説明

光ディスク装置およびその制御方法

【課題】光ディスクの種類に関係なく、光ディスクに記録されているコンテンツの種類の判別が可能な光ディスク装置を実現する。
【解決手段】光ディスク装置(11)は、ホスト装置(100)と光ディスク装置(11)との間のやりとりに基づいて、光ディスク(16)に記録されているコンテンツの種類を判別するシステムコントローラ(12)と、判別されたコンテンツの種類に応じて、光ディスク装置(11)の回転速度を制御するディスク回転制御部(13)およびホスト装置(100)と光ディスク装置(11)との間のデータ通信速度を制御する通信速度制御部(17)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に関し、特に、デジタルビデオデータやコンピュータ用データなど、さまざまな種類のデータを再生可能な光ディスク装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のコンピュータなどの光ディスク制御機器、すなわち、ホスト装置の高性能化に伴い、光ディスク装置はデータをホスト装置へ高速で転送することが可能となっている。しかし、高速通信は、光ディスク装置におけるディスク回転速度や、ホスト装置と光ディスク装置との間のデータ通信速度を増大しなければならないため、光ディスク装置の騒音、振動、光ディスクの回転速度の高速化に伴う光ディスク再生装置の耐久性低下、データ通信の高速化に伴うノイズの発生、ノイズの発生によるデータ通信の信頼性低下、および装置全体の消費電力の増加などが問題となっている。
【0003】
上記問題を解決するため、光ディスク装置は、概して、光ディスクの種類ごとにあらかじめ決定された回転速度で再生する。たとえば、CD(Compact Disc)の場合、音楽コンテンツでは低回転速度で再生し、データコンテンツでは最大回転速度で再生動作が行われる。また、DVD(Degital Versatile Disc)の場合では2層ディスクは低回転速度で再生され、1層ディスクは高回転速度で再生される。しかし、DVDの場合、コンテンツはコンピュータ上で処理されるデータであるため、常に最大回転速度で再生され、オーディオビデオデータのような高速回転で再生する必要がないコンテンツまでもが最大回転速度で再生されてしまう。
【0004】
そこで従来の技術では、DVDに記録されているVIDEO_TSディレクトリやコピーライトプロテクションシステムタイプ(Copyright Protection System Type)、リージョンマネジメントインフォメーション(Region Management Information)、または各セクタデータのヘッダのCPM(Copyright Material)ビットを参照することによって、DVDのコンテンツの種類がオーディオビデオデータであるか否かを判別し、オーディオビデオデータである場合は、低速回転で再生することを行っている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−357601号公報(第4、5頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のVIDEO_TSディレクトリやコピーライトプロテクションシステムタイプ、リージョンマネジメントインフォメーション、または各セクタデータのヘッダのCPMビットは、限られた種類のDVDに記録されている。このため、これらを参照できたとしても、限られた種類のDVDについてのみ判別可能である。したがって、従来技術では全種類のDVDについてコンテンツの種類を判別することは困難である。
【0006】
上記問題に鑑み、本発明は、光ディスクの種類に関係なく、コンテンツの種類の判別が可能な光ディスク装置の実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために本発明が講じた手段は、光ディスクに記録された情報を再生する光ディスク装置であって、ホスト装置と光ディスク装置との間のやりとりに基づいて、光ディスクに記録されているコンテンツの種類を判別するシステムコントローラと、判別されたコンテンツの種類に応じて、光ディスク装置の再生動作の制御を行う制御部とを備えたものとする。
【0008】
この発明によると、システムコントローラによって、ホスト装置と光ディスク再生装置とのやりとりに基づいて、光ディスクに記録されたコンテンツの種類が判別され、制御部によって、判別されたコンテンツの種類に応じて、光ディスク装置の再生動作の制御が行われる。これにより、光ディスクの種類に関係なく、コンテンツの種類を判別することができ、判別されたコンテンツの種類に応じて、光ディスク装置の再生動作に適応した制御を行うことができる。
【0009】
具体的には、システムコントローラは、ホスト装置から光ディスク装置に送られたコマンドに含まれる情報から、コンテンツの種類を判別するものとする。
【0010】
この発明によると、システムコントローラによって、ホスト装置から光ディスク装置に送られたコマンドに含まれる情報が参照されることで、光ディスクに記録されているコンテンツの種類が判別される。これにより、コンテンツの種類が容易に判別される。
【0011】
また、具体的には、システムコントローラは、ホスト装置と光ディスク装置との間の著作権保護技術に基づく手続きの成否結果から、コンテンツの種類を判別するものとする。
【0012】
この発明によると、システムコントローラによって、ホスト装置と光ディスク装置との間で著作権保護技術に基づく手続きの成否結果が検出されることで、光ディスクに記録されているコンテンツの種類が判別される。これにより、コンテンツの種類が容易に判別される。
【0013】
また、上記問題を解決するために本発明が講じた手段は、光ディスクに記録された情報を再生する光ディスク装置であって、光ディスクに書き込まれているアプリケーション情報から、光ディスクに記録されているコンテンツの種類を判別するシステムコントローラと、判別されたコンテンツの種類に応じて、光ディスク装置の再生動作の制御を行う制御部とを備えたものとする。
【0014】
この発明によると、システムコントローラによって、光ディスクに書き込まれているアプリケーション情報を検出することで、コンテンツの種類が判別され、制御部によって、判別されたコンテンツの種類に応じて、光ディスク装置の再生動作の制御が行われる。アプリケーション情報は、光ディスクの種類に関係なく記録されているため、これにより、光ディスクの種類に関係なく、コンテンツの種類を判別することができ、判別されたコンテンツの種類に応じて、光ディスク装置の再生動作に適応した制御を行うことができる。
【0015】
具体的には、前記システムコントローラは、アプリケーション情報としてビデオレコーダに係る情報を検出した場合、コンテンツの種類がオーディオビデオデータであると判断するものとする。
【0016】
この発明によると、光ディスクにビデオレコーダに係る情報が記録されている場合、システムコントローラによって、当該光ディスクに記録されているコンテンツの種類がオーディオビデオデータであると判断される。これにより、コンテンツの種類が容易に判別される。
【0017】
また、具体的には、システムコントローラは、アプリケーション情報としてビデオ作成ソフトウェアに係る情報を検出した場合、コンテンツの種類がオーディオビデオデータであると判断するものとする。
【0018】
この発明によると、光ディスクにビデオ作成ソフトウェアに関する情報が記録されている場合、システムコントローラによって、当該光ディスクに記録されているコンテンツの種類がオーディオビデオデータであると判断される。これにより、コンテンツの種類が容易に判別される。
【0019】
また、具体的には、システムコントローラは、アプリケーション情報としてオーディオ作成ソフトウェアに係る情報を検出した場合、コンテンツの種類がオーディオビデオデータであると判断するものとする。
【0020】
この発明によると、光ディスクにオーディオ作成ソフトウェアに関する情報が記録されている場合、システムコントローラによって、当該光ディスクに記録されているコンテンツの種類がオーディオビデオデータであると判断される。これにより、コンテンツの種類が容易に判別される。
【0021】
また、具体的には、システムコントローラは、コンテンツの種類の判別結果に応じて、光ディスクの回転速度を制御するための制御信号を出力するものであり、制御部は、制御信号に基づいて、光ディスクの回転速度を制御するディスク回転制御部を有するものとする。
【0022】
この発明によると、判別されたコンテンツの種類に応じて、光ディスク装置の再生動作に適応した光ディスクの回転速度が設定される。
【0023】
さらに、具体的には、システムコントローラは、制御信号として、判別したコンテンツの種類がオーディオビデオデータである場合、回転速度を相対的に低く設定するための信号を出力し、判別したコンテンツの種類がオーディオビデオデータ以外のデータである場合、回転速度を相対的に高く設定するための信号を出力するものとする。
【0024】
この発明によると、オーディオビデオデータ以外のデータが記録された光ディスクの再生時には、回転速度は高速に設定されるが、オーディオビデオデータが記録された光ディスクの再生時には、回転速度は低速に設定されるため、光ディスク装置の騒音、振動および消費電力が低減される。
【0025】
また、具体的には、システムコントローラは、コンテンツの種類の判別結果に応じて、ホスト装置と光ディスク装置との間のデータ通信速度を制御するための制御信号を出力するものであり、制御部は、制御信号に基づいて、データ通信速度を制御する通信速度制御部を有するものとする。
【0026】
この発明によると、判別されたコンテンツの種類に応じて、光ディスク装置の再生動作に適応したホスト装置と光ディスク装置との間のデータ通信速度が設定される。
【0027】
さらに、具体的には、システムコントローラは、制御信号として、判別したコンテンツの種類がオーディオビデオデータである場合、データ通信速度を相対的に低く設定するための信号を出力し、判別したコンテンツの種類がオーディオビデオデータ以外のデータである場合、データ通信速度を相対的に高く設定するための信号を出力するものとする。
【0028】
この発明によると、オーディオビデオデータ以外のデータが記録された光ディスクの再生時には、データ通信速度は高速に設定されるが、オーディオビデオデータが記録された光ディスクの再生時には、データ通信速度は低速に設定されるため、データ通信の高速化に伴うノイズの発生、ならびにホスト装置および光ディスク装置の消費電力が低減される。
【0029】
一方、上記課題を解決するために本発明が講じた手段は、光ディスク装置の制御方法として、ホスト装置と光ディスク装置との間のやりとりに基づいて、光ディスク装置に装填された光ディスクに記録されているコンテンツの種類を判別する判別ステップと、判別されたコンテンツの種類に応じて、光ディスク装置の再生動作の制御を行う制御ステップとを備えたものとする。
【0030】
この発明によると、ホスト装置と光ディスク装置との間のやりとりから、光ディスクに記録されているコンテンツの種類が判別され、判別されたコンテンツの種類に応じて、光ディスク装置の再生動作の制御が行われる。これにより、光ディスクの種類に関係なく、コンテンツの種類を判別することができ、判別されたコンテンツの種類に応じて、光ディスク装置の再生動作に適応した制御を行うことができる。
【0031】
具体的には、判別ステップは、ホスト装置から光ディスク装置に送られたコマンドに含まれる情報から、コンテンツの種類を判別するものとする。
【0032】
この発明によると、ホスト装置から光ディスク装置に送られたコマンドに含まれる情報から、光ディスクに記録されているコンテンツの種類が判別される。これにより、コンテンツの種類が容易に判別される。
【0033】
また、具体的には、判別ステップは、ホスト装置と光ディスク装置との間の著作権保護技術に基づく手続きの成否結果から、コンテンツの種類を判別するものとする。
【0034】
この発明によると、ホスト装置と光ディスク装置との間で著作権保護技術に基づく手続きの成否結果から、光ディスクに記録されているコンテンツの種類が判別される。これにより、コンテンツの種類が容易に判別される。
【0035】
また、上記問題を解決するために本発明が講じた手段は、光ディスク装置の制御方法として、光ディスク装置に装填された光ディスクに書き込まれているアプリケーション情報から、光ディスクに記録されているコンテンツの種類を判別する判別ステップと、判別されたコンテンツの種類に応じて、光ディスク装置の再生動作の制御を行う制御ステップとを備えたものとする。
【0036】
この発明によると、光ディスクに書き込まれているアプリケーション情報から、光ディスクに記録されているコンテンツの種類が判別され、判別されたコンテンツの種類に応じて、光ディスク装置の再生動作の制御が行われる。アプリケーション情報は、光ディスクの種類に関係なく記録されているため、これにより、光ディスクの種類に関係なく、コンテンツの種類を判別することができ、判別されたコンテンツの種類に応じて、光ディスク装置の再生動作に適応した制御を行うことができる。
【0037】
また、具体的には、制御ステップは、判別されたコンテンツの種類がオーディオビデオデータである場合、光ディスクの回転速度を相対的に低く設定し、判別されたコンテンツの種類がオーディオビデオデータ以外の場合、回転速度を相対的に高く設定するものとする。
【0038】
この発明によると、オーディオビデオデータが記録された光ディスクの再生時は、光ディスクの回転速度が相対的に低く設定され、オーディオビデオデータ以外のデータが記録された光ディスクの再生時は、光ディスクの回転速度が相対的に高く設定される。これにより、光ディスク装置の騒音、振動および消費電力が低減される。
【0039】
また、具体的には、制御ステップは、判別されたコンテンツの種類がオーディオビデオデータである場合、ホスト装置と光ディスク装置との間のデータ通信速度を相対的に低く設定し、判別されたコンテンツの種類がオーディオビデオデータ以外の場合、データ通信速度を相対的に高く設定するものとする。
【0040】
この発明によると、オーディオビデオデータが記録された光ディスクの再生時は、データ通信速度が相対的に低く設定され、オーディオビデオデータ以外のデータが記録された光ディスクの再生時は、データ通信速度が相対的に高く設定される。これにより、データ通信の高速化に伴うノイズの発生、ならびにホスト装置および光ディスク装置の消費電力が低減される。
【発明の効果】
【0041】
本発明によると、光ディスクの種類に関係なく、光ディスクに記録されているコンテンツの種類が判別され、判別されたコンテンツの種類に応じて、光ディスク装置の再生動作の制御が行われる。特に、高速制御の必要がないオーディオビデオデータの再生時には、低速で制御を行うことができるため、光ディスク装置の騒音、振動、およびデータ通信の高速化に伴うノイズの発生、ならびにホスト装置および光ディスク装置の消費電力を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0043】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置の構成を示す。本発明に係る光ディスク装置11は、システムコントローラ12と、ディスク回転制御部13と、ドライバ14と、スピンドルモータ15と、通信速度制御部17とを備えている。システムコントローラ12は、光ディスク装置11に装填された光ディスク16に記録されているコンテンツの種類を判別し、判別したコンテンツの種類に応じて、スピンドルモータ15の回転速度を制御するための制御信号Sig1、および、ホスト装置100と光ディスク装置11との間のデータ通信速度を制御するための制御信号Sig2を出力する。ディスク回転制御部13は、システムコントローラ12から出力された制御信号Sig1を受信し、当該信号の内容に応じて、ドライバ14を介して、スピンドルモータ15の回転速度を設定する。通信速度制御部17は、システムコントローラ12から出力された制御信号Sig2を受信し、当該信号の内容に応じて、ホスト装置100と光ディスク再生装置11との間のデータ通信速度を設定する。
【0044】
ところで、ホスト装置100と光ディスク装置11との間のデータ通信規格の一つとしてUltra DMAがある。この規格によると、ホスト装置100と光ディスク装置11とを起動したとき、これらの装置の間で上限の通信速度が決定される。決定後は、上限通信速度以下の通信速度であれば通信は可能であり、この速度はシステムコントローラ12が決定する。以下、本実施形態に係る光ディスク装置11について、Ultra DMA規格に準拠したものとして説明する。しかし、これは説明の便宜のためであり本発明をこの規格に限定するわけではない。
【0045】
以下、光ディスク装置11の再生動作の制御方法について説明する。
【0046】
光ディスク16を再生する際、ホスト装置100からシステムコントローラ12に特有のコマンドが送られる。ここでは、具体例として、ホスト装置100からシステムコントローラ12に“Read(12)”コマンドが送られるものとして説明する。
【0047】
図2は、“Read(12)”コマンドのフォーマットを示す。ホスト装置100が“Read(12)”コマンドのフォーマットに定義されている「Streamingビット」を“1”に設定し、システムコントローラ12に当該コマンドを送信した場合、これは、光ディスク装置11に対するオーディオビデオデータ再生命令を意味する。よって、この場合、光ディスク16に記録されているコンテンツの種類は、オーディオビデオデータであることが判断される。
【0048】
図3は、コマンド参照による光ディスク装置11の再生動作の制御方法についてのフローチャートを示す。光ディスク16装填後、システムコントローラ12は、ホスト装置100から送信された“Read(12)”コマンドを参照する(S31)。ステップS32で、システムコントローラ12が「Streamingビット」は“1”であると確認した場合、光ディスク16に記録されているコンテンツの種類は、オーディオビデオデータであることが判断される。オーディオビデオデータのビットレートは、光ディスク規格によりあらかじめ決められているため、当該データが記録されている光ディスク16を再生する場合は、光ディスク16の回転速度およびホスト装置100と光ディスク装置11との間の通信速度を、オーディオビデオデータ以外のデータ(たとえば、コンピュータのソフトウェアやデータ)再生時と同じ高速に設定する必要がない。したがって、システムコントローラ12は、オーディオビデオデータを再生するのに最低限必要な速度で、光ディスク16を回転させるような制御信号Sig1およびホスト装置100と光ディスク再生装置11との間でデータを通信させるような制御信号Sig2をそれぞれ、ディスク回転制御部13および通信速度制御部17に出力する。それぞれの制御信号を受信したディスク回転制御部13および通信速度制御部17は、ディスク回転速度およびデータ通信速度を低速に設定する(S33)。
【0049】
一方、ステップS32で、システムコントローラ12が「Streamingビット」は“0”であると確認した場合、光ディスク16に記録されているコンテンツの種類は、オーディオビデオデータ以外のデータであることが判断される。したがって、システムコントローラ12は、従来と同様に、光ディスク16を高速回転させるような制御信号Sig1およびホスト装置100と光ディスク装置11との間でデータを高速通信させるような制御信号Sig2をそれぞれ、ディスク回転制御部13および通信速度制御部17に出力する。それぞれの制御信号を受信したディスク回転制御部13および通信速度制御部17は、ディスク回転速度およびデータ通信速度を、高速に設定する(S34)。
【0050】
以上、本実施形態によると、ホスト装置100から送られたコマンドを参照して、光ディスク16のコンテンツの種類が判別される。これにより、光ディスク16のコンテンツの種類がオーディオビデオデータであるならば、光ディスク装置11は、低速回転および低速通信でデータを再生するため、光ディスク装置11の騒音、振動、およびデータ通信の高速化に伴うノイズの発生、ならびにホスト装置および光ディスク装置の消費電力を低減することが可能となる。
【0051】
なお、ここでは説明の便宜上、ホスト装置100からシステムコントローラ12に送られるコマンドを“Read(12)”コマンドのみとして、上記判別ステップを説明したが、本発明はこれに限定されない。このコマンド以外に、オーディオビデオデータを判別できる特有の情報をもったコマンドからコンテンツの種類を判別するようにしてもよい。
【0052】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る光ディスク装置について説明する。本実施形態に係る光ディスク装置の構成は、図1に示した構成と同様であるため、ここでの説明は省略し、以下、システムコントローラ12が行う光ディスク装置11の再生動作の制御方法について説明する。
【0053】
光ディスク16を再生する際、ホスト装置100と光ディスク装置11との間で著作権保護技術に基づく手続きが行われる。たとえば、DVDの著作権保護技術には、CSS(Content Scramble System)、CPPM(Content Protection for Prerecorded Media)、CPRM(Content Protection for Recordable Media)の3種類がある。CSS、CPPM、およびCPRMは、それぞれDVD−Video、DVD−Audio、および記録型DVDのビデオ記録の著作権保護方式である。したがって、光ディスク16を再生する際、ホスト装置100と光ディスク装置11との間でCSS、CPPM、またはCPRMに基づく手続きが成立したとき、光ディスク16に記録されているコンテンツの種類は、オーディオビデオデータであることが分かる。
【0054】
図4は、DVDの著作権保護技術に基づく手続きによる光ディスク装置11の再生動作の制御方法についてのフローチャートを示す。光ディスク16装填後、ホスト装置100と光ディスク装置11との間で著作権保護技術に基づく手続きが行われる(S41)。ステップS42で、ホスト装置100と光ディスク装置11との間でCSSに基づく手続きが成立した場合、光ディスク16に記録されているコンテンツの種類は、オーディオビデオデータであることが判断される。したがって、システムコントローラ12は、オーディオビデオデータを再生するのに最低限必要な速度で、光ディスク16を回転させるような制御信号Sig1およびホスト装置100と光ディスク装置11との間でデータを通信させるような制御信号Sig2をそれぞれ、ディスク回転制御部13および通信速度制御部17に出力する。それぞれの制御信号を受信したディスク回転制御部13および通信速度制御部17は、ディスク回転速度およびデータ通信速度を低速に設定する(S43)。
【0055】
一方、ホスト装置100と光ディスク装置11との間でCSSに基づく手続きが成立しない場合は、ステップS44に移行する。ステップS44において、ホスト装置100と光ディスク装置11との間でCPPMに基づく手続きが成立した場合、光ディスク16に記録されているコンテンツの種類は、オーディオビデオデータであることが判断され、ステップS43に移行する。
【0056】
一方、ステップS44で、ホスト装置100と光ディスク装置11との間でCPPMに基づく手続きが成立しない場合は、ステップS45に移行する。ステップS45において、ホスト装置100と光ディスク装置11との間でCPRMに基づく手続きが成立する場合、光ディスク16に記録されているコンテンツの種類は、オーディオビデオデータであることが判断され、ステップS43に移行する。
【0057】
一方、ステップS45で、ホスト装置100と光ディスク装置11との間でCPRMに基づく手続きが成立しない場合は、光ディスク16に対して著作権保護されていないことが判断され、光ディスク16に記録されているコンテンツの種類は、オーディオビデオデータ以外のデータであることが判断される。したがって、システムコントローラ12は、従来と同様に、光ディスク16を高速回転させるような制御信号Sig1およびホスト装置100と光ディスク装置11との間でデータを高速通信させるような制御信号Sig2をそれぞれ、ディスク回転制御部13および通信速度制御部17に出力する。それぞれの制御信号を受信したディスク回転制御部13および通信速度制御部17は、ディスク回転速度およびデータ通信速度を、高速に設定する(S46)。
【0058】
以上、本実施形態によると、ホスト装置100と光ディスク装置11との間で著作権保護技術に基づく手続きの成否を検出することで、光ディスク16に記録されているコンテンツの種類が容易に判別される。
【0059】
なお、ここでは説明の便宜上、DVDについて、ホスト装置100と光ディスク装置11との間の著作権保護技術に基づく手続きによる判別ステップを説明したが、本発明はこれに限定されない。これら以外に他の光ディスクについての著作権保護技術に基づく手続きによって、光ディスク16に記録されているコンテンツの種類を判別してもよい。
【0060】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る光ディスク装置について説明する。本実施形態に係る光ディスク装置の構成は、図1に示した構成と同様であるため、ここでの説明は省略し、以下、システムコントローラ12が行う光ディスク装置11の再生動作の制御方法について説明する。
【0061】
データが書き込まれた光ディスクには、当該データを書き込んだアプリケーション情報が記録されている。このアプリケーション情報は、光ディスクの種類に関係なく共通に書き込まれている。オーディオビデオデータに関するアプリケーション情報としては、光ディスクにデータを記録したビデオレコーダに関する情報、また、ホスト装置100を用いて光ディスクにデータを記録した場合は、ビデオ作成ソフトウェア、およびオーディオ作成ソフトウェアに関する情報などがある。
【0062】
図5は、アプリケーション情報による光ディスク装置11の再生動作の制御方法のフローチャートを示す。システムコントローラ12が、光ディスク16が保持しているアプリケーション情報を検索し(S51)、ステップS52で、アプリケーション情報が、ビデオレコーダに関する情報であると確認された場合、光ディスク16に記録されているコンテンツの種類は、オーディオビデオデータであることが判断される。したがって、システムコントローラ12は、オーディオビデオデータを再生するのに最低限必要な速度で、光ディスク16を回転させるような制御信号Sig1およびホスト装置100と光ディスク装置11との間でデータを通信させるような制御信号Sig2をそれぞれ、ディスク回転制御部13および通信速度制御部17に出力する。それぞれの制御信号を受信したディスク回転制御部13および通信速度制御部17は、ディスク回転速度およびデータ通信速度を低速に設定する(S53)。
【0063】
一方、ステップS52で、アプリケーション情報が、ビデオレコーダに関する情報ではないと確認された場合は、ステップS54に移行する。ステップS54において、アプリケーション情報が、ビデオ作成ソフトウェアに関する情報であると確認された場合、光ディスク16に記録されているコンテンツの種類は、オーディオビデオデータであることが判断され、ステップS53に移行する。
【0064】
一方、アプリケーション情報が、ビデオ作成ソフトウェアに関する情報ではないと確認された場合は、ステップS55に移行する。ステップS55において、アプリケーション情報が、オーディオ作成ソフトウェアに関する情報であると確認された場合、光ディスク16に記録されているコンテンツの種類は、オーディオビデオデータであることが判断され、ステップS53に移行する。
【0065】
一方、ステップS55で、アプリケーション情報が、オーディオ作成ソフトウェアではないと確認された場合は、光ディスク16に記録されているコンテンツの種類は、オーディオビデオデータ以外のデータであることが判断される。したがって、システムコントローラ12は、従来と同様に、光ディスク16を高速回転させるような制御信号Sig1およびホスト装置100と光ディスク装置11との間でデータを高速通信させるような制御信号Sig2をそれぞれ、ディスク回転制御部13および通信速度制御部17に出力する。それぞれの制御信号を受信したディスク回転制御部13および通信速度制御部17は、ディスク回転速度およびデータ通信速度を、高速に設定する(S56)。
【0066】
以上、本実施形態によると、光ディスクの種類に関係なく共通に書き込まれているアプリケーション情報の有無を検出することで、光ディスク16に記録されているコンテンツの種類が容易に判別される。
【0067】
なお、ここでは説明の便宜上、アプリケーション情報の内容をビデオレコーダに関する情報、ビデオ作成ソフトウェアに関する情報、およびオーディオ作成ソフトウェアに関する情報のみとして判別ステップを説明したが、本発明はこれに限定されない。上記以外にも、オーディオビデオデータ特有のアプリケーション情報から光ディスク16のコンテンツの種類を判別してもよい。
【0068】
また、上記の各実施形態では光ディスク装置11の再生動作の制御として、回転速度制御および通信速度制御の2つとしたが、これらの制御のうちどちらか一方の制御だけを行ってもよい。さらに、回転速度および通信速度以外の要素についても上記と同様な制御を行ってもよい。
【0069】
また、光ディスク16に記録されているコンテンツの種類判別の精度を上げるために、第1から第3の実施形態に係る光ディスク装置11の再生動作の制御方法のうち、2つ以上の方法を組み合わせてコンテンツの種類判別を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係る光ディスク装置は、オーディオビデオデータの再生に対して、光ディスク装置の騒音、振動、および消費電力を低減することが可能となるため、特に、携帯型のコンピュータ周辺機器としての利用に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置の構成図である。
【図2】“Read(12)”コマンドのフォーマットを示す図である。
【図3】コマンド参照による光ディスク装置の再生動作の制御方法についてのフローチャートである。
【図4】DVDの著作権保護技術に基づく手続きによる光ディスク装置の再生動作の制御方法についてのフローチャートである。
【図5】アプリケーション情報による光ディスク装置の再生動作の制御方法についてのフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
11 光ディスク装置
12 システムコントローラ
13 ディスク回転制御部
17 通信速度制御部
100 ホスト装置
Sig1 制御信号
Sig2 制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに記録された情報を再生する光ディスク装置であって、
ホスト装置と前記光ディスク装置との間のやりとりに基づいて、前記光ディスクに記録されているコンテンツの種類を判別するシステムコントローラと、
前記判別されたコンテンツの種類に応じて、前記光ディスク装置の再生動作の制御を行う制御部とを備えた
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置において、
前記システムコントローラは、前記ホスト装置から前記光ディスク装置に送られたコマンドに含まれる情報から、前記コンテンツの種類を判別する
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光ディスク装置において、
前記システムコントローラは、前記ホスト装置と前記光ディスク装置との間の著作権保護技術に基づく手続きの成否結果から、前記コンテンツの種類を判別する
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
光ディスクに記録された情報を再生する光ディスク装置であって、
前記光ディスクに書き込まれているアプリケーション情報から、前記光ディスクに記録されているコンテンツの種類を判別するシステムコントローラと、
前記判別されたコンテンツの種類に応じて、前記光ディスク装置の再生動作の制御を行う制御部とを備えた
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光ディスク装置において、
前記システムコントローラは、前記アプリケーション情報としてビデオレコーダに係る情報を検出した場合、前記コンテンツの種類がオーディオビデオデータであると判断する
ことを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
【請求項6】
請求項4に記載の光ディスク装置において、
前記システムコントローラは、前記アプリケーション情報としてビデオ作成ソフトウェアに係る情報を検出した場合、前記コンテンツの種類がオーディオビデオデータであると判断する
ことを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
【請求項7】
請求項4に記載の光ディスク装置において、
前記システムコントローラは、前記アプリケーション情報としてオーディオ作成ソフトウェアに係る情報を検出した場合、前記コンテンツの種類がオーディオビデオデータであると判断する
ことを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
【請求項8】
請求項1および請求項4のいずれか一つに記載の光ディスク装置において、
前記システムコントローラは、
前記コンテンツの種類の判別結果に応じて、前記光ディスクの回転速度を制御するための制御信号を出力するものであり、
前記制御部は、
前記制御信号に基づいて、前記回転速度を制御するディスク回転制御部を有する
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項9】
請求項8に記載の光ディスク装置において、
前記システムコントローラは、前記制御信号として、
前記判別したコンテンツの種類がオーディオビデオデータである場合、前記回転速度を相対的に低く設定するための信号を出力し、
前記判別したコンテンツの種類がオーディオビデオデータ以外のデータである場合、前記回転速度を相対的に高く設定するための信号を出力する
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項10】
請求項1および請求項4のいずれか一つに記載の光ディスク装置において、
前記システムコントローラは、
前記コンテンツの種類の判別結果に応じて、前記ホスト装置と前記光ディスク装置との間のデータ通信速度を制御するための制御信号を出力するものであり、
前記制御部は、
前記制御信号に基づいて、前記データ通信速度を制御する通信速度制御部を有する
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項11】
請求項10に記載の光ディスク装置において、
前記システムコントローラは、前記制御信号として、
前記判別したコンテンツの種類がオーディオビデオデータである場合、前記データ通信速度を相対的に低く設定するための信号を出力し、
前記判別したコンテンツの種類がオーディオビデオデータ以外のデータである場合、前記データ通信速度を相対的に高く設定するための信号を出力する
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項12】
ホスト装置と光ディスク装置との間のやりとりに基づいて、前記光ディスク装置に装填された光ディスクに記録されているコンテンツの種類を判別する判別ステップと、
前記判別されたコンテンツの種類に応じて、前記光ディスク装置の再生動作の制御を行う制御ステップとを備えた
ことを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の光ディスク装置の制御方法において、
前記判別ステップは、前記ホスト装置から前記光ディスク装置に送られたコマンドに含まれる情報から、前記コンテンツの種類を判別する
ことを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
【請求項14】
請求項12に記載の光ディスク装置の制御方法において、
前記判別ステップは、前記ホスト装置と前記光ディスク装置との間の著作権保護技術に基づく手続きの成否結果から、前記コンテンツの種類を判別する
ことを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
【請求項15】
光ディスク装置に装填された光ディスクに書き込まれているアプリケーション情報から、前記光ディスクに記録されているコンテンツの種類を判別する判別ステップと、
前記判別されたコンテンツの種類に応じて、前記光ディスク装置の再生動作の制御を行う制御ステップとを備えた
ことを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
【請求項16】
請求項12および15のいずれか一つに記載の光ディスク装置の制御方法において、
前記制御ステップは、
前記判別されたコンテンツの種類がオーディオビデオデータである場合、前記光ディスクの回転速度を、相対的に低く設定し、
前記判別されたコンテンツの種類がオーディオビデオデータ以外の場合、前記回転速度を、相対的に高く設定する
ことを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
【請求項17】
請求項12および15のいずれか一つに記載の光ディスク装置の制御方法において、
前記制御ステップは、
前記判別されたコンテンツの種類がオーディオビデオデータである場合、前記ホスト装置と前記光ディスク装置との間のデータ通信速度を、相対的に低く設定し、
前記判別されたコンテンツの種類がオーディオビデオデータ以外の場合、前記データ通信速度を、相対的に高く設定する
ことを特徴とする光ディスク装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−185480(P2006−185480A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376346(P2004−376346)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】