源の中心波長及びバンド幅と物質の屈折率で定義することができる。それらについては、スウェンソン E.A.他、「高速光コヒーレンス領域反射率測定」、オプティクスレター、1992年、17巻、2号、p.151-153に非常に詳しく説明されている。OCTシステムの軸方向解像度は、超広帯域の光源を用いることにより向上できることが、デレクラ W他、「超高解像度光コヒーレンストモグラフィの使用による斑状病変の強調視覚化」、オプサルモロジーアーカイブス、2003年、121巻、5号、p.695-706においてさらに詳しく提供されている。
【0003】
ファイバーベースのOCTセットアップ、例えば眼のイメージングにおける超広帯域光源の使用から生じ得る潜在的な難点の一つは、ガラス、組織及び水のような光学的に密な物質における色分散の存在である。色分散は、軸方向におけるコヒーレンス関数及び/又は点像分布関数を不鮮明にする場合があり、それは像品質に重大な影響を与える可能性がある。干渉計の二つのアームにおける分散のバランスが保たれている場合、分散の相当量を許容することが可能となり、そのため分散アーティファクトがないようにコヒーレンス関数を生成することができる。しかし、サンプルアームと参照アームとが異なる長さの光ファイバーを含んだり、異なる分散性媒質を含む場合、分散の不整合が発生することがある。例えば、OCTシステムのサンプルアームにおいて、未知の軸長を有するサンプルとして眼を分析することは、未知の量の色分散をもたらす場合がある。そのため、アンバランスな分散によってコヒーレンス関数は広げられ、コヒーレンス関数のピーク強度も減少する。ハードウェアの使用、例えば、高速走査光遅延線においてレンズを格子距離に変更することにより、2次または群速度分散を補償することができる。上記については、ターネイ G.J.他、「格子ベース位相コントロール遅延線を用いた高速位相及び群遅延走査」、オプティクスレター、1997年、22巻、23号、p.1811-1813に詳しく説明されている。しかし、一般にこの技術は高次の分散については補償しない。また、参照アームまたはサンプルアームの光路中に異なる分散特性を有する厚さ可変光学物質(BK7と石英ガラスのプリズムなど)を挿入することにより、OCTシステムにおいて分散のバランスをとることが可能である。参照アームまたはサンプルアームの光路中に挿入される異なる光学特性を有する物質の数は、それが補償できる分散の次数を決定し得る。眼の軸長は人毎に異なり、そのため患者間の分散量も異なる。したがって、分散の補償について柔軟な技術が望ましい。
【0004】
そのような補償用ハードウェアを用いる代わりに、ソフトウェアを用いることが可能であり、それによって異なる眼に対してより容易かつ柔軟な補償を適合させることができる。別の刊行物は、光増幅器ベースの光源(例えば、AFC技術、λ0=1310nm、Δλ=75nm)を備えた時間領域OCTシステムの遅延線において生じた分散について、たまねぎから得られた構造強度イメージにおける分散アーティファクトを補償した技術について述べている。デボア J.F.他、「光コヒーレンストモグラフィにおけるステーブルキャリア生成及び位相解像デジタルデータ処理」、アプライドオプティクス、2001年、40巻、31号、p.5787-5790、を参照されたい。別の刊行物は、ガラスサンプルによりもたらされる分散補償について説明している。フェーチャー A.F.他、「数値技術による光コヒーレンストモグラフィの深さ走査信号についての分散補償」、オプティクスコミュニケーションズ、2002年、204(1-6)巻、p.67-74、を参照されたい。それらの広帯域スペクトルは、高圧水銀灯を用いて生成される。マークス D.L.他、「均質な層状化された媒質についての光コヒーレンストモグラフィにおける分散補正用デジタルアルゴリズム」、アプライドオプティクス、2003年、42巻、2号、p.204-217、及び、イメージデータを補正する自己相関関数を用いたアルゴリズムを説明した米国特許第5994690号に、他の分散補償技術が説明されている。しかし、上述した問題は十分に対応されていない。したがって、そのような欠点を解消する必要がある。
【発明の開示】
【0005】
従来技術に対して、本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の例示的な実施態様は、色分散の補償についてのパラメータを得るために、生体サンプル(例えば、網膜、皮膚、冠状動脈)における層または構造の広く分散された反射を用いることを可能とする。本発明による例示的なシステム、プロセス及びソフトウェア構成の利点の一つは、個々の患者またはサンプルの配置に対して、その実装の容易さ、柔軟性、色分散の補償に関してハードウェアを変更する必要のない適応性である。
【0006】
本発明の例示的な実施態様によれば、数値手法を用いて分散を補償可能であり(例えば、ハードウェア変更の必要なく)、OCTイメージからアーティファクトを除去するように構成されたプロセス、システム及びソフトウェア構成が提供される。
【0007】
一般に、干渉計のサンプルアームと参照アーム間の分散の不整合は、波数ベクトルk(k=2π/λ)の関数として、クロススペクトル密度I(k)における位相シフトeiθ(k)を生じさせる。ウォジュコウスキ他、「フーリエ領域光コヒーレンストモグラフィによる生体内人網膜イメージ」、ジャーナルオブバイオメディカルオプティクス、2002年、7巻、3号、p.457-463、ナシフ N.他、「超高速光コヒーレンストモグラフィによる生体内人網膜イメージ」、オプティクスレター、2004年、29巻、5号、p.457-463、ヤン S.H.他、「高速光周波数領域イメージング」、オプティクスエクスプレス、2003年、11巻、22号、p.2953-2963、国際公開第03/062802号パンフレット、及び2004年10月27日に出願された米国特許出願第60/514769号に記載されているように、スペクトル領域OCTまたは光周波数領域干渉計(OFDI)セットアップにおいて、分光データを波長の関数として取得することができる。そのようなデータをk空間へ変換してもよい。位相θ(k)と分散の複数の次数との関係は、テイラー展開により、以下のように記述できる。
【数1】
ここでk0=2π/λ0であり、λ0は中心波長である。最初の二つの項は、一般にそれぞれ定数のオフセット及び群速度を記述し、分散の広がりとはほぼ無関係である。3番目の項は2次または群速度分散を表す。サンプルアームと参照アームにおける分散の不整合は、この項が大きく広がることを原因とすることができる。しかし、例えば、超広帯域の光源が使用される場合、より高次の分散項も分散の不整合に寄与することもある。
【0008】
分散は、位相項e-iθ(k)を有するクロススペクトル密度関数I(k)を乗じることによって除去できる。色分散及び生じたコヒーレンス関数の広がりを除去する位相項e-iθ(k)を求めるために、反射を用いたサンプルアームにおける物体を用いてデータを干渉計で取得してもよい。この物体は、ミラー又ははっきりとした反射をする生体サンプルとすることができる。スペクトル領域OCTシステムで取得されたスペクトル、I(k)は、z空間へフーリエ変換され、サンプルの反射性の深さプロファイルが得られる。その深さプロファイルにおいて単一の反射ピークが求められ、その深さプロファイルの他の点はゼロに設定される。逆変換を実行して、この単一の反射ピークについてクロススペクトル密度を得ることができる。位相項θ(k)は、実数成分から分離された虚数成分のアークタンジェントとほぼ等しいとすることができる。
【0009】
位相関数上のノイズを減衰させ、位相のオフセット及び/又は群速度の取り込みによるイメージにおけるディストーションを避けるために、この関数を係数α1-αNのN個のセットで与えられる多項式表現にフィットさせることができる。多項式係数から求められるように個々のスペクトルに位相e-iθ(k)を乗じてもよく、ここで位相オフセット及び群速度に対応する多項式の最初の二つの係数は省略される。そして色分散補正されたスペクトルをA線内へz空間についてフーリエ変換し、その結果、分散は実質的に除去されたA線または深さプロファイルを得ることができる。
【0010】
本発明の例示的な実施態様の一つにおいて、イメージの少なくとも一部における分散を補償するシステム、方法及びソフトウェア構成を提供することができる。例えば、イメージの一部と関連した情報が取得される。イメージの一部を、サンプルから受光した第1の電磁放射と参照物から受光した第2の電磁放射を含む干渉信号と関連付けることができる。イメージの少なくとも一部分における分散を、干渉信号の少なくとも一つのスペクトル成分の位相をコントロールすることによって補償することができる。分散は、第1と第2の電磁放射間の差の表れとなり得る。なお、その分散を、イメージの一部の分散を減衰又は/及び除去することにより補償してもよい。さらに、サンプルの組織における反射層と関連するデータを干渉信号から求めてもよく、そのデータからもたらされる分散と関連する情報を得ることができる。そのような情報をデータから分散を減衰及び/又は除去するために使用してもよい。イメージの一部のスペクトル成分の位相は、ソフトウェアを用いてコントロールすることができる。
【0011】
本発明の他の例示的な実施態様によれば、干渉信号の少なくとも一つのスペクトル成分の位相をコントロールするよりも前に、分散の量を定量化してもよく、その定量化に基づいてイメージにおける分散を補正してもよい。その分散は色分散とすることができる。イメージの分散と関連するデータを求めてもよく、そのデータを用いて分散を定量化し、その定量化に基づいてイメージにおける分散を補正してもよい。サンプルは眼の網膜であってもよく、その情報は網膜から得られた反射スペクトルと関連するデータを含んでもよい。さらに、オペレータが反射スペクトルのうちの少なくとも一つの分散した反射スペクトルを選択することを可能としてもよい。その分散した反射スペクトルは、例えば、イメージの取得中及び/又はイメージの取得後に、グラフィカルユーザインターフェースを用いて選択できるようにしてもよい。分散は分散した反射スペクトルを用いて定量化することができ、その定量化に基づいてイメージにおける分散を補正することができる。反射スペクトルの最も輝度が高いものをインタラクティブに探索してもよく、その最も輝度が高い反射スペクトルを用いて分散を定量化し、その定量化に基づいてイメージにおける分散を補正してもよい。
【0012】
本発明によるさらに他の例示的な実施態様によれば、分散は深さに依存する色分散とすることができる。その情報は分散したイメージデータを含んでもよく、その分散は分散したイメージデータを用いて定量化し、その定量化に基づいてイメージにおける分散を補正してもよい。サンプルは眼の網膜としてもよく、分散したイメージは反射スペクトルを含んでもよい。分散を反射スペクトルを用いて定量化してもよい。
【0013】
本発明によるさらに他の例示的な実施態様によれば、所定の一定な色分散のパラメータを用いて、例えば、眼の軸長の推定値に基づいて、イメージにおける分散を補正することにより、分散を補償することができる。
【0014】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の請求項と併せて、以下の本発明の実施形態の詳細な説明を読むことで明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本出願は、2004年5月29日に出願された米国特許出願第60/575773号からの優先権を主張し、その出願の開示全体がここに参照として組み込まれる。
【0016】
本発明はのさらなる目的、特徴及び利点は、本発明の実施態様を図示する添付の図面と併せて以下の詳細な説明を読むことで明らかとなろう。
【0017】
図1は、本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の例示的な実施態様を実装するために使用可能な、スペクトル領域光コヒーレンストモグラフィ(SD−OCT)の構成のサンプル構成の実施態様の例を示す。この構成の動作の詳細な説明は、国際出願公開第03/062802号パンフレットに詳細に述べられている。特に、図1に示すように、高出力スーパールミネッセントダイオード光源(HP−SLD)10は、信号スプリッタ40に到達する電磁エネルギの1方向伝播を容易にするために、第1の偏光コントローラ(PC)20'と光アイソレータを通して電磁放射または光信号を発生する。信号スプリッタは、分割した信号の一部分を参照アーム(それは第2のPC20''、参照物体、所定の光学系及び減光フィルタ(NFD)50を含む)へ送り、分割した信号の他の部分をサンプルアーム(それは第3のPC20'''、所定の光学系及び眼などのサンプル60を含む)へ送る。そして、電磁信号はサンプル60で反射され、干渉信号を形成するために参照アームからの光と結合される。この干渉信号は、検出装置(例えば、ラインスキャンカメラによって提供される)によって検出するべく、第4のPC20''''へ送られ、さらにコリメータ(Col)70、透過格子(TG)80、空気ギャップフォーカスレンズ(ASL)90及びラインスキャンカメラ(LSC)100へ送られ、そして処理装置、例えばコンピュータ(図示せず)によって解析される。そのような処理装置は、本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の様々な例示的実施態様を実装する能力を有する。
【0018】
図2は、本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の例示的な実施態様を実装する能力を有する、本発明による光イメージング周波数領域干渉計(OFDI)の実施態様の例を示す。OFDI装置の様々な実施態様の詳細な説明は、米国特許出願第60/514769号により提供されている。例えば、光源は、波長可変(wavelength-swept)光源110とすることができる。同期信号を生成するために、レーザ出力の一部(例えば20%)を取得し、狭帯域固定波長フィルタを通じてInGaAs高速フォトディテクタを用いて検出する。ディテクタは、レーザの出力スペクトルがフィルタの狭い透過域を通過するとき、パルスを生成する。ディテクタパルスは、得られた信号をTTLパルス列へ変換するために、デジタル回路120、例えば同期TTLパルスジェネレータへ供給される。TTLパルスは信号サンプリングのゲートパルスを生成するために使用される。残りの光の90%はサンプルアームへ向けられ、10%は参照ミラー130へ向けられる。この例示的な構成は、ガルバノミラー140と結像レンズに基づいた光プローブを利用することができる。ガルバノミラー140は、サンプル60を横切るようにプローブ光を走査するためにガルボドライバ(galvo-driver)145によって制御される。サンプル60を照射する光の全体出力は、約3.5mWである。参照ミラー130から反射された光とサンプル60から反射された光は磁気光学サーキュレータ150'、150''を通じて受光され、50/50カップラ160で結合される。ファイバー光学偏光コントローラを、参照アームとサンプルアームの偏光状態を揃えるために参照アームに使用してもよい。
【0019】
一般に、受光信号の相対強度雑音(RIN)は、線幅の逆数に比例し、相対的に強いRINはデュアルバランス検出(例えば、デュアルバランス受光器170)により減衰させることができる。受光器170の二つのInGaAs検出器D1及びD2の差分電流を、56dBのトータルゲインを有するトランスインピーダンス増幅器(TIA)を用いて増幅し、サンプリングレートの約半分で3dBのカットオフ周波数を持つローパスフィルタ(LPF)を通過させてもよい。受光器170のコモンノイズ除去効率は、代表的に20dBよりも大きい。RINの減衰に加えて、バランス検出は、別の重要な利益−サンプルと光素子内の複数反射により発生する自己干渉ノイズの抑制、ダイナミックレンジの向上、参照光からの強い背景信号を大きく減衰させることによる固定パターンノイズの減衰、を提供することができる。その後、検出装置180はそのような信号を受信し、それらの信号を処理装置190(例えば、コンピュータ)へ送る。処理装置190は、分散を減衰させる本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の例示的な実施態様を実装し、オリジナルイメージ及び分散の減衰に基づいて得られたイメージを表示して補助する。
【0020】
これらの例示的な装置、例えば図1とともに説明したSD−OCT装置及び図2とともに説明したOFDI装置は、ともに波数ベクトルkの関数としてスペクトルI(k)を生成する能力を有する。位相項を求めるために、スペクトルI(k)をz空間へフーリエ変換することができる。図3は、フーリエ変換されたスペクトルI(k)のz>0についての絶対値Abs(I(k))の曲線と深さのグラフを、I(z)=FFT(I(k))で示したものである。図3に示すように、分散の広がったピークを深さ約0.6mmのところに観察できる。関数I(z)を、コヒーレンス関数が原点で中心となるようにシフトさせてもよい。ウインドウを、深さプロファイルにおいて他の反射構造からのコヒーレンス関数をできる限り削除するために、コヒーレンス関数の周囲に選択することができ、ウインドウ外の全ての値をゼロに等しく設定してもよい。逆フーリエ変換後、k空間における複素スペクトルが得られる。位相項θ(k)は、実数成分に除された虚数成分のアークタンジェントと等しいとすることができる。そのような項は、お互いに位相の中で後続する波数kがどれだけあるかにより表すことができる。一つの例によれば、この関数を、係数α1-9のセットを与える9次の多項式表現で提供することができる。
【0021】
本発明の例示的な実施態様の一つによれば、個々のスペクトルは、前記の7個の多項係数から求められるように、位相e-iθ(k)を乗じてもよい。ここで最初の2個の多項係数はゼロに設定される。その後A線に逆フーリエ変換し、分散を除去する。図4は、オリジナルのコヒーレンス関数と得られたコヒーレンス関数の例を示す。特に、図4の点線210で示される曲線は、分散補償をされていない結果を示し、実線220で示される曲線は、分散補償がうまく適用された結果を示す。
【0022】
図5は、その位相関数に対して9次の多項式にフィットしたものを減じた位相関数と同様に、本発明の例示的な実施態様による測定に基づいた位相関数θ(k)の決定に有用な図である。位相関数θ(k)は、眼のモデル内のミラー及び網膜窩における分光反射から得られる(例えば、左の軸)。
【0023】
本発明による他の実施形態では、生体内における人体データを、最適な分散補償のための位相関数を求めるために使用することができる。図6は、人体の網膜イメージの例を示す。そこでは、3個の分光反射300、310、320が矢印で示される。これらの例示的な反射300、310、320は、網膜神経線維層と網膜窩の突起(foveolar umbo)の上部の内境界膜と外境界膜から発生する。外境界膜の丁度下、光受容体層の内側セグメントと外側セグメント間の接触面でも、マークされていないものの例示的な分光反射が観察可能である。図6は、最適な分散補償のための位相関数を求めるために使用できるイメージにおける強い反射の代表的な例を示す。
【0024】
生体内のサンプル(例えば、人の眼)において得られたデータの分散補償のためのこの位相項を求めるために、眼における良好に反射する参照点から得られたコヒーレンス関数を使用することが好ましい。本例では、網膜窩の突起の反射を使用することができる。眼の他の部分も分光反射を生じ得る。分光反射は、光受容体層の内側セグメントと外側セグメント間の接触面(IPRL)から生じることもあり、網膜色素上皮(RPE)から生じることもある。さらに、分光反射は、内境界膜上、例えば、網膜神経線維層の上面で見られることもある。例えば、網膜窩の突起からの強い反射を示せるように、5個の深さプロファイルを選択してもよい。ウインドウがこれらの強い反射を中心とするように選択することができ、残りの点をゼロに設定してもよい。そして位相関数θ(k)を、上述したように求めることができる。特に、図5に示すように、位相関数θ(k)は、位相関数からこの位相関数にフィットさせた9次多項式を引いたものに基づくのと同様に、この測定から求めることができる。
【0025】
最初に、後ろの7個の多項係数から求められるように、イメージの個々のスペクトルに位相e-iθ(k)を乗じ、そしてA線内へ逆フーリエ変換し、その結果分散を除去できる。眼内の良好な反射を示す参照点から求められるように、分散データに対するフィットを任意の次数の多項式で行うことができる。ここでは、9次の多項式の使用で説明した。係数のセットを求めるために、多項式の代わりに、データをフーリエ級数または他の既知の関数セットでフィッティングすることもできる。分散曲線をフィッティングするために、例えば限られた次数の多項式を使用することの利点の一つは、求められた位相補正関数のノイズに対して非常に強いことである。
【0026】
図7は、人体から得られるイメージの例を示し、分散補償後の網膜窩を示す。まず、Rで示された分光反射を、(上述したように)色分散の量を求め、色分散を除去するために使用することができる。図7に示すイメージの寸法は、3.1mmx0.61mmである。このイメージにおける層を、以下のようにラベル付ける:RNFL−網膜神経線維層、GCL−神経節細胞層、IPL−内網状層、INL−内顆粒層、OPL−外網状層、ONL−外核層、ELM−外境界膜、IPRL−光受容体層の内側セグメントと外側セグメント間の接触面、RPE−網膜色素上皮、C−脈絡毛細管枝及び脈絡膜。網膜中心窩における高反射スポットをRで示す。血管(BV)は大きな円で示し、外網状層の外側の構造を小さな円で示す。図8は、網膜窩における反射スポットから得られたコヒーレンス関数のグラフを示す。例えば、コヒーレンス長は空気中で4.8μmである。
【0027】
まとめると、図5に示したグラフでは、眼のウォーターフィルモデル(平均でA線の100倍超)におけるミラーから得られた位相項θ(k)と人体の網膜窩(平均でA線の5倍超、図7参照)における分光反射スポットから得られた位相項θ(k)が示される。測定された位相項とそのデータにフィットさせた多項式(9次)間の差も、右側に用意された対応する軸とともに示される。両方の位相ともほぼ同じパターンを示し、それは眼のモデルと実物の眼が一般に同じ分散量となることを示す。図7のグラフに示され、図8のグラフで定量化されるように、網膜窩の分光反射から得られた位相項を、人体の生体内から得たデータにおける色分散アーティファクトを除去するために使用することができる。
【0028】
図7においてRでラベルされた中心窩における分光反射から、生体内のコヒーレンス長を求めることができ、平均でA線の5倍超となる。このコヒーレンス関数は、図8のグラフのようになり、図8に示すように分散補償後のコヒーレンス長は空気中で4.8μm、組織(n=1.38)中で3.5μmである。分散補償無しの場合、コヒーレンス長は非常に長くなり(例えば、2〜3倍)、そのため軸方向解像度が大幅に低下することは明らかである。特に、図8の曲線は(図4のグラフと同様に)、分散補償の無い結果を点線410で示し、分散補償を適切に適用した後の結果を実線420で示す。
【0029】
図9を参照しつつ、実際的な、本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の例示的な実施態様を説明することができる。図9は、本発明の例示的な実施態様の一つによるフローチャートを示す。まず、上述したように、分光反射を含むイメージ内の領域を選択する(ステップ510)。その選択後、現行のアルゴリズムが色分散の量を求め(ステップ520)、イメージからその分散を除去する(ステップ530)。上述したように、その分散をk空間におけるスペクトルに位相e-iθ(k)を乗じることにより除去することができる。先に説明した多項式フィッテングも使用することができる。多項式フィットさせたものとオリジナルの位相は、(図5に示すように)ほぼ同じなので、測定された位相曲線を使用することも可能である。分光反射の位置を選択するための選択手順は、マニュアル手順、自動手順の何れであってもよい。その後、選択されたオリジナルの画像に基づき、ただし本発明による例示的な手法によって分散が除去された新しい画像が生成される(ステップ540)。
【0030】
上述した例示的な結果は、単純なマニュアル手順を用いて得られる。この場合、オペレータは一般に手動で、例えば反射スポットの座標系を決定することにより、イメージの特定部分を選択する。そのような手順は、例えばMatLabソフトウェアで単純化でき、そのソフトウェアでは、オペレータは反射スポットの周囲に矩形形状を描く要求を行い(図10の600を参照)、分光スポットの位置を選択することができる。そのようなイメージの一部分の例示的な選択を用い、上記の補償を用いて分散を補償できる。
【0031】
本発明の他の例示的な実施態様によれば、特定の技術を用いて自動的に分光反射の位置を決めることもできる。この例示的な技術は、最大信号値を見つけるアルゴリズムに基づくことができる。例えば、中心窩における分光反射からの戻り信号は、他の何れの反射よりも高い値を有する。そのような例示の技術を用いて、この反射スポットを自動的に選択することが可能であり、そのためオペレータからの手動入力は必ずしも必要としない。この技術とともに、フィードバック信号を走査装置へ送ることができ、そしてこの装置がサンプル60(例えば、眼)における最も高い輝度の反射をモニタする。例えば、中心窩の位置が決まるまで、どんどん狭くする一連の3次元ラスタースキャンを利用することができる。この動作中に対象が動いた場合、ラスタースキャンを拡大し、ターゲットイメージを再度限定することができる。他の刊行物に、網膜表面を追跡し、モーションアーティファクトを補償するために使用される例示的な技術が説明されている。センス B他、「偏光感度光コヒーレンストモグラフィを用いた生体内における人の網膜神経線維層の複屈折及び厚さ測定」、ジャーナルオブバイオメディカルオプティクス、2004年、第9巻、第1号、p.121-125を参照されたい。
【0032】
本発明の他の実施態様は、深さ依存性の分散を補償するために使用される。上述した本発明の例示的な実施態様による技術は、サンプルアームと参照アームとの間での一定な分散の不整合を補償する能力を有する。しかし、OCTイメージングで利用可能な帯域幅が増加するにつれて、イメージ内の表面の層とより深い層間での分散の拡大も重要となる。表面の層とより深い層の間で蓄積される分散のために、分散が拡大する場合もある。
【0033】
深さ依存性の分散を補償する、すなわち、深さに応じて変化する分散の補正についての能力を有する、本発明の他の例示的な実施態様による技術を以下に説明する。周知のように、SD−OCT及びOFDIにおける信号は、以下の式で定義される。
【数2】
ここでIr(k)及びIs(k)は、それぞれ参照アーム及びサンプルアームから反射された波長依存強度であり、kは波数である。(2)式の右辺の第2項は、参照アームとサンプルアームから戻った光信号間の干渉を表す。Αnは深さznにおけるサンプルの反射率の平方根である。ハウスラー G他、「コヒーレンスレーダー及び分光レーダー−皮膚病診断における新たなツール」、ジャーナルオブバイオメディカルオプティクス、1998年、第3巻、第1号、p.21-31に述べられているように、深さ情報は式(2)の逆フーリエ変換を行うことにより得られ、以下のコンボリューションを与える。
【数3】
Γ(z)は、コヒーレンス関数の包絡線を表す。右辺のブラケットの最初の項は、参照アームからの自己相関信号を参照し、振幅の一致(magnitude unity)を持つ。第2及び第3項は、参照アーム及びサンプルアームからの戻り信号間の干渉と二つのイメージからの干渉を反映し、それぞれはIs/Irのオーダーの大きさを持つ。これら二つの項はミラーイメージを提供する。Is2/Ir2のオーダーの大きさを持つ、最後の項は、サンプルアーム内の干渉による自己相関雑音を記述する。Is及びIrは、それぞれサンプルアーム及び参照アームから反射された強度のトータルを表す。
【0034】
【数4】
で表される干渉項のみを残すと、一定な分散不整合は、位相項θ(k)をコサイン項に導入することにより、
【数5】
と記述することができる。一定な分散不整合は、先に述べた方法で補償できる。深さ依存分散項は、深さ依存位相項f(k)znをコサイン項に導入することにより、
【数6】
と記述することができる。深さ依存項は、データの演算をk空間に再配置することにより補償することができる。コサイン項は、
【数7】
として書き直すことができる。ここでk'=k+f(k)である。演算を再配置した後、式(3)を得るフーリエ変換の前に、そのデータをk空間内で線形化することができる。
【0035】
関数f(k)は、一定な分散項について説明した方法を用いて二つの異なる位置zn及びzmでの分散F(k)n及びF(k)mを測定することにより求めることができる。ここで関数f(k)は、
【数8】
で与えられる。F(k)n及びF(k)mを求める位置は、強く反射する物質(組織、硝子体、網膜、冠状動脈、動脈など)に決めることが好ましい。ノイズを除去するための関数f(k)のフィルタリングは、多項式から所定数あるいは限られた係数を残すことにより、またはフーリエ級数をデータにフィッティングすることにより、実行できる。この技術の例を用いて、様々な物質または生物組織における分散を予め求めることができ、SD−OCT及びOFDIデータの後処理またはイメージングの最中に深さ依存分散の補償を実施するように求めた値を利用できる。網膜データにおける使用については、中心窩(窩の突起)、外境界膜、受容体層の内側セグメントと外側セグメントの接合面(IPRL)、網膜色素上皮(RPE)など、幾つかの位置が分散を求めるために使用可能な強い反射を提供できる。分光反射も内境界膜、網膜神経線維層の上面に位置決めすることができる。これらの反射を観察するために、サンプル(例えば、眼)をその表面が光線に対して完全に直交するように傾けるべきである。
【0036】
本発明のさらに他の例示的な実施態様による技術を用いて、一定な分散と深さ依存の分散を求めることができる。例えば、一定な分散と深さ依存の分散の存在下では、サンプルのn番目の反射点に関連した干渉信号は以下のように定義できる。
【数9】
ここでzs,nはサンプルの表面から反射点までの距離を表し、zrはサンプルの表面に関する参照ミラーの位置を表す。参照ミラーの位置をzr'=2zs,n-zrと移動させることで、以下のようになる。
【数10】
ここでδは測定の際に加わる可能性のある位相誤差を表す。式(4)及び式(5)における干渉信号の位相関数φ(k,zs,n,zr)及びφ(k,zs,n,zr')をそれぞれ求めることができる。そして以下の式が導かれる。
【数11】
【0037】
右辺の第3項は一定な位相誤差であり、ともにkに依存する1番目及び2番目の項と区別できる。サンプルの複数の反射点、または複数のzs,n(ただしn=1〜N)について位相差を測定することにより、f(k)及びθ(k)を求めることができる。
【0038】
一定な分散が無視できるものであるか、キャンセルされる場合、参照ミラーの各位置についての伝達限界点像分布関数を導く最良もしくは好ましいマッピング関数を見つけることが可能である。その好ましいマッピング関数は、式(4)において表される信号についてk'=k+f(k)とし、式(5)についてk'=k-f(k)とすることにより定義できる。そのため、その二つのマッピング関数を差し引くことにより、深さ依存分散f(k)を与えることができる。参照ミラーを移動する代わりに、そのミラーをゼロディレイがサンプルの二つの反射点の(ほぼ、あるいは完全な)中点に対応するように配置することができる。二つの反射と関連する干渉信号を、分散を求めるために同時に測定し、解析することができる。
【0039】
図11は、参照アーム及びサンプルアームから得られるイメージと関連するデータの分散を制御するために使用できる、本発明によるプロセスの他の実施態様の例を示す。例えば、検出器(例えば、図1及び/又は図2に示される構成の検出器)はサンプルアーム及び参照アームから受信した電磁放射と関連するデータを含む干渉信号を受信し、検出する(ステップ605)。そして検出した干渉信号に基づいてスペクトル信号I(k)を生成する(ステップ610)。このスペクトル信号I(k)は、例えばデータとして、処理装置に転送され、そして処理装置はスペクトル信号I(k)について高速フーリエ変換(FFT)を実行する(ステップ615)。その後、スペクトル信号I(k)と関連する初期信号I(z)を、z>0及びz<0についてゼロに設定し(ステップ620)、初期信号I(z)についての絶対値を設定する(ステップ625)。そして、検出された信号に基づいて信号I(k)を生成し(ステップ630)、イメージの関心ウインドウを決定する(ステップ635)。そのような関心領域は、絶対値信号(ABS(I(z)))のピーク領域とすることができ、信号を移動することなどにより、z=0の周囲に中心ピークがくるようにできる。そのウインドウを、処理装置によって自動的に、及び/又はオペレータによる手動で得ることができる。
【0040】
信号I(z)について逆FFTが実行され(ステップ640)、変換されたI(z)信号の位相項θ(k)が求められる(ステップ645)。本発明によるプロセスの例は、例えば、9次のフィッティング多項式を引き、係数α1-9のセットを与えることにより、N次の多項式をθ(k)に適用することができる。ここに説明したように、位相θ(k)をモデルの眼におけるミラー及び網膜窩における分光反射から得ることができる。そして、例えば最初の二つの多項式係数をゼロに設定することにより、多項式フィッティングパラメータ/係数から、フィルタされた位相項を求めることができる。信号のフィルタされた位相e-iθ(k)を、複数のイメージについて保存できる(ステップ660)。そして、フィルタされた位相項e-iθ(k)の補正曲線を、例えば、e-iθ(k)が乗じられたイメージの全てのスペクトルを乗じることにより適用できる(ステップ665)。最後に、分散補正されたスペクトルS'(k)=S(k) e-iθ(k)を使用して、イメージの強度、複屈折及び/又はフロー情報を計算する(ステップ670)。
【0041】
以上、本発明の原理を単に例証として説明してきた。当業者にとって、ここに教示した視点において、説明された実施態様に対して、様々な修正や改変を行えることは明らかであろう。例えば、ここに説明した発明は、米国特許出願第60/514769号に記載された例示の方法、システム及び装置とともに使用可能である。したがって、当然のことながら、当業者は、ここに説明され、示されたものに限られることなく、本発明の原理を具現化する様々なシステム、装置及び方法を考案することができ、それらも本発明の精神及び範囲に含まれる。さらに、上記で参照した全ての刊行物、特許及び特許出願は、その全体が参照としてここに組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の例示的な実施態様を実装する能力を有する、本発明によるスペクトル領域光コヒーレンストモグラフィ(SD−OCT)の構成の実施態様の例のブロック図である。
【図2】本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の例示的な実施態様を実装する能力を有する、本発明による光周波数領域干渉計(OFDI)の構成の実施態様の例のブロック図である。
【図3】本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の例示的な実施態様について使用可能な絶対値/深さを示すグラフの例である。
【図4】分散補償がなされていないグラフと本発明の例示的な実施態様により適用された分散補償がなされたグラフの例である。
【図5】モデルの眼及び網膜窩の反射スペクトルから、本発明の例示的な実施態様により得られた位相θ(k)のグラフの例である。
【図6】本発明の例示的な実施態様により利用可能な反射スペクトルを含む人の網膜イメージである。
【図7】本発明の例示的な実施態様により分散補償が適用された後の網膜窩を示す、人から得たイメージの例である。
【図8】本発明の例示的な実施態様を用いて得られた、網膜窩における反射スポットから得たコヒーレンス関数のグラフの例である。
【図9】本発明の例示的な実施態様によるプロセスの高レベルフローチャートである。
【図10】分散の一部をオペレータによりソフトウェアを介して選択可能な、人体から得ることが可能なイメージの別の例である。
【図11】本発明の実施態様の別の例によるプロセスの詳細なフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に光コヒーレンストモグラフィ(OCT)イメージングにおける色分散補償に関し、特に、OCTイメージにおける分散について補償することが可能なプロセス、システム及びソフトウェア構成に関する。
【背景技術】
【0002】
光コヒーレンストモグラフィ(OCT)のスペクトル領域の改良型、スペクトル領域光コヒーレンストモグラフィ(SD−OCT)と呼ばれる技術は、眼の超高解像度イメージングに適したテクノロジーである。この技術は、センス B他、「スペクトル領域光コヒーレンストモグラフィを用いた超高解像度高速網膜イメージング」、オプティクスエクスプレス、2004年、及び、国際公開第03/062802号パンフレットにおいて説明されている。さらに、2002年10月16日に出願された米国特許出願第10/272171号も同じ主題に関するものである。OCTシステムの軸方向解像度は、コヒーレンス長(Lcoh)について定義される。コヒーレンス長は、光源の中心波長及びバンド幅と物質の屈折率で定義することができる。それらについては、スウェンソン E.A.他、「高速光コヒーレンス領域反射率測定」、オプティクスレター、1992年、17巻、2号、p.151-153に非常に詳しく説明されている。OCTシステムの軸方向解像度は、超広帯域の光源を用いることにより向上できることが、デレクラ W他、「超高解像度光コヒーレンストモグラフィの使用による斑状病変の強調視覚化」、オプサルモロジーアーカイブス、2003年、121巻、5号、p.695-706においてさらに詳しく提供されている。
【0003】
ファイバーベースのOCTセットアップ、例えば眼のイメージングにおける超広帯域光源の使用から生じ得る潜在的な難点の一つは、ガラス、組織及び水のような光学的に密な物質における色分散の存在である。色分散は、軸方向におけるコヒーレンス関数及び/又は点像分布関数を不鮮明にする場合があり、それは像品質に重大な影響を与える可能性がある。干渉計の二つのアームにおける分散のバランスが保たれている場合、分散の相当量を許容することが可能となり、そのため分散アーティファクトがないようにコヒーレンス関数を生成することができる。しかし、サンプルアームと参照アームとが異なる長さの光ファイバーを含んだり、異なる分散性媒質を含む場合、分散の不整合が発生することがある。例えば、OCTシステムのサンプルアームにおいて、未知の軸長を有するサンプルとして眼を分析することは、未知の量の色分散をもたらす場合がある。そのため、アンバランスな分散によってコヒーレンス関数は広げられ、コヒーレンス関数のピーク強度も減少する。ハードウェアの使用、例えば、高速走査光遅延線においてレンズを格子距離に変更することにより、2次または群速度分散を補償することができる。上記については、ターネイ G.J.他、「格子ベース位相コントロール遅延線を用いた高速位相及び群遅延走査」、オプティクスレター、1997年、22巻、23号、p.1811-1813に詳しく説明されている。しかし、一般にこの技術は高次の分散については補償しない。また、参照アームまたはサンプルアームの光路中に異なる分散特性を有する厚さ可変光学物質(BK7と石英ガラスのプリズムなど)を挿入することにより、OCTシステムにおいて分散のバランスをとることが可能である。参照アームまたはサンプルアームの光路中に挿入される異なる光学特性を有する物質の数は、それが補償できる分散の次数を決定し得る。眼の軸長は人毎に異なり、そのため患者間の分散量も異なる。したがって、分散の補償について柔軟な技術が望ましい。
【0004】
そのような補償用ハードウェアを用いる代わりに、ソフトウェアを用いることが可能であり、それによって異なる眼に対してより容易かつ柔軟な補償を適合させることができる。別の刊行物は、光増幅器ベースの光源(例えば、AFC技術、λ0=1310nm、Δλ=75nm)を備えた時間領域OCTシステムの遅延線において生じた分散について、たまねぎから得られた構造強度イメージにおける分散アーティファクトを補償した技術について述べている。デボア J.F.他、「光コヒーレンストモグラフィにおけるステーブルキャリア生成及び位相解像デジタルデータ処理」、アプライドオプティクス、2001年、40巻、31号、p.5787-5790、を参照されたい。別の刊行物は、ガラスサンプルによりもたらされる分散補償について説明している。フェーチャー A.F.他、「数値技術による光コヒーレンストモグラフィの深さ走査信号についての分散補償」、オプティクスコミュニケーションズ、2002年、204(1-6)巻、p.67-74、を参照されたい。それらの広帯域スペクトルは、高圧水銀灯を用いて生成される。マークス D.L.他、「均質な層状化された媒質についての光コヒーレンストモグラフィにおける分散補正用デジタルアルゴリズム」、アプライドオプティクス、2003年、42巻、2号、p.204-217、及び、イメージデータを補正する自己相関関数を用いたアルゴリズムを説明した米国特許第5994690号に、他の分散補償技術が説明されている。しかし、上述した問題は十分に対応されていない。したがって、そのような欠点を解消する必要がある。
【発明の開示】
【0005】
従来技術に対して、本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の例示的な実施態様は、色分散の補償についてのパラメータを得るために、生体サンプル(例えば、網膜、皮膚、冠状動脈)における層または構造の広く分散された反射を用いることを可能とする。本発明による例示的なシステム、プロセス及びソフトウェア構成の利点の一つは、個々の患者またはサンプルの配置に対して、その実装の容易さ、柔軟性、色分散の補償に関してハードウェアを変更する必要のない適応性である。
【0006】
本発明の例示的な実施態様によれば、数値手法を用いて分散を補償可能であり(例えば、ハードウェア変更の必要なく)、OCTイメージからアーティファクトを除去するように構成されたプロセス、システム及びソフトウェア構成が提供される。
【0007】
一般に、干渉計のサンプルアームと参照アーム間の分散の不整合は、波数ベクトルk(k=2π/λ)の関数として、クロススペクトル密度I(k)における位相シフトeiθ(k)を生じさせる。ウォジュコウスキ他、「フーリエ領域光コヒーレンストモグラフィによる生体内人網膜イメージ」、ジャーナルオブバイオメディカルオプティクス、2002年、7巻、3号、p.457-463、ナシフ N.他、「超高速光コヒーレンストモグラフィによる生体内人網膜イメージ」、オプティクスレター、2004年、29巻、5号、p.457-463、ヤン S.H.他、「高速光周波数領域イメージング」、オプティクスエクスプレス、2003年、11巻、22号、p.2953-2963、国際公開第03/062802号パンフレット、及び2004年10月27日に出願された米国特許出願第60/514769号に記載されているように、スペクトル領域OCTまたは光周波数領域干渉計(OFDI)セットアップにおいて、分光データを波長の関数として取得することができる。そのようなデータをk空間へ変換してもよい。位相θ(k)と分散の複数の次数との関係は、テイラー展開により、以下のように記述できる。
【数1】
ここでk0=2π/λ0であり、λ0は中心波長である。最初の二つの項は、一般にそれぞれ定数のオフセット及び群速度を記述し、分散の広がりとはほぼ無関係である。3番目の項は2次または群速度分散を表す。サンプルアームと参照アームにおける分散の不整合は、この項が大きく広がることを原因とすることができる。しかし、例えば、超広帯域の光源が使用される場合、より高次の分散項も分散の不整合に寄与することもある。
【0008】
分散は、位相項e-iθ(k)を有するクロススペクトル密度関数I(k)を乗じることによって除去できる。色分散及び生じたコヒーレンス関数の広がりを除去する位相項e-iθ(k)を求めるために、反射を用いたサンプルアームにおける物体を用いてデータを干渉計で取得してもよい。この物体は、ミラー又ははっきりとした反射をする生体サンプルとすることができる。スペクトル領域OCTシステムで取得されたスペクトル、I(k)は、z空間へフーリエ変換され、サンプルの反射性の深さプロファイルが得られる。その深さプロファイルにおいて単一の反射ピークが求められ、その深さプロファイルの他の点はゼロに設定される。逆変換を実行して、この単一の反射ピークについてクロススペクトル密度を得ることができる。位相項θ(k)は、実数成分から分離された虚数成分のアークタンジェントとほぼ等しいとすることができる。
【0009】
位相関数上のノイズを減衰させ、位相のオフセット及び/又は群速度の取り込みによるイメージにおけるディストーションを避けるために、この関数を係数α1-αNのN個のセットで与えられる多項式表現にフィットさせることができる。多項式係数から求められるように個々のスペクトルに位相e-iθ(k)を乗じてもよく、ここで位相オフセット及び群速度に対応する多項式の最初の二つの係数は省略される。そして色分散補正されたスペクトルをA線内へz空間についてフーリエ変換し、その結果、分散は実質的に除去されたA線または深さプロファイルを得ることができる。
【0010】
本発明の例示的な実施態様の一つにおいて、イメージの少なくとも一部における分散を補償するシステム、方法及びソフトウェア構成を提供することができる。例えば、イメージの一部と関連した情報が取得される。イメージの一部を、サンプルから受光した第1の電磁放射と参照物から受光した第2の電磁放射を含む干渉信号と関連付けることができる。イメージの少なくとも一部分における分散を、干渉信号の少なくとも一つのスペクトル成分の位相をコントロールすることによって補償することができる。分散は、第1と第2の電磁放射間の差の表れとなり得る。なお、その分散を、イメージの一部の分散を減衰又は/及び除去することにより補償してもよい。さらに、サンプルの組織における反射層と関連するデータを干渉信号から求めてもよく、そのデータからもたらされる分散と関連する情報を得ることができる。そのような情報をデータから分散を減衰及び/又は除去するために使用してもよい。イメージの一部のスペクトル成分の位相は、ソフトウェアを用いてコントロールすることができる。
【0011】
本発明の他の例示的な実施態様によれば、干渉信号の少なくとも一つのスペクトル成分の位相をコントロールするよりも前に、分散の量を定量化してもよく、その定量化に基づいてイメージにおける分散を補正してもよい。その分散は色分散とすることができる。イメージの分散と関連するデータを求めてもよく、そのデータを用いて分散を定量化し、その定量化に基づいてイメージにおける分散を補正してもよい。サンプルは眼の網膜であってもよく、その情報は網膜から得られた反射スペクトルと関連するデータを含んでもよい。さらに、オペレータが反射スペクトルのうちの少なくとも一つの分散した反射スペクトルを選択することを可能としてもよい。その分散した反射スペクトルは、例えば、イメージの取得中及び/又はイメージの取得後に、グラフィカルユーザインターフェースを用いて選択できるようにしてもよい。分散は分散した反射スペクトルを用いて定量化することができ、その定量化に基づいてイメージにおける分散を補正することができる。反射スペクトルの最も輝度が高いものをインタラクティブに探索してもよく、その最も輝度が高い反射スペクトルを用いて分散を定量化し、その定量化に基づいてイメージにおける分散を補正してもよい。
【0012】
本発明によるさらに他の例示的な実施態様によれば、分散は深さに依存する色分散とすることができる。その情報は分散したイメージデータを含んでもよく、その分散は分散したイメージデータを用いて定量化し、その定量化に基づいてイメージにおける分散を補正してもよい。サンプルは眼の網膜としてもよく、分散したイメージは反射スペクトルを含んでもよい。分散を反射スペクトルを用いて定量化してもよい。
【0013】
本発明によるさらに他の例示的な実施態様によれば、所定の一定な色分散のパラメータを用いて、例えば、眼の軸長の推定値に基づいて、イメージにおける分散を補正することにより、分散を補償することができる。
【0014】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の請求項と併せて、以下の本発明の実施形態の詳細な説明を読むことで明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本出願は、2004年5月29日に出願された米国特許出願第60/575773号からの優先権を主張し、その出願の開示全体がここに参照として組み込まれる。
【0016】
本発明はのさらなる目的、特徴及び利点は、本発明の実施態様を図示する添付の図面と併せて以下の詳細な説明を読むことで明らかとなろう。
【0017】
図1は、本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の例示的な実施態様を実装するために使用可能な、スペクトル領域光コヒーレンストモグラフィ(SD−OCT)の構成のサンプル構成の実施態様の例を示す。この構成の動作の詳細な説明は、国際出願公開第03/062802号パンフレットに詳細に述べられている。特に、図1に示すように、高出力スーパールミネッセントダイオード光源(HP−SLD)10は、信号スプリッタ40に到達する電磁エネルギの1方向伝播を容易にするために、第1の偏光コントローラ(PC)20'と光アイソレータを通して電磁放射または光信号を発生する。信号スプリッタは、分割した信号の一部分を参照アーム(それは第2のPC20''、参照物体、所定の光学系及び減光フィルタ(NFD)50を含む)へ送り、分割した信号の他の部分をサンプルアーム(それは第3のPC20'''、所定の光学系及び眼などのサンプル60を含む)へ送る。そして、電磁信号はサンプル60で反射され、干渉信号を形成するために参照アームからの光と結合される。この干渉信号は、検出装置(例えば、ラインスキャンカメラによって提供される)によって検出するべく、第4のPC20''''へ送られ、さらにコリメータ(Col)70、透過格子(TG)80、空気ギャップフォーカスレンズ(ASL)90及びラインスキャンカメラ(LSC)100へ送られ、そして処理装置、例えばコンピュータ(図示せず)によって解析される。そのような処理装置は、本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の様々な例示的実施態様を実装する能力を有する。
【0018】
図2は、本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の例示的な実施態様を実装する能力を有する、本発明による光イメージング周波数領域干渉計(OFDI)の実施態様の例を示す。OFDI装置の様々な実施態様の詳細な説明は、米国特許出願第60/514769号により提供されている。例えば、光源は、波長可変(wavelength-swept)光源110とすることができる。同期信号を生成するために、レーザ出力の一部(例えば20%)を取得し、狭帯域固定波長フィルタを通じてInGaAs高速フォトディテクタを用いて検出する。ディテクタは、レーザの出力スペクトルがフィルタの狭い透過域を通過するとき、パルスを生成する。ディテクタパルスは、得られた信号をTTLパルス列へ変換するために、デジタル回路120、例えば同期TTLパルスジェネレータへ供給される。TTLパルスは信号サンプリングのゲートパルスを生成するために使用される。残りの光の90%はサンプルアームへ向けられ、10%は参照ミラー130へ向けられる。この例示的な構成は、ガルバノミラー140と結像レンズに基づいた光プローブを利用することができる。ガルバノミラー140は、サンプル60を横切るようにプローブ光を走査するためにガルボドライバ(galvo-driver)145によって制御される。サンプル60を照射する光の全体出力は、約3.5mWである。参照ミラー130から反射された光とサンプル60から反射された光は磁気光学サーキュレータ150'、150''を通じて受光され、50/50カップラ160で結合される。ファイバー光学偏光コントローラを、参照アームとサンプルアームの偏光状態を揃えるために参照アームに使用してもよい。
【0019】
一般に、受光信号の相対強度雑音(RIN)は、線幅の逆数に比例し、相対的に強いRINはデュアルバランス検出(例えば、デュアルバランス受光器170)により減衰させることができる。受光器170の二つのInGaAs検出器D1及びD2の差分電流を、56dBのトータルゲインを有するトランスインピーダンス増幅器(TIA)を用いて増幅し、サンプリングレートの約半分で3dBのカットオフ周波数を持つローパスフィルタ(LPF)を通過させてもよい。受光器170のコモンノイズ除去効率は、代表的に20dBよりも大きい。RINの減衰に加えて、バランス検出は、別の重要な利益−サンプルと光素子内の複数反射により発生する自己干渉ノイズの抑制、ダイナミックレンジの向上、参照光からの強い背景信号を大きく減衰させることによる固定パターンノイズの減衰、を提供することができる。その後、検出装置180はそのような信号を受信し、それらの信号を処理装置190(例えば、コンピュータ)へ送る。処理装置190は、分散を減衰させる本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の例示的な実施態様を実装し、オリジナルイメージ及び分散の減衰に基づいて得られたイメージを表示して補助する。
【0020】
これらの例示的な装置、例えば図1とともに説明したSD−OCT装置及び図2とともに説明したOFDI装置は、ともに波数ベクトルkの関数としてスペクトルI(k)を生成する能力を有する。位相項を求めるために、スペクトルI(k)をz空間へフーリエ変換することができる。図3は、フーリエ変換されたスペクトルI(k)のz>0についての絶対値Abs(I(k))の曲線と深さのグラフを、I(z)=FFT(I(k))で示したものである。図3に示すように、分散の広がったピークを深さ約0.6mmのところに観察できる。関数I(z)を、コヒーレンス関数が原点で中心となるようにシフトさせてもよい。ウインドウを、深さプロファイルにおいて他の反射構造からのコヒーレンス関数をできる限り削除するために、コヒーレンス関数の周囲に選択することができ、ウインドウ外の全ての値をゼロに等しく設定してもよい。逆フーリエ変換後、k空間における複素スペクトルが得られる。位相項θ(k)は、実数成分に除された虚数成分のアークタンジェントと等しいとすることができる。そのような項は、お互いに位相の中で後続する波数kがどれだけあるかにより表すことができる。一つの例によれば、この関数を、係数α1-9のセットを与える9次の多項式表現で提供することができる。
【0021】
本発明の例示的な実施態様の一つによれば、個々のスペクトルは、前記の7個の多項係数から求められるように、位相e-iθ(k)を乗じてもよい。ここで最初の2個の多項係数はゼロに設定される。その後A線に逆フーリエ変換し、分散を除去する。図4は、オリジナルのコヒーレンス関数と得られたコヒーレンス関数の例を示す。特に、図4の点線210で示される曲線は、分散補償をされていない結果を示し、実線220で示される曲線は、分散補償がうまく適用された結果を示す。
【0022】
図5は、その位相関数に対して9次の多項式にフィットしたものを減じた位相関数と同様に、本発明の例示的な実施態様による測定に基づいた位相関数θ(k)の決定に有用な図である。位相関数θ(k)は、眼のモデル内のミラー及び網膜窩における分光反射から得られる(例えば、左の軸)。
【0023】
本発明による他の実施形態では、生体内における人体データを、最適な分散補償のための位相関数を求めるために使用することができる。図6は、人体の網膜イメージの例を示す。そこでは、3個の分光反射300、310、320が矢印で示される。これらの例示的な反射300、310、320は、網膜神経線維層と網膜窩の突起(foveolar umbo)の上部の内境界膜と外境界膜から発生する。外境界膜の丁度下、光受容体層の内側セグメントと外側セグメント間の接触面でも、マークされていないものの例示的な分光反射が観察可能である。図6は、最適な分散補償のための位相関数を求めるために使用できるイメージにおける強い反射の代表的な例を示す。
【0024】
生体内のサンプル(例えば、人の眼)において得られたデータの分散補償のためのこの位相項を求めるために、眼における良好に反射する参照点から得られたコヒーレンス関数を使用することが好ましい。本例では、網膜窩の突起の反射を使用することができる。眼の他の部分も分光反射を生じ得る。分光反射は、光受容体層の内側セグメントと外側セグメント間の接触面(IPRL)から生じることもあり、網膜色素上皮(RPE)から生じることもある。さらに、分光反射は、内境界膜上、例えば、網膜神経線維層の上面で見られることもある。例えば、網膜窩の突起からの強い反射を示せるように、5個の深さプロファイルを選択してもよい。ウインドウがこれらの強い反射を中心とするように選択することができ、残りの点をゼロに設定してもよい。そして位相関数θ(k)を、上述したように求めることができる。特に、図5に示すように、位相関数θ(k)は、位相関数からこの位相関数にフィットさせた9次多項式を引いたものに基づくのと同様に、この測定から求めることができる。
【0025】
最初に、後ろの7個の多項係数から求められるように、イメージの個々のスペクトルに位相e-iθ(k)を乗じ、そしてA線内へ逆フーリエ変換し、その結果分散を除去できる。眼内の良好な反射を示す参照点から求められるように、分散データに対するフィットを任意の次数の多項式で行うことができる。ここでは、9次の多項式の使用で説明した。係数のセットを求めるために、多項式の代わりに、データをフーリエ級数または他の既知の関数セットでフィッティングすることもできる。分散曲線をフィッティングするために、例えば限られた次数の多項式を使用することの利点の一つは、求められた位相補正関数のノイズに対して非常に強いことである。
【0026】
図7は、人体から得られるイメージの例を示し、分散補償後の網膜窩を示す。まず、Rで示された分光反射を、(上述したように)色分散の量を求め、色分散を除去するために使用することができる。図7に示すイメージの寸法は、3.1mmx0.61mmである。このイメージにおける層を、以下のようにラベル付ける:RNFL−網膜神経線維層、GCL−神経節細胞層、IPL−内網状層、INL−内顆粒層、OPL−外網状層、ONL−外核層、ELM−外境界膜、IPRL−光受容体層の内側セグメントと外側セグメント間の接触面、RPE−網膜色素上皮、C−脈絡毛細管枝及び脈絡膜。網膜中心窩における高反射スポットをRで示す。血管(BV)は大きな円で示し、外網状層の外側の構造を小さな円で示す。図8は、網膜窩における反射スポットから得られたコヒーレンス関数のグラフを示す。例えば、コヒーレンス長は空気中で4.8μmである。
【0027】
まとめると、図5に示したグラフでは、眼のウォーターフィルモデル(平均でA線の100倍超)におけるミラーから得られた位相項θ(k)と人体の網膜窩(平均でA線の5倍超、図7参照)における分光反射スポットから得られた位相項θ(k)が示される。測定された位相項とそのデータにフィットさせた多項式(9次)間の差も、右側に用意された対応する軸とともに示される。両方の位相ともほぼ同じパターンを示し、それは眼のモデルと実物の眼が一般に同じ分散量となることを示す。図7のグラフに示され、図8のグラフで定量化されるように、網膜窩の分光反射から得られた位相項を、人体の生体内から得たデータにおける色分散アーティファクトを除去するために使用することができる。
【0028】
図7においてRでラベルされた中心窩における分光反射から、生体内のコヒーレンス長を求めることができ、平均でA線の5倍超となる。このコヒーレンス関数は、図8のグラフのようになり、図8に示すように分散補償後のコヒーレンス長は空気中で4.8μm、組織(n=1.38)中で3.5μmである。分散補償無しの場合、コヒーレンス長は非常に長くなり(例えば、2〜3倍)、そのため軸方向解像度が大幅に低下することは明らかである。特に、図8の曲線は(図4のグラフと同様に)、分散補償の無い結果を点線410で示し、分散補償を適切に適用した後の結果を実線420で示す。
【0029】
図9を参照しつつ、実際的な、本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の例示的な実施態様を説明することができる。図9は、本発明の例示的な実施態様の一つによるフローチャートを示す。まず、上述したように、分光反射を含むイメージ内の領域を選択する(ステップ510)。その選択後、現行のアルゴリズムが色分散の量を求め(ステップ520)、イメージからその分散を除去する(ステップ530)。上述したように、その分散をk空間におけるスペクトルに位相e-iθ(k)を乗じることにより除去することができる。先に説明した多項式フィッテングも使用することができる。多項式フィットさせたものとオリジナルの位相は、(図5に示すように)ほぼ同じなので、測定された位相曲線を使用することも可能である。分光反射の位置を選択するための選択手順は、マニュアル手順、自動手順の何れであってもよい。その後、選択されたオリジナルの画像に基づき、ただし本発明による例示的な手法によって分散が除去された新しい画像が生成される(ステップ540)。
【0030】
上述した例示的な結果は、単純なマニュアル手順を用いて得られる。この場合、オペレータは一般に手動で、例えば反射スポットの座標系を決定することにより、イメージの特定部分を選択する。そのような手順は、例えばMatLabソフトウェアで単純化でき、そのソフトウェアでは、オペレータは反射スポットの周囲に矩形形状を描く要求を行い(図10の600を参照)、分光スポットの位置を選択することができる。そのようなイメージの一部分の例示的な選択を用い、上記の補償を用いて分散を補償できる。
【0031】
本発明の他の例示的な実施態様によれば、特定の技術を用いて自動的に分光反射の位置を決めることもできる。この例示的な技術は、最大信号値を見つけるアルゴリズムに基づくことができる。例えば、中心窩における分光反射からの戻り信号は、他の何れの反射よりも高い値を有する。そのような例示の技術を用いて、この反射スポットを自動的に選択することが可能であり、そのためオペレータからの手動入力は必ずしも必要としない。この技術とともに、フィードバック信号を走査装置へ送ることができ、そしてこの装置がサンプル60(例えば、眼)における最も高い輝度の反射をモニタする。例えば、中心窩の位置が決まるまで、どんどん狭くする一連の3次元ラスタースキャンを利用することができる。この動作中に対象が動いた場合、ラスタースキャンを拡大し、ターゲットイメージを再度限定することができる。他の刊行物に、網膜表面を追跡し、モーションアーティファクトを補償するために使用される例示的な技術が説明されている。センス B他、「偏光感度光コヒーレンストモグラフィを用いた生体内における人の網膜神経線維層の複屈折及び厚さ測定」、ジャーナルオブバイオメディカルオプティクス、2004年、第9巻、第1号、p.121-125を参照されたい。
【0032】
本発明の他の実施態様は、深さ依存性の分散を補償するために使用される。上述した本発明の例示的な実施態様による技術は、サンプルアームと参照アームとの間での一定な分散の不整合を補償する能力を有する。しかし、OCTイメージングで利用可能な帯域幅が増加するにつれて、イメージ内の表面の層とより深い層間での分散の拡大も重要となる。表面の層とより深い層の間で蓄積される分散のために、分散が拡大する場合もある。
【0033】
深さ依存性の分散を補償する、すなわち、深さに応じて変化する分散の補正についての能力を有する、本発明の他の例示的な実施態様による技術を以下に説明する。周知のように、SD−OCT及びOFDIにおける信号は、以下の式で定義される。
【数2】
ここでIr(k)及びIs(k)は、それぞれ参照アーム及びサンプルアームから反射された波長依存強度であり、kは波数である。(2)式の右辺の第2項は、参照アームとサンプルアームから戻った光信号間の干渉を表す。Αnは深さznにおけるサンプルの反射率の平方根である。ハウスラー G他、「コヒーレンスレーダー及び分光レーダー−皮膚病診断における新たなツール」、ジャーナルオブバイオメディカルオプティクス、1998年、第3巻、第1号、p.21-31に述べられているように、深さ情報は式(2)の逆フーリエ変換を行うことにより得られ、以下のコンボリューションを与える。
【数3】
Γ(z)は、コヒーレンス関数の包絡線を表す。右辺のブラケットの最初の項は、参照アームからの自己相関信号を参照し、振幅の一致(magnitude unity)を持つ。第2及び第3項は、参照アーム及びサンプルアームからの戻り信号間の干渉と二つのイメージからの干渉を反映し、それぞれはIs/Irのオーダーの大きさを持つ。これら二つの項はミラーイメージを提供する。Is2/Ir2のオーダーの大きさを持つ、最後の項は、サンプルアーム内の干渉による自己相関雑音を記述する。Is及びIrは、それぞれサンプルアーム及び参照アームから反射された強度のトータルを表す。
【0034】
【数4】
で表される干渉項のみを残すと、一定な分散不整合は、位相項θ(k)をコサイン項に導入することにより、
【数5】
と記述することができる。一定な分散不整合は、先に述べた方法で補償できる。深さ依存分散項は、深さ依存位相項f(k)znをコサイン項に導入することにより、
【数6】
と記述することができる。深さ依存項は、データの演算をk空間に再配置することにより補償することができる。コサイン項は、
【数7】
として書き直すことができる。ここでk'=k+f(k)である。演算を再配置した後、式(3)を得るフーリエ変換の前に、そのデータをk空間内で線形化することができる。
【0035】
関数f(k)は、一定な分散項について説明した方法を用いて二つの異なる位置zn及びzmでの分散F(k)n及びF(k)mを測定することにより求めることができる。ここで関数f(k)は、
【数8】
で与えられる。F(k)n及びF(k)mを求める位置は、強く反射する物質(組織、硝子体、網膜、冠状動脈、動脈など)に決めることが好ましい。ノイズを除去するための関数f(k)のフィルタリングは、多項式から所定数あるいは限られた係数を残すことにより、またはフーリエ級数をデータにフィッティングすることにより、実行できる。この技術の例を用いて、様々な物質または生物組織における分散を予め求めることができ、SD−OCT及びOFDIデータの後処理またはイメージングの最中に深さ依存分散の補償を実施するように求めた値を利用できる。網膜データにおける使用については、中心窩(窩の突起)、外境界膜、受容体層の内側セグメントと外側セグメントの接合面(IPRL)、網膜色素上皮(RPE)など、幾つかの位置が分散を求めるために使用可能な強い反射を提供できる。分光反射も内境界膜、網膜神経線維層の上面に位置決めすることができる。これらの反射を観察するために、サンプル(例えば、眼)をその表面が光線に対して完全に直交するように傾けるべきである。
【0036】
本発明のさらに他の例示的な実施態様による技術を用いて、一定な分散と深さ依存の分散を求めることができる。例えば、一定な分散と深さ依存の分散の存在下では、サンプルのn番目の反射点に関連した干渉信号は以下のように定義できる。
【数9】
ここでzs,nはサンプルの表面から反射点までの距離を表し、zrはサンプルの表面に関する参照ミラーの位置を表す。参照ミラーの位置をzr'=2zs,n-zrと移動させることで、以下のようになる。
【数10】
ここでδは測定の際に加わる可能性のある位相誤差を表す。式(4)及び式(5)における干渉信号の位相関数φ(k,zs,n,zr)及びφ(k,zs,n,zr')をそれぞれ求めることができる。そして以下の式が導かれる。
【数11】
【0037】
右辺の第3項は一定な位相誤差であり、ともにkに依存する1番目及び2番目の項と区別できる。サンプルの複数の反射点、または複数のzs,n(ただしn=1〜N)について位相差を測定することにより、f(k)及びθ(k)を求めることができる。
【0038】
一定な分散が無視できるものであるか、キャンセルされる場合、参照ミラーの各位置についての伝達限界点像分布関数を導く最良もしくは好ましいマッピング関数を見つけることが可能である。その好ましいマッピング関数は、式(4)において表される信号についてk'=k+f(k)とし、式(5)についてk'=k-f(k)とすることにより定義できる。そのため、その二つのマッピング関数を差し引くことにより、深さ依存分散f(k)を与えることができる。参照ミラーを移動する代わりに、そのミラーをゼロディレイがサンプルの二つの反射点の(ほぼ、あるいは完全な)中点に対応するように配置することができる。二つの反射と関連する干渉信号を、分散を求めるために同時に測定し、解析することができる。
【0039】
図11は、参照アーム及びサンプルアームから得られるイメージと関連するデータの分散を制御するために使用できる、本発明によるプロセスの他の実施態様の例を示す。例えば、検出器(例えば、図1及び/又は図2に示される構成の検出器)はサンプルアーム及び参照アームから受信した電磁放射と関連するデータを含む干渉信号を受信し、検出する(ステップ605)。そして検出した干渉信号に基づいてスペクトル信号I(k)を生成する(ステップ610)。このスペクトル信号I(k)は、例えばデータとして、処理装置に転送され、そして処理装置はスペクトル信号I(k)について高速フーリエ変換(FFT)を実行する(ステップ615)。その後、スペクトル信号I(k)と関連する初期信号I(z)を、z>0及びz<0についてゼロに設定し(ステップ620)、初期信号I(z)についての絶対値を設定する(ステップ625)。そして、検出された信号に基づいて信号I(k)を生成し(ステップ630)、イメージの関心ウインドウを決定する(ステップ635)。そのような関心領域は、絶対値信号(ABS(I(z)))のピーク領域とすることができ、信号を移動することなどにより、z=0の周囲に中心ピークがくるようにできる。そのウインドウを、処理装置によって自動的に、及び/又はオペレータによる手動で得ることができる。
【0040】
信号I(z)について逆FFTが実行され(ステップ640)、変換されたI(z)信号の位相項θ(k)が求められる(ステップ645)。本発明によるプロセスの例は、例えば、9次のフィッティング多項式を引き、係数α1-9のセットを与えることにより、N次の多項式をθ(k)に適用することができる。ここに説明したように、位相θ(k)をモデルの眼におけるミラー及び網膜窩における分光反射から得ることができる。そして、例えば最初の二つの多項式係数をゼロに設定することにより、多項式フィッティングパラメータ/係数から、フィルタされた位相項を求めることができる。信号のフィルタされた位相e-iθ(k)を、複数のイメージについて保存できる(ステップ660)。そして、フィルタされた位相項e-iθ(k)の補正曲線を、例えば、e-iθ(k)が乗じられたイメージの全てのスペクトルを乗じることにより適用できる(ステップ665)。最後に、分散補正されたスペクトルS'(k)=S(k) e-iθ(k)を使用して、イメージの強度、複屈折及び/又はフロー情報を計算する(ステップ670)。
【0041】
以上、本発明の原理を単に例証として説明してきた。当業者にとって、ここに教示した視点において、説明された実施態様に対して、様々な修正や改変を行えることは明らかであろう。例えば、ここに説明した発明は、米国特許出願第60/514769号に記載された例示の方法、システム及び装置とともに使用可能である。したがって、当然のことながら、当業者は、ここに説明され、示されたものに限られることなく、本発明の原理を具現化する様々なシステム、装置及び方法を考案することができ、それらも本発明の精神及び範囲に含まれる。さらに、上記で参照した全ての刊行物、特許及び特許出願は、その全体が参照としてここに組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の例示的な実施態様を実装する能力を有する、本発明によるスペクトル領域光コヒーレンストモグラフィ(SD−OCT)の構成の実施態様の例のブロック図である。
【図2】本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の例示的な実施態様を実装する能力を有する、本発明による光周波数領域干渉計(OFDI)の構成の実施態様の例のブロック図である。
【図3】本発明によるシステム、プロセス及びソフトウェア構成の例示的な実施態様について使用可能な絶対値/深さを示すグラフの例である。
【図4】分散補償がなされていないグラフと本発明の例示的な実施態様により適用された分散補償がなされたグラフの例である。
【図5】モデルの眼及び網膜窩の反射スペクトルから、本発明の例示的な実施態様により得られた位相θ(k)のグラフの例である。
【図6】本発明の例示的な実施態様により利用可能な反射スペクトルを含む人の網膜イメージである。
【図7】本発明の例示的な実施態様により分散補償が適用された後の網膜窩を示す、人から得たイメージの例である。
【図8】本発明の例示的な実施態様を用いて得られた、網膜窩における反射スポットから得たコヒーレンス関数のグラフの例である。
【図9】本発明の例示的な実施態様によるプロセスの高レベルフローチャートである。
【図10】分散の一部をオペレータによりソフトウェアを介して選択可能な、人体から得ることが可能なイメージの別の例である。
【図11】本発明の実施態様の別の例によるプロセスの詳細なフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージの少なくとも一部における分散を補償するシステムであって、
サンプルから受光した第1の電磁放射と参照物から受光した第2の電磁放射を含む干渉信号と関連する、前記イメージの少なくとも一部と関連する情報を得る能力を有する処理装置を有し、前記処理装置はさらに前記干渉信号の少なくとも一つのスペクトル成分の位相を制御することにより、前記イメージの少なくとも一部における前記分散を補償する能力を有することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記分散は、前記第1の電磁放射と前記第2の電磁放射の差を表すものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理装置は、前記イメージの少なくとも一部における前記分散の少なくとも一部を減衰及び除去することにより、前記分散を制御する能力を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理装置は、前記干渉信号からサンプルの組織における反射層と関連したデータを求め、該データにおいて提供される前記分散と関連する情報を求める能力をさらに有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記処理装置は、前記データから前記分散の少なくとも一部を減衰及び除去する情報を利用する能力をさらに有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理装置がソフトウェア命令を実行するとき、前記処理装置は前記干渉信号の少なくとも一つのスペクトル成分の位相を制御するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記干渉信号の少なくとも一つのスペクトル成分の位相を制御するより前に、前記処理装置は前記分散を定量化し、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正する能力を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記分散は色分散である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記処理装置は、前記イメージの前記分散と関連するデータを求め、該データを用いて前記分散を定量化し、かつ該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正する能力を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記サンプルは眼の網膜である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記情報は網膜から得られた分光反射と関連するデータを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記処理装置は、オペレータが前記分光反射の少なくとも一つの分散された分光反射を選択できる能力を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも一つの分散された分光反射は、グラフィカルユーザインターフェースを用いて選択される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも一つの分散された分光反射は、前記イメージの取得中及び前記イメージの取得後の少なくとも一方において選択される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記処理装置は、前記少なくとも一つの分散された分光反射を用いて前記分散を定量化し、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正するよう適合される、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記処理装置は、さらに前記分光反射中の最も高い輝度を有するものをインタラクティブに探索し、該最も高い輝度を有する分光反射を用いて前記分散を定量化し、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正するよう適合される、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記分散は深さに依存する色分散である、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記情報は分散されたイメージデータを含み、前記処理装置はさらに該分散されたイメージデータを用いて前記分散を定量化し、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正するよう適合される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記サンプルは眼の網膜である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記分散されたイメージデータは分光反射を含み、前記処理装置は該分光反射を用いて前記分散を定量化するよう適合される、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記処理装置は、所定の一定な色分散パラメータを用いて前記イメージにおける前記分散を補正することにより、前記分散を制御するよう適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記分散は眼の軸長の推定値に基づいて補償される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記分散は眼の軸長の推定値に基づいて補償される、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
イメージの少なくとも一部における分散を補償する方法であって、
サンプルから受光した第1の電磁放射と参照物から受光した第2の電磁放射を含む干渉信号と関連する、前記イメージの少なくとも一部と関連する情報を取得するステップと、
前記イメージの少なくとも一部における前記分散を補償するように、前記干渉信号の少なくとも一つのスペクトル成分の位相を制御するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
前記分散は、前記第1の電磁放射と前記第2の電磁放射の差を表すものである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記制御ステップは、前記イメージの少なくとも一部における前記分散の少なくとも一部を減衰及び除去するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記干渉信号からサンプルの組織における反射層と関連したデータを求めるステップと、
該データにおいて提供される前記分散と関連する情報を求めるステップと、
をさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記データから前記分散の少なくとも一部を減衰及び除去する情報を利用するステップをさらに含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記制御ステップはソフトウェア命令を用いて実行される、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記制御ステップよりも前に、
前記分散を定量化するステップと、
該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正するステップと、
をさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記分散は色分散である、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記イメージの前記分散と関連するデータを求めるステップと、
該データを用いて前記分散を定量化するステップと、
該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正するステップと、
をさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記サンプルは眼の網膜である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記情報は網膜から得られた分光反射と関連するデータを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
オペレータが前記分光反射の少なくとも一つの分散された分光反射を選択できるステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも一つの分散された分光反射は、グラフィカルユーザインターフェースを用いて選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも一つの分散された分光反射は、前記イメージの取得中及び前記イメージの取得後の少なくとも一方において選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも一つの分散された分光反射を用いて前記分散を定量化するステップと、
該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正するステップと、
をさらに含む請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記分光反射中の最も高い輝度を有するものをインタラクティブに探索するステップと、
該最も高い輝度を有する分光反射を用いて前記分散を定量化するステップと、
該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正するステップと、
をさらに含む請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記分散は深さに依存する色分散である、請求項24に記載の方法。
【請求項41】
前記情報は分散されたイメージデータを含み、
該分散されたイメージデータを用いて前記分散を定量化するステップと、
該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正するステップと、
をさらに含む請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記サンプルは眼の網膜である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記分散されたイメージデータは分光反射を含み、前記処理装置は該分光反射を用いて前記分散を定量化するよう適合される、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
所定の一定な色分散パラメータを用いて前記イメージにおける前記分散を補正することにより、前記分散を制御するステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記分散は眼の軸長の推定値に基づいて補償される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記分散は眼の軸長の推定値に基づいて補償される、請求項24に記載の方法。
【請求項47】
イメージの少なくとも一部における分散を補償するよう適合されたソフトウェア構成であって、
第1の命令セットであって、処理装置によって実行される場合、サンプルから受光した第1の電磁放射と参照物から受光した第2の電磁放射を含む干渉信号と関連する、前記イメージの少なくとも一部と関連する情報を取得する命令セットと、
第2の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、前記干渉信号の少なくとも一つのスペクトル成分の位相を制御することにより、前記イメージの少なくとも一部における前記分散を補償する命令セットと、
を含むことを特徴とするソフトウェア構成。
【請求項48】
前記分散は、前記第1の電磁放射と前記第2の電磁放射の差を表すものである、請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項49】
前記第2の命令セットは、前記イメージの少なくとも一部における前記分散の少なくとも一部を減衰及び除去するよう実行可能である、請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項50】
第3の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、前記干渉信号からサンプルの組織における反射層と関連したデータを求める命令セットと、
第4の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該データにおいて提供される前記分散と関連する情報を求める命令セットと、
をさらに含む請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項51】
第5の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、前記データから前記分散の少なくとも一部を減衰及び除去する情報を利用する命令セットをさらに含む、請求項50に記載のソフトウェア構成。
【請求項52】
前記第2の命令セットはソフトウェア命令を用いて手順を制御する、請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項53】
第6の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、前記分散を定量化する命令セットと、
第7の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正する命令セットと、
をさらに含む請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項54】
前記分散は色分散である、請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項55】
第8の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、前記イメージの前記分散と関連するデータを求める命令セットと、
第9の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該データを用いて前記分散を定量化する命令セットと、
第10の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正する命令セットと、
をさらに含む請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項56】
前記サンプルは眼の網膜である、請求項55に記載のソフトウェア構成。
【請求項57】
前記情報は網膜から得られた分光反射と関連するデータを含む、請求項56に記載のソフトウェア構成。
【請求項58】
第11の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、オペレータが前記分光反射の少なくとも一つの分散された分光反射を選択できる命令セットをさらに含む、請求項56に記載のソフトウェア構成。
【請求項59】
前記少なくとも一つの分散された分光反射は、グラフィカルユーザインターフェースを用いて選択される、請求項58に記載のソフトウェア構成。
【請求項60】
前記少なくとも一つの分散された分光反射は、前記イメージの取得中及び前記イメージの取得後の少なくとも一方において選択される、請求項58に記載のソフトウェア構成。
【請求項61】
第12の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、前記少なくとも一つの分散された分光反射を用いて前記分散を定量化する命令セットと、
第13の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正する命令セットと、
をさらに含む請求項58に記載のソフトウェア構成。
【請求項62】
第14の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、前記分光反射中の最も高い輝度を有するものをインタラクティブに探索する命令セットと、
第15の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該最も高い輝度を有する分光反射を用いて前記分散を定量化する命令セットと、
第16の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正する命令セットと、
をさらに含む請求項58に記載のソフトウェア構成。
【請求項63】
前記分散は深さに依存する色分散である、請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項64】
前記情報は分散されたイメージデータを含み、
第17の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該分散されたイメージデータを用いて前記分散を定量化する命令セットと、
第18の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正する命令セットと、
をさらに含む請求項63に記載のソフトウェア構成。
【請求項65】
前記サンプルは眼の網膜である、請求項64に記載のソフトウェア構成。
【請求項66】
前記分散されたイメージデータは分光反射を含み、前記処理装置は該分光反射を用いて前記分散を定量化するよう適合される、請求項63に記載のソフトウェア構成。
【請求項67】
第19の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、所定の一定な色分散パラメータを用いて前記イメージにおける前記分散を補正することにより、前記分散を制御する命令セットをさらに含む請求項66に記載のソフトウェア構成。
【請求項68】
前記分散は眼の軸長の推定値に基づいて補償される、請求項67に記載のソフトウェア構成。
【請求項69】
前記分散は眼の軸長の推定値に基づいて補償される、請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項1】
イメージの少なくとも一部における分散を補償するシステムであって、
サンプルから受光した第1の電磁放射と参照物から受光した第2の電磁放射を含む干渉信号と関連する、前記イメージの少なくとも一部と関連する情報を得る能力を有する処理装置を有し、前記処理装置はさらに前記干渉信号の少なくとも一つのスペクトル成分の位相を制御することにより、前記イメージの少なくとも一部における前記分散を補償する能力を有することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記分散は、前記第1の電磁放射と前記第2の電磁放射の差を表すものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理装置は、前記イメージの少なくとも一部における前記分散の少なくとも一部を減衰及び除去することにより、前記分散を制御する能力を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理装置は、前記干渉信号からサンプルの組織における反射層と関連したデータを求め、該データにおいて提供される前記分散と関連する情報を求める能力をさらに有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記処理装置は、前記データから前記分散の少なくとも一部を減衰及び除去する情報を利用する能力をさらに有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理装置がソフトウェア命令を実行するとき、前記処理装置は前記干渉信号の少なくとも一つのスペクトル成分の位相を制御するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記干渉信号の少なくとも一つのスペクトル成分の位相を制御するより前に、前記処理装置は前記分散を定量化し、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正する能力を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記分散は色分散である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記処理装置は、前記イメージの前記分散と関連するデータを求め、該データを用いて前記分散を定量化し、かつ該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正する能力を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記サンプルは眼の網膜である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記情報は網膜から得られた分光反射と関連するデータを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記処理装置は、オペレータが前記分光反射の少なくとも一つの分散された分光反射を選択できる能力を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも一つの分散された分光反射は、グラフィカルユーザインターフェースを用いて選択される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも一つの分散された分光反射は、前記イメージの取得中及び前記イメージの取得後の少なくとも一方において選択される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記処理装置は、前記少なくとも一つの分散された分光反射を用いて前記分散を定量化し、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正するよう適合される、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記処理装置は、さらに前記分光反射中の最も高い輝度を有するものをインタラクティブに探索し、該最も高い輝度を有する分光反射を用いて前記分散を定量化し、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正するよう適合される、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記分散は深さに依存する色分散である、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記情報は分散されたイメージデータを含み、前記処理装置はさらに該分散されたイメージデータを用いて前記分散を定量化し、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正するよう適合される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記サンプルは眼の網膜である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記分散されたイメージデータは分光反射を含み、前記処理装置は該分光反射を用いて前記分散を定量化するよう適合される、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記処理装置は、所定の一定な色分散パラメータを用いて前記イメージにおける前記分散を補正することにより、前記分散を制御するよう適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記分散は眼の軸長の推定値に基づいて補償される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記分散は眼の軸長の推定値に基づいて補償される、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
イメージの少なくとも一部における分散を補償する方法であって、
サンプルから受光した第1の電磁放射と参照物から受光した第2の電磁放射を含む干渉信号と関連する、前記イメージの少なくとも一部と関連する情報を取得するステップと、
前記イメージの少なくとも一部における前記分散を補償するように、前記干渉信号の少なくとも一つのスペクトル成分の位相を制御するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
前記分散は、前記第1の電磁放射と前記第2の電磁放射の差を表すものである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記制御ステップは、前記イメージの少なくとも一部における前記分散の少なくとも一部を減衰及び除去するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記干渉信号からサンプルの組織における反射層と関連したデータを求めるステップと、
該データにおいて提供される前記分散と関連する情報を求めるステップと、
をさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記データから前記分散の少なくとも一部を減衰及び除去する情報を利用するステップをさらに含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記制御ステップはソフトウェア命令を用いて実行される、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記制御ステップよりも前に、
前記分散を定量化するステップと、
該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正するステップと、
をさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記分散は色分散である、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記イメージの前記分散と関連するデータを求めるステップと、
該データを用いて前記分散を定量化するステップと、
該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正するステップと、
をさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記サンプルは眼の網膜である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記情報は網膜から得られた分光反射と関連するデータを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
オペレータが前記分光反射の少なくとも一つの分散された分光反射を選択できるステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも一つの分散された分光反射は、グラフィカルユーザインターフェースを用いて選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも一つの分散された分光反射は、前記イメージの取得中及び前記イメージの取得後の少なくとも一方において選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも一つの分散された分光反射を用いて前記分散を定量化するステップと、
該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正するステップと、
をさらに含む請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記分光反射中の最も高い輝度を有するものをインタラクティブに探索するステップと、
該最も高い輝度を有する分光反射を用いて前記分散を定量化するステップと、
該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正するステップと、
をさらに含む請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記分散は深さに依存する色分散である、請求項24に記載の方法。
【請求項41】
前記情報は分散されたイメージデータを含み、
該分散されたイメージデータを用いて前記分散を定量化するステップと、
該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正するステップと、
をさらに含む請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記サンプルは眼の網膜である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記分散されたイメージデータは分光反射を含み、前記処理装置は該分光反射を用いて前記分散を定量化するよう適合される、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
所定の一定な色分散パラメータを用いて前記イメージにおける前記分散を補正することにより、前記分散を制御するステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記分散は眼の軸長の推定値に基づいて補償される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記分散は眼の軸長の推定値に基づいて補償される、請求項24に記載の方法。
【請求項47】
イメージの少なくとも一部における分散を補償するよう適合されたソフトウェア構成であって、
第1の命令セットであって、処理装置によって実行される場合、サンプルから受光した第1の電磁放射と参照物から受光した第2の電磁放射を含む干渉信号と関連する、前記イメージの少なくとも一部と関連する情報を取得する命令セットと、
第2の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、前記干渉信号の少なくとも一つのスペクトル成分の位相を制御することにより、前記イメージの少なくとも一部における前記分散を補償する命令セットと、
を含むことを特徴とするソフトウェア構成。
【請求項48】
前記分散は、前記第1の電磁放射と前記第2の電磁放射の差を表すものである、請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項49】
前記第2の命令セットは、前記イメージの少なくとも一部における前記分散の少なくとも一部を減衰及び除去するよう実行可能である、請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項50】
第3の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、前記干渉信号からサンプルの組織における反射層と関連したデータを求める命令セットと、
第4の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該データにおいて提供される前記分散と関連する情報を求める命令セットと、
をさらに含む請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項51】
第5の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、前記データから前記分散の少なくとも一部を減衰及び除去する情報を利用する命令セットをさらに含む、請求項50に記載のソフトウェア構成。
【請求項52】
前記第2の命令セットはソフトウェア命令を用いて手順を制御する、請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項53】
第6の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、前記分散を定量化する命令セットと、
第7の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正する命令セットと、
をさらに含む請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項54】
前記分散は色分散である、請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項55】
第8の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、前記イメージの前記分散と関連するデータを求める命令セットと、
第9の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該データを用いて前記分散を定量化する命令セットと、
第10の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正する命令セットと、
をさらに含む請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項56】
前記サンプルは眼の網膜である、請求項55に記載のソフトウェア構成。
【請求項57】
前記情報は網膜から得られた分光反射と関連するデータを含む、請求項56に記載のソフトウェア構成。
【請求項58】
第11の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、オペレータが前記分光反射の少なくとも一つの分散された分光反射を選択できる命令セットをさらに含む、請求項56に記載のソフトウェア構成。
【請求項59】
前記少なくとも一つの分散された分光反射は、グラフィカルユーザインターフェースを用いて選択される、請求項58に記載のソフトウェア構成。
【請求項60】
前記少なくとも一つの分散された分光反射は、前記イメージの取得中及び前記イメージの取得後の少なくとも一方において選択される、請求項58に記載のソフトウェア構成。
【請求項61】
第12の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、前記少なくとも一つの分散された分光反射を用いて前記分散を定量化する命令セットと、
第13の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正する命令セットと、
をさらに含む請求項58に記載のソフトウェア構成。
【請求項62】
第14の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、前記分光反射中の最も高い輝度を有するものをインタラクティブに探索する命令セットと、
第15の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該最も高い輝度を有する分光反射を用いて前記分散を定量化する命令セットと、
第16の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正する命令セットと、
をさらに含む請求項58に記載のソフトウェア構成。
【請求項63】
前記分散は深さに依存する色分散である、請求項47に記載のソフトウェア構成。
【請求項64】
前記情報は分散されたイメージデータを含み、
第17の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該分散されたイメージデータを用いて前記分散を定量化する命令セットと、
第18の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、該定量化に基づいて前記イメージにおける前記分散を補正する命令セットと、
をさらに含む請求項63に記載のソフトウェア構成。
【請求項65】
前記サンプルは眼の網膜である、請求項64に記載のソフトウェア構成。
【請求項66】
前記分散されたイメージデータは分光反射を含み、前記処理装置は該分光反射を用いて前記分散を定量化するよう適合される、請求項63に記載のソフトウェア構成。
【請求項67】
第19の命令セットであって、前記処理装置によって実行される場合、所定の一定な色分散パラメータを用いて前記イメージにおける前記分散を補正することにより、前記分散を制御する命令セットをさらに含む請求項66に記載のソフトウェア構成。
【請求項68】
前記分散は眼の軸長の推定値に基づいて補償される、請求項67に記載のソフトウェア構成。
【請求項69】
前記分散は眼の軸長の推定値に基づいて補償される、請求項47に記載のソフトウェア構成。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−501118(P2008−501118A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515029(P2007−515029)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/023585
【国際公開番号】WO2005/117534
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/023585
【国際公開番号】WO2005/117534
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]