説明

光センサ装置

【課題】 メタライズにより設けられた配線パターンの剥離強度を高め、デバイスの実装に伴う性能低下の減少と電気的導通の安定性を増した、低コストで小サイズな、高信頼性の光センサ装置を提供する。
【解決手段】 光センサ素子は、フィルター機能を有するガラス蓋基板1と、キャビティを有するガラス基板2により構成されたパッケージ内に実装されている。キャビティを有するガラス基板2は、金属を埋め込んだ貫通電極5を有し、表面と裏面にはメタライズにより設けられた配線パターン6,7を有しており、ガラス蓋基板1にメタライズにより設けられた配線パターン4とは導電性粒子8を入れた接着剤によって固着し接続される。キャビティを有する基板2の表面と裏面にメタライズにより設けられた配線パターン6,7と貫通電極に埋め込まれた金属とは構造的、電気的に一体化したものからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板を用いたパッケージ材料に光センサ素子を実装した光センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイルパソコン、タブレットパソコン、スマートフォンといった携帯端末の普及が急速に拡大している。また、薄型テレビや屋内、屋外照明機器のLED照明化の普及が著しい。この理由には、これらの携帯端末が多くの機能を有していることは勿論、重量が軽いこと、厚みが薄いことなど、より携帯性に富んだデザインを特徴に持ち合わせていることも大きい。同時に薄型テレビや、屋内、屋外照明機器では、年々性能が高まることに加えて省エネ率が開発課題とされており、照度の細かなコントロール機能を設けたものが多くを占めるようになった。これら携帯端末や薄型テレビ、屋内、屋外照明機器に使用する電子部品点数は、多機能化や携帯性の追求に伴い非常に多くなっており、電子部品は、より小型、薄型、省電力、低コストが常に求められるようになった結果、樹脂モールドパッケージの採用が多く見受けられるようになっている。この背景には部品や材料の共通化が挙げられる。低消費電力を担う搭載電子部品の一つである光センサも例外ではなく、他の電子部品と同様に、樹脂モールドパッケージによる小型、薄型、低コストとするものが多い。
【0003】
特許文献1の図2には、樹脂材料からなる絶縁性基板の上に受光素子を実装して樹脂モールドした照度センサパッケージの断面図が開示されている。樹脂基板1には表面に電極4が形成されている。電極4は基板表面から基板裏面を囲むように配線されており、外部との接続が行うことができる構造になっている。電極4の上には光センサ素子2が実装されている。光センサ素子2の上面2aと電極4とはワイヤー6により電気的に接続されている。光センサ素子2は電極4へ導電性ペースト5によって固着されている。導電性ペースト5は受光素子2と電極4とを電気的に接続をしている。光センサ素子2へ入射した光によって発生した起電力は、導電性ペースト5から電極4に流れて外部へと伝わることができる。
【0004】
また、特許文献1の光センサ素子2は樹脂11によって全体をモールドされている。樹脂11は透光性の樹脂からなり、エポキシ樹脂などが使用されている。樹脂11の上には赤外光吸収膜12が設けられている。赤外光吸収膜12は樹脂が使われており、液状樹脂又はフィルムを樹脂11上に接着して重ねた構造としている。液状樹脂はエポキシ樹脂などが使用されている。フィルム状のものでは樹脂接着剤を介してフィルムを樹脂11に接着される。これにより光センサ素子2は赤外光をカットされた可視光を受光することができるため視感度に対応した光センサとしての機能を果たすことができる。また赤外光吸収膜12は、使用する赤外光吸収物質を透光性樹脂11中に分散、混合させても赤外光吸収効果が得られるというものである。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された光センサ装置は、素子の封止にエポキシ樹脂などが使用されたパッケージ構造を成しているため、材料の持つ耐熱性や耐湿性などをはじめとした環境信頼性に弱いことが挙げられる。また素子の封止に使用されている樹脂は、透光性である必要から、一般的に耐熱性を同時に得ることが難しいとされている。さらに、封止樹脂は光センサ素子2及びワイヤー6を封止することから、光センサ素子及びワイヤーへのストレスを緩和する設計が必要となるため、低応力が求められる。このため、デバイスの信頼性を大きく決定する封止樹脂には、耐熱性が低く、低応力であること、吸湿しやすい、高温時に膨張しやすいことなど、選択肢は限定される。この結果、信頼性試験で行われるような熱や水分を付加した環境や、高温と低温が繰り返される温度サイクルにより膨張と収縮が繰り返される環境において、高い性能を得ることが難しい。
【0006】
また、特許文献1に記載された光センサ装置では、光センサ素子2の封止にエポキシ樹脂などの樹脂を使用例としている。この場合、水分や熱、紫外線などによって樹脂が分解する恐れがある。この結果、徐々に封止樹脂は劣化を伴い変色症状等を示し始め、同時に透過率を低下していくことが知られている。この結果、光センサ素子へ光が入射されにくくなり、光センサ装置として所望の特性と信頼性が得られなくなる課題がある。
【0007】
また、特許文献1に記載された光センサ装置は、光センサ素子2及び光センサ素子2の上面2aとワイヤー6によって電気的に接続している電極4とは、同一面上に載置され、電極4は外部との接続に用いられている構造である。この構造の場合、光センサ装置の小サイズ化を計るためには、実装基板へ電気的に接続される外部電極4と光センサ素子2及びワイヤー6との距離は短くしなければならず、光センサ素子2を封止する樹脂の厚みを薄くする等が求められる。この結果、光センサ装置の実装プロセスで行われるリフロー等では、実装基板との接続に用いられるハンダペーストの這い上がりや食われといった現象に伴う封止樹脂と電極4との間からハンダペーストが進入して、ワイヤー剥離や封止樹脂との剥離を引き起こす恐れが高くなる。
【0008】
特許文献2の図1には、リードフレームの上に受光素子を実装して樹脂モールドした受光センサパッケージの断面図が開示されている。特許文献2に記載された光センサ装置は、前述の特許文献1に記載された光センサ装置において特性の変化や信頼性の低下に対して封止樹脂材料中へ無機系フィラーを含有することによって、熱膨張係数の調整を行い一定の効果のある樹脂へと改善している。これにより従来の封止樹脂材料が課題とされる高温と低温が繰り返される温度サイクルにより膨張と収縮が繰り返される環境において、改善効果を得ている。また耐熱性の向上についても一定の効果が期待できるというものである。
【0009】
また、特許文献2に記載された光センサ装置では、光センサ素子10と光センサ素子10の上面とワイヤー25によって電気的に接続するリードフレーム20の、外部接続用のリード部22とは比較的離れた構造となっている。この結果、リフロー等の実装におけるハンダペーストの這い上がりや食われに対するリードフレーム20とワイヤー25の剥離や封止樹脂30とリードフレーム20との剥離の発生を抑制することができている。
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載された光センサ装置は、封止用の透明エポキシ樹脂等へ無機系フィラーを入れて効果を得ているが、無機系フィラーを樹脂中へ混合した場合、無機系フィラーと樹脂の界面には空気が存在し、無機系フィラーの屈折率及び表面状態を透明封止樹脂の光特性低下にまったく影響せずに混合することは容易ではないことが知られている。このため、無機系フィラーの含有量を増やしていくと、信頼性の向上には効果的であるが、透過率の低下を伴うため、光センサ素子10へ光が入射されにくくなり、光センサ装置としての機能が働かなくなる。このため、無機系フィラーを入れることによって光センサ装置の信頼性向上効果を得ることは限定的なものに留まる可能性がある。
【0011】
また、特許文献2に記載された光センサ装置は、光センサ素子10から比較的離れ、封止樹脂30から長く出たリードフレーム20の外部接続用リード部22を有した構造となっていることにより、実装に伴う信頼性は向上するものの、パッケージサイズが大きくなり易く、小型化のメリットを出すことが難しい。このため、携帯性が求められる用途へ対応しにくい。
【0012】
この様な中、ガラスをパッケージ材料に使用した電子部品が一部で実用化されている。ガラス材料は、外部から浸入する水分や汚染物質を防ぎ、気密性も高い。また、ガラス材料は、半導体素子を形成するシリコン基板と熱膨張係数が近似していることから、ガラスパッケージに半導体素子を実装した場合、実装面や接合面の信頼性を高めることができる。さらに、ガラス材料は安価であることから、製品コストの上昇を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−36264号公報
【特許文献2】特開2007−234783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明は、コンパクトで低コストな信頼性の高い光センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の光センサ装置においては、一部にフィルター機能を有する遮光ガラス基板またはフィルター機能を有する透明ガラス基板と、キャビティを有する遮光ガラス基板またはキャビティを有する透明ガラス基板と、いずれかの基板に実装された光センサ素子を有し、前記フィルター機能を有するガラス基板とキャビティを有するガラス基板の表面にはメタライズにより設けられた配線パターンを備え、前記キャビティを有するガラス基板の裏面はメタライズによって設けられた配線パターンを有し、貫通電極によって表面に設けられた配線パターンと電気的に接続され、前記フィルター機能を有するガラス基板とキャビティを有するガラス基板とを導電性粒子を入れた接着剤により固着してなる光センサ装置パッケージと、を備えることとした。
【0016】
また、前記キャビティを有するガラス基板は、貫通電極を有するガラス基板を用いることとした。
また、前記貫通電極は金属が埋め込まれた構造とした。
また、前記キャビティを有するガラス基板の表面と裏面はメタライズによって設けられた配線パターンを有するガラス基板を用いることとした。
【0017】
また、前記メタライズによって設けられた配線パターンは、前記貫通電極に埋め込まれた金属と同時に形成され構造的及び電気的に一体であることとした。
また、前記フィルター機能を有するガラス基板とキャビティを有するガラス基板とは、導電粒子入り接着剤により固着してなる構造とした。
また、前記フィルター機能を有するガラス基板とキャビティを有するガラス基板の表面にメタライズにより設けられた配線パターンは導電粒子入り接着剤により電気的導通を得る構造とした。
【発明の効果】
【0018】
本発明の光センサ装置は、光センサ素子をガラスで完全に密閉することができるとともに、貫通電極には金属が埋め込まれ、埋め込まれた金属は同時にキャビティの表面と裏面に設けた配線パターンとを形成する一体構造とすることにより、素子へのストレスがないことに加えて、キャビティの表面と裏面との電気的接続の安定化を計るとともに容易に貫通電極と配線パターンが剥離しにくくなることから、高い実装信頼性を得ている。また、フィルター機能を有するガラス基板とキャビティを有するガラス基板の表面にメタライズにより設けられた配線パターンとが、導電性粒子を入れた接着剤によって固着と同時に電気的接続を得ることによって、環境変化に対しても電気的導通の安定と高い信頼性を併せ持つパッケージが得られる。さらにパッケージはガラス基板を貼り合わせた構造であることと、ガラス材だけからなるパッケージ構造であるため膨張係数の差が極めて少なくすることができ、コスト、特性、実装信頼性、信頼性において優れた光センサ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の光センサ装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の光センサ装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の光センサ装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の光センサ装置の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の光センサ装置は、一部にフィルター機能を有する遮光ガラス基板またはフィルター機能を有する透明ガラス基板と、キャビティを有する遮光ガラス基板またはキャビティを有する透明ガラス基板と、前記フィルター機能を有するガラス基板にメタライズされた配線パターンと、前記キャビティを有するガラス基板にメタライズされた配線パターンと、前記ガラス基板に実装され、前記配線パターンと電気的に接続された光センサ素子と、前記光センサ素子を、前記フィルター機能を有するガラス基板と、キャビティを有するガラス基板とで囲むように固定された構造からなり、前記フィルター機能を有するガラス基板にメタライズされた配線パターンと、前記キャビティを有するガラス基板にメタライズされた配線パターンは、導電粒子の入った接着剤にて電気的接続を得ると同時に固着される。図1に本発明の光センサ装置の断面構成を模式的に示す。
【0021】
ガラス基板1(以下ガラス蓋基板1)は遮光性を有するガラスまたは透明ガラスからなる。遮光性を有するガラスを用いる場合、ガラス蓋基板1の中央部には貫通孔を設けておく。貫通孔にはフィルター機能を有するガラスが埋め込まれている。このガラスは、例えば赤外線等の特定の波長をカットする機能を有するもので、用いられる光センサ素子の機能に応じて適宜選択される。
【0022】
ガラス基板2は遮光性を有するガラスまたは透明ガラスからなり、キャビティを有した形状をしており、ガラス蓋基板1と接合した後の構造は、ガラス基板2に光センサ素子3の側面と底面とが囲われて配置されたものになる。
【0023】
また、ガラス蓋基板1は透明ガラスを用いて、透明ガラス表面に金属酸化膜の多層膜からなる干渉フィルターを設けることによってフィルター機能をもたせたものとしても良い。
ガラス蓋基板1はメタライズされた配線パターン4を有し、前記配線パターン4には光センサ素子3が実装され電気的に接続されている。
【0024】
ガラス基板2は貫通電極5を有しており、貫通電極5は金属が埋め込まれたものからなる。また、ガラス基板2はメタライズされた配線パターン6を有しており、前記貫通電極5に埋め込まれた金属と配線パターン6は同時に形成された構造的に一体化したものとなっており、電気的にも接続されている。
【0025】
ガラス蓋基板1とガラス基板2を接合した構造において、ガラス蓋基板1にメタライズされた配線パターン4とガラス基板2にメタライズされた配線パターン6とは、導電粒子8を入れた接着剤によって固着され、光センサ素子3とガラス蓋基板1にメタライズされた配線パターン4とガラス基板2にメタライズされた配線パターン6は電気的接続が得られ、貫通電極5から配線パターン7を通じて外部へと伝わる。
【0026】
(実施例1)
以下、図面に基づいて本実施例の光センサ装置の構成を説明する。
図1は、本実施例の光センサ装置12の模式図である。図1は光センサ装置12の縦断面図である。フィルター機能を有するガラス蓋基板1には光センサ素子3が実装され、キャビティを有するガラス基板2(キャビティ付きガラス基板)と接合され一体化された構造である。ガラス蓋基板1はメタライズによって配線パターン4が形成されている。光センサ素子3は、ガラス蓋基板1の中央部に実装され、配線パターン4と電気的に接続される。光センサ素子3はガラス蓋基板1にメタライズにより設けられた配線パターン4にフリップチップボンディングにより実装と電気的な接続がなされている。またガラス基板2にはキャビティと貫通電極5が設けられている。貫通電極5はガラス基板2の表面から裏面にかけてガラスの厚み方向に貫通した貫通孔内に金属が埋め込まれており、ガラス基板2の表面にはメタライズにより形成されている配線パターン6と、キャビティと反対側の基板裏面にメタライズにより形成されている配線パターン7とが、貫通電極5と一体化した構造によって電気的にも接続されている。ガラス蓋基板1とガラス基板2を接合し固定するにおいて、導電粒子入りの接着剤を用いている。配線パターン4と配線パターン6は導電粒子8を介して電気的にも接続されることとなり、光センサ素子3が実装され電気的に接続される配線パターン4は、配線パターン6から貫通電極5を通じ、配線パターン7へと、光センサ素子3で発生した起電力は外部へと伝わることができる。
【0027】
ここで、金属が埋め込まれた貫通電極とは、貫通孔内に埋め込まれている金属とガラス基板2の表面と裏面にメタライズにより設けられている配線パターンとが同一材料によって同時形成され一体化した構造によって接続されているものからなり、貫通孔内に埋め込まれた金属とメタイライズによりガラス基板2の表面と裏面に設けられた配線パターン6,7とは、少なくとも貫通電極に埋め込まれた金属の一部において、分離していない構造からなるものである。これにより配線パターンと貫通電極とが断線や剥離することがなくなるため、安定した電気的接続が長期にわたり得られるというものである。貫通電極を構成する金属は、同一の金属素材によって、メタライズにより貫通孔5とガラス基板2の表面及び裏面に形成する配線パターンを同時に形成する、または、ピン形状の金属を貫通孔へ埋めこみ、ガラス基板2の表面及び裏面に露出する部分を、例えば薄く平坦に潰したような形状にし、配線パターンの役割を兼ねる構造としたものを用いてもよい。貫通電極には、銅、金等の金属が用いられるが、特にこれらには限定されない。
【0028】
また、ガラス蓋基板1とガラス基板2を接合、固定するのに用いる導電粒子入り接着剤20は、接着剤の中に金属製のボール、または表面を金属によってコーティングされたボールを接着剤に混合したものからなり、特に金属の種類と接着剤の種類に限定は無い。ボールの直径は、20μm以下であることが好ましいが、この寸法に限定されるものではない。
【0029】
また、ガラス蓋基板1とキャビティを有するガラス基板2によって囲まれている光センサ素子3は密閉された中空状態とすることができる。この結果、光センサ素子3では樹脂モールドによって封止された構造などで発生する素子へのストレスは無く、また、ガラス基板2に設けられた配線パターン6,7はガラス基板2の厚み方向に貫通電極が設けられた構造であることにより、光センサ素子3及びその周囲と外部との接続箇所とは離れた構造となり、実装時のハンダペーストの這い上がりや食われといった影響を受けることは無く、実装信頼性と環境信頼性を高いものとすることができる。
【0030】
(実施例2)
図2は、本実施例の光センサ装置12の断面図である。ガラス蓋基板1と接合した構造は第一実施形態と同様の構成であるが、ガラス基板2の表面にメタライズにより設けられた配線パターンの構造が部分的に凹みを有している。ガラス蓋基板1とガラス基板2を接合し固着した場合、ガラス蓋基板1にメタライズにより設けられた配線パターン4とキャビティを有するガラス基板の表面にメタライズにより設けられた配線パターン6とは、導電粒子入りの接着剤20により固着されるが、接合箇所において、ガラス基板2に設けた配線パターンの一部に凹みを設けることにより接着剤の厚みを部分的に厚くすることができる。また、前記凹みには電気的接続を担う導電粒子を溜め、導電粒子は平面方向だけではなく厚み方向にも複数配置されるようになり、導電粒子の密度の高い箇所を設けることができることから、接着強度を高められることと電気的接続の安定を高めることを同時に得られる効果があるというものである。凹みの寸法、形状、個数、位置等は特に限定されるものではなく、適宜選択可能である。
【0031】
(実施例3)
図3は、本実施例の光センサ装置12の断面図である。第1実施形態においてガラス基板2に設けられた金属により埋め込まれた貫通電極を、例えば金属のピンを用い、ガラス基板2の表面と裏面には金属のピンの一部が露出され、露出した部分は薄く平坦に潰したような形状9a,9bを有したものからなり、露出したピンの一部は配線パターンの役割も兼ねた構造としている。またガラス基板2の表面と裏面に露出したピンの一部に対して、その表面にメタライズにより設けられた配線パターン10a、10bをさらに付加してもよい。メタライズによりピンの金属表面に配線パターンを形成することから、配線パターンを形成する金属はピン表層へ拡散した強固な結合を得ることが可能になる。これにより金属のピンと、メタライズにより設けられた配線パターンとは、いわば一体構造を成すとともに一部に別の材質を組み合わせたことが可能になる。例えばガラスと膨張係数の近い金属や密着力の高い金属をピンに用い、配線パターンに用いる金属はメタライズに適当な金属を用いることや、溶融ハンダペーストに対するバリヤ効果のある金属、またはピンと異なる硬度の金属を用いることなども可能になる。このことにより安定した導通性と信頼性を得られるというものである。
【0032】
(実施例4)
図4は、本実施例の光センサ装置12の断面図である。なお、実施例1と構成が同じ部分については説明を省く。図4に示すように、本実施例では、ガラス基板2においてメタライズにより設けられた配線パターンが基板2の表面と裏面に無い構造となっている。貫通電極はガラス基板2の厚み内に収まっており、ガラス基板2の表面と裏面に露出している貫通電極の一部11a、11bは、ガラス基板2の厚み方向における貫通電極5の中心部分に対して幅を広く形成した構造となっている。これによりガラス基板2に設けている配線パターンの役割を兼ねることができるというものである。ガラス基板2にメタライズにより設けられる配線パターンのプロセスを省略または簡略化できることからコストの低下に効果が得られるとともに、ガラス基板2の表面と裏面にメタライズにより形成された配線パターンの有する一定の厚みが無くすことができるためパッケージ全体の厚みを薄くできる効果が得られるものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
ガラスによって素子周囲を囲った信頼性が高くかつ、可視光に対応した光センサ機能を有する光センサ装置を簡単かつ安価に提供することができるので、屋内や屋外用途、さらには過酷な環境への使用にまで配慮した携帯端末や照明器具をはじめとする様々な光センサ装置搭載機器への供給に寄与することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 一部にフィルター機能をガラス蓋基板
2 キャビティを有するガラス基板
3 光センサ素子
4、6,7 メタライズされた配線パターン
5 貫通電極
8 導電性粒子
9a、9b 貫通電極の上部及び下部
10a、10b メタライズされた配線パターン
11a、11b 貫通電極の上部及び下部
12 光センサ装置
20 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス蓋基板と、
前記ガラス蓋基板にメタライズにより設けられた配線パターンに電気的に接続された光センサ素子と、
前記ガラス蓋基板と接合されたキャビティ付きガラス基板と、からなり、
前記キャビティ付きガラス基板は金属が埋め込まれた貫通電極を有し、キャビティを有する面側と、その反対面側とにメタライズにより配線パターンが設けられ、前記配線パターンと貫通電極内に埋め込まれた金属は構造的に一体となったものからなり、前記ガラス蓋基板の前記配線パターンと前記キャビティ付きガラス基板のキャビティを有する面側の配線パターンとは、導電粒子を入れた接着剤によって電気的に接続され、前記ガラス蓋基板と前記キャビティ付きガラス基板とが固着し接合された構造であることを特徴とする光センサ装置。
【請求項2】
前記ガラス蓋基板は、フィルター機能を有するガラスからなる基板であることを特徴とする請求項1記載の光センサ装置。
【請求項3】
前記ガラス蓋基板は、遮光性ガラス基板からなり、フィルター機能を有するガラスを部分的に配置した構造であることを特徴とする請求項1に記載の光センサ装置。
【請求項4】
前記フィルター機能を有するガラスは、ガラス自体が特定の波長をカットする機能を有したガラスであることを特徴とする請求項2又は3に記載の光センサ装置。
【請求項5】
前記フィルター機能を有するガラスは、透明ガラスに金属酸化膜の多層膜を成膜したことを特徴とする請求項2から4のうちいずれか1項に記載の光センサ装置。
【請求項6】
前記キャビティ付きガラス基板は、遮光性を有するガラス基板又は透明ガラス基板からなることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載の光センサ装置。
【請求項7】
前記遮光性を有するガラス基板は、ガラス自体が遮光性を有したガラスであることを特徴とする請求項6に記載の光センサ装置。
【請求項8】
前記導電粒子入りの接着剤は、導電粒子の直径寸法が20μm以下の金属製のボール、または表面を金属によってコーティングされたボールを接着剤に混合したものからなることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項に記載の光センサ装置。
【請求項9】
前記金属が埋め込まれた貫通電極は、メタライズにより設けられ、貫通孔内を埋め込むと同時にキャビティ付きガラス基板の表面と裏面にメタライズにより設けられる配線パターンも連続して形成し、同一金属から設けられた構造的及び電気的に一体化したものからなることを特徴とする請求項1から8のうちいずれか1項に記載の光センサ装置。
【請求項10】
前記キャビティ付きガラス基板の表面にメタライズにより設けられた配線パターンは、表面に部分的に凹みを有した構造からなることを特徴とする請求項1から9のうちいずれか1項に記載の光センサ装置。
【請求項11】
前記金属が埋め込まれた貫通電極は、金属のピンが貫通孔内に埋設されたものからなり、前記キャビティ付きガラス基板の表面と裏面に露出するピン先端を薄く平坦に潰した形状とし、配線パターンの役割も兼ね、また、前記ピン先端へメタライズにより配線パターンを付加、形成し、メタライズした金属とピン先端表層とが拡散接合された、ピンと配線パターンとを一体化した金属の構造からなることを特徴とした請求項1から8のうちいずれか1項に記載の光センサ装置。
【請求項12】
前記金属が埋め込まれた貫通電極は、キャビティ付きガラス基板の表面と裏面に露出する部分が、前記キャビティ付きガラス基板の厚み方向において貫通電極の中心部よりも幅の広いことを特徴とし、貫通電極は前記キャビティ付きガラス基板から突出せず、キャビティ付きガラス基板と同じ厚み内に収まっていることを特徴とする請求項1から8のうちいずれか1項に記載の光センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−110164(P2013−110164A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251969(P2011−251969)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】