説明

光スイッチング素子及び画像表示装置

【課題】 エバネセント波を捉えて光量が大きく、高いコントラストの画像表示が可能な光スイッチング素子を提供する。
【解決手段】 光を全反射して伝達可能な全反射面22を備えた導光部20と、全反射面に対し抽出面32を接近してエバネセント光を捉え、それを反射して出射することができる光スイッチング部30と、この光スイッチング部を駆動する駆動部40とを光の出射方向に対しこの順番で積層してある。従って、駆動部40を抽出された光が通過しないので、光のロスが小さい。また、駆動部40を光学的な考慮をしないで設計できるので、抽出面32を大きくでき、開口率が大きく、光量が多く、さらに、画素の境目の少ない画像を形成できる光スイッチング素子を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信、光演算、光記憶装置、光プリンター、画像表示装置等に使用される光スイッチング素子(ライトバルブ)に関するものであり、特に画像表示装置に適した光スイッチング素子および画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の光スイッチング素子は液晶を用いたものが知られている。図12にその概略構成を示すように、従来の光スイッチング素子900は、偏光板901および908、ガラス板902および903、透明電極904および905、液晶906および907より構成され、透明電極間に電圧を印加することにより液晶分子の方向を変えて偏光面を回転させ光スイッチングを行うものであった。そして、従来の画像表示装置は、このような光スイッチング素子(液晶セル)を二次元に並べた液晶パネルを用い、階調表現は印加電圧を調整することにより液晶分子の向く方向をコントロールするものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液晶は高速応答特性が悪く、たかだか数ミリ秒程度の応答速度でしか動作しない。このため高速応答を要求される、光通信、光演算、ホログラムメモリー等の光記憶装置、光プリンター等へ液晶を用いた光スイッチング素子を適用することは難しかった。また、液晶を用いた光スイッチング素子では、偏光板により光の利用効率が低下してしまうという問題もあった。
【0004】また、画像表示装置においては、近年、いっそう高品位な画像品質が要求されており、液晶を用いた光スイッチング素子よりさらに階調表現が正確な表示を行える光スイッチング素子が求められている。
【0005】そこで、本発明は、光のロスが少なく、高速応答が可能な光スイッチング素子を提供することを目的としている。さらに、均質なコントラストが得られ、画質の良い表示が得られる光スイッチング素子を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】このため、本発明においては、光を全反射して伝達可能な導光部に対し光スイッチング部の透光性の抽出面を接触させてエバネセント光を抽出し、光スイッチング部の1波長程度あるいはそれ以下の微小な動きによって、光を高速でオンオフ制御可能な光スイッチング素子を用い、さらに、光スイッチング部を反射型にして、導光部、光スイッチング部およびこの光スイッチング部を駆動する駆動部を光の照射方向からこの順番に配置して階層構造化できるようにしている。そして、出射される光量が大きく、その出射される光のロスは少なく、さらに、高速応答が可能な光スイッチング素子を実現している。すなわち、本発明の光スイッチング素子は、光を全反射して伝達可能な全反射面を備えた導光部と、全反射面に対しエバネセント光が漏出する抽出距離以下に接近する第1の位置、および抽出距離以上に離れる第2の位置に移動可能な透光性の抽出面を備え、抽出した光を導光部の方向に反射する光スイッチング部と、この光スイッチング部を駆動する駆動部とを有し、これらの導光部、光スイッチング部および駆動部が光の出射方向に対しこの順番で積層されていることを特徴としている。
【0007】本発明の光スイッチング素子は、導光部、光スイッチング部およびその駆動部を積層化することにより、光スイッチング素子を導光部、光スイッチング部およびその駆動部の各々の部分の機能を備えたほぼ独立した層構造のパーツを積み重ねて構成する階層構造にすることができる。従って、それぞれの部分を最適化することが容易である。特に、本発明の光スイッチング素子は、光スイッチング部によって光が導光部に向かって反射され、駆動部は光が透過しない形態となっている。従って、駆動部は光学的な考慮をはらわずに最適化することが可能であり、例えば、光スイッチング部を駆動部の側からサポートするようにすることで、導光部を光スイッチング部の側を平面となったパネル構造にすることができる。また、導光部がフラットな面となり、光スイッチング部を支持する部分を設けなければ、導光部の殆どの面積を光を抽出する面として使用することができるので、光が出射する開口面積が大きく、開口率の高い、光量の大きな光スイッチング素子を実現できる。さらに、駆動部は、駆動部を制御するIC基板上に形成することも可能であり、画面制御用のICチップと一体化した光スイッチング素子を実現することも可能である。
【0008】このような本発明の光スイッチング素子は、それを1画素とし、複数の光スイッチング素子を2次元的に配置して導光部は白色または3原色の光が伝達可能なように接続することにより画像表示装置を構成することができ、高速で解像度の高い画像表示が可能な画像表示装置を階層構造化して低コストで提供することができる。また、ICチップと一体化した画像表示装置とすることももちろん可能となる。
【0009】反射型の光スイッチング部とするために、抽出された光を出射する出射体として、抽出面によって抽出された光を反射するマイクロプリズムまたは光散乱性のものを用いることができ、出射光の方向を制御して導光部の全反射面に対して垂直方向に近づけることができる。
【0010】駆動部には、駆動力が印加されないときに、光スイッチング部を第1の位置で導光部に向かって加圧可能な弾性体と、この弾性体の弾性力に対抗して光スイッチング部を第2の位置に電力を用いて移動可能な第1の駆動力発生部とを設けることが望ましい。電力を用いて制御される第1の駆動力発生部は制御が容易であるが電圧あるいは電流の変動に伴って駆動力が変化する。これに対し、弾性体を用いた駆動力は機械的で安定している。従って、光スイッチング部の抽出面を導光部の全反射面に接近させて光スイッチング部をオン状態にする駆動力として安定した弾性体を用いた駆動手段を採用することができる。さらに、適当な距離を開けることによって光をオフ状態にする駆動力として制御が容易な電力を用いた駆動手段を採用することにより、安定した光量が確保でき、制御能力の高い光スイッチング素子を提供することができる。
【0011】この弾性体は、光スイッチング部が第1の位置になったときに撓んだ状態が残るように設定することが望ましい。撓んだ状態を残すことにより、オン状態では、導光部の全反射面に対し抽出面が弾性体によって加圧された状態となるので抽出面が全反射面に密着され、オンのときは明るく、オン・オフのコントラストの高い光スイッチング素子を提供することができる。また、弾性体に撓みを持たせることにより、振動、温度変化あるいはその他の経時変化による導光部と光スイッチング部の間隔、あるいは光スイッチング部と駆動部の間隔などの変化を吸収することが可能となる。
【0012】さらに、駆動部として、光スイッチング部を第2の位置に電力を用いて移動あるいは保持可能な第2の駆動発生部を設けることができる。弾性体に加えて、第1の駆動発生部および第2の駆動発生部を設けることにより、光スイッチング部を第1および第2の位置に安定して保持できるので、制御の安定した動作の信頼性の高い光スイッチング素子を提供できる。
【0013】駆動力発生部には、駆動用電極を設けることによって、光スイッチング部を静電気力で動かすことが可能であり、簡易な構成で信頼性が高く、十分な駆動力を得ることができる。
【0014】さらに、光スイッチング部と共に動く第1の駆動用電極と、基板に設置された第2の駆動用電極とを設け、さらに、第1および第2の駆動用電極の距離が狭くなる第1のスペースと、バネ部材が収納可能なように基板および光スイッチング部の距離が広くなる第2のスペースとを形成するスペーサ、例えば、駆動部を下として見たときに断面がT字形あるいは逆台形状などのスペーサを設けることが望ましい。駆動部においては、狭い第1のスペースの駆動用の電極に電圧を印加することにより、スペーサを介して光スイッチング部をオンオフできるので、駆動のための電圧を低くすることができ、高速動作が可能となる。一方、弾性体であるバネ部材は広い第2のスペースに収納することができるので有効長が長くとれ、光スイッチング部を加圧する力を調整することが可能である。従って、駆動用電極による駆動力は小さくともオンオフ動作が確実に行える弾性力が得られるように調整できる。また、T字形あるいは逆台形状のスペーサを採用することにより、光スイッチング部の面積を割かずにバネ部材の有効長を確保できるので、光が出射される開口率が高く、画像表示装置を構成したときに隣接する光スイッチング素子同士がほとんど繋がったシームレスとなる光スイッチング素子を提供することができる。
【0015】駆動部の弾性体としての機能を発揮するバネ部材は、コイルバネなどの任意な形状のものを用いることができる。しかしながら、バネ部材は、光スイッチング部(素子)の境界近傍の支持部で一端が支持され、他端が光スイッチング部に繋がった板状のバネを採用することにより、バネ部材により光スイッチング部の位置決めを行うことができる。この際、バネ部材には、境界近傍にスリットまたは穴が形成された板状のバネを採用することにより、隣接する光スイッチング部に対する影響を防止でき、また、バネ部材の弾性係数を光スイッチング部を駆動するのに適当な値に設定することができる。例えば、このような板状のバネは、境界近傍に設けられた支柱に一端が接続され、光スイッチング部から放射状に延びた幅の狭いバネ部材となる。このようなバネ部材に対し、第1の駆動用電極を光スイッチング部から放射状に広がっている構造にすることにより、電極面積を広くできるので、低電圧で高い駆動力が得られ、駆動電圧を下げることができる。また、バネ部材は、境界に沿って延びた螺旋状の部分を備えた板状のバネとすることにより、面積を増やさずにバネの有効長を長くできるので、光スイッチング部を駆動するための電圧を下げ、消費電力を低減することができる。さらに、二重螺旋構造を用いることもできる。また、バネの屈曲部(両支点の中間部)を、他の部分より薄くすることにより弾性係数を下げてバネの有効長を長くしたのと同じ効果を得ることも可能である。このような板バネの支持部は、境界近傍に規則的に配置され、複数の光スイッチング素子を用いて画像表示装置を構成したときに隣接するスイッチング素子と共用するように構成することができる。支持部は光スイッチング素子同士の境界に沿って長く延びた突起のようなものであっても良いが、境界に沿って断続的に存在する支柱を採用することにより、支持部の占めるスペースを減らすことが可能であり、そのスペースを電極あるいは他のスペースとして用いることができる。また、支柱はランダムに配置することも可能であるが、所定の規則に沿って配置することによりシンメトリで組み立てやすく性能の安定した光スイッチング素子および画像表示装置を提供することができる。
【0016】バネ部材としては、ボロンドープされたシリコン薄膜のような導電性のある薄膜部材を採用することができ、駆動用の電極を兼ねた構造にすることが可能である。従って、基板側の第2の駆動用電極に対峙した領域が第1の駆動用電極として機能し、その他の部分がバネ部材として機能するようにすることができる。
【0017】一方、導光部とバネ部材との間に補助支持部を設け、さらに、バネ部材に上記のようなスリットあるいは穴などを設けずに、光スイッチング部の側をほぼ密封できる板状のバネにして、光スイッチング部の側を駆動部の側より負圧にすることができる。これにより、外気圧によってバネ部材が補助支持部に押しつけられ、光スイッチング部との隙間を均等に保つことができる。また、圧力差によってオンのときに光スイッチング部が導光部に密着される。従って、安定した動作が行われ、コントラストの高い光スイッチング素子を提供することができる。
【0018】また、駆動部と光スイッチング部を有する空間すなわち光スイッチング素子の内部が密封された空間になるようにして、内部の圧力を低くするか、または、不活性ガス等の気体を空気と置換し内部の圧力を低くすると、スイッチング動作時の気体の流動抵抗を低くできるので、気体によるダンパー効果などの摩擦が生じなくなり、駆動電圧を下げ、駆動速度を上げ、さらにオンオフの切り替えを高速で行うことができる。よって、高速応答が可能な光スイッチング素子の提供が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】〔第1の実施の形態〕図1に、本発明の光スイッチング素子1を複数用いた画像表示装置2の概略構成を示してある。本例のスイッチング素子1は、ガラス製あるいは透明プラスチック製などの使用する光の透過率の高い光ガイドとなる導光部20を有している。この導光部20は、入射光10が全反射により伝達されるように、入射光10の入射角に対して適当な角度となる全反射面22が形成されている。
【0020】本例のスイッチング素子1は、この導光部20の下方(全反射面22の側)に、導光部20から光を抽出して上方に反射する光スイッチング部30の層、この光スイッチング部30を動かす駆動部40の層、および駆動部40を制御する駆動用ICが構成されたシリコン基板70の層が順番に積層されており、それぞれの機能部分が階層構造を成している。
【0021】光スイッチング部30は、導光部の全反射面22の側が全反射面22にほぼ密着可能な平坦な抽出面32となったマイクロプリズム34を出射体として備えている。本例のマイクロプリズム34は、抽出面32が底面となった三角形のプリズムになっており、全反射面22から抽出した光を全反射面22にほぼ垂直な方向に反射して導光部20の全反射面22の反対側の投写面21から出射できるようになっている。
【0022】この光スイッチング部30を駆動するために、光スイッチング部30の下層に設けられた駆動部40は、マイクロプリズム34を支持する断面が略T字形となったスペーサ42と、このスペーサ42を介して光スイッチング部30の抽出面32を導光部20の全反射面22に接する第1の位置で導光部20に向かって加圧可能な弾性体である板状のバネ部材50と、静電気力を用いて抽出面32を全反射面22から離れた第2の位置に移動する電極60および62のセット(第1の動力発生部)を備えている。従って、本例の光スイッチング素子1では、駆動部20に電力が供給されていないと、バネ部材50によって抽出面32が全反射面22に接近(第1の位置)し、導光部20から光が抽出されて投写面21から出射される(オン状態)。一方、駆動部20に電力が供給されると、電極60および62により離れるので(第2の位置)、光は導光部20から抽出および出射されなくなる(オフ状態)。
【0023】さらに、本例の画像表示装置2は、このような構成の光スイッチング素子1が図1の横方向と同様に紙面に垂直な方向にも2次元的に配置されており、これら光スイッチング素子1が1画素として画像を表示できるようになっている。
【0024】また、この画像表示装置2は、駆動部40を制御する回路が構成されたシリコン基板70の表面に形成されており、画像駆動用のIC70と一体となった画像表示装置2が実現されている。
【0025】図2に、光スイッチング素子1を光スイッチング部30を中心に拡大して示してある。本図に示した左側の光スイッチング素子1aはオン状態を示してあり、右側の光スイッチング素子1bはオフ状態を示してある。本例の光スイッチング素子1は、導光部20の全反射面22から漏出しているエバネセント波を抽出面32で捉えて画像形成などのために利用できるようにしている素子である。
【0026】図3にエバネセント波の透過率の例をいくつか示してある。全反射されている面に透明体を近接すると、エバネセント波が透明体側に漏れ出て光が透過する。エバネセント波の透過率は、媒体の屈折率や入射角度などによって相違するが、図3に、波長λが500nmの光に対して入射角を50°としたときにエバネセント波の透過率(%)を全反射面22と抽出面(透明体)32との間隔(μm)に対して測定した透過曲線14を示してある。同様に入射角60°のときの特性曲線15、入射角70°の特性曲線16、入射角80°の特性曲線17も示してある。これら特性曲線は、ほぼ同じような傾向を示しており、抽出面32が全反射面22に0.1〜0.05μm以下に接近する(第1の位置)と透過率が50%程度になる。一方、抽出面32が全反射面22から0.2μm以上離れる(第2の位置)と透過率は10%以下になり、さらには、抽出面32の距離が0.3μmを越えると透過率はほぼ0%になる。従って、図2の光スイッチング素子1aで示すオン状態と、光スイッチング素子1bで示すオフ状態とでは、光スイッチング部32を0.2〜0.3μm程度移動させるだけで良い。このため、本例の光スイッチング素子1を用いることにより、高速で画素を制御でき、コントラストの高い画像を得ることができる。また、光スイッチング部32の移動距離が短くて済むので、駆動電極60および62の間隔も短くなる。従って、これらの電極によって静電気力を発生するための駆動電圧も小さくて良く、消費電力の少ない画像表示装置2を提供することができる。
【0027】図2に基づいて、本例の光スイッチング素子1の構成をさらに詳しく説明する。本例の光スイッチング素子1は、光スイッチング素子1aに示すように、駆動部40に設けられたバネ部材50によってスペーサ42が押し上げられ、光スイッチング部30の抽出面32が全反射面22に対し、上述したような間隔でほとんど密着することによってエバネセント波を捉えることができる。そして、捉えられたエバネセント波10は出射体であるプリズム34の反射面34aで反射して導光部20から外界に放出される。一方、光スイッチング素子1bに示すように、電極60および62の静電気力によってプリズム34がバネ50に逆らって下に動き、抽出面32と全反射面22との間に上述したような間隔が開くと、エバネセント波をプリズム34で捉えることができなくなる。
【0028】プリズム34を支持する本例のスペーサ42は、断面がほぼT字形をしており、中心が基板70の表面71とスペーサ42の下面42aとの隙間が狭くなった第1のスペース45になっており、両側が基板の表面71とスペーサ42の下面42bとの隙間が広くなった第2のスペース46となっている。隙間の狭い第1のスペース45を挟むように、スペーサ42の下面42aと基板の表面71に電極62および60が設けられている。一方、間隔の広い第2のスペース46には、バネ部材50が設けられており、このバネ部材50がスイッチング素子1の境界に設けられた支柱44とスペーサ42を接続し、光スイッチング部30のマイクロプリズム34の位置が決まるようになっている。さらに、光スイッチング素子1aおよび1bに示すように、T字形のスペーサ42で形成された第2のスペース46で板状のバネ部材50が変形できるようになっており、電極60および62の間隔(第1のスペース)を開けずに、バネ部材50の設置スペースが確保できている。従って、電極60および62に供給する駆動電圧は低くて良いので、上述したように消費電力を抑えることができる。
【0029】また、T字形のスペーサ42を採用することにより、プリズム34の下の駆動部40の層に位置するスペース46をバネ部材50の設置スペースとすることができる。このように、駆動部40の部材であるバネ部材50の処理を駆動部40の層で処理することにより、光スイッチング部30の層では、隣接する光スイッチング素子1aおよび1bの間にバネ部材50を設置するためのスペースが不要である。従って、プリズム34の面積を大きくすることが可能となり、導光部20から光を抽出できる面積率(開口率)を高くし、出射される光量の大きな明るい光スイッチング素子を提供することができる。
【0030】さらに、本例の光スイッチング素子1では、駆動部40の層に支柱44を設けて駆動部40で光スイッチング部30をサポートできるようにしており、導光部20にプリズム34を支持する構造をエッチングなどを用いて形成する必要がない。従って、導光部20の全反射面22は、複数の光スイッチング素子1に対してフラットな平面となり、シンプルな形状の部材を導光部20として採用できる。そして、バネ部材50を設置する空間も駆動部40に設けることができるので、光スイッチング部30としては光スイッチング素子1aおよび1bを間隔を殆ど開けずに配置することが可能となる。従って、本例の光スイッチング素子を用いることにより画素同士の間が殆ど開かない、画素の境目が判らないシームレスな、あるいはシームレスに近い画像を形成可能な画像表示装置2を提供することができる。
【0031】さらに、本例の光スイッチング素子1においては、光スイッチング素子1aに示すように、オン状態では静電気力を用いずにバネ部材50の力でマイクロプリズム34の抽出面32を導光部20の全反射面22に押しつけるようにしている。また、オン状態では、さらに、バネ部材50に多少の変位51を持たせ、プリズム34を全反射面22に押圧できるようにしている。電力を用いて制御される静電気力は、制御が容易であるが供給電圧が変動すると抽出面32を全反射面22に押しつける力が変化する。図3に示したように、電圧が下がって押圧が不足し、抽出面32と全反射面22との隙間が0.1〜0.15μm程度になると透過量は20%近傍あるいはそれ以下となり、オンオフのコントラストが低下してしまう。これに対し、バネ部材50によって得られる力は、機械的で電圧変動に関係なく安定している。従って、本例のスイッチング素子1においては、オン状態にする駆動力として安定したバネ部材50の力を用い、一方、オフ状態にする駆動力として制御が容易な静電気力を用いることにより、安定した光量を確保すると共に、制御能力の高い光スイッチング素子を提供できるようにしている。
【0032】さらに、オン状態のバネ部材50に変位(撓み)51を持たしておくことにより、適度な力で抽出面32を全反射面22に押し当てることが可能となる。従って、振動、温度変化あるいはその他の経時変化による導光部と光スイッチング部の間隔、あるいは光スイッチング部と駆動部の間隔などが変化した場合でもそれを吸収して、オンオフのコントラストが低下するのを防止できる。さらに、本例のスイッチング素子1は、上述したようにT字形のスペーサ42によってバネ部材50の設置スペースとして広いスペース46が確保されているので、その内部でバネ部材50を変位させておくことが可能である。この撓み51の程度はオフ状態の間隔より少ない、すなわち、0.1〜0.2μm程度が好ましい。
【0033】さらに、本例のバネ部材50は、ボロンドープされたシリコン製の薄膜49で形成されており、導電性がある。従って、広いスペース46の領域では、この薄膜49をバネ部材50として機能させ、狭いスペース45の領域では、スペーサ42にこの薄膜49を固定して電極62として機能させることができる。
【0034】駆動部40に備えられているバネ部材50は、弾性係数を適度な値にすることが重要である。弾性係数が高すぎると、短い間隔でも動かすのに非常に力が必要になり、大きな静電気力が要求されるので、駆動電圧が高くなってしまう。一方、弾性係数が低すぎると、プリズム34の抽出面32を全反射面22に押しつける力が得られるなくなる。画像表示装置2に用いられて画素を構成するような光スイッチング素子1のサイズは、十数ミクロンから数百ミクロンであり、このようなマイクロマシンにおいては、バネ部材50の有効長を長くして弾性係数を低く抑えることが重要である。このため、本例の光スイッチング素子1においては、T字形のスペーサ42を用いて確保された広くスペース46内にバネ部材50を配置して有効長を長くすると共にさらにバネ部材50を細くして有効長を長くするようにしている。
【0035】図4に、本例の光スイッチング素子1の駆動部40の配置を底面(基板70の側)より見た様子を示してある。シリコン薄膜49は、四方の支柱44からスペーサ42の底面42aに向かって放射状に延びたバネ部材50(明示するために縦線で示してある)を形成するために、隣接する他のスイッチング素子との境界になる支柱44の周囲が大きくカットされて穴52が形成されている。また、底面42aに残ったシリコン薄膜49はほぼ四角形の電極62(明示するために斜線で示してある)を形成している。このように、幅の狭い板状のバネ部材50を形成することにより、有効長を長くして駆動電圧を下げることができる。また、画像表示装置においては、隣接する光スイッチング素子との接続部分が細くなるので、光スイッチング素子で構成される画素の間でオンオフ状態が相互に影響を及ぼすのを未然に防ぐことができる。
【0036】図5に、本例の上記と異なったバネ部材50の例を示してある。本例では、シリコン薄膜49に、スペーサ42から支柱44の方向に延びた放射状にスリット53を形成して細長いバネ部材50を形成すると共に、スペーサ42の底面42aに取り付けられた電極62から放射状の電極62aをさらに広げて形成し、電極の面積を広く確保している。このように、電極62の面積を広げることにより、光スイッチング部30を駆動するために印加する駆動電圧を小さくすることが可能となる。
【0037】図6に、上記とさらに異なったバネ部材50の例を示してある。図6(a)および図6(b)には、画像表示装置を構成するために2次元的に配置された複数の光スイッチング素子1のうち、4つの光スイッチング素子1が配置された状態をシリコン基板70の側から見た様子を示してある。本例においては、シリコン薄膜49にそれぞれの光スイッチング素子1の境界に沿った方向にスリット53を形成し、スペーサ42の周囲、すなわち、光スイッチング素子1の境界に沿って螺旋状に延びたバネ部材50を構成している。このように、バネ部材50を境界に沿った方向に延ばすことにより、バネ部材50の有効長をさらに長くすることができ、その一方で、スペーサ42の底面42aを広げて電極62の面積を広く確保することができる。従って、これらの効果により、駆動電圧を大幅に下げることが可能となる。図6(b)は、さらに、スリット53を長くしてバネ部材50がスイッチング素子1の境界に沿った2辺に達するまで長くを螺旋状にさらに確保できるようにした例であり、バネ部材50の有効長をいっそう長し、駆動電圧を下げることができる。もちろん、さらにスリット53を長くして、境界に沿って有効長の長いバネ部材50を形成することも可能である。
【0038】図7に、さらに異なったバネ部材の例を示してある。本例では、バネ部材50がスペーサ42と接する部分、あるいは支柱44と接続されている部分と比較し、その中央部55の厚みを薄くして弾性係数を下げ、駆動電圧を低減できるようにしている。このように、上記に示した幾つかの例あるいはこれらを組み合わせることにより、バネ部材50の弾性係数を下げることができるので、光スイッチング部30を動かすために電極60および62に印加して静電気力を発生される駆動電圧を小さくすることができる。従って、低電気消費量で稼動可能な光スイッチング素子1を提供することができ、画像表示装置2の全体の電力を押さえることが可能となる。
【0039】本例の光スイッチング素子1は、導光部20、光スイッチング部30および駆動部40が順番に積層された構造を採用し、反射型の光スイッチング部30とすることにより、出射方向が積層された方向、すなわち、導光部20を向いた光スイッチング素子であり、駆動部40を抽出した光が通過しない構成の光スイッチング素子を提供することができる。従って、駆動部40は光学的な特性を考慮せずに設計できるので、光スイッチング部30を支持し駆動する構成を上述したように全て駆動部40で実現するように最適化することが可能となり、光スイッチング部30および導光部20の構成を非常にシンプルにすることができる。そして、導光部20、光スイッチング部30および駆動部40を層構造にして独立した設計が可能となり、導光部20は全反射面22がフラットな平板状の部材を用いることができる。また、光スイッチング部30には抽出面32の広いプリズムなどの出射体34を用いることができる。さらに、駆動部40には、オンオフ動作を高速で安定して行える信頼性の高いメカニズムを採用することができる。このため、本発明により光量が多く光のロスの少ない光スイッチング素子を提供可能であり、さらに、オンオフのコントラストも高く画質の良い光スイッチング素子を提供することができる。
【0040】さらに、本例の光スイッチング素子1は、駆動部40を駆動回路などが構成されたシリコンIC基板上に、エッチングなどの微細加工に適した半導体製造技法あるいはマイクロマシンの製造技術を用いて製造することができ、複数の光スイッチング素子1を高密度で集積化することも容易である。従って、本発明の光スイッチング素子を用いることにより、薄くて解像度の高い画像表示装置2を提供することができる。
【0041】図8に、本発明に係る画像表示装置2を用いた投射装置6を示してある。本例の投写装置6は、導光部2の全反射面22に、駆動回路と共に光スイッチング部30および駆動部40が搭載されたICチップ5が取り付けられている。画像表示装置2の導光部20には、一方に入射用の面81が用意されており、この面に向かって光源から赤緑青(RGB)、またはシアン、マゼンダ、イエローなどの光の3原色が時分割で入射される。本例の光源80は、白色のメタルハライドランプ80aと、モータで回転される3色分割フィルタ80bとを備えており、3色分割フィルタ80bで色分割された光線がコリメータレンズ80cを通して並行光束化されて入射面81から導光部20に入射される。そして、全反射面22に到達した入射光10は、ICチップ5を用いて構成された個々の光スイッチング素子によって反射されて導光部20を透過する出射光12となって出射され、投射レンズ85を通ってスクリーンなどに投写されて所望の画像が形成される。一方、光スイッチング素子によって出射光に変換されなかった入射光10は、全反射によって導光部20の入射面81と反対側の反射面82に到達し、この面で反射されて再び導光部20内を伝達し、光スイッチング素子に到達する。
【0042】このように、本例の画像表示装置2は、時分割され入射光に同期してICチップ5により構成された光スイッチング素子を操作することによりカラー画像を投射することができる。もちろん、白色光を入射光10として採用し、波長選択性のある光抽出部を用いた光スイッチング素子によってカラー画像を投射も可能である。
【0043】〔第2の実施の形態〕図9に、上記と異なる光スイッチング素子の例を示してある。本例の光スイッチング素子1も、出射光12の方向に対し、導光部20、反射型の光スイッチング部30および駆動部40がこの順番に積層された階層構造となっており、上述した実施例と共通する部分については同じ符号を付して説明を省略する。本例の光スイッチング素子1は、光スイッチング部30の駆動部40として、駆動電極60および62のセット(第1の駆動部)に加え、新たに光スイッチング部30を上方、すなわち、オン状態に引っ張り上げる駆動電極64および66のセット(第2の駆動部)が設けられている。本例においては、スペーサ42からプリズム34を支持するバッファ部材35の側面に、ほぼコの字型の切り欠き38を対称な位置に形成し、そのスペース38に支柱44から延ばした補助柱47を挿入し、スペース48と補助柱47とに新たな電極64および66をそれぞれ固定して第2の駆動部を形成している。本例の光スイッチング素子1においては、オフ状態を電力を用いて制御する電極60および62からなる第1のセットに加え、オン状態も電力(静電気力)を用いて制御できる電極64および66の第2のセットが設けられている。このため、バネ部材50の駆動力に加えて電力を用いてオンオフの両方の状態を制御することができるので、より安定した駆動制御が可能であり、いっそう信頼性の高い光スイッチング素子1を提供することができる。
【0044】〔第3の実施の形態〕図10に、本発明に係る光スイッチング素子の異なった例を示してある。光スイッチング素子1も、導光部20と、光スイッチング30と、駆動部40とがこの順番にIC部70の基盤に積層されており、上述した実施例と共通する部分については同じ符号を付して説明を省略する。本例の光スイッチング素子1では、バネ部材50および電極62を兼ねて支柱44およびスペーサ42を接続するように設置された薄膜49が導光部20に対して補助柱48によって支持されており、抽出面32と全反射面22との間隔が光スイッチング素子1の間でほぼ均等に保たれるようになっている。さらに、薄膜49には穴あるいはスリットが形成されておらず、光スイッチング部30の層を薄膜49と導光部20で密封できるようになっている。そして、光スイッチング部30の圧力が外気に対し負圧になるように調整されている。これにより薄膜49が補助柱48に密着され、複数の光スイッチング素子1を2次元的に並べて画像表示装置2を構成したときに薄膜49と全反射面22との間隔、すなわち、薄膜49に取り付けられた光スイッチング部30の抽出面32と導光部20の全反射面22との隙間をほぼ均等に保つことができる。従って、複数の光スイッチング素子1で構成される画像表示装置2の全画素で安定したスイッチング動作が行われ、全ての画素で高いコントラストを得ることができる。この補助柱48は、全ての画素を構成するスイッチング素子に設ける必要はなく、適当な間隔を開けたり、あるいはランダムに配置してももちろん良い。
【0045】さらに、光スイッチング部30の側が負圧になるように調整されているので、外気圧によって光スイッチング部30の抽出面32は全反射面22に対し押圧される。従って、本例の光スイッチング素子1においては、バネ部材50の力に加えて大気圧も利用して抽出面32を全反射面22に対し密着させて、高いコントラストを得ることができる。
【0046】また、本例の光スイッチング素子1においては、バネ部材50とプリズム34の間に位置するスペーサ42としてT字形に代わり逆台形状のものを採用している。このように、逆台形状のスペーサ42を用いてもバネ部材50を配置する広いスペース46と、電極60および62を配置する狭いスペース45を確保することが可能である。
【0047】さらに、光スイッチング部30に加えて、駆動部40も密封し、導光部20およびシリコン基板70で囲われた領域全体を密封して負圧にすることも可能である。この領域の圧力を下げることにより、光スイッチング部30および駆動部40を構成するプリズム34、バネ部材50などがスイッチング動作するために動くときに気体の流動抵抗がなくなり、ダンパー効果などによる抵抗が大幅に低下する。従って、オンオフ動作のときの駆動速度を上げることが可能となり、また、駆動力を低減できるので、高速動作が可能で消費電力の低いスイッチング素子および画像表示装置を提供することができる。また、上記密封された空間を水分を含まない気体で置換し、しかも外部より負圧にすることにより、上述の効果に加え、吸着等の原因となる水分を除去でき、しかも、不活性ガスであれば、酸化等の変質を防止できる。
【0048】〔第4の実施の形態〕図11に、本発明の光スイッチング素子の他の例を示してある。本例の光スイッチング素子1も、導光部20と、光スイッチング30と、駆動部40とがこの順番にIC部の基板70に積層されており、上述した実施例と共通する部分については同じ符号を付して説明を省略する。本例の光スイッチング素子1では、光スイッチング部30では複数の反射体を含んだ反射型の出射体36を採用している。従って、オン状態で抽出面32によって捉えられたエバネセント光は出射体36で導光部20の側に適度な角度で散乱され、広い視野角で見える画像を形成することができる。
【0049】さらに、本例の光スイッチング素子1ではスイッチング部30を駆動する駆動部として静電力の代わりにピエゾ素子69による電歪力を用いている。本例のピエゾ素子69は、分極方向が異なる2層を積層したバイモルフタイプであり、電力を与えると湾曲した状態から直線状態に延びてバネ部材50を引っ張り、光スイッチング素子1をオフ状態にできるようになっている。一方、電力を与えないと湾曲した弾性力のある状態となり、バネ部材50の弾性力と共に適当な力で光スイッチング部30を導光部20に向けて押圧し、コントラストの高い光スイッチング素子を実現できるようになっている。
【0050】なお、本発明に係る光スイッチング素子1は、導光部20、光スイッチング部30、および駆動部40が階層構造を成しているので、上述した各々の実施の形態に係る光スイッチング部30あるいは駆動部40を自由に組み合わせて用途に適した光スイッチング素子1を構成することができる。また、本発明の光スイッチング素子は、画像表示装置に限定されるものではなく、光プリンターのライン状ライトバルブ、三次元ホログラムメモリ用の光空間変調器などその応用範囲は非常に広く、従来の液晶を用いた光スイッチング素子が適用されている分野はもちろん、液晶を用いた光スイッチング素子では動作速度や光強度が不足する分野および応用機器に対して、本発明の光スイッチング素子は特に適している。さらに、本発明の光スイッチング素子は微細加工が可能であるので、従来の液晶の光スイッチング素子よりも小型化、薄型化を図ることができ、高集積化することも可能である。
【0051】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の光スイッチング素子は、光を全反射して伝達可能な全反射面を備えた導光部に抽出面を接し、全反射面から漏出するエバネセント光を捉えて画像を形成可能とするものであり、導光部、反射型の光スイッチング部および駆動部を出射方向に対しこの順番に積層することにより、抽出した光を光スイッチング部で導光部の方向にほぼ垂直に反射し、駆動部における光の損失がない明るい光スイッチング素子を提供することができる。さらに、このような積層構造を採用することにより、導光部、光スイッチング部および駆動部の各々の階層を最適な構造にすることが可能であり、また、機能あるいは構造の異なる階層を自由に組み合わせることも可能となる。特に、駆動部で光スイッチング部の位置決めを行い、さらに弾性体であるバネ部材の設置スペースを設けることにより、導光部をフラットな部材とし、また、光スイッチング部の抽出面の面積を大きくすることができる。従って、開口率の大きな明るくコントラストの高い光スイッチング素子を提供することが可能となり、本発明の光スイッチング素子を用いることにより、画質の良い画像が得られる画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光スイッチング素子の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す光スイッチング素子の構成を拡大して示す断面図である。
【図3】エバネセント波の透過率を全反射面と抽出面との距離に対して示すグラフである。
【図4】図1に示す光スイッチング素子のバネ部材の構成を基板の方向から見た様子を示す図である。
【図5】図4に示したバネ部材と異なる例を示す図である。
【図6】図4に示したバネ部材とさらに異なる例を示す図である。
【図7】図4に示したバネ部材とさらに異なる例を示す図である。
【図8】図1に示す画像表示装置を用いた投写装置の例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る光スイッチング素子の概略構成を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る光スイッチング素子の概略構成を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る光スイッチング素子の概略構成を示す図である。
【図12】従来の液晶を用いた光スイッチング素子を示す図である。
【符号の説明】
1・・光スイッチング素子
2・・画像表示装置
6・・投写装置
10・・入射光
12・・出射光
20・・導光部
22・・全反射面
30・・光スイッチング部
32・・抽出面
34・・出射体(プリズム)
36・・出射体(散乱体)
40・・駆動部
42・・スペーサ
44・・支柱
45・・駆動電極用の狭いスペース(第1のスペース)
46・・バネ部材用の広いスペース(第2のスペース)
47、48・・補助柱
49・・シリコン薄膜
50・・バネ部材
51・・バネ部材の撓み
52・・穴
53・・スリット
60、62・・駆動電極(第1のセット)
64、66・・駆動電極(第2のセット)
69・・ピエゾ素子
70・・IC部
80・・光源
80a・・メタルハイランドランプ
80b・・3色分割フィルター
81・・入射用の面
82・・反射面
85・・撮影レンズ
90・・大気圧
908・・偏光板
903・・ガラス板
904、905・・透明電極
906、907・・液晶

【特許請求の範囲】
【請求項1】 光を全反射して伝達可能な全反射面を備えた導光部と、前記全反射面に対しエバネセント光が漏出する抽出距離以下に接近する第1の位置、および前記抽出距離以上に離れる第2の位置に移動可能な透光性の抽出面を備え、抽出した光を前記導光部の方向に反射する光スイッチング部と、この光スイッチング部を駆動する駆動部とを有し、前記導光部、光スイッチング部および駆動部が光の出射方向に対しこの順番で積層されていることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項2】 請求項1において、前記導光部、光スイッチング部および駆動部は、階層構造となっていることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項3】 請求項1において、前記導光部は、前記光スイッチング部の側がフラットな平面となったパネル状の部材であることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項4】 請求項1において、前記駆動部は、IC基板上に配置されていることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項5】 請求項1において、前記光スイッチング部は、前記抽出面によって抽出された光を反射するマイクロプリズムまたは光散乱性の出射体を備えていることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項6】 請求項1において、前記駆動部は、駆動力が印加されないときに前記光スイッチング部を前記第1の位置で前記導光部に向かって加圧可能な弾性体と、この弾性体の弾性力に対抗して前記光スイッチング部を前記第2の位置に電力を用いて移動可能な第1の駆動力発生部とを備えていることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項7】 請求項6において、前記弾性体は、前記光スイッチング部が前記第1の位置になったときに撓んだ状態が残るように設定されたバネ部材であることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項8】 請求項6において、前記光スイッチング部を前記第2の位置に電力を用いて移動あるいは保持可能な第2の駆動発生部を有することを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項9】 請求項6において、前記駆動力発生部は、前記光スイッチング部を静電気力で動かすための駆動用電極を備えていることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項10】 請求項7において、前記駆動力発生部は、前記光スイッチング部を静電気力で動かすために前記光スイッチング部と共に動く第1の駆動用電極と、基板に設置された第2の駆動用電極とを備えており、さらに、前記駆動部は、前記第1および第2の駆動用電極の距離が狭くなる第1のスペースと、前記バネ部材が収納可能なように前記基板および光スイッチング部の距離が広くなる第2のスペースとを形成するスペーサを備えていることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項11】 請求項10において、前記バネ部材は前記光スイッチング素子の境界近傍の支持部で一端が支持され、他端が前記光スイッチング部に繋がった板状のバネであり、前記スペーサは断面がT字形あるいは逆台形状であることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項12】 請求項11において、前記バネ部材は、前記境界近傍にスリットまたは穴が形成された板状のバネであることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項13】 請求項11において、前記バネ部材は、前記境界近傍に設けられた支柱に前記一端が接続され、前記光スイッチング部から放射状に延びた幅の狭い板状のバネであることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項14】 請求項13において、前記光スイッチング部から放射状に前記第1の駆動用電極が広がっていることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項15】 請求項11において、前記バネ部材は、前記境界に沿って延びた螺旋状の部分を備えた板状のバネであることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項16】 請求項11において、前記バネ部材は、中央付近の厚みが薄くなった板状のバネであることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項17】 請求項11において、前記バネ部材を前記導光部の側から支持する補助支持部を有し、さらに、前記バネ部材は、前記光スイッチング部の側をほぼ密封できる板状のバネであり、前記光スイッチング部の側が前記駆動部の側より負圧になっていることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項18】 請求項11において、前記光スイッチング素子の内部が密封された空間になっており、圧力の低い状態で前記光スイッチング部を駆動できるようになっていることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項19】 請求項11において、前記支持部は前記境界近傍に規則的に、または、ランダムに配置された支柱であることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項20】 請求項11において、前記バネ部材は導電性の部材であり、前記光スイッチング部に繋がった部分が前記第1の駆動用電極を兼ねていることを特徴とする光スイッチング素子。
【請求項21】 請求項1に記載の光スイッチング素子を複数有し、これらの光スイッチング素子が2次元的に配置され、前記導光部は白色または3原色の光が伝達可能なように接続されていることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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