説明

光ディスクコントローラおよびそれを備えた光ディスク装置

【課題】再生するディスクの種類やサポートする転送速度のモードが増えても、必要なメモリ容量を増やさない。
【解決手段】少なくとも2以上の転送速度で情報記録媒体の再生を光学的に行う光ディスク装置11のための光ディスクコントローラ114であって、情報記録媒体102を回転させる回転機構101を制御するための回転制御部113と、情報記録媒体から得られるRF再生信号を2値化し再生データを出力する2値化部106、整数の分周比を有する複数の分周器を含み、再生データに位相同期した同期クロックを生成する位相同期部107とを備え、位相同期部は、情報記録媒体の種類または転送速度に応じて分周器を切り替えて選択することにより同期クロックを生成し、分周比に応じた情報記録媒体の回転速度となるよう回転制御部が回転機構を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2種類以上の情報記録媒体に対応した、あるいは、2種類以上の転送速度モードに対応した光ディスク装置に関し、特に情報記録媒体の再生クロックおよびその回転数を制御する光ディスクコントローラおよびそれを備えた光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(コンパクトディスク)は、音楽を記録するための情報記録媒体(以下、ディスクと称する)として当初開発されたが、今日では、コンピュータ用の情報記録媒体としても広く利用されている。またDVD(デジタルバーサタイルディスク)のように、当初より高密度でかつ多用途として開発されたものも商品化されている。これらCDおよびDVDで代表されるように、記録密度の異なる複数種類のディスクを1つの装置で再生できることが強く求められている。さらに記録密度の異なる複数種類のディスクに対して記録を行うことができる装置も商品化されはじめている。
【0003】
この複数種類のディスクを再生可能な装置、あるいは複数種類のディスクに情報を記録する装置においては、記録および/または再生する情報に応じて、ユーザが用いるディスクを選択する。例えば、音楽情報や比較的小容量のPC(パーソナルコンピュータ)用データの場合にはCD−ROMディスク、書き込み可能なCD−Rディスク、あるいは書き換え可能なCD−RWディスクが一般に用いられる。映像情報や大容量のPCデータの場合にはDVD−ROMディスク、書き換え可能なDVD−RAMディスク、あるいはDVD−RWディスクが用いられる。また、さらにBSディジタル放送等の高品質映像を記録するために、最近有望視されている青色レーザを用いた20GB以上の大容量な記録媒体が開発されている。
【0004】
PC用途の光ディスク装置においては、CD−ROMおよびDVD−ROMに代表されるように、最大転送速度やアクセス性能を向上させるため、ディスク上の任意の読み取り位置において常に転送速度が等しいことを特徴とする線速度一定記録方式(CLV方式)よりも、媒体上の内周部分と外周部分とで転送速度が異なることを特徴とする角速度一定記録方式(CAV方式)を採用する光ディスク装置が普及している。このような装置では、通常、装置の限界性能で決まる高い転送速度で再生を行うが、ディスクの情報記録面上のキズや汚れ、あるいは偏心や偏重心によって再生不能に陥ることがある。これを防止するため、ディスクの状態によってその回転速度を変化させ、転送速度を切り換えるような機能も搭載されている。
【0005】
次に光ディスクから情報を取得する手順について簡単に説明する。まず、レ−ザ光を光ディスクの情報記録面に照射し、その反射光を光ピックアップで検出し、RFアンプで増幅することにより、反射光量に応じたRF再生信号を生成する。生成したRF再生信号はイコライザで信号帯域外の高周波ノイズが除去される。また符号間干渉により振幅劣化した高帯域成分付近において、RF再生信号をブーストする。その後、2値化されて再生データが生成される。また再生データを元にして再生データに対して位相同期している再生クロックがPLL(位相同期)回路において生成される。再生データと再生クロックから復調部によって復元情報が生成され、インターフェース回路(例えばATAPI、SCSI)を通してホストへ転送される。
【0006】
上記手順において、再生するディスクの種類や再生モードが異なると、データの転送速度や再生データのRF周波数帯域が異なる。具体的には、イコライザで抽出強調する周波数帯域やPLL部で生成するクロック周波数などが再生するディスクの種類や再生モードに応じて変化する。再生クロックは転送速度やディスク規格で規定されている基準クロック周波数(たとえばDVD−ROMは約27MHz)によって決定するため、再生するディスクや転送速度モードを変更する際には、これら周波数に依存する回路を複数系統光ディスク装置に用意し、それぞれの条件に応じて回路を切り換えるようにしていた。
【0007】
また、記録再生がCLV方式で行われる場合、転送速度が一定であるため、イコライザやPLL部は1系統あればよい。これ対して、記録再生がCAV方式で行われる場合、ディスク上の読み取り半径位置によって転送速度が変わる。このため、これら周波数に依存する回路は、読み取り半径位置によっても、その処理基準となる周波数を変化させる必要がある。
【0008】
こうした理由から、複数種類のディスクに対応した従来のCAV方式の光ディスク装置では、たとえば、起動時に、まずディスクの種類に応じた復調部が備えられた複数の復調部から選択される。そして、ディスクの読み取り位置を半径方向にゾーン区分し、それぞれのゾーン内のデータを読み取る際、選択した復調部において転送速度に応じて設けられた複数の回路から1つを順次切り換えて選択する。
【0009】
以上説明した複数種類のディスクと複数の再生モードに対応した従来の光ディスク装置について図面を用いて説明する。
【0010】
図24は従来の光ディスクを示すブロック図である。CDとDVDの2種類のディスクに対応し、さらにDVDについては高倍速と低倍速の2種類の再生モードに対応した装置を例にあげて説明する。図24において、3系統のイコライザ部2003、2004、2005および3系統のPLL部2006、2007、2008が設けられている。また、復調部として、CD用復調部2009およびDVD用復調部2010が設けられている。これらの回路は、ディスク種別切替器2001および再生モード切替器2002によって選択されて使用される。
【0011】
CDを再生する場合、780nmの赤外線レーザ1021を発光させ、光ピックアップ内の光学系部品(不図示)によって所定のCD用光ビーム1023を形成する。DVDを再生する場合には、650nmの赤色レーザ1022を発光させ、光ピックアップ内の光学系部品(不図示)によって所定のDVD用光ビーム(不図示)を形成する。
【0012】
これら2つのレーザあるいは光ビームの切換に対応して、ディスク種別切替器2001が回路の選択を行う。例えばCDを再生する場合、ディスク種別切替器2001は接点A−C間を接続する。ディスクモータ101によって回転している光ディスク102から光ピックアップ103で検出したRF再生信号は、RFアンプ104で増幅される。増幅されたRF再生信号は、ディスク種別切替器2001を通過してイコライザ部2003へ入力される。イコライザ部2003は、CDに適した信号帯域においてRF再生信号を強調し、RFEQ信号を生成する。
【0013】
2値化部106はRFEQ信号を2値化し、再生データを生成する。再生データからPLL部2006によって再生クロックが生成される。この再生データと再生クロックによりCD復調部2009でCDに記録された情報が復調されホスト(不図示)へと転送される。
【0014】
また例えばDVDを高速で再生する場合、ディスク種別切替器2001は接点C−B間を接続し、再生モード切替器2002は、接点D−F間を接続する。ディスクモータ101によって回転している光ディスク102から光ピックアップ103で検出したRF再生信号は、RFアンプ104で増幅される。増幅されたRF再生信号は、ディスク種別切替器2001およびモード切替器2002を通過してイコライザ部2005へ入力される。イコライザ部2005は、DVDの高速再生モードに適した信号帯域においてRF再生信号を強調し、RFEQ信号を生成する。
【0015】
2値化部106はRFEQ信号を2値化し、再生データを生成する。再生データからPLL部2008によって再生クロックが生成される。この再生データと再生クロックによりCD復調部2010でDVDに記録された情報が復調されホスト(不図示)へと転送される。
【0016】
DVDを低速で再生する場合には、ディスク種別切替器2001は接点C−B間を接続し、再生モード切替器2002は、接点D−E間を接続する。ディスクモータ101によって回転している光ディスク102から光ピックアップ103で検出したRF再生信号は、RFアンプ104で増幅される。増幅されたRF再生信号は、ディスク種別切替器2001およびモード切替器2002を通過してイコライザ部2004へ入力される。イコライザ部2004は、DVDの低速再生モードに適した信号帯域においてRF再生信号を強調し、RFEQ信号を生成する。
【0017】
2値化部106はRFEQ信号を2値化し、再生データを生成する。再生データからPLL部2007によって再生クロックが生成される。この再生データと再生クロックによりCD復調部2010でDVDに記録された情報が復調されホスト(不図示)へと転送される。
【0018】
このように、複数種類のディスクおよび複数の転送速度モードに対応した従来の光ディスク装置では、イコライザ部やPLL部、復調部を少なくとも2系統以上備えることによってこれらのディスクに対する再生や記録を実現していた。このため、対応するディスクや転送速度モードが増えるに伴って、回路規模が増大してしまうという課題が発生する。
【0019】
回路規模を小さくするために、これらの回路にレジスタ回路を設け、ディスクの種類や転送モードに依存する部分を、レジスタに設定する定数を変更することで対応させるような構成が考えられる。
【0020】
しかし、この場合、CD、DVDといったディスクの種類、16倍速、8倍速、4倍速、2倍速といった転送速度モードの種類、およびディスク上の情報取得する半径位置ごとに、サーボ回路(サーボブロック)あるいはPLL部(PLLブロック)の動作周波数を設定するための定数(パラメータ)を与える必要がある。このため、通常、システムコントローラのプログラムエリアに設定テーブル領域を確保し、その領域にディスク種類、転送速度モードおよび半径位置に応じた全ての定数を格納するようにしている。上述の装置の場合、設定するレジスタが64バイトあるとすれば、CDおよび2種類の転送速度で動作するDVDを再生するために、プログラムエリアの設定テーブル領域は、192バイト必要となる。
【0021】
このように、再生するディスクの種類やサポートする転送速度のモードが増えるたびに、搭載すべき必要なメモリ容量が大幅に増加し、光ディスク装置のコストアップにつながるという大きな課題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、多くの種類のディスクおよび複数の転送速度モードに対応し、簡単な構成を備えた光ディスクコントローラおよび光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の光ディスクコントローラは、第1の情報記録媒体および前記第1の情報記録媒体よりも記録密度の高い第2の情報記録媒体の再生を光学的に行う光ディスク装置に用いられる。光ディスクコントローラは、前記第1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体を回転させる回機構転を制御するための回転制御部と、前記1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体に光を照射し、反射光を検出することよって得られるRF再生信号から、第1の周波数帯域の成分を除去し、第2の周波数帯域の成分を振幅増幅するためのイコライザと、前記イコライザの出力を2値化することにより得られる2値化再生信号を同期検出するための同期クロックを発生させるための位相同期部とを備え、前記回転制御部は、第1の転送速度および第2の転送速度でそれぞれRF再生信号が得られるように、前記回転機構を制御して前記第1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体をそれぞれ回転させ、前記第1の情報記録媒体から得られるRF再生信号の前記第1の転送速度における最大再生周波数、および、前記第2の情報記録媒体から得られるRF再生信号の前記第2の転送速度における最大再生周波数は互いに略一致している。
【0024】
ある好ましい実施形態において、前記前記1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体のチャネルクロックをそれぞれAおよびBとしたとき、前記第2の転送速度は第2の情報記録媒体の標準転送速度のn倍(1≦n)になっており、前記第1の転送速度は、第1の情報記録媒体の標準転送速度のn×(B/A)倍になっている。
【0025】
ある好ましい実施形態において、線速度一定で前記第1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体が回転するように前記回転制御部が前記回転機構を制御する。
【0026】
ある好ましい実施形態において、角速度一定で前記第1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体が回転するように前記回転制御部が前記回転機構を制御する。
【0027】
ある好ましい実施形態において、前記イコライザは、前記第1の周波数帯域および前記第2の周波数帯域を定めるための設定定数をそれぞれ与えることによって動作し、前記第1の周波数帯域の設定定数および前記第2の周波数帯域の設定定数は前記第1の転送速度および前記第2の転送速度において、それぞれ共通である。
【0028】
ある好ましい実施形態において、前記位相同期部は、設定定数をあたえることにより、それぞれ所定の周波数で動作する電圧制御発振器および分周器を含み、前記電圧制御発振器の設定定数および前記分周器の設定定数は、前記第1の転送速度および前記第2の転送速度において、それぞれ共通である。
【0029】
ある好ましい実施形態において、前記位相同期部は、整数比で分周する分周器を備える。
【0030】
ある好ましい実施形態において、前記光ディスク装置は前記第1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体へ更に記録を行うものであって、前記光ディスクコントローラは、前記第1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体に信号を記録し、また、前記第1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体から信号を再生するための光ピックアップを前記第1の情報記録媒体または前記第2の情報記録媒体の半径方向に移動させる移動機構を駆動する移動制御部を更に有し、前記半径方向における第1の位置において、前記第1の情報記録媒体または前記第2の情報記録媒体に対する標準の記録または再生の転送速度よりも早い転送速度となるように前記第1の情報記録媒体または前記第2の情報記録媒体を第1の回転速度で回転させながら、前記第1の情報記録媒体または前記第2の情報記録媒体に対して線速度一定で記録または再生を所定の時間行った後、第2の位置において、前記第1の回転速度および角速度一定で前記第1の情報記録媒体または前記第2の情報記録媒体の再生または記録を行うよう前記移動部および前記回転制御部が前記移動機構および回転機構を制御する。
【0031】
また、本発明の光ディスクコントローラは、少なくとも2以上の転送速度で情報記録媒体の再生を光学的に行う光ディスク装置のためのであって、前記情報記録媒体を回転させる回転機構を制御するための回転制御部と、前記情報記録媒体から得られるRF再生信号を2値化し、再生データを出力する2値化部と、整数の分周比を有する複数の分周器を含み、前記再生データに位相同期した同期クロックを生成する位相同期部とを備え、前記前記位相同期部は、前記情報記録媒体の種類または前記転送速度に応じて分周器を切り替えて選択することにより前記同期クロックを生成し、前記分周比に応じた前記情報記録媒体の回転速度となるよう前記回転制御部が前記回転機構を制御する。
【0032】
ある好ましい実施形態にいて、前記第2の位置は前記第1の位置より情報記録媒体上において外周側に位置している。
【0033】
ある好ましい実施形態にいて、前記第2の位置は前記第1の位置より情報記録媒体上において内周側に位置しており、前記第1の位置における転送速度は標準の転送速度の2.4倍以上である。
【0034】
また、本発明の光ディスクコントローラは、情報記録媒体の再生を光学的に行う光ディスク装置のためのであって、前記情報記録媒体から得られるRF再生信号を2値化し、再生データを出力する2値化部と、位相差検出部、ローパスフィルタ、電圧制御発振器および分周器を含み、前記再生データに同期した同期クロックを発生する位相同期部とを備え、前記電圧制御発振器が発生するチャネルクロックの周波数範囲の上限値に対する下限値の比は前記情報記録媒体の情報記録領域の最外周と最内周との半径比と一致している。
【0035】
また、本発明の光ディスクコントローラは、情報記録媒体に記録および再生を行う光ディスクを制御するものであって、情報記録媒体に対して記録および再生をおこなうため光ピックアップを前記情報記録媒体の半径方向に移動させる移動機構を駆動する移動制御部と、前記情報記録媒体を回転させる回転機構を制御するための回転制御部とを備え、前記半径方向における第1の位置において、前記情報記録媒体に対する標準の記録または再生の転送速度よりも早い転送速度となるように前記情報記録媒体を第1の回転速度で回転させながら、前記情報記録媒体に対して線速度一定で記録または再生を所定の時間行った後、前記第1の位置よりも外周側の第2の位置において、前記第1の回転速度および角速度一定で前記情報記録媒体の再生または記録を行うよう前記移動部および前記回転制御部が前記移動機構および回転機構を制御する。
【0036】
本発明の光ディスク装置は、第1の情報記録媒体および前記第1の情報記録媒体よりも記録密度の高い第2の情報記録媒体に光を照射して反射光を検出することにより、RF再生信号を得る光ピックアップと、前記第1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体を回転させる回転機構と、上記いずれかに規定される光ディスクコントローラとを備える。
【0037】
また、本発明の光ディスク装置は、第1の情報記録媒体および前記第1の情報記録媒体よりも記録密度の高い第2の情報記録媒体に光を照射して信号を記録し、また、前記第1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体に光を照射して反射光を検出することよりRF再生信号を得る光ピックアップと、前記第1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体を回転させる回転機構と、前記光ピックアップを前記第1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体の半径方向に移動させる移動機構と記録に対応した上記光ディスクコントローラとを備える。
【0038】
本発明の光ディスク装置の制御方法は、第1の情報記録媒体および前記第1の情報記録媒体よりも記録密度の高い第2の情報記録媒体を光学的に再生する光ディスク装置を制御する。制御方法は、前記第1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体を回転させるステップと、前記1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体に光を照射し、反射光を検出することよって得られるRF再生信号から、第1の周波数帯域の成分を除去し、第2の周波数帯域の成分を振幅増幅するステップと、前記イコライザの出力を2値化することにより得られる2値化再生信号を同期検出するための同期クロックを発生させるためのステップとを包含し、前記第1の情報記録媒体から得られるRF再生信号の最大再生周波数、および、前記第2の情報記録媒体から得られるRF再生信号の最大再生周波数が略一致した第1の転送速度および第2の転送速度となるように、前記第1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体を回転させる。
【0039】
ある好ましい実施形態において、前記前記1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体のチャネルクロックをそれぞれAおよびBとしたとき、前記第2の転送速度は第2の情報記録媒体の標準転送速度のn倍(1≦n)になっており、前記第1の転送速度は、第1の情報記録媒体の標準転送速度のn×(B/A)倍になっている。
【0040】
ある好ましい実施形態において、前記第1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体は線速度一定で回転する。
【0041】
ある好ましい実施形態において、前記第1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体は角速度一定で回転する。
【0042】
ある好ましい実施形態において、前記第1の転送速度および前記第2の転送速度において、前記第1の周波数帯域および前記第2の周波数帯域をそれぞれ略同一にする。
【0043】
ある好ましい実施形態において、前記同期クロックを発生させるための電圧制御発振器および分周器の設定定数を前記第1の転送速度および前記第2の転送速度において、共通に用いる。
【0044】
ある好ましい実施形態において、前記同期クロックを発生させるために電圧制御発振器および分周器を用い、前記分周器の分周比を整数にする。
【0045】
ある好ましい実施形態において、前記光ディスク装置は、前記第1の情報記録媒体および前記第2の情報記録媒体へ更に記録を行い、半径方向における第1の位置において、前記第1の情報記録媒体または前記第2の情報記録媒体に対する標準の記録または再生の転送速度よりも早い転送速度となるように前記第1の情報記録媒体または前記第2の情報記録媒体を第1の回転速度で回転させながら、前記第1の情報記録媒体または前記第2の情報記録媒体に対して線速度一定で記録または再生を所定の時間行った後、第2の位置において、前記第1の回転速度および角速度一定で前記第1の情報記録媒体または前記第2の情報記録媒体の再生または記録を行う。
【0046】
ある好ましい実施形態にいて、前記第2の位置は前記第1の位置より情報記録媒体上において外周側に位置している。
【0047】
ある好ましい実施形態にいて、前記第2の位置は前記第1の位置より情報記録媒体上において内周側に位置しており、前記第1の位置における転送速度は標準の転送速度の2.4倍以上である。
【発明の効果】
【0048】
本発明の光ディスクコントローラおよび光ディスク装置によれば、複数種類のディスクに記録あるいは再生する場合に、それぞれのディスクに対してイコライザ部やPLL部等の信号処理回路を2系統以上持つ必要がなく、共通回路でその処理を実現することが可能となる。さらにイコライザ部やPLL部に設定する定数も共通にすることができるので、ROMあるいはEEPROMにおける設定テーブルをも削減でき、ハードウェアの規模を大幅に削減することができる。
【0049】
また、本発明の光ディスクコントローラおよび光ディスク装置によれば、複数種類のディスクや複数の転送速度モードに対応した場合においても、VCOや分周器などのPLL部の回路規模を抑えることができる。
【0050】
また、本発明の光ディスクコントローラおよび光ディスク装置によれば、CAV方式の再生モードにおいてもPLL部に設定する定数を1種類にすることができるので、ROMあるいはEEPROMにおける設定テーブルをも削減でき、ハードウェアの規模を大幅に削減することができる。
【0051】
また、本発明の光ディスクコントローラおよび光ディスク装置によれば、同時に記録および再生を行ったり、記録中に既に記録した部分を逐次再生する場合に、記録バッファメモリや再生バッファメモリの容量を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
(第1の実施形態)
図1は本発明の光ディスクコントローラを備えた光ディスク装置の第1の実施形態を示すブロック図である。光ディスク装置11は、ディスクモータ101と、光ピックアップ103と、RFアンプ104と光ディスクコントローラ114とを備えている。光ピックアップ103は、たとえばCDを再生するためのレーザ光を出射するレーザ1021とDVDを再生するためのレーザ光を出射するレーザ1022とを含む。
【0053】
光ディスク装置11は、光ディスク102を回転機構であるディスクモータ101によって回転させながら、光ピックアップ103により、光ディスク102に記録され情報をRF再生信号として取り出す。RF再生信号はRFアンプ回路104によって増幅され、増幅されたRF再生信号は光ディスクコントローラ114へ入力される。
【0054】
光ディスクコントローラ114は、システムコントローラ111と、設定値格納テーブル112と、ディスク種別判別部141と、イコライザ部105と2値化部106と、復調部108と、PLL部110と、ディスクモータ回転制御部113とを含む。また、イコライザ105およびPLL部107に対して所定の設定を行うためのレジスタ109および110がそれぞれ設けられている。
【0055】
RFアンプから出力されたRF再生信号はディスク種別判別部141へ入力され、その信号強度等から、光ディスク装置11に装填された光ディスク102の種類と選択されたレーザ1021および1022との組み合わせが適切かどうかを判断し、その結果をシステムコントローラ111へ送る。
【0056】
RFアンプから出力されたRF再生信号は、光ディスクコントローラ114のイコライザ部105に入力される。イコライザ部105は、RF再生信号の所定の帯域外の高周波ノイズを除去し、また、符号間干渉等により極度に振幅劣化したRF再生信号の高帯域成分付近をブーストして、EQRF再生信号を出力する。
【0057】
EQRF再生信号は、2値化部106において2値化され、復調部108およびPLL部107に入力される。PLL部107は、復調部108でEQRF再生信号に含まれるデータを抽出するためのウィンドウに必要な同期クロックを生成する。復調部108は、PLL部107から出力される同期クロックを用いて、EQRF再生信号を同期検出し、2値化された再生データを出力する。図示しない誤り訂正回路によって、再生データのエラーを訂正し、有効な情報として復元する。
【0058】
図2はイコライザ部105およびレジスタ109の詳細な構成を示したブロック図である。イコライザ部105は帯域制限フィルタ201と高域成分強調フィルタ202とを含み、レジスタ109はカットオフ周波数設定レジスタ203と、ブースト量設定レジスタ204とを含む。
【0059】
光ディスクから得られるRF再生信号はたとえばEFM変調あるいは8−16変調されており、チャネルクロック周期Tに対して光ディスクによって定まる周波数成分を含む。例えば、CDの場合には3Tから11Tの周波数成分を含み、DVDの場合には3Tから14Tの周波数成分を含む。CDやDVDに記録された情報はこれらの周波数を持つ信号として含まれるので、誤り無く情報を復調させるためには、RF再生信号から有効な周波数成分のみを抽出する必要がある。
【0060】
具体的には、光ピックアップ103によって検出したRF再生信号は、高周波ノイズなど必要とする周波数成分以外の周波数成分を含み、また信号振幅は符号間干渉等により劣化するため周波数成分ごと異なる。このため、正しく情報を復調するために、帯域制限フィルタ201でRF再生信号から不必要な周波数帯の成分を除去するとともに、減衰している周波数帯の成分については高域成分強調フィルタ202で増幅して各周波数成分の振幅を揃える。周波数帯域を制限する周波数(カットオフ周波数)はシステムコントローラ111によってカットオフ周波数設定レジスタ203に設定される。また減衰した周波数部分の増幅度(ブースト量)も同様にシステムコントローラ111によってブースト量設定レジスタ204に設定される。以下において詳述するように、カットオフ周波数設定レジスタ203およびブースト量設定レジスタ204に与えられる定数は設定値格納テーブル112に記憶されている。
【0061】
図3はPLL部105およびレジスタ110の詳細な構成を示したブロック図である。PLL部105は、位相差検出回路301と、ローパスフィルタ302と、VCO303と分周器304とを含む。レジスタ110は、VCOゲイン設定レジスタ305と、分周比設定レジスタ306とを含む。2値化されたRF再生信号は位相差検出回路301に入力される。位相差検出回路301では2値化されたRF再生信号とPLL部107(分周器304)の出力である同期クロックとの位相誤差を検出し、誤差信号をローパスフィルタ302に入力する。ローパスフィルタ302は位相誤差に応じた制御電圧をVCO(Voltage Controlled Oscillator)303へ入力する。VCO303では制御電圧に応じた周波数の信号を発振して分周器304に供給する。 分周器304ではVCO303から供給される信号を分周して同期クロックを生成し出力する。
【0062】
VCO303による発振周波数および分周器304における分周比は、VCOゲイン設定レジスタ305および分周比設定レジスタ306に設定される設定定数により決定する。システムコントローラ111は、VCOゲイン設定レジスタ305および分周比設定レジスタ306に設定すべき定数が格納された設定値格納テーブル112から必要な設定定数を選択する。設定値格納テーブル112に設定する定数については以下で詳述する。
【0063】
次に光ディスク装置11における転送速度のモードを説明する。光ディスク装置11は記録密度の異なる第1の情報記録媒体および第2の情報記録媒体に対応しており、第2の情報記録媒体の記録密度は第1の情報記録媒体の記録密度よりも高くなっている。第1の情報記録媒体および第2の情報記録媒体のチャネルクロックをそれぞれAおよびBとしたとき、第2の情報記録媒体を標準転送速度のn倍(nは1≦nを満たす有理数または無理数)で再生する第2の転送速度と、第1の情報記録媒体を標準転送速度のn×(B/A)倍で再生する第1の転送速度とを備えている。ここで転送速度とは、光ディスクから情報を読み出す速度あるいは光ディスクへ情報を書き込む速度をいう。
【0064】
このとき、第1の情報記録媒体から得られるRF再生信号の第1の転送速度における最大再生周波数と第2の情報記録媒体から得られるRF再生信号の第2の転送速度における最大再生周波数とはおおよそ一致する。ここで、「2つの最大再生周波数がおおよそ一致する」とは、2つの最大再生周波数の差が低い方の最大周波数の10%以内であることを言う。
【0065】
これにより、第1の情報記録媒体を高倍速の転送速度で再生する場合に必要なPLL部107の設定を第2の情報記録媒体の設定と一致させることができる。
【0066】
以下、第1の情報記録媒体および第2の情報記録媒体として、CDおよびDVDを例に挙げて説明する。まず、CLV(線速度一定)方式で再生する場合を説明する。
【0067】
CDのチャネルクロックは正確には4.3218MHzであり、DVDのチャネルクロックは26.15625MHzである。しかし以下では、CDのチャネルクロックを4.32MHzおよび26.16MHzとして計算する。DVDのチャネルクロックはCDのチャネルクロックの6.06倍(26.16/4.32)すなわち約6倍となっている。したがって、CLV方式で再生を行う場合、たとえば、CDの転送速度のモードとして標準の転送速度(1X)を設定し、DVDの転送速度のモードを標準の転送速度(1X)に設定する。そして、CDの標準転送速度よりも高倍速の転送速度として、標準の約6倍の転送速度(6X)を設定する。DVDの転送速度のモードとして、更に標準の2倍の転送速度を設定する場合には、CDの転送速度のモードとして、約12倍の転送速度(12X)を設定する。つまり、CDの転送速度のモードは1X、6X、12Xであり、DVDの転送速度のモードは1X、2Xである。このような転送速度となるよう、システムコントローラ111がディスクモータ回転制御部113に指令を与える。
【0068】
この時、CDを標準の6倍の転送速度で再生するために必要なPLL部107の設定は、DVDを標準の転送速度で再生する場合に必要なPLL部107の設定と同じでよい。同様に、CDを標準の12倍の転送速度で再生するために必要なPLL部の設定は、DVDを標準の2倍の転送速度で再生する場合に必要なPLL部107の設定と同じでよい。このため、設定値格納テーブル112に格納されており、PLL部107を制御するためのVCO設定値レジスタ305および分周比設定レジスタ306に設定される設定値は、CDの標準転送モード用、DVDの標準転送モード用およびDVDの2倍速転送モード用の3組があればよい。
【0069】
このような回転数の制御についてさらに詳しく説明する。単層のDVD−ROMディスクを標準転送速度(1X)で再生する場合、26.16MHzの一定のPLLクロックで再生するために、線速が3.49m/sとなるよう、ディスクを回転させる必要がある。具体的には図4に示すように、光ピックアップ103の位置がディスクの内周(半径24mm)にあるときには1389rpmでディスクを回転させ、外周(半径58mm)にあるときには、575rpmで回転するように、ディスクモータ101のモータ制御部113に指令を与える。
【0070】
2層のDVD−ROMディスクを標準転送速度(1X)で再生する場合には、26.16MHzの一定のPLLクロックで再生するために、線速3.84m/sでディスクを回転させる必要がある。具体的には図4に示すように、光ピックアップ103の位置がディスクの内周(半径24mm)にあるときには1529rpmでディスクを回転させ、外周(半径58mm)にあるときには、633rpmで回転するように、ディスクモータ101のモータ制御部113に指令を与える。
【0071】
CD−ROMの線速度はDVDに比べて遅い。CD−ROMディスクを標準転送速度(1X)で再生する場合には、4.321MHzの一定のPLLクロックで再生するために、線速1.3m/sでディスクを回転させる必要がある。具体的には図4に示すように、光ピックアップ103の位置がディスクの内周(半径24mm)にあるときには518rpmでディスクを回転させ、外周(半径58mm)にあるときには、214rpmで回転するように、ディスクモータ101のモータ制御部113に指令を与える。
【0072】
CD−ROMディスクを標準転送速度の6倍で再生する場合には、図5に示すように、光ピックアップ103の位置がディスクの内周(半径24mm)にあるときには3105rpmでディスクを回転させ、外周(半径58mm)にあるときには、1285rpmで回転するように、ディスクモータ101のモータ制御部113に指令を与える。
【0073】
また、DVD−ROMディスクを標準転送速度の2倍の速度で再生するモードを設定する場合には、PLL部107におけるPLLクロックの設定を更に増やすことなくCD-
ROMディスクを標準転送速度の12倍の速度で再生するモードを追加できる。この場合には、光ピックアップ103の位置がディスクの内周(半径24mm)にあるときには6210rpmでディスクを回転させ、外周(半径58mm)にあるときには、2570rpmで回転するように、ディスクモータ101のモータ制御部113に指令を与える。
【0074】
このように、第1の情報記録媒体および第2の情報記録媒体のチャネルクロックをAおよびBとしたとき、第1の情報記録媒体の基準転送速度よりも高倍速の転送速度を第2の情報記録媒体の1つの転送速度のB/A倍に設定することにより、光ディスク装置におけるディスクモータなどのメカニズムや光ピックアップ等の動作の限界まで簡単に対応することが可能である。
【0075】
またCAV(角速度一定)方式で再生する場合にも同様に適用することができる。図6に示すように、光ピックアップ103の位置がディスクの内周(半径24mm)にあるとき、標準転送速度となる1389rpmの回転数でDVDディスクを回転させる。この回転速度でディスクを回転させながらディスクの外周58mm付近を再生するとき、転送速度は標準転送速度の2.42倍(約2.4倍速)となる。CAV方式では、PLLの周波数を再生データの周波数に対して積極的に合致させることで、VCOの発振周波数を内周と外周とで切り換えることが可能である。
【0076】
この場合、CDディスクは、光ピックアップ103の位置がディスクの内周(半径24mm)にあるとき、標準転送速度の6倍の転送速度となる1389rpmの回転数で回転させる。この回転速度でディスクを回転させながらディスクの外周58mm付近を再生するとき、転送速度は標準転送速度の14.46倍(約14.5倍速)となる。
【0077】
これら2種類のディスクをCAV方式により、上述した回転速度で回転させる場合、転送速度が等しくなるため、PLL部における周波数の設定は同じでよい。
【0078】
なお、DVDにおけるユーザデータは約半径24mmの位置から開始しており、CDのユーザデータは約半径25mmの位置から開始している。このような僅かな差異は、線速等のばらつきを考えれば十分無視できる値であり、特に問題とはならない。
【0079】
次にイコライザ部105の設定を説明する。上述したように、転送速度を設定することにより、PLL部107だけでなく、RF再生信号のノイズを除去したり、有効信号を強調するためのイコライザ部105の設定を複数のモードにおいて共通にすることが可能である。
【0080】
具体的には、CDの場合、RF再生信号の周波数帯域は4.32MHzの基準チャネルクロックに対して、3T〜11T(T=1/4.32MHz)の範囲と定められている。このため、RF再生信号の周波数帯域は、標準転送速度において196kHz〜720kHzとなる。また、DVDの場合、RF再生信号の周波数帯域は26.16MHzの基準チャネルクロックに対して、3T〜14T(T=1/26.16MHz)の範囲と定められている。このため、RF再生信号の周波数帯域は、標準転送速度において934kHz〜4.36MHzとなる。
【0081】
CDを6倍速の転送速度で再生する場合、RF再生信号の周波数帯域は、1.176MHz〜4.320MHzとなり、DVDの標準転送速度における周波数帯域と概ね等しくなる。よってCDを6倍速の転送速度で再生する場合とDVDを標準転送速度で再生する場合とにおいて、RF再生信号の周波数帯域が重なる部分を共通の周波数帯域として設定すれば、CDを6倍速の転送速度で再生する場合のイコライザ部105の設定は、DVDを標準転送速度で再生する場合の設定と同じにすることができる。つまり、カットオフ周波数設定レジスタ203とブースト量設定レジスタ204に与える1組の設定値があればこれら2つのモードに対応できる。さらにCDおよびDVDを高倍速で再生する場合も同様であり、たとえば、CDを12倍速の転送速度で再生する場合のRF再生信号の周波数帯域は、DVDを2倍速の転送速度で再生する場合のRF再生信号の周波数帯域とほぼ一致する。
【0082】
図7はCDとDVDにおけるRF再生信号周波数帯域と回転速度の関係を表す特性図である。領域701は、CDにおける光ディスクの回転数に対するRF再生信号周波数帯域を示す。また、領域702は、DVDにおける光ディスクの回転数に対するRF再生信号周波数帯域を示す。
【0083】
CDをたとえば、VCD703に示す9500rpmの回転速度で回転させたとき、光ディスクから検出されるRF再生信号の周波数帯域は、矢印704で示すように18MHz〜64MHzとなる。また、DVDをVDVD705で示す2000rpmの回転速度で回
転させたとき、光ディスクから検出されるRF再生信号周波数は、矢印706で示すように18MHz〜60MHzとなる。両者のRF再生信号周波数帯域は、ディスクの種別および回転速度が異なっているにも関わらずほぼ等しくなっている。
【0084】
このことは、それぞれのディスクをVCD703およびVDVD705で示される回転数で
再生するためのイコライザ部105およびPLL部107の特性が等価であってもよいことを示している。具体的には、図2に示すカットオフ周波数設定レジスタ203およびブースト量設定レジスタ204ならびに図3に示すVCO発振周波数設定レジスタ305および分周比設定レジスタ306の合計4個の設定定数がCDとDVDとで互いに等しいことを意味する。したがって、CDの回転数を9500rpmとし、DVDの回転数を2000rpmと設定すれば、RF再生信号周波数帯域に依存する上記4種類のレジスタ値を共通で使うことが可能となる。図8は、設定値格納テーブル112を模式的に示している。上述の場合、設定値格納テーブル112へ格納すべき定数は4個でよい。ディスクごとに設定値が必要な場合8個の定数を格納する必要があるのに対して、格納すべき定数の数を大幅に削減することが可能となる。
【0085】
図9および図10は、この回転数に設定にして光ディス装置11を動作させる場合手順を示している。図9は、CDを再生する場合の手順を示しており、図10はDVDを再生する場合の手順を示している。
【0086】
CDを再生する場合およびDVDを再生する場合において、RF再生信号の周波数帯域は等しい。このため、CDおよびDVDのいずれを再生する場合においても、再生イコライザ部105の設定に必要なカットオフ周波数およびブースト量を図8の設定値格納テーブルのアドレス1およびアドレス2から取得して、図2で示すカットオフ周波数設定レジスタ203およびブースト量設定レジスタ204へそれぞれ設定する(ステップS14、S20)。同様に、PLL部107の設定に必要なVCOゲインおよび分周比を設定値格納テーブル112のアドレス3およびアドレス4から取得して、図3で示すVCOゲイン設定レジスタ305および分周比設定レジスタ306へ設定する(ステップS15、S21)。その後、光ディスク装置11に装填されたディスクがCDである場合にはステップS17により9500rpmでディスクを回転させる。DVDの場合にはステップS23により2000rpmでディスクを回転させる。
【0087】
以上説明したように本実施によれば、複数種類のディスクに対して記録あるいは再生する場合、それぞれのディスクに対するイコライザ部やPLL部等の信号処理回路を2系統備える必要がなく、共通の回路でその処理を実現することが可能である。さらに共通に用いるイコライザ部やPLL部に設定する定数も共通にすることができる。このため、定数を格納すべきROMあるいはEEPROMにおける設定テーブルの容量を小さくすることができ、光ディスクコントローラおよび光ディスク装置におけるハードウェアの規模を大幅に縮小することができる。
【0088】
(第2の実施形態)
図11は本発明の光ディスクコントローラを備えた光ディスク装置の第2の実施形態を示すブロック図である。図11に示す光ディスク装置12において、第1の実施形態の光ディス装置11と同じ構成要素には同じ参照符号を付している。光ディスク装置12はPLL部1101を有する光ディスクコントローラ115を備えている。図12は、図11に示すPLL部1101の構成を示したブロック図である。図12において、図3に示すPLL部107と同一または同様の機能を実現する構成要素には同じ参照符号を付している。図12に示すようにPLL部1101は、位相差検出回路301と、ローパスフィルタ302と、VCO1201と、分周器1202とを含む。
【0089】
図13はVCO1201と分周器1202の構成を示したブロック図である。VCO1201は、基準クロック発振器1301と2系統以上の発振周波数制御部1302を有している。基準クロック発振器1301で生成された基準信号と、ローパスフィルタ302から出力される位相誤差に応じた制御電圧とに基づいて発振周波数制御部1302がチャネルクロックを生成する。チャネルクロックの制御電圧に対する変動量はVCOゲイン設定レジスタ305の設定値をもとにVCOゲイン選択回路1303によって選択される。
【0090】
VCO1201で発振された基準クロックは分周器1202で分周される。分周器1202は、分周比が互いに異なる分周回路1305を2系統以上有している。分周比設定レジスタ306の設定値をもとに分周比選択回路1304が分周回路1305のひとつを選択し、選択した分周回路1305の分周比で基準クロックを分周し、チャネルクロックとして復調部に入力される。
【0091】
PLL部1101で生成される同期クロックは、転送速度のモードで決まるRF再生信号の基準クロック周波数に合致するよう、VCO1201内の発振周波数制御部1302と分周器1202内の分周回路1305との組み合わせよって生成される。
【0092】
従来の光ディスク装置では、16倍速、8倍速、4倍速といったように標準の転送速度に対して整数倍の転送速度を実現していた。たとえば、図14に示すように、500MHzの基準クロックを発振することができるVCO1401および分周回路1404を有するPLL部を備えた従来の光ディスク装置を考える。この従来の光ディスク装置おいて、DVDを4倍速および12倍速の転送速度で再生するためには、基準クロックから各転送速度のモードで必要な同期クロックを生成する分周器を用意する必要がある。4倍速の転送速度において必要な同期クロックは、たとえば108MHzであり、12倍速の転送速度において必要な同期クロックは、たとえば、324MHzである。これらの同期クロックを生成するために必要な分周回路1402、1403の分周比は4倍速の転送速度では1:4.63となり、12倍速の転送速度では1:1.54となる。しかし、分周比が整数倍とはならないので、分周回路1402、1403が複雑になってしまう。
【0093】
これに対して、本実施形態の光ディスク装置12では、まずVCOの発振周波数と分周器の分周比を決定し、その発振周波数と分周比との組み合わせによって、ディスクの最外周で実現可能な転送速度を選択し、転送速度(X倍速再生)を決定する。このようにすることによって、分周比を整数の比となるようにすることができ、分周回路の構成を簡単にすることができる。
【0094】
図15は図13の分周器1202の構成および設定をさらに詳細に示したブロック図である。VCO1501の基準クロックを500MHzとし、回路構成を簡単にするため、分周回路1502および分周器1503の分周比を、たとえば、1:8および1:2とする。これらの組み合わせによって生成することができる同期クロックは、分周比が1:8である場合、62.5MHzであり、分周比が1:2である場合、250MHzである。この設定をDVDの標準転送速度に対する倍率に換算すると、2.3倍速および9.3倍速となる。よって光ディスク装置12の仕様として、DVDの転送速度をこの非整数である2.3倍速および9.3倍速とする。
【0095】
このように非整数倍の倍速を転送速度に設定しても光ディスク装置12の動作に実質上大きな影響を与えることはない。たとえば、2倍速および9倍速の転送速度でDVDの再生が可能な従来の光ディスク装置に比べて、特に性能上の差異はない。なぜなら、転送速度が標準転送速度の2倍であっても2.3倍であってもDVDに記録された情報を再生しながら、DVDの情報を取得する際に生じるデータエラーを十分訂正できる速さだからである。
【0096】
このように本実施形態によれば、光ディスク装置が複数のディスク種別および複数の転送速度モードに対応している場合でも、装置の実質的な性能に影響をあたえることなく、VCOや分周器などを含むPLL部の回路規模が大きくなることを抑制することができる。
【0097】
(第3の実施形態)
図16は本発明の光ディスクコントローラを備えた光ディスク装置の第3の実施形態を示すブロック図である。図16に示す光ディスク装置13において、第1の実施形態の光ディス装置11と同じ構成要素には同じ参照符号を付している。また、図17は、光ディスク装置13のPLL部1603の構成を示すブロック図である。
【0098】
光ディスク装置13は、CAV方式で光ディスク102を回転させ再生を行う。光ディスク装置13はトラバースモータ1601と、トラバースモータ1601を制御するトラバースモータ制御部1615と、位置センサ1604と、光ピックアップ位置検出回路1602とを備える。光ピックアップ103は移動機構であるトラバースモータ1601によって光ディスク102上の任意の半径位置に移動して情報を読みとるが、CAV方式では光ディスク102上の読み取り位置によって転送速度が変わる。このため、PLL部1603の同期クロック周波数も転送速度に応じて変える必要がある。
【0099】
このため、光ピックアップ103のディスク上の位置を位置センサ1604および光ピックアップ位置検出回路1602で検出する。この検出結果、すなわち、光ピックアップが位置する半径位置情報をシステムコントローラ111へ送出する。
【0100】
位置センサ1604および光ピックアップ位置検出回路1602を設けるかわりに、光ディスク102に記録されているアドレス情報を再生し、アドレス情報から光ピックアップの位置に関する情報を得てもよい。
【0101】
従来のCAV方式の光ディスク装置では、例えばディスクの読み取り位置を半径方向において複数の領域に分割し、それぞれの領域を読み取る際に、逐次VCOゲインと分周比を切り替えてPLL部の同期クロックを最適な値に強制的に設定する方式を採用していた。このため、PLL部に与える設定定数を領域ごとに複数セット用意しなければならない。例えば半径方向に6分割した場合、図18に示すように1つの光ディスクの1つの転送速度モードに対して12バイトの格納テーブル領域を必要とする。その結果、光ディスク装置が複数種類の光ディスクおよび複数の転送速度モードに対応している場合、PLL部に与える設定定数を記憶するテーブル領域が著しく増加する。
【0102】
またPLL部におけるVCOが発振するチャネルクロックは、基準クロックに基づいて、転送速度が多少外変動しても発振可能な周波数範囲に設定される。この周波数範囲を引き込み範囲(ロック周波数範囲)という。しかし、任意に引き込み範囲を決定してしまうと、光ディスクの内周から外周へ、あるいは外周から内周へアクセスを行う途中でVCOの発振が停止し、PLLのロックがはずれて再引き込みを行う状態に陥る。これにより大きくアクセス時間が増大してしまう。
【0103】
本実施形態の光ディスク装置13ではVCOで発振し、分周器にて分周生成されるチャネルクロックの周波数範囲の上限値に対する下限値の比をディスクの最内周にあるデータ開始位置とディスク最外周にあるデータ終了位置の半径比に等しくなるようにPLL部1603を設計し、PLL部1603の設定をディスク全領域に対して1つにしてCAV方式の読み取りを実現する。
【0104】
図19は単層DVDディスク1801を模式的に示している。図19に示すように、DVDディスク1801において、リードイン(LEADIN)およびリードアウト(LEADOUT)を含む情報はディスク上の半径24mmの位置から半径58mmの位置までの情報記録領域1803に記録されている。このディスクから5倍速の転送速度モードでCAV方式により情報を取得する場合、24mmの部分のRF再生信号の周波数帯域は1.9MHz〜9MHzとなり、必要なチャネルクロックは54MHzとなる。また、58mmの部分のRF再生信号の周波数帯域は4.6MHz〜21.6MHzとなり、必要なチャネルクロックは130MHzとなる。ディスク最内周と最外周の半径比(58/24)とチャネルクロックの比率(130/54)とは等しく約2.4倍となる。
【0105】
つまり、PLL部1603の引き込み範囲50MHzから130MHzとし、その上限と下限との比をディスクの情報記録領域最内周と最外周の半径比2.4と等しくすることによって、ディスクの全領域について単一のPLL部設定で情報を取得することができるようになる。これにより、PLL部に設定する回路定数も図20に示すように1つのディスクの1つの転送モードに対して10バイトを削減することができる。
【0106】
このように本実施形態によれば、特にCAV方式においてPLL部に設定する定数を1種類にすることができる。このため、ROMあるいはEEPROMにおける設定テーブルをも削減でき、ハードウェアの規模を大幅に縮小することができる。また、半径方向の任意のトラックへアクセスする際も、そのたびにアクセス位置に応じた設定を行う必要がないのでアクセス時間を短縮することができる。
【0107】
(第4の実施形態)
図21は本発明の光ディスクコントローラを備えた光ディスク装置の第4の実施形態を示すブロック図である。図21に示す光ディスク装置14において、第3の実施形態の光ディス装置13と同じ構成要素には同じ参照符号を付している。
【0108】
光ディスク装置14は、特に再生と記録を同時に行ったり(同時録再)、記録した後から再生していく(追っかけ再生)を実現するためのCLV記録、再生方式を採用する。
【0109】
光ディスク装置14は、復調部108から出力される復元されたデータを一時的に記憶するための再生バッファメモリ1613を備えており、再生バッファメモリ1613に蓄積されたデータは、逐次ホストコンピュータ1614へ送られる。また、光ディスク装置14は、データを光ディスク102へ記録するための記録系回路を備えている。具体的には、記録バッファメモリ1612、変調部1611およびLD駆動部1610を備えている。
【0110】
ホストコンピュータ1614から出力される記録データは、バッファメモリ1612によって一時的に記憶される。変調部1611は、記録バッファメモリ1612に蓄積されたデータを受け取って所定の変調方式により変調する。変調されたデータは、光ピックアップ103に搭載された記録用の光源(不図示)を発光させるためのレーザダイオード駆動部1610に出力される。レーザダイオード駆動部1610は、駆動信号を出力して記録用の光源を発光させる。発光した光ビームが光ディスク102の記録面に照射されることによって光ディスク1022の記録面にデータが記録される。
【0111】
本実施形態の光ディスク装置14では、以下に説明するような記録再生方式を採用している。なお、以下では、光ディスクの内周側の位置において記録を行い、外周側の位置において再生を行う例を示すが、光ディスクの内周側の位置において再生を行い、外周側の位置において記録を行ってもよい。
【0112】
図22に示すように、例えば半径方向における第1の位置である半径25mmの位置2201から情報の記録(たとえば放送番組などの映像情報の記録)を始める。そして、同時に半径方向における第1の位置よりも外周側に位置する50mmの位置2203に記録された情報(別な映像情報)の再生を行う場合、最初に半径25mmの位置2201に光ピックアップ103を移動させて、2668rpmで光ディスクを回転させ記録を開始する。この時の記録のための転送速度はその位置における標準の記録転送速度よりも速くなっている。また、記録バッファメモリ1612には記録すべきデータが十分蓄積されているものとする。
【0113】
第1の位置、つまり、半径25mmの位置2201の位置ではCLV方式で記録を行う。このため、記録が進むにつれて、光ディスク102の回転数を図22に示すように除々に低下させる。記録のための転送速度が標準の記録転送速度より速いため、記録バッファメモリ1612に蓄積されているデータは減少していく。たとえば光ディスク102の半径35mmの位置2202において記録バッファメモリ1612に蓄積されたデータがゼロあるいは所定の値以下になったら記録を中止し、光ピックアップ103を半径50mmの位置へ移動させる。この際、システムコントローラ111は、ディスクの回転数を変更するための指令をディスクモータ回転制御部113へ出さない。このため、半径35mmの位置2202における1905rpmの回転速度で半径50mmの位置2203に記録されている情報を再生する。
【0114】
第2の位置、つまり、半径50mmの位置2203ではCAV方式で再生を行う。この半径位置におけるこの回転速度は、再生における転送速度としては標準のCLV方式の再生転送速度よりも速くなっている。このため、ホストコンピュータ1614が要求する転送速度より再生の転送速度が速なっており、再生バッファメモリにデータが逐次蓄積される。再生バッファメモリ1613に所定の値以上に再生データが蓄積するまで、半径50mmの位置2203から再生を行う。この間、記録すべきデータは逐次記録バッファメモリ1612に蓄積されていく。
【0115】
再生バッファメモリ1613にデータが蓄積されたら、再度、データを光ディスク102へ記録するために半径35mmの位置2202へ戻る。このとき、ディスクモータの回転数は1905rpmのままであるから、光ピックアップが半径35mmの位置2202に戻れば、すぐに記録を開始すること可能である。上述したように、再生動作を行っている間に蓄積されたデータを記録バッファメモリ1612から読み出して、CLV方式による記録を再開する。この間、再生バッファメモリ1613に蓄積されたデータはホストコンピュータ1614へ転送され、順次再生される。この処理を繰り返し行いながら、追っかけ再生や同時録再をおこなう。
【0116】
DVD−RAM、DVD−RWをはじめとするDVDの記録ディスクはCLV方式による記録及び再生が主流でため、従来の装置において、追っかけ再生や同時録再を行うためには、ディスクモータの回転数を切り換える必要がある。しかし、一般的にモータの応答速度は遅く、また、直径12cmのDVDでは内周と外周で2.4倍の回転数の差がある。その結果、モータの回転数が変化した後、所定の回転数に安定するまで、長い時間がかかり、追っかけ再生や同時録再を行うためには、その間の記録データや再生データを一時記憶するバッファメモリの容量を大きくする必要がある。さらに、モータの回転数を頻繁に切り換える必要があるため、モータの発熱や騒音を引き起こし、信頼性およびユーザビリティ(品位)の劣化を招いていた。
【0117】
しかし、本実施形態によれば、第1の位置ではCLV方式で記録または再生をおこない、第1の位置より外周側の第2の位置では、第1の位置における回転速度を用いてCAV方式で再生または記録を行う。第1の位置と第2の位置との間を移動して記録または再生を行う際、光ディスクの回転速度は変らない。このため、モータの回転速度を安定させるための時間をとる必要がなく、第1の位置あるいは第2の位置へ光ピックアップが移動すれば、直ちに記録や再生を行うことができる。このため、記録バッファメモリや再生バッファメモリの容量を小さくすることができ、光ディスク装置のコストを低減させることができる。また、同時録再や追っかけ再生においても、モータの発熱を抑え、光ディスク装置を静かに動作させることができる。
【0118】
なお、本実施形態では、第1の位置においてCLV方式で記録または再生をおこない、第1の位置より外周側の第2の位置では、第1の位置における回転速度を用いてCAV方式で再生または記録を行っていた。しかし、第1の位置におけるCLV方式の記録または再生が標準の転送速度の2.4倍以上である場合には、第2の位置を第1の位置より内周側に設定することができる。
【0119】
たとえば、図23に示すように、半径25mmの位置から標準の2.4倍転送速度を得る6403rpmでCLV方式により記録を開始する。CLV方式により記録をしているため、第1の位置である半径35mmの位置2205に達したときに、回転速度はその位置における標準の2.4倍の転送速度を得る4572rpmになっている。
【0120】
光ピックアップが第1の位置である半径35mmの位置2205に達したら、光ピックアップを第2の位置である半径25mmの位置2204に移動させて、記録された情報の再生を行う。この時、モータの回転速度は変化させずに、4572rpmを維持し、CAV方式で再生する(点2206で示される半径位置および回転数の組み合わせ)。
【0121】
図23に示すように、半径25mmの位置2204において、CLV方式による2.4倍の転送速度を得る回転数は6403rpmであるが、4572rpmの回転数で再生を行っても標準の1.7倍の転送速度を得ることができる。したがって、再生バッファにデータがない状態が生じて再生する情報が途切れてしまうということはない。このような手順は特に、記録を行いながら記録した部分の再生する追っかけ再生に適している。
【0122】
上記各実施形態は、好適に相互の特徴を組み合わせることができる。たとえば、第1の実施形態と第2の実施形態を組み合わせ、光ディスク装置11において、分周比が整数となっている分周器を設けてもよい。また、第1の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせ、光ディスク装置11において、PLL部の引き込み範囲をディスクの情報記録領域の最内周と最外周の半径比2.4と等しくなるように設定してもよい。あるいは、第1の実施形態と第4の実施形態とを組み合わせ、光ディスク装置11において、同時録再や追っかけ再生が実現するために、CLV方式とCAV方式とを組み合わせて記録再生を行うよう、ディスクモータおよびトラバースモータを制御してもよい。
【0123】
更に、第2の実施形態と第3の実施形態との組み合わせ等、他の組み合わせも好適に実施することができる。
【0124】
また、上記第1から第4の実施形態では特に図示していないが、第1から第4の実施形態で説明した本発明による光ディスク装置の制御方法を実行する手順は、電子部品等を用いた回路によりハードウェア的に実現してよいし、マイクロコンピュータや光ディスク装置のホストコンピュータによって実行される。マイクロコンピュータやホストによって実行する場合には、上記手順を実行するためのコンピュータに読み取り可能なプログラム(ファームウェア)がEEPROMやRAMなどの情報記録媒体等に格納される。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明による光ディスク装置の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示すイコライザ部レジスタ部の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すPLL部およびレジスタ部の構成を示すブロック図である。
【図4】CLV方式における光ピックアップの半径方向の位置と回転数との関係を示すグラフである。
【図5】CLV方式の場合の本実施形態における転送速度モード示すグラフである。
【図6】CAV方式の場合の本実施形態における転送速度モード示すグラフである。
【図7】CDおよびDVDにおけるディスクの回転速度とRF周波数帯域との関係を示すグラフである。
【図8】本実施形態における設定値格納テーブルに格納される定数を示す模式図である。
【図9】本実施形態においてCDの起動手順を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態においてDVDの起動手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明による光ディスク装置の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図12】図11に示すイコライザ部レジスタ部の構成を示すブロック図である。
【図13】図12に示すVCO部および分周器の構成を示すブロック図である。
【図14】従来の光ディスク装置におけるVCO部および分周器の発振周波数および分周比の一例を示す図である。
【図15】図13に示すVCO部および分周器の発振周波数および分周比の一例を示す図である。
【図16】本発明による光ディスク装置の第3の実施形態を示すブロック図である。
【図17】図16に示すイコライザ部レジスタ部の構成を示すブロック図である。
【図18】従来の光ディスク装置において、設定値格納テーブルに設定される設定値の一例を模式的に示している。
【図19】光ディスクの構造を模式的に示している。
【図20】本実施形態の光ディスク装置において、設定値格納テーブルに設定される設定値の一例を模式的に示している。
【図21】本発明による光ディスク装置の第4の実施形態を示すブロック図である。
【図22】本実施形態における記録および再生の手順を示す図である。
【図23】本実施形態における記録および再生の他の手順を示す図である。
【図24】従来の光ディスク装置を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2以上の転送速度で情報記録媒体の再生を光学的に行う光ディスク装置のための光ディスクコントローラであって、
前記情報記録媒体を回転させる回転機構を制御するための回転制御部と、
前記情報記録媒体から得られるRF再生信号を2値化し、再生データを出力する2値化部と、
整数の分周比を有する複数の分周器を含み、前記再生データに位相同期した同期クロックを生成する位相同期部と、
を備え、
前記位相同期部は、前記情報記録媒体の種類または前記転送速度に応じて分周器を切り替えて選択することにより前記同期クロックを生成し、前記分周比に応じた前記情報記録媒体の回転速度となるよう前記回転制御部が前記回転機構を制御する光ディスクコントローラ。
【請求項2】
情報記録媒体の再生を光学的に行う光ディスク装置のための光ディスクコントローラであって、
前記情報記録媒体から得られるRF再生信号を2値化し、再生データを出力する2値化部と、
位相差検出部、ローパスフィルタ、電圧制御発振器および分周器を含み、前記再生データに同期した同期クロックを発生する位相同期部と、
を備え、
前記電圧制御発振器が発生するチャネルクロックの周波数範囲の上限値に対する下限値の比は前記情報記録媒体の情報記録領域の最外周と最内周との半径比と一致している光ディスクコントローラ。
【請求項3】
情報記録媒体に記録および再生を行う光ディスク装置を制御する光ディスクコントローラであって、
情報記録媒体に対して記録および再生をおこなうため光ピックアップを前記情報記録媒体の半径方向に移動させる移動機構を駆動する移動制御部と、
前記情報記録媒体を回転させる回転機構を制御するための回転制御部と、
を備え、
前記半径方向における第1の位置において、前記情報記録媒体に対する標準の記録または再生の転送速度よりも早い転送速度となるように前記情報記録媒体を第1の回転速度で回転させながら、前記情報記録媒体に対して線速度一定で記録または再生を所定の時間行った後、前記半径方向における第2の位置において、前記第1の回転速度および角速度一定で前記情報記録媒体の再生または記録を行うよう前記移動部および前記回転制御部が前記移動機構および回転機構を制御する光ディスクコントローラ。
【請求項4】
前記第2の位置は前記第1の位置より前記情報記録媒体上において外周側に位置している請求項3に記載の光ディスクコントローラ。
【請求項5】
前記第2の位置は前記第1の位置より前記情報記録媒体上において内周側に位置しており、前記第1の位置における転送速度は標準の転送速度の2.4倍以上である請求項4に記載の光ディスクコントローラ。
【請求項6】
少なくとも2以上の転送速度で情報記録媒体の再生を光学的に行うことが可能なように前記情報記録媒体を回転させる回転機構と、
前記情報記録媒体から得られるRF再生信号を2値化し、再生データを出力する2値化部と、
整数の分周比を有する複数の分周器を含み、前記再生データに位相同期した同期クロックを生成する位相同期部と、
請求項1に規定されてる光ディスクコントローラと、
を備えた光ディスク装置。
【請求項7】
情報記録媒体から得られるRF再生信号を2値化し、再生データを出力する2値化部と、
位相差検出部、ローパスフィルタ、電圧制御発振器および分周器を含み、前記再生データに同期した同期クロックを発生する位相同期部と、
請求項2に規定される光ディスクコントローラと、
を備えた光ディスク装置。
【請求項8】
情報記録媒体に光を照射して信号を記録し、また、前記情報記録媒体に光を照射して反射光を検出することよりRF再生信号を得る光ピックアップと、
前記情報記録媒体を回転させる回転機構と、
前記光ピックアップを前記情報記録媒体の半径方向に移動させる移動機構と、
請求項3に規定される光ディスクコントローラと、
を備える光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−171552(P2008−171552A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17472(P2008−17472)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【分割の表示】特願2003−564870(P2003−564870)の分割
【原出願日】平成15年1月28日(2003.1.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】