説明

光センサ及び光センサ感度変動抑制方法

【課題】環境温度の変化に伴う電気光学結晶の複屈折変化が存在する場合においても偏光状態を補償し、一定の感度を得ること。
【解決手段】印加される電界又は磁界により屈折率を変化させ、それによって通過する偏光を変調する電界検出用電気光学結晶9と同じ特性を有する複屈折補償用電気光学結晶8を、結晶軸が電界検出用電気光学結晶9の結晶軸に対して直交するように光の伝搬軸上に配置する。具体的には、遅(進)相軸が電界検出用電気光学結晶9の進(遅)相軸に対して平行になるように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁界などの物理量が印加された状態の電気光学結晶や磁気光学結晶などの光学結晶に光を入射させ、その光学結晶から出射された光を検出することにより、印加された電磁界強度に相当する信号を得る光センサに関する。
【背景技術】
【0002】
電界や磁界を検出する光センサの一例として、電気光学結晶(EO結晶)を用いて電界を検出する光電界センサが挙げられる(特許文献1、非特許文献1参照)。図3は、従来の光電界センサの構成を示す図である。
【0003】
光電界センサは、光源、光学部品、検出器、光ファイバなどから主に構成される。光源1で生成された直線偏光は、偏波保持ファイバ2により、フェルール3a及びコリメータレンズ4aを介してセンサ部として機能する光学部品へ入力される。
【0004】
光学部品とは、偏光子5、ファラデー回転子6、偏光ビームスプリッタ7、1/4波長板13、1/2波長板14、CdTe(テルル化カドミウム)結晶やZnTe(テルル化亜鉛)結晶などの電気光学結晶9、誘電体ミラー10aなどであり、台座100に直線状に固定されている。
【0005】
偏波保持ファイバ2から出力された直線偏光は、偏光子5を通過した後、ファラデー回転子6により偏波面が45°回転されて偏光ビームスプリッタ7を通過する。通過した45°回転直線偏光は、可変型の1/4波長板13及び1/2波長板14により適当な偏光に調整された後、電気光学結晶9へ入射される。
【0006】
印加電界がないときは、調整された偏光は電気光学結晶9をそのまま通過し、誘電体ミラー10aで反射された後、同じ経路を逆向きに伝搬して、ファラデー回転子6により行きの経路と同じ回転方向に偏波面がさらに45°回転される。偏波面は往復で90°回転するため、特定方向の偏光のみを通過させる偏光子5を通過せず、光源1に戻ることはない。
【0007】
印加電界があるときは、電気光学結晶9で偏光変調を受け、戻りの偏光の一部(偏光変調された偏光成分)は偏光ビームスプリッタ7を通過することなく反射され、他の誘電体ミラー10bを経由して検出器12に接続されたシングルモードファイバ11へ入射される。検出器12で検出された光強度は電気光学結晶9に印加された電界強度に比例することから、電界を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−050908号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】F. Cecelja、外1名、「Optimized CdTe Sensors for Measurement of Electric and Magnetic Fields in the Near Field Region」、Proceeding on the 16th IEEE Instrument and Measurement Technology Conference、vol.1、1999年、p.279-284
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の光電界センサには、磁気光学結晶を用いて磁界を検出する光磁気センサも同様に、以下に示すような課題があった。
【0011】
上述したように、CdTe結晶やZnTe結晶などの自然複屈折を有しない電気光学結晶を使用するときには、電界が印加されない状態で偏光ビームスプリッタを通過する光強度が最大、且つ反射する光強度が最小となるよう1/4波長板や1/2波長板を調整することは容易である。
【0012】
しかし、LiN結晶やDAST結晶などのように自然複屈折を有する結晶を使用するときは、前述の調整は困難となり、光センサの製造に多大の労力を要する。
【0013】
また、自然複屈折を有する結晶を通過する偏光は温度変化などによる複屈折変化により偏光変調を受ける。これにより、電界が印加されていない状態でも検出器で受信される光が存在したり、電界が印加されている状態で電界印加による偏光変調に温度による変調が重畳されるため、検出感度が不安定となる。
【0014】
この感度不安定を取り除くために1/4波長板や1/2波長板を逐次調整する方法もあるが、センサ部を小型且つ低擾乱に構成するには不向きである。
【0015】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、環境温度の変化に伴う電気光学結晶の複屈折変化が存在する場合においても偏光状態を補償し、一定の感度を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1記載の光センサは、印加される電界又は磁界により光学結晶の屈折率を変化させ、それによって前記光学結晶を通過する光を変調させることにより電界又は磁界を検出する光センサにおいて、前記光学結晶と同じ特性を有する他の光学結晶を、当該他の光学結晶の結晶軸が前記光学結晶の結晶軸に対して直交するように光の伝搬軸上に配置したことを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、印加される電界又は磁界により屈折率を変化させ、それによって通過する光を変調する光学結晶と同じ特性を有する他の光学結晶を、その他の光学結晶の結晶軸が光学結晶の結晶軸に対して直交するように光の伝搬軸上に配置するため、それら2つの光学結晶を通過する光が受ける自然複屈折による偏光変化や、環境温度変化に伴い光学結晶の長さや自然複屈折が変化することにより発生する偏光変調を相殺(キャンセル)できることから、環境温度の変化に伴う電気光学結晶の複屈折変化が存在する場合においても偏光状態を補償し、一定の感度を得ることができる。
【0018】
また、これらの偏光変化や偏光変調の相殺により、1/4波長板や1/2波長板による偏光調整が不要となるため、複雑な機構や制御を付加することなく、小型且つ簡素な光センサを実現でき、これにより被測定電界に与える擾乱を低減できる。
【0019】
請求項2記載の光センサは、請求項1記載の光センサにおいて、ファラデー回転子からの光を透過して前記光学結晶に出力し、出力面から再び入力された光の一部を反射するビームスプリッタと、電界又は磁界により屈折率を変化させ、それによって前記ビームスプリッタから出力された通過中の光を変調する前記光学結晶と、前記光学結晶から出力された光を当該光学結晶に反射する誘電体ミラーと、前記光学結晶を再び通過し、前記ビームスプリッタで反射された変調後の光を検出する検出器と、を有し、前記他の光学結晶は、前記ビームスプリッタと前記光学結晶との間に配置されていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、上記他の光学結晶は、ビームスプリッタと光学結晶との間に配置されているため、複雑な機構や制御を付加することなく、環境温度の変化に伴う電気光学結晶の複屈折変化が存在する場合においてもビームスプリッタに入射される偏光状態を常に補償し、一定の感度を得ることができる。
【0021】
請求項3記載の光センサは、請求項1又は2記載の光センサにおいて、前記他の光学結晶における光の入出力面以外の面に導電性膜が塗布されていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、上記他の光学結晶における光の入出力面以外の面に導電性膜が塗布されているため、当該他の光学結晶内の電位分布が存在しなくなることから、印加電界によって(他の光学結晶ではなく)光学結晶においてのみ偏光変調が生じ、電界強度をより高精度に測定できる。
【0023】
請求項4記載の光センサは、請求項1乃至3のいずれかに記載の光センサにおいて、前記他の光学結晶は、進相軸が前記光学結晶の遅相軸に対して平行になるように配置され、又は、遅相軸が前記光学結晶の進相軸に対して平行になるように配置されていることを特徴とする。
【0024】
請求項5記載の光センサは、請求項1乃至4のいずれかに記載の光センサにおいて、前記他の光学結晶は、前記光学結晶と同じ電気特性、光学特性、機械特性、形状特性を有することを特徴とする。
【0025】
請求項6記載の光センサは、請求項1乃至5のいずれかに記載の光センサにおいて、前記光学結晶及び前記他の光学結晶は、電界により屈折率を変化させる電気光学結晶、又は、磁界により屈折率を変化させる磁気光学結晶であることを特徴とする。
【0026】
請求項7記載の光センサは、請求項1乃至6のいずれかに記載の光センサにおいて、前記光学結晶及び前記他の光学結晶は、同じ結晶であることを特徴とする。
【0027】
請求項8記載の光センサ感度変動抑制方法は、温度変化による光センサの感度変動を抑制する光センサ感度変動抑制方法において、印加される電界により屈折率を変化させ、それによって通過する光を変調する光学結晶と同じ特性を有する他の光学結晶を、当該他の光学結晶の結晶軸が前記光学結晶の結晶軸に対して直交するように光の伝搬軸上に配置し、光の入出力面以外の面に導電性膜を塗布することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、環境温度の変化に伴う電気光学結晶の複屈折変化が存在する場合においても偏光状態を補償し、一定の感度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】光電界センサの構成例を示す図である。
【図2】光電界センサ内における各光伝搬軸上の偏光状態を示す図である。
【図3】従来の光電界センサの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、電界により屈折率を変化させる電気光学結晶(EO結晶)を用いて電界を検出する光電界センサを例に説明する。電気光学結晶に代えて、磁界により屈折率を変化させる磁気光学結晶を用いて磁界を検出する光磁気センサの場合でも同様であり、本発明は光電界センサに限定されない。
【0031】
図1は、本実施の形態に係る光電界センサの構成を示す図である。本光電界センサは、直線偏光を生成する光源1と、光源1から出力された直線偏光が進相軸又は遅相軸にのみ入力されるように光源1とセンサ部との間に接続された偏波保持ファイバ(Polarization Maintaining Fiber;PMF)2と、センサ部により電界が検知された際にそれに応じた偏光を出力するシングルモードファイバ(Single Mode Fiber;SMF)11と、出力された偏光を検出して電気信号に変換する検出器12と、センサ部とで主に構成される。検出器12にはシングルモードファイバ11が接続されていることから、センサ部内の偏光ビームスプリッタで反射された光を偏光に依存することなくすべて検出できる。
【0032】
センサ部は様々な光学素子から構成される。具体的には、フェルール3a,3bと、コリメータレンズ4a,4bと、偏光子5と、ファラデー回転子(Faraday Rotator;FR)6と、偏光ビームスプリッタ(Polarization Beam Splitter;PBS)7と、複屈折補償用電気光学結晶8と、電界検出用電気光学結晶9と、誘電体ミラー10a,10bとで主に構成され、それら全ては台座100に配置、固定される。
【0033】
偏光子5と、ファラデー回転子6と、偏光ビームスプリッタ7と、複屈折補償用電気光学結晶8と、電界検出用電気光学結晶9と、誘電体ミラー10aとは、光源1から出射された直線偏光の伝搬軸上に直線状に配置、固定されている。誘電体ミラー10bは、偏光ビームスプリッタ7で反射した偏光の伝搬軸上に配置、固定されている。以下、これら各光学素子の機能について説明する。
【0034】
フェルール3aは、光源1に接続された偏波保持ファイバ2をコリメータレンズ4aに接続する。偏光子5は、偏波保持ファイバ2及びコリメータレンズ4aを通過し、電場や磁場が光源1で生成された特定方向の直線偏光のみ通過させる。ファラデー回転子6は、偏光子5の後段に配置され、通過する直線偏光の偏波面を45°回転させる。
【0035】
偏光ビームスプリッタ7は、ファラデー回転子6から出力された直線偏光を透過して後段の複屈折補償用電気光学結晶8および電界検出用電気光学結晶9に出力し、その出力面から再び入力された偏光の一部(電界検出用電気光学結晶9で偏光変調された偏光成分)を反射して、入出力面以外の側面から出力する。
【0036】
電界検出用電気光学結晶9は、印加される電界により屈折率を変化させ、それによって偏光ビームスプリッタ7から出力された通過中の偏光を変調する。
【0037】
複屈折補償用電気光学結晶8は、電界検出用電気光学結晶9と同じ電気特性、光学特性、機械特性、形状特性を有し、偏光ビームスプリッタ7と電界検出用電気光学結晶9との間を通過する偏光の伝搬軸上に配置され、且つ、結晶軸が電界検出用電気光学結晶9の結晶軸に対して直交するように配置(例えば、遅(進)相軸が電界検出用電気光学結晶9の進(遅)相軸に対して平行になるように配置)され、更に、偏光の入出力面以外の側面に導電性膜が塗布されている。
【0038】
電界検出用電気光学結晶9および複屈折補償用電気光学結晶8としては、例えば、無機結晶で最大の空間電界検出感度を有するCdTe結晶よりも高感度な有機結晶のDAST結晶やLiN結晶を利用できる。無論、CdTe結晶やZnTe結晶を利用してもよい。
【0039】
複屈折補償用電気光学結晶8は、電界検出用電気光学結晶9と同じ結晶でもよく、電界検出用電気光学結晶9の電気特性、光学特性、機械特性、形状特性と同じ別の結晶でもよい。
【0040】
誘電体ミラー10aは、電界検出用電気光学結晶9を通過して出力された偏光を電界検出用電気光学結晶9に反射する。
【0041】
次に、図1及び図2を用いて、本光電界センサの動作について説明する。図2は、光電界センサ内における各光伝搬軸上(A点〜E点)の偏光状態を示す図である。図中、光源1から出力される偏光の伝搬方向をz軸、偏波保持ファイバ2の遅相軸をy軸、進相軸をx軸とする。
【0042】
偏波保持ファイバ2から出力された直線偏光は、偏光子5を通過した後(図1のA点、図2の(a))、ファラデー回転子6により偏波面が45°回転される(図1のB点、図2の(b))。
【0043】
45°回転された直線偏光は偏光ビームスプリッタ7を通過し、複屈折補償用電気光学結晶8で偏光変化を受け(図1のC点、図2の(c))、さらに、複屈折補償用電気光学結晶8と同じ電気特性、光学特性、機械特性、形状特性を有する電界検出用電気光学結晶9を通過する。
【0044】
電界検出用電気光学結晶9は、遅(進)相軸が複屈折補償用電気光学結晶8の進(遅)相軸と平行になるように配置されているため、複屈折補償用電気光学結晶8で受けた偏光変化や変調は相殺されて、直線偏光のまま通過する(図1のD点、図2の(d))。
【0045】
誘電体ミラー10aで反射された直線偏光は行きの経路と同様に、直線偏光のまま電界検出用電気光学結晶9、複屈折補償用電気光学結晶8、偏光ビームスプリッタ7を通過する。
【0046】
電界が印加されていないとき、偏光ビームスプリッタ7で反射される光は存在しない(図1のE点、図2の(e))。電界が印加されるときは、電界検出用電気光学結晶9でのみ偏光変調を受け、変調された分の光が偏光ビームスプリッタ7で反射する(図1のE点、図2の(f))。
【0047】
複屈折補償用電気光学結晶8の側面には、ITO膜(透明導電膜)などの導電性膜が塗布されているため、その結晶内部に電位分布が発生しない。ゆえに、複屈折補償用電気光学結晶8では、通過する偏光に対して偏光変調を与えることはない。
【0048】
電界が印加されていない状態では、2つの結晶の特性が一致し、互いの結晶軸が90°回転して配置されていることにより、2つの結晶で生じる偏光変化は相殺され、検出器12で検出される光強度は安定する。一方、電界が印加された状態であっても、電界起因以外の偏光変調が相殺されるため、電界起因による偏光ビームスプリッタ7で反射される光強度は一定となり、電界検出感度が安定する。
【0049】
なお、2つの結晶に同一結晶を用いたとしても、結晶を配置する精度が感度安定性に影響を与えることを付言しておく。偏光変調を相殺するには、各結晶を通過する距離及び結晶軸に対する入射角度が重要であり、その差分が安定性の劣化度合いを決定する。
【0050】
また、同一基板からダイシングなどの切断により2つの結晶を切り出す場合、二つの結晶の同一性が向上することから、補償効果の向上が期待できる。
【0051】
本実施の形態では、2つの結晶を90°回転させて配置する方法について説明したが、それら結晶の間に1/2波長板を入射光の偏光軸に対して45°傾けて配置する方法もある。片方の結晶から出力された偏波面を90°回転させてもう一つの結晶へ入力することにより同様の効果が得られる。但し、部材点数が増えることによる、材料費の増加、光軸調整の稼働の増加、非小型化などの不利益がある。
【0052】
本実施の形態では、偏光成分のみを分離する専用の偏光ビームスプリッタを利用したが、光束を2以上に分離する汎用的なビームスプリッタを利用してもよい。
【0053】
以上より、本実施の形態によれば、電界検出用電気光学結晶9と同じ電気特性、光学特性、機械特性、形状特性を有する複屈折補償用電気光学結晶8を、偏光ビームスプリッタ7と電界検出用電気光学結晶9との間に、複屈折補償用電気光学結晶8の遅相(進相)軸が電界検出用電気光学結晶9の進相(遅相)軸と平行になるように配置したので、それら2つの電気光学結晶を通過する光が受ける自然複屈折による偏光変化を相殺できる。さらに、環境温度変化に伴い結晶の長さや自然複屈折が変化することにより発生する偏光変調をも相殺できる。
【0054】
これら偏光変化や偏光変調の相殺により、1/4波長板や1/2波長板による偏光の調整が不要となり、小型且つ簡素なセンサ構成となる。このことにより被測定電界に与える擾乱を低減できる。
【0055】
さらに、複屈折補償用電気光学結晶8の側面には導電性膜が塗布されているため、結晶内の電位分布が存在しなくなる。これにより、電界印加によって電界検出用電気光学結晶9においてのみ偏光変調が生じ、電界強度をより高精度に測定できる。
【0056】
上記作用効果により、温度変動環境下における測定などにおいて常に一定且つ最大の感度を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1…光源
2…偏波保持ファイバ(PMF)
3a,3b…フェルール
4a,4b…コリメータレンズ
5…偏光子
6…ファラデー回転子(FR)
7…偏光ビームスプリッタ(PBS)
8…複屈折補償用電気光学結晶
9…電界検出用電気光学結晶
10a,10b…誘電体ミラー
11…シングルモードファイバ(SMF)
12…検出器
13…1/4波長板(Quarter-wave plate;QWP)
14…1/2波長板(Half-wave plate;HWP)
100…台座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加される電界又は磁界により光学結晶の屈折率を変化させ、それによって前記光学結晶を通過する光を変調させることにより電界又は磁界を検出する光センサにおいて、
前記光学結晶と同じ特性を有する他の光学結晶を、当該他の光学結晶の結晶軸が前記光学結晶の結晶軸に対して直交するように光の伝搬軸上に配置したことを特徴とする光センサ。
【請求項2】
ファラデー回転子からの光を透過して前記光学結晶に出力し、出力面から再び入力された光の一部を反射するビームスプリッタと、
電界又は磁界により屈折率を変化させ、それによって前記ビームスプリッタから出力された通過中の光を変調する前記光学結晶と、
前記光学結晶から出力された光を当該光学結晶に反射する誘電体ミラーと、
前記光学結晶を再び通過し、前記ビームスプリッタで反射された変調後の光を検出する検出器と、を有し、
前記他の光学結晶は、前記ビームスプリッタと前記光学結晶との間に配置されていることを特徴とする請求項1記載の光センサ。
【請求項3】
前記他の光学結晶における光の入出力面以外の面に導電性膜が塗布されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光センサ。
【請求項4】
前記他の光学結晶は、
進相軸が前記光学結晶の遅相軸に対して平行になるように配置され、又は、遅相軸が前記光学結晶の進相軸に対して平行になるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光センサ。
【請求項5】
前記他の光学結晶は、
前記光学結晶と同じ電気特性、光学特性、機械特性、形状特性を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光センサ。
【請求項6】
前記光学結晶及び前記他の光学結晶は、
電界により屈折率を変化させる電気光学結晶、又は、磁界により屈折率を変化させる磁気光学結晶であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光センサ。
【請求項7】
前記光学結晶及び前記他の光学結晶は、
同じ結晶であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光センサ。
【請求項8】
温度変化による光センサの感度変動を抑制する光センサ感度変動抑制方法において、
印加される電界により屈折率を変化させ、それによって通過する光を変調する光学結晶と同じ特性を有する他の光学結晶を、当該他の光学結晶の結晶軸が前記光学結晶の結晶軸に対して直交するように光の伝搬軸上に配置し、光の入出力面以外の面に導電性膜を塗布することを特徴とする光センサ感度変動抑制方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−3072(P2013−3072A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137007(P2011−137007)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】