説明

光サンプリングシステム及び光サンプリング方法

【課題】被測定光信号の隣接ビット間の位相差及び強度比のばらつきを検出する光サンプリングシステムを提供する。
【解決手段】
被測定光信号を、第1及び第2サブ被測定光信号、並びに1ビット遅延を与えられた第3及び第4サブ被測定光信号に分割する光分岐器及びビット遅延器と、第3及び第4サブ被測定光信号に、各々異なる位相変調を与えて第1及び第2変調光信号を生成する第1及び第2位相シフタと、第1サブ被測定光信号及び第1変調光信号、並びに第2サブ被測定光信号及び前記第2変調光信号を、各々結合して第1及び第2干渉光信号を生成する光結合器と、第1及び第2干渉光信号の各々とサンプリング用パルスとを入力して第1及び第2サンプリング光信号を出力する非線形光学媒体とを具える。そして、第1及び第2サンプリング光信号の電力を測定して、被測定光信号の隣接ビット間の位相差及び強度比を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被測定光信号の隣接ビット間の位相差及び電界強度比(以下、単に強度比)のばらつきを検出するための光サンプリングシステム及び光サンプリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信において、送信するデータに応じて搬送波の位相を変調させる位相偏移変調(PSK:Phase Shift Keying)を行う技術が知られている。その代表例として、例えば2値位相変調(BPSK:Binary Phase Shift Keying)や4値位相変調(QPSK:Quadrature Phase Shift Keying)が周知である。
【0003】
ここで、光ファイバを経て送受信する際に、例えば光ファイバ等の欠陥等に起因して、光信号に含まれる光パルス列における各隣接ビット間の強度比又は位相差にばらつきが生じることがある。このようなばらつきは、光信号の品質低下に繋がる。そのため、強度比又は位相差のばらつきを検出するための光サンプリングシステムが求められている。
【0004】
従来、光電変換を行う光通信システムでは、光電変換素子の帯域の制限から、高速の光信号(例えば160〜400Gb/s)を高い分解能でサンプリングすることは困難であった。
【0005】
そこで、高速の光信号のサンプリングを実現するために、例えば非特許文献1に開示された光サンプリングシステムが提案されている。
【0006】
非特許文献1に係る光サンプリングシステムでは、被測定光信号とサンプリング用パルスとを非線形光学媒体に入力することによってサンプリング光信号を生成する。サンプリング用パルスは、被測定光信号の繰り返し周波数の定数分の1と若干異なる繰り返し周波数に設定される。そのため、被測定光信号に含まれる光パルス列の各シンボルに対して、各々の時間内の各位置に対応したサンプリング光信号を生成することができる。その結果、このサンプリング光信号から高い分解能で被測定光信号の瞬時の電界強度(以下、単に強度)を検出することが可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ECOC−IOOC 2003 Proceedings − Vol.1 Mo3.6.2“160Gb/s OPTICAL DATA PATTERN MONITORING USING A SOFTWARE−SYNCHRONIZED ALL−OPTICAL SAMPLING SYSTEM”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1に係る光サンプリングシステムでは、被測定光信号の位相に関する情報を検出することができない。
【0009】
そして、上述したPSKでは、信号の強度が一定であるため、被測定光信号の瞬時強度を検出するのみでは、光信号の品質を正確に評価することができない。
【0010】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、被測定光信号の隣接ビット間の位相差及び強度比のばらつきを検出することが可能な光サンプリングシステム及び光サンプリング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、この発明による光サンプリングシステムは、以下の特徴を具えている。
【0012】
この発明の第1の要旨による光サンプリングシステムは、干渉光信号生成部とサンプリング光信号生成部と信号処理部とを具えて構成される。
【0013】
干渉光信号生成部は、第1光分岐器と、第2光分岐器と、ビット遅延器と、第3光分岐器と、第1位相シフタと、第2位相シフタと、第1光結合器と、第2光結合器とを具えている。
【0014】
第1光分岐器は、被測定光信号を、第1被測定光信号と第2被測定光信号とに2分割する。
【0015】
第2光分岐器は、第1被測定光信号を、第1サブ被測定光信号と第2サブ被測定光信号とに2分割する。
【0016】
ビット遅延器は、第2被測定光信号に1ビット遅延を与える。
【0017】
第3光分岐器は、1ビット遅延を与えられた第2被測定光信号を、第3サブ被測定光信号と第4サブ被測定光信号とに2分割する。
【0018】
第1位相シフタは、第3サブ被測定光信号に、第1の位相変調量の位相変調を与えて第1変調光信号を生成する。
【0019】
第2位相シフタは、第4サブ被測定光信号に、第1の位相変調量とは異なる第2の位相変調量の位相変調を与えて第2変調光信号を生成する。
【0020】
第1光結合器は、第1サブ被測定光信号と第1変調光信号とを結合して第1干渉光信号を生成する。
【0021】
第2光結合器は、第2サブ被測定光信号と第2変調光信号とを結合して第2干渉光信号を生成する。
【0022】
サンプリング光信号生成部は、第1非線形光学媒体と第2非線形光学媒体とを具えている。
【0023】
第1非線形光学媒体は、第1干渉光信号とサンプリング用パルスとを入力して第1サンプリング光信号を出力する。
【0024】
第2非線形光学媒体は、第2干渉光信号とサンプリング用パルスとを入力して第2サンプリング光信号を出力する。
【0025】
信号処理部は、第1サンプリング光信号及び第2サンプリング光信号の電力を測定することによって、被測定光信号における隣接ビット間の位相差及び強度比を検出する。
【0026】
この発明の第2の要旨による光サンプリングシステムは、干渉光信号生成部とサンプリング信号生成部と信号処理部とを具えて構成される。
【0027】
干渉光信号生成部は、光分岐器と位相変調器とビット遅延器と光結合器とを具えている。
【0028】
光分岐器は、被測定光信号を、第1被測定光信号と第2被測定光信号とに2分割する。
【0029】
位相変調器は、第1被測定光信号に第1の位相変調量の位相変調が与えられた第1変調光パルスと、第1被測定光信号に第1の位相変調量とは異なる第2の位相変調量の位相変調が与えられた第2変調光パルスとが、サンプリング用パルスの2倍の周期で交互に繰り返す変調光信号を出力する。
【0030】
ビット遅延器は、第2被測定光信号に1ビット遅延を与える。
【0031】
光結合器は、1ビット遅延を与えられた第2被測定光信号の各パルスと、第1変調光パルス及び第2変調光パルスの各々とを結合して生成された第1干渉光パルス及び第2干渉光パルスを含む干渉光信号を生成する。
【0032】
サンプリング光信号生成部は、非線形光学媒体を具えている。
【0033】
非線形光学媒体は、干渉光信号とサンプリング用パルスとを入力して、サンプリング用パルスの各パルスと、第1干渉光パルス及び第2干渉光パルスの各々とを結合して生成された第1サンプリング光パルス及び第2サンプリング光パルスを含むサンプリング光信号を出力する。
【0034】
信号処理部は、第1サンプリング光パルス及び第2サンプリング光パルスの電力を測定することによって、前記被測定光信号における隣接ビット間の位相差及び強度比を検出する。
【0035】
この発明の第3の要旨による光サンプリングシステムは、干渉光信号生成部とサンプリング信号生成部と信号処理部とを具えて構成される。
【0036】
干渉光信号生成部は、光分岐器と、位相変調器と、ビット遅延器と、光結合器とを具えている。
【0037】
光分岐器は、被測定光信号を、第1被測定光信号と第2被測定光信号とに2分割する。
【0038】
位相変調器は、第1被測定光信号に第1の位相変調量の位相変調が与えられた第1変調光パルスと、第1被測定光信号に第1の位相変調量とは異なる第2の位相変調量の位相変調が与えられた第2変調光パルスと、第1被測定光信号に第1及び第2の位相変調量とは異なる第3の位相変調量の位相変調が与えられた第3変調光パルスとが、サンプリング用パルスの3倍の周期でこの順に繰り返す変調光信号を出力する。
【0039】
ビット遅延器は、第2被測定光信号に1ビット遅延を与える。
【0040】
光結合器は、1ビット遅延を与えられた第2被測定光信号の各パルスと、第1変調光パルス、第2変調光パルス、及び第3変調光パルスの各々とを結合して生成された第1干渉光パルス、第2干渉光パルス、及び第3干渉光パルスを含む干渉光信号を生成する。
【0041】
サンプリング光信号生成部は、非線形光学媒体を具えている。
【0042】
非線形光学媒体は、干渉光信号とサンプリング用パルスとを入力して、サンプリング用パルスの各パルスと、第1干渉光パルス、第2干渉光パルス、第3干渉光パルスの各々とを結合して生成された第1サンプリング光パルス、第2サンプリング光パルス、及び第3サンプリング光パルスを含むサンプリング光信号を出力する。
【0043】
信号処理部は、第1サンプリング光パルス、第2サンプリング光パルス、及び第3サンプリング光パルスの電力を測定することによって、被測定光信号における隣接ビット間の位相差及び強度比を検出する。
【発明の効果】
【0044】
第1の要旨による光サンプリングシステムでは、上述したように、被測定光信号を、第1サブ被測定光信号と第2サブ被測定光信号と第3サブ被測定光信号と第4サブ被測定光信号とに分割する。第3サブ被測定光信号は、被測定光信号に対して、1ビット遅延が与えられ、さらに第1の位相変調量φ1の位相変調が与えられて第1変調光信号とされる。また、第4サブ被測定光信号は、被測定光信号に対して、1ビット遅延が与えられ、さらに第2の位相変調量φ2の位相変調が与えられて第2変調光信号とされる。そして、第1サブ被測定光信号と第1変調光信号とを結合して第1干渉光信号を生成する。また、第2サブ被測定光信号と第2変調光信号とを結合して第2干渉光信号を生成する。このような第1光干渉信号及び第2干渉光信号の各々と、サンプリング用パルスとを非線形光学媒体に入力することによって、第1サンプリング光信号及び第2サンプリング光信号を生成する。その結果、これら第1サンプリング光信号及び第2サンプリング光信号の電力を検出することによって、被測定光信号における隣接ビット間の位相差及び強度比を検出することができる。
【0045】
第2の要旨による光サンプリングシステムでは、第1の位相変調量φ1の位相変調が与えられた第1変調光パルスと、第2の位相変調量φ2の位相変調が与えられた第2変調光パルスとが、サンプリング用パルスの2倍の周期で交互に繰り返す変調光信号を生成することによって、1つの非線形光学媒体を用いて第1サンプリング光パルス及び第2サンプリング光パルスを含むサンプリング光信号を生成することができる。そのため、2つの非線形光学媒体を用いて第1サンプリング光信号及び第2サンプリング光信号を生成する第1の要旨による光サンプリングシステムと比して、構成を単純化することができる。
【0046】
第3の要旨による光サンプリングシステムでは、1つの非線形光学媒体を用いて第1サンプリング光パルス、第2サンプリング光パルス、及び第3サンプリング光パルスを含むサンプリング光信号を生成することができる。そのため、第2の要旨による光サンプリングシステムと同様に、構成を単純化することができる。
【0047】
また、第3の要旨による光サンプリングシステムでは、第1サンプリング光パルス、第2サンプリング光パルス、及び第3サンプリング光パルスの電力を測定することにより、位相差及び強度比を一義的に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1の光サンプリングシステムの概略構成図である。
【図2】(A)〜(E)は、第1の光サンプリングシステムにおいて伝送される信号の包絡線を示す図である。
【図3】(A)〜(F)は、第1の光サンプリングシステムにおいて伝送される信号の包絡線を示す図である。
【図4】(A)〜(F)は、第1の光サンプリングシステムにおいて伝送される信号の包絡線を示す図である
【図5】(A)は、第1サブ被測定光信号及び第1変調光信号を包絡線で示している。(B)は、第2サブ被測定光信号及び第2変調光信号を包絡線で示している。(C)は、干渉した第1サブ被測定光信号及び第1変調光信号、並びに干渉した第2サブ被測定光信号及び第2変調光信号を構成する光パルスの状態をフェーザ表示で示している。
【図6】(A)及び(B)は、変調位相に対応するx2及びy2の点をx2−y22次元座標にプロットした図である。
【図7】(A)は、位相差にばらつきが生じた場合における測定点のx2−y22次元座標上の変化を示している。(B)は、強度比にばらつきが生じた場合における測定点のx2−y22次元座標上の変化を示している。
【図8】(A)は、位相差にばらつきが生じた場合における測定点のx2−y22次元座標上の変化を示している。(B)は、強度比にばらつきが生じた場合における測定点のx2−y22次元座標上の変化を示している。
【図9】第2の光サンプリングシステムの概略構成図である。
【図10】(A)〜(C)は、第2の光サンプリングシステムにおいて伝送される信号の包絡線を示す図である。
【図11】(A)〜(C)は、第2の光サンプリングシステムにおいて伝送される信号の包絡線を示す図である。
【図12】第3の光サンプリングシステムの概略構成図である。
【図13】(A)〜(E)は、第3の光サンプリングシステムにおいて伝送される信号の包絡線を示す図である。
【図14】第4の光サンプリングシステムの概略構成図である。
【図15】(A)〜(D)は、第4の光サンプリングシステムにおいて伝送される信号の包絡線を示す図である。
【図16】(A)〜(D)は、第4の光サンプリングシステムにおいて伝送される信号の包絡線を示す図である。
【図17】第5の光サンプリングシステムの概略構成図である。
【図18】(A)及び(B)は、第5の光サンプリングシステムにおいて伝送される信号の包絡線を示す図である。
【図19】(A)〜(E)は、第5の光サンプリングシステムにおいて伝送される信号の包絡線を示す図である。
【図20】(A)〜(E)は、第5の光サンプリングシステムにおいて伝送される信号の包絡線を示す図である。
【図21】算出される位相差θと実際の位相差θとの関係を示す図である。
【図22】信号処理部に付与するアルゴリズムを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0050】
(第1の光サンプリングシステム)
図1〜4を参照して、この発明の第1の実施の形態による光サンプリングシステム(以下、第1の光サンプリングシステム)について説明する。図2〜図4では、各信号について横軸に時間を任意単位でとって示し、縦軸に信号強度を任意単位でとって示している。
なお、図1では、各構成要素が線で結ばれているが、これは信号が伝播する伝送路を模式的に示したものである。各構成要素間は、例えば光ファイバや光導波路で接続されていても良いし、いわゆる空間結合で接続されていても良い。
【0051】
第1の光サンプリングシステム100は、干渉光信号生成部110とサンプリング光信号生成部130と信号処理部150と表示部170とを具えて構成される。第1の光サンプリングシステム100は、入力された被測定光信号(図1中、矢印S101で示す)から2つのサンプリング光信号(図1中、矢印S151、S152で示す)を生成し、それらの電力を測定することによって位相差及び強度比のばらつきを検出する。
【0052】
被測定光信号S101は、光パルス列を位相変調して得られる、デジタル電気信号を反映した光パルス信号である。被測定光信号S101は、例えばBPSK信号又はQPSK信号である。なお、ここでは、被測定光信号S101としてQPSK信号を入力した場合について説明する。被測定光信号S101は、4値のデータを有していて、これらのデータに対応して、光搬送波の変調位相(0、π/2、π、3π/2)が定まっている。
【0053】
第1の光サンプリングシステム100に入力された被測定光信号S101は、まず干渉光信号生成部110に入力される。
【0054】
干渉光信号生成部110は、第1光分岐器11と、第2光分岐器13と、ビット遅延器15と、第3光分岐器17と、第1位相シフタ19と、第2位相シフタ21と、第1光結合器23と、第2光結合器25とを具えている。なお、図1では、さらに被測定光信号S101を増幅するための光増幅器27を具えた構成例を示してある。
【0055】
干渉光信号生成部110に入力された被測定光信号S101は、光増幅器27で増幅された後、第1光分岐器11に送られる。第1光分岐器11は、被測定光信号S101を第1被測定光信号(図1中、矢印S111で示す)と第2被測定光信号(図1中、矢印S112で示す)とに2分割する(図2(A))。第1被測定光信号S111は、第2光分岐器13に送られる。また、第2被測定光信号S112は、ビット遅延器15に送られる。
【0056】
第2光分岐器13は、第1被測定光信号S111を、第1サブ被測定光信号(図1中、矢印S121で示す)と第2サブ被測定光信号(図1中、矢印S122で示す)とに2分割する(図2(B))。第1サブ被測定光信号S121は、第1光結合器23に送られる。また、第2サブ被測定光信号S122は、第2光結合器25に送られる。
【0057】
ビット遅延器15は、第2被測定光信号S112に1ビット遅延を与える。すなわち、入力された第2被測定光信号S112を構成する光パルス1つ分が時間軸上で占める時間遅延を与える。このビット遅延器15として、例えばエタロンを用いることができる。エタロンをビット遅延器15として使用するには、このエタロンを透過する第2被測定光信号S112に対して1ビット遅延を与えるために必要な厚みのエタロンを選択すればよい。なお、ここでは、第2被測定光信号S112に対して1ビット遅延を与える構成例について説明するが、ビット遅延器15による1ビット遅延の付与は、第1被測定光信号S111又は第2被測定光信号S112のいずれか一方に対して行えばよい。従って、第2被測定光信号S112ではなく、第1被測定光信号S111に対して1ビット遅延を与える構成とすることもできる。1ビット遅延を与えられた第2被測定光信号(図1中、矢印S112aで示す)は、第3光分岐器17に送られる。
【0058】
第3光分岐器17は、1ビット遅延を与えられた第2被測定光信号S112aを、第3サブ被測定光信号(図1中、矢印S123で示す)と第4サブ被測定光信号(図1中、矢印S124で示す)とに2分割する(図2(C))。第3サブ被測定光信号S123は、第1位相シフタ19に送られる。また、第4サブ被測定光信号S124は、第2位相シフタ21に送られる。
【0059】
第1位相シフタ19は、第3サブ被測定光信号S123に、第1の位相変調量φ1の位相変調を与えて第1変調光信号(図1中、矢印S131で示す)を生成する(図2(D))。ここでは、φ1=0とした場合について説明する。従って、各パルスの変調位相は、第3サブ被測定光信号S123(図2(C))と同様である。第1変調光信号S131は、第1光結合器23に送られる。
【0060】
第2位相シフタ21は、第4サブ被測定光信号S124に、第1の位相変調量φ1とは異なる第2の位相変調量φ2の位相変調を与えて第2変調光信号(図1中、矢印S132で示す)を生成する(図2(E))。ここでは、φ2=π/2とした場合について説明する。従って、各パルスの変調位相は、第4サブ被測定光信号S124からπ/2ずれた位相となる。第2変調光信号S132は、第2光結合器25に送られる。
【0061】
第1光結合器23は、第1サブ被測定光信号S121と第1変調光信号S131とを干渉させて第1干渉光信号S141を生成する(図3(A)〜(C))。第2光結合器25は、第2サブ被測定光信号S122と第2変調光信号S132とを干渉させて第2干渉光信号S142を生成する(図3(D)〜(F))。第1干渉光信号S141及び第2干渉光信号S142は、干渉光信号生成部110から出力され、サンプリング光信号生成部130に入力される。
【0062】
サンプリング光信号生成部130は、第1非線形光学媒体31と第2非線形光学媒体33とを具えている。第1非線形光学媒体31及び第2非線形光学媒体33としては、例えば高非線形光ファイバ、PPLN、又はKTP等を用いることができる。サンプリング光信号生成部130に入力された第1干渉光信号S141は、第1非線形光学媒体31に入力される。また、第2干渉光信号S142は、第2非線形光学媒体33に入力される。
【0063】
また、第1非線形光学媒体31及び第2非線形光学媒体33には、各々サンプリング用パルスが入力される。図1に示す構成例では、サンプリング用パルス源10で生成されたサンプリング用パルス(図1中、矢印S201で示す)は、光増幅器35で増幅された後、第4分岐器37に送られる。第4光分岐器37は、サンプリング用パルスS201を第1サンプリング用パルス(図1中、矢印S211で示す)と第2サンプリング用パルス(図1中、矢印S212で示す)とに2分割する。第1サンプリング用パルスS211は、サンプリング光信号生成部130に入力され、第1非線形光学媒体31に送られる。また、第2サンプリング用パルスS212は、サンプリング光信号生成部130に入力され、第2非線形光学媒体33に送られる。
【0064】
第1非線形光学媒体31は、第1干渉光信号S141と第1サンプリング用パルスS211との乗算信号として第1サンプリング光信号S151を生成して出力する(図4(A)〜(C))。従って、第1サンプリング光信号S151を構成するパルスの強度は、第1干渉光信号S141及び第1サンプリング用パルスS211を構成するパルスの強度の積となる。
【0065】
第2非線形光学媒体33は、第2干渉光信号S142と第2サンプリング用パルスS212との乗算信号として第2サンプリング光信号S152を生成して出力する(図4(D)〜(F))。従って、第2サンプリング光信号S152を構成するパルスの強度は、第2干渉光信号S142及び第2サンプリング用パルスS212を構成するパルスの強度の積となる。
【0066】
第1サンプリング用パルスS211及び第2サンプリング用パルスS212は、一定の強度のパルスで、かつ、被測定光信号S101の繰り返し周波数の定数分の1と若干異なる繰り返し周波数で構成されている。すなわち、被測定光信号S101の繰り返し周波数をN(Nは1以上の整数)で割った値が、サンプリング用パルスS201の繰り返し周波数と一致しないように設定される。そのため、第1干渉光信号S141及び第2干渉光信号S142を構成する光パルス列の各シンボル(図4中に破線で区切って示す)に対して、周期毎に各シンボルの時間(タイムスロット)内でサンプリング光信号を生成する(サンプリングされる)時間位置が変化する。従って、第1干渉光信号S141及び第2干渉光信号S142の各シンボル内の時間位置を網羅して対応した強度を有する第1サンプリング光信号S151及び第2サンプリング光信号S152を生成することができる。
【0067】
第1サンプリング光信号S151及び第2サンプリング光信号S152は、第1光電変換器41及び第2光電変換器45において各々電気信号に変換される。その後、第1アナログ/デジタル変換器43及び第2アナログ/デジタル変換器47においてデジタル信号に変換される。そして、デジタル信号として出力された第1サンプリングデジタル信号(図1中、矢印S161で示す)及び第2サンプリングデジタル信号(図1中、矢印S162で示す)は、信号処理部150に入力される。
【0068】
信号処理部150は、第1サンプリングデジタル信号S161及び第2サンプリングデジタル信号S162から、第1サンプリング光信号S151及び第2サンプリング光信号S152の電力を測定する。これら測定された各電力を、被測定光信号S101における隣接ビット間の位相差及び強度比のばらつき(以下、単に位相差及び強度比のばらつきとも称する)がない場合の電力と比較することによって、位相差及び強度比を検出する。
【0069】
信号処理部150において検出された位相差及び強度比の情報は、表示部170に適した信号に変換されて表示部170に送られる。
【0070】
表示部170は例えば液晶ディスプレイなど好適な表示手段とすることができる。そして、信号処理部150において検出された位相差及び強度比は、この表示部170において視認可能な状態で表示される。この表示された位相差及び強度比の情報から、位相差及び強度比のばらつきを検出することができる。
【0071】
(位相差及び強度比のばらつき検出の原理)
図5を参照して、位相差及び強度比のばらつきを検出する原理について説明する。図5(A)では、第1サブ被測定光信号S121及び第1変調光信号S131を、電界の包絡線で示している。図5(B)では、第2サブ被測定光信号S122及び第2変調光信号S132を、電界の包絡線で示している。図5(C)では、干渉した第1サブ被測定光信号S121及び第1変調光信号S131、並びに干渉した第2サブ被測定光信号S122及び第2変調光信号S132を構成する光パルスの状態をフェーザ表示で示している。なお、フェーザ表示とは、位相変調信号を構成する光パルスの状態に対応する、複素平面上の点の位置(複素数と一対一対応する)を、位置ベクトルによって表示する手法である。すなわち、フェーザ表示は、複素数の絶対値及び位相を、それぞれ位相変調信号を構成する光パルスの光搬送波としての振幅及び位相とし、この複素平面に対応する位置ベクトルを複素平面上に表示する手法である。
【0072】
干渉前の第1サブ被測定光信号S121及び第2サブ被測定光信号S122(すなわち被測定光信号S101)について、各測定するパルスの時間軸上における1つ前のパルス(以下、前パルス)の強度をE、ある測定するパルスの、前パルスとの強度の比(以下、強度比)をa、及びある測定するパルスと前パルスとの位相差をθとする(図5(A)及び(B))。なお、φ1は、第1位相シフタ19で与えられる第1の位相変調量であり、及びφ2は第2位相シフタ21で与えられる第2の位相変調量である。
【0073】
そして、第1サブ被測定光信号S121及び第1変調光信号S131が干渉して得られる第1干渉光信号S141のパルスの強度をxとする。また、第2サブ被測定光信号S122及び第2変調光信号S132が干渉して得られる第2干渉光信号S142のパルスの強度をyとする(図5(C))。
【0074】
第1干渉光信号S141のパルスの強度x、及び第2干渉光信号S142のパルスの強度yについて、図5(C)から下式(1)及び(2)が導かれる。
【0075】
x2=E2(1+a2+2acos(θ+φ1)) ・・・(1)
y2=E2(1+a2+2acos(θ+φ2)) ・・・(2)
第1の光サンプリングシステム100では、信号処理部150において、入力された第1サンプリングデジタル信号S161及び第2サンプリングデジタル信号S162から、第1サンプリング光信号S151及び第2サンプリング光信号S152の電力として、式(1)及び(2)で表されるx2及びy2を測定する。
【0076】
既に説明したように、第1の光サンプリングシステム100では、サンプリング光信号生成部130において、第1干渉光信号S141及び第2干渉光信号S142と、第1サンプリング用パルスS211及び第2サンプリング用パルスS212との乗算信号として、それぞれ第1サンプリング光信号S151及び第2サンプリング光信号S152を生成する。その結果、第1干渉光信号S141及び第2干渉光信号S142の各タイムスロット内のパルスの強度を網羅して対応した第1サンプリング光信号S151及び第2サンプリング光信号S152を生成することができる。
【0077】
そして、信号処理部150は、第1サンプリング光信号S151及び第2サンプリング光信号S152の時間軸上で対応するパルス(例えば図4(C)及び(F)にXs1、Ys1で示す)の電力の各組み合わせを行列として任意好適な記憶手段に蓄積する。この蓄積した各組み合わせのx2及びy2を、測定点としてx2−y22次元座標にプロットする。そして、プロットした測定点を表示部170に表示し、位相差及び強度比のばらつきがない場合の測定点と比較することによって位相差及び強度比を検出する。
【0078】
なお、第1の光サンプリングシステム100では、強度Eの変化が大きくない場合を考える。すなわち、前パルスの強度Eを一定と見なす。そして、プロットするx2及びy2をx2/E2及びy2/E2に規格化する。
【0079】
式(1)及び(2)によって算出される、位相差及び強度比のばらつきがない場合の、被測定光信号S101を構成する光パルス列に与えられた各変調位相に対応するx2−y22次元座標の点を表1に示す。表1では、φ1=0及びφ2=π/2とした場合、並びにφ1=π/4及びφ2=−π/4とした場合について示してある。
【0080】
【表1】

【0081】
また、図6は、表1に示す各変調位相に対応する点をx2−y22次元座標にプロットした図である。図6(A)は、φ1=0及びφ2=π/2とした場合について示している。また、図6(B)は、φ1=π/4及びφ2=−π/4とした場合について示している。これら各図では、横軸にx2を、また、縦軸にy2をとって示している。
【0082】
位相差及び強度比のばらつきがない場合には、被測定光信号S101を構成する光パルス列に与えられた各変調位相に対応する点は、2E2/T(T:任意の定数)の半径を有する仮想円の円周上にプロットされる。
【0083】
次に、図7及び図8を参照して、位相差及び強度比のばらつきが生じた場合の、x2−y22次元座標におけるx2及びy2の測定点の変化について説明する。
【0084】
図7(A)は、φ1=0及びφ2=π/2とした場合において、位相差にばらつきが生じた場合のx2及びy2の測定点の変化を示している。この位相差にばらつきが生じた場合では、仮想円の円周に沿ってプロットされる各測定点が変化する。図7(B)は、φ1=0及びφ2=π/2とした場合において、強度比にばらつきが生じた場合のx2及びy2の測定点の変化を示している。この強度比にばらつきが生じた場合では、仮想円の円周に沿って、又は仮想円の円周から外れる方向にプロットされる各測定点が変化する。
【0085】
図8(A)は、第1の位相変調量φ1及び第2の位相変調量φ2を、φ1=π/4及びφ2=−π/4とした場合において、位相差にばらつきが生じた場合のx2及びy2の測定点の変化を示している。この位相差にばらつきが生じた場合では、仮想円の円周に沿ってプロットされる各測定点が変化する。図8(B)は、第1の位相変調量φ1及び第2の位相変調量φ2を、φ1=π/4及びφ2=−π/4とした場合において、強度差にばらつきが生じた場合のx2及びy2の測定点の変化を示している。この強度比にばらつきが生じた場合では、仮想円の円周から外れる方向にプロットされる各測定点が変化する。
【0086】
以上に説明したように、被測定光信号S101に位相差及び強度比のばらつきが生じた場合には、x2−y22次元座標におけるx2及びy2の測定点が、位相差及び強度比のばらつきがない場合の測定点(図6(A)及び(B))から変化した位置にプロットされる。従って、測定して算出したx2及びy2の測定点を、表示部170に表示し、位相差及び強度比のばらつきがない場合の測定点と比較することによって、位相差及び強度比のばらつきを検出することができる。
【0087】
(第2の光サンプリングシステム)
図9〜11を参照して、この発明の第2の実施の形態による光サンプリングシステム(以下、第2の光サンプリングシステム)について説明する。図10及び図11では、各信号について横軸に時間を任意単位でとって示し、縦軸に信号強度を任意単位でとって示している。
【0088】
第2の光サンプリングシステム200は、上述した第1の光サンプリングシステム100に、さらに第2ビット遅延器53と第3非線形光学媒体55とを追加して具えて構成されている。なお、第2の光サンプリングシステム200において、第1の光サンプリングシステム100と共通する構成要素及び信号については、同一の符号を付し重複する説明を省略する。
【0089】
第2の光サンプリングシステム200は、干渉光信号生成部210とサンプリング光信号生成部230と信号処理部250と表示部170とを具えて構成される。
【0090】
第2の光サンプリングシステム200に入力された被測定光信号S101は、まず干渉光信号生成部210に入力される。
【0091】
干渉光信号生成部210では、第1光分岐器51が、被測定光信号S101を第1被測定光信号S111と第2被測定光信号S112と第3被測定光信号(図9中にS113で示す)に3分割する。第1被測定光信号S111は第2光分岐器13に、第2被測定光信号S112はビット遅延器15に、及び、第3被測定光信号S113は第2ビット遅延器53にそれぞれ送られる。
【0092】
第2ビット遅延器53は、第3被測定光信号S113に1ビット遅延を与える。この第2ビット遅延器53は、ビット遅延器15と同様に構成することができる。1ビット遅延を与えられた第3被測定光信号(図9中、矢印S113aで示す)は、干渉光信号生成部210から出力され、サンプリング光信号生成部230に入力される。
【0093】
サンプリング光信号生成部230に入力された第3被測定光信号S113aは、第3非線形光学媒体55に入力される。
【0094】
また、サンプリング用パルスS201は、光増幅器35で増幅された後、第4分岐器57に送られる。第4光分岐器57は、サンプリング用パルスS201を第1サンプリング用パルスS211と第2サンプリング用パルスS212と第3サンプリング用パルス(図9中S213で示す)とに3分割する。第3サンプリング用パルスS213は、サンプリング光信号生成部230に入力され、第3非線形光学媒体55に送られる。
【0095】
第3非線形光学媒体55は、非線形光学効果により、第3被測定光信号S113aと第3サンプリング用パルスS213との乗算信号として、第3サンプリング光信号S153を生成する(図10(A)〜(C))。従って、第3サンプリング光信号S153を構成するパルスの強度は、第3被測定光信号S113a及び第3サンプリング光信号S153を構成するパルスの強度の積となる。
【0096】
第3サンプリング用パルスS213は、一定の強度のパルスで構成されている。そして、第3サンプリング用パルスS213は、被測定光信号S101の繰り返し周波数の定数分の1と若干異なる繰り返し周波数に設定されている。すなわち、被測定光信号S101の繰り返し周波数をN(Nは1以上の整数)で割った値が、サンプリング用パルスS201の繰り返し周波数と一致しないように設定される。そのため、第3被測定光信号S113aを構成する光パルス列の各シンボル(図10(A)〜(C)中に破線で区切って示す)に対して、周期毎に各タイムスロット内で第3サンプリング光信号S153を生成する時間位置が変化する。従って、第3被測定光信号S113aの各シンボル内の時間位置を網羅して対応した強度を有する第3サンプリング光信号S153を生成することができる。第3非線形光学媒体55としては、第1及び第2非線形光学媒体51及び53と同様に、例えば高非線形光ファイバ、PPLN、又はKTP等を用いることができる。
【0097】
第3サンプリング光信号S153は、第3光電変換器59において電気信号に変換される。その後、第3アナログ/デジタル変換器61においてデジタル信号に変換される。そして、デジタル信号として出力された第3サンプリングデジタル信号(図9中、矢印S163で示す)は、信号処理部250に入力される。
【0098】
信号処理部250は、上述した第1の光サンプリングシステム100の信号処理部150と同様に、第1サンプリングデジタル信号S161及び第2サンプリングデジタル信号S162から、第1サンプリング光信号S151及び第2サンプリング光信号S152の電力を測定する。
【0099】
さらに、信号処理部250は、第3サンプリングデジタル信号から第3サンプリング光信号S153の電力を測定する。この第3サンプリング光信号S153の電力を、第1の実施の形態で上述した前パルスの強度Eに対応する電力E2として用いることによって、位相差及び強度比を算出する。
【0100】
第2の光サンプリングシステム200では、第1の光サンプリングシステム100と同様に、信号処理部250は、第1サンプリング光信号S151、第2サンプリング光信号S152、及び第3サンプリング光信号S153の時間軸上で対応する時間位置のパルス(図11(A)〜(C)において破線で囲って示す)の電力の各組み合わせを行列として蓄積する。
【0101】
既に説明したように、第1サンプリング光信号S151及び第2サンプリング光信号S152の各パルスの電力は、上述した式(1)及び(2)で表されるx2及びy2に対応する。
【0102】
また、測定される第3サンプリング光信号S153の電力は、式(1)及び(2)で表されるE2に対応する。
【0103】
従って、時間軸上で対応する時間位置の、第1〜3サンプリング光信号S151〜S153のパルスの電力の各組み合わせで、式(1)及び(2)にx2、y2、及びE2を導入することによって、位相差θ及び強度比aを一義的に検出することができる。
【0104】
得られた各測定点を、第1の光サンプリングシステム100と同様に、x2−y22次元座標にプロットする。そして、プロットした測定点を表示部170に表示し、位相差及び強度比のばらつきがない場合の測定点と比較することによって位相差及び強度比のばらつきを検出する。
【0105】
このように、第2の光サンプリングシステム200では、第3サンプリング光信号S153を生成することによって、前パルスのE2を検出する。その結果、前パルスの強度Eを一定と見なしてx2及びy2をx2/E2及びy2/E2に規格化する第1の光サンプリングシステム100と比して、より正確に位相差及び強度比のばらつき検出することができる。
【0106】
(第3の光サンプリングシステム)
図12及び図13を参照して、この発明の第3の実施の形態による光サンプリングシステム(以下、第3の光サンプリングシステム)について説明する。図13では、各信号について横軸に時間を任意単位でとって示し、縦軸に信号強度を任意単位でとって示している。なお、第3の光サンプリングシステムにおいて、上述した第1及び第2の光サンプリングシステムと共通する構成要素及び信号については、同一の符号を付し重複する説明を省略する。
【0107】
第3の光サンプリングシステム300は、干渉光信号生成部310とサンプリング光信号生成部330と信号処理部350と表示部170とを具えて構成される。第3の光サンプリングシステム300は、入力された被測定光信号S101から1つのサンプリング光信号を生成し、その電力を測定することによって位相差及び強度比のばらつきを検出する。
【0108】
第3の光サンプリングシステム300に入力された被測定光信号S101は、まず干渉光信号生成部310に入力される。
【0109】
干渉光信号生成部310は、光分岐器1011と、位相変調器1013と、ビット遅延器1015と、光結合器1023とを具えている。なお、図12では、さらに被測定光信号S101を増幅するための光増幅器27を具えた構成例を示してある。
【0110】
干渉光信号生成部310に入力された被測定光信号S101は、光増幅器27で増幅された後、光分岐器1011に送られる。光分岐器1011は、被測定光信号S101を第1被測定光信号S111と第2被測定光信号S112とに2分割する。第1被測定光信号S111は、位相変調器1013に送られる。また、第2被測定光信号S112は、ビット遅延器1015に送られる。
【0111】
位相変調器1013は、第1被測定光信号S111を構成する光パルス列に対し、第1の位相変調量φ1、及び第1の位相変調量φ1とは異なる第2の位相変調量φ2を交互に与える。そして、第1の位相変調量φ1の位相変調が与えられた第1変調光パルスと、第2の位相変調量φ2の位相変調が与えられた第2変調光パルスとが交互に繰り返す変調光信号(図12中、矢印S301で示す)を出力する(図13(A))。なお、図13(A)では、2つのパルス毎に繰り返して第1の位相変調量φ1と第2の位相変調量φ2とが与えられた変調光信号S301を示している。変調光信号S301は、光結合器1023に送られる。
【0112】
また、位相変調器1013は、変調器駆動回路1017から出力される駆動信号(図12中、矢印S901で示す)に対応した繰り返し周波数で、第1の位相変調量φ1と第2の位相変調量φ2とを第1被測定光信号S111に与える。
【0113】
変調器駆動回路1017は、発振器1019の繰り返し周波数に基づいた駆動信号S901を生成し出力する。そして、第1変調光パルス及び第2変調光パルスの繰り返し周波数は、サンプリング用パルスS201の周期の2倍に設定される。
【0114】
ビット遅延器1015は、第2被測定光信号S112に1ビット遅延を与える。このビット遅延器1015は、例えばエタロンを用いることができる。なお、ここでは、第2被測定光信号S112に対して1ビット遅延を与える構成例について説明するが、ビット遅延器1015による1ビット遅延の付与は、第1被測定光信号S111又は第2被測定光信号S112のいずれか一方に対して行えばよい。従って、第2被測定光信号S112ではなく、第1被測定光信号S111に対して1ビット遅延を与える構成とすることもできる。1ビット遅延を与えられた第2被測定光信号(図12中、矢印S112aで示す)は、光結合器1023に送られる。
【0115】
光結合器1023は、第2被測定光信号S112aの各パルスと、変調光信号S301を構成する第1変調光パルス及び第2変調光パルスの各々とを干渉させて、第1干渉光パルス及び第2干渉光パルスを含む干渉光信号(図12中、矢印S311で示す)を生成する(図13(B))。干渉光信号S311は、干渉光信号生成部310から出力され、サンプリング光信号生成部330に入力される。
【0116】
干渉光信号S311は、第2被測定光信号S112aのパルスと第1変調光パルスとから生成された第1干渉光パルスX、及び第2被測定光信号S112aのパルスと第2変調光パルスとから生成された第2干渉光パルスYが、サンプリング用パルスS201の2倍の周期で、交互に繰り返す光パルス列によって構成される。なお、図13(B)では、各パルスの強度を一定として示してあるが、実際には、第2被測定光信号S112aの各パルス、第1変調光パルス、及び第2変調光パルスに与えられた変調位相に応じて、第1干渉光パルスX及び第2干渉光パルスYの各強度が異なるのが一般的である。
【0117】
サンプリング光信号生成部330は、非線形光学媒体1031を具えている。
【0118】
サンプリング光信号生成部330に入力された干渉光信号S311は、非線形光学媒体1031に入力される。
【0119】
また、非線形光学媒体1031には、サンプリング用パルスS201が入力される。図12に示す構成例では、サンプリング用パルスS201は、光増幅器35で増幅された後、サンプリング光信号生成部330に入力され、非線形光学媒体1031に送られる。
【0120】
非線形光学媒体1031は、非線形光学効果により、干渉光信号S311とサンプリング用パルスS201との乗算信号を生成する。その結果、サンプリング用パルスS201の各パルスと、干渉光信号S311を構成する第1干渉光パルス及び第2干渉光パルスの各々とから生成された第1サンプリング光パルス及び第2サンプリング光パルスを含むサンプリング光信号(図12中、矢印S321で示す)を出力する(図13(C)〜(E))。
【0121】
非線形光学媒体1031としては、例えば高非線形光ファイバ、PPLN、又はKTP等を用いることができる。
【0122】
既に説明したように、干渉光信号S311は、サンプリング用パルスS201の2倍の周期に設定されている。そのため、サンプリング光信号S321は、サンプリング用パルスS201のパルスと第1干渉光パルスXとから生成された第1サンプリング光パルスXs、及びサンプリング用パルスS201のパルスと第2干渉光パルスYとから生成された第2サンプリング光パルスYsが交互に繰り返す光パルス列によって構成される。第1サンプリング光パルスXsの強度は、サンプリング用パルスS201のパルス及び第1干渉光パルスXの積となる。また、第2サンプリング光パルスYsの強度は、サンプリング用パルスS201のパルス及び第2干渉光パルスYの積となる。なお、図13(D)及び(E)では、サンプリング光信号S321を構成する第1サンプリング光パルスXsと第2サンプリング光パルスYsとを分けて示してある。
【0123】
ここで、サンプリング用パルスS201は、上述した第1及び第2の光サンプリングシステムと同様に、被測定光信号S101の繰り返し周波数の定数分の1と若干異なる繰り返し周波数に設定される。すなわち、被測定光信号S101の繰り返し周波数をN(Nは1以上の整数)で割った値が、サンプリング用パルスS201の繰り返し周波数と一致しないように設定される。従って、干渉光信号S311の各シンボル内の時間位置を網羅して対応した強度を有するサンプリング光信号S321を生成することができる。
【0124】
サンプリング光信号S321は、サンプリング光信号生成部330から出力され、光電変換器1041、次いでアナログ/デジタル変換器1043に送られる。
【0125】
サンプリング光信号S321は、光電変換器1041において電気信号に変換される。その後、アナログ/デジタル変換器1043においてデジタル信号に変換される。そして、デジタル信号として出力されたサンプリングデジタル信号(図12中、矢印S331で示す)は、信号処理部350に入力される。
【0126】
信号処理部350は、サンプリングデジタル信号S331から、サンプリング光信号S321に含まれる第1サンプリング光パルス及び第2サンプリング光パルスの電力を測定する。測定された各電力を、被測定光信号S101における位相差及び強度比のばらつきがない場合の電力と比較することによって、位相差及び強度比を検出する。
【0127】
第3の光サンプリングシステム300では、信号処理部350は、サンプリング光信号S321の各パルスの電力を測定する。そして、隣接する第1サンプリング光パルスXs及び第2サンプリング光パルスYs(図13(D)及び(E)において破線で囲って示す)の電力の各組み合わせを行列として蓄積する。そして、この蓄積した各組み合わせのx2及びy2を測定点としてx2−y22次元座標にプロットする。そして、プロットした測定点を表示部170に表示し、位相差及び強度比のばらつきがない場合の測定点と比較することによって位相差及び強度比のばらつきを検出する。
【0128】
なお、第3の光サンプリングシステム300では、第1の光サンプリングシステムと同様に、前パルスの強度Eを一定と見なし、x2及びy2をx2/E2及びy2/E2に規格化してプロットする。
【0129】
このように、第3の光サンプリングシステム300では、1つの非線形光学媒体1031を用いて第1サンプリング光パルスXs及び第2サンプリング光パルスYsを含むサンプリング光信号S321を生成することができる。そのため、第1及び第2の光サンプリングシステムと比して、構成を単純化することができる。
【0130】
(第4の光サンプリングシステム)
図14〜16を参照して、この発明の第4の実施の形態による光サンプリングシステム(以下、第4の光サンプリングシステム)について説明する。図15及び図16では、各信号について横軸に時間を任意単位でとって示し、縦軸に信号強度を任意単位でとって示している。
【0131】
第4の光サンプリングシステム400は、上述した第3の光サンプリングシステム300に、さらにパルス多重回路を追加して具えて構成されている。なお、第4の光サンプリングシステムにおいて、第1〜第3の光サンプリングシステムと共通する構成要素及び信号については、同一の符号を付し重複する説明を省略する。
【0132】
第4の光サンプリングシステム400は、パルス多重回路410を具えている。そして、サンプリング用パルスS201は、パルス多重回路410を経てサンプリング光信号生成部330に入力される。
【0133】
パルス多重回路410は、サブ光分岐器1051と、微小遅延素子1053と、遅延線1055と、サブ光結合器1057とを具えている。
【0134】
パルス多重回路410に入力されたサンプリング用パルスS201は、サブ光分岐器1051に送られる。サブ光分岐器1051は、サンプリング用パルスS201を第1サンプリング用パルス(図14中、矢印S401で示す)と第2サンプリング用パルス(図14中、矢印S402で示す)とに2分割する(図15(A))。ここでは、サンプリング用パルスS201の周期を2Tsとする。第1サンプリング用パルスS401は、微小遅延素子1053に送られる。また、第2サンプリング用パルスS402は、遅延線1055に送られる。
【0135】
微小遅延素子1053は、第1サンプリング用パルスS401に、時間ΔDの遅延を与える。ΔD遅延を与えられた第1サンプリング用パルス(図14中、矢印S411で示す)は、サブ光結合器1057に送られる(図15(B))。
【0136】
ここで、微小遅延素子1053において与えられる時間ΔDについて説明する。
【0137】
既に説明したように、サンプリング用パルスS201は、被測定光信号S101の繰り返し周波数の定数分の1と若干異なる繰り返し周波数に設定される。そのため、上述した第3の光サンプリングシステム300では、隣接する第1サンプリング光パルスXsと第2サンプリング光パルスYs(図13(D)及び(E)において破線で囲って示す)とで、各々の1シンボル内におけるピークの時間位置にずれ(オフセット)が生じる。その結果、隣接する第1サンプリング光パルスXs及び第2サンプリング光パルスYsの組み合わせから決定される、測定点としてのx2及びy2に若干の誤差が生じる。
【0138】
そこで、上述したオフセットを補正するために、このオフセットに相当する時間ΔDの遅延を第1サンプリング用パルスS411に与える。
【0139】
遅延線1055は、第2サンプリング用パルスS402に、サンプリング用パルスS201の周期の1/2に相当する時間の遅延を与える。すなわち、サンプリング用パルスS201の周期を2Tsとすると、時間Tsの遅延を与える。Ts遅延を与えられた第2サンプリング用パルス(図14中、矢印S412で示す)は、サブ光結合器1057に送られる(図15(C))。
【0140】
サブ光結合器1057は、第1サンプリング用パルスS411と第2サンプリング用パルスS412とを結合して多重サンプリング用パルス(図14中、矢印S421で示す)を生成する(図15(D))。
【0141】
多重サンプリング用パルスS421は、パルス多重回路410から出力され、サンプリング光信号生成部330に入力される。
【0142】
多重サンプリング用パルスS421は、第1サンプリング用パルスS411及び第2サンプリング用パルスS412の各パルスが、交互に繰り返す光パルス列によって構成される。その結果、多重サンプリング用パルスS421の各パルスのピーク間は、時間Ts+ΔDと時間Ts−ΔDとを繰り返して各々離間している。
【0143】
このような多重サンプリング用パルスS421と干渉光信号S311とを非線形光学媒体1031に入力して、サンプリング光信号S321を生成する(図16(A)〜(D))。
【0144】
サンプリング光信号S321は、多重サンプリング用パルスS421のパルスと第1干渉光パルスXとから生成された第1サンプリング光パルスXs、及び多重サンプリング用パルスS421のパルスと第2干渉光パルスYとから生成された第2サンプリング光パルスYsが交互に繰り返す光パルス列によって構成される。第1サンプリング光パルスXsの強度は、多重サンプリング用パルスS421のパルス及び第1干渉光パルスXの積となる。また、第2サンプリング光パルスYsの強度は、多重サンプリング用パルスS421のパルス及び第2干渉光パルスYの積となる。なお、図16(C)及び(D)では、サンプリング光信号S321を構成する第1サンプリング光パルスXsと第2サンプリング光パルスYsとを分けて示してある。
【0145】
ここで、既に説明したように、多重サンプリング用パルスS421は、各パルスのピーク間が、時間Ts+ΔDと時間Ts−ΔDとを繰り返して各々離間している。そして、ΔDは、上述したオフセットに相当する時間として設定されている。そのため、隣接する第1サンプリング光パルスXs及び第2サンプリング光パルスYs(図16(C)及び(D)において破線で囲って示す)は、各々の1シンボル内におけるピークの時間位置が互いに一致している。
【0146】
従って、第3の光サンプリングシステムとは異なり、隣接する第1サンプリング光パルスXs及び第2サンプリング光パルスYsの組み合わせから決定される、測定点としてのx2及びy2に誤差が生じるのを防止できる。そのため、第4の光サンプリングシステム400では、第3の光サンプリングシステム300と比して、より正確に位相差及び強度比のばらつきを検出することができる。
【0147】
(第5の光サンプリングシステムの構成)
図17〜図20を参照して、この発明の第5の実施の形態による光サンプリングシステム(以下、第5の光サンプリングシステム)について説明する。図18〜図20では、各信号について横軸に時間を任意単位でとって示し、縦軸に信号強度を任意単位でとって示している。なお、第5の光サンプリングシステムにおいて、上述した第1〜第4の光サンプリングシステムと共通する構成要素及び信号については、同一の符号を付し重複する説明を省略する。
【0148】
第5の光サンプリングシステム500は、干渉光信号生成部510と、パルス多重回路590と、サンプリング光信号生成部530と、信号処理部550と、表示部170とを具えて構成される。第5の光サンプリングシステム500は、入力された被測定光信号S101から1つのサンプリング光信号を生成し、その電力を測定することによって位相差及び強度比のばらつきを検出する。
【0149】
第5の光サンプリングシステム500に入力された被測定光信号S101は、まず干渉光信号生成部510に入力される。
【0150】
干渉光信号生成部510は、光分岐器1011と、位相変調器2013と、ビット遅延器1015と、光結合器1023とを具えている。なお、図17では、さらに被測定光信号S101を増幅するための光増幅器27を具えた構成例を示してある。
【0151】
干渉光信号生成部510に入力された被測定光信号S101は、光増幅器27で増幅された後、光分岐器1011に送られる。光分岐器1011は、被測定光信号S101を第1被測定光信号S111と第2被測定光信号S112とに2分割する。第1被測定光信号S111は、位相変調器2013に送られる。また、第2被測定光信号S112は、ビット遅延器1015に送られる。
【0152】
位相変調器2013は、第1被測定光信号S111を構成する光パルス列に対し、第1の位相変調量φ1、第1の位相変調量φ1とは異なる第2の位相変調量φ2、及び第1及び第2の位相変調量φ1及びφ2とは異なる第3の位相変調量φ3を一定時間毎にこの順に繰り返して与える。そして、第1被測定光信号S111に第1の位相変調量φ1の位相変調が与えられた第1変調光パルスと、第1被測定光信号S111に第2の位相変調量φ2の位相変調が与えられた第2変調光パルスと、第1被測定光信号S111に第3の位相変調量φ3の位相変調が与えられた第3変調光パルスとがこの順に繰り返す変調光信号(図17中、矢印S501で示す)を出力する(図18(A))。なお、図18(A)では、3つのパルス毎に繰り返して第1の位相変調量φ1と第2の位相変調量φ2と第3の変調量φ3が与えられた変調光信号S501を示している。変調光信号S501は、光結合器1023に送られる。
【0153】
また、位相変調器2013は、変調器駆動回路2017から出力される駆動信号(図17中、矢印S902で示す)に対応した繰り返し周波数で、第1の位相変調量φ1、第2の位相変調量φ2、第3の位相変調量φ3を第1被測定光信号S111に与える。
【0154】
変調器駆動回路2017は、発振器2019の繰り返し周波数に基づいた駆動信号S902を生成し出力する。そして、第1変調光パルス、第2変調光パルス、第3変調光パルスの周期は、サンプリング用パルスS201の周期の3倍に設定される。
【0155】
ビット遅延器1015は、第2被測定光信号S112に1ビット遅延を与える。このビット遅延器1015は、例えばエタロンを用いることができる。なお、ここでは、第2被測定光信号S112に対して1ビット遅延を与える構成例について説明するが、ビット遅延器1015による1ビット遅延の付与は、第1被測定光信号S111又は第2被測定光信号S112のいずれか一方に対して行えばよい。従って、第2被測定光信号S112ではなく、第1被測定光信号S111に対して1ビット遅延を与える構成とすることもできる。1ビット遅延を与えられた第2被測定光信号(図17中、矢印S112aで示す)は、光結合器1023に送られる。
【0156】
光結合器1023は、1ビット遅延を与えられた第2被測定光信号S112aと変調光信号S501とを結合する。その結果、第2被測定光信号S112aの各パルスと、変調光信号S301を構成する第1変調光パルス、第2変調光パルス、及び第3変調パルスの各々とが干渉して第1干渉光パルス、第2干渉光パルス、第3干渉パルスを含む干渉光信号(図17中、矢印S511で示す)が生成される(図18(B))。干渉光信号S511は、干渉光信号生成部510から出力され、サンプリング光信号生成部530に入力される。
【0157】
干渉光信号S511は、第2被測定光信号S112aのパルスと第1変調光パルスとから生成された第1干渉光パルスX、第2被測定光信号S112aのパルスと第2変調光パルスとから生成された第2干渉光パルスY、第2被測定光信号S112aのパルスと第3変調光パルスとから生成された第3干渉光パルスZが、サンプリング用パルスS201の3倍の周期で、この順に繰り返す光パルス列によって構成される。なお、図18(B)では、各パルスの強度を一定として示してあるが、実際には、第2被測定光信号S112aの各パルス、第1変調光パルス、第2変調光パルス、及び第3変調パルスに与えられた変調位相に応じて、第1干渉光パルスX、第2干渉光パルスY、及び第3干渉光パルスZの各強度が異なる場合がある。
【0158】
一方、第5の光サンプリングシステム500に入力されたサンプリング用パルスS201は、まずパルス多重回路590に入力される。
【0159】
パルス多重回路590は、サブ光分岐器2051と、第1微小遅延素子2053と、第1遅延線2055と、第2微小遅延素子2057と、第2遅延線2059と、サブ光結合器2061とを具えている。
【0160】
パルス多重回路590に入力されたサンプリング用パルスS201は、サブ光分岐器2051に送られる。サブ光分岐器2051は、サンプリング用パルスS201を第1サンプリング用パルス(図17中、矢印S601で示す)と、第2サンプリング用パルス(図17中、矢印S602で示す)と、第3サンプリング用パルス(図17中、矢印S603で示す)に3分割する(図19(A))。第1サンプリング用パルスS601は、第1微小遅延素子2053に送られる。また、第2サンプリング用パルスS602は、第1遅延線2055、次いで第2微小遅延素子2057に送られる。また、第3サンプリング用パルスS603は、第2遅延線2059に送られる。
【0161】
第1微小遅延素子2053は、第1サンプリング用パルスS601に、時間2ΔDの遅延を与える。2ΔD遅延を与えられた第1サンプリング用パルス(図17中、矢印S611で示す)は、サブ光結合器2061に送られる(図19(B))。
【0162】
ここで、時間ΔDは、上述した第4の光サンプリングシステム400と同様に、隣接する2つのサンプリング光パルスに生じるオフセットに相当する時間(オフセット時間)である。そして、第1サンプリング用パルスS601には、このオフセット時間の2倍の時間2ΔDの遅延が与えられる。
【0163】
第1遅延線2055は、第2サンプリング用パルスS602に、サンプリング用パルスS201の周期の1/3に相当する時間の遅延を与える。すなわち、サンプリング用パルスS201の周期を3Tsとすると、時間Tsの遅延を与える。また、第2微小遅延素子2057は、第2サンプリング用パルスS602に、時間ΔDの遅延を与える。Ts遅延及びΔD遅延を与えられた第2サンプリング用パルス(図17中、矢印S612で示す)は、サブ光結合器2061に送られる(図19(C))。時間ΔDは、上述したようにオフセット時間である。
【0164】
第2遅延線2059は、第3サンプリング用パルスS603に、サンプリング用パルスS201の周期の2/3に相当する時間の遅延を与える。すなわち、サンプリング用パルスS201の周期を3Tsとすると、時間2Tsの遅延を与える。2Ts遅延を与えられた第3サンプリング用パルス(図17中、矢印S613で示す)は、サブ光結合器2061に送られる(図19(D))。
【0165】
サブ光結合器2061は、第1サンプリング用パルスS611、第2サンプリング用パルスS612、第3サンプリング用パルスS613を結合して多重サンプリング用パルス(図17中、矢印S621で示す)を生成する。多重サンプリング用パルスS621は、パルス多重回路590から出力され、サンプリング光信号生成部530に入力される。
【0166】
多重サンプリング用パルスS621は、第1サンプリング用パルスS611、第2サンプリング用パルスS612、及び第3サンプリング用パルスS613の各パルスが、この順に繰り返す光パルス列によって構成される。その結果、多重サンプリング用パルスS621の各パルスのピーク間は、時間Ts−ΔD、時間Ts−ΔD、及び時間Ts+2ΔDをこの順に繰り返して各々離間している。
【0167】
サンプリング光信号生成部530は、非線形光学媒体2031を具えている。
【0168】
サンプリング光信号生成部530に入力された干渉光信号S511及び多重サンプリング用パルスS621は、非線形光学媒体2031に入力される。
【0169】
非線形光学媒体2031は、非線形光学効果により、干渉光信号S511と多重サンプリング用パルスS621との乗算信号を生成する(図20(A)〜(E))。その結果、多重サンプリング用パルスS621の各パルスと、干渉光信号S511を構成する第1干渉光パルス、第2干渉光パルス、及び第3干渉パルスの各々とから生成された第1サンプリング光パルス、第2サンプリング光パルス、及び第3サンプリング光パルスを含むサンプリング光信号(図17中、矢印S521で示す)を出力する。
【0170】
非線形光学媒体2031としては、例えば高非線形光ファイバ、PPLN、又はKTP等を用いることができる。
【0171】
ここで、サンプリング用パルスS201は、上述した第1〜第4の光サンプリングシステムと同様に、被測定光信号S101の繰り返し周波数の定数分の1と若干異なる繰り返し周波数に設定されている。従って、干渉光信号S511の各シンボル内の時間位置を網羅して対応した強度を有するサンプリング光信号S521を生成することができる。
【0172】
また、上述したように、第1干渉光パルス、第2干渉光パルス、及び第3干渉光パルスの周期は、サンプリング用パルスS201の周期の3倍に設定される。従って、サンプリング用パルスS201の各パルスは、第1干渉光パルス、第2干渉光パルス、及び第3干渉パルスとこの順に繰り返して対応して、第1サンプリング光パルス、第2サンプリング光パルス、及び第3サンプリング光パルスを生成する。
【0173】
サンプリング光信号S521は、サンプリング光信号生成部530から出力され、光電変換器1041、次いでアナログ/デジタル変換器1043に送られる。
【0174】
サンプリング光信号S521は、光電変換器1041において電気信号に変換される。その後、アナログ/デジタル変換器1043においてデジタル信号に変換される。そして、デジタル信号として出力されたサンプリングデジタル信号(図17中、矢印S531で示す)は、信号処理部550に入力される。
【0175】
信号処理部550は、サンプリングデジタル信号S531から、第1サンプリング光パルス、第2サンプリング光パルス、及び第3サンプリング光パルスの電力を測定する。そして、測定された各電力から位相差及び強度比を検出する。
【0176】
ここで、既に説明したように、干渉光信号S511は、サンプリング用パルスS201の3倍の周期に設定されている。そのため、サンプリング光信号S521は、多重サンプリング用パルスS621のパルスと第1干渉光パルスXとから生成された第1サンプリング光パルスXs、多重サンプリング用パルスS621のパルスと第2干渉光パルスYとから生成された第2サンプリング光パルスYs、及び多重サンプリング用パルスS621のパルスと第3干渉光パルスZとから生成された第3サンプリング光パルスZsがこの順に繰り返す光パルス列によって構成される。第1サンプリング光パルスXsの強度は、多重サンプリング用パルスS621のパルス及び第1干渉光パルスXの積となる。また、第2サンプリング光パルスYsの強度は、多重サンプリング用パルスS621のパルス及び第2干渉光パルスYの積となる。また、第3サンプリング光パルスZsの強度は、多重サンプリング用パルスS621のパルス及び第3干渉光パルスZの積となる。なお、図20(C)〜(E)では、サンプリング光信号S521を構成する第1サンプリング光パルスXs、第2サンプリング光パルスYs、及び第3サンプリング光パルスZsを分けて示してある。
【0177】
また、上述したように、多重サンプリング用パルスS621は、各パルスのピーク間が、時間Ts−ΔD、時間Ts−ΔD、及び時間Ts+2ΔDをこの順に繰り返して各々離間している。そして、ΔDは、オフセット時間として設定されている。そのため、連続する第1サンプリング光パルスXs、第2サンプリング光パルスYs、及び第3サンプリング光パルスZs(図20(C)〜(E)において破線で囲って示す)は、各々の1シンボル内におけるピークの時間位置が互いに一致している。
【0178】
サンプリング光信号S521は、光電変換器1041、並びにアナログ/デジタル変換器1043を経て、サンプリングデジタル信号S531となり、信号処理部550に入力される。そして、信号処理部550において、サンプリングデジタル信号S531から、第1サンプリング光パルスXs、第2サンプリング光パルスYs、及び第3サンプリング光パルスZsを測定する。
【0179】
第5の光サンプリングシステム500では、信号処理部550は、連続する第1サンプリング光パルスXs、第2サンプリング光パルスYs、及び第3サンプリング光パルスZs(図20(C)〜(E)において破線で囲って示す)の電力の各組み合わせを行列として蓄積する。
【0180】
そして、この蓄積した各組み合わせの電力を用いて、位相差θ、強度比a、及びE2を一義的に検出する。
【0181】
(位相差及び強度比のばらつき検出の原理)
干渉光信号S521について、各測定するパルスの前パルスの強度をE、各測定するパルスの、前パルスとの強度比をa、及びある測定するパルスと前パルスとの位相差をθとすると、第1干渉光信号パルス及び第2干渉光パルスの各強度x、yは、上述した式(1)及び(2)で表される。また、第3干渉光信号パルスの各強度zは、式(3)で表される。なお、φ1を第1の位相変調量、φ2を第2の位相変調量、及びφ3を第3の位相変調量とする。
【0182】
x2=E2(1+a2+2acos(θ+φ1)) ・・・(1)
y2=E2(1+a2+2acos(θ+φ2)) ・・・(2)
z2=E2(1+a2+2acos(θ+φ3)) ・・・(3)
第5の光サンプリングシステム500では、信号処理部550において、入力されたサンプリング光信号S521から、第1サンプリング光パルスXs、第2サンプリング光パルスYs、及び第3サンプリング光パルスZsの電力として、式(1)〜(3)で表されるx2、y2、及びz2を測定する。従って、式(1)〜(3)を用いて、位相差θ、強度比a、及びE2を一義的に検出することができる。
【0183】
以下、位相変調器2013において与えられる第1〜第3の位相変調量を、φ1=π/2、φ2=−π/2、及びφ3=0とした場合について説明する。
【0184】
φ1=π/2、φ2=−π/2、及びφ3=0とすると、上式(1)〜(3)から、x2、y2、及びz2は、下式(4)〜(6)で表される。
【0185】
x2=E2(1+a2−2asinθ) ・・・(4)
y2=E2(1+a2+2asinθ) ・・・(5)
z2=E2(1+a2+2acosθ) ・・・(6)
上式(4)〜(6)から、下式(7)を得る。
【0186】
(z2−x2)/(z2−y2)=(cosθ+sinθ)/(cosθ−sinθ) ・・・(7)
上式(7)から、位相差θは、下式(8)で表される。なお、A=(z2−x2)/(z2−y2)とする。
【0187】
θ=tan−1((A−1)/(A+1)) ・・・(8)
そして、測定されたx2、y2、及びz2を用いて、上式(8)から位相差θを算出する。
【0188】
また、上式(4)〜(5)から、下式(9)を得る。
【0189】
(y2−x2)/(x2+y2)=(2asinθ)/(1+a2) ・・・(9)
上式(9)から、強度比aは、下式(10)で表される。なお、B=(y2−x2)/(x2+y2)とする。
【0190】
a=(sinθ±√(sin2θ−B2))/B ・・・(10)
そして、測定されたx2、y2、及びz2、並びに上式(8)から算出した位相差θを用いて、上式(10)から強度比aを算出する。なお、上式(10)を用いると、式(10)における±を+として計算した場合、又は−として計算した場合の2つのaが算出される。
【0191】
上式(8)から算出される位相差θと実際の位相差θとの関係を図21に示す。図21では、横軸に実際の位相差θを°単位でとって示し、縦軸に上式(8)から算出される位相差θを°単位でとって示している。
【0192】
図21に示すように、実際の位相差θが90〜180°である場合(領域II)、及び実際の位相差θが−180〜−90°である場合(領域III)には、算出される位相差θが実際の位相差θと異なる。
【0193】
すなわち、領域IIでは、算出される位相差θが−90〜0°となる。また、領域IIIでは、算出される位相差θが0〜90°となる。
【0194】
そのため、実際の位相差θが領域IIの範囲内にある場合には、算出された位相差θをθ+180°に補正する必要がある。また、実際の位相差θが領域IIIの範囲内にある場合には、算出された位相差θをθ−180°に補正する必要がある。
【0195】
そこで、実際の位相差θと、式(8)から算出される位相差θ、及び式(10)から算出される強度比aの組み合わせとから、実際の位相差θが領域I〜IVのいずれの領域の範囲内に存在するかを判別する。
【0196】
図21に示す実際の位相差θの領域I〜IVと、式(8)から算出される位相差θ、式(10)における±を+として計算した場合の強度比a(表中にa1として示す)、及び式(10)における±を−として計算した場合の強度比a(表中にa2として示す)の符号との対応関係を表2に示す。
【0197】
【表2】

【0198】
強度比aは、各測定されるパルスの強度と前パルスの強度との比であるため、実際の強度比aの符号が−となることはない。従って、強度比aの符号が−となる場合には、算出された位相差θが誤りであることが判別される。そして、表2に示すように、強度比aの符号がともに−となる場合には、実際の位相差θが領域II又は領域IIIの範囲内にある。
【0199】
さらに、表2から、算出された強度比aの符号がともに−であり、かつ算出された位相差θの符号が−である場合には、実際の位相差θが領域IIの範囲内にあることが判別される。
【0200】
また、表2から、算出された強度比aの符号がともに−であり、かつ算出された位相差θの符号が+である場合には、実際の位相差θが領域IIIの範囲内にあることが判別される。
【0201】
このように、実際の位相差θが領域II又は領域IIIの範囲内にある場合を判別することができる。そして、実際の位相差θが領域IIの範囲内にある場合には、算出された位相差θをθ+180°に補正する。また、実際の位相差θが領域IIIの範囲内にある場合には、算出された位相差θをθ−180°に補正する。
【0202】
また、上式(4)及び(5)を用いて、上式(10)から算出される2つの強度比aから、1つの強度比aを決定する。
【0203】
上式(4)及び(5)から、下式(11)を得る。
【0204】
E2=(x2+y2)/2(1+a2) ・・・(11)
上式(10)から算出される2つの強度比aをそれぞれ用いることによって、式(11)から、E2が算出される。
【0205】
ここで、既に説明したように、E2は、各測定されるパルスの前パルスの強度Eに対応する電力である。そこで、測定毎にx2及びy2を記録しておく。そして、前回の測定において得たx2及びy2と、式(11)から算出された2つのE2と比較し、好適なE2を決定する。そして、この好適なE2を算出するために用いた強度比aを決定する。
【0206】
図22に、信号処理部550に付与する、位相差θ、強度比a、E2を検出するためのアルゴリズムをフローチャートで示す。
【0207】
まず、信号処理部550に入力されたサンプリングデジタル信号S531から、第1サンプリング光パルスXsのx2、第2サンプリング光パルスYsのy2、及び第3サンプリング光パルスZsのz2を測定する。また、測定したx2、y2、及びz2を、任意好適な記憶手段に記録する(S1)。
【0208】
次に、S1において測定したx2、y2、及びz2を用いて、上式(8)から位相差θを算出する(S2)。
【0209】
次に、S1において測定したx2、y2、及びz2、並びにS2において算出した位相差θを用いて、上式(10)から2つの強度比a1及びa2を算出する(S3)。
【0210】
次に、S2において算出した位相差θと、S3において算出した強度比a1及びa2との符号の組み合わせから、実際の位相差θが領域I〜IV(図21参照)のいずれの範囲内にあるかを判別する。そして、実際の位相差θが領域II又はIIIの範囲内にある場合には、S2において算出した位相差θを補正する(S4)。
【0211】
次に、S3において算出した強度比a1及びa2を用いて、上式(11)から2つのE21及びE22を算出する(S5)。
【0212】
次に、S1において記録したx2及びy2を用いて、S5において算出した2つのE21及びE22から1つのE2を決定する(S6)。
【0213】
次に、S6において決定したE2を用いてa決定する(S7)。
【0214】
このように、第5の光サンプリングシステム500では、位相差θ、強度比a、及びE2を一義的に検出することができる。
【0215】
そして、連続する第1サンプリング光パルスXs、第2サンプリング光パルスYs、及び第3サンプリング光パルスZs(図20(C)〜(E)において破線で囲って示す)のうちXs及びYsの電力の各組み合わせを行列として蓄積する。これら各組み合わせのx2及びy2を対応するE2で除算することによって、正確なx2及びy2の測定点を得ることができる。得られた各測定点をx2−y22次元座標にプロットする。そして、プロットした測定点を表示部170に表示し、位相差及び強度比のばらつきがない場合の測定点と比較することによって位相差及び強度比のばらつきを検出することができる。
【0216】
また、第5の光サンプリングシステム500では、1つの非線形光学媒体を用いて第1サンプリング光パルスXs、第2サンプリング光パルスYs、及び第3サンプリング光パルスZsを含むサンプリング光信号S521を生成することができる。そのため、第3及び第4の光サンプリングシステムと同様に、構成を単純化することができる。
【符号の説明】
【0217】
10:サンプリング用パルス源
11、51:第1光分岐器
13:第2光分岐器
15、1015:ビット遅延器
17:第3光分岐器
19:第1位相シフタ
21:第2位相シフタ
23:第1光結合器
25:第2光結合器
27、35:光増幅器
31:第1非線形光学媒体
33:第2非線形光学媒体
37、57:第4分岐器
41:第1光電変換器
43:第1アナログ/デジタル変換器
45:第2光電変換器
47:第2アナログ/デジタル変換器
53:第2ビット遅延器
55:第3非線形光学媒体
59:第3光電変換器
61:第3アナログ/デジタル変換器
100:第1の光サンプリングシステム
110、210、310、510:干渉光信号生成部
130、230、330、530:サンプリング光信号生成部
150、250、350、550:信号処理部
170:表示部
200:第2の光サンプリングシステム
300:第3の光サンプリングシステム
400:第4の光サンプリングシステム
500:第5の光サンプリングシステム
410、590:パルス多重回路
1011:光分岐器
1013、2013:位相変調器
1017、2017:変調器駆動回路
1019、2019:発振器
1023:光結合器
1031、2031:非線形光学媒体
1041:光電変換器
1043:アナログ/デジタル変換器
1051、2051:サブ光分岐器
1053:微小遅延素子
1055:遅延線
1057、2061:サブ光結合器
2053:第1微小遅延素子
2055:第1遅延線
2057:第2微小遅延素子
2059:第2遅延線



【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉光信号生成部とサンプリング光信号生成部と信号処理部とを具え、
前記干渉光信号生成部は、
被測定光信号を、第1被測定光信号と第2被測定光信号とに2分割する第1光分岐器と、
前記第1被測定光信号を、第1サブ被測定光信号と第2サブ被測定光信号とに2分割する第2光分岐器と、
前記第2被測定光信号に1ビット遅延を与えるビット遅延器と、
1ビット遅延を与えられた前記第2被測定光信号を、第3サブ被測定光信号と第4サブ被測定光信号とに2分割する第3光分岐器と、
前記第3サブ被測定光信号に、第1の位相変調量の位相変調を与えて第1変調光信号を生成する第1位相シフタと、
前記第4サブ被測定光信号に、前記第1の位相変調量とは異なる第2の位相変調量の位相変調を与えて第2変調光信号を生成する第2位相シフタと、
前記第1サブ被測定光信号と前記第1変調光信号とを結合して第1干渉光信号を生成する第1光結合器と、
前記第2サブ被測定光信号と前記第2変調光信号とを結合して第2干渉光信号を生成する第2光結合器と
を具え、
前記サンプリング光信号生成部は、
前記第1干渉光信号とサンプリング用パルスとを入力して第1サンプリング光信号を出力する第1非線形光学媒体と、
前記第2干渉光信号とサンプリング用パルスとを入力して第2サンプリング光信号を出力する第2非線形光学媒体と
を具え、
前記信号処理部は、
前記第1サンプリング光信号及び前記第2サンプリング光信号の電力を測定することによって、前記被測定光信号における隣接ビット間の位相差及び強度比を検出する
ことを特徴とする光サンプリングシステム。
【請求項2】
前記第1サンプリング光信号及び前記第2サンプリング光信号の、時間軸上で対応する時間位置のパルスの電力の組み合わせを測定点として2次元座標にプロットし、位相差及び強度比のばらつきがない場合の前記測定点との位置を比較することによって、前記被測定光信号における隣接ビット間の位相差及び強度比のばらつきを検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の光サンプリングシステム。
【請求項3】
前記被測定光信号から分岐された第3被測定光信号に1ビット遅延を与える第2ビット遅延器と、
1ビット遅延を与えられた前記第3被測定光信号と前記サンプリング用パルスとを入力して第3サンプリング光信号を出力する第3非線形光学媒体と
をさらに具え、
前記信号処理部は、前記第1サンプリング光信号及び前記第2サンプリング光信号の時間軸上で対応する時間位置の、前記被測定光信号のパルスの1つ前のパルスの強度に対応した電力として、前記第3サンプリング光信号の電力を検出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光サンプリングシステム。
【請求項4】
干渉光信号生成部とサンプリング信号生成部と信号処理部とを具え、
前記干渉光信号生成部は、
被測定光信号を、第1被測定光信号と第2被測定光信号とに2分割する光分岐器と、
前記第1被測定光信号に第1の位相変調量の位相変調が与えられた第1変調光パルスと、前記第1被測定光信号に前記第1の位相変調量とは異なる第2の位相変調量の位相変調が与えられた第2変調光パルスとが、サンプリング用パルスの2倍の周期で交互に繰り返す変調光信号を出力する位相変調器と、
前記第2被測定光信号に1ビット遅延を与えるビット遅延器と、
1ビット遅延を与えられた前記第2被測定光信号の各パルスと、前記第1変調光パルス及び前記第2変調光パルスの各々とを結合して生成された第1干渉光パルス及び第2干渉光パルスを含む干渉光信号を生成する光結合器と
を具え、
前記サンプリング光信号生成部は、
前記干渉光信号と前記サンプリング用パルスとを入力して、該サンプリング用パルスの各パルスと、前記第1干渉光パルス及び前記第2干渉光パルスの各々とを結合して生成された第1サンプリング光パルス及び第2サンプリング光パルスを含むサンプリング光信号を出力する非線形光学媒体を具え、
前記信号処理部は、
前記第1サンプリング光パルス及び前記第2サンプリング光パルスの電力を測定することによって、前記被測定光信号における隣接ビット間の位相差及び強度比を検出する
ことを特徴とする光サンプリングシステム。
【請求項5】
時間軸上で隣接する前記第1サンプリング光パルス及び前記第2サンプリング光パルスの電力の組み合わせを測定点として2次元座標にプロットし、位相差及び強度比のばらつきがない場合の前記測定点との位置を比較することによって、前記被測定光信号における隣接ビット間の位相差及び強度比のばらつきを検出する
ことを特徴とする請求項4に記載の光サンプリングシステム。
【請求項6】
パルス多重回路をさらに具え、
前記パルス多重回路は、
前記サンプリング用パルスを第1サンプリング用パルスと第2サンプリング用パルスとに2分割するサブ光分岐器と、
前記第1サンプリング用パルスに、時間ΔDの遅延を与える微小遅延素子と、
前記第2サンプリング用パルスに、前記サンプリング用パルスの周期の1/2に相当する時間の遅延を与える遅延線と、
前記微小遅延素子から出力された前記第1サンプリング用パルスと前記遅延線から出力された前記第2サンプリング用パルスとを結合するサブ光結合器と
を具え、
前記時間ΔDは、前記第1サンプリング光パルス及び前記第2サンプリング光パルスの各シンボル内における時間位置のずれに相当する時間に設定され、
前記サンプリング用パルスは、前記パルス多重回路を経て、前記非線形光学媒体に入力される
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の光サンプリングシステム。
【請求項7】
前記第1及び第2の位相変調量を0及びπ/2、又はπ/4及び−π/4のいずれかの組み合わせとする
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光サンプリングシステム。
【請求項8】
干渉光信号生成部とサンプリング信号生成部と信号処理部とを具え、
前記干渉光信号生成部は、
被測定光信号を、第1被測定光信号と第2被測定光信号とに2分割する光分岐器と、
前記第1被測定光信号に第1の位相変調量の位相変調が与えられた第1変調光パルスと、前記第1被測定光信号に前記第1の位相変調量とは異なる第2の位相変調量の位相変調が与えられた第2変調光パルスと、前記第1被測定光信号に前記第1及び第2の位相変調量とは異なる第3の位相変調量の位相変調が与えられた第3変調光パルスとが、サンプリング用パルスの3倍の周期でこの順に繰り返す変調光信号を出力する位相変調器と、
前記第2被測定光信号に1ビット遅延を与えるビット遅延器と、
1ビット遅延を与えられた前記第2被測定光信号の各パルスと、前記第1変調光パルス、前記第2変調光パルス、及び前記第3変調光パルスの各々とを結合して生成された第1干渉光パルス、第2干渉光パルス、及び第3干渉光パルスを含む干渉光信号を生成する光結合器と
を具え、
前記サンプリング光信号生成部は、
前記干渉光信号とサンプリング用パルスとを入力して、該サンプリング用パルスの各パルスと、前記第1干渉光パルス、前記第2干渉光パルス、前記第3干渉光パルスの各々とを結合して生成された第1サンプリング光パルス、第2サンプリング光パルス、及び第3サンプリング光パルスを含むサンプリング光信号を出力する非線形光学媒体を具え、
前記信号処理部は、
前記第1サンプリング光パルス、前記第2サンプリング光パルス、及び前記第3サンプリング光パルスの電力を測定することによって、前記被測定光信号における隣接ビット間の位相差及び強度比を検出する
ことを特徴とする光サンプリングシステム。
【請求項9】
時間軸上で連続する前記第1サンプリング光パルス、前記第2サンプリング光パルス、及び前記第3サンプリング光パルスのうち、いずれか2つのパルスの電力の組み合わせを測定点として2次元座標にプロットし、位相差及び強度比のばらつきがない場合の前記測定点との位置を比較することによって、前記被測定光信号における隣接ビット間の位相差及び強度比のばらつきを検出する
ことを特徴とする請求項8に記載の光サンプリングシステム。
【請求項10】
時間軸上で連続する前記第1サンプリング光パルス、前記第2サンプリング光パルス、及び前記第3サンプリング光パルスの各電力x2、y2、及びz2を測定し、
位相差をθ、強度比をa、各測定される前記被測定光信号のパルスの時間軸上における1つ前のパルスの強度をE、前記第1の位相変調量をφ1、前記第2の位相変調量をφ2、及び前記第3の位相変調量をφ3とした下式(1)〜(3)に、前記電力x2、y2、及びz2を導入することによって、位相差及び強度比を検出する
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の光サンプリングシステム。
x2=E2(1+a2+2acos(θ+φ1)) ・・・(1)
y2=E2(1+a2+2acos(θ+φ2)) ・・・(2)
z2=E2(1+a2+2acos(θ+φ3)) ・・・(3)
【請求項11】
パルス多重回路をさらに具え、
パルス多重回路は、
前記サンプリング用パルスを第1サンプリング用パルスと第2サンプリング用パルスと第3サンプリング用パルスとに3分割するサブ光分岐器と、
前記第1サンプリング用パルスに、時間2ΔDの遅延を与える第1微小遅延素子と、
前記第2サンプリング用パルスに、前記サンプリング用パルスの周期の1/3に相当する時間の遅延を与える第1遅延線と、
該第1遅延線から出力された前記第2サンプリング用パルスに、時間ΔDの遅延を与える第2微小遅延素子と、
前記第3サンプリング用パルスに、前記サンプリング用パルスの周期の2/3に相当する時間の遅延を与える第2遅延線と、
前記第1微小遅延素子から出力された前記第1サンプリング用パルスと、前記第2微小遅延素子から出力された前記第2サンプリング用パルスと、前記第2遅延線から出力された前記第3サンプリング用パルスとを結合するサブ光結合器と
を具え、
前記時間ΔDは、前記第1サンプリング光パルス、前記第2サンプリング光パルス、及び前記第3サンプリング光パルスの各シンボル内における時間位置のずれに相当する時間に設定され、
前記サンプリング用パルスは、前記パルス多重回路を経て、前記非線形光学媒体に入力される
ことを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の光サンプリングシステム。
【請求項12】
前記第1〜第3の位相変調量を0、π/2、及び−π/2の組み合わせとする
ことを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の光サンプリングシステム。
【請求項13】
被測定光信号を、第1被測定光信号と第2被測定光信号とに2分割する過程と、
前記第1被測定光信号を、第1サブ被測定光信号と第2サブ被測定光信号とに2分割する過程と、
前記第2被測定光信号に1ビット遅延を与える過程と、
1ビット遅延を与えられた前記第2被測定光信号を、第3サブ被測定光信号と第4サブ被測定光信号とに2分割する過程と、
前記第3サブ被測定光信号に、第1の位相変調量の位相変調を与えて第1変調光信号を生成する過程と、
前記第4サブ被測定光信号に、前記第1の位相変調量とは異なる第2の位相変調量の位相変調を与えて第2変調光信号を生成する過程と、
前記第1サブ被測定光信号と前記第1変調光信号とを結合して第1干渉光信号を生成する過程と、
前記第2サブ被測定光信号と前記第2変調光信号とを結合して第2干渉光信号を生成する過程と、
前記第1干渉光信号とサンプリング用パルスとを入力して第1サンプリング光信号を出力する過程と、
前記第2干渉光信号とサンプリング用パルスとを入力して第2サンプリング光信号を出力する過程と、
前記第1サンプリング光信号及び前記第2サンプリング光信号の電力を測定することによって、前記被測定光信号における隣接ビット間の位相差及び強度比を検出する過程と
を備えることを特徴とする光サンプリング方法。
【請求項14】
被測定光信号を、第1被測定光信号と第2被測定光信号とに2分割する過程と、
前記第1被測定光信号に第1の位相変調量の位相変調が与えられた第1変調光パルスと、前記第1被測定光信号に前記第1の位相変調量とは異なる第2の位相変調量の位相変調が与えられた第2変調光パルスとが、サンプリング用パルスの2倍の周期で交互に繰り返す変調光信号を生成する過程と、
前記第2被測定光信号に1ビット遅延を与える過程と、
1ビット遅延を与えられた前記第2被測定光信号の各パルスと、前記第1変調光パルス及び前記第2変調光パルスの各々とを結合して生成された第1干渉光パルス及び第2干渉光パルスを含む干渉光信号を生成する過程と、
前記干渉光信号と前記サンプリング用パルスとを入力して、該サンプリング用パルスの各パルスと、前記第1干渉光パルス及び前記第2干渉光パルスの各々とを結合して生成された第1サンプリング光パルス及び第2サンプリング光パルスを含むサンプリング光信号を生成する過程と、
前記第1サンプリング光パルス及び前記第2サンプリング光パルスの電力を測定することによって、前記被測定光信号における隣接ビット間の位相差及び強度比を検出する過程と
を備えることを特徴とする光サンプリング方法。
【請求項15】
被測定光信号を、第1被測定光信号と第2被測定光信号とに2分割する過程と、
前記第1被測定光信号に第1の位相変調量の位相変調が与えられた第1変調光パルスと、前記第1被測定光信号に前記第1の位相変調量とは異なる第2の位相変調量の位相変調が与えられた第2変調光パルスと、前記第1被測定光信号に前記第1及び第2の位相変調量とは異なる第3の位相変調量の位相変調が与えられた第3変調光パルスとが、サンプリング用パルスの3倍の周期でこの順に繰り返す変調光信号を生成する過程と、
前記第2被測定光信号に1ビット遅延を与える過程と、
1ビット遅延を与えられた前記第2被測定光信号の各パルスと、前記第1変調光パルス、前記第2変調光パルス、及び前記第3変調光パルスの各々とを結合して生成された第1干渉光パルス、第2干渉光パルス、及び第3干渉光パルスを含む干渉光信号を生成する過程と、
前記干渉光信号とサンプリング用パルスとを入力して、該サンプリング用パルスの各パルスと、前記第1干渉光パルス、前記第2干渉光パルス、前記第3干渉光パルスの各々とを結合して生成された第1サンプリング光パルス、第2サンプリング光パルス、及び第3サンプリング光パルスを含むサンプリング光信号を生成する過程と、
前記第1サンプリング光パルス、前記第2サンプリング光パルス、及び前記第3サンプリング光パルスの電力を測定することによって、前記被測定光信号における隣接ビット間の位相差及び強度比を検出する過程と
を備えることを特徴とする光サンプリング方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−72651(P2013−72651A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209608(P2011−209608)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】