説明

光ジャイロスコープのデジタル・フィードバックのシステム及び方法

【課題】光ジャイロスコープのデジタル・フィードバックのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】一実施形態では、光ファイバ・ジャイロスコープのための閉ループ・フィードバック信号を生成する方法が提供される。この方法は、2つの対向する方向に伝播する光波間の位相差を求めるための信号を復調するステップと、位相差に基づいて回転レートを求めるステップと、回転レートに基づいて、τ秒期間毎に1回、フィードバック・ランプ信号をインクリメントするステップと、フィードバック・ランプ信号が、前回のリセット以降に所定の回数だけインクリメントされたときにフィードバック・ランプ信号をリセットするステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ジャイロスコープのデジタル・フィードバックのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ・ジャイロスコープは、航空機、ミサイル、衛星及び他の車両のナビゲーション用途で回転を測定するために使用される。光ファイバ・ジャイロスコープは、光ファイバのコイルを通って互い反対の方向に伝播する光波の位相差を求めることによって角回転を測定する。コイルを通って回転の反対方向に伝播する光波は、回転の方向に伝播する光波よりも短い時間を必要とする。多くの光ファイバ・ジャイロスコープは、回転に対する光ファイバ・ジャイロスコープの感度を高めるために閉フィードバック・ループ位相変調方式を使用する。これらの方式は、所望の変調ポイントへのロックを維持するために回転により生じた位相差を絶えず補償しなければならない。これらの方式の1つの問題点は、フィードバック方式内の電子回路が限られた出力範囲を有することであり、従って、電子回路の動作範囲内にとどめるためにフィードバック信号を周期的にリセットしなければならないことである。
【0003】
現在は、電子回路の動作範囲内にとどめるために、光位相の2π値をもたらす値に達すると常に、フィードバック機構の回転補償コンポーネントがリセットされる。限られた出力範囲を有する電子回路の問題に取り組んだ場合、それに基づいてのフィードバック機構のリセットは、対象とするジャイロスコープ周波数帯域内にレート依存の正弦波信号(RDS)を生成する。従って、レート依存の正弦波信号は、車両の回転を計算することの問題を生じさせる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書を読みかつ理解したときに当業者にとって明らかになる上述の理由及び下記の他の理由により、当技術分野では光ジャイロスコープ用の改善されたフィードバック方式が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の諸実施形態は、光ジャイロスコープのデジタル・フィードバックのシステム及び方法を提供するものであり、それは下記の明細書を読んで学習することによって理解されるであろう。
【0006】
一実施形態では、光ファイバ・ジャイロスコープの閉ループ・フィードバック信号を生成する方法が提供される。この方法は、2つの互いに反対の方向に伝播する光波の間の位相差を求めるために信号を復調するステップと、位相差に基づいて回転レート(回転速度)を求めるステップと、回転速度に基づいてτ秒期間毎に1回、フィードバック・ランプ信号(feedback ramp signal)をインクリメントするステップと、フィードバック・ランプ信号が、前回のリセット以降に所定の回数だけインクリメントされたときにフィードバック・ランプ信号をリセットするステップとを含む。
【0007】
他の実施形態では、光ファイバ・ジャイロスコープのシステムが提供される。このシステムは、光ファイバ検出コイルが或る軸について回転したときに、光ファイバ検出コイルを伝播する第1の光波と、光ファイバ検出コイルを伝播する第2の光波との間に位相差を生じるようにされた光ファイバ検出コイルと:光ファイバ検出コイルに結合された光位相変調器であって、光ファイバ検出コイルを伝播する第1の光波と、光ファイバ検出コイルを伝播する第2の光波との間の第2の位相差を生ずるようにされるものであり、更に、変調波形に基づいて前記の第2の位相差を生ずるようになされた光位相変調器と:光ファイバ検出コイルに結合され、第1の光波と第2の光波とを受信するようにされた光検出器であって、更に、第1の光波と第2の光波との間の位相差を表す強度信号を出力するようにされた光検出器と:光検出器に結合され、第1の光波と第2の光波との間の位相差に基づいて光ファイバ検出コイルの回転レートを求めるようにされたプロセッサであって、更に、光ファイバ検出コイルの回転レートに基づいてフィードバック・ランプ信号を生成するようにされ、更に、固定周波数に基づいてフィードバック・ランプ信号をリセットするようにされ、更に、変調波形の第1の成分としてフィードバック・ランプ信号を出力するようにされたプロセッサと、を備える。
【0008】
他の実施形態では、光ジャイロスコープの閉ループ変調波形フィードバック信号を生成するシステムが提供される。このシステムは、第1の光波と第2の光波との間の位相差を求めるために信号を復調する手段と:第1の光波と第2の光波との間の位相差に基づいて回転レートを求める手段であって、復調する手段に応答するものである、回転レートを求める手段と:フィードバック・ランプ信号を生成する手段であって、回転レートに基づいてフィードバック・ランプ信号をインクリメントするものであり、回転レートを求める手段に応答するものである、フィードバック・ランプ信号を生成する手段と:フィードバック・ランプ信号が、前回のリセット以降に所定の回数だけインクリメントされたときに、フィードバック・ランプ信号をリセットする手段であって、フィードバック・ランプ信号を生成する手段に応答するものである、フィードバック・ランプ信号をリセットする手段とを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
好ましい実施形態の説明と添付の図面に照らして考察すると、本発明をより容易に理解することができ、本発明の他の利点や用途をより容易に明らかにすることができる。
【0010】
以下の詳細な説明では添付の図面を参照するが、添付の図面は本発明の一部を形成するものであり、本発明を実施することができる具体的な例示的な実施形態を示したものである。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することができるように十分詳細に説明されており、従って、他の実施形態を使用することができること、及び本発明の範囲を逸脱することなく論理的、機械的、電気的な変更を実施できることが理解される。従って、以下の詳細な説明は限定するものと解釈すべきではない。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態の光ジャイロスコープ100を示す図である。光ジャイロスコープ100は、光源102、光スプリッタ108、位相変調器110、検出コイル112、及びファイバ・カプラ104を備える。検出コイル112は、軸113に巻かれたコイル状の光ファイバを備え、その軸についての回転が検出される。一実施形態では、光スプリッタ108と位相変調器110とはどちらも、単一の光多機能集積チップによって実装される。
【0012】
動作に際して、光波は光源102によってもたらされ、y分岐108で、検出コイル112を通って時計回り(cw)方向と反時計回り(ccw)方向とに伝播する1対の波へと分離される。検出コイル112の軸113についての何れの回転も、光が伝わる一方向の光経路の実質的な増加と、他方向の光経路の減少とをもたらす。検出コイル112の回転によって生じた光経路長の差は、一般にサニャック効果(Sagnac effect)として知られている時計回りと反時計回りとに伝播する波の間の位相シフトをもたらす。
【0013】
2つの互いに反対の方向に伝播する光波の間の位相差は、光波の位相差から回転を検出する能力を高めるために、光位相変調器110(バイアス変調器と呼ばれることもある)によって変調される。一実施形態では、第1の伝播する光波の位相は、検出コイル112を出るときに変調され、第2の伝播する光波の位相は、検出コイル112に入るときに変調される。検出コイル112を出た後、光源102へ向かって戻るときに、2つの戻ってくる光波は、y分岐108で再び結合される。これらの戻り光波の間の位相差は、検出コイル112の回転レートの関数である。一実施形態では、中及び高性能の光ファイバ・ジャイロスコープ用に、位相変調はデジタル電子回路を用いてなされる。
【0014】
位相変調器110によって使用される変調波形は、図3の320と310とにそれぞれ概略が示された、周波数(f)のバイアス変調電圧信号とフィードバック・ランプ電圧信号との複合信号である。位相変調器110は、Vπの電圧を有する変調波形が位相変調器110に印加されたときに、cwとccwとの光波の間に丁度180度の位相シフトを生じるように動作する。変調波形のバイアス変調信号成分を変化させることによって、伝播する光信号に既知の位相シフトをもたらし、それによって、再結合された光波を特定の動作ポイント(「ロック」ポイントとも呼ばれる)でサンプリングすることが可能となり、回転に対する感度を改善する。
【0015】
高性能の光ファイバ・ジャイロスコープの場合、バイアス変調信号320は、互いに反対の方向に伝播する光波の間の光位相差が±π/2及び±3π/2のところで動作ポイントを提供するように構成される。これらの特定の動作ポイントが有利である1つの理由は、それらが余弦曲線の最も線形に近い領域を表すことである。一実施形態では、バイアス変調信号は4つのステップ(図3の321〜324に概略が示される)からなり、各ステップは、継続時間が1τの機関についての異なる動作ポイントを提供する(τは、光がファイバ検出コイル112を通過するために要する時間である)。バイアス変調周波数(f)の典型的な範囲は20kHzから100kHzであり、図1のジャイロスコープ100で使用される検出コイル112の長さに依存する。しかし、代替の動作ポイントやこの範囲外のバイアス変調周波数も、本発明の諸実施形態の範囲内であると考えられる。ランプ・フィードバック信号(図3の310に概略が示される)は、位相変調器110へ閉ループ・フィードバックを提供するものであり、一連の電圧ステップ(図3の311に概略が示される)からなる階段状の電圧信号を含み、各ステップの継続時間はτである。検出コイル112の回転は、2つの戻り光波に追加の位相シフトをもたらすので、閉ループ・フィードバック信号がない場合には、位相変調器110は、バイアス変調信号320だけに基づいて所望の動作ポイントへのロックを維持することができない。ランプ・フィードバック信号310は検出コイル112の回転に基づいて誤差信号を提供し、それがバイアス変調信号320と加算されると、位相変調器110は所望の動作ポイントで動作することが可能になる。従って、一般に、フィードバック・ランプ信号310の各ステップ変化の振幅は、軸113についての検出コイル112の回転レートの関数である。
【0016】
変調波形を生成するために、ジャイロスコープ100は更に、ファイバ・カプラ104と、光検出器122と、アナログ・デジタル変換器(ADC)118と、フィードバック・プロセッサ116と、デジタル・アナログ変換器(DAC)114とを備えたフィードバック回路を含む。一実施形態では、フィードバック・プロセッサ116は、デジタル信号プロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、又は他のプログラマブル・プロセッサによって実装される。
【0017】
一実施形態では、ファイバ・カプラ104は、結合された戻り光波を受光し、それらを光検出器122へ送る。光検出器122では、それらの戻り光波の間の位相差により光波間の相互干渉パターンを生じ、それが、光検出器122によって観測される光信号の強度に影響する。一実施形態では、観測される光の強度(I)は式I=[(I)/2(1+cos(ΔΦ))]によって示される。この式において、ΔΦは、2つの戻り光波間の位相差であり、Iは、ΔΦがゼロのときの光のピーク強度である。
【0018】
光検出器122は、得られた強度値を、検出コイル112の回転速度の関数である電圧信号へと変換する。一実施形態では、光検出器122の出力は、光検出器122によってもたらされる可能性のある信号中のDC成分を除去するために、信号調整器120を通される。一実施形態では、信号調整器120は更に、追加のACゲインおよびアンチエリアシング・フィルタリングなどのような追加の信号調整も提供するが、信号調整はこれらに限られるものではない。電圧信号は、アナログ・デジタル変換器118によってデジタル化される。
【0019】
次に、デジタル化された電圧信号はフィードバック・プロセッサ116へ送られる。フィードバック・プロセッサ116は、デジタル化された電圧信号から回転速度情報を抽出する。速度情報は、一部において、変調波形のフィードバック・ランプ信号310成分を生成するために使用されるが、これについては以下でより詳細に説明する。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態のフィードバック・プロセッサ200を示す。一実施形態では、フィードバック・プロセッサ200は、図1に示されたジャイロスコープ100のフィードバック・プロセッサ116を示す。フィードバック・プロセッサ200は、レート復調器202と、レート・アキュムレータ204と、位相ステップ・アキュムレータ206と、ランプ・ステップ・カウンタ210と、バイアス変調器214と、加算器212とを備える。
【0021】
一実施形態では、動作に際して、レート復調器202は、ADC118からデジタル化された電圧信号を受信し、その信号を、バイアス変調信号周波数(f)を使用して復調する。バイアス変調信号は、既知の位相シフト基準が使用され(即ち、位相変調器110が、動作ポイントの1つで変調を行い)、次いで既知の位相基準がレート復調器202によって除去されたときに、レート復調器202の出力における残っている位相差が、検出コイル112によって検出された回転レートを表すように、基準位相差を提供する。従って、検出コイル112が回転していないとき、レート復調器202の出力はゼロである。
【0022】
レート・アキュムレータ204は、レート復調器202の出力を積分し、検出コイル112によって検出された回転レートに比例する非正規化レート信号を、出力する。一実施形態では、角回転出力測定値を提供するために、非正規化レート信号は正規化器(図示せず)へ提供され、正規化器は、非正規化レート信号をVπの推定値によって除算して値を正規化する。次いで、その値は、角アキュムレータ(図示せず)によって積分されて、検出コイル112の角変位を表す出力信号が生成される。
【0023】
閉ループ・フィードバックを実現するために、一実施形態では、位相ステップ・アキュムレータ206はレート・アキュムレータ204から非正規化レート信号を受信し、レート・アキュムレータ204の出力を蓄積することによってフィードバック・ランプ信号310を生成する。デジタル・アナログ変換器114の生成できる電圧の範囲は有限であるので、階段状のフィードバック・ランプ信号310を無限に増大することはできない。従って、フィードバック・プロセッサ200は、周期的に位相ステップ・アキュムレータ206をリセットして、結果として、図3の310に概略が示された鋸歯状のフィードバック波形を生じさせる。
【0024】
一実施形態では、位相ステップ・アキュムレータ206の周期的なリセットは、ランプ・ステップ・カウンタ210によって実施される。ランプ・ステップ・カウンタ210は、フィードバック・ランプ信号310のステップ増加を、規定されたランプ・ステップ数(Nステップ)までカウントし、次いで位相ステップ・アキュムレータ206をリセットし、その結果としてフィードバック・ランプ信号310をリセットする。結果として生じる鋸歯状フィードバック波形(310に概略が示される)は、各リセットまでの間に許容された規定のランプ・ステップ数に基づく一定の周波数を有する。ランプ・ステップ・カウンタ210は、フィードバック・ランプ信号310の振幅の関数としてではなく、時間(即ち、規定の数のτ秒のランプ・ステップ)の関数として位相ステップ・アキュムレータ206をリセットするので、本発明の諸実施形態は、可変周波数および固定振幅ではなく、固定周波数および可変振幅を有するフィードバック・ランプ信号を位相変調器110に提供する。この固定周波数は設計によって選択されるので、リセットの前に生ずるランプ・ステップの数の選択は、フィードバック・ランプ信号310から生じる望ましくない出力レートの振動が、特定の用途の対象となる重要な周波数帯域の外側に生ずるように、行われる。一方、本明細書を読むことで当業者には理解されるはずであるが、固定の振幅(2π毎など)に達したことに基づいてフィードバック・ランプ信号をリセットする方法は、対象となる回転信号に関係する周波数を有する振幅を生じる。フィードバック・ランプ信号310に対して適切な周波数を選択することによって、ユーザは、フィードバック・ランプ信号310によって生成されるジャイロスコープ誤差が、その用途にとって重要な周波数帯域内の周波数を有することを、実質的に避けることができる。一実施形態では、リセット周波数は、システム・サンプリング周波数(即ち、ジャイロスコープ100の出力信号のデータ・レート)より大きく設定され、それにより、レート依存の正弦曲線状エラーが、対象となる回転データのシステム・サンプリング周波数より高い周波数で生ずることを保証する。一実施形態では、リセット周波数は、定格範囲の上端で動作するジャイロスコープ100から予想される最大回転周波数よりも高く、設定される。一実施形態では、必要な場合には、オプションのデジタル・ノッチ・フィルタ(図示せず)を用いて、ジャイロスコープ100の出力信号からこれらのエラーを完全に除去することができる。
【0025】
一実施形態では、ランプ・ステップ・カウンタ210は、位相ステップ・アキュムレータ206からの各ステップ増加をカウントし、位相ステップ・アキュムレータ206がフィードバック・ランプを規定の数のランプ・ステップ(Nステップ)だけ増加させたときに、終了カウント出力パルス(TC)(図3の340に概略が示される)を生成する。終了カウント出力パルスに基づいて位相ステップ・アキュムレータ406がリセットされ、従ってフィードバック・ランプ信号がリセットされる。
【0026】
一実施形態では、上述のバイアス変調周波数信号320は、フィードバック・プロセッサ200のバイアス変調器214によって生成される。バイアス変調信号320は、加算器212によってフィードバック・ランプと加算される。結果として得られた結合信号は、位相変調器110へ変調波形を提供するために、DAC114によってデジタル電圧信号へと変換される。
【0027】
本明細書を読むことで当業者には理解されるはずであるが、任意の数のステップの後にフィードバック信号310をリセットすることは、動作ポイントのサイクルにおいて中断をもたらすことになり、その中断は、リセット後の1τの期間ついて低信頼データ期間(図3の360と362に概略が示される)をもたらす。この低信頼データ期間の発生を抑えるために、フィードバック・プロセッサ200は更に、終了カウント出力パルス(TC)を受信するように結合された遅延208を備える。遅延208は、終了カウント出力パルスに1τの遅延を追加して、遅延された終了カウント出力パルス(遅延TC)を生成する。遅延終了カウント出力パルス(図3の350に概略が示される)は、位相ステップ・アキュムレータ206をリセットし(それによってフィードバック・ランプ信号310をリセットし)、また、ランプ・リセット後の1τの間にレート・アキュムレータ204が動作するのを禁止する。これにより、レート・アキュムレータ204によって低信頼のデータが処理されるのを阻止する。
【0028】
フィードバック・ランプ信号310の各リセットの後の低信頼データを阻止することに関する1つの結果は、そのデータを阻止することが、デジタル・アナログ変換器114によって生じる何らかの変換エラーと組み合わされて、回転情報を伝える信号により高い雑音出力をもたらすということである。雑音のレベルは各リセット間のランプ・ステップの数に依存するので、雑音レベルは、各リセット間のランプ・ステップ数を増やすことによって(即ち、ランプ・リセット周波数を下げることによって)低減可能である。雑音に加えて、2π以外でのリセットもまた、光検出器122でのアナログ信号にスパイクをもたらし、それによって、光検出器122に結合された電子回路を飽和させる可能性がある。この問題を防止するために、一実施形態では、信号調整器120は更に、アナログ・デジタル変換器118へ送られる電圧信号の振幅を制限する飽和防止機能を備える。また、増大したスケール・ファクタ・エラーも、1τの低信頼データの阻止とデジタル・アナログ変換器114に関する非線形性との組合せによって、生じる可能性もある。これらのスケール・ファクタ・エラーもまた、ランプ・リセット周波数を下げることによって低減することができる。
【0029】
前述のように、フィードバック・ランプ信号216の適切な周波数を選択することによって、ユーザは、フィードバック・ランプ信号216によって生成されるジャイロスコープ・エラーを、対象である回転データを伝える周波数帯域の範囲を超えるようにシフトすることによって、レート依存の正弦曲線を抑えることができる。同時に、雑音及びスケール・ファクタのエラーは、ランプ・リセット周波数の増加とともに増加する。従って、フィードバック・ランプ信号によってもたらされるレート依存の正弦曲線と、その用途の重要な周波数帯域との間の、所望される周波数分離を提供することと、ランプ・リセット周波数を調整して雑音及びスケール・ファクタのエラーを低減させることとの間には、トレードオフが存在する。何故ならば、ランプ・リセット周波数を低下させることは、ジャイロスコープの最大検出レートを低下させるからである。
【0030】
低雑音レベルと、比較的高い最大回転レートを正確に測定する能力との両方を必要とする多くの用途が存在するので、本発明の他の実施形態は、固定周波数フィードバック・ランプと固定振幅フィードバック・ランプとの両方を使用するフィードバック変調方式を提供する。このような実施形態は、両方の方式の利点、即ち、低雑音である、重要周波数帯域内にランプにより誘導される誤差が生じない、低スケール・ファクタ誤差である、及び高最大検出レートである、という利点を有する。
【0031】
図4は、固定振幅フィードバック・ランプ信号成分を有する変調波形を生成するための固定振幅フィードバック・ランプ発生器430を備えたフィードバック・プロセッサ400の一実施形態を示す。一実施形態では、固定振幅フィードバック・ランプ発生器430は、レート復調器402と、レート・アキュムレータ404と、位相ステップ・アキュムレータ406と、ランプ・リミット検出器408とを備える。フィードバック・プロセッサ400は更に、バイアス変調器414及び加算器412も備える。レート復調器402、レート・アキュムレータ404、及び位相ステップ・アキュムレータ406は、図2のレート復調器202、レート・アキュムレータ204、及び位相ステップ・アキュムレータ206に関して説明したのと同じ機能を有し動作する。更に、バイアス変調器414は、バイアス変調信号320(図3に示される)と同じ機能および特性を有し、それは図5の520に概略が示されている。
【0032】
一実施形態では、レート・アキュムレータ404の出力は、検出コイル112によって得られた回転レートに比例し、位相ステップ・アキュムレータ406へ提供される。位相ステップ・アキュムレータ406は、レート・アキュムレータ404の出力を蓄積することによってフィードバック・ランプ信号(図5の510に概略が示される)を生成する。図2のランプ・ステップ・カウンタ210は、或る数のステップ増加の後に位相ステップ・アキュムレータ206をリセットするが、それとは対照的に、ランプ・リミット検出器408は、フィードバック・ランプ信号510が2πの光位相シフトを生ずる振幅に達したときに、位相ステップ・アキュムレータ406をリセットする。一実施形態では、加算器412によって、バイアス変調信号520がフィードバック・ランプ信号510と加算され、位相変調器110などの位相変調器への変調波形入力を生成するために、デジタル・アナログ変換器114によってデジタル信号からアナログ電圧へと変換される。
【0033】
図5に示されるように、一実施形態では、フィードバック・ランプ信号510は、一定の振幅と可変の周波数とを有する階段状の波形を有する。各リセット間に生ずるτ秒ステップ増分(511に概略が示される)の数は、一定ではなく、検出コイル110の回転レートに応じて変化するので、フィードバック・ランプ信号510の周波数は可変となる。各ステップの増分によって生じる増分信号の増加量は、検出コイル112の回転の関数なので、フィードバック・ランプ信号510が2πの光位相シフトを生ずる振幅に達するまでに経過する時間量は、一定にはならない。従って、ランプ・リミット検出器は、フィードバック・ランプ信号510がその振幅に達すると、位相ステップ・アキュムレータ406をリセットする。
【0034】
固定周波数フィードバック・ランプを使用するシステムと比較すると、2πの光位相シフト電圧でフィードバック・ランプ信号510の振幅をリセットすることは、高回転レートでの雑音及びスケール・ファクタ・エラーを低減するという利点を有する。しかし、固定振幅でフィードバック・ランプ510をリセットすることは、対象となる回転情報と同じ周波数帯域及び高調波帯域で生じるレート依存の正弦曲線状のエラーをもたらす。フィードバック・ランプ信号510の周波数は、ジャイロスコープ100の入力回転レートに依存するので、結果として生ずるジャイロスコープの誤差(エラー)も回転レートに依存する。更に、本明細書を読むことで当業者には理解されるはずであるが、これらのジャイロスコープ誤差の振幅は、回転レートが低下するにつれて増大する。従って、固定振幅フィードバック・ランプ信号は、低回転レートを含む用途では問題が生じる。
【0035】
図6は、本発明の他の実施形態によるフィードバック・プロセッサ600を示すブロック図である。フィードバック・プロセッサ600は、ハイブリッド・フィードバックを備えるものであり、周波数は、リセットとリセットの間の所望されるランプ・ステップ数(Nτ)を表す値がロードされたプログラマブル・ダウン・カウンタ720によって管理される。一実施形態では、プログラマブル・ダウン・カウンタ720は、12ビットのプログラマブル・ダウン・カウンタである。プログラマブル・ダウン・カウンタ720は、各τ秒期間の後に、そのカウント値を1ずつ減少させる。一実施形態では、システムのマスタ・リセットの間に、又はプログラマブル・ダウン・カウンタ720のカウントが001の値に達したときに、又は固定振幅リセット(以下で論ずる)が生じたときに、Nτがプログラマブル・ダウン・カウンタ720にロードされる。
【0036】
プログラマブル・ダウン・カウンタ720は、プログラマブル・ダウン・カウンタ720が001に達したときに、制御信号τ−cnt−np1をアクティブ論理ロー(Low)からアクティブ論理ハイ(High)へと遷移させ、τ−cnt−np1は、1τの時間の間、論理Highを維持する。τ−cnt−np1が論理Lowを維持しているときは、マルチプレクサMUXRVAL722は、レート復調器702からの回転レート出力を選択し、その回転レートをTWACCUM724の加算器入力へ出力する。τ−cnt−np1がアクティブの論理Highのときは、MUXRVAL722は、TWACCUM724への出力としてゼロ入力を選択して、ランプ・リセット後の1τ期間の間に生じる低信頼データに基づいてTWACCUM724がフィードバック・ランプ信号を調整するのを、阻止する。
【0037】
低回転レートでの動作の間は、inj_rstはLowに維持される。レート・リミット検出器706は、ランプ・アキュムレータ704から出力されるフィードバック・ランプ信号の振幅を測定し、ランプ・アキュムレータ704へinj_rstを提供する。フィードバック・ランプ信号の振幅が所定の振幅リミット(例えば、振幅が2πの光位相シフトを生成するのに十分な振幅のときなど)に達したときに、レート・リミット検出器706は、inj_rstを論理Lowから論理Highへと遷移させる。低回転レートでは、inj_rstはLowに維持される。なぜなら、フィードバック・ランプ信号が所定の振幅リミットに到達するより前に、プログラマブル・ダウン・カウンタ720が001に達するからである。
【0038】
固定周波数フィードバック・ランプ・モードの動作では、inj_rstはアクティブの論理Lowを維持するので、マルチプレクサMUXADJ726は、ADDER728への出力としてゼロ入力を選択する。これにより、固定周波数フィードバック・ランプ動作の間に固定振幅ベースのリセットが発生し得ないことを、保証する。τ−cnt−np1が論理Lowを維持するとき、マルチプレクサMUXQVAL730は、ADDER728の出力を選択してTWACCUM724へ送る。TWACCUM724は、MUXQVAL730からの出力をMUXRVAL722の出力に加算して、その和をそれ自体のレジスタ(REG)に格納する。プログラマブル・ダウン・カウンタ720が001の値に達せず、かつinj_rstがアクティブ論理Lowを維持する限り、TWACCUM724は、レート復調器702からのレート値を蓄積し、蓄積されたレート値に基づいて、インクリメントされたフィードバック・ランプ信号をτ毎に出力する(例えば、加算器612へ)。
【0039】
プログラマブル・ダウン・カウンタ720が001に達したとき、そのときが、フィードバック・ランプ信号をリセットするときであり、τ−cnt−np1は論理Highへ遷移する。フィードバック・ランプ信号をリセットするための量は、qnm1(即ち、前のリセットの前に登録されたフィードバック・ランプ信号値)と、現在のフィードバック・ランプ信号値(即ち、現在のramp_accumの値は、前回のリセット以降に蓄積された値である)との平均に基づく。ramp_accumの値は、減算器734によってqnm1から減算され、DIV2 736によって2で除算される。τ−cnt−np1が論理Highに遷移すると、MUXQVAL730は、Adder728の出力ではなくDIV2 736からの出力を選択してTWACCUM724へ送る。この場合、TWACCUM724レジスタへの入力は、DIV2 736の出力とMUXRVAL722の出力の和である。この間に、MUXRVAL722の出力はゼロなので、DIV2 736の出力とMUXRVAL722の出力の和は、qnm1の値から現在のramp_accumの値を減算して2で除算したものになる。次に、この加算の結果は、クロック入力(En)の立ち上りエッジで、TWACCUM724のREG732に登録される。即ち、レジスタの3角のクロック・イネーブルtw_c_enがアクティブ論理Highになるときに、登録される。tw_c_en信号は、各τ時間フレーム毎に1度、1クロック入力期間の間、アクティブHighになる。要するに上述の動作は、プログラマブル・ダウン・カウンタ720によって規定されたリセット期間にわたるランプ・アキュムレータ704の出力の平均化を行い、その値を使用してランプ・アキュムレータ704をリセットし、それによって、リセット期間にわたるフィードバック・ランプ信号出力をセンタリングするとともに、フィード・フォワード・バイアスを最小にする。
【0040】
前述のように、固定周波数リセットはダウン・カウンタ720が001の値に達する毎に生じる。固定振幅リセット動作(以下で論ずる)から固定周波数リセット動作へ遷移するときに正しいリセット値が使用可能であることを保証するために、qnm1の値を保持する出力レジスタREGQNM736は、tw_c_enとinj_resetが論理Highになる毎に、ramp_accumの現在値を用いて更新され、これは、全ての固定振幅リセットの間に行われる。固定周波数フィードバック・リセット動作の間には、tw_c_enとτ−cnt−np1が論理Highになる毎に、qnm1はREGQNM1 736の出力へと更新され、これは、プログラマブル・ダウン・カウンタ720が001の値に達する毎に行われる。
【0041】
固定周波数リセットの後、レート復調器702の出力は、破損している可能性のあるデータを含む。このデータは、制御ループへフィード・フォワードされることを阻止しなければならない。一実施形態では、ランプ・アキュムレータ704は、レート復調器禁止信号rdmod_inhibを、レート復調器702へ出力して、破損した情報がランプ・アキュムレータ704へ提供されることを阻止する。一実施形態では、rdmod_inhibは、1又は複数のτ秒期間のデータがランプ・アキュムレータ704へ提供されることを阻止するために、レート復調器702を阻止する。
【0042】
一実施形態では、バイアス変調器614などのバイアス変調器は、Vπ(即ち、位相変調器110へ印加される、180度の光位相シフトを生じさせる電圧)の値の推定値に基づいてバイアス変調信号を生成する。この推定値は、典型的に、光検出器112からの電圧出力の復調された表現から、導き出される。フィードバック・ランプ信号の破損を避けるために、フィードバック・ランプ・リセットに続く低信頼データを阻止しなければならないのと同様に、バイアス変調信号を生成するために使用されるVπの推定値の破損を避けるためにも、低信頼データは阻止しなければならない。従って、一実施形態では、ランプ・アキュムレータ704は、破損した情報がVπ推定プロセスへ提供されるのを阻止するために、π復調器禁止信号、pdmod_inhib信号を出力する。一実施形態では、pdmod_inhibは、リセット発生後のπ復調プロセスに関して、1また複数のτ期間の破損したデータを阻止する。
【0043】
動作に際して、高回転レートでは、ランプ・アキュムレータ704は、固定周波数ベースのリセットが発生する前に、所定の振幅リミット(例えば、振幅が、2πの光位相シフトを生成するのに十分な場合など)に達するフィードバック・ランプ信号を生成する。フィードバック・ランプ信号の振幅が所定の振幅リミットに達すると、レート・リミット検出器706は、inj_rstを論理Lowから論理Highへと遷移させる。一実施形態では、inj_rst信号は、論理Lowから論理Highへと遷移し、2τの期間の間、論理Highを維持して、その時点で論理Lowへと戻るように遷移する。
【0044】
高回転レート動作の間、τ−cnt−np1信号は論理Low信号に維持されるが、それは、次の振幅ベースのリセットが発生する前にプログラマブル・ダウン・カウンタ720が001までカウント・ダウンする可能性がないからである。このような状況下では、MUXRVAL722は常に、レート復調器702の出力を選択してTWACCUM724へ送る。
【0045】
フィードバック・ランプ信号が所定の振幅リミットに達する前は、inj_rstは論理Lowを維持し、MUXADJ726はゼロ入力を選択してADDER728へ出力する。ADDER728は、ramp_accumの現在値にゼロ入力を加算し、その結果をMUXQVAL730へ出力する。τ−cnt−np1は論理Lowなので、MUXQVAL730は、ADDER728の出力を選択してTWACCUM725へ出力し、TWACCUM725はramp_accumの現在値とレート復調器702からのレート情報を加算する。
【0046】
フィードバック・ランプ信号の振幅が所定の振幅リミットに達すると、レート・リミット検出器706は、inj_rstを論理Lowから論理Highへと遷移させる。一実施形態では、inj_rstは、2τの期間の間、論理High値であることを想定する。この期間に、MUXADJ726は、ADDER728への出力として、位相差入力phse_difを選択する。phse_dif信号は、フィードバック・ランプ信号のリセットのための大きさを規定する。リセット後のデータの破損を避けるために、phse_difは、±2πの光位相差を生ずることになるフィードバック・ランプ信号のリセットを提供しなければならない。一実施形態では、±2π位相シフトは、最初に第1のτ期間に±π/2位相シフトを加え、第2のτ期間に±3π/2位相シフトを加えることによって、2τ期間にわたって達成される。phse_difの値は、ADDER728によってramp_accumが加算され、その結果として得られた信号は、MUXQVAL730を介して送られて、TWACCUM732のレジスタを調整してフィードバック・ランプ信号を結果的にリセットする。
【0047】
図8は、光ファイバ・ジャイロスコープの閉ループ・フィードバック信号を生成するための、本発明の一実施形態による方法を示す流れ図である。この方法は810で始まり、信号を復調して2つの互いに反対の方向に伝播する光波の間の位相差を求める。光ジャイロスコープでは、光波は分離され、回転軸の周りに巻かれたコイル状の光ファイバを通って互いに反対の方向に伝播する。軸についての回転は、2つの互いに反対の方向に伝播する光波の間の位相シフトを生じさせる。分離された光波が再結合され、結合された光信号の強度が光検出器によって測定されると、検出器は、測定された強度を表す信号であって2つの互いに反対の方向に伝播する光波の間の位相差の関数である信号を、出力する。2つの互いに反対の方向に伝播する光波を既知の位相角によって位相変調するステップは、基準ポイントを提供し、それにより、810で信号が復調される際に、その結果が、回転軸の周りのコイル状の光ファイバの回転に比例する位相差となるようにする。次に、方法は820へ進み、位相差に基づいてコイル状の光ファイバの回転レートを求める。一実施形態では、回転レートを積分することによって、コイル状光ファイバの角変位を表す角度が提供される。2つの互いに反対の方向に伝播する光波の変調を所望の動作ポイントに維持するためには、コイル状光ファイバの回転によって生ずる位相シフトを補償するように、変調を調整しなければならない。従って、方法は830へ進み、回転レートに基づいてτ秒期間毎に1度、フィードバック・ランプ信号をインクリメント(増分)する。ここでのτは、光がコイル状光ファイバを通過するのに必要な時間である。上述のような理由によって、フィードバック・ランプ信号を実現する電子回路は、無制限にフィードバック・ランプ信号をインクリメントし続けることはできないので、何らかの基準でリセットしなければならない。従って、方法は840に進み、フィードバック・ランプが、前回のリセット以降に所定の回数だけインクリメントされたときに、フィードバック・ランプ信号をリセットする。一実施形態では、フィードバック・ランプ信号は、前回のリセット以降の期間にわたるフィードバック・ランプ信号レベルの平均に基づいて、フィードバック・ランプ信号を低下させることによって、リセットされる。一実施形態では、フィードバック・ランプ信号は、前のリセット以降にフィードバック・ランプ信号レベルが所定の値より上にインクリメントされたときに常にリセットされる。その場合、フィードバック・ランプ信号レベルは、2つの互いに反対の方向に伝播する光波の間の位相差が2πの位相シフトを生じる量だけ、低下させる。
【0048】
図9は、光ファイバ・ジャイロスコープの閉ループ・フィードバック・システムを設計するための、本発明の一実施形態による方法を示す流れ図である。この方法は、910で始まり、対象の回転レートの帯域幅を決定する。光ジャイロスコープが使用される用途に応じて、光ジャイロスコープは、正確に動作することを期待される、角速度の定格範囲を有する。その範囲内で動作する限り、光ジャイロスコープは、その回転角レートの関数であるレート信号を生成する。対象の回転レートの帯域幅は、定格の角速度範囲内で動作するときには、予想され得るレート信号を含む。対象の回転レートの帯域幅の外側でフィードバック・ランプ・リセット周波数を選択することによって(920において)、フィードバック・ランプ・リセットによって生じる何れのレート依存の正弦曲線信号も、対象の帯域幅の外側に存在することになり、従って、正確なレート信号の生成を妨げることはない。選択されたフィードバック・ランプ・リセット周波数を実現するために、方法は930へ進み、最初に選択されたフィードバック・ランプ・リセット・レートに基づいてフィードバック・ランプ・リセットをリセットする前にフィードバック・ランプ信号をインクリメントするためのτ秒期間の数を決定する。時には、フィードバック・ランプ・リセットの選択された周波数が原因で、リセット直後に発生する低信頼のデータをブロックすることから、望ましくない量の雑音が生じることがある。その場合、この方法は更に、信号雑音を低減するために、もともと選択されていたフィードバック・ランプ・リセット・レートと、対象の回転レートの帯域幅との間の、より低いフィードバック・ランプ・リセット・レートを選択するステップを含む。次に、この方法は、そのより低いフィードバック・ランプ・リセット・レートに基づいて、フィードバック・ランプ・リセットをリセットする前にフィードバック・ランプ信号をインクリメントするためのτ秒期間の数を決定する。
【0049】
フィードバック・プロセッサ、アナログ・デジタル変換器及びデジタル・アナログ変換器、復調器、アキュムレータ、並びに本発明の諸実施形態の他のエレメントを実装するために、幾つかの手段を使用できる。これらの手段には、デジタル・コンピュータ・システム、プログラマブル・コントローラ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイなどがあるが、これらに限られるものではない。従って、本発明の他の実施形態は、このようなコントローラによって実行されたときにコントローラが本発明の諸実施形態を実行することを可能にするための、コンピュータが読み取り可能な媒体に格納されたプログラム命令を含む。コンピュータ読取可能媒体には、パンチ・カード、磁気ディスク又はテープ、任意の光データ記憶システム、フラッシュ・リード・オンリ・メモリ(ROM)、不揮発性ROM、プログラマブルROM(PROM)、消去可能プログラマブルROM(E−PROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)などのような、任意の形のコンピュータ・メモリや、他の任意の形の永久、半永久、もしくは一時的メモリ記憶システム又はデバイスなどが含まれるが、これらに限られるものではない。プログラム命令は、コンピュータ・システム・プロセッサによって実行されるコンピュータ実行可能命令や、超高速集積回路(VHSIC)ハードウェア記述言語(VHDL)などのようなハードウェア記述言語を含むが、これらに限られるものではない。
【0050】
本明細書においては個々の実施形態について例示し説明してきたが、当業者には、提示した個々の実施形態の代わりに同じ目的を達成することを意図した任意の構成を使用することができることが理解されよう。本出願は、本発明のどのような適合形態や変更形態も包含することを意図したものである。従って、本発明が本発明の特許請求の範囲とその均等物によって制限されることが明白に意図される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本発明の一実施形態の光ジャイロスコープを示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態のフィードバック・プロセッサを示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態のフィードバック・ランプ信号とバイアス変調信号を示す。
【図4】図4は、本発明の一実施形態のフィードバック・プロセッサを示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態のフィードバック・ランプ信号とバイアス変調信号を示す。
【図6】図6は、本発明の一実施形態のフィードバック・プロセッサを示すブロック図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態を示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態の方法を示す流れ図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態の方法を示す流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ・ジャイロスコープ(100)の閉ループ・フィードバック信号を生成する方法であって、
2つの互いに反対の方向に伝播する光波(CW、CCW)の間の位相差を求めるために信号を復調する(202、402)ステップ(810)と、
前記位相差に基づいて回転レートを求めるステップ(820)と、
前記回転レートに基づいて、τ秒期間毎に1回、フィードバック・ランプ信号(310)をインクリメントするステップ(830)と、
前記フィードバック・ランプ信号(310)が、前回のリセット以降に所定の回数だけインクリメントされたときに、前記フィードバック・ランプ信号(310)をリセットするステップ(840)と
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記フィードバック・ランプ信号(310)をリセットするステップの後の1又は複数のτ秒期間に関して、信号を復調する前記ステップと回転レートを求める前記ステップとの一方又は両方を禁止するステップ
を更に備える方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
1又は複数の動作ポイントに基づいて前記2つの互いに反対の方向に伝播する光波(CW、CCW)の間の前記位相差を増大するように適合されたバイアス変調信号を生成する(214、320)ステップと、
前記フィードバック・ランプ信号と前記バイアス変調信号とを加算する(212)ステップと
を更に備える方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記バイアス変調信号を生成するステップが、
Vπの電圧値を推定するステップと、
前記フィードバック・ランプ信号(310)をリセットする前記ステップの後の1又は複数のτ秒期間に関して前記Vπの電圧値を推定する前記ステップを禁止するステップと
を更に備える、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記フィードバック・ランプ信号(310)が、前回のリセット以降に所定の回数だけインクリメントされたときに、前記フィードバック・ランプ信号(310)をリセットする前記ステップが、
前記前回のリセット以降の期間にわたる前記フィードバック・ランプ信号レベルの平均に基づいて前記フィードバック・ランプ信号(310)を低下させるステップ
を更に備える、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記前回のリセット以降に前記フィードバック・ランプ信号レベル(510)が所定の値以上にインクリメントされたときに前記フィードバック・ランプ信号(510)をリセットするステップ
を更に備える方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記前回のリセット以降に前記フィードバック・ランプ信号レベル(510)が所定の値以上にインクリメントされたときに前記フィードバック・ランプ信号(510)をリセットする前記ステップが、
前記2つの互いに反対の方向に伝播する光波(CW、CCW)の間の前記位相差に2πの位相シフトをもたらすように前記フィードバック・ランプ信号(510)を低下させるステップ
を更に備える、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−248469(P2007−248469A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−70863(P2007−70863)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】