説明

光ディスクドライブ、プログラム、および記録媒体

【課題】電源OFF時に光ディスクドライブに装着されていた光ディスクが、電源OFF中に強制的に排出され、任意の光ディスクが光ディスクドライブに強制的に挿入されたとしても、電源ON時における当該任意の光ディスクに対するロードシーケンスを確実に成功させる。
【解決手段】ディスクドライブ100は、ディスクドライブ100の電源ON時に、ディスク300が装填されたままディスクドライブ100の電源がOFFされていると判定され、かつ、任意のディスク300がディスクドライブ100に挿入されているが装着はされていないことが検出された場合、当該任意のディスク300に対して、不揮発性メモリ180に記録されているディスク調整値を使用した簡略ロードシーケンスではなく、通常のロードシーケンスを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクから信号を読み書きする光ディスクドライブ、プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
BD(Blu-ray Disc)及びDVDなどに代表される光ディスクメディア(以降、光ディスクと呼称する)に、記録されているコンテンツを再生したり、コンテンツを記録したりするディスクドライブ100では、ディスクドライブ100に装填された光ディスクをロードし、使用可能(記録又は再生が可能)になるまでに、相当の時間を要することが一般的である。
【0003】
これは、ディスクドライブ100が、光ディスクが装填されると、光ディスクの種類を判定し、判定した結果に基づいてピックアップのオフセットなどを調整して光ディスクの情報を読み出すなどの一連の処理を実行するためである。以降、ディスクドライブ100に光ディスクが装填された時点から、当該光ディスクが使用可能になるまでの期間を光ディスク起動時間と呼称する。
【0004】
このような問題に対して、例えば、特許文献1には、収納した光ディスクに対して自動調整した、ドライブの駆動制御に必要な制御パラメータを記憶し、制御パラメータが記憶された光ディスクをロードする際に記録された制御パラメータを使用して光ディスク起動時間を短縮するオートチェンジャーが開示されている。
【0005】
なお、特許文献1では、装填した光ディスクが取り出されたときには記憶された制御パラメータは削除され、新たに光ディスクが装填された場合には新たに装填された光ディスクに対して自動調整されたパラメータが記憶される。すなわち、特許文献1のオートチェンジャーは、一度装填された光ディスクが取り出されることなく再びロードされる場合に限って、その光ディスクに自動調整した制御パラメータを適用することによって、光ディスク起動時間を短縮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−82072号公報(1997年3月28日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示されている技術では、オートチェンジャーに電源が供給されている状態(電源ON)のときに制御パラメータが記録された光ディスクが、電源が供給されていない状態(電源OFF)のときに取り出され、他の光ディスクが装填された後に再び電源ONになったときなどには、入れ替えられる前の光ディスクに対して調整された制御パラメータを用いて他の光ディスクの調整を短縮しようとする。これにより、他の光ディスクに対して制御パラメータの自動調整に失敗してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、電源OFF時に光ディスクドライブに装着されていた光ディスクが、電源OFF中に強制的に排出され、任意の光ディスクが光ディスクドライブに強制的に挿入されたとしても、電源ON時における当該任意の光ディスクに対するロードシーケンスを確実に成功させる。ディスクドライブ、プログラム、および記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光ディスクドライブは、上記の課題を解決するために、
光ディスクから信号を読み書きする光ディスクドライブにおいて、
光ディスクドライブに装填されている上記光ディスクに対してロードシーケンスを実行するロードシーケンス実行手段と、
上記ロードシーケンス実行手段が上記光ディスクに対して通常のロードシーケンスを実行した際の上記光ディスクのディスク調整値を、不揮発性メモリに記録するディスク調整値記録手段と、
光ディスクドライブの電源OFF中において、光ディスクドライブに対して光ディスクを強制的に装填することを防止する強制装填防止機構と、
上記通常のロードシーケンスが実行された上記光ディスクが装填されたまま光ディスクドライブの電源がOFFされていたか否かを判定する判定手段と、
光ディスクドライブにおける上記光ディスクの挿入および装着状態を検出する検出手段とを備えており、
上記ロードシーケンス実行手段は、
光ディスクドライブの電源ON時に、上記光ディスクが装填されたまま光ディスクドライブの電源がOFFされていると判定され、かつ、上記光ディスクが光ディスクドライブに装着されていることが検出された場合、上記不揮発性メモリに記録されている上記ディスク調整値を使用して上記光ディスクに対して簡略ロードシーケンスを実行し、
光ディスクドライブの電源ON時に、上記光ディスクが装填されたまま光ディスクドライブの電源がOFFされていると判定され、かつ、任意の光ディスクが光ディスクドライブに挿入されているが装着はされていないことが検出された場合、当該任意の光ディスクに対して通常のロードシーケンスを実行することを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、光ディスクドライブは、光ディスクから信号を読み書きする装置である。光ディスクは例えばBDまたはDVDであるが、これには限定されない。
【0011】
光ディスクドライブは、光ディスクが装填された際、この光ディスクに対してロードシーケンスを実行する。その際、光ディスクの種類を判定し、その結果に応じた光ディスクの調整処理を実行する。この結果、光ディスクに対する信号の読み書きが可能になる。
【0012】
光ディスクの種類ごとに、ロードシーケンス時の調整に必要な調整値は異なる。光ディスクドライブは、光ディスクに対する通常のロードシーケンスが実行した際のディスク調整値を、不揮発性メモリに記録しておく。
【0013】
光ディスクドライブは、電源OFF中において、光ディスクドライブに対して光ディスクを強制的に装填することを防止する強制装填防止機構を備えている。これにより、光ディスクドライブの電源OFF時には、光ディスクを光ディスクドライブ内に強制的に挿入することはできるが、いわゆるスピンモータに装着させることはできない。したがって、光ディスクドライブの電源ON時に光ディスクが装着されていれば、その光ディスクは電源OFFの前からずっと装着されたままであったことが保証される。
【0014】
そこで光ディスクドライブは、電源ON時に、光ディスクが装填されたまま光ディスクドライブの電源がOFFされていると判定され、かつ、光ディスクが光ディスクドライブに装着されていることが検出された場合、不揮発性メモリに記録されているディスク調整値を使用して、光ディスクに対して簡略ロードシーケンスを実行する。この場合、不揮発性メモリに記録されているディスク調整値は、光ディスクドライブに装填されている光ディスク用のディスク調整値であることが確実であるので、ロードシーケンスを間違いなく実行できる。結果、ロードシーケンスを短時間で実行できる。
【0015】
一方、光ディスクドライブは、電源ON時に、光ディスクが装填されたまま光ディスクドライブの電源がOFFされていると判定され、かつ、任意の光ディスクが光ディスクドライブに挿入されているが装着はされていないことが検出された場合、当該任意の光ディスクに対して通常のロードシーケンスを実行する。この場合、不揮発性メモリに記録されているディスク調整値が、光ディスクドライブに挿入されている光ディスク用のディスク調整値かどうかが定かではないので、このディスク調整値は、光ディスクドライブに挿入されている任意の光ディスクには適合しない可能性が高い。そのため、簡略ロードシーケンスを実行しても失敗し、光ディスクへの信号の読み書きができない可能性が高い。そこで光ディスクドライブは、当該任意の光ディスクに対しては、不揮発性メモリに記録済みのディスク調整値を利用しない、いわゆる通常のロードシーケンスを実行する。結果、失敗する可能性の高い簡略ロードシーケンスを回避して、通常のロードシーケンスを確実に成功させる。
【0016】
以上のように、光ディスクドライブは、電源OFF時に光ディスクドライブに装着されていた光ディスクが、電源OFF中に強制的に排出され、任意の光ディスクが光ディスクドライブに強制的に挿入されたとしても、電源ON時における当該任意の光ディスクに対するロードシーケンスを確実に成功させることができる効果を奏する。
【0017】
本発明に係る光ディスクドライブは、
上記光ディスクドライブに上記任意の光ディスクが挿入された際に押下される挿入時スイッチと、
上記光ディスクドライブに上記任意の光ディスクが装着された際に押下される装着時スイッチとをさらに備え、
上記検出手段は、光ディスクドライブの電源ON時に、上記挿入時スイッチが押下されており、かつ、装着時スイッチが押下されていない場合に、上記任意の光ディスクが光ディスクドライブに挿入されているが装着はされていないと判定することが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、簡単な構成によって、光ディスクドライブの電源ON時に任意の光ディスクが光ディスクドライブに挿入されているが装着はされていないことを判定できる。
【0019】
上記光ディスクが光ディスクドライブに装填されている間、そのことを示す装着情報を上記不揮発性メモリに記録する装着情報記録手段をさらに備え、
上記判定手段は、上記光ディスクドライブの電源ON時に、上記装着情報が上記不揮発性メモリに記録されている場合に、上記通常のロードシーケンスが実行された上記光ディスクが装填されたまま光ディスクドライブの電源がOFFされていたと判定することが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、通常のロードシーケンスが実行された光ディスクが装填されたまま光ディスクドライブの電源がOFFされていたことを、確実に判定できる。
【0021】
上記強制装填防止機構は、光ディスクのトレイを駆動するモータに取り付けられ、当該トレイを上記光ディスクを排出する方向に動かす方向にのみ回転可能な強制排出用ねじであることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、簡単な構成によって、光ディスクドライブの電源OFF中に任意の光ディスクを光ディスクに強制的に装着することを防止できる。
【0023】
なお、上記光ディスクドライブは、コンピュータによって実現してもよい。この場合、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記光ディスクドライブをコンピュータにおいて実現するプログラム、およびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る光ディスクドライブは、電源OFF時に光ディスクドライブに装着されていた光ディスクが、電源OFF中に強制的に排出され、任意の光ディスクが光ディスクドライブに強制的に挿入されたとしても、電源ON時における当該任意の光ディスクに対するロードシーケンスを確実に成功させる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係るディスクドライブの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すディスクドライブの概観図である。
【図3】図1に示すディスクドライブのトレイにBDを載せた概観図である。
【図4】図3に示すディスクドライブのA−A’断面図である。
【図5】図3に示すディスクドライブのトレイが取り込まれた状態のA−A’断面図である。
【図6】図3に示すディスクドライブのB−B’断面図である。
【図7】図1に示すディスクドライブに備えられているトレイ駆動モータのディスク強制排出用ねじの概観図を示す。
【図8】図1に示すディスクドライブにディスクが装填されたときに行われる調整値記録処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図1に示すディスクドライブの電源がON状態になった時点で実行されるロードシーケンス選択処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の一実施形態に係るディスクドライブ100について、図面に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本実施形態に係るディスクドライブ100は、録画機能、再生機能を有する装置として実現されている。ディスクドライブ100は、例えば、BDおよびDVDなどの光ディスクの記録再生が可能なドライブである。
【0027】
(ロードシーケンス)
まず、光ディスクが、ディスクドライブ100に装填されたときに実行される、ディスク種類判別処理、ディスク種類別調整処理、及び、ディスク情報読出処理といった一連の処理の流れ(以降、ロードシーケンスとも呼称する)について説明する。
【0028】
光ディスクがディスクドライブ100に装填されると、まず、ディスクの種類を判別するディスク種類判別処理が実行される。ディスクドライブ100がディスク種類判別処理に要する時間は、6秒程度であることが一般的であるが、これに限定されるものではない。具体的には、光ディスクがディスクドライブ100に装填されると、光ディスクの種類がBD、DVD、又は、CDであるかを判定する。もちろん、光ディスクの種類はこれに限定されるものではない。
【0029】
光ディスクの種類が判定されると、光ディスクの種類に応じてピックアップ130のオフセットなどを調整するディスク種類別調整処理が実行される。ディスク種類別調整処理に要する時間は10秒〜30秒程度であることが一般的であるが、これに限定されるものではない。ディスク種類別調整処理では、ピックアップ130のオフセット調整の他に、FES(Focus Error Signal)/TOTAL信号信号振幅調整、TES(Tracking Error Signal)信号振幅調整、トラックバランス調整、チルト調整などが実行される。ディスク種類別調整処理によって得られる各調整値は、ディスクドライブ100と挿入された光ディスクとの組み合わせによって決まる値である。
【0030】
ディスク種類別調整処理が行われると、挿入されたディスクを適切に扱うための情報であるディスク情報を取得するディスク情報読出処理が実行される。ディスク情報としては、例えば、ディスクに照射するレーザーの強度情報などのライトストラトジに関する情報等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。このディスク情報は、ディスクに固有の情報として、通常は書き換え不可能に記録されている。
【0031】
このロードシーケンスを実行することにより、ディスクドライブ100は、装填された光ディスクに記録されているデータを再生することが可能になり、また、光ディスクに対してデータを記録することが可能になる。以下では、ディスク種類別調整処理によって得られる各調整値をディスク調整値と呼称する。なお、ディスク調整値はこれに限定されるものではなく、例えば、このロードシーケンスのディスク種類判別処理によって得られる光ディスクの種類、ディスク種類別調整処理によって得られる各調整値、及び、ディスク情報読出処理によって得られるディスク情報を、ディスク調整値として用いてもよい。
【0032】
(BDプレーヤの構成)
本発明の一実施形態に係るディスクドライブ100について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るディスクドライブ100の構成を示すブロック図である。ディスクドライブ100は、図1に示すように、システム制御部110、信号記録部120、ピックアップ130、信号再生部140、ディスク判別部150、ATAPI・I/F160、ワークメモリ170、不揮発性メモリ180、ディスク装填判定部190、ディスク装填部200を備えている。なお、図1に示すディスクドライブ100は、ATAPI・I/F160を介してホスト機器500に接続されている。また、本実施形態では、図1に示すように、ディスク装填部200にディスク300が装填されている場合を例に挙げて説明する。
【0033】
信号記録部120は、ディスク装填部200装填されている光ディスクに書き込み対象となるデータ(以降、書込対象データとも呼称する)を書き込むよう、ピックアップ130を制御する。具体的には、信号記録部120は、システム制御部110から書込対象データ、及び、書込対象データを書き込むディスク300のアドレス情報(以降、書込位置情報とも呼称する)を取得すると、取得した書込位置情報に基づいて、ディスク300の書き込み先アドレスに書込対象データが書き込まれるように、ピックアップ130の動作を駆動する。
【0034】
信号再生部140は、ディスク装填部200装填されている光ディスクに記録されているデータ(以降、読出対象データとも呼称する)を読み出すよう、ピックアップ130を制御する。具体的には、信号再生部140は、システム制御部110から読出対象データを読み出す読出指示、及び、読出対象データが記録されている読み出し元のアドレス情報(以降、読出位置情報とも呼称する)を取得すると、読出位置情報に基づいて、ディスク300の読み出し元アドレスから読出対象データを読み出すようにピックアップ130を駆動する。また、信号再生部140は、ピックアップ130から読み出された読出対象データを取得すると、取得した読出対称データをシステム制御部110に供給する。
【0035】
ディスク判別部150は、ディスク装填部200装填されている光ディスクの種類を識別するように、ピックアップ130を制御する。具体的には、ディスク判別部150は、システム制御部110からディスクの種類を識別する旨の指示(以降、ディスク識別指示とも呼称する)を取得すると、ディスク300から光ディスクの種類などを示す情報(以降、光ディスク識別情報とも呼称する)を読み出すようにピックアップ130を駆動する。
【0036】
ピックアップ130は、信号記録部120、信号再生部140、及び、ディスク判別部からの指示に基づき、リードライト(読み書き)処理を行う。ピックアップ130は、信号記録部120からの制御に基づき、ディスク300の書き込み位置に向けてレーザー光を照射することにより、書込対象データを記録する。また、ピックアップ130は、信号再生部からの制御に基づき、ディスク300の読み出し位置に向けてレーザー光を照射し、その反射光を取得することにより読み出した読出対象データを信号再生部140に供給する。また、ピックアップ130は、ディスク判別部150からの制御に基づき、ディスク300のディスク識別情報が記録されている位置に向けてレーザー光を照射し、その反射光を取得することにより読み出したディスク識別情報をディスク判別部150に供給する。
【0037】
ディスク装填判定部190は、ディスク装填部200に光ディスクが装填されているか否かを判定する。具体的には、ディスク装填判定部190は、後述するディスク装填部200に備えられるディスク装填検出スイッチ205が押されているか否かを検知することによって、光ディスクの装填を検出する。ディスク装填判定部190は、光ディスクの装填の有無を判定すると、システム制御部に判定結果を通知する。
【0038】
ATAPI・I/F160は、ATAPIコマンド、ディスク装填部200に装填された光ディスクに書き込むデータ、及び、光ディスクから読み出したデータなどを伝送するケーブル端子を接続するインターフェースである。
【0039】
不揮発性メモリ180は、ディスクドライブ100への電源の供給が停止された状態でも記録したデータが保持されるメモリであり、例えば。フラッシュメモリなどを挙げることができる。不揮発性メモリ180は、光ディスクの装填状態(装填または未装填)を示す装填フラグを格納する装填状態格納領域181、及び、ディスク種類判定処理によって得られる光ディスクのディスク調整値を格納する調整値格納領域182を含んでいる。装填フラグとしては、例えば、光ディスクが装填されている場合には1、光ディスクが装填されていない場合には0の値をとる2値のフラグを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0040】
システム制御部110は、ATAPI・I/F160を介してホスト機器500から供給されたATAPIコマンドに基づき、ディスクドライブ100の各部を制御する。また、システム制御部110は、光ディスクに書き込むべきコンテンツデータをエンコードし、書込対象データを生成する。また、システム制御部110は、信号再生部140から供給される読出対象データを再生可能なデータにデコードして再生データを生成し、ATAPI・I/F160を介してホスト機器500に供給する。また、システム制御部110は、ディスク300が装填されると、ロードシーケンスを実行するように各部を制御する。
【0041】
ディスク装填部200は、光ディスクの装填を受け付ける。
【0042】
ホスト機器500は、ATAPIインターフェースを備えた機器であり、例えば、パーソナルコンピュータ及びテレビジョン受像機などを挙げることができる。ホスト機器500は、ATAPI・I/F160を介して、ディスクドライブ100に装填された光ディスクから読み出されたデータを取得して再生する。また、ホスト機器500は、ディスクドライブ100に、ATAPI・I/F160を介して、光ディスクに対して書き込むべきデータを供給する。
【0043】
(ディスクドライブ100の構造)
次に、ディスクドライブ100の構造の概要について、図2〜図4を参照して説明する。図2は、ディスクドライブ100の概観図であり、図3は、ディスクドライブ100にディスク300を装填した場合の概観図である。また、図4は、図3に示すディスクドライブ100のA−A’断面図である。
【0044】
図2に示すように、ディスクドライブ100は、トレイ201、及び、ディスク強制排出用穴202を備えている。また、ディスク300は、図3に示すように、トレイ201に乗せられる。ディスク300は、このトレイ201がディスクドライブ100内に取り込まれることにより、装填される。また、図4に示すように、ディスクドライブ100は、トレイ駆動モータ203、ディスク挿入検出スイッチ204、ディスク装填検出スイッチ205、スピンモータ206、及び、ピックアップ130を備えている。
【0045】
トレイ201は、ディスクドライブ100のディスク装填部200に光ディスクを装填するためのトレイである。
【0046】
ディスク強制排出用穴202は、ディスクドライブ100が電源OFFである場合に、ディスクドライブ100に装填されているディスク300を強制的に排出するための穴である。具体的には、ディスク強制排出用穴202の中には、トレイ駆動モータ203に備えられた後述するディスク強制排出用ねじ220が配置されている。ディスク強制排出用ねじ220はドライバなどで回すことができる。装填されているディスク300は、ディスクドライブ100が電源OFFである場合、ディスク強制排出用穴202の中にあるディスク強制排出用ねじ220を回してトレイ駆動モータ203を駆動させ、トレイ201を強制的にディスクドライブ100から排出することによって、取り出すことができる。
【0047】
トレイ駆動モータ203は、トレイ201がディスクドライブ100から排出されるようにトレイ201を駆動する。また、トレイ駆動モータ203は、トレイ201がディスクドライブ100に取り込まれるようにトレイ201を駆動する。なお、トレイ駆動モータ203は、主にシステム制御部110によって制御される。具体的には、トレイ駆動モータ203は、システム制御部110からトレイ201をする旨の指示(以降、トレイ排出指示とも呼称する)を取得すると、ディスクドライブ100から排出されるようにトレイ201を駆動する。また、トレイ駆動モータ203は、システム制御部110からトレイ201を取り込む旨の指示(以降、トレイ取込指示とも呼称する)を取得すると、ディスクドライブ100から取り込まれるようにトレイ201を駆動する。なお、トレイ駆動モータ203は、トレイ駆動モータ203に備えられたディスク強制排出用ねじ220を回すことによっても駆動可能である。
【0048】
スピンモータ206は、装填された光ディスクを回転させる部材である。また、スピンモータ206及びピックアップ130は、ディスク300がスピンモータ206に装填された状態であるときに、ロードシーケンス、ディスク300へのデータの書き込み、及び、ディスク300に記録されたデータの再生などを実行するように動作する。スピンモータ206及びピックアップ130は、トレイ201がディスクドライブ100の最奥まで挿入されると上昇し、最奥から排出されると下降する。なお、スピンモータ206及びピックアップ130の動作はシステム制御部110、信号記録部120及び信号再生部140によって制御される。
【0049】
ディスク挿入検出スイッチ204は、トレイ201が挿入されたことを検出するスイッチである。具体的には、ディスク挿入検出スイッチ204は、トレイ201がディスクドライブ100に挿入されているときに押され(ON状態)、排出されているときには押されない(OFF状態)。ディスク挿入検出スイッチ204の状態、すなわち、ディスク挿入検出スイッチ204がON状態であるかOFF状態であるかは、システム制御部110に通知される。
【0050】
ディスク装填検出スイッチ205は、装填されたディスク300がスピンモータ206に装填されたことを検出するスイッチである。具体的には、ディスク装填検出スイッチ205は、ディスク300がスピンモータ206に装填されているときに押され(ON状態)、ディスク300がスピンモータ206に装填されていないときには押されない(OFF状態)。ディスク装填検出スイッチ205の状態、すなわち、ディスク装填検出スイッチ205がON状態であるかOFF状態であるかは、ディスク装填判定部190に通知される。
【0051】
(ディスクドライブ100の動作)
次に、ディスクドライブ100の動作の概要について、図5〜図6を参照して説明する。図5は、図3に示すディスクドライブ100に備えられたトレイ201が取り込まれた状態のA−A’断面図である。
【0052】
まず、トレイ駆動モータ203がシステム制御部110からトレイ取込指示を取得した場合のディスクドライブ100のトレイ取込動作について説明する。
【0053】
トレイ駆動モータ203は、システム制御部110からトレイ取込指示を取得すると、ディスクドライブ100に取り込むようにトレイ201を駆動する。
【0054】
トレイ201の一端がトレイ駆動モータ203によって図5に示すディスク挿入検出スイッチ204の位置まで達すると、ディスク挿入検出スイッチ204が押され、ON状態になる。ディスク挿入検出スイッチ204は、ON状態になったことをシステム制御部110に通知する。
【0055】
トレイ201がトレイ駆動モータ203によってディスクドライブ100の最奥まで取り込まれたことを検知すると、システム制御部110は、スピンモータ206及びピックアップ130が上昇するように制御する。スピンモータ206はシステム制御部110の制御に基づいて、ディスク300が装填されるまで上昇する。また、ピックアップ130は、システム制御部110の制御に基づいて、ディスク300に対してロードシーケンスを行える位置まで上昇する。
【0056】
スピンモータ206が上昇することによってディスク300がスピンモータ206に装填されると、ディスク装填検出スイッチ205が押され、ON状態になる。ディスク装填検出スイッチ205は、ON状態になったことをディスク装填判定部190に通知する。ディスク装填判定部190は、ディスク装填検出スイッチ205からON状態になった旨の通知を取得すると、システム制御部110に、装填状態格納領域181に格納されている装填フラグの値をディスク300が装填状態であることを示す値に更新するよう通知する。ディスク装填判定部190からの通知を取得したシステム制御部110は、装填状態格納領域181に格納されている装填フラグの値をディスク300が装填状態であることを示す値に更新する。
【0057】
ディスクドライブ100は、この一連のトレイ取込動作を実行することによって、トレイ201に乗せられたディスク300をディスクドライブ100内に取り込み、図4に示すトレイ201排出状態から、図5に示すトレイ取込状態へと遷移する。
【0058】
次に、トレイ駆動モータ203がシステム制御部110からトレイ排出指示を取得した場合のディスクドライブ100のトレイ排出動作について説明する。
【0059】
システム制御部110は、まず、スピンモータ206及びピックアップ130が下降するように制御する。スピンモータ206及びピックアップ130は、システム制御部110の制御に基づいて下降する。
【0060】
スピンモータ206が下降することによってディスク300がスピンモータ206に装填された状態から装填されていない状態に遷移し、ディスク装填検出スイッチ205がOFF状態になる。ディスク装填検出スイッチ205は、OFF状態になったことをディスク装填判定部190に通知する。ディスク装填判定部190は、ディスク装填検出スイッチ205からOFF状態になった旨の通知を取得すると、システム制御部110に、装填状態格納領域181に格納されている装填フラグの値をディスク300が未装填状態であることを示す値に更新するよう通知する。ディスク装填判定部190からの通知を取得したシステム制御部110は、装填状態格納領域181に格納されている装填フラグの値をディスク300が未装填状態であることを示す値に更新する。
【0061】
システム制御部110は、スピンモータ206及びピックアップ130が下降し、ディスク装填検出スイッチ205からOFF状態である旨の通知をディスク装填判定部190から取得すると、トレイ駆動モータ203にトレイ排出指示を通知する。トレイ駆動モータ203は、システム制御部110からトレイ排出指示を取得すると、ディスクドライブ100から排出するようにトレイ201を駆動する。
【0062】
トレイ201がトレイ駆動モータ203によって図5に示すディスク挿入検出スイッチ204の位置よりも外に排出されると、ディスク挿入検出スイッチ204が押されなくなり、OFF状態になる。ディスク挿入検出スイッチ204は、OFF状態になったことをシステム制御部110に通知する。
【0063】
トレイ駆動モータ203は、トレイ201が限界まで排出されると、トレイ201の排出を停止する。
【0064】
ディスクドライブ100は、この一連のトレイ排出動作を実行することによって、ディスクドライブ100に装填されたディスク300を排出し、図5に示すトレイ取込状態から、図4に示すトレイ排出状態へと遷移する。
【0065】
(光ディスクの強制排出)
また、ディスクドライブ100は、ディスク強制排出用ねじ220を回すことによって、ディスクドライブ100が電源OFF状態である場合でも、ディスク300を強制的に排出することができる。この強制排出時の動作について、図6を参照して説明する。図6は、図3に示すディスクドライブ100のB−B’断面図である。
【0066】
図6に示すように、ディスクドライブ100は、トレイ駆動モータ203に備えられているディスク強制排出用ねじ220を、ディスク強制排出用穴202から挿入したドライバ210で回すことができる。トレイ駆動モータ203は、このディスク強制排出用ねじ220を回すことにより、トレイ201を排出する方向に駆動させることができる。
【0067】
ただし、ディスク強制排出用ねじ220は、1方向にしか回すことができないねじ(いわゆる、One Way Screw)である(以降、ワンウェイねじとも呼称する)。図7に、ディスクドライブ100に備えられているトレイ駆動モータ203のディスク強制排出用ねじ220の概観図を示す。
【0068】
図7に示すように、ディスク強制排出用ねじ220は、右方向には回すことができるが、左方向には回すことができないようになっている。
【0069】
ディスク強制排出用ねじ220にワンウェイねじを使用することにより、ディスク強制排出用ねじ220を回すことによってトレイ駆動モータ203を駆動させる方向を一方向に限定することができる。つまり、トレイ駆動モータ203は、ディスク強制排出用ねじ220を回すことでトレイ201を排出する方向に駆動させることはできるが、ディスク強制排出用ねじ220を逆方向に回すことができないため、トレイ201を取り込む方向に駆動させることはできない。
【0070】
これによって、ディスクドライブ100が電源OFF状態のとき、ディスク300を強制排出することは可能である。しかし、電源OFF状態のときに、任意のディスク300をディスクドライブ100の内部の一定位置にまで挿入することは可能であるが、最終的にスピンモータ206に装填することはできない。ディスク強制排出用ねじ220の回転方向が一方向であり、その方向がトレイ201の挿入方向ではなく排出方向であるため、スピンモータ206への装着位置までディスク300を移動させるように、トレイ駆動モータ203を強制的に動かすことが出来ないからである。
【0071】
(調整値記録処理)
次に、ディスクドライブ100にディスク300が装填されたときの、ディスクドライブ100の動作について、図8を参照して説明する。図8は、ディスクドライブ100にディスク300が装填されたときに行われる調整値記録処理の流れを示すフローチャートである。
【0072】
ディスクドライブ100に電源が供給されている状態であるとき、システム制御部110は、光ディスクが装填されたか否かをディスク装填判定部190からの通知により判定する(ステップS1)。システム制御部110は、光ディスクが装填されていないと判定した場合(ステップS1においてNO)、光ディスクが装填されたと判定するまでステップS1の動作を繰り返す。
【0073】
システム制御部110は、光ディスクが装填されたと判定した場合(ステップS1においてYES)、ロードシーケンスを実行する(ステップS2)。
【0074】
システム制御部110は、ロードシーケンスが正常に行われ、完了したか否かを判定する(ステップS3)。ロードシーケンスが正常に完了していないと判定すると(ステップS3においてNO)、システム制御部110は、ロードシーケンスが正常に完了されたと判定されるまで、ステップS2〜ステップS3を繰り返し実行する。
【0075】
ロードシーケンスが正常に完了されたと判定すると(ステップS3においてYES)、システム制御部110は、不揮発性メモリ180の装填状態格納領域181に格納されている装填フラグを、光ディスクが装填されていることを示す「1」の値に更新する。また、システム制御部110は、ロードシーケンスのディスク種類別調整処理によって得られたディスク調整値を、不揮発性メモリ180の調整値格納領域182に格納する(ステップS4)。
【0076】
装填フラグの更新、及び、ディスク調整値の格納を実行すると、システム制御部110は、光ディスクが排出されたか否かを判定する(ステップS5)。光ディスクが排出されていないと判定した場合(ステップS5においてNO)、システム制御部110は、ディスクドライブ100の電源がOFFにされたか否かを判定する(ステップS6)。ディスクドライブ100の電源がOFFにされていないと判定した場合(ステップS6においてNO)、システム制御部110は、再び、光ディスクが排出されたか否かを判定する。すなわち、光ディスクが排出されると判定するか、又は、ディスクドライブ100の電源がOFFにされたと判定するまで、システム制御部110はステップS5及びS6の判定を繰り返す。
【0077】
ディスクドライブ100の電源がOFFにされたと判定した場合(ステップS6においてYES)、すなわち、光ディスクが装填されたままディスクドライブ100の電源がOFFにされた場合、システム制御部110は、ディスクドライブ100の各機能の動作を停止する。このとき、不揮発性メモリ180の装填状態格納領域181に格納されている装填フラグの値、及び、調整値格納領域182に格納されているディスク調整値は失われることなく保持され続ける。
【0078】
光ディスクが排出されたと判定した場合(ステップS5のいてYES)、システム制御部110は、不揮発性メモリ180の装填状態格納領域181に格納されている装填フラグを、光ディスクが装填されていないことを示す「0」の値に更新する。また、システム制御部110は、不揮発性メモリ180の調整値格納領域182に格納されていたディスク調整値を削除する(ステップS7)。
【0079】
装填フラグの更新、及び、ディスク調整値の削除を実行すると、システム制御部110は、再び光ディスクが装填されたか否かを判定する。したがって、システム制御部110は、ステップS1からS7までの動作を繰り返すことになる。
【0080】
ただし、調整値記録処理において、ステップS1〜ステップS7のいずれの処理が行われている時点であっても、ディスクドライブ100の電源をOFFにすることが可能である。例えば、ディスクドライブ100の電源がOFFにされた時点が、ステップS4よりも前の処理が行われている時点である場合には、ステップS4において装填フラグが更新されていないため、ディスクドライブ100にディスク300が装填されている状態であっても、装填フラグは光ディスクが未装填であることを示す値のままであり、ディスク調整値も記録されないまま調整値記録処理が終了する。
【0081】
(ディスクドライブ100の特徴)
以上のように、ディスクドライブ100は、ディスク300が装填された際、このディスク300に対してロードシーケンスを実行する。その際、ディスク300の種類を判定し、その結果に応じたディスク300の調整処理を実行する。この結果、ディスク300に対する信号の読み書きが可能になる。
【0082】
ディスク300の種類ごとに、ロードシーケンス時の調整に必要な調整値は異なる。ディスクドライブ100は、ディスク300に対する通常のロードシーケンスが実行した際のディスク調整値を、不揮発性メモリ180に記録しておく。
【0083】
ディスクドライブ100は、電源OFF中において、ディスクドライブ100に対してディスク300を強制的に装填することを防止する強制装填防止機構を備えている。これにより、ディスクドライブ100の電源OFF時には、ディスク300をディスクドライブ100内に強制的に挿入することはできるが、スピンモータ206に装着させることはできない。したがって、ディスクドライブ100の電源ON時にディスク300が装着されていれば、そのディスク300は電源OFFの前からずっと装着されたままであったことが保証される。
【0084】
そこでディスクドライブ100は、電源ON時に、ディスク300が装填されたままディスクドライブ100の電源がOFFされていると判定され、かつ、ディスク300がディスクドライブ100に装着されていることが検出された場合、不揮発性メモリ180に記録されているディスク調整値を使用して、ディスク300に対して簡略ロードシーケンスを実行する。この場合、不揮発性メモリ180に記録されているディスク調整値は、ディスクドライブ100に装填されているディスク300用のディスク調整値であることが確実であるので、ロードシーケンスを間違いなく実行できる。結果、ロードシーケンスを短時間で実行できる。
【0085】
一方、ディスクドライブ100は、電源ON時に、ディスク300が装填されたままディスクドライブ100の電源がOFFされていると判定され、かつ、任意のディスク300がディスクドライブ100に挿入されているが装着はされていないことが検出された場合、当該任意のディスク300に対して通常のロードシーケンスを実行する。この場合、不揮発性メモリ180に記録されているディスク調整値が、ディスクドライブ100に挿入されているディスク300用のディスク調整値かどうかが定かではないので、このディスク調整値は、ディスクドライブ100に挿入されている任意のディスク300には適合しない可能性が高い。そのため、簡略ロードシーケンスを実行しても失敗し、ディスク300への信号の読み書きができない可能性が高い。そこでディスクドライブ100は、当該任意のディスク300に対しては、不揮発性メモリ180に記録済みのディスク調整値を利用しない、いわゆる通常のロードシーケンスを実行する。結果、失敗する可能性の高い簡略ロードシーケンスを回避して、通常のロードシーケンスを確実に成功させる。
【0086】
以上のように、ディスクドライブ100は、電源OFF時にディスクドライブ100に装着されていたディスク300が、電源OFF中に強制的に排出され、任意のディスク300がディスクドライブ100に強制的に挿入されたとしても、電源ON時における当該任意のディスク300に対するロードシーケンスを確実に成功させることができる。
【0087】
(ロードシーケンス選択処理)
ディスクドライブ100は、ディスク300の装着状態に応じて、どのロードシーケンスを実行するのかを決定する。そこで、その際の処理の流れを、図9を参照して以下に説明する。図9は、ディスクドライブ100の電源がON状態になった時点で実行されるロードシーケンス選択処理の流れを示すフローチャートである。
【0088】
図9の処理が開始される前の時点、ディスクドライブ100にはディスク300が装填され、その際、ディスクドライブ100はディスク300の通常のロードシーケンスを完了して、そのディスク調整値を不揮発性メモリ180に記録している。それからディスクドライブ100の電源がOFFされる。
【0089】
その状態から、まず、ディスクドライブの電源がONになる(ステップS11)。次に、システム制御部110が、ディスク装填検出スイッチ205の状態をディスク装填判定部190から取得する。そして、システム制御部110は、ディスク装填検出スイッチ205がONまたはOFFのいずれになっているかを確認する(ステップS12)。このディスク装填検出スイッチ205の状態は、ディスクドライブ100の電源がONになった直後において、ディスク300がディスクドライブ100に装填されているか否かを表す。
【0090】
次に、システム制御部110は、不揮発性メモリ180の装填状態格納領域181に関されている装填フラグを取得する。これにより、ディスク300の装填状態を確認する(ステップS13)。この装填フラグは、ディスクドライブ100の電源がOFFになる直前において、ディスクドライブ100にディスク300が装填されていたか否かを表す。装填フラグの値が1であれば、ディスクドライブ100の電源がOFFになる直前において、ディスクドライブ100にディスク300が装填されていたことを表す。一方、装填フラグの値が0であれば、ディスクドライブ100の電源がOFFになる直前において、ディスクドライブ100にディスク300が装填されていなかったことを表す。
【0091】
次に、システム制御部110は、ディスク装填検出スイッチ205がONであるか否かを判定する(ステップS14)。ディスク装填検出スイッチ205がONである場合(ステップS14においてYES)、すなわちディスク300の電源ONの長後にディスクドライブ100に装填されている場合、システム制御部110は、さらに装填フラグの値が1であるか否かを判定する(ステップS15)。
【0092】
装填フラグの値が1の場合(ステップS16においてYES)、すなわちディスクドライブ100の電源がOFFになる直前においてディスク300がディスクドライブ100に装填されている場合、システム制御部110は、ディスクドライブ100の電源OFF中にディスク300が強制的に排出されておらず、電源OFFの前にディスクドライブ100に装填されていたディスク300が、電源OFFの間ずっと装填されて続けており、その状態でディスクドライブ100の電源がONになったと判定する。これによりシステム制御部110は、ディスク300に対して通常のロードシーケンスを実行せず、代わりに簡略ロードシーケンスを実行する(ステップS16)。具体的には、不揮発性メモリ180の調整値格納領域182にすでに格納されている、ディスク300用のディスク調整値を取得し、このディスク調整値を使用してディスク300の簡略ロードシーケンスを実行する。
【0093】
一方、システム制御部110は、ディスク装填検出スイッチ205がONではないと判定した場合(ステップS14においてNO)、次に、ディスク挿入検出スイッチ204がONであるか否かを判定する(ステップS17)。ディスク挿入検出スイッチ204がONではなくOFFである場合(ステップS17においてNO)、ディスクドライブ100の電源がONになった直後において、ディスクドライブ100にはディスク300が挿入されていないことを表す。すなわち、ディスク300のロードシーケンスは不要である。そこでディスクドライブ100は、ロードシーケンスを実行せず、図9に示す処理を終了する。
【0094】
一方、システム制御部110は、ディスク挿入検出スイッチ204がONになっていると判定した場合(ステップS17においてYES)、ディスクドライブ100にはディスク300が挿入されているが、装填はされていないと判定する。これはすなわち、ディスク300を装填したまま電源がOFFになったディスクドライブ100において、電源OFF中にディスク300が強制的に排出されて別のディスク300が強制的に挿入されたことを意味している。
【0095】
そこでシステム制御部110は、まず、トレイ駆動モータ203を動作させて、ディスク300の装填を完了させる。これによりディスク300を取り込む(ステップS18)。このあと、システム制御部110は、不揮発性メモリ180の調整値格納領域182に格納されている古いディスク調整値を削除すると共に、新たに装填されたディスク300に対して、通常のロードシーケンスを実行する。
【0096】
以上のように、ディスクドライブ100は、ディスクドライブ100に任意のディスク300が挿入された際に押下されるディスク挿入検出スイッチ204と、ディスクドライブ100に任意のディスク300が装着された際に押下されるディスク装填検出スイッチ205とをさらに備えている。これによりディスクドライブ100は、ディスクドライブ100の電源ON時に、ディスク挿入検出スイッチ204が押下されており、かつ、ディスク装填検出スイッチ205が押下されていない場合に、任意のディスク300がディスクドライブ100に挿入されているが装着はされていないと判定する。結果、簡単な構成によって、ディスクドライブ100の電源ON時に任意のディスク300がディスクドライブ100に挿入されているが装着はされていないことを判定できる。
【0097】
また、ディスクドライブ100は、ディスク300がディスクドライブ100に装填されている間、そのことを示す装着フラグ(値が1の装着フラグ)を不揮発性メモリ180に記録する。そして、ディスクドライブ100の電源ON時に、値が1の装着フラグが不揮発性メモリ180に記録されている場合に、通常のロードシーケンスが実行されたディスク300が装填されたままディスクドライブ100の電源がOFFされていたと判定する。これにより、通常のロードシーケンスが実行されたディスク300が装填されたままディスクドライブ100の電源がOFFされていたことを、確実に判定できる。
【0098】
また、強制装填防止機構は、ディスク300のトレイを駆動するモータに取り付けられ、当該トレイをディスク300を排出する方向に動かす方向にのみ回転可能なディスク強制排出用ねじ220である。これにより、ディスクドライブ100の電源OFF中に任意のディスク300をディスクドライブ100に強制的に装着することを防止できる。
【0099】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。当業者は、請求項に示した範囲内において、本発明をいろいろと変更できる。すなわち、請求項に示した範囲内において、適宜変更された技術的手段を組み合わせれば、新たな実施形態が得られる。
【0100】
例えばディスクドライブ100は、ディスク挿入検出スイッチ204が押されたことによって、ディスクドライブ100の電源を自動的にONする機能を有していてもよい。これにより、ユーザがディスク300をトレイに載せてから手押しすることによって、ディスクドライブ100の電源が自動的にONになる。したがって、ユーザがディスクドライブ100の電源が手動でONにする手間を省くことができる。この場合でも、ディスクドライブ100の電源がONになった直後では、ディスク300の装填は完了していない。そこでディスクドライブ100は、電源ONの直後にディスク装填検出スイッチ205の状態を確認し、ディスク装填検出スイッチ205がOFFになっている場合には、ディスク300が未装填であることを確認できる。したがって、ディスク300の取り込み(ローディング)を完了させてから、装填させたディスク300に対して通常のロードシーケンスを実行する。
【0101】
(プログラム、記憶媒体)
ディスクドライブ100の各ブロックは、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0102】
後者の場合、ディスクドライブ100は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるディスクドライブ100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、ディスクドライブ100に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0103】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
【0104】
また、上記プログラムコードは、通信ネットワークを介してディスクドライブ100に供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE80211無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【0105】
なお、ここで開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、BDドライブやDVDドライブなどの、各種の光ディスクを使用する光ディスクドライブとして幅広く利用できる。
【符号の説明】
【0107】
100 ディスクドライブ
110 システム制御部(判定手段、検出手段、ロードシーケンス実行手段)
120 信号記録部
130 ピックアップ
140 信号再生部
150 ディスク判別部
160 ATAPI・I/F
170 ワークメモリ
180 不揮発性メモリ
181 装填状態格納領域
182 調整値格納領域
190 ディスク装填判定部(判定手段)
200 ディスク装填部
201 トレイ
202 ディスク強制排出用穴
203 トレイ駆動モータ
204 ディスク挿入検出スイッチ(挿入時スイッチ)
205 ディスク装填検出スイッチ(装填時スイッチ)
206 スピンモータ
210 ドライバ
220 ディスク強制排出用ねじ
300 ディスク(光ディスク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクから信号を読み書きする光ディスクドライブにおいて、
光ディスクドライブに装填されている上記光ディスクに対してロードシーケンスを実行するロードシーケンス実行手段と、
上記ロードシーケンス実行手段が上記光ディスクに対して通常のロードシーケンスを実行した際の上記光ディスクのディスク調整値を、不揮発性メモリに記録するディスク調整値記録手段と、
光ディスクドライブの電源OFF中において、光ディスクドライブに対して光ディスクを強制的に装填することを防止する強制装填防止機構と、
上記通常のロードシーケンスが実行された上記光ディスクが装填されたまま光ディスクドライブの電源がOFFされていたか否かを判定する判定手段と、
光ディスクドライブにおける上記光ディスクの挿入および装着状態を検出する検出手段とを備えており、
上記ロードシーケンス実行手段は、
光ディスクドライブの電源ON時に、上記光ディスクが装填されたまま光ディスクドライブの電源がOFFされていると判定され、かつ、上記光ディスクが光ディスクドライブに装着されていることが検出された場合、上記不揮発性メモリに記録されている上記ディスク調整値を使用して上記光ディスクに対して簡略ロードシーケンスを実行し、
光ディスクドライブの電源ON時に、上記光ディスクが装填されたまま光ディスクドライブの電源がOFFされていると判定され、かつ、任意の光ディスクが光ディスクドライブに挿入されているが装着はされていないことが検出された場合、当該任意の光ディスクに対して通常のロードシーケンスを実行することを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項2】
上記光ディスクドライブに上記任意の光ディスクが挿入された際に押下される挿入時スイッチと、
上記光ディスクドライブに上記任意の光ディスクが装着された際に押下される装着時スイッチとをさらに備え、
上記検出手段は、光ディスクドライブの電源ON時に、上記挿入時スイッチが押下されており、かつ、装着時スイッチが押下されていない場合に、上記任意の光ディスクが光ディスクドライブに挿入されているが装着はされていないと判定することを特徴とする請求項1に記載の光ディスクドライブ。
【請求項3】
上記光ディスクが光ディスクドライブに装填されている間、そのことを示す装着情報を上記不揮発性メモリに記録する装着情報記録手段をさらに備え、
上記判定手段は、上記光ディスクドライブの電源ON時に、上記装着情報が上記不揮発性メモリに記録されている場合に、上記通常のロードシーケンスが実行された上記光ディスクが装填されたまま光ディスクドライブの電源がOFFされていたと判定することを特徴とする請求項1または2に記載の光ディスクドライブ。
【請求項4】
上記強制装填防止機構は、光ディスクのトレイを駆動するモータに取り付けられ、当該トレイを上記光ディスクを排出する方向に動かす方向にのみ回転可能な強制排出用ねじであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の光ディスクドライブを動作させるプログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−79373(P2012−79373A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222235(P2010−222235)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】