説明

光センサーとその駆動方法、及び静脈センサー、指紋センサー

【課題】高性能な光センサーを提供すること。
【解決手段】光センサー1は、計測セル20と、第一選択線GSELAと、読み出し線Senseと、を有し、計測セルは、受光素子PDと、第一トランジスターAMPTFT1と、第二トランジスターAMPTFT2と、選択トランジスターSELTFTと、を備える。第一トランジスターAMPTFT1のゲートとソースとが、其々、受光素子PDの第一極と、第二トランジスターAMPTFT2のゲートとに接続される。選択トランジスターSELTFTのドレインとゲートとソースとが、其々、第二トランジスターAMPTFT2のソースと、第一選択線GSELAと、読み出し線Senseと、に接続される。斯うする事で、高速計測と高精度計測とが両立する光センサー1が実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサーとその駆動方法、及び静脈センサーと指紋センサーの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
静脈センサーや指紋センサーなどに使用される光センサーでは、特許文献1に記載されている様に、基板上に複数の計測セルを行列状に形成し、計測セル毎に光量を測定して、静脈像や指紋画像などを撮像している。図18は特許文献1に記載されている計測セルの回路図である。フォトダイオード112のカソードに、薄膜トランジスター114のゲートと薄膜トランジスター118のソースとが接続している。薄膜トランジスター114のドレインと薄膜トランジスター118のドレインとは、補助走査線141に接続し、薄膜トランジスター114のソースは読出線121に接続している。又、薄膜トランジスター118のゲートは走査線131に接続している。
【0003】
光量を測定するには、最初に薄膜トランジスター114のゲートを電圧Vddに充電する。次いでτの期間に渡って露光する。露光期間中に薄膜トランジスター118はオフ状態にされているので、フォトダイオード112のリーク電流Iに応じて薄膜トランジスター114のゲート電位Vgが変化する。こうして、露光終了後に、薄膜トランジスター114のゲート電位はVg=Vdd−Iτ/CTとなる。尚、ここでCTは薄膜トランジスター114のトランジスター容量である。リーク電流は光量が多い程大きいので、光量に応じて薄膜トランジスター114のゲート電位Vgは変化し、この結果生ずる薄膜トランジスター114のコンダクタンスの変化を、読み出し期間中に、セル毎に計測して、露光期間中に照射された光量を測定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−65209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の光センサーには高速計測と高精度計測とを両立しがたいと云う課題があった。高速計測するには、読み出し期間中に各計測セルが選択されている時間を短くする必要がある。短時間で計測データを読み出すには、薄膜トランジスター114のオン抵抗を下げねばならず、その為には薄膜トランジスター114のゲート幅を広くせねばならない。一方、ゲート幅を広くすると、トランジスター容量CTが増大するので、露光期間中にもたらされるゲート電位の変化Iτ/CTは小さくなり、リーク電流Iの僅かな変化を計測できなくなる。即ち、光量の計測分解能が低下して仕舞う。この様に、従来の光センサーは短時間で行う高速計測と、計測分解能の高い高精度計測と、を同時に達成し得ないと云う課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題の少なくとも一部を解決する為になされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
(適用例1) 本適用例に係わる光センサーは、光量を計測する計測セルと、第一選択線と、読み出し線と、正電源と、負電源とを有する光センサーであって、計測セルは、受光素子と、第一トランジスターと、第二トランジスターと、選択トランジスターと、を少なくとも備え、受光素子の第一極と第一トランジスターのゲートとが電気的に接続され、受光素子の第二極と負電源とが電気的に接続され、第一トランジスターのドレインと正電源とが電気的に接続され、第一トランジスターのソースと第二トランジスターのゲートとが電気的に接続され、第二トランジスターのドレインと正電源とが電気的に接続され、第二トランジスターのソースと選択トランジスターのドレインとが電気的に接続され、選択トランジスターのゲートと第一選択線とが電気的に接続され、選択トランジスターのソースと読み出し線とが電気的に接続される事を特徴とする。
この構成によれば、計測セル毎に選択でき、而も、第一トランジスターを小さくする事ができるので、光量計測が高感度となる。同時に、第二トランジスターを大きくする事ができるので、トランジスターのオン抵抗を下げ、短時間での計測データを読み出せる。即ち、高速計測と高精度計測とを両立させる事ができる。
【0008】
(適用例2) 上記適用例に係わる光センサーにおいて、更に、リセット線を有し、計測セルは、更に、リセットトランジスターを備え、リセットトランジスターのゲートとリセット線とが電気的に接続され、リセットトランジスターのドレインと正電源とが電気的に接続され、リセットトランジスターのソースと第一トランジスターのゲートとが電気的に接続される事が好ましい。
この構成によれば、第一トランジスターのゲートを正電源電位に充電する事ができる。
【0009】
(適用例3) 上記適用例に係わる光センサーにおいて、計測セルは、更に、負荷素子を備え、負荷素子の一方の端子と第一トランジスターのソースとが電気的に接続され、負荷素子の他方の端子と負電源とが電気的に接続される事が好ましい。
この構成によれば、第一トランジスターのゲート電位変化をソース電位の変化に変換して増幅できるので、光量の計測結果を計測が容易で精度が高い電位に変換する事ができる。
【0010】
(適用例4) 上記適用例に係わる光センサーにおいて、更に、第二選択線を有し、負荷素子は、電流源トランジスターであり、電流源トランジスターのゲートと第二選択線とが電気的に接続され、一方の端子は電流源トランジスターのドレインであり、他方の端子は電流源トランジスターのソースである事が好ましい。
この構成によれば、第一トランジスターのゲート電位変化に対するソース電位の変化が、広いゲート電位範囲に渡って、規則的な変化となり、正確に光量を電位に変換する事ができる。
【0011】
(適用例5) 本適用例に係わる光センサーは、光量を計測する計測セルと、第一選択線と、第二選択線と、リセット線と、読み出し線と、正電源と、負電源とを有する光センサーであって、計測セルは、受光素子と、第一トランジスターと、第二トランジスターと、選択トランジスターと、電流源トランジスターと、を少なくとも備え、受光素子の第一極と第一トランジスターのゲートとが電気的に接続され、受光素子の第二極とリセット線とが電気的に接続され、第一トランジスターのドレインと正電源とが電気的に接続され、第一トランジスターのソースと第二トランジスターのゲートと電流源トランジスターのドレインとが電気的に接続され、第二トランジスターのドレインと正電源とが電気的に接続され、第二トランジスターのソースと選択トランジスターのドレインとが電気的に接続され、選択トランジスターのゲートと第一選択線とが電気的に接続され、選択トランジスターのソースと読み出し線とが電気的に接続され、電流源トランジスターのゲートと第二選択線とが電気的に接続され、電流源トランジスターのソースと負電源とが電気的に接続される事を特徴とする。
この構成によれば、4つのトランジスターと一つの受光素子との簡単な構成にて計測セルをなし、更に計測セル毎に選択でき、光量の計測結果を計測が容易で精度が高い電位に変換する事ができる。而も、第一トランジスターのゲート電位変化に対するソース電位の変化が、広いゲート電位範囲に渡って、規則的な変化となり、正確に光量を電位に変換する事ができる。加えて、第一トランジスターを小さくする事ができるので、光量計測が高感度となる。同時に、第二トランジスターを大きくする事ができるので、トランジスターのオン抵抗を下げ、短時間での計測データを読み出せる。即ち、高速計測と高精度計測とを両立させる事ができる。
【0012】
(適用例6) 上記適用例2に係わる光センサーの駆動方法であって、初期化工程と、露光工程と、露光データ読み出し工程とを含み、初期化工程では、リセット線に選択信号が供給されて、リセットトランジスターはオン状態とされ、露光工程では、リセット線に非選択信号が供給されて、リセットトランジスターはオフ状態とされ、露光データ読み出し工程では、第一選択線に選択信号が供給されて、選択トランジスターはオン状態とされる事を特徴とする。
この構成によれば、初期化工程で第一トランジスターのゲートが充電され、露光工程で光量に応じて、受光素子から充電された電荷が漏れ、露光データ読み出し工程で計測データを読み出すので、短期間に高精度で光量を計測できる。
【0013】
(適用例7) 上記適用例に係わる光センサーの駆動方法において、更にリセットデータ読み出し工程を含み、リセットデータ読み出し工程では、リセット線に選択信号が供給されて、リセットトランジスターはオン状態とされ、第一選択線に選択信号が供給されて、選択トランジスターはオン状態とされる事が好ましい。
この構成によれば、露光データ読み出し工程では光量に応じた電位と第一トランジスターの閾値電圧と第二トランジスターの閾値電圧との和に対応する電圧値を読み出し、リセットデータ読み出し工程では充電した電位と第一トランジスターの閾値電圧と第二トランジスターの閾値電圧との和に対応する電圧値を読み出す。従って、これら両者の引き算する事で、第一トランジスターの閾値電圧と第二トランジスターの閾値電圧とを消去して、充電した電位と光量に応じた電位との差を得る事ができる。即ち、第一トランジスターの閾値電圧や第二トランジスターの閾値電圧の計測セル間でのばらつきに関係なく、総ての計測セルにて同じ精度で光量に応じた電位を計測できる。
【0014】
(適用例8) 上記適用例5に係わる光センサーの駆動方法であって、初期化工程と、露光工程と、露光データ読み出し工程とを含み、初期化工程では、リセット線に高電位信号が供給されて、受光素子は順バイアス状態とされ、露光工程では、リセット線に低電位信号が供給されて、受光素子は逆バイアス状態とされ、露光データ読み出し工程では、リセット線に低電位信号が供給されて、受光素子は逆バイアス状態とされ、第一選択線に選択信号が供給されて、選択トランジスターはオン状態とされ、第二選択線に選択信号が供給されて、電流源トランジスターはオン状態とされる事を特徴とする。
この構成によれば、初期化工程で第一トランジスターのゲートが充電され、露光工程で光量に応じて、受光素子から充電された電荷が漏れ、露光データ読み出し工程で計測データを読み出すので、短期間に高精度で光量を計測できる。
【0015】
(適用例9) 上記適用例に係わる光センサーの駆動方法において、更にリセットデータ読み出し工程を含み、リセットデータ読み出し工程では、リセット線に高電位信号が供給されて、受光素子は順バイアス状態とされた後に、リセット線に低電位信号が供給されて、受光素子は逆バイアス状態とされ、第一選択線に選択信号が供給されて、選択トランジスターはオン状態とされ、第二選択線に選択信号が供給されて、電流源トランジスターはオン状態とされる事が好ましい。
この構成によれば、露光データ読み出し工程では光量に応じた電位と第一トランジスターの閾値電圧と第二トランジスターの閾値電圧の和に対応する電圧値を読み出し、リセットデータ読み出し工程では充電した電位と第一トランジスターの閾値電圧と第二トランジスターの閾値電圧との和に対応する電圧値を読み出す。従って、これら両者の引き算する事で、第一トランジスターの閾値電圧と第二トランジスターの閾値電圧とを消去して、充電した電位と光量に応じた電位との差を得る事ができる。即ち、第一トランジスターの閾値電圧や第二トランジスターの閾値電圧の計測セル間でのばらつきに関係なく、総ての計測セルにて同じ精度で光量に応じた電位を計測できる。
【0016】
(適用例10) 上記適用例に係わる光センサーを備えた事を特徴とする静脈センサー。
この構成によれば、高速計測と高精度計測とを両立した静脈センサーを実現できる。
【0017】
(適用例11) 上記適用例に係わる光センサーを備えた事を特徴とする指紋センサー。
この構成によれば、高速計測と高精度計測とを両立した指紋センサーを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】光センサーの回路ブロック図。
【図2】実施形態1で初期化工程を示した図。
【図3】実施形態1で露光工程を示した図。
【図4】実施形態1で露光データ読み出し工程を示した図。
【図5】実施形態1でリセットデータ読み出し工程を示した図。
【図6】実施形態1で待機工程を示した図。
【図7】実施形態2に係わる光センサーの一例を説明した図。
【図8】実施形態2で初期化工程を示した図。
【図9】実施形態2で露光工程を示した図。
【図10】実施形態2で露光データ読み出し工程を示した図。
【図11】実施形態2でリセットデータ読み出し工程を示した図。
【図12】実施形態2で待機工程を示した図。
【図13】変形例1で初期化工程を示した図。
【図14】変形例1で露光工程を示した図。
【図15】変形例1で露光データ読み出し工程を示した図。
【図16】変形例1でリセットデータ読み出し工程を示した図。
【図17】変形例1で待機工程を示した図。
【図18】従来技術における計測セルの回路図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
【0020】
(実施形態1)
「光センサーの概要」
先ず、光センサーの概要を、図1を参照して説明する。
図1は、実施形態1における光センサー1の回路ブロック図である。光センサー1は計測領域10を有し、計測領域10には複数の計測セル20が規則的に配列されている。ここでは計測セル20が行列状に配置されている。これらの計測セル20が個別に光量を計測する事で、画像が撮像される。計測領域10の外側には選択回路SCやパラレル・シリアル変換回路PSCが備えられている。選択回路SCは第一選択回路SCAと第二選択回路SCBと第三選択回路SCCとを含んでいる。又、パラレル・シリアル変換回路PSCはサンプルホールド回路SHCとサンプルホールド選択回路SHSとを含んでいる。これらの計測領域10や選択回路SC、及びパラレル・シリアル変換回路PSCには外部のコントローラーに接続する配線が引かれている。尚、図1では、複数種類の配線も象徴として一本の黒線で描いてある場合(例えば、パラレル・シリアル変換回路PSCへの入力PSINや選択回路SCへの入力SCIN)もある。又、計測領域10には複数の計測セル20が設けられているが、理解を容易とする為に、一つの計測セル20とそれに接続する配線とを描いてある。
【0021】
光センサー1にて撮像するには、初期化工程と露光工程と露光データ読み出し工程とが必要となる。初期化工程では露光の準備をし、露光工程で光量を電気情報に変換し、得られた電気情報は露光データ読み出し工程でサンプルホールド回路SHCに出力される。初期化工程と露光工程と露光データ読み出し工程は選択回路SCにて行ごとに設定される。露光データ読み出し工程で各計測セルの電気情報が個別に読み出される。具体的には選択回路SCにて行方向に揃う一行の計測セル20が選択される。選択された行に属する計測セル20が取得した電気情報はサンプルホールド回路SHCに保持される。サンプルホールド回路SHCは複数のアナログデータ値を独立に保持すべく、複数個の要素回路を有している。即ち、要素回路は列毎に設けられ、一つの要素回路がその列に出力されたアナログデータの電気情報を保持する。サンプルホールド選択回路SHSはこれら複数の要素回路から、一つの要素回路を選択し、その要素回路のデータを出力線DOUTに出力する。こうして列方向に並列する電気情報は一つずつシリアルデータとして出力線DOUTに出力される。
【0022】
「計測セルの回路構成」
次に計測セル20の回路構成を、図1を参照して説明する。尚、図1にはトランジスターのソースとドレインとをsとdとで示し、ダイオードのアノードとカソードとをAとCとで示してある。計測領域10には、第一選択線GSELAと、読み出し線Senseと、第二選択線GSELBと、リセット線GRSTと、正電源Vddと、負電源Vssとが配線されている。計測セル20は行列状に並ぶが、第一選択線GSELAが行方向を定め、読み出し線Senseが列方向を定めている。即ち、i行目の第一選択線GSELAとj列目の読み出し線Senseとの交点に、i行j列に位置する計測セル20が配置される。従って、計測セル20がM行N列の行列状に配置されている場合、第一選択線GSELAはM本設けられ、読み出し線SenseはN本設けられる。尚、MもNも1以上の整数である。リセット線GRSTも、第一選択線GSELAに一対一対応してM本設けられる。又、第二選択線GSELBも、第一選択線GSELAに一対一対応してM本設けられるのが好ましく、図1にもそう描かれている。但し、本実施形態では第二選択線GSELBは選択非選択の動作がなされず、全計測セル20で同じ電位を取るので、複数行又は複数列の計測セル20で一本の第二選択線GSELBを共用しても良い。同様に正電源Vddと負電源Vssも、複数行又は複数列の計測セル20で一本の正電源Vdd、或いは一本の負電源Vssを共用しても良い。第一選択線GSELAは第一選択回路SCAに電気的に接続し、第一選択回路SCAによって選択される。同様に、第二選択線GSELBは第二選択回路SCBに電気的に接続し、第二選択回路SCBによって選択される。同様に、リセット線GRSTは第三選択回路SCCに電気的に接続し、第三選択回路SCCによって選択される。読み出し線Senseは、列毎に設けられた一つの要素回路に電気的に接続される。尚、AとBとが電気的に接続するとは、AとBとが配線で直接結ばれている場合の他に、AとBとの間にパスゲートなどのスイッチが設けられ、スイッチが導通状態になった際にAとBとが導通状態になる場合をも含んでいる。
【0023】
計測セル20は、受光素子PDと、第一トランジスターAMPTFT1と、第二トランジスターAMPTFT2と、選択トランジスターSELTFTと、リセットトランジスターRSTTFTと負荷素子と、を備えている。ここで負荷素子は、電流源トランジスターCSTFTであるが、単純な抵抗体であっても良い。負荷素子を設ける事で、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位変化をソース電位の変化に変換して増幅できる。これにより光量の計測結果を、計測が容易で精度が高い電位に変換する事が可能となる。
【0024】
受光素子PDはフォトダイオードである。これの第一極がカソードで、第一トランジスターAMPTFT1のゲートと、リセットトランジスターRSTTFTのソースとに電気的に接続している。リセットトランジスターRSTTFTのドレインは正電源Vddに電気的に接続されているので、フォトダイオードのカソードはリセットトランジスターRSTTFTを介して正電源Vddに電気的に接続されている事になる。一方、受光素子PDの第二極はアノードで、これは負電源Vssに電気的に接続されている。従って、受光素子PDは正電源Vddと負電源Vssとの間に逆バイアス状態になる様に配置されている。リセットトランジスターRSTTFTのゲートは、リセット線GRSTに電気的に接続され、リセットトランジスターRSTTFTはリセット線GRSTに供給される電気信号で制御される。
【0025】
第一トランジスターAMPTFT1は、そのドレインが正電源Vddに電気的に接続され、ソースが第二トランジスターAMPTFT2のゲートと負荷素子の一方の端子とに電気的に接続されている。負荷素子の他方の端子は負電源Vssに電気的に接続されている。前述の如く、負荷素子は電流源トランジスターCSTFTであり、一方の端子が電流源トランジスターCSTFTのドレインに相当し、他方の端子は電流源トランジスターCSTFTのソースに相当する。従って、第一トランジスターAMPTFT1のソースは、負電源Vssに電気的に接続されている事になる。電流源トランジスターCSTFTのゲートは、第二選択線GSELBに電気的に接続され、電流源トランジスターCSTFTは第二選択線GSELBに供給される電気信号で制御される。
【0026】
第二トランジスターAMPTFT2は、そのドレインが正電源Vddに電気的に接続され、ソースが選択トランジスターSELTFTのドレインに電気的に接続されている。選択トランジスターSELTFTのソースは読み出し線Senseに電気的に接続されている。選択トランジスターSELTFTのゲートは第一選択線GSELAに電気的に接続され、選択トランジスターSELTFTは第一選択線GSELAに供給される電気信号で制御される。
【0027】
この構成では、第一トランジスターAMPTFT1のゲート幅を狭くして、トランジスター容量CTを小さくするので、光センサー1を高感度とする事ができる。同時に第二トランジスターAMPTFT2のゲート幅を広くして、第二トランジスターAMPTFT2のオン抵抗を下げるので、オン抵抗と読み出し線との寄生容量との積で定まる時定数を短くする事ができ、短時間での出力が可能になる。即ち、高感度測定を迅速に行える様になる。
【0028】
「光センサーの駆動方法」
次に光センサー1の駆動方法を、図2乃至6を参照して説明する。尚、図2乃至6では、第一選択線GSELAと第二選択線GSELBとリセット線GRSTとに関しては、選択信号が供給されている場合にこれらの配線を太線で描き、非選択信号が供給されている場合にこれらの配線を点線で描いてある。選択信号とはその配線にゲートが接続するトランジスターをオン状態とする信号で、非選択信号とはその配線にゲートが接続するトランジスターをオフ状態とする信号である。本実施形態では、リセットトランジスターRSTTFTや電流源トランジスターCSTFT、選択トランジスターSELTFTにN型トランジスターを用いているので、選択信号が高電位(正電源Vdd以上の高い電位)となり、非選択信号が低電位(例えば、接地電位などの負電源Vss)となる。又、図2乃至6では、正電源Vddも太線で描き、負電源Vssも点線で描いてある。更に、図2乃至6で、黒矢印はトランジスターがオン状態、又はダイオードが順バイアス状態に成り得る事を示す。灰色矢印はトランジスターがオン状態からオフ状態の間の何処かで固定している状態を示す。白矢印はトランジスターがその期間中にオン状態とオフ状態との間を変化し得る状態を示す。Xはトランジスターがオフ状態、又はダイオードが逆バイアス状態となっている状態を示す。
【0029】
光センサー1を用いた撮像は、初期化工程と、露光工程と、露光データ読み出し工程と、リセットデータ読み出し工程と、待機工程と、で一周期をなして一枚の画像が得られる。以下、この一周期を、順を追って説明する。
【0030】
図2は、本実施形態での初期化工程を示した図である。初期化工程では、リセット線GRSTにリセット選択信号が供給されて、リセットトランジスターRSTTFTはオン状態とされる。リセット選択信号の電位は、リセットトランジスターRSTTFTの閾値電圧よりも高く、リセットトランジスターRSTTFTをオン状態とする値である。好ましくは、リセット選択信号の電位は、正電源Vdd以上の値である。その結果、第一トランジスターAMPTFT1は、初期化工程期間中に、そのゲートが正電源Vddへと充電される。第二選択線GSELBには第二選択信号が供給され、電流源トランジスターCSTFTを定電流源として動作させる。第二選択信号の電位は、電流源トランジスターCSTFTの閾値電圧を僅かに超えた値(Vth+δ、0<δ<0.3V)程度か、それよりも僅かに小さい。第二選択信号の電位がVth+δ程度ならば、電流源トランジスターCSTFTは殆どの場合、飽和動作し、定電流源となる。又、第二選択信号の電位がVthよりも小さければ、電流源トランジスターCSTFTは閾値下領域に入るので矢張り飽和動作し、定電流源となる。
【0031】
図3は、本実施形態での露光工程を示した図である。露光工程では、リセット線GRSTに非選択信号が供給されて、リセットトランジスターRSTTFTはオフ状態とされている。露光工程で照射された光量に応じて受光素子PDは電荷を漏らし、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位は変化する。これに合わせて、第二トランジスターAMPTFT2のゲート電位も変化する。第二選択線GSELBには、初期化工程と同じく、第二選択信号が供給されている。又、第一選択線GSELAには非選択信号が供給されている。
【0032】
図4は、本実施形態での露光データ読み出し工程を示した図で、(a)は選択された計測セルを示し、(b)は非選択の計測セルを示している。露光工程が終了すると、露光データ読み出し工程に移る。この期間中、リセット線GRSTには非選択信号が供給されて、リセットトランジスターRSTTFTはオフ状態とされて、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位は保存される。即ち、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位は露光量に応じた固定値に定まっている。露光量に応じた固定値はゼロVからVddの間にある。第二選択線GSELBには、露光工程と同じく、第二選択信号が供給されている。従って、露光データ読み出し期間中、第二トランジスターAMPTFT2のゲート電位は、露光量に応じた固定値に保たれている。図4(a)に示す様に、読み出しの選択がなされる計測セルでは、第一選択線GSELAに第一選択信号が供給されている。第一選択信号の電位は選択トランジスターSELTFTの閾値電圧以上の値で、好ましくは正電源Vdd以上の値である。その結果、選択トランジスターSELTFTはオン状態とされ、読み出し線Senseを介して第二トランジスターAMPTFT2のソース電位が測定される。一方、図4(b)に示す様に、読み出しの選択がなされない非選択の計測セルでは、第一選択線GSELAには非選択信号が供給されており、選択トランジスターSELTFTはオフ状態とされている。
【0033】
図5は、本実施形態でのリセットデータ読み出し工程を示した図で、(a)は選択された計測セルを示し、(b)は非選択の計測セルを示している。露光データ読み出し工程が終了すると、リセットデータ読み出し工程に移る。この期間中、リセット線GRSTにはリセット選択信号が供給されて、リセットトランジスターRSTTFTはオン状態とされ、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位は正電源Vddとされる。第二選択線GSELBには、露光工程と同じく、第二選択信号が供給されている。従って、リセットデータ読み出し期間中、第二トランジスターAMPTFT2のゲート電位は、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位が正電源Vddとされている状態に応じた固定値に保たれている。図5(a)に示す様に、読み出しの選択がなされる計測セルでは、第一選択線GSELAに第一選択信号が供給され、選択トランジスターSELTFTはオン状態とされる。即ち、読み出し線Senseを介して、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位が正電源Vddとされている状態に応じた第二トランジスターAMPTFT2のソース電位が測定される。一方、図5(b)に示す様に、読み出しの選択がなされない非選択の計測セルでは、第一選択線GSELAには非選択信号が供給されており、選択トランジスターSELTFTはオフ状態とされている。
【0034】
露光データ読み出し工程では光量に応じた電位(Vphoto)と第一トランジスターの閾値電圧(Vth1)と第二トランジスターの閾値電圧(Vth2)との和に対応する電圧値(Vphoto+Vth1+Vth2)を読み出す。これに対して、リセットデータ読み出し工程では充電した電位(Vdd)と第一トランジスターの閾値電圧と第二トランジスターの閾値電圧との和に対応する電圧値(Vdd+Vth1+Vth2)を読み出す。従って、これら両者の引き算する事で、第一トランジスターの閾値電圧と第二トランジスターの閾値電圧とを消去して、充電した電位と光量に応じた電位との差を得る事ができる。即ち、第一トランジスターの閾値電圧や第二トランジスターの閾値電圧の計測セル間でのばらつきに関係なく、総ての計測セルにて同じ精度で光量に応じた電位を計測できる。
【0035】
図6は、本実施形態での待機工程を示した図である。リセットデータ読み出し工程が終わると、計測セルは待機状態となる。この期間中、リセット線GRSTに選択信号が供給されて、リセットトランジスターRSTTFTはオン状態とされる。又、第一選択線GSELAは非選択信号が供給されて、選択トランジスターSELTFTはオフ状態とされている。以降、次の露光工程が始まるまで、待機状態が維持される。
【0036】
「電子機器」
前述した光センサー1は静脈センサーや指紋センサーなどの各種センサーに適応できる。これらの他にも、デジタルカメラやイメージセンサー、スキャナーなどの電子機器に本実施形態に係わる光センサー1を適用する事ができる。
【0037】
以上述べた様に、本実施形態に係わる光センサー1とその製造方法に依れば、以下の効果を得る事ができる。
第一トランジスターAMPTFT1を小さくして、光量計測を高感度とすると同時に、第二トランジスターAMPTFT2を大きくするので、短時間での計測データを読み出せる。即ち、高速計測と高精度計測とを両立させる事ができる。又、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位変化をソース電位の変化に変換して増幅できるので、光量の計測結果を計測が容易で精度が高い電位に変換する事ができる。更に負荷素子に電流源トランジスターCSTFTを用いているので、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位変化に対するソース電位の変化が、広いゲート電位範囲に渡って、規則的な変化となり、正確に光量を電位に変換する事ができる。
【0038】
又、初期化工程で第一トランジスターAMPTFT1のゲートが充電され、露光工程で光量に応じて、受光素子PDから充電された電荷が漏れ、露光データ読み出し工程で計測データを読み出すので、短期間に高精度で光量を計測できる。加えて、露光データ読み出し工程とリセットデータ読み出し工程とを有するので、第一トランジスターAMPTFT1の閾値電圧と第二トランジスターAMPTFT2の閾値電圧とを消去して、充電した電位と光量に応じた電位との差を得る事ができる。即ち、第一トランジスターAMPTFT1の閾値電圧や第二トランジスターAMPTFT2の閾値電圧の計測セル20間でのばらつきに関係なく、総ての計測セル20にて同じ精度で光量に応じた電位を計測できる。
【0039】
尚、本実施形態では第一トランジスターAMPTFT1や第二トランジスターAMPTFT2、電流源トランジスターCSTFT、選択トランジスターSELTFT、リセットトランジスターRSTTFT、にN型薄膜トランジスターを用いたが、これらはP型薄膜トランジスターであっても良い。その場合、選択信号は非選択信号に対して負の値となる。例えば、非選択信号を正電源Vddとし、選択信号を負電源Vss(ゼロV)からVddよりも小さい値とする。又、P型の電流源トランジスターCSTFTはソースを正電源Vddに電気的に接続する。
【0040】
(実施形態2)
「リセットトランジスターを伴わぬ形態」
図7は実施形態2に係わる光センサーの一例を説明した図である。以下、本実施形態に係わる光センサー1について説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
【0041】
本実施形態(図7)は実施形態1(図1)と比べて、計測セル20の回路構成が異なっている。それ以外の構成は、実施形態1とほぼ同様である。尚、図7でもトランジスターのソースとドレインとをsとdとで示し、ダイオードのアノードとカソードとをAとCとで示してある。計測領域10には、第一選択線GSELAと、読み出し線Senseと、第二選択線GSELBと、リセット線GRSTと、正電源Vddと、負電源Vssとが配線されている。実施形態1と同様に、第一選択線GSELAが行方向を定め、読み出し線Senseが列方向を定めている。即ち、計測セル20はM行N列の行列状に配置され、第一選択線GSELAはM本設けられ、読み出し線SenseはN本設けられる。尚、MもNも1以上の整数である。リセット線GRSTも、第一選択線GSELAに一対一対応してM本設けられる。又、第二選択線GSELBも、第一選択線GSELAに一対一対応してM本設けられるのが好ましい。但し、本実施形態でも第二選択線GSELBは選択非選択の動作がなされず、全計測セル20で同じ電位を取るので、複数行又は複数列の計測セル20で一本の第二選択線GSELBを共用しても良い。
【0042】
計測セル20は、受光素子PDと、第一トランジスターAMPTFT1と、第二トランジスターAMPTFT2と、選択トランジスターSELTFTと、負荷素子と、を備えている。負荷素子は、電流源トランジスターCSTFTであるが、単純な抵抗体であっても良い。
【0043】
受光素子PDはフォトダイオードで、この第一極(カソード)が第一トランジスターAMPTFT1のゲートに電気的に接続している。一方、受光素子の第二極(アノード)はリセット線GRSTに電気的に接続されている。
【0044】
第一トランジスターAMPTFT1は、そのドレインが正電源Vddに電気的に接続され、ソースが第二トランジスターAMPTFT2のゲートと負荷素子の一方の端子とに電気的に接続されている。負荷素子の他方の端子は負電源Vssに電気的に接続されている。前述の如く、負荷素子は電流源トランジスターCSTFTであり、一方の端子が電流源トランジスターCSTFTのドレインに相当し、他方の端子は電流源トランジスターCSTFTのソースに相当する。電流源トランジスターCSTFTのゲートは、第二選択線GSELBに電気的に接続され、電流源トランジスターCSTFTは第二選択線GSELBに供給される電気信号で制御される。
【0045】
第二トランジスターAMPTFT2は、そのドレインが正電源Vddに電気的に接続され、ソースが選択トランジスターSELTFTのドレインに電気的に接続されている。選択トランジスターSELTFTのソースは読み出し線Senseに電気的に接続されている。選択トランジスターSELTFTのゲートは第一選択線GSELAに電気的に接続され、選択トランジスターSELTFTは第一選択線GSELAに供給される電気信号で制御される。
【0046】
この構成では、第一トランジスターAMPTFT1のゲート幅を狭くして、トランジスター容量CTを小さくするので、光センサー1を高感度とする事ができる。同時に第二トランジスターAMPTFT2のゲート幅を広くして、第二トランジスターAMPTFT2のオン抵抗を下げるので、オン抵抗と読み出し線との寄生容量との積で定まる時定数を短くする事ができ、短時間での出力が可能になる。即ち、高感度測定を迅速に行える様になる。
【0047】
「光センサーの駆動方法」
次に光センサー1の駆動方法を、図8乃至12を参照して説明する。尚、図8乃至12でも、選択信号が供給されている配線と正電源Vddとを太線で描き、非選択信号が供給されている配線と負電源Vssとを点線で描く。又、黒矢印と、灰色矢印、白矢印、Xに関しても実施形態1と同じ意味を持たせる。
【0048】
光センサー1を用いた撮像は、初期化工程と、露光工程と、露光データ読み出し工程と、リセットデータ読み出し工程と、待機工程と、で一周期をなして一枚の画像が得られる。以下、この一周期を、順を追って説明する。
【0049】
図8は、本実施形態での初期化工程を示した図である。初期化工程では、リセット線GRSTにリセット選択信号が供給されて、受光素子PDは順バイアス状態とされる。リセット選択信号の電位は、第一トランジスターAMPTFT1の閾値電圧よりも高く、第一トランジスターAMPTFT1をオン状態とする値である。好ましくは、リセット選択信号の電位は、正電源Vdd以上の値である。その後リセット線GRSTに非選択信号が供給されて、受光素子PDは逆バイアス状態とされる。この結果、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位は受光素子PDの静電容量と第一トランジスターAMPTFT1のゲート容量で容量分割された所定のリセット電位VRSTにリセットされる。第一選択線GSELAには非選択信号が供給され、選択トランジスターSELTFTはオフ状態とされる。同様に、第二選択線GSELBにも非選択信号が供給され、電流源トランジスターCSTFTはオフ状態とされる。
【0050】
図9は、本実施形態での露光工程を示した図である。露光工程では、リセット線GRSTに非選択信号が供給されて、受光素子PDは逆バイアス状態とされている。照射された光量に応じて受光素子PDは電荷を漏らし、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位は変化する。これに合わせて、第二トランジスターAMPTFT2のゲート電位も変化する。第一選択線GSELAには非選択信号が供給されている。又、第二選択線GSELBにも非選択信号が供給されている。
【0051】
図10は、本実施形態での露光データ読み出し工程を示した図で、(a)は選択された計測セルを示し、(b)は非選択の計測セルを示している。露光工程が終了すると、露光データ読み出し工程に移る。この期間中、リセット線GRSTには非選択信号が供給されて、受光素子PDは逆バイアス状態とされて、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位は保存される。即ち、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位は露光量に応じた固定値に定まっている。第二選択線GSELBには、第二選択信号が供給されている。第二選択信号の電位は、電流源トランジスターCSTFTの閾値電圧を僅かに超えた値(Vth+δ、0<δ<0.3V)程度か、それよりも僅かに小さい。第二選択信号の電位がVth+δ程度ならば、電流源トランジスターCSTFTは殆どの場合、飽和動作し、定電流源となる。又、第二選択信号の電位がVthよりも小さければ、電流源トランジスターCSTFTは閾値下領域に入るので矢張り飽和動作し、定電流源となる。こうして、露光データ読み出し期間中、第二トランジスターAMPTFT2のゲート電位は、露光量に応じた固定値に保たれている。図10(a)に示す様に、読み出しの選択がなされる計測セルでは、第一選択線GSELAに第一選択信号が供給されている。第一選択信号の電位は選択トランジスターSELTFTの閾値電圧以上の値で、好ましくは正電源Vdd以上の値である。その結果、選択トランジスターSELTFTはオン状態とされ、読み出し線Senseを介して第二トランジスターAMPTFT2のソース電位が測定される。一方、図10(b)に示す様に、読み出しの選択がなされない非選択の計測セルでは、第一選択線GSELAには非選択信号が供給されており、選択トランジスターSELTFTはオフ状態とされている。
【0052】
図11は、本実施形態でのリセットデータ読み出し工程を示した図で、(a)は選択された計測セルを示し、(b)は非選択の計測セルを示している。露光データ読み出し工程が終了すると、リセットデータ読み出し工程に移る。この期間中、リセット線GRSTにはリセット選択信号が供給されて、受光素子PDは順バイアス状態とされ、その後リセット線GRSTに非選択信号が供給されて、受光素子PDは逆バイアス状態とされる。この結果、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位は受光素子PDの静電容量と第一トランジスターAMPTFT1のゲート容量で容量分割された所定のリセット電位(VRST)にリセットされる。第二選択線GSELBには、第二選択信号が供給されている。従って、リセットデータ読み出し期間中、第二トランジスターAMPTFT2のゲート電位は、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位がVRSTとされている状態に応じた固定値に保たれている。図11(a)に示す様に、読み出しの選択がなされる計測セルでは、第一選択線GSELAに第一選択信号が供給され、選択トランジスターSELTFTはオン状態とされる。即ち、読み出し線Senseを介して、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位がVRSTとされている状態に応じた第二トランジスターAMPTFT2のソース電位が測定される。一方、図11(b)に示す様に、読み出しの選択がなされない非選択の計測セルでは、第一選択線GSELAには非選択信号が供給されており、選択トランジスターSELTFTはオフ状態とされている。
【0053】
露光データ読み出し工程ではVphoto+Vth1+Vth2を読み出す。これに対して、リセットデータ読み出し工程ではVRST+Vth1+Vth2を読み出す。従って、これら両者の引き算する事で、第一トランジスターの閾値電圧と第二トランジスターの閾値電圧とを消去して、充電した電位と光量に応じた電位との差を得る事ができる。即ち、第一トランジスターの閾値電圧や第二トランジスターの閾値電圧の計測セル間でのばらつきに関係なく、総ての計測セルにて同じ精度で光量に応じた電位を計測できる。
【0054】
図12は、本実施形態での待機工程を示した図である。リセットデータ読み出し工程が終わると、計測セルは待機状態となる。この期間中、リセット線GRSTに非選択信号が供給される。又、第一選択線GSELAにも非選択信号が供給されて、選択トランジスターSELTFTはオフ状態とされている。以降、次の画像が撮像される時迄、待機状態が維持される。
【0055】
以上述べたように、本実施形態に係わる光センサー1によれば、4つのトランジスターと一つの受光素子との簡単な構成にて、実施形態1と同じ効果を得る事ができる。
【0056】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0057】
(変形例1)
「駆動方法が異なる形態」
本変形例では、実施形態1の構成(図1)にて、駆動方法が異なる形態を説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
【0058】
本変形例における光センサー1の駆動方法を、図13乃至17を参照して説明する。尚、図13乃至17では、選択信号が供給されている配線と正電源Vddとを太線で描き、非選択信号が供給されている配線と負電源Vssとを点線で描く。又、黒矢印と、灰色矢印、白矢印、Xに関しても実施形態1と同じ意味を持たせる。
【0059】
光センサー1を用いた撮像は、初期化工程と、露光工程と、露光データ読み出し工程と、リセットデータ読み出し工程と、待機工程と、で一周期をなして一枚の画像が得られる。以下、この一周期を、順を追って説明する。
【0060】
図13は、本変形例での初期化工程を示した図である。初期化工程では、リセット線GRSTにリセット選択信号が供給されて、リセットトランジスターRSTTFTはオン状態とされる。その結果、第一トランジスターAMPTFT1は、初期化工程期間中に、そのゲートが正電源Vddへと充電される。第一選択線GSELAには非選択信号が供給され、選択トランジスターSELTFTはオフ状態とされている。第二選択線GSELBにも非選択信号が供給され、電流源トランジスターCSTFTはオフ状態とされている。
【0061】
図14は、本変形例での露光工程を示した図である。露光工程では、リセット線GRSTに非選択信号が供給されて、リセットトランジスターRSTTFTはオフ状態とされている。露光工程で照射された光量に応じて受光素子PDは電荷を漏らし、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位は変化する。これに合わせて、第二トランジスターAMPTFT2のゲート電位も変化する。但し、第二選択線GSELBには、非選択信号が供給されており、電流源トランジスターCSTFTはオフ状態とされている。又、第一選択線GSELAにも非選択信号が供給されている。
【0062】
図15は、本変形例での露光データ読み出し工程を示した図で、(a)は選択された計測セルを示し、(b)は非選択の計測セルを示している。露光工程が終了すると、露光データ読み出し工程に移る。この期間中、リセット線GRSTには非選択信号が供給されて、リセットトランジスターRSTTFTはオフ状態とされ、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位は保存される。即ち、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位は露光量に応じた固定値に定まっている。第二選択線GSELBには第二選択信号が供給されて、電流源トランジスターCSTFTは定電流源となっている。こうして、露光データ読み出し期間中、第二トランジスターAMPTFT2のゲート電位は、露光量に応じた固定値に保たれている。図15(a)に示す様に、読み出しの選択がなされる計測セルでは、第一選択線GSELAに第一選択信号が供給されている。その結果、選択トランジスターSELTFTはオン状態とされ、読み出し線Senseを介して第二トランジスターAMPTFT2のソース電位が測定される。一方、図15(b)に示す様に、読み出しの選択がなされない非選択の計測セルでは、第一選択線GSELAには非選択信号が供給されており、選択トランジスターSELTFTはオフ状態とされている。
【0063】
図16は、本変形例でのリセットデータ読み出し工程を示した図で、(a)は選択された計測セルを示し、(b)は非選択の計測セルを示している。露光データ読み出し工程が終了すると、リセットデータ読み出し工程に移る。リセット線GRSTにはリセット選択信号が供給されて、リセットトランジスターRSTTFTはオン状態とされ、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位は正電源Vddとされる。第二選択線GSELBには、第二選択信号が供給されている。従って、リセットデータ読み出し期間中、第二トランジスターAMPTFT2のゲート電位は、第一トランジスターAMPTFT1のゲート電位が正電源Vddとされている状態に応じた固定値に保たれている。図16(a)に示す様に、読み出しの選択がなされる計測セルでは、第一選択線GSELAに第一選択信号が供給され、選択トランジスターSELTFTはオン状態とされる。一方、図16(b)に示す様に、読み出しの選択がなされない非選択の計測セルでは、第一選択線GSELAには非選択信号が供給されており、選択トランジスターSELTFTはオフ状態とされている。
【0064】
図17は、本変形例での待機工程を示した図である。リセットデータ読み出し工程が終わると、計測セルは待機状態となる。この期間中、リセット線GRSTに選択信号が供給されて、リセットトランジスターRSTTFTはオン状態とされる。又、第一選択線GSELAにも非選択信号が供給されて、選択トランジスターSELTFTはオフ状態とされている。又、第二選択線GSELBにも非選択信号が供給されて、電流源トランジスターCSTFTはオフ状態とされている。以降、次の画像が撮像される時迄、待機状態が維持される。
【0065】
以上述べたように、本変形例に係わる光センサー1の駆動方法によれば、実施形態1での効果に加えて、電流源トランジスターCSTFTを、それが必要とされる期間に動作させるので、エネルギー効率を高める事ができる。
【符号の説明】
【0066】
1…光センサー、10…計測領域、20…計測セル、GRST…リセット線、GSELA…第一選択線、GSELB…第二選択線、Sense…読み出し線、RSTTFT…リセットトランジスター、PD…受光素子、AMPTFT1…第一トランジスター、AMPTFT2…第二トランジスター、CSTFT…電流源トランジスター、SELTFT…選択トランジスター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光量を計測する計測セルと、第一選択線と、読み出し線と、正電源と、負電源とを有する光センサーであって、
前記計測セルは、受光素子と、第一トランジスターと、第二トランジスターと、選択トランジスターと、を少なくとも備え、
前記受光素子の第一極と前記第一トランジスターのゲートとが電気的に接続され、前記受光素子の第二極と前記負電源とが電気的に接続され、
前記第一トランジスターのドレインと前記正電源とが電気的に接続され、前記第一トランジスターのソースと前記第二トランジスターのゲートとが電気的に接続され、
前記第二トランジスターのドレインと前記正電源とが電気的に接続され、前記第二トランジスターのソースと前記選択トランジスターのドレインとが電気的に接続され、
前記選択トランジスターのゲートと前記第一選択線とが電気的に接続され、前記選択トランジスターのソースと前記読み出し線とが電気的に接続される事を特徴とする光センサー。
【請求項2】
更に、リセット線を有し、
前記計測セルは、更に、リセットトランジスターを備え、
前記リセットトランジスターのゲートと前記リセット線とが電気的に接続され、前記リセットトランジスターのドレインと前記正電源とが電気的に接続され、前記リセットトランジスターのソースと前記第一トランジスターのゲートとが電気的に接続される事を特徴とする請求項1に記載の光センサー。
【請求項3】
前記計測セルは、更に、負荷素子を備え、
前記負荷素子の一方の端子と前記第一トランジスターのソースとが電気的に接続され、前記負荷素子の他方の端子と前記負電源とが電気的に接続される事を特徴とする請求項1又は2に記載の光センサー。
【請求項4】
更に、第二選択線を有し、
前記負荷素子は、電流源トランジスターであり、
前記電流源トランジスターのゲートと前記第二選択線とが電気的に接続され、前記一方の端子は前記電流源トランジスターのドレインであり、前記他方の端子は前記電流源トランジスターのソースである事を特徴とする請求項3に記載の光センサー。
【請求項5】
光量を計測する計測セルと、第一選択線と、第二選択線と、リセット線と、読み出し線と、正電源と、負電源とを有する光センサーであって、
前記計測セルは、受光素子と、第一トランジスターと、第二トランジスターと、選択トランジスターと、電流源トランジスターと、を少なくとも備え、
前記受光素子の第一極と前記第一トランジスターのゲートとが電気的に接続され、前記受光素子の第二極と前記リセット線とが電気的に接続され、
前記第一トランジスターのドレインと前記正電源とが電気的に接続され、前記第一トランジスターのソースと前記第二トランジスターのゲートと前記電流源トランジスターのドレインとが電気的に接続され、
前記第二トランジスターのドレインと前記正電源とが電気的に接続され、前記第二トランジスターのソースと前記選択トランジスターのドレインとが電気的に接続され、
前記選択トランジスターのゲートと前記第一選択線とが電気的に接続され、前記選択トランジスターのソースと前記読み出し線とが電気的に接続され、
前記電流源トランジスターのゲートと前記第二選択線とが電気的に接続され、前記電流源トランジスターのソースと前記負電源とが電気的に接続される事を特徴とする光センサー。
【請求項6】
請求項2に記載の光センサーの駆動方法であって、
初期化工程と、露光工程と、露光データ読み出し工程とを含み、
前記初期化工程では、前記リセット線に選択信号が供給されて、前記リセットトランジスターはオン状態とされ、
前記露光工程では、前記リセット線に非選択信号が供給されて、前記リセットトランジスターはオフ状態とされ、
前記露光データ読み出し工程では、前記第一選択線に選択信号が供給されて、前記選択トランジスターはオン状態とされる事を特徴とする光センサーの駆動方法。
【請求項7】
更にリセットデータ読み出し工程を含み、
前記リセットデータ読み出し工程では、前記リセット線に選択信号が供給されて、前記リセットトランジスターはオン状態とされ、
前記第一選択線に選択信号が供給されて、前記選択トランジスターはオン状態とされる事を特徴とする請求項6に記載の光センサーの駆動方法。
【請求項8】
請求項5に記載の光センサーの駆動方法であって、
初期化工程と、露光工程と、露光データ読み出し工程とを含み、
前記初期化工程では、前記リセット線に高電位信号が供給されて、前記受光素子は順バイアス状態とされ、
前記露光工程では、前記リセット線に低電位信号が供給されて、前記受光素子は逆バイアス状態とされ、
前記露光データ読み出し工程では、前記リセット線に低電位信号が供給されて、前記受光素子は逆バイアス状態とされ、前記第一選択線に選択信号が供給されて、前記選択トランジスターはオン状態とされ、前記第二選択線に選択信号が供給されて、前記電流源トランジスターはオン状態とされる事を特徴とする光センサーの駆動方法。
【請求項9】
更にリセットデータ読み出し工程を含み、
前記リセットデータ読み出し工程では、前記リセット線に高電位信号が供給されて、前記受光素子は順バイアス状態とされ、前記リセット線に低電位信号が供給されて、前記受光素子は逆バイアス状態とされ、前記第一選択線に選択信号が供給されて、前記選択トランジスターはオン状態とされ、前記第二選択線に選択信号が供給されて、前記電流源トランジスターはオン状態とされる事を特徴とする請求項8に記載の光センサーの駆動方法。
【請求項10】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光センサーを備えた事を特徴とする静脈センサー。
【請求項11】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光センサーを備えた事を特徴とする指紋センサー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2013−69201(P2013−69201A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208667(P2011−208667)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】