説明

光ディジタル・アナログ変換器

本発明の一実施例によれば、ディジタル信号をアナログ光信号に変換するディジタル・アナログ変換器は、光源及び複数の光スイッチを含む。各光スイッチは、ディジタル信号の複数のビットのうちの個別のビットに応答して、光源からスイッチを介した光の透過を選択的に可能にする。ディジタル・アナログ変換器は、スイッチそれぞれを通って進む光を合成し、ディジタル信号を示すアナログ光信号を生成するよう動作可能な光合成システムも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「OPTICAL DIGITAL TO ANALOG CONVERTER」と題する、西暦2006年7月18日付け出願の米国特許仮出願第60/807,697号(代理人整理番号004578.1372)の優先権を米国特許法第119条(e)の下で主張する。
【0002】
本発明は一般に、ディジタル・アナログ変換器に関し、特に、光ディジタル・アナログ変換器に関する。
【背景技術】
【0003】
ディジタル・エレクトロニクスは今日の社会において広く浸透している。しかし、多くの場合、ディジタル信号をアナログ形式で表すことが必要である。更に、光データ処理はますます一般的になってきている。伝統的なディジタル・アナログ変換器は、スイッチ電子電流源又は電圧源を使用してディジタル符号語をアナログ値に変換する。例示的な手法には、パラレル型、又はフラッシュ型、及びデルタ・シグマ型のディジタル・アナログ変換器が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の装置は伝統的に、電流クロストーク、電源ノイズ、及び低スイッチング速度のために雑音が多い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施例によれば、ディジタル信号をアナログ光信号に変換するディジタル・アナログ変換器は、光源及び複数の光スイッチを含む。各光スイッチは、ディジタル信号の複数のビットのうちの個別のビットに応答して、光源からスイッチを介した光の透過を選択的に可能にする。ディジタル・アナログ変換器は、スイッチそれぞれを通って進む光を合成し、ディジタル信号を示すアナログ光信号を生成するよう動作可能な光合成システムも含む。
【0006】
本発明の特定の実施例は、数多くの技術上の利点をもたらし得る。一実施例によれば、非常に高速で、雑音が非常に少ないディジタル・アナログ変換を可能にするディジタル・アナログ変換器が提供される。前述の変換器は、フォトニック・フェーズド・アレイ・システムなどの、光ファイバ上でRF情報を配信しなければならない地上ベースのRFシステム、船舶搭載用のRFシステム、及び航空機搭載のRFシステムにおける広いアプリケーションを有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の教示による例示的なディジタル・アナログ変換器を示すブロック図である。
【図2A】2つの光信号の合成、及び結果として生じる出力信号を示す概略図である。
【図2B】複数の光信号の合成、及び結果として生じる出力信号を示す概略図である。
【図3】半導体チップ上で実現された図3のディジタル・アナログ変換器の例示的な実施例を示す概略図である。
【図4】本発明の特定の実施例に適切であり得る光電スイッチの特性を示す図である。
【図5A】図1の光電スイッチの一例を示す断面図である。
【図5B】吸収状態に対応するバンド図を示す、図5Aの光電スイッチのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図5C】吸収状態に対応する電荷分布を示す、図5Aの光電スイッチのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図5D】透明状態に対応するバンド図を示す、図5Aの光電スイッチのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図5E】透明状態に対応する電荷分布を示す、図5Aの光電スイッチのシミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の更なる技術上の利点は、図面、詳細な説明、及び特許請求の範囲から当業者に容易に明らかになるであろう。更に、特定の利点を列挙しているが、種々の実施例は、列挙された利点のうちの全て若しくは一部を含み得、列挙された利点の何れも含まないことがあり得る。
【0009】
本発明及びその利点をより詳細に理解するために、次に、添付図面とともに読まれる以下の説明を参照する。
【実施例】
【0010】
本発明の実施例、及びその利点は、図面の図1乃至図5Eを参照することにより、最もよく分かる。種々の図面の類似部分及び対応する部分には、同じ参照符号を使用する。
【0011】
図1は、本発明の教示によるディジタル・アナログ変換器10を示すブロック図である。ディジタル・アナログ変換器10は、ディジタル波形生成器12によって生成され得るディジタル入力電気信号を、線14を介して受け取り、16で光アナログ出力を生成する。線14は、ディジタル信号を搬送することが可能な、導電体などの何れかの適切な伝送媒体であり得る。ディジタル波形生成器12は、ディジタル信号を生成するよう動作可能な何れかの適切な波形生成器であり得る。あるいは、ディジタル・アナログ変換器10は、ディジタル信号を特定の他のソースから受け取ることができる。この実施例では、ディジタル・アナログ変換器10は光源18を含む。この例では、光源18は、連続波レーザ光源である。しかし、他の光源を使用することができる。レーザ光源18は光を光スイッチング・システム20に供給する。
【0012】
光スイッチング・システム20はこの実施例では、複数の光電スイッチ22を含む。各光源スイッチ22は、光路19を介してレーザ18から受け取られた光を、阻止するか、又は、それぞれのパス24を介して光合成システム26に進める。光路19は、光信号を搬送する導波管又は他の適切な媒体であり得る。各光電スイッチ22は、線14を介して受け取られる電気データのビットに応答する。前述のビットは全て、併せて、ディジタル波形生成器12によって生成されるディジタル入力信号に対応する。よって、各光電スイッチは入力ディジタル信号の一ビットに応答する。光スイッチング・システム20の出力は、入力ディジタル信号のそれぞれのビットを示す複数の光信号である。例えば、ディジタル・ビット「ゼロ」は、光が対応する光電スイッチを通って流れることを阻止することに対応し得る一方、ディジタル・ビット「1」は、光がスイッチを通過することを可能にすることに対応し得る。前述の光信号は、パス24を介して光合成システム26に供給される。パス24は、光を搬送する導波管又は何れかの他の適切な媒体であり得、この例では、コンバイナ28の一部として構成される。適切な光電スイッチ22の例には、ポリマー吸収変調器(当該技術分野において周知である)、及び、特に速い光電スイッチ(図4乃至図5Eとともに後述するものなど)が含まれる。しかし、特定のアプリケーションに基づき、かつ、ディジタル信号内のビット数及び信号周波数の関数である望ましい速度及びセットリング特性を表す何れの光電スイッチも使用することができる。
【0013】
光合成システム26は複数の光コンバイナ28を含む。一例では、光コンバイナ28は、それぞれが同じ減衰を有する導波管に過ぎない。しかし、光コンバイナ20は、2つの光ビームを所望の減衰で合成することが可能な何れかの適切な装置であり得る。本発明の教示は、50%の減衰、又は約3dBの利得を有するコンバイナ28を提供し、次いで、各コンバイナ28の出力を直列に加えることは、「R−2R」電気ディジタル・アナログ変換器と同様である。よって、この実施例では、各コンバイナ28は、約3dBの利得を有し、隣接するコンバイナ28にその出力を供給する。その結果、光合成システム26は、線14において供給されるディジタル入力信号を示す光アナログ出力を16で生成する。図2A及び図2Bに関して以下に更に詳細に説明するように、アナログ光出力16に最も近いコンバイナ28は、ディジタル入力信号の最上位ビットに対応する光信号を受け取り、光アナログ出力16から最も遠いコンバイナ28は、ディジタル入力信号の最下位ビットに対応する光信号を受け取る。各コンバイナ28において50%の減衰を備えることにより、隣接した光電スイッチ22からの出力に対して2倍又は2分の1であるレベルを何れかの特定の光信号が表し、これがディジタル入力信号の2進性に一致し得るように、光合成システム26は、パス24にわたって、受け取られた光信号の各ビットを適切に重み付けする。よって、光アナログ出力16において生じる和は、図2A及び図2Bに関して以下に更に詳細に説明するようにディジタル入力信号を示す。
【0014】
図2Aは、光合成システム26が、ディジタル入力信号を表す対象の光信号を適切に合成することができるやり方を示す概略図である。図2Aは、2つの光信号の合成、及び結果として生じる光信号を示す。本発明の教示は、ディジタル信号の個別のビットにそれぞれが対応する複数の光信号を受け取り、50%の係数で、受け取られた信号それぞれを首尾良く減衰させることにより、複数の信号を加算する光合成システム(光合成システム26など)をパス24上に構成することができる。結果として生じる信号は、ディジタル入力信号を表す合成和である。50%の減衰係数は。ディジタル信号固有の2の累乗の関係に一致する2の累乗の関係を提供する。
【0015】
図2Aでは、電力レベルP1を有する光信号30、及び電力レベルP2を有する光信号32が33で合成される。この合成は、等しい寸法の2つの導波管を結合すること、又は他の適切な手法によって生じ得る。結果として生じる光信号34は、入力信号30及び32それぞれの半分の和に等しい電力レベルを有する。この手法は、図2Bに示すように、2分の1だけ信号を首尾良く減衰させ、ディジタル入力信号をアナログ信号に変換するために適した2の累乗の関係を与える光コンバイナを設けるよう拡張することができる。
【0016】
図2Bでは、入力光信号36、38及び40は、出力信号46を生成するよう首尾良く合成される。光信号36は電力レベルP3を有し、光信号38は電力レベルP2を有し、光信号40は電力レベルP1を有する。出力信号42は光信号38とノード50で合成して、その結果、光信号44が有する電力レベルはP3/4+P2/2になる。光信号44は次いで光信号40とノード52で合成し、その結果、光信号46が有する電力はP3/8 + P2/4 + Pl/2になる。よって、光信号の連続した合成により、電力の大きさが2の累乗になり得る。これは、ディジタル信号をアナログ信号に変換するのに有用である。前述の通り、ノード48、50及び52における合成は、単に、等しい減衰を有する2つの導波管を結合することにより、又は他の適切な手法によって生じ得る。しかし、2の累乗という所望の関係を得るためには、光コンバイナ28それぞれが、約50%の減衰係数、又は約3dBの利得を有することが望ましい。
【0017】
よって、光合成システム26は、ディジタル入力信号の個別のビットにそれぞれが対応する複数の光信号を受け取り、適切な重み付け係数を与えて、ディジタル入力信号の全体値を表す光アナログ出力をもたらすことが可能である。
【0018】
一実施例では、ディジタル・アナログ変換器10は、図3に示すように、半導体チップ上の導波管によって実現することができる。図3は、本発明の教示による、半導体チップ100上に形成されたディジタル・アナログ変換器の概略図である。図示したように、ディジタル・アナログ変換器100は、シリコン基板102と、導波管104と、複数の入力導波管106と、複数の光電スイッチ108と、「スター・カプラ110」と、レーザ112とを含む。光電スイッチ108のディジタル信号源114への接続も図3に示す。
【0019】
ディジタル・アナログ変換器100の動作は、図1乃至図2Bに関して前述したディジタル・アナログ変換器10と同様である。図示したように、光電スイッチ108それぞれは、ディジタル信号源114によって供給されるディジタル入力信号の個別のビットに対応し、スター・カプラ110を介して受け取られたレーザ112からの光が導波管104乃至導波管106に流れることを選択的に可能にする。光電スイッチ108から導波管104への通過光の合成により、ディジタル信号源によって供給される信号を表す出力が116で生成される。
【0020】
導波管104は、シリコン基板102上にシリコン酸化物を熱成長させ、酸化物をエッチングして、シリコン酸化物片を形成することができる。シリコン酸化物片の寸法は、導波管として適切であるよう選択することができる。結果として生じるシリコン酸化物片は導波管のコアを表し、周囲の空気はクラッディングとしての役目を果たし得る。一例では、光電スイッチ108はポリマー吸収変調器である。ポリマー吸収変調器の吸収は電圧とともに変動する(当該技術分野において周知である)。
【0021】
特定の一実施例では、ディジタル・アナログ変換器10が、ギガヘルツ領域における12ビットのディジタル信号を光アナログ出力信号に変換する機能を有することが望ましいことがあり得る。特に、一実施例は、70dBのスプリアスフリーのダイナミック・レンジを有する12ビットの、12.5GHzのディジタル・アナログ変換器に関係する。前述の場合、光電スイッチ22のスイッチング速度は非常に速い状態にあるべきであるが、特に、最善の性能のためには数ピコ秒程度のセットリング・タイムを有するべきである。前述のアプリケーションに適切な光電スイッチの所望の特性は、図4に関して以下に更に詳細に示し、説明し、スイッチの例は図5A乃至図5Eを参照して説明する。
【0022】
これまで、高速光変調器は、主に量子閉じ込めシュタルク効果を使用して実現されている。このタイプの手法は、データ生成器及びGaAs/AlGaAs量子閉じ込めシュタルク効果変調器を使用して毎秒1ギガビットのビットレートで動作することが明らかになっている。修正、及びデバイス設計、並びにシステム・アーキテクチャにより、この手法は、毎秒10ギガビットに拡張することができる。光周波数において動作する前述のデバイスは、バンド内遷移に依存する。バンド内遷移には、ナノ秒の緩和寿命時間が関連付けられる。
【0023】
対照的に、寿命時間が数ピコ秒であるバンド内遷移に依存する後述する光電スイッチは、速度で、潜在的に100倍乃至1000倍の寿命拡張を提供し、100GHz以上の高い信号スイッチング速度が有望視される。本発明の教示により、バンド内の量子ウェル光電素子がピコ秒程度の注入キャリア寿命を有していると認識される。バンド内量子ウェル光源、及び検出器は、スペクトルの中央赤外線領域において作動して、1.3乃至1.55のμm波長バンドにおいて使用するレーザの低損失光ファイバと互換でない。対応するエンジン(0.8乃至0.9eV)は、何れかの量子ウェル構造の効率的な谷内光遷移よりも大きい。しかし、選択ルールによって通常禁止されている燐火インジウム(InP)における光遷移は、超格子などの量子結合構造において可能になる。Γ谷部とX谷部との間の遷移は、燐火インジウム、及び、燐火インジウムと格子がマッチングした材料の場合、0.8乃至0.9のエネルギ範囲に収まる。前述の遷移を表す多重量子ウェル構造の特性は図4に示す。図4は、InP、In0.53Ga0.32Al0.15As、In0.52Al0.48As、及びIn0.53Ga0.47Asに基づいた超格子構造に基づいた光電スイッチの特性を示す。算出された電子透過確率を右にプロットする。強いルミネッセンスが、量子ウェルX状態と、価電子帯におけるホール状態の伝導帯との間のΓ―X遷移から明らかになっている。この遷移は、高速で高コントラストの光電スイッチを提供するために使用することができる。
【0024】
前述の光電スイッチを構築するうえでいくつかの基準を考慮に入れ得る。前述には、オンオフ・コントラスト、吸収エネルギ及び速度が含まれる。光信号のオンオフ・コントラストはいくつかの要因によって決まる。透過光電力は、e-αLに比例する。ここで、αは吸収係数であり、Lは長さである。吸収係数は、状態の最下位バンドにおける電子密度ρ、及び、状態の最下位バンドと、Γ−X状態の第1のバンドとの間で二乗された光行列要素に比例する。吸収係数は、ρを電子的に変えることによって変えられる。80dBの規定コントラストには、(αmax−α)L=18.42が必要である。ここで、αβは、最小値nに対応する最大吸収、及び何れかの背景吸収である。αmaxを最大にし、Lを最小にするためには、Lは、ρの好適な変調、及び最下位のΓ状態と、混成X状態のバンドとの間の好適な光結合が必要である。よって、オンオフ・コントラストは、最下位の電子状態群における電子密度変調を最大にし、光結合行列要素を最大にすることにより、強調することが可能である。前述の最大化は何れかの適切な手法によって行うことができる。1つの特定の実現形態では、最大化は、ナノ電極エンジニアリング・モデリング・ツールを使用することによって実行される。このツールは、材料、幾何学、バイアス及びドーピングの設計空間を効率的に探査することが可能な設計ツールである。
【0025】
光吸収エネルギを、共通の(1.3μm/l .55μmの)レーザに調節するには、Γ−Xエネルギ分離の制御が必要である。前述の材料の場合、X値の相対位置は周知でなく、一定範囲の値を文献で見つけることが可能である。しかし、吸収係数対波長は、装置を最適化するために使用される測定データにより、構成された装置に基づいて測定することが可能である。
【0026】
光スイッチの速度は、多重量子ウェル構造の内外で電子を掃引することが可能な速度によって決まる。電気的には、デバイスは、コンデンサとして動作し、厚いコレクタ・バリアは誘電体として作用する。左の接点の電圧が上下に掃印されるにつれ、電子が注入され、量子ウェルから除去される。一実施例では、バリアは、左接点へのトンネリング確率により、量子ウェル状態の場合に、ほぼ1ピコ秒のトンネリング時間が生じるように設計されるべきである。光学的にX状態に注入される電子は何れも、ピコ秒程度の緩和寿命時間を有する。前述の寿命時間により、500GHz程度のイントリンシック・デバイス帯域幅が示唆される。素子スイッチング速度は、単に、回路のRC時定数によって決まる。デバイスのリンク及び電力消費は、前述の吸収係数を最大にすることによって最小にすることが可能である。
【0027】
前述の考慮点を考慮に入れれば、ギガヘルツ領域の入力信号に適した光電スイッチの一例を、図5A乃至図5Eを参照して以下に示す。
【0028】
図5Aは、本発明による光電スイッチとしての使用に適切な高速電子吸収変調器の一例の断面図を示す。変調器200は、図5Aに示す半導体デバイスとして形成することができる。変調器200は、シリコン基板210の上に形成された金属ショットキー接点212を含み得る。上に形成された基板210は、InGaAsの層214である。層214に適切な厚さは、4つの単層であり、層214に適切なドーピングの1つはlel9cm−3である。上にある層214は、イントリンシックAlAsの層216である。層214に適切な一例には、6つの単層がある。上にある層216は、イントリンシックInAlAsの層218である。層218に適切な厚さの一例には15nmがある。上にある層218は、InAlAsの層220である。層InGaAsの厚さの一例は3mlであり、ドーピングの一例はlel7cm−3である。上にある層220はInAlAsの層222である。層222の厚さの一例は3つの単層であり、ドーピングの一例はlel7cm−3である。
【0029】
5el7cm−3乃至1el7cm−3のグレーディング・ドーピングを有するエピ層224の複数の繰り返しである。何れかの適切な数のエピ層224を使用することができる。しかし、一実施例では、8つのエピ層224が使用される。エピ層224は、InPの層226で形成される。層226の厚さの一例は4.1μnmであり、ドーピングの一例は5el7cm−3である。上にある層226はInAlAsの層228である。層228の厚さの一例は、3つの単層であり、ドーピング・レベルの一例は5el7cm−3である。上にある層228はInAlAsの層230である。層230の厚さの一例は、3つの単層であり、ドーピング・レベルの一例は5el7cm−3である。上にある層230はInAlAsの層232である。層232の厚さの一例は3つの単層であり、ドーピングの一例は5el7cm−3である。
【0030】
最後のエピ層224の上にあるのは、In053AlGa(o.47−X)Asの層234であり、xは0から0.1にグレーディングされる。層234の厚さの一例は50nmであり、ドーピングの一例は2el7cm−3である。上にある層234はInGaAsの層236である。層236の厚みの例の1つは5nmであり、ドーピングの一例はIel9 cm 3である。上にある層236は金属非合金接点238である。上記層は、当該技術分野において周知の手法により、又は、他の適切な手法によって見つけることができる。
【0031】
図5Bは、8つのエピ層224を有する変調器200のシミュレーション結果を示す。図5Bは、吸収状態に対応する、V=0.5ボルトでのΓ谷内最小値のバンド図である。図5Cは、対応する電荷分布を示す。図示したように、超格子(光学活性領域)内の電子密度は、2−4x10cm−3である。図5Dは、透明状態に対応する、V=−2.5ボルトにおけるΓ谷内最小値のバンド図を示す。図5Eは、透明状態の場合の対応する電荷分布を示す。超格子(光活性領域)内の電子密度は、10−14cm−3未満である。吸収状態及び透明状態の電子密度の比は3,000を上回る。これは、吸収係数のオンオフ比に対応する。
【0032】
図6は、ディジタル・アナログ変換器10によって実現することができるコンバイナ28aの一実施例を示す。この特定の実施例では、コンバイナ28aは、光学ビーム・スプリッタ素子である。しかし、何れかの適切なタイプのコンバイナ28を本願の開示の教示によって利用することができる。動作中、光線P1 90及び光線P2 92はそれぞれ、光学エネルギの50%が偏差なしで光線94に透過するように部分的に減衰され得る。光線P1 90は、その光学エネルギの50%が光線94に反射されるようにコンバイナ28aに当たる。光線P2 92は、その光学エネルギの50%が偏差なしで合成光線94に透過されるようにコンバイナ28aに当たる。光線96は合成素子において必要でないエネルギを表し、廃棄される。このコンバイナ28aからの出力光線94は、一連のコンバイナにおける別のコンバイナ(特に示していない)に供給することができるか、又は光アナログ出力18であり得る。
【0033】
本発明はいくつかの実施例によって説明してきたが、数限りない変更、変形、改変、変換及び修正を当業者に示唆し得、本発明が、特許請求の範囲内に収まる前述の変更、変形、改変、変換及び修正を包含することを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディジタル信号をアナログ光信号に変換する光ディジタル・アナログ変換器であって、
レーザと、
それぞれが前記ディジタル信号の複数のビットのうちの個別のビットに応答して前記レーザからの光を選択的に透過する複数の光スイッチと、
前記光スイッチと一対一で接続され、それぞれが、約3dBの利得を有し、個別の光スイッチによって透過される何れかの光を受け取り、個別の出力信号を供給する複数の光コンバイナとを有し、前記複数の光コンバイナは、直列の最後の光コンバイナの出力が前記ディジタル信号を示すように直列に配置された光ディジタル・アナログ変換器。
【請求項2】
ディジタル信号をアナログ光信号に変換する光ディジタル・アナログ変換器であって、
光源と、
それぞれが、前記ディジタル信号の複数のビットのうちの個別のビットに応答して、前記光源からの光がスイッチを介して透過することを選択的に可能にする複数の光スイッチと、
前記スイッチそれぞれを通って進む前記光を合成し、前記ディジタル信号を示すアナログ光信号を生成する光合成システムとを含む変換器。
【請求項3】
請求項2記載の変換器であって、前記光合成システムは、それぞれが前記光スイッチのうちの個別の光スイッチに結合され、約3dBの利得を有する複数の光コンバイナを備える変換器。
【請求項4】
請求項3記載の変換器であって、前記光コンバイダそれぞれは、複数の導波管のその他それぞれと同じ減衰を有する導波管を含む変換器。
【請求項5】
請求項3記載の変換器であって、前記複数の光コンバイナは併せて直列に結合される変換器。
【請求項6】
請求項3記載の変換器であって、前記複数の光コンバイナは、12個の光コンバイナを有する変換器。
【請求項7】
請求項2記載の変換器であって、前記複数の光スイッチは、10ピコ秒未満のセットリング時間を有する少なくとも1つの光スイッチを含む変換器。
【請求項8】
請求項2記載の変換器であって、前記複数の光スイッチは複数の量子ウェル吸収器を有する変換器。
【請求項9】
請求項2記載の変換器であって、前記複数の光スイッチは複数のバンド内量子ウェル吸収器を有する変換器。
【請求項10】
請求項8記載の変換器であって、前記複数のバンド内量子ウェル吸収器は、燐火インジウムにおける光遷移で動作する変換器。
【請求項11】
請求項8記載の変換器であって、前記複数のバンド内量子ウェル吸収器は、Γ谷内とX谷内との間の光遷移で動作する変換器。
【請求項12】
請求項2記載の変換器であって、前記光源が少なくとも1つのレーザを含む変換器。
【請求項13】
ディジタル信号をアナログ光信号に変換する方法であって、
前記ディジタル信号に少なくとも部分的に基づいて複数の光スイッチのうちのそれぞれの光スイッチを光が通って進むことを選択的に可能にする工程であって、前記ディジタル信号は、前記複数の光スイッチのうちのそれぞれの光スイッチに関連付けられた複数のビットを有する工程と、
合成光が前記ディジタル信号を表すように、前記複数の光スイッチのうちのそれぞれの光スイッチを通って進む前記光を合成する工程とを含む方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法であって、前記光を合成する工程は、各光スイッチの出力を個別の光コンバイナに供給する工程を含み、複数の光コンバイナは直列に接続され、各光コンバイナは約3dBの利得を有する方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法であって、各光スイッチの出力を個別の光コンバイナに供給する工程は、各光スイッチの出力を個別の光ビーム・スプリッタ素子に供給する方法。
【請求項16】
請求項14記載の方法であって、前記ディジタル制御信号は12ビットを含み、前記複数の光コンバイナは12個の光コンバイナを含む方法。
【請求項17】
請求項13記載の方法であって、光が通過することを選択的に可能にする工程は、レーザ光が通過することを選択的に可能にする工程を含む方法。
【請求項18】
請求項13記載の方法であって、前記複数の光スイッチは、10ピコ秒未満のセットリング時間を有する少なくとも1つの光スイッチを含む方法。
【請求項19】
請求項13記載の方法であって、前記複数の光スイッチは複数のバンド内量子ウェル吸収器を有する方法。
【請求項20】
請求項13記載の方法であって、前記複数の光スイッチは、燐火インジウムにおける遷移で動作する方法。
【請求項21】
請求項13記載の方法であって、前記複数の光スイッチは、Γ谷内とX谷内との間の光遷移で動作する方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−544061(P2009−544061A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520969(P2009−520969)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/073750
【国際公開番号】WO2008/011445
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】