説明

光ディスクカバー

【課題】光ディスクのデータ保存容量の増大やデータ読み取り速度の高速化、更にはCDやDVDプレーヤー機種の多様化に対応可能な光ディスクカバーを提供する。また、生産性が高くより安価な光ディスクカバーを提供する。
【解決手段】光ディスクのデータ読み取り面を覆うように、透明な未延伸樹脂からなるフィルム2で形成された三酢酸セルロースを主成分とした薄い光ディスクカバー1を、その片面の外周端部近傍に再剥離性粘着剤で光ディスクのデータ読み取り面に粘着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクトディスク(以下CDと略記)やディジタルビデオディスク(以下DVDと略記)等の光ディスクのデータ読み取り面を保護する光ディスクカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
CDやDVD等の光ディスクは、内側のデータ記録層を保護するために、データ読み取り面にアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明な樹脂を保護層として形成されている。しかし、長期間の使用や、悪環境での使用により、情報読み取り側の上記保護層の表面に傷が付き、その傷の深さや大きさにより情報の読み取りができなくなることがある。そこで、光ディスクのデータ読み取り面を保護するため、特許文献1には「透明な樹脂からなる光ディスク表面保護シート」が提案されており、該文献の段落[0012]には、フィルムの材質として「透明シート14は、酢酸セルロース系、ポリカーボネート系、ポリ乳酸系、ポリスチレン(PS)系、ポリエチレンテレフタレート(PET)系、ポリプロピレン(PP)系、PVC系、またはセロファン系等の透明な樹脂フィルムまたは樹脂シートである。また、透明シート14は読み取り用のレーザ光を良く透過するものであって、屈折率が光ディスク12の透明基板と近いものが好ましい。透明シート14の厚さは、薄い方が好ましいが、強度や貼り付け性能等から100μm程度でも良い。このフィルムは、読み取り用のレーザ光を良く透過する透明シートであって、屈折率が光ディスクの透明基板と近いものが好ましく、また透明シートの厚さは、薄い方が好ましいが、強度や貼り付け性能等から100μm程度でも良い。」と記載されている。
【0003】
特許文献2には、光ディスクのデータ読み取り面を保護するための保護カバーについて記載され、「前記シールドは前記光ディスクの前記読み取り面を受け取り、かつ、カバーするために前記環状ベースによって支持される、シールドと、を含むことを特徴とする保護カバー」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−8268号公報
【特許文献2】特表2006−501599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、近年、CDやDVD等の光ディスクは、データ保存容量及び保存密度の増大とデータ読み取り速度の高速化が進み、上記文献に記載の材料や、シート又はシールドの厚みが100μm程度ではデータを読み取れず、また文献1に記載のポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、PVC等の一般的な透明なシートやフィルムでは、上記樹脂製シールドやシートが装着された光ディスクのディスクプレーヤーでの再生時に、樹脂内部に存在する結晶の状態によって発生する光の散乱や複屈折による音室や画像の乱れを抑制できないという問題が表面化してきた。
更に光ディスクを再生するためのメディアプレーヤーが多様化し、上記文献に開示された保護シートを貼り付けた光ディスクを受け付けない機器が発生している。更に国際的な価格低下傾向を受けて、生産性の向上によるコストの低減は必須の状況となってきている。
【0006】
本発明の目的は、光ディスクのデータ保存容量及び保存密度の増大やデータ読み取り速度の高速化、更にはメディアプレーヤー機種の多様化に対応可能な光ディスクカバーを提供することにある。また、生産性が高くより安価な光ディスクカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題について鋭意検討を行った結果、下記の構成をとることによって、本発明を達成するに至った。即ち本発明は下記のとおりである。
(1)光ディスクのデータ読み取り面を覆う、透明な未延伸樹脂からなるフィルムで形成されたことを特徴とする光ディスクカバー。
(2)前記フィルムの材質が三酢酸セルロースを主成分とすることを特徴とする上記(1)に記載の光ディスクカバー。
(3)前記フィルムの厚みが10〜60μmであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の光ディスクカバー。
(4)前記フィルムは、外形が円形状でその直径が光ディスクの外径より小さく、前記フィルムの片面側の全外周の端部近傍に沿って再剥離性粘着剤が一定の幅で塗布された粘着部を備えたことを特徴とする上記(1)乃至(3)に記載の光ディスクカバー。
(5)前記光ディスクは、円盤状で、中央に開口部を画定するディスク内周端が形成されたディスク開口部を有し、前記データ読み取り面が前記光ディスクの片面側に形成され、前記データ読み取り面に、外周に沿った一定の巾の外周データ非保存領域と内周に沿った一定の巾の内周データ非保存領域と、前記外周データ非保存領域と前記内周データ非保存領域との間にデータ保存領域を備え、前記フィルムは、前記ディスク開口部の直径より大きく且つ前記データ保存領域の内径より小さい直径の開口を画定するフィルム内周端が形成されたカバー開口部を備えたことを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の光ディスクカバー。
(6)前記粘着部は、その外径が、前記フィルムの外径より小さいことを特徴とする上記(4)又は(5)に記載の光ディスクカバー。
(7)前記粘着部は、前記光ディスクの前記外周データ非保存領域に対応する部分に形成されていることを特徴とする上記(4)乃至(6)に記載の光ディスクカバー。
(8)前記フィルムは、前記内周端の一部から前記フィルムの外周端に向かって短いスリットが形成されていることを特徴とする上記(5)乃至(7)のいずれか1項に記載の光ディスクカバー。
(9)
前記フィルムの前記粘着部が形成された面が再剥離性紙に粘着され、且つ前記フィルムの前記粘着部が形成された面の反対面の外周端近傍に、一端に再剥離可能な粘着剤が塗布されたシート状のタブが粘着され、前記タブの他端が前記フィルムの前記外周端の外側に突出して形成され、且つ前記フィルムの前記粘着部が形成された面の反対面に前記タブの上から、前記フィルムと同一形状で再剥離性の表カバーフィルムが前記フィルムと同心円上に粘着されていることを特徴とする上記(7)または(8)に記載の光ディスクカバー。
(10)前記フィルムの前記粘着部が形成された面の反対面と前記表カバーフィルムとの粘着力は、前記フィルムと前記光ディスクのデータ読み取り面との粘着力より小さく、前記フィルムの前記粘着部が形成された面の反対面と前記タブとの粘着力は、前記光ディスクカバーと前記光ディスクのデータ読み取り面との粘着力より小さく、前記光ディスクカバーと前記再剥離性紙との粘着力は、前記フィルムの前記粘着部が形成された面の反対面と前記タブとの粘着力より小さい、ことを特徴とする上記(9)に記載の光ディスクカバー。
(11)上記(5)乃至(10)に記載の光ディスクカバーを、光ディスクに装着するための治具であって、その中央部に、前記光ディスクの前記ディスク開口部とほぼ同一直径の柱状突起部が形成された、前記光ディスクを安定的に載置可能な載置部を備えた台座と、前記柱状突起部の外径とほぼ同一内径で且つ前記カバー開口部の直径とほぼ同一外径の筒状部を有する取外し可能なキャップと、を備えていることを特徴とする光ディスクカバー装着治具。
(12)上記(11)に記載の光ディスクカバー装着治具を用いて、上記(9)または(10)に記載の光ディスクカバーを、光ディスクに装着する際に、請求項11に記載の光ディスクカバー装着治具を平板上に置く工程と、キャップ33を取り外す工程と、前記光ディスクのデータ読み取り面を上にして中央の前記ディスク開口部を、前記光ディスクカバー装着治具中央の突起部に挿入し前記載置部に当接させる工程と、前記キャップを前記突起部に挿入し前記光ディスクのデータ面に当接させる工程と、請求項9または10に記載の光ディスクカバーを粘着部の形成された面を下方に向けて前記キャップに挿入し前記光ディスク面に当接させる工程と、前記粘着部を光ディスクに押圧し粘着させる工程と、前記タブを引き上げて前記フィルムと前記タブ及び前記表カバーフィルムを再剥離させる工程と、を含むことを特徴とする光ディスクカバー装着方法。
(13)上面及び下面を有する環状の外周壁と、前記外周壁下部の内側から前記環状の外周壁の中心に向かって延在し環状内周端が画定された底壁と、前記外周壁上部の内側から前記外周壁の中心に向かう複数の平板状の突起部と、を備えた環状枠体の内側全体を覆うように、前記フィルムが、前記外周壁下面及び又は前記底壁の下面に接着されていることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の光ディスクカバー。
(14)前記光ディスクは、円盤状で、中央に開口部であるディスク開口部を有し、前記データ読み取り面が前記光ディスクの片面側に形成され、前記データ読み取り面に、外周に沿った一定の巾の外周データ非保存領域と内周に沿った一定の巾の内周データ非保存領域と、前記外周データ非保存領域と前記内周データ非保存領域との間にデータ保存領域を備え、前記フィルムは、前記ディスク開口部の直径より大きく且つ前記データ保存領域の内径より小さい直径の開口を画定するフィルム内周端が形成されたカバー開口部を備えたことを特徴とする上記(13)に記載の光ディスクカバー。
(15)前記光ディスクカバーが前記光ディスクに装着された状態において、前記底壁の前記環状内周端は、前記光ディスクの外周データ非保存領域に対応する部分に形成されたことを特徴とする上記(13)又は(14)に記載の光ディスクカバー。
(16)前記突起部の長さが、0.2mm以上2mm以下であることを特徴とする上記(13)乃至(15)のいずれか1項に記載の光ディスクカバー。
(17)前記外周壁上部及び下部の外側が角のないアール状に形成された、夫々上部アール部及び下部アール部を有することを特徴とする上記(13)乃至(16)のいずれか1項に記載の光ディスクカバー。
(18)前記フィルムは、前記外周壁下面の前記下部アール部の端部を画定する底壁アール内周端よりも、前記外周壁の中心側に接着されていることを特徴とする上記(17)に記載の光ディスクカバー。
【発明の効果】
【0008】
本発明(1)によれば、未延伸樹脂からなるフィルムで形成したことによって、4.5GB以上の保存容量が大きくまた4倍速や8倍速あるいはそれ以上の高速読み取り方式の光ディスクにも適用可能であって、且つ本発明の光ディスクカバーを装着した光ディスクは、音楽、動画、ゲーム機などの多様なメディアプレーヤーにも支障なく使用可能である。
【0009】
本発明(2)によれば、透明なフィルムとして使用する未延伸の三酢酸セルロースは光透過率が高くまた複屈折が少ないので、本発明の光ディスクカバーを装着した光ディスクはデータの読み取り精度が高い。
【0010】
本発明(3)によれば、透明なフィルムの厚みを10〜60μmにしたことによって、本発明の光ディスク保護カバーを装着した光ディスクのデータの読み取り精度が向上し、且つ本発明の光ディスクカバーの取り扱い性が保持される。
【0011】
本発明(4)によれば、フィルムが光ディスクの外径より小さいために、本発明(4)の光ディスクカバーが装着された光ディスクを、ディスク挿入型のディスクプレーヤーに挿入した後取り出す際に、光ディスクの端部が先にディスクプレーヤーの挿入口の刷毛や蓋部材に触れてそれらを押し退けた後にフィルムの端部が続いて出てくるので、フィルムの端部が取り出しの際の抵抗になりにくく光ディスクを円滑に取り出すことができる。また前記フィルムの外周端近傍に再剥離性粘着剤が塗布されていることによって光ディスクのデータ読み取り面に粘着剤が粘着せず、データの読み取りに支障をきたさない。更に、粘着剤が再剥離性であることによって、本ディスクカバーを、交換するために該光ディスクから剥がした際に、該光ディスクに粘着剤が残らないので、繰り返して該光ディスクに本光ディスクカバーを装着することができる。
【0012】
本発明(5)によれば、本光ディスクカバーを装着した光ディスクをプレーヤーから取り出す際、フィルム2の内周端がディスクプレーヤー内部のディスク固定治具に引っ掛かることがなく容易に取り出すことができる。
【0013】
本発明(6)によれば、粘着部の外径がフィルム外径より小さいことによって、このフィルムを光ディスクに押圧して粘着剤を粘着させる際、粘着剤がフィルムの外側にはみ出さない。これによって、本光ディスクカバーを装着した光ディスクは、外周端部近傍でのべたつきがないので取り扱い性がよい。
【0014】
本発明(7)によれば、本光ディスクカバーが装着された光ディスクは、粘着剤が光の透過の障害にならず、光ディスクのデータの読み取り精度に対する粘着剤の影響がない。
【0015】
前記カバー開口部の外径は光ディスクの開口部の外径より大きく形成されているため、
光ディスクに装着された場合、フィルム内周端側に手がかかりにくく本光ディスクカバーを素手では剥がし難い。本発明(8)によれば、一旦光ディスクに装着した本発明の光ディスクカバーを取り外す際、スリット部分を爪の先に引っ掛けた後指先で摘み引っ張るとか粘着テープの一旦をスリット部に貼付し他端を指で摘んで引っ張ることによって、光ディスクカバーをスリット部を起点として光ディスクから容易に剥がすことができる。
【0016】
本発明(9)によれば、本光ディスクカバーの粘着部が再剥離性紙に粘着されたことによって粘着部が他の物に粘着して不都合が生じるということはなく、本発明の光ディスクカバーは携行し易くなりまた製品として市場に投入された場合その物流工程における取扱い性が向上し、且つカバーフィルム外周端の外側に突出するタブが備えられたことによって、再剥離性紙から本光ディスクカバーを引き剥がす際に、更には本発明(9)の光ディスクカバーを光ディスクに装着した後光ディスクから本光ディスクカバーを引き剥がす際に、タブを摘むことによって、引き剥がし操作を容易に行うことができる。また、表カバーフィルムを設けることによって、本光ディスクカバーを光ディスクに装着する際に、フィルムに皺が生じることがないようフィルム自体の柔らかさを補強し光ディスクのデ−タ読み取り面全体に均一に押圧して貼りつけることができ、且つ光ディスクに装着する前の発明(7)及び(8)の光ディスクカバーにゴミが付着したりまた傷がついたりすることを防止できるという効果を有する。
【0017】
本発明(10)によれば、本発明(9)の光ディスクカバーの外周端の外側に突出するタブを摘んで引き上げることで再剥離性紙から本光ディスクカバーを容易に引き剥がすことができ、また本光ディスクカバーを光ディスクに装着した後、タブを摘んで引き上げることでタブ自体及び表カバーフィルムを本光ディスクカバーから容易に引き剥がすことができる。
【0018】
本発明(11)の治具によれば、柱状突起部と筒状部を有するキャップとの協働によっ
て、中央部に直径の異なる開口部を有する光ディスクと本発明の光ディスクカバーを同心円状に重ね合わせることができ、それによって本発明の光ディスクカバーを光ディスクからはみ出さない、適正な装着が可能となる。
【0019】
本発明(12)によれば、上記(9)または(10)の光ディスクカバーを、本発明
(12)の方法を使用することによって、容易に且つ確実に光ディスクに装着することができる。
【0020】
本発明(13)によれば、本発明(1)〜(3)に記載のフィルムを環状枠体の底壁の上面ではなく、下面に接着することによって本発明の光ディスクカバーを製造できるので、安価に製造することが可能となる。上記底壁の上面にフィルムを接着する場合は製造工程が煩雑となるため安価な製造は困難である。
【0021】
本発明(14)によれば、本光ディスクカバーを装着した光ディスクをプレーヤーから取り出す際、フィルム2のフィルム内周端がディスクプレーヤー内部のディスク固定治具に引っ掛かることがなく円滑に取り出すことができる。
【0022】
本発明(15)によれば、環状枠体の底壁が光ディスクのデータ保存領域を覆うことがないので、光ディスクのデータ保存領域を底壁によって遮蔽することがないので保存された全てのデータを読みとることが可能である。
【0023】
本発明(16)によれば、環状枠体の突起部の長さを限定することによって、光ディスクに本光ディスクカバーを容易に装着可能となる。
【0024】
本発明(17)によれば、本光ディスクカバーを装着した光ディスクをプレーヤーから取り出す際、環状外周壁の上面及び下面の角がアール状に形成されているため、本発明(17)の光ディスクカバーが装着された光ディスクを、ディスク挿入型のディスクプレーヤーに挿入した後取り出す際に、環状外周壁のディスクプレーヤーのディスク挿入口の刷毛や蓋部材との摺動抵抗が小さいため、光ディスクを円滑に取り出すことができる。
【0025】
本発明(18)によれば、本光ディスクカバーを装着した光ディスクをディスク挿入型のディスクプレーヤーに挿入した後取り出す際に、本発明(18)の光ディスクカバー1の環状外周壁が先にディスクプレーヤーの挿入口の刷毛や蓋部材に触れてそれらを押し退けた後にフィルムの端部が続いて出るので、フィルムの端部にかかる力が減殺されて光ディスクを円滑に取り出すことができ、またディスクプレーヤーへの挿入及び取り出しを繰り返すことによるフィルムの剥がれをも解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明(8)の光ディスクカバーの平面模式図を示す。
【図2】図1のA−A矢視図を示す。
【図3】本発明(8)の光ディスクカバーの裏面図を示す。
【図4】本発明(8)の光ディスクカバーを光ディスクに装着した状態の平面模式図を示す。
【図5】図4のB−B矢視図を示す。
【図6】本発明(9)の光ディスクカバーの外周端部近傍の断面模式図を示す。
【図7】本発明(11)の光ディスクカバー装着治具のキャップを装着した状態の平面模式図を示す。
【図8a】図7のC−C矢視図を示す。
【図8b】筒状キャップの斜視図を示す。
【図9】本発明(11)の光ディスクカバー装着治具の筒状キャップを外した状態の平面模式図を示す。
【図10】図9のH−H矢視図を示す。
【図11】本発明(13)の光ディスクカバーの平面模式図を示す。
【図12】本発明(13)の光ディスクカバーの裏面模式図を示す。
【図13】図11のI−I矢視図を示す。
【図14】図11のG−G矢視図を示す。
【図15】図11のE−E矢視図を示す。
【図16】図11のL部拡大図を示す。
【図17】図11のM部拡大図を示す。
【図18】図11のF−F矢視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の光ディスクカバーの1実施形態について、図1〜図18を参照して、以下に説明するが、本発明はこの事例に限られるものではない。
【0028】
図1に示すように、本光ディスクカバー1は、透明な未延伸樹脂からなるフィルム2で形成される。本光ディスクカバー1は光ディスク(CDやDVD等)のデータ読み取り面を覆うように装着され、その状態でディスクプレーヤーに挿入されるため、フィルムは光透過性が良好であることが必要である。特にこれらのディスクプレーヤーは波長400nm〜650nmのレーザー光によって上記フィルム経由で光ディスクに保存されたデータを読み取るため、それらの波長の透過性が良好であることが要求される。従ってフィルムの材質としては、酢酸セルロース系樹脂が良好であり、特に未延伸の三酢酸セルロースが好ましい。一般に樹脂フィルムは生産効率を高めるため樹脂を延伸して製造されるが、延伸工程において樹脂を構成する高分子量の分子が配向し、場合によっては結晶化し、それらの配向した分子や結晶によって光の屈折や複屈折が起こり、光ディスクカバーにおいては、データ読み取り精度の低下(画像の再現性不良等)が起こる。しかし、本光ディスクカバー1を構成するフィルム2は、未延伸であることによってフィルム内に分子の配向や結晶化が発生しにくいので良好なデータ読み取り精度が得られる。
【0029】
また、未延伸フィルムとしては、キャスティング法で作られたフィルムが複屈折が少なく好ましい。
【0030】
本光ディスクカバー1に使用されるフィルム2の厚みは10〜60μmである。フィルム2は光透過性を向上させるため厚みは薄い方がよい。しかし10μmより薄いと機械的強度が不足となり、光ディスク20のデータ面を保護する機能が低下し、また本光ディスクカバー1を光ディスク20に装着する際に、フィルム2が柔らか過ぎるため、装着されたフィルム2に皺が発生し、データ読み取り精度が低下する。
【0031】
フィルム2は円形状であってその外周端近傍に再剥離性の粘着剤が塗布された粘着部を備えており、この粘着部によってフィルム全面を光ディスク20に密接させて装着可能となり、本光ディスクカバー1を装着した光ディスク20を各種ディスクプレーヤー(不図示、以下同様)に挿入して支障なく稼動させることができる。
【0032】
本光ディスクカバー1はその中央部に、光ディスク20のディスク開口部21より大きく且つ光ディスク20のデータ保存領域22の内径より小さい外径のカバー開口部9を有する。カバー開口部9がディスク開口部21より大きいことによって、本光ディスクカバー1が装着された光ディスク20をディスクプレーヤーから取り出す際に、フィルム2の内周端がディスクプレーヤー内部のディスク固定治具に引っ掛かることがなく容易に取り出すことができる。
【0033】
本光ディスクカバー1が装着された光ディスクを挿入型のディスクプレーヤーから取り出す際に、ディスク端部の外にフィルム2がはみ出していないことによって挿入口を覆う部材に引っ掛かることなくディスクプレーヤーから容易に取り出すことができる。
【0034】
本光ディスクカバー1の粘着剤3が塗布されている粘着部11は、フィルム2の外周端より内側であることによって、この粘着部をディスクに押圧して粘着させたときに、フィルム粘着剤3がフィルムの外側にはみ出して、本光ディスクカバー1の取り扱い時に手や周辺機器に付着して汚れることを防止するという効果を発揮する。また、粘着部11の内側端は対応する光ディスク20のデータ保存領域22に重ならない範囲に形成されているので、粘着剤3がデータ保存領域22に入り込むことによるディスクプレーヤーのデータ読み取り精度の低下を防止できるよう構成されている。
【0035】
本光ディスクカバー1は内周端13の一部にスリット10が形成されている。スリット10はフィルムの切れ目あるいはわずかな隙間で形成されている。本光ディスクカバー1が装着された光ディスクから本光ディスクカバー1を取り外す際、スリット10を爪の先に引っ掛けた後指先で摘み引っ張るとか、市販の粘着テープの一部を切り取って一旦をスリット10に貼付し他端を指で摘んで引っ張ることによって、スリット10を起点としてフィルム2を引き裂きながら光ディスク20から容易に剥がすことができる。
【0036】
本発明9は光ディスクカバー1を市場の物流工程において支障なく取り扱いできるようにするために工夫されたものである。図6に示すように、本発明9は、再剥離性紙4に光粘着剤3を備えたフィルム2からなるディスクカバー1を粘着させ、光ディスクカバー1の外周端にタブ粘着剤6を備えたタブ5の一端を粘着させ他端を光ディスクカバー1の外周端の外に突出させて形成し、粘着剤8を備えた表カバーフィルム7でタブ5及びフィルム2を覆い粘着させて構成される。
【0037】
このように構成されることによって、本品の取り扱い時に光ディスクカバー1の粘着剤3が周辺の物や手などに接触してべたつくことを防止できる。タブ5がフィルム2の外周端の外側に突出させて備えられたことによって、再剥離性紙4から本光ディスクカバー1を引き剥がす際に、更には本発明(9)の光ディスクカバー1を光ディスク20に装着した後光ディスク20から本光ディスクカバー1を引き剥がす際に、タブ5を摘むことによって、引き剥がし操作を容易に行うことができる。また、表カバーフィルム7を設けることによって、光ディスクカバー1にゴミが付着したりまた傷がついたりすることを防止でき、更には本光ディスクカバー1を光ディスク20に装着する際に、フィルム2自体の柔らかさを補強して光ディスク20のデ−タ読み取り面全体にフィルム2に皺が生じることなく覆って装着することができる。
【0038】
本発明(10)は、図6に記載のとおり、前記フィルム2の前記粘着部11が形成された面の反対面と前記表カバーフィルム粘着剤8との粘着力は、前記フィルム粘着剤3と前記光ディスク20のデータ読み取り面との粘着力より小さく、前記フィルム2の前記粘着部が形成された面の反対面と前記タブ粘着剤6との粘着力は、前記光ディスクカバー1と前記光ディスク20のデータ読み取り面との粘着力より小さく、前記光ディスクカバー20と前記再剥離性紙4との粘着力は、前記フィルムの前記粘着部が形成された面の反対面と前記タブ粘着剤6との粘着力より小さいことを特徴とする光ディスクカバー1である。
【0039】
上記の構成を有する本発明(10)は、粘着部が外部に露出していないので取り扱い時に周辺の物に粘着することなく取り扱い性が良好である。本発明(10)を光ディスク20に装着する際、まずタブ5を摘んで引き上げることによって光ディスクカバー1と再剥離性紙4とを剥離させた後、光ディスクカバー1を光ディスク20に粘着させてから再度タブ5を引き上げると、タブ5及び表カバーフィルム7が光ディスクカバー1から剥がれ、光ディスクカバー1の光ディスク20への装着が完了する。
【0040】
本発明(11)は、図7〜図10に記載のとおり、本発明1乃至10に記載の光ディスクカバー1を、光ディスクに装着するための治具であって、その中央部に、光ディスクのディスク開口部21とほぼ同一直径の柱状突起部31が形成された、光ディスク20を安定的に載置可能な載置部32を備えた台座34と、前記柱状突起部31の外径とほぼ同一内径で且つ前記カバー開口部9の直径とほぼ同一外径の筒状部を有する取外し可能なキャップ33と、を備えた光ディスクカバー装着治具30である。
【0041】
本発明(12)は、発明(11)の光ディスクカバー装着治具30を用いて、発明(5)乃至(8)に記載の光ディスクカバー1、あるいは発明(9)又は(10)から再剥離性紙を剥がした状態の光ディスクカバー1を、フィルム2に皺や波うちが生じないように、光ディスク20に装着するための、発明(11)の光ディスクカバー装着治具30を平板上に置く工程と、筒状キャップ33を取り外す工程と、光ディスク20のデータ読み取り面を上にして前記中央のディスク開口部21を、光ディスクカバー装着治具30中央の突起部31に挿入しディスク載置部32に当接させる工程と、筒状キャップ33を柱状突起部31に挿入し光ディスク20に当接させる工程と、発明(5)乃至(8)に記載の光ディスクカバー1、あるいは発明(9)又は(10)から再剥離性紙を剥がした状態の光ディスクカバー1を、粘着部11の形成された面を下方に向けて筒状キャップ33に挿入し光ディスク20のデータ面に当接させる工程と、粘着部11を光ディスク20の周端部23に押圧し粘着させる工程と、タブ5を引き上げてフィルム2とタブ5及び表カバーフィルム7を再剥離させる工程と、を含むことを特徴とする光ディスクカバー装着方法である。本方法によって、光ディスクカバー1を光ディスク20の同心円上に正確に且つフィルムに皺を生じさせることなく装着できる。
【0042】
本発明13は、フィルム2の周端部を接着して固定する枠体に光ディスク20をはめ込むことによって光ディスク20のデータ読み取り面を保護する光ディスクカバー1であって以下に述べるとおりである
本発明13は、図11及至図18に示すとおり、上面41及び下面42を有する環状の外周壁43と、前記外周壁下部の内側から前記環状の外周壁43の中心に向かって延在し環状内周端44が画定された底壁45と、前記外周壁上部の内側から前記環状の外周壁43の中心に向かう複数の平板状の突起部46と、を備えた環状枠体40の内側全体を覆うように、前記フィルム2が、前記外周壁下面42及び又は前記底壁45の下面に接着されていることを特徴とする発明(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の光ディスクカバー、である。
本環状枠体40の材質はポリカーボネート(以下、PCと略記)樹脂であるが、他の樹脂であってもよい。他の樹脂としては、光ディスク20と同等以上の耐熱性及び寸法安定性と、更には射出成型性も兼ね備えていることが望ましく、ポリアクリル酸エステル、ABS、ポリエステル(PET、PBT)、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルフォン、などでもよい。
【0043】
本発明(14)は、円盤状で、中央に開口部であるディスク開口部(21)を有し、データ読み取り面が光ディスク20の片面側に形成され、該データ読み取り面に、外周に沿った一定の巾の外周データ非保存領域23と内周に沿った一定の巾の内周データ非保存領域24と、外周データ非保存領域23と内周データ非保存領域24との間にデータ保存領域22を備えた光ディスク20のデータ読み取り面を保護する光ディスクカバー1であって、フィルム2が、ディスク開口部21の直径より大きく且つデータ保存領域22の内径より小さい直径の開口部を画定する内周端14からなるカバー開口部9を備えたことを特徴とする光ディスクカバー1である。
カバー開口部9が、ディスク開口部21より大きいことによって、本光ディスクカバー1が装着された光ディスク20をディスクプレーヤーから取り出す際に、フィルム2の内周端14がディスクプレーヤー内部の光ディスク固定治具(不図示)に引っ掛かることがなく容易に取り出すことができる。
【0044】
本発明(15)は、光ディスクカバー1が光ディスク20に装着された状態において、底壁45の環状内周端44は、光ディスク20の外周データ非保存領域20に対応する位置にあるように形成されたことを特徴とする光ディスクカバー1である。本発明(15)の構成を採ることによって光ディスク20のデータ保存領域22を遮蔽することがないので、本光ディスクカバー1を光ディスク20に装着しディスクプレーヤーにかけた際に、データ読み取り障害が発生することはない。
【0045】
本発明(16)は、突起部46の長さが、0.2mm以上2mm以下であることを特徴とする光ディスクカバー1である。本発明(16)は、光ディスク20をデタ読み取り面を下方にして図14の上部から底壁45と突起部46の間に挿入し外周壁43の内面に当接させて装着する。突起部46が2mmよりも長い場合は光ディスク20を挿入し難く、また0.2mmより短い場合は本光ディスクカバー1に装着した光ディスク20が、ディスクプレーヤー内で稼動中に外れる可能性がある。従って装着時の取り扱いやすさ及び装着後の脱離の可能性を考慮すると、突起部46は、より好ましくは0.3mm以上1mm以下である。
【0046】
本発明(17)は、外周壁外側上部及び下部が角のないアール状に形成され、夫々上部アール47及び下部アール48を有することを特徴とする光ディスクカバー1である。なお、「アール」は「R」と記載されることもある。このように形成されたことによって、本発明(17)を、本光ディスクカバー1を装着した光ディスク20をディスクプレーヤーから取り出す際、ディスクプレーヤーのディスク挿入口の覆いとして形成されている蓋や刷毛等に外周壁の角部が引っ掛かることなく円滑に取り出すことができる。
【0047】
本発明(18)は、フィルム2が、外周壁43の下面42の下面アール部47の端部を画定する底壁アール内周端よりも、前記外周壁43の中心側に接着されていることを特徴とする光ディスクカバー1、である。このように形成されたことによって、本発明(18)を装着した光ディスク20をディスクプレーヤーに挿入したり、また挿入後取り出す際に、ディスクプレーヤーのディスク挿入口の覆いとして形成されている蓋や刷毛等(不図示)に、フィルム2の外周端が引っ掛かることなく円滑に、挿入したり取り出したりすることができる。
【実施例】
【0048】
<粘着力試験方法>
・ 剥離方法:180度剥離、粘着テープ巾:任意、剥離長さ:50mm、剥離時間:1分
・ 試験機メーカー:SHIMADZU、型番:Aautograph、AG−1 100kN
【実施例1】
【0049】
未延伸TACフィルム(フジビジネスサプライ社製、品番TACPHAN−N882GL50ミクロン、フィルム厚み50μm) を外径119.8mmの円形に切断し、フィルム中央部に直径20mmのフィルム内周端を確定するカバー開口部を、フィルム切除により開けた。フィルム内周端の一部にフィルム外周端に向けて長さ5mmのスリット(フィルムの切れ目)を1本入れた。フィルム片面の外周端から0.2mm内方に、0.6mmの幅で再剥離性粘着剤(光テ゛ィスクに対する粘着強度は2.3N/25mm。)を塗布した。更に、上記フィルムの粘着剤を塗布した面の反対面の一部に、一端に再剥離性粘着剤が塗布されたシート状のタブを、タブの他端がフィルム外周端の外にでるようにして粘着貼付(粘着強度1N/25mm)した。更に上記タブの上から上記フィルムと同じ形状の再剥離性の表カバーフィルム(材質PP、東セロ(株)製、品番OPU−1、厚み50μm)を同心円上状に粘着貼付(粘着強度0.06N/25mm)した。更に、上記フィルムの粘着剤が塗布された面を再剥離性紙(アネックッス社製、品番K8P(01))に粘着貼付して本発明(9)の光ディスクカバーを作成した。再剥離性紙と上記フィルムとの粘着強度は0.1N/25mmであった。
上記本発明(9)の光ディスクカバーの再剥離性紙をタブ5を引き上げることによって外した後、本発明11の治具を使い、本発明12の方法に従って、光ディスク(TDK製DVD、4.3GB、直径12mm、ディスク開口部直径15mm、厚み1.2mm、データ保存領域外径118mm、データ保存領域内径46)のデータ読み取り面に装着した。これを市販のパノートパソコン(NEC製、品番LN300/C、品名LAVIE)のディスクドライブ(スロットイン型:ディスク挿入口にスポンジ状の覆い部材が装備。)に挿入し、ディスクに保存された動画(映画)の再現性及び該光ディスクカバーを装着された光ディスクの取り扱い性(フィルムに皺がよらないかどうか)を確認した。結果を表1に示す。
【0050】
フィルムの厚みを30μm、40μmでは、上記実施例1と全く同じ結果であった。またフィルム厚み20μm、10μm及び60μmでは動画再生は全く同一であり取り扱い性は若干劣るがほぼ同等であった。
【比較例1】
【0051】
フィルムの厚みを80μmに替えた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【比較例2】
【0052】
フィルムを延伸TACフィルムに替えた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【比較例3】
【0053】
フィルムを市販のPCフィルムに替えた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【比較例4】
【0054】
フィルムを市販のPPフィルムに替えた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【比較例5】
【0055】
フィルムを市販のPEフィルムに替えた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【比較例6】
【0056】
フィルムを市販のPETフィルムに替えた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【比較例7】
【0057】
フィルムの直径を光ディスク直径と同じ120mmにした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【比較例8】
【0058】
カバー開口部直系をディスク開口部直径と同じく15mmに替えた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【比較例9】
【0059】
粘着部外径をフィルム外径と同じ119.8mmに替えた以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
【比較例10】
【0060】
カバー内周端部のスリットをなくした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【実施例2】
【0061】
未延伸TACフィルム(フジビジネスサプライ社製、品番TACPHAN−N882GL50ミクロン、フィルム厚み50μm )を外径120.2mmの円形に切断し、フィルム中央部に直径20mmのフィルム内周端13を確定するカバー開口部9をフィルムの切除により開けてフィルム2を成型した。一方、射出成型機にてABS樹脂( )を図20の寸法の環状枠体40に成型した。この環状枠体40の外周壁43の下面42及び底壁45の下面に上記フィルム2を、環状枠体40と同心円になるように接着して発明(13)の光ディスクカバー1を製作した。この光ディスクカバー1のフィルム外周端は環状枠体40の下面アール部48の端部より環状枠体40の中心側にあった。光ディスクカバー1を光ディスク20(TDK製DVD、4.3GB、直径12mm、ディスク開口部直径15mm、厚み1.2mm、データ保存領域外径118mm、データ保存領域内径46)のデータ読み取り面に装着した。これを市販のパノートパソコン(NEC製、品番LN300/C、品名LAVIE)のディスクドライブ(スロットイン型:ディスク挿入口にスポンジ状の覆い部材が装備。)に挿入し、ディスクに保存された動画(映画)の再現性及び該光ディスクカバー1を装着された光ディスク20の取り扱い性を確認した。結果を表1に示す。
【比較例11】
【0062】
フィルムの厚みを80μmに替えた以外は、実施例3と同様に行った。結果を表1に示す。
【比較例12】
【0063】
ディスク開口部21の直径をカバー開口部9の直径と同じにした以外は、実施例3と同様に行った。結果を表1に13示す。
【比較例13】
【0064】
フィルム2の直径を下面アール部の端部の直径よりも大きくした以外は、実施例3と同様に行った。結果を表1に示す。
【比較例14】
【0065】
上面アール部及び下面アール部をなくした以外は、実施例3と同様に行った。結果を表1に示す。
【0066】
表1より、次のことが明らかである。
(1)実施例1と比較例2より、本発明の未延伸フィルムがよい。
(2)実施例1と比較例3,4,5、及び6より、樹脂材質としては本発明(3)の三酢酸セルロースがよい。
(3)実施例1比較例1より、フィルム厚みは80μmでは厚すぎる。本発明3(10〜60μm)がよい。
(4)実施例1と比較例7より、フィルム直径は本発明4のとおり、ディスク直径より小さい方がよい。
(5)実施例1と比較例8及び実施例3と比較例12より、カバー開口部9の直径は本発明5のとおり、ディスク開口部の直径より大きい方がよい。
(6)実施例1と比較例9より、粘着部11の外径は本発明6のとおり、フィルム2の直径より小さい方がよい。
(7)実施例1と比較例10より、本発明8のとおりカバー内周端部のスリットはあった方がよい。
(8)実施例2と比較例11より、フィルム厚みは80μmでは厚すぎる。本発明3の10〜60μmがよい。
(9)実施例2と比較例12より、フィルム厚みは80μmでは厚すぎる。本発明3の10〜60μmがよい。
(10)実施例2と比較例13より、本発明18のとおり、底壁アール内周端の直径は、フィルム2の外周端部の直径より大きい方がよい。
(11)実施例2と比較例114より、本発明17のとおり、上面アール部及び下面アール部が形成されているほうがよい。
【0067】
【表1】

【符号の説明】
【0068】
1 本発明の光ディスクカバー
2 フィルム
3 フィルム粘着剤
4 再剥離性紙
5 タブ
6 タブ粘着剤
7 表カバーフィルム
8 表カバーフィルム粘着剤
9 カバー開口部
10 スリット
11 粘着部
13 フィルム内周端
20 光ディスク
21 ディスク開口部
30 光ディスクカバー装着治具
31 柱状突起部
32 ディスク載置部
33 筒状キャップ
34 台座
40 環状枠体
41 上面
42 下面
43 外周壁
44 環状内周端
45 底壁
46 突起部
47 上面アール部
48 下面アール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクのデータ読み取り面を覆う、透明な未延伸樹脂からなるフィルムで形成されたことを特徴とする光ディスクカバー。
【請求項2】
前記フィルムの材質が三酢酸セルロースを主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の光ディスクカバー。
【請求項3】
前記フィルムの厚みが10〜60μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の光ディスクカバー。
【請求項4】
前記フィルムは、外形が円形状でその直径が光ディスクの外径より小さく、前記フィルムの片面側の全外周の端部近傍に沿って再剥離性粘着剤が一定の幅で塗布された粘着部を備えたことを特徴とする請求項1乃至3に記載の光ディスクカバー。
【請求項5】
前記光ディスクは、円盤状で、中央に開口部を画定するディスク内周端が形成されたディスク開口部を有し、前記データ読み取り面が前記光ディスクの片面側に形成され、前記データ読み取り面に、外周に沿った一定の巾の外周データ非保存領域と内周に沿った一定の巾の内周データ非保存領域と、前記外周データ非保存領域と前記内周データ非保存領域との間にデータ保存領域を備え、前記フィルムは、前記ディスク開口部の直径より大きく且つ前記データ保存領域の内径より小さい直径の開口を画定するフィルム内周端が形成されたカバー開口部を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光ディスクカバー。
【請求項6】
前記粘着部は、その外径が、前記フィルムの外径より小さいことを特徴とする請求項4又は5に記載の光ディスクカバー。
【請求項7】
前記粘着部は、前記光ディスクの前記外周データ非保存領域に対応する部分に形成されていることを特徴とする請求項4乃至6に記載の光ディスクカバー。
【請求項8】
前記フィルムは、前記内周端の一部から前記フィルムの外周端に向かって短いスリットが形成されていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の光ディスクカバー。
【請求項9】
前記フィルムの前記粘着部が形成された面が再剥離性紙に粘着され、且つ前記フィルムの前記粘着部が形成された面の反対面の外周端近傍に、一端に再剥離可能な粘着剤が塗布されたシート状のタブが粘着され、前記タブの他端が前記フィルムの前記外周端の外側に突出して形成され、且つ前記フィルムの前記粘着部が形成された面の反対面に前記タブの上から、前記フィルムと同一形状で再剥離性の表カバーフィルムが前記フィルムと同心円上に粘着されていることを特徴とする請求項7または8に記載の光ディスクカバー。
【請求項10】
前記フィルムの前記粘着部が形成された面の反対面と前記表カバーフィルムとの粘着力は、前記フィルムと前記光ディスクのデータ読み取り面との粘着力より小さく、前記フィルムの前記粘着部が形成された面の反対面と前記タブとの粘着力は、前記光ディスクカバーと前記光ディスクのデータ読み取り面との粘着力より小さく、前記光ディスクカバーと前記再剥離性紙との粘着力は、前記フィルムの前記粘着部が形成された面の反対面と前記タブとの粘着力より小さい、ことを特徴とする請求項9に記載の光ディスクカバー。
【請求項11】
請求項5乃至10に記載の光ディスクカバーを、光ディスクに装着するための治具であって、その中央部に、前記光ディスクの前記ディスク開口部とほぼ同一直径の柱状突起部が形成された、前記光ディスクを安定的に載置可能な載置部を備えた台座と、前記柱状突起部の外径とほぼ同一内径で且つ前記カバー開口部の直径とほぼ同一外径の筒状部を有する取外し可能なキャップと、を備えていることを特徴とする光ディスクカバー装着治具。
【請求項12】
請求項11に記載の光ディスクカバー装着治具を用いて、請求項9または10に記載の光ディスクカバーを、光ディスクに装着する際に、請求項11に記載の光ディスクカバー装着治具を平板上に置く工程と、キャップ33を取り外す工程と、前記光ディスクのデータ読み取り面を上にして中央の前記ディスク開口部を前記光ディスクカバー装着治具中央の突起部に挿入し前記載置部に当接させる工程と、前記キャップを前記突起部に挿入し前記光ディスクのデータ面に当接させる工程と、請求項9または10に記載の光ディスクカバーを粘着部の形成された面を下方に向けて前記キャップに挿入し前記光ディスク面に当接させる工程と、前記粘着部を光ディスクに押圧し粘着させる工程と、前記タブを引き上げて前記フィルムと前記タブ及び前記表カバーフィルムを再剥離させる工程と、を含むことを特徴とする光ディスクカバー装着方法。
【請求項13】
上面及び下面を有する環状の外周壁と、前記外周壁下部の内側から前記環状の外周壁の中心に向かって延在し環状内周端が画定された底壁と、前記外周壁上部の内側から前記外周壁の中心に向かう複数の平板状の突起部と、を備えた環状枠体の内側全体を覆うように、前記フィルムが、前記外周壁下面及び又は前記底壁の下面に接着されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光ディスクカバー。
【請求項14】
前記光ディスクは、円盤状で、中央に開口部であるディスク開口部を有し、前記データ読み取り面が前記光ディスクの片面側に形成され、前記データ読み取り面に、外周に沿った一定の巾の外周データ非保存領域と内周に沿った一定の巾の内周データ非保存領域と、前記外周データ非保存領域と前記内周データ非保存領域との間にデータ保存領域を備え、前記フィルムは、前記ディスク開口部の直径より大きく且つ前記データ保存領域の内径より小さい直径の開口を画定するフィルム内周端が形成されたカバー開口部を備えたことを特徴とする請求項13に記載の光ディスクカバー。
【請求項15】
前記光ディスクカバーが前記光ディスクに装着された状態において、前記底壁の前記環状内周端は、前記光ディスクの外周データ非保存領域に対応する部分に形成されたことを特徴とする請求項13又は14に記載の光ディスクカバー。
【請求項16】
前記突起部の長さが、0.2mm以上2mm以下であることを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の光ディスクカバー。
【請求項17】
前記外周壁上部及び下部の外側が角のないアール状に形成された、夫々上部アール部及び下部アール部を有することを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載の光ディスクカバー。
【請求項18】
前記フィルムは、前記外周壁下面の前記下部アール部の端部を画定する底壁アール内周端よりも、前記外周壁の中心側に接着されていることを特徴とする請求項17に記載の光ディスクカバー。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−60376(P2011−60376A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209439(P2009−209439)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(397025587)エステー産業株式会社 (38)
【Fターム(参考)】