説明

光テコ方式カンチレバー変位検出機構

【課題】小型ながら検出感度が高い光テコ方式カンチレバー変位検出機構を提供する。
【解決手段】カンチレバー130は先端に探針136を有し、支持部材110に片持ち支持されている。支持部材110は、カンチレバー130から間隔を置いてカンチレバー130に対向して延びた固定反射部114を有している。光源170から射出された光ビームは、固定反射部114に設けられた透光部118を通ってカンチレバー130に入射し、カンチレバー130の反射面138と固定反射部114の反射面116とによって繰り返し反射されたのち、光センサー180に入射する。この繰り返し反射は、カンチレバー130の反射面138による複数回の反射を含んでいる。光センサー180は、カンチレバー130の変位によって引き起こされる光ビームの入射位置の変化を反映した信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンチレバーの変位を検出する光テコ方式カンチレバー変位検出機構に関する。
【背景技術】
【0002】
光テコ方式カンチレバー変位検出機構は、カンチレバーに光ビームを照射し、その反射光ビームを光センサーによって感知し、光センサーへの光ビームの入射位置の変化として、言い換えれば光センサー上におけるビームスポットの移動としてカンチレバーの変位を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3070316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カンチレバーの変位に対するビームスポットの移動量は、カンチレバーから光センサーまでの光路長が長いほど大きい。つまり、光センサーをカンチレバーから離して配置するほど、ビームスポットの移動量が増幅されるため、検出感度は向上する。
【0005】
しかし、光センサーをカンチレバーから離して配置することは、光テコ方式カンチレバー変位検出機構それ自体の構成の大型化を招く。これはまた、光テコ方式カンチレバー変位検出機構を狭い空間に配置することを困難にし、これが組み込まれる装置の設計の自由度を低下させる。
【0006】
本発明は、小型でありながら検出感度が高い光テコ方式カンチレバー変位検出機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による光テコ方式カンチレバー変位検出機構は、支持部材と、前記支持部材に片持ち支持されたカンチレバーと、光ビームを射出する光源と、前記光ビームを感知する光センサーとを備えている。前記カンチレバーは先端に探針を有している。前記支持部材は、前記カンチレバーから間隔を置いて前記カンチレバーに対向して延びた固定反射部を有している。前記固定反射部は、前記光ビームがそれ自体を通過することを許す透光部を有している。前記カンチレバーと前記固定反射部はそれぞれ互いに対向する面に反射面を有している。前記光源から射出された前記光ビームは、前記カンチレバーの反射面による複数回の反射を含む前記カンチレバーの反射面と前記固定反射部の反射面とによる繰り返し反射と、前記透光部の通過とを経て、前記光センサーに入射する。前記光センサーは、前記カンチレバーの変位によって引き起こされる前記光ビームの入射位置の変化を反映した信号を出力する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型でありながら検出感度が高い光テコ方式カンチレバー変位検出機構が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態による光テコ方式カンチレバー変位検出機構の側面図である。
【図2】図1に示される光テコ方式カンチレバー変位検出機構の正面図である。
【図3】本発明の第2実施形態による光テコ方式カンチレバー変位検出機構の側面図である。
【図4】図3に示される光テコ方式カンチレバー変位検出機構の正面図である。
【図5】本発明の第3実施形態による光テコ方式カンチレバー変位検出機構の側面図である。
【図6】本発明の第4実施形態による光テコ方式カンチレバー変位検出機構の側面図である。
【図7】図6に示される光テコ方式カンチレバー変位検出機構の正面図である。
【図8】本発明の第5実施形態による光テコ方式カンチレバー変位検出機構の側面図である。
【図9】図8に示される光テコ方式カンチレバー変位検出機構の正面図である。
【図10】本発明の第6実施形態による光テコ方式カンチレバー変位検出機構の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態による光テコ方式カンチレバー変位検出機構について説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1に示すように、光テコ方式カンチレバー変位検出機構100は、支持部材110と、支持部材110に片持ち支持されたカンチレバー130と、光ビームを射出する光源170と、光ビームを感知する光センサー180とを備えている。
【0012】
支持部材110は、基部112と、基部112から突出した固定反射部114とを有している。固定反射部114は、カンチレバー130から間隔を置いてカンチレバー130に対向して延びている。固定反射部114は、光ビームがそれ自体を通過することを許す透光部118を有している。透光部118は、たとえば、貫通穴で構成される。固定反射部114は、カンチレバー130に対向する面に反射面116を有している。
【0013】
カンチレバー130は、カンチレバー130と固定反射部114の間隔を規定するスペーサ150を介して支持部材110に接合されている。カンチレバー130は、平板状で、固定反射部114に対向する面に反射面138を有している。
【0014】
図2に示すように、固定反射部114は、正面から見て、二等辺三角形形状をしている。カンチレバー130は、正面から見て、等角台形形状の基部132と、基部132の短い側の底の中央から延出している長方形形状の延出部134とを有している。等角台形とは、底の両側の角が等しい台形を言う。つまり等角台形は、一組の対辺が平行であり、別の一組の対辺の長さが等しく、対角の和が180度である四辺形である。等角台形はたとえば、ニ等辺三角形の頂角を底辺に平行な直線で切り落とした形状である。なお等角台形は長方形を含み得る。基部132は固定反射部114よりも一回り小さく、延出部134の先端は固定反射部114の先端よりも突出している。
【0015】
図1と図2に示すように、カンチレバー130は、その先端すなわち自由端に探針136を有している。言い換えれば、延出部134の先端すなわち自由端に探針136が設けられている。探針136はたとえば四角錐形状をしている。探針136は、カンチレバー130の反射面138に交差してたとえば垂直に反射面138の反対側へ延びている。
【0016】
図1に示すように、光源170は、透光部118に整列して配置されている。また光センサー180は、カンチレバー130の自由端に向けて配置されている。
【0017】
図1において、光源170は、たとえば半導体レーザーで構成され、光ビームを射出する。光源170から射出された光ビームは、透光部118を通ってカンチレバー130に入射する。カンチレバー130に入射した光ビームは、カンチレバー130の反射面138と固定反射部114の反射面116とによって繰り返し反射される。この繰り返し反射は、カンチレバー130の反射面138による複数回の反射を含んでいる。図1では、カンチレバー130の反射面138による反射は2回であるが、それ以上であってもよい。カンチレバー130の反射面138によって繰り返し反射の最後に反射された光ビームは光センサー180に入射する。光センサー180は、カンチレバー130の変位によって引き起こされる光ビームの入射位置の変化すなわちビームスポットの移動を反映した信号を出力する。光センサー180は、たとえば2分割フォトダイオードで構成される。この場合、光ビームの入射位置の変化を反映した信号は、2つの受光部の出力の差信号で得られる。光センサー180は、たとえば2分割フォトダイオードや位置検出素子(PSD)で構成される。
【0018】
光ビームがカンチレバー130の反射面138と固定反射部114の反射面116との間で繰り返し反射されるため、カンチレバー130から光センサー180までの光路が折り曲げられるので、カンチレバー130による1回反射の場合と比較して、光センサー180がカンチレバー130の近くに配置される。また、光ビームがカンチレバー130の反射面138で複数回反射されるので、カンチレバー130による1回反射の場合と比較して、光センサー180上における光ビームの入射位置の変化が増幅される。したがって、同じ検出感度の条件下においては、カンチレバー130による1回反射の場合と比較して、カンチレバー130から光センサー180までの光路が短縮される。つまり、検出感度を犠牲にすることなく小型化された光テコ方式カンチレバー変位検出機構100が提供される。また、検出感度の向上と小型化の両方を図ることも可能である。このため、本実施形態の光テコ方式カンチレバー変位検出機構100は狭い空間に配置することができ、これが組み込まれる装置の設計の自由度を向上させる。
【0019】
本実施形態では、光源170から射出された光ビームが透光部118を通ってカンチレバー130に入射し、繰り返し反射の最後のカンチレバー130の反射面138によって反射された光ビームが光センサー180に入射する構成としたが、光源170と光センサー180の位置関係は交換されてもよい。つまり、光源170から射出された光ビームがカンチレバー130に入射し、繰り返し反射の最後のカンチレバー130の反射面138によって反射された光ビームが透光部118を通って光センサー180に入射する構成としてもよい。すなわち、光源170と光センサー180は、光源170から射出された光ビームが、カンチレバー130の反射面138と固定反射部114の反射面116とによる繰り返し反射と、透光部118の通過とを経て、光センサー180に入射するように配置されればよい。
【0020】
<第2実施形態>
図3に示すように、光テコ方式カンチレバー変位検出機構200は、支持部材210と、支持部材210に片持ち支持されたカンチレバー230と、光ビームを射出する光源270と、光ビームを感知する光センサー280とを備えている。光源270と光センサー280はそれぞれ第1実施形態の光源170と光センサー180と同様である。
【0021】
支持部材210は、基部212と、基部212から突出した固定反射部214とを有している。固定反射部214は、カンチレバー230から間隔を置いてカンチレバー230に対向して延びている。固定反射部214は、光ビームがそれ自体を通過することを許す2つの透光部218,220を有している。透光部218,220は、たとえば、貫通穴で構成される。固定反射部214は、カンチレバー230に対向する面に反射面216を有している。固定反射部214はさらに、透光部218に設けられたハーフミラー222を有している。ハーフミラー222は、その反射面が固定反射部214の反射面216と面一となっており、固定反射部214の反射面216と共に、後述する繰り返し反射に寄与する。
【0022】
カンチレバー230は、カンチレバー230と固定反射部214の間隔を規定するスペーサ250を介して支持部材210に接合されている。カンチレバー230は、平板状で、固定反射部214に対向する面に反射面238を有している。
【0023】
図4に示すように、固定反射部214は、正面から見て、二等辺三角形形状をしている。カンチレバー230は、正面から見て、等角台形形状の基部232と、基部232の短い側の底の中央から延出している長方形形状の延出部234とを有している。基部232は固定反射部214よりも一回り小さく、延出部234の先端は固定反射部214の先端よりも突出している。
【0024】
図3と図4に示すように、カンチレバー230は、その先端すなわち自由端に探針236を有している。言い換えれば、延出部234の先端すなわち自由端に探針236が設けられている。探針236はたとえば四角錐形状をしている。探針236は、カンチレバー230の反射面238に交差してたとえば垂直に反射面238の反対側へ延びている。
【0025】
図3に示すように、カンチレバー230は、反射面238の側で探針236の近くに、光ビームを逆方向へ折り返し反射する折り返し反射部240を有している。
【0026】
光源270は、透光部218に整列して配置されている。また光センサー280は、透光部220に整列して配置されている。
【0027】
図3において、光源270から射出された光ビームは透光部218を通ってハーフミラー222に入射し、その一部はハーフミラー222を透過してカンチレバー230に入射する。カンチレバー230に入射した光ビームは、カンチレバー230の反射面238と固定反射部214の反射面216とによって繰り返し反射されて折り返し反射部240に到達する。折り返し反射部240に到達した光ビームは、折り返し反射部240によって逆方向へ折り返し反射され、カンチレバー230の反射面238およびハーフミラー222の反射面224と固定反射部214の反射面216とによって繰り返し反射され、透光部220を通って光センサー280に入射する。光センサー280は、カンチレバー230の変位によって引き起こされる光ビームの入射位置の変化すなわちビームスポットの移動を反映した信号を出力する。
【0028】
本実施形態の光テコ方式カンチレバー変位検出機構200は、第1実施形態の光テコ方式カンチレバー変位検出機構100と同じ利点に加えて次の利点を有する。
【0029】
これまでの光テコ方式カンチレバー変位検出機構では、光源と光センサーが、カンチレバーの長手軸に垂直かつ探針を横切る平面の両側に配置されていたが、本実施形態の光テコ方式カンチレバー変位検出機構200では、光源270と光センサー280の両方が、カンチレバー230の長手軸に垂直かつ探針236を横切る平面の片側に配置されている。このため、本実施形態の光テコ方式カンチレバー変位検出機構200はさらに小型化される。ここで、カンチレバー230の長手軸とは、カンチレバー230の固定端中心と自由端中心を通る直線をいう。
【0030】
本実施形態では、光源270から射出された光ビームが透光部218を通ってカンチレバー230に入射し、繰り返し反射の最後のカンチレバー230の反射面238によって反射された光ビームが透光部220を通って光センサー280に入射する構成としたが、光源270と光センサー280の位置関係は交換されてもよい。つまり、光源270から射出された光ビームが透光部220を通ってカンチレバー230に入射し、繰り返し反射の途中のカンチレバー230の反射面238によって反射された光ビームが透光部218を通って光センサー280に入射する構成としてもよい。すなわち、光源270と光センサー280は、光源270から射出された光ビームが2つの透光部218,220の一方を通ってカンチレバー230に入射し、カンチレバー230の反射面238およびハーフミラー222の反射面224と固定反射部214の反射面216とによる繰り返し反射と、折り返し反射部240による折り返し反射と、ハーフミラー222の通過とを経て、2つの透光部218,220の他方を通って光センサー280に入射するように配置されればよい。
【0031】
<第3実施形態>
図5に示すように、光テコ方式カンチレバー変位検出機構300は、支持部材310と、支持部材310に片持ち支持されたカンチレバー330と、光ビームを射出する光源370と、光ビームを感知する光センサー380と、光ビームの光路を結合分離するビームスプリッター390とを備えている。光源370と光センサー380はそれぞれ第1実施形態の光源370と光センサー380と同様である。
【0032】
支持部材310は、基部312と、基部312から突出した固定反射部314とを有している。固定反射部314は、カンチレバー330から間隔を置いてカンチレバー330に対向して延びている。固定反射部314は、光ビームがそれ自体を通過することを許す透光部318を有している。透光部318は、たとえば、貫通穴で構成される。固定反射部314は、カンチレバー330に対向する面に反射面316を有している。
【0033】
カンチレバー330は、カンチレバー330と固定反射部314の間隔を規定するスペーサ350を介して支持部材310に接合されている。カンチレバー330は、平板状で、固定反射部314に対向する面に反射面338を有している。
【0034】
カンチレバー330は、その先端すなわち自由端に探針336を有している。探針336は、カンチレバー330の反射面338に交差してたとえば垂直に反射面338の反対側へ延びている。またカンチレバー330は、反射面338の側で探針336の近くに、光ビームを逆方向へ折り返し反射する折り返し反射部340を有している。そのほかカンチレバー330の詳細は第2実施形態のカンチレバー230と同様である。
【0035】
光源370は、透光部318に整列して配置されている。ビームスプリッター390は、光源370と透光部318の間に配置され、光源370から射出された光ビームを透過し、透光部318を通って戻ってくる光ビームを光センサー380へ向けて反射する。
【0036】
ビームスプリッター390は、たとえば、偏光ビームスプリッター392と1/4波長板394とで構成される。偏光ビームスプリッター392は、光源370から射出される直線偏光を透過し、これに偏光面が直交する直線偏光を反射する。1/4波長板394は、たとえば、光源370の反対側の偏光ビームスプリッター392の面に接して配置される。1/4波長板394は、必ずしも偏光ビームスプリッター392の面に接して配置される必要はなく、ビームスプリッター390と折り返し反射部340の間の光路上に位置していればよい。
【0037】
光源370から射出された光ビームはビームスプリッター390を透過し、透光部318を通ってカンチレバー330に入射する。カンチレバー330に入射した光ビームは、カンチレバー330の反射面338と固定反射部314の反射面316とによって繰り返し反射されて折り返し反射部340に到達する。折り返し反射部340に到達した光ビームは、折り返し反射部340によって逆方向へ折り返し反射され、カンチレバー330の反射面338と固定反射部314の反射面316とによって繰り返し反射され、透光部318を通ってビームスプリッター390に入射する。ビームスプリッター390に入射した光ビームは、ビームスプリッター390によって反射され光センサー380に入射する。光センサー380は、カンチレバー330の変位によって引き起こされる光ビームの入射位置の変化すなわちビームスポットの移動を反映した信号を出力する。
【0038】
本実施形態の光テコ方式カンチレバー変位検出機構300は、第2実施形態の光テコ方式カンチレバー変位検出機構200と同様の利点を有する。また、ビームスプリッター390を偏光ビームスプリッター392と1/4波長板394を組み合わせて構成した場合、実質的に光ビームの損失がないので、カンチレバー330の変位を高いSN比で検出できる。
【0039】
本実施形態では、光源370から射出された光ビームがビームスプリッター390を透過して透光部318へ向かい、透光部318を通って戻ってくる光ビームがビームスプリッター390によって光センサー380へ向けて反射される構成としたが、光源370と光センサー380の位置関係は交換されてもよい。つまり、光源370から射出された光ビームがビームスプリッター390によって透光部318へ向けて反射される、透光部318を通って戻ってくる光ビームがビームスプリッター390を透過して光センサー380へ向かう構成としてもよい。すなわち、ビームスプリッター390は、光源370から射出された光ビームを透光部318へ方向づけるとともに、透光部318を通過し繰り返し反射を経て折り返し反射部340に到達し折り返し反射部340によって逆方向へ折り返し反射され再び繰り返し反射を経て透光部318を通過した光ビームを光センサー380へ方向づければよい。
【0040】
<第4実施形態>
図6に示すように、光テコ方式カンチレバー変位検出機構400は、支持部材410と、支持部材410に片持ち支持されたカンチレバー430と、光ビームを射出する光源470と、光ビームを感知する光センサー480とを備えている。光源470と光センサー480はそれぞれ第1実施形態の光源170と光センサー180と同様である。
【0041】
支持部材410は、基部412と、基部412から突出した固定反射部414とを有している。固定反射部414は、カンチレバー430から間隔を置いてカンチレバー430に対向して延びている。固定反射部414は、光ビームがそれ自体を通過することを許す2つの透光部418,420を有している。透光部418,420は、たとえば、貫通穴で構成される。固定反射部414は、カンチレバー430に対向する面に反射面416を有している。固定反射部414はさらに、透光部418に設けられたハーフミラー422を有している。ハーフミラー422は、その反射面が固定反射部414の反射面416と面一となっており、固定反射部414の反射面416と共に、後述する繰り返し反射に寄与する。
【0042】
カンチレバー430は、カンチレバー430と固定反射部414の間隔を規定するスペーサ450を介して支持部材410に接合されている。カンチレバー430は、平板状で、固定反射部414に対向する面に反射面438を有している。
【0043】
図7に示すように、固定反射部414は、正面から見て、等角台形形状の基部424と、基部424の短い側の底の中央から延出している長方形形状の延出部426とを有している。カンチレバー430は、正面から見て、等角台形形状の基部432と、基部432の短い側の底の中央から延出している長方形形状の延出部434とを有している。固定反射部414の基部424はカンチレバー430の基部432よりも一回り大きく、固定反射部414の延出部426の先端はカンチレバー430の延出部434の先端よりも突出している。
【0044】
図6と図7に示すように、カンチレバー430は、その先端すなわち自由端に探針436を有している。言い換えれば、延出部434の先端すなわち自由端に探針436が設けられている。探針436はたとえば四角錐形状をしている。探針436は、カンチレバー430の反射面438に交差してたとえば垂直に反射面438の反対側へ延びている。
【0045】
図6に示すように、固定反射部414は、光ビームを逆方向へ折り返し反射する折り返し反射部428を延出部426に有している。折り返し反射部428は、探針436の近くに位置している。
【0046】
光源470は、透光部418に整列して配置されている。また光センサー480は、透光部420に整列して配置されている。
【0047】
図6において、光源470から射出された光ビームは透光部418を通ってハーフミラー422に入射し、その一部はハーフミラー422を透過してカンチレバー430に入射する。カンチレバー430に入射した光ビームは、カンチレバー430の反射面438と固定反射部414の反射面416とによって繰り返し反射されて折り返し反射部428に到達する。折り返し反射部428に到達した光ビームは、折り返し反射部428によって逆方向へ折り返し反射され、カンチレバー430の反射面438およびハーフミラー422の反射面423と固定反射部414の反射面416とによって繰り返し反射され、透光部420を通って光センサー480に入射する。光センサー480は、カンチレバー430の変位によって引き起こされる光ビームの入射位置の変化すなわちビームスポットの移動を反映した信号を出力する。
【0048】
本実施形態の光テコ方式カンチレバー変位検出機構400は、第2実施形態の光テコ方式カンチレバー変位検出機構200と同様の利点を有する。
【0049】
本実施形態は、第2実施形態において折り返し反射部240をカンチレバー230に設ける代わりに固定反射部214に設けるように修正変更したものと言える。同様の修正変更は第3実施形態に対して適用してもよい。
【0050】
本実施形態においても、第2実施形態と同様に、光源470と光センサー480の位置関係は交換されてもよい。
【0051】
<第5実施形態>
図8に示すように、光テコ方式カンチレバー変位検出機構500は、支持部材510と、支持部材510に片持ち支持されたカンチレバー530と、光ビームを射出する光源570と、光ビームを感知する光センサー580とを備えている。光源570と光センサー580はそれぞれ第1実施形態の光源170と光センサー180と同様である。
【0052】
支持部材510は、基部512と、基部512から突出した固定反射部514とを有している。固定反射部514は、基部512の端部から基部512の反対側へ斜めに延出している。固定反射部514は、カンチレバー530から間隔を置いてカンチレバー530に対向して延びている。固定反射部514は、光ビームがそれ自体を通過することを許す2つの透光部518,520を有している。透光部518,520は、たとえば、貫通穴で構成される。固定反射部514は、カンチレバー530に対向する面に反射面516を有している。固定反射部514はさらに、透光部518に設けられたハーフミラー522を有している。ハーフミラー522は、その反射面が固定反射部514の反射面516と面一となっており、固定反射部514の反射面516と共に、後述する繰り返し反射に寄与する。
【0053】
カンチレバー530は、カンチレバー530と固定反射部514の間隔を規定するスペーサ550を介して支持部材510に接合されている。カンチレバー530は、平板状で、固定反射部514に対向する面に反射面538を有している。
【0054】
図9に示すように、固定反射部514は、正面から見て、二等辺三角形形状をしている。カンチレバー530は、正面から見て、等角台形形状の基部532と、基部532の短い側の底の中央から延出している長方形形状の延出部534と、延出部534の先端から延出している二等辺三角形形状の探針536を有している。基部532は固定反射部514よりも一回り小さく、延出部534は固定反射部514の先端よりも突出している。
【0055】
図8に示すように、探針536は、カンチレバー530の長手軸に平行に延びている。またカンチレバー530は、探針536の近くに位置する延出部534に、固定反射部514の側の面に、光ビームを逆方向へ折り返し反射する折り返し反射部540を有している。固定反射部514は、先端の稜526が反射面516に対して鋭角になっている。探針536の先端は、稜526を通る直線よりも長手軸前方に突出している。ここで、長手軸前方とは、長手軸に平行で固定端から自由端へ向かう方向をいう。
【0056】
光源570は、透光部518に整列して配置されている。また光センサー580は、透光部520に整列して配置されている。
【0057】
図8において、光源570から射出された光ビームは透光部518を通ってハーフミラー522に入射し、その一部はハーフミラー522を透過してカンチレバー530に入射する。カンチレバー530に入射した光ビームは、カンチレバー530の反射面538と固定反射部514の反射面516とによって繰り返し反射されて折り返し反射部540に到達する。折り返し反射部540に到達した光ビームは、折り返し反射部540によって逆方向へ折り返し反射され、カンチレバー530の反射面538およびハーフミラー522の反射面524と固定反射部514の反射面516とによって繰り返し反射され、透光部520を通って光センサー580に入射する。光センサー580は、カンチレバー530の変位によって引き起こされる光ビームの入射位置の変化すなわちビームスポットの移動を反映した信号を出力する。
【0058】
本実施形態の光テコ方式カンチレバー変位検出機構500は、第2実施形態の光テコ方式カンチレバー変位検出機構200と同じ利点に加えて次の利点を有する。
【0059】
探針536がカンチレバー530の長手軸に平行に延びており、さらに固定反射部514の先端の稜526が反射面516に対して鋭角になっているので、探針536の軸の周囲の空間が空いている。ここで、探針536の軸とは、探針536の固定端中心と先端を通る直線をいう。このため本実施形態の光テコ方式カンチレバー変位検出機構500は、ストロークの長い高精度なステージと組み合わせて表面形状測定装置を構成する用途に適しており、本実施形態の光テコ方式カンチレバー変位検出機構500を備えた表面形状測定装置は、レンズやその金型など、その表面が全体的に大きく湾曲している被測定物をも高精度に測定し得る。
【0060】
本実施形態においても、第2実施形態と同様に、光源570と光センサー580の位置関係は交換されてもよい。
【0061】
<第6実施形態>
図9に示すように、光テコ方式カンチレバー変位検出機構600は、支持部材610と、支持部材610に片持ち支持されたカンチレバー630と、光ビームを射出する光源670と、光ビームを感知する光センサー680とを備えている。光源670と光センサー680はそれぞれ第1実施形態の光源170と光センサー180と同様である。
【0062】
支持部材610は、基部612と、基部612から突出した固定反射部614とを有している。固定反射部614は、基部612の端部から基部612の側へ斜めに延出している。固定反射部614は、カンチレバー630から間隔を置いてカンチレバー630に対向して延びている。固定反射部614は、光ビームがそれ自体を通過することを許す2つの透光部618,620を有している。透光部618,620は、たとえば、貫通穴で構成される。固定反射部614は、カンチレバー630に対向する面に反射面616を有している。固定反射部614はさらに、透光部618に設けられたハーフミラー622を有している。ハーフミラー622は、その反射面が固定反射部614の反射面616と面一となっており、固定反射部614の反射面616と共に、後述する繰り返し反射に寄与する。
【0063】
カンチレバー630は、カンチレバー630と固定反射部614の間隔を規定するスペーサ650を介して支持部材610に接合されている。カンチレバー630は、平板状で、固定反射部614に対向する面に反射面638を有している。
【0064】
探針636は、カンチレバー630の長手軸に平行に延びている。またカンチレバー630は、探針636の近くに位置する延出部634に、固定反射部614の側の面に、光ビームを逆方向へ折り返し反射する折り返し反射部640を有している。固定反射部614は、先端の稜626が反射面616に対して鋭角になっている。探針636の先端は、稜626を通る直線よりも長手軸前方に突出している。そのほかカンチレバー630の詳細は第5実施形態のカンチレバー530と同様である。
【0065】
光源670は、透光部618に整列して配置されている。また光センサー680は、透光部620に整列して配置されている。
【0066】
光源670から射出された光ビームは透光部618を通ってハーフミラー622に入射し、その一部はハーフミラー622を透過してカンチレバー630に入射する。カンチレバー630に入射した光ビームは、カンチレバー630の反射面638と固定反射部614の反射面616とによって繰り返し反射されて折り返し反射部640に到達する。折り返し反射部640に到達した光ビームは、折り返し反射部640によって逆方向へ折り返し反射され、カンチレバー630の反射面638およびハーフミラー622の反射面624と固定反射部614の反射面616とによって繰り返し反射され、透光部620を通って光センサー680に入射する。光センサー680は、カンチレバー630の変位によって引き起こされる光ビームの入射位置の変化すなわちビームスポットの移動を反映した信号を出力する。
【0067】
本実施形態の光テコ方式カンチレバー変位検出機構600は、第5実施形態の光テコ方式カンチレバー変位検出機構500と同じ利点を有する。
【0068】
本実施形態においても、第2実施形態と同様に、光源670と光センサー680の位置関係は交換されてもよい。
【0069】
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。たとえば、つぎのような変形や変更もまた本発明に含まれる。
【0070】
繰り返し反射の回数は、図面に示されたものに限定されるものではなく任意に変更されてよい。
【0071】
固定反射部は、複数の部品で構成されてもよい。
【0072】
固定反射部の反射面は、平面に限らず、球面または自由曲面であってもよい。
【0073】
光軸調整は、通常は光源または光センサーの位置を調整しておこなわれるが、固定反射部を位置調整可能として、固定反射部の位置を調整しておこなってもよい。
【0074】
スペーサが、圧電素子などの振動発生源で構成されてもよい。
【0075】
光源は、光ファイバーなどの導光部材をさらに有する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0076】
100…光テコ方式カンチレバー変位検出機構、110…支持部材、112…基部、114…固定反射部、116…反射面、118…透光部、130…カンチレバー、132…基部、134…延出部、136…探針、138…反射面、150…スペーサ、170…光源、180…光センサー、200…光テコ方式カンチレバー変位検出機構、210…支持部材、212…基部、214…固定反射部、216…反射面、218…透光部、220…透光部、222…ハーフミラー、224…反射面、230…カンチレバー、232…基部、234…延出部、236…探針、238…反射面、240…折り返し反射部、250…スペーサ、270…光源、280…光センサー、300…光テコ方式カンチレバー変位検出機構、310…支持部材、312…基部、314…固定反射部、316…反射面、318…透光部、330…カンチレバー、336…探針、338…反射面、340…折り返し反射部、350…スペーサ、370…光源、380…光センサー、390…ビームスプリッター、392…偏光ビームスプリッター、394…波長板、400…光テコ方式カンチレバー変位検出機構、410…支持部材、412…基部、414…固定反射部、416…反射面、418…透光部、420…透光部、422…ハーフミラー、423…反射面、424…基部、426…延出部、428…折り返し反射部、430…カンチレバー、432…基部、434…延出部、436…探針、438…反射面、450…スペーサ、470…光源、480…光センサー、500…光テコ方式カンチレバー変位検出機構、510…支持部材、512…基部、514…固定反射部、516…反射面、518…透光部、520…透光部、522…ハーフミラー、524…反射面、526…稜、530…カンチレバー、532…基部、534…延出部、536…探針、538…反射面、540…折り返し反射部、550…スペーサ、570…光源、580…光センサー、600…光テコ方式カンチレバー変位検出機構、610…支持部材、612…基部、614…固定反射部、616…反射面、618…透光部、620…透光部、622…ハーフミラー、624…反射面、626…稜、630…カンチレバー、634…延出部、636…探針、638…反射面、640…折り返し反射部、650…スペーサ、670…光源、680…光センサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、
前記支持部材に片持ち支持されたカンチレバーと、
光ビームを射出する光源と、
前記光ビームを感知する光センサーとを備え、
前記カンチレバーは先端に探針を有し、前記支持部材は、前記カンチレバーから間隔を置いて前記カンチレバーに対向して延びた固定反射部を有し、前記固定反射部は、前記光ビームがそれ自体を通過することを許す透光部を有し、前記カンチレバーと前記固定反射部はそれぞれ互いに対向する面に反射面を有し、
前記光源から射出された前記光ビームは、前記カンチレバーの反射面による複数回の反射を含む前記カンチレバーの反射面と前記固定反射部の反射面とによる繰り返し反射と、前記透光部の通過とを経て、前記光センサーに入射し、
前記光センサーは、前記カンチレバーの変位によって引き起こされる前記光ビームの入射位置の変化を反映した信号を出力する、光テコ方式カンチレバー変位検出機構。
【請求項2】
前記カンチレバーと前記固定反射部の一方は、前記探針の近くに、前記光ビームを逆方向へ折り返し反射する折り返し反射部を有し、
前記光源から射出された前記光ビームを前記透光部へ方向づけるとともに、前記透光部を通過し前記繰り返し反射を経て前記折り返し反射部に到達し前記折り返し反射部によって逆方向へ折り返し反射され再び前記繰り返し反射を経て前記透光部を通過した前記光ビームを前記光センサーへ方向づけるビームスプリッターをさらに備えている、請求項1に記載の光テコ方式カンチレバー変位検出機構。
【請求項3】
前記カンチレバーと前記固定反射部の一方は、前記探針の近くに、前記光ビームを逆方向へ折り返し反射する前記折り返し反射部を有し、
前記固定反射部は、前記透光部に設けられたハーフミラーをさらに有し、前記ハーフミラーは、その反射面が前記固定反射部の反射面と面一となっており、前記固定反射部の反射面と共に前記繰り返し反射に寄与し、前記固定反射部は、前記透光部よりも固定端側に、前記光ビームがそれ自体を通過することを許す別の透光部をさらに有し、
前記光源から射出された前記光ビームは2つの前記透光部の一方を通って前記カンチレバーに入射し、前記カンチレバーの反射面および前記ハーフミラーの反射面と前記固定反射部の反射面とによる繰り返し反射と、前記折り返し反射部による折り返し反射と、前記ハーフミラーの通過とを経て、2つの前記透光部の他方を通って前記光センサーに入射する、請求項1に記載の光テコ方式カンチレバー変位検出機構。
【請求項4】
前記探針は、前記カンチレバーの反射面に交差して延びている、請求項3に記載の光テコ方式カンチレバー変位検出機構。
【請求項5】
前記探針は、前記カンチレバーの長手軸に平行に延びている、請求項3に記載の光テコ方式カンチレバー変位検出機構。
【請求項6】
前記カンチレバーは、前記カンチレバーと前記固定反射部の間隔を規定するスペーサを介して前記支持部材に接合されている、請求項1〜5のいずれかひとつに記載の光テコ方式カンチレバー変位検出機構。
【請求項7】
前記光源は、半導体レーザーで構成される、請求項1〜6のいずれかひとつに記載の光テコ方式カンチレバー変位検出機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−169748(P2011−169748A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33888(P2010−33888)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)