説明

光ディスク再生装置

【課題】 ローダ部がスムーズにスライドできなくなったり、ローダ駆動用モータが破損してしまうことを安価で防止することができる光ディスク再生装置を提供する。
【解決手段】 筐体と、筐体の前面に開口する開口部と、光ディスクを載置するディスク載置部を備えるローダ部と、一部が前記ローダ部に固定されたタイミングベルトと、タイミングベルトを掛架する歯車部を備え軸支部を軸に自在に回動するギヤ部と、タイミングベルトをギヤ部と共に掛架しタイミングベルトを回転させることによって開口部を介してローダ部を筐体の外部から筐体の内部に移動させるローダ駆動手段と、ローダ駆動手段によって筐体の内部に移動された光ディスクに記録されたデータを再生する再生部とを備え、ギヤ部は、一端に一定角度毎に欠落部分を有する円盤型を形成した第1の鍔部を備え、当該一端の他端に欠落部分に対して平行となる箇所に鍔を形成する第2の鍔部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録されているデータを再生する光ディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光ディスク再生装置として、光ディスクを載置したローダ部を筐体の内部に移動させ、筐体内部に備えるターンテーブルにより当該光ディスクを回転させることによって、光ディスクに記録されたデータを再生するディスクローディング機構を有する光ディスク再生装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図4は、従来の光ディスク再生装置を示す上面図である。
従来の光ディスク再生装置100は、筐体2、ローダ部3、案内部4、ローダ駆動用モータ5、再生部6、タイミングベルト18、ギヤ部27、図示しないクランパ及び制御部を備える。
図4においては、下方を光ディスク再生装置100の前方とする。
【0004】
筐体2は、箱型を形成し、前面に開口部201を備える。ローダ部3は、平板であって、中央部分にディスク載置部301を備える。ディスク載置部301は、上面に図示しない光ディスクを載置可能な凹部302を備え、凹部302の中央部分に孔303を備える。ローダ部3の左右部分の下面にはそれぞれ下方に突出する凸部304を備える。
【0005】
案内部4は、ローダ部3の左右の側面に近接した位置にそれぞれ配設された状態で筐体2に固定される。ローダ部3は、左右の側面に案内部4が近接していることによって、左右方向への移動が抑止され、筐体2に対して前後方向にのみ移動可能となる。ローダ駆動用モータ5は、回転軸にピニオン501を備える。ギヤ部27は、ローダ駆動用モータ5の前方に配設される。再生部6は、筐体2の内部に配設され、上面にターンテーブル601、スピンドルモータ602、光ピックアップ603及びピックアップ駆動部604を備える。
【0006】
図5(a)及び(b)は、従来の光ディスク再生装置100のギヤ部27の構成を示す側面図である。
【0007】
図5(a)に示すように、光ディスク再生装置100は、前述したギヤ部27等の構成の他に、軸支部19、Eリング22及び抜け防止プレート28を備える。ギヤ部27は、上下方向に型抜きされる金型により一体成型された樹脂部材から成り、円筒部271、孔272、歯車部273及び鍔部274を備える。
【0008】
円筒部271は、円筒型を成し、中央部分に貫通する孔272を備える。歯車部273は、外径が円筒部271の外径より大きな円筒型を成し、外周部分に歯車を形成する。鍔部274は、歯車部273の下端部分に配設され薄い円盤型を形成する。
【0009】
軸支部19は、筐体2に固定され、上方に突出する軸191を備える。抜け防止プレート28は、中央部分に孔281を備えた円盤型を形成する。
【0010】
軸支部19の軸191には、上方からギヤ部27の孔272が挿入される。ギヤ部27は、孔272に軸191が挿入されることによって軸支部19の軸191を軸として自在に回動可能に成される。
【0011】
図4に示すように、タイミングベルト18は、内側に歯部を備えたゴム部材等の弾性体から成り、円環状を形成する。図4及び図5(a)に示すように、タイミングベルト18は、ピニオン501の外周に備える歯車部分とギヤ部27の歯車部273に掛架され、ピニオン501の歯車とギヤ部27の歯車部273に噛合った状態に成される。ローダ部3は、凸部304の後方部分に固定部306を備える。固定部306は、タイミングベルト18の一部分とローダ部3の後方部分を固定する。
【0012】
図5(a)に示すように、ギヤ部27の歯車部273の幅は、タイミングベルト18の幅より大きい。ギヤ部27は、歯車部273にタイミングベルト18が掛架された後、ギヤ部27の上方から抜け防止プレート28の孔281が軸191に挿入され、更に、軸191の上端部分にEリング22が固定される。抜け防止プレート28の外径は、ギヤ部27の外径より大きく形成される。ギヤ部27は、抜け防止プレート28及びEリング22によって、上方に抜けないように成されている。
【0013】
タイミングベルト18は、ピニオン501と回動自在に成されているギヤ部27に掛架されていることから、ローダ駆動用モータ5のピニオン501が回転するのに伴ってトラック状に回転する。
【0014】
図5(a)に示すように、ギヤ部27は、歯車部273にタイミングベルト18が掛架され、タイミングベルト18の回転に伴って回転している状態の場合、鍔部274によってタイミングベルト18が下方に外れないように成され、また、抜け防止プレート28によってタイミングベルト18が上方に外れないように成されている。
【0015】
ローダ駆動用モータ5は、制御部の制御によりピニオン501を時計回り方向又は反時計回り方向に回転させる。ローダ部3は、ピニオン501とギヤ部27に掛架されると共に、後方部分が固定部306によってタイミングベルト18に固定されていることから、ローダ駆動用モータ5のピニオン501が時計回り方向又は反時計回り方向に回転し、タイミングベルト18がトラック状に時計回り方向又は反時計回り方向に回転するのに伴って前後方向に移動し、開口部201を介して筐体2の前方と筐体2内部との間を自在にスライドする。
【0016】
ターンテーブル601は、ローダ部3によって筐体2の内部に搬送された光ディスクを保持する。スピンドルモータ602は、制御部の制御によりターンテーブル601を回転させる。ピックアップ駆動部604は、制御部の制御により、スピンドルモータ602の軸方向に光ピックアップ603をスライド駆動させる。光ピックアップ603は、光ディスクに記録されたオーディオデータを読み取る。
【0017】
このように従来の光ディスク再生装置100は、先ず、ローダ部3を筐体2の前方にスライドさせた状態で光ディスクを凹部302に載置し、次に、制御部の制御によってローダ駆動用モータ5のピニオン501を回転させてタイミングベルト18をトラック状に回転させ、ローダ部3を後方にスライドさせることによって光ディスクを筐体2の内部に搬送し、次に、筐体2内に移動された光ディスクの下方から図示しない機構により再生部が上昇して再生部6に備えるターンテーブル601が光ディスクを保持した後、当該ターンテーブル601が光ディスクを回転させると共に光ピックアップ603が光ディスクに記録されたデータを読み取ることによって、光ディスクに記録されたデータを再生する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平6−251481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
前述したように、タイミングベルト18の幅は、歯車部273の幅より小さいため、ピニオン501とギヤ部27の間に掛架された状態で歯車部273と噛合いながらトラック状に回転している状態のとき、タイミングベルト18の内側の歯部と歯車部273の表面歯車の部分との歯合部分が上下方向にスライドし、歯車部273に対してタイミングベルト18が上方又は下方にスライドすることがある。
【0020】
このように、タイミングベルト18が歯車部273に対してタイミングベルト18が上方又は下方にスライドした場合、前述したように、鍔部274によってタイミングベルト18の下方へのスライドを抑制し、また、抜け防止プレート28によってタイミングベルト18の上方へのスライドを抑制しているため、タイミングベルト18がギヤ部27の上方又は下方に外れてしまうことを防止している。
【0021】
しかしながら、タイミングベルト18の上方へスライドする力が大きくなった場合、タイミングベルト18の上端部分が抜け防止プレート28を大きな力で上方に押圧するため、図5(b)に示すように、抜け防止プレート28が上方に撓んで抜け防止プレート28の孔281の内壁面が軸191の表面に強い力で当接した状態となることがある。このように、抜け防止プレート28の孔281の内壁面が軸191の表面に強い力で当接すると、抜け防止プレート28の孔281の内壁面と軸191の表面との間で強い摩擦力が生じ、この摩擦力によってギヤ部27の自在な回転が抑制されてしまう。ギヤ部27の回転が抑制されると、ピニオン501と歯車部273に掛架されたタイミングベルト18がスムーズにトラック状に回転できなくなり、ローダ部3がスムーズに前後方向にスライドできなくなってしまい、光ディスク再生装置100の品位が損なわれてしまう。また、ギヤ部27の回転が抑制されると、ピニオン501と歯車部273に掛架されたタイミングベルト18が回転できなくなり、この結果、タイミングベルト18と噛合ったピニオン501も回転できなくなることから、ピニオン501を回転させようとするローダ駆動用モータ5が破損してしまう虞がある。
【0022】
このような、抜け防止プレート28の孔281の内壁面と軸191の表面の当接を防止する手段として、歯車部273の下端部分に備える鍔部274を上端部分に備えた構成にすることが考えられるが、前述したように、通常、ギヤ部27は、上下方向に型抜きされる金型により一体成型されるため、歯車部273の外径より大きな外径となる鍔部274を歯車部273の上端部分及び下端部分にそれぞれ備えた形を上下方向に型抜きされる金型により一体成型することができない。また、特殊な金型成型手段によって鍔部274を歯車部273の上端部分及び下端部分にそれぞれ備えるギヤ部27を一体成型しようにすると、ギヤ部27を成型するための金型製造費用が大幅に上昇してしまい、また、ギヤ部27の製造コストが上昇して光ディスク再生装置100の製造コストが上昇してしまう。
【0023】
本発明は、ローダ駆動用モータを回転させてタイミングベルトをトラック状に回転させ、当該タイミングベルトに固定されたローダ部をスライドさせることによって光ディスクを筐体の内部及び外部に搬送する光ディスク再生装置において、ローダ部がスムーズにスライドできなくなったり、ローダ駆動用モータが破損してしまうことを安価で防止することができる光ディスク再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本願の請求項1記載の発明は、光ディスクを再生する光ディスク再生装置において、筐体と、前記筐体の前面に開口する開口部と、光ディスクを載置するディスク載置部を備えるローダ部と、一部が前記ローダ部に固定されたタイミングベルトと、前記タイミングベルトを掛架する歯車部を備え軸支部を軸に自在に回動するギヤ部と、前記タイミングベルトを前記ギヤ部と共に掛架し前記タイミングベルトを回転させることによって前記開口部を介して前記ローダ部を前記筐体の外部から前記筐体の内部に移動させるローダ駆動手段と、前記ローダ駆動手段によって前記筐体の内部に移動された光ディスクに記録されたデータを再生する再生部とを備え、前記ギヤ部は、一端に一定角度毎に欠落部分を有する円盤型を形成した第1の鍔部を備え、当該一端の他端に前記欠落部分に対して平行となる箇所に鍔を形成する第2の鍔部を備えることを特徴とする。
【0025】
本願の請求項2記載の発明は、請求項1記載の光ディスク再生装置において、前記第1の鍔部及び前記第2の鍔部は、内周から外周に向かって前記歯車部と反対の方向に傾斜する傾斜部をそれぞれ備えることを特徴とする。
【0026】
本願の請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の光ディスク再生装置において、前記第2の鍔部の外周部分は、前記歯車部の外周部分より低いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ローダ駆動用モータを回転させてタイミングベルトをトラック状に回転させ、当該タイミングベルトに固定されたローダ部をスライドさせることによって光ディスクを筐体の内部及び外部に搬送する光ディスク再生装置において、ローダ部がスムーズにスライドできなくなったり、ローダ駆動用モータが破損してしまうことを安価で防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例の光ディスク再生装置を示す上面図。
【図2】本実施例の光ディスク再生装置1のギヤ部17の構成を示す図。
【図3】本実施例のギヤ部17の構成を示す側面図。
【図4】従来の光ディスク再生装置を示す上面図。
【図5】従来の光ディスク再生装置100のギヤ部27の構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、従来技術で示した構成要素と同一の部分については同符号を用いる。
【0030】
図1は、本発明の一実施例の光ディスク再生装置を示す上面図である。
光ディスク再生装置1は、筐体2、ローダ部3、案内部4、ローダ駆動用モータ5、再生部6、ギヤ部17、タイミングベルト18、図示しないクランパ及び制御部を備える。
図1においては、下方を光ディスク再生装置1の前方とする。
【0031】
筐体2は、箱型を形成し、前面に開口部201を備える。ローダ部3は、平板であって、中央部分にディスク載置部301を備える。ディスク載置部301は、上面に図示しない光ディスクを載置可能な凹部302を備え、凹部302の中央部分に孔303を備える。ローダ部3の左右部分の下面にはそれぞれ下方に突出する凸部304を備える。
【0032】
案内部4は、ローダ部3の左右の側面に近接した位置にそれぞれ配設された状態で筐体2に固定される。ローダ部3は、左右の側面に案内部4が近接していることによって、左右方向への移動が抑止され、筐体2に対して前後方向にのみ移動可能となる。ローダ駆動用モータ5は、回転軸にピニオン501を備える。ギヤ部27は、ローダ駆動用モータ5の前方に配設される。再生部6は、筐体2の内部に配設され、上面にターンテーブル601、スピンドルモータ602、光ピックアップ603及びピックアップ駆動部604を備える。
【0033】
図2は、本実施例の光ディスク再生装置1のギヤ部17の構成を示す図で、図2(a)は上方からの斜視図、図2(b)は下方からの斜視図、図2(c)は上面図、図2(d)は図2(c)の側面図である。
図2においては、図2(a)及び(b)の上方をギヤ部17の上方とし、図2(d)の左側方向をギヤ部17の上方とする。
【0034】
ギヤ部17は、上下方向に型抜きされる金型により一体成型された樹脂部材から成り、円筒部171、孔172、歯車部173、第1の鍔部174及び第2の鍔部175を備える。
【0035】
図2(a)〜(d)に示すように、円筒部171は、円筒型を成し、中央部分に貫通する孔172を備える。歯車部173は、外径が円筒部171の外径より大きな円筒型を成し、外周部分に歯車を形成する。第1の鍔部174は、歯車部173の下端部分に配設され、上方から見て一定角度毎(本実施例においては60度毎)の部分に欠落部分を有した薄い円盤型を形成する。第2の鍔部175は、歯車部173の上端部分に配設され、上方から見て歯車部173の欠落部分のそれぞれの箇所に対して平行となる箇所に鍔を形成する。第1の鍔部174の外径は、歯車部173の外径より大きい。第2の鍔部175の外周部分は、歯車部173の外周部分より低い。
【0036】
第1の鍔部174は、鍔の上面部分に内周から外周に向かって歯車部173と反対の方向に傾斜した傾斜部176を備える。第2の鍔部175は、鍔の下面部分に内周から外周に向かって歯車部173と反対の方向に傾斜した傾斜部177を備える。
【0037】
図3は、本実施例のギヤ部17の構成を示す側面図である。
【0038】
図3に示すように、光ディスク再生装置1は、前述したギヤ部17等の構成の他に、軸支部19及びEリング22を備える。
【0039】
軸支部19は、筐体2に固定され、上方に突出する軸191を備える。軸支部19の軸191には、上方からギヤ部17の孔172が挿入される。ギヤ部17は、孔172に軸191が挿入されることによって軸支部19の軸191を軸として自在に回動可能に成される。
【0040】
図1に示すように、タイミングベルト18は、内側に歯部を備えたゴム部材等の弾性体から成り、円環状を形成する。図1及び図3に示すように、タイミングベルト18は、ピニオン501の外周に備える歯車部分とギヤ部17の歯車部173に掛架され、ピニオン501の歯車とギヤ部17の歯車部173に噛合った状態に成される。ローダ部3は、凸部304の後方部分に固定部306を備える。固定部306は、タイミングベルト18の一部分とローダ部3の後方部分を固定する。
【0041】
図3に示すように、ギヤ部17の歯車部173の幅は、タイミングベルト18の幅より大きい。軸191の上端部分は、ギヤ部17の孔172に軸191が挿入された後、Eリング22が固定される。ギヤ部27は、Eリング22によって、上方に抜けないように成されている。
【0042】
タイミングベルト18は、ピニオン501と回動自在に成されているギヤ部17に掛架されていることから、ローダ駆動用モータ5のピニオン501が回転するのに伴ってトラック状に回転する。
【0043】
ローダ駆動用モータ5は、制御部の制御によりピニオン501を時計回り方向又は反時計回り方向に回転させる。ローダ部3は、ピニオン501とギヤ部17に掛架されると共に、後方部分が固定部306によってタイミングベルト18に固定されていることから、ローダ駆動用モータ5のピニオン501が時計回り方向又は反時計回り方向に回転し、タイミングベルト18がトラック状に時計回り方向又は反時計回り方向に回転するのに伴って前後方向に移動し、開口部201を介して筐体2の前方と筐体2内部との間を自在にスライドする。
【0044】
ターンテーブル601は、ローダ部3によって筐体2の内部に搬送された光ディスクを保持する。スピンドルモータ602は、制御部の制御によりターンテーブル601を回転させる。ピックアップ駆動部604は、制御部の制御により、スピンドルモータ602の軸方向に光ピックアップ603をスライド駆動させる。光ピックアップ603は、光ディスクに記録されたオーディオデータを読み取る。
【0045】
このように、本実施例の光ディスク再生装置1は、先ず、ローダ部3を筐体2の前方にスライドさせた状態で光ディスクを凹部302に載置し、次に、制御部の制御によってローダ駆動用モータ5のピニオン501を回転させてタイミングベルト18をトラック状に回転させ、ローダ部3を後方にスライドさせることによって光ディスクを筐体2の内部に搬送し、次に、筐体2内に移動された光ディスクの下方から図示しない機構により再生部が上昇して再生部6に備えるターンテーブル601が光ディスクを保持した後、当該ターンテーブル601が光ディスクを回転させると共に光ピックアップ603が光ディスクに記録されたデータを読み取ることによって、光ディスクに記録されたデータを再生する構成となっている。
【0046】
図3に示すように、ギヤ部17は、歯車部173にタイミングベルト18が掛架され、タイミングベルト18の回転に伴って回転している状態の場合、第1の鍔部174の鍔の部分によってタイミングベルト18が下方に外れないように成され、また、第2の鍔部175の鍔の部分によってタイミングベルト18が上方に外れないように成されている。
【0047】
背景技術で説明したように、タイミングベルト18の幅は、歯車部173の幅より小さいため、ピニオン501とギヤ部17の間に掛架された状態で歯車部173と噛合いながらトラック状に回転している状態のとき、タイミングベルト18の内側の歯部と歯車部173の表面歯車の部分との歯合部分が上下方向にスライドし、歯車部173に対してタイミングベルト18が上方又は下方にスライドすることがあり、タイミングベルト18の上方又は下方へスライドする力が大きくなって第1の鍔部174を大きな力で下方に押圧したり、また、第2の鍔部175を大きな力で上方に押圧する場合がある。
【0048】
しかしながら、例えば、歯車部173に対してタイミングベルト18が下方にスライドし、第1の鍔部174を大きな力で下方に押圧しても、第1の鍔部174は、内周から外周に向かって歯車部173と反対の方向に傾斜した傾斜部176を鍔の上面に備えていることから、タイミングベルト18が大きな力で第1の鍔部174を下方に押圧しても、この傾斜部176がタイミングベルト18の下端部分を上方に押し戻そうとする力が作用するため、タイミングベルト18のトラック状の回転をスムーズに保つことができる。
【0049】
また、例えば、歯車部173に対してタイミングベルト18が上方にスライドし、第2の鍔部175を大きな力で上方に押圧しても、第2の鍔部175は、内周から外周に向かって歯車部173と反対の方向に傾斜した傾斜部177を鍔の下面に備えていることから、タイミングベルト18が大きな力で第2の鍔部175を上方に押圧しても、この傾斜部177がタイミングベルト18の上端部分を下方に押し戻そうとする力が作用するため、タイミングベルト18のトラック状の回転をスムーズに保つことができる。
【0050】
このように、本実施例の光ディスク再生装置1は、ピニオン501とギヤ部17の間に掛架された状態で歯車部173と噛合いながらトラック状に回転している状態のとき、タイミングベルト18の内側の歯部と歯車部173の表面歯車の部分との歯合部分が上下方向にスライドし、タイミングベルト18が上方又は下方へ大きな力でスライドした場合でも、タイミングベルト18のトラック状の回転をスムーズに保つことができるため、ギヤ部17の回転が抑制され、タイミングベルト18がスムーズにトラック状に回転できなくなってローダ部3がスムーズに前後方向にスライドできなくなり、光ディスク再生装置1の品位が損なわれてしまったり、また、タイミングベルト18と噛合ったピニオン501が回転できなくなることによってピニオン501を回転させようとするローダ駆動用モータ5が破損してしまうことを防止することができる。
【0051】
本実施例の光ディスク再生装置1のギヤ部17は、図2(a)〜(d)に示すように、第1の鍔部174が上方から見て一定角度毎(本実施例においては60度毎)に欠落部分を有した薄い円盤型を形成し、また、第2の鍔部175が上方から見て歯車部173の欠落部分に対して平行となるそれぞれの箇所に鍔を形成することから、上下方向に型抜きされる金型により一体成型することができる。このため、歯車部173の上端部分及び下端部分にそれぞれ鍔部を備えるギヤ部を一体成型するための特殊な金型成型手段を用いる必要がないことから、ギヤ部17を成型するための金型製造費用が大幅に上昇してしまったり、ギヤ部17の製造コストが上昇して光ディスク再生装置1の製造コストが上昇してしまうことを防止することができる。
【0052】
本実施例の光ディスク再生装置1は、ギヤ部17の第2の鍔部175の外周部分が歯車部173の外周部分より低いことにより、例えば、ギヤ部17が軸支部19に軸支された状態であっても、タイミングベルト18の弾性力によって、タイミングベルト18を少し拡げるだけでギヤ部17にタイミングベルト18を容易に掛架することができ、また、例えば、ギヤ部17が軸支部19に軸支され、タイミングベルト18がピニオン501と歯車部173に掛架された状態であっても、タイミングベルト18の弾性力によって、歯車部173に噛合ったタイミングベルト18を少し拡げて上方に持ち上げるだけでギヤ部17に掛架したタイミングベルト18を容易に取り外すことができる。
【0053】
本実施例の光ディスク再生装置1は、ギヤ部17に第1の鍔部174及び第2の鍔部175を備える構成としたが、第1の鍔部174及び第2の鍔部175をピニオン501に備える構成としても良い。
【0054】
本実施例の光ディスク再生装置1は、図2(a)〜(d)に示すように、第1の鍔部174が上方から見て60度毎に欠落部分を有した薄い円盤型を形成し、第2の鍔部175が上方から見て歯車部173の欠落部分のそれぞれの箇所に配設された鍔を形成する構成としたが、ギヤ部17に掛架されたタイミングベルト18が外れるのを防止することができ、また、ギヤ部17の成型に特殊な金型を必要としないのであれば、第1の鍔部174が上方から見て60度以外の一定角度毎に欠落部分を有する構成としても良い。
【0055】
本実施例の光ディスク再生装置1は、ギヤ部17の第1の鍔部174及び第2の鍔部175にそれぞれ傾斜部176及び傾斜部177を備える構成としたが、歯車部173に対してタイミングベルト18が上方または下方へスライドする力が強くない場合は、傾斜部176及び傾斜部177を備えない構成としても良い。これにより、ギヤ部17を成型するための金型製造費用及びギヤ部17の製造コストを低減させることができる。
【0056】
本実施例の光ディスク再生装置1は、ギヤ部17に掛架されたタイミングベルト18をトラック状に回転させることにより、ローダ部3をスライドさせる構成としたが、タイミングベルト18を回転させることにより、例えば、再生部を上下方向に移動させたり、また、ターンテーブルを回転させたりする用途に用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、光ディスクに記録されているデータを再生する光ディスク再生装置に有用に用いることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 光ディスク再生装置、2 筐体、201 開口部、
3 ローダ部、301 ディスク載置部、302 凹部、303 孔、
304 凸部、306 固定部、4 案内部、
5 ローダ駆動用モータ、501 ピニオン、
6 再生部、601 ターンテーブル、602 スピンドルモータ、
603 光ピックアップ、604 ピックアップ駆動部、
17 ギヤ部、171 円筒部、172 孔、173 歯車部、
174 第1の鍔部、175 第2の鍔部、176 傾斜部、177 傾斜部、
18 タイミングベルト、19 軸支部、191 軸、22 Eリング、
100 光ディスク再生装置、
27 ギヤ部、271 円筒部、272 孔、273 歯車部、274 鍔部、
28 抜け防止プレート、281 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクを再生する光ディスク再生装置において、
筐体と、
前記筐体の前面に開口する開口部と、
光ディスクを載置するディスク載置部を備えるローダ部と、
一部が前記ローダ部に固定されたタイミングベルトと、
前記タイミングベルトを掛架する歯車部を備え軸支部を軸に自在に回動するギヤ部と、
前記タイミングベルトを前記ギヤ部と共に掛架し前記タイミングベルトを回転させることによって前記開口部を介して前記ローダ部を前記筐体の外部から前記筐体の内部に移動させるローダ駆動手段と、
前記ローダ駆動手段によって前記筐体の内部に移動された光ディスクに記録されたデータを再生する再生部とを備え、
前記ギヤ部は、一端に一定角度毎に欠落部分を有する円盤型を形成した第1の鍔部を備え、当該一端の他端に前記欠落部分に対して平行となる箇所に鍔を形成する第2の鍔部を備えることを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項2】
請求項1記載の光ディスク再生装置において、
前記第1の鍔部及び前記第2の鍔部は、内周から外周に向かって前記歯車部と反対の方向に傾斜する傾斜部をそれぞれ備えることを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の光ディスク再生装置において、
前記第2の鍔部の外周部分は、前記歯車部の外周部分より低いことを特徴とする光ディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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