光ディスク再生方法および光ディスク装置
【課題】複数の光ディスクにデータとパリティをブロック単位で記録再生する光ディスク装置において、セットアップ時間を増加させることなく、欠陥クラスタを含むデータに対しても転送レートの低下を抑止して安定した速度で再生すること。
【解決手段】複数の光ディスク装置ユニットとして、通常の再生命令に対しては光ディスクに欠陥クラスタがあっても交替処理を行わずにダミーデータを返し、リトライ再生命令に対しては交替処理を行って交替クラスタのデータを返す機能を備えるようにし、光ディスク装置コントローラはエラー訂正処理が不能だった場合に光ディスク装置ユニットにリトライ再生命令を出すように構成する。
【解決手段】複数の光ディスク装置ユニットとして、通常の再生命令に対しては光ディスクに欠陥クラスタがあっても交替処理を行わずにダミーデータを返し、リトライ再生命令に対しては交替処理を行って交替クラスタのデータを返す機能を備えるようにし、光ディスク装置コントローラはエラー訂正処理が不能だった場合に光ディスク装置ユニットにリトライ再生命令を出すように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク再生方法および光ディスク装置に係り、特に複数の光ディスクにデータを分散して記録再生する光ディスク再生方法および光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)、DVD、Blu−ray Disc(以下、BDと略称する)といった光ディスクにおいては、ディスク表面の傷、指紋、汚れや、記録膜の劣化等によって部分的な欠陥が発生することがある。欠陥のあるクラスタ(欠陥クラスタ)に記録されたデータは再生不能となる可能性が高いため、書換型や追記型の記録可能な光ディスクにおいては、欠陥クラスタを同じ光ディスク上に設けた交替領域(スペアエリア)の所定のクラスタ(交替クラスタ)に振り換えてデータを記録し、欠陥クラスタのデータは交替クラスタから再生する交替処理を行う。このような欠陥管理方法はリニアリプレースメントと呼ばれる。
【0003】
スペアエリアは光ディスクの内周部あるいは外周部に配置されるので、交替処理には光ピックアップのシーク動作が必須であり、欠陥クラスタを含むデータの再生には通常よりも長い時間がかかる。再生時間の増大を抑制する従来技術としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。特許文献1には、「光ディスクに記録されている交替データを記憶手段に記憶させるようにしたので、リードコマンド中に欠陥セクタのデータを読みだすコマンドが含まれていた場合にも、その欠陥セクタのデータ、すなわち交替データを記憶手段から読みだすことにより、リードコマンドの実行時間が長くなることがない」と記載されている。
【0004】
また、複数のハードディスクを用いて大容量化と高信頼性を実現する技術にRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)があり、ハードディスクの構成によっていくつかの種類がある。RAID5と呼ばれる構成は、N+1台のハードディスクを用いてデータアクセスをブロック単位で行い、N個のデータブロックにつき1個のパリティブロックを生成し、複数のハードディスクに分散させて記録するものである。
【0005】
また、特許文献2には、RAIDシステム制御の光ディスクライブラリ装置を対象として「記録データを1光ディスク媒体に集約せず、パリティ付きで複数の光ディスク媒体に記録データを分割23して書き込むことにより、不良発生時にパリティデータと不良以外のデータにより、不良データを復元する。また、不要発生を継続させないため、不要発生の光ディスク媒体を交換27fすることにより実現する。また、読み出し動作と同時に不良データを訂正28し、不良データの再構築とホストへのデータ転送と同時に行うことで、データ転送速度の低下を防止することを実現する」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−5001号公報
【特許文献2】特開平11−65779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
RAID5の技術を光ディスクに応用する場合には、複数の光ディスク装置のうちデータブロックを読み出す時間がもっとも長い装置によって再生時間が制約されることが想定される。前述したように、光ディスク装置においては欠陥クラスタがあると交替処理を行うが、その頻度は光ディスク装置の台数を指数とする累乗で増加するため、転送レートの低下が頻繁に発生することが懸念される。
【0008】
また、特許文献1のように光ディスクのローディング時に光ディスクに記録されている交替データを読み出す場合には、光ディスクが再生可能となるセットアップ時間が増加する。
【0009】
また、RAID5の技術を光ディスクに応用する場合には、読み出しの先頭クラスタにシーク動作する場合、シーク動作にはトラックジャンプが必要であるが、シーク動作前に全ての光ディスクドライブが光ディスク上の同一クラスタを走査しているとは限らないため、全ての光ディスクドライブで同じシーク動作を行っても、トラックジャンプ後に着地するクラスタが光ディスクドライブごとに異なる可能性がある。この場合、読み出し処理の開始は読み出し先頭クラスタに対して最も遠いクラスタに着地した光ディスクドライブが読み出し先頭クラスタに到達するまで待たされることになり、セットアップ時間の増加につながるという課題がある。
【0010】
特許文献2では、不良発生時にパリティデータと不良以外のデータにより、不良データを復元することの開示があるものの、上記のような再生処理開始時におけるシーク動作処理遅延の課題について考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するため、本発明では一例として特許請求の範囲記載の構成を用いる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の光ディスクにデータとパリティをブロック単位で記録再生する光ディスク装置において、セットアップ時間を増加させることなく、欠陥クラスタを含むデータに対しても転送レートの低下を抑止して安定した速度で再生が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施例における再生処理のフローチャート
【図2】第1実施例における光ディスク装置の全体ブロック図
【図3】第1実施例における光ディスクのレイアウト図
【図4】第1実施例における欠陥リストのフォーマット
【図5】第1実施例における各光ディスクのデータ配置図
【図6】第1実施例における訂正処理の説明図
【図7】第2実施例における各光ディスクのデータ配置図
【図8】第2実施例における訂正処理の説明図
【図9】第3実施例における記録処理のフローチャート
【図10】第3実施例における欠陥リストのフォーマット
【図11】第1実施例における光ディスク装置ユニットのブロック図
【図12】第4実施例における再生開始処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に従う光ディスク装置の実施例を、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の第1の実施例としての光ディスク装置の構成ならびに動作を、図面を参照しながら詳述する。図2は第1実施例における光ディスク装置の全体ブロック図である。本実施例の光ディスク装置は、各1枚の光ディスク40に対して各々記録再生が可能な光ディスク装置ユニット30を4台と、それら複数の光ディスク装置ユニット30に対して記録再生するデータの処理を行う光ディスク装置コントローラ10で構成される。
【0016】
光ディスク装置コントローラ10は、コントローラ制御部11と、コントローラメモリ12と、ホストインタフェース13と、ドライブインタフェース14と、データ処理部15で構成される。光ディスク装置コントローラ10は、ホストインタフェース13を介してホストコンピュータ20と接続され、ホストコンピュータ20から記録や再生といった各種のコマンドと記録するデータを受信し、コマンドの実行結果と再生したデータを送信する。また、ドライブインタフェース14を介して複数の光ディスク装置ユニット30と並列に接続され、各光ディスク装置ユニット30に対して記録や再生といった各種のコマンドと後述のデータ処理部15において再構成した記録するデータを送信し、コマンドの実行結果と再生したデータを受信する。
【0017】
コントローラ制御部11は光ディスク装置コントローラ10の動作全般を制御する機能を備えており、ホストコンピュータ20からのコマンドおよび各光ディスク装置ユニット30からのコマンド実行結果に応じて、光ディスク装置コントローラ10が所定の動作を実行するようにコントローラメモリ12、ホストインタフェース13、ドライブインタフェース14、データ処理部15を制御する。
【0018】
コントローラメモリ12はデータを一時的に記憶する機能を備えており、後述のデータ処理部15がデータ処理を行う際に、データ処理の前後のデータを一時的に蓄積する。また、各光ディスク装置ユニット30から受信した欠陥情報を一時的に蓄積する。
【0019】
データ処理部15は、データ分配部16とパリティ生成部17と訂正処理部18を含む。データ分配部16は、ホストコンピュータ20から受信したデータを光ディスク40への記録単位であるクラスタ相当のデータに分離し、パリティ生成部17が3クラスタ分のデータ毎に生成する1クラスタ分のパリティを含んで、4つのデータ列に再構成する。また、訂正処理部18は各光ディスク装置ユニット30から受信した3クラスタ分のデータと1クラスタ分のパリティに対して訂正処理を行う。データ分配の詳細や訂正処理の流れについては後述する。
【0020】
一方、各光ディスク装置ユニット30は、ドライブ制御部31と、光ピックアップ32と、ドライブメモリ33と、コントローラインタフェース34と、欠陥処理部35で構成される。更に詳細には、図11の光ディスク装置ユニットのブロック図に示すように、上記に加えて、ディスク回転機構50と、スライダ機構51と、サーボ制御部52と、サーボ信号生成部53と、再生信号生成部54と、再生信号2値化部55と、エンコード部56と、デコード部57を備える。
【0021】
ドライブ制御部31は、光ディスク装置ユニット30の動作全般を制御する。即ち、サーボ制御部52を介して、ディスク回転機構50に装着された光ディスク40の回転制御を行い、スライダ機構51を駆動して光ピックアップ32を光ディスク40の半径方向に変位させるシーク制御及び送り制御を行い、光ピックアップ32の対物レンズを駆動してフォーカス制御およびトラッキング制御を行う。
【0022】
また、ドライブ制御部31は、光ピックアップ32のレーザ発光を制御する。記録時には、コントローラインタフェース34を介して光ディスク装置コントローラ10から送られてきた記録データ信号を、エンコード部56で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してドライブ制御部31に供給し、ドライブ制御部31はこのNRZI信号に対応した記録ストラテジ(発光パルス列)に変換し、所定の光強度およびパルス列でレーザを発光させる。
【0023】
光ディスク40からの反射光量は光ピックアップ32の光検出器で受光されて電気信号に変換され、サーボ信号生成部53と再生信号生成部54に送られる。サーボ信号生成部53は、装着された光ディスク40に好適な検出方法で各種のサーボ信号を選択して生成し、ドライブ制御部31に供給する。サーボ信号には少なくともフォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号とが含まれる。ドライブ制御部31は、これらサーボ信号に基づき、前述したようにサーボ制御部52を介して対物レンズを駆動し、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボを動作させる。
【0024】
再生信号生成部54は、波形等化回路とA/Dコンバータとを備えており、光ピックアップ32から供給されたアナログの再生信号に対して、所定の波形等化の後、標本化および量子化を行ってデジタル信号に変換し、再生信号2値化部55に供給する。
【0025】
再生信号2値化部55は、トランスバーサルフィルタと、ビタビ復号回路を備える。再生信号生成部54から供給されたデジタル信号はトランスバーサルフィルタで所定のPRクラスに等化され、ビタビ復号回路で最尤復号を行って、この等化波形を所定の変調規則に基づくNRZI信号に変換する。再生信号2値化手段55で生成されたNRZI信号は、デコード部57によってデータの訂正処理などを行って再生データ信号に変換され、コントローラインタフェース34を介して光ディスク装置コントローラ10に送られる。
【0026】
また、ドライブ制御部31は、欠陥処理部35を介して、光ディスク40に対する交替処理を行う。後述する光ディスク40の欠陥リスト46を再生してドライブメモリ33に一時的に蓄積し、欠陥処理部35はドライブメモリ33の欠陥リスト46を参照して欠陥クラスタに対して対応する交替クラスタを再生する機能を備える。また、ディスクに記録し、記録したデータを再生し、再生結果をデータの訂正処理の結果などにより評価して所定の品質が確保できていないと判断すると、データを記録したクラスタを欠陥として認識し、交替クラスタにデータを記録し欠陥クラスタと交替クラスタをエントリとして欠陥リスト46に追加する機能を備える。
【0027】
図3は第1実施例における光ディスクのレイアウト図である。本実施例における光ディスク40は、一例として、SL(Single Layer)のBD−Rとして説明する。ただし、説明を簡略にするためであり、これに限らずスペアエリアを備えて交替処理を行う光ディスクであればよい。
【0028】
光ディスク40は、大きく分けて、ディスク情報などの各種情報が記録されているリードインエリア41、データゾーンエリア、リードアウトエリア44の3つの領域で構成されており、更にデータゾーンエリアは、内周側のスペアエリア42とユーザデータを記録するユーザデータエリア43と外周側のスペアエリア42で構成される。リードインエリア41には1回の記録更新ごとに記録状態の管理情報を更新して記録するディスク管理エリア45を備え、更に記録状態の管理情報の一部に欠陥リスト46を備える。なお、BD−Rにおいては、各スペアエリア42にも管理情報のバックアップとしてのディスク管理エリア45が備えられているが、ここでは説明簡略化のために省略する。
【0029】
図4は第1実施例における欠陥リストのフォーマットを示している。欠陥リスト46は欠陥クラスタと交替クラスタのペアを1個のエントリとして、エントリのリストで構成される。1個のエントリは64ビットであり、内訳は、欠陥管理の状態を示す第1のフラグである状態1が4ビット、欠陥クラスタの先頭物理セクタ番号が28ビット、欠陥管理の状態を示す第2のフラグである状態2が4ビット、交替クラスタの先頭物理セクタ番号が28ビットである。
【0030】
図5は第1実施例における各光ディスクのデータ配置の一例を示す図である。4枚の光ディスク40は、各々4台の光ディスク装置ユニット30において記録再生を行う。DnあるいはPm,m+1,m+2はクラスタ単位で分割されたデータブロックあるいはパリティブロックを表している。Dの添え字は、ホストコンピュータと受け渡しを行う元々のデータ(図の右側に示す)におけるデータブロックの順序を示しており、Pの添え字はパリティを付加した対象の3個のデータブロックのセットを意味する。
【0031】
各光ディスク40にはクラスタ単位でデータが記録されており、1番左側の光ディスク40にはD1、D4、D7、P10,11,12のデータおよびパリティが記録されている。同様に左から2番目の光ディスク40にはD2、D5、P7,8,9、D10のデータおよびパリティが記録されているが、D5についてはユーザデータエリア上は欠陥クラスタであり、スペアエリアの交替クラスタに記録されている。左から3番目の光ディスク40にはD3、P4,5,6、D8、D11のデータおよびパリティが記録されており、最も右側の光ディスク40にはP1,2,3、D6、D9、D12のデータおよびパリティが記録されている。
【0032】
ここで前述のデータ処理部15の機能をここで改めて説明する。本実施例ではデータ分配部16はホストコンピュータ20から受け取ったデータを、クラスタ相当のデータブロックD1、D2、D3、D4・・・に分割する。パリティ生成部17は3個のデータブロックにつき1個のパリティP1,2,3を生成する。ここで付加するパリティは、訂正処理部17で3個のデータブロックD1、D2、D3と1個のパリティP1,2,3に対して訂正処理を行って、1ブロック分のデータが欠落していても訂正が可能なものである。
【0033】
また、データ分配部16は分割したデータブロックと生成したパリティを4つのデータ列に再構成する。即ち、D1、D4、D7、P10,11,12のデータ列と、D2、D5、P7,8,9、D10のデータ列と、D3、P4,5,6、D8、D11のデータ列と、P1,2,3、D6、D9、D12のデータのデータ列の4つである。逆に、訂正処理部17で3個のデータブロックD1、D2、D3と1個のパリティP1,2,3に対して訂正処理を行うと、D1、D2、D3と連続するデータ列が生成される。このようなパリティの付加とデータ配置は、RAID5に準ずるものである。
【0034】
次に第1実施例における光ディスク装置の再生動作を説明する。図1は第1実施例における再生処理のフローチャートである。なお、初期条件として、各光ディスク装置ユニット30は各々光ディスク40が装着されてセットアップ処理が済んでおり、光ディスク40の欠陥リスト46も既に再生してドライブメモリ33に保存済みとする。ホストコンピュータ20から再生命令を受け取って再生処理を開始すると、まずS10として、光ディスク装置コントローラ10は各光ディスク装置ユニット30に対してドライブインタフェース14を介して再生命令を発行する。
【0035】
S11として、各光ディスク装置ユニット30は受け取った再生命令に従い、再生を実施するユーザデータエリアの物理セクタ番号に関してドライブメモリ33の欠陥リスト46を参照する。S12として、欠陥リスト46の登録有無で分岐を行う。登録が無い場合には、S13として、ユーザデータエリアの当該物理セクタ番号のクラスタに記録されているデータを再生し、S14として、再生したデータを光ディスク装置コントローラ10に送信する。
【0036】
一方、S12の分岐において、欠陥リスト46に登録が有る場合には、S15として、当該クラスタのデータは再生せず、ドライブ制御部31はダミーデータを生成して光ディスク装置コントローラ10に送信する。欠陥の原因がサーボの不安定によるものである場合には、再生しただけでサーボが不安定になる可能性があるので有効である。なお、S15として、ダミーデータを送信するのではなく欠陥登録されているという情報だけを送信し、コントローラ制御部11がダミーデータを生成させるようにしても同等の効果が得られる。
【0037】
あるいは、欠陥であっても再生が可能であれば再生を実施して取得したデータを送信するようにすれば、再生品質が悪くエラーが多くてもデコード部57での訂正が可能な場合があり、訂正処理部18での訂正不能となる頻度を下げることができる。その場合には、欠陥の有無にかかわらず、ユーザデータエリアのクラスタを再生するので、欠陥リスト46を参照するS11のステップと欠陥の有無によって分岐するS12のステップは省略可能である。
【0038】
次いで、S16として、光ディスク装置コントローラ10の訂正処理部18において、4台の光ディスク装置ユニット30から受信した3個のデータブロックと対応する1個のパリティに対してエラー訂正処理を行う。なお、後述するように、本実施例においてはエラー訂正処理をパイプライン処理で行うため、エラー訂正処理をエラーの有無によらずに実施しても転送レートが低下することはない。
【0039】
S17として、訂正結果で分岐を行う。訂正が正常に完了した場合には、S18として、訂正後に生成されたデータをホストコンピュータ20に送信する。S19において、ホストコンピュータに送信したデータが、再生すべきデータの最後かを判断し、最後であれば再生処理を正常に終了し、途中であればS11に戻って続きのデータ再生を行う。ただし、本実施例においてはパイプライン処理を行うため、S19の判断を待って次のデータブロックを再生するわけではなく、S11以降の処理を順次実施する。
【0040】
一方、S17の分岐において、訂正不能だった場合には、S20として、光ディスク装置コントローラ10は各光ディスク装置ユニット30にリトライ再生命令を発行する。リトライ再生命令が発行されると、各光ディスク装置ユニット30は、再びS11として再生を実施するユーザデータエリアの物理セクタ番号に関してドライブメモリ33の欠陥リスト46を参照する。再び、S12として、欠陥リスト46の登録有無で分岐を行う。登録がある場合には、S21として、スペアエリアの交替クラスタにアクセスし記録されているデータを再生する。一方、登録がない場合には、S13として、ユーザデータデータエリアのクラスタに記録されているデータを再生する。
【0041】
S14として、再生したデータを光ディスク装置コントローラ10に送信し、S16として、訂正処理部18において、4台の光ディスク装置ユニット30から受信した3個のデータブロックと対応する1個のパリティに対してエラー訂正処理を行う。ここで再び、S17として、訂正結果で分岐を行う。訂正が正常に完了した場合には、S18に戻り、訂正後に生成されたデータをホストコンピュータ20に送信する。一方、訂正不能だった場合には、S22としてホストコンピュータ20に再生エラーをコマンド実行結果として送信し、再生を停止する。即ち、本実施例においては、欠陥登録されたクラスタがあっても、ひとまず交替クラスタのデータを再生せずに訂正処理を行い、訂正不能だった場合にのみ交替データを再生する。
【0042】
なお、本実施例では初期条件として欠陥リスト46をドライブメモリ33に保存し参照する構成として説明したが、これに限るものではなく、コントローラメモリ12に保存しておいてもよい。あるいは初期に読み出すことなく、参照する時点で光ディスク40の欠陥リスト46を再生して参照することも可能である。
【0043】
図6は第1実施例における訂正処理の説明図であり、光ディスク装置コントローラの訂正処理の流れを示している。本実施例においては、パイプライン処理を行う。サイクル1において、各光ディスク装置ユニット30から受信したデータブロックD1、D2、D3とパリティP1,2,3を、コントローラメモリ12の所定の領域に書き込む。サイクル2において、データブロックD1、D2、D3とパリティP1,2,3に対してエラー訂正処理(ECC1)を開始し、また、各光ディスク装置ユニット30から受信したデータブロックD4、D5、D6とパリティP4,5,6を、コントローラメモリ12の次の領域に書き込む。サイクル3において、データブロックD1、D2、D3とパリティP1,2,3に対しては引き続きエラー訂正処理(ECC2)を行い、データブロックD4、D5、D6とパリティP4,5,6に対してはエラー訂正処理(ECC1)を開始し、また、各光ディスク装置ユニット30から受信したデータブロックD4、D5、D6とパリティP4,5,6を、コントローラメモリ12の次の領域に書き込む。以下、各サイクル毎にデータブロックとパリティをコントローラメモリ12に書き込みと、書込み済みのデータブロックおよびパリティに対するエラー訂正処理を順次実行していく。
【0044】
サイクルn+1において、データブロックD1、D2、D3とパリティP1,2,3に対するエラー訂正処理が完了し、次のサイクルn+2でコントローラメモリ12の所定の領域から訂正後のデータD1、D2、D3を読み出す。即ち、1サイクル毎に1つのデータブロックのセットが訂正を開始し、それとは別の1つのデータブロックのセットが訂正を完了していく。
【0045】
なお、本実施例においてはRAID5に準じたパリティの付加とデータブロック配置に基づいて説明したが、RAID6と呼ばれるRAID構成に準じてパリティを2個付加するように構成すれば、2個の欠陥があっても交替クラスタを再生することなく再生が可能であり、より安定した転送レートを実現可能である。以上、本実施例で述べたように、本発明によれば、光ディスク装置の再生時において交替処理を適正化し、速度低下を抑制して安定な転送レートで再生が可能である。
【実施例2】
【0046】
図7は本発明の第2の実施例における各光ディスクのデータ配置の一例を示す図である。なお、本実施例においては、各光ディスク40のデータ配置とデータ配置に依存する処理を除いて、第1実施例と同様であるので、光ディスク装置の構成と動作の説明は省略する。
【0047】
4枚の光ディスク40は、第1実施例と同様に、各々4台の光ディスク装置ユニット30において記録再生を行う。DnあるいはPm,m+1,m+2はクラスタ単位で分割されたデータブロックあるいはパリティブロックを表し、Dの添え字は、ホストコンピュータと受け渡しを行う元々のデータ(図の右側に示す)におけるデータブロックの順序を示しており、Pの添え字はパリティを付加した対象の3個のデータブロックのセットを意味することも同様である。ただし、Pの添え字のうち、dはダミーデータを意味する。
【0048】
第1実施例との違いはパリティを付加するデータブロックのセットである。第1実施例ではRAID5に準じて4枚の光ディスクに跨るようにデータブロックとパリティを配置したのに対して、本実施例では各ディスク毎にデータブロックとパリティのセットを構成している。ただし、パリティを配置する位置は第1実施例と同様に、各光ディスク40を並列に再生したときに、パリティブロックが一つであるように配置し、各光ディスク装置ユニット30が1ブロック分のデータ読む毎にデータブロックとパリティのセット1個ずつ読み出されるように構成した。このように配置することで、後述のパイプライン処理により訂正処理を実行することが可能となる。また、上記配置を実施するために、データの先頭部分や終端部分でデータブロックが不足する場合があり、一部はディスクには記録されていないダミーデータを含むデータセットに対してパリティを生成するようにした。
【0049】
即ち、各光ディスク40にはクラスタ単位でデータが記録されており、1番左側の光ディスク40にはD1、D4、D7、P1,4,7、D13、D16のデータおよびパリティが記録されている。同様に左から2番目の光ディスク40にはD2、D5、Pd,2,5、D10、D14、D17のデータおよびパリティが記録されている。左から3番目の光ディスク40にはD3、Pd,d,3、D8、D11、D15、P8,11,15のデータおよびパリティが記録されているが、D8についてはユーザデータエリア上は欠陥クラスタであり、スペアエリアの交替クラスタに記録されている。最も右側の光ディスク40にはPd,d,d、D6、D9、D12、P6,9,12、D18のデータおよびパリティが記録されている。
【0050】
本実施例では、パリティ生成部17は3個のデータブロックにつき1個のパリティP1,4,7を生成する。また、一部のデータブロックをダミーデータとして、パリティPd,2,5などを生成する。また、訂正処理部17で3個のデータブロックD1、D4、D7と1個のパリティP1,4,7に対して訂正処理を行うと、D1、D4、D7と不連続なデータ列が生成されるので、データ分配部16は訂正結果の不連続なデータを再配置してD1、D2、D3と連続なデータ列に並べ替える機能を備える。
【0051】
図8は第2実施例における訂正処理の説明図であり、光ディスク装置コントローラの訂正処理の流れを示している。第1実施例と同様にパイプライン処理を行う。サイクル1において、データブロックD1をコントローラメモリ12の所定の領域に書き込む。サイクル2において、データブロックD4をコントローラメモリ12のデータブロックD1を書き込んだ領域と同じ領域に書き込む。また、データブロックD6をコントローラメモリ12の次の領域に書き込む。サイクル3において、データブロックD7をコントローラメモリ12のデータブロックD1とD4を書き込んだのと同じ領域に書き込む。また、データブロックD9をコントローラメモリ12のデータブロックD6を書き込んだのと同じ領域に書き込み、データブロックD8をコントローラメモリ12の次の領域に書き込む。
【0052】
サイクル4において、パリティP1,4,7をコントローラメモリ12のデータブロックD1、D4、D7を書き込んだのと同じ領域に書き込む。データブロックD12をコントローラメモリ12のデータブロックD6とD9を書き込んだのと同じ領域に書き込む。また、データブロックD11をコントローラメモリ12のデータブロックD8を書き込んだのと同じ領域に書き込む。以降のデータブロックについても同様である。
【0053】
サイクル5において、データブロックD1、D4、D7とパリティP1,4,7に対してエラー訂正処理(ECC1)を開始し、また、パリティP6,9,12を、コントローラメモリ12のデータブロックD6、D9、D12を書き込んだのと同じ領域に書き込む。また、データブロックD15をコントローラメモリ12のデータブロックD8とD11を書き込んだのと同じ領域に書き込む。以降のデータについても同様である。即ち、4サイクルをかけてデータブロックとパリティのセットを揃えていく。1サイクル毎に1セットずつ揃っていくので、それ以降は第1実施例と同様に、順次エラー訂正処理を実施していく。
【0054】
サイクルn+4において、データブロックD1、D4、D7とパリティP1,4,7に対するエラー訂正処理が完了し、次のサイクルn+5でコントローラメモリ12の所定の領域から訂正後のデータD1を読み出す。以下、サイクルn+6において、データD4を読み出し、サイクルn+7において、データD7を読み出す。即ち、1サイクル毎に1つのデータブロックを読み出していくことで、訂正が不連続に完了したデータを再配置してD1、D2、D3と連続なデータ列に並べ替えることができる。
【0055】
なお、本実施例では、例えばデータブロックD1、D4、D7とパリティP1,4,7を、コントローラメモリ12の同じ領域に書き込む構成を示したが、説明を簡略化するためであって、それに限るものではない。他の例としては、一定の規則性をのもとで異なる領域に書き込んでおいて、その規則性に基づいてデータを参照するように構成することができる。
【0056】
以上、本実施例で述べたように、RAID5あるいはRAID6とは異なるデータ配置に対してもパリティが付加されていれば本発明は有効であり、2台以下の光ディスク装置ユニット30を用いた構成とすることも可能である。
【実施例3】
【0057】
本発明の第3の実施例としての光ディスク装置の記録動作を説明する。なお、本実施例においては、光ディスク装置の構成と各光ディスク40のデータの配置は第1実施例と同様であり、説明を省略する。
【0058】
図9は第3実施例における記録処理のフローチャートである。なお、初期条件として、各光ディスク装置ユニット30は各々光ディスク40が装着されてセットアップ処理が済んでいるものとする。ホストコンピュータ20から記録命令を受け取って記録処理を開始すると、まずS30として、光ディスク装置コントローラ10はホストコンピュータ20から記録データの受信を開始する。
【0059】
S31として、データ処理部15のデータ分配部16は受信したデータを1クラスタに相当するデータ毎にデータブロックに分割し、S32として、パリティ生成部17は3個のデータブロック毎に1個のパリティブロックを生成する。更に、前述したように4つのデータ列に再構成していく。
【0060】
次いで、S33として光ディスク装置コントローラ10は各光ディスク装置ユニット30に記録命令を発行し、各光ディスク装置ユニット30は、S34として、各々受信した再構成されたデータ列をエンコードしてクラスタ単位でユーザデータエリアに記録していく。
【0061】
所定の数のクラスタが記録完了したら、各光ディスク装置ユニット30は、S35として、S34にて記録したデータを再生し、記録品質を評価する。
【0062】
S36において、記録品質の評価結果に基づいて分岐する。光ディスク装置ユニット30は所定の記録品質を確保できずに記録失敗と判定すると、S37として、光ディスク装置コントローラ10に欠陥情報として、記録失敗したデータブロックの論理アドレスと欠陥クラスタの物理セクタ番号を通知する。
【0063】
次いでS38として、光ディスク装置コントローラ10は受信した欠陥情報に基づいて、コントローラメモリ12の所定の領域に、通知してきた光ディスク装置ユニット30または光ディスク40のIDと、欠陥クラスタの物理セクタ番号と、論理アドレスおよび対応するデータブロックを保存する。記録失敗したデータがパリティブロックの場合も同様である。一方、S36において記録成功と判断した場合には、上記S37とS38の処理をスキップする。
【0064】
次いでS39において、各光ディスク装置ユニット30で記録するデータが最後まで記録し終わったかを判定し、途中であればS34に戻る。一方、データの最後まで記録が終わったら、S40として、光ディスク装置コントローラ10は各光ディスク装置ユニット30に交替記録命令を発行する。コントローラメモリ12に保存しておいた欠陥情報に基づいて、交替先をいずれの光ディスク40にするかを決定して結果をコントローラメモリ12に保存し、当該の光ディスク装置ユニット30に交替するデータブロックを送信する。
【0065】
交替記録命令を受けた光ディスク装置ユニット30は、S41として、受信したデータブロックを光ディスク40のスペアエリアの交替セクタに記録し、通常の記録時と同様に、S35として、記録したクラスタを再生して記録品質を評価する。また、S36として、評価結果で分岐を行い、記録失敗と判定した場合には、S41に戻って再度先ほどとは異なる交替クラスタに記録する。
【0066】
一方、記録が成功した場合には、交替クラスタの物理セクタ番号を光ディスク装置コントローラ10に通知する。光ディスク装置コントローラ10はコントローラメモリ12の保存してある欠陥情報に交替クラスタの情報を追加して更新する。また、欠陥クラスタのある光ディスク40の欠陥リスト46を更新するために、当該の光ディスク装置ユニット30に欠陥情報を送信し、S44において、光ディスク装置ユニット30は光ディスク40の欠陥リスト46を記録して更新する。なお、本実施例における欠陥リスト46のフォーマットについては後述する。全ての光ディスク40の欠陥リスト46の更新が完了すると、S45において、光ディスク装置コントローラ10はホストコンピュータ20に記録終了の通知を行い、記録処理を完了する。
【0067】
図10は、第3実施例における欠陥リストのフォーマットを示す図である。図4に示した第1実施例の欠陥リストのフォーマットとの違いは、状態1の上位1ビットと状態2の上位2ビットの合計3ビットを、交替クラスタのある光ディスク40または対応する光ディスク装置のIDフラグとして割り当てる点である。
【0068】
IDフラグ3ビットが000の場合には、欠陥クラスタのある光ディスク40と同じ光ディスクに交替クラスタがあることを示すように定義する。このように定義することで、第1実施例の欠陥リストにおいて、状態1のフラグが下位3ビットまで定義され、状態2のフラグが下位2ビットまで定義されている場合に、互換性を確保できる。
【0069】
また、光ディスク装置ユニット30の装置IDを0、1、2、3と定義しておいて、IDの3ビットが001の場合には、例えば自身の装置IDが1であれば2を、2であれば3を、3であれば0を指し示すように定義する。光ディスク装置ユニット30が4台の場合にはIDフラグは2ビットで十分である。
【0070】
本実施例では、交替クラスタを他のディスクに記録することで、特定のディスクばかりに欠陥クラスタが多いような場合においても、当該ディスクのスペアエリアの消費を抑制して、スペアエリアを適正に使用することが可能である。しかしながら、これに限るものではなく、交替クラスタを欠陥クラスタと同一のディスクのみとしてもよく、その場合には、光ディスク装置コントローラ10を介さずに欠陥リスト46の更新が可能であり、またスペアエリアの使用状況を光ディスク装置ユニット30毎に認識することが可能という利点がある。
【0071】
なお、本実施例では交替クラスタはスペアエリアに確保しておく構成を示したが、これに限らず、ユーザデータエリアに交替クラスタを確保することも可能である。その場合、スペアエリアを予め確保しておく必要がなく、光ディスク40の容量を最大限有効に利用することが可能である。
【0072】
また、交替処理に入る前に、記録失敗したクラスタを含むデータを再生し、光ディスク装置10においてエラー訂正を行い、訂正が可能な場合には交替記録を行わないことも可能である。交替クラスタを記録する時間を短縮とスペアエリアの使用率を低減することができる。以上、本実施例で述べたように、本発明によれば、光ディスク装置の記録時において交替処理を適正化し、速度低下を抑制して安定な転送レートで記録が可能である。
【実施例4】
【0073】
本発明の第4の実施例としての光ディスク装置の再生開始動作を説明する。なお、本実施例においては、光ディスク装置の構成と各光ディスク40のデータの配置は第1実施例と同様であり、説明を省略する。
【0074】
図12は第4実施例における記録処理のフローチャートである。なお、初期条件として、各光ディスク装置ユニット30は各々光ディスク40が装着されてセットアップ処理が済んでいるものとする。ホストコンピュータ20から再生命令を受け取って再生処理を開始すると、まずS50として、光ディスク装置コントローラ10は各光ディスク装置ユニット30に対してドライブインタフェース14を介して再生命令を発行する。
【0075】
S51として、各光ディスク装置ユニット30は受け取った再生命令に従い、再生を実施するユーザデータエリアの物理セクタ番号に関してドライブメモリ33の欠陥リスト46を参照する。
【0076】
S52として、欠陥リスト46の登録有無で分岐を行う。登録が有る場合には図1のS15に遷移し、以降は図1と同様のシーケンスとなるため、以降の説明を省略する。登録が無い場合には、S53として、ユーザデータエリアの当該物理セクタ番号のクラスタに記録されているデータを再生するために再生を開始するクラスタの手前にトラックジャンプする。
【0077】
S54としてトラックジャンプ後に着地したクラスタを読み出して、再生開始クラスタからの差を計算して比較し、最も再生開始クラスタから遠いクラスタに着地した光ディスク装置ユニット30が他の全ての光ディスク装置ユニット30の着地クラスタよりも1クラスタ以上離れていた場合と離れていない場合で処理を分岐する。1クラスタ以上離れてない場合、図1のS13に遷移する。その後の動作は図1と同様であるため、説明を省略する。1クラスタ以上離れている場合、S55として1トラック以上先のクラスタにシークし、S56としてスキップしたクラスタ分RAIDコントローラにダミーデータを送信し、その後、図1のS16に遷移する。以後の動作は図1と同様であるため説明を省略する。これにより、最も再生開始クラスタから遠いクラスタに着地した光ディスク装置ユニット30のシーク動作完了を待つことなく、他の光ディスク装置で再生したパリティブロックに基づきエラー訂正処理を行いながら迅速にデータ再生処理を開始することができる。さらに、最も再生開始クラスタから遠いクラスタに着地した光ディスク装置ユニット30が、1トラック以上先の上記クラスタにシーク動作完了後、当該光ディスク装置ユニット30の再生データを含めた並列処理に移行することが望ましい。データ再生の信頼性をより向上させるためである。
【0078】
なお、本実施例においてはRAID5に準じたパリティの付加とデータブロック配置に基づいて説明したが、RAID6と呼ばれるRAID構成に準じてパリティを2個付加するように構成すれば、2台の光ディスク装置ユニット30が他の全ての光ディスク装置ユニット30より1クラスタ以上離れていた場合にもその2台で1トラック以上先のクラスタにシークすることにより安定した転送レートを実現可能である。パリティを2個付加する構成では1台で交替が取られていても1台の着地クラスタが交替が取られている光ディスク装置ユニット30を除く他の全ての光ディスク装置ユニット30に対して1クラスタ以上離れていることを検出することによってS55以降の動作を行うことが可能である。
【0079】
また、本実施例において1クラスタ以上離れていることを条件としたが、この値は1クラスタに限るものではなく、所定のクラスタ数を条件とすることが可能である。また、クラスタ以外の光ディスク40上のデータの位置を特定可能な他の単位で行うことも可能であり、例えば、セクタ数、AUN(Address Unit Number)数、PAA(Physical ADIP Address、 ただしADIPはAddress in Pre−grooveの略称)数などで判定することが可能である。
【0080】
また、本実施例においてはトラックジャンプ後に着地したクラスタを比較する前提で説明したが、現在走査中の位置情報、再生開始位置情報、光ディスク40の回転速度、光ピックアップ32の移動速度からトラックジャンプ実行前にトラックジャンプ後の着地クラスタの予測値を計算し、各々の光ディスク装置ユニット30の予測値を比較し、最も再生開始クラスタから遠いクラスタに着地することが予測される光ディスク装置ユニット30のシークを1トラック以上先のクラスタへのシークに変更することも可能である。
【0081】
また、本実施例においては全ての光ディスク装置ユニット30が同時にシークする前提で説明したが、一部の光ディスク装置ユニット30のみシークする場合もシークしない光ディスク装置ユニット30では再生開始クラスタの直前に着地したものと見なすことで本実施例と同様の処理を実施することが可能である。
【0082】
以上、本実施例で述べたように、本発明によれば、光ディスク装置の再生開始時においてシーク動作を適正化し、速度低下を抑制して安定な転送レートで再生が可能である。
【0083】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであって、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0084】
また、上記の各構成は、それらの一部又は全部が、ハードウェアで構成されても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0085】
10・・・光ディスク装置コントローラ、11・・・コントローラ制御部、12・・・コントローラメモリ、13・・・ホストインタフェース、14・・・ドライブインタフェース、15・・・データ処理部、30・・・光ディスク装置ユニット、31・・・ドライブ制御部、32・・・光ピックアップ、33・・・ドライブメモリ、34・・・コントローラインタフェース、35・・・欠陥処理部、40・・・光ディスク、46・・・欠陥リスト、50・・・ディスク回転機構、51・・・スライダ機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク再生方法および光ディスク装置に係り、特に複数の光ディスクにデータを分散して記録再生する光ディスク再生方法および光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)、DVD、Blu−ray Disc(以下、BDと略称する)といった光ディスクにおいては、ディスク表面の傷、指紋、汚れや、記録膜の劣化等によって部分的な欠陥が発生することがある。欠陥のあるクラスタ(欠陥クラスタ)に記録されたデータは再生不能となる可能性が高いため、書換型や追記型の記録可能な光ディスクにおいては、欠陥クラスタを同じ光ディスク上に設けた交替領域(スペアエリア)の所定のクラスタ(交替クラスタ)に振り換えてデータを記録し、欠陥クラスタのデータは交替クラスタから再生する交替処理を行う。このような欠陥管理方法はリニアリプレースメントと呼ばれる。
【0003】
スペアエリアは光ディスクの内周部あるいは外周部に配置されるので、交替処理には光ピックアップのシーク動作が必須であり、欠陥クラスタを含むデータの再生には通常よりも長い時間がかかる。再生時間の増大を抑制する従来技術としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。特許文献1には、「光ディスクに記録されている交替データを記憶手段に記憶させるようにしたので、リードコマンド中に欠陥セクタのデータを読みだすコマンドが含まれていた場合にも、その欠陥セクタのデータ、すなわち交替データを記憶手段から読みだすことにより、リードコマンドの実行時間が長くなることがない」と記載されている。
【0004】
また、複数のハードディスクを用いて大容量化と高信頼性を実現する技術にRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)があり、ハードディスクの構成によっていくつかの種類がある。RAID5と呼ばれる構成は、N+1台のハードディスクを用いてデータアクセスをブロック単位で行い、N個のデータブロックにつき1個のパリティブロックを生成し、複数のハードディスクに分散させて記録するものである。
【0005】
また、特許文献2には、RAIDシステム制御の光ディスクライブラリ装置を対象として「記録データを1光ディスク媒体に集約せず、パリティ付きで複数の光ディスク媒体に記録データを分割23して書き込むことにより、不良発生時にパリティデータと不良以外のデータにより、不良データを復元する。また、不要発生を継続させないため、不要発生の光ディスク媒体を交換27fすることにより実現する。また、読み出し動作と同時に不良データを訂正28し、不良データの再構築とホストへのデータ転送と同時に行うことで、データ転送速度の低下を防止することを実現する」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−5001号公報
【特許文献2】特開平11−65779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
RAID5の技術を光ディスクに応用する場合には、複数の光ディスク装置のうちデータブロックを読み出す時間がもっとも長い装置によって再生時間が制約されることが想定される。前述したように、光ディスク装置においては欠陥クラスタがあると交替処理を行うが、その頻度は光ディスク装置の台数を指数とする累乗で増加するため、転送レートの低下が頻繁に発生することが懸念される。
【0008】
また、特許文献1のように光ディスクのローディング時に光ディスクに記録されている交替データを読み出す場合には、光ディスクが再生可能となるセットアップ時間が増加する。
【0009】
また、RAID5の技術を光ディスクに応用する場合には、読み出しの先頭クラスタにシーク動作する場合、シーク動作にはトラックジャンプが必要であるが、シーク動作前に全ての光ディスクドライブが光ディスク上の同一クラスタを走査しているとは限らないため、全ての光ディスクドライブで同じシーク動作を行っても、トラックジャンプ後に着地するクラスタが光ディスクドライブごとに異なる可能性がある。この場合、読み出し処理の開始は読み出し先頭クラスタに対して最も遠いクラスタに着地した光ディスクドライブが読み出し先頭クラスタに到達するまで待たされることになり、セットアップ時間の増加につながるという課題がある。
【0010】
特許文献2では、不良発生時にパリティデータと不良以外のデータにより、不良データを復元することの開示があるものの、上記のような再生処理開始時におけるシーク動作処理遅延の課題について考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するため、本発明では一例として特許請求の範囲記載の構成を用いる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の光ディスクにデータとパリティをブロック単位で記録再生する光ディスク装置において、セットアップ時間を増加させることなく、欠陥クラスタを含むデータに対しても転送レートの低下を抑止して安定した速度で再生が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施例における再生処理のフローチャート
【図2】第1実施例における光ディスク装置の全体ブロック図
【図3】第1実施例における光ディスクのレイアウト図
【図4】第1実施例における欠陥リストのフォーマット
【図5】第1実施例における各光ディスクのデータ配置図
【図6】第1実施例における訂正処理の説明図
【図7】第2実施例における各光ディスクのデータ配置図
【図8】第2実施例における訂正処理の説明図
【図9】第3実施例における記録処理のフローチャート
【図10】第3実施例における欠陥リストのフォーマット
【図11】第1実施例における光ディスク装置ユニットのブロック図
【図12】第4実施例における再生開始処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に従う光ディスク装置の実施例を、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の第1の実施例としての光ディスク装置の構成ならびに動作を、図面を参照しながら詳述する。図2は第1実施例における光ディスク装置の全体ブロック図である。本実施例の光ディスク装置は、各1枚の光ディスク40に対して各々記録再生が可能な光ディスク装置ユニット30を4台と、それら複数の光ディスク装置ユニット30に対して記録再生するデータの処理を行う光ディスク装置コントローラ10で構成される。
【0016】
光ディスク装置コントローラ10は、コントローラ制御部11と、コントローラメモリ12と、ホストインタフェース13と、ドライブインタフェース14と、データ処理部15で構成される。光ディスク装置コントローラ10は、ホストインタフェース13を介してホストコンピュータ20と接続され、ホストコンピュータ20から記録や再生といった各種のコマンドと記録するデータを受信し、コマンドの実行結果と再生したデータを送信する。また、ドライブインタフェース14を介して複数の光ディスク装置ユニット30と並列に接続され、各光ディスク装置ユニット30に対して記録や再生といった各種のコマンドと後述のデータ処理部15において再構成した記録するデータを送信し、コマンドの実行結果と再生したデータを受信する。
【0017】
コントローラ制御部11は光ディスク装置コントローラ10の動作全般を制御する機能を備えており、ホストコンピュータ20からのコマンドおよび各光ディスク装置ユニット30からのコマンド実行結果に応じて、光ディスク装置コントローラ10が所定の動作を実行するようにコントローラメモリ12、ホストインタフェース13、ドライブインタフェース14、データ処理部15を制御する。
【0018】
コントローラメモリ12はデータを一時的に記憶する機能を備えており、後述のデータ処理部15がデータ処理を行う際に、データ処理の前後のデータを一時的に蓄積する。また、各光ディスク装置ユニット30から受信した欠陥情報を一時的に蓄積する。
【0019】
データ処理部15は、データ分配部16とパリティ生成部17と訂正処理部18を含む。データ分配部16は、ホストコンピュータ20から受信したデータを光ディスク40への記録単位であるクラスタ相当のデータに分離し、パリティ生成部17が3クラスタ分のデータ毎に生成する1クラスタ分のパリティを含んで、4つのデータ列に再構成する。また、訂正処理部18は各光ディスク装置ユニット30から受信した3クラスタ分のデータと1クラスタ分のパリティに対して訂正処理を行う。データ分配の詳細や訂正処理の流れについては後述する。
【0020】
一方、各光ディスク装置ユニット30は、ドライブ制御部31と、光ピックアップ32と、ドライブメモリ33と、コントローラインタフェース34と、欠陥処理部35で構成される。更に詳細には、図11の光ディスク装置ユニットのブロック図に示すように、上記に加えて、ディスク回転機構50と、スライダ機構51と、サーボ制御部52と、サーボ信号生成部53と、再生信号生成部54と、再生信号2値化部55と、エンコード部56と、デコード部57を備える。
【0021】
ドライブ制御部31は、光ディスク装置ユニット30の動作全般を制御する。即ち、サーボ制御部52を介して、ディスク回転機構50に装着された光ディスク40の回転制御を行い、スライダ機構51を駆動して光ピックアップ32を光ディスク40の半径方向に変位させるシーク制御及び送り制御を行い、光ピックアップ32の対物レンズを駆動してフォーカス制御およびトラッキング制御を行う。
【0022】
また、ドライブ制御部31は、光ピックアップ32のレーザ発光を制御する。記録時には、コントローラインタフェース34を介して光ディスク装置コントローラ10から送られてきた記録データ信号を、エンコード部56で所定の変調規則によるNRZI信号に変換してドライブ制御部31に供給し、ドライブ制御部31はこのNRZI信号に対応した記録ストラテジ(発光パルス列)に変換し、所定の光強度およびパルス列でレーザを発光させる。
【0023】
光ディスク40からの反射光量は光ピックアップ32の光検出器で受光されて電気信号に変換され、サーボ信号生成部53と再生信号生成部54に送られる。サーボ信号生成部53は、装着された光ディスク40に好適な検出方法で各種のサーボ信号を選択して生成し、ドライブ制御部31に供給する。サーボ信号には少なくともフォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号とが含まれる。ドライブ制御部31は、これらサーボ信号に基づき、前述したようにサーボ制御部52を介して対物レンズを駆動し、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボを動作させる。
【0024】
再生信号生成部54は、波形等化回路とA/Dコンバータとを備えており、光ピックアップ32から供給されたアナログの再生信号に対して、所定の波形等化の後、標本化および量子化を行ってデジタル信号に変換し、再生信号2値化部55に供給する。
【0025】
再生信号2値化部55は、トランスバーサルフィルタと、ビタビ復号回路を備える。再生信号生成部54から供給されたデジタル信号はトランスバーサルフィルタで所定のPRクラスに等化され、ビタビ復号回路で最尤復号を行って、この等化波形を所定の変調規則に基づくNRZI信号に変換する。再生信号2値化手段55で生成されたNRZI信号は、デコード部57によってデータの訂正処理などを行って再生データ信号に変換され、コントローラインタフェース34を介して光ディスク装置コントローラ10に送られる。
【0026】
また、ドライブ制御部31は、欠陥処理部35を介して、光ディスク40に対する交替処理を行う。後述する光ディスク40の欠陥リスト46を再生してドライブメモリ33に一時的に蓄積し、欠陥処理部35はドライブメモリ33の欠陥リスト46を参照して欠陥クラスタに対して対応する交替クラスタを再生する機能を備える。また、ディスクに記録し、記録したデータを再生し、再生結果をデータの訂正処理の結果などにより評価して所定の品質が確保できていないと判断すると、データを記録したクラスタを欠陥として認識し、交替クラスタにデータを記録し欠陥クラスタと交替クラスタをエントリとして欠陥リスト46に追加する機能を備える。
【0027】
図3は第1実施例における光ディスクのレイアウト図である。本実施例における光ディスク40は、一例として、SL(Single Layer)のBD−Rとして説明する。ただし、説明を簡略にするためであり、これに限らずスペアエリアを備えて交替処理を行う光ディスクであればよい。
【0028】
光ディスク40は、大きく分けて、ディスク情報などの各種情報が記録されているリードインエリア41、データゾーンエリア、リードアウトエリア44の3つの領域で構成されており、更にデータゾーンエリアは、内周側のスペアエリア42とユーザデータを記録するユーザデータエリア43と外周側のスペアエリア42で構成される。リードインエリア41には1回の記録更新ごとに記録状態の管理情報を更新して記録するディスク管理エリア45を備え、更に記録状態の管理情報の一部に欠陥リスト46を備える。なお、BD−Rにおいては、各スペアエリア42にも管理情報のバックアップとしてのディスク管理エリア45が備えられているが、ここでは説明簡略化のために省略する。
【0029】
図4は第1実施例における欠陥リストのフォーマットを示している。欠陥リスト46は欠陥クラスタと交替クラスタのペアを1個のエントリとして、エントリのリストで構成される。1個のエントリは64ビットであり、内訳は、欠陥管理の状態を示す第1のフラグである状態1が4ビット、欠陥クラスタの先頭物理セクタ番号が28ビット、欠陥管理の状態を示す第2のフラグである状態2が4ビット、交替クラスタの先頭物理セクタ番号が28ビットである。
【0030】
図5は第1実施例における各光ディスクのデータ配置の一例を示す図である。4枚の光ディスク40は、各々4台の光ディスク装置ユニット30において記録再生を行う。DnあるいはPm,m+1,m+2はクラスタ単位で分割されたデータブロックあるいはパリティブロックを表している。Dの添え字は、ホストコンピュータと受け渡しを行う元々のデータ(図の右側に示す)におけるデータブロックの順序を示しており、Pの添え字はパリティを付加した対象の3個のデータブロックのセットを意味する。
【0031】
各光ディスク40にはクラスタ単位でデータが記録されており、1番左側の光ディスク40にはD1、D4、D7、P10,11,12のデータおよびパリティが記録されている。同様に左から2番目の光ディスク40にはD2、D5、P7,8,9、D10のデータおよびパリティが記録されているが、D5についてはユーザデータエリア上は欠陥クラスタであり、スペアエリアの交替クラスタに記録されている。左から3番目の光ディスク40にはD3、P4,5,6、D8、D11のデータおよびパリティが記録されており、最も右側の光ディスク40にはP1,2,3、D6、D9、D12のデータおよびパリティが記録されている。
【0032】
ここで前述のデータ処理部15の機能をここで改めて説明する。本実施例ではデータ分配部16はホストコンピュータ20から受け取ったデータを、クラスタ相当のデータブロックD1、D2、D3、D4・・・に分割する。パリティ生成部17は3個のデータブロックにつき1個のパリティP1,2,3を生成する。ここで付加するパリティは、訂正処理部17で3個のデータブロックD1、D2、D3と1個のパリティP1,2,3に対して訂正処理を行って、1ブロック分のデータが欠落していても訂正が可能なものである。
【0033】
また、データ分配部16は分割したデータブロックと生成したパリティを4つのデータ列に再構成する。即ち、D1、D4、D7、P10,11,12のデータ列と、D2、D5、P7,8,9、D10のデータ列と、D3、P4,5,6、D8、D11のデータ列と、P1,2,3、D6、D9、D12のデータのデータ列の4つである。逆に、訂正処理部17で3個のデータブロックD1、D2、D3と1個のパリティP1,2,3に対して訂正処理を行うと、D1、D2、D3と連続するデータ列が生成される。このようなパリティの付加とデータ配置は、RAID5に準ずるものである。
【0034】
次に第1実施例における光ディスク装置の再生動作を説明する。図1は第1実施例における再生処理のフローチャートである。なお、初期条件として、各光ディスク装置ユニット30は各々光ディスク40が装着されてセットアップ処理が済んでおり、光ディスク40の欠陥リスト46も既に再生してドライブメモリ33に保存済みとする。ホストコンピュータ20から再生命令を受け取って再生処理を開始すると、まずS10として、光ディスク装置コントローラ10は各光ディスク装置ユニット30に対してドライブインタフェース14を介して再生命令を発行する。
【0035】
S11として、各光ディスク装置ユニット30は受け取った再生命令に従い、再生を実施するユーザデータエリアの物理セクタ番号に関してドライブメモリ33の欠陥リスト46を参照する。S12として、欠陥リスト46の登録有無で分岐を行う。登録が無い場合には、S13として、ユーザデータエリアの当該物理セクタ番号のクラスタに記録されているデータを再生し、S14として、再生したデータを光ディスク装置コントローラ10に送信する。
【0036】
一方、S12の分岐において、欠陥リスト46に登録が有る場合には、S15として、当該クラスタのデータは再生せず、ドライブ制御部31はダミーデータを生成して光ディスク装置コントローラ10に送信する。欠陥の原因がサーボの不安定によるものである場合には、再生しただけでサーボが不安定になる可能性があるので有効である。なお、S15として、ダミーデータを送信するのではなく欠陥登録されているという情報だけを送信し、コントローラ制御部11がダミーデータを生成させるようにしても同等の効果が得られる。
【0037】
あるいは、欠陥であっても再生が可能であれば再生を実施して取得したデータを送信するようにすれば、再生品質が悪くエラーが多くてもデコード部57での訂正が可能な場合があり、訂正処理部18での訂正不能となる頻度を下げることができる。その場合には、欠陥の有無にかかわらず、ユーザデータエリアのクラスタを再生するので、欠陥リスト46を参照するS11のステップと欠陥の有無によって分岐するS12のステップは省略可能である。
【0038】
次いで、S16として、光ディスク装置コントローラ10の訂正処理部18において、4台の光ディスク装置ユニット30から受信した3個のデータブロックと対応する1個のパリティに対してエラー訂正処理を行う。なお、後述するように、本実施例においてはエラー訂正処理をパイプライン処理で行うため、エラー訂正処理をエラーの有無によらずに実施しても転送レートが低下することはない。
【0039】
S17として、訂正結果で分岐を行う。訂正が正常に完了した場合には、S18として、訂正後に生成されたデータをホストコンピュータ20に送信する。S19において、ホストコンピュータに送信したデータが、再生すべきデータの最後かを判断し、最後であれば再生処理を正常に終了し、途中であればS11に戻って続きのデータ再生を行う。ただし、本実施例においてはパイプライン処理を行うため、S19の判断を待って次のデータブロックを再生するわけではなく、S11以降の処理を順次実施する。
【0040】
一方、S17の分岐において、訂正不能だった場合には、S20として、光ディスク装置コントローラ10は各光ディスク装置ユニット30にリトライ再生命令を発行する。リトライ再生命令が発行されると、各光ディスク装置ユニット30は、再びS11として再生を実施するユーザデータエリアの物理セクタ番号に関してドライブメモリ33の欠陥リスト46を参照する。再び、S12として、欠陥リスト46の登録有無で分岐を行う。登録がある場合には、S21として、スペアエリアの交替クラスタにアクセスし記録されているデータを再生する。一方、登録がない場合には、S13として、ユーザデータデータエリアのクラスタに記録されているデータを再生する。
【0041】
S14として、再生したデータを光ディスク装置コントローラ10に送信し、S16として、訂正処理部18において、4台の光ディスク装置ユニット30から受信した3個のデータブロックと対応する1個のパリティに対してエラー訂正処理を行う。ここで再び、S17として、訂正結果で分岐を行う。訂正が正常に完了した場合には、S18に戻り、訂正後に生成されたデータをホストコンピュータ20に送信する。一方、訂正不能だった場合には、S22としてホストコンピュータ20に再生エラーをコマンド実行結果として送信し、再生を停止する。即ち、本実施例においては、欠陥登録されたクラスタがあっても、ひとまず交替クラスタのデータを再生せずに訂正処理を行い、訂正不能だった場合にのみ交替データを再生する。
【0042】
なお、本実施例では初期条件として欠陥リスト46をドライブメモリ33に保存し参照する構成として説明したが、これに限るものではなく、コントローラメモリ12に保存しておいてもよい。あるいは初期に読み出すことなく、参照する時点で光ディスク40の欠陥リスト46を再生して参照することも可能である。
【0043】
図6は第1実施例における訂正処理の説明図であり、光ディスク装置コントローラの訂正処理の流れを示している。本実施例においては、パイプライン処理を行う。サイクル1において、各光ディスク装置ユニット30から受信したデータブロックD1、D2、D3とパリティP1,2,3を、コントローラメモリ12の所定の領域に書き込む。サイクル2において、データブロックD1、D2、D3とパリティP1,2,3に対してエラー訂正処理(ECC1)を開始し、また、各光ディスク装置ユニット30から受信したデータブロックD4、D5、D6とパリティP4,5,6を、コントローラメモリ12の次の領域に書き込む。サイクル3において、データブロックD1、D2、D3とパリティP1,2,3に対しては引き続きエラー訂正処理(ECC2)を行い、データブロックD4、D5、D6とパリティP4,5,6に対してはエラー訂正処理(ECC1)を開始し、また、各光ディスク装置ユニット30から受信したデータブロックD4、D5、D6とパリティP4,5,6を、コントローラメモリ12の次の領域に書き込む。以下、各サイクル毎にデータブロックとパリティをコントローラメモリ12に書き込みと、書込み済みのデータブロックおよびパリティに対するエラー訂正処理を順次実行していく。
【0044】
サイクルn+1において、データブロックD1、D2、D3とパリティP1,2,3に対するエラー訂正処理が完了し、次のサイクルn+2でコントローラメモリ12の所定の領域から訂正後のデータD1、D2、D3を読み出す。即ち、1サイクル毎に1つのデータブロックのセットが訂正を開始し、それとは別の1つのデータブロックのセットが訂正を完了していく。
【0045】
なお、本実施例においてはRAID5に準じたパリティの付加とデータブロック配置に基づいて説明したが、RAID6と呼ばれるRAID構成に準じてパリティを2個付加するように構成すれば、2個の欠陥があっても交替クラスタを再生することなく再生が可能であり、より安定した転送レートを実現可能である。以上、本実施例で述べたように、本発明によれば、光ディスク装置の再生時において交替処理を適正化し、速度低下を抑制して安定な転送レートで再生が可能である。
【実施例2】
【0046】
図7は本発明の第2の実施例における各光ディスクのデータ配置の一例を示す図である。なお、本実施例においては、各光ディスク40のデータ配置とデータ配置に依存する処理を除いて、第1実施例と同様であるので、光ディスク装置の構成と動作の説明は省略する。
【0047】
4枚の光ディスク40は、第1実施例と同様に、各々4台の光ディスク装置ユニット30において記録再生を行う。DnあるいはPm,m+1,m+2はクラスタ単位で分割されたデータブロックあるいはパリティブロックを表し、Dの添え字は、ホストコンピュータと受け渡しを行う元々のデータ(図の右側に示す)におけるデータブロックの順序を示しており、Pの添え字はパリティを付加した対象の3個のデータブロックのセットを意味することも同様である。ただし、Pの添え字のうち、dはダミーデータを意味する。
【0048】
第1実施例との違いはパリティを付加するデータブロックのセットである。第1実施例ではRAID5に準じて4枚の光ディスクに跨るようにデータブロックとパリティを配置したのに対して、本実施例では各ディスク毎にデータブロックとパリティのセットを構成している。ただし、パリティを配置する位置は第1実施例と同様に、各光ディスク40を並列に再生したときに、パリティブロックが一つであるように配置し、各光ディスク装置ユニット30が1ブロック分のデータ読む毎にデータブロックとパリティのセット1個ずつ読み出されるように構成した。このように配置することで、後述のパイプライン処理により訂正処理を実行することが可能となる。また、上記配置を実施するために、データの先頭部分や終端部分でデータブロックが不足する場合があり、一部はディスクには記録されていないダミーデータを含むデータセットに対してパリティを生成するようにした。
【0049】
即ち、各光ディスク40にはクラスタ単位でデータが記録されており、1番左側の光ディスク40にはD1、D4、D7、P1,4,7、D13、D16のデータおよびパリティが記録されている。同様に左から2番目の光ディスク40にはD2、D5、Pd,2,5、D10、D14、D17のデータおよびパリティが記録されている。左から3番目の光ディスク40にはD3、Pd,d,3、D8、D11、D15、P8,11,15のデータおよびパリティが記録されているが、D8についてはユーザデータエリア上は欠陥クラスタであり、スペアエリアの交替クラスタに記録されている。最も右側の光ディスク40にはPd,d,d、D6、D9、D12、P6,9,12、D18のデータおよびパリティが記録されている。
【0050】
本実施例では、パリティ生成部17は3個のデータブロックにつき1個のパリティP1,4,7を生成する。また、一部のデータブロックをダミーデータとして、パリティPd,2,5などを生成する。また、訂正処理部17で3個のデータブロックD1、D4、D7と1個のパリティP1,4,7に対して訂正処理を行うと、D1、D4、D7と不連続なデータ列が生成されるので、データ分配部16は訂正結果の不連続なデータを再配置してD1、D2、D3と連続なデータ列に並べ替える機能を備える。
【0051】
図8は第2実施例における訂正処理の説明図であり、光ディスク装置コントローラの訂正処理の流れを示している。第1実施例と同様にパイプライン処理を行う。サイクル1において、データブロックD1をコントローラメモリ12の所定の領域に書き込む。サイクル2において、データブロックD4をコントローラメモリ12のデータブロックD1を書き込んだ領域と同じ領域に書き込む。また、データブロックD6をコントローラメモリ12の次の領域に書き込む。サイクル3において、データブロックD7をコントローラメモリ12のデータブロックD1とD4を書き込んだのと同じ領域に書き込む。また、データブロックD9をコントローラメモリ12のデータブロックD6を書き込んだのと同じ領域に書き込み、データブロックD8をコントローラメモリ12の次の領域に書き込む。
【0052】
サイクル4において、パリティP1,4,7をコントローラメモリ12のデータブロックD1、D4、D7を書き込んだのと同じ領域に書き込む。データブロックD12をコントローラメモリ12のデータブロックD6とD9を書き込んだのと同じ領域に書き込む。また、データブロックD11をコントローラメモリ12のデータブロックD8を書き込んだのと同じ領域に書き込む。以降のデータブロックについても同様である。
【0053】
サイクル5において、データブロックD1、D4、D7とパリティP1,4,7に対してエラー訂正処理(ECC1)を開始し、また、パリティP6,9,12を、コントローラメモリ12のデータブロックD6、D9、D12を書き込んだのと同じ領域に書き込む。また、データブロックD15をコントローラメモリ12のデータブロックD8とD11を書き込んだのと同じ領域に書き込む。以降のデータについても同様である。即ち、4サイクルをかけてデータブロックとパリティのセットを揃えていく。1サイクル毎に1セットずつ揃っていくので、それ以降は第1実施例と同様に、順次エラー訂正処理を実施していく。
【0054】
サイクルn+4において、データブロックD1、D4、D7とパリティP1,4,7に対するエラー訂正処理が完了し、次のサイクルn+5でコントローラメモリ12の所定の領域から訂正後のデータD1を読み出す。以下、サイクルn+6において、データD4を読み出し、サイクルn+7において、データD7を読み出す。即ち、1サイクル毎に1つのデータブロックを読み出していくことで、訂正が不連続に完了したデータを再配置してD1、D2、D3と連続なデータ列に並べ替えることができる。
【0055】
なお、本実施例では、例えばデータブロックD1、D4、D7とパリティP1,4,7を、コントローラメモリ12の同じ領域に書き込む構成を示したが、説明を簡略化するためであって、それに限るものではない。他の例としては、一定の規則性をのもとで異なる領域に書き込んでおいて、その規則性に基づいてデータを参照するように構成することができる。
【0056】
以上、本実施例で述べたように、RAID5あるいはRAID6とは異なるデータ配置に対してもパリティが付加されていれば本発明は有効であり、2台以下の光ディスク装置ユニット30を用いた構成とすることも可能である。
【実施例3】
【0057】
本発明の第3の実施例としての光ディスク装置の記録動作を説明する。なお、本実施例においては、光ディスク装置の構成と各光ディスク40のデータの配置は第1実施例と同様であり、説明を省略する。
【0058】
図9は第3実施例における記録処理のフローチャートである。なお、初期条件として、各光ディスク装置ユニット30は各々光ディスク40が装着されてセットアップ処理が済んでいるものとする。ホストコンピュータ20から記録命令を受け取って記録処理を開始すると、まずS30として、光ディスク装置コントローラ10はホストコンピュータ20から記録データの受信を開始する。
【0059】
S31として、データ処理部15のデータ分配部16は受信したデータを1クラスタに相当するデータ毎にデータブロックに分割し、S32として、パリティ生成部17は3個のデータブロック毎に1個のパリティブロックを生成する。更に、前述したように4つのデータ列に再構成していく。
【0060】
次いで、S33として光ディスク装置コントローラ10は各光ディスク装置ユニット30に記録命令を発行し、各光ディスク装置ユニット30は、S34として、各々受信した再構成されたデータ列をエンコードしてクラスタ単位でユーザデータエリアに記録していく。
【0061】
所定の数のクラスタが記録完了したら、各光ディスク装置ユニット30は、S35として、S34にて記録したデータを再生し、記録品質を評価する。
【0062】
S36において、記録品質の評価結果に基づいて分岐する。光ディスク装置ユニット30は所定の記録品質を確保できずに記録失敗と判定すると、S37として、光ディスク装置コントローラ10に欠陥情報として、記録失敗したデータブロックの論理アドレスと欠陥クラスタの物理セクタ番号を通知する。
【0063】
次いでS38として、光ディスク装置コントローラ10は受信した欠陥情報に基づいて、コントローラメモリ12の所定の領域に、通知してきた光ディスク装置ユニット30または光ディスク40のIDと、欠陥クラスタの物理セクタ番号と、論理アドレスおよび対応するデータブロックを保存する。記録失敗したデータがパリティブロックの場合も同様である。一方、S36において記録成功と判断した場合には、上記S37とS38の処理をスキップする。
【0064】
次いでS39において、各光ディスク装置ユニット30で記録するデータが最後まで記録し終わったかを判定し、途中であればS34に戻る。一方、データの最後まで記録が終わったら、S40として、光ディスク装置コントローラ10は各光ディスク装置ユニット30に交替記録命令を発行する。コントローラメモリ12に保存しておいた欠陥情報に基づいて、交替先をいずれの光ディスク40にするかを決定して結果をコントローラメモリ12に保存し、当該の光ディスク装置ユニット30に交替するデータブロックを送信する。
【0065】
交替記録命令を受けた光ディスク装置ユニット30は、S41として、受信したデータブロックを光ディスク40のスペアエリアの交替セクタに記録し、通常の記録時と同様に、S35として、記録したクラスタを再生して記録品質を評価する。また、S36として、評価結果で分岐を行い、記録失敗と判定した場合には、S41に戻って再度先ほどとは異なる交替クラスタに記録する。
【0066】
一方、記録が成功した場合には、交替クラスタの物理セクタ番号を光ディスク装置コントローラ10に通知する。光ディスク装置コントローラ10はコントローラメモリ12の保存してある欠陥情報に交替クラスタの情報を追加して更新する。また、欠陥クラスタのある光ディスク40の欠陥リスト46を更新するために、当該の光ディスク装置ユニット30に欠陥情報を送信し、S44において、光ディスク装置ユニット30は光ディスク40の欠陥リスト46を記録して更新する。なお、本実施例における欠陥リスト46のフォーマットについては後述する。全ての光ディスク40の欠陥リスト46の更新が完了すると、S45において、光ディスク装置コントローラ10はホストコンピュータ20に記録終了の通知を行い、記録処理を完了する。
【0067】
図10は、第3実施例における欠陥リストのフォーマットを示す図である。図4に示した第1実施例の欠陥リストのフォーマットとの違いは、状態1の上位1ビットと状態2の上位2ビットの合計3ビットを、交替クラスタのある光ディスク40または対応する光ディスク装置のIDフラグとして割り当てる点である。
【0068】
IDフラグ3ビットが000の場合には、欠陥クラスタのある光ディスク40と同じ光ディスクに交替クラスタがあることを示すように定義する。このように定義することで、第1実施例の欠陥リストにおいて、状態1のフラグが下位3ビットまで定義され、状態2のフラグが下位2ビットまで定義されている場合に、互換性を確保できる。
【0069】
また、光ディスク装置ユニット30の装置IDを0、1、2、3と定義しておいて、IDの3ビットが001の場合には、例えば自身の装置IDが1であれば2を、2であれば3を、3であれば0を指し示すように定義する。光ディスク装置ユニット30が4台の場合にはIDフラグは2ビットで十分である。
【0070】
本実施例では、交替クラスタを他のディスクに記録することで、特定のディスクばかりに欠陥クラスタが多いような場合においても、当該ディスクのスペアエリアの消費を抑制して、スペアエリアを適正に使用することが可能である。しかしながら、これに限るものではなく、交替クラスタを欠陥クラスタと同一のディスクのみとしてもよく、その場合には、光ディスク装置コントローラ10を介さずに欠陥リスト46の更新が可能であり、またスペアエリアの使用状況を光ディスク装置ユニット30毎に認識することが可能という利点がある。
【0071】
なお、本実施例では交替クラスタはスペアエリアに確保しておく構成を示したが、これに限らず、ユーザデータエリアに交替クラスタを確保することも可能である。その場合、スペアエリアを予め確保しておく必要がなく、光ディスク40の容量を最大限有効に利用することが可能である。
【0072】
また、交替処理に入る前に、記録失敗したクラスタを含むデータを再生し、光ディスク装置10においてエラー訂正を行い、訂正が可能な場合には交替記録を行わないことも可能である。交替クラスタを記録する時間を短縮とスペアエリアの使用率を低減することができる。以上、本実施例で述べたように、本発明によれば、光ディスク装置の記録時において交替処理を適正化し、速度低下を抑制して安定な転送レートで記録が可能である。
【実施例4】
【0073】
本発明の第4の実施例としての光ディスク装置の再生開始動作を説明する。なお、本実施例においては、光ディスク装置の構成と各光ディスク40のデータの配置は第1実施例と同様であり、説明を省略する。
【0074】
図12は第4実施例における記録処理のフローチャートである。なお、初期条件として、各光ディスク装置ユニット30は各々光ディスク40が装着されてセットアップ処理が済んでいるものとする。ホストコンピュータ20から再生命令を受け取って再生処理を開始すると、まずS50として、光ディスク装置コントローラ10は各光ディスク装置ユニット30に対してドライブインタフェース14を介して再生命令を発行する。
【0075】
S51として、各光ディスク装置ユニット30は受け取った再生命令に従い、再生を実施するユーザデータエリアの物理セクタ番号に関してドライブメモリ33の欠陥リスト46を参照する。
【0076】
S52として、欠陥リスト46の登録有無で分岐を行う。登録が有る場合には図1のS15に遷移し、以降は図1と同様のシーケンスとなるため、以降の説明を省略する。登録が無い場合には、S53として、ユーザデータエリアの当該物理セクタ番号のクラスタに記録されているデータを再生するために再生を開始するクラスタの手前にトラックジャンプする。
【0077】
S54としてトラックジャンプ後に着地したクラスタを読み出して、再生開始クラスタからの差を計算して比較し、最も再生開始クラスタから遠いクラスタに着地した光ディスク装置ユニット30が他の全ての光ディスク装置ユニット30の着地クラスタよりも1クラスタ以上離れていた場合と離れていない場合で処理を分岐する。1クラスタ以上離れてない場合、図1のS13に遷移する。その後の動作は図1と同様であるため、説明を省略する。1クラスタ以上離れている場合、S55として1トラック以上先のクラスタにシークし、S56としてスキップしたクラスタ分RAIDコントローラにダミーデータを送信し、その後、図1のS16に遷移する。以後の動作は図1と同様であるため説明を省略する。これにより、最も再生開始クラスタから遠いクラスタに着地した光ディスク装置ユニット30のシーク動作完了を待つことなく、他の光ディスク装置で再生したパリティブロックに基づきエラー訂正処理を行いながら迅速にデータ再生処理を開始することができる。さらに、最も再生開始クラスタから遠いクラスタに着地した光ディスク装置ユニット30が、1トラック以上先の上記クラスタにシーク動作完了後、当該光ディスク装置ユニット30の再生データを含めた並列処理に移行することが望ましい。データ再生の信頼性をより向上させるためである。
【0078】
なお、本実施例においてはRAID5に準じたパリティの付加とデータブロック配置に基づいて説明したが、RAID6と呼ばれるRAID構成に準じてパリティを2個付加するように構成すれば、2台の光ディスク装置ユニット30が他の全ての光ディスク装置ユニット30より1クラスタ以上離れていた場合にもその2台で1トラック以上先のクラスタにシークすることにより安定した転送レートを実現可能である。パリティを2個付加する構成では1台で交替が取られていても1台の着地クラスタが交替が取られている光ディスク装置ユニット30を除く他の全ての光ディスク装置ユニット30に対して1クラスタ以上離れていることを検出することによってS55以降の動作を行うことが可能である。
【0079】
また、本実施例において1クラスタ以上離れていることを条件としたが、この値は1クラスタに限るものではなく、所定のクラスタ数を条件とすることが可能である。また、クラスタ以外の光ディスク40上のデータの位置を特定可能な他の単位で行うことも可能であり、例えば、セクタ数、AUN(Address Unit Number)数、PAA(Physical ADIP Address、 ただしADIPはAddress in Pre−grooveの略称)数などで判定することが可能である。
【0080】
また、本実施例においてはトラックジャンプ後に着地したクラスタを比較する前提で説明したが、現在走査中の位置情報、再生開始位置情報、光ディスク40の回転速度、光ピックアップ32の移動速度からトラックジャンプ実行前にトラックジャンプ後の着地クラスタの予測値を計算し、各々の光ディスク装置ユニット30の予測値を比較し、最も再生開始クラスタから遠いクラスタに着地することが予測される光ディスク装置ユニット30のシークを1トラック以上先のクラスタへのシークに変更することも可能である。
【0081】
また、本実施例においては全ての光ディスク装置ユニット30が同時にシークする前提で説明したが、一部の光ディスク装置ユニット30のみシークする場合もシークしない光ディスク装置ユニット30では再生開始クラスタの直前に着地したものと見なすことで本実施例と同様の処理を実施することが可能である。
【0082】
以上、本実施例で述べたように、本発明によれば、光ディスク装置の再生開始時においてシーク動作を適正化し、速度低下を抑制して安定な転送レートで再生が可能である。
【0083】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであって、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0084】
また、上記の各構成は、それらの一部又は全部が、ハードウェアで構成されても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0085】
10・・・光ディスク装置コントローラ、11・・・コントローラ制御部、12・・・コントローラメモリ、13・・・ホストインタフェース、14・・・ドライブインタフェース、15・・・データ処理部、30・・・光ディスク装置ユニット、31・・・ドライブ制御部、32・・・光ピックアップ、33・・・ドライブメモリ、34・・・コントローラインタフェース、35・・・欠陥処理部、40・・・光ディスク、46・・・欠陥リスト、50・・・ディスク回転機構、51・・・スライダ機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々光ディスクに対して記録再生が可能な複数の光ディスク装置ユニットにより複数の光ディスクから並列に複数のデータブロック読み出し、データを再生する光ディスク再生方法であって、
複数の光ディスクの各々の再生開始クラスタよりも前のクラスタに並列に複数の光ディスク装置ユニットのシークを行い、
各光ディスク装置ユニットがシークする着地クラスタを各々検出し、
各々検出した各光ディスク装置ユニットの着地クラスタに応じて、所定の光ディスク装置ユニットは1トラック以上先のクラスタにシークし、且つ、他の光ディスク装置ユニットは複数の光ディスク各々の再生開始クラスタから複数のデータブロックとパリティブロックを並列に読み出し、
並列に読み出した当該複数のデータブロックと当該パリティブロックに対して第1のエラー訂正処理を行ってデータの再生を開始することを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク再生方法であって、
前記所定の光ディスク装置ユニットは、各々の再生開始クラスタよりも前のクラスタに並列に複数の光ディスク装置ユニットのシークを行った際、前記再生開始クラスタからの距離が最も離れたクラスタに着地した光ディスク装置ユニットであることを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項3】
請求項2に記載の光ディスク再生方法であって、
前記複数の光ディスクは、欠陥クラスタのアドレスと、該欠陥クラスタに対応する交替クラスタのアドレスとを記録した欠陥リストを備え、
前記第1のエラー訂正処理を行なう際、欠落したデータブロックが復元不能であると、前記欠陥リストを参照し、参照結果に基づいて交替クラスタのデータブロックを読み出し、
前記交替クラスタから読み出したデータブロックを含む前記複数のデータブロックと前記パリティブロックに対して第2の前記エラー訂正処理を行ってデータの再生を開始し、
前記所定の光ディスク装置ユニットは1トラック以上先のクラスタにシークする際、エラー訂正処理を行うデータ処理部へダミーデータを送信することを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項4】
請求項1に記載の光ディスク再生方法であって、
再生を開始する前期複数のデータブロックと前記パリティブロックが記録されている各々の再生開始クラスタよりも前のクラスタにシークを行う前に、前記複数の光ディスク装置ユニットのシークの着地位置を当該シーク実行前に各々予測し、前記各々の再生開始クラスタから最も離れたクラスタに着地することが予想される光ディスク装置ユニットのシーク目標クラスタを1トラック以上先のクラスタに変更してシークすることを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項5】
複数の光ディスク装置ユニットにより複数の光ディスクから並列に複数のデータブロック読み出し、データを再生する光ディスク装置であって、
複数の光ディスクに対して情報を並列に読出し、出力する複数の光ディスク装置ユニットと、
前記複数の光ディスク装置ユニットから出力された情報に基づいてエラー訂正処理を行ってデータを再生するデータ処理部と、
前記複数の光ディスク装置ユニットと前記データ処理部とを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記複数の光ディスク装置ユニットを複数の光ディスクの各々の再生開始クラスタよりも前のクラスタに並列にシークさせ、各光ディスク装置ユニットがシークする着地クラスタを各々検出し、各々検出した各光ディスク装置の着地クラスタに応じて、所定の光ディスク装置ユニットを1トラック以上先のクラスタにシークさせ、且つ、他の光ディスク装置ユニットは複数の光ディスク各々の再生開始クラスタから複数のデータブロックとパリティブロックを並列に読み出しを行なうよう制御し、且つ、並列に読み出した当該複数のデータブロックと当該パリティブロックに対して第1のエラー訂正処理を行ってデータの再生を開始するよう前記データ処理部を制御することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光ディスク装置であって、
前記所定の光ディスク装置ユニットは、各々の再生開始クラスタよりも前のクラスタに並列に複数の光ディスク装置ユニットのシークを行った際、前記再生開始クラスタからの距離が最も離れたクラスタに着地した光ディスク装置ユニットであることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光ディスク装置であって、
前記複数の光ディスクは、欠陥クラスタのアドレスと、該欠陥クラスタに対応する交替クラスタのアドレスとを記録した欠陥リストを備え、
前記制御部は、前記データ処理部が前記第1のエラー訂正処理を行なう際、欠落したデータブロックが復元不能であると、前記欠陥リストを参照し、参照結果に基づいて交替クラスタのデータブロックを読み出すよう前記光ディスク装置ユニットを制御し、前記交替クラスタから読み出したデータブロックを含む前記複数のデータブロックと前記パリティブロックに対して第2の前記エラー訂正処理を行ってデータの再生を開始するよう前記データ処理部を制御し、前記所定の光ディスク装置ユニットには1トラック以上先のクラスタにシークする際、前記データ処理部へダミーデータを送信させることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項5に記載の光ディスク装置であって、
前記制御部は、再生を開始する前期複数のデータブロックと前記パリティブロックが記録されている各々の再生開始クラスタよりも前のクラスタにシークを行う前に、前記複数の光ディスク装置ユニットのシークの着地位置を当該シーク実行前に各々予測し、前記各々の再生開始クラスタから最も離れたクラスタに着地することが予想される光ディスク装置ユニットのシーク目標クラスタを1トラック以上先のクラスタに変更してシークさせることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項1】
各々光ディスクに対して記録再生が可能な複数の光ディスク装置ユニットにより複数の光ディスクから並列に複数のデータブロック読み出し、データを再生する光ディスク再生方法であって、
複数の光ディスクの各々の再生開始クラスタよりも前のクラスタに並列に複数の光ディスク装置ユニットのシークを行い、
各光ディスク装置ユニットがシークする着地クラスタを各々検出し、
各々検出した各光ディスク装置ユニットの着地クラスタに応じて、所定の光ディスク装置ユニットは1トラック以上先のクラスタにシークし、且つ、他の光ディスク装置ユニットは複数の光ディスク各々の再生開始クラスタから複数のデータブロックとパリティブロックを並列に読み出し、
並列に読み出した当該複数のデータブロックと当該パリティブロックに対して第1のエラー訂正処理を行ってデータの再生を開始することを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク再生方法であって、
前記所定の光ディスク装置ユニットは、各々の再生開始クラスタよりも前のクラスタに並列に複数の光ディスク装置ユニットのシークを行った際、前記再生開始クラスタからの距離が最も離れたクラスタに着地した光ディスク装置ユニットであることを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項3】
請求項2に記載の光ディスク再生方法であって、
前記複数の光ディスクは、欠陥クラスタのアドレスと、該欠陥クラスタに対応する交替クラスタのアドレスとを記録した欠陥リストを備え、
前記第1のエラー訂正処理を行なう際、欠落したデータブロックが復元不能であると、前記欠陥リストを参照し、参照結果に基づいて交替クラスタのデータブロックを読み出し、
前記交替クラスタから読み出したデータブロックを含む前記複数のデータブロックと前記パリティブロックに対して第2の前記エラー訂正処理を行ってデータの再生を開始し、
前記所定の光ディスク装置ユニットは1トラック以上先のクラスタにシークする際、エラー訂正処理を行うデータ処理部へダミーデータを送信することを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項4】
請求項1に記載の光ディスク再生方法であって、
再生を開始する前期複数のデータブロックと前記パリティブロックが記録されている各々の再生開始クラスタよりも前のクラスタにシークを行う前に、前記複数の光ディスク装置ユニットのシークの着地位置を当該シーク実行前に各々予測し、前記各々の再生開始クラスタから最も離れたクラスタに着地することが予想される光ディスク装置ユニットのシーク目標クラスタを1トラック以上先のクラスタに変更してシークすることを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項5】
複数の光ディスク装置ユニットにより複数の光ディスクから並列に複数のデータブロック読み出し、データを再生する光ディスク装置であって、
複数の光ディスクに対して情報を並列に読出し、出力する複数の光ディスク装置ユニットと、
前記複数の光ディスク装置ユニットから出力された情報に基づいてエラー訂正処理を行ってデータを再生するデータ処理部と、
前記複数の光ディスク装置ユニットと前記データ処理部とを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記複数の光ディスク装置ユニットを複数の光ディスクの各々の再生開始クラスタよりも前のクラスタに並列にシークさせ、各光ディスク装置ユニットがシークする着地クラスタを各々検出し、各々検出した各光ディスク装置の着地クラスタに応じて、所定の光ディスク装置ユニットを1トラック以上先のクラスタにシークさせ、且つ、他の光ディスク装置ユニットは複数の光ディスク各々の再生開始クラスタから複数のデータブロックとパリティブロックを並列に読み出しを行なうよう制御し、且つ、並列に読み出した当該複数のデータブロックと当該パリティブロックに対して第1のエラー訂正処理を行ってデータの再生を開始するよう前記データ処理部を制御することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光ディスク装置であって、
前記所定の光ディスク装置ユニットは、各々の再生開始クラスタよりも前のクラスタに並列に複数の光ディスク装置ユニットのシークを行った際、前記再生開始クラスタからの距離が最も離れたクラスタに着地した光ディスク装置ユニットであることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光ディスク装置であって、
前記複数の光ディスクは、欠陥クラスタのアドレスと、該欠陥クラスタに対応する交替クラスタのアドレスとを記録した欠陥リストを備え、
前記制御部は、前記データ処理部が前記第1のエラー訂正処理を行なう際、欠落したデータブロックが復元不能であると、前記欠陥リストを参照し、参照結果に基づいて交替クラスタのデータブロックを読み出すよう前記光ディスク装置ユニットを制御し、前記交替クラスタから読み出したデータブロックを含む前記複数のデータブロックと前記パリティブロックに対して第2の前記エラー訂正処理を行ってデータの再生を開始するよう前記データ処理部を制御し、前記所定の光ディスク装置ユニットには1トラック以上先のクラスタにシークする際、前記データ処理部へダミーデータを送信させることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項5に記載の光ディスク装置であって、
前記制御部は、再生を開始する前期複数のデータブロックと前記パリティブロックが記録されている各々の再生開始クラスタよりも前のクラスタにシークを行う前に、前記複数の光ディスク装置ユニットのシークの着地位置を当該シーク実行前に各々予測し、前記各々の再生開始クラスタから最も離れたクラスタに着地することが予想される光ディスク装置ユニットのシーク目標クラスタを1トラック以上先のクラスタに変更してシークさせることを特徴とする光ディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−114704(P2013−114704A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258426(P2011−258426)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
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