説明

光ディスク再生装置および光ディスク再生方法

【課題】光検出素子の出力遷移に異常があると、異形ディスクについては搬送を停止して排出する一方、正常ディスクについては搬送を継続し確実に装填することができる光ディスク再生装置および光ディスク再生方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る光ディスク再生装置10は、光検出素子群12の出力遷移を監視する検出値遷移監視部32と、検出値遷移監視部32が出力遷移の異常を検出すると遮光されていない旨の出力を行うことにより異常遷移の原因となっている光検出素子の発光素子を強制消灯させた後強制点灯させるよう制御する発光制御部34と、を少なくとも有する。検出値遷移監視部32は、異常遷移の原因となっている光検出素子の受光素子の出力が発光制御部34により発光制御されても遮光されていない旨の出力を維持していると光ディスクの搬送を継続させる一方、異常遷移の原因となっている光検出素子の受光素子の出力が発光制御部34による発光制御に応じた正常な遷移であると光ディスクを排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクの搬送状態を検出する光ディスク再生装置および光ディスク再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の光ディスクの搬送状態を検出する技術に、特開平11−213516号公報(特許文献1)に開示された技術がある。
【0003】
この特許文献1に開示された担体自動再生装置(オートチェンジャ)は、光ディスクの搬送路上に設けられた担体検出手段を備える。この担体検出手段は、少なくとも2つの光検出素子により構成される。光検出素子は、それぞれ発光ダイオードなどの発光素子およびフォトダイオードなどの受光素子により構成される。搬送路上に設けられた光検出素子は、光ディスクが発光素子から出射された光を遮るか否かで2値の出力をとる。このため、従来の技術によれば、搬送路上に設けられた複数の光検出素子の出力の遷移を監視することにより、光ディスクが現在搬送されている位置を検出することができるとともに、異形の光ディスクが搬送されていることを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−213516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の技術では、光検出素子のうちの1つでも故障があると、複数の光検出素子の出力の遷移が異常な遷移となってしまう。また、太陽光などの外光が搬送路に混入した場合も、複数の光検出素子の出力の遷移が異常な遷移となってしまう。
【0006】
従来の技術では、異常な遷移が検出された場合、異形の光ディスク(以下、異形ディスクという)と判定されて光ディスクが搬出されてしまう。この場合、たとえ正常な形状の光ディスク(以下、正常ディスクという)であっても、故障した光検出素子を修理したり、外光を遮断したりしない限り、光ディスクを装填することが不可能となってしまう。光検出素子の一部の故障や外光の影響により正常ディスクが装填できずに排出されてしまうと、ユーザはその原因がわからずに光ディスク再生装置自体に重大な不具合が生じたものと勘違いしてしまう場合がある。
【0007】
一方、従来の技術では、異常な遷移でも装填可能としてしまうと、光検出素子の一部の故障や外光の影響があっても正常ディスクは装填可能となるものの、異形ディスクもまた装填可能となってしまい、異形ディスクの挿入や異物の挿入に対応できなくなってしまう。
【0008】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、光検出素子の出力遷移に異常があると、異形ディスクについては搬送を停止して排出する一方、正常ディスクについては搬送を継続し確実に装填することができる光ディスク再生装置および光ディスク再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光ディスク再生装置は、上述した課題を解決するために、光ディスクの搬送を制御する搬送制御部と、前記光ディスクの搬送路を挟むように対向配置された発光素子および受光素子により構成された複数の光検出素子と、前記複数の光検出素子の受光素子の出力遷移を監視する検出値遷移監視部と、前記検出値遷移監視部が前記出力遷移の異常を検出すると、遮光されていない旨の出力を行うことにより異常遷移の原因となっている光検出素子の発光素子を強制消灯させた後強制点灯させるよう制御する発光制御部と、を備え、前記検出値遷移監視部は、前記異常遷移の原因となっている光検出素子の受光素子の出力が前記発光制御部により発光制御されても遮光されていない旨の出力を維持していると、この光検出素子の出力を監視対象外とするとともに前記搬送制御部に対し前記光ディスクの搬送を継続するよう指示する一方、前記異常遷移の原因となっている光検出素子の受光素子の出力が前記発光制御部による発光制御に応じた正常な遷移であると、前記搬送制御部に対し前記光ディスクを排出するよう指示することを特徴とするものである。
【0010】
一方、本発明に係る光ディスク再生方法は、上述した課題を解決するために、光ディスクの搬送を開始するステップと、前記光ディスクの搬送路を挟むように対向配置された発光素子および受光素子により構成された複数の光検出素子の各受光素子の出力遷移を監視するステップと、前記出力遷移の異常が検出されると、遮光されていない旨の出力を行うことにより異常遷移の原因となっている光検出素子の発光素子を強制消灯させた後強制点灯させるよう制御するステップと、前記異常遷移の原因となっている光検出素子の発光素子を強制消灯させた後強制点灯させるよう制御するステップにより発光制御されても前記異常遷移の原因となっている光検出素子の受光素子の出力が遮光されていない旨の出力を維持していると、この光検出素子の出力を監視対象外とするとともに前記光ディスクの搬送を継続するステップと、前記異常遷移の原因となっている光検出素子の受光素子の出力が前記発光制御部による発光制御に応じた正常な遷移であると、前記光ディスクを排出するステップと、を有することを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る光ディスク再生装置および光ディスク再生方法によれば、光検出素子の出力遷移に異常があると、異形ディスクについては搬送を停止して排出する一方、正常ディスクについては搬送を継続し確実に装填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る光ディスク再生装置の一実施形態を示す概略的な外観図。
【図2】光検出素子群を構成する光検出素子(フォトセンサ)の構成の一例を示す説明図。
【図3】光ディスクが光ディスク再生装置に装填された様子の一例を示す部分拡大図。
【図4】光ディスク再生装置の内部構成例を概略的に示すブロック図。
【図5】主制御部のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図。
【図6】通常のロードにおける各フォトセンサおよびロードエンドスイッチの出力論理値の一例を示すタイミングチャート。
【図7】異形ディスク検出と各フォトセンサの出力値の関係を示す説明図。
【図8】図7に示す各Level1〜4における各フォトセンサの出力論理値と搬送制御部の動作との関係を示す説明図。
【図9】一度Hiを出力したフォトセンサがLoを出力する場合の各フォトセンサおよびロードエンドスイッチの出力論理値の一例を示すタイミングチャート。
【図10】所定時間内に次のLevelに移行しない場合の各フォトセンサおよびロードエンドスイッチの出力論理値の一例を示すタイミングチャート。
【図11】全てのフォトセンサがHiを出力する前にロードエンドスイッチがHiを出力する場合の各フォトセンサおよびロードエンドスイッチの出力論理値の一例を示すタイミングチャート。
【図12】Photo−Dが故障によりLoの出力(遮光されていない旨の出力)を続けてしまう場合における各フォトセンサおよびロードエンドスイッチの出力論理値の一例を示すタイミングチャート。
【図13】外光の影響によりPhoto−Dの出力がLoに変化した場合における各フォトセンサおよびロードエンドスイッチの出力論理値の一例を示すタイミングチャート。
【図14】異形ディスクが挿入されておりかつ問題センサ抽出部により抽出されたフォトセンサが正常であるために発光素子の出射光が受光素子に入射し続けている場合における発光制御部の発光制御によるフォトセンサ出力の遷移の様子を示す説明図。
【図15】正常ディスクが挿入されておりかつ問題センサ抽出部により抽出されたフォトセンサの受光素子が異常であるまたは外光が影響しているために受光素子がLoを出力し続けてしまう場合における発光制御部の発光制御によるフォトセンサ出力の遷移の様子を示す説明図。
【図16】図13に示す例において発光制御部によりPhoto−Dの発光素子の発光制御を行う場合における各フォトセンサおよびロードエンドスイッチの出力論理値の一例を示すタイミングチャート。
【図17】図1に示す光ディスク再生装置の主制御部により、光検出素子群の出力遷移に異常があると、異形ディスクについては搬送を停止して排出する一方、正常ディスクについては搬送を継続し確実に装填する際の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る光ディスク再生装置および光ディスク再生方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
なお、本発明は、光ディスクの搬送状態を光検出素子により検出する光ディスク再生装置に広く適用することができ、特に、外光の影響を受けやすい車載型の光ディスク再生装置に好適である。
【0015】
図1は、本発明に係る光ディスク再生装置の一実施形態を示す概略的な外観図である。図1には、光ディスク再生装置に光ディスクが挿入される様子の一例について示した。
【0016】
図1に示すように、光ディスク再生装置10は、挿入された光ディスク1を搬送するためのローラ11と、光検出素子群12とを少なくとも有する。
【0017】
図2は、光検出素子群12を構成する光検出素子(フォトセンサ)の構成の一例を示す説明図である。
【0018】
光検出素子群12は、複数の光検出素子(フォトセンサ)により構成される。本実施形態では、光検出素子群12が4つのフォトセンサ12a〜12dにより構成される場合の例について説明する。各フォトセンサ12a(Photo-A)、12b(Photo-B)、12c(Photo-C)および12d(Photo-D)は、それぞれ光ディスク1の搬送路を挟むように対向配置された発光素子および受光素子により構成される。発光素子は、発光ダイオードなどにより構成することができる。また、受光素子は、フォトダイオードやフォトトランジスタなどにより構成することができる。
【0019】
各フォトセンサ12a〜12dの受光素子は、発光素子が出射した光を受光すると論理値Loを出力する一方、光ディスク1により発光素子が出射した光が遮られると論理値Hiを出力するよう構成される。
【0020】
図3は、光ディスク1が光ディスク再生装置10に装填された様子の一例を示す部分拡大図である。
【0021】
各フォトセンサ12a〜12dは、図3に示すように光ディスク1が光ディスク再生装置10にしっかりと装填されると、各フォトセンサ12a〜12dの受光素子が全て論理値Hiを出力する位置に設けられる。なお、異形ディスクを検出しやすいよう、各フォトセンサ12a〜12dの配置位置は図3に示すように左右非対称とすることが好ましい。
【0022】
図4は、光ディスク再生装置10の内部構成例を概略的に示すブロック図である。
【0023】
光ディスク再生装置10は、ローラ11および光検出素子群12のほか、ロードエンドスイッチ13、主制御部20、表示部21、操作部22およびネットワーク接続部23を有する。
【0024】
ロードエンドスイッチ13は、機械的なスイッチにより構成され、通常は論理値Loを出力する一方、光ディスク1が光ディスク再生装置10にしっかりと装填されて光ディスク1がクランプされる(チャッキングされる)と論理値Hiを出力するようになっている。通常、各フォトセンサ12a〜12dの受光素子が全て論理値Hiを出力した状態でロードエンドスイッチ13が論理値Hiを出力すると、光ディスク1の挿入(ロード)が正常に完了したといえる。
【0025】
主制御部20は、CPU、RAMおよびROMをはじめとする記憶媒体などにより構成され、この記憶媒体に記憶されたプログラムに従って、光ディスク再生装置10の処理動作を制御する。
【0026】
主制御部20のCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶されたフォトセンサ異常対応プログラムおよびこのプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードし、このプログラムに従って、光検出素子群12の出力遷移に異常があると、異形ディスクについては搬送を停止して排出する一方、正常ディスクについては搬送を継続し確実に装填する処理を実行する。
【0027】
主制御部20のRAMは、CPUが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。
【0028】
主制御部20のROMをはじめとする記憶媒体は、光ディスク再生装置10の起動プログラム、フォトセンサ異常対応プログラムや、これらのプログラムを実行するために必要な各種データを記憶する。
【0029】
なお、ROMをはじめとする記憶媒体は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、CPUにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有し、これら記憶媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部は電子ネットワークを介してダウンロードされるように構成してもよい。
【0030】
表示部21は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成され、主制御部20の制御に従って各種情報を表示する。
【0031】
操作部22は、たとえばキーボード、タッチパネル、テンキーなどの一般的な入力装置により構成され、ユーザの操作に対応した操作入力信号を主制御部20に出力する。
【0032】
ネットワーク接続部23は、ネットワークの形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。ネットワーク接続部23は、この各種プロトコルに従って光ディスク再生装置10と他の電気機器とを接続する。この接続には、電子ネットワークを介した電気的な接続などを適用することができる。ここで電子ネットワークとは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、無線/有線LAN(Local Area Network)やインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0033】
図5は、主制御部20のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。なお、この機能実現部は、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。
【0034】
図5に示すように、主制御部20のCPUは、フォトセンサ異常対応プログラムによって、少なくとも搬送制御部31、検出値遷移監視部32、問題センサ抽出部33および発光制御部34として機能する。この各部31〜34は、RAMの所要のワークエリアを、データの一時的な格納場所として利用する。
【0035】
搬送制御部31は、検出値遷移監視部32に制御されて、ローラ11の回転方向を制御することにより光ディスク1の挿入(ロード)および排出(イジェクト)を制御する。
【0036】
検出値遷移監視部32は、各フォトセンサ12a〜12dの受光素子の出力遷移を監視し、この出力遷移に応じて搬送制御部31を制御する。
【0037】
ここで、各フォトセンサ12a〜12dおよびロードエンドスイッチ13の出力遷移にもとづく異形ディスク検出の概要および問題点について簡単に説明する。
【0038】
図6は、通常のロードにおける各フォトセンサ12a〜12dおよびロードエンドスイッチ13の出力論理値の一例を示すタイミングチャートである。
【0039】
正常な形状の12cmディスク(正常ディスク)がロードされると、各フォトセンサ12a〜12dの出力論理値の遷移はLoからHiに一度変化するのみであり、イジェクトされて光ディスク1が光ディスク再生装置10から除去されるまではHiを維持することに注意する。
【0040】
図6に示す例では、まず、正常ディスクのロードが開始されると、Photo−A12aの出力がHiとなる。次に、Photo−B12bの出力がHiになり、順次Photo−C12c、Photo−D12d、ロードエンドスイッチ13の出力がHiとなる。
【0041】
図7は、異形ディスク検出と各フォトセンサ12a〜12dの出力値の関係を示す説明図である。また、図8は、図7に示す各Level1〜4における各フォトセンサ12a〜12dの出力論理値と搬送制御部31の動作との関係を示す説明図である。
【0042】
光ディスク再生装置10は、異形ディスクや異物が挿入されると自動的に排出動作に切り替わるように、検出値遷移監視部32が各フォトセンサ12a〜12dの出力遷移を監視し、出力遷移に応じて搬送制御部31が制御される。
【0043】
図7および図8で示した出力遷移のほかにも、異形ディスクが検出される場合がある。このような場合として、一度Hiを出力したフォトセンサがLoを出力する場合、所定時間内に次のLevel(図7および図8参照)に移行しない場合、および全てのフォトセンサがHiを出力する前にロードエンドスイッチ13がHiを出力する場合などを挙げることができる。
【0044】
図9は、一度Hiを出力したフォトセンサがLoを出力する場合の各フォトセンサおよびロードエンドスイッチ13の出力論理値の一例を示すタイミングチャートである。
【0045】
この場合、異形ディスクであることが想定されるため、検出値遷移監視部32により搬送制御部31を介してローラ11が逆転されてディスクが排出される。
【0046】
図10は、所定時間内に次のLevelに移行しない場合の各フォトセンサおよびロードエンドスイッチ13の出力論理値の一例を示すタイミングチャートである。
【0047】
この場合も、異形ディスクであることが想定されるため、検出値遷移監視部32により搬送制御部31を介してローラ11が逆転されてディスクが排出される。
【0048】
図11は、全てのフォトセンサがHiを出力する前にロードエンドスイッチ13がHiを出力する場合の各フォトセンサおよびロードエンドスイッチ13の出力論理値の一例を示すタイミングチャートである。
【0049】
この場合も、異形ディスクであることが想定されるため、検出値遷移監視部32により搬送制御部31を介してローラ11が逆転されてディスクが排出される。
【0050】
しかし、フォトセンサのうちの1つでも故障がある場合や太陽光などの外光が搬送路に混入した場合でも、各フォトセンサ12a〜12dおよびロードエンドスイッチ13の出力の遷移は図9〜図11に示すような遷移となってしまう。
【0051】
図12は、Photo−D12dが故障によりLoの出力(遮光されていない旨の出力)を続けてしまう場合における各フォトセンサおよびロードエンドスイッチ13の出力論理値の一例を示すタイミングチャートである。
【0052】
図12から明らかなように、Photo−D12dが故障によりLoの出力を行う場合の異常遷移は、図11に示した異常遷移と同じである。
【0053】
図13は、外光の影響によりPhoto−D12dの出力がLoに変化した場合における各フォトセンサおよびロードエンドスイッチ13の出力論理値の一例を示すタイミングチャートである。
【0054】
図13に示すように正常ディスクにより遮光された状態であるにもかかわらず外光の影響によりフォトセンサの出力がLoに変化した場合の異常遷移は、図9に示した異常遷移と同じである。
【0055】
したがって、従来の技術では、フォトセンサのうちの1つでも故障がある場合や太陽光などの外光が搬送路に混入した場合における異常遷移と異形ディスク挿入時における異常遷移とを区別することができない。
【0056】
そこで、本実施形態に係る光ディスク再生装置10は、フォトセンサのうちの1つでも故障がある場合や太陽光などの外光が搬送路に混入した場合における異常遷移と異形ディスク挿入時における異常遷移とを区別することができるように、特に問題センサ抽出部33および発光制御部34を備えて構成される。このように構成される目的は、より具体的には、Loを出力し続けるフォトセンサがある場合に、(1)異形ディスクが挿入されておりかつこのフォトセンサが正常であるために発光素子の出射光が受光素子に入射し続けているケースと、(2)正常ディスクが挿入されておりかつこのフォトセンサの受光素子が異常であるまたは外光が影響しているために受光素子がLoを出力し続けてしまうケースと、を切り分けることにある。
【0057】
問題センサ抽出部33は、Loの出力(遮光されていない旨の出力)を行うことにより異常遷移の原因となっているフォトセンサ(図12および図13参照)を抽出する。
【0058】
発光制御部34は、問題センサ抽出部33により抽出されたフォトセンサの発光素子を強制消灯させた後強制点灯させるよう制御する。
【0059】
図14は、異形ディスクが挿入されておりかつ問題センサ抽出部33により抽出されたフォトセンサが正常であるために発光素子の出射光が受光素子に入射し続けている場合における発光制御部34の発光制御によるフォトセンサ出力の遷移の様子を示す説明図である。
【0060】
また、図15は、正常ディスクが挿入されておりかつ問題センサ抽出部33により抽出されたフォトセンサの受光素子が異常であるまたは外光が影響しているために受光素子がLoを出力し続けてしまう場合における発光制御部34の発光制御によるフォトセンサ出力の遷移の様子を示す説明図である。
【0061】
図14に示すように、異形ディスクが挿入されておりかつ問題センサ抽出部33により抽出されたフォトセンサが正常であるために発光素子の出射光が受光素子に入射し続けている場合には、発光制御部34により発光素子が強制消灯させた後強制点灯させるよう制御されると、受光素子の出力はこの発光制御に応じた正常な遷移をみせる。この場合は、異形ディスクが挿入されたと判定し、ディスクの排出を行うとよい。
【0062】
一方、図15に示すように、正常ディスクが挿入されておりかつ問題センサ抽出部33により抽出されたフォトセンサの受光素子が異常であるまたは外光が影響しているために受光素子がLoを出力し続けてしまう場合には、発光制御部34により発光素子が強制消灯させた後強制点灯させるよう制御されても、受光素子の出力はLoを維持し続ける。この場合は、フォトセンサの出力異常であって異形ディスクが挿入されているとは限らないと判定し、このフォトセンサの出力遷移を検出値遷移監視部32の監視対象外としてロードを続行するとよい。
【0063】
図16は、図13に示す例において発光制御部34によりPhoto−D12dの発光素子の発光制御を行う場合における各フォトセンサおよびロードエンドスイッチ13の出力論理値の一例を示すタイミングチャートである。
【0064】
たとえば図16に示す例では、発光制御部34による発光制御にもかかわらずPhoto−D12dの発光素子はLoの出力を維持し続けている。この場合、フォトセンサの出力異常であると判定し、このフォトセンサの出力遷移を検出値遷移監視部32の監視対象外としてロードを続行する。
【0065】
なお、次回の光ディスク1のロード時には再びこのフォトセンサを監視対象とすることにより、フォトセンサの出力が正常復帰した場合には通常通りこのフォトセンサの出力を利用することができるようになる。
【0066】
次に、本実施形態に係る光ディスク再生装置10の動作の一例について説明する。
【0067】
図17は、図1に示す光ディスク再生装置10の主制御部20により、光検出素子群12の出力遷移に異常があると、異形ディスクについては搬送を停止して排出する一方、正常ディスクについては搬送を継続し確実に装填する際の手順を示すフローチャートである。図17において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。この手順は、光ディスク1が挿入開始された時点でスタートとなる。
【0068】
まず、ステップS1において、搬送制御部31は、光ディスク1のロードを開始する。
【0069】
次に、ステップS2において、検出値遷移監視部32は、光検出素子群12の出力遷移を監視する(図7および図8参照)。
【0070】
次に、ステップS3において、検出値遷移監視部32は、光検出素子群12の出力遷移が異常遷移でないか判定する。異常遷移である場合はステップS4に進む。一方、異常遷移でない場合は、ステップS10に進む。
【0071】
次に、ステップS4において、搬送制御部31は、検出値遷移監視部32に指示されてローラ11の回転を停止することにより光ディスク1のロードを停止する。
【0072】
次に、ステップS5において、問題センサ抽出部33は、Loの出力(遮光されていない旨の出力)を行うことにより異常遷移の原因となっているフォトセンサ(図12および図13参照)を抽出する。
【0073】
次に、ステップS6において、発光制御部34は、問題センサ抽出部33により抽出されたフォトセンサ(以下、問題センサという)の発光素子を強制消灯させた後強制点灯させるよう制御する。
【0074】
次に、ステップS7において、検出値遷移監視部32は、発光制御部34により発光制御された問題センサの受光素子の出力が、この発光制御に応じた正常な遷移をしたか否かを判定する。発光制御に応じた正常な遷移をした場合は、異形ディスクが挿入されておりかつ問題センサが正常であるために発光素子の出射光が受光素子に入射し続けていたことによりLoの出力が行われていたと判定し、ステップS8に進む。一方、発光制御に応じた正常な遷移をせずLoの出力を維持したままである場合は、正常ディスクが挿入されておりかつ問題センサの受光素子が異常であるまたは外光が影響しているためにLoの出力が行われていると判定し、ステップS9に進む。
【0075】
次に、ステップS8において、搬送制御部31は、検出値遷移監視部32に指示されて、ローラ11を逆回転させることにより光ディスク1を排出する。
【0076】
他方、ステップS9において、検出値遷移監視部32は、今回のロード処理に限り問題センサの出力を監視対象外とする。
【0077】
次に、ステップS10において、搬送制御部31は、検出値遷移監視部32に指示されて、光ディスク1のロードを再開する。
【0078】
次に、ステップS11において、検出値遷移監視部32は、ロードエンドスイッチ13の出力がHiであるか否かを判定する。ロードエンドスイッチ13の出力がHiである場合は、ロード完了と判定し一連の手順は終了となる。一方、ロードエンドスイッチ13の出力がLoである場合は、ロード途中であるためステップS2に戻り再び問題センサを除く光検出素子群12の出力遷移の監視を続行する。
【0079】
以上の手順により、光検出素子群12の出力遷移に異常があると、異形ディスクについては搬送を停止して排出する一方、正常ディスクについては搬送を継続し確実に装填することができる。
【0080】
本実施形態に係る光ディスク再生装置10は、Loの出力(遮光されていない旨の出力)を行うことにより異常遷移の原因となっているフォトセンサを抽出し、このフォトセンサの発光素子を強制消灯させた後強制点灯させるよう制御する。このため、Loを出力し続けるフォトセンサがある場合でも、(1)異形ディスクが挿入されておりかつこのフォトセンサが正常であるために発光素子の出射光が受光素子に入射し続けているケースと、(2)正常ディスクが挿入されておりかつこのフォトセンサの受光素子が異常であるまたは外光が影響しているために受光素子がLoを出力し続けてしまうケースと、を切り分けることができる。したがって、本実施形態に係る光ディスク再生装置10によれば、光検出素子群12の出力遷移に異常があると、異形ディスクについては搬送を停止して排出する一方、正常ディスクについては搬送を継続し確実に装填することができる。
【0081】
また、本実施形態に係る光ディスク再生装置10は、光検出素子の一部の故障や外光の影響があっても正常ディスクについては搬送を継続し確実に装填することができる。このため、従来の技術にくらべ、ユーザが光ディスク再生装置10自体に重大な不具合が生じたものと勘違いしてしまう場合を減らすことができる。
【0082】
また、この光ディスク再生装置10は、一度出力異常と判定したフォトセンサについて、次回の光ディスク1のロード時には再びこのフォトセンサを監視対象とする。このため、外光の影響が取り除かれたり、軽微な不具合が自然解消したりすることによってフォトセンサの出力が正常復帰した場合には、通常通りこのフォトセンサの出力を利用することができる。
【0083】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0084】
たとえば、本実施形態では光検出素子群12を構成するフォトセンサが4個の場合について説明したが、5個以上でもよいし、2個または3個でも構わない。
【0085】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0086】
1 光ディスク
10 光ディスク再生装置
11 ローラ
12 光検出素子群
12a フォトセンサ(Photo-A)
12b フォトセンサ(Photo-B)
12c フォトセンサ(Photo-C)
12d フォトセンサ(Photo-D)
13 ロードエンドスイッチ
20 主制御部
21 表示部
22 操作部
23 ネットワーク接続部
31 搬送制御部
32 検出値遷移監視部
33 問題センサ抽出部
34 発光制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの搬送を制御する搬送制御部と、
前記光ディスクの搬送路を挟むように対向配置された発光素子および受光素子により構成された複数の光検出素子と、
前記複数の光検出素子の受光素子の出力遷移を監視する検出値遷移監視部と、
前記検出値遷移監視部が前記出力遷移の異常を検出すると、遮光されていない旨の出力を行うことにより異常遷移の原因となっている光検出素子の発光素子を強制消灯させた後強制点灯させるよう制御する発光制御部と、
を備え、
前記検出値遷移監視部は、
前記異常遷移の原因となっている光検出素子の受光素子の出力が前記発光制御部により発光制御されても遮光されていない旨の出力を維持していると、この光検出素子の出力を監視対象外とするとともに前記搬送制御部に対し前記光ディスクの搬送を継続するよう指示する一方、前記異常遷移の原因となっている光検出素子の受光素子の出力が前記発光制御部による発光制御に応じた正常な遷移であると、前記搬送制御部に対し前記光ディスクを排出するよう指示することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項2】
前記検出値遷移監視部は、
監視対象外とした前記光検出素子について、次回の光ディスクの搬送時には再び監視対象として前記複数の光検出素子の受光素子の出力遷移を監視する、
請求項1記載の光ディスク再生装置。
【請求項3】
前記検出値遷移監視部は、
前記光検出素子の受光素子の出力が遮光されている旨の出力から遮光されていない旨の出力へ変化すると前記出力遷移の異常とする、
請求項1または2に記載の光ディスク再生装置。
【請求項4】
前記搬送制御部は、
前記検出値遷移監視部が前記出力遷移の異常を検出すると、前記光ディスクの搬送を一時停止する、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光ディスク再生装置。
【請求項5】
光ディスクの搬送を開始するステップと、
前記光ディスクの搬送路を挟むように対向配置された発光素子および受光素子により構成された複数の光検出素子の各受光素子の出力遷移を監視するステップと、
前記出力遷移の異常が検出されると、遮光されていない旨の出力を行うことにより異常遷移の原因となっている光検出素子の発光素子を強制消灯させた後強制点灯させるよう制御するステップと、
前記異常遷移の原因となっている光検出素子の発光素子を強制消灯させた後強制点灯させるよう制御するステップにより発光制御されても前記異常遷移の原因となっている光検出素子の受光素子の出力が遮光されていない旨の出力を維持していると、この光検出素子の出力を監視対象外とするとともに前記光ディスクの搬送を継続するステップと、
前記異常遷移の原因となっている光検出素子の受光素子の出力が前記発光制御部による発光制御に応じた正常な遷移であると、前記光ディスクを排出するステップと、
を有することを特徴とする光ディスク再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−272166(P2010−272166A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123027(P2009−123027)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】