説明

光センサおよび電子機器

【課題】本来の光の入射する前面以外から外来光が入射する場合であっても、それ自体で十分な遮光が可能な光センサおよびこのような光センサを配置した電子機器を得る。
【解決手段】受光センサ2171は、フォトダイオード275を備えたセンサ本体部271と、これに嵌合してセンサ本体部271の側面部273および背部からの光の侵入を阻止する遮光体としてのゴム製キャップ274から構成されている。電子機器にこの受光センサ2171を使用すれば、西日等の強力な光が装置内部に入射してもフォトダイオード275がこれによる誤検知を発生させることがなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光手段の出力する光の検出を行う光センサおよび光センサを組み込んだプリンタ、複写機等の電子機器に係り、特に光の入射による誤動作を防止した光センサおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写機等の電子機器には、用紙等の媒体の有無や正常な搬送が行われているかどうかを検出したり監視するために光センサが使用されることが多い。このような電子機器内の光センサは、光の受光の有無によって、たとえば用紙の搬送が正常に行われているかどうかの判別を行っている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
図7は、この第1の提案による電子機器の要部を表わしたものである。1対の搬送ロール101、102は図示しない用紙を搬送するためのローラであり、互いに転接している。これらの搬送ロール101、102の図で右側には、搬送路に沿って用紙を搬送するガイドとしての入口側用紙ガイド104、105が配置されている。また、左側には、搬送ロール101、102を通過した用紙を搬送路に沿って次の場所に送り出すための出口側用紙ガイド106、107が配置されている。入口側用紙ガイド104、105の上側および下側には、発光素子108と受光素子109が対向配置されている。入口側用紙ガイド104、105にはこれら発光素子108と受光素子109の間で光が通過するための小孔が開けられている。同様に、出口側用紙ガイド106、107には、小孔が開けられており、これらの上側と下側に発光素子111と受光素子112が対向配置されている。
【0004】
このような電子機器では、入口側用紙ガイド104、105および出口側用紙ガイド106、107に挟まれた搬送路を用紙が通過する際の監視を発光素子108、111と受光素子109、112の組み合わせで行っている。たとえば、あるタイミングで発光素子108から送られてきた光が遮断することで用紙が進入してきたことを受光素子109が検出し、これから所定時間が経過するまでに受光素子112が発光素子111から送られてきた光の遮断を検出しない場合、1対の搬送ロール101、102にこの用紙が巻きついたりジャムを発生させた等のトラブルが生じたことを検出する。そして、この電子機器の用紙の搬送を緊急停止させる等の所定の措置が採られることになる。
【0005】
ところが、電子機器によっては内部の遮光が必ずしも不十分な場合があり、これにより受光素子109、112が誤検知を行う可能性がある。そこでこの図7に示した電子機器では、受光素子109、112が配置された側の入口側用紙ガイド105および出口側用紙ガイド107に、遮光用のシャッタ部材114、115を取り付けている。これにより、受光素子109、112の対向した入口側用紙ガイド105あるいは出口側用紙ガイド107に向けて外来光が入射してくることによる外来光の検出による誤動作を防止している。
【0006】
しかしながら、この第1の提案による電子機器では、保守担当者あるいは取扱者が個々の配置環境に合わせてシャッタ部材114、115の形状等を工夫する必要があり、面倒であった。また、電子機器の小型化によって、このようなシャッタ機構を取り付ける場所も限定される他に、事前に各種の配置環境を想定してシャッタ部材114、115を配置する場合には電子機器の部品点数が多くなるという問題があった。
【0007】
そこで、光センサの前面に偏光フィルタと長方形のフードおよびレンズを組み合わせたものを配置することで、発光ダイオードからの光を正確に入射して検出することができるようにした提案が行われている(たとえば特許文献2参照)。
【特許文献1】実開昭61−072545号公報(第6ページ第3行目〜第9行目、第3図)
【特許文献2】実開昭61−060187号公報(第7ページ第4行目〜第15行目、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この第2の提案では、受光側の光センサの前面以外の方向から外乱光が入射した場合には、これを防止することができない。特に、電子機器の配置場所によっては西日の入射の影響を受けることがある。西日の強い光は、電子機器の開口部から入射して装置内部の光センサの側面あるいは背面に直接、あるいはガイド板等の金属部品に反射して間接的に入射する。光センサ自体に前方からの外乱光の入射に十分な配慮がされている場合であっても、側面あるいは背面から入射した光が比較的強いと、内部を回って受光部に入射した光が検出されることになって、誤検知が発生する。
【0009】
図7に示した光センサを収容した電子機器でも、シャッタ部材114、115の形状等を工夫することでこれに対処することができる。しかしながら、光センサの不具合が検出された時点での事後対応ということになる。また、せっかく、西日等の外来光の対処を行った場合でも、その後に電子機器の配置を変えると同様の問題が再度発生するという問題があった。
【0010】
そこで本発明の目的は、本来の光の入射する前面以外から外来光が入射する場合であっても、それ自体で十分な遮光が可能な光センサおよびこのような光センサを配置した電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、(イ)受光素子と、(ロ)この受光素子をその前面に配置した装置本体と、(ハ)この装置本体の側部および背部を覆う遮光性物質からなる遮光体とを光センサに具備させる。
【0012】
すなわち本発明では、受光素子を配置した装置本体という通常の光センサの構成に、装置本体の側部および背部を覆う遮光性物質からなる遮光体を加えることで、装置本体の側部あるいは背部からの外乱光を完全に遮蔽するようにした。
【0013】
また、本発明では(イ)受光素子と、(ロ)発光素子と、(ハ)これら受光素子および発光素子をその前面に間隔を置いて配置した装置本体と、(ニ)この装置本体の側部および背部を覆う遮光性物質からなる遮光体とを光センサに具備させる。
【0014】
すなわち本発明では、受光素子と発光素子を配置した装置本体という通常の光センサの構成に、装置本体の側部および背部を覆う遮光性物質からなる遮光体を加えることで、装置本体の側部あるいは背部からの外乱光を完全に遮蔽するようにした。
【0015】
更に、本発明では、(イ)電子機器本体と、(ロ)この電子機器本体の内部に配置され、媒体の移動を光線の受光の有無によって検出するようその前面に受光素子を配置した1または複数の光センサ本体と、(ハ)光センサ本体の少なくとも一部についてこれらの側部および背部を覆う遮光性物質からなる遮光体とを電子機器に具備させる。
【0016】
すなわち本発明では、電子機器本体の内部に配置する光センサを、受光素子を配置した光センサ本体という通常の光センサとしての構成に、光センサ本体の側部および背部を覆う遮光性物質からなる遮光体を加えたものとすることで、光センサ本体の側部あるいは背部からの外乱光を完全に遮蔽するようにした。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、本来の光の入射する前面以外から外来光が入射する場合を考慮して、受光素子の側部あるいは背部から入射する光を遮光する遮光体を光センサに加えることにした。このため、たとえば、電子機器に入射した光を機器内部での反射を考慮しながら複雑な遮蔽構造を採用する場合と比較すると、光センサ自体が遮蔽構造を有しているために電子機器全体の遮蔽に要する費用の削減を図ることができる。もちろん、光センサの遮光体を着脱自在な構造としておけば、外乱光を考慮する必要のない場所でこれを使用しないで済み、光センサを経済的に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の一実施例における光センサを使用したプリンタの機構の概要を表わしたものである。このプリンタ201はサーマルヘッドを使用した感熱プリンタであり、装置本体202の上部に、加熱により発色する感熱紙からなるロール紙203を巻回した第1のロール紙ホルダ2041と第2のロール紙ホルダ2042を収容できるようになっている。第1および第2のロール紙ホルダ2041、2042は、本実施例で共に同一幅のロール紙203を繰り出すもので、一方が予備用となっている。これら第1および第2のロール紙ホルダ2041、2042の上には、回転軸205を中心に手動で回動し開閉するロール紙カバー206が取り付けられている。第1および第2のロール紙ホルダ2041、2042に関連する機構部には同一の部品が多く使用されている。そこで、これらについては第1のロール紙ホルダ2041を中心に説明し、第2のロール紙ホルダ2042に関連する同一部品については、図で同一の符号を付し、符号の添え字部分の“1”を“2”に置き換えるものとし、詳細な説明は適宜省略する。
【0020】
第1のロール紙ホルダ2041に収容されたロール紙203は、ピックアップシャフト2111および軸2121と転接している。これらピックアップシャフト2111と軸2121は、第1のロール紙ホルダ2041の中心軸に接する垂線に対して対照の位置にある。軸2121には、図示しないスプリングによって反時計方向に付勢されたセパレータ2131が取り付けられている。セパレータ2131は、その上側に向いた突起部分をロール紙203と接触させており、その先端を分離する役割を果たしている。ピックアップシャフト2111、軸2121およびセパレータ2131は、ロール紙203の先端分離機構部2141を構成している。
【0021】
先端分離機構部2141にロール紙203が存在するかどうかの検出は、ロール紙検知センサ部2151が行うようになっている。ロール紙検知センサ部2151には、本実施例で使用される発光センサ2161と受光センサ2171がロール紙203の幅方向に間隔を置いて配置されている。ただし、発光センサ2161は受光センサ2171の背後に存在する関係で図示されていない。発光センサ2161は、発光ダイオードを備えており、先端分離機構部2141のロール紙203が存在すべき場所に光線を照射するようになっている。受光センサ2171はフォトダイオードを備えており、ロール紙203が存在する場合にはその反射光を入射して検出するようになっている。受光センサ2171の構造については、後に詳しく説明する。
【0022】
セパレータ2131によって分離されたロール紙203は、フィードシャフト2181およびこれと転接する従動ローラ2191の間を下方向に通過するようになっている。フィードシャフト2181と従動ローラ2191の下流側には、出口センサ部2211が配置されており、ロール紙203の検知を行うようになっている。ここで出口センサ部2211も、搬送路を境にその上下に配置された発光センサと受光センサの組によって構成されている。出口センサ部2211を通過したロール紙203は、搬送ローラ対2221によって更に搬送されて、第2のロール紙ホルダ2042から搬送されるロール紙との合流点223に到達する。この合流点223と搬送ローラ対2221の間にも出口センサ部2241が配置されている。合流点223を通過したロール紙203は、更に2組の搬送ローラ対225、226を通過した後に印字部227に到達する。搬送ローラ対226と印字部227の間には、ロール紙203が到来したことを検知する出口センサ部228が配置されている。
【0023】
印字部227は、多数の図示しない発熱要素を紙面と垂直方向に配置してこれらを選択的に発熱させるサーマルヘッド231と、これら発熱要素にロール紙を圧接させるプラテンローラ232から構成されている。プラテンローラ232は、ロール紙203を1ラインずつ副走査方向(ロール紙203の送り方向)に搬送し、このときサーマルヘッド231が発熱要素単位で発熱をオン・オフ制御することによって、ライン単位の印字が行われる。サーマルヘッド231とプラテンローラ232の出口側にはペーパカッタ233が配置されており、印字の終了したロール紙203の後端をページ単位で裁断するようになっている。ペーパカッタ233の下流側には、搬送路に沿って複数の搬送ローラ対234〜239と、それぞれの出口側には出口センサ部241〜245が配置されている。出口センサ部241〜245はジャムの検出に用いられる。出口センサ部244を通過したロール紙203は、排出口247から外部に排出される。
【0024】
一方、1枚分の印字が終了する前にロール紙203がなくなってしまったような排出すべきでない用紙が発生する場合がある。このような用紙は、搬送ローラ対235〜238の逆送によって搬送ローラ対239まで搬送され、出口ローラ248を経てリジェクトボックス249内に排出される。リジェクトボックス249内の用紙の存在は、発光センサ251と受光センサ252の対からなるリジェクトボックス検知センサ部253によって検知されるようになっている。本実施例では発光センサ251と受光センサ252の間の光学距離がかなり長いので、通常の発光ダイオードやフォトダイオードの他に、光線を収束させるための光学レンズが併せて使用されている。
【0025】
このようなロール紙203の搬送系には、第1および第2の駆動モータ255、256が配置されており、それぞれロール紙203および裁断後の用紙の搬送の駆動源として使用されている。また、プリンタ201には後に説明するようにCPU(中央処理装置)を使用した制御回路が内蔵されており、図示しない通信ケーブルを介して送られてくる印字情報の印字に関する印字データの制御と搬送系の制御を行うようになっている。
【0026】
図2は本実施例の受光センサの一例についてその外観を示したものであり、図3はその分解された状態を表わしたものである。ここでは、図1に示した受光センサ2171を示したが、他の受光センサ2172、252および出口センサ部2241等の出口センサ部を構成する受光センサも本実施例では同一のタイプの光センサとなっている。そこで受光センサ2171について具体的に説明を行い、他の受光センサの具体な説明は省略する。
【0027】
受光センサ2171は、図3に示したセンサ本体部271の側面部273に黒いゴム製キャップ274を嵌合させた構造となっている。ここで、センサ本体部271の前面部270には、フォトダイオード275の頭部が周囲から突出した形で取り付けられている。このフォトダイオード275の図示しないカソード電極端子とアノード電極端子は、センサ本体部271の内部に配置された同じく図示しない回路基板に取り付けられている。前面部270はネジ止め用の穴276および長穴を半分に切断した形状の溝部277が設けられている。
【0028】
前記した回路基板の周囲は、側部あるいは背部から入り込む光を遮蔽する簡易な遮蔽構造となっている。したがって、フォトダイオード275を構成する筒状部材に入射する方向以外の方向から比較的強い外乱光が入射しない環境では、ゴム製キャップ274をセンサ本体部271に装着することなく受光センサとして十分使用することができる。また、ゴム製キャップ274をセンサ本体部271に装着することによって、フォトダイオード275の筒状部材以外の場所からの光の侵入を完全に阻止することができる。本実施例では、図1に示したプリンタ201がどのような設置環境でも光の検出動作を確実に行えるようにするために、受光センサ2172、252および出口センサ部2241等の出口センサ部を構成する受光センサについては、すべてゴム製キャップ274を取り付けるようにしている。
【0029】
図4は、本実施例のプリンタの回路構成の概要を表わしたものである。プリンタ201は、各種制御を実行するためのCPU301を備えている。CPU301は、プリンタ201内の各部とデータバス等のバス302で接続している。このうち、ROM(リード・オンリ・メモリ)303は、プリンタ201の各部を制御するための制御プログラムを格納したリード・オンリ・メモリである。作業用メモリ304は、CPU301が所望の制御を行うための各種のデータあるいは制御プログラムを一時的に格納するRAM(ランダム・アクセス・メモリ)である。通信制御部305は、有線あるいは無線で印字のためのデータを取得するようになっている。この図では示していないが、光ディスク等の記憶媒体を通じてデータの取得を行うようになっていてもよい。
【0030】
操作部306は、図示しないが各種のキーを備えており、オペレータが必要なデータを入力することで、印字品質を調整したり、あるいは各受光センサから出力される信号の2値化レベルの調整等の各種の調整を行えるようになっている。表示部307は、本実施例で液晶ディスプレイからなり、必要な視覚的なデータを表示するようになっている。発光制御部308は、発光センサ2161等の発光手段のオン・オフ制御を行うようになっている。センサ入力部309は、受光センサ2171等の受光手段から出力される受光信号を入力する回路である。印字データ制御部311は、通信制御部305を用いて取得した印字データをライン単位の画像データとしてサーマルヘッド231に供給して、1ラインごとの印字を可能にしている。搬送制御部281は、第1および第2の駆動モータ255、256の駆動制御を行うことで、ロール紙203の搬送制御を行うようになっている。ブザー駆動回路291は、所定の警告時等の通報が必要とされるときにブザー292の鳴動を行わせるようになっている。図示しないスピーカによって同様の通報を行うこともできる。
【0031】
このような構成の本実施例のプリンタ201の制御を図1〜図4と共に説明する。オペレータは、印字作業に先立って表示部307をチェックして、ロール紙203が十分な量だけ残っているかどうかをチェックする。ロール紙203が十分残っていない場合には、発光センサ2161と受光センサ2171の組、ならびに発光センサ2162と受光センサ2172の組による先端分離機構部2141、2142のロール紙203の有無が調べられる。本実施例では、第1のロール紙ホルダ2041と第2のロール紙ホルダ2042のいずれかあるいは双方においてロール紙203を検出することができないとき、センサ入力部309がこの検出結果を入力してCPU301がロール紙の存在しないことを表示部307に表示する。したがって、オペレータは一度に大量のプリントを行うような場合には、ロール紙203の存在しなくなった側のロール紙ホルダ204に新たなロール紙を補充することになる。ロール紙203は、芯が存在するものでも芯が存在しないものであってもよい。ロール紙203を補充したり、発光センサ2161や受光センサ2171の部品交換を行うような場合には、ロール紙カバー206を開けて作業を行う。
【0032】
図5は、先端分離機構部に新たにロール紙をセットした際のその後の制御の流れを表わしたものである。ここでは、オペレータがロール紙カバー206を開けて先端分離機構部2141にロール紙203をセットしたものとする。まず、後に説明するリトライ回数Rを“0”に初期化する(ステップS401)。ロール紙203が先端分離機構部2141にセットされることで、図示しないスプリングによってその先端を上向きに付勢したセパレータ2131がロール紙203の径に応じて回動し、その先端がロール紙に接触している。この状態でロール紙検知センサ部2151がロール紙203の存在を検出することになる(ステップS402:Y)。
【0033】
ロール紙カバー206が開いたこの状態では、ロール紙検知センサ部2151を構成する受光センサ2171に強い外乱光が入射するおそれがある。しかしながら、本実施例の受光センサ2171は、図3で説明したようにセンサ本体部271の側面部273に黒いゴム製キャップ274を嵌合させている。このため、受光センサ2171の背部や側部から西日等の強い光が入射したとしても、黒いゴム製キャップ274を通過して内部の受光素子に到達することができない。したがって、受光センサ2171が誤動作するおそれはない。なお、先端分離機構部2141にロール紙203が検出されなかった場合には(ステップS402:N)、ロール紙のセットが行われていないので、後続する処理は終了する(エンド)。
【0034】
ロール紙203が先端分離機構部2141にセットされた後にオペレータがロール紙カバー206を閉めると、図示しないセンサがこれを検出し(ステップS403:Y)、ロール紙検知センサ部2151の検知結果と論理積をとって、ロール紙203の先端分離動作を開始する。すなわち、ピックアップシャフト2111を回転させて(ステップS404)、ロール紙203を図で左方向に回転移動させてそのたるみを取り除く。なお、本実施例では第1のロール紙ホルダ2041と第2のロール紙ホルダ2042の2系等のロール紙ホルダを備えている。したがって、ここでは第1のロール紙ホルダ2041側が優先して処理されるものとして説明するが、オペレータが操作部306によって指定したロール紙ホルダについてまず行い、そのロール紙ホルダにロール紙203が存在しないとき、もう一方のロール紙ホルダについて同様の処理が行われることになる。
【0035】
ステップS404で第1のロール紙ホルダ2041側のピックアップシャフト2111が回転することにより、所定時間t以内に(ステップS405:N)、ロール紙203の先端部分がセパレータ2131の場所まで到達すると、このセパレータ2131によって先端部分の剥離が行われる。この結果、ロール紙203の先端部分はピックアップシャフト2111の駆動を開始してからこの時間t以内にフィードシャフト2181およびこれと転接する従動ローラ2191の間を通過して、出口センサ部2211によって検知される(ステップS406:Y)。これによって、CPU301はロール紙203の先端が正常に剥離されて搬送を開始されたことを確認する。この場合には、搬送路に沿って印字のためのロール紙203の搬送が継続されることになる(ステップS407)。
【0036】
これに対して、ピックアップシャフト2111の駆動を開始してから時間t以内にロール紙203の先端が出口センサ部2211によって検知されなかったような場合には(ステップS405:Y)、ロール紙203の剥離が失敗したものと判別される。この場合、CPU301はリトライ回数Rが予め定めた制限回数aよりも多くなっているかどうかをチェックして(ステップS408)、多くなっていなければ(N)、リトライ回数Rを“1”だけ加算して(ステップS409)、ステップS404に戻る。そして、ピックアップシャフト2111の駆動を再度行って、ロール紙203を搬送路に送り出す制御をリトライすることになる。このリトライに成功した場合には(ステップS406:Y)、ステップS407に進んで印字のための搬送制御が続行する。
【0037】
これに対して、リトライ制限回数Rが制限回数aを超えた場合には(ステップS408:Y)、何らかの理由でリトライが行えないことになる。そこでこの場合には、一連の処理を終了させることになる(エンド)。
【0038】
一度、出口センサ部2211によって搬送を確認されたロール紙203は、その後は順に出口センサ部2241、228で搬送を確認される。そして、ロール紙の搬送に同期して印字データがサーマルヘッド231に印加された状態でロール紙がこのサーマルヘッド231とプラテンローラ232の間を通過する。これにより、ロール紙に印字データに基づいた印字が行われることになる。ペーパカッタ233は1ページごとの用紙の後端でロール紙203を切断する。切断された用紙は、不具合がなければ排出口247から外部に排出されることになる。
【0039】
以上説明した本実施例では、プリンタ201内の受光センサ2171、2172等の各受光センサのセンサ本体部の側面部を、図3および図4で示したように黒いゴム製キャップ274で覆う構造とした。このため、プリンタ201内部に西日等の強烈な光線が入射しても、これにより、光センサが誤動作することはない。したがって、プリンタ201等の装置の設計が簡略化する。また、実施例では各受光センサのセンサ本体部の側面部をゴム製のキャップで覆うことにした。このため、不具合を生じた光センサについては、フォトダイオードや回路基板を換えるときキャップを再度使用することができ、経済的である。また、各受光センサの一部にのみキャップを使用していたような場合には、センサ本体部のプリンタ201の配置場所を換えて遮光の必要な光センサが入れ替わったような場合、キャップを光センサ同士で交換することも可能である。
【0040】
<発明の変形例>
【0041】
図6は、本発明の変形例における光センサの外観を表わしたものである。この変形例の光センサ501は、センサ本体部502と、このセンサ本体部502よりも一回り大きい遮光キャップ503から構成されている。遮光キャップ503は黒いゴム製であり、センサ本体部502と同一サイズの開口部504が存在している。この開口部504にセンサ本体部502を挿抜自在に嵌入することができる。
【0042】
センサ本体部502の図で左側には実施例と同様にフォトダイオード511の頭部の筒状部分が配置されており、右側には発光ダイオード512が配置されている。すなわち、この変形例のセンサ本体部502はフォトカプラを構成しており、発光ダイオード512から出力された光が図示しない物体によって反射され、フォトダイオード511に入射して検出されるようになっている。このセンサ本体部502も、外乱光のおそれがある場所で使用する場合には遮光キャップ503を取り付ける。これにより、遮光キャップ503の側部あるいは背部から強力な光が入射しようとしても、これを完全に遮光することができる。
【0043】
なお、実施例および変形例では黒いゴム製キャップ274あるいは遮光キャップ503を使用して受光センサ2171あるいはセンサ本体部502の側部や背部から外乱光が入射することを防止したが、素材は遮光性であればゴムに特に限定されるものではない。たとえば、スポンジや樹脂であってもよい。樹脂は必ずしも弾性に富んだものである必要はなく、熱硬化樹脂であってもよい。また、センサ本体部へのキャップ等の遮光物質の取り付けは、遮光性が確保されるものであれば、ネジ、接着剤等の各種の取り付け態様であってもよい。材質も黒色1色に限る必要はない。
【0044】
更に実施例および変形例ではセンサ本体部271、502の側部や背面部にもある程度の遮光構造を採ることにして、ゴム製キャップ274あるいは遮光キャップ503を付ける場合と付けない場合の双方を選択できることにしたが、キャップの部分を樹脂でモールドするような場合にはセンサ本体部271、502の前面以外は特に遮光構造をとる必要がないことは当然である。
【0045】
また、実施例ではプリンタに使用する光センサについて説明したが、あらゆる用途の光センサに本発明を適用できることは当然である。更に実施例ではゴム製キャップ274に1つのフォトダイオード275を配置したが、複数のフォトダイオード275を間隔を置いて配置し、これらを一括して遮光体で周囲からの外乱光に対して遮光するようにしてもよい。
【0046】
更に実施例および変形例では受光素子としてフォトダイオードを使用したが、フォトトランジスタや硫化カドミウムを使ったCdsセル(cadmium sulfide cell)等の他の受光素子も本発明に同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例における光センサを使用したプリンタの概略構成図である。
【図2】本実施例の受光センサの一例についてその外観を示した斜視図である。
【図3】図2に示した受光センサを分解した斜視図である。
【図4】本実施例のプリンタの回路構成の概要を表わしたブロック図である。
【図5】本実施例の先端分離機構部に新たにロール紙をセットした際のその後の制御の流れ図である。
【図6】本発明の変形例における光センサの外観を表わした斜視図である。
【図7】従来の第1の提案による電子機器の要部を表わした要部断面図である。
【符号の説明】
【0048】
201 プリンタ
217 受光センサ
271、502 センサ本体部
273 側面部
274 ゴム製キャップ
275、511 フォトダイオード
501 光センサ
503 遮光キャップ
512 発光ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光素子と、
この受光素子をその前面に配置した装置本体と、
この装置本体の側部および背部を覆う遮光性物質からなる遮光体
とを具備することを特徴とする光センサ。
【請求項2】
受光素子と、
発光素子と、
これら受光素子および発光素子をその前面に間隔を置いて配置した装置本体と、
この装置本体の側部および背部を覆う遮光性物質からなる遮光体
とを具備することを特徴とする光センサ。
【請求項3】
前記遮光体は、弾性を有し、前記装置本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光センサ。
【請求項4】
前記遮光体は、熱硬化性を有し、前記装置本体にモールドされていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光センサ。
【請求項5】
前記遮光体は、熱硬化性を有し、前記装置本体に固着されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光センサ。
【請求項6】
前記装置本体の側部および背部は遮光構造となっていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光センサ。
【請求項7】
電子機器本体と、
この電子機器本体の内部に配置され、媒体の移動を光線の受光の有無によって検出するようその前面に受光素子を配置した1または複数の光センサ本体と、
前記光センサ本体の少なくとも一部についてこれらの側部および背部を覆う遮光性物質からなる遮光体
とを具備することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−12701(P2007−12701A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188549(P2005−188549)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】