説明

光スイッチ及び光波長ルータ

【課題】消費電力を一定にでき、温度変動を防止して、安定した特性を有する光スイッチ及び光波長ルータを提供する。
【解決手段】石英系光導波路1により構成された光スイッチであり、その構成として、入力分岐部2Aは、1本の入力導波路5から入力された光波を4本の出力導波路の全てに等強度に分岐するものであり、出力合分岐部3Aは、4本の入力導波路のうち任意の1本に入力された光波を4本の出力導波路29〜32の全てに等強度に分岐するものであり、入力分岐部2Aと出力合分岐部3Aに挟まれた位相シフタ部4Aは、入力分岐部2Aの4本の出力導波路と出力合分岐部3Aの4本の入力導波路を1対1に接続する位相シフタ導波路11〜14のそれぞれに位相変調を行う薄膜ヒータ15〜18を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ通信において使用されるルーティングデバイスである光スイッチ及び光波長ル一タに関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信技術の急速な発達により、各種光部品が研究開発されているが、中でも平面基板上の光導波路を基本とした導波路型光部品が最も重要な位置を占めている。これは、導波路型光部品がフォトリソグラフィ技術及び微細加工技術により光波長以下の精度で再現性良く量産可能という特徴を有するからである。特に、石英系光導波路上に構成され、熱光学効果(Thermo−optic effect)を用いた光スイッチ(以下、TOSWと呼ぶ。)は、大規模の光スイッチを実現することが可能であることに加え、その経時変化に対する安定性、制御性の点において優れており、精力的に研究開発が進められている。
【0003】
図15は、TOSWを用いた従来のツリー型光スイッチの概略図である。
図15では、TOSWを用いた1×8ch(チャネル)の光スイッチとして説明し、説明を簡単にするため、動作に必要な部分のみの言及に留める。
【0004】
図15に示すように、従来の1×8ch光スイッチは、石英系光導波路101を用いて構成され、光波を入射する入力導波路102と、入力導波路102に接続され、マッハツェンダ干渉計により構成される第1段スイッチ103と、第1段スイッチ103の2つの出力に接続された接続導波路109、110と、接続導波路109、110にそれぞれ接続された2つの第2段スイッチ(第2段第1スイッチ111等)と、2つの第2段スイッチのそれぞれ2つの出力に接続された4つの接続導波路(接続導波路113、114等)と、4つの接続導波路にそれぞれ接続された4つの第3段スイッチ(第3段第2スイッチ115等)と、4つの第3段スイッチに接続された8つの出力導波路(出力導波路117、118等)とを有する。第1段スイッチ103は、2個の光方向性結合器104、105と、それらに挟まれた等長のアーム導波路106、107と、アーム導波路106の上部に配置された薄膜ヒータ108により構成される。他の第2段スイッチ、第3段スイッチも第1段スイッチ103と同等の構成である。
【0005】
次に従来の光スイッチの動作を説明する。ここでは、出力導波路117ヘスイッチングする場合について説明するが、他の出力導波路ヘスイッチングする場合においても、その動作原理は同様である。
【0006】
入力導波路102より入力された光波は、第1段スイッチ103の光方向性結合器104によりアーム導波路106及び107に等分配される。アーム導波路106上の薄膜ヒータ108に電力を印加しない場合、アーム導波路106及び107を伝搬した光波は光方向性結合器105において合波され接続導波路110へと分岐される。又、アーム導波路106上の薄膜ヒータ108に適切な電力を印加した場合、アーム導波路106と107との間の光波の位相差を、当該波長において半波長とすることで、接続導波路109へと分岐される。つまり、入力導波路102より入力された光波は、第1段スイッチ103により接続導波路109又は110にスイッチングされることとなる。
【0007】
接続導波路109を経由して第2段第1スイッチ111に入力された光波は、薄膜ヒータ112への電力の印加/無印加により、接続導波路114又は接続導波路113へとスイッチングされ、薄膜ヒータ112へ適切な電力を印加した場合、接続導波路114へとスイッチングされる。更に、接続導波路114を経由して第3段第2光スイッチ115に入射された光波は、薄膜ヒータ116への電力の印加/無印加により、接続導波路118又は接続導波路117へとスイッチングされ、薄膜ヒータ116に電力を印加しない場合は出力導波路117へと光路を設定することができ、出力導波路117への所望の出力を得ることができる。
【0008】
従って、図15に示した従来の光スイッチでは、入力導波路102から出力導波路117へのスイッチングが、薄膜ヒ一タ108、112に適切な電力を印加することで実現される。
【0009】
図15に示すようなツリー型のTOSWを用いた従来の光スイッチとして、石英系光導波路による1×128chの光スイッチが報告されている(非特許文献1参照)。この1×128ch光スイッチでは、1.5%の比屈折率差を有する石英系光導波路を用いており、薄膜ヒータの半波長電力は0.385W、平均クロストークは50.8dB、各出力導波路への平均損失は3.7dBと良好な特性が得られている。
【0010】
しかしながら、ツリー型のTOSWを用いた光スイッチでは、任意の出力導波路にスイッチングするために、例えば、出力チャネル数を2個とした場合、最低で0個から最大でM個の薄膜ヒータへの電力印加が必要である。具体的には、M=7(2=128)である上記1×128ch光スイッチでは、出力チャネルによってその消費電力が0Wから2.695Wまでばらつく。
【0011】
このように、石英系光導波路によるTOSWを用いた光スイッチは、優れた特性を有し、通信システムへの応用が期待されている半面、消費電力が出力チャネルによってばらつく上、スイッチング速度に関しても、以下の問題点が検討課題となっている。
【0012】
図16は、熱光学効果を用いたマッハツェンダ干渉計の過渡応答特性の測定結果を示す図である。
図16に示すように、熱光学効果を用いたマッハツェンダ干渉計では、スイッチングの過渡応答特性として、光強度が90%以上となる立ち上がりにおいて4ms、光強度が10%以上となる立下りにおいて5msのスイッチング時間を要している。つまり、従来の光スイッチは、熱光学効果を利用したマッハツェンダ干渉計を用いているために、その動作は数ms程度に制限されている。
【0013】
ところで、近年の波長分割多重(以下、WDMと呼ぶ。)通信ネットワークにおいては、波長によるパスの制御、すなわち光波長ルーティングが重要な技術となりつつある。メトロアクセス系のネットワークにおいては、光波長ル−ティングを適用することにより、柔軟性に富んだネットワークの構築が可能となるため、このような光波長ルータの実現が切望されている。
【0014】
図17は、波長多重信号(以下、WDM信号と呼ぶ。)をルーティングする従来の光波長ルータの概略図である。
ここでは、簡単のため、4波のWDM信号を5つの任意の空間的パスにルーティングする4波長の1×5ch光波長ルータを例に取り、その概要を説明する。
【0015】
図17に示すように、従来の光波長ルータは、光波を入射する入力導波路121と、入力導波路121に接続された1×4chの入力分波アレイ導波路格子122と、接続導波路群123を介して入力分波アレイ導波路格子122の4つの出力に各々接続された第1段1×2光スイッチ群124と、接続導波路群125を介して第1段1×2光スイッチ群124の各々の光スイッチの出力の一方側に接続された第5−4×1ch出力合波アレイ導波路格子135と、接続導波路群126を介して第1段1×2光スイッチ群124の各々の光スイッチの出力の他方側に接続された第2段1×2光スイッチ群127と、接続導波路128を介して第2段1×2光スイッチ群127の出力に接続された第3段光スイッチ群129とを有し、更に、接続導波路130を介して、対応する波長ごとに第3段1×2光スイッチ群129の出力に接続された第1−4×1ch出力合波アレイ導波路格子131、第2−4×1ch出力合波アレイ導波路格子132、第3−4×1ch出力合波アレイ導波路格子133、第4−4×1ch出力合波アレイ導波路格子134と、第1〜第5の4×1ch出力合波アレイ導波路格子131〜135の合波出力に各々接続される出力導波路136〜140とを有する。
【0016】
上記従来の光波長ルータでは、入力導波路121より入射されたWDM信号が、入力分波アレイ導波路格子122により波長分波された後、分波された光波が波長ごとにツリー型の1×2光スイッチ群124、127、129によりルーティングされ、第1〜第5の4×1ch出力合波アレイ導波路格子131〜135にて合波されて、任意の出力導波路136〜140から出力される。この光波長ルータは、波長ごとにツリー型のTOSWを有するため、波長ごとに任意の出力を設定することが可能である。
【0017】
図17に示すような光波長ルータとして、1×9chの光波長ルータが報告されている(非特許文献2参照)。この1×9ch光波長ルータでは、1×2光スイッチがTOSWによるマッハツェンダ干渉計により構成されており、TOSWの半波長電力が0.45Wであり、消費電力の最大値が14Wであることが報告されている。又、各出力導波路への伝搬損失は最大で5.4dB、クロストークは最悪値46dBであると報告されている。
【0018】
上記1×9chの光波長ルータでは、パスの設定状態により消費電力が0Wから14Wまで変化する。これは、光波長ルータを構成する光導波路基板の温度が変動することを意味しており、入力分波アレイ導波路格子122、第1〜第5−4×1ch出力合波アレイ導波路格子131〜135の合分波特性に、光導波路基板の温度変化が悪影響を与えてしまうこととなる。
【0019】
図18は、従来の光波長ルータにおいて、TOSWへの印加電力に相当する温度変化を基板に与えて、任意の出力合波アレイ導波路格子の中心波長における出力スペクトルの変化を測定した図である。
具体的には、図17に示した従来の光波長ルータにおいて、TOSWへの印加電力を0W、1.8W、3.6Wと変化させて、第1−1×4出力合波アレイ導波路格子131の中心波長における出力スペクトルの変化を測定した。図18に示すように、TOSWへの印加電力によって、第1−1×4出力合波アレイ導波路格子131の中心波長がシフトすることがわかり、その中心波長の変化は凡そ10GHz/Wである。すなわち、本来、光波長ルーティングをするために印加している電力が、アレイ導波路格子の波長分波特性にも影響を与えることがわかる。
【0020】
更に、上記構成の従来の光波長ルータでは、パスのルーティングにTOSWを用いているため、図16に示した特性と同様に、応答速度は数ms程度に制限されている。
【0021】
【非特許文献1】
T. Watanabe, et al, ”Silica−based PLC lx128 Thermo−Optic Switch,” Proc. 27th European Conference on Optical Communication, P134−135 Tu.L.1.2, 2001, Amsterdam.
【非特許文献2】
C. R. Doerr, ”Silica−Waveguide lx9 waveguide−Selective cross connect,” Proc. Optical Fiber Communication, Postdeadline Papers P2−4, FA3−1, 2002, Anaheim.
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明してきたように、石英系光導波路を用いた熱光学効果による1×Nch光スイッチは、選択する出力チャネルによって、その消費電力がばらつき、部品全体の温度制御を困難にしていた。すなわち、消費電力の変動により温度依存性のある他の構成要素、例えばアレイ型導波路格子などへ温度変動を与え、その特性劣化の要因となっていた。
【0023】
更に、石英系光導波路を用いた熱光学効果による光スイッチの応答特性は、数ms程度と熱光学効果の制限により律則されており、高速のアプリケーションへの適用を妨げていた。すなわち、TOSWは低速のルーティング、例えば伝送線路故障時の低速の伝送線路の確保などのアプリケーションに対しては、非常に優れた性能を発揮するが、μsオーダーの応答特性が必要とされるバーストスイッチングやnsオーダーの応答特性が要求されるパケットスイッチングには、応用が困難であった。
【0024】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、消費電力を一定にでき、温度変動を防止して、安定した動作特性を有する光スイッチ及び光波長ルータを提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光スイッチ及び光波長ルータの概要は以下のとおりである。
すなわち、上記課題を解決する本発明に係る光スイッチは、平面光波回路上に構成されたものであり、入力された光波の分岐を行う入力分岐部と、光波の合分岐を行う出力合分岐部と、入力分岐部と出力合分岐部に挟まれ、光波の位相を変調する位相シフタ部とからなり、入力分岐部は、少なくとも1本の入力部入力導波路と、N本の入力部出力導波路と、1本の入力部入力導波路から入力された光波を、N本の入力部出力導波路の全てに等強度に分岐するための入力部分岐手段とを有するものであり、出力合分岐部は、N本の出力部入力導波路と、N本の出力部出力導波路と、N本の出力部入力導波路のうち任意の1本に入力された光波を、N本の出力部出力導波路の全てに等強度に分岐するための出力部合分岐手段とを有するものであり、位相シフタ部は、N本の入力部出力導波路とN本の出力部入力導波路とを1対1に接続する位相シフタ導波路と、位相シフタ導波路のそれぞれに設けられた位相変調手段とを有するものであることを特徴とする。
なお、上記Nは1より大きい整数とする。
【0026】
又、上記課題を解決する本発明に係る光波長ルータは、平面光波回路上に構成されたものであり、入力された光波の分岐を行う入力分岐部と、光波の合分岐を行う出力合分岐部と、入力分岐部と出力合分岐部に挟まれ、光波の位相を変調する位相シフタ部とからなり、入力分岐部は、少なくとも1本の入力部入力導波路と、N本の入力部出力導波路と、1本の入力部入力導波路から入力された光波を、N本の入力部出力導波路の全てに等強度に分岐するための入力部分岐手段とを有するものであり、出力合分岐部は、N本の出力部入力導波路と、N本の出力部出力導波路と、N本の出力部入力導波路のうち任意の1本に入力された光波を、N本の出力部出力導波路の全てに等強度に分岐するための出力部合分岐手段とを有するものであり、位相シフタ部は、N本の入力部出力導波路に接続されたN本の入力接続導波路と、入力接続導波路に接続され、少なくとも(N−1)個の1入力M出力の波長分波器と、波長分波器に接続され、少なくとも(N−1)×M本の位相シフタ導波路と、位相シフタ導波路に接続され、少なくとも(N−1)個のM入力1出力の波長合波器と、波長合波器とN本の出力部入力導波路とを接続するN本の出力接続導波路と、位相シフタ導波路のそれぞれに設けられた位相変調手段とを有するものであることを特徴とする。
なお、上記N及びMは1より大きい整数とする。
【0027】
更に、上記光スイッチ又は光波長ルータにおいては、位相変調手段として、熱光学効果による位相変調器を用いてもよく、又、電気光学効果による位相変調器を用いてもよい。
【0028】
更に、上記光スイッチ又は光波長ルータにおいては、入力分岐部、出力合分岐部及び位相シフタ部が石英系光導波路により構成されてもよく、又、位相変調手段がニオブ酸リチウムにより構成され、その他の構成要素が石英系光導波路により構成されてもよい。
【0029】
加えて、入力部分岐手段が、50%結合光方向性結合器又は1×2分岐多モード干渉カプラが多段に接続されて構成されたものでもよく、又、出力部合分岐手段が、50%結合光方向性結合器又は2×2合分岐多モード干渉カプラが多段に接続されて構成されたものでもよい。
【0030】
又は、入力分岐部はそのすべて又はその一部を、結合率調整機能を有するマッハツェンダ干渉計を多段に接続することにより構成してもよく、もしくは、出力合分岐部はそのすべて又はその一部を、結合率調整機能を有するマッハツェンダ干渉計を多段に接続することにより構成してもよい。
【0031】
加えて、多段に構成された50%結合光方向性結合器もしくは1×2分岐多モード干渉カプラの最初段、又は多段に構成された50%結合光方向性結合器もしくは2×2合分岐多モード干渉カプラの最終段のうち、少なくとも一方がマッハツェンダ干渉計による可変光方向性結合器を用いて構成されてもよい。
【0032】
入力分岐部を構成する50%結合光方向性結合器、1×2分岐多モード干渉カプラ又は結合率調整機能を有するマッハツェンダ干渉計のいずれかと、出力合分岐部を構成する50%結合光方向性結合器、2×2分岐多モード干渉カプラ又は結合率調整機能を有するマッハツェンダ干渉計のいずれかを2つの合分岐器とする任意のマッハツェンダ干渉計が、その光路長差がゼロになるように設定されたものでもよい。
【0033】
入力部分岐手段は1×N分岐多モード干渉光カプラにより構成されたものでもよく、又、出力部合分岐手段はN×N分岐多モード干渉光カプラにより構成されたものでもよい。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明に係る光スイッチ及び光波長ルータの実施形態のいくつかを、以下に示す実施例の図面を用いて詳細に説明する。なお、実施例を示す全図において、同一の機能を有するものは同一符号をつけ、その繰り返しの説明は省略する。
【0035】
(実施例1)
図1は、本発明に係る実施形態の一例を示す光スイッチの概略図であり、1×4ch(チャネル)の光スイッチを例に取り、その構成、動作及び特性の詳細を説明する。
【0036】
本実施例の1×4ch光スイッチは、石英系光導波路1等の平面光波回路を用いて構成され、その光導波路の非屈折率差が0.75%のものを用いている。
【0037】
図1に示すように、本実施例の1×4ch光スイッチは、入力分岐部2A、出力合分岐部3A及び位相シフタ部4Aから構成される。
入力分岐部2Aは、光波を入力する入力部入力導波路となる入力導波路5と、入力導波路5に接続され、1×2光分岐器である第1段光方向性結合器6と、第1段光方向性結合器6に接続された接続導波路7、8と、第1段光方向性結合器6に接続導波路7、8を介して接続された第2段光方向性結合器9、10とを有している。入力分岐部2Aでは、入力導波路5から入力された光波は、入力部分岐手段となる第2段光方向性結合器9、10により4個の入力部出力導波路に等分配(等強度に分割)される。
【0038】
位相シフタ部4Aは、4本の位相シフタ導波路11、12、13、14と、それらの上部に配置された薄膜ヒ一タ15、16、17、18とを有している。入力分岐部2からの4個の出力は、それぞれ位相シフタ導波路11、12、13、14に接続される。ここでは、位相変調手段として、薄膜ヒータ15〜18を用いることで、熱光学効果による位相変調器を構成している。
【0039】
出力合分岐部3Aは4個の出力部入力導波路を有し、それらは位相シフタ部4Aの位相シフタ導波路11、12、13、14に接続される。ここでは、位相シフタ導波路11及び12は、第3段光方向性結合器19の2つの入力に接続され、位相シフタ導波路13及び14は、第3段光方向性結合器20の2つの入力に接続される。第3段光方向性結合器19の一方の出力と第3段光方向性結合器20の一方の出力は、接続導波路21及び23を介して第4段光方向性結合器27の2つの入力に接続される。又、第3段光方向性結合器19の他方の出力と第3段光方向性結合器20の他方の出力は、接続導波路22及び24を介して第4段光方向性結合器28の2つの入力に接続される。最後に、第4段光方向性結合器27及び28は、出力部出力導波路となる出力導波路29、30、31、32に接続される。上記構成の出力合分岐部3Aでは、任意の1本の出力部入力導波路に入力された光波は、出力部合分岐手段を構成する第3段光方向性結合器19、20と、接続導波路22〜24と、交差導波路25、26と、第4段光方向性結合器27、28とにより、4個の出力導波路29〜32へ等分配(等強度に分割)される。
【0040】
ここで、接続導波路21、22、23、24はすべて等長になるように設定されるとともに、接続導波路22及び23の交差角θと同じ角度θで交差するように、交差導波路25及び26が接続導波路21及び24に対して配置される。本実施例では、交差角θを30度とした。交差導波路25及び26をこのような角度θに配置することで、各パスでの損失のばらつきを低減でき、消光比の改善を図ることができる。
【0041】
本実施例の光スイッチでは、第2段光方向性結合器9と第3段光方向性結合器19、更に第2段光方向性結合器10と第3段光方向性結合器20を結ぶパスはすべて等長に設定される。又、第1段光方向性結合器6と第4段光方向性結合器27及び28を結ぶ任意のパスはすべて等長に設定される。つまり、本実施例の光スイッチでは、入力分岐部2Aを構成するいずれかの光方向性結合器と出力合分岐部3Aを構成するいずれかの光方向性結合器とを2つの合分岐器として、任意のマッハツェンダ干渉計を構成した場合、その光路長差がゼロになるように設定されている。
【0042】
なお、本実施例の光スイッチでは、伝搬損失が低く、作製が容易な石英系光導波路を用いているが、その他の光導波路、例えば、InP化合物による導波路やSiONによる光導波路を用いても、同様の効果を得ることが可能である。又、本実施例では、1×2光分岐器、2×2光合分岐器として3dB(50%)結合光方向性結合器を用いているが、1×2分岐多モード干渉カプラ、2×2合分岐多モード干渉カプラ等を多段に接続して構成した光分岐器、光合分岐器を用いても同様の効果を得ることができる。又、合分岐数を2より大きい整数Nとした1×N分岐多モード干渉カプラ、N×N合分岐多モード干渉カプラ等を用いてもよい。
【0043】
次に、本実施例の光スイッチの動作を以下に説明する。
入力導波路5より入力された光波は、入力分岐部2Aにより等パワーに分配され、位相シフタ導波路11、12、13、14に伝搬する。薄膜ヒータ15、16、17、18に適切な電力を印加し、第3段光方向性結合器19、20における各光波の位相状態を調節することで、第3段光方向性結合器19からの出射を接続導波路21又は22のいずれか、第3段光方向性結合器20からの出射を接続導波路23又は24のいずれかに設定できる。
【0044】
更に、薄膜ヒータ15、16が与える位相差、薄膜ヒータ17、18が与える位相差を保ったまま、薄膜ヒータ15、16と薄膜ヒータ17、18が与える位相差を適切に設定することで、第4段光方向性結合器27、28からの出力を出力導波路29、30、31、32のいずれかに設定することが可能である。
【0045】
図2は、各出力導波路に出力する際に、各薄膜ヒータにおいて光波に与える位相の関係を示す図である。
図2に示すように、例えば、入力導波路5へ入射された光波を出力導波路30へスイッチングする際には、薄膜ヒータ15、16、17、18に、それぞれπ/2、π/2、π、0となる位相シフトに相当する電力を印加すればよい。更に、薄膜ヒータの印加電力とそれによる光波の位相シフト量は比例関係にあるので、各薄膜ヒータによる位相シフト量の総和、すなわち各薄膜ヒータへの印加電力の総和は、どの出力導波路を選んだ場合でも等電力となることがわかる。
【0046】
図3は、本実施例の1×4ch光スイッチの静特性を示すものであり、図3(a)は、各出力導波路での伝搬損失のグラフであり、又、図3(b)は出力を出力導波路30に設定した場合の他の出力導波路との消光比を示したグラフである。
この測定では、波長1550nmの単色光について測定を行い、損失としては、出力導波路30に対して最大で2.5dB、最小で出力導波路29に対して2.1dB、平均で2.3dBと良好な特性が得られた。又、消光比としては、最悪値で出力導波路29に対して33.4dB、最良値で出力導波路31に対して35.2dB、平均で34.4dBと良好な特性が得られた。
【0047】
以上のように、本実施例の光スイッチによれば、一定の消費電力でスイッチングすることで温度が安定して、スイッチングの動作特性が安定する光スイッチを実現することができる。
【0048】
(実施例2)
図4は、本発明に係る実施形態の他の一例を示す光スイッチの概略図であり、実施例1と同様に1×4chの光スイッチを例に取り、その構成、動作及び特性の詳細を説明する。
【0049】
又、本実施例では、光スイッチを構成する入力分岐部及び出力合分岐部を、実施例1と同様に石英系光導波路を用いて構成し、光スイッチを構成する位相シフタ部を、z−cut進行波型チタン拡散ニオブ酸リチウムによる電気光学効果位相シフタを有する光導波路を用いて構成した。
【0050】
図4に示すように、本実施例の1×4ch光スイッチは、石英系光導波路1による入力分岐部2A、出力合分岐部3Aと、ニオブ酸リチウム導波路による位相シフタ部4Bの平面光波回路から構成される。
入力分岐部2A及び出力合分岐部3Aの構成は実施例1と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0051】
入力分岐部2Aと位相シフタ部4Bは、接合面33において、入力分岐部2Aの第2段光方向性結合器9、10からの4個の接続導波路51、52、53、54と、位相シフタ部4Bに配置された位相シフタ導波路40、41、42、43とが、それぞれ一致するように接合されている。又、出力合分岐部3Aと位相シフタ部4Bも、接合面34において、位相シフタ部4Bに配置された位相シフタ導波路40、41、42、43と、出力合分岐部3Aの第3段光方向性結合器19、20への4つの接続導波路55、56、57、58とが、それぞれ一致するように接合されている。
【0052】
位相シフタ部4Bにおいては、位相シフタ導波路40、41、42、43に対して、適切な電界が印加できるように、電極44a及び44b、45a及び45b、46a及び46b、47a及び47bがそれぞれ設けられている。ここでは、位相変調手段として、電極44a及び44b、45a及び45b、46a及び46b、47a及び47bを用いることで、電気光学効果による位相変調器を構成している。各電極による位相シフト量は、実施例1における図2の設定と同様である。例えば、出力導波路29ヘスイッチングする場合は、電極44aと44bの間にπ/2、電極45aと45bの間にπ/2、電極46aと46bの間に0、電極47aと47bの間にπに相当する電界を印加すればよい。
【0053】
なお、本実施例でも、入力分岐部及び出力合分岐部を作製が容易で伝搬損失の低いとの観点から石英系光導波路としたが、InP化合物やSiON光導波路を用いても同様の効果を得ることは可能である。又、位相シフタ部をニオブ酸リチウムによる光導波路としたが、その他の高速応答特性を有する位相シフタが実現可能な光導波路、例えば、電気光学効果を有するKTP(Potassium Titanyl Phosphate)導波路に置き換えても同様の効果を得ることは可能である。更に、実施例1と同じく本実施例では、1×2光分岐器、2×2光合分岐器として3dB(50%)結合光方向性結合器を用いているが、1×2分岐多モード干渉カプラ、2×2合分岐多モード干渉カプラ等を多段に接続して構成した光分岐器、光合分岐器を用いても同様の効果を得ることができる。又、合分岐数を2より大きい整数Nとした1×N分岐多モード干渉カプラ、N×N合分岐多モード干渉カプラ等を用いてもよい。
【0054】
図5は、本実施例における光スイッチの過渡応答特性の測定結果を示す図である。
具体的には、本実施例の1×4ch光スイッチにおいて、入力導波路5からの光波を出力導波路29と出力導波路30との間でスイッチングした場合の過渡応答特性を測定した。図5から明らかなように、90%までの立ち上がり、10%までの立ち下がりのどちらの出力に対しても、1nsの高速な過渡特性が得られ、非常に高速なスイッチングを実現することができた。
【0055】
図6は、本実施例の1×4ch光スイッチの静特性を示すものであり、図6(a)は各出力導波路での伝搬損失のグラフであり、(b)は出力を出力導波路30に設定した場合の他の出力導波路との消光比を示したグラフである。
この測定でも、波長1550nmの単色光について測定を行い、損失としては、最悪値で4.2dB、最良値で3.7dB、平均値で3.9dBであり、消光比としては、最悪値で27dB、最良値で32.5dB、平均値で29.3dBであり、良好な特性が得られた。
【0056】
以上のように、本実施例によれば、一定の消費電力でスイッチングすることで温度が安定して、スイッチングの動作特性が安定するとともに、高速なスイッチング動作を行う光スイッチが実現された。このことにより、本実施例の光スイッチはバーストスイッチやパケットスイッチへの適用が可能となる。
【0057】
(実施例3)
図7は、本発明に係る実施形態の一例を示す光波長ルータの概略図であり、1×4ch−6波の光波長ルータを例に取り、その構成、動作及び特性の詳細を説明する。
【0058】
本実施例の光波長ルータは、石英系光導波路1等の平面光波回路上に構成され、実施例1の位相シフタ部をアレイ導波路格子による波長合分波器と位相シフタアレイで置き換えることで、1×4ch−6波光波長ルータを構成したものである。
【0059】
図7に示すように、本実施例の光波長ルータは、入力部として、光波を入射する入力導波路61と、入力導波路61に接続された入力分岐部62と、入力分岐部62の4個の出力に接続された4つの接続導波路63、64、65、66とを有し、出力部として、4本の出力導波路81、82、83、84と、出力導波路81、82、83、84を接続する出力合分岐部80と、出力合分岐部80の4個の入力に接続された接続導波路76、77、78、79とを有する。なお、本実施例の光波長ルータの入力分岐部62及び出力合分岐部80は、実施例1における入力分岐部2A及び出力合分岐部3Aと同等の構成であり、詳細な説明は省略する。
【0060】
更に、位相シフタ部4Cは、入力分岐部62との接続においては、入力接続導波路となる接続導波路63、64、65、66を介して入力分岐部62に接続し、出力合分岐部80との接続においては、出力接続導波路となる接続導波路76、77、78、79を介して出力分岐部80に接続した。位相シフタ部4C内部では、接続導波路63、64、65、66には、波長分波器となる1×6波長分波アレイ導波路格子67、68、69、70をそれぞれ接続し、接続導波路76、77、78、79には、波長合波器となる6×1波長合波アレイ導波路格子72、73、74、75をそれぞれ接続した。位相シフタ部4Cに必要な1×M波長分波アレイ導波路格子及びM×1波長合波アレイ導波路格子の数は、N本の出力導波路に出力する場合は、少なくとも(N−1)個あればよいが、本実施例では、理解を容易にするために、4本の出力導波路に対して、4個の1×6波長分波アレイ導波路格子67〜70及び4個の6×1波長合波アレイ導波路格子72〜75を設けた。ここで、Mは合分波するWDM信号の数である。
【0061】
上記1×6波長分波アレイ導波路格子67、68、69、70及び6×1波長合波アレイ導波路格子72、73、74、75の各々は、光信号を回折する入力側スラブ導波路及び出力側スラブ導波路と、入力側スラブ導波路と出力側スラブ導波路との間を接続し、互いに長さの異なる複数のアレイ導波路とから構成されるものであり、すべて同一の合分波特性を有し、WDM信号を光周波数f1、f2、f3、f4、f5、f6に分波もしくは光周波数f1、f2、f3、f4、f5、f6の光波をWDM信号に合波するものである。
【0062】
更に、1×6波長分波アレイ導波路格子67の分波(出力)側ポートと6×1波長合波アレイ導波路格子72の分波(入力)側ポート、1×6波長分波アレイ導波路格子68の分波側ポートと6×1波長合波アレイ導波路格子73の分波側ポート、1×6波長分波アレイ導波路格子69の分波側ポートと6×1波長合波アレイ導波路格子74の分波側ポート、1×6波長分波アレイ導波路格子70の分波側ポートと6×1波長合波アレイ導波路格子75の分波側ポートが、複数の位相シフタアレイ71を介して、各々対応する波長ごとに接続されている。位相シフタアレイ71は、実施例1の位相シフタ部4Aと同様に、位相シフタ導波路とその上部に配置された薄膜ヒータからなるものを複数配設したものであり、位相変調手段として、薄膜ヒータを用いて熱光学効果による位相変調器を構成している。位相シフタ部4Cに必要な位相シフタアレイ71の位相シフタ導波路の数は、1×M波長分波アレイ導波路格子及びM×1波長合波アレイ導波路格子を用いて、N本の出力導波路に出力する場合、少なくとも(N−1)×M個あればよい。本実施例では、4本の出力導波路に対して、24個の位相シフタ導波路を設けた。ここでも、Mは合分波するWDM信号の数である。
【0063】
上記構成の位相シフタ部4Cでは、例えば、接続導波路63から1×6波長分波アレイ導波路格子67に入力された光波は、1×6波長分波アレイ導波路格子67分波側ポートで波長ごとに分波され、各々異なる位相シフトを経験し、更に6×1波長合波アレイ導波路格子72により合波されて接続導波路76へと伝搬する。同様に、接続導波路64と接続導波路77の間、接続導波路65と接続導波路78の間、接続導波路66と接続導波路79の間でも、波長ごとに異なる位相シフト量を位相シフタアレイ71により与えることが可能である。したがって、実施例1と同様の制御により波長ごとに出力する出力導波路を独立に設定することができる。
【0064】
なお、本実施例でも、石英系光導波路により構成した光波長ルータについて説明しているが、本発明に係る光波長ルータは光導波路の材料には依存せず、InP化合物光導波路やSiON光導波路などの光導波路を用いても同様の効果を得ることが可能である。又、本実施例では波長合分波器としてアレイ導波路格子を用いているが、ラティスフィルタやトランスバーサルフィルタにより構成された波長合分波器を用いても同様の効果を得ることができる。
【0065】
図8は、本実施例において、各周波数の光波が出力される出力導波路とその際の各接続導波路間の位相シフタ量の設定例を示す図である。
本実施例では、1×6波長分波アレイ導波路格子、6×1波長合波アレイ導波路格子の6波の分波周波数をf1=192.9THz、f2=193.0THz、f3=193.1THz、f4=193.2THz、f5=193.3THz、f6=193.4THz、自由スペクトルレンジを1600GHzと設定した。図8に示すように、各接続導波路間の位相シフタ量の設定に応じて、各分波周波数が所定の出力導波路に出力されることとなる。例えば、分波周波数f1=192.9THzに対しては、接続導波路63−76間の位相シフタ量をπ/2、接続導波路64−77間の位相シフタ量をπ/2、接続導波路65−78間の位相シフタ量を0、接続導波路66−79間の位相シフタ量をπと設定する場合、出力導波路81に光波が出力される。
【0066】
図9は、図8の位相シフタ量の設定のときの各出力導波路でのスペクトルを測定した結果である。
図9(a)、(b)、(c)、(d)のグラフからわかるように、出力導波路81には周波数f1とf5が(図9(a)参照)、出力導波路82には周波数f2が(図9(b)参照)、出力導波路83には周波数f3とf6が(図9(c)参照)、出力導波路84には周波数f4が(図9(d)参照)出力されており、各周波数ともクロストークは30dB程度、伝搬損失は平均で6.1dBが得られ、良好な特性を示した。
【0067】
又、図8に示した位相シフタ量の設定例からわかるように、本発明に係る光波長ルータにおいても、波長ごとにパスを切り替えた場合、各薄膜ヒータへ印加する電力の総和に差は生じず、1×6波長分波アレイ導波路格子67、68、69、70及び6×1波長分波アレイ導波路格子72、73、74、75に与える温度変動による影響、すなわち合分波波長の温度変化などを引き起こすことがない。本実施例においては、消費電力は定常的に12Wであった。
【0068】
更に、上述してきたように、本発明に係る光波長ルータは、空間的な出力チャネル数と波長チャネル数を独立に設定することができ、柔軟性に富んだ光波長ルータとすることができる。
【0069】
(実施例4)
図10は、本発明に係る実施形態の他の一例を示す光波長ルータの概略図であり、1×4ch−6波の光波長ルータを例に取り、その構成、動作及び特性の詳細を説明する。
【0070】
本実施例の光波長ルータは、入力分岐部62及び1×6波長分波アレイ導波路格子群86を有する光分波部92と、出力合分岐部80及び6×1波長合波アレイ導波路格子群87を有する光合分波部93とが石英系光導波路により構成され、更に、位相シフタアレイ部94がz−Cut進行波型チタン拡散ニオブ酸リチウムによる光導波路で構成された平面光波回路である。つまり、実施例3に示した光波長ルータにおいて、薄膜ヒータを用いて構成した熱光学効果の位相シフタを、ニオブ酸リチウム光導波路による電気光学効果の位相シフタに置き換えたものに相当する。
【0071】
具体的には、図10に示すように、本実施例の光波長ルータにおいて、光分波部92は、光波を入射する入力導波路61と、入力導波路61に接続された入力分岐部62と、入力分岐部62の出力に接続された接続導波路群85と、接続導波路群85に接続された1×6波長分波アレイ導波路格子群86とからなる。入力分岐部62は、実施例1の入力分岐部2Aと同様の構成を有し、1×6波長分波アレイ導波路格子群86は、実施例3に示した1×6波長分波アレイ導波路格子67、68、69、70と同一設計のアレイ導波路格子4個からなる。
【0072】
又、光合分波部93は、出力導波路81、82、83、84と、出力導波路81、82、83、84に接続された出力合分岐部80と、出力合分岐部80の入力に接続された接続導波路群88と、接続導波路群88に接続された6×1波長合波アレイ導波路格子群87とからなる。出力合分岐部80は、実施例1の出力合分岐部3Aと同様の構成を有し、6×1波長合波アレイ導波路格子群87は、実施例3に示した6×1波長合波アレイ導波路格子72、73、74、75と同一設計のアレイ導波路格子4個からなる。
【0073】
位相シフタアレイ部94では、光分波部92との接続において、光分波部92からの光導波路と位相シフタアレイ部94の位相シフタアレイ群89の光導波路が、接合面90で各々一致するように接続した。同様に、光合分波部93との接続において、光合分波部93からの光導波路と位相シフタアレイ部94の位相シフタアレイ群89の光導波路が、接合面91で一致するように接続した。
【0074】
更に、1×6波長分波アレイ導波路格子群86の各々の分波(出力)側ポートと6×1波長合波アレイ導波路格子群87の各々の分波(入力)側ポートが、位相シフタアレイ群89を介して、各々対応する波長ごとに接続されている。位相シフタアレイ群89は、実施例2の位相シフタ部4Bと同様に、ニオブ酸リチウムによる位相シフタ導波路と、その位相シフタ導波路対して設けられた2つの電極とを、複数配設して構成したものであり、位相変調手段として、これらの電極を用いて電気光学効果による位相変調器を構成している。
【0075】
なお、本実施例でも、光分波部及び光合分波部を作製が容易で伝搬損失の低いとの観点から石英系光導波路を用いたが、InP化合物やSiON光導波路を用いても同様の効果を得ることは可能である。又、位相シフタアレイをニオブ酸リチウムによる光導波路としたが、その他の高速応答特性を有する位相シフタが実現可能な光導波路、例えば、電気光学効果を有するKTP導波路に置き換えても同様の効果を得ることは可能である。又、本実施例では波長合分波器としてアレイ導波路格子を用いているが、ラティスフィルタやトランスバーサルフィルタにより構成された波長合分波器を用いても同様の効果を得ることができる。
【0076】
図11は、本実施例の光波長ルータの出力導波路での光周波数の切り替え前後の出力スペクトルの測定結果である。
図11(a)、(b)に示すように、初期状態(切り替え前)においては、光周波数f3=193.1THz及び光周波数f6=193.4THzの光波は出力導波路83に、光周波数f4=193.2THzの光波は出力導波路84に出力されている。この状態から、光周波数f6の光波を出力導波路84に切り替えた場合、図11(c)、(d)に示すように、光周波数f3=193.1THzの光波のみが出力導波路83に、光周波数f4=193.2THzに加えて光周波数f6=193.4THzの光波が出力導波路84に出力されており、所定の出力導波路に所定の光周波数がルーティングされたことがわかる。又、この時、各チャネルとも消光比32dB、損失8dBと良好な特性が得られた。
【0077】
図12は、光周波数f6の光波の出力を出力導波路83から出力導波路84へ切り替えた際の過渡応答特性の測定結果である。
図12からわかるように、各出力導波路での出力の立ち上がり、立下りともに応答時間は1nsと高速であり、高速な光波長ルーティングが実現されていることがわかる。
【0078】
(実施例5)
図13は、本発明に係る実施形態の更なる他の一例を示す光スイッチの概略図であり、1×4ch(チャネル)の光スイッチを例に取り、その構成、動作及び特性の詳細を説明する。
【0079】
図13に示すように、本実施例の1×4ch光スイッチも、石英系光導波路1等の平面光波回路を用いて構成されたものであり、入力分岐部2B、出力合分岐部3B及び位相シフタ部4Aから構成される。
入力分岐部2Bは、光波を入力する入力部入力導波路となる入力導波路5と、入力導波路5に接続され、光方向性結合器95、96とそれらに挟まれた位相シフタ97、98からなるマッハツェンダ干渉計による可変方向性結合器99と、可変方向性結合器99に接続された接続導波路7、8と、接続導波路7、8に接続された第2段光方向性結合器9、10と、第2段光方向性結合器9、10のそれぞれ2つの出力に接続された4つの入力部出力導波路とを有している。入力分岐部2Bでは、入力導波路5から入射された光波は、まず可変方向性結合器99により接続導波路7、8へ分岐され、更に、接続導波路7からの光波は、位相シフタ部4Aの位相シフタ導波路11、12へ、接続導波路8からの光波は、位相シフタ導波路13、14へと分岐される。ここでは、入力部分岐手段として、第2段光方向性結合器9、10の前段側に、結合率調整手段を有するマッハツェンダ干渉計による可変方向性結合器99を組み込むことで、適切な結合率(分岐率)を設定して各出力導波路に適切に出力できるようにしている(詳細は図14参照)。
【0080】
位相シフタ部4Aは、実施例1おいて示したものと同等の構成であり、4本の位相シフタ導波路11〜14と、それらの上部に配置された薄膜ヒ一タ15〜18とを有している。入力分岐部2Bからの4個の出力は、それぞれ位相シフタ導波路11〜14に接続され、薄膜ヒ一タ15〜18を用いて、各位相シフタ導波路を伝搬する光波の位相をそれぞれ独立に制御できる。
【0081】
出力合分岐部3Bは4個の出力部入力導波路を持ち、それらは位相シフタ部4Aの位相シフタ導波路11〜14に接続される。位相シフタ導波路11、12は、第3段光方向性結合器19の2つの入力に接続され、位相シフタ導波路13、14は、第3段光方向性結合器20の2つの入力に接続される。第3段光方向性結合器19の一方の出力と第3段光方向性結合器20の一方の出力は、接続導波路21、23を介して第4段光方向性結合器27の2つの入力に接続される。又、第3段光方向性結合器19の他方の出力と第3段光方向性結合器20の他方の出力は、接続導波路22、24を介して第4段光方向性結合器28の2つの入力に接続される。最後に、第4段光方向性結合器27、28は、出力部出力導波路となる出力導波路29、30、31、32に接続される。ここでは、出力部合分岐手段は、第3段光方向性結合器19、20と、接続導波路22〜24と、第4段光方向性結合器27、28とにより構成される。
【0082】
出力合分岐部3Bでは、位相シフタ導波路11、12からの光波が第3段光方向性結合器19により合波され、接続導波路21、22のいずれかへと、位相シフタ導波路13、14からの光波が第3段光方向性結合器20により合波され、接続導波路23、24のいずれかへと伝搬する。したがって、第3段方向性結合器19からの光波を接続導波路21へ、第3段方向性結合器20からの光波を接続導波路23へ伝搬させた場合には、光波は第4段方向性結合器27へと伝搬し、出力導波路29又は30のいずれかに出射される。又、第3段方向性結合器19からの光波を接続導波路22へ、第3段方向性結合器20からの光波を接続導波路24へ伝搬させた場合には、光波は第4段方向性結合器28へと伝搬し、出力導波路31又は32のいずれかに出射される。
【0083】
実施例1、2等において示した本発明係る光スイッチでは、各光方向性結合器の分岐比が1:1からずれた場合、消光比の劣化につながる。そこで、その対策として、本実施例では初段の分岐器を、可変の分岐器、すなわちマッハツェンダ干渉計による可変方向性結合器99とした。このような構成の光スイッチの動作特性を、図14を用いて説明する。
【0084】
図14は、本実施例の光スイッチにおいて、各光方向性結合器の分岐比が1:1でない場合、可変光方向性結合器の分岐比とその時の各出力導波路での出力パワーを計算した結果である。
ここでは、図13に示す光スイッチにおいて、各光方向性結合器9、10、19、20、27、28、95、96の分岐比を、故意に1:1からの誤差を与えることで、作製時に生じうる予測出来ないプロセス誤差などによる特性劣化を模擬する。具体的には、分岐比を55:45とし、パスを出力導波路30に設定して、可変光方向性結合器99の分岐比に対する各出力導波路29、30、31、32の出力パワーを計算した。
【0085】
図14からわかるように、すべての光方向性結合器9、10、19、20、27、28、95、96及び可変光方向性結合器99が等しく55:45の分岐比を持つ場合、出力導波路31、32へは−25dB程度のクロストークが確保できるのに対して、出力導波路29へは−21dBのクロストークが確保できるのみである。これは、実施例1に示した可変光方向性結合器を装備しない光スイッチにおいて、光方向性結合器に製造偏差が生じたことに相当する。
【0086】
一方、初段の光方向性結合器を可変光方向性結合器99とし、その結合比を41%から51%に設定する場合は、出力導波路31、32へのクロストークはほぼ−25dBで変化しないのに対して、出力導波路29へのクロストークは−25dB以下に低減できる。これは、図13に示す光スイッチおいて、可変光方向性結合器99及び光方向性結合器27により構成される最外郭のマッハツェンダ干渉計において、光方向性結合器27へと到る接続導波路21、23を伝搬する光波の強度を、光方向性結合器27の結合比につりあうように、可変光方向性結合器99の分岐比を設定することにより実現できるからである。従って、多段に構成された入力分岐部2Bの最初段又は多段に構成された出力合分岐部3Bの最終段のうち、少なくとも一方がマッハツェンダ干渉計による可変光方向性結合器を用いて構成されればよく、更には、入力分岐部が、結合率調整機能を有するマッハツェンダ干渉計を多段に接続することにより構成されてもよく、出力合分岐部が、結合率調整機能を有するマッハツェンダ干渉計を多段に接続することにより構成されてもよい。特に、本実施例のように、入力部分岐手段の初段のみを可変光方向性結合器にする場合は、調整箇所数を低減でき、効率的にクロストーク性能を向上できる。
【0087】
本実施例の光スイッチでは、実施例1の光スイッチに比較して位相シフタ数及び給電量が増加するが、可変光方向性結合器を構成する位相シフタ97、98に印加する電力は、上記状況である場合には光方向性結合器27の製造偏差に相当する程度の微小な電力である。したがって、本発明の効果の一つである一定消費電力の特徴を大きく損なうものではなく、むしろ、たったひとつの可変光方向性結合器の付与で、光スイッチの主要性能であるクロストークを改善することができ、デバイスの歩留まり向上に寄与するものである。
【0088】
【発明の効果】
本発明の効果の概略を説明すると次のとおりである。
すなわち、本発明によれば、熱光学効果を利用した1×Nch光スイッチの消費電力を、その出力パスの設定状態にかかわらず一定に保つことができる。そのため、他の光回路構成要素、例えばアレイ型導波路格子などと光スイッチを組み合わせて実現される光波長ルーティングデバイスなどにおいて、他の光回路構成要素がたとえ温度依存性の光学特性を有する場合であっても、その特性に影響を及ぼすことなく、いずれの出力導波路へのスイッチング動作であっても正確に動作させることができる。
【0089】
加えて、本発明によれば、熱光学効果による位相シフタを高速の位相シフタ、例えば電気光学効果を利用可能なニオブ酸リチウムなどの光導波路による位相シフタに置き換えることで、高速の光スイッチングが可能となる。これは、本発明による光スイッチにおいては、ツリー型光スイッチやタップ型光スイッチと異なり、位相シフタが一列に並ぶ構成となる特徴による。
【0090】
更に、本発明によれば、光スイッチの位相シフタ部を、スイッチチャネル数の波長分波器、(スイッチチャネル数×波長数)個の位相シフタ及びスイッチチャネル数の波長合波器に置き換えることで、任意の波長パス設定において消費電力に変動のない、すなわち、波長合分波器の特性に変動のない光波長ルータを実現できる。
【0091】
更に、本発明によれば、光スイッチの位相シフタ部を、スイッチチャネル数の波長分波器、(スイッチチャネル数×波長数)個の高速な位相シフタ及びスイッチチャネル数の波長合波器に置き換えることで、高速の光波長ルーティングが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例1の光スイッチの概略図である。
【図2】実施例1の光スイッチの各出力導波路に出力する際に、各薄膜ヒータにおいて光波に与える位相の関係を示す図である。
【図3】(a)は実施例1の光スイッチの各出力導波路での伝搬損失のグラフであり、
(b)は出力を出力導波路30に設定した場合の他の出力導波路との消光比を示したグラフである。
【図4】本発明に係る実施例2の光スイッチの概略図である。
【図5】実施例2の光スイッチの過渡応答特性の測定結果を示すグラフである。
【図6】(a)は実施例2の光スイッチの各出力導波路での伝搬損失のグラフであり、
(b)は出力を出力導波路30に設定した場合の他の出力導波路との消光比を示したグラフである。
【図7】本発明に係る実施例3の光波長ルータの概略図である。
【図8】実施例3の光波長ルータにおいて、各周波数の光波が出力される出力導波路とその際の各接続導波路間の位相シフタ量の設定例を示す図である。
【図9】実施例3の光波長ルータにおいて、図8の位相シフタ量の設定のときの各出力導波路でのスペクトルを測定したグラフである。
【図10】本発明に係る実施例4の光波長ルータの概略図である。
【図11】実施例4の光波長ルータの出力導波路での光周波数の切り替え前後の出力スペクトルを測定したグラフである。
【図12】実施例4の光波長ルータにおいて、所定の光周波数の光波の出力を異なる出力導波路への切り替えた際の過渡応答特性を測定したグラフである。
【図13】本発明に係る実施例5の光スイッチの概略図である。
【図14】実施例5の光スイッチにおいて、各光方向性結合器の分岐比が1:1でない場合、可変光方向性結合器の分岐比とその時の各出力導波路での出力パワーの計算結果を示す図である。
【図15】TOSWを用いた従来の1×8chツリー型光スイッチの概略図である。
【図16】熱光学効果を用いたマッハツェンダ干渉計の過渡応答特性の測定結果を示すグラフである。
【図17】波長多重信号をルーティングする従来の光波長ルータの概略図である。
【図18】従来の光波長ルータにおいて、TOSWへの印加電力に相当する温度変化を基板に与えて、出力合波アレイ導波路格子の中心波長における出力スペクトルの変化を測定したグラフである。
【符号の説明】
1 石英系光導波路
2A 入力分岐部
3A 出力合分岐部
4A 位相シフタ部
5 入力導波路
6 第1段光方向性結合器
7、8 接続導波路
9、10 第2段光方向性結合器
11〜14 位相シフタ導波路
15〜18 薄膜ヒータ
19、20 第3段光方向性結合器
21〜24 接続導波路
25、26 交差導波路
27、28 第4段光方向性結合器
29〜32 出力導波路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面光波回路上に構成された光スイッチにおいて、
入力された光波の分岐を行う入力分岐部と、前記光波の合分岐を行う出力合分岐部と、前記入力分岐部と前記出力合分岐部に挟まれ、前記光波の位相を変調する位相シフタ部とからなり、
前記入力分岐部は、少なくとも1本の入力部入力導波路と、N本の入力部出力導波路と、1本の前記入力部入力導波路から入力された光波を、N本の前記入力部出力導波路の全てに等強度に分岐するための入力部分岐手段とを有するものであり、
前記出力合分岐部は、N本の出力部入力導波路と、N本の出力部出力導波路と、N本の前記出力部入力導波路のうち任意の1本に入力された光波を、N本の前記出力部出力導波路の全てに等強度に分岐するための出力部合分岐手段とを有するものであり、
前記位相シフタ部は、N本の前記入力部出力導波路とN本の前記出力部入力導波路とを1対1に接続する位相シフタ導波路と、前記位相シフタ導波路のそれぞれに設けられた位相変調手段とを有するものであることを特徴とする光スイッチ。
【請求項2】
平面光波回路上に構成された光波長ルータにおいて、
入力された光波の分岐を行う入力分岐部と、前記光波の合分岐を行う出力合分岐部と、前記入力分岐部と前記出力合分岐部に挟まれ、前記光波の位相を変調する位相シフタ部とからなり、
前記入力分岐部は、少なくとも1本の入力部入力導波路と、N本の入力部出力導波路と、1本の前記入力部入力導波路から入力された光波を、N本の前記入力部出力導波路の全てに等強度に分岐するための入力部分岐手段とを有するものであり、
前記出力合分岐部は、N本の出力部入力導波路と、N本の出力部出力導波路と、N本の前記出力部入力導波路のうち任意の1本に入力された光波を、N本の前記出力部出力導波路の全てに等強度に分岐するための出力部合分岐手段とを有するものであり、
前記位相シフタ部は、N本の前記入力部出力導波路に接続されたN本の入力接続導波路と、前記入力接続導波路に接続され、1本の入力及びM本の出力を有する少なくとも(N−1)個の波長分波器と、前記波長分波器に接続され、少なくとも(N−1)×M本の位相シフタ導波路と、前記位相シフタ導波路に接続され、M本の入力及び1本の出力を有する少なくとも(N−1)個の波長合波器と、前記波長合波器とN本の前記出力部入力導波路とを接続するN本の出力接続導波路と、前記位相シフタ導波路のそれぞれに設けられた位相変調手段とを有するものであることを特徴とする光波長ルータ。
【請求項3】
前記位相変調手段として、熱光学効果による位相変調器を用いたことを特徴とする請求項1記載の光スイッチ又は請求項2記載の光波長ルータ。
【請求項4】
前記位相変調手段として、電気光学効果による位相変調器を用いたことを特徴とする請求項1記載の光スイッチ又は請求項2記載の光波長ルータ。
【請求項5】
前記入力分岐部、前記出力合分岐部及び前記位相シフタ部が石英系光導波路により構成されたことを特徴とする請求項1もしくは請求項3に記載の光スイッチ又は請求項2もしくは請求項3に記載の光波長ルータ。
【請求項6】
前記位相変調手段がニオブ酸リチウムにより構成されたことを特徴とする請求項1もしくは請求項4に記載の光スイッチ、又は請求項2もしくは請求項4に記載の光波長ルータ。
【請求項7】
前記入力部分岐手段は、50%結合光方向性結合器又は1×2分岐多モード干渉カプラが多段に接続されて構成されたものであることを特徴とする請求項1及び請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の光スイッチ又は請求項2及び請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の光波長ルータ。
【請求項8】
前記出力部合分岐手段は、50%結合光方向性結合器又は2×2合分岐多モード干渉カプラが多段に接続されて構成されたものであることを特徴とする請求項1及び請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の光スイッチ又は請求項2及び請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の光波長ルータ。
【請求項9】
前記入力部分岐手段は、結合率調整機能を有するマッハツェンダ干渉計が多段に接続されて構成されたものであることを特徴とする請求項1及び請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の光スイッチ又は請求項2及び請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の光波長ルータ。
【請求項10】
前記出力部合分岐手段は、結合率調整機能を有するマッハツェンダ干渉計が多段に接続されて構成されたものであることを特徴とする請求項1及び請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の光スイッチ又は請求項2及び請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の光波長ルータ。
【請求項11】
多段に構成された前記50%結合光方向性結合器もしくは前記1×2分岐多モード干渉カプラの最初段、又は多段に構成された前記50%結合光方向性結合器もしくは前記2×2合分岐多モード干渉カプラの最終段のうち、少なくとも一方がマッハツェンダ干渉計による可変光方向性結合器を用いて構成されたことを特徴とする請求項7もしくは請求項8記載の光スイッチ又は請求項7もしくは請求項8記載の光波長ルータ。
【請求項12】
前記入力分岐部を構成する50%結合光方向性結合器、1×2分岐多モード干渉カプラ又は結合率調整機能を有するマッハツェンダ干渉計のいずれかと、前記出力合分岐部を構成する50%結合光方向性結合器、2×2分岐多モード干渉カプラ又は結合率調整機能を有するマッハツェンダ干渉計のいずれかを2つの合分岐器とする任意のマッハツェンダ干渉計が、その光路長差がゼロになるように設定されたことを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれかに記載の光スイッチ又は請求項7乃至請求項11のいずれかに記載の光波長ルータ。
【請求項13】
前記入力部分岐手段は、1×N分岐多モード干渉光カプラにより構成されたものであることを特徴とする請求項1及び請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の光スイッチ又は請求項2及び請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の光波長ルータ。
【請求項14】
前記出力部合分岐手段は、N×N分岐多モード干渉光カプラにより構成されたものであることを特徴とする請求項1及び請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の光スイッチ又は請求項2及び請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の光波長ルータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2004−233619(P2004−233619A)
【公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−21646(P2003−21646)
【出願日】平成15年1月30日(2003.1.30)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】