説明

光スイッチ

【課題】温度変化を生じる環境下であっても精度の良いスイッチングが行え、且つ、製造が容易で製品毎のバラツキが少なく、構成が簡単な光スイッチを提供する。
【解決手段】複数本の光ファイバ11と、複数本の光ファイバ11の端面が並列して露出された接続面19,20を有する固定側コネクタ12及び可動側コネクタ13と、固定側コネクタ12と可動側コネクタ13の接続面19,20同士を対向させた状態で可動側コネクタ13をスライドさせて固定側コネクタ12内の光ファイバ11と可動側コネクタ13内の光ファイバ11の接続を切り替えるスライド機構14と、可動側コネクタ13のスライド距離を規制するスライド距離規制機構15と、を備え、光ファイバ11、固定側コネクタ12、可動側コネクタ13、スライド距離規制機構15がそれぞれガラス製であるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送路を切り替えるための光スイッチに係り、特に、光ファイバの端面が露出されたコネクタの接続面同士をスライドさせて光伝送路を切り替える光スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光伝送路を切り替えるための光スイッチとして、光ファイバの端面が露出されたコネクタの接続面同士をスライドさせて光伝送路を切り替えるものがある。この光伝送路を切り替えるためのスライド機構としては、例えば、近年小型化が進んでいるソレノイドが用いられる。
【0003】
光スイッチでは、コネクタの接続面において光ファイバの端面同士を接続する際に光ファイバの端面同士の光軸が精度良く一致していないと、光ファイバを光伝送路として伝送される光信号の伝送損失が増大して伝送特性が劣化してしまう。
【0004】
そのため、従来の光スイッチでは、位置決め用のピンで光軸を合わせる方法(例えば、特許文献1,2参照)、ストッパでスライド時の移動距離を調節する方法(例えば、特許文献3参照)を用い、スライドの前後において光ファイバの端面同士の光軸が精度良く一致するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−166412号公報
【特許文献2】特開平2−47620号公報
【特許文献3】特開平4−257820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の光スイッチは、材質の異なる様々な部品を用いて構成されており、温度変化を生じる環境下では各部品がそれぞれ異なる線膨張係数を有しているため、各部品の寸法が別々に変動し、必ずしも光軸を精度良く一致させることができないと言う問題があった。
【0007】
また、従来の光スイッチでは、各部品の組み付け時に各部品毎に微細な位置合わせが必要となり、製造が容易でなく、製品毎に少なからずバラツキが生じてしまうと言う問題もあった。
【0008】
更に、近年は機器の小型化が望まれており、機器に搭載される光スイッチについても小型化が要求されてきているが、従来の光スイッチは、構成が複雑であるため、小型化が困難であった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、温度変化を生じる環境下であっても精度の良いスイッチングが行え、且つ、製造が容易で製品毎のバラツキが少なく、構成が簡単な光スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために創案された本発明は、複数本の光ファイバと、前記複数本の光ファイバの端面が並列して露出された接続面を有する固定側コネクタ及び可動側コネクタと、前記固定側コネクタと前記可動側コネクタの接続面同士を対向させた状態で可動側コネクタをスライドさせて前記固定側コネクタ内の光ファイバと前記可動側コネクタ内の光ファイバの接続を切り替えるスライド機構と、前記可動側コネクタのスライド距離を規制するスライド距離規制機構と、を備え、前記光ファイバ、前記固定側コネクタ、前記可動側コネクタ、前記スライド距離規制機構がそれぞれガラス製である光スイッチである。
【0011】
前記スライド距離規制機構は、前記固定側コネクタ及び前記可動側コネクタの側面を挟み込むように配置される2つの側方ガラス壁と、一方の側方ガラス壁と前記固定側コネクタとの間に配置されるガラススペーサと、からなると良い。
【0012】
前記スライド距離規制機構は、前記固定側コネクタ及び前記可動側コネクタの側面を挟み込むように配置される2つの側方ガラス壁と、前記固定側コネクタのスライド方向の長さよりも前記スライド距離分だけ短くなるように形成されたスライド方向の長さを有する前記可動側コネクタと、からなっても良い。
【0013】
前記可動側コネクタの背面に当接する後方ガラス壁を更に備え、前記固定側コネクタ及び前記可動側コネクタは、前記固定側コネクタと前記可動側コネクタの接続面同士が当接するように配置され、前記可動側コネクタのスライド方向に対して垂直な方向への動きが規制されると良い。
【0014】
前記固定側コネクタ及び前記可動側コネクタの接続面は、前記固定側コネクタの接続面と上面とが成す角が鋭角、前記可動側コネクタの接続面と上面とが成す角が鈍角となるように斜め研磨されると良い。
【0015】
前記固定側コネクタ及び前記可動側コネクタは、磨りガラス上に配置されると良い。
【0016】
スライド方向に対して平行に伸びるガラス棒を更に備え、前記固定側コネクタ及び前記可動側コネクタは、その下面に前記ガラス棒に係合する係合溝を有し、前記ガラス棒上にスライド自在に配置されると良い。
【0017】
前記固定側コネクタと前記可動側コネクタの接続面間には、間隙が設けられると良い。
【0018】
前記可動側コネクタの背面に当接する後方ガラス壁を更に備え、前記固定側コネクタ及び前記可動側コネクタの接続面は、前記固定側コネクタの接続面と上面とが成す角が鋭角、前記可動側コネクタの接続面と上面とが成す角が鈍角となるように斜め研磨されると良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、温度変化を生じる環境下であっても精度の良いスイッチングが行え、且つ、製造が容易で製品毎のバラツキが少なく、構成が簡単な光スイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光スイッチを示す斜視図である。
【図2】(a)〜(d)は固定側コネクタと可動側コネクタの製造方法を説明する図である。
【図3】図1の光スイッチにおける固定側コネクタと可動側コネクタの側面図である。
【図4】図1の光スイッチの分解図である。
【図5】図1の光スイッチの動作を説明する図であり、(a)は電源ON時の状態図、(b)は電源OFF時の状態図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る光スイッチを示す斜視図である。
【図7】図6の光スイッチの分解図である。
【図8】図6の光スイッチの側面図である。
【図9】図6の光スイッチの動作を説明する図であり、(a)は電源ON時の状態図、(b)は電源OFF時の状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0022】
図1は、本発明の好適な第1の実施の形態に係る光スイッチを示す斜視図である。
【0023】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る光スイッチ10は、複数本(図1では各2本)の光ファイバ11と、複数本の光ファイバ11の端面が並列して露出された接続面19,20(図3参照)を有する固定側コネクタ12及び可動側コネクタ13と、固定側コネクタ12と可動側コネクタ13の接続面19,20同士を対向させた状態で可動側コネクタ13をスライドさせて固定側コネクタ12内の光ファイバ11と可動側コネクタ13内の光ファイバ11の接続を切り替えるスライド機構14と、可動側コネクタ13のスライド距離を規制するスライド距離規制機構15と、を備え、光ファイバ11、固定側コネクタ12、可動側コネクタ13、スライド距離規制機構15がそれぞれガラス製であることを特徴とする。
【0024】
固定側コネクタ12及び可動側コネクタ13は、光ファイバ11と、光ファイバ11を載置するための直方体形状のガラスアレイ16と、ガラスアレイ16との間に光ファイバ11を挟み込むための直方体形状のカバーガラス17と、からなる。
【0025】
ガラスアレイ16には、図示しない平行なV溝が等間隔で形成されており、このV溝に光ファイバ11が載置される。このV溝の溝ピッチは、光ファイバ11の外径の長さと等しくされ、隣り合う光ファイバ11間に光ファイバ11の外径と同じ長さの間隔が形成される。なお、V溝の溝ピッチは、光ファイバ11の外径の長さと異なるようにしても良い。
【0026】
これら固定側コネクタ12及び可動側コネクタ13を作製するには、図2に示すように、被覆を有する複数本の被覆付光ファイバ18を準備し(図2(a))、被覆付光ファイバ18の中間部において溶剤を用いて被覆を除去し、光ファイバ11を露出させ(図2(b))、被覆を除去した各被覆付光ファイバ18の中間部をガラスアレイ16のV溝に載置すると共にその上にカバーガラス17をその側面とガラスアレイ16の側面とが一致するように被せて接着する(図2(c))。このとき、ガラスアレイ16及びカバーガラス17がガラス製であるので、接着の際にはUV硬化樹脂を用いることで容易に固定することができる。
【0027】
しかる後、カバーガラス17を被せた中央部を切断、研磨すると、1組の固定側コネクタ12及び可動側コネクタ13が得られる(図2(d))。このとき、図3に示すように、固定側コネクタ12及び可動側コネクタ13の接続面19,20は、固定側コネクタ12の接続面19と上面21とが成す角が鋭角(例えば、82度)、可動側コネクタ13の接続面20と上面22とが成す角が鈍角(例えば、98度)となるように斜め研磨されると良い。これにより、接続面19,20における光信号の多重反射による伝送特性の劣化を防止することができると共に、後述する後方ガラス壁31と固定側コネクタ12とによって可動側コネクタ13の前後が挟まれて可動側コネクタ13が外れてしまうことを防止することができる。
【0028】
このようにして得られた固定側コネクタ12及び可動側コネクタ13は、接続面19,20のx,y,z方向のズレがなく、また、位置合わせの際にも接続面19,20を合わせるだけなので、各光ファイバ11の偏芯を考慮する必要もなくなる。
【0029】
再び図1を参照し、固定側コネクタ12及び可動側コネクタ13は、可動側コネクタ13がスライドしやすいように、磨りガラス23上に配置される。磨りガラス23の表面には垂直に交わる溝24,25が形成される。この溝24,25は、磨りガラス23上に側方ガラス壁28や後方ガラス壁31を接着剤にて固定する際に、余分な接着剤を逃がすためのものである。これにより、側方ガラス壁28や後方ガラス壁31を接着する箇所以外に接着剤が付着することを防止でき、固定側コネクタ12や可動側コネクタ13等の載置箇所の平坦度を保つことができる。
【0030】
スライド機構14は、ソレノイド26からなり、そのソレノイド26の先端部27で可動側コネクタ13を押し引きすることで、可動側コネクタ13をスライドさせるものである。
【0031】
このスライド機構14による可動側コネクタ13のスライド距離を規制するスライド距離規制機構15は、図4に示すように、固定側コネクタ12及び可動側コネクタ13の側面を挟み込むように配置される2つの側方ガラス壁28,29と、一方の側方ガラス壁29と固定側コネクタ12との間に配置されるガラススペーサ30と、からなる。なお、図4では、スライド機構14を省略している。
【0032】
2つの側方ガラス壁28,29は、その側面が平行に対向するように配置される。ガラススペーサ30としては、光伝送路を構成する光ファイバ11と同じものを用いると良い。光ファイバは、1μm以内の精度で外径の長さを制御して作製することができるので、高精度なスイッチングをすることができるからである。これにより、可動側コネクタ13と側方ガラス壁29との間には、光ファイバ11の外径と同じ長さの間隔が形成され、可動側コネクタ13のスライド距離が光ファイバ11の外径と同じ長さに規制される。
【0033】
また、光スイッチ10は、可動側コネクタ13の背面に当接する後方ガラス壁31を更に備え、固定側コネクタ12及び可動側コネクタ13は、固定側コネクタ12と可動側コネクタ13の接続面19,20同士が当接するように配置され、可動側コネクタ13のスライド方向(図1のx方向)に対して垂直な方向(図1のy方向)への動きが規制される。
【0034】
光スイッチ10を製造するには、先ず、磨りガラス23上に一方の側方ガラス壁28と後方ガラス壁31とを位置決めしてUV硬化樹脂等の接着剤で固定する。
【0035】
次いで、予め前述の方法で作製しておいた固定側コネクタ12及び可動側コネクタ13を、可動側コネクタ13の背面を後方ガラス壁31に押し付けるように、且つ、固定側コネクタ12と可動側コネクタ13の側面を側方ガラス壁28に押し付けるようにして、磨りガラス23上に載置する。
【0036】
その後、他方の側方ガラス壁29を、その側面を固定側コネクタ12の側面にガラススペーサ30を介して押し付けるようにして、磨りガラス23上に載置する。
【0037】
そして、固定側コネクタ12、側方ガラス壁29、ガラススペーサ30をUV硬化樹脂等の接着剤で固定する。この手順で各部品を組み付けることで、容易に精度良く各部品が位置決めされる。
【0038】
最後に、可動側コネクタ13にスライド機構14を接続すると、側方ガラス壁28,29との間で可動側コネクタ13がスライドする光スイッチ10が得られる。
【0039】
この光スイッチ10は、図5に示すように、ソレノイド26の電源がONのとき、ソレノイド26の先端部27が可動側コネクタ13を押し、可動側コネクタ13が側方ガラス壁28に押し付けられて、各光ファイバ11が(1)−(3)、(2)−(4)の組み合わせで接続される(図5(a))。
【0040】
一方、ソレノイド26の電源がOFFのとき、ソレノイド26の先端部27が可動側コネクタ13を引き、可動側コネクタ13が側方ガラス壁29に押し付けられて、各光ファイバ11が(2)−(3)の組み合わせで接続される(図5(b))。
【0041】
このような構成の光スイッチ10によれば、位置決めの精度が要求される各部品が線膨張係数の小さいガラス製であり、温度変化を生じる環境下であっても精度の良いスイッチングが行える。
【0042】
また、光スイッチ10は、部品点数が少なく、前述した手順で各部品を組み付けるだけで精度の良いものを製造することが可能であり、製品毎のバラツキが少ない。
【0043】
更に、光スイッチ10は、固定側コネクタ12、可動側コネクタ13、磨りガラス23、側方ガラス壁28,29、ガラススペーサ30、後方ガラス壁31、ソレノイド26の8つの部品からなる簡単な構成であるので、小型化に対応することが可能である。
【0044】
また、光スイッチ10は、主な部品がガラス製であるため、廃棄時に各部品を一括して処理することができ、環境に与える影響を低減することができる。
【0045】
次に、本発明の好適な第2の実施の形態に係る光スイッチを説明する。ここでは、前述したものと同様の機能、構成を有するものについては同様の符号を付して説明を省略する。
【0046】
図6に示すように、第2の実施の形態に係る光スイッチ60は、複数本(図6では各2本)の光ファイバ11の端面が並列して露出された接続面19,20(図8参照)を有する固定側コネクタ61及び可動側コネクタ62と、固定側コネクタ61と可動側コネクタ62の接続面19,20同士を対向させた状態で可動側コネクタ62をスライドさせて光伝送路を切り替えるスライド機構14と、可動側コネクタ62のスライド距離を規制するスライド距離規制機構63と、を備え、光ファイバ11、固定側コネクタ61、可動側コネクタ62、スライド距離規制機構63がそれぞれガラス製であることを特徴とする。
【0047】
スライド距離規制機構63は、固定側コネクタ61及び可動側コネクタ62の側面を挟み込むように配置される2つの側方ガラス壁64,65と、固定側コネクタ61のスライド方向の長さよりもスライド距離分だけ短くなるように形成されたスライド方向の長さを有する可動側コネクタ62と、からなる。側方ガラス壁64,65は、ガラス板67に固定される。なお、隣り合う光ファイバ11間の間隔は、光ファイバ11の外径と同じ長さである。
【0048】
可動側コネクタ62の側面66は、可動側コネクタ62の側面を光ファイバ11の外径と同じ長さ(深さ)研磨して形成される。これにより、可動側コネクタ62と側方ガラス壁64との間には、光ファイバ11の外径と同じ長さの間隔が形成され、可動側コネクタ62のスライド距離が光ファイバ11の外径と同じ長さに規制される。
【0049】
この光スイッチ60は、図7に示すように、スライド方向に対して平行に伸びるガラス棒68を更に備え、固定側コネクタ61及び可動側コネクタ62は、その下面にガラス棒68に係合する係合溝69を有し、ガラス棒68上にスライド自在に配置される。係合溝69は、図示のような矩形溝以外にもV溝のような他の断面形状の溝であっても良い。
【0050】
ガラス棒68は、固定側コネクタ61及び可動側コネクタ62の側面側に設けられた側方ガラス壁64,65を貫通するように設けられ、その位置が固定される。つまり、光スイッチ60では、固定側コネクタ61及び可動側コネクタ62の配置関係がガラス棒68と係合溝69とによって固定される。
【0051】
第1の実施の形態に係る光スイッチ10では、固定側コネクタ12と可動側コネクタ13の接続面19,20が当接されていたが、第2の実施の形態に係る光スイッチ60では、図8に示すように、固定側コネクタ61と可動側コネクタ62の接続面19,20間には、10μm程度の間隙が設けられる。これにより、固定側コネクタ61及び可動側コネクタ62の接続面19,20に露出した光ファイバ11の端面同士、或いは、光ファイバ11の端面と対向する接続面19(又は20)とが擦れて光ファイバ11の端面に傷が付くのを防止することができ、長期的な信頼性を向上させることが可能となる。なお、この接続面19,20間の間隙の大きさが大きくなるにつれて挿入損失が増加するため、間隙の大きさはなるべく小さい方が望ましい。
【0052】
また、光スイッチ60は、光スイッチ10と同様に、可動側コネクタ62の背面に当接するようにガラス板67に固定された後方ガラス壁31を更に備え、固定側コネクタ61及び可動側コネクタ62の接続面19,20は、固定側コネクタ61の接続面19と上面21とが成す角が鋭角、可動側コネクタ62の接続面20と上面22とが成す角が鈍角となるように斜め研磨される。これにより、接続面19,20における光信号の多重反射による伝送特性の劣化を防止することができると共に、後方ガラス壁31とガラス棒68と係合溝69とによって可動側コネクタ62のスライド方向以外への動きが規制され、可動側コネクタ62が外れてしまうことを防止することができる。
【0053】
光スイッチ60を製造するには、ガラス板67に側方ガラス壁64,65と後方ガラス壁31とをUV硬化樹脂等の接着剤で固定し、更に、側方ガラス壁64,65にガラス棒68をUV硬化樹脂等の接着剤で固定し、その上から固定側コネクタ61及び可動側コネクタ62を載置すると共に固定側コネクタ61をUV硬化樹脂等の接着剤で固定する。これにより、側方ガラス壁64,65との間で可動側コネクタ62がスライドする光スイッチ60が得られる。
【0054】
この光スイッチ60は、図9に示すように、ソレノイド26の電源がONのとき、ソレノイド26の先端部27が可動側コネクタ62を押し、可動側コネクタ62が側方ガラス壁64に押し付けられて、各光ファイバ11が(1)−(3)、(2)−(4)の組み合わせで接続される(図9(a))。
【0055】
一方、ソレノイド26の電源がOFFのとき、ソレノイド26の先端部27が可動側コネクタ62を引き、可動側コネクタ62が側方ガラス壁65に押し付けられて、各光ファイバ11が(2)−(3)の組み合わせで接続される(図9(b))。
【0056】
このような構成の光スイッチ60によれば、第1の実施の形態に係る光スイッチ10の効果に加え、長期的な信頼性を向上させることができると言う優れた効果を得られる。
【0057】
以上説明したように、本発明によれば、温度変化を生じる環境下であっても精度の良いスイッチングが行え、且つ、製造が容易で製品毎のバラツキが少なく、構成が簡単な光スイッチを提供することができる。
【符号の説明】
【0058】
10 光スイッチ
11 光ファイバ
12 固定側コネクタ
13 可動側コネクタ
14 スライド機構
15 スライド距離規制機構
19 固定側コネクタの接続面
20 可動側コネクタの接続面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の光ファイバと、
前記複数本の光ファイバの端面が並列して露出された接続面を有する固定側コネクタ及び可動側コネクタと、
前記固定側コネクタと前記可動側コネクタの接続面同士を対向させた状態で可動側コネクタをスライドさせて前記固定側コネクタ内の光ファイバと前記可動側コネクタ内の光ファイバの接続を切り替えるスライド機構と、
前記可動側コネクタのスライド距離を規制するスライド距離規制機構と、
を備え、
前記光ファイバ、前記固定側コネクタ、前記可動側コネクタ、前記スライド距離規制機構がそれぞれガラス製であることを特徴とする光スイッチ。
【請求項2】
前記スライド距離規制機構は、前記固定側コネクタ及び前記可動側コネクタの側面を挟み込むように配置される2つの側方ガラス壁と、一方の側方ガラス壁と前記固定側コネクタとの間に配置されるガラススペーサと、からなる請求項1に記載の光スイッチ。
【請求項3】
前記スライド距離規制機構は、前記固定側コネクタ及び前記可動側コネクタの側面を挟み込むように配置される2つの側方ガラス壁と、前記固定側コネクタのスライド方向の長さよりも前記スライド距離分だけ短くなるように形成されたスライド方向の長さを有する前記可動側コネクタと、からなる請求項1に記載の光スイッチ。
【請求項4】
前記可動側コネクタの背面に当接する後方ガラス壁を更に備え、
前記固定側コネクタ及び前記可動側コネクタは、前記固定側コネクタと前記可動側コネクタの接続面同士が当接するように配置され、前記可動側コネクタのスライド方向に対して垂直な方向への動きが規制される請求項1〜3のいずれかに記載の光スイッチ。
【請求項5】
前記固定側コネクタ及び前記可動側コネクタの接続面は、前記固定側コネクタの接続面と上面とが成す角が鋭角、前記可動側コネクタの接続面と上面とが成す角が鈍角となるように斜め研磨される請求項4に記載の光スイッチ。
【請求項6】
前記固定側コネクタ及び前記可動側コネクタは、磨りガラス上に配置される請求項1〜5のいずれかに記載の光スイッチ。
【請求項7】
スライド方向に対して平行に伸びるガラス棒を更に備え、
前記固定側コネクタ及び前記可動側コネクタは、その下面に前記ガラス棒に係合する係合溝を有し、前記ガラス棒上にスライド自在に配置される請求項1〜3のいずれかに記載の光スイッチ。
【請求項8】
前記固定側コネクタと前記可動側コネクタの接続面間には、間隙が設けられる請求項7に記載の光スイッチ。
【請求項9】
前記可動側コネクタの背面に当接する後方ガラス壁を更に備え、
前記固定側コネクタ及び前記可動側コネクタの接続面は、前記固定側コネクタの接続面と上面とが成す角が鋭角、前記可動側コネクタの接続面と上面とが成す角が鈍角となるように斜め研磨される請求項7又は8に記載の光スイッチ。

【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−159799(P2012−159799A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21017(P2011−21017)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】