光ディスク再生装置およびローダの移動速度制御方法
【課題】
ローダが移動し始めた直後やローダの移動が停止する直前で当該ローダに振動が生じたり、ローダから騒音が発生することを防止することができるようにする。
【解決手段】
駆動部は、前記ローダと一体的に移動するラックおよび該ラックに噛合し、モータにより回転されるギアを有し、該ギアは楕円ギアと正円ギアとの組み合わせからなり、ラックの楕円ギアおよび正円ギアとの噛合を前記ローダの位置に応じて切り替える。
ローダが移動し始めた直後やローダの移動が停止する直前で当該ローダに振動が生じたり、ローダから騒音が発生することを防止することができるようにする。
【解決手段】
駆動部は、前記ローダと一体的に移動するラックおよび該ラックに噛合し、モータにより回転されるギアを有し、該ギアは楕円ギアと正円ギアとの組み合わせからなり、ラックの楕円ギアおよび正円ギアとの噛合を前記ローダの位置に応じて切り替える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクを再生するディスク再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の前後にスライドするローダにディスクを載置することにより、ディスクを筐体内に引き込む構成のディスク再生装置におけるローダ駆動部の構造は、図1に示すように、上面に凹部を有するローダを備え、ローダの下部に前後に直線状をなす1本の歯状のラックを設け、ローダの凹部にディスクを載置し、そのラックに噛合する正円ギアをモータによって回転させることによってローダを前後にスライドする構造(例えば特許文献1及び特許文献2参照。)となっている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−022664号公報
【特許文献2】特開平6−251481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1に示すように、モータ4の回転軸に固定された正円ギア3−1とローダ1の下面に備えるラック2とを噛合させ、モータ4の回転力によってローダ1を前後にスライド、すなわち移動(以下、「移動」で説明する。)させる構造を備える従来のディスク再生装置では、ローダ1の前方への移動を所望の位置で停止させたり、ローダ1を後方へ移動させる際にローダ1の先端に固定されたローダパネル6と筐体11の前面に備える前面パネル5との位置とが略同一面となった位置からローダ1の後方への移動を停止させたいと希望する場合、このローダ1の前方への移動と後方への移動を抑制するストッパーを筐体内部に備え、当該ストッパーに移動途中のローダ1が当接し、当該ローダ1の前方または後方への移動を停止させる構造とする必要がある。
【0005】
このような構造とした場合、モータの回転によって前方または後方へ移動するローダ1が当該ローダの停止位置においてストッパーに当接すると、このストッパーと当接した衝撃力によってローダ自体に振動が発生する。
【0006】
また、モータ4の回転軸に固定された正円ギア3−1とローダ1の下面に備えるラック2とを噛合させ、モータ4の回転力によってローダ1を前後に移動させる構造の場合、モータ4の回転が停止した状態から当該モータ4が高速で回転を開始すると、モータ4の回転力が正円ギア3−1を介して急激にラック2に伝達するため、ローダ1が移動し始めた直後に、当該ローダ自体に振動が発生する。
【0007】
このように、ローダが停止した状態から急に移動しはじめた直後や、移動しているローダ1が停止する直前にローダ自体に振動が発生してしまうと、ローダ1の上面の凹部2−4に載置したディスク10が当該凹部2−4から外れてしまうことがある。また、ローダ1が移動し始めた直後や、停止する直前にローダ自体に生じた振動が騒音となり、ディスク再生装置の品位が低下する要因でもあった。更に、例えば、ローダパネル6の前方の位置に使用者が指を出しているときに、不用意にイジェクトボタン等を押してしまうと、筐体内部に引き込まれたローダ1が急に前方に飛び出し、ローダパネル6が使用者の指にぶつかってしまうことがある。また、ローダ1を前方へ引き出した状態でディスク10を取り出しや凹部2−4への載置をしようとしている最中に、不用意にイジェクトボタン等を押してしまうと、急激なローダ1の引き込みによって当該ローダパネル6と前面パネル5との間に使用者の指が挟まってしまうことがある。
【0008】
このため、ローダ1が停止した状態から急に移動し始めた直後や、移動しているローダ1が停止する直前にローダ自体に振動が発生するのを防止するために、ローダ1が移動を開始した後に正円ギア3−1を駆動するモータ4の回転速度を徐々に上げる制御を行ったり、また、ローダ1の移動を所望する位置で停止させるまでに、正円ギア3−1を駆動するモータ4の回転速度を徐々に上げる制御を行うことが必要であった。
【0009】
しかしながら、ローダ1を移動させ始めた後に正円ギア3−1を駆動するモータの回転速度を徐々に大きくしたり、ローダ1の前方または後方の移動が完了するまでに正円ギア3−1を駆動するモータ4の回転速度を徐々に小さくするためには、モータ4の回転速度を変化させるための制御回路が必要となり、ディスク再生装置の製品コストが上昇してしまう。また、ローダ1の前方への移動が完了する時点やローダ1の後方への移動が完了するまでにモータ4の回転速度を変化させるためには、ローダ1の移動位置を検出するための検出部が必要となり、ディスク再生装置の製品コストが上昇してしまう。
【0010】
本願発明は、ディスクを載置するローダを前後に移動させてディスクの取り込みまたは取り出しを行うディスク再生装置において、簡単な構成で、ローダの急激な飛び出しや引き込み動作によって、使用者の指にローダパネルがぶつかったり、ローダパネルと前面のパネルとの間に指が挟まってしまうのを防止するとともに、ローダが移動し始めた直後やローダの移動が停止する直前で当該ローダに振動が生じたり、ローダから騒音が発生することを防止することができるディスク再生装置およびローダの移動速度制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ピックアップユニットを搭載し、ディスクを回転支持するターンテーブルを有するメカユニットと、前記ディスクを所定の再生位置と引き出し位置に移動させるローダと、該ローダを駆動する駆動部を備えるディスク再生装置において、
前記駆動部は、前記ローダと一体的に移動するラックおよび該ラックに噛合し、モータにより回転されるギアを有し、該ギアは楕円ギアと正円ギアとの組み合わせからなり、前記ラックの前記楕円ギアおよび前記正円ギアとの噛合を前記ローダの位置に応じて切り替えること
を特徴とするディスク再生装置を提供する。
【0012】
上述のディスク再生装置において、前記ラックは前記楕円ギアおよび前記正円ギアに噛合する並設された2つのラックから構成され、前記楕円ギアに噛合するラックは前記正円ギアに噛合する前記ラックの端部に配設されることを特徴とするディスク再生装置を提供する。
【0013】
また、上述のディスク再生装置において、前記楕円ギアは、該楕円ラックに噛合するラックとの端部における噛合の時に噛合速度は最小とされ、端部から内側における噛合につれて噛合速度が増大するように配置されることを特徴とするディスク再生装置を提供する。
【0014】
また、本発明は、ピックアップユニットを搭載し、ディスクを回転支持するターンテーブルを有するメカユニットと、前記ディスクを所定の再生位置と引き出し位置に移動させるローダと、該ローダを駆動する駆動部を備え、該駆動部は、前記ローダと一体的に移動するラックおよび該ラックに噛合し、モータにより回転されるギアを有し、該ギアは楕円ギアと正円ギアとの組み合わせからなるディスク再生装置のローダの移動速度制御方法において、
前記ラックと前記楕円ギアの噛合を前記ラックの端部において前記楕円ギアの前記ラックとの噛合速度を前記正円ギアの前記ラックとの噛合速度に比べて小さくして前記ローダの移動速度を落とし、所定の位置において前記楕円ギアの前記ラックとの噛合速度を前記正円ギアの前記ラックとの噛合速度と同一にして前記ローダの移動速度を前記正円ギアとの噛合の場合の速度と同一にしたこと
を特徴とするディスク再生装置のローダの移動速度制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のディスク再生装置によれば、ディスクを載置するローダを前後に移動させてディスクの取り込みまたは取り出しを行うディスク再生装置において、簡単な構成で、ローダの急激な飛び出しや引き込み動作によって、使用者の指にローダパネルがぶつかたり、ローダパネルと前面パネルとの間に指が挟まってしまうのを防止すると共に、ローダが移動し始めた直後やローダの移動が停止する直前で当該ローダに振動が生じたり、ローダから騒音が発生することを防止することができるディスク再生装置およびローダの移動速度制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施例であるディスク再生装置は、ピックアップユニットを搭載し、ディスクを回転支持するターンテーブルを有するメカユニットと、前記ディスクを所定の再生位置と引き出し位置に移動させるローダと、該ローダを駆動する駆動部を備えるディスク再生装置であって、前記駆動部は、前記ローダと一体的に移動するラックおよび該ラックに噛合し、モータにより回転されるギアを有し、該ギアは楕円ギアと正円ギアとの組み合わせからなり、前記楕円ギアは前記ラックと噛合において前記正円ギアと同一の噛合速度となるギア歯部とその配置構造および前記噛合速度よりも小さな噛合速度となるギア歯部とその配置構造を備え、前記ラックの前記楕円ギアおよび前記正円ギアとの噛合を前記ローダの位置に応じて切り替えるようにして構成される。
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0018】
本実施例に係るディスク再生装置の構成について、まず、図2〜5を用いて説明する。図2は実施例のディスク再生装置におけるローダ1を完全に出し切った状態(移動端)を示す斜視図,図3はその時のローダ1側面図、図4は背面図、図5は下面図である。図1と同一の構成には同一の番号を用いる。
【0019】
本実施例のディスク再生装置20は、前面に前面パネル5が固定された筐体11を備える。前面パネル5には開口部5−1が設けられる。筐体11の内部には、図示しない再生ベース部が固定されており、この再生ベース部は、ローダ1、ギア部3、モータ4及び図示しないディスク再生部を備える。ローダ1の前部にはローダパネル6が固定されている。前面パネル5の後面にはローダパネル6が前面パネル5より後方へ移動しないようにローダパネル6の後方への移動を制約するストッパー5−2を備える。また、ローダ1の後方には、ローダ1が前方へ完全に出た状態でストッパー5−2と当接し、ローダ1が前方へ完全に出た状態から更にローダ1が前方へ移動するのを制約するためのアーム2−5を備える。
【0020】
ディスク再生部は、図示しないターンテーブル、スピンドルモータ、ピックアップ部、クランパ、ピックアップ駆動部、再生駆動部、クランパ駆動部及び制御部により構成されている。
【0021】
モータ4は、制御部からの指示により回転軸を回転または停止する。モータ4の回転軸には正円ギア3−1と楕円ギア3−2を有するギア部3を備える。
【0022】
ローダ1の下面には前方ラック部2−3、中央ラック部2−2及び後方ラック部2−1を備えたラック2を中央ラック部2−2に対して前方ラック部2−3,後方ラック部2−4は並行配置される。中央ラック部2−2は正円ギア3−1と噛合ように形成され、また、前方ラック部2−3及び後方ラック部2−1は楕円ギア3−2と噛合うように形成されている。モータ4は、制御部の制御によりギア部3を回転させ、ギア部3と噛合った前方ラック部2−3、中央ラック部2−2または後方ラック部2−1を前後に駆動させることによってローダ1を前後方向へ移動する。ギア部3の正円ギア3−1及び楕円ギア3−2と、前方ラック部2−3、中央ラック部2−2及び後方ラック部2−1との位置及び噛合いのタイミングについては後述する。
【0023】
再生駆動部は、スピンドルモータ及ピックアップ駆動部を固定し、制御部の制御により垂直方向へ駆動する。クランパ駆動部は、制御部の制御によりクランパを垂直方向へ駆動する。ターンテーブル及びクランパは、再生駆動部及びクランパ駆動部の駆動によって筐体11の内部に搬送されたディスク10を狭持する。ターンテーブルは、スピンドルモータが回転することによってディスク10を回転させる。ピックアップ部は、ピックアップ駆動部によりディスク10の径方向へ移動し、ディスク10に記録されているデータを読み取る。ピックアップ部によって読み取られたデータは図示しないデータ再生回路によって再生される。
【0024】
以上により、ディスク再生装置20は、ディスク10に記録されたデータを再生する。
【0025】
図2において、1はローダであり、筐体11内部に矢印方向にて摺動可能な状態に保持されている。3は楕円ギア3−2と正円ギア3−1が並列して2段に配置されたギア部であり、筐体11内部に固定されたモータ4のシャフトに回転支持されている。
【0026】
前方ラック部2−3、後方ラック部2−1は端に向かって次第に下方に向けて幅を広げた三角形状とされている。これは、前方ラック部2−3,後方ラック部2−1の外方の終端において楕円ギア3−2は水平配置となり、前方ラック部2−3、後方ラック部2−1の円方の終端で90度回転した垂直配置となるため、水平配置の楕円ギア3−3と噛合させるための構造とすることによる。このように、楕円ギア3−2は、ラック2との噛合において正円ギア3−1と同一の噛合速度となるギア歯部とその配置構造およびこの噛合速度よりも小さな噛合速度となるギア歯部とその配置構造を備える。ラック2の楕円ギア3−2および正円ギア3−1との噛合がローダ1の位置に応じて切り替わる。図2はローダ1が開ききった状態を示しているが、この状態においては、楕円ギア3−2がローダ1の下部の後方に配置された楕円ギア3−2用の後方ラック部2−1と噛み合っている。この時、正円ギア3−1と正円ギア3−1用の中央ラック部2−2は、噛み合う状態にはない。図4、5に後方ラック部2−1、中央ラック部2−2、前方ラック部2−3の配置状態を示す。図4、5に示すように、後方ラック部2−1、前方ラック部2−3はギア部3の軸線方向に中央ラック部2−2から‘a’だけ離れて、平行に配置されている。図3に示す後方ラック部2−1及び前方ラック部2−3のピッチ線は、図6に示す楕円ギア3−2のピッチ線pに合わせて設定されている。図5に示すように、後方ラック部2−1の前端の歯と、前方ラック部2−3の後端の歯は、中央ラック部2−2の前端及び後端の歯b部と同一の位相にて配置されている。
【0027】
図6にて楕円ギア3−2と正円ギア3−1の詳細を説明する。楕円ギア3−2と正円ギア3−1は一体組み立て体とされ、同ピッチを有し、軸axを回転中心に持つ。一定回転数でギア部3が回転する時、点eと点dの線速度を比較すると点eの回転半径は点dの回転半径と比較し小である為、点eの線速度<点dの線速度となり、また点dの線速度=正円ギア3−1の歯先の線速度となる。すなわち、楕円ギア3−2と正円ギア3−1の共有歯部Cでは、両ギアの線速度は同一となる。このように噛合の位置で変化する線速度を本実施例では噛合速度と呼ぶことにする。図2の状態からローダ2の引き込みを開始すると、当初楕円ギア3−2の回転半径の小さい部分で噛み合っている為、噛合速度が小さく、ローダ1の移動速度はわずかであるが、モータ4の回転が進みにつれて、前方ローダ2−3と噛み合っている楕円ギア部3の部分の回転半径が徐々に増大し、噛合速度も次第に増加し、ローダ1の後方への移動速度も滑らかに増加する。
【0028】
更にモータ4の回転が進むと図7に示すように、図6で示した共有歯部Cが、図5に示すb部に噛み合っている状態に達する。この状態では、共有歯部Cが後方ラック部2−1、中央ラック部2−2と同時に噛み合っている為、楕円ギア3−2の駆動力はスムーズに、正円ギア3−1により中央ラック部2−2に移行することになる。図9に駆動力が正円ギア3−1に切替り、正円ギア3−1が中央ラック部2−2と噛み合っている状態を示す。この状態においては、モータ5の回転速度が一定の場合、正円ギア3−1の線速度が一定の為、ローダ1の移動速度も一定である。
【0029】
図11は正円ギア3−1が図5に示す中央ラック部2−2の前端部a付近に位置している状態を示している。この状態から、図12に示すように、図6(b)に示す共有歯部Cが前方ラック部2−3、中央ラック部2−2と同時に噛み合っている状態になると前記図7に示した状態と同様に、正円ギア3−1の駆動力はスムーズに、楕円ギア3−2により前方ラック部2−3に移行する。図13に楕円ギア3−2が前方ラック部2−3に噛み合った状態を示す。図12に示す状態では、当初は楕円ギア3−2の回転半径の大きい部分で噛み合っている為、噛合速度が大きく、ローダ1の移動速度は、正円ギア3−1とラック2−2が噛み合っている時と略同等であるが、前方ラック部2−3と噛み合う楕円ギア3−2の部分の回転半径が徐々に減少する為、噛合速度も次第に減少し、ローダ1の移動速度も滑らかに減少する。
【0030】
この後、図14に示すようにローダ1の前方のローダパネル6が前方パネル5の開口部に挿入され、前方パネル5の後面に備えたストッパー5−2によってローダパネル6の後方への移動が制約されることによってモータ5の回転が所定時間以上停止したときにローダ1が完全に閉めきった状態となったと判断して、制御部等がモータ5の駆動力の伝達を断ち切れば、ローダ1を移動させるためにモータ5を急に高速回転させてもその際の振動、騒音は僅かなものとなる。また、図13に示す状態からローダ1を前方へ移動させるためにモータ5を急に高速回転させた場合から図2に示すようにローダ1が完全に前方へ出た状態となるまでの間においても同様である。
【0031】
ローダ1が完全に前方へ出た状態はローダ1のアーム2−5がストッパー5−2と当接することによってローダ1の前方への移動が制約されたことによってモータ4の回転が所定時間以上停止したときに、ローダ1が完全に前方へ突出したと判断し、制御部がモータ4への電力の供給を断ち切ることによってローダ1を完全に前方へ出した状態の時点で、ローダ1に振動が生じたりしてしまうことがない。
【0032】
本実施例のディスク再生装置により、ローダ1を楕円ギア用、正円ギア用とそれらに対応するラックで駆動することが可能となるので、ローダ1を筐体11の外部に押出す時及び引き込む時、モータ5の回転数を変化させなくとも、線速度が滑らかに変化する為、ローダ1に振動、異音が発生せず、品位上問題となる事はない。また、本実施例のディスク再生装置20は、ローダ1が開き切る直前の状態及び閉まりきる直前の状態を検出するSWを設けなくとも、線速度が滑らかに変化する。
【0033】
本実施例のディスク再生装置20は、ローダパネル6の後方への移動を制約するストッパー5−2を備え、また、ローダ1が前方へ完全に出た状態から更にローダ1が前方へ移動するのを制約するためのアーム2−5を供える構成としたが、これらのストッパー5−2及びアーム2−5に替えて、ローダ1が筐体内部の所定の位置に移動した状態やローダ1が所定の前方の位置へ突出した状態を電気的に検出する検出スイッチ等を備える構成とし、この検出スイッチによるローダ1の位置の検出によってモータ4の回転をオン・オフにする構成としても良い。
【0034】
本実施例のディスク再生装置20は、ローダ1の下面に前方ラック部2−3、中央ラック部2−2および後方ラック部2−1を備える構成としたが、ローダ1の側面にこれらのラックを備え、ギア部3がこれらのローダ1に噛合する位置とする構成としても良い。また、本実施例のディスク再生装置20は、モータ4の回転軸に正円ギア3−1及び楕円ギア3−2が固定されたギア部3を備え、このギア部3がローダ1に備えるそれぞれのラックに噛合する構成としたが、モータ4の回転速度や希望するローダ1の移動速度に応じて、モータ4の回転軸とギア部3の間に他のギア部を噛合させたり、ギア部3とそれぞれのラック間に他のギア部を噛合させる構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来のディスク再生装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は実施例におけるディスク再生装置のローダ1を完全に出し切った状態(移動端)のディスク搬送装置の斜視図を示し、図2(b)は図2(a)の一部拡大図である。
【図3】ローダの側面図である。
【図4】図2に示すローダの背面図である。
【図5】図2に示すローダの下面図である。
【図6】楕円ギア3−2と正円ギア3−1を示す図であり、図6(a)は正面図、図6(b)は斜視図である。
【図7】図7(a)は図6に示す共有歯部Cが、図5に示すb部に噛み合っている状態を示す図であり、図7(b)は図7(a)の一部拡大図である。
【図8】図7の側面図である。
【図9】図9(a)は正円ギア3−1に切替り、中央ラック部2−2と噛み合っている状態を示す図であり、図9(b)は図9(a)の一部拡大図である。
【図10】図9の側面図である。
【図11】図11(a)は正円ギア3−1が中央ラック部2−2の前端部a付近に位置している状態を示す図であり、図11(b)は図11(a)の一部拡大図である。
【図12】図11の側面図である。
【図13】図13(a)は楕円ギア3−2が前方ラック部2−3に噛み合った状態を示す図であり、図13(b)は図13(a)の一部拡大図である。
【図14】図13の側面図である。
【符号の説明】
【0036】
1…ローダ、2…ラック、2−1…後方ラック部、2−2…中央ラック部、2−3…前方ラック部、2−4…凹部、2−5…アーム、3…ギア部、3−1正円ギア、3−2楕円ギア、4…モータ、5…前面パネル、5−1…開口部、5−2…ストッパー、6…ローダパネル、10…ディスク、11…筐体、20ディスク再生装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクを再生するディスク再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の前後にスライドするローダにディスクを載置することにより、ディスクを筐体内に引き込む構成のディスク再生装置におけるローダ駆動部の構造は、図1に示すように、上面に凹部を有するローダを備え、ローダの下部に前後に直線状をなす1本の歯状のラックを設け、ローダの凹部にディスクを載置し、そのラックに噛合する正円ギアをモータによって回転させることによってローダを前後にスライドする構造(例えば特許文献1及び特許文献2参照。)となっている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−022664号公報
【特許文献2】特開平6−251481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1に示すように、モータ4の回転軸に固定された正円ギア3−1とローダ1の下面に備えるラック2とを噛合させ、モータ4の回転力によってローダ1を前後にスライド、すなわち移動(以下、「移動」で説明する。)させる構造を備える従来のディスク再生装置では、ローダ1の前方への移動を所望の位置で停止させたり、ローダ1を後方へ移動させる際にローダ1の先端に固定されたローダパネル6と筐体11の前面に備える前面パネル5との位置とが略同一面となった位置からローダ1の後方への移動を停止させたいと希望する場合、このローダ1の前方への移動と後方への移動を抑制するストッパーを筐体内部に備え、当該ストッパーに移動途中のローダ1が当接し、当該ローダ1の前方または後方への移動を停止させる構造とする必要がある。
【0005】
このような構造とした場合、モータの回転によって前方または後方へ移動するローダ1が当該ローダの停止位置においてストッパーに当接すると、このストッパーと当接した衝撃力によってローダ自体に振動が発生する。
【0006】
また、モータ4の回転軸に固定された正円ギア3−1とローダ1の下面に備えるラック2とを噛合させ、モータ4の回転力によってローダ1を前後に移動させる構造の場合、モータ4の回転が停止した状態から当該モータ4が高速で回転を開始すると、モータ4の回転力が正円ギア3−1を介して急激にラック2に伝達するため、ローダ1が移動し始めた直後に、当該ローダ自体に振動が発生する。
【0007】
このように、ローダが停止した状態から急に移動しはじめた直後や、移動しているローダ1が停止する直前にローダ自体に振動が発生してしまうと、ローダ1の上面の凹部2−4に載置したディスク10が当該凹部2−4から外れてしまうことがある。また、ローダ1が移動し始めた直後や、停止する直前にローダ自体に生じた振動が騒音となり、ディスク再生装置の品位が低下する要因でもあった。更に、例えば、ローダパネル6の前方の位置に使用者が指を出しているときに、不用意にイジェクトボタン等を押してしまうと、筐体内部に引き込まれたローダ1が急に前方に飛び出し、ローダパネル6が使用者の指にぶつかってしまうことがある。また、ローダ1を前方へ引き出した状態でディスク10を取り出しや凹部2−4への載置をしようとしている最中に、不用意にイジェクトボタン等を押してしまうと、急激なローダ1の引き込みによって当該ローダパネル6と前面パネル5との間に使用者の指が挟まってしまうことがある。
【0008】
このため、ローダ1が停止した状態から急に移動し始めた直後や、移動しているローダ1が停止する直前にローダ自体に振動が発生するのを防止するために、ローダ1が移動を開始した後に正円ギア3−1を駆動するモータ4の回転速度を徐々に上げる制御を行ったり、また、ローダ1の移動を所望する位置で停止させるまでに、正円ギア3−1を駆動するモータ4の回転速度を徐々に上げる制御を行うことが必要であった。
【0009】
しかしながら、ローダ1を移動させ始めた後に正円ギア3−1を駆動するモータの回転速度を徐々に大きくしたり、ローダ1の前方または後方の移動が完了するまでに正円ギア3−1を駆動するモータ4の回転速度を徐々に小さくするためには、モータ4の回転速度を変化させるための制御回路が必要となり、ディスク再生装置の製品コストが上昇してしまう。また、ローダ1の前方への移動が完了する時点やローダ1の後方への移動が完了するまでにモータ4の回転速度を変化させるためには、ローダ1の移動位置を検出するための検出部が必要となり、ディスク再生装置の製品コストが上昇してしまう。
【0010】
本願発明は、ディスクを載置するローダを前後に移動させてディスクの取り込みまたは取り出しを行うディスク再生装置において、簡単な構成で、ローダの急激な飛び出しや引き込み動作によって、使用者の指にローダパネルがぶつかったり、ローダパネルと前面のパネルとの間に指が挟まってしまうのを防止するとともに、ローダが移動し始めた直後やローダの移動が停止する直前で当該ローダに振動が生じたり、ローダから騒音が発生することを防止することができるディスク再生装置およびローダの移動速度制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ピックアップユニットを搭載し、ディスクを回転支持するターンテーブルを有するメカユニットと、前記ディスクを所定の再生位置と引き出し位置に移動させるローダと、該ローダを駆動する駆動部を備えるディスク再生装置において、
前記駆動部は、前記ローダと一体的に移動するラックおよび該ラックに噛合し、モータにより回転されるギアを有し、該ギアは楕円ギアと正円ギアとの組み合わせからなり、前記ラックの前記楕円ギアおよび前記正円ギアとの噛合を前記ローダの位置に応じて切り替えること
を特徴とするディスク再生装置を提供する。
【0012】
上述のディスク再生装置において、前記ラックは前記楕円ギアおよび前記正円ギアに噛合する並設された2つのラックから構成され、前記楕円ギアに噛合するラックは前記正円ギアに噛合する前記ラックの端部に配設されることを特徴とするディスク再生装置を提供する。
【0013】
また、上述のディスク再生装置において、前記楕円ギアは、該楕円ラックに噛合するラックとの端部における噛合の時に噛合速度は最小とされ、端部から内側における噛合につれて噛合速度が増大するように配置されることを特徴とするディスク再生装置を提供する。
【0014】
また、本発明は、ピックアップユニットを搭載し、ディスクを回転支持するターンテーブルを有するメカユニットと、前記ディスクを所定の再生位置と引き出し位置に移動させるローダと、該ローダを駆動する駆動部を備え、該駆動部は、前記ローダと一体的に移動するラックおよび該ラックに噛合し、モータにより回転されるギアを有し、該ギアは楕円ギアと正円ギアとの組み合わせからなるディスク再生装置のローダの移動速度制御方法において、
前記ラックと前記楕円ギアの噛合を前記ラックの端部において前記楕円ギアの前記ラックとの噛合速度を前記正円ギアの前記ラックとの噛合速度に比べて小さくして前記ローダの移動速度を落とし、所定の位置において前記楕円ギアの前記ラックとの噛合速度を前記正円ギアの前記ラックとの噛合速度と同一にして前記ローダの移動速度を前記正円ギアとの噛合の場合の速度と同一にしたこと
を特徴とするディスク再生装置のローダの移動速度制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のディスク再生装置によれば、ディスクを載置するローダを前後に移動させてディスクの取り込みまたは取り出しを行うディスク再生装置において、簡単な構成で、ローダの急激な飛び出しや引き込み動作によって、使用者の指にローダパネルがぶつかたり、ローダパネルと前面パネルとの間に指が挟まってしまうのを防止すると共に、ローダが移動し始めた直後やローダの移動が停止する直前で当該ローダに振動が生じたり、ローダから騒音が発生することを防止することができるディスク再生装置およびローダの移動速度制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施例であるディスク再生装置は、ピックアップユニットを搭載し、ディスクを回転支持するターンテーブルを有するメカユニットと、前記ディスクを所定の再生位置と引き出し位置に移動させるローダと、該ローダを駆動する駆動部を備えるディスク再生装置であって、前記駆動部は、前記ローダと一体的に移動するラックおよび該ラックに噛合し、モータにより回転されるギアを有し、該ギアは楕円ギアと正円ギアとの組み合わせからなり、前記楕円ギアは前記ラックと噛合において前記正円ギアと同一の噛合速度となるギア歯部とその配置構造および前記噛合速度よりも小さな噛合速度となるギア歯部とその配置構造を備え、前記ラックの前記楕円ギアおよび前記正円ギアとの噛合を前記ローダの位置に応じて切り替えるようにして構成される。
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0018】
本実施例に係るディスク再生装置の構成について、まず、図2〜5を用いて説明する。図2は実施例のディスク再生装置におけるローダ1を完全に出し切った状態(移動端)を示す斜視図,図3はその時のローダ1側面図、図4は背面図、図5は下面図である。図1と同一の構成には同一の番号を用いる。
【0019】
本実施例のディスク再生装置20は、前面に前面パネル5が固定された筐体11を備える。前面パネル5には開口部5−1が設けられる。筐体11の内部には、図示しない再生ベース部が固定されており、この再生ベース部は、ローダ1、ギア部3、モータ4及び図示しないディスク再生部を備える。ローダ1の前部にはローダパネル6が固定されている。前面パネル5の後面にはローダパネル6が前面パネル5より後方へ移動しないようにローダパネル6の後方への移動を制約するストッパー5−2を備える。また、ローダ1の後方には、ローダ1が前方へ完全に出た状態でストッパー5−2と当接し、ローダ1が前方へ完全に出た状態から更にローダ1が前方へ移動するのを制約するためのアーム2−5を備える。
【0020】
ディスク再生部は、図示しないターンテーブル、スピンドルモータ、ピックアップ部、クランパ、ピックアップ駆動部、再生駆動部、クランパ駆動部及び制御部により構成されている。
【0021】
モータ4は、制御部からの指示により回転軸を回転または停止する。モータ4の回転軸には正円ギア3−1と楕円ギア3−2を有するギア部3を備える。
【0022】
ローダ1の下面には前方ラック部2−3、中央ラック部2−2及び後方ラック部2−1を備えたラック2を中央ラック部2−2に対して前方ラック部2−3,後方ラック部2−4は並行配置される。中央ラック部2−2は正円ギア3−1と噛合ように形成され、また、前方ラック部2−3及び後方ラック部2−1は楕円ギア3−2と噛合うように形成されている。モータ4は、制御部の制御によりギア部3を回転させ、ギア部3と噛合った前方ラック部2−3、中央ラック部2−2または後方ラック部2−1を前後に駆動させることによってローダ1を前後方向へ移動する。ギア部3の正円ギア3−1及び楕円ギア3−2と、前方ラック部2−3、中央ラック部2−2及び後方ラック部2−1との位置及び噛合いのタイミングについては後述する。
【0023】
再生駆動部は、スピンドルモータ及ピックアップ駆動部を固定し、制御部の制御により垂直方向へ駆動する。クランパ駆動部は、制御部の制御によりクランパを垂直方向へ駆動する。ターンテーブル及びクランパは、再生駆動部及びクランパ駆動部の駆動によって筐体11の内部に搬送されたディスク10を狭持する。ターンテーブルは、スピンドルモータが回転することによってディスク10を回転させる。ピックアップ部は、ピックアップ駆動部によりディスク10の径方向へ移動し、ディスク10に記録されているデータを読み取る。ピックアップ部によって読み取られたデータは図示しないデータ再生回路によって再生される。
【0024】
以上により、ディスク再生装置20は、ディスク10に記録されたデータを再生する。
【0025】
図2において、1はローダであり、筐体11内部に矢印方向にて摺動可能な状態に保持されている。3は楕円ギア3−2と正円ギア3−1が並列して2段に配置されたギア部であり、筐体11内部に固定されたモータ4のシャフトに回転支持されている。
【0026】
前方ラック部2−3、後方ラック部2−1は端に向かって次第に下方に向けて幅を広げた三角形状とされている。これは、前方ラック部2−3,後方ラック部2−1の外方の終端において楕円ギア3−2は水平配置となり、前方ラック部2−3、後方ラック部2−1の円方の終端で90度回転した垂直配置となるため、水平配置の楕円ギア3−3と噛合させるための構造とすることによる。このように、楕円ギア3−2は、ラック2との噛合において正円ギア3−1と同一の噛合速度となるギア歯部とその配置構造およびこの噛合速度よりも小さな噛合速度となるギア歯部とその配置構造を備える。ラック2の楕円ギア3−2および正円ギア3−1との噛合がローダ1の位置に応じて切り替わる。図2はローダ1が開ききった状態を示しているが、この状態においては、楕円ギア3−2がローダ1の下部の後方に配置された楕円ギア3−2用の後方ラック部2−1と噛み合っている。この時、正円ギア3−1と正円ギア3−1用の中央ラック部2−2は、噛み合う状態にはない。図4、5に後方ラック部2−1、中央ラック部2−2、前方ラック部2−3の配置状態を示す。図4、5に示すように、後方ラック部2−1、前方ラック部2−3はギア部3の軸線方向に中央ラック部2−2から‘a’だけ離れて、平行に配置されている。図3に示す後方ラック部2−1及び前方ラック部2−3のピッチ線は、図6に示す楕円ギア3−2のピッチ線pに合わせて設定されている。図5に示すように、後方ラック部2−1の前端の歯と、前方ラック部2−3の後端の歯は、中央ラック部2−2の前端及び後端の歯b部と同一の位相にて配置されている。
【0027】
図6にて楕円ギア3−2と正円ギア3−1の詳細を説明する。楕円ギア3−2と正円ギア3−1は一体組み立て体とされ、同ピッチを有し、軸axを回転中心に持つ。一定回転数でギア部3が回転する時、点eと点dの線速度を比較すると点eの回転半径は点dの回転半径と比較し小である為、点eの線速度<点dの線速度となり、また点dの線速度=正円ギア3−1の歯先の線速度となる。すなわち、楕円ギア3−2と正円ギア3−1の共有歯部Cでは、両ギアの線速度は同一となる。このように噛合の位置で変化する線速度を本実施例では噛合速度と呼ぶことにする。図2の状態からローダ2の引き込みを開始すると、当初楕円ギア3−2の回転半径の小さい部分で噛み合っている為、噛合速度が小さく、ローダ1の移動速度はわずかであるが、モータ4の回転が進みにつれて、前方ローダ2−3と噛み合っている楕円ギア部3の部分の回転半径が徐々に増大し、噛合速度も次第に増加し、ローダ1の後方への移動速度も滑らかに増加する。
【0028】
更にモータ4の回転が進むと図7に示すように、図6で示した共有歯部Cが、図5に示すb部に噛み合っている状態に達する。この状態では、共有歯部Cが後方ラック部2−1、中央ラック部2−2と同時に噛み合っている為、楕円ギア3−2の駆動力はスムーズに、正円ギア3−1により中央ラック部2−2に移行することになる。図9に駆動力が正円ギア3−1に切替り、正円ギア3−1が中央ラック部2−2と噛み合っている状態を示す。この状態においては、モータ5の回転速度が一定の場合、正円ギア3−1の線速度が一定の為、ローダ1の移動速度も一定である。
【0029】
図11は正円ギア3−1が図5に示す中央ラック部2−2の前端部a付近に位置している状態を示している。この状態から、図12に示すように、図6(b)に示す共有歯部Cが前方ラック部2−3、中央ラック部2−2と同時に噛み合っている状態になると前記図7に示した状態と同様に、正円ギア3−1の駆動力はスムーズに、楕円ギア3−2により前方ラック部2−3に移行する。図13に楕円ギア3−2が前方ラック部2−3に噛み合った状態を示す。図12に示す状態では、当初は楕円ギア3−2の回転半径の大きい部分で噛み合っている為、噛合速度が大きく、ローダ1の移動速度は、正円ギア3−1とラック2−2が噛み合っている時と略同等であるが、前方ラック部2−3と噛み合う楕円ギア3−2の部分の回転半径が徐々に減少する為、噛合速度も次第に減少し、ローダ1の移動速度も滑らかに減少する。
【0030】
この後、図14に示すようにローダ1の前方のローダパネル6が前方パネル5の開口部に挿入され、前方パネル5の後面に備えたストッパー5−2によってローダパネル6の後方への移動が制約されることによってモータ5の回転が所定時間以上停止したときにローダ1が完全に閉めきった状態となったと判断して、制御部等がモータ5の駆動力の伝達を断ち切れば、ローダ1を移動させるためにモータ5を急に高速回転させてもその際の振動、騒音は僅かなものとなる。また、図13に示す状態からローダ1を前方へ移動させるためにモータ5を急に高速回転させた場合から図2に示すようにローダ1が完全に前方へ出た状態となるまでの間においても同様である。
【0031】
ローダ1が完全に前方へ出た状態はローダ1のアーム2−5がストッパー5−2と当接することによってローダ1の前方への移動が制約されたことによってモータ4の回転が所定時間以上停止したときに、ローダ1が完全に前方へ突出したと判断し、制御部がモータ4への電力の供給を断ち切ることによってローダ1を完全に前方へ出した状態の時点で、ローダ1に振動が生じたりしてしまうことがない。
【0032】
本実施例のディスク再生装置により、ローダ1を楕円ギア用、正円ギア用とそれらに対応するラックで駆動することが可能となるので、ローダ1を筐体11の外部に押出す時及び引き込む時、モータ5の回転数を変化させなくとも、線速度が滑らかに変化する為、ローダ1に振動、異音が発生せず、品位上問題となる事はない。また、本実施例のディスク再生装置20は、ローダ1が開き切る直前の状態及び閉まりきる直前の状態を検出するSWを設けなくとも、線速度が滑らかに変化する。
【0033】
本実施例のディスク再生装置20は、ローダパネル6の後方への移動を制約するストッパー5−2を備え、また、ローダ1が前方へ完全に出た状態から更にローダ1が前方へ移動するのを制約するためのアーム2−5を供える構成としたが、これらのストッパー5−2及びアーム2−5に替えて、ローダ1が筐体内部の所定の位置に移動した状態やローダ1が所定の前方の位置へ突出した状態を電気的に検出する検出スイッチ等を備える構成とし、この検出スイッチによるローダ1の位置の検出によってモータ4の回転をオン・オフにする構成としても良い。
【0034】
本実施例のディスク再生装置20は、ローダ1の下面に前方ラック部2−3、中央ラック部2−2および後方ラック部2−1を備える構成としたが、ローダ1の側面にこれらのラックを備え、ギア部3がこれらのローダ1に噛合する位置とする構成としても良い。また、本実施例のディスク再生装置20は、モータ4の回転軸に正円ギア3−1及び楕円ギア3−2が固定されたギア部3を備え、このギア部3がローダ1に備えるそれぞれのラックに噛合する構成としたが、モータ4の回転速度や希望するローダ1の移動速度に応じて、モータ4の回転軸とギア部3の間に他のギア部を噛合させたり、ギア部3とそれぞれのラック間に他のギア部を噛合させる構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来のディスク再生装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は実施例におけるディスク再生装置のローダ1を完全に出し切った状態(移動端)のディスク搬送装置の斜視図を示し、図2(b)は図2(a)の一部拡大図である。
【図3】ローダの側面図である。
【図4】図2に示すローダの背面図である。
【図5】図2に示すローダの下面図である。
【図6】楕円ギア3−2と正円ギア3−1を示す図であり、図6(a)は正面図、図6(b)は斜視図である。
【図7】図7(a)は図6に示す共有歯部Cが、図5に示すb部に噛み合っている状態を示す図であり、図7(b)は図7(a)の一部拡大図である。
【図8】図7の側面図である。
【図9】図9(a)は正円ギア3−1に切替り、中央ラック部2−2と噛み合っている状態を示す図であり、図9(b)は図9(a)の一部拡大図である。
【図10】図9の側面図である。
【図11】図11(a)は正円ギア3−1が中央ラック部2−2の前端部a付近に位置している状態を示す図であり、図11(b)は図11(a)の一部拡大図である。
【図12】図11の側面図である。
【図13】図13(a)は楕円ギア3−2が前方ラック部2−3に噛み合った状態を示す図であり、図13(b)は図13(a)の一部拡大図である。
【図14】図13の側面図である。
【符号の説明】
【0036】
1…ローダ、2…ラック、2−1…後方ラック部、2−2…中央ラック部、2−3…前方ラック部、2−4…凹部、2−5…アーム、3…ギア部、3−1正円ギア、3−2楕円ギア、4…モータ、5…前面パネル、5−1…開口部、5−2…ストッパー、6…ローダパネル、10…ディスク、11…筐体、20ディスク再生装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピックアップユニットを搭載し、ディスクを回転支持するターンテーブルを有するメカユニットと、前記ディスクを所定の再生位置と引き出し位置に移動させるローダと、該ローダを駆動する駆動部を備えるディスク再生装置において、
前記駆動部は、前記ローダと一体的に移動するラックおよび該ラックに噛合し、モータにより回転されるギアを有し、該ギアは楕円ギアと正円ギアとの組み合わせからなり、前記ラックの前記楕円ギアおよび前記正円ギアとの噛合を前記ローダの位置に応じて切り替えること
を特徴とするディスク再生装置。
【請求項2】
請求項1のディスク再生装置において、前記ラックは前記楕円ギアおよび前記正円ギアに噛合する並設された2つのラックから構成され、前記楕円ギアに噛合するラックは前記正円ギアに噛合する前記ラックの端部に配設されることを特徴とするディスク再生装置。
【請求項3】
請求項1または2のディスク再生装置において、前記楕円ギアは、該楕円ラックに噛合するラックとの端部における噛合の時に噛合速度は最小とされ、端部から内側における噛合につれて噛合速度が増大するように配置されることを特徴とするディスク再生装置。
【請求項4】
請求項1のディスク再生装置において、前記楕円ギアは、前記ラックとの噛合において前記正円ギアと同一の噛合速度となるギア歯部とその配置構造および前記噛合速度よりも小さな噛合速度となるギア歯部とその配置構造を備えることを特徴とするディスク再生装置。
【請求項5】
ピックアップユニットを搭載し、ディスクを回転支持するターンテーブルを有するメカユニットと、前記ディスクを所定の再生位置と引き出し位置に移動させるローダと、該ローダを駆動する駆動部を備え、該駆動部は、前記ローダと一体的に移動するラックおよび該ラックに噛合し、モータにより回転されるギアを有し、該ギアは楕円ギアと正円ギアとの組み合わせからなるディスク再生装置のローダの移動速度制御方法において、
前記ラックと前記楕円ギアの噛合を前記ラックの端部において前記楕円ギアの前記ラックとの噛合速度を前記正円ギアの前記ラックとの噛合速度に比べて小さくして前記ローダの移動速度を落とし、所定の位置において前記楕円ギアの前記ラックとの噛合速度を前記正円ギアの前記ラックとの噛合速度と同一にして前記ローダの移動速度を前記正円ギアとの噛合の場合の速度と同一にしたこと
を特徴とするディスク再生装置のローダの移動速度制御方法。
【請求項1】
ピックアップユニットを搭載し、ディスクを回転支持するターンテーブルを有するメカユニットと、前記ディスクを所定の再生位置と引き出し位置に移動させるローダと、該ローダを駆動する駆動部を備えるディスク再生装置において、
前記駆動部は、前記ローダと一体的に移動するラックおよび該ラックに噛合し、モータにより回転されるギアを有し、該ギアは楕円ギアと正円ギアとの組み合わせからなり、前記ラックの前記楕円ギアおよび前記正円ギアとの噛合を前記ローダの位置に応じて切り替えること
を特徴とするディスク再生装置。
【請求項2】
請求項1のディスク再生装置において、前記ラックは前記楕円ギアおよび前記正円ギアに噛合する並設された2つのラックから構成され、前記楕円ギアに噛合するラックは前記正円ギアに噛合する前記ラックの端部に配設されることを特徴とするディスク再生装置。
【請求項3】
請求項1または2のディスク再生装置において、前記楕円ギアは、該楕円ラックに噛合するラックとの端部における噛合の時に噛合速度は最小とされ、端部から内側における噛合につれて噛合速度が増大するように配置されることを特徴とするディスク再生装置。
【請求項4】
請求項1のディスク再生装置において、前記楕円ギアは、前記ラックとの噛合において前記正円ギアと同一の噛合速度となるギア歯部とその配置構造および前記噛合速度よりも小さな噛合速度となるギア歯部とその配置構造を備えることを特徴とするディスク再生装置。
【請求項5】
ピックアップユニットを搭載し、ディスクを回転支持するターンテーブルを有するメカユニットと、前記ディスクを所定の再生位置と引き出し位置に移動させるローダと、該ローダを駆動する駆動部を備え、該駆動部は、前記ローダと一体的に移動するラックおよび該ラックに噛合し、モータにより回転されるギアを有し、該ギアは楕円ギアと正円ギアとの組み合わせからなるディスク再生装置のローダの移動速度制御方法において、
前記ラックと前記楕円ギアの噛合を前記ラックの端部において前記楕円ギアの前記ラックとの噛合速度を前記正円ギアの前記ラックとの噛合速度に比べて小さくして前記ローダの移動速度を落とし、所定の位置において前記楕円ギアの前記ラックとの噛合速度を前記正円ギアの前記ラックとの噛合速度と同一にして前記ローダの移動速度を前記正円ギアとの噛合の場合の速度と同一にしたこと
を特徴とするディスク再生装置のローダの移動速度制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−48408(P2007−48408A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234498(P2005−234498)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(303009467)株式会社ディーアンドエムホールディングス (274)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(303009467)株式会社ディーアンドエムホールディングス (274)
【Fターム(参考)】
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